(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】壁体設置用足場及び壁体設置方法
(51)【国際特許分類】
E04G 3/28 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
E04G3/28 303B
(21)【出願番号】P 2024037382
(22)【出願日】2024-03-11
【審査請求日】2024-03-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592086880
【氏名又は名称】丸栄コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 雅彰
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-153000(JP,A)
【文献】登録実用新案第3178200(JP,U)
【文献】特開2002-242162(JP,A)
【文献】中国実用新案第214575553(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 3/28-3/34
E04G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁体を高所における縁部に沿って壁幅方向に並べて設置していく際に、既に設置された前記壁体である既設壁体に隣接させて新たな前記壁体を新設壁体として設置するために用いられる壁体設置用足場であって、
前記既設壁体の上端側に支持され、その支持状態で前記壁幅方向に移動可能な支持部と、
前記支持部と連結部を介して連結され、前記新設壁体の外側となる位置に配置されるものであって、前記支持部よりも下方となる位置に作業者が乗る足場板が設けられた足場部と、を備える、壁体設置用足場。
【請求項2】
前記足場部から前記縁部よりも内側の地盤上へ延び、前記地盤上に載置される載置部を備える、請求項1に記載の壁体設置用足場。
【請求項3】
前記載置部は、前記地盤上に接地される接地部を有し、
前記接地部は、前記地盤上を前記壁幅方向に転がり可能な回転体である、又は、前記地盤から上方に退避可能に設けられている、請求項2に記載の壁体設置用足場。
【請求項4】
前記載置部は、前記足場部から前記地盤上へ延びるとともに、前記接地部が設けられた載置本体を有しており、
前記載置本体は、上下方向に延びる枠状又は板状に形成されている、請求項3に記載の壁体設置用足場。
【請求項5】
前記足場部の下部には、前記高所において前記縁部から下方に延びる高所側面に当接する当接部が設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の壁体設置用足場。
【請求項6】
前記連結部は、前記足場部と前記壁幅方向に隣接し、前記既設壁体の外側に配置され、
前記連結部には、前記足場部の前記足場板と前記壁幅方向に並んで、前記作業者の乗る足場板が設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の壁体設置用足場。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の壁体設置用足場を用いて、前記壁体を前記高所において前記縁部に沿って前記壁幅方向に並べて設置していく際の設置方法であって、
前記既設壁体の上端側に前記支持部が支持され、前記新設壁体の外側となる位置に前記足場部が配置された状態で前記壁体設置用足場があらかじめ設置されており、その壁体設置用足場の設置状態において前記足場部の前記足場板の上で作業者が待機する作業者待機工程と、
前記足場板の上で前記作業者が待機する間に前記新設壁体を設置する壁体設置工程と、
前記設置された新設壁体は新たな既設壁体であり、前記支持部を前記壁幅方向に移動させることにより、前記支持部を前記新たな既設壁体の上端側に支持させ、前記足場部を前記新たな既設壁体に隣接する新たな新設壁体の外側に配置する足場移動工程と、
を備える、壁体設置方法。
【請求項8】
前記壁体設置用足場の前記設置状態において、前記足場部を、前記縁部よりも内側の地盤上に固定された固定具に接続部材を介して接続する足場接続工程を備え、
前記足場接続工程では、前記接続部材が前記新設壁体が設置される設置箇所を挟んで前記既設壁体とは反対側に位置するように、前記接続部材による前記接続を行い、
前記足場接続工程の後、前記壁体設置工程を行う、請求項7に記載の壁体設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の壁体を高所における縁部に沿って並べて設置していく際に用いられる壁体設置用足場、及びその壁体設置用足場を用いて壁体を設置していく際の壁体設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
崖上や高速道路等の高所では、その縁部に沿って擁壁等の壁体が並べて設置される場合がある。壁体を高所に設置する際には壁体の外側となる位置に作業用の足場をあらかじめ組んでおくのが一般である。かかる足場は、例えば地上から高所へと組み上げられる。このように足場を組み上げる作業は非常に大掛かりなものになると考えられる。
【0003】
特許文献1には、既に設置された壁体(以下、既設壁体という)の外側にメンテナンス作業用のゴンドラを設け、そのゴンドラを既設壁体に支持させた状態で用いる技術が開示されている。このゴンドラは、既設壁体の外側に設けられ作業者が搭乗する搭乗部と、既設壁体の上端側に支持される支持部とを備えている。搭乗部は、横幅が既設壁体の壁幅よりも小さい箱状とされている。この場合、作業者が搭乗部に載ることで既設壁体の外側からメンテナンス作業を行うことが可能となっている。
【0004】
また、特許文献1のゴンドラは、その支持部が既設壁体の外表面を転がり可能な複数のローラを有しており、それらのローラが既設壁体の壁幅方向に転がることでゴンドラを壁幅方向に移動させることが可能となっている。これにより、特許文献1のゴンドラを用いれば、各既設壁体の外側からメンテナンス作業を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、壁体を高所の縁部に沿って設置していく際に、上記特許文献1のゴンドラを足場として利用することが考えられる。具体的には、既設壁体に隣接させて新たな壁体(以下、新設壁体という)を設置する際に、上記特許文献1のゴンドラを既設壁体に支持させ、足場として用いることが考えられる。そうすれば、壁体の設置作業に際し、上述した足場の組み上げ作業を行わなくても済む。
【0007】
また、上記特許文献1のゴンドラを用いる場合、既設壁体に隣接させて新設壁体を設置した後、ゴンドラを既設壁体から新設壁体(換言すると新たな既設壁体)の側に移動させ、その新たな既設壁体に支持させることができる。そのため、新設壁体の設置の度にゴンドラを足場として利用することが可能となる。
【0008】
ところで、既設壁体に隣接させて新設壁体を設置する際には、新設壁体が所定の設置位置に位置するよう位置調整をしながら設置することになる。かかる位置調整の作業は、例えば新設壁体の外側からバール等を用いて行われる。しかしながら、上記特許文献1のゴンドラでは、搭乗部が既設壁体の外側に配置されるだけであるため、新設壁体の外側から作業を行うことができないと考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、既設壁体に隣接させて新設壁体を設置する際に、新設壁体の外側から作業を行うことができる壁体設置用足場及び壁体設置方法を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明の壁体設置用足場は、
複数の壁体を高所における縁部に沿って壁幅方向に並べて設置していく際に、既に設置された前記壁体である既設壁体に隣接させて新たな前記壁体を新設壁体として設置するために用いられる壁体設置用足場であって、
前記既設壁体の上端側に支持され、その支持状態で前記壁幅方向に移動可能な支持部と、
前記支持部と連結部を介して連結され、前記新設壁体の外側となる位置に配置されるものであって、前記支持部よりも下方となる位置に作業者が乗る足場板が設けられた足場部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の壁体設置用足場は、既設壁体に隣接させて新設壁体を設置する際に用いられる。壁体設置用足場は、既設壁体の上端側に支持される支持部と、新設壁体の外側となる位置に配置される足場部とを備える。足場部には、作業者が乗る足場板が設けられている。これにより、新設壁体を設置する際に、作業者が足場板に乗って新設壁体の外側から作業を行うことが可能となる。
【0012】
新設壁体を設置した後は、その新設壁体が新たな既設壁体となる。そこで、支持部を壁幅方向に移動させ、新たな既設壁体の上端側に支持させる。この場合、足場部は、新たな既設壁体に隣接して設置される新たな新設壁体の外側となる位置に配置される。これにより、新たな新設壁体を設置する際、足場板に乗って新たな新設壁体の外側から作業を行うことが可能となる。このように新設壁体を順次設置していくにあたり、都度、新設壁体の外側から作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】擁壁設置用足場を用いて擁壁を高所の縁部に沿って並べて設置していく様子を示す斜視図である。
【
図2】既設擁壁に擁壁設置用足場が設置された状態を示す側面図である。
【
図3】既設擁壁に擁壁設置用足場が設置された状態を示す斜視図であり、既設擁壁に隣接させて新設擁壁を設置する様子を併せて示している。
【
図5】(a)が足場接続工程を示す側面図であり、(b)が作業者待機工程を示す斜視図である。
【
図6】(a)が壁体設置工程を示す斜視図であり、(b)が壁体移動工程を示す斜視図である。
【
図7】他の壁体設置方法を説明するための平面図であり、(a)が高速道路の縁部に沿って壁体を並べて設置した状態を示し、(b)~(d)が最初の壁体を設置する際の流れを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の壁体設置用足場を、複数の擁壁を高所においてその縁部に沿って並べて設置していく際に用いられる擁壁設置用足場として具体化している。
【0015】
図1及び
図2に示すように、崖上や高速道路等の高所12においては、その縁部13に沿って複数の擁壁11が壁幅方向に並べて設置される。擁壁11は、断面L字状に形成され、高所12における地盤15上に載置されるベース部11aと、ベース部11aから上方に立ち上がる壁部11bとを有している。壁部11bはベース部11aに対して外側に位置し、その外側面が高所12の縁部13から下方に延びる高所側面17と同一平面上に位置している。なお、各擁壁11はいずれも同じ壁幅Lを有している。また、各擁壁11が「壁体」に相当する。
【0016】
擁壁11を高所12において縁部13に沿って並べて設置していく際には擁壁設置用足場20が用いられる。以下、擁壁設置用足場20の構成について説明する。
【0017】
図3に示すように、擁壁設置用足場20は、既設された擁壁11(以下、既設擁壁11Aという)に隣接させて新たな擁壁11(以下、新設擁壁11B)を設置する際に用いられる。擁壁設置用足場20は、既設擁壁11Aの上端側に支持される支持部21と、新設擁壁11Bの外側となる位置に配置される足場部22と、支持部21と足場部22とを連結する連結部23とを有する。なお、擁壁設置用足場20が「壁体設置用足場」に相当する。
【0018】
擁壁設置用足場20は、既設擁壁11Aの上端側に支持部21が支持され、新設擁壁11Bの外側となる位置に足場部22が配置された状態で設置される。以下、この設置状態を基準として、擁壁設置用足場20の構成について説明する。
【0019】
図2~
図4に示すように、足場部22は、擁壁11の壁幅方向(以下、単に壁幅方向という)に延びており、支持部21よりも壁幅方向における所定側に配置されている。この場合、所定側とは、既設擁壁11Aに対して新設擁壁11Bが隣接する側である。足場部22は、その底部に設けられた足場板27と、足場板27の周縁部において立設された柵部28とを有する。足場板27は、支持部21よりも下方に配置され、壁幅方向に並んで複数(具体的には2つ)配置されている。また、各足場板27は、既設擁壁11Aの下端(換言すると、地盤15上において既設擁壁11Aが設置される設置面)よりも下方に位置している。
【0020】
柵部28は、複数の支柱31と、各支柱31に接続された複数の横材32とを有する。支柱31と横材32とは、例えば金属製のパイプ材又は棒材からなる。横材32は、上下方向に間隔をおいて複数配置されている。作業者が地盤15上から足場板27上に移動する際には、上下に隣り合う横材32の間を通じて移動するようになっている。また、柵部28の下端部に足場板27が固定されている。
【0021】
足場部22は、その壁幅方向の長さL1が擁壁11の壁幅Lよりも大きくなっている。この場合、足場部22は、新設擁壁11Bが設置される設置領域よりも壁幅方向において既設擁壁11A側とは反対側に延出する延出部分34を有している。新設擁壁11Bが設置された後、作業者が足場板27上から地盤15上に移動する際には、延出部分34から地盤15上に移動するようになっている(
図6(a)参照)。
【0022】
連結部23は、足場部22と壁幅方向に隣接し、足場部22と連結されて設けられている。この場合、足場部22と連結部23とにより壁幅方向に延びる本体部25が構成されている。連結部23は、既設擁壁11Aの外側に配置される。連結部23の壁幅方向の長さL2は擁壁11の壁幅Lよりも小さくなっている。また、足場部22の壁幅方向の長さL1は、連結部23の壁幅方向の長さL2の1.5倍以上となっており、本実施形態では約2倍となっている。
【0023】
連結部23は、上下方向に延びる直方体枠状の枠体部36と、枠体部36の内部に設けられた複数の足場板37,38とを有する。枠体部36は、足場部22よりも上方に延びており、四隅に立設された複数の支柱41と、隣り合う支柱41同士をつなぐ複数の横材42とを有している。支柱41と横材42とは、例えば金属製のパイプ材又は棒材からなる。また、枠体部36において、足場部22側とは反対側の側面部には梯子部43が設けられている。
【0024】
各足場板37,38のうち、足場板37は枠体部36の底部に配置され、足場板38は足場板37よりも上方に配置されている。足場板37は、足場部22の各足場板27と壁幅方向に並んで配置されている。これにより、足場部22の足場板27上から連結部23の足場板37上へ移動することが可能となっている。足場板37上から足場板38上に移動する際は、梯子部43を用いて移動する。この移動に際しては、足場板38に設けられたハッチ(図示略)を開いて移動する。
【0025】
続いて、支持部21について説明する。支持部21は、連結部23(詳しくは枠体部36)の上部に取り付けられている。支持部21は、連結部23から既設擁壁11Aの壁厚み方向に延び、既設擁壁11Aの上端側に支持されている。
【0026】
支持部21は、既設擁壁11Aの外表面を壁幅方向に転がり可能な複数のローラ51~53と、各ローラ51~53をそれぞれ支持する複数のローラ支持部54~56とを有している。支持部21は、既設擁壁11Aに支持された状態で、各ローラ51~53が既設擁壁11Aの外表面を転がることにより壁幅方向に移動可能となっている。そして、かかる支持部21の移動により、擁壁設置用足場20を壁幅方向に移動させることが可能となっている。
【0027】
複数のローラ51~53には、既設擁壁11Aの上端面を転がる第1ローラ51と、既設擁壁11Aの内側面(詳しくは壁部11bの内側面)を転がる第2ローラ52と、既設擁壁11Aの外側面(詳しくは壁部11bの外側面)を転がる第3ローラ53とが含まれている。また、各ローラ支持部54~56には、第1ローラ51を支持するローラ支持部54と、第2ローラ52を支持するローラ支持部55と、第3ローラ53を支持するローラ支持部56とが含まれている。各ローラ支持部54~56はいずれもパイプ材又は棒材により形成されている。各ローラ51~53及び各ローラ支持部54~56は、壁幅方向に間隔をおいて複数(具体的には2つ)配置されている。
【0028】
各ローラ支持部54,55は、支持フレーム58を介して連結部23の上部に取り付けられている。支持フレーム58は、複数のパイプ材が組まれることにより形成され、支持部21の一部を構成している。支持フレーム58は、連結部23の上部から既設擁壁11Aの上方を通じて連結部23から離れる側に延びる横延出部58aと、横延出部58aから下方に延び既設擁壁11Aの内側に配置される縦延出部58bとを有している。
【0029】
横延出部58aには、ローラ支持部54がクランプ61を用いて取り付けられている。この場合、クランプ61をゆるめることにより、ローラ支持部54の取付位置を上下方向に調整することで第1ローラ51の位置を上下方向(換言すると、既設擁壁11Aの高さ方向)に調整可能となっている。また、縦延出部58bには、ローラ支持部55がクランプ62を用いて取り付けられている。この場合、クランプ62をゆるめることにより、ローラ支持部55の取付位置を既設擁壁11Aの壁厚み方向(以下、単に壁厚み方向という)に調整することで第2ローラ52の位置を壁厚み方向に調整可能となっている。また、ローラ支持部56は、連結部23の上部にクランプ63を用いて取り付けられている。この場合、クランプ63をゆるめることにより、ローラ支持部56の取付位置を壁厚み方向に調整することで第3ローラ53の位置を壁厚み方向に調整可能となっている。
【0030】
足場部22の下端部には、高所12における高所側面17に当接し、その高所側面17を壁幅方向に転がり可能なローラ65が設けられている。ローラ65は、足場部22における壁幅方向の両端部にそれぞれ配置されている。各ローラ65は、棒状のローラ支持部66を介して足場部22に取り付けられている。なお、各ローラ65が「当接部」に相当する。
【0031】
また、連結部23の下端部にも、高所12における高所側面17に当接し、高所側面17を壁幅方向に転がり可能なローラ68が設けられている。ローラ68は、連結部23における足場部22側とは反対側の端部に配置されている。ローラ68は、棒状のローラ支持部69を介して連結部23に取り付けられている。足場部22のローラ65と連結部のローラ68とは、擁壁設置用足場20を壁幅方向に移動させる際、高所側面17を壁幅方向に転がる。
【0032】
足場部22には、高所12における地盤15上に向けて延び、その地盤15上に載置される載置部71が設けられている。載置部71は、足場部22から壁厚み方向において支持部21と同じ側に延びている。また、載置部71は、足場部22において壁幅方向における連結部23側(支持部21側)とは反対側の端部に取り付けられている。この場合、載置部71は、新設擁壁11Bが設置される設置箇所を挟んで既設擁壁11Aとは反対側に配置されている。
【0033】
載置部71は、足場部22に取り付けられ足場部22から地盤15上に延びる載置本体72と、載置本体72に設けられた回転体73とを有する。載置本体72は、足場部22の長さ方向(換言すると壁幅方向)と交差する横方向(換言すると壁厚み方向)に延び、かつ上下方向に延びる枠状に形成されている。載置本体72は、複数の縦材75と複数の横材76とが矩形枠状に組まれることにより形成されている。縦材75と横材76とは、パイプ材又は棒材により形成されている。
【0034】
回転体73はキャスタからなり、載置本体72の下端部に一対取り付けられている。各回転体73は、地盤15上に配置(接地)され、地盤15上を壁幅方向に転がり可能とされている。また、各回転体73には、その転がりを禁止するストッパ機能が設けられている。なお、回転体73が「接地部」に相当する。
【0035】
続いて、上述した擁壁設置用足場20を用いて、擁壁11を高所12において縁部13に沿って並べて設置していく際の設置方法について説明する。ここでは、あらかじめ既設された既設擁壁11Aに隣接させて新設擁壁11Bを設置する際の流れを中心に説明する。
【0036】
図5(a)及び(b)に示すように、既設擁壁11Aにはあらかじめ擁壁設置用足場20が設置されている。擁壁設置用足場20は、その支持部21が既設擁壁11Aの上端側に支持され、その足場部22が新設擁壁11Bの外側となる位置に配置された状態で設置されている。この設置状態では、載置部71が高所12における地盤15上に載置されている。また、載置部71の回転体73は、ストッパにより転がり禁止状態とされている。
【0037】
擁壁設置用足場20の上記設置状態において、まず
図5(a)に示すように、足場部22を、地盤15上に固定された固定具81に接続部材82を介して接続する足場接続工程を行う。固定具81は、例えばフープ筋からなり、地盤15上にあらかじめ固定されている。例えば、固定具81は、地盤15上の基礎コンクリート(図示略)に一部埋設された状態で固定されている。また、接続部材82は、例えばチェーンやワイヤ等の線状部材からなる。接続部材82は、その一端部があらかじめ足場部22に接続されている。詳しくは、接続部材82の一端部は、足場部22において壁幅方向における連結部23側(換言すると支持部21側)とは反対側の端部に接続具85を介して接続されている。
【0038】
接続工程では、接続部材82の他端部を固定具81に固定するとともに、操作部83を操作することで接続部材82に張力を加える。これにより、足場部22が接続部材82を介して固定具81に接続される。また、接続工程では、接続部材82が新設擁壁11Bの設置箇所を挟んで既設擁壁11Aとは反対側に位置するように、接続部材82による接続を行う。なお、
図5(b)、
図6(a)及び(b)では説明の便宜上、固定具81及び接続部材82の図示を省略している。
【0039】
次に、
図5(b)に示すように、作業者Tが高所12の地盤15上から足場部22の足場板27の上に移動する作業者移動工程を行う。この工程では、作業者Tが足場部22の柵部28における上下に隣り合う横材32の間を通じて足場板27上へ移動する。足場板27上に移動した作業者Tは、足場板27上で待機する(作業者待機工程)。
【0040】
次に、
図6(a)に示すように、作業者Tが足場板27上で待機する間に、既設擁壁11Aに隣接させて新設擁壁11Bを設置する壁体設置工程を行う。この工程では、クレーンにより新設擁壁11Bを吊った状態で新設擁壁11Bを下ろしながら設置する(
図3も参照。但し、
図3では作業者Tの図示を省略している。)。また、新設擁壁11Bは、既設擁壁11Aと載置部71との間に配置される。
【0041】
新設擁壁11Bを設置する際には、足場板27上で待機する作業者Tが新設擁壁11Bの外側から作業を行う。例えば、新設擁壁11Bの壁厚み方向の位置が既設擁壁11Aの壁厚み方向の位置と同じとなるよう、新設擁壁11Bの設置位置を調整する位置調整作業を行う。かかる位置調整作業は、新設擁壁11Bの下端面と地盤15との隙間にバールを挿し入れる等して行う。
【0042】
壁体設置工程により設置された新設擁壁11Bは、新たな既設壁体となる。以下、同じ符号を用いて、「新たな既設擁壁11B」という。
【0043】
次に、作業者Tが足場板27上から地盤15上に退避(移動)する作業者退避工程を行う。この工程では、作業者Tが足場部22の延出部分34から地盤15上に退避する。
【0044】
次に、固定具81に対する足場部22の接続を解除する接続解除工程を行う。この工程では、接続部材82の他端部を固定具81から取り外すことで上記の接続を解除する。その後、固定具81を地盤15上から取り外す。また、載置部71の回転体73のストッパを解除し、回転体73を転がり可能な状態にする。
【0045】
次に、
図6(b)に示すように、支持部21を壁幅方向に移動させることにより、支持部21を新たな既設擁壁11Bの上端側に支持させ、足場部22を新たな既設擁壁11Bに隣接して設置される新たな擁壁11(以下、新たな新設擁壁11Cという)の外側となる位置に配置する足場移動工程を行う。この工程では、作業者Tが載置本体72の横材76を持って載置本体72を壁幅方向に押すことにより、支持部21ひいては擁壁設置用足場20を壁幅方向に移動させる。
【0046】
足場移動工程を行うことにより、擁壁設置用足場20は、新たな既設擁壁11Bに設置された状態とされる。そのため、擁壁設置用足場20を、新たな既設擁壁11Bに隣接させて新たな新設擁壁11Cを設置するために用いることが可能となる。この場合、上述した足場接続工程から壁体設置工程までの各工程を行うことにより、新たな新設擁壁11Cを設置する。
【0047】
このように、本実施形態の設置方法によれば、新設擁壁の設置(足場接続工程~壁体設置工程)と、擁壁設置用足場20の移動(移動工程)とを繰り返し行うことにより、高所12において擁壁11を順次並べて設置していくことができる。
【0048】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0049】
・擁壁設置用足場20は、既設擁壁11Aの上端側に支持される支持部21と、既設擁壁11Aに隣接して設置される新設擁壁11Bの外側となる位置に配置される足場部22とを備える。足場部22には、作業者が乗る足場板27が設けられている。これにより、新設擁壁11Bを設置する際に、作業者が足場板27に乗って新設擁壁11Bの外側から作業を行うことが可能となる。
【0050】
新設擁壁11Bを設置した後は、その新設擁壁11Bが新たな既設擁壁11Bとなる。支持部21は壁幅方向に移動可能とされているため、支持部21を壁幅方向に移動させることで、支持部21を新たな既設擁壁11Bの上端側に支持させ、足場部22を新たな既設擁壁11Bに隣接して設置される新たな新設擁壁11Cの外側に配置することができる。これにより、新たな新設擁壁11Cを設置する際、足場板27に乗って当該新設擁壁11Cの外側から作業を行うことが可能となる。このように、本擁壁設置用足場20を用いれば、新設擁壁を新たに設置していく度に、新設擁壁の外側から作業を行うことが可能となる。
【0051】
・足場部22から高所12の地盤15上へ延び、地盤15上に載置される載置部71を備える。この場合、足場部22の荷重を載置部71を介して地盤15上で受けることができる。これにより、足場部22の足場板27上に作業者が乗った際に、足場部22が下方に撓むのを抑制することができる。そのため、足場板27上での作業を安定した状態で行うことができる。
【0052】
・載置部71は、地盤15上に接地される接地部として、地盤15上を壁幅方向に転がり可能な回転体73を有する。これにより、載置部71を備える擁壁設置用足場20を壁幅方向に移動し易くすることができる。
【0053】
・載置部71の載置本体72が上下方向に延びる枠状に形成されている。これにより、擁壁設置用足場20を壁幅方向に移動させる際に載置本体72を壁幅方向に押しながら移動させることができる。また、作業者が地盤15上から足場板27上に移動する際に、載置本体72を安全柵として用いることも可能となる。
【0054】
・足場部22の下部には、高所側面17に当接するローラ65が設けられている。この場合、足場部22の荷重をローラ65を介して高所側面17で受けることができる。そのため、足場部22の足場板27上に作業者が乗った際に足場部22が傾くのを抑制できる。これにより、足場板27上で安定した状態で作業することが可能となる。
【0055】
・高所側面17に当接する当接部が、高所側面17を壁幅方向に転がり可能なローラ65となっている。これにより、当接部を有する擁壁設置用足場20を壁幅方向に移動させ易くすることができる。
【0056】
・連結部23は足場部22と壁幅方向に隣接し、既設擁壁11Aの外側に配置される。連結部23には、足場部22の足場板27と壁幅方向に並ぶ足場板37が設けられている。この場合、足場部22と支持部21とを連結する連結部23が足場として兼用されており、その連結部23の足場板37に乗って既設擁壁11Aの外側から作業を行うことが可能となる。
【0057】
・連結部23には、足場板37よりも上方に足場板38が設けられている。これにより、擁壁11をクレーンを用いて設置する際の玉掛け作業時等に足場板38上で作業を行うことが可能となる。
【0058】
・足場部22を地盤15上に固定された固定具81に接続部材82を介して接続する足場接続工程を行う。この工程では、接続部材82が新設擁壁11Bが設置される設置箇所を挟んで既設擁壁11Aとは反対側に位置するように、接続部材82による接続を行う。この工程の後、既設擁壁11Aに隣接させて新設擁壁11Bを設置する壁体設置工程を行う。この場合、新設擁壁11Bが既設擁壁11Aと接続部材82との間に設置される。
【0059】
また、足場部22が接続部材82を介して固定具81に接続されているため、新設擁壁11Bの設置の際、足場部22が新設擁壁11Bから離れる側に動くのを抑制できる。これにより、新設擁壁11Bの設置の際、足場板27上で安定した状態で作業することが可能となる。
【0060】
・第1ローラ51の位置を既設擁壁11Aの壁高さ方向に調整可能としたため、既設擁壁11Aの壁高さに応じて第1ローラ51の位置を設定することができる。また、第2ローラ52及び第3ローラ53の位置を既設擁壁11Aの壁厚み方向に調整可能としたため、既設擁壁11Aの壁厚さに応じて各ローラ52,53の位置を設定することができる。これにより、壁高さや壁厚さの異なる複数種類の擁壁11に対して擁壁設置用足場20を用いることが可能となる。
【0061】
・ところで、高所12において擁壁11を設置する設置面が縁部13に沿って傾斜している場合には、設置面に設置される擁壁11が壁幅方向に傾斜して設置されることになる。その場合、既設擁壁11Aに設置される擁壁設置用足場20も傾斜して設置されることになる。その点、上記の実施形態では、壁幅方向に離間配置された複数の第1ローラ51の位置をそれぞれ壁高さ方向に調整可能となっているため、既設擁壁11Aの傾斜に応じて各第1ローラ51の位置を壁高さ方向に調整することが可能となる。これにより、傾斜状態の既設擁壁11Aに対して擁壁設置用足場20を非傾斜の状態で設置することが可能となる。
【0062】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0063】
(1)上記実施形態では、載置部71が、接地部として回転体73を有していたが、接地部は必ずしも回転体73である必要はない。例えば、載置部71が、接地部として、地盤15上に接地される脚部を有していてもよい。この場合、脚部を載置本体72に上下方向に移動可能に設けることで、脚部を地盤15上に接地される接地状態と地盤15から上方に退避される退避状態とに切り替え可能としてもよい。かかる構成とすれば、足場移動工程の際には、脚部を退避状態に切り替えることにより、擁壁設置用足場20を移動し易くすることができる。
【0064】
(2)上記実施形態では、載置本体72を上下方向に延びる枠状に形成したが、これを変更して、上下方向に延びる板状に形成してもよい。この場合にも、載置本体72を壁幅方向に押しながら擁壁設置用足場20を移動させることができる。
【0065】
(3)上記実施形態では、連結部23に足場板37,38を設けたが、これらの足場板37,38を設けないようにしてもよい。その場合、連結部23を、長尺状に形成する等、枠状以外の形状で形成してもよい。
【0066】
(4)支持部21に、ローラ51~53を回転駆動するモータ等の駆動部を設けてもよい。この場合、駆動部の駆動によりローラ51~53を回転させ既設擁壁11Aの外表面を転がすことにより、支持部21を壁幅方向に移動させることが可能となる。これにより、支持部21の移動を容易にすることが可能となる。
【0067】
(5)上記実施形態では、擁壁設置用足場20の足場部22を地盤15上の固定具81に接続部材82を介して接続する足場接続工程を行ったが、この足場接続工程の際に、さらに支持部21を地盤15上又は既設擁壁11Aのベース部11aにあらかじめ固定された固定具(以下、第2固定具という)に接続部材82を介して接続するようにしてもよい。そうすれば、擁壁設置用足場20をより安定した状態で設置することが可能となる。
【0068】
具体的には、支持部21の支持フレーム58の縦延出部58bを第2固定具に接続部材82を介して接続することが考えられる。また、擁壁11をクレーンを用いて吊り上げる際には、擁壁11に取り付けられた吊り具にクレーンのフックを引っ掛けて取り付けることになる。そこで、既設擁壁11Aに取り付けられた吊り具を第2固定具として用いるようにしてもよい。
【0069】
(6)上記実施形態では、足場移動工程の前に、作業者が足場板37の上から地盤15上に退避するようにしたが、足場板37上から退避せず足場板37上に待機したままとしてもよい。その場合、足場移動工程の際、作業者が足場板37に乗った状態で、他の作業者が擁壁設置用足場20を移動させることになる。
【0070】
(7)高所12には、防護柵等、擁壁11以外の壁体が並べて設置される場合がある。そこで、そのような場合に本発明の壁体設置用足場を用いるようにしてもよい。
【0071】
(8)上記実施形態の構成において、載置部71を設けないようにしてもよい。この場合、擁壁設置用足場20を既設された各擁壁11の間で壁幅方向に移動させることが可能となる。そのため、擁壁設置用足場20を既設された各擁壁11のメンテナンス作業に用いることが可能となる。つまり、足場板27に乗って既設された擁壁11の外側からメンテナンス作業を行うことが可能となる。
【0072】
なお、載置部71を設けない場合、支持部21と足場部22とを斜めに連結する連結材を設けるのが望ましい。そうすれば、足場部22の下方への撓みを抑制することが可能となる。
【0073】
(9)上記(8)の構成(載置部71を設けない構成)とした場合、足場部22(以下、第1足場部という)を支持部21よりも壁幅方向の一方側に設けることに加え、第2足場部を支持部21よりも壁幅方向の他方側に設けるようにしてもよい。この場合、第2足場部は、第1足場部と壁幅方向に対称な構成とし、連結部23に連結する。かかる構成によれば、第1足場部に加えて第2足場部をメンテナンス作業に用いることが可能となる。
【0074】
(10)例えば、各壁体のうち最初に設置する壁体については、その壁体の設置の際に既設壁体が存在していない。そのため、最初の壁体の設置の際には、上記実施形態における壁体設置用足場(擁壁設置用足場20)を用いた壁体設置方法を採用することができない。そこで、最初の壁体を設置する際には、以下に示す<他の壁体設置方法>を採用することが考えられる。
【0075】
<他の壁体設置方法>
特許請求の範囲(請求項1乃至6のいずれか一項)に記載の壁体設置用足場を用いて、前記壁体を前記高所における前記縁部に沿って前記壁幅方向に並べて設置していく際の設置方法であって、
前記壁体設置用足場として、前記足場部が前記支持部よりも前記壁幅方向における第1側に配置されている第1壁体設置用足場と、前記足場部が前記支持部よりも前記壁幅方向における前記第1側とは反対側の第2側に配置されている第2壁体設置用足場とがあらかじめ用意されており、
前記壁体としての第1壁体を仮設置する第1壁体仮設置工程と、
前記第1壁体の前記第1側に隣接させて前記壁体としての第2壁体を設置するとした場合に、前記支持部を前記仮設置した前記第1壁体の上端側に支持させ、かつ前記足場部を前記第2壁体の外側となる位置に配置した状態で、前記第1壁体設置用足場をクレーン等の吊り装置を用いて設置する第1足場設置工程と、
前記第1足場設置工程の後、前記第1壁体設置用足場の前記足場板の上に前記作業者が移動する第1移動工程と、
前記第1移動工程の後、前記第2壁体を設置する第2壁体設置工程と、
前記第2壁体設置工程の後、前記第1壁体設置用足場を前記吊り装置を用いて前記第1壁体から吊り上げて取り外す足場取り外し工程と、
前記足場取り外し工程の後、前記支持部を前記第2壁体の上端側に支持させ、かつ前記足場部を前記第1壁体の外側に配置した状態で前記第2壁体設置用足場を前記吊り装置を用いて設置する第2足場設置工程と、
前記第2足場設置工程の後、前記第2壁体設置用足場の前記足場板の上に前記作業者が移動する第2移動工程と、
前記第2移動工程の後、前記第1壁体を本設置する第1壁体本設置工程と、
を備える、壁体設置方法。
【0076】
上述した<他の壁体設置方法>によれば、まず、最初の壁体である第1壁体を仮設置する。そして、その仮設置した第1壁体に第1壁体設置用足場を設置し、その後、第1壁体の第1側に隣接させて第2壁体を設置する。この際、第1壁体設置用足場の足場部は第2壁体の外側となる位置に配置されている。このため、第2壁体の設置の際、作業者は足場部の足場板上で第2壁体の外側から作業を行うことができる。
【0077】
その後、第1壁体設置用足場を取り外し、第2壁体設置用足場を第2壁体に設置する。この場合、第2壁体設置用足場の足場部は、第1壁体の外側に配置される。その後、仮設置状態の第1壁体を本設置する。例えば、吊り装置を用いて第1壁体を少し持ち上げる等して、第1壁体を所定の設置位置に本設置する。この際、作業者は、第2壁体設置用足場(足場部)の足場板上で第1壁体の外側から作業を行うことが可能となる。
【0078】
以上より、上記<他の壁体設置方法>によれば、最初の壁体(第1壁体)を設置(詳しくは本設置)する際に、その壁体の外側から作業を行うことが可能となる。
【0079】
ところで、高所に構築される高速道路に壁体を設置する際には、
図7(a)に示すように、高速道路90の両側の縁部92,93に沿ってそれぞれ壁体91(例えば擁壁)を並べて設置していくことがある。この場合、壁体設置用足場として、一方の縁部92に沿って壁体91を設置する際に用いられる第1壁体設置用足場95と、他方の縁部93に沿って壁体91を設置する際に用いられる第2壁体設置用足場96とをそれぞれ用意する。
【0080】
両側の縁部92,93に沿って壁体91を設置していく場合、一方の縁部92に沿って壁体91を設置していく設置方向と、他方の縁部93に沿って壁体91を設置していく設置方向とを同じ方向にして設置を進めることがある。このような場合、第1壁体設置用足場95については、足場部95aが支持部95bに対して壁幅方向における第1側に位置する構成とし、第2壁体設置用足場96については、足場部96aが支持部96bに対して壁幅方向における第1側とは反対側の第2側に位置する構成とすることが考えられる。
【0081】
そこで、このような構成からなる各壁体設置用足場95,96を用いて壁体91を設置していく場合に、上述した<他の壁体設置方法>を採用することが考えられる。例えば、縁部93に沿って壁体91を設置していく際にまず、
図7(b)に示すように、最初の壁体91A(第1壁体に相当)を仮設置し、その仮設置した壁体91Aに(縁部92側の)第1壁体設置用足場95を設置する。その後、
図7(c)に示すように、第1壁体設置用足場95を用いて壁体91B(第2壁体に相当)を壁体91Aに隣接させて設置する。この際、壁体91Bを壁体91Aに対して壁体91の設置方向とは反対の方向に隣接させて設置する。その後、
図7(d)に示すように、壁体91Aから第1壁体設置用足場95を取り外し、壁体91Bに第2壁体設置用足場96を設置する。そして、第2壁体設置用足場96を用いて壁体91Aを本設置する。これにより、最初の壁体91Aを設置(詳しくは本設置)する際に、作業者は第2壁体設置用足場96(足場部96a)の足場板上で壁体91Aの外側から作業することが可能となる。
【0082】
なお、縁部92に沿って壁体91を設置していく際にも、上記と同様の手順で最初の壁体91を設置することができる(この場合、第1壁体設置用足場95と第2壁体設置用足場96とが逆の関係になる。)。
【符号の説明】
【0083】
11…壁体としての擁壁、12…高所、13…縁部、15…地盤、20…壁体設置用足場としての擁壁設置用足場、21…支持部、22…足場部、23…連結部、27…足場板、65…当接部としてのローラ、71…載置部、72…載置本体、73…接地部としての回転体。
【要約】
【課題】既設壁体に隣接させて新設壁体を設置する際に、新設壁体の外側から作業を行うことができる壁体設置用足場及び壁体設置方法を提供する。
【解決手段】擁壁設置用足場20は、複数の擁壁11を高所12において縁部13に沿って壁幅方向に並べて設置していく際に、既に設置された既設擁壁11Aに隣接させて新設擁壁11Bを設置するために用いられる。擁壁設置用足場20は、既設擁壁11Aの上端側に支持され、その支持状態で壁幅方向に移動可能な支持部21と、支持部21と連結部23を介して連結され、新設擁壁11Bの外側となる位置に配置されるものであって、支持部21よりも下方となる位置に作業者が乗る足場板27が設けられた足場部22と、を備える。
【選択図】
図3