IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人電気通信大学の特許一覧

<>
  • 特許-指示入力装置および指示入力プログラム 図1
  • 特許-指示入力装置および指示入力プログラム 図2
  • 特許-指示入力装置および指示入力プログラム 図3
  • 特許-指示入力装置および指示入力プログラム 図4
  • 特許-指示入力装置および指示入力プログラム 図5
  • 特許-指示入力装置および指示入力プログラム 図6
  • 特許-指示入力装置および指示入力プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】指示入力装置および指示入力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/16 20060101AFI20240626BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240626BHJP
   A63F 13/424 20140101ALI20240626BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20240626BHJP
   G10L 25/51 20130101ALI20240626BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20240626BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
G06F3/16 630
G06F3/16 650
G06F3/01 510
A63F13/424
A63F13/55
G10L25/51
G10L15/00 200H
G10L15/10 500Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020105799
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022000722
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 柊
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-248261(JP,A)
【文献】特許第5354425(JP,B2)
【文献】国際公開第2006/059570(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01、3/048-3/04895
A63F 9/24、13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム空間を制御するゲーム制御部に、前記ゲーム空間で活動するキャラクタの動作の指示を入力する指示入力装置であって、
ユーザの音声によって入力された音声データを取得する取得部と、
前記音声データに含まれる音象徴語から、前記音象徴語が有する音韻形態からイメージされる前記キャラクタの動作に対応する第1の評価尺度における評価値を算出する算出部と、
前記第1の評価尺度における前記評価値と閾値を比較して、前記キャラクタに前記動作をさせるか否かを決定し、前記キャラクタの動作のパラメータに対応する第2の評価尺度における評価値と閾値との乖離度に応じて、前記動作におけるパラメータを決定する決定部と、
前記キャラクタに前記動作をさせると決定された場合、前記キャラクタに前記動作をさせる指示と、決定されたパラメータを出力する指示部
を備える指示入力装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記評価値と前記閾値の乖離度に応じて、前記動作におけるパラメータを決定し、
前記指示部は、決定されたパラメータを出力する
請求項1に記載の指示入力装置。
【請求項3】
前記音象徴語が有する音韻形態からイメージされる前記キャラクタの動作に対応する評価尺度は、
動作に関する評価尺度から、前記動作をイメージできる複数の音象徴語に関する各評価尺度の評価値にばらつきのある評価尺度が除外された評価尺度である
請求項1に記載の指示入力装置。
【請求項4】
キャラクタの動作の種類毎に、評価尺度が対応づけられ、
前記算出部は、いずれかの動作の種類に対応づけられる評価尺度における評価値を算出し、
前記決定部は、前記評価尺度毎の評価値と閾値を比較して、前記キャラクタに前記動作をさせるか否か、および動作させる場合のキャラクタの動作種別を決定する
請求項1に記載の指示入力装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記音声データにおける特徴量から、前記動作におけるパラメータを決定し、
前記指示部は、決定されたパラメータを出力する
請求項1に記載の指示入力装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の指示入力装置として機能せるための指示入力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指示入力装置および指示入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ビデオゲームに対して、様々な形態の入力装置が開発されている。例えば、入力装置に搭載されたボタン、スティック等を、ユーザが操作することにより、ゲームに指示を入力することが可能である。モーションセンサを搭載した入力装置をユーザが動かすことにより、ゲームに指示を入力することも可能である。またマイクに息を吹きかけることにより、仮想空間に描画された雲を動かす指示を、ゲームに入力することも可能である(特許文献1)。
【0003】
一般的に、簡潔で具体的な描写力を持つ、インパクトのある表現が可能な、オノマトペが知られている。オノマトペは、音象徴語とも称され、擬音語、擬態語を合わせた総称として用いられる場合がある。オノマトペの印象を形容詞対で評価する方法もある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-204410号公報
【文献】特許第5354425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の入力方法は、雲の位置と息の量によって雲の移動方向を決めるものであり、雲のような浮遊物以外のオブジェクトの操作に用いることは難しい。例えば、仮想のゲーム空間で活動するキャラクタを、マイクに息を吹きかけることにより動作させるのは、直感的でなく、ゲームとしての魅力に欠ける場合がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、仮想のゲーム空間で活動するキャラクタを、直感的に動作させることが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の指示入力装置は、ゲーム空間を制御するゲーム制御部に、ゲーム空間で活動するキャラクタの動作の指示を入力する指示入力装置であって、ユーザの音声によって入力された音声データを取得する取得部と、音声データに含まれる音象徴語から、キャラクタの動作に対応する評価尺度における評価値を算出する算出部と、評価値と閾値を比較して、キャラクタに動作をさせるか否かを決定する決定部と、キャラクタに動作をさせると決定された場合、キャラクタに動作をさせる指示を出力する指示部を備える。
【0008】
本発明の一態様は、上記指示入力装置として、コンピュータを機能させる指示入力プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、仮想のゲーム空間で活動するキャラクタを、直感的に動作させることが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る指示入力装置の機能ブロックを説明する図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る動作種別と評価尺度の関係を説明する図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る動作種別およびパラメータと評価尺度の関係であって、運動種別とパラメータで同じ評価尺度を用いる場合を説明する図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る動作種別およびパラメータと評価尺度の関係であって、運動種別とパラメータで異なる評価尺度を用いる場合を説明する図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る指示入力方法を説明するフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る指示入力方法の動作決定処理を説明するフローチャートである。
図7図7は、指示入力装置に用いられるコンピュータのハードウエア構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0012】
(指示入力装置)
図1に示す本発明の実施の形態に係る指示入力装置1は、ゲーム空間を制御するゲーム制御部21に、ゲーム空間で活動するキャラクタの動作の指示を入力する。指示入力装置1は、キャラクタの動作指示として、キャラクタの動作をイメージさせる音象徴語を用いることにより、仮想のゲーム空間で活動するキャラクタを、直感的に動作させる。指示入力装置1は、ユーザから入力された音象徴語を、その音象徴語の音韻の要素等の印象から、キャラクタの動作に対応する評価尺度の評価値を算出し、算出された評価値をゲーム装置2の操作指示に変換する。
【0013】
本発明の実施の形態において評価尺度は、「静的な⇔動的な」、「弾力のある⇔弾力のない」等の形容詞対であって、評価値は、特許文献2に記載の方法で算出される。
【0014】
本発明の実施の形態においてゲームは、二次元のゲーム空間において、キャラクタが画面上の左から右に移動するアドベンチャーゲームである場合を説明する。キャラクタは、ゲーム空間に配置されたアイテムを取得し、また敵を避けたり倒したりしながら、ゴールを目指す。本発明の実施の形態において指示入力装置1は、ユーザが入力した音象徴語を、「右移動」または「ジャンプ」のキャラクタの各動作に変換して、ゲーム空間内のキャラクタを動作させる。なおここで説明するアドベンチャーゲームは、一例にすぎず、これに限るものではない。またゲーム空間におけるキャラクタの動作種別は、ゲームの仕様によって決まる。指示入力装置1は、ユーザが入力した音象徴語を、ゲーム制御部21においてキャラクタに許容される動作に変換可能である。
【0015】
図1を参照して、指示入力装置1を説明する。指示入力装置1は、ゲーム装置2に接続する。ゲーム制御部21は、指示入力装置1から入力されたキャラクタの動作指示に従って、キャラクタをゲーム空間で活動させる。
【0016】
指示入力装置1は、取得部11、算出部12、決定部13および指示部14を備える。
【0017】
取得部11は、ユーザの音声によって入力された音声データを取得する。取得部11は、マイク等を用いてユーザが発する音声を取得し、音声データを取得する。ここで取得する音声データは、ユーザの音声入力が終了するまでの一区切りのデータである。本発明の実施の形態においてユーザは、キャラクタの動作をイメージさせる音象徴語を発するので、取得部11は、その音象徴語の音声データを取得する。
【0018】
算出部12は、音声データに含まれる音象徴語から、キャラクタの動作に対応する評価尺度における評価値を算出する。キャラクタの動作の種類毎に、評価尺度が対応づけられても良い。算出部12は、いずれかの動作の種類に対応づけられる評価尺度における評価値を算出する。
【0019】
本発明の実施の形態において、キャラクタの動作と、その動作に対応する評価尺度を予め対応づけておき、音声に含まれる音象徴語から、キャラクタの動作に対応する評価尺度における評価値を算出する。ここで、評価値を算出するために、音象徴語に含まれる音韻の要素、語尾等が用いられても良い。
【0020】
キャラクタの動作に対応する評価尺度は、キャラクタのその動作をイメージしやすい評価尺度と、その評価尺度において動作を特定するための条件が対応づけられる。例えば、キャラクタのその動作をイメージしやすい音象徴語を複数選択し、選択された音象徴語の各評価尺度の評価値を算出する。各評価尺度から、他の音象徴語と同様の評価値を有する評価尺度と、選択された音象徴語の評価値にばらつきのある評価尺度を除外することで、その動作をイメージしやすい評価尺度を特定することができる。
【0021】
本発明の実施の形態において、仮想空間におけるキャラクタの動作をイメージしやすい評価尺度を特定する方法を説明する。予め、動作に関する評価尺度として、「重厚な⇔軽快な」、「静的な⇔動的な」、「強い⇔弱い」、「凸凹な⇔平らな」、「弾力のある⇔弾力のない」、「滑る⇔粘つく」および「鋭い⇔鈍い」が選択される。
【0022】
またキャラクタの動作「右移動」をイメージしやすい音象徴語として、「すたすた(briskly等)」、「てくてく」、「だだだだ」および「さっさっ」が選択される。選択された各音象徴語について、選択された評価尺度の評価値を比較する。運動に関する評価尺度から、他の音象徴語と同様の評価値を有する評価尺度と、選択された音象徴語の評価値にばらつきのある評価尺度が除外された結果、動作「右移動」に関する評価尺度として、「静的な⇔動的な」が特定される。なお、「すたすた」に付した英単語” briskly”は、音象徴語「すたすた」のイメージを英訳したものである。” briskly”は、キャラクタの動作「右移動」をイメージしやすい英語の音象徴語の一例であって、これに限定されるものではない。
【0023】
キャラクタの動作「ジャンプ」をイメージしやすい音象徴語として、「ぴょん(jump等)」および「ふわふわ(lightly、softlyまたはfluffy等)」が選択される。選択された各音象徴語について、選択された評価尺度の評価値を比較する。運動に関する評価尺度から、他の音象徴語と同様の評価値を有する評価尺度と、選択された音象徴語の評価値にばらつきのある評価尺度を除外が除外された結果、動作「ジャンプ」に関する評価尺度として、「弾力のある⇔弾力のない」が特定される。なお、「ぴょん」、「ふわふわ」などに付した英単語” jump”等は、各音象徴語のイメージを英訳したものである。” jump”等は、キャラクタの動作「ジャンプ」をイメージしやすい英語の音象徴語の一例であって、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明の実施の形態において、図2に示すように、キャラクタの動作種別「右移動」に、評価尺度「静的な⇔動的な」の形容詞対が対応づけられ、キャラクタの動作種別「ジャンプ」に、評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」の形容詞対が対応づけられる。従って算出部12は、音声データに含まれる音象徴語から、評価尺度「静的な⇔動的な」の形容詞対と「弾力のある⇔弾力のない」の形容詞対について、評価値を算出する。
【0025】
ここで算出部12の詳細な処理を説明する。
【0026】
まず算出部12は、取得部11が取得した音声データに含まれる音象徴語を特定する。音象徴語を特定する方法として、音声データを文字テキストに変換する方法、音声データと音象徴語との相関を学習したモデルを用いる方法などがある。ユーザが発した音声データの音象徴語が特定されると、算出部12は、音象徴語の音韻の要素等が持つ印象を、評価尺度における評価値に換算する。算出部12は、音声データと、その音声データに含まれる音象徴語の評価尺度における評価値との相関を学習したモデルを用いて、音声データを、評価尺度における評価値に換算しても良い。また算出部12は、音象徴語を、評価尺度における評価値に変換するモジュールから、音声データに含まれる音象徴語から変換された評価尺度における評価値を取得しても良い。
【0027】
本発明の実施の形態において、評価尺度および評価値は、特許文献2に開示される形容詞対およびイメージ評価値である。評価値は、特許文献2に示す方法で算出される。具体的には、算出部12は、音象徴語の音韻形態を音韻の要素および語尾により解析するための音韻形態解析情報を格納した音韻形態データベースと、音韻形態ごとに、音象徴語の印象に与える影響を、予め設定された形容表現で表現する評価尺度ごとに数値化した評価値が格納された定量イメージテーブルとを参照可能である。音韻形態解析情報として「母音;V」、「子音;C」、「促音『っ』;Q」、「撥音;N」、「長音;R」、「(語末の)『り』;ri」、「濁音・半濁音」、「反復」等が記憶される。さらに音韻形態解析情報は、「母音」の音素表記情報として「/a/,/i/,/u/,/e/,/o/」、「子音」の音素表記情報として「/k/,/g/,/s/,/z/,/t/,/d/,/n/,/h/,/b/,/p/,/m/,/r/,/w/」、「拗音つき子音」の音素表記情報として「/ky/,/gy/,/sy/,/zy/,/ty/,/dy/,/ny/,/hy/,/by/,/py/,/my/,/ry/」、「促音『っ』」の音素表記情報として「/Q/」、「撥音」の音素表記情報として「/N/」、「長音」の音素表記情報として「/R/」、「(語末の)『り』」の音素表記情報として「/ri/」を、それぞれ格納する。定量イメージテーブルは、評価実験により得られた、音韻形態ごとに、各音韻形態の有無の音象徴語のイメージに与える影響の尺度を、対照的な意味を持つ形容詞対ごとに数値化したイメージ評価値を格納する。算出部12は、ユーザから入力された音声データに含まれる音象徴語の音韻形態を音韻形態データベースの音韻形態解析情報に基づいて解析する。算出部12は、解析結果に基づいて、音象徴語の音韻形態ごとに、評価尺度ごとの評価値を定量イメージテーブルから特定し、特定された音韻形態ごとおよび評価尺度ごとの評価値に基づいて、音象徴語の印象を定量化する。
【0028】
なお、算出部12は、上記の方法に限らず、入力された音象徴語のイメージを数値化して評価値として算出できればよい。また、英語、中国語等、日本語とは異なる言語における音象徴語について、算出部12は、キャラクタの動作に対応する評価尺度における評価値を、その言語に適合した方法で算出できればよく、その算出方法は問わない。例えば、音韻形態データベースおよび定量イメージテーブルが、言語毎に設けられ、各言語におけるキャラクタの動作に対応する評価尺度を特定されても良い。その場合、算出部12は、入力された音象徴語の言語に対応する音韻形態データベースおよび定量イメージテーブルを参照して、その言語におけるキャラクタの動作に対応する評価尺度における評価値を算出しても良い。
【0029】
決定部13は、評価値と閾値を比較して、キャラクタに動作をさせるか否かを決定する。決定部13は、評価尺度毎の評価値と閾値を比較して、キャラクタに動作をさせるか否か、および動作させる場合のキャラクタの動作種別を決定する。決定部13は、キャラクタの動作に対応する形容詞対について、算出部12が算出した評価値と、閾値を比較した結果に基づいて、キャラクタに動作させるか否か、また動作させる場合の動作種別を決定する。
【0030】
指示部14は、キャラクタに動作をさせると決定された場合、キャラクタに動作をさせる指示と、その動作種別を出力する。
【0031】
決定部13が、評価尺度における評価値から、動作種別を決定するための条件は、評価尺度等の仕様に応じて、予め定められる。
【0032】
本発明の実施の形態において評価尺度の評価値は、評価対象の音象徴語が、形容詞対の右側に記載の形容詞に近い場合、プラスの値をとり、形容詞対の左側に記載の形容詞に近い場合、マイナスの値を取るので、閾値は、例えばゼロとなる。
【0033】
例えば入力された音象徴語の評価尺度「静的な⇔動的な」について、評価値がプラスの値を取る場合、「動的な」印象の強い音象徴語が入力されたことを示す。評価尺度「静的な⇔動的な」がプラスの値を取る条件を満たす場合、動作種別「右移動」が決定される。また評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」について、評価値がマイナスの値を取る場合、「弾性のある」印象の強い音象徴語が入力されたことを示す。入力された音象徴語の評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」がマイナスの値を取る条件を満たす場合、動作種別「ジャンプ」が決定される。
【0034】
決定部13は、入力された音象徴語の評価値と、動作種別を決定するための条件に基づいて、キャラクタを動作させるか否か、および動作させる場合の動作種別を決定する。
【0035】
入力された音象徴語の評価尺度「静的な⇔動的な」について、評価値がプラスの値を取る場合、決定部13は、キャラクタの動作種別「右移動」を決定する。評価値がマイナスの値を取る場合、決定部13は、キャラクタを動作させない、あるいは動作種別「右移動」しないことを決定する。
【0036】
入力された音象徴語の評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」について、評価値がマイナスの値を取る場合、決定部13は、キャラクタの動作種別「ジャンプ」を決定する。評価値がプラスの値を取る場合、決定部13は、キャラクタを動作させない、あるいは動作種別「ジャンプ」しないことを決定する。
【0037】
指示部14は、決定部13による決定に基づいて、ゲーム制御部21にキャラクタの動作に関する指示を行う。決定部13が、キャラクタの動作として「右移動」または「ジャンプ」を決定した場合、指示部14は、キャラクタに「右移動」または「ジャンプ」の動作をさせる指示を入力する。決定部13が、キャラクタの動作として「右移動」をしない、または「ジャンプ」をしないことを決定した場合、指示部14は、キャラクタの動作に関する指示を、ゲーム制御部21に入力しても良いし、入力しなくても良い。例えば、キャラクタがゲーム空間で右移動中の際に、指示部14が「右移動」をしないことをゲーム制御部21に入力すると、ゲーム制御部21は、ゲーム空間で右移動を停止するように、キャラクタを制御しても良い。
【0038】
またゲームの仕様によって、右移動しながらジャンプするなど、複数の動作の同時実行を許容する場合がある。決定部13は、キャラクタの動作種別「右移動」に対応づけられる評価尺度「静的な⇔動的な」の評価値と、キャラクタの動作種別「ジャンプ」に対応づけられる評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」の評価値の両方を参照して、キャラクタの動作を決定しても良い。例えば、入力された音象徴語について、評価尺度「静的な⇔動的な」についてプラスの値を取り、評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」についてマイナスの値を取る場合、決定部13は、決定部13は、キャラクタに、動作種別「右移動」および「ジャンプ」を同時実行させることを決定する。指示部14は、決定部13による決定に従って、キャラクタを右移動とジャンプを同時に実行させる指示を、ゲーム制御部21に入力する。
【0039】
このように、ユーザから入力された音象徴語から、キャラクタの動作に対応する評価尺度の評価値を算出し、その結果に従ってキャラクタを動作させることで、ユーザは、直感的に思いついた言葉でキャラクタを動作させることができる。
【0040】
ここで、決定部13は、キャラクタの1つの動作に対して、1つの評価尺度を対応づける場合を説明したが、これに限らない。キャラクタの1つの動作に対して、複数の評価尺度を対応づけ、これらの評価尺度の評価値に従って、動作を決定しても良い。
【0041】
また決定部13は、キャラクタの動作におけるパラメータも決定しても良い。決定部13が決定したパラメータは、指示部14からゲーム制御部21に入力され、キャラクタの動作内容または動作の詳細を決定する際に参照される。ここでパラメータは、移動量、速度、動作時のキャラクタのアニメーション等である。パラメータは、固定値でも良い。
【0042】
あるいはパラメータは、評価値と閾値の乖離度に応じて、決定されても良い。図3に示すように、キャラクタの動作種別とパラメータを決定する評価尺度が予め定められる。例えば評価値と閾値との乖離度によって動作種別「右移動」の移動量を変更する場合、決定部13は、評価値がプラスのより大きい値を取るほどより大きく移動させ、プラスのよりゼロにより近い値を取るほどより小さく移動させるように、パラメータ値を決定する。動作種別「ジャンプ」の移動量を変更する場合、決定部13は、評価値がマイナスのより大きい値を取るほどより高くジャンプさせ、マイナスのよりゼロに近い値を取るほどより低くジャンプさせるように、パラメータ値を決定する。
【0043】
これにより、入力された音象徴語のイメージに従って、キャラクタの動作内容を決定することができる。
【0044】
また図3では、キャラクタの動作種別を決定する評価尺度と、パラメータを決定する評価尺度が同じ場合を説明したが、これに限らない。図4に示すように、キャラクタの動作種別を決定する評価尺度と、パラメータを決定する評価尺度が、それぞれ個別に設定されても良い。算出部12は、キャラクタの動作種別を決定する評価尺度と、パラメータを決定する評価尺度の両方について、評価値を算出する。決定部13は、キャラクタの動作種別を決定する評価尺度の評価値を参照して、キャラクタを動作させるか否か、およびその動作を決定した後、パラメータを決定する評価尺度の評価値を参照して、キャラクタの動作時のパラメータを決定する。決定部13は、例えば、キャラクタの動作のパラメータに対応する評価尺度における評価値と閾値との乖離度に応じて、動作におけるパラメータを決定する。このとき、評価値がプラスの値で大きいほど移動量が大きく、マイナスの値で小さいほど移動量が小さいなど、評価値がとる値とパラメータの関係は、予め定められる。
【0045】
これにより、入力された音象徴語の複合的なイメージに従って、キャラクタの動作種別および動作内容を決定することができる。
【0046】
評価尺度の評価値から、動作時のパラメータを決定する場合を説明したが、これに限られない。例えば、決定部13は、音声データにおける特徴量から、動作におけるパラメータを決定しても良い。音声データにおける特徴量は、声の大きさ、声の周波数等である。
【0047】
これにより、入力された音象徴語のイメージのみならず、他の特徴も考慮して、キャラクタの動作内容を決定することができる。
【0048】
(指示入力方法)
図5および図6を参照して、本発明の実施の形態に係る指示入力方法を説明する。図5および図6に示す処理内容および処理順序は一例であって、これに限るものではない。
【0049】
ステップS1において指示入力装置1は、ユーザが入力した音声信号を取得する。ステップS2において指示入力装置1は、音声信号で再生される音象徴語について、ゲームのキャラクタの動作に対応する評価尺度毎の評価値を算出する。
【0050】
ステップS3において指示入力装置1は、ステップS2で算出された評価尺度毎の評価値に従って、キャラクタの動作を決定する。ステップS4において指示入力装置1は、ステップS3で決定された動作指示を、ゲーム制御部21に入力する。これによりゲーム空間で活動するキャラクタは、ステップS3で決定された動作指示に従って動作する。
【0051】
図6を参照して、図5のステップS3の動作決定処理を説明する。ここでは、キャラクタの動作「右移動」に対応づけられる評価尺度「静的な⇔動的な」の評価値と、キャラクタの動作「ジャンプ」に対応づけられる評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」の評価値に従って、「右移動」、「ジャンプ」、「右移動しながらジャンプ」および「動作なし」のいずれかを決定する処理について説明する。
【0052】
まずステップS51において指示入力装置1は、動作種別「右移動」の評価尺度「静的な⇔動的な」の評価値と、閾値を比較して、右移動するかしないかを決定する。評価値がプラスの値の場合、指示入力装置1は、「右移動」に決定し、ステップS52に進む。評価値がマイナスの値の場合、指示入力装置1は、「右移動」しないに決定し、ステップS55に進む。
【0053】
ステップS52において指示入力装置1は、動作種別「ジャンプ」の評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」の評価値と、閾値を比較して、ジャンプするかしないかを決定する。評価値がマイナスの値の場合、ステップS53において指示入力装置1は、「ジャンプ」に決定する。評価値がプラスの値の場合、ステップS54において指示入力装置1は、「ジャンプ」しないに決定する。
【0054】
ステップS55において指示入力装置1は、動作種別「ジャンプ」の評価尺度「弾力のある⇔弾力のない」の評価値と、閾値を比較して、ジャンプするかしないかを決定する。評価値がマイナスの値の場合、ステップS56において指示入力装置1は、「ジャンプ」に決定する。評価値がプラスの値の場合、ステップS57において指示入力装置1は、「ジャンプ」しないに決定し、処理を終了する。
【0055】
ステップS53、S54およびS55のいずれかにおいて、キャラクタに動作させることを決定すると、ステップS58において指示入力装置1は、動作のパラメータを決定して処理を終了する。
【0056】
本発明の実施の形態に係る指示入力装置1は、ユーザから入力された音声データに含まれる音象徴語に基づいて、仮想のゲーム空間で活動するキャラクタを、直感的に動作させることができる。
【0057】
上記説明した本実施形態の指示入力装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)901と、メモリ902と、ストレージ903(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える汎用的なコンピュータシステムが用いられる。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされた指示入力プログラムを実行することにより、指示入力装置1の各機能が実現される。
【0058】
なお、指示入力装置1は、1つのコンピュータで実装されてもよく、あるいは複数のコンピュータで実装されても良い。また指示入力装置1は、コンピュータに実装される仮想マシンであっても良い。また指示入力装置1は、既存のゲーム装置に実装されても良い。
【0059】
指示入力装置1のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 指示入力装置
2 ゲーム装置
11 取得部
12 算出部
13 決定部
14 指示部
21 ゲーム制御部
901 CPU
902 メモリ
903 ストレージ
904 通信装置
905 入力装置
906 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7