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  • 特許-深井戸管などの洗浄方法及び洗浄装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】深井戸管などの洗浄方法及び洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/045 20060101AFI20240626BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240626BHJP
   E03B 3/15 20060101ALI20240626BHJP
   E21B 31/03 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B08B9/045
B08B3/02 F
E03B3/15
E21B31/03
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021200498
(22)【出願日】2021-12-10
(65)【公開番号】P2023086162
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】500231207
【氏名又は名称】VEEma株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 民枝
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-022578(JP,A)
【文献】特開2019-171242(JP,A)
【文献】特開2002-192094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/045
B08B 3/02
E03B 3/15
E21B 31/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深井戸管の内周面及び配管の内面に付着した汚れ、また深井戸管のストレーナに形成される穴や隙間に詰まった汚れを除去する方法において、地上には高圧水を発生することが出来るように、最高圧力:41.5MPa(423kg/cm2)、 常用圧力:35.5MPa(362kg/cm2)、排出水量:115.0リットル/分の能力を備えた高圧洗浄車を配置し、該高圧洗浄車から高圧水ホースを延ばして深井戸内に挿入し、高圧水ホースの先端には洗浄装置を連結すると共に、該洗浄装置に設けた噴射ノズルから高圧水を回転しながら噴射し、同時に上記高圧水ホースにバブル発生器を接続し、噴射ノズルから41.5MPa~35.5MPaの高圧水と共に微細なバブルを噴射し、微細なバブルは噴射と共に膨張して付着した汚れを剥がして除去するように機能することを特徴とする深井戸管の洗浄方法。
【請求項2】
深井戸管の内周面及び配管の内面に付着した汚れ、また深井戸管のストレーナに形成される穴や隙間に詰まった汚れを除去する洗浄装置において、地上には高圧水を発生することが出来るように、最高圧力:41.5MPa(423kg/cm2)、 常用圧力:35.5MPa(362kg/cm2)、排出水量:115.0リットル/分の能力を備えた高圧洗浄車を配置し、高圧洗浄車から高圧水ホースを延ばして深井戸内に挿入し、高圧水ホースの先端には洗浄装置を連結すると共に、該洗浄装置に設けた噴射ノズルから高圧水を回転しながら噴射するように構成し、同時に上記高圧水ホースにバブル発生器を接続し、噴射ノズルから41.5MPa~35.5MPaの高圧水と共に微細なバブルを噴射し、微細なバブルは噴射と共に膨張して付着した汚れを剥がして除去するように機能することを特徴とする深井戸管の洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バブルを含んだ高圧水を噴射することで深井戸管及び一般の配管に付着した汚れを除去する洗浄方法及び洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国内には推計で100万本以上(厚生労働省水道課調べ)の深井戸が設けられているが、この深井戸管のストレーナは目が細かくて泥や砂、サビ、水藻等の異物が付着して目詰まりを発生する。その結果、水が上がり難く、深井戸としての機能を失ってしまう。 目詰まりは毎日使用されている深井戸は比較的少ないが、例えば消雪用としての深井戸の場合であれば1年のうち冬期だけ使用する為に、水を使用しない期間に深井戸管内に泥やその他の異物が付着するといった現象が発生する。
【0003】
付着した泥等の異物は固まり、使用する時には目詰まりを起こして水が上がりにくくなる。それを繰り返して長年経過した後で、水圧が弱くなったところでストレーナの洗浄が行なわれて来ている。
しかし、従来の深井戸管内のストレーナの洗浄方法として、ワイヤーブラシを上下に動かして洗浄したり、或は深井戸管内に差し水を行なってポンプで上下に移動し、水圧により洗浄を行うことが出来る。
【0004】
ワイヤーブラシでストレーナ面を擦ったり又は差し水を上下方向に移動するだけでは、該ストレーナの奥深くまで入り込んでいる泥やその他の異物を取除くことが出来ない。その為に、近年では高圧水を噴射させながら回転することが出来る噴射ノズルを用いている。
特開2002-192094号に係る「深井戸管内の洗浄方法及び洗浄装置」は、深井戸の内面に付着した泥やその他の異物を、簡単にしかも効率よく取除くことが出来る洗浄方法であり、超高圧水ホースの先端に洗浄装置を連結し、該ホースと共に洗浄装置を深井戸に降ろし、洗浄装置に備えている噴射ノズルから超高圧水を回転しながら噴射することで付着している汚れを除去することが出来る。
【0005】
ところで、従来の一般的な井戸管は一部に網目状をしたストレーナが設けられ、このストレーナ部分から集水することが出来、該ストレーナに付着した泥や異物は噴射ノズルから噴射する高圧水を当てることでほぼ除去することは出来る。
しかし、深井戸管内に洗浄装置を下ろして高圧水を噴射ノズルから噴射しても、ストレーナに付着した汚れを完全に除去することが出来なくて、残る場合がある。
【文献】特開2002-192094号 に係る「深井戸管内の洗浄方法及び洗浄装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、深井戸管内に付着した汚れを除去する洗浄方法及び洗浄装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、付着した汚れをほぼ完全に除去することが出来る洗浄方法及び洗浄装置を提供する。
そして、対象となる被洗浄物は深井戸管の他に一般的な配管の内面に付着している汚れも含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗浄方法は、地上から下方へ延びて深井戸管に挿入される高圧ホース先端(下端)に洗浄装置が取付けられ、地上に配置した給水車から高圧水が送られる。
高圧水は洗浄装置の噴射ノズルから噴射し、噴射ノズルは噴射と同時に回転することが出来るように成っている。噴射ノズルは高圧水が噴射する際に発生する反力によって回転することが出来るように、噴射方向は洗浄装置の回転中心軸から多少離れている。ここで、噴射ノズルの具体的な構造は限定しない。
【0008】
そして、本発明では噴射する高圧水の中にバブル(気泡)が混在するように、バブル発生器を設けている。今日では色々なバブル発生器が市販されているが、本発明は該バブル発生器の具体的な構造は限定しない。
ここで、バブル発生器は地上の給水車とは別に配置し、洗浄装置に高圧水を供給するホースに接続することが出来る。又は、洗浄装置へ高圧水を送るホースの途中にバブル発生器を接続することも出来る。
【0009】
バブルといってもその大きさは色々であり、比較的大きなバブルはすぐに消えてしまうが、非常に小さいマイクロバブルは長く存続する。
高圧水に混在する微細な無数のバブルは高い水圧の作用で圧縮されるが、噴射ノズルから高圧水と共に噴射するならば、バブルは放出されることで膨張して大きくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る深井戸管の洗浄装置は回転する噴射ノズルを有し、給水車から高圧水が送り出されるならばホースを流れ、噴射ノズルを回転しながら高圧水が噴射する。噴射した高圧水は深井戸管の内面及びストレーナに当たり、付着している汚れを洗い落とすことが出来る。
しかも、噴射する高圧水には細かい無数のバブルが混合している為に、該バブルによって内面に固着している汚れ、特にストレーナの穴や隙間に詰まっている汚れが除去される。
【0011】
無数の微細なバブルは、高圧水中に混合していることで、バブル表面には大きな水圧が作用し、その為にバブルはより微細化する。そして、噴射ノズルから高圧水と共に噴射するならば、無数の微細なバブルは膨張して大きくなる。この膨張に伴って深井戸管の内面、ストレーナの隙間に付着及び固着している汚れは剥離して除去される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】深井戸管に洗浄装置を降ろして深井戸管内面に付着した汚れを落としている洗浄作業を示している具体例。
図2】深井戸管の一部に設けられるストレーナを示している具体例。
図3】本発明の洗浄方法を具体化する洗浄装置。
図4】超高圧ホースにバブル発生器を接続した場合。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は深井戸管1に洗浄装置5を降ろして深井戸管内面に付着した汚れを落としている洗浄作業を示している。超高圧洗浄車3のドラムに巻付いている超高圧水ホース2を巻き戻し、深井戸の真上に配置している滑車4に巻き付いて超高圧水ホース2は深井戸管内に真っ直ぐに降ろされる。
ここで、超高圧洗浄車3に搭載しているポンプの性能は特に限定しないが、次のような性能を備えたポンプを用いることが出来る。
最高圧力:41.5MPa(423kg/cm
常用圧力:35.5MPa(362kg/cm
排出水量:115.0リットル/分
【0014】
超高圧水ホース2の下端には洗浄装置5が取付けられ、該洗浄装置5には回転する噴射ノズルが備わっていて、深井戸管内面に超高圧水を噴射することで付着している汚れを洗い落とすことが出来る。
一般に洗浄作業は上記洗浄装置5を深井戸管1の底に降ろした状態で、底から上方に吊上げながら行う。これは深井戸管1の一部が損傷している場合に、底から上方へ吊上げながら洗浄作業を行なう方がトラブルは少なくて済む。
【0015】
深井戸管1の適当な位置にはストレーナが設けられ、該ストレーナを通して地下水が深井戸管内に流れ込んで溜まる。
図2は深井戸管1の一部に設けられるストレーナを示している具体例であり、該ストレーナは周面に多数の穴6,6…を有す筒と、該筒の外周には上下方向に延びている複数本の枕線7,7…を等間隔で設け、さらに枕線7,7…の外周には巻き線8が間に僅かな隙間を残して捲き付けられている。
【0016】
そこで地下水は該ストレーナに形成している穴6,6・・・や僅かな隙間を通過して深井戸管内に流れ込むことが出来る。深井戸管1の内周面及びこの一部に設けているストレーナには特に汚れが付着し、巻き線8の僅かな隙間及び小さな穴6,6…には泥や砂が詰まってしまい、地下水がストレーナを通過して深井戸内に流れ込まないようになる。
そこで、本発明の洗浄装置5は深井戸管1の内周面に付着した汚れは勿論、ストレーナの穴6,6…及び巻き線8の隙間に詰まった泥や砂を除去することが出来る。
【0017】
図3は本発明の洗浄装置5を示している実施例である。洗浄装置5は超高圧水ホース2の下端に連結されているが、上記洗浄装置5の上方には所定の間隔をおいて上板9と下板10が取付けられている。
上板9と下板10は深井戸管1の内周面に近接する大きさとし、その為に洗浄装置5が深井戸管1の中心に位置すると共に、傾かないように位置決めされる。
同図に示す洗浄装置5には外方向へ延びる4本の噴射ノズル12a、12b、及び噴射ノズル13a、13bが取付けられている。
【0018】
噴射ノズル12a、12b及び噴射ノズル13a、13bは超高圧水ホース2の下端に設けている回転体11に取付けられて外方向へ延びている。
回転体11の内部には高圧水が流れる流通穴が設けられ、これら流通穴の先端に噴射ノズル12a、12b、13a、13bが連結して高圧水を噴射することが出来る。
【0019】
ここで2本の噴射ノズル12a、12bは回転体11の中心を通過して同一線上に位置しているが、別の2本の噴射ノズル13a、13bは回転体11の中心から位置ズレしている。
噴射ノズル13a、13bから噴射する高圧水の反力により回転体11には回転トルクが発生する。したがって4本の噴射ノズル12a、12b、13a、13bは回転しながら高圧水を噴射して深井戸管内面に万遍なく吹き付けることが出来る。
【0020】
図3に示す洗浄装置では、回転体11を回転する為に噴射ノズル13a,13aは中心から位置ズレしているが、先端部を屈曲している噴射ノズルを使用するならば、回転体11の中心から位置ズレして取付ける必要はない。先端が屈曲することで高圧水の噴射方向は半径方向ではなく、半径方向に対して傾斜することで回転体11を回すトルクが発生する。
【0021】
ところで、洗浄装置5は前記図1に示すように深井戸管1の奥深くヘ降ろされ、超高圧水を噴射ノズル12a、12b、13a、13bから噴射しながら回転することで管内面及びストレーナの穴6,6・・・に詰まっている汚れを除去することが出来る。
そして、洗浄装置5の上方には上板9と下板10が取付けられている為に、該洗浄装置5は位置決めされ、また噴射する高圧水は上板9と下板10に当たって上方へは上がらない。
【0022】
ここで、本発明の洗浄装置5を構成する具体的な構造は前記図3に示す場合に限定するものではない。そして噴射ノズル16の形態及び取付け方法も自由である。
このように、回転する噴射ノズル12a、12b、13a、13bから高圧水を噴射することで、深井戸管の内面に付着した汚れはほぼ除去され、ストレーナの穴に詰まった汚れもほぼ除去される。
【0023】
本発明は、上記噴射ノズルから高圧水を噴射するだけでなく高圧水中には無数の微細なバブルが混在していて、高圧水と共にバブルが噴出する。そして、噴出に際して微細なバブルは、大きな水圧から解放されることで膨張する。ストレーナの隙間に入ったバブルが膨張することで、固着している汚れは剥離して除去される。
すなわち、41.5MPa(423kg/cm)~35.5MPa(362kg/cm)の高圧水が噴射することで、微細なバルブは瞬時に膨張する。
【0024】
図4は超高圧ホース2にバブル発生器12を接続した場合を示している。したがって、超高圧洗浄車3から送り出される高圧水にバブル発生器12によって発生した微細なバブルは混合し、超高圧水ホース2を流れて洗浄装置5の噴射ノズル12a、12b、13a、13bから高圧水と共に噴射する。
そして、深井戸管1の内面に吹き付けられて付着している汚れを洗い落とすことが出来る。地下水が流れ込むストレーナの穴6,6・・・、及び隙間には高圧水と共に微細なバブルが侵入し、該バブルの膨張に伴って汚れは剥離して除去される。
【符号の説明】
【0025】
1 深井戸管
2 超高圧水ホース
3 超高圧洗浄車
4 滑車
5 洗浄装置
6 穴
7 枕線
8 巻線
9 上板
10 下板
11 回転体
12 噴射ノズル
13 噴射ノズル
14 バルブ発生器



























図1
図2
図3
図4