(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】圧接継手およびこれを用いた給水装置
(51)【国際特許分類】
F16L 19/00 20060101AFI20240626BHJP
E03B 7/07 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
F16L19/00
E03B7/07 Z
(21)【出願番号】P 2020089509
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真一
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-153488(JP,A)
【文献】特開2003-227589(JP,A)
【文献】特開平07-239080(JP,A)
【文献】特開平11-131538(JP,A)
【文献】特開平07-042883(JP,A)
【文献】特開2014-234608(JP,A)
【文献】特開2005-134137(JP,A)
【文献】特開2007-139001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/00
E03B 7/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に水流方向に沿って雌ねじ部が形成された継手本体と、水を供給する通孔を内部に有して、外周面に形成された雄ねじ部が前記雌ねじ部に螺合可能に構成されたスピンドル部とを備え、
該スピンドル部は、水流方向の一方側に設けられた前記雄ねじ部と、水流方向の他方側に設けられ、前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に対して回転可能とする操作部と、水流方向の他方側に設けられ、水道配管機器の接続口に圧着して接続可能な圧着部とを備え、
該圧着部は、前記操作部に一体的に形成された外壁部と、該外壁部の内方に配置された内壁部と、前記外壁部および前記内壁部を水流方向の一方側で連続するよう形成される連続壁部と、を備え、
前記外壁部と前記内壁部と前記連続壁部とで水流方向の他方側へ向けて開放する凹部が形成され、
前記凹部に、前記接続口に圧着可能なパッキンと、該パッキンの水流方向の一方側に隣接して配置されて前記パッキンを支持するリング体とが挿入され、
前記パッキンの他方側は、前記凹部の他方側端から他方側に突出し、
前記リング体は、前記凹部の外周面と内周面との間に隙間を置いて配置されていることを特徴とする圧接継手。
【請求項2】
前記リング体には、前記パッキンの水流方向の一方側の側面に食込む突起を備えている請求項1に記載の圧接継手。
【請求項3】
水道配管機器が載置される給水装置基台と、
該給水装置基台の一次側の端部に設けられ、前記水道配管機器の一次側の接続口と連結可能な請求項1又は2の圧接継手と、
前記給水装置基台の二次側の端部に設けられ、前記水道配管機器の二次側の接続口と連結可能な固定継手と、を備えたことを特徴とする給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水道メータ等の水道配管機器の取付けや交換を容易に行う際に用いられる圧接継手、および水道配管機器の給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、水道メータの取付けや交換作業を容易に行うため、ベース(基台)の一次側(上流側)にスライド機構を備えた圧接継手を、また二次側(下流側)に固定継手を対設した取付けユニットが知られている。
【0003】
特許文献1の
図5において、圧接継手60は、継手本体61と、スピンドル部62と、圧着部63とを備える。
【0004】
継手本体61は、二次側通孔の内周面に雌ネジ61aを螺設すると共に円筒状インナースリーブ61bを同心状に設けてなる。スピンドル部62は、一次側に前記インナースリーブ61bが水密に挿入可能な差込通孔62aを貫設した雌ネジ61aへの螺入部62bを設けると共に、二次側に螺入部62aを回動可能な操作部62cを設け、さらに操作部62c側の一端面(二次側端部)に差込通孔62aと連通可能な円形の凹陥部62dを形成してなる。圧着部63は、内部に通水孔63aを有して、二次側端部に通水孔63aと連通して水道メータMの接続口M1と水密に圧着可能なシールパッキン64付きの接続用円孔63bを凹設している。
【0005】
上記構造の圧接継手60によれば、スピンドル部62を回転させることで、螺入部62bが継手本体61の雌ネジ61aに沿って回転しながら軸方向に進退し、その先端に設けた圧着部63が水道メータMの接続口M1に圧接する。このとき、圧着部63もスピンドル部62と共に回転しながら軸方向にスライドする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の圧接継手60では、スピンドル部62を回転させ、螺入部62bを雌ネジ61aに沿って回転して、圧着部63を水道メータMの接続口M1に圧接させる。
【0008】
しかしながら、圧着部63とスピンドル部62との形状誤差や、圧着部63とシールパッキン64との形状誤差が生じていた場合には、圧着部63と水道メータMの接続口M1との水密性が低下してしまうことがあった。
【0009】
そこで本発明は、水密性を確保できる圧接継手およびこれを用いた給水装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の圧接継手は、内周面に水流方向に沿って雌ねじ部が形成された継手本体と、水を供給する通孔を内部に有して、外周面に形成された雄ねじ部が前記雌ねじ部に螺合可能に構成されたスピンドル部とを備え、該スピンドル部は、水流方向の一方側に設けられた前記雄ねじ部と、水流方向の他方側に設けられ、前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に対して回転可能とする操作部と、水流方向の他方側に設けられ、水道配管機器の接続口に圧着して接続可能な圧着部とを備え、該圧着部は、前記操作部に一体的に形成された外壁部と、該外壁部の内方に配置された内壁部と、前記外壁部および前記内壁部を水流方向の一方側で連続するよう形成される連続壁部と、を備え、前記外壁部と前記内壁部と前記連続壁部とで水流方向の他方側へ向けて開放する凹部が形成され、前記凹部に、前記接続口に圧着可能なパッキンと、該パッキンの水流方向の一方側に隣接して配置されて前記パッキンを支持するリング体とが挿入されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の圧接継手の構成によれば、水道配管機器の接続口を圧着部に対向させ、スピンドル部における操作部を回転操作して雄ねじ部と雌ねじ部とが回転することで圧着部が水道配管機器の接続口に移動すると、凹部内でリング体に支持されているパッキンが水道配管機器の接続口に圧着される。ここで、パッキンとリング体はスピンドル部の圧着部に形成される凹部に挿入されているので、圧着する部分に関する形状等の誤差が少なくなり、したがって、水密性を確保することができる。
【0012】
本発明の圧接継手は、前記スピンドル部の前記外壁部には、前記水道配管機器の前記接続口を収納すべく前記凹部よりも水流方向の他方側に突出する外周収納部が設けられている構成を採用することができる。
【0013】
上記圧接継手の構成によれば、パッキンの圧着で水密性が確保されたうえで、水道配管機器の接続口におけるずれを抑制できる。
【0014】
本発明の圧接継手では、前記接続口の外周面に雄ねじ部が形成され、前記外周収納部の内径が、前記接続口の前記雄ねじ部の外径に対応する形状とされ、前記凹部の外壁部側の直径が、前記接続口の前記雄ねじ部の谷径に対応する形状とされている構成を採用することができる。
【0015】
上記圧接継手の構成によれば、外周収納部の内径が接続口の雄ねじ部の外径に対応する形状とされ、凹部の外壁部側の直径が接続口の雄ねじ部の谷径に対応する形状とされて、接続口の雄ねじ部がパッキンの外側にあるから、水道配管機器の接続口にパッキンが当接して圧着しても、パッキンが損傷しない。
【0016】
本発明の給水装置は、水道配管機器が載置される給水装置基台と、該給水装置基台の一次側の端部に設けられ、前記水道配管機器の一次側の接続口と連結可能な上記何れか一つの圧接継手と、前記給水装置基台の二次側の端部に設けられ、前記水道配管機器の二次側の接続口と連結可能な固定継手と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の給水装置の構成によれば、給水装置基台の固定継手に水道配管機器の二次側の接続口を連結し、水道配管機器の一次側の接続口を、上記何れかの圧接継手に取付けることにより水道配管機器が圧接継手と固定継手の間で同軸位置に配置される。圧接継手においては、スピンドル部における操作部を回転操作することで圧着部が水道配管機器の一次側の接続口に移動すると、凹部内でリング体に支持されているパッキンが、水道配管機器の一次側の接続口に圧着される。ここで、パッキンとリング体は、スピンドル部の圧着部に形成される凹部に挿入されているので、圧着する部分に関する形状等の誤差が少なくなり、したがって、水密性を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の圧接継手によれば、スピンドル部の圧着部に形成された凹部に、パッキンとリング体とを挿入しているので、パッキンに水道配管機器の接続口が圧着された際に、水密性が確保される。
【0019】
本発明の給水装置によれば、スピンドル部の圧着部に形成された凹部に、パッキンとリング体とを挿入しているので、パッキンに水道配管機器の接続口が圧着された際に、水密性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る給水装置の一部破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を
図1ないし
図2に基づいて説明する。本発明の圧接継手1は、給水装置2に配置されるものである。したがって、始めに給水装置2の全体構成について説明する。また、本実施形態では、水道配管機器を水道メータMとした例を挙げる。
【0022】
図1に示すように、給水装置2は、給水装置基台(ベース)3と、給水装置基台3の一次側に配置されて、水道メータMに着脱自在とされる圧接継手1と、給水装置基台3の二次側に配置されて、水道メータMを固定する固定継手4とを備えている。
【0023】
給水装置基台3の両端には、台座3a,3aが形成され、台座3a,3aの間に平板状の取付部5が形成されている。そして、給水装置基台3は、台座3a,3aをボルト等の締結具(図示せず)で締結することによって、所定の場所に水道配管機器を設置するスペースを確保できる。また、給水装置基台3上には、一次側に受台6A,二次側にメータ逆取付防止部6Bが設けられており、この受台6Aと,メータ逆取付防止部6Bは、給水装置基台3上の圧接継手1の近傍と、固定継手4の近傍とに配置されている。
【0024】
受台6Aは、水道メータMの第一接続口M1(一次側に配置された接続口)と圧接継手1の芯出し、すなわちセンター合わせが可能な高さに設定され、圧接継手1の圧接前に、芯出しした状態で水道メータMの第一接続口M1を仮置きするものである。メータ逆取付防止部6Bは、水道メータMを一次側と二次側の接続口M1,M2を逆向きにして誤って取り付けようとしたときに、第一接続口M1(一次側に配置された接続口)が、固定継手4の高さに合わないように水道メータMを支持するよう構成され、水道メータMが一次側と二次側とが逆向きに取り付けてしまうことを防止するものである。
【0025】
次に、圧接継手1の構成について述べる。圧接継手1は、上述したように、給水装置基台3上の一次側に設けられ、継手本体7とスピンドル部8とを備えている。
【0026】
継手本体7は、給水装置基台3の取付部5の一次側に、ボルト9Aを介して固定される一次側脚部10Aを備える。また、継手本体7は略円形の胴体部11を備え、胴体部11は、一次側から二次側へ貫通した内空状に形成されている。胴体部11は雌ねじ部11aを備え、雌ねじ部11aは、二次側寄りの内周面に形成されている。
【0027】
スピンドル部8は、円筒状の移動体13と、移動体13を回転操作するための操作部12とを備える。移動体13は、略円形に形成されて水を供給する通孔15を内部に有し、胴体部11に貫通されている。移動体13は外周面の二次側寄りに雄ねじ部13aを有する。この雄ねじ部13aは、胴体部11の雌ねじ部11aに螺合される。よって、胴体部11の雌ねじ部11aに、移動体13の雄ねじ部13aを螺着することで、移動体13は、一次側および二次側に移動自在な構成とされる。
【0028】
本実施形態では、操作部12は、移動体13の二次側端部に設けられており、移動体13から径外方向に突設されたハンドル14である。このハンドル14は、移動体13を回転させるよう構成されている。ハンドル14は樹脂製であり、環状に形成された嵌合部16と、嵌合部16の外周に放射状に形成されたハンドル本体17とを備える。
【0029】
ハンドル14の嵌合部16は、移動体13の二次側の端部に配置された後述する圧着部18の外周面に配置される。換言すれば、ハンドル14(操作部12)は、移動体13における胴体部11からの二次側への突出部分である圧着部18において、その外周面に嵌合されている。操作部12(ハンドル14およびハンドル本体17)は、継手本体7よりも大径に形成されており、このような構成により移動体13を回転することができる。
【0030】
スピンドル部8は、前記圧着部18をさらに備える。圧着部18は、水道メータMの第一接続口M1の端部に圧接(水密可能)して支持する構成を備えている。圧着部18は、移動体13の二次側に一体的に形成され、前記通孔15に連通する供給孔19が形成されている。
【0031】
圧着部18は、雌ねじ部11aが形成される移動体13の水流方向他方側(二次側)に配置され、移動体13よりも外径側に肉厚になるように構成されている。本実施形態では、圧着部18は、操作部12の径内側に形成されている。
【0032】
また、
図2に示すように、圧着部18は、外壁部20と、外壁部20の内方に配置された内壁部21と、外壁部20と内壁部21の間にあって継手本体7の方、すなわち一次側へ窪む凹部22とを備える。凹部22には、後述するシール部材が装着されている。
【0033】
また、外壁部20および内壁部21とはともに円筒状に形成され、外壁部20および内壁部21は、一次側に形成された連続壁部23によって連結されている。すなわち、圧着部18には、外壁部20と内壁部21と連続壁23とで、水流方向他方側(二次側)に開放した凹部22が形成されている。外壁部20の内径寸法(外壁部20の内周面の直径)は、移動体13の外径寸法よりも大きく形成されている。
【0034】
外壁部20と内壁部21との端面は、移動体13の中心軸線(水流方向)に直角な面一とされて、これによって面一部24が形成されている。後述するリング体25は、凹部22のうちの第一凹部26に収納されるが、後述するパッキン27において、水道メータMの第一接続口M1の端部を圧着可能な当接部分27aは、面一部24から突出している。
【0035】
外壁部20の径外方向位置には、継手本体7とは反対側、すなわち二次側(水流方向他方側)に突出する外周収納部28を備えている。外周収納部28は環状に形成されているから、面一部24から二次側に突出している。すなわち、圧着部18は、外周収納部28と面一部24とで、水道メータMの第一接続口M1を挿入する挿入部18Aが形成されている。圧着部18は、移動体13よりも径外方向に肉厚に形成され、該肉厚の部分に、二次側に開放する前記凹部22と、凹部22の二次側に連続して挿入部18Aが形成されている。
【0036】
外周収納部28の内面28aは環状に形成され、水道メータMの第一接続口M1の外周面に形成された収納雄ねじ部28bの外径と略等しい、または大きい内径に形成されている。
【0037】
外周収納部28における内側端と面一部24とで、凹部22の径方向外側位置に段付面29が形成されている。この段付面29は、面一部24に倣って、移動体13の中心軸線に直角である。
【0038】
前述のように、外壁部20の内径寸法は、移動体13の外径寸法よりも大きく形成され、ハンドル14の嵌合部16は、圧着部18の外壁部20の外面に嵌合される。このような構成により、移動体13を軸方向周りに回転することができる。また、ハンドル本体17の一次側端面は、圧着部18の一次側面と略面一であり、ハンドル本体17の二次側端面は、圧着部18の二次側端面と略面一となっている。
【0039】
凹部22は、二次側の第一凹部26と、第一凹部26に連続した一次側の第二凹部30とを備えて環状に形成されている。また、第一凹部26の径方向幅は、第二凹部30の径方向幅より大きく、水流方向の深さも深く形成されている。
【0040】
第一凹部26と第二凹部30とは連通して形成され、ともに矩形断面である。特に、第一凹部26では、径方向外方の外周面部26aと、径方向内方の内周面部26bとを連続させた底面部26cとを有している。また、底面部26cは、移動体13の中心軸線に直角な面とされている。
【0041】
前記シール部材は、Oリング31、パッキン27およびリング体(緩衝ワッシャとも称する)25を備える。第二凹部30には、Oリング31が装着されている。Oリング31は、公知のものが使用される。第一凹部26の水道メータM側(二次側)には、水道メータMの第一接続口M1の端部に圧着可能なパッキン27が装着されている。パッキン27は、
図4に示すように、断面が矩形とされて、環状に形成されている。また、第一凹部26には、パッキン27に隣接して、且つOリング31に接触するようにリング体25が、さらに装着される。
【0042】
リング体25は、
図2及び
図3に示すように、パッキン27に対する一次側に配置されて、パッキン27を支持する部材であり、パッキン27における一次側面に食込む突起25aを備えている。リング体25は断面が矩形とされて、環状に形成されている。
【0043】
また、パッキン27は合成ゴム製とされている。リング体25は樹脂製とされ、例えば、ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)等から形成されて、リング体25の表面は摩擦係数が小さいことが望ましい。
【0044】
また、パッキン27と、第一凹部26の外周面部26aおよび内周面部26bとは、わずかな隙間を置いて配置されている。
【0045】
水道メータMの第一接続口M1は、圧着部18の挿入部18Aから挿入される。ここで、第一接続口M1の収納雄ねじ部28bについて説明する。第一接続口M1の収納雄ねじ部28bの外径は、外周収納部28の内径28aの内径に等しく、または小さく形成され、第一接続口M1の収納雄ねじ部28bの谷径は第一凹部26の外径(外周面部26aの内径)に等しく、または大きく形成されている。
【0046】
継手本体7の一次側には止水弁32が配置される。止水弁32はエルボ管33を介して圧接継手1の一次側に、予め組付けられている。
【0047】
また、水道配管機器は水道メータMであり、したがって、水道メータMには、第一接続口M1に対向する、二次側の第二接続口M2が設けられている。この第二接続口M2は、給水装置基台3の二次側に配置された固定継手4に、着脱自在とされる。
【0048】
固定継手4は、給水装置基台3の取付部5の二次側に、ボルト9Bを介して固定された二次側脚部10Bを備える。固定継手4は、逆止弁34を有した逆止弁ユニット35を保持する筒状体36と、逆止弁ユニット35を挿入する収容部37が形成される胴体38とを備えている。また、筒状体36には、水道メータMの第二接続口M2を着脱自在に支持する受部39を備えている。
【0049】
給水装置2は、以上の構成の給水装置基台3、圧接継手1および固定継手4を備えている。上記構成の給水装置2の作用を説明する。給水装置2の給水装置基台3の二次側に、上記構成の固定継手4が配置され、給水装置基台3の一次側に上記構成の圧接継手1が配置されるものとする。
【0050】
水道メータMは、はじめに固定継手4に対して載置される。これについては、水道メータMの第二接続口M2と固定継手4の芯出しが可能なように、第二接続口M2を受部39に仮置きすることで、水道メータMが固定継手4に確実に芯出しされた状態で載置される。
【0051】
次に、水道メータMの第一接続口M1を、圧接継手1に対して配置する。圧接継手1では、操作部12を回転させることで、移動体13を一次側に配置しておいて圧着部18を後退させることで、水道メータMの第一接続口M1と圧接継手1の芯出しが可能とするよう、第一接続口M1を受台6Aに容易に仮置きすることができる。
【0052】
そして、水道メータMを圧接継手1と固定継手4の間に芯出しして配置した状態で、操作部12のハンドル本体17を回転させ、圧接継手1に芯出しされた第一接続口M1に向けて圧着部18を移動させる。このとき、操作部12に一体形成された移動体13において雄ねじ部13aが、胴体部11の雌ねじ部11aに螺合することで、移動体13が二次側に移動して、第一接続口M1が、圧着部18の挿入部18Aに入り込むことが可能である。
【0053】
さらにハンドル本体17を回転させることにより、移動体13の雄ねじ部13aが胴体部11の雌ねじ部11aに螺合し、第一接続口M1の収納雄ねじ部28bが、外周収納部28の内面28aで画定される挿入部18Aに挿入される。
【0054】
そして、第一接続口M1の端部に圧着可能なパッキン27の当接部分27aは、面一部24から突出しているから、当接部分27aが第一接続口M1の端部に押し当てられる。この状態で、水道メータMは圧接継手1と固定継手4との間で圧着された状態となる。この状態では、パッキン27に隣接したリング体25、およびOリング31も、固定継手4からの反力である第一接続口M1の端部(ハンドル本体17)からの反力を受けて押圧される。
【0055】
第一接続口M1の端部から反力を受けた際の、パッキン27、リング体25の動作を説明する。パッキン27は合成ゴム製とされ、リング体25は樹脂製とされている。リング体25の表面はパッキン27よりも摩擦係数が小さく、リング体25には、パッキン27における一次側面に食込む突起25aを備え、リング体25と、第一凹部26の外周面部26aおよび内周面部26bとは、わずかな隙間を置いて配置されている。また、パッキン27の当接部分27aは面一部24から突出されている。
【0056】
これらの構成により、パッキン27に対して第一接続口M1の端部から一次側へ向かう反力(押圧力)を受けると、パッキン27およびリング体25は、ハンドル本体17が回転しても、非回転の状態となる。そして、パッキン27が非回転であれば、その分だけパッキン27の損傷が少なく、したがって捻られたりしないので、パッキン27の厚みが均等になる。
【0057】
また、パッキン27において、水道メータMの第一接続口M1の端部に圧着可能な当接部分27aは、面一部24から突出している。したがって、第一接続口M1に当接部分27aが圧接した際には、環状である当接部分27aは、軸方向に圧縮され、その分だけわずかに拡径される。そして、当接部分27aの拡径された部分については、段付面29に倣って吸収される。パッキン27は、第一接続口M1の端部から反力を受けて充分な圧着力が確保された段階で非回転の静止状態となり、第一接続口M1に対して水密性が確保される。
【0058】
リング体25は、
図2に示すように、外周面部26a、内周面部26bとで囲まれており、しかもリング体25は、底面部26cに当接する。そして、環状に形成されたリング体25によって、環状に形成されたパッキン27が支持されるから、環状面どうしが当接することで、パッキン27が安定して第一凹部26に支持される。
【0059】
仮に、第一凹部26とパッキン27との形状誤差や、圧着部18とハンドル14との形状誤差等が生じていても、リング体25によってパッキン27が支持されるから、パッキン27が確実に第一凹部26に圧着されて、水密性が確保される。また、第二凹部30にはOリング31が装着され、Oリング31はリング体25によって変形して、第二凹部30においても水密性が確保される。
【0060】
外壁部20には、水道メータMの第一接続口M1を収納すべく二次側に突出する外周収納部28が設けられており、外周収納部28の内面28aにより挿入部18Aが画定されており、水道メータMの第一接続口M1は、挿入部18Aに挿入されてパッキン27に当接する。この構成によれば、パッキン27により水密性が確保されたうえで、水道メータMの第一接続口M1に対するパッキン27のずれを抑制できる。
【0061】
また、上記構成では、水道メータMの第一接続口M1は、圧着部18の挿入部18Aから挿入されており、第一接続口M1の収納雄ねじ部28bの外径は、外周収納部28の内径(内面28aの直径)に等しく、または小さく形成され、第一接続口M1の収納雄ねじ部28bの谷径は、第一凹部26の外壁部側の直径(第一凹部26の外周面側の直径であって外周面部26aの直径)に等しく、または大きく形成されている。すなわち、第一接続口M1の収納雄ねじ部28bがパッキン27の外側(径外方向)にあるから、第一接続口M1がパッキン27に当接して圧着されても、収納雄ねじ部28bによっては、パッキン27が損傷しにくい。
【0062】
また、圧着部18が移動体13よりも径外方向に向けて肉厚に形成されて、該肉厚部分にパッキン27とリング体25を収納する凹部22(第一凹部26)が形成されているので、圧接継手1と固定継手4との面間距離を小さくすることができる。また、圧着部18の径外側に操作部12が設けられていることで、前記面間距離を小さくすることができる。
【0063】
上述した要領で水道メータMの取付けが完了し、またハンドル14を逆方向に回すことで、水道メータMの取外しが可能となる。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
上記実施形態では、第一凹部26にパッキン27およびリング体25を配置し、第一凹部26の一次側に隣接する第二凹部30にOリング31を配置した。しかしながら、第二凹部30を、第一凹部26に対して径外方向に配置すること、すなわち、リング体25の径外方向に配置することもできる。この場合では、第一凹部26にパッキン27およびリング体25を配置し、第二凹部30にOリング31を配置して、パッキン27、およびリング体25の外側において、水密性が確保される。
【0066】
上記実施形態では、外周収納部28における内側端と面一部24とで、凹部22の径方向外側位置に段付面29が形成され、段付面29は、面一部24に倣って、移動体13の中心軸線に直角であり、当接部分27aの拡径された部分については、段付面29に倣って吸収される例を挙げた。しかしながら、段付面29は、外周収納部28における二次側に向けて、傾斜して配置することもできる。
【0067】
上記実施形態の給水装置2は、給水装置基台3と、給水装置基台3の一次側に配置されて、水道メータMに着脱自在とされる圧接継手1と、給水装置基台3の二次側に配置されて、水道メータMを固定する固定継手4とを備えた例を挙げた。しかしながら、固定手段4に代えて、上記実施形態と同様の圧接継手1を、対称形状に備えることもできる。
【0068】
上記実施形態では、水道配管機器を水道メータMとした例を挙げたが、例えば水道配管機器としては、水道管であってもよく、この場合では、給水装置基台3が無くてもよい。逆に、給水装置基台3に、圧接継手1を複数並列して、各圧接継手1に、水道配管機器を接続することもできる。
【0069】
上記実施形態では、操作部12の内方に圧着部18を設ける場合について説明したがこれに限らず、圧着部18は操作部12よりも一次側(水流方向の一方側)または二次側(水流方向の他方側)に配置することもできる。
【0070】
上記実施形態では、給水装置基台3として平板状の取付部5を備える場合について説明したがこれに限らず、給水装置基台3は、圧接継手1と固定継手4とを配置して、両者の間に水道配管機器を取付けることができるスペース(取付部)を保持してユニット化できれば、例えば、枠状に形成される場合などのように構成することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1…圧接継手、2…給水装置、3…給水装置基台、4…固定継手、5…取付部、7…継手本体、8…スピンドル部、11…胴体部、11a…雌ねじ部、12…操作部、13…移動体、13a…雄ねじ部、14…ハンドル、16…嵌合部、17…ハンドル本体、18…圧着部、18A…挿入部、20…外壁部、21…内壁部、22…凹部、23…連続壁部、24…面一部、25…リング体、26…第一凹部、26a…外周面部、26b…内周面部、26c…底面部、27…パッキン、27a…当接部分、28…外周収納部、28a…内面、28b…収納雄ねじ部、29…段付面、30…第二凹部、31…Oリング、M…水道メータ、M1…第一接続口、M2…第二接続口