IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浅田化学工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】アルミナゲルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/36 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
C01F7/36
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024028820
(22)【出願日】2024-02-28
【審査請求日】2024-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399127625
【氏名又は名称】浅田化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100088801
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 宗雄
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 太一
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-062011(JP,A)
【文献】特開2011-093735(JP,A)
【文献】特開2006-160540(JP,A)
【文献】特開平11-189409(JP,A)
【文献】特開平10-017321(JP,A)
【文献】特開昭62-226811(JP,A)
【文献】特開昭59-223223(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103787387(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102267710(CN,A)
【文献】米国特許第04157382(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 7/00
C04B 35/00
C04B 35/632
C04B 22/06
C07C 59/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有するpH8~12を有するアルミナゲルであって、
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、ヘーズメーターで測定した場合に色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示し、かつ
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、引張試験機で10mm/secで引張試験を行った場合に最大応力値が5N以上を示す、
ことを特徴とするアルミナゲル。
【請求項2】
シリコン原子またはカルシウム原子の含有量が0~100ppmである、請求項1記載のアルミナゲル。
【請求項3】
アルミナゲルが、安定剤を含み、前記安定剤が三糖類以上の多糖類、糖アルコール、アンモニアまたは水溶性アミンの1種以上である、請求項1または2記載のアルミナゲル。
【請求項4】
(A)ヒドロキシ酸アルミニウムと、(B)アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリとを、混合して、Al 5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有し、pH8~12の範囲になるように調整してゲル化することを特徴とするアルミナゲルの製造方法。
【請求項5】
前記ヒドロキシ酸アルミニウム(A)が、乳酸アルミニウムまたはグリコール酸アルミニウムである、請求項4記載のアルミナゲルの製造方法。
【請求項6】
前記ヒドロキシ酸アルミニウム(A)が、ヒドロキシ酸アルミニウム(A)中のヒドロキシ酸のモル数と該ヒドロキシ酸中のカルボキシル基数との積(I)と、ヒドロキシ酸アルミニウム(A)のアルミニウムのモル数から換算したAlのモル数(II)の比がI/II=1.0~2.0の範囲である、請求項4または5記載のアルミナゲルの製造方法。
【請求項7】
前記アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリ(B)が、アルミン酸ナトリウム、乳酸アルミン酸ナトリウムまたはグリコール酸アルミン酸ナトリウムの1種以上である、請求項4記載のアルミナゲルの製造方法。
【請求項8】
混合時に安定剤(C)を添加し、前記安定剤(C)が三糖類以上の多糖類、糖アルコール、アンモニアまたは水溶性アミンの1種以上である、請求項4または5記載のアルミナゲルの製造方法。
【請求項9】
得られたアルミナゲルが、Al5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有し、
pH8~12を有し、
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、ヘーズメーターで測定した場合に色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示し、かつ
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、引張試験機で10mm/secで引張試験を行った場合に最大応力値が5N以上を示す、
請求項4または5記載のアルミナゲルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナゲル、特にシリカまたはカルシウム材料を使用しないアルミナゲル、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムを含むゲルは、建設また窯業分野をはじめ、成形物、繊維、触媒、その他下地処理等で使用されている。しかし、従来の材料はシリカやカルシウム等の元素を必須とするものが多く、用途によっては、これらの元素が最終組成物の耐熱性、硬度、強度等の性能不足となることがあった。
【0003】
特許第6503129号(特許文献1)には、耐火物の湿式吹き付け施工に用いられる粉末状の急結剤であって、添加剤と、耐火材料とを含み、前記添加剤は、水酸化カルシウムと、アルミナセメント及び珪酸塩から選択される少なくとも一種の硬化促進剤と、硫酸塩、炭酸塩、クエン酸、クエン酸塩、ホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも一種の特定粉末材料と、を含み、前記水酸化カルシウムの含有量と前記硬化促進剤の含有量との比(前記水酸化カルシウ ムの含有量/前記硬化促進剤の含有量)が0.7以上4以下であり、前記水酸化カルシウム及び前記硬化促進剤の合量と前記特定粉末材料の含有量との比(前記水酸化カルシウム及び前記硬化促進剤の合量/前記特定粉末材料の含有量)が1以上10以下である、急結剤が開示されている。この耐火物は良好に用いられるが、シリカまたカルシウムが高含有となり、配合物の耐熱性が低下するため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6503129号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、シリカまたはカルシウム材料を使用せず、アルミニウムによるゲルが速やかに形成でき、保形性に優れたゲル材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は以下の態様を提供する:
[1] Al5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有するpH8~12を有するアルミナゲルであって、
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、ヘーズメーターで測定した場合に色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示し、かつ
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、引張試験機で10mm/secで引張試験を行った場合に最大応力値が5N以上を示す、
ことを特徴とするアルミナゲル。
[2] シリコン原子またはカルシウム原子の含有量が0~100ppmである、[1]記載のアルミナゲル。
[3] アルミナゲルが、安定剤を含み、前記安定剤が三糖類以上の多糖類、糖アルコール、アンモニアまたは水溶性アミンの1種以上である、[1]または[2]記載のアルミナゲル。
[4] (A)ヒドロキシ酸アルミニウムと、(B)アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリとを、混合してゲル化することを特徴とするアルミナゲルの製造方法。
[5] 前記ヒドロキシ酸アルミニウム(A)が、乳酸アルミニウムまたはグリコール酸アルミニウムである、[4]記載のアルミナゲルの製造方法。
[6] 前記ヒドロキシ酸アルミニウム(A)が、ヒドロキシ酸アルミニウム(A)中のヒドロキシ酸のモル数と該ヒドロキシ酸中のカルボキシル基数との積(I)と、ヒドロキシ酸アルミニウム(A)のアルミニウムのモル数から換算したAlのモル数(II)の比がI/II=1.0~2.0の範囲である、[4]または[5]記載のアルミナゲルの製造方法。
[7] 前記アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリ(B)が、アルミン酸ナトリウム、乳酸アルミン酸ナトリウムまたはグリコール酸アルミン酸ナトリウムの1種以上である、[4]記載のアルミナゲルの製造方法。
[8] 混合時に安定剤(C)を添加し、前記安定剤(C)が三糖類以上の多糖類、糖アルコール、アンモニアまたは水溶性アミンの1種以上である、[4]または[5]記載のアルミナゲルの製造方法。
[9] 得られたアルミナゲルが、Al5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有し、
pH8~12を有し、
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、ヘーズメーターで測定した場合に色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示し、かつ
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、引張試験機で10mm/secで引張試験を行った場合に最大応力値が5N以上を示す、
[4]または[5]記載のアルミナゲルの製造方法。
[10] (A)ヒドロキシ酸アルミニウムと(B)アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリとを反応およびゲル化することにより得られたアルミナゲルであって、
前記アルミナゲルが、pH8~12を有し、かつAlを5~25質量%、アルカリ金属原子を1~8質量%、ヒドロキシ酸を5~20質量%および水を55~85質量%を含有する、ことを特徴とするアルミナゲル。
【発明の効果】
【0007】
本発明のアルミナゲルおよびその製造方法によれば、シリカまたカルシウムをほとんど含まないアルミナゲルを速やかに形成することが可能である。本発明のアルミナゲルは、20~200℃で乾燥することで粉末化が可能であり、100℃での乾燥物の結晶系が主に非晶質であることを特徴とし、更に加水時に同様のゲル化効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲において種々の変更が可能である。また、本発明において数値範囲における「数値1~数値2」という表記は数値1を下限値とし、数値2を上限値とする。両端の数値1及び数値2を含む範囲を意味し、「数値1以上、数値2以下」と同義である。
【0009】
本発明のアルミナゲルは、(A)ヒドロキシ酸アルミニウムと、(B)アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリとを、混合してゲル化することにより製造され、組成としてAl5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有するpH8~12を有するアルミナゲルが得られる。
製造方法から説明する。
【0010】
(A)ヒドロキシ酸アルミニウム(以下、「成分(A)」ともいうこともある。)
ヒドロキシ酸アルミニウムに用いるヒドロキシ酸は乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸またはグリコール酸が挙げられ、好適には乳酸、グルコン酸、グリコール酸である。ヒドロキシ酸アルミニウムは、これらを1種でも2種以上を使用してもよい。このときのヒドロキシ酸のモル数と該ヒドロキシ酸中のカルボキシル基数との積(I)と、成分(A)中のアルミニウムのAl換算でのモル数(II)がI/II=1.0~2.0の範囲である。1.0未満では溶液が固化しやすく不安定であり、2.0を超えるとアルミニウム化合物の溶解度が低下しまた沈殿析出しやすく不安定である。
【0011】
ヒドロキシ酸アルミニウムの製法として、無機酸アルミニウム等とアルカリ剤で中和して得られた水酸化アルミニウムゲルを脱塩洗浄し、ヒドロキシ酸に加熱溶解させる方法、ヒドロキシ酸にインゴット、ショット、延棒、切粉等の形態の金属アルミニウムを触媒の存在下で溶解させる方法、硫酸アルミニウムにヒドロキシ酸を加えアルカリ土類金属物を加えて副生塩類を析出除去させる等の公知の方法で行うことができる。また市販品を購入して使用してもよい。ヒドロキシ酸アルミニウムの形態は、粉末でも水溶液でも使用に制限はなく、粉末品をそのまま用いてもよいし、溶解させた水溶液としてAl換算濃度を調整するなど、特段制限されない。例えば、水溶液で用いる場合、Al換算濃度は1~25質量%がよく、1質量%未満では低濃度のため不経済であり、25質量%以上では高粘度となり取扱い性が低下する。
【0012】
(B)アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリ(以下、「成分(B)」ということもある。)
アルミン酸アルカリに用いるアルカリ剤はアルカリ金属、アンモニア、水溶性アミン類が挙げられ、好適にはナトリウム、カリウム塩である。これらを1種でも2種以上を使用してもよい。
【0013】
アルミン酸アルカリの製法として、水酸化アルミニウムに苛性アルカリを加えて加熱溶解させる方法、アルカリ剤にインゴット、ショット、延棒、切粉等の形態の金属アルミニウムを触媒の存在下で溶解させてもよい。また市販品を購入してもよい。その他の成分として炭酸分を任意に含んでいてもよい。なお、形態が粉末でも水溶液でも使用に制限はなく、粉末品をそのまま用いてもよい。例えば、水溶液の場合、Al換算濃度は1~30%であり、1%未満では低濃度のため不経済であり、30%以上では結晶析出しやすく、また高粘度となり取扱い性が低下する。
【0014】
ヒドロキシ酸アルミン酸アルカリの調製方法には、前述のアルミン酸アルカリに乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、グリコール酸等のヒドロキシ酸を添加する方法、ヒドロキシ酸アルカリに水酸化アルミニウムゲルを溶解させる方法などがあり、特段制限はない。
【0015】
(C)安定剤(三糖類以上の多糖類、糖アルコール類、アンモニア、水溶性アミン)
アルミナゲルの均一性及び安定性を高めるために安定剤を添加することが行なわれてもよい。安定剤は、具体的には、三糖類以上の多糖類、糖アルコール、アンモニア、また水溶性アミンの1種または2種以上が使用できる。多糖類においては、還元性を強く示す単糖類や二糖類は除かれる。安定剤としては、より具体的には、デンプン、グリコーゲン、セルロース類、スクロース、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アンモニア、トリメチルアンモニア、エチレンジアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。安定剤は、好ましくはD-ソルビトール、エリスリトール、トリエタノールアミンである。いずれも市販品を購入して使用できる。これらは、前述のヒドロキシ酸アルミニウム(A)やアルミン酸アルカリ又はヒドロキシ酸アルミン酸アルカリ(B)のいずれかにあらかじめ添加してもよい。安定剤の使用量はAlの質量に対して、1~30質量%であり、好ましくは3~15質量%である。
【0016】
ここで上記成分(B)のうち、アルミン酸アルカリ水溶液は、特に高温での長期安定性が悪く、経時で結晶析出し、配管の閉塞を起こしたり、保存管理がしにくい問題があるので、アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリ(B)に安定剤を予め配合することで、高い安定性が得られる。これは、安定剤から供給される水酸基が、Al(OH)4―で示されるアルミン酸錯イオンの構造を安定化させるためと考えられる。
【0017】
さらに上記成分(B)のうちアルミン酸アルカリ水溶液は、構成成分としてテトラヒドロキソアルミン酸ナトリウム(Na[Al(OH)])、遊離水酸化ナトリウムと表記されるが、この遊離水酸化ナトリウムを5質量%以上含むため腐食性が強く、安全性に課題があるが、アルミン酸アルカリ水溶液にヒドロキシ酸および安定剤(即ち、三糖類以上の多糖類、糖アルコール、アンモニア、また水溶性アミン)を配合することで、遊離水酸化ナトリウムを5質量%以下にでき、安全性を高めることが可能である。なお、遊離水酸化ナトリウムが存在しない場合本発明のゲル化に必要なアルカリ分が不足し、またAl濃度も低下するため好ましくない。
【0018】
アルミナゲルの製造方法
ヒドロキシ酸アルミニウム(成分(A))にアルミン酸アルカリおよび/またはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリ(成分(B))を添加することでアルミナゲルが得られる。この時必要に応じて安定剤(C)を事前に成分(A)および/または成分(B)に混合しておくことができる。これら各種材料を必要量の水とともに攪拌または圧送等の方法または装置を用いて均一に混合させる。このときの各種材料はいずれも粉末でも水溶液でも任意の形態で使用が可能であるが、これら材料混合の時点で速やかにゲル化が開始するため、水の添加直後は均一になるよう速やかな混合が必要である。
【0019】
各種材料を必要量の水の存在下で混合してゲルとしたのち乾燥粉末としておき、必要時に所定量の水を添加することで再度、ゲルを形成させることも可能である。乾燥物を得るための乾燥温度は20~200℃で行う。20℃未満では乾燥に長時間を要し不経済であり、200℃を超えると黄変が生じ保水性能が低下するため好ましくない。なお、ゲル形成時に温度また圧力の制御は必要なく、常温常圧で実施が可能である。
【0020】
ヒドロキシ酸アルミニウム(A)にアルミン酸アルカリおよび/またはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリ(B)を(必要に応じて安定剤(C)と共に)、水に配合し、アルミナゲルが形成される。得られたアルミナゲルは、Al分が5~25質量%、ヒドロキシ酸が5~20質量%、アルカリ金属原子が1~8質量%、水が55~85質量%であり、かつpHが8~12となるように各材料比率を調整して反応を行う。
【0021】
Alの量は、ヒドロキシ酸アルミニウム(A)のアルミニウムと、ヒドロキシ酸アルミン酸アルカリのアルミニウム(B)のアルミニウムの全てがAlになるとして計算することにより得られる。Alの量が5質量%より少ないと、短時間でのゲル化ができない欠点を有し、25質量%を超えると、ゲルが硬くなり間隙が生じたり崩れやすくなる。Alの量は、好ましくは5~23質量%、より好ましくは5~20質量%である。ヒドロキシ酸の量は、配合時の量に基づいて計算をすることにより得られ、ヒドロキシ酸の量が5質量%より少ないと、安定性が低下し析出沈殿しやすく、20質量%を超えると、水溶性が低下しゲル化が不均一となりやすい。ヒドロキシ酸の量は、好ましくは5~19質量%であり、より好ましくは5~18質量%である。アルカリ金属原子の量は、同様に配合時の量に基づいて計算をすることにより得られ、アルカリ金属原子の量が1質量%より少ないと、安定性が低下し析出沈殿しやすくなり、8質量%を超えると、副生物が多くなりゲル化しにくくなる。アルカリ金属原子の量は、好ましくは1~7質量%であり、より好ましくは1~6質量%である。水の量も、配合量から計算されるが、水が55質量%より少ないと、ゲルが硬くなり割れやすい欠点を有し、85質量%を超えると、ゲル化速度が遅くなり、ゲル強度が小さい欠点を有する。水の量は、好ましくは55~80質量%、より好ましくは55~75質量%である。また、得られたアルミナゲルは、pH8~12のアルカリ性を示す。アルミナゲルのpHが8より少ないと、不均一、また保形性が弱くなる欠点を有し、pH12より高いと、ゲル強度が弱くなる傾向にある。アルミナゲルのpHは、好ましくはpH8.5~11、より好ましくはpH9~11である。
【0022】
本発明のアルミナゲルの乾燥物の結晶相は、X線回折で確認できるが、通常主に非晶質となる。本発明でアルミナゲル保水物を瞬時に形成できる理由は定かでないが、アルミニウム塩の中和時における加水分解がヒドロキシ酸のキレート作用で抑えられ、非晶質物質の自己解膠した微細粒子が生じ、高い保水性を示すと推察する。
【0023】
本発明で得られたアルミナゲルは、アルミナゲルの2mm塗工膜を、ヘーズメーターで測定した場合に色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示し、かつ前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、引張試験機で10mm/secで引張試験を行った場合に最大応力値が5N以上を示す、ことを特徴とする。ヘーズメーターでの測定では、アルミナゲルの色が、透明に近く、均一であることを意味する。また、ステンレス製治具で挟み込み引張試験を施すことは、無機材への付着性が良いことを意味する。例えば吹き付け耐火物における保形用途では、鋼材や骨材に対する付着性が要求される。上記最大応力値の上限値は、100Nでありうる。上記引張試験での最大応力が5Nより小さいと、対象物から剥離しやすくなり、上限値の100Nを超えると、硬すぎてゲル間に間隙ができ、保形性能が不足する傾向を有する。上記引張試験での最大応力値は、好ましくは5~90N、より好ましくは7~90Nである。
【0024】
本発明のアルミナゲルには、シリコン原子またはカルシウム原子が基本的に含まれていないのが特徴である。ただ、シリコン原子またはカルシウム原子は、原料材料の不純物として存在する。本発明のアルミナゲルでは、シリコン原子またはカルシウム原子の含有量は、0~100ppm、好ましくは0~80ppm、より好ましくは0~60ppmである。シリコン原子またはカルシウム原子が、100ppmを超えると、アルミナゲルの耐熱性が不足する傾向がある。
【0025】
(実施例)
本発明を実施例により更に詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
1リットルのニーダー装置に塩基性乳酸アルミニウム水溶液(Al=6.8%、乳酸/Alのモル比:2.0)100gを入れ、D-ソルビトールを0.78g溶解させた乳酸アルミン酸ナトリウム水溶液(Al=16.1%)26gを攪拌しながら同量ずつ加えて混合攪拌しアルミナゲルを形成させた。ゲル状態の外観は透明で均一であり、3分後の保形性は良好であった。アルミナゲル中のAlの量は8.6質量%であり、pHは8.5であった。アルミナゲルをガラス板へ2mmで塗工して、得られた塗工膜をヘーズメーターで測定した結果は、色座標でL*が97.97、a*が-0.05、b*が0.34であった。アルミナゲルを100℃で2時間乾燥させたものは、X線回折によると非晶質であった。通常の使用例として、骨材として用いる易焼結アルミナ粉末(日本軽金属株式会社製、LS‐711C、平均粒径:0.6μm)100gをベースに、前述の塩基性乳酸アルミニウム水溶液およびD-ソルビトールを溶解した乳酸アルミン酸ナトリウム水溶液を同じ量で混合撹拌して、骨材入りのアルミナゲルを作成し、引張試験機(ミネベアミツミ株式会社製、万能試験機)で2mm塗工膜を直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、10mm/secで引張時の最大応力値は10.5Nであった。
【0027】
(実施例2)
実施例1のゲルを100℃で8時間乾燥させ、Al=33.1%の乾燥物を得た。これをハンマーミル(回転数8,000rpm)で粉砕処理し回収した。回収物のうち30gに水100gを加え均一混合したゲルの物性を実施例1と同様に評価した。ゲル状態の外観は透明で均一であり、3分後の保形性は良好であった。アルミナゲル中のAl=9.9%、pH=9.5であり、ガラス板へ2mm塗工膜をヘーズメーターで測定した色座標でL*が97.22、a*がー0.07、b*が0.42であった。ゲルを100℃で2時間乾燥させたものは、X線回折によると非晶質であった。また実施例1と同様に易焼結アルミナ粉末ベースを用いて引張試験を行った結果、最大応力値は6.4Nであった。
【0028】
(実施例3)
1リットルのニーダー装置に塩基性グリコール酸アルミニウム水溶液(Al=6.0%、グリコール酸/Alのモル比:2.0)100gを入れ、D-ソルビトールを0.78g溶解させた乳酸アルミン酸ナトリウム水溶液(Al=16.1%)20.2gを攪拌しながら同量ずつ加えて混合攪拌しゲルを形成させた。ゲル状態の外観は透明で均一であり、3分後の保形性は良好であった。アルミナゲル中のAl=8.2%、pH=9.5であり、ガラス板へ2mm塗工膜をヘーズメーターで測定した色座標でL*が95.60、a*が-0.03、b*が0.28であった。アルミナゲルを100℃で2時間乾燥させたものは、X線回折によると非晶質であった。また実施例1と同様に易焼結アルミナ粉末ベースを用いて引張試験を行った結果、最大応力値は6.7Nであった。
【0029】
(実施例4)
1リットルのニーダー装置に塩基性乳酸アルミニウム水溶液(Al=6.8%、乳酸/Alのモル比:2.0)100gを入れ、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al=20.1%)20gを攪拌しながら同量ずつ加えて混合攪拌しゲルを形成させた。ゲル状態の外観は透明で均一であり、3分後の保形性は良好であった。アルミナゲル中のAl=9.0%、pH=10.5であり、ガラス板へ2mm塗工膜をヘーズメーターで測定した色座標でL*が97.63、a*が-0.07、b*が0.38であった。ゲルを100℃で2時間乾燥させたものは、X線回折によると非晶質であった。また実施例1と同様に易焼結アルミナ粉末ベースを用いて引張試験を行った結果、最大応力値は9.2Nであった。
【0030】
(実施例5)
1リットルのニーダー装置に塩基性乳酸アルミニウム水溶液(Al=6.8%、乳酸/Alのモル比:2.0)100gを入れ、粉末アルミン酸ナトリウム(Al=52.9%)17gを水13gに溶解させた液を攪拌しながら同量ずつ加えて混合攪拌しゲルを形成させた。ゲル状態の外観は透明で均一であり、3分後の保形性は良好であった。ゲル中のAl=12.1%、pH=11.1であり、ガラス板へ2mm塗工膜をヘーズメーターで測定した色座標でL*が98.80、a*がー0.06、b*が0.31であった。ゲルを100℃で2時間乾燥させたものは、X線回折によると非晶質であった。また実施例1と同様に易焼結アルミナ粉末ベースを用いて引張試験を行った結果、最大応力値は14.4Nであった。
【0031】
(比較例1)
1リットルのニーダー装置に90%乳酸68.0gを入れ、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al=16.1%)100gを攪拌しながら同量ずつ加えて混合攪拌したが、白色スラリー液となり、ゲル化しなかった。スラリー中のAl=11.9%、pH=9.8であり、スラリーを100℃で2時間乾燥させたものは、X線回折によると不定な夾雑ピークが検出された。また実施例1と同様に易焼結アルミナ粉末ベースを用いて引張試験を行った結果、最大応力値は0.2Nであった。
【0032】
(比較例2)
1リットルのニーダー装置に塩基性乳酸アルミニウム水溶液(Al=6.8%、乳酸/Alのモル比:2.0)100g、次いで精製水400gを入れ、D-ソルビトールを0.78g溶解させた乳酸アルミン酸ナトリウム水溶液(Al=16.1%)26gを、精製水400gの攪拌下に同量ずつ加えて混合攪拌した。徐々に増粘しゲル化までに4時間以上を要した。合成物のAl=2.1%、pH=9.0であった。
【0033】
(比較例3)
1リットルのニーダー装置に塩基性乳酸アルミニウム水溶液(Al=6.8%、乳酸/Alのモル比:2.0)100gを入れ、D-ソルビトールを0.6g溶解させた乳酸アルミン酸ナトリウム水溶液(Al=16.1%)19.9gを攪拌しながら同量ずつ加えて混合攪拌した。凝集粒が点在し徐々に増粘するがゲル化しなかった。合成物のAl=8.5%、pH=6.1であった。
【0034】
(比較例4)
1リットルのニーダー装置に塩基性乳酸アルミニウム水溶液(Al=8.4%、乳酸/Alのモル比:1.9)100gを入れ、48%水酸化ナトリウム水溶液22.4gを攪拌しながら同量ずつ加えて混合攪拌した。液体のままでありゲル化しなかった。合成物のAl=6.9%、pH=9.5であった。
【0035】
(比較例5)
1リットルのニーダー装置に硫酸アルミニウム水溶液(Al=8.0%)50g、次いで精製水50gを入れ、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al=20.1%)50gを、精製水50gの攪拌下に同量ずつ攪拌しながら同量ずつ加えて混合攪拌した。水と分離した固化塊状物となりゲル化しなかった。合成物のAl=9.3%、pH=11.0であった。
【0036】
実施例および比較例で得られた材料の形成材料として、成分(A)、成分(B)および安定剤の種類を表1に記載する。表1には、更に、Alの含有量、ヒドロキシ酸の含有量、アルカリ金属原子の含有量、水の含有量およびpHの測定値を記載する。pH値は東亜DKK株式会社のポータブルpH計HM-40Pを用いて20℃で測定した。更に、表1にはゲル状態、3分後の補形成および乾燥物の結晶性を記載する。測定方法は以下に記載する。
【0037】
ゲル状態は外観を目視観察し、以下の基準で表1に記載した:
○:均一なゲル状
△:3時間以上後に均一なゲル状
×:液状あるいは粉末状
【0038】
3分後の保形性はゲルを形成した後、3分後に容器を90度に傾けて、垂れが生じないか30秒間目視観察した。
○:垂れが生じない。
×:垂れが生じた。
【0039】
結晶相はX線回折(SmartLab 9kW;株式会社リガク製)の結果を基に記載した。
【0040】
【表1】
【0041】
表2には実施例1~5で得られたアルミナゲルのヘーズメーターによる色座標を記載する。アルミナゲルは、ガラス板上へゲルを2mm厚となるよう塗工し、日本電色工業株式会社製のヘーズメーターSH-7000を用いて測定した。
【0042】
【表2】
【0043】
表3には、実施例1~5、比較例1および参考例(易焼結アルミナ粉末100gに精製水100gを加え混合したスラリー)の引張試験を行った結果である最大応力値を記載した。測定材料については、表面♯400処理された直径30mmのステンレス製治具へアルミナゲルを2mm厚となるよう塗工して挟み込み、ミネベアミツミ株式会社製の万能試験機を用いて10mm/secで引張試験を行った。
【0044】
【表3】
【0045】
表1に示すように実施例1~5では、Al分が5~25質量%、ヒドロキシ酸が5~20質量%、アルカリ金属原子が1~8質量%、水分率が55~85質量%であり、pHを8~12とすることでゲル形成が速やかに実施でき、3分後の保形性も良好であった。また表2に示すように、本発明のアルミナゲルはヘーズメーターで2mm塗工膜を測定した色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示した。これはL*値が90以上と高く、a*及びb*値が0に近い値をとっているため、非常に明るい無彩色である事を示している。また表3に示すように易焼結アルミナ粉末ベースにおいて、参考例の水スラリーでは応力値が0.1N未満であるのに対し、実施例1~5はいずれも5N以上を示し鋼材系への良好な付着性を有するとみられた。
【0046】
一方で、表1に示すように比較例1、比較例4や比較例5のように本発明の材料を用いない場合は目的とするアルミナゲルが得られない。また比較例2のAl=2.1%および比較例3のpH=6.1のように本発明の範囲外のAl濃度あるいはpH範囲である場合、速やかにゲル化させることができない。
【0047】
なお、実施例1~5で得られたアルミナゲルの100℃乾燥物はX線回折で非晶質を示すが、比較例1で得られたアルミナゲルの100℃乾燥物は不定な夾雑ピークを示し、実施例で示したアルミナゲルとは異なっていた。
【0048】
以上のように本発明のアルミナゲル及びその製造方法は、シリカまたカルシウム材料を使用せず、アルミニウムによるゲルが速やかに(具体的には、3分以内に)形成でき、保形性に優れるものである。本発明品は水系で均一なアルミニウム材料であり、また本発明のアルミナゲルは粉末化も可能であり、加水時に再びゲル化させることができるため、従来の焼成物向けバインダー用途に適用しやすく、シリカまたカルシウムを含まないことから耐熱性の改善が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のアルミナゲルは、不定形耐火物バインダー、急結剤、アルミナ繊維の表面処理、ゼオライト等複合鉱物、触媒担体の処理などに好適に使用できる。加えて化粧品用保水ジェル、顔料定着剤、歯磨き剤、制汗剤用等のコスメティック、ヘルスケア分野にも応用可能である。
【0050】
以下の発明の態様を追加する:
[1] Al5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有するpH8~12を有するアルミナゲルであって、
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、ヘーズメーターで測定した場合に色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示し、かつ
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、引張試験機で10mm/secで引張試験を行った場合に最大応力値が5N以上を示す、
ことを特徴とするアルミナゲル。
[2] シリコン原子またはカルシウム原子の含有量が0~100ppmである、[1]記載のアルミナゲル。
[3] アルミナゲルが、安定剤を含み、前記安定剤が三糖類以上の多糖類、糖アルコール、アンモニアまたは水溶性アミンの1種以上である、[1]または[2]記載のアルミナゲル。
[4] (A)ヒドロキシ酸アルミニウムと、(B)アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリとを、混合してゲル化することを特徴とする[1]に記載のアルミナゲルの製造方法。
[5] 前記ヒドロキシ酸アルミニウム(A)が、乳酸アルミニウムまたはグリコール酸アルミニウムである、[4]記載のアルミナゲルの製造方法。
[6] 前記ヒドロキシ酸アルミニウム(A)が、ヒドロキシ酸アルミニウム(A)中のヒドロキシ酸のモル数と該ヒドロキシ酸中のカルボキシル基数との積(I)と、ヒドロキシ酸アルミニウム(A)のアルミニウムのモル数から換算したAlのモル数(II)の比がI/II=1.0~2.0の範囲である、[4]または[5]記載のアルミナゲルの製造方法。
[7] 前記アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリ(B)が、アルミン酸ナトリウム、乳酸アルミン酸ナトリウムまたはグリコール酸アルミン酸ナトリウムの1種以上である、[4]~[6]のいずれかに記載のアルミナゲルの製造方法。
[8] 混合時に安定剤(C)を添加し、前記安定剤(C)が三糖類以上の多糖類、糖アルコール、アンモニアまたは水溶性アミンの1種以上である、[4]~[7]のいずれかに記載のアルミナゲルの製造方法。
[9] 得られたアルミナゲルが、Al5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有し、
pH8~12を有し、
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、ヘーズメーターで測定した場合に色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示し、かつ
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、引張試験機で10mm/secで引張試験を行った場合に最大応力値が5N以上を示す、
[4]~[8]のいずれかに記載のアルミナゲルの製造方法。
[10] (A)ヒドロキシ酸アルミニウムと(B)アルミン酸アルカリまたはヒドロキシ酸アルミン酸アルカリとを反応およびゲル化することにより得られたアルミナゲルであって、
前記アルミナゲルが、pH8~12を有し、かつAlを5~25質量%、アルカリ金属原子を1~8質量%、ヒドロキシ酸を5~20質量%および水を55~85質量%を含有する、ことを特徴とするアルミナゲル。
【要約】
【課題】 本発明は、シリカまたカルシウム材料を使用せず、アルミニウムによるゲルが速やかに形成でき、保形性に優れたゲル材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 Al5~25質量%、アルカリ金属原子1~8質量%、ヒドロキシ酸5~20質量%および水55~85質量%を含有するpH8~12を有するアルミナゲルであって、
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、ヘーズメーターで測定した場合に色座標でL*が90~100、a*が-0.5~0.5、b*が0~1.0を示し、かつ
前記アルミナゲルの2mm塗工膜を、直径30mmの表面♯400仕上げのステンレス製治具で挟み込み、引張試験機で10mm/secで引張試験を行った場合に最大応力値が5N以上を示す、
ことを特徴とするアルミナゲルおよびその製造方法。
【選択図】なし