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特許7510204供給ユニット、供給ユニットの制御方法および流体吐出装置
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  • 特許-供給ユニット、供給ユニットの制御方法および流体吐出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】供給ユニット、供給ユニットの制御方法および流体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/08 20060101AFI20240626BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240626BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240626BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240626BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240626BHJP
   F04B 49/03 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
F04B49/08 311
B05C11/10
B05C11/00
B05C5/00 101
B05B12/00 A
F04B49/03 311
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022187058
(22)【出願日】2022-11-24
(65)【公開番号】P2023082671
(43)【公開日】2023-06-14
【審査請求日】2023-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2021195875
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592001403
【氏名又は名称】株式会社IEC
(74)【代理人】
【識別番号】110003373
【氏名又は名称】弁理士法人石黒国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-063804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/08
B05C 11/10
B05C 11/00
B05C 5/00
B05B 12/00
F04B 49/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の供給源から流体を受け入れて、自身が有する内部空間に充填し、所定の供給先へ、降圧して吐出する供給ユニットにおいて、
前記内部空間を液密的に2つの空間に区画する区画壁部と、
前記2つの空間の液密性を保ちつつ、前記区画壁部を駆動して前記2つの空間それぞれの容積を変化させることができる駆動部と、
前記2つの空間それぞれへの流体の充填をオンオフする充填側回路部と、
前記2つの空間それぞれからの流体の吐出をオンオフする吐出側回路部と、
前記駆動部、および、前記充填側、吐出側回路部の動作を制御する制御部とを備え
この制御部は、
前記充填側回路部に、前記2つの空間の内、一方の空間への流体の充填をオフさせつつ他方の空間への流体の充填をオンさせて、前記他方の空間に流体を充填させながら、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出をオンさせつつ前記他方の空間からの流体の吐出をオフさせて、前記一方の空間から流体を吐出させる第1工程と、
前記充填側回路部に、前記一方、他方の空間への流体の充填を両方ともオフさせて、前記他方の空間への流体の充填を停止した状態で、前記他方の空間を拡大することで、前記他方の空間に充填された流体を降圧させながら、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出をオンさせつつ前記他方の空間からの流体の吐出をオフさせて、前記一方の空間から流体を吐出させる第2工程と、
前記充填側回路部に、前記一方の空間への流体の充填をオンさせつつ前記他方の空間への流体の充填をオフさせて、前記一方の空間に流体を充填させながら、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出をオフさせつつ前記他方の空間からの流体の吐出をオンさせて、前記他方の空間から流体を吐出させる第3工程と、
前記充填側回路部に、前記一方、他方の空間への流体の充填を両方ともオフさせて、前記一方の空間への流体の充填を停止した状態で、前記一方の空間を拡大することで、前記一方の空間に充填された流体を降圧させながら、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出をオフさせつつ前記他方の空間からの流体の吐出をオンさせて、前記他方の空間から流体を吐出させる第4工程とを、順次、繰り返し実行することを特徴とする供給ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の供給ユニットにおいて、
記一方、他方それぞれの空間の圧力を検出する第1、第2圧力検出部と、
前記一方、他方それぞれの空間の容積を検出する第1、第2容積検出部とを備え、
前記制御部は
記第1工程から前記第2工程への切り替えを、前記第1容積検出部の検出値に基づき、前記一方の空間の容積が所定の閾値に到達したと判定したときに実行し、
前記第2工程から前記第3工程への切り替えを、前記第2圧力検出部の検出値に基づき、前記他方の空間の圧力が所定の閾値に到達したと判定したときに実行し、
前記第3工程から前記第4工程への切り替えを、前記第2容積検出部の検出値に基づき、前記他方の空間の容積が所定の閾値に到達したと判定したときに実行し、
前記第4工程から前記第1工程への切り替えを、前記第1圧力検出部の検出値に基づき、前記一方の空間の圧力が所定の閾値に到達したと判定したときに実行することを特徴とする供給ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の供給ユニットにおいて、
前記駆動部は、電動モータを有し、この電動モータは、回転子の回転角を検出する回転角検出部を有し、
前記第1、第2容積検出部は、前記回転角検出部の検出値に基づいて、それぞれ前記一方、他方の空間の容積を検出することを特徴とする供給ユニット。
【請求項4】
所定の供給源から流体を受け入れて、自身が有する内部空間に充填し、所定の供給先へ、降圧して吐出する供給ユニットの制御方法において、
この供給ユニットは、
前記内部空間を液密的に2つの空間に区画する区画壁部と、
前記2つの空間の液密性を保ちつつ、前記区画壁部を駆動して前記2つの空間それぞれの容積を変化させることができる駆動部と、
前記2つの空間それぞれへの流体の充填をオンオフする充填側回路部と、
前記2つの空間それぞれからの流体の吐出をオンオフする吐出側回路部と、
前記2つの空間の内、一方、他方それぞれの空間の圧力を検出する第1、第2圧力検出部と、
前記一方、他方それぞれの空間の容積を検出する第1、第2容積検出部とを備え、
前記供給ユニットの制御方法によれば、
前記充填側回路部に、前記一方の空間への流体の充填をオフさせつつ前記他方の空間への流体の充填をオンさせることにより、前記他方の空間に流体を充填させながら、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出をオンさせつつ前記他方の空間からの流体の吐出をオフさせることにより、前記一方の空間から流体を吐出させ、
前記一方の空間の容積が所定の閾値に到達したら、前記充填側回路部に、前記一方、他方の空間への流体の充填を両方ともオフさせることにより、前記他方の空間への流体の充填を停止して前記他方の空間を拡大することで、前記他方の空間に充填された流体を降圧させながら、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出のオン、および、前記他方の空間からの流体の吐出のオフを継続させることにより、前記一方の空間から流体の吐出を継続させ、
前記他方の空間の圧力が所定の閾値に到達したら、前記充填側回路部に、前記一方の空間への流体の充填をオンさせつつ前記他方の空間への流体の充填のオフを継続させることにより、前記一方の空間への流体の充填を開始させ、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出をオフさせつつ前記他方の空間からの流体の吐出をオンさせることにより、前記一方の空間からの流体の吐出を停止して前記他方の空間から流体の吐出を開始させ、
前記他方の空間の容積が所定の閾値に到達したら、前記充填側回路部に、前記一方、他方の空間への流体の充填を両方ともオフさせることにより、前記一方の空間への流体の充填を停止して前記一方の空間を拡大することで、前記一方の空間に充填された流体を降圧させながら、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出のオフ、および、前記他方の空間からの流体の吐出のオンを継続させることにより、前記他方の空間から流体の吐出を継続させ、
前記一方の空間の圧力が所定の閾値に到達したら、前記充填側回路部に、前記一方の空間への流体の充填のオフを継続させつつ前記他方の空間への流体の充填をオンさせることにより、前記他方の空間への流体の充填を開始させ、前記吐出側回路部に、前記一方の空間からの流体の吐出をオンさせつつ前記他方の空間からの流体の吐出をオフさせることにより、前記他方の空間からの流体の吐出を停止して前記一方の空間から流体の吐出を開始させることを特徴とする供給ユニットの制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載の供給ユニットと、
この供給ユニットから流体を受け入れて吐出する、前記供給先としてのノズルと、
このノズルをマニピュレータとして、自身の先端に装着される多関節型のロボットとを備え、
前記供給ユニットは、前記ロボットのアーム、または、前記ロボットの先端に搭載され、前記供給ユニットと前記ノズルとの間は、曲折自在の配管により接続され、前記ノズルは、この配管を介して流体を前記供給ユニットから受け入れることを特徴とする流体吐出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の供給ユニットと、
この供給ユニットから流体を受け入れて吐出する、前記供給先としてのノズルとを備え、
前記供給ユニットと前記ノズルとは一体化されて一体ユニットを構成し、
この一体ユニットが、多関節型ロボットの先端にマニピュレータとして装着されていることを特徴とする流体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所定の供給源から流体を受け入れて、自身が有する内部空間に充填し、所定の供給先へ、降圧して吐出する供給ユニット、および、供給ユニットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、種々の粘性を有する流体を所定のワークに塗布する工程では、上記のような供給ユニットに相当するユニットに流体を受け入れ、このようなユニットから吐出してワークに塗布する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、従来のユニットは、1つのユニットが、例えば、2つの流体充填用の内部空間を備えたものであり、一方の内部空間から流体を吐出させつつ、他方の内部空間に流体を充填することができる(以下、1つのユニットに、2つの流体充填用の内部空間を備えた構造を「タンデム構造」と呼ぶことがある。)。このため、流体の充填と吐出とを時間的に重ならせることができるので、工程時間を短縮することができる。
【0004】
しかし、このようなユニットによれば、2つの流体充填用の内部空間を備えているので、それぞれの内部空間ごとに、ピストン等を駆動する電動モータが必要になり、制御システム上の負荷が大きくなってしまう。
このため、工程時間を短縮できる、というタンデム構造と同様のメリットを失うことなく、制御システム上の負荷を低減することができる構造が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6618096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本開示は、供給ユニットに関し、工程時間を短縮できる、というタンデム構造と同様のメリットを失うことなく、制御システム上の負荷を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の供給ユニットは、所定の供給源から流体を受け入れて、自身が有する内部空間に充填し、所定の供給先へ、降圧して吐出する。また、供給ユニットは、以下の区画壁部、駆動部、充填側回路部、吐出側回路部、および、制御部を備える。
【0008】
まず、区画壁部は、内部空間を液密的に2つの空間に区画し、駆動部は、2つの空間の液密性を保ちつつ、区画壁部を駆動して2つの空間それぞれの容積を変化させることができる。また、充填側回路部は、2つの空間それぞれへの流体の充填をオンオフし、吐出側回路部は、2つの空間それぞれからの流体の吐出をオンオフする。さらに、制御部は、駆動部、および、充填側、吐出側回路部の動作を制御する。
そして、制御部は、次の第1~第4工程を、順次、繰り返し実行する。
まず、第1工程では、充填側回路部に、2つの空間の内、一方の空間への流体の充填をオフさせつつ他方の空間への流体の充填をオンさせて、他方の空間に流体を充填させながら、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出をオンさせつつ他方の空間からの流体の吐出をオフさせて、一方の空間から流体を吐出させる。
次に、第2工程では、充填側回路部に、一方、他方の空間への流体の充填を両方ともオフさせて、他方の空間への流体の充填を停止した状態で、他方の空間を拡大することで、他方の空間に充填された流体を降圧させながら、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出をオンさせつつ他方の空間からの流体の吐出をオフさせて、一方の空間から流体を吐出させる。
次に、第3工程では、充填側回路部に、一方の空間への流体の充填をオンさせつつ他方の空間への流体の充填をオフさせて、一方の空間に流体を充填させながら、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出をオフさせつつ他方の空間からの流体の吐出をオンさせて、他方の空間から流体を吐出させる。
さらに、第4工程では、充填側回路部に、一方、他方の空間への流体の充填を両方ともオフさせて、一方の空間への流体の充填を停止した状態で、一方の空間を拡大することで、一方の空間に充填された流体を降圧させながら、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出をオフさせつつ他方の空間からの流体の吐出をオンさせて、他方の空間から流体を吐出させる。
【0009】
また、本開示の供給ユニットの制御方法によれば、供給ユニットは、以下の第1、第2圧力検出部、および、第1、第2容積検出部を備える。
すなわち、第1、第2圧力検出部は、2つの空間の内、一方、他方それぞれの空間の圧力を検出し、第1、第2容積検出部は、一方、他方それぞれの空間の容積を検出する。
【0010】
そして、本開示の制御方法によれば、充填側回路部に、一方の空間への流体の充填をオフさせつつ他方の空間への流体の充填をオンさせることにより、他方の空間に流体を充填させながら、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出をオンさせつつ他方の空間からの流体の吐出をオフさせることにより、一方の空間から流体を吐出させる。
また、一方の空間の容積が所定の閾値に到達したら、充填側回路部に、一方、他方の空間への流体の充填を両方ともオフさせることにより、他方の空間への流体の充填を停止して他方の空間を拡大することで、他方の空間に充填された流体を降圧させながら、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出のオン、および、他方の空間からの流体の吐出のオフを継続させることにより、一方の空間から流体の吐出を継続させる。
また、他方の空間の圧力が所定の閾値に到達したら、充填側回路部に、一方の空間への流体の充填をオンさせつつ他方の空間への流体の充填のオフを継続させることにより、一方の空間への流体の充填を開始させ、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出をオフさせつつ他方の空間からの流体の吐出をオンさせることにより、一方の空間からの流体の吐出を停止して他方の空間から流体の吐出を開始させる。
【0011】
また、他方の空間の容積が所定の閾値に到達したら、充填側回路部に、一方、他方の空間への流体の充填を両方ともオフさせることにより、一方の空間への流体の充填を停止して一方の空間を拡大することで、一方の空間に充填された流体を降圧させながら、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出のオフ、および、他方の空間からの流体の吐出のオンを継続させることにより、他方の空間から流体の吐出を継続させる。
さらに、一方の空間の圧力が所定の閾値に到達したら、充填側回路部に、一方の空間への流体の充填のオフを継続させつつ他方の空間への流体の充填をオンさせることにより、他方の空間への流体の充填を開始させ、吐出側回路部に、一方の空間からの流体の吐出をオンさせつつ他方の空間からの流体の吐出をオフさせることにより、他方の空間からの流体の吐出を停止して一方の空間から流体の吐出を開始させる。
【0012】
これにより、本開示の供給ユニット、および、供給ユニットの制御方法によれば、工程時間を短縮できる、というタンデム構造と同様のメリットを失うことなく、制御システム上の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】流体吐出装置の全体構成図である(実施例1)。
図2】供給ユニットの構成図である(実施例1)。
図3】第1工程の実行状態を示す説明図である(実施例1)。
図4】第2工程の実行状態を示す説明図である(実施例1)。
図5】第3工程の実行状態を示す説明図である(実施例1)。
図6】第4工程の実行状態を示す説明図である(実施例1)。
図7】供給ユニットの制御方法を示すフローチャートである(実施例1)。
図8】流体吐出装置の全体構成図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。なお、実施例は具体例を開示するものであり、本願発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。
【実施例
【0015】
〔実施例1の構成〕
実施例1の供給ユニット1を、図面を用いて説明する。
供給ユニット1は、所定の供給源2から流体を受け入れて、自身が有する内部空間3に充填し、所定の供給先4へ、降圧して吐出するものである。ここで、供給ユニット1にて供給される流体は、例えば、自動車の車体に塗布される塗料やシーリング剤であり、粘度が1万~10万cpである。また、供給源2は、流体を蓄えるタンク2a、および、タンク2aから流体を送り出すポンプ2b等からなる。さらに、供給先4は、周知構造のノズルであり、流体は、ノズルから吐出されて車体に塗布される(以下、供給先4をノズル4と呼ぶことがある。)。
【0016】
そして、供給ユニット1は、供給源2、ノズル4および多関節型のロボット5等とともに流体吐出装置6を構成し、例えば、ロボット5のアームに搭載されて3次元的に位置を変えることができる。また、ノズル4は、ロボット5のマニピュレータとしてロボット5の先端に装着され、ロボット5は、ノズル4が所定の軌跡に沿って3次元的に移動するように制御される。さらに、供給ユニット1とノズル4との間、および、供給ユニット1とポンプ2bとの間は、両方とも、曲折自在のホース7により接続され、ノズル4は、ホース7を介して流体を供給ユニット1から受け入れる。
以下、供給ユニット1に関し、詳細に説明する。
【0017】
供給ユニット1は、以下の区画壁部9、駆動部10、充填側回路部11、吐出側回路部12、第1、第2圧力検出部13、14、第1、第2容積検出部15、16、および、制御部17を備える。なお、制御部17は、駆動部10の一部をなす電動モータ10aや充填側回路部11、吐出側回路部12に組み入れられた開閉弁19A1、19B1、19A2、19B2等の動作を制御するものであり、例えば、ロボット5に付属するロボットコントローラである。
【0018】
以下、区画壁部9、駆動部10、充填側回路部11、吐出側回路部12、第1、第2圧力検出部13、14、および、第1、第2容積検出部15、16を、順次、説明する。
【0019】
まず、区画壁部9は、内部空間3を液密的に2つの空間3A、3Bに区画するものである。また、内部空間3は、供給ユニット1のボディ内に形成された空間であり、流体が充填される領域である。そして、区画壁部9は、空間3A、3Bの液密性を保ちつつ、空間3A、3Bそれぞれの容積Va、Vbを増減するように移動することができる(以下、区画壁部9をピストン9と呼ぶことがある。)。
【0020】
次に、駆動部10は、空間3A、3B間の液密性を保ちつつ、ピストン9を駆動して容積Va、Vbを変化させるものであり、より具体的には、例えば、電動モータ10aおよびボールねじ10bである。
電動モータ10aは、例えば、周知の同期モータであり、回転子の回転角を検出する回転角検出部21としてのエンコーダを有する。そして、回転角検出部21の信号は、制御部17に入力され、回転角検出部21の信号に基づき、電動モータ10aの動作が制御される。
【0021】
また、ボールねじ10bは、周知の構造を有し、電動モータ10aが発生するトルクを直線的な駆動力に変換して出力するものである。
そして、ピストン9は、ボールねじ10bの出力により、直線的に移動することで、容積Va、Vbを変化させる。
【0022】
また、充填側回路部11は、空間3A、3Bそれぞれへの流体の充填をオンオフし、吐出側回路部12は、空間3A、3Bそれぞれからの流体の吐出をオンオフする。より具体的には、充填側回路部11は、次の開閉弁19A1、19B1が組み入れられた流体回路として設けられ、開閉弁19A1は、ポンプ2bから空間3Aへの流体の充填をオンオフし、開閉弁19B1は、ポンプ2bから空間3Bへの流体の充填をオンオフする。また、吐出側回路部12は、次の開閉弁19A2、19B2が組み入れられた流体回路として設けられ、開閉弁19A2は、空間3Aからノズル4へ向けての流体の吐出をオンオフし、開閉弁19B2は、空間3Bからノズル4へ向けての流体の吐出をオンオフする。
【0023】
また、第1、第2圧力検出部13、14は、それぞれ空間3A、3Bの圧力Pa、Pbを検出する圧力センサであり、第1、第2圧力検出部13、14で得られた検出値は、制御部17に入力される。
さらに、第1、第2容積検出部15、16は、空間3A、3Bそれぞれの容積Va、Vbを検出するものであり、制御部17としてのロボットコントローラが第1、第2容積検出部15、16として機能する。より具体的には、第1、第2容積検出部15、16としての制御部17は、回転角検出部21から得た検出値に基づいて、容積Va、Vbを検出する。
【0024】
そして、制御部17は、流体を連続的に塗布している間、次の第1~第4工程を、順次、繰り返し実行する。
まず、第1工程では、開閉弁19A2、19B1を開き、開閉弁19A1、19B2を閉じた状態で、空間3Aが縮小、かつ、空間3Bが拡大する方向にピストン9を駆動する(図3参照。)。つまり、第1工程では、空間3Bに流体を充填させながら、空間3Aから流体を吐出させる。
【0025】
次に、第2工程では、開閉弁19A2を開き、開閉弁19A1、19B1、19B2を閉じた状態で、空間3Aが縮小、かつ、空間3Bが拡大する方向にピストン9を駆動する(図4参照。)。つまり、第2工程では、空間3Bへの流体の充填を停止した状態で、空間3Bを拡大することで、空間3Bに充填された流体を降圧させながら、空間3Aから流体を吐出させる。
【0026】
次に、第3工程では、開閉弁19B2、19A1を開き、開閉弁19A2、19B1を閉じた状態で、空間3Aが拡大、かつ、空間3Bが縮小する方向にピストン9を駆動する(図5参照。)。つまり、第3工程では、空間3Aに流体を充填させながら、空間3Bから流体を吐出させる。
【0027】
さらに、第4工程では、開閉弁19B2を開き、開閉弁19A1、19A2、19B1を閉じた状態で、空間3Aが拡大、かつ、空間3Bが縮小する方向にピストン9を駆動する(図6参照。)。つまり、第4工程では、空間3Aへの流体の充填を停止した状態で、空間3Aを拡大することで、空間3Aに充填された流体を降圧させながら、空間3Bから流体を吐出させる。
【0028】
また、制御部17は、第1工程から第2工程への切り替えを、第1容積検出部15の検出値に基づき、容積Vaが所定の閾値Vcに到達したと判定したときに実行する。つまり、容積Vaが閾値Vcまで低減したときに、第1工程から第2工程へ切り替える。また、第2工程から第3工程への切り替えを、第2圧力検出部14の検出値に基づき、圧力Pbが所定の閾値Pcに到達したと判定したときに実行する。つまり、圧力Pbが閾値Pcまで低減したときに、第2工程から第3工程へ切り替える。
【0029】
また、第3工程から第4工程への切り替えを、第2容積検出部16の検出値に基づき、容積Vbが閾値Vcに到達したと判定したときに実行する。つまり、容積Vbが閾値Vcまで低減したときに、第3工程から第4工程へ切り替える。さらに、第4工程から第1工程への切り替えを、第1圧力検出部13の検出値に基づき、圧力Paが閾値Pcに到達したと判定したときに実行する。つまり、圧力Paが閾値Pcまで低減したときに、第4工程から第1工程へ切り替える。
【0030】
〔実施例1の制御方法〕
実施例1の制御方法を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
なお、フローチャートに示されたステップS1~S8は、制御部17における、より上位の指令に基づき、例えば、塗布開始の指令が出てから、塗布終了の指令が出るまでの間、繰り返される。また、例えば、塗布開始の指令が出たら、ステップS1から、順次、各ステップが実行されるものとする。
【0031】
まず、ステップS1で、第1工程を実行する。つまり、空間3Bに流体を充填させながら、空間3Aから流体を吐出させる。
次に、ステップS2で、容積Vaが閾値Vcに到達したか否かを判定する。そして、容積Vaが閾値Vcに到達したら(YES)、ステップS3に移行して第2工程を実行する。つまり、空間3Bへの流体の充填を停止して空間3Bを拡大することで、空間3Bに充填された流体を降圧させながら、空間3Aから流体の吐出を継続させる。また、容積Vaが閾値Vcに到達していなければ(NO)、第1工程の実行を継続する。
【0032】
次に、ステップS4で、圧力Pbが閾値Pcに到達したか否かを判定する。そして、圧力Pbが閾値Pcに到達したら(YES)、ステップS5に移行して第3工程を実行する。つまり、空間3Aからの流体の吐出を停止して空間3Aへの流体の充填を開始させ、かつ、空間3Bから流体の吐出を開始させる。また、圧力Pbが閾値Pcに到達していなければ(NO)、第2工程の実行を継続する。
【0033】
次に、ステップS6で、容積Vbが閾値Vcに到達したか否かを判定する。そして、容積Vbが閾値Vcに到達したら(YES)、ステップS7に移行して第4工程を実行する。つまり、空間3Aへの流体の充填を停止して空間3Aを拡大することで、空間3Aに充填された流体を降圧させながら、空間3Bから流体の吐出を継続させる。また、容積Vbが閾値Vcに到達していなければ(NO)、第3工程の実行を継続する。
【0034】
さらに、ステップS8で、圧力Paが閾値Pcに到達したか否かを判定する。そして、圧力Paが閾値Pcに到達したら(YES)、ステップS1に移行して第1工程を実行する。また、圧力Paが閾値Pcに到達していなければ(NO)、第4工程の実行を継続する。
【0035】
〔実施例1の効果〕
実施例1の供給ユニット1は、供給源2から流体を受け入れて、自身が有する内部空間3に充填し、供給先4へ、降圧して吐出する。また、供給ユニット1は、以下のピストン9、駆動部10、充填側回路部11、吐出側回路部12、および、制御部17を備える。
【0036】
まず、ピストン9は、内部空間3を液密的に2つの空間3A、3Bに区画し、駆動部10は、空間3A、3B間の液密性を保ちつつ、ピストン9を駆動して空間3A、3Bそれぞれの容積Va、Vbを変化させることができる。
【0037】
また、充填側回路部11は、空間3A、3Bそれぞれへの流体の充填をオンオフし、吐出側回路部12は、空間3A、3Bそれぞれからの流体の吐出をオンオフする。また、制御部17は、駆動部10の一部をなす電動モータ10a、および、充填側、吐出側回路部11、12に組み入れられた開閉弁19A1、19B1、19A2、19B2の動作を制御する。
【0038】
これにより、工程時間を短縮することができる、というタンデム構造と同様のメリットを失うことなく、制御システム上の負荷を低減することができる。
すなわち、内部空間3をピストン9により2つの空間3A、3Bに区画し、容積Va、Vbが変化するようにピストン9を駆動することで、空間3A、3Bの一方から流体を吐出させつつ、他方に流体を充填させて降圧させることができる。
【0039】
このため、従来のタンデム構造のように、2つの流体充填用の内部空間を設けて、かつ、2つの流体充填用の内部空間ごとに電動モータを備える必要がなく、電動モータ10aを1つ備えることで、流体の吐出と流体の充填および降圧とを時間的に重ならせることができる。このため、工程時間を短縮することができる、というタンデム構造と同様のメリットを失うことなく、制御システム上の負荷を低減することができる。
【0040】
また、供給ユニット1によれば、従来のタンデム構造のように、流体充填用の内部空間を2つ備える必要がないので、質量を大幅に削減することができる。これにより、供給ユニット1を、例えば、ロボット5のアームに搭載してノズル4とともに3次元的に移動させることができる。このため、例えば、供給ユニット1とノズル4とを接続するホース7を短縮することができるので、塗布状態をより安定させることができる。また、供給ユニット1をロボット5に搭載する場合、供給ユニット1を作業スペースに設置する必要がなくなるので、流体吐出装置6全体の設置範囲を低減することができる。
【0041】
また、実施例1の供給ユニット1は、以下の第1、第2圧力検出部13、14、および、第1、第2容積検出部15、16を備える。
すなわち、第1、第2圧力検出部13、14は、空間3A、3Bそれぞれの圧力Pa、Pbを検出し、第1、第2容積検出部15、16は、空間3A、3Bそれぞれの容積Va、Vbを検出する。
【0042】
そして、制御部17は、次の第1~第4工程を、順次、繰り返し実行する。
まず、第1工程では、空間3Bに流体を充填させながら、空間3Aから流体を吐出させる。次に、第2工程では、空間3Bへの流体の充填を停止した状態で、空間3Bを拡大することで、空間3Bに充填された流体を降圧させながら、空間3Aから流体を吐出させる。次に、第3工程では、空間3Aに流体を充填させながら、空間3Bから流体を吐出させる。さらに、第4工程では、空間3Aへの流体の充填を停止した状態で、空間3Aを拡大することで、空間3Aに充填された流体を降圧させながら、空間3Bから流体を吐出させる。
【0043】
また、制御部17は、第1工程から第2工程への切り替えを、第1容積検出部15の検出値に基づき、容積Vaが所定の閾値Vcに到達したと判定したときに実行する。また、第2工程から第3工程への切り替えを、第2圧力検出部14の検出値に基づき、圧力Pbが所定の閾値Pcに到達したと判定したときに実行する。
【0044】
また、第3工程から第4工程への切り替えを、第2容積検出部16の検出値に基づき、容積Vbが閾値Vcに到達したと判定したときに実行する。さらに、第4工程から第1工程への切り替えを、第1圧力検出部13の検出値に基づき、圧力Paが閾値Pcに到達したと判定したときに実行する。
【0045】
つまり、供給ユニット1によれば、流体を吐出させる空間の切替に関し、空間3Aから空間3Bへの切替は、圧力Pbが閾値Pcに到達したと判定したときに実行され、空間3Bから空間3Aへの切替は、圧力Paが閾値Pcに到達したと判定したときに実行される。このため、例えば、閾値Pcを吐出圧に近似する数値に設定しておくことで、空間の切り替わりに伴う塗布状態の変動を抑制することができる。
【0046】
さらに、供給ユニット1によれば、充填した流体の降圧に関し、空間3Aにおける充填から降圧への切替は、容積Vbが閾値Vcに到達したと判定したときに実行され、空間3Bにおける充填から降圧への切替は、容積Vaが閾値Vcに到達したと判定したときに実行される。このため、閾値Vcを適宜設定することで、充填した流体の圧力を確実に吐出圧近傍まで下げることができる。
【0047】
また、実施例1の供給ユニット1によれば、第1、第2容積検出部15、16は、電動モータ10aの回転角検出部21(エンコーダ)の検出値に基づいて、容積Va、Vbを検出する。
これにより、容積Va、Vbを検出するために、別途、センサを追加する必要がなくなるので、装置コストを下げることができる。
【0048】
〔実施例2〕
実施例2の流体吐出装置6によれば、図8に示すように、供給ユニット1とノズル4とは一体化されて一体ユニット23を構成している。より具体的には、供給ユニット1の側方に設けられた吐出口にノズル4の受入口が、直接、接続されており、供給ユニット1とノズル4との間には、ホース7等の配管が組み入れられていない。
【0049】
このため、一体ユニット23では、ノズル4は、ホース7等の配管を経由することなく、供給ユニット1から流体を受け入れる。そして、一体ユニット23がロボット5の先端にマニピュレータとして装着されている。
これにより、流体吐出装置6の部品点数を低減することができる。また、供給ユニット1とノズル4との間をホース7等の配管で接続しないため、塗布状態を、さらに安定させることができる。
【0050】
〔変形例〕
本願発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
例えば、実施例1、2の供給ユニット1によれば、容積Va、Vbは、電動モータ10aの回転角検出部21(エンコーダ)の検出値に基づいて検出されていたが、例えば、ストロークセンサを装備してピストン9の移動量を検出し、このピストン9の移動量の検出値に基づいて、容積Va、Vbを検出してもよい。
【0051】
また、実施例1の流体吐出装置6によれば、供給ユニット1は、ロボット5のアームに搭載され、ノズル4は、ホース7を介して流体を供給ユニット1から受け入れており、実施例2の流体吐出装置6によれば、供給ユニット1は、ノズル4と一体化されて一体ユニット23を構成し、ノズル4は、ホース7等の配管を経由することなく、供給ユニット1から流体を受け入れていたが、供給ユニット1の搭載の態様は、このような態様に限定されない。例えば、供給ユニット1をノズル4とともにロボット5の先端に搭載して供給ユニット1とノズル4とをホース7により接続し、ロボット5の先端において、ホース7を介して供給ユニット1からノズル4に流体を供給するようにしてもよい。
【0052】
また、実施例1、2の供給ユニット1によれば、第2工程から第3工程への切り替えを連続的に行っていたが、第2工程と第3工程との間に時間的なインターバルを設けてもよい。つまり、空間3Aから流体を吐出する期間から、空間3Bから流体を吐出する期間への切り替えの間に時間的なインターバルを設けてもよい。
同様に、実施例1、2の供給ユニット1によれば、第4工程から第1工程への切り替えを連続的に行っていたが、第4工程と第1工程との間に時間的なインターバルを設けてもよい。つまり、空間3Bから流体を吐出する期間から、空間3Aから流体を吐出する期間への切り替えの間に時間的なインターバルを設けてもよい。
【0053】
また、実施例1、2の供給ユニット1によれば、第1工程から第2工程に切り替えるときと、第3工程から第4工程に切り替えるときとで、同じ閾値Vcを用いていたが、第1工程から第2工程に切り替えるときの閾値Vc12、第3工程から第4工程に切り替えるときの閾値Vc34として互いに異ならせてもよい。つまり、異なる閾値Vc12、Vc34とすることで、空間3Aへの流体の充填量と、空間3Bへの流体の充填量とを異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 供給ユニット 2 供給源 3 内部空間 3A、3B 空間 4 ノズル(供給先) 9 ピストン(区画壁部) 10 電動モータ(駆動部) 11 充填側回路部 12 吐出側回路部 13 第1圧力検出部 14 第2圧力検出部 15 第1容積検出部 16 第2容積検出部 17 制御部 Pa、Pb 圧力 Va、Vb 容積 Pc、Vc 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8