(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】複合材プリフォームの連続製造
(51)【国際特許分類】
B29B 11/16 20060101AFI20240626BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20240626BHJP
【FI】
B29B11/16
B29K105:08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019129718
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2022-06-27
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ボールド
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0354951(US,A1)
【文献】特開昭51-060775(JP,A)
【文献】特開2009-114615(JP,A)
【文献】特表2004-504962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16
B29B 15/08-15/14
B29C 70/00-70/88
C08J 5/04-5/10;5/24
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪郭付きプリフォームを作製するための方法であって、
繊維強化複合材料のウェブを処理方向に搬送し、
前記ウェブ上に繊維強化複合材料のトウを供給し、
前記ウェブ及び前記トウを、切断ツールに向かって前記処理方向に搬送し、
前記ウェブの一部及び前記トウが付着した状態で、輪郭付きプリフォームになるように前記ウェブの一部及び前記トウを押し込み、
前記トウ及び前記ウェブの組み合わせを含む前記輪郭付きプリフォームを切断する、方法。
【請求項2】
前記トウの供給は、前記ウェブの上方に配置されたローラを操作することを含み、前記ローラは、前記ウェブ上に前記トウを供給して、前記ウェブに前記トウを押し付けるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ローラは、角度をつけて前記トウを供給し、前記トウの長手方向の軸は、前記ウェブの処理方向と非平行である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ローラが前記ウェブ上に前記トウを供給する間、前記ローラの位置又は配向のうちの少なくとも一方を前記ウェブに対して調節することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ローラの位置を調節することは、前記ローラを前記ウェブの速度で移動させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ローラは、前記ウェブの速度に対応する速度でトウを供給し、前記ウェブの移動中に前記ウェブに対して前記トウを付着させる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記輪郭付きプリフォームを所定の形状に型押し成形する力を加えることにより、前記ウェブ及びトウのプライを滑らせるとともに、前記ウェブ及びトウを一体化させて前記輪郭付きプリフォームを作製する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサにより実行されると、輪郭付きプリフォームを作製するための方法を実行させるようにプログラムされた命令を具現化する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
繊維強化複合材料のウェブを処理方向に搬送し、
前記ウェブ上に繊維強化複合材料のトウを供給し、
前記ウェブ及び前記トウを、押し型に向かって前記処理方向に搬送し、
前記ウェブの一部及び前記トウが付着した状態で、輪郭付きプリフォームになるように前記ウェブの一部及び前記トウを押し込み、
前記トウ及び前記ウェブの組み合わせを含む前記輪郭付きプリフォームを切断する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
輪郭付きプリフォームを作製するための装置であって、
繊維強化複合材料のウェブを処理方向に搬送するウェブ送り機構と、
前記ウェブ上に繊維強化複合材料
のトウを供給する少なくとも1つの供給ステーションと、
前記ウェブの一部及び前記トウが付着した状態で、輪郭付きプリフォームになるように前記ウェブの一部及び前記トウを押し込む成形ステーションと、
前記供給ステーションの下流に設けられた切断ツールと、を含み、前記切断ツールは、前記ウェブ、及び、前記ウェブの上に供給された前記繊維強化複合材料の組み合わせを含む輪郭付きプリフォームを切断する、装置。
【請求項10】
前記供給ステーションは、前記繊維強化複合材料のトウを供給している間、前記ウェブに対する自身の位置又は配向のうちの少なくともいずれか一方を調節するように駆動される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ウェブ送り機構は、スプールを含み、前記供給ステーションは、ローラを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
第1輪郭を有する押し型をさらに含み、前記押し型は、第2輪郭を有するマンドレルに押し込まれる、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記繊維強化複合材料のトウを加熱する加熱ローラをさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
センサからのフィードバックに基づいて、前記ウェブの速度を制御するコントローラをさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記切断ツールは、前記輪郭付きプリフォームの全体を一度に切断する外周ブレードを含む、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材部品の分野に関し、特に、複合材部品のためのプリフォームのレイアップに関する。
【背景技術】
【0002】
硬化させて複合材部品を形成するためのプリフォームのレイアップは依然として労力のかかる作業である。プリフォームを作製するためには、マンドレルなどのレイアップツールの上に繊維強化材料のプライを繰り返し付着させる。プリフォームの輪郭形状が複雑である場合、レイアップ作業を容易にするために、自動ファイバ敷設(AFP)マシンなどのロボットを使用することができる。レイアップは、プリフォームが所望の形状になるまで継続して行われる。次に、プリフォームを成形ツールに移して成形し、これを硬化させることにより複合材部品を形成する。プリフォームを作製する前に、当該プリフォームの一部を形成する個々のプライを切断して保管する場合がある。(例えば、レイアップを継続する場合)、切断されたこれらのプライは、その後、レイアップツールに移されて、プリフォームに追加される。プライの保管に際しては、製造環境において大きなスペースを占有する可能性があり、さらには、特別な温度制御又は湿度制御が行われる保管庫が利用される場合もある。また、レイアップツールから成形ツールへプリフォームを移動させる際、プリフォームの一部を変形させてしまう可能性もある。
【0003】
したがって、上述した問題のうち少なくともいくつかと、その他の考えられる問題を考慮にいれた方法及び装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で説明する実施形態は、前もって切断されたプライの保管、及び、レイアップツールから成形ツールへの移送を必要としないプリフォームを形成するための連続製造技術を提供する。これらの連続的な技術により、AFPマシンなどの高価な装置の必要性を排除したり、プリフォームの製造作業を迅速に行ったりすることができる。
【0005】
一実施形態は、プリフォームを作製する方法である。前記方法は、繊維強化複合材料のウェブを処理方向に搬送することと、前記ウェブ上に繊維強化複合材料のトウを供給することと、前記ウェブ及び前記トウを、切断ツールに向かって前記処理方向に搬送することと、前記トウ及び前記ウェブの組み合わせを含むプリフォームを切断することと、を含む。
【0006】
さらなる実施形態は、プロセッサにより実行されると、プリフォームを作製するための方法を実行させるようにプログラムされた命令を具現化する非一時的コンピュータ可読媒体である。前記方法は、繊維強化複合材料のウェブを処理方向に搬送することと、前記ウェブ上に繊維強化複合材料のトウを供給することと、前記ウェブ及び前記トウを、切断ツールに向かって前記処理方向に搬送することと、前記トウ及び前記ウェブの組み合わせを含むプリフォームを切断することと、を含む。
【0007】
他の実施形態は、プリフォームを作製するための装置である。前記装置は、繊維強化複合材料のウェブを処理方向に搬送するウェブ送り機構と、前記ウェブ上に繊維強化複合材料のトウを供給する少なくとも1つの供給ステーションと、前記供給ステーションの下流に設けられた切断ツールと、を含み、前記切断ツールは、前記トウ及び前記ウェブの組み合わせを含むプリフォームを切断する。
【0008】
A1.プリフォームを作製するための方法であって、
繊維強化複合材料のウェブを処理方向に搬送し(202)、
前記ウェブ上に繊維強化複合材料のトウを供給し(204)、
前記ウェブ及び前記トウを、切断ツールに向かって前記処理方向に搬送し(206)、
前記トウ及び前記ウェブの組み合わせを含むプリフォームを切断する(214)、方法。
【0009】
A2.前記トウの供給は、前記ウェブの上方に配置されたローラを操作することを含み、前記ローラは、前記ウェブ上に前記トウを供給して、前記ウェブに前記トウを押し付けるものである、付記A1に記載の方法。
【0010】
A3.前記ローラは、角度をつけて前記トウを供給し、前記トウの長手方向の軸は、前記ウェブの処理方向と非平行である、付記A2に記載の方法。
【0011】
A4.前記ローラが前記ウェブ上に前記トウを供給する間、前記ローラの位置又は配向のうちの少なくとも一方を前記ウェブに対して調節することをさらに含む、付記A2に記載の方法。
【0012】
A5.前記ローラの位置を調節することは、前記ローラを前記ウェブの速度で移動させることを含む、付記A4に記載の方法。
【0013】
A6.前記ローラは、前記ウェブの速度に対応する速度でトウを供給し、前記ウェブの移動中に前記ウェブに対して前記トウを付着させる、付記A4に記載の方法。
【0014】
A7.前記ウェブを前記処理方向に搬送することにより、前記ウェブが、前記トウを、前記処理方向に搬送する、付記A1に記載の方法。
【0015】
A8.前記トウは、前記ウェブとは異なるファイバ配向を有する、付記A1に記載の方法。
【0016】
A9.前記トウを前記ウェブに付着させることをさらに含む、付記A1に記載の方法。
【0017】
A10.前記プリフォームを所定の形状に型押し成形する力を加えることにより、前記ウェブ及びトウのプライを滑らせるとともに、前記ウェブ及びトウを一体化させて前記プリフォームを作製する、付記A1に記載の方法。
【0018】
A11.前記ウェブをスプールから連続的に供給することをさらに含む、付記A1に記載の方法。
【0019】
A12.付記A1に記載の方法に従って組み立てられた航空機の一部。
【0020】
本媒体のさらなる態様によれば、以下が提供される。
【0021】
B1.プロセッサにより実行されると、プリフォームを作製するための方法を実行させるようにプログラムされた命令を具現化する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
繊維強化複合材料のウェブを処理方向に搬送し(202)、
前記ウェブ上に繊維強化複合材料のトウを供給し(204)、
前記ウェブ及び前記トウを、切断ツールに向かって前記処理方向に搬送し(206)、
前記トウ及び前記ウェブの組み合わせを含むプリフォームを切断する(214)、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0022】
B2.前記トウの供給は、前記ウェブの上方に配置されたローラを操作することを含み、前記ローラは、前記ウェブ上に前記トウを供給して、前記ウェブに前記トウを押し付けるものである、付記B1に記載の媒体。
【0023】
B3.前記ローラは、角度をつけて前記トウを供給し、前記トウの長手方向の軸は、前記ウェブの処理方向と平行でない、付記B2に記載の媒体。
【0024】
B4.前記ローラが前記ウェブ上に前記トウを供給する間、前記ローラの位置又は配向のうちの少なくとも一方を前記ウェブに対して調節することをさらに含む、付記B2に記載の媒体。
【0025】
B5.前記ローラの位置を調節することは、前記ローラを前記ウェブの速度で移動させることを含む、付記B4に記載の媒体。
【0026】
B6.付記B1に記載のコンピュータ可読媒体に保存された前記命令によって規定された前記方法に従って組み立てられた航空機の一部。
【0027】
本装置のさらなる態様によれば、以下が提供される。
【0028】
C1.プリフォームを作製するための装置であって、
繊維強化複合材料のウェブ(120)を処理方向に搬送するウェブ送り機構(110)と、
前記ウェブ上に繊維強化複合材料を供給する少なくとも1つの供給ステーション(140)と、
前記供給ステーションの下流に設けられた切断ツール(166)と、を含み、前記切断ツールは、前記ウェブ、及び、前記ウェブの上に供給された前記繊維強化複合材料の組み合わせを含むプリフォーム(700)を切断する、装置。
【0029】
C2.前記供給ステーションは、前記繊維強化複合材料のトウ(142)を供給している間、前記ウェブに対する自身の位置又は配向のうちの少なくともいずれか一方を調節するように駆動される、付記C1に記載の装置。
【0030】
C3.前記ウェブ送り機構は、スプール(110)を含み、前記供給ステーションは、ローラ(344)を含む、付記C1に記載の装置。
【0031】
C4.第1輪郭(610)を有する押し型(162)をさらに含み、前記押し型は、第2輪郭(620)を有するマンドレル(164)に押し込まれる、付記C1に記載の装置。
【0032】
C5.前記繊維強化複合材料のトウ(142)を加熱する加熱ローラ(346)をさらに含む、付記C1に記載の装置。
【0033】
C6.センサ(882)からのフィードバックに基づいて、前記ウェブの速度を制御するコントローラ(880)をさらに含む、付記C1に記載の装置。
【0034】
C7.前記切断ツールは、前記プリフォームの全体を一度に切断する外周ブレード(167)を含む、付記C1に記載の装置。
【0035】
C8.前記ウェブ送り機構は、前記ウェブを連続的に搬送する、付記C1に記載の装置。
【0036】
他の例示的な実施形態(例えば、上記実施形態に関する方法及びコンピュータ可読媒体)については、以下で説明する。上述した特徴、機能、及び、利点は、様々な実施形態において個別に達成可能であり、また、さらに別の実施形態と組み合わせることも可能である。この詳細については、以下の説明及び図面を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下では、添付の図面を参照しながら、単なる例示として、本開示のいくつかの実施形態を説明する。全ての図面において、同じ参照符号は同じ要素又は同じ種類の要素を示している。
【0038】
【
図1】例示的な実施形態におけるプリフォーム作製システムを示す斜視図である。
【
図2】例示的な実施形態におけるプリフォーム作製システムを操作するための方法を示すフローチャートである。
【
図3】例示的な実施形態におけるプリフォーム作製システムを示す側面図である。
【
図4】例示的な実施形態における角度付供給ステーションを示す斜視図である。
【
図5】例示的な実施形態における垂直供給ステーションを示す斜視図である。
【
図6】例示的な実施形態におけるウェブの一部を成形する押し型を示す斜視図である。
【
図7】例示的な実施形態における、繊維強化複合材料のウェブから成形及び切断されたプリフォームを示す斜視図である。
【
図8】例示的な実施形態におけるプリフォーム作製システムを示すブロック図である。
【
図9】例示的な実施形態における航空機の製造及び保守方法を示すフローチャートである。
【
図10】例示的な実施形態における航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面及び以下の記載は、本開示の特定の例示的な実施形態を説明するものである。したがって、本明細書に明示的に説明又は図示されていなくても、本開示の範囲内において本開示の原理を具現化する様々な変形が可能であることは、当業者であれば理解するであろう。さらに、本明細書で説明されている例は、本開示の原理に対する理解を助けることを意図するものであり、具体的に説明された例や条件に限定されないと解釈すべきである。したがって、本開示は、以下に説明する特定の実施形態又は例に限定されるものではなく、請求の範囲及びその均等物によって限定されるものである。
【0040】
炭素繊維強化ポリマー(CFRP)部品などの複合材部品は、初めに複数のレイヤにレイアップされ、これらが合わさってプリフォームが形成される。プリフォームの各レイヤ内の個々のファイバは、互いに平行に配列されているが、結果として得られる複合材製品の剛性及び/又は強度を異なる方向に沿って高めるために、各レイヤは、それぞれ異なるファイバ配向を有していてもよい。プリフォームは、当該プリフォームが硬くなって(例えば、航空機用の)複合材部品が形成されるようにするために、固化する樹脂を含みうる。未硬化の熱硬化性樹脂、又は、熱可塑性樹脂が含浸された炭素繊維は、「プリプレグ」と呼ばれる。他の種類の炭素繊維としては、熱硬化性樹脂は含侵されていないが、粘着付与剤やバインダを含みうる「ドライファイバ」が挙げられる。ドライファイバには、硬化前に樹脂を注入してもよい。熱硬化性樹脂の場合、上記のように硬くすること(hardening)は、硬化(curing)と呼ばれる不可逆のプロセスであるが、熱可塑性樹脂の場合、樹脂を再加熱すると液状に戻ることもある。
【0041】
図1は、例示的な実施形態におけるプリフォーム作製システム100を示す斜視図である。プリフォーム作製システム100は、繊維強化材料のウェブ上に繊維強化材料のトウをレイアップするとともに、これらのウェブ及びトウを切断してプリフォームを得るように動作可能である任意のシステム、装置、又は、コンポーネントを含み、当該プリフォームは、硬化させることにより複合材部品を形成する。本実施形態においては、プリフォーム作製システム100は、供給スプール110を含み、当該供給スプールは、繊維強化材料(例えば、0°、+45°、-45°、90°の繊維配向を有する一方向性CFRPなどのCFRP、又は、織材料や不織材料のウェブ)のウェブ120を、毎秒数フィート以上の速度で処理方向に連続的に供給するために機械駆動される。繊維強化材料は、ドライファイバ、プリプレグなどを含む任意の適切な材料を含みうる。
【0042】
ウェブ120の表面122に対するトウの供給は、1つ以上のプライ供給ステーションにより行うことができる。例えば、角度付供給ステーション140は、処理方向に対して角度(例えば、+α°、-α°)を付けてトウ142を供給することができる一方で、垂直供給ステーション150は、処理方向に垂直にトウ152を供給することができる。プライ供給ステーションは、製造速度を上げるために、ウェブ120が処理方向に移動している間にも動作することができ、また、ウェブ120の速度に対して遅い速度、同じ速度、又は、速い速度でトウ142を供給することができる。
【0043】
コンベヤ130は、ウェブ120の表面124に接触していてもよく、これにより、ウェブ120にトウを付着させたときに当該ウェブ120が下方(すなわち、負のY方向)に撓むのを防ぐことができる。より直接的に述べると、コンベヤ130は、トウの供給中に加えられる押圧力(compaction force)に反発する力を与える。このように、ウェブ120に対して圧力を加えることにより、ウェブ120にトウを付着させることができる。この場合、トウ及びウェブ120は、両方とも、当該トウを当該ウェブ120に付着させ易くするための粘着付与剤又はバインダを含みうる。
【0044】
ウェブ120に対して所望量のプライが供給されると、当該ウェブ120は、成形ステーション160へと搬送される。成形ステーション160は、押し型162と、マンドレル164とを含む。押し型162が、マンドレル164に押し込まれると、押し型162は、ウェブ120を所望形状にする力を加える。ウェブ120がこのように成形される一方で、切断ツール166(例えば、ウェブ120からプリフォーム全体を一度に切断するための
図3に示す外周ブレード167、又は、ウェブ120を一回当たり一部分ずつ切断するための移動ブレードを有するツール)は、当該ウェブの成形された部分を切り取ってプリフォームを作製する。その後、プリフォームを押し型162又はマンドレル164から取り外して、ウェブ120の新しい部分を成形ステーション160に搬送してもよい。ウェブ120の未使用部分は、巻取スプール170によって巻き取られてもよく、当該スプールもまた、ウェブ120の巻取部分を供給するために(例えば、内部アクチュエータにより)機械駆動されてもよい。供給スプール110及び巻取スプール170の駆動を連携して、プリフォームの作製中、及び/又は、ウェブ120に対してトウを付着させる間、ウェブ120に対して張力が加わるように制御することができる。
【0045】
連続処理の一部としてプリフォームを作製することにより、プリフォーム作製システム100は、従来のシステムが直面した多くの問題を回避することができる。例えば、プリフォーム作製システム100は、事前に切断されたプライの保管を必要とせず、高価なAFPマシンの使用を必要とせず、さらに、レイアップ処理と切断処理との分離を必要としない。さらに、プリフォーム作製システム100は、複雑で高価なレイアップマンドレル(例えば、湾曲の有無を問わない)を必要とせず、また、マンドレル(例えば、特殊な湾曲を有するマンドレル、及び/又は、複雑な湾曲を有するマンドレル)に対するレイアップを補完するレイアップ制御を必要としない。これらの利点により、従来のシステムと比較して、高速且つ安価な方法でプリフォームを作製することができる。
【0046】
プリフォーム作製システム100の動作の詳細を、
図2を参照して以下で説明する。本実施形態においては、供給スプール110には、ウェブ120がセットされており、技術者が、ウェブ120でプリフォームの作製を開始するところであるものとする。技術者は、巻取スプール170へ向かってウェブ120を引き出して、供給スプール110及び巻取スプール170の回転を開始させる。
【0047】
図2は、例示的な実施形態におけるプリフォーム作製システムを操作するための方法200を示すフローチャートである。方法200のステップについて、
図1に示すプリフォーム作製システム100を参照して説明するが、当業者であれば、方法200を他のシステムにおいても実施可能であることを理解するであろう。本明細書で説明するフローチャートのステップには全てのステップが含まれているわけではなく、図示していない他のステップが含まれることもありうる。本明細書で説明するステップは、別の順序で実行することも可能である。
【0048】
ステップ202において、供給スプール110及び巻取スプール170は、処理方向にウェブ120を搬送する。これは、ウェブ120の一部を角度付供給ステーション140へ向かって前進させるために、一定速度で実行されうる。ウェブ120が搬送されている間、供給スプール110は、ウェブ120の新しい部分を供給し続ける。
【0049】
ステップ204において、繊維強化複合材料(例えば、ドライファイバCFRP)の少なくとも1つのトウが、ウェブ120の上に供給される。トウは、角度付供給ステーション140や垂直供給ステーション150などによって供給されてもよい。トウの供給は、押圧力を加えながらトウ142を供給するようにローラ(例えば、
図3に示すローラ346)を操作することを含みうるが、その際、コンベヤ130は、供給位置において押圧力に対する反力を与える。この操作により、ウェブ120(
図3~4に示す)の上にトウ142が供給される。トウは、ウェブ120が一時的に停止している間に供給されてもよい。さらなる実施形態においては、トウは、ウェブ120が処理方向に移動している間(例えば、搬送されている間)に、ウェブ120に対する供給ステーションの位置及び/又は配向を調節することにより供給されてもよい。これらのさらなる実施形態においては、垂直供給ステーション150は、ウェブ120と共に処理方向に移動することができる。したがって、ウェブ120から見た場合、角度付供給ステーション140のみがウェブ120とは異なる速度で処理方向に移動する。例えば、ウェブ120が処理方向に進むとともに、ローラがウェブ120上にトウを供給する際、供給ステーションは、ローラの位置、ローラの角度、又は、これらの両方を調節することができる。ローラは、例えば、ウェブ120上にトウを供給している際に、当該ローラがウェブ120に対して処理方向に移動しない状態を維持するために、ウェブ120の速度で処理方向に移動してもよい。
【0050】
さらなる実施形態においては、複数のトウのレイヤを重ね合わせることができ、これらのトウは、加熱(例えば、華氏150度)、及び/又は、供給ステーションにおける1つ以上のローラによる圧力(例えば、数百キロパスカル)により、ウェブ120に付着させてもよい。
【0051】
さらなる実施形態においては、角度付供給ステーション140及び垂直供給ステーション150をウェブ120の下側に連続して配置することにより、コンベヤ130に代わって反力を付与してもよい。また、供給ステーションは、処理方向に沿ってさらに設けてもよく、ウェブ120の表面122に設けられたコンベヤにより加えられる反力を受けてもよい。供給ステーションによる熱及び/又は圧力を加えることにより、ドライファイバトウにおけるバインダの粘着性を高めて、トウをウェブ120にしっかりと付着させることができる。このようにして、ウェブ上にトウを供給することにより、ウェブにトウを付着させることができる。ステップ204で供給されるトウは、処理方向と平行に供給される必要はない。さらに、トウは、処理方向に平行でない長手方向の軸を有していてもよい。さらに、トウは、ウェブ120のファイバ配向とは異なるファイバ配向(例えば、0°、+45°、-45°、90°、又は、任意の角度α)を有する一方向ファイバのプライを構成しうる。
【0052】
ウェブ120においてトウを受け取った部分は、硬化させて複合材部品を形成するためのプリフォームに成形される準備が整った状態である。したがって、供給スプール110及び巻取スプール170は、ステップ206において、ウェブ120及び少なくとも1つのトウを、処理方向に搬送する。トウは、ウェブ120に付着しているため、ウェブ120を処理方向に搬送すると、ウェブ120が、トウを成形ステーション160に向かって処理方向に搬送する。
図6には、型押し成形を行うための成形ステーション160が示されている。
【0053】
ステップ208において、成形ステーション160は、押し型162及びマンドレル164を操作して、トウ及びウェブの組み合わせを所望の形状に成形する。これにより、ステップ210において、型押し成形されたトウ及びウェブにおけるプライ間に滑りが生じる。したがって、型押し成形処理中、プライは、他のプライに対して滑る(すなわち、せん断が生じる)可能性がある。型押し成形の処理はまた、成形及び滑りが生じた後、ステップ212において型押しされたトウ及びウェブにおけるプライを一体化(consolidates)する。ステップ214において、切断ツール166を操作して、成形されたトウ及びウェブの組み合わせを含むプリフォームを切断する。ウェブ120は、この処理中、成形ステーション160で一時的に停止してもよいし、コンベヤ130の速度に対する切断及び成形の処理が非常に速い場合(例えば、数分の1秒内)、停止しなくてもよい。次に、プリフォームを硬化ツールに移動させ、樹脂に含浸させ、硬化させて複合材部品にしてもよい。
【0054】
方法200は、プライの事前切断やプライの保管の必要がなく、また、AFPマシンも必要としないため、従来技術と比較して実質的な利点を有する。これにより、複合材部品の作製においてコストを削減してスループットを向上させることができ、非常に望ましい。
【0055】
図3~6には、プリフォーム作製システム100の様々な特異部が示されている。具体的には、
図3は、例示的な実施形態におけるプリフォーム作製システム100の側面図である。
図3は、各角度付供給ステーション140が、1つ以上のスプール344を含み、当該スプールが、トウ142をローラ346に供給することを示している。各ローラ346は、(例えば、処理方向において、又は、処理方向に対して移動している間)加熱されてもよいし、トウ142を所望の速度でウェブ120上に供給するために駆動されてもよい。すなわち、ローラ346は、ウェブ120が移動している間、ウェブ120の速度に対応する速度でトウ142を供給し、当該ウェブ120に対してトウ142を付着させる。
【0056】
さらに、ローラ346は、トウを供給する際、トウ142をウェブ120に付着させるために、所望レベルの圧力でトウ142をウェブ120に押し付けてもよい(これによって、ウェブ120をコンベヤ130のベルト332に押し付けてもよい)。
図3に示すように、垂直供給ステーション150は、トウ152をローラ356に供給するスプール354を含む。スプール354は、スプール344と同様に動作することができ、ローラ356は、ローラ346と同様に動作することができる。
【0057】
コンベヤ130は、ローラ334を含み、当該ローラは、ウェブ120の速度に対応する速度で処理方向にベルト332を駆動させる。このようにすれば、ウェブ120は、移動中にコンベヤ130と擦れ合わず、また、コンベヤ130のベルト332は、トウをウェブ120に固定するために、ローラ346及びローラ356が、押圧ニップ348において、ウェブ120に対して下向きの圧力を所望の強度で加えることを可能とする機械的支持/抵抗を与えることができる。
【0058】
図4は、例示的な実施形態における角度付供給ステーション140を示す斜視図である。具体的には、
図4は、
図3に示す矢印4に対応している。
図4は、角度付供給ステーション140とウェブ120との間に見られる運動及び角度の関係を示す。例えば、ウェブ120が速度V1で処理方向に進行する場合、角度付供給ステーション140のうちの1つにおける各ローラ346は、速度V2でトウ142を供給する。V2の方向412は、V1の方向430から角度θ1だけずれていてもよい。このように、トウ142は、ウェブ120の長軸(例えば、処理方向)と平行でない長軸(L1)を有しうる。ローラ346(又は、角度付供給ステーション140の全体)は、さらに、速度V3で移動してもよい。ローラ346がトウを供給している間、トウがウェブ120に対して一定の角度を維持し、且つ、当該トウにシワが発生しないように、V2及び/又はV3の大きさや方向を調節してもよい。
【0059】
同様に、他の角度付供給ステーション140は、V1の方向420から角度θ2だけずれた方向422において、速度V4でトウ142を供給してもよい。他の角度付供給ステーションのローラ346は、速度V5で移動してもよく、ローラ346がトウを供給している間、V4及び/又はV5の大きさや方向を調節してもよい。
【0060】
図5は、例示的な実施形態における垂直供給ステーション150を示す斜視図である。
図5は、
図3に示す矢印5に対応している。
図5によれば、ローラ356がトウ152を供給しているときに、当該ローラが、処理方向においてウェブ120に対して移動しないように、ローラ356(又は、垂直供給ステーション150の全体)は、速度V1でウェブ方向に移動する。また、ローラ356は、Z方向500に沿った方向にも速度V6で移動する。これにより、垂直供給ステーション150は、ウェブ120の長軸(例えば、処理方向)に垂直な長軸(L2)を有するトウを付着させることができる。本明細書で説明される供給ステーションは、プリフォーム、又は、プリフォームの一部のレイアップが完了すると、初期位置、及び/又は、初期配向に戻すことができる。これにより、供給ステーションは、次のプリフォームのレイアップを開始することができる。
【0061】
図6は、例示的な実施形態におけるウェブ120の一部を成形する押し型162を示す斜視図であり、
図3に示す矢印6に対応している。押し型162は、ウェブ120に付着したトウと共に、当該ウェブ120を特定形状に成形する。押し型162は、ウェブ120を成形するために、所定の圧力(例えば、数百キロパスカルの圧力)を加える。
図6は、押し型162の輪郭610、及び、マンドレル164の輪郭620をさらに示す。押し型162が動作を終了した後、ウェブ120の一部(及び、付着したトウ)は、輪郭610及び輪郭620に従う。
図7は、プリフォーム作製システム100により作製された完成後のプリフォーム700を示す。プリフォーム700は、成形及び切断されており、所望位置にトウ142及びトウ152を含む。
【実施例】
【0062】
以下の実施例においては、連続ウェブを利用して複合材料のプリフォームを作製するシステムに関連させて、追加の処理、システム、及び、方法を説明する。
【0063】
図8は、例示的な実施形態における、プリフォーム作製システム800を示すブロック図である。プリフォーム作製システム800は、ウェブ820を供給する供給スプール810と、成形ステーション840において切断されたウェブ820の一部を受け取る巻取スプール830と、を含む。成形ステーション840において、押し型842がマンドレル844に押し込まれ、切断ツール846が下方に駆動されて、当該切断ツールによりウェブ820からプリフォームが切断される。供給システム850は、ローラ854に繊維強化材料のトウ858を供給するスプール852を含み、当該ローラは、トウ858をウェブ120に供給する。アクチュエータ856は、この処理中、ローラ854の位置及び/又は角度を動的に調節することができる。同様に、供給システム860は、スプール862と、トウ868と、ローラ864と、アクチュエータ866とを含み、供給システム870は、スプール872と、トウ878と、ローラ874と、アクチュエータ876とを含む。いくつかの実施形態においては、非加熱ローラを使用してもよく、押圧の前に別のヒータ(例えば、図示は省略するが、赤外線ヒータなど)によって熱を加えてもよい。他の実施形態においては、加熱ローラを使用してもよい。支持体890は、ベルト892及び複数のローラ894を有するコンベヤである。ベルト892は、ウェブ820を支持しており、ウェブ820の処理方向に駆動されることにより、当該ウェブ820との摩擦を防止する。
【0064】
コントローラ880は、上述した様々なコンポーネントの動作を管理する。例えば、コントローラ880は、接続された様々なコンポーネントのタイミング、運動、及び、他の動作を指示するために、数値制御(NC)プログラムに格納された命令を実行してもよい。コントローラ880は、例えば、1つ以上のセンサ882(例えば、赤外線センサ、動きセンサ、回転センサなど)からのフィードバックを受け取って、この入力を用いて上述したタイミング及び運動を制御してもよい。このようなフィードバックは、ウェブに対するトウの位置又は角度を示しうる。コントローラ880は、例えば、カスタム回路、プログラムされた命令を実行するハードウェアプロセッサ、又は、これらの組み合わせで実現されてもよい。
【0065】
より具体的に図面を参照すると、本開示の実施形態は、
図9に示すように方法900における航空機の製造及び保守に関連させ、また、
図10に示すように航空機902に関連させて説明することができる。生産開始前の工程として、方法900は、航空機902の仕様決定及び設計904と、材料調達906とを含みうる。生産中の工程としては、航空機902の部品及び小組立品の製造908、並びに、システムインテグレーション910が行われる。その後、航空機902は、認可及び納品912の工程を経て、使用914に入る。顧客による使用中、航空機902は、定例の整備及び保守916(これは、改良、再構成、改修などを含みうる)に組み込まれる。本明細書で具体化した装置及び方法は、方法900で説明した製造及び保守における任意の適切な段階(例えば、仕様決定及び設計904、材料調達906、部品及び小組立品の製造908、システムインテグレーション910、認可及び納品912、使用914、並びに、整備及び保守916)、及び/又は、航空機902の任意の適切なコンポーネント(例えば、機体918、システム920、内装922、推進系924、電気系926、油圧系928、環境系930)において採用することができる。
【0066】
上記方法900の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば、顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、及び供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織などであってもよい。
【0067】
図10に示すように、例示的な方法900によって製造される航空機902は、複数のシステム920と内装922とを備えた機体918を含みうる。高水準システム920の例としては、推進系924、電気系926、油圧系928、及び、環境系930のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでいてもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本発明の原理は、例えば自動車産業などの他の産業に適用することもできる。
【0068】
既に述べたように、本明細書で具現化される装置及び方法は、方法900で説明した製造及び保守における任意の1つ以上の段階で採用することができる。例えば、部品及び小組立品の製造908に対応する部品又は小組立品は、航空機902の使用中に作製される部品又は小組立品と同様に作製又は製造することができる。また、1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、例えば、小組立品の製造908及びシステムインテグレーション910で用いることにより、実質的に航空機902の組立速度を速めたりコストを削減したりすることもできる。同様に、1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又は、それらの組み合わせを、航空機902の使用中に、例えば、限定するものではないが、整備及び保守916に用いてもよい。例えば、本明細書で説明した技術及びシステムを材料調達906、部品及び小組立品の製造908、システムインテグレーション910、使用914、及び/又は、整備及び保守916で用いてもよいし、機体918及び/又は内装922に用いてもよい。これらの技術及びシステムは、例えば、推進系924、電気系926、油圧系928、及び/又は、環境系930を含む複数のシステム920に利用することもできる。
【0069】
一実施形態において、部品は、機体918の一部であり、部品及び小組立品の製造908の工程中に製造される。その後、上記部品は、システムインテグレーション910において航空機に組み込まれ、使用914において、摩耗により使用不可となるまで使用される。その後、整備及び保守916において、上記部品が廃棄され、新たに製造された部品と交換される。本発明のコンポーネント及び方法は、部品及び小組立品の製造908において新たな部品を製造するために利用してもよい。
【0070】
図示又は本明細書で説明した様々な制御要素(例えば、電気部品や電子部品)はいずれも、ハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサ、ファームウェアを実行するプロセッサ、又は、これらの組み合わせとして実現することができる。例えば、ある要素は、専用ハードウェアとして実現することができる。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は、他の同様の用語で呼ばれる。プロセッサの形で提供される場合、その機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は、共有可能なものを含む複数の個別プロセッサにより提供されうる。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみに言及すると解釈されるべきではない。これらの用語は、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア保存用の読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理回路、又は、他の物理的なハードウェア部品若しくはモジュールを暗黙的に含みうる。
【0071】
さらに、制御要素は、当該要素の機能を実行するためのプロセッサ又はコンピュータにより実行可能な命令として実現することもできる。命令の例をいくつか挙げると、ソフトウェア、プログラムコード、及び、ファームウェアがある。命令は、プロセッサにより実行されると稼働して、当該プロセッサに対して要素の機能を実行するように指示する。命令は、プロセッサによる読み取りが可能な記憶装置に保存することができる。記憶装置の例としては、デジタル若しくはソリッドステートメモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は、光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体などが挙げられる。
【0072】
本明細書において特定の実施形態を説明したが、本開示の範囲は、これらの特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、以下の請求の範囲及びその均等物によって規定される。