(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】非水コーティング剤用分散剤及び非水コーティング剤
(51)【国際特許分類】
C09D 17/00 20060101AFI20240626BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20240626BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
C09D17/00
C09D7/65
C09D201/00
(21)【出願番号】P 2020216967
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】北村 匠
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-221387(JP,A)
【文献】国際公開第2015/041226(WO,A1)
【文献】特開2017-007928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸(A)単位と(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位とから構成される共重合体(X)を含有してなり、
(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位に含まれるオキシエチレンの繰り返し単位が5~30であって、
(メタ)アクリル酸(A)単位及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位のモル数に基づいて、(メタ)アクリル酸(A)単位の含有量が50~70モル%、(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位の含有量が50~30モル%であることを特徴とする非水コーティング剤用分散剤。
【請求項2】
請求項1に記載の非水コーティング剤用分散剤、非水溶剤、顔料、バインダーを含んでなることを特徴とする非水コーティング剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非水コーティング剤用分散剤及び非水コーティング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
「全構成単位中、式(1)で表される構成単位(a)を1質量%以上45質量%以下、及び、式(2)で表される構成単位(b)を55質量%以上99質量%以下含有する共重合体を含み、非水系溶媒中で用いる、無機顔料用高分子分散剤。
【0003】
【化1】
[式(1)中、R
1、R
2、及びR
3は同一又は異なり、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Mは水素原子又は陽イオンを示す。]
【0004】
【化2】
[式(2)中、R
4、R
5、R
6及びR
8は同一又は異なり、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R
7は炭素数2以上4以下の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、X
1は酸素原子又はNHを示し、nは-R
7-O-基の平均付加モル数であって50を超え140以下の数を示す。]」が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開WO2015/041226号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の無機顔料用高分子分散剤では、非水コーティング剤に適用した場合、カーボンブラック等のような有色顔料の分散性に劣り、形成される塗膜表面に凝集物が発生したり、光沢が低下するという問題がある。本発明の目的は、非水コーティング剤に適用した場合、有色顔料の分散性に優れる分散剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非水コーティング剤用分散剤は、(メタ)アクリル酸(A)単位と(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位とから構成される共重合体(X)を含有してなり、(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位に含まれるオキシエチレンの繰り返し単位が5~30であって、 (メタ)アクリル酸(A)単位及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位のモル数に基づいて、(メタ)アクリル酸(A)単位の含有量が50~70モル%、(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位の含有量が50~30モル%である点を要旨とする。
【0008】
本発明の非水コーティング剤は上記の非水コーティング剤用分散剤、非水溶剤、顔料、バインダーを含んでなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の非水コーティング剤用分散剤は、非水コーティング剤に適用した場合、カーボンブラック等のような有色顔料の分散性に優れ、形成される塗膜表面に凝集物が発生したり、光沢が低下するという問題がない。
【0010】
本発明の非水コーティング剤は、上記の非水コーティング剤用分散剤を用いているので、カーボンブラック等のような有色顔料の分散性に優れ、形成される塗膜表面に凝集物が発生したり、光沢が低下するという問題がない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「(メタ)アクリ・・・」は、「アクリ・・・」及び「メタクリ・・・」を意味する(以下同じである。)。すなわち、(メタ)アクリル酸(A)単位としては、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位が含まれる。なお、(メタ)アクリル酸塩単位は含まれないが、本発明の効果を害さない範囲で含まれていてもよい。
【0012】
(メタ)アクリル酸(A)単位の含有量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(A)単位及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位のモル数に基づいて、50~70が好ましく、さらに好ましくは52~68、特に好ましくは54~66である。この範囲内であると、分散性がさらに良好となる。
【0013】
(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位としては、アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル単位及びメタクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル単位が含まれる。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位に含まれるポリオキシエチレン鎖に、オキシエチレン以外の炭素数3~4のオキシアルキレン(オキシプロピレン及びオキシブチレン)等が含まれていてもよい。
【0014】
オキシエチレンの繰り返し単位は、分散性の観点から、5~30が好ましく、さらに好ましくは7~25、特に好ましくは9~23である。
【0015】
アルコキシポリオキシエチレンエステル中のアルコキシ基としては、炭素数1~30のアルキルオキシ基が含まれ、直鎖アルキルオキシ基及び分岐鎖アルキルオキシ基等が使用できる。
【0016】
直鎖アルキルオキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、n-ヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、n-ウンデシルオキシ、n-ドデシルオキシ、n-トリデシルオキシ、n-テトラデシルオキシ、n-ペンタデシルオキシ、n-ヘキサデシルオキシ、n-ヘプタデシルオキシ、n-オクタデシルオキシ、n-ノナデシルオキシ、n-イコシルオキシ、n-ヘンイコシルオキシ、n-ドコシルオキシ、n-トリコシルオキシ、n-テトラコシルオキシ、n-ヘプタコシルオキシ、n-ヘキサコシルオキシ、n-ヘプタコシルオキシ、n-オクタコシルオキシ、n-ノナコシルオキシ及びn-トリアコンシルオキシ等が挙げられる。
【0017】
分岐鎖アルキルオキシ基としては、イソプロピルオキシ、イソブチルオキシ、t-ブチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソヘキシルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、イソトリデシルオキシ、イソオクタデシルオキシ及びイソトリアコンシルオキシ等が挙げられる。
【0018】
これらのうち、分散性の観点から、直鎖アルキルオキシ基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1~18の直鎖アルキルオキシ基、特に好ましくはメトキシ、エトキシ及びオクタデシルオキシである。
【0019】
(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位の含有量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(A)単位及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位のモル数に基づいて、30~50が好ましく、さらに好ましくは32~48、特に好ましくは34~46である。この範囲内であると、分散性がさらに良好となる。
【0020】
共重合体(X)は、(メタ)アクリル酸(A)及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)以外に、他のエチレン性不飽和単量体(C)を構成単量体として含むことができる。
【0021】
他のエチレン性不飽和単量体(C)としては、(メタ)アクリル酸(A)及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)と共重合できれば特に制限はなく、公知のエチレン性不飽和単量体{たとえば、特開2014-105222号公報}等が使用でき、エチレン性不飽和カルボン酸{(メタ)アクリル酸を含まない。}、オレフィン、エチレン性不飽和ニトリル及びエチレン性不飽和アミドが含まれる。
【0022】
他のエチレン性不飽和単量体(C)単位を含む場合、他のエチレン性不飽和単量体(C)単位の含有量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(A)単位及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B)単位のモル数に基づいて、0.1~20程度(好ましくは0.5~15、さらに好ましくは1~10)であるが、分散性の観点から他のエチレン性不飽和単量体(C)単位を含まないことが最も好ましい。
【0023】
共重合体(X)の重量平均分子量(Mw)は、分散性の観点から、5千~10万が好ましく、さらに好ましくは7千~7万、特に好ましくは1万~5万である。
【0024】
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエッションクロマトグラフィ(GPC)により測定できる(たとえば、以下の条件で測定できる。)。
【0025】
測定装置 ;HLC-8220(東ソー株式会社)
カラム ;ガードカラムHXL-H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ3000、TSKgel SuperHZ2000及びTSKgel SuperHZ2000(東ソー株式会社)を直列に繋いだもの
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;SC-8010(東ソー株式会社)
カラム温度 40℃
溶 媒 ;テトラヒドロフラン
流 速 :1.0ml/分
標準物質 ;TSKgel標準ポリスチレン(東ソー株式会社)
サンプル :1重量%テトラヒドロフラン溶液
【0026】
共重合体(X)は、通常のビニルモノマーの重合方法(たとえば、特許文献1に記載された方法)を用いて得ることができ、重合方法としては塊状重合及び溶液重合等が適用でき、生産性の観点等から、溶液重合が好ましい。
【0027】
本発明の非水コーティング剤用分散剤には、共重合体(X)以外に、添加剤(消泡剤、湿潤剤等)及び/又は溶剤を含有させることができる。
【0028】
消泡剤としてはダッポーSN348及び同359(サンノプコ株式会社)等が挙げられ、湿潤剤としてはノプコール W-2990(サンノプコ株式会社)等が挙げられる。また、溶剤としては、2-プロパノール、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びポリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる{共重合体(X)の製造に用いた重合溶媒をそのまま残してもよい。}。
【0029】
本発明の非水コーティング剤用分散剤は非水コーティング剤に好適であり、非水コーティング剤としては、非水塗料、非水顔料ペースト及び非水インクが含まれる。
【0030】
非水コーティング剤としては、非水コーティング剤用分散剤、非水溶剤、顔料、バインダーを含有することが好ましい。
【0031】
非水溶剤としては、水以外の溶剤であれば制限がなく、メタノール、エタノール、2-プロパノール、トルエン、キシレン、N-メチルピロリドン、テルピネオール、ミネラルスピリット、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール モノ メチルエーテル、プロピレングリコール モノブチルエーテル等が挙げられる(不純物として水を含んでもよいが、できるだけ水分を含まない溶剤が好ましい。)。これらは単独でも混合して使用してもよい。
【0032】
顔料としては非水コーティング剤に用いられるものであれば制限はなく、有機有色顔料としては、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、イソインドリンエロー及びジスアゾイロー等が挙げられ、無機有色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、酸化鉄(赤色、黄色、黒色)、酸化クロム(暗緑色)及び水酸化クロム(青緑色)等が挙げられ、無機白色顔料としては、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛及びサチンホワイト等が挙げられ、無機体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン及びマイカ等が挙げられる。これらは単独でも混合して使用してもよい。
【0033】
バインダーとしては、非水コーティング剤に用いられるものであれば制限はなく、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ロジンエステル樹脂、カルバミン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらは単独でも混合して使用してもよい。
【0034】
本発明の非水コーティング剤用分散剤を非水コーティング剤に適用する場合、非水コーティング剤用分散剤の含有量(重量%)は、顔料の重量に基づいて、0.01~50が好ましく、さらに好ましくは0.1~30である。この範囲であると、分散性がさらに良好となる。
【実施例】
【0035】
以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%を意味する。
<実施例1>
イソプロピルアルコール200部を80℃で攪拌しながら、密閉下でこれに、アクリル酸39部(0.54モル部)、アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル499部(0.46モル部)及びイソプロピルアルコール480部からなる単量体溶液と、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート5部(0.02モル部)及びイソプロピルアルコール20部からなる重合開始剤溶液とをそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下し、滴下終了後、5時間80℃に保った。その後、イソプロピルアルコールを減圧除去し、本発明の非水コーティング剤用分散剤(1)[アクリル酸(54モル%)-アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル(46モル%)共重合体(x1)]を得た。なお、共重合体(x1)の重量平均分子量は1.5万であった。
【0036】
<実施例2>
イソプロピルアルコール100部を80℃で攪拌しながら、密閉下これに、アクリル酸48部(0.66モル部)、アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル369部(0.34モル部)及びイソプロピルアルコール380部からなる単量体溶液と、(2-エチルヘキサノイル)(t-ブチル)ペルオキシド0.5部(0.001モル部)及びイソプロピルアルコール20部からなる重合開始剤溶液とをそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下し、滴下終了後、5時間80℃に保った。その後、イソプロピルアルコールを減圧除去し、本発明の非水コーティング剤用分散剤(2)[アクリル酸(66モル%)-アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル(34モル%)共重合体(x2)]を得た。なお、共重合体(x2)の重量平均分子量は3万であった。
【0037】
<実施例3>
「イソプロピルアルコール」を200部から100部に変更したこと及び「1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート」5部(0.02モル部)から1部(0.004モル部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の非水コーティング剤用分散剤(3)[アクリル酸(54モル%)-アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル(46モル%)共重合体(x3)]を得た。なお、共重合体(x3)の重量平均分子量は5万であった。
【0038】
<実施例4>
「アクリル酸39部(0.54モル部)」を「メタクリル酸46部(0.54モル部)」に変更したこと及び「アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル499部(0.46モル部)」を「メタクリル酸オクタデシルオキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:9)エステル229部(0.46モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の非水コーティング剤用分散剤(4)[メタクリル酸(54モル%)-メタクリル酸オクタデシルオキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:9)エステル(46モル%)共重合体(x4)]を得た。なお、共重合体(x4)の重量平均分子量は1万であった。
【0039】
<実施例5>
「アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル499部(0.46モル部)」を「アクリル酸エトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル505部(0.46モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして本発明の非水コーティング剤用分散剤(5)[アクリル酸(54モル%)-アクリル酸エトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:23)エステル(46モル%)共重合体(x5)]を得た。なお、共重合体(x5)の重量平均分子量は1.6万であった。
【0040】
<比較例>
特許文献1に記載された実施例1に基づいて、高分子分散剤溶液を得た。その後、エタノールを減圧除去し、比較用の分散剤[メタクリル酸(50モル%)-メタクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰り返し単位:60)エステル(7モル%)-メチルメタクリレート(43モル)共重合体(y5)]を得た。なお、共重合体(y5)の重量平均分子量は1.2万であった。
【0041】
<評価1>無機有色顔料(カーボンブラック)の分散性
ベッコライト M-6402-50(ポリエステル樹脂の50%有機溶剤溶液、DIC株式会社、「ベッコライト」はDIC株式会社の登録商標である。)324部、消泡剤(ダッポー SN-359、サンノプコ株式会社、「ダッポー」はサンノプコ株式会社の登録商標である。)1部、MA-100(カーボンブラック、三菱ケミカル株式会社)70部、実施例1~5及び比較例で調製した分散剤のいずれか21部及びガラスビーズ(直径2mm)300部をガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーで1時間振とうさせた後ガラスビーズを濾別して評価用カラーペーストを得た。また、分散剤を用いないこと以外上記と同様にして評価用カラーペースト(ブランク)を得た。
【0042】
ついで、作成した評価用カラーペーストのいずれか15部、ベッコライト M-6402-50(ポリエステル樹脂の50%有機溶剤溶液、DIC株式会社)48部及びサイメル303LF(メラミン樹脂、オルネクス社、「サイメル」はオルネクス ネザーランズ ビー.ヴイ.の登録商標である。)12部を均一混合して評価用の非水コーティング剤をそれぞれ調製した。
【0043】
評価用の非水コーティング剤をそれぞれガラス板の上に6ミルアプリケータを用いて塗工し、240℃で30秒間焼き付けて評価用塗膜をそれぞれ調製した。評価用塗膜それぞれについて、グロスメータにてグロス値(60°)を測定し、下表に示した。この値が大きいほど、分散性が良好であることを意味する。
【0044】
【0045】
<評価2>無機白色顔料(酸化チタン)の分散性
ベッコライト M-6402-50(ポリエステル樹脂の50%有機溶剤溶液、DIC株式会社)224部、タイペークR-820(酸化チタン、石原産業株式会社、「タイペーク」は石原産業株式会社の登録商標である。)370部、実施例1~5及び比較例で調製した分散剤のいずれか0.37部、消泡剤(ダッポー SN-359、サンノプコ株式会社)2部及びガラスビーズ(直径2mm)600部をガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーで1時間振とうさせた後、これに、ベッコライトM-6402-50(ポリエステル樹脂の50%有機溶剤溶液、DIC株式会社)135部、アミディア L-105-60(アミノ樹脂「メラミン、ベンゾグアナミンあるいは尿素などのアミノ化合物とホルムアルデヒドを付加、縮合反応させ、脂肪族一価アルコールでエーテル化した樹脂です。」、DIC株式会社、「アミディア」は同社の登録商標である。)45部、アミディア L-117-60(アミノ樹脂、DIC株式会社)22部、トルエン100部及びシクロヘキサノン100部を加えて均一混合してから、ガラスビーズを濾別し、評価用の非水コーティング剤をそれぞれ得た。また、分散剤を用いないこと以外上記と同様にして評価用の非水コーティング剤(ブランク)を得た。
【0046】
評価用の非水系コーティング剤をそれぞれガラス板の上に6ミルアプリケータを用いて塗工し、240℃で30秒間焼き付けて評価用塗膜をそれぞれ調製した。評価用塗膜それぞれについて、グロスメータにてグロス値(60°)を測定し、下表に示した。この値が大きいほど、分散性が良好であることを意味する。
【0047】
【0048】
以上に示すとおり、本発明の非水コーティング剤用分散剤は、比較用の分散剤と比べて、無機有色顔料の分散性に優れており、さらに、本発明の非水コーティング剤用分散剤は、比較用の分散剤と比べて、無機白色顔料の分散性にも優れていた。