(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】足場用パネル連結部材および足場
(51)【国際特許分類】
E04G 7/28 20060101AFI20240626BHJP
E04G 5/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
E04G7/28 302
E04G5/00 301E
(21)【出願番号】P 2021204955
(22)【出願日】2021-12-17
【審査請求日】2023-07-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1 令和3年11月1日、岡山市北区平田388-11 笹ヶ瀬川水管橋 2 令和3年11月1日、岡山市北区中原 県道原藤原線 中原橋
(73)【特許権者】
【識別番号】393000445
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】真田 孝範
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実公昭44-003471(JP,Y1)
【文献】特開2020-125659(JP,A)
【文献】実開平04-048359(JP,U)
【文献】実開昭51-004119(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0225960(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00 - 7/34;27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に並んで配置される複数の板状の足場用パネル部材を上下方向に連結するための足場用パネル連結部材であって、
上方に向かって開口し、上下に並んで配置される前記複数の足場用パネル部材のうち上側に配置される足場用パネル部材の下端部が挿入される上側溝部と、
下方に向かって開口し、前記複数の足場用パネル部材のうち下側に配置される足場用パネル部材の上端部が挿入される下側溝部と、
を有する連結部材本体部と、
前記下側溝部内に挿入される足場用パネル部材を前記連結部材本体部に対して固定する固定部材と、
を有し、
前記連結部材本体部は、前記上側溝部内に挿入された足場用パネル部材を固定することなく前記上側溝部に対して着脱可能に支持している、
足場用パネル連結部材。
【請求項2】
請求項1に記載の足場用パネル連結部材において、
前記上側溝部及び前記下側溝部は、同じ方向に延びていて、
前記上側溝部及び前記下側溝部の延伸方向の長さは同じである、
足場用パネル連結部材。
【請求項3】
請求項2に記載の足場用パネル連結部材において、
前記上側溝部の側面は、上下方向に延びる一対の板状の上側側壁部によって構成され、
前記一対の上側側壁部のうち一方の上側側壁部の上端部は、他方の上側側壁部の上端部よりも上方に位置する、
足場用パネル連結部材。
【請求項4】
請求項3に記載の足場用パネル連結部材において、
前記下側溝部の側面は、前記連結部材本体部を上下方向に見て前記一対の上側側壁部と同じ位置で上下方向に延びる一対の板状の下側側壁部によって構成され、
前記一対の下側側壁部のうち、前記連結部材本体部を上下方向に見て前記一方の上側側壁部と同じ側に位置する一方の下側側壁部の下端部は、他方の下側側壁部の下端部よりも下方に位置する、
足場用パネル連結部材。
【請求項5】
請求項4に記載の足場用パネル連結部材において、
前記他方の下側側壁部は、厚み方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、内面の少なくとも一部に被締結部を有し、
前記固定部材は、
先端部が前記貫通孔を貫通して前記下側溝部内に突出した状態で、前記被締結部に締結され、
前記下側溝部内に足場用パネル部材が挿入された状態で、前記固定部材の先端部が前記足場用パネル部材に対して厚み方向に接触することにより前記足場用パネル部材を前記下側溝部内で固定している、
足場用パネル連結部材。
【請求項6】
足場板と、
前記足場板の外周の少なくとも一部に沿って上下に並ぶように配置される複数の板状の足場用パネル部材と、
前記複数の足場用パネル部材を上下方向に連結する請求項1から請求項5のうちいずれか一つに記載の足場用パネル連結部材と、
を有する、足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場用パネル連結部材および足場に関する。
【背景技術】
【0002】
足場板の外周に沿って側壁が形成されている足場が知られている。例えば、特許文献1には、吊り足場の幅方向側方に、多数枚縦向きに配置連結された側壁パネルによって側壁が形成された吊り足場が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示されている吊り足場では、前記側壁は、複数の足場用パネル部材を上下左右に連結させることによって構成される。すなわち、前記吊り足場では、足場を組み立てる際に、複数の足場用パネル部材を連結させる作業が必要となる。また、前記吊り足場では、足場を解体する際にも、連結を解除する作業が必要となる。そこで、複数の足場用パネル部材を効率的に連結及び解体できる連結部材が求められている。
【0005】
本発明の目的は、上下に配置される複数の足場用パネル部材の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる足場用パネル連結部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る足場用パネル連結部材は、上下に並んで配置される複数の板状の足場用パネル部材を上下方向に連結するための足場用パネル連結部材である。前記足場用パネル連結部材は、上方に向かって開口し、上下に並んで配置される前記複数の足場用パネル部材のうち上側に配置される足場用パネル部材の下端部が挿入される上側溝部と、下方に向かって開口し、前記複数の足場用パネル部材のうち下側に配置される足場用パネル部材の上端部が挿入される下側溝部と、を有する連結部材本体部と、前記下側溝部内に挿入される足場用パネル部材を前記連結部材本体部に対して固定する固定部材と、を有する。前記連結部材本体部は、前記上側溝部内に挿入された足場用パネル部材を固定することなく前記上側溝部に対して着脱可能に支持している(第1の構成)。
【0007】
上述の構成では、連結部材本体部の上側溝部内に足場用パネル部材の下端部が挿入され、下側溝部内に足場用パネル部材の上端部が挿入されることにより、足場用パネル連結部材を介して複数の足場用パネル部材を上下方向に連結することができる。前記下側溝部内に挿入された足場用パネル部材は、固定部材によって前記連結部材本体部に対して固定される。前記上側溝部内に挿入された足場用パネル部材は、前記連結部材本体部に固定されることなく着脱可能に支持される。このように、足場用パネル連結部材では、連結される複数の足場用パネル部材のうち下側に配置される足場用パネル部材のみを固定部材によって固定するため、足場用パネル部材の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる。
【0008】
また、前記上側溝部内に挿入された足場用パネル部材は、前記足場用パネル連結部材に対して固定されていないので、前記足場用パネル連結部材から容易に取り外すことができる。よって、足場用パネル部材を効率良く解体することができる。しかも、前記足場用パネル連結部材は下側の足場用パネル部材に固定されているので、上側の足場用パネル部材を取り外す際に、前記足場用パネル連結部材が、下側の足場用パネル部材から離隔しない。よって、複数の足場用パネル部材の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる足場用パネル連結部材を提供できる。
【0009】
前記第1の構成の足場用パネル連結部材において、前記上側溝部及び前記下側溝部は、同じ方向に延びていて、前記上側溝部及び前記下側溝部の延伸方向の長さは同じである(第2の構成)。
【0010】
これにより、足場用パネル連結部材に対して、複数の足場用パネル部材を、上側溝部及び下側溝部の延伸方向に容易に位置決めできる。したがって、足場用パネル部材の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる。
【0011】
前記第2の構成の足場用パネル連結部材において、前記上側溝部の側面は、上下方向に延びる一対の板状の上側側壁部によって構成され、前記一対の上側側壁部のうち一方の上側側壁部の上端部は、他方の上側側壁部の上端部よりも上方に位置する(第3の構成)。
【0012】
一対の上側側壁部は、一方と他方とで前記上側溝部の底面からの長さが異なる。上下方向に長い一方の上側側壁部を足場に対して外方に配置することにより、上側溝部内に足場用パネル部材を挿入する際に、前記足場用パネル部材の下端部を前記一方の上側側壁部の内面に沿わせることができる。これにより、足場用パネル部材の連結作業を効率良く行うことができる。
【0013】
前記第3の構成の足場用パネル連結部材において、前記下側溝部の側面は、前記連結部材本体部を上下方向に見て前記一対の上側側壁部と同じ位置で上下方向に延びる一対の板状の下側側壁部によって構成され、前記一対の下側側壁部のうち、前記連結部材本体部を上下方向に見て前記一方の上側側壁部と同じ側に位置する一方の下側側壁部の下端部は、他方の下側側壁部の下端部よりも下方に位置する(第4の構成)。
【0014】
足場用パネル部材を連結する場合、先に設置された下側の足場用パネル部材の上端部に足場用パネル連結部材を取り付ける。このとき、上下方向に長い一方の下側側壁部を足場に対して外方に配置することにより、前記一方の下側側壁部の内面を足場用パネル部材の上端部に沿わせながら、取り付けることができる。これにより、足場用パネル部材の連結作業を効率良く行うことができる。
【0015】
前記第4の構成の足場用パネル連結部材において、前記他方の下側側壁部は、厚み方向に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔は、内面の少なくとも一部に被締結部を有する。前記固定部材は、先端部が前記貫通孔を貫通して前記下側溝部内に突出した状態で、前記被締結部に締結され、前記下側溝部内に足場用パネル部材が挿入された状態で、前記固定部材の先端部が前記足場用パネル部材に対して厚み方向に接触することにより前記足場用パネル部材を前記下側溝部内で固定している(第5の構成)。
【0016】
このように、足場用パネル連結部材では、固定部材の先端部によって前記足場用パネル部材を固定することができる。したがって、足場用パネル部材の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る足場は、足場板と、前記足場板の外周の少なくとも一部に沿って上下に並ぶように配置される複数の板状の足場用パネル部材と、前記複数の足場用パネル部材を上下方向に連結する請求項1から請求項5のうちいずれか一つに記載の足場用パネル連結部材と、を有する(第6の構成)。
【0018】
複数の足場用パネル部材によって足場板に対する側壁が形成される足場において、足場の設置作業及び解体作業を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態に係る足場用パネル連結部材は、上方に向かって開口し、上下に並んで配置される複数の足場用パネル部材のうち上側に配置される足場用パネル部材の下端部が挿入される上側溝部と、下方に向かって開口し、前記複数の足場用パネル部材のうち下側に配置される足場用パネル部材の上端部が挿入される下側溝部と、を有する連結部材本体部と、前記下側溝部内に挿入される足場用パネル部材を前記連結部材本体部に対して固定する固定部材と、を有する。前記連結部材本体部は、前記上側溝部内に挿入された足場用パネル部材を前記上側溝部に対して着脱可能に支持している。
【0020】
前記足場用パネル連結部材では、連結される複数の足場用パネル部材のうち下側に配置される足場用パネル部材のみを固定部材によって固定するため、足場用パネル部材の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態に係る足場用パネル連結部材が用いられる吊り足場の斜視図である。
【
図2】
図2は、足場用パネル連結部材の斜視図である。
【
図3】
図3は、足場用パネル連結部材の斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、下側の足場用パネル部材に足場用パネル連結部材を取り付ける様子を模式的に示す図である。
【
図5B】
図5Bは、足場用パネル連結部材に上側の足場用パネル部材を取り付ける様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0023】
なお、以下の説明では、板状の足場板65の厚み方向を「上下方向」、上下方向に延びる板状の足場用パネル部材66の厚み方向を「前後方向」、上下方向及び前後方向と直交する方向を「左右方向」とする。なお、足場板65の厚み方向は、足場板65の面に垂直な法線の方向だけでなく、該法線方向に対して傾いた方向も含む。すなわち、「上下方向」は、鉛直方向だけでなく、鉛直方向に対して傾いた方向も含む。同様に、「前後方向」も、足場用パネル部材66の面に垂直な法線の方向だけでなく、該法線方向に対して傾いた方向も含む。また、「左右方向」は、上下方向及び前後方向と直交する方向に限らず、上下方向及び前後方向と交差する方向であればよい。
【0024】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0025】
(全体構成)
本実施形態の足場用パネル連結部材1は、足場で用いられ、足場板に対する側壁を構成する複数の足場用パネル部材66を上下に連結する連結具である。最初に、
図1を参照して、足場用パネル連結部材1が用いられる足場の一例としての吊り足場60について説明する。なお、
図1では、説明のために、複数の足場板65に対して一方向のみに足場用パネル部材66を設けた場合を模式的に示している。
【0026】
吊り足場60は、構造物に対してワイヤなどを用いて吊り下げられることにより、前記構造物の下方に設置される。吊り足場60は、例えば、橋梁等の構造物の工事をする際などのように、地面に足場を設置するのが困難な作業環境で用いられる。
【0027】
図1に示すように、吊り足場60は、第1支持部材61と、第2支持部材62と、第1枠部材63と、第2枠部材64と、足場板65と、足場用パネル部材66と、固定フランジ部67と、ワイヤ68と、足場用パネル連結部材1と、を有する。
【0028】
第1支持部材61、第2支持部材62、第1枠部材63、第2枠部材64は、固定フランジ部67を介して互いに接続されている。足場板65は、第2支持部材62に支持されている。複数の足場用パネル部材66は、第2枠部材64に固定されている。複数の足場用パネル部材66は、足場用パネル連結部材1によって上下に連結されている。吊り足場60は、固定フランジ部67に接続されたワイヤ68によって、構造物に対して吊り下げられる。
【0029】
第1支持部材61は、パイプ状の部材である。
図1には、水平方向且つ互いに平行に延びる一対の第1支持部材61が示されている。第2支持部材62は、一方向に長い形状の部材である。第2支持部材62は、一対の第1支持部材61の間を水平方向且つ第1支持部材61と直交する方向に延びている。第2支持部材62は、長手方向の両端部が一対の第1支持部材61にそれぞれ接続されている。
【0030】
第1枠部材63は、上下方向に延びるパイプ状の部材である。第1枠部材63は、一対の第1支持部材61にそれぞれ接続されている。第2枠部材64は、水平方向に延びるパイプ状の部材である。第2枠部材64は、一対の第1枠部材63の間を水平方向且つ第1枠部材63と直交する方向に延びている。第2枠部材64は、長手方向の両端部が一対の第1枠部材63にそれぞれ接続されている。
【0031】
固定フランジ部67は、第1支持部材61及び第1枠部材63における長手方向の複数個所に取り付けられている。第1支持部材61及び第2支持部材62は、固定フランジ部67を介して、互いに接続されている。第1支持部材61及び第1枠部材63は、固定フランジ部67を介して、互いに接続されている。第1枠部材63及び第2枠部材64は、固定フランジ部67を介して、互いに接続されている。
【0032】
足場板65は、水平方向に延びる板状の部材である。足場板65は、吊り足場60における作業場の床面を構成する。すなわち、足場板65は、作業者が工事現場に対する作業を行う作業台及び作業者が移動する通路となる。また、足場板65上には、作業で使用する工具等を載置することもできる。
【0033】
足場板65は、一対の第1支持部材61の間で、2つの第2支持部材62の上に架け渡されている。足場板65は、図示省略する締結部材によって第2支持部材62に固定されている。
【0034】
足場用パネル部材66は、上下方向に延びる板状の部材である。足場用パネル部材66は、足場板65に対する側壁Wとして機能する。吊り足場60に足場用パネル部材66を設置することにより、足場板65上に載置される工具等が吊り足場60から落下したり、作業によって発生する粉塵等が外部に飛散したりすることを防止することができる。以下では、説明のため、足場用パネル部材66に対して足場板65が延びる方向を「前」と称する。
【0035】
吊り足場60では、複数の足場用パネル部材66を上下、左右に並べることにより、足場板65に対する側壁Wの面積を任意のサイズにすることができる。上下、左右に並ぶ複数の足場用パネル部材66は、足場用パネル連結部材1によって互いに連結されている。
【0036】
足場用パネル連結部材1は、上下に並ぶ複数の足場用パネル部材66の間を左右に延びるように配置されている。足場用パネル連結部材1は、下側の足場用パネル部材66bに対して固定されている。足場用パネル連結部材1は、上側の足場用パネル部材66aの下端部を支持している。これにより、足場用パネル連結部材1は、上下に並ぶ複数の足場用パネル部材66を上下方向に連結している。
【0037】
本実施形態では、足場用パネル連結部材1は、足場用パネル部材66の左右方向の長さの2倍の長さを有する。本実施形態では、足場用パネル連結部材1は、左右に並ぶ足場用パネル部材66を連結している。
【0038】
(足場用パネル連結部材の構成)
次に、
図2から
図4を参照して、足場用パネル連結部材1の構成について詳細に説明する。以下の説明では、足場用パネル連結部材1の上下方向、前後方向、及び左右方向は、吊り足場60に用いられている状態での足場用パネル連結部材1の向きを基準とする。
【0039】
足場用パネル連結部材1は、連結部材本体部2と、固定部材5と、を有する。連結部材本体部2は、一方向に延びる上側連結部3と、前記一方向に延びる下側連結部4とが上下に連結されている。
【0040】
上側連結部3は、断面視で、凹状の形状を有する。詳細には、上側連結部3は、厚み方向を上下方向とした前記一方向に延びる板状の上側底部31と、上側底部31の短手方向の一方の端部から上方に延びる板状の第1上側側壁部32と、前記短手方向の他方の端部から上方に延びる板状の第2上側側壁部33と、を有する。上側底部31、第1上側側壁部32及び第2上側側壁部33によって、上方に向かって開口するとともに前記一方向に延びる上側溝部3aが構成される。上側溝部3a内には、上側の足場用パネル部材66aの下端部が挿入される。
【0041】
下側連結部4は、断面視で、上側連結部3の開口方向とは反対の方向に向かって開口する凹状の形状を有する。詳細には、下側連結部4は、厚み方向を上下方向とした前記一方向に延びる板状の下側底部41と、下側底部41の短手方向の一方の端部から下方に延びる板状の第1下側側壁部42と、前記短手方向の他方の端部から下方に延びる板状の第2下側側壁部43と、を有する。下側底部41、第1下側側壁部42及び第2下側側壁部43によって、下方に向かって開口するとともに前記一方向に延びる下側溝部4aが構成される。下側溝部4a内には、下側の足場用パネル部材66bの上端部が挿入される。
【0042】
下側連結部4の下側底部41と、上側連結部3の上側底部31とは、幅方向及び長さ方向の寸法が同じである。下側連結部4の下側底部41と、上側連結部3の上側底部31とは、それらの外側面同士が接触した状態で上下に連結されている。連結部材本体部2を上下方向に見て、第1下側側壁部42は、第1上側側壁部32と重なる位置で、下方に延びている。前記上下方向に見て、第2下側側壁部43は、第2上側側壁部33と重なる位置で、下方に延びている。すなわち、下側溝部4aは、前記上下方向に見て、上側溝部3aと重なるように左右方向に延びている。足場用パネル連結部材1の左右方向において、下側溝部4aの長手方向の両端部の位置は、上側溝部3aの長手方向の両端部の位置と一致する。すなわち、上側溝部3a及び下側溝部4aの延伸方向の長さは同じである。
【0043】
これにより、連結部材本体部2は、上側溝部3a内に挿入された上側の足場用パネル部材66aと、下側溝部4a内に挿入された下側の足場用パネル部材66bとを、前後方向及び左右方向の同じ位置に位置付けることができる。
【0044】
本実施形態では、上側溝部3a内には、2枚の足場用パネル部材66が挿入される。下側溝部4a内には、2枚の足場用パネル部材66が挿入される。上述したように、足場用パネル連結部材1の左右方向において、上側溝部3aの長手方向の両端部の位置と、下側溝部4aの長手方向の両端部の位置は一致するので、2枚の足場用パネル部材66を足場用パネル連結部材1に対して左右方向に容易に位置決めできる。
【0045】
本実施形態では、第1上側側壁部32の上端部は、第2上側側壁部33の上端部よりも、上方に位置する。第1下側側壁部42の下端部は、第2下側側壁部43の下端部よりも、下方に位置する。
【0046】
図4に示すように、下側連結部4の第2下側側壁部43には、厚み方向に貫通する貫通孔43aが形成されている。貫通孔43a内には、ねじ部材44が挿入されている。
【0047】
ねじ部材44は、第2下側側壁部43の厚み方向に貫通する貫通孔44aを有する。すなわち、下側連結部4の第2下側側壁部43は、厚み方向に貫通する貫通孔44aを有する。本実施形態の貫通孔44aは、本発明の貫通孔である。
【0048】
本実施形態では、ねじ部材44の貫通孔44aの内面に、雌ねじである被締結部44bが形成されている。なお、貫通孔44aは、内面の少なくとも一部に、被締結部44bを有していてもよい。
【0049】
ねじ部材44は、第2下側側壁部43の貫通孔43a内に、第2下側側壁部43に対して回転不能に固定されている。なお、ねじ部材44は、第2下側側壁部43に対して回転しないように固定されていればよく、第2下側側壁部43に溶接されていてもよい。ねじ部材は、第2下側側壁部43と一体成形されていてもよい。
【0050】
固定部材5は、外周面に雄ねじが形成された柱状の締結部5aと、締結部5aの一方の端部に位置する頭部5bと、を有する。固定部材5は、例えばボルトであり、第2下側側壁部43に対して外方から貫通孔44aに挿入されることにより、ねじ部材44の被締結部44bに締結されている。固定部材5の締結部5aの先端部は、貫通孔44aを貫通して下側溝部4a内に突出している。
【0051】
固定部材5の締結部5aの先端部は、下側溝部4a内に挿入された下側の足場用パネル部材66bに対して厚み方向に接触可能である。よって、固定部材5の締結部5aの先端部と、第1下側側壁部42とによって、下側溝部4a内に挿入された下側の足場用パネル部材66bを挟んで固定することができる。
【0052】
本実施形態では、足場用パネル連結部材1は、2つの固定部材5を有する。2つの固定部材5は、下側溝部4a内に左右に並んで挿入されている下側の2枚の足場用パネル部材66bをそれぞれ固定する。
【0053】
以上のように、足場用パネル連結部材1は、上下に並んで配置される複数の板状の足場用パネル部材66を上下方向に連結するための足場用パネル連結部材である。足場用パネル連結部材1は、連結部材本体部2と、固定部材5と、を有する。連結部材本体部2は、上方に向かって開口し、上下に並んで配置される複数の足場用パネル部材66のうち上側に配置される足場用パネル部材66aの下端部が挿入される上側溝部3aと、下方に向かって開口し、複数の足場用パネル部材66のうち下側に配置される足場用パネル部材66bの上端部が挿入される下側溝部4aと、を有する。固定部材5は、下側溝部4a内に挿入される足場用パネル部材66を連結部材本体部2に対して固定する。連結部材本体部2は、上側溝部3a内に挿入された足場用パネル部材66aを固定することなく上側溝部3aに対して着脱可能に支持している。
【0054】
この構成では、連結部材本体部2の上側溝部3a内に足場用パネル部材66aの下端部が挿入され、下側溝部4a内に足場用パネル部材66bの上端部が挿入されることにより、足場用パネル連結部材1を介して複数の足場用パネル部材66を上下方向に連結することができる。下側溝部4a内に挿入された足場用パネル部材66bは、固定部材5によって連結部材本体部2に対して固定される。上側溝部3a内に挿入された足場用パネル部材66aは、連結部材本体部2に着脱可能に支持される。このように、足場用パネル連結部材1では、連結される複数の足場用パネル部材66のうち下側に配置される足場用パネル部材66bのみを固定部材5によって固定するため、足場用パネル部材66の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる。
【0055】
また、上側溝部3a内に挿入された足場用パネル部材66aは、足場用パネル連結部材1に対して固定されていないので、足場用パネル連結部材1から容易に取り外すことができる。よって、足場用パネル部材66を効率良く解体することができる。しかも、足場用パネル連結部材1は下側の足場用パネル部材66bに固定されているので、上側の足場用パネル部材66aを取り外す際に、足場用パネル連結部材1が、下側の足場用パネル部材66bから離隔しない。これにより、足場用パネル連結部材1に対する落下防止対策を施す必要がない。よって、足場用パネル部材66の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる足場用パネル連結部材1を提供できる。
【0056】
また、固定部材5は、下側溝部4a内に下側の足場用パネル部材66bが挿入された状態で、固定部材5の先端部が下側の足場用パネル部材66bに対して厚み方向に接触することにより下側の足場用パネル部材66bを下側溝部4a内で固定している。このように、固定部材5の先端部によって足場用パネル部材66を固定することができるので、足場用パネル部材66の連結作業及び解体作業を効率良く行うことができる。
【0057】
また、本実施形態に係る足場用パネル連結部材1は、第1上側側壁部32及び第1下側側壁部42が位置する側を、足場用パネル部材66に対して後方に位置させて配置することができる。すなわち、足場用パネル連結部材1は、一対の上側側壁部32,33及び一対の下側側壁部42,43のうち、上下方向に長い側壁部を足場用パネル部材66に対して後方に配置した向きで、足場用パネル部材66に対して取り付けることができる。
【0058】
これにより、例えば、
図5Aに示すように、足場用パネル部材66を連結する際、先に配置された下側の足場用パネル部材66bに対して、上下方向に長い第1下側側壁部42の内面を下側の足場用パネル部材66bの上端部に沿わせながら、取り付けることができる。よって、下側の足場用パネル部材66bに対して、足場用パネル連結部材1を容易に位置付けることができる。したがって、足場用パネル部材66の連結作業を効率良く行うことができる。
【0059】
また、
図5Bに示すように、下側の足場用パネル部材66bに取り付けられた足場用パネル連結部材1に対して、上側の足場用パネル部材66aの下端部を、上下方向に長い第1上側側壁部32の内面に沿わせながら取り付けることができる。よって、足場用パネル連結部材1に対して、上側の足場用パネル部材66aを容易に位置付けることができる。したがって、足場用パネル部材66の連結作業を効率良く行うことができる。
【0060】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0061】
前記実施形態では、足場用パネル連結部材1は、上側で左右に2つ並ぶ足場用パネル部材66と、下側で左右に2つ並ぶ足場用パネル部材66を連結している。すなわち、足場用パネル連結部材1は、上下に並ぶ足場用パネル部材66と、左右に並ぶ足場用パネル部材66とを連結している。しかしながら、足場用パネル連結部材は、上下に並ぶ足場用パネル部材だけを連結してもよい。
【0062】
前記実施形態では、足場用パネル連結部材1は、足場用パネル部材66の左右方向の長さの2倍の寸法を有する。しかしながら、足場用パネル連結部材は、足場用パネル部材の左右方向の長さと同じ寸法、または、2倍より大きい寸法を有してもよい。
【0063】
前記実施形態では、足場用パネル連結部材1は、2つの固定部材5を有する。2つの固定部材5は、連結部材本体部2に対して、下側溝部4a内に左右に並んで挿入されている下側の2枚の足場用パネル部材66bをそれぞれ固定する。しかしながら、足場用パネル連結部材1は、少なくとも、下側溝部4a内に挿入される足場用パネル部材の数と同数の固定部材を有していればよい。すなわち、足場用パネル連結部材は、下側溝部内に1枚の足場用パネル部材が挿入される場合は、1つの固定部材を有し、下側溝部内に3枚の足場用パネル部材が挿入される場合は、3つの固定部材を有していればよい。
【0064】
前記実施形態では、固定部材5は、ボルトであり、被締結部44bは、雌ねじである。しかしながら、固定部材は、足場用パネル連結部材に対して足場用パネル部材を固定可能な構成であれば、ピンや釘などのように、ボルト以外の構成であってもよい。この場合、被締結部は、固定部材が締結可能な構成であればよい。また、固定部材を用いることなく、嵌合や接合によって、足場用パネル連結部材と足場用パネル部材とを連結してもよい。
【0065】
前記実施形態では、第2下側側壁部43の貫通孔43a内に挿入されたねじ部材44の貫通孔44aの内面に被締結部44bが形成されている。しかしながら、第2下側側壁部の貫通孔内に、ねじ部材が挿入されず、前記貫通孔の内面に被締結部が形成されていてもよい。この場合、第2下側側壁部の貫通孔が、本発明の貫通孔である。
【0066】
前記実施形態では、足場用パネル連結部材1の上側連結部3及び下側連結部4は、別体であり、上下に連結されている。しかしながら、上側連結部3及び下側連結部4は一体であってもよい。
【0067】
前記実施形態では、上側連結部3の第1上側側壁部32及び第2上側側壁部33の上下方向の長さは異なっている。しかしながら、第1上側側壁部及び第2上側側壁部の上下方向の長さは同じでもよい。
【0068】
前記実施形態では、下側連結部4の第1下側側壁部42及び第2下側側壁部43の上下方向の長さは異なっている。しかしながら、第1下側側壁部及び第2下側側壁部の上下方向の長さは同じでもよい。
【0069】
前記実施形態の
図1で示す吊り足場60の構成は、足場用パネル連結部材1が用いられる足場の一例である。足場用パネル連結部材は、他の構成の吊り足場に用いられてもよい。
【0070】
前記実施形態では、足場用パネル連結部材1が吊り足場60に用いられる例を説明した。しかしながら、足場用パネル連結部材は、吊り足場以外の足場に用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、上下に並んだ板状の足場用パネル部材を連結する連結部材に利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 足場用パネル連結部材
2 連結部材本体部
3 上側連結部
3a 上側溝部
4 下側連結部
4a 下側溝部
5 固定部材
5a 締結部
5b 頭部
31 上側底部
32 第1上側側壁部(一方の上側側壁部)
33 第2上側側壁部(他方の上側側壁部)
41 下側底部
42 第1下側側壁部(一方の下側側壁部)
43 第2下側側壁部(他方の下側側壁部)
43a 貫通孔
44 ねじ部材
44a 貫通孔
44b 被締結部
60 吊り足場
61 第1支持部材
62 第2支持部材
63 第1枠部材
64 第2枠部材
65 足場板
66、66a、66b 足場用パネル部材
67 固定フランジ部
68 ワイヤ