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  • 特許-ファイル用クリアポケット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】ファイル用クリアポケット
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
B42F7/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020147953
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042542
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】514192756
【氏名又は名称】株式会社ネオックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】金子 大輔
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-140785(JP,A)
【文献】特開2006-095756(JP,A)
【文献】米国特許第10710396(US,B1)
【文献】登録実用新案第3177545(JP,U)
【文献】登録実用新案第3059375(JP,U)
【文献】登録実用新案第3179219(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明の合成樹脂シートで正面視四角形に形成され、一辺のみに開口を有するファイル用クリアポケットであって、
前記開口を有する辺の長手方向の少なくとも一方の端部に、前記開口を有する辺の長手方向に伸縮する伸縮部が、前記開口を有する辺と直交する方向に延びる帯状に形成され
前記伸縮部が、前記伸縮部の長手方向に延びる一定長さのスリットを上下左右に間隔をあけて千鳥状に配設して構成された
ファイル用クリアポケット。
【請求項2】
前記伸縮部が形成される前記開口を有する辺の長手方向の端に、前記伸縮部とは異なって非伸縮の非伸縮部が前記開口を有する辺と直交する方向に延びる帯状に形成され、
前記非伸縮部に隣接して前記伸縮部が形成された
請求項1に記載のファイル用クリアポケット。
【請求項3】
前記開口が上端に形成されるとともに、左右方向の一端に綴じ代が形成され、
前記伸縮部が前記綴じ代と反対側の端部に形成された
請求項1または請求項2に記載のファイル用クリアポケット。
【請求項4】
前記伸縮部が前記合成樹脂シートに直接形成された
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のファイル用クリアポケット。
【請求項5】
前記伸縮部が、表裏の前記合成樹脂シートに対して形成された
請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載のファイル用クリアポケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリアブックやバインダーノートなどに使用されるファイル用クリアポケットに関する。
【背景技術】
【0002】
ファイル用クリアポケットは、透明の合成樹脂シートで正面視四角形に形成され、一辺のみに開口を有するポケット状である。ファイル用クリアポケットの大きさは、例えばA4サイズ用なら、A4サイズの紙が入る大きさに形成されている。
【0003】
使用に際しては保存したい紙葉類を開口から差し込むだけでよく、便利さゆえ、広く利用されている。
【0004】
このため、規定の用紙とは多少大きさの異なる資料を保存したり、冊子を保存したりすることも多々ある。これらの場合には差し込み作業を行いにくいことがある。差し込みにくさは、紙の大きさについて日本国内の規格と海外の規格が同じではないことが原因である場合もある。
【0005】
下記特許文献1には、ファイル用クリアポケットではなく、バインダーのボード面のコーナに設けられるポケットであるが、ポケットの溶着された2辺に沿って所定傾斜角度の切り込み部を所定の間隔をあけて連続的に形成する構成が開示されている。溶接された2辺が交わる角部には切欠き部が形成されている。
【0006】
この構成では、ポケットを構成するシート材がコーナの切欠き部に向けてずれると切り込みが折り曲がって、シート材の2辺に沿ってマチ部の厚みが形成される、というものである。つまり、書類等を差し込むとマチ部が形成され、厚手の書類等でも収納できるが、収納前の厚みが厚くならないようにしている。
【0007】
ファイル用クリアポケットにおいては、特許文献1のように一部を変形可能にするものはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】登録実用新案第3179219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、規格のサイズよりも大きめの書類でも収納できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、透明の合成樹脂シートで正面視四角形に形成され、一辺のみに開口を有するファイル用クリアポケットであって、前記開口を有する辺の長手方向の少なくとも一方の端部に、前記開口を有する辺の長手方向に伸縮する伸縮部が、前記開口を有する辺と直交する方向に延びる帯状に形成され、前記伸縮部が、前記伸縮部の長手方向に延びる一定長さのスリットを上下左右に間隔をあけて千鳥状に配設して構成されたたファイル用クリアポケットである。
【0011】
この構成では、開口から書類を差し込むときに、帯状の伸縮部が書類の大きさや厚みに対応して伸びて書類の差し込みを許容し、収納後は自動的に縮んで、書類が収納スペースよりも大きい場合には書類を締め付ける。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、開口から差し込んだ書類に応じて伸縮する伸縮部を備えたので、規格のサイズよりも大きい書類でも、また厚みの厚い書類でも、収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ファイル用クリアポケットの正面図。
図2】要部の拡大断面図。
図3】伸縮部の変形態様を示す平面図。
図4】ファイル用クリアポケットと収容物の斜視図。
図5】収容物の収容状態の例を示す断面図。
図6】他の例に係るファイル用クリアポケットの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0015】
図1にファイル用クリアポケット11の正面図を示す。ファイル用クリアポケット11は、透明の合成樹脂シートで正面視四角形、具体的には縦長長方形のポケット状に形成されている。
【0016】
書類などの収容物を出し入れする開口12は上端の上辺に形成され、上辺のほかの3辺は閉じている。開口12は、ファイル用クリアポケット11の収納部13を構成する表シート11aと裏シート11bが接離可能に重なって構成されている。
【0017】
ファイル用クリアポケット11の左右方向の一端には、所定幅の綴じ代14が上下方向に延びる帯状に形成されている。綴じ代14には所定大、所定数の貫通穴14aが形成されている。
【0018】
綴じ代14の反対側である左右方向に他端は、合成樹脂シートを2つ折りして前述の表シート11aと裏シート11bを形成する折り返し辺15である。収納部13の綴じ代14側の端と下辺の全体には、線状の溶着部16が形成されている。
【0019】
これら溶着部16と折り返し辺15で囲まれた長方形をなす収納部13の大きさは、所望の収容物の大きさ、例えばA4サイズなどに応じて形成されている。
【0020】
このような基本構成のファイル用クリアポケット11は、開口12を有する辺の長手方向の少なくとも一方の端部に、開口12を有する辺の長手方向に伸縮する伸縮部17を有している。この伸縮部17は、開口12を有する辺と直交する方向の全体に延びる帯状に形成されている。
【0021】
前述したように開口12は左右方向に延びる上辺に形成されているので、伸縮部17は左右方向の少なくとも一端部に形成され、上下方向に延びる帯状である。
【0022】
この例において伸縮部17は、綴じ代14の反対側の端部、換言すれば折り返し辺15側の端部に形成されている。
【0023】
また伸縮部17は、折り返し辺15に接する端に形成されるのではなく、端から少し離した位置に形成されている。つまり、伸縮部17が形成される開口12を有する辺の長手方向の端に、伸縮部17とは異なって非伸縮の非伸縮部18が開口12を有する辺と直交する方向に延びる帯状に形成され、この非伸縮部18に隣接して伸縮部17が形成されている。
【0024】
非伸縮部18と伸縮部17の幅は適宜設定されるが、例えばA4サイズの収容物に適したものとする場合、非伸縮部18の幅は5mm~10mm程度とするとよく、伸縮部17の幅は25mm~30mm程度にするとよい。
【0025】
伸縮部17は、別の部材を組み込むのではなく、ファイル用クリアポケット11を構成する合成樹脂シートに直接形成されている。具体的には、伸縮部17は合成樹脂シートにスリット21を入れて形成される。
【0026】
スリット21は、図2に示したように合成樹脂シートの厚み方向に貫通する切れ目であり、伸縮部17の長手方向に延びる一定長さに設定されている。伸縮部17は、その形成範囲にスリット21を上下左右に間隔をあけて千鳥状に配設して構成される。
【0027】
具体的には、この例の伸縮部17は上下方向に長いので、スリット21は上下方向に延びている。スリット21は所定長さの非スリット部22と交互に一直線上に配設されている(図3参照)。スリット21と非スリット部22の並びをスリット線23とすると、スリット線23は一定の間隔をおいて多数並設されていることになる。
【0028】
並設に際してスリット線23は、隣り合うスリット線23のスリット21と非スリット部22の中間の位置が互いにスリット線23の法線方向に並ぶように配置される。
【0029】
スリット21や非スリット部22の長さやスリット線23同士の間隔は、合成樹脂シートの柔軟性などの条件を考慮して適宜設定される。
【0030】
図2は、非伸縮部18と伸縮部17を有する部分の拡大断面図であり、この図に示したように、伸縮部17は表裏の合成樹脂シート(表シート11aと裏シート11b)に形成されている。表シート11aと裏シート11bに形成される伸縮部17のスリット21の形成パターンは同一である。
【0031】
このようなスリット21からなる伸縮部17は、非伸縮部18を左右方向外方に引っ張ると、または上辺の開口12の幅を広げると、変形して図3に示したようにスリット21が開く。スリット21の開き具合は引張や広げ加減による。引っ張ったりする力を解放すると、伸縮部17はスリット21を閉じる方向に変形する。
【0032】
以上のように構成されたファイル用クリアポケット11は、図4に示したように、上辺の開口12から収容物Xを差し込んで使用される。
【0033】
収容物Xの厚さは予定されている範疇、換言すれば名目上の使用範囲であり収容物Xの幅も予定されてる範疇のものである場合には、収容物Xを通常通り開口12から差し込むことで、伸縮部17を広げずとも収容物Xの収容が行える。
【0034】
図5に示したように、収容物Xの厚さt1は予定されている範疇であるが幅w1が予定されている幅よりも大きい場合には、収容物Xを差し込む際に、収容物Xの折り返し辺15に対応する側の辺を折り返し辺15の内側に当てる。すると、スリット21が開いて伸縮部17は伸びて、収容物Xの差し込みを許容する。収容物Xの全体が差し込まれて収容した状態になった時、収容物Xの幅w1が予定されている幅よりもわずかに大きい程度の場合には、図5の(a)に示したように、いったんは開いたスリット21は弾性復帰によって閉じて、収容物Xの収容状態を維持する。
【0035】
一方、収容物Xの幅w2が予定されている幅w1よりもある程度大きい場合には、図5の(b)に示したように、スリット21は弾性復帰によって閉じようとするも、完全に閉じきれずに、収容物Xを締め付けるような態様で収容物Xの収容状態を維持する。
【0036】
また、収容物Xの幅w1は予定の範疇であるが厚さt2は想定範囲よりも厚い場合には、図5の(c)に示したように、スリット21は弾性復帰によって閉じようとするも、完全に閉じきれずに、収容物Xを締め付けるような態様で収容物Xの収容状態を維持する。
【0037】
収容物Xの幅w2が予定されている幅w1よりもある程度大きく、収容物Xの厚さt2が予定されている範疇よりも厚い場合であっても、伸縮部17の延びの許容範囲内であれば、収容物Xを収容できる。
【0038】
このように、収容物Xの大きさや厚さに多少の違いがあっても収容可能にすることができる。
【0039】
伸縮部17は開口12を有する辺と直交する方向に延びる帯状であって、整然とした外観を有するので、美感を損なうことを低減できる。
【0040】
しかも、伸縮部17は開口12を有する辺の長手方向の少なくとも一方の端部に形成されるので、収容物Xの視認性を確保でき、ファイル用クリアポケット11の特性を損なわない。
【0041】
特に、伸縮部17は綴じ代14の反対側の端部に形成したので、閉じたファイル用クリアポケット11を捲るときに捲る動作によって伸縮部17が延びたりすることはなく、取り扱い性がよい。
【0042】
伸縮部17はスリット21が閉じた状態であってもある程度のザラザラ感を付与し、スリット21が少しでも開いた状態では凹凸ができるで、ページ間に隙間ができる。このため、ファイル用クリアポケット11を捲る作業が容易である。伸縮部17はザラザラ感を有することから、開口12をあける動作にも貢献する。
【0043】
また、伸縮部17よりも端には非伸縮部18を形成しているので、収容物Xの差し込み作業において収容物Xの端を滑らすことができるので、差し込み作業性は良好である。
【0044】
伸縮部17はファイル用クリアポケット11を構成する合成樹脂シートと別体ではなく一体であるので、製造が容易でコストも低減できる。
【0045】
伸縮部17はスリット21を千鳥状に配設したものであるので、製造が容易であるうえに、強度も高く伸ばした後の復元性もよい。
【0046】
しかも伸縮部17は表シート11aと裏シート11bに同じ態様で形成しているので、製造はより簡単である。そのうえ、表シート11aと裏シート11bにおいて伸縮がなされるので、一方の合成樹脂シートのみに伸縮部17を形成した場合に比して、大きさや厚みの違いにより柔軟に対応できるとともに、対応した際に伸縮部17に生じる歪をより小さくできる。
【0047】
以下、その他の例について説明する。この説明において前述の構成と同一の部一については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0048】
図6は、他の例に係るファイル用クリアポケット11の正面図であり、このファイル用クリアポケット11は、綴じ代14を有する辺に開口12を有している。つまり、開口12は上下に延びている。開口12の反対側の端は折り返し辺15であり、上辺と下辺は線状の溶着部16で構成されている。
【0049】
伸縮部17は、開口12が形成された綴じ代14を有する辺の長手方向の両端部、すなわち上下両端部に形成されている。具体的には上辺又は下辺から内側に、非伸縮部18と伸縮部17を順に有している。非伸縮部18と伸縮部17は共に左右方向に延びる帯状であり、双方とも前述例の場合よりも幅狭に形成されている。伸縮部17は綴じ代14における上下両端の貫通穴14aに干渉しない位置までの範囲に形成される。
【0050】
このような構成のファイル用クリアポケット11においても、伸縮部17を有するので、収容物の大きさや厚さが予定される収容物のそれらと多少相違していても、収容物の収容を可能にすることができる。
【0051】
図示は省略するが、伸縮部は別体のシート材に形成して、ファイル用クリアポケットの本体に溶着によって一体化することもできる。
【0052】
伸縮部は、切れ目からなるスリットではなく、常態において開いている溝状のスリットを配設して構成することもできる。
【符号の説明】
【0053】
11…ファイル用クリアポケット
11a…表シート
11b…裏シート
12…開口
14…綴じ代
17…伸縮部
18…非伸縮部
21…スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6