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特許7510208抗TrkA抗体又はその抗原結合フラグメント、その調製方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】抗TrkA抗体又はその抗原結合フラグメント、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240626BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240626BHJP
   C07K 16/40 20060101ALI20240626BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240626BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61K39/395 N
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/06
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P35/00
C07K16/40
C07K16/46
C12N15/13
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022570418
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2022077414
(87)【国際公開番号】W WO2022179516
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110222357.4
(32)【優先日】2021-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522306701
【氏名又は名称】熙源安健医▲薬▼(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】原 ▲曉▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】王 国永
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 玉▲ジャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲東▼▲紅▼
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/238998(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/28
A61K 39/395
A61P 21/00
A61P 25/00
A61P 25/04
A61P 25/06
A61P 29/00
A61P 35/00
C07K 16/40
C07K 16/46
C12N 15/13
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域VH及び軽鎖可変領域VLを含み
前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO: 4に示されるVH CDR1と、SEQ ID NO: 5に示されるVH CDR2と、SEQ ID NO: 6に示されるVH CDR3と、を含み;且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO: 28に示されるVL CDR1と、SEQ ID NO: 29に示されるVL CDR2と、SEQ ID NO: 30に示されるVL CDR3と、を含み;或いは
前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO: 16に示されるVH CDR1と、SEQ ID NO: 17に示されるVH CDR2と、SEQ ID NO: 18に示されるVH CDR3と、を含み;且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO: 40に示されるVL CDR1と、SEQ ID NO: 41に示されるVL CDR2と、SEQ ID NO: 42に示されるVL CDR3と、を含み;或いは、
前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO: 19に示されるVH CDR1と、SEQ ID NO: 20に示されるVH CDR2と、SEQ ID NO: 21に示されるVH CDR3と、を含み;且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO: 43に示されるVL CDR1と、SEQ ID NO: 44に示されるVL CDR2と、SEQ ID NO: 45に示されるVL CDR3と、を含み;或いは、
前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO: 22に示されるVH CDR1と、SEQ ID NO: 23に示されるVH CDR2と、SEQ ID NO: 24に示されるVH CDR3と、を含み;且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO: 46に示されるVL CDR1と、SEQ ID NO: 47に示されるVL CDR2と、SEQ ID NO: 48に示されるVL CDR3と、を含む、
TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO: 50に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO: 58に示される配列を有するVLを含み;或いは、
記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO: 54に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:62に示される配列を有するVLを含み;或いは、
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO: 55に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:63に示される配列を有するVLを含み;或いは、
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO: 56に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO: 64に示される配列を有するVLを含む、
請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
(a)ヒト免疫グロブリンの重鎖定常領域(CH)又はその変異体、及び
(b)ヒト免疫グロブリンの軽鎖定常領域(CL)又はその変異体をさらに含む、
請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、(Fab’)、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、及び二重特異性抗体(diabody)から選択され、及び/又は、前記抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体又は多重特異性抗体である、
請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記ヒト化抗体は、42F5-01、42F5-03、42F5-04、42F5-05、42F5-08、42F5-11、42F5-13、42F5-14又は42F5-15である、
請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメンをコードする、
単離された核酸分子。
【請求項7】
請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、並びに薬学的に許容されるベクター及び/又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
複数の病症や疾患を治療するための薬物の調製における請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの使用であって、
前記病症や疾患は疼痛、神経腫又はニューロン病症である、使用。
【請求項9】
前記疼痛は、炎症性疼痛、術後疼痛、神経障害痛、癌症疼痛のいずれか1つに関連する、請求項に記載の使用。
【請求項10】
前記疼痛は、膵炎性疼痛、腎結石性疼痛、子宮内膜症性疼痛、IBD性疼痛、術後癒着性疼痛、胆嚢結石性疼痛、頭痛、生理痛、筋骨格痛、捻挫性疼痛、内臓痛、卵巣嚢胞性疼痛、前立腺炎性疼痛、膀胱炎性疼痛、間質性膀胱炎性疼痛、術後疼痛、偏頭痛、三叉神経痛、やけど及び/又は創傷痛、創傷に関連する疼痛、神経性疼痛、筋骨格疾患に関連する疼痛、関節リウマチ性疼痛、骨関節炎性疼痛、強直性脊椎炎性疼痛、関節周囲病変性疼痛、腫瘍痛、骨転移による疼痛、HIV感染性疼痛のいずれか1つに関連する、
請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、生物免疫の技術分野に属し、具体的に、特異的にヒトトロポミオシン受容体キナーゼAに結合できる抗TrkA抗体又はその抗原結合フラグメントに関するものであり、本願発明は、前記抗体又はその抗原結合フラグメントの調製方法及び使用にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
トロポミオシン受容体キナーゼA(Tropomyosin Receptor Kinase, TrkA, high affinity nerve growth factor receptor, neurotrophic tyrosine kinase receptor type 1又はTRK1-transforming tyrosine kinase proteinとも称する)は、トロポミオシン受容体キナーゼ(Trk)ファミリーの一員であり、NTRK1(neurotrophic receptor tyrosine kinase 1)遺伝子によってコードされる。Trkファミリーは、TrkA、TrkB及びTrkCの3つの受容体を含み、各々特定のニューロトロフィンリガンドに結合することによって異なる生物学的役割を発揮する。Trk受容体は膜貫通受容体であり、リガンド結合ドメインを含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン(TM)、チロシンキナーゼドメインを含む細胞内ドメインからなる。TrkAは、主に神経堤ニューロン、交感神経ニューロン、並びに前脳基底部及び線条体のコリン作動性ニューロンにおいて発現され(Holtzman DM et al.(1992)Neuron 9(3):465-78、Verge VM et al.(1992)J. Neurosci.12(10):4011-22)、Bリンパ球を含むいくつかの非ニューロン組織及び細胞においても発現される(Torcia M et al.(1996)Cell 85(3):345-56)。TrkAは神経成長因子(Nerve Growth Factor,NGF)に選択的に結合し、NGFの高親和性受容体である。NGFとTrkAとの結合によって、TrkAキナーゼ活性が活性化され、それにより、Ras/MAPK、PI3K/Akt及びPLCγ経路を含む複数のシグナル伝達経路が活性化される。TrkAとの結合に加えて、NGFは、p75共通神経栄養因子受容体(p75 neurotrophin receptor, p75NTR,「低親和性」NGF受容体とも称される)にも結合する。
【0003】
NGF/TrkAシグナル伝達経路は、細胞分化、増殖、生存及び疼痛などに関連している。その中、NGF/TrkAと疼痛の発生は末梢性痛覚末梢過敏と関係があり、NGF/TrkA経路の活性化は、一過性受容体電位バニロイド受容体1(Transient receptor potential vanilloid subtype 1, TRPV1)のリン酸化を増加させることができ、それによって感受性化させる。また、NGF/TrkAは、TRPV1、Na/Ca/Kイオンチャネル、CGRP、サブスタンスP及び脳由来神経栄養因子(BDNF)などを含む複数のタンパク質の発現を増加させることができ、これらのタンパク質は、さらに侵害受容ニューロンを感受性化させ、痛覚信号を増加させ、且つ、後根神経節から中枢に伝達し、中枢神経系における二次ニューロンの活性化を促進する(Denk F et al.(2017)Annu. Rev. Neurosci.40:307-325)。損傷した組織や炎症組織において、NGFは高度に発現されており、且つ、TrkAによる侵害受容ニューロンの活性化は複数のメカニズムによって引き起こされ、疼痛信号を発生させる。NGF/TrkAシグナル伝達経路と疼痛との関係は、既に動物モデルにおいて証明されている。ラットにNGFを注射した後、熱刺激による足引っ込め潜時は明らかに短縮された(Lewin et al.(1994)Eur J Neurosci,6:1903-1912)。一方、ラットに抗NGF抗体、TrkA-IgG、小分子TrkA阻害剤などを投与することによりNGF/TrkAシグナルを遮断することによって、疼痛を抑えることができる(Woolf CJ et al.(1994)Neuroscience 62:327-331、 McMahon SB et al.(1995)Net. Med.1:774-780、 Koltzenburg M et al.(1999)Eur. J. Neurosci.11:1698-1704、 Bagal SK et al.(2019)J Med Chem.62(1):247-265)。人体では、NGF含有量は、関節リウマチ、間質性膀胱炎、膵炎、前立腺炎、糖尿病性神経障害及び癌性疼痛などの疼痛患者においても上昇する(Aloe et al.(1992) Arthritis and Rheumatism 35:351-355、 Mantyh PW et al.(2011)Anesthesiology 115(1):189-204)。健康な人にNGFを注射した後、痛覚過敏及び限局性の疼痛が生じる可能性があり(Petty et al.(1994)Ann Neurol.36:244-246)、痛覚過敏反応の発生にはNGFレベルの上昇が必要であることが示唆されている。NGF β遺伝子のホモ接合体ミスセンス変異はヒトにHSAN5症状を引き起こし、このような患者は痛み、寒さ、暑さに鈍感である(Larsson et al.(2009)Neurobiol Dis,33:221-228)。一方、先天性無痛無汗症(CIPA)患者の遺伝学的研究によると、TrkA遺伝子(NTRK1)の細胞外又は細胞内ドメインの変異がCIPAを引き起こす可能性があり、このような患者では、TrkAはNGFによって活性化されることができず、これにより、患者は痛覚感受能力を失う(Mardy S et al.(2001)Human mutation 18:462-471)。
【0004】
世界的に、数千万人の患者は慢性疼痛に苦しんでおり、この数が人口増加とともに増加し続けている。現在、臨床的に慢性疼痛の治療に使用されている薬物には、非ステロイド性抗炎症薬、抗けいれん薬、オピオイドなどがあるが、これらの薬物には多くの欠点がある。その中、非ステロイド性抗炎症薬の治療効果は限られており、且つ、消化管出血や腎臓毒性などを含む副作用がある。一方、オピオイドには依存症などの副作用がある。30%未満の慢性疼痛患者のみは、既存の治療から恩恵を受けている(Kalso E et al.(2004) Pain 112(3):372-80)。当該分野では、疼痛を緩和でき、毒性がなく、乱用を防止できる非オピオイド鎮痛薬は緊急に必要とされているので、新規鎮痛メカニズムとして、NGF/TrkAはこの課題を解決する可能性を提供している。現在まで、多くの抗ヒトNGF抗体は、研究開発や臨床開発の段階にあり、臨床実験によれば、NGF抗体が変形性関節症に伴う関節痛、慢性腰痛、間質性膀胱炎に伴う膀胱痛などの疼痛に対して、強力で広範囲にわたる鎮痛効果を示す(Lane NE et al.(2010)N Engl J Med 363:1521-1531)。一方、複数のNGF抗体の臨床実験からも分かるように、NGF抗体は、患者の骨関節炎の進行を促進するリスクを高め(Thomas JS et al.(2019)JAMA 322:37-48)、重症者の使用に限定され、長期間使用できず、且つ投与量が限定されるなどの問題に直面する可能性があり、NGF抗体の臨床応用には、さらなる安全性の検証が必要である。
【0005】
TrkAを標的とする抗体は、NGF阻害剤に比べて理論的にはより良い治療選択である。TrkA抗体は、NGFとp75受容体との結合に影響せず、p75受容体の機能は、ニューロンの発育、骨芽細胞の分化、増殖、筋芽細胞の分化、筋肉の修復などに関連するためである(Akiyama Y et al.(2014)Differentiation,87:111-118、Deponti et al.(2009)Molecular Biology of the Cell,20:3620-3627、Mikami et al.(2012)Differentiation,84:392-399)。TrkA抗体は、安全性の面でより優れると予期できる。
【0006】
これに基づき、現在、親和力がより高く、特異性がより強い抗TrkA抗体が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
従来技術の問題を鑑み、本願発明の主な目的は、親和力がより高く、特異性がより強い抗TrkA抗体を提供することである。本願発明は、前記抗体の調製方法及び使用も提供する。本願発明の抗TrkA抗体は、炎症性疼痛、術後疼痛、神経障害痛、癌症疼痛、骨関節炎などを含む疼痛の治療に使用することができる。従来技術に比べて、本願発明によって研究開発された抗TrkA抗体又はその抗原結合フラグメントは、より高い親和力、より優れた特異性及びより強い活性を具備する。
【0008】
一態様では、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含み、
(a)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH):
(i)以下の配列からなるVH CDR1(SEQ ID NO:1)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(ii)以下の配列からなるVH CDR2(SEQ ID NO:2)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(iii)以下の配列からなるVH CDR3(SEQ ID NO:3)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
及び/又は
(b)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)以下の配列からなるVL CDR1(SEQ ID NO:25)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(v)以下の配列からなるVL CDR2(SEQ ID NO:26)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(vi)以下の配列からなるVL CDR3(SEQ ID NO:27)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
好ましくは、(i)-(vi)のいずれか1つに記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO:1に示されるVH CDR1、SEQ ID NO:2に示されるVH CDR2、SEQ ID NO:3に示されるVH CDR3を含み、且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO:25に示されるVL CDR1、SEQ ID NO:26に示されるVL CDR2、SEQ ID NO:27に示されるVL CDR3を含む。
【0009】
一方、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含み、
(a)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH):
(i)以下の配列からなるVH CDR1(SEQ ID NO:4)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(ii)以下の配列からなるVH CDR2(SEQ ID NO:5)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(iii)以下の配列からなるVH CDR3(SEQ ID NO:6)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
及び/又は
(b)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)以下の配列からなるVL CDR1(SEQ ID NO:28)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(v)以下の配列からなるVL CDR2(SEQ ID NO:29)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(vi)以下の配列からなるVL CDR3(SEQ ID NO:30)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
【0010】
好ましくは、(i)-(vi)のいずれか1つに記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO:4に示されるVH CDR1、SEQ ID NO:5に示されるVH CDR2、SEQ ID NO:6に示されるVH CDR3を含み、且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO:28に示されるVL CDR1、SEQ ID NO:29に示されるVL CDR2、SEQ ID NO:30に示されるVL CDR3を含む。
【0011】
一方、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含み、
(a)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH):
(i)以下の配列からなるVH CDR1(SEQ ID NO:7)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(ii)以下の配列からなるVH CDR2(SEQ ID NO:8)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(iii)以下の配列からなるVH CDR3(SEQ ID NO:9)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
及び/又は
(b)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)以下の配列からなるVL CDR1(SEQ ID NO:31)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(v)以下の配列からなるVL CDR2(SEQ ID NO:32)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(vi)以下の配列からなるVL CDR3(SEQ ID NO:33)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
好ましくは、(i)-(vi)のいずれか1つに記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO:7に示されるVH CDR1、SEQ ID NO:8に示されるVH CDR2、SEQ ID NO:9に示されるVH CDR3を含み、且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO:31に示されるVL CDR1、SEQ ID NO:32に示されるVL CDR2、SEQ ID NO:33に示されるVL CDR3を含む。
【0012】
一方、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含み、
(a)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH):
(i)以下の配列からなるVH CDR1(SEQ ID NO:10)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(ii)以下の配列からなるVH CDR2(SEQ ID NO:11)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(iii)以下の配列からなるVH CDR3(SEQ ID NO:12)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
及び/又は
(b)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)以下の配列からなるVL CDR1(SEQ ID NO:34)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(v)以下の配列からなるVL CDR2(SEQ ID NO:35)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(vi)以下の配列からなるVL CDR3(SEQ ID NO:36)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
好ましくは、(i)-(vi)のいずれか1つに記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO:10に示されるVH CDR1、SEQ ID NO:11に示されるVH CDR2、SEQ ID NO:12に示されるVH CDR3を含み、且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO:34に示されるVL CDR1、SEQ ID NO:35に示されるVL CDR2、SEQ ID NO:36に示されるVL CDR3を含む。
【0013】
一方、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含み、
(a)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH):
(i)以下の配列からなるVH CDR1(SEQ ID NO:13)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(ii)以下の配列からなるVH CDR2(SEQ ID NO:14)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(iii)以下の配列からなるVH CDR3(SEQ ID NO:15)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
及び/又は
(b)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)以下の配列からなるVL CDR1(SEQ ID NO:37)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(v)以下の配列からなるVL CDR2(SEQ ID NO:38)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(vi)以下の配列からなるVL CDR3(SEQ ID NO:39)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
好ましくは、(i)-(vi)のいずれか1つに記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO:13に示されるVH CDR1、SEQ ID NO:14に示されるVH CDR2、SEQ ID NO:15に示されるVH CDR3を含み、且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO:37に示されるVL CDR1、SEQ ID NO:38に示されるVL CDR2、SEQ ID NO:39に示されるVL CDR3を含む。
【0014】
一方、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含み、
(a)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH):
(i)以下の配列からなるVH CDR1(SEQ ID NO:16)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(ii)以下の配列からなるVH CDR2(SEQ ID NO:17)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(iii)以下の配列からなるVH CDR3(SEQ ID NO:18)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
及び/又は
(b)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)以下の配列からなるVL CDR1(SEQ ID NO:40)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(v)以下の配列からなるVL CDR2(SEQ ID NO:41)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(vi)以下の配列からなるVL CDR3(SEQ ID NO:42)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
好ましくは、(i)-(vi)のいずれか1つに記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO:16に示されるVH CDR1、SEQ ID NO:17に示されるVH CDR2、SEQ ID NO:18に示されるVH CDR3を含み、且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO:40に示されるVL CDR1、SEQ ID NO:41に示されるVL CDR2、SEQ ID NO:42に示されるVL CDR3を含む。
【0015】
一方、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含み、
(a)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH):
(i)以下の配列からなるVH CDR1(SEQ ID NO:19)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(ii)以下の配列からなるVH CDR2(SEQ ID NO:20)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(iii)以下の配列からなるVH CDR3(SEQ ID NO:21)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
及び/又は
(b)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)以下の配列からなるVL CDR1(SEQ ID NO:43)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(v)以下の配列からなるVL CDR2(SEQ ID NO:44)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(vi)以下の配列からなるVL CDR3(SEQ ID NO:45)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
好ましくは、(i)-(vi)のいずれか1つに記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO:19に示されるVH CDR1、SEQ ID NO:20に示されるVH CDR2、SEQ ID NO:21に示されるVH CDR3を含み、且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO:43に示されるVL CDR1、SEQ ID NO:44に示されるVL CDR2、SEQ ID NO:45に示されるVL CDR3を含む。
【0016】
一方、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含み、
(a)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH):
(i)以下の配列からなるVH CDR1(SEQ ID NO:22)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(ii)以下の配列からなるVH CDR2(SEQ ID NO:23)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(iii)以下の配列からなるVH CDR3(SEQ ID NO:24)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
及び/又は
(b)下記の3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)以下の配列からなるVL CDR1(SEQ ID NO:46)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
(v)以下の配列からなるVL CDR2(SEQ ID NO:47)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、及び、
(vi)以下の配列からなるVL CDR3(SEQ ID NO:48)、又はそれに対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個又は3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、
好ましくは、(i)-(vi)のいずれか1つに記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVHは、SEQ ID NO:22に示されるVH CDR1、SEQ ID NO:23に示されるVH CDR2、SEQ ID NO:24に示されるVH CDR3を含み、且つ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのVLは、SEQ ID NO:46に示されるVL CDR1、SEQ ID NO:47に示されるVL CDR2、SEQ ID NO:48に示されるVL CDR3を含む。
【0017】
一方、本願発明は、TrkAに特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、その中、
前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:49-56のいずれか1つに示される重鎖可変領域に含まれる3つのCDRを含み、且つ、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:57-64のいずれか1つに示される軽鎖可変領域に含まれる3つのCDRを含み、
好ましくは、前記重鎖可変領域に含まれる3つのCDR、及び/又は前記軽鎖可変領域に含まれる3つのCDRは、Kabat又はIMGT番号付けシステムによって定義される。
【0018】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:49に示される配列、
(ii)SEQ ID NO:49に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:49に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:57に示される配列、
(v)SEQ ID NO:57に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:57に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:49に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:57に示される配列を有するVLを含む。
【0019】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:50に示される配列、
(ii)SEQ ID NO:50に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:50に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:58に示される配列、
(v)SEQ ID NO:58に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:58に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:50に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:58に示される配列を有するVLを含む。
【0020】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:51に示される配列、
(ii)SEQ ID NO:51に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:51に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:59に示される配列、
(v)SEQ ID NO:59に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:59に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:51に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:59に示される配列を有するVLを含む。
【0021】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:52に示される配列、
(ii)SEQ ID NO:52に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:52に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:60に示される配列、
(v)SEQ ID NO:60に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:60に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:52に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:60に示される配列を有するVLを含む。
【0022】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:53に示される配列、
(ii)SEQ ID NO:53に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:53に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:61に示される配列、
(v)SEQ ID NO:61に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:61に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:53に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:61に示される配列を有するVLを含む。
【0023】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:54に示される配列、
(ii)SEQ ID NO:54に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:54に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:62に示される配列、
(v)SEQ ID NO:62に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:62に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:54に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:62に示される配列を有するVLを含む。
【0024】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:55に示される配列、
(ii)SEQ ID NO:55に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:55に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:63に示される配列、
(v)SEQ ID NO:63に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:63に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:55に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:63に示される配列を有するVLを含む。
【0025】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:56に示される配列、
(ii)SEQ ID NO:56に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:56に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:64に示される配列、
(v)SEQ ID NO:64に示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:64に示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:56に示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:64に示される配列を有するVLを含む。
【0026】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントはさらに以下を含み:
(a)ヒト免疫グロブリンの重鎖定常領域(CH)又はその変異体であって、前記変異体は、それが由来する配列と対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば、多くとも20個、多くとも15個、多くとも10個、又は多くとも5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された、例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)、及び
(b)ヒト免疫グロブリンの軽鎖定常領域(CL)又はその変異体であって、前記変異体は、それが由来する配列と対して多くとも20個のアミノ酸が保存的置換された(例えば多くとも15個、多くとも10個、又は多くとも5個のアミノ酸が保存的置換された、例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が保存的置換された)、
好ましくは、前記重鎖定常領域はIgG重鎖定常領域であり、例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4重鎖定常領域であり、
好ましくは、前記軽鎖定常領域はκ軽鎖定常領域である。
【0027】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、(Fab’)、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、二重特異性抗体(diabody)及び単一ドメイン抗体(sdAb)から選択され、及び/又は、前記抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体又は多重特異性抗体である。
【0028】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記ヒト化抗体は以下を含み:
(a)以下から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH):
(i)SEQ ID NO:81、85、89、97、99及び101のいずれか1つに示される配列、
(ii)SEQ ID NO:81、85、89、97、99及び101のいずれか1つに示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(iii)SEQ ID NO:81、85、89、97、99及び101のいずれか1つに示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
及び/又は、
(b)以下から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL):
(iv)SEQ ID NO:83、87、91、93及び95のいずれか1つに示される配列、
(v)SEQ ID NO:83、87、91、93及び95のいずれか1つに示される配列に対して1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された(例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された)配列、或いは、
(vi)SEQ ID NO:83、87、91、93及び95のいずれか1つに示される配列とは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する配列、
好ましくは、(ii)又は(v)に記載される置換は保存的置換であり、
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:81、85、89、97、99及び101のいずれか1つに示される配列を有するVH及びSEQ ID NO:83、87、91、93及び95のいずれか1つに示される配列を有するVLを含む。
【0029】
より好ましくは、前記ヒト化抗体は、42F5-01、42F5-03、42F5-04、42F5-05、42F5-08、42F5-11、42F5-13、42F5-14又は42F5-15から選択される。
【0030】
本願発明による抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、標識されており、好ましくは、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、検出可能な標識、例えば酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、放射性核種、蛍光染料、発光物質(例えば、化学発光物質)又はビオチンにより標識されている。
【0031】
一方、本願発明は、前記抗体又はその抗原結合フラグメント、或いはその重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする単離された核酸分子も提供し、
好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:65-80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100及び102のいずれか1つに示されるヌクレオチドコード配列を含む。
【0032】
本願発明は、前記単離された核酸分子を含むベクターも提供し、好ましくは、前記ベクターはクローニングベクター又は発現ベクターである。
【0033】
本願発明は、前記単離された核酸分子又は前記ベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0034】
本願発明は、前記抗体又はその抗原結合フラグメントを調製する方法も提供し、当該方法は、前記抗体又はその抗原結合フラグメントの発現を許す条件下で、前記宿主細胞を培養すること、及び、培養された宿主細胞培養物から前記抗体又はその抗原結合フラグメントを回収すること、を含み、
好ましくは、前記宿主細胞は哺乳動物細胞であり、より好ましくはヒト、マウス、ヒツジ、ウマ、イヌ又はネコの細胞であり、さらに好ましくはチャイニーズハムスター卵巣細胞である。
【0035】
本願発明は、前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む二重特異性又は多重特異性分子も提供し、
好ましくは、前記二重特異性又は多重特異性分子は、TrkAに特異的に結合し、そして、さらに1つ又は複数の他のターゲットに特異的に結合する。
【0036】
好ましくは、前記二重特異性又は多重特異性分子は、さらに第2ターゲットに対する第2結合特異性を有する分子(例えば二次抗体)を少なくとも1種含む。
【0037】
本願発明は、前記抗体又はその抗原結合フラグメント、前記二重特異性又は多重特異性分子、並びに薬学的に許容されるベクター及び/又は賦形剤を含む医薬組成物も提供する。本願発明は、複数の病症や疾患を治療するための薬物の調製における前記抗体又はその抗原結合フラグメント、或いは前記二重特異性又は多重特異性分子、或いは医薬組成物、或いは前記宿主細胞の使用も提供する。
【0038】
本願発明は、必要とする被験者(適宜哺乳動物被験者、特にヒト被験者である)に治療上有効な量の抗体又はその抗原結合フラグメント、或いは前記二重特異性又は多重特異性分子、或いは医薬組成物、或いは前記宿主細胞を投与することを含む、複数の病症や疾患の治療方法も提供する。前記病症や疾患は疼痛であり、好ましくは慢性疼痛又は急性疼痛であり、より好ましくは慢性疼痛であり、さらに、疼痛は、炎症性疼痛、術後疼痛、神経障害痛、癌症疼痛などのいずれか1つに関連し、より更に好ましくは、疼痛は、膵炎性疼痛、腎結石性疼痛、子宮内膜症性疼痛、IBD性疼痛、術後癒着性疼痛、胆嚢結石性疼痛、頭痛、生理痛、筋骨格痛、捻挫性疼痛、内臓痛、卵巣嚢胞性疼痛、前立腺炎性疼痛、膀胱炎性疼痛、間質性膀胱炎性疼痛、術後疼痛、偏頭痛、三叉神経痛、やけど及び/又は創傷痛、創傷に関連する疼痛、神経性疼痛、筋骨格疾患に関連する疼痛、関節リウマチ性疼痛、骨関節炎性疼痛、強直性脊椎炎性疼痛、関節周囲病変性疼痛、腫瘍痛、骨転移による疼痛、HIV感染性疼痛のいずれか1つに関連する。前記病症や疾患は神経腫、ニューロン病症である。本願発明が提供する抗体は薬物として既存抗体に比べて、より強い結合能と特異性を有する。
【0039】
以下、図面とともに本願発明の実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本願発明の抗TrkA抗体がヒトTrkAタンパク質に結合するELISA実験結果を示す。
図2】本願発明の抗TrkA抗体がTrkAタンパク質細胞外ドメイン(192-402)に結合するELISA実験結果を示す。
図3】本願発明の抗TrkA抗体がサルTrkAタンパク質に結合するELISA実験結果を示す。
図4】本願発明の抗TrkA抗体がマウスTrkAタンパク質に結合するELISA実験結果を示す。
図5】本願発明の抗TrkA抗体がラットTrkAタンパク質に結合するELISA実験結果を示す。
図6】本願発明の抗TrkA抗体がヒトTrkAタンパク質を発現するCHO細胞に結合するFACS結果を示す。
図7】本願発明の抗TrkA抗体と従来技術の抗TrkA抗体によるヒトTrkAとリガンドNGFの結合の遮断効率を示す模式図である。
図8】本願発明の抗TrkA抗体と従来技術の抗TrkA抗体が、NGFによって誘導されるTF-1細胞増殖を阻害する効率を示す模式図である。
図9】本願発明の抗TrkA抗体と従来技術の抗TrkA抗体が、NGFによって誘導されるTrkA/Ba/F3細胞増殖を阻害する効率を示す模式図である。
図10】本願発明の抗TrkA抗体がヒトTrkAに結合するELISA実験結果を示す。
図11】本願発明の抗TrkA抗体がヒトTrkBに結合するELISA実験結果を示す。
図12】本願発明の抗TrkA抗体がヒトTrkCに結合するELISA実験結果を示す。
図13】CFA誘発マウス炎症性モデルでは足底にモデリング剤CFAを注射する前に、VonFreyにより痛覚閾値を測定して得られた基本的な痛覚閾値を示す。
図14】CFA誘発マウス炎症性モデルでは足底にモデリング剤CFAを注射してから24時間程度の痛覚閾値を示し、それは投与前の痛覚閾値である。
図15】本願発明の抗TrkA抗体33H5と42F5を用いてCFA誘発マウス炎症性モデルを処理してから24時間後の痛覚閾値を示し、ただ、*P<0.05 vs 生理食塩水、***P<0.001 vs 生理食塩水。
図16】本願発明の抗TrkA抗体33H5と42F5を用いてCFA誘発マウス炎症性モデルを処理してから48時間後の痛覚閾値を示し、ただ、*P<0.05 vs 生理食塩水、***P<0.001 vs 生理食塩水。
図17】本願発明のヒト化抗TrkA抗体がヒトTrkAに結合するELISA実験結果を示す。
図18】本願発明のヒト化抗TrkA抗体がヒトTrkA、TrkB又はTrkCタンパク質を発現するCHO細胞に結合するFACS結果を示す。
図19】本願発明のヒト化抗TrkA抗体がヒトTrkAタンパク質を発現するCHO細胞に結合する結果を示す。
図20】本願発明のヒト化抗TrkA抗体が、NGFによって誘導されるTF-1細胞増殖を阻害する効率を示す。
図21】本願発明のヒト化抗TrkA抗体が、NGFによって誘導されるTrkA/Ba/F3細胞増殖を阻害する効率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
実施例1:マウス抗TrkA抗体の調製
マウスFcラベルを含む組換えヒトTrkAタンパク質(北京百普賽斯生物科技股▲ふん▼有限公司,TRA-H5254)を免疫原として、等量の完全フロイントアジュバント(Sigma-Alderich,F5881)と混合、乳化して、初期免疫に用いられた。6週齢のBALB/c及びC57マウス(江蘇華阜康)をそれぞれ10匹用意し、各動物に50μgの免疫原(アジュバントの質量を除く。以下同じである。)を皮下注射した。免疫原と不完全フロイントアジュバント(Sigma-Alderich,F5506)と混合、乳化して、続く追加免疫に用いられた。初期免疫の2週間後、各動物に25μgの免疫原を腹腔内注射して、1回目の追加免疫を行った。2週間後、各動物に25μgの免疫原を皮下注射して、2回目の追加免疫を行った。4-5週間後、最後の免疫ショックを行い、25μgの免疫原を腹腔内注射した。
【0042】
最後の免疫後、マウスB細胞を単離し、SP2/0細胞(中国科学院セルバンク、TCM18)と混合し、BTX社のエレクトロポレーターの操作マニュアルに従って融合させた。融合細胞を培養した後、酵素免疫測定法(ELISA)を使用して、TrkAに結合し且つヒトTrkAとリガンドNGFとの結合を阻害できるハイブリドーマ細胞を選別した。さらに、限界希釈法によりサブクローニングは行われ、同じELISA法で8つの陽性ハイブリドーマモノクローナル細胞株を選別し、それぞれ5A3、11G8、26E9、33H5、40D6、42F5、42H6及び42A11と命名した。
【0043】
ハイブリドーマモノクローナル細胞株を増殖させ、無血清培地で培養し、培地を収集し、また、プロテインGカラムで精製して、マウス抗ヒトTrkAモノクローナル抗体5A3、11G8、26E9、33H5、40D6、42F5、42H6及び42A11を得た。
【0044】
実施例2:マウス抗TrkA抗体がTrkAに結合するELISA検出
ヒトFcを含むTrkA細胞外ドメイン(33-417)(北京百普賽斯生物科技股▲ふん▼有限公司,TRA-H5259)タンパク質を用いて、抗TrkA抗体の結合能を検出した。96ウェルELISAプレートの各ウェルを50ngのヒトTrkAでコーティングして、洗浄、ブロッキングした後、段階希釈された抗体を加え、室温で1時間インキュベートした。3回洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスFc抗体(Biolegend, 405306)を加え、室温で1時間インキュベートし、3回洗浄した後、テトラメチルベンジジン(TMB,Biolegend,421101)を加えて発色させ、1M HClで発色を中止し、マイクロプレートリーダーによって450nmの吸光度値を読み取った。
【0045】
8つのハイブリドーマによって分泌された抗TrkA抗体は、いずれも用量依存的にヒトTrkA細胞外ドメインに結合し(図1)、8つの抗体がヒトTrkAに結合するEC50は、表1に示す。
【0046】
さらに、ヒトTrkA細胞外ドメインとリガンドNGFが結合するドメイン(TrkA 192-402)のみを含む融合タンパク質(融合ヒトFc)(北京百普賽斯生物科技股▲ふん▼有限公司,TRA-H5258)を用いて、抗TrkA抗体の結合能を検出した。ELISAの結果、抗TrkA抗体とTrkA細胞外ドメイン192-402アミノ酸領域の結合を図2に示し、EC 50を表2に示した。
【0047】
また、サルTrkA (杭州皓陽生物技術有限公司,HSP037-05)、ラットTrkA(北京義翹神州科技股▲ふん▼有限公司,80243-R03H)、マウスTrkA (北京義翹神州科技股▲ふん▼有限公司,51103-M02H)細胞外ドメイン融合タンパク質(融合ヒトFc)を用いて、抗TrkA抗体の種属交差反応を検出した。ELISAの結果、8つの抗TrkA抗体は、いずれも3つの他の種属のTrkAタンパク質と強く結合することができ、結果を図3-5に示す。
【0048】
【表1】
【表2】
【0049】
実施例3:マウス抗TrkA抗体とヒトTrkAとの結合親和力の検出
生物分子相互作用検出プラットフォームForteBio Octet Red96 (PALL)を適用して抗体親和力を測定した。
【0050】
抗ヒトFc捕捉センサ(Fortebio,18-5088)を利用して、ヒトFcラベルを含むTrkA細胞外ドメイン(33-417)タンパク質をチップに固定した後、勾配濃度の抗TrkA抗体を結合させた。バッファー(1X Kinetics Buffer:PBS+0.1%BSA+0.05% Tween 20)を加え解離を行い、最後に抗原抗体結合した親和速度定数を機器アルゴリズムで算出し、結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
実施例4: フローサイトメトリーによるマウス抗TrkA抗体とTrkA/CHO細胞との結合の検出
フローサイトメトリー(FACS)により、抗TrkA抗体と全長TrkAを発現するCHO-K1細胞(TrkA/CHO)との結合状況を検出した。TrkA/CHO細胞を10% FBS、5μg/mLピューロマイシンを含むF12K培地(Hyclone,SH30026)で培養し、陰性対照細胞CHO-K1を10% FBSを含むF12K培地で培養し、細胞を対数増殖期に回収し、2%FBSを含むPBSで細胞を再懸濁し、96ウェルプレートの各ウェルに10の細胞(50μl)を加え、また50μlの20μg/mL抗TrKA抗体又はマウスIgG対照を加え、室温で1時間反応させ、1μg/mL Alexa Flour 647標記ヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson,115-605-062)を加え、室温で30分間インキュベートした。フローサイトメータ(BioRad, ZE5)によって抗体の結合状況を検出し、図6に示すように、8つの抗TrkA抗体はいずれもTrkA/CHO細胞に結合することができるが、CHO-K1細胞に結合しておらず、対照抗体マウスIgGはCHO-K1にもTrkA/CHOにも結合していない。
【0053】
実施例5: マウス抗TrkA抗体によるヒトTrkAとリガンドNGFの結合の遮断
出願人は、中国特許出願CN101939337Aが提供した配列情報に基づき、その中の最適抗体BXhVH5VL1の重鎖可変領域(SEQ ID NO:5)及び軽鎖可変領域(SEQ ID NO:7)を参照して、対照抗体BXhVH5VL1を合成した。
【0054】
96ウェルELISAプレートの各ウェルを50ngのヒトFc融合TrkA細胞外ドメイン(33-417)タンパク質でコーティングし、3回洗浄した後、3%BSAで1時間ブロッキングした。10,000ng/mL(66.67 nM)抗TrkA抗体を0.17ng/mL(0.0011 nM)になるまで10つの濃度で3倍段階希釈し、各ウェルに100μLを加え、30分間インキュベートした後、各ウェルに100μLの1μg/mLビオチン標識ヒトNGFを加え、室温で1時間インキュベートし、3回洗浄した。ストレプトアビジン標識西洋ワサビペルオキシダーゼ(Streptavidin-HRP,Biolegend,405210)を加え0.5時間インキュベートして、3回洗浄した後、ELISAプレートにTMBを加え、発色終止後、マイクロプレートリーダーによって450nmの吸光度値を読み取った。
【0055】
結果を図7に示すように、本願発明の抗TrkA抗体は、ヒトTrkAとリガンドNGFとの結合を遮断することができ、遮断効果は抗体濃度の増加とともに明らかに増加し、抗体濃度が20nMである場合、8つの抗TrkA抗体はTrkAとNGFとの結合をほぼ完全に遮断することができる。一方、対照抗体BXhVH5VL1は、TrkAとNGFとの結合に対して、測定濃度(0.001-100nM)内で顕著な遮断作用を示していない。本願発明の8つの抗TrkA抗体及びBXhVH5VL1がヒトTrkAとリガンドNGFとの結合を遮断するIC50を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
実施例6: マウス抗TrkA抗体のinvitro中和活性検出
A.NGFによって誘導されるTF-1細胞増殖実験
TF-1細胞(ヒト血液白血病細胞,ATCC,CRL-2003)の成長は、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)に高度に依存するが、NGFはTF-1細胞表面のTrkAに結合した後、その下流のシグナル伝達経路を活性化し、TF-1の成長を誘導することもできるので、GM-CSFに依存する必要はない。TF-1細胞を10%FBS (Gibco,10091148)、2μg/mL GM-CSF(R&D,215-GM-010)を含むRPMI1640培地(HyClone,SH30027)で培養し、細胞を対数増殖期で回収し、十分に洗浄して元の増殖培地からGM-CSFを除去し、GM-CSFを含まない培地に再懸濁し、ウェルあたり5000個の細胞を80μlの培地で希釈し、底部が透明である白い96ウェル細胞培養プレート(corning,3610)に敷いた。抗TrkA抗体を400μg/mL(2666.67nM)から4倍段階希釈して、10つの濃度を調製し、各ウェル細胞に10μL加え、室温で0.5時間インキュベートした後、各ウェル細胞に10μLの50ng/mLヒトNGFを加え、37℃、5%COインキュベーターで細胞を72時間培養した後、100μL CellTiter-Glo(登録商標)細胞生存率検出試薬(Promega,G7573)を加え、マルチプレートリーダー(SpectraMax)を使用して光学発光シグナルを読み取った。図8に示すように、本願発明の抗TrkA抗体は、ヒトNGFによって誘導されるTF-1細胞の増殖を阻害することができ、IC50を表5に示す。TF-1細胞増殖に対する抗体BXhVH5VL1の阻害作用は、本願発明の抗体よりはるかに弱い。抗体濃度が40μg/mL(266.67nM)である場合、本願発明の抗TrkA抗体はNGFによって誘導されるTF-1細胞増殖を完全に阻害することができるが、この濃度では、NGFによって誘導されるTF-1細胞増殖に対する抗体BXhVH5VL1の阻害率は40%未満である。
【0058】
【表5】
【0059】
B.NGFによって誘導されるTrkA/Ba/F3細胞増殖実験
Ba/F3細胞の成長には、IL3依存性とIL3非依存性の2つの手段があり、IL3非依存性の成長には、Ba/F3細胞が活性キナーゼを安定して発現することが必要である。完全長ヒトTrkAを発現するBa/F3(TrkA/Ba/F3)細胞を構築し、当該細胞の増殖には、NGFを添加して誘導することが必要である。
【0060】
TrkA/Ba/F3細胞を10%FBSと100ng/mL NGFを含むRPMI1640培地で培養して、細胞を回収し、十分に洗浄して元の増殖培地からNGFを除去し、ウェルあたり3000個の細胞を80μLのNGFを含まない培地に再懸濁し、底部が透明である白い96ウェル細胞培養プレート(corning,3610)に敷いた。各ウェル細胞に10μLの段階希釈された抗TrkA抗体を加え、室温で0.5時間インキュベートした後、各ウェル細胞に10μLの50ng/mLヒトNGFを加え、NGFの最終濃度を5ng/mLとし、段階希釈された抗NGF抗体の最終濃度を最大40μg/mL (266.67nM)とした。37℃、5%COインキュベーターで細胞を48時間培養した後、CellTiter-Glo(登録商標)細胞生存率検出試薬(Promega,G7573)を加え、マルチプレートリーダー(SpectraMax)を使用して光学発光シグナルを読み取った。
【0061】
TrkA/Ba/F3細胞成長を観察する過程では、ヒトNGFを添加した細胞は正常に増殖することができる。本願発明の8つの抗TrkA抗体は、NGFによって誘導されるTrkA/Ba/F3細胞の増殖を阻害することができ、阻害作用は濃度の増加とともに強くなり、抗体濃度が2.5μg/mL(16.67nM)及びそれ以上に上昇する時、TrkA/Ba/F3細胞増殖に対する抗TrkA抗体の阻害作用は100%に達することができる。一方、抗体BXhVH5VL1は、最大濃度40μg/mL(266.67nM)の場合、TrkA/Ba/F3細胞増殖に対する阻害率が50%未満であり(図9)、IC50を表6に示す。
【0062】
【表6】
【0063】
実施例7:マウス抗TrkA抗体がTrkA同ファミリータンパク質に結合する検出
96ウェルELISAプレートの各ウェルを50ngのヒトTrkA細胞外ドメインタンパク質、ヒトTrkB細胞外ドメインタンパク質(北京義翹神州科技有限公司,10047-H03H)、ヒトTrkC細胞外ドメインタンパク質(北京義翹神州科技有限公司,10048-H03H)でコーティングして、実施例2における方法により抗TrkA抗体とヒトTrkA及び2つの同ファミリータンパク質TrkB、TrkCとの結合状況を検出した。
【0064】
8つのマウス抗TrkA抗体はTrkA(図10)に対して高い親和力を示し、TrkB(図11)及びTrkC(図12)にほぼ結合しない。
【0065】
実施例8:CFA誘発マウス炎症性疼痛に対する抗TrkA抗体の作用
C57BL/6マウス(浙江維通利華実験動物技術有限公司)(オス、SPF級、6-8週齢)を5日間順化飼育した。順化期間後、動物を各群10匹で生理食塩水群、抗TrkA抗体33H5群、抗TrkA抗体42F5群という3つの群に分けた。モデリング剤CFAをマウスの足底に注射する前に、VonFreyにより痛覚閾値を測定し、基本的な痛覚閾値とする(図13)。
【0066】
翌日、マウスの足底に25μlのCFAを注射して炎症を誘発した。足指が著しく腫れた後(モデリング後約24時間)、同じ方法でマウスの足底痛覚閾値を測定し、投与前の痛覚閾値とする(図14)。
【0067】
次に、各群にそれぞれ生理食塩水、抗TrkA抗体33H5、抗TrkA抗体42F5を投与量10mg/kgで皮下注射し、投与後24時間と48時間の痛覚閾値を測定し(図15、16)、痛覚閾値に対する試験物質の影響を評価した。
【0068】
結果を図13-16に示すように、投与後24時間と48時間で、抗TrkA抗体33H5及び42F5はいずれもCFAによる痛覚閾値の低下を明らかに改善することができ、生理食塩水群に比べて統計学的差異がある。
【0069】
実施例9:マウス抗TrkA抗体の可変領域のシーケンシング及び配列解析
TRIzolキット(Ambion,15596-026)を用いてハイブリドーマ細胞のトータルRNAを抽出し、それをテンプレートとしてファーストストランドcDNA(Takara)を合成した。cDNA末端(RACE)を迅速増幅することにより抗体軽鎖及び重鎖フラグメントを取得し、増幅されたフラグメントをそれぞれ標準ベクターにクローンした。シーケンシングにより得られた抗TrkA抗体5A3、11G8、26E9、33H5、40D6、42F5、42H6及び42A11の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである。
【0070】
抗TrkA抗体5A3:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKAIGYTFSRYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGRGVTNYNENFKGKATFTVDISSTTTYIQFSSLTSEDSAVYYCARSNYGDYDFWGQGTSLTVSS(SEQ ID NO:49)
【0071】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGATGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCTATTGGGTACACATTCAGTAGGTACTGGATAGAGTGGGTAAAGCAGAGGCCTGGACATGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATTTTACCTGGAAGAGGTGTTACTAACTACAATGAGAACTTCAAGGGCAAGGCCACATTCACTGTAGATATATCCTCCACCACAACCTACATTCAATTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCCGTCTATTACTGTGCAAGATCGAATTATGGTGACTACGACTTCTGGGGCCAAGGCACCTCTCTCACAGTCTCCTCA(SEQ ID NO:65)
【0072】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
QTVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSSGAVTTSNHANWVQEKPDHLFTSLMGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNHWVFGGGTKLTVL(SEQ ID NO:57)
【0073】
軽鎖可変領域核酸配列:
CAGACTGTTGTGACTCAGGAATCTGCACTCACCACATCACCTGGTGAAACAGTCACACTCACTTGTCGCTCAAGTTCTGGGGCTGTTACAACTAGTAACCATGCCAACTGGGTCCAAGAAAAACCTGATCATTTATTCACTAGTCTAATGGGTGGTACCAATAACCGAGCTCCAGGTGTTCCTGCCAGATTCTCAGGCTCCCTGATTGGCGACAAGGCTGCCCTCACCATCACAGGGGCGCAGACTGAGGATGAGGCAATATATTTCTGTGCTCTCTGGTACAGCAACCATTGGGTGTTCGGTGGAGGAACTAAACTGACTGTCCTA(SEQ ID NO:66)
【0074】
抗TrkA抗体11G8:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLQQPGAELVKPGASVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPGQGLEWIGEINPNNGLTNYDEKFKTKATLTIDKSSRTAYIQLSSLTSEDSAVYYCAKYGNYVAFAFWGQGTLVTVSA(SEQ ID NO:50)
【0075】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAACTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGCAAGGCTTCCGGCTACACCTTTACCAGCTACTGGATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATTAATCCTAACAACGGTCTTACTAACTACGATGAGAAATTCAAGACCAAGGCCACACTGACCATAGACAAATCCTCCAGAACAGCCTACATACAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAAATATGGTAACTACGTCGCGTTTGCTTTCTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA(SEQ ID NO:67)
【0076】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
DIQMTQSPASLSATVGETVTITCRASENIYSYVAWYQQKQGKSPQLLVHNAKTLAEGVPSRFSGSGSGTQFSLKINGLHPEDFGSYYCQHHYGIPLTFGAGTKLELK(SEQ ID NO:58)
【0077】
軽鎖可変領域核酸配列:
GACATTCAGATGACTCAGTCTCCAGCCTCCCTATCTGCAACTGTGGGAGAAACTGTCACCATCACATGTCGAGCAAGTGAAAATATTTACAGTTATGTAGCATGGTATCAGCAGAAACAGGGAAAATCTCCTCAACTCCTGGTCCATAATGCAAAAACCTTAGCAGAAGGTGTACCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACACAGTTTTCTCTGAAGATCAACGGCCTGCACCCTGAAGATTTTGGGAGTTATTACTGTCAACATCATTATGGTATTCCGCTCACGTTCGGCGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA(SEQ ID NO:68)
【0078】
抗TrkA抗体26E9:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLQQPGAELVKPGASVKLSCKSSGYTFTNYWMHWVKQRPGQGLEWIGEIYPSNGRTNYNEKFKNRATLTVDISSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARSRYDPMEDWGQGTSVTVSS(SEQ ID NO:51)
【0079】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAACTGGTGAAGCCTGGGGCTTCTGTGAAGCTGTCCTGCAAGTCTTCTGGCTATACCTTCACCAACTACTGGATGCACTGGGTGAAGCAGCGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATTTATCCTAGCAACGGTCGTACTAACTACAATGAGAAGTTCAAAAACAGGGCCACACTGACTGTAGACATTTCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAGGAGTAGGTACGACCCTATGGAAGACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCT(SEQ ID NO:69)
【0080】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVGYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPTRFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSIPLTFGSGTKLEIK(SEQ ID NO:59)
【0081】
軽鎖可変領域核酸配列:
CAAATTGTTCTCACCCAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATGACCTGCAGTGCCAGCTCAAGTGTGGGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACCTCCCCCAAAAGATGGATTTATGACACATCCAAACTGGCTTCTGGAGTCCCAACTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAATCAGCAGCATGGAGGCTGAGGATGCTGCCACTTATTACTGCCAGCAGTGGAGTAGTATCCCACTCACGTTCGGCTCGGGGACAAAGTTGGAAATAAAG(SEQ ID NO:70)
【0082】
抗TrkA抗体33H5:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLQQPGAELVKPGASVQLSCKASGYTFTSYWIHWVKQRPGQGLEWIGEINPNNGLTNYIEKFKNKATLTIDKSSNTAYMQLSGLTPEDSAVYYCAKYGNYVAFAYWGQGTLVTVSA(SEQ ID NO:52)
【0083】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAACTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGCAGCTGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACCAGTTACTGGATACACTGGGTGAAACAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATTAATCCTAACAACGGTCTTACTAACTACATTGAGAAATTCAAGAACAAGGCCACACTGACTATTGACAAATCCTCCAACACAGCCTACATGCAACTCAGCGGCCTGACACCTGAGGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAAATATGGTAACTACGTCGCGTTTGCTTACTGGGGCCAGGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA(SEQ ID NO:71)
【0084】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
DIQMTQSPASLSASVGDTVTITCRASENIYTYLAWYQQKQGKSPQLLVHNTKTLAEGVPSRFSGSGSGTQFSLKISSLQPEDFGTYYCQHHYGVPLTFGAGTKLELK(SEQ ID NO:60)
【0085】
軽鎖可変領域核酸配列:
GACATCCAGATGACTCAGTCTCCAGCCTCCCTATCTGCATCTGTGGGAGACACTGTCACCATCACATGTCGAGCAAGTGAAAATATCTACACTTATTTAGCTTGGTATCAGCAGAAACAGGGAAAATCTCCTCAACTCCTGGTCCATAATACAAAAACCTTAGCAGAAGGTGTGCCCTCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACACAGTTTTCTCTGAAGATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGGGACTTATTACTGTCAACATCATTATGGTGTTCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA(SEQ ID NO:72)
【0086】
抗TrkA抗体40D6:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLQQSGTELMKPGASVKISCKATGYTFSRYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGRSSTNYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCTRVSQLHIYFDYWGQGTTVTVSS(SEQ ID NO:53)
【0087】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGAACTGAACTGATGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCTACTGGCTACACATTCAGTAGATACTGGATAGAGTGGGTAAAACAGAGGCCTGGACATGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATTTTACCTGGAAGGAGTAGTACTAACTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTCACTGCCGATACATCCTCCAACACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCCGTCTATTACTGTACAAGAGTTTCCCAACTGCACATTTACTTTGACTACTGGGGCCAAGGGACCACTGTCACAGTCTCCTCC(SEQ ID NO:73)
【0088】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
DIVMTQVVPSVPVTPGESVSISCRSSKSLLHSNGNTYLYWFQQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVAFYYCMQHLEFPLTFGAGTKLELK(SEQ ID NO:61)
【0089】
軽鎖可変領域核酸配列:
GATATTGTGATGACTCAGGTTGTACCCTCTGTACCTGTCACTCCTGGAGAGTCAGTATCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCCTGCATAGTAATGGCAACACTTACTTATATTGGTTCCAGCAGAGGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATATATCGGATGTCCAACCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGGAACTGCTTTCACATTGAGAATCAGTAGAGTGGAGGCTGAGGATGTGGCTTTTTATTACTGTATGCAACATCTAGAATTTCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGTTGGAGCTGAAA(SEQ ID NO:74)
【0090】
抗TrkA抗体42F5:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLQQPGAELVKPGASVKLSCKSSGYTFTNYWMHWVRQRPGQGLEWIGEIYPNNGRVNYNEKFKNRATLTVDISSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARSRYDPMEDWGQGTSVTVSS(SEQ ID NO:54)
【0091】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAACTGGTGAAACCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGCAAGTCTTCTGGCTATACCTTCACCAACTACTGGATGCACTGGGTGAGGCAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATCTATCCTAACAACGGTCGTGTTAACTACAATGAGAAGTTCAAGAACAGGGCCACACTGACTGTAGACATATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAGGAGTAGGTACGACCCTATGGAAGACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCT(SEQ ID NO:75)
【0092】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
QVVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVGYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPTRFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYFCQQWSSIPLTFGSGTRLEIK(SEQ ID NO:62)
【0093】
軽鎖可変領域核酸配列:
CAAGTTGTTCTCACCCAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATGACCTGCAGTGCCAGCTCAAGTGTAGGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACCTCCCCCAAAAGATGGATTTATGACACATCCAAACTGGCTTCTGGAGTCCCAACTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAATCAGCAGCATGGAGGCTGAGGATGCTGCCACTTATTTCTGCCAGCAGTGGAGTAGTATCCCACTCACGTTCGGCTCGGGGACAAGGTTGGAAATAAAG(SEQ ID NO:76)
【0094】
抗TrkA抗体42H6:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLQQPGVELVKPGASVKLSCKTSGYTFTSYWMHWVKQRPGQGLEWIGEIYSSNGLTNYNEKFKNKATLTVDKSSSTAYMQLTSLTSEDSAIYYCARHWYVFLDHWGQGTTLTVSS(SEQ ID NO:55)
【0095】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGTTGAACTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGCAAGACTTCTGGCTACACCTTCACCAGCTACTGGATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAATGGATTGGAGAGATTTATTCCAGTAACGGTCTTACTAACTACAATGAGAAGTTCAAGAATAAGGCCACACTGACTGTAGATAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCACCAGCCTGACATCTGAAGACTCTGCGATCTATTACTGTGCAAGACATTGGTACGTCTTCCTTGACCACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA(SEQ ID NO:77)
【0096】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
QAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNHANWVQEKPDHLFTGLIGGINNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNHWVFGGGTRLTVL(SEQ ID NO:63)
【0097】
軽鎖可変領域核酸配列:
CAGGCTGTTGTGACTCAGGAATCTGCACTCACCACATCACCTGGTGAAACAGTCACACTCACTTGTCGCTCAAGTACTGGGGCTGTTACAACTAGTAACCATGCCAACTGGGTCCAAGAAAAACCAGATCATTTATTCACTGGTCTAATAGGTGGTATCAACAACCGAGCTCCAGGTGTTCCTGCCAGATTCTCAGGCTCCCTGATTGGAGACAAGGCTGCCCTCACCATCACAGGGGCACAGACTGAGGATGAGGCAATATATTTCTGTGCTCTATGGTACAGCAATCATTGGGTGTTCGGTGGAGGAACCAGACTGACTGTCCTA(SEQ ID NO:78)
【0098】
抗TrkA抗体42A11:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLQQPGAELVKPGASVKLSCKASGYTFTNYWMHWVKQRPGQGLEWIGEIYPSNGRTNYNEKFKTKATLTVDKSSSTAYMHLSSLTSEDSAVYYCAGSRYDAMDFWGQGTSVTVSS(SEQ ID NO:56)
【0099】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAACTTGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGTAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACCAACTACTGGATGCATTGGGTGAAACAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATTTATCCTAGCAACGGTCGTACTAACTACAATGAGAAGTTCAAGACCAAGGCCACACTGACTGTAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCATCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAGGATCGAGATACGATGCTATGGACTTCTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA(SEQ ID NO:79)
【0100】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSIISYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCHQWTSNPLTFGGGTKLELK(SEQ ID NO:64)
【0101】
軽鎖可変領域核酸配列:
CAAATTGTTCTCACCCAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATGACCTGCAGTGCCAGCTCAATTATAAGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACCTCCCCCAAAAGATGGATTTATGACACTTCCAAACTGGCTTCTGGAGTCCCTGCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAATCAGTGGCATGGAGGCTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGCCACCAGTGGACTAGTAACCCGCTCACGTTCGGTGGTGGGACCAAGCTGGAACTGAAA(SEQ ID NO:80)
【0102】
配列解析により、Kabat及びIMGTシステムによって定められたCDRが得られた。以下の表(表7)に、Kabat及びIMGTシステムの定義に基づき8つの抗TrkA抗体のCDRを示す。
【0103】
【表7】
【0104】
実施例10:マウス抗TrkA抗体のヒト化及び特性化
抗体のヒト化
上記得られたハイブリドーマ細胞によって分泌された抗体の軽鎖可変領域(VL)及び重鎖可変領域(VH)配列に従って、ヒト化を行った。マウス抗体のVL、VHのアミノ酸配列を、ヒト胚性抗体のアミノ酸配列データベースで比較検索し、相同性の高いヒトIGHV及びIGKV配列を見出し、ヒト化テンプレートとした。コンピューターシミュレーション技術により、可変領域とフレームワーク領域に存在可能なアミノ酸の立体障害と相互影響を分析し、ヒト化抗体の活性を維持するために重要なフレームワーク領域のアミノ酸を確定し、ヒト化過程においてこれらのアミノ酸を保持する。軽鎖と重鎖可変領域のヒト化は、CDRグラフト技術によって達成された。その後、選択された抗体定常領域テンプレートにより、以下の複数のヒト化抗体が得られた。
【0105】
その中、抗TrkA抗体42F5をヒト化して、例示的な抗体42F5-01、42F5-03、42F5-04、42F5-05、43F5-08、42F5-11を得た。ヒトIGHV1-2を重鎖可変領域、ヒトIGKV1-39を軽鎖可変領域テンプレートとして、ヒト化抗体42F5-01及び42F5-03を得た。ヒトIGHV1-2を重鎖可変領域、ヒトIGKV1-6を軽鎖可変領域テンプレートとして、ヒト化抗体42F5-05を得た。ヒトIGHV1-2を重鎖可変領域、ヒトIGKV3-11を軽鎖可変領域テンプレートとして、ヒト化抗体42F5-11を得た。ヒトIGHV1-69を重鎖可変領域、ヒトIGKV1-39を軽鎖可変領域テンプレートとして、ヒト化抗体42F5-04を得た。ヒトIGHV1-69を重鎖可変領域、ヒトIGKV1-6を軽鎖可変領域テンプレートとして、ヒト化抗体42F5-08を得た。得られたヒト化抗体のうち、42F5-01及び42F5-05の重鎖可変領域配列が同一であり、ヒト化抗体42F5-03及び42F5-11の重鎖可変領域配列が同一であり、ヒト化抗体42F5-04及び42F5-08の重鎖可変領域配列が同一である。ヒト化抗体42F5-03及び42F5-04の軽鎖可変領域配列が同一である。
【0106】
IGHV1-2、IGHV1-69、IGKV1-39、IGKV1-6、IGKV3-11はIMGT(The International ImMunoGeneTics Information System)及びNCBI(The National Center for Biotechnology Information)におけるヒト免疫グロブリン遺伝子データベース中のヒト種系IgG遺伝子である。さらに、抗体42F5重鎖相補性決定領域配列には、脱アミド部位NGが含まれているので、抗体に対する上記部位の潜在的な影響を除くために、ヒト化抗体43F5-01の重鎖可変領域をさらに変更した。42F5-01をテンプレートとして、重鎖可変領域におけるNG55-56をSG55-56、又はQG55-56、又はNA55-56に変異させ、それぞれヒト化抗体42F5-13、42F5-14、42F5-15を得た。
【0107】
得られたヒト化抗体重鎖可変領域配列をヒトIgG4重鎖定常領域に繋ぎ、軽鎖可変領域配列をヒトKappa軽鎖定常領域に繋ぎ、遺伝子合成して、酵素切断後、対応するプラスミドにライゲーションした。構築したプラスミドをCHO細胞に一過性トランスフェクションして発現させた。7-10日間発現した後、細胞培養上清を、対応するバッファー(例えば、リン酸塩緩衝食塩水(pH7.4))で平衡化したMabSelectカラム(GE Healthcare)を利用して精製した後、クエン酸ナトリウム又は他のバッファーで溶出させた。以上のステップで得られた抗体は、SDS-PAGE又はSEC-HPLCにより純度などの特定を行い、後続の他の特性化研究に用いられる。
【0108】
抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体可変領域配列:
抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体42F5-01、42F5-03、42F5-04、42F5-05、42F5-08、42F5-11、42F5-13、42F5-14、42F5-15可変領域配列は以下のとおりである。
【0109】
42F5-01:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKSSGYTFTNYWMHWVRQAPGQGLEWMGEIYPNNGRVNYNEKFKNRVTMTVDISISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARSRYDPMEDWGQGTTVTVSS (SEQ ID NO.81)
【0110】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCAGGAGCTTCCGTGAAGGTGAGCTGCAAGTCCAGCGGCTACACCTTCACAAACTATTGGATGCACTGGGTGAGGCAGGCTCCAGGACAGGGACTGGAGTGGATGGGCGAGATCTACCCTAACAATGGCAGGGTGAACTACAACGAGAAGTTTAAGAACAGAGTGACCATGACAGTGGACATCAGCATCTCTACCGCTTACATGGAGCTGTCTAGGCTGCGGTCCGACGATACAGCCGTGTACTATTGTGCTAGATCTCGCTATGACCCCATGGAGGATTGGGGCCAGGGCACCACAGTGACCGTGTCTTCC(SEQ ID NO.82)
【0111】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
DVQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVGYMHWYQQKPGKAPKRLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQWSSIPLTFGQGTRLEIK (SEQ ID NO.83)
【0112】
軽鎖可変領域核酸配列:
GACGTGCAGCTGACCCAGTCTCCTTCCAGCCTGTCCGCCAGCGTGGGCGATAGAGTGACCATCACATGCTCCGCTTCTTCCAGCGTGGGCTACATGCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCTAAGAGGCTGATCTACGACACATCTAAGCTGGCTTCCGGAGTGCCAAGCCGGTTCTCTGGCTCCGGCAGCGGAACCGACTACACCCTGACAATCTCTTCCCTGCAGCCAGAGGATTTCGCCACATATTTTTGTCAGCAGTGGAGCTCTATCCCCCTGACCTTTGGCCAGGGCACACGCCTGGAGATCAAG (SEQ ID NO.84)
【0113】
42F5-03:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKSSGYTFTNYWMHWVRQAPGQGLEWIGEIYPNNGRVNYNEKFKNRATLTVDISISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARSRYDPMEDWGQGTTVTVSS (SEQ ID NO.85)
【0114】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCAGGAGCTTCCGTGAAGGTGAGCTGCAAGTCCAGCGGCTACACCTTCACAAACTATTGGATGCACTGGGTGAGGCAGGCTCCAGGACAGGGACTGGAGTGGATCGGCGAGATCTACCCTAACAATGGCAGGGTGAACTACAACGAGAAGTTTAAGAACAGAGCCACCCTGACAGTGGACATCAGCATCTCTACCGCTTACATGGAGCTGTCTAGGCTGCGGTCCGACGATACAGCCGTGTACTATTGTGCTAGATCTCGCTATGACCCCATGGAGGATTGGGGCCAGGGCACCACAGTGACCGTGTCTTCC (SEQ ID NO.86)
【0115】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
DVQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVGYMHWYQQKPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQWSSIPLTFGQGTRLEIK (SEQ ID NO.87)
【0116】
軽鎖可変領域核酸配列:
GACGTGCAGCTGACCCAGTCTCCTTCCAGCCTGTCCGCCAGCGTGGGCGATAGAGTGACCATCACATGCTCCGCTTCTTCCAGCGTGGGCTACATGCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCTAAGAGGTGGATCTACGACACATCTAAGCTGGCTTCCGGAGTGCCAAGCCGGTTCTCTGGCTCCGGCAGCGGAACCGACTACACCCTGACAATCTCTTCCCTGCAGCCAGAGGATTTCGCCACATATTTTTGTCAGCAGTGGAGCTCTATCCCCCTGACCTTTGGCCAGGGCACACGCCTGGAGATCAAG (SEQ ID NO.88)
【0117】
42F5-04:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKSSGYTFTNYWMHWVRQAPGQGLEWIGEIYPNNGRVNYNEKFKNRATLTVDISTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSRYDPMEDWGQGTTVTVSS (SEQ ID NO.89)
【0118】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCCGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCAGGCTCCAGCGTGAAGGTGAGCTGCAAGTCTTCCGGCTACACCTTCACAAACTATTGGATGCACTGGGTGAGGCAGGCTCCAGGACAGGGACTGGAGTGGATCGGCGAGATCTACCCTAACAATGGCAGAGTGAACTACAACGAGAAGTTTAAGAACCGCGCCACCCTGACAGTGGACATCTCTACCTCCACAGCTTACATGGAGCTGAGCTCTCTGAGAAGCGAGGATACCGCCGTGTACTATTGTGCTAGGTCTCGGTATGACCCCATGGAGGATTGGGGCCAGGGCACCACAGTGACAGTGTCCAGC (SEQ ID NO.90)
【0119】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
同42F5-03 (SEQ ID NO.87)
軽鎖可変領域核酸配列:
同42F5-03 (SEQ ID NO.88)
42F5-05:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
同42F5-01. (SEQ ID NO.81)
重鎖可変領域核酸配列:
同42F5-01. (SEQ ID NO.82)
【0120】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVGYMHWYQQKPGKAPKRLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQWSSIPLTFGQGTRLEIK (SEQ ID NO.91)
【0121】
軽鎖可変領域核酸配列:
CAGGTGCAGCTGACCCAGTCTCCTTCCAGCCTGTCCGCCAGCGTGGGCGACAGAGTGACCATCACATGCTCCGCTTCTTCCAGCGTGGGCTACATGCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCTAAGAGGCTGATCTACGATACATCTAAGCTGGCTTCCGGAGTGCCAAGCCGGTTCTCTGGCTCCGGCAGCGGAACCGACTACACCCTGACAATCTCTTCCCTGCAGCCAGAGGATTTCGCCACATATTTTTGTCAGCAGTGGAGCTCTATCCCCCTGACCTTTGGCCAGGGCACACGCCTGGAGATCAAG (SEQ ID NO.92)
【0122】
42F5-08
重鎖可変領域アミノ酸配列:
同42F5-04 (SEQ ID NO.89)
重鎖可変領域核酸配列:
同42F5-04 (SEQ ID NO.90)
【0123】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVGYMHWYQQKPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQWSSIPLTFGQGTRLEIK (SEQ ID NO.93)
【0124】
軽鎖可変領域核酸配列:
CAGGTGCAGCTGACCCAGTCTCCTTCCAGCCTGTCCGCCAGCGTGGGCGACAGAGTGACCATCACATGCTCCGCTTCTTCCAGCGTGGGCTACATGCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCTAAGAGGTGGATCTACGATACATCTAAGCTGGCTTCCGGAGTGCCAAGCCGGTTCTCTGGCTCCGGCAGCGGAACCGACTACACCCTGACAATCTCTTCCCTGCAGCCAGAGGATTTCGCCACATATTTTTGTCAGCAGTGGAGCTCTATCCCCCTGACCTTTGGCCAGGGCACACGCCTGGAGATCAAG (SEQ ID NO.94)
【0125】
42F5-11:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
同42F5-03 (SEQ ID NO.85)
重鎖可変領域核酸配列:
同42F5-03 (SEQ ID NO.86)
【0126】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
EVVLTQSPATLSLSPGERATLSCSASSSVGYMHWYQQKPGQAPRRWIYDTSKLASGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDAAVYFCQQWSSIPLTFGQGTRLEIK (SEQ ID NO.95)
【0127】
軽鎖可変領域核酸配列:
GAGGTGGTGCTGACCCAGTCCCCAGCCACACTGAGCCTGTCTCCAGGAGAGAGAGCCACCCTGTCCTGCTCCGCCTCCAGCTCTGTGGGCTACATGCACTGGTATCAGCAGAAGCCAGGACAGGCTCCTAGGCGGTGGATCTACGACACCTCTAAGCTGGCTTCCGGAGTGCCAGCTCGCTTCTCTGGCTCCGGCAGCGGCACAGACTACACCCTGACAATCTCCAGCCTGGAGCCTGAGGATGCCGCCGTGTACTTCTGTCAGCAGTGGTCTTCCATCCCACTGACCTTTGGCCAGGGCACAAGGCTGGAGATCAAG (SEQ ID NO.96)
【0128】
42F5-13:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKSSGYTFTNYWMHWVRQAPGQGLEWMGEIYPNSGRVNYNEKFKNRVTMTVDISISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARSRYDPMEDWGQGTTVTVSS (SEQ ID NO.97)
【0129】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCCGGCGCCGAGGTGAAGAAGCCCGGCGCTTCTGTGAAGGTGAGCTGCAAGAGCTCCGGCTACACCTTTACCAATTATTGGATGCACTGGGTGAGGCAGGCTCCCGGCCAGGGACTGGAGTGGATGGGCGAGATATATCCCAATAGCGGCCGGGTGAATTATAATGAGAAGTTTAAGAATCGGGTGACCATGACCGTGGATATCAGCATCTCCACCGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGGAGCGATGACACCGCTGTGTACTACTGCGCTAGGTCCAGGTATGACCCCATGGAGGATTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACCGTGAGCAGC (SEQ ID NO.98)
【0130】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
同42F5-01 (SEQ ID NO.83)
軽鎖可変領域核酸配列:
同42F5-01 (SEQ ID NO.84)
【0131】
42F5-14:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKSSGYTFTNYWMHWVRQAPGQGLEWMGEIYPNQGRVNYNEKFKNRVTMTVDISISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARSRYDPMEDWGQGTTVTVSS (SEQ ID NO.99)
【0132】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGCCGAGGTGAAGAAGCCCGGCGCTTCCGTGAAGGTGTCCTGTAAGTCCAGCGGCTATACCTTCACCAACTATTGGATGCACTGGGTGAGGCAGGCCCCTGGCCAGGGACTGGAGTGGATGGGCGAGATATATCCTAACCAGGGCCGGGTGAATTATAACGAGAAGTTCAAGAATAGGGTGACCATGACCGTGGACATCTCCATCAGCACCGCTTACATGGAGCTGTCCAGGCTGCGGAGCGACGATACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGGTCCCGGTATGATCCCATGGAGGACTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACCGTGAGCAGC (SEQ ID NO.100)
【0133】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
同42F5-01 (SEQ ID NO.83)
軽鎖可変領域核酸配列:
同42F5-01 (SEQ ID NO.84)
【0134】
42F5-15:
重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKSSGYTFTNYWMHWVRQAPGQGLEWMGEIYPNNARVNYNEKFKNRVTMTVDISISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARSRYDPMEDWGQGTTVTVSS (SEQ ID NO.101)
【0135】
重鎖可変領域核酸配列:
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCCGGCGCCGAGGTGAAGAAGCCCGGCGCTTCTGTGAAGGTGTCCTGTAAGAGCAGCGGCTACACCTTTACCAATTATTGGATGCACTGGGTGAGGCAGGCCCCCGGCCAGGGATTGGAGTGGATGGGCGAGATATATCCTAACAATGCCAGGGTGAACTATAATGAGAAGTTTAAGAACCGGGTGACCATGACCGTGGACATCAGCATCTCCACCGCCTATATGGAGCTGAGCCGGCTGCGGTCCGACGACACCGCTGTGTACTACTGCGCCCGGTCCCGGTATGATCCTATGGAGGACTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACCGTGAGCTCC (SEQ ID NO.102)
【0136】
軽鎖可変領域アミノ酸配列:
同42F5-01 (SEQ ID NO.83)
軽鎖可変領域核酸配列:
同42F5-01 (SEQ ID NO.84)
【0137】
【表8】
【0138】
B.ヒト化抗TrkA抗体の特性化
1)ヒト化抗体とヒトTrkAとの結合
マウスFcを含むヒトTrkA細胞外ドメイン(33-417)タンパク質を用いて、抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体の親和力を検討した。96ウェルELISAプレートの各ウェルを50ngのヒトTrkAでコーティングして、洗浄、ブロッキングした後、段階希釈されたヒト化抗体を加え、室温で1時間インキュベートした。3回洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(ThermoFisher,A18817)を加え、室温で1時間反応させ、3回洗浄した後、テトラメチルベンジジン(TMB,Biolegend)を加えて発色させ、1M HClで発色を中止し、マイクロプレートリーダーによって450nmの吸光度値を読み取った。
【0139】
結合状況を表9及び図17に示すように、異なる配列を持つ抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体は、いずれもヒトTrkAと類似する結合を持ち、結合の程度はヒト-マウスキメラ抗体42F5-Chi(マウス抗TrkA抗体42F5可変領域とヒト抗体定常領域を含む)に匹敵する。
【0140】
【表9】
【0141】
2)ヒト化抗体とTrkA/TrkB/TrkCを発現する細胞との結合
TrkA、TrkB、TrkCをそれぞれ発現する細胞株TrkA/CHO(ThermoFisher,K1516)、TrkB/CHO(ThermoFisher,K1491)、TrkC/CHO(ThermoFisher,K1515)を用いて、抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体の特異性を検討し、また、CHO-K1を陰性対照として用い、フローサイトメトリーによりヒト化抗体と4つの細胞株の結合状況を検出した。
【0142】
製造元の指示に従って細胞を培養し、細胞を対数増殖期で回収し、フローバッファー(PBS+2%FBS,pH7.4)で細胞を再懸濁し、96ウェルプレートの各ウェルに10の細胞(50μl)を加え、また50μlの100μg/mLヒト化抗TrkA抗体を加え、室温で60minインキュベートし、1200rpmで遠心分離して上清を捨て、細胞を3回洗浄した。FITC標識ヤギ抗ヒトFc抗体(Abcam,ab97224)をフローバッファーで5μg/mLに希釈して、細胞の再懸濁に用い、暗所で室温で30minインキュベートし、遠心分離して上清を捨て、3回洗浄した。7AAD溶液(Biolegend,420403)で細胞を再懸濁し、室温で10minインキュベートした後、フローサイトメーター(BioRad,ZE5)によって抗体の結合状況を検出した。
【0143】
結果を図18に示すように、ヒト-マウスキメラ抗体42F5-Chiと類似し、抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体はTrkA/CHO細胞に結合することができるが、TrkB/CHO、TrkC/CHO及びCHO-K1細胞に結合することはできず、ヒト化抗TrkA抗体の特異性が良好であることを示している。
【0144】
同じフローサイトメトリーによりヒト化抗TrkA抗体とTrkA/CHO細胞の結合曲線を測定し、抗体は、濃度66.67μg/mLから合計10つの濃度に3倍段階希釈し、結果を図19に示すように、抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体とTrkA/CHO細胞の結合程度は、ヒト-マウスキメラ抗体42F5-Chiに匹敵し、EC50を表10に纏めた。
【0145】
【表10】
【0146】
3)NGFによって誘導されるTF-1細胞増殖実験
実施例6Aに記載されているように、NGF/TrkA経路に対する抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体の阻害効果は、TF-1細胞の増殖によって検出された。結果を図20に示すように、抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体は、いずれもNGFによって誘導されるTF-1細胞の増殖を阻害することができ、阻害程度はヒト-マウスキメラ抗体42F5-Chiに匹敵し、IC50を表11に示す。
【0147】
【表11】
【0148】
4)NGFによって誘導されるTrkA/Ba/F3細胞増殖実験
実施例6Bに記載されているように、NGF/TrkA経路に対する抗TrkA抗体42F5ヒト化抗体の阻害効果は、TrkA/Ba/F3の増殖によって検出された。結果を図21に示すように、ヒト化抗TrkA抗体は、いずれもNGFによって誘導されるTrkA/Ba/F3細胞の増殖を阻害することができ、阻害程度はヒト-マウスキメラ抗体42F5-Chiに匹敵し、IC50を表12に示す。
【0149】
【表12】
【0150】
本願発明を実施するための形態を詳細に説明及び記載したが、本願発明は、前記実施形態に限定されないと考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【配列表】
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