IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイロンボックス エス.アール.エル.の特許一覧

<>
  • 特許-摺動支持デバイス 図1
  • 特許-摺動支持デバイス 図2a
  • 特許-摺動支持デバイス 図2b
  • 特許-摺動支持デバイス 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】摺動支持デバイス
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/04 20060101AFI20240626BHJP
   F16C 29/02 20060101ALI20240626BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20240626BHJP
   A47B 88/497 20170101ALI20240626BHJP
   E05F 1/00 20060101ALI20240626BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20240626BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
F16C32/04 Z
F16C29/02
E05D15/06 101A
A47B88/497
E05F1/00 A
F25D23/02 306Z
F25D25/00 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021510792
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2019057151
(87)【国際公開番号】W WO2020044199
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】102018000008268
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518411844
【氏名又は名称】アイロンボックス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジロット,アドリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】セサレッティ,ルーカ
(72)【発明者】
【氏名】パロッタ,ロレンツォ アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】コンティーニ,リカルド
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538877(JP,A)
【文献】特開平10-160329(JP,A)
【文献】特表2017-533772(JP,A)
【文献】特表2008-513631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/00-29/12
32/00-32/06
A47B 67/04
88/00-88/994
F25D 23/02
25/02
E05D 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば可動部などの対象物を摺動自在に支持し、かつ軸(X)に沿って直線的に動かすための、支持デバイス(MC)であって、
前記軸(X)に平行に延びる、空きチャネル(58)と、
全て同一方向の磁界線を伴い、前記空きチャネルのセグメントを横断する磁束を作り出すための、磁束生成器(54、56)と、
前記磁界に反応し、前記空きチャネルの中に取り付けられ、前記軸(X)に沿って延びる第1の要素(10)と、
を備え、
前記第1の要素は、前記対象物が動く間に、前記軸(X)に平行に前記チャネルに対して摺動でき、
前記チャネルのセグメントに対応する前記第1の要素(10)は、前記軸(X)に対して直交する面で見ると、前記チャネル(58)の幅に沿った寸法(L)の断面(62)を有し、
前記寸法は、前記軸(X)に平行に、前記第1の要素(10)の長さに沿って変化する値(L)を有する、支持デバイス(MC)であって、
前記第1の要素(10)における断面サイズの軸に沿った変化は、前記第1の要素(10)と、前記チャネルのセグメントに現われる磁界線との間に、復帰磁力を誘発し、
前記復帰磁力は第1の要素及びチャネルを特定の相対位置に戻す傾向があるように構成されるデバイス(MC)。
【請求項2】
前記生成器(54、56)は、磁気回路(52)の内側に挿入され、前記磁気回路(52)は、
前記磁束が前記空きチャネルが通過するために、前記磁束を搬送するよう、及び、
前記チャネル(58)を確定するよう
構成される、請求項1に記載のデバイス(MC)。
【請求項3】
前記生成器は、磁石(56)の2つの列(54)を備え、前記磁石(56)の2つの列(54)は、前記2つの列の間で空の空間を確定するために、前記軸(X)に沿って、平行かつ均一に配置され、前記空の空間は、一方の列から出て他方の列に入る全て同一方向の磁界線によって横断される、請求項1または2に記載のデバイス(MC)。
【請求項4】
前記第1の要素(10)は、前記軸(X)に沿って延びる第1及び第2の隣接する部分(60、62)を備え、前記第1の部分(60)において、断面は他方の部分(62)のそれぞれの断面よりも広い、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のデバイス(MC)。
【請求項5】
前記第1の部分(60)は、少なくとも磁束線を伴う前記チャネルのセグメントと同じだけ、前記軸(X)に沿って長い、請求項4に記載のデバイス(MC)。
【請求項6】
前記第1の部分(60)は、磁束線を伴う前記チャネルのセグメント(58)と同じか、または僅かに小さい、前記軸(X)に沿った長さを有する、請求項4に記載のデバイス(MC)。
【請求項7】
前記2つの列の磁石、及び/または前記チャネルを横断する前記磁束線を包含する仮想面(P1)に直交する方向に沿った、前記第1の要素(10)の断面は、前記面(P1)から離れるほど、前記直交する方向に沿って減少する幅を有する、請求項3又は請求項3を引用する場合の請求項のうちいずれか一項に記載のデバイス(MC)。
【請求項8】
前記軸(X)と平行に配置された、同一で、離隔され、かつ平行な磁石(70)の列の第2の対であって、2つの前記列の中間に、一方の列から出て他方の列に入る磁界線が横断する空の空間(72)を作り出すために、前記軸(X)に平行に配置される、第2の対と、
前記磁界に反応し、前記第2の対の2つの列の間で前記軸(X)に平行に延びる、第2の要素(74)と、
を備え、
前記第2の対の列及び前記第2の要素(74)は、前記軸(X)に対して相対的に平行に摺動して、対象物を2つの位置間に動かすことができ、
前記空間(72)に相当する前記第2の要素(74)の断面は、前記軸(X)に直交する面で見ると、
前記軸(X)に沿って均一を保ち、
しかし、前記2つの列を包含する仮想面(P2)に直交する、荷重(W)が作用する方向に沿って見ると、前記面(P2)から離れるほど前記直交方向に沿って減少する幅を有する、請求項1~7のうちいずれか一項に記載のデバイス(MC)。
【請求項9】
前記第2の対の前記磁石(70)は、前記第2の空間(72)の内側において磁界線が交互方向になるよう設定される、請求項8に記載のデバイス(MC)。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載のデバイスを備える、冷蔵ユニットのドアまたは可動部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動自在に支持し、かつ対象物を軸に沿って直線的に動かすデバイスに関する。対象物は、例えば家具もしくは冷蔵室のドア、または設備の可動部などであり、以降で主な例として選択される。
【背景技術】
【0002】
冷蔵カウンタまたは冷蔵室は、食品が貯蔵された冷蔵空間を開けるために、一般的に1つまたは複数の摺動ドアを有する。主に垂直カウンタであるため、ドアは大きく重い。全体寸法を最小に抑えるため、かつヒンジを避けるために、ドアは水平に摺動して往復するよう取り付けられるが、常に使用が容易であるとは限らない。それらの大きい重量は、複雑かつ高価な誘導システムを必要とし、任意の使用者が容易にカウンタを使用できるよう、カウンタウェイトによって援助されることが多い。
【0003】
熱効率を向上させるために、磁気手段を介して仮に閉鎖することによって、ドアが意図せず開くのを防止する。米国特許第2446336号明細書を参照されたい。しかしこれは、係止解除するために大きい労力を要することがある。ドアを力強く引いて磁気フックを係止解除するとき、及びカウンタウェイトの推力でドアを閉鎖するときの両方において、ストローク端部の制止部に対してドアが激しく閉じられる場合がある。この種の衝撃はカウンタを損傷させるので、減衰デバイスが構造に導入される。
【0004】
公知の技術分野の別の欠点は、成形された外形に基づく係止/戻りデバイスが、急激な摩耗を受けることである。
【0005】
ドア構造は非常に高価かつ複雑で、それにも関わらず使用が容易ではないことが多いことを理解されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第2446336号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の主な目的は、これらの課題の1つまたは複数を克服し、対象物を摺動自在に支持し、かつ軸に沿って直線的に動かすのを補助するための、例えば構築が容易で信頼性があるデバイスを提案することである。
【0008】
別の目的は、上述の課題の1つまたは複数を克服するよう、例えば冷蔵カウンタなどの、ドアを摺動自在に支持し、かつ直線的に動かすためのデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、ドアなどの対象物を、摺動自在に支持し、かつ軸に沿って直線的に動かすための支持デバイスに関し、このデバイスは、
軸に水平に延びる、空きチャネルと、
全て同じ方向を有する磁界線を伴って、空きチャネルのセグメントを横断する磁束を作り出すための、磁束生成器または生成手段と、
磁界に反応し、上記の軸に沿って延びる空きチャネルの中に取り付けられた、第1の要素と
を備え、
第1の要素は、対象物が動く間に、軸に平行にチャネルに対して摺動でき、
上記のセグメントにおける第1の要素は、軸に対して直交する面で見ると、チャネルの幅に沿った寸法(幅)の断面を有し、
上記の寸法は、上記の軸に平行な第1の要素の長さに沿って変化する値を有する。
【0010】
軸に対して直交する面で見ると、第1の要素における断面サイズの軸に沿った変化は、第1の要素と、チャネルのセグメントに現われる磁界線との間に、復帰磁力を誘発する。
【0011】
物理的説明としては、断面の上記寸法(または幅)が減少(増加)するというポイントのみにおいて、チャネルに対して軸に沿って第1の要素を相対的に動かす傾向がある力を発現させ、それによって、より小さい(大きい)断面を伴う第1の要素のセグメントは、空きチャネルから出る(空きチャネルに入る)こと、すなわち、より小さい(大きい)断面を伴うセグメントは、磁界線がもはやぶつからない(さらにぶつかる)ということである。
【0012】
基本的に、磁力はシステムを平衡条件に向けて動かす傾向があり、空きチャネル全体において、第1の要素は、最小の抵抗を伴う構成に対応して、より大きい寸法の断面を有する。
【0013】
したがって、軸に沿った第1の要素の断面は、第1の要素及びチャネルを特定の相対位置に戻す傾向、詳細にはドアを閉鎖位置に戻す傾向がある、復帰磁力を作り出すよう形状を決めることができる。
【0014】
一般的に、第1の要素の断面は、チャネルの内側で(反応材料が)完全に存在しなくなるまで、減少させることができる。このような事例において、第1の要素の可変断面を伴うセグメントの軸に沿った長さは、全て同じ方向の磁界線を伴うチャネルのセグメントの長さよりも小さくてよい。
【0015】
第1の要素の断面は、例えば不連続な段差を伴うか、または円滑なテーパーを付けるなど、様々な方法で減少させることができる。
【0016】
上記の磁束生成器または生成手段は、一般的に、チャネルの中で均一かつ常に同じ方向の磁束の生成器である。
【0017】
分散を最小に抑えるために、好ましくは生成器は、磁束を搬送するよう構成された磁気回路内に挿入され、それによって磁束は空きチャネルを横断する。より好ましくは、生成器は上記チャネルを確定するよう構成された磁気回路内、詳細には、U形状断面の誘導部内に取り付けられる。
【0018】
上記の磁束生成器または生成手段は、例えば磁気回路の異なるポイントに配置された電磁石、または永久磁石など、異なる実施形態を有し得る。
【0019】
詳細には、上記の磁束生成器または生成手段は、軸に沿って平行に、均一に配置された2つの列の磁石を備え、2つの列の間に、全て同じ方向で一方の列から出て他方の列に入る磁界線によって横断される、空の空間を確定する。
【0020】
好ましい変形によると、第1の要素は、軸に沿って延びる第1及び第2の隣接する部分を備え、第1の部分において、上記の断面は、他方の部分それぞれの断面よりも広い。2つの部分の断面間の不連続性に対応して、前述の磁力を発現させる。
【0021】
変形において、第1の部分は、少なくとも磁束線を伴うチャネルのセグメントと同じだけ、軸に沿って長い。
【0022】
チャネルに対して第1の要素を維持するための、このような均衡化の構成を実現するために有用である、異なる変形において、第1の部分は、軸に沿った、磁束線を伴うチャネルのセグメントと等しいか、または僅かに短い長さを有する。
【0023】
好ましくは、デバイスは復帰力を生成するだけではなく、対象物の重量に対抗して対象物を摺動自在に支持する力も生成する。この力を生成するために、上記の磁束生成器を利用することができるか、または補助的な磁気回路が提供され得る。好ましい変形において、デバイスは、
軸に平行に配置された磁石の、同一、平行、かつ離隔された列の第2の対であって、これら2つの列の間に、一方の列から出て他方の列に入る磁界線が横断する空の空間を作り出す、第2の対と、
磁界に反応し、第2の対における2つの列間の軸に平行に延びる第2の要素と
を備え、
第2の対の列及び第2の要素は、軸に対して相対的に平行に摺動でき、対象物を2つの位置間に動かし、
上記の空間における第2の要素の断面は、軸に直交する面で見ると、
軸に沿って均一のままであり、
しかし、2つの列を包含する仮想面に対して直交する、対象物の重量が作用する方向に沿って見ると、この面から離れるほど幅が減少する。
【0024】
面から離れるほど上記の幅が減少することにより、面に直交しかつ上記の空間に向けて導かれる磁気反力を作り出し、この磁気反力は、例えば対象物の重量などの外力が上記の空間から第2の要素を引き抜く傾向がある場合、第2の要素を上記の空間の中に戻す傾向がある。
【0025】
例えば、上記の空間における第2の要素は、軸に直交する面で見ると、T形状、+形状、またはH形状部分を備える断面を呈する。
【0026】
変形において、第2の要素における上記の断面は、例えばアルミニウム製レール及び鉄製部分などの、異なる透磁性を有する材料の部分を連結することによって、実現することができる。
【0027】
第2の対の磁石は、第2の空間内で力線が全て同じ方向か、または交互の方向を有するよう、設定され得る。第2の事例において、第2の対の磁石は、第2の要素で誘発された渦電流によって、第2の要素に制動作用も発現させる。
【0028】
しかし、磁力制動は、(例えばアルミニウムをコーティングした鉄製部分)のレールに包含された、(例えばアルミニウム製の)導電性材料と連結した、同一方向の磁石を使用することによっても、実現することができる。
【0029】
発現した力を強化するため、及び/または上記の磁束生成器のみを利用して支持力を発現させるために、好ましくは、磁石の2つの列及び/またはチャネルを横断する磁束線を包含する仮想面に対して直交方向に沿った、第1の要素の断面も、この面から離れるほど減少する幅を有する。
【0030】
第1及び第2の対の列は、好ましくは、平行であるそれぞれの面に載り、それによってデバイスの構築を容易にし、磁力の対称性に有利に働く。同じ理由で、第1の対の列、及び第2の対の列は、好ましくは第1及び第2の対のうちの残りの列が載る面に対して、平行な面に載る。
【0031】
第1及び第2の要素は、好ましくは例えば鉄などの強磁性材料で作られ、第1及び第2の要素が挿入される回路の磁気抵抗を最小に抑える。
【0032】
デバイスは、好ましくは第1及び第2の要素が一部である第3の要素を備える。詳細には、第3の要素は、第1及び第2の要素を接合する部分を備え、この部分は、例えばアルミニウムなど、第1及び第2の要素とは異なる材料である。第3の要素は、例えばH型断面を有し、Hの2本の平行バーが第1及び第2の要素によって形成される。
【0033】
デバイスは、好ましくは一定のU形状断面を有する細長い支持部を備え、第1及び/または第2の対の列は、このU型の脚部の対向した内面に取り付けられる。磁石の組立を容易にすること、及び構造体を小型にすることに加え、細長い支持部は、そのU形状断面を用いて、磁石が属する磁気回路を閉じるよう作用する。換言すると、細長い支持部は、磁束を低い抵抗経路に沿って閉じるのに好都合である。
【0034】
本発明の第2の態様は、変形の1つまたは変形の各々におけるようなデバイスを備えた、冷蔵室のドアまたは可動部に関する。
【0035】
本発明の第3の態様は、変形の1つまたは変形の各々におけるようなデバイスを備えた、建物のドアまたは窓に関する。
【0036】
本発明の第4の態様は、変形の1つまたは変形の各々におけるようなデバイスを備えた、冷蔵室に関する。
【0037】
本発明の第5の態様は、変形の1つまたは変形の各々におけるようなデバイスを備えた、車両または客車のドアもしくは窓に関する。
【0038】
本発明の利点は、添付の図面を参照して、以下の好ましい実施形態の説明から、より明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】デバイスの立体分解図である。
図2a】デバイスのいくつかの部品の平面図である。
図2b】デバイスのいくつかの部品の平面図である。
図3】組み立てられたデバイスの鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図面では、同じ番号は同一または概念的に同様の部品を表わし、記号N及びSは、それぞれN極及びS極の磁極を表わし、矢印は磁束線を表わす。
【0041】
MCデバイスは、例えばX軸に沿ってドア20(図示せず)を摺動自在に支持するよう機能する。
【0042】
MCデバイスは、固定された直線状軌道10、及び軌道10上で可動のスキッド50を備え、それらは、ドアが動く間、X軸に平行に互いに対して相対的に摺動できる。示される例において、ドアはスキッド50上に取り付けられるが、MCデバイスは、直線状軌道10が動き、スキッド50が固定されたままとなるよう、レール10とスキッド50との役割を逆にすることも意図される。
【0043】
スキッド50は、逆U型断面を有する本体52を備え、その内側で、同一、平行、かつ離隔された、磁石56の2つの列54が取り付けられる。磁石56の列54は、X軸に均一に沿ってかつ平行に配置される。したがって、列54の離隔間において、全て同一方向で、一方の列54から出て他方の列に入る磁界線(図2a、図2b参照)によって横断される、空きチャネル58が作り出される。
【0044】
固定された軌道10は、チャネル58の内側に取り付けられる。
【0045】
チャネル58に設置された軌道10の部分は、X軸に直交した面において見て、列54を接合する線上(図3のP1面を参照)で測定すると、X軸に沿った位置に応じて変化する幅Lを有する断面を呈する。
【0046】
軌道10は、第1の部分60及び第2の部分62を備え、断面は第1の部分60で大きく、第2の部分62で小さい。
【0047】
示された例において、第1の部分60は、列54の長さと少なくとも等しい、X軸に沿った長さを有する。一般的に、部分60の長さは、ドアの完全な開放における平衡条件を保証することが望まれる場合のみ、列54よりも長くなければならず、そうでなければ一般にこの外形特徴は必要ない。
【0048】
ポイントPにおける、部分60の断面と部分62の断面との間には、不連続性が存在する。この不連続性は、段差のように切り立っている場合があり、または斜面のように漸進的である場合がある。磁力は、部分60、62の断面の間におけるポイントPにおいて発現し、磁界は磁石の列54によって発生する。
【0049】
ポイントPにおいて、かつポイントPのみにおいて、小さい断面の軌道10のセグメント60は、空きチャネル58から出るよう、または小さい断面のセグメント60が、もはや磁界線がぶつからないように、軌道10及びX軸に沿った列54を相対的にシフトするよう力が発現する。
【0050】
この状況は、図2a、図2bに示される。
【0051】
大きい断面62(図2a)のみがチャネル58の内側にある場合、復帰力は存在しない。
【0052】
部分60の断面(図2b)がチャネル58の中に(図面において左に向けて)動かされる場合、ポイントPにおいて復帰力Fが作り出され、それは位置の変化に対抗する傾向、及びシステムを図2aに戻す(図面において右に向けて)傾向がある。
【0053】
例えば図2aにおける軌道10と列54との間の相対位置が、閉じたドア位置に相当する場合、ドアを開ける際に(図2b)、MCデバイスは、ドアを閉位置に戻す力Fを生成する。
【0054】
力Fは、列54の間におけるポイントPの位置に関係なく、ほぼ一定の大きさである。
【0055】
断面の変化は、磁気回路の抵抗の変化を伴う。力の大きさは、やはり一定である抵抗の変化と連動するので、ほぼ一定を保つ。
【0056】
明らかに全ては、X軸の他の方向(すなわち図2a、図2bを180°回転した方向)に沿った運動に適用され、軌道10がX軸に直交する面に対して対称形状を有するのに十分である。図1の事例は、スキッド50を軌道10の中心に戻す傾向のある磁力Fが生成される。なぜなら軌道10は、少なくともスキッド50のXに沿った長さだけ離れた、部分60、62の断面において不連続の2つのポイントを有するからである。
【0057】
好ましくは、MCデバイスは、軌道10上でスキッド50を摺動自在に支持するための力も生成する。
【0058】
荷重Wに対抗する、このような力を生成するために、例えば部分60、62の断面に相当する軌道10が、T形状部分、Hまたは+の形状を伴う部分を備えるか、または2つの列54を包含する仮想面P1に直交する方向に沿った断面は、全体的に面から離れるほど幅が減少する。換言すると、好ましくは面P1に直交する方向に沿った、部分60、62の断面は、面P1から離れるほど減少する幅を有する。このように、MCデバイスのこの部分も、耐荷力も生成する。
【0059】
支持力を増加させるために、スキッド50は、好ましくは2つの列70の間に、一方の列70から出て他方の列に入る磁界線が横断する空の空間72を作り出すために、X軸に平行に配置された磁石の、同一、平行、かつ離隔された列70の第2の対を備える。空間72において、軌道10の第2の要素74が存在し、それは磁界に反応し、2つの列70の間でX軸に平行に延びる。
【0060】
空間72の内側で摺動する軌道10の断面は、X軸に直交する面で見ると、X軸に沿って一定を保つ断面76を呈するが、2つの列70を包含する仮想面P2に直交する方向に沿った面で見ると、面P2から離れるほど減少する幅を有する。
【0061】
示される例において、断面76は+の形状を有する部分から成る。他の変形は、例えばTまたはH形状の断面76、及び/または断面76の様々な部品のための異なる材料の使用が想定される。
【0062】
示されるように、断面60、62、及び断面76は、例えば構造の簡略化のためにセクションバーか、または任意の事例で同じ面から展開する単一片に属する。
【0063】
PCT/IB2017/052588に記載されている物理的原則により、断面76が面P2から離れるとき、磁気反力が作り出され、面P2に直交するよう導かれて空間72に向かう。それは、断面76を空間72の内側に戻す傾向がある。したがって、対象物の重量Wに対抗する。
【0064】
常に同じ理由で、荷重の方向に沿った変形は、磁気反力を生成する抵抗の変化を伴う。この磁気反力は、システムを最小の抵抗構成に戻す傾向がある。したがって、磁力が荷重を均衡化する平衡位置に到達する。
図1
図2a
図2b
図3