(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】残留電荷除去装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20240626BHJP
H10N 10/10 20230101ALI20240626BHJP
H10N 10/13 20230101ALI20240626BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20240626BHJP
H02J 1/00 20060101ALN20240626BHJP
【FI】
H02J7/34 A
H10N10/10 Z
H10N10/13
H02N11/00 A
H02J1/00 309U
(21)【出願番号】P 2020017945
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 知紀
(72)【発明者】
【氏名】柴田 勲
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-148234(JP,A)
【文献】特開2016-086578(JP,A)
【文献】特開2004-046088(JP,A)
【文献】特開2006-149043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 1/00 - 3/07
H02J 7/34
H10N 10/10
H10N 10/13
H02N 11/00
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置から供給された電力を蓄えるコンデンサを含む蓄電部と、
前記電源装置から電力が供給される対象
及びグランドのそれぞれに接続され、前記蓄電部から電力が供給されることにより前記対象の残留電荷が
前記グランドに放出されるように前記対象と前記グランドとを接続するオン状態になる第1トランジスタを含む第1切換部と、
前記蓄電部及び前記第1切換部のそれぞれに接続され、前記対象に対する電力の供給が停止したときに、前記蓄電部から前記第1切換部に電力が供給されるように
前記蓄電部と前記第1切換部とを接続するオン状態になる第2トランジスタを含む第2切換部と、を備える、
残留電荷除去装置。
【請求項2】
前記蓄電部は、前記電源装置から前記対象を介して供給された電力を蓄える、
請求項1に記載の残留電荷除去装置。
【請求項3】
前記対象は、前記電源装置から供給された電力を消費する負荷及び前記電源装置から前記負荷に電力を伝送する電源ラインの少なくとも一方を含む、
請求項1又は請求項2に記載の残留電荷除去装置。
【請求項4】
前記対象は、前記電源装置から供給された電力を消費するコンピュータを含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の残留電荷除去装置。
【請求項5】
前記コンピュータから前記電源装置に制御信号を伝送する制御ラインが設けられ、
前記第1切換部は、
前記制御ラインに接続され、前記制御ラインの残留電荷が
前記グランドに放出されるようにオン状態になる、
請求項4に記載の残留電荷除去装置。
【請求項6】
前記電源装置は、熱電発電モジュールと、電源切換部と、電源蓄電部と、を有し、
前記電源切換部は、前記熱電発電モジュールが発電した電力が前記電源蓄電部に供給される蓄電状態と前記電源蓄電部に蓄えられた電力が前記対象に供給される供給状態とを切り換えるように作動し、
前記第2切換部は、前記供給状態から前記蓄電状態に切り換えられたときに、前記蓄電部から前記第1切換部に電力が供給されるように
オン状態になる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の残留電荷除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、残留電荷除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスに係る技術分野において、特許文献1に開示されているような残留電荷除去装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子デバイスのような負荷は、電源装置から供給される電力により駆動する。電源装置から電力の供給が停止された状態において、残留電荷が存在すると、負荷が誤作動する可能性がある。
【0005】
本開示は、電源装置から電力の供給が停止された状態において、残留電荷を円滑に除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、蓄電部と、電源装置から電力が供給される対象に接続され、前記蓄電部から電力が供給されることにより、前記対象の残留電荷が除去されるように作動する第1切換部と、前記対象に対する電力の供給が停止したときに、前記蓄電部から前記第1切換部に電力が供給されるように作動する第2切換部と、を備える、残留電荷除去装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電源装置から電力の供給が停止された状態において、残留電荷を円滑に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る熱電発電装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る熱電発電モジュールを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電源装置を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る熱電発電装置のハードウエアの要部を示す構成図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る熱電発電装置を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る熱電発電装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[熱電発電装置]
図1は、実施形態に係る熱電発電装置1を模式的に示す図である。熱電発電装置1は、機器Bに設置される。機器Bは、例えば工場のような産業施設に設けられる。機器Bとして、ポンプを作動させるモータが例示される。機器Bは、熱電発電装置1の熱源として機能する。
【0011】
図1に示すように、熱電発電装置1は、第1ハウジング10と、第2ハウジング20と、熱電発電モジュール31を含む電源装置30と、マイクロコンピュータ40と、センサ50と、無線通信機60と、残留電荷除去装置70とを備える。
【0012】
第1ハウジング10は、電源装置30及び残留電荷除去装置70を収容する。第2ハウジング20は、マイクロコンピュータ40、センサ50、及び無線通信機60を収容する。第1ハウジング10及び第2ハウジング20のそれぞれは、機器Bに設置される。
【0013】
第1ハウジング10は、受熱部11と、放熱部12と、周壁部13とを有する。受熱部11と放熱部12と周壁部13とにより、第1ハウジング10の内部空間が規定される。電源装置30及び残留電荷除去装置70は、第1ハウジング10の内部空間に配置される。第1ハウジング10の外部空間は、大気空間である。
【0014】
受熱部11は、機器Bに接触するように配置される。受熱部11は、プレート状の部材である。受熱部11は、アルミニウム又は銅のような金属材料によって形成される。受熱部11は、機器Bからの熱を受ける。受熱部11の熱は、伝熱部材2を介して、熱電発電モジュール31に伝達される。
【0015】
放熱部12は、間隙を介して受熱部11と対向する。放熱部12は、プレート状の部材である。放熱部12は、アルミニウム又は銅のような金属材料によって形成される。放熱部12は、熱電発電モジュール31からの熱を受ける。放熱部12の熱は、熱電発電装置1の周囲の大気空間に放出される。
【0016】
周壁部13は、受熱部11の周縁部と放熱部12の周縁部との間に配置される。周壁部13は、環状である。周壁部13は、受熱部11と放熱部12とを連結する。周壁部13は、合成樹脂製である。
【0017】
電源装置30は、マイクロコンピュータ40、センサ50、及び無線通信機60の電源として機能する。マイクロコンピュータ40、センサ50、及び無線通信機60のそれぞれは、電源装置30から供給された電力に基づいて駆動する。マイクロコンピュータ40、センサ50、及び無線通信機60のそれぞれは、電源装置30から供給された電力を消費する負荷Cである。
【0018】
熱電発電装置1は、電源装置30から負荷Cに電力を伝送する電源ライン80を有する。実施形態において、電源装置30とマイクロコンピュータ40及びセンサ50のそれぞれとは、電源ライン80を介して接続される。
【0019】
電源装置30は、熱電発電モジュール31を含む。熱電発電モジュール31は、ゼーベック効果を利用して発電する。熱電発電モジュール31は、受熱部11と放熱部12との間に配置される。熱電発電モジュール31の一方の端面311が加熱され、熱電発電モジュール31の一方の端面311と他方の端面312とに温度差が与えられることによって、熱電発電モジュール31は発電する。
【0020】
マイクロコンピュータ40は、熱電発電装置1を制御する。マイクロコンピュータ40は、熱電発電モジュール31が発生する電力により駆動する。
【0021】
センサ50は、機器Bの状態を検出する。センサ50として、機器Bの振動を検出する振動センサ及び機器Bの温度を検出する温度センサが例示される。センサ50は、熱電発電モジュール31が発生する電力により駆動する。
【0022】
無線通信機60は、センサ50の検出データを送信する。無線通信機60は、熱電発電モジュール31が発生する電力により駆動する。センサ50の検出データは、無線通信機60により、熱電発電装置1の外部に存在する管理コンピュータ100に送信される。管理コンピュータ100は、センサ50の検出データに基づいて、機器Bの異常の有無を診断する。
【0023】
残留電荷除去装置70は、電源装置30から電力が供給される対象の残留電荷を除去する。実施形態において、電源装置30から電力が供給される対象は、電源装置30から供給された電力を消費する負荷C及び電源装置30から負荷Cに電力を伝送する電源ライン80の少なくとも一方を含む。負荷Cは、マイクロコンピュータ40、センサ50、及び無線通信機60の少なくとも一つを含む。
【0024】
電源装置30から電力の供給が停止された状態において、対象に残留電荷が存在する可能性がある。残留電荷除去装置70は、電源装置30から電力の供給が停止された状態において、対象から残留電荷を除去する。
【0025】
[熱電発電モジュール]
図2は、実施形態に係る熱電発電モジュール31を模式的に示す斜視図である。熱電発電モジュール31は、p型熱電半導体素子31Pと、n型熱電半導体素子31Nと、第1電極3と、第2電極4と、第1基板5と、第2基板6とを有する。第1電極3は、第1基板5に配置される。第2電極4は、第2基板6に配置される。第1基板5の表面及び第2基板6の表面のそれぞれにおいて、p型熱電半導体素子31Pとn型熱電半導体素子31Nとは、交互に配置される。第1電極3は、p型熱電半導体素子31P及びn型熱電半導体素子31Nのそれぞれに接続される。第2電極4は、p型熱電半導体素子31P及びn型熱電半導体素子31Nのそれぞれに接続される。p型熱電半導体素子31Pの一方の端部及びn型熱電半導体素子31Nの一方の端部は、第1電極3に接続される。p型熱電半導体素子31Pの他方の端部及びn型熱電半導体素子31Nの他方の端部は、第2電極4に接続される。
【0026】
p型熱電半導体素子31P及びn型熱電半導体素子31Nのそれぞれは、例えばBiTe系熱電材料を含む。第1基板5及び第2基板6のそれぞれは、セラミックス又はポリイミドのような電気絶縁材料によって形成される。
【0027】
第1基板5は、端面311を有する。第2基板6は、端面312を有する。第1基板5が加熱されることによって、p型熱電半導体素子31P及びn型熱電半導体素子31Nのそれぞれの一方の端部と他方の端部との間に温度差が与えられる。p型熱電半導体素子31Pの一方の端部と他方の端部との間に温度差が与えられると、p型熱電半導体素子31Pにおいて正孔が移動する。n型熱電半導体素子31Nの一方の端部と他方の端部との間に温度差が与えられると、n型熱電半導体素子31Nにおいて電子が移動する。p型熱電半導体素子31Pとn型熱電半導体素子31Nとは第1電極3及び第2電極4を介して接続される。正孔と電子とによって第1電極3と第2電極4との間に電位差が発生する。第1電極3と第2電極4との間に電位差が発生することにより、熱電発電モジュール31は発電する。第1電極3にリード線7が接続される。熱電発電モジュール31は、リード線7を介して電力を出力する。
【0028】
[電源装置]
図3は、実施形態に係る電源装置30を模式的に示す図である。
図3に示すように、電源装置30は、熱電発電モジュール31と、電源切換部32と、電源蓄電部33とを有する。
【0029】
熱電発電モジュール31は、ゼーベック効果を利用して発電する。熱電発電モジュール31が発電した電力は、昇圧部(不図示)により昇圧された後、電源切換部32に供給される。
【0030】
電源切換部32は、熱電発電モジュール31が発電した電力が電源蓄電部33に供給される蓄電状態と電源蓄電部33に蓄えられた電力が負荷Cに供給される供給状態とを切り換えるように作動する。
【0031】
電源切換部32は、電源蓄電部33の蓄電状態を監視し、電源蓄電部33の蓄電量が規定値に達したときに、蓄電状態から供給状態に切り換える。
【0032】
電源切換部32は、電気ライン82を介して、電源蓄電部33に接続される。電源切換部32は、電源ライン80を介して、負荷Cに接続される。また、電源切換部32は、制御ライン90を介して、マイクロコンピュータ40に接続される。制御ライン90は、マイクロコンピュータ40から電源装置30に制御信号を伝送する。マイクロコンピュータ40から出力された制御信号は、制御ライン90を介して、電源切換部32に送信される。電源切換部32は、マイクロコンピュータ40により制御される。
【0033】
熱電発電モジュール31が発電すると、矢印R1で示すように、電源切換部32は、熱電発電モジュール31が発電した電力が電気ライン82を介して電源蓄電部33に供給されるように作動する。電源蓄電部33は、熱電発電モジュール31が発電した電力を蓄える。
【0034】
電源蓄電部33の蓄電量が規定値以上になると、電源蓄電部33は、電力を放出する。矢印R2で示すように、電源蓄電部33から放出された電力は、電源ライン80を介して、負荷Cに供給される。負荷Cは、電源蓄電部33から供給された電力を消費する。
【0035】
電源蓄電部33が電力を放出した後、矢印R1で示すように、電源切換部32は、熱電発電モジュール31が発電した電力が電気ライン82を介して電源蓄電部33に供給されるように作動する。電源蓄電部33は、熱電発電モジュール31が発電した電力を再び蓄える。
【0036】
電源蓄電部33の蓄電量が規定値以上になると、電源蓄電部33は、電力を放出する。矢印R2で示すように、電源蓄電部33から放出された電力は、電源ライン80を介して、負荷Cに再び供給される。負荷Cは、電源蓄電部33から供給された電力を消費する。
【0037】
このように、熱電発電モジュール31が発電した電力が電源蓄電部33に供給される蓄電状態と、電源蓄電部33に蓄えられた電力が負荷Cに供給される供給状態とが繰り返される。電源蓄電部33の蓄電は、間欠的に実施される。負荷Cに対する電力の供給は、間欠的に実施される。
【0038】
供給状態においては、熱電発電モジュール31と電源蓄電部33と負荷Cとが接続される。
【0039】
蓄電状態においては、電源装置30(電源蓄電部33)から負荷Cに対する電力の供給が停止される。すなわち、蓄電状態においては、負荷Cはオフ状態になる。
【0040】
電源装置30から負荷Cに対する電力の供給が停止され、負荷Cがオフ状態になった後において、負荷C、電源ライン80、及び制御ライン90の少なくとも一部に残留電荷が存在すると、負荷Cが誤作動する可能性がある。
【0041】
実施形態において、残留電荷除去装置70は、供給状態から蓄電状態に切り換えられたときに、残留電荷を除去するように作動する。
【0042】
[残留電荷除去装置]
図4は、実施形態に係る熱電発電装置1のハードウエアの要部を示す構成図である。
図4に示すように、熱電発電装置1は、熱電発電モジュール31と、DC/DCコンバータ320と、電源コンデンサ330と、マイクロコンピュータ40と、残留電荷除去装置70とを備える。
【0043】
DC/DCコンバータ320は、熱電発電モジュール31、電源コンデンサ330、及びマイクロコンピュータ40のそれぞれと接続される。DC/DCコンバータ320は、電源コンデンサ330とマイクロコンピュータ40との間に配置される。DC/DCコンバータ320は、電気ライン82を介して、電源コンデンサ330と接続される。DC/DCコンバータ320は、電源ライン80を介して、マイクロコンピュータ40と接続される。
【0044】
DC/DCコンバータ320は、スイッチ321と、スイッチ制御端子322とを有する。
【0045】
スイッチ321は、電源コンデンサ330とマイクロコンピュータ40とが通電可能な通電可能状態と通電不可能な通電不可能状態とを切り換える。スイッチ321がオン状態になることにより、電源コンデンサ330とマイクロコンピュータ40とは通電可能状態になる。スイッチ321がオフ状態になることにより、電源コンデンサ330とマイクロコンピュータ40とは通電不可能状態になる。
【0046】
スイッチ制御端子322は、スイッチ321を制御する。スイッチ制御端子322は、マイクロコンピュータ40により制御される。スイッチ制御端子322は、Highレベル及びLowレベルのいずれか一方に設定される。スイッチ制御端子322がHighレベルのとき、スイッチ321のオン状態が維持される。
【0047】
電源コンデンサ330は、熱電発電モジュール31が発電した電力を蓄える。電源コンデンサ330の蓄電量が規定値未満の場合、スイッチ321は、オフ状態になる。電源コンデンサ330の蓄電量が規定値以上の場合、スイッチ321は、オン状態になる。
【0048】
スイッチ321がオン状態になることにより、電源コンデンサ330とマイクロコンピュータ40とが通電可能状態になる。電源コンデンサ330とマイクロコンピュータ40とが通電可能状態になることにより、電源コンデンサ330に蓄えられた電力が、DC/DCコンバータ320及び電源ライン80を介して、マイクロコンピュータ40に供給される。
【0049】
マイクロコンピュータ40は、マイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit)を含む。マイクロコンピュータ40は、電源コンデンサ330から供給された電力に基づいて駆動する。マイクロコンピュータ40が駆動状態であることは、マイクロコンピュータ40に電力が供給されている状態であることを意味する。マイクロコンピュータ40が停止状態であることは、マイクロコンピュータ40に電力が供給されていない状態であることを意味する。
【0050】
マイクロコンピュータ40は、ビジー端子440を有する。マイクロコンピュータ40が駆動状態において、ビジー端子440は、Highレベルに設定される。マイクロコンピュータ40が停止状態において、ビジー端子440は、Lowレベルに設定される。
【0051】
ビジー端子440がHighレベルに設定されることにより、スイッチ制御端子322がHighレベルに設定され、スイッチ321のオン状態が維持される。
【0052】
残留電荷除去装置70は、コンデンサ710と、第1トランジスタ720と、第2トランジスタ730とを有する。
【0053】
ビジー端子440とコンデンサ710との間にダイオードD1が配置される。ビジー端子440がHighレベルに設定されることにより、電源コンデンサ330からマイクロコンピュータ40を介してコンデンサ710に電力が供給される。すなわち、ビジー端子440がHighレベルに設定されることにより、コンデンサ710が蓄電される。ビジー端子440がLowレベルに設定されることにより、ビジー端子440はグランドGNDに接続される。
【0054】
第1トランジスタ720は、電源ライン80に接続される。電源ライン80にダイオードD3が配置される。第1トランジスタ720は、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。実施形態において、第1トランジスタ720は、Nチャンネル型MOSFET(N-channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0055】
コンデンサ710から第1トランジスタ720に電力が供給されることにより、第1トランジスタ720は、オン状態になる。第1トランジスタ720がオン状態になることにより、電源ライン80とグランドGNDとが第1トランジスタ720を介して通電可能状態になる。電源ライン80とグランドGNDとが通電可能状態になることにより、電源ライン80の残留電荷がグランドGNDに放出される。すなわち、電源ライン80の残留電荷が除去される。
【0056】
第2トランジスタ730は、マイクロコンピュータ40に接続される。第2トランジスタ730とグランドGNDとの間にダイオードD2が配置される。第2トランジスタ730は、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。実施形態において、第2トランジスタ730は、Pチャンネル型MOSFET(P-channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。ビジー端子440がHighレベルに設定されることにより、第2トランジスタ730は、オフ状態になる。ビジー端子440がLowレベルに設定されることにより、第2トランジスタ730は、オン状態になる。すなわち、第2トランジスタ730は、マイクロコンピュータ40が駆動状態のときにオフ状態になり、マイクロコンピュータ40が停止状態のときにオン状態になる。
【0057】
第2トランジスタ730がオン状態になることにより、コンデンサ710と第1トランジスタ720とが第2トランジスタ730を介して通電可能状態になる。コンデンサ710と第1トランジスタ720とが通電可能状態になることにより、コンデンサ710に蓄えられていた電力(電荷)が第1トランジスタ720に供給される。コンデンサ710から第1トランジスタ720に電力が供給されることにより、第1トランジスタ720は、オン状態になる。
【0058】
図5は、実施形態に係る熱電発電装置1を示すブロック図である。
図5に示すように、熱電発電装置1は、電源装置30と、マイクロコンピュータ40と、センサ50と、無線通信機60と、残留電荷除去装置70とを備える。
【0059】
電源装置30は、熱電発電モジュール31と、電源切換部32と、電源蓄電部33とを有する。
【0060】
電源切換部32は、
図4を参照して説明したDC/DCコンバータ320を含む。電源切換部32は、熱電発電モジュール31が発電した電力が電源蓄電部33に供給される蓄電状態と電源蓄電部33に蓄えられた電力が対象に供給される供給状態とを切り換えるように作動する。
【0061】
電源切換部32は、電源蓄電部33の蓄電量が規定値未満のときに蓄電状態になり、電源蓄電部33の蓄電量が規定値以上のときに供給状態になるように作動する。電源蓄電部33の蓄電量が規定値未満から規定値以上になったときに、電源切換部32のスイッチ321がオン状態になる。スイッチ321がオン状態になることにより、電源蓄電部33とマイクロコンピュータ40とが通電可能状態になる。
【0062】
マイクロコンピュータ40は、マイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit)を含む。マイクロコンピュータ40は、検出データ取得部41と、通信制御部42と、電源制御部43と、除去制御部44とを有する。
【0063】
検出データ取得部41は、センサ50の検出データを取得する。通信制御部42は、無線通信機60を制御する。通信制御部42は、センサ50の検出データが管理コンピュータ100に送信されるように、無線通信機60を制御する。
【0064】
電源制御部43は、電源切換部32を制御する制御信号を出力する。マイクロコンピュータ40から電源装置30に制御信号を伝送する制御ライン90が設けられる。電源制御部43から出力された制御信号は、制御ライン90を介して、電源切換部32に送信される。
【0065】
除去制御部44は、残留電荷除去装置70を制御する制御信号を出力する。
【0066】
残留電荷除去装置70は、蓄電部71と、第1切換部72と、第2切換部73とを有する。
【0067】
蓄電部71は、電力(電荷)を蓄える。蓄電部71は、
図4を参照して説明したコンデンサ710を含む。蓄電部71は、電源装置30(電源蓄電部33)から電源ライン80及びマイクロコンピュータ40を介して供給された電力を蓄える。
【0068】
第1切換部72は、電源装置30から電力が供給される対象に接続される。実施形態において、第1切換部72は、電源ライン80及び制御ライン90のそれぞれに接続される。第1切換部72は、接続ライン74を介して、電源ライン80に接続される。第1切換部72は、接続ライン75を介して、制御ライン90に接続される。
【0069】
第1切換部72は、蓄電部71から電力が供給されることにより、電源ライン80の残留電荷及び制御ライン90の残留電荷が除去されるように作動する。第1切換部72は、グランドGNDに接続される。第1切換部72は、蓄電部71から電力が供給されることにより、電源ライン80の残留電荷及び制御ライン90の残留電荷がグランドGNDに放出されるように作動する。
【0070】
第1切換部72は、
図4を参照して説明した第1トランジスタ720を含む。第1切換部72は、蓄電部71から電力が供給されることにより、電源ライン80及び制御ライン90のそれぞれとグランドGNDとを接続するように、オン状態になる。第1切換部72がオン状態になることにより、電源ライン80の残留電荷及び制御ライン90の残留電荷が、第1切換部72を介してグランドGNDに放出される。
【0071】
第2切換部73は、電源装置30から対象に対する電力の供給が停止したときに、蓄電部71から第1切換部72に電力が供給されるように作動する。実施形態において、第2切換部73は、電源装置30からマイクロコンピュータ40及びセンサ50に対する電力の供給が停止したときに、蓄電部71から第1切換部72に電力が供給されるように作動する。
【0072】
上述のように、電源切換部32により、熱電発電モジュール31が発電した電力が電源蓄電部33に供給される蓄電状態と電源蓄電部33に蓄えられた電力がマイクロコンピュータ40及びセンサ50に供給される供給状態とが切り換えられる。第2切換部73は、供給状態から蓄電状態に切り換えられたときに、蓄電部71から第1切換部72に電力が供給されるように作動する。
【0073】
第2切換部73は、
図4を参照して説明した第2トランジスタ730を含む。第2切換部73は、電源蓄電部33からマイクロコンピュータ40に対する電力の供給が停止されることにより、蓄電部71と第1切換部72とを接続するように、オン状態になる。第2切換部73がオン状態になることにより、蓄電部71の電力が第2切換部73を介して第1切換部72に供給される。第1切換部72は、蓄電部71から電力が供給されることによりオン状態になる。第1切換部72がオン状態になることにより、電源ライン80の残留電荷及び制御ライン90の残留電荷が、第1切換部72を介してグランドGNDに放出される。
【0074】
[動作]
図6は、実施形態に係る熱電発電装置1の動作を示すフローチャートである。熱電発電モジュール31が発電した電力は、電源蓄電部33に供給される。電源蓄電部33は、熱電発電モジュール31が発電した電力を蓄える(ステップS1)。
【0075】
電源蓄電部33の蓄電量が規定値未満である場合、電源切換部32のスイッチ制御端子322は、Lowレベルであり、電源切換部32のスイッチ321は、オフ状態である。電源蓄電部33の蓄電量が規定値未満である場合、熱電発電モジュールが発電した電力が電源蓄電部33に供給される蓄電状態が維持される。
【0076】
電源蓄電部33蓄電量が規定値未満から規定値以上になると、蓄電状態から供給状態に切り換わる。すなわち、電源蓄電部33蓄電量が規定値以上である場合、電源切換部32のスイッチ321がオン状態になり、電源蓄電部33に蓄えられた電力がマイクロコンピュータ40及びセンサ50を含む負荷Cに供給される(ステップS2)。
【0077】
マイクロコンピュータ40に電力が供給されることにより、マイクロコンピュータ40のビジー端子440は、Highレベルに設定される。ビジー端子440がHighレベルに設定されることにより、電源切換部32のスイッチ制御端子322がHighレベルに設定され、電源切換部32のスイッチ321のオン状態が維持される。
【0078】
マイクロコンピュータ40及びセンサ50に電力が供給されると、マイクロコンピュータ40及びセンサ50のそれぞれは駆動する(ステップS3)。
【0079】
マイクロコンピュータ40及びセンサ50のそれぞれは、規定の処理を実施する。センサ50は、機器Bの状態を検出する。検出データ取得部41は、センサ50の検出データを取得する。通信制御部42は、無線通信機60を制御して、センサ50の検出データを管理コンピュータ100に送信する。
【0080】
また、マイクロコンピュータ40が駆動すると、電源装置30からの電力がマイクロコンピュータ40を介して蓄電部71に供給される。蓄電部71は、電源装置30からマイクロコンピュータ40を介して供給された電力を蓄える(ステップS4)。
【0081】
マイクロコンピュータ40及びセンサ50のそれぞれの処理が終了すると、電源制御部43は、供給状態から蓄電状態に切り換わるように、電源切換部32に制御信号を出力する。電源制御部43から出力された制御信号は、制御ライン90を介して、電源切換部32に伝送される(ステップS5)。
【0082】
実施形態において、マイクロコンピュータ40及びセンサ50のそれぞれの処理が終了すると、ビジー端子440は、Lowレベルに設定される。ビジー端子440がLowレベルに設定されると、スイッチ制御端子322をLowレベルにするための制御信号が電源制御部43から電源切換部32に出力される。スイッチ制御端子322をLowレベルにするための制御信号は、供給状態から蓄電状態に切り換えるための制御信号に相当する。スイッチ制御端子322がLowレベルに設定されると、電源切換部32のスイッチ321がオフ状態になり、供給状態から蓄電状態に切り換わる。
【0083】
蓄電状態においては、マイクロコンピュータ40及びセンサ50に対する電力の供給が停止される。マイクロコンピュータ40及びセンサ50はオフ状態になる(ステップS6)。
【0084】
マイクロコンピュータ40及びセンサ50に対する電力の供給が停止されると、第2切換部73は、蓄電部71から第1切換部72に電力が供給されるように作動する(ステップS7)。
【0085】
実施形態において、ビジー端子440がLowレベルに設定されると、第2切換部73は、オン状態になる。第2切換部73がオン状態になると、蓄電部71の電力は、第2切換部73を介して、第1切換部72に供給される。蓄電部71の電力が第1切換部72に供給されることにより、第1切換部72は、オン状態なる(ステップS8)。
【0086】
第1切換部72がオン状態になることにより、電源ライン80とグランドGNDとが第1切換部72を介して通電可能状態になる。これにより、電源ライン80に存在する残留電荷は、第1切換部72を介して、グランドGNDに放出される。すなわち、電源ライン80の残留電荷が除去される(ステップS9)。
【0087】
ステップS1からステップS9の処理が繰り返される。すなわち、熱電発電モジュール31が発電した電力で電源蓄電部33を蓄電する動作と、電源蓄電部33に蓄えられた電力を負荷Cに供給する動作と、残留電荷を除去する動作とが繰り返される。
【0088】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、残留電荷除去装置70により、電源装置30から対象に対する電力の供給が停止された状態において、対象に存在する残留電荷が円滑に除去される。電源装置30から対象に対する電力の供給が停止されると、蓄電部71に蓄えられていた電力が第1切換部72に供給されるように、第2切換部73が作動する。これにより、電源装置30からの電力の供給が停止されても、第1切換部72は、蓄電部71から供給された電力に基づいて、オン状態になることができる。第1切換部72がオン状態になることにより、対象の残留電荷は、第1切換部72を介して、グランドGNDに放出される。したがって、対象に存在する残留電荷は、円滑に除去される。
【0089】
蓄電部71は、電源装置30からマイクロコンピュータ40を介して供給された電力を蓄える。これにより、電源装置30からの電力が蓄電部71に効率良く蓄えられる。
【0090】
熱電発電モジュール31が発電した電力が電源蓄電部33に供給される蓄電状態と、電源蓄電部33に蓄えられた電力が負荷Cに供給される供給状態とが繰り返される。実施形態において、電源蓄電部33の蓄電が間欠的に実施され、センサ50の検出データの送信が間欠的に実施される。供給状態から蓄電状態に切り換えられたときに、残留電荷除去装置70により残留電荷が除去される。そのため、センサ50の誤作動及び無線通信機60の誤作動が抑制される。したがって、機器Bの状態の検出データが管理コンピュータ100に適切に送信される。
【0091】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、第1切換部72は、電源ライン80及び制御ライン90のそれぞれに接続されることとした。これにより、電源ライン80の残留電荷及び制御ライン90の残留電荷が円滑に除去される。なお、第1切換部72は、電源ライン80に接続され、制御ライン90に接続されなくてもよい。また、第1切換部72は、負荷Cに接続されてもよい。すなわち、第1切換部72は、マイクロコンピュータ40、センサ50、及び無線通信機60の少なくとも一つに接続されてもよい。
【0092】
上述の実施形態において、蓄電部71は、電源装置30からマイクロコンピュータ40を介して供給された電力を蓄えることとした。電源装置30から出力された電力は、マイクロコンピュータ40を介さずに、蓄電部71に供給されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…熱電発電装置、2…伝熱部材、3…第1電極、4…第2電極、5…第1基板、6…第2基板、7…リード線、10…第1ハウジング、11…受熱部、12…放熱部、13…周壁部、20…第2ハウジング、30…電源装置、31…熱電発電モジュール、311…端面、312…端面、31P…p型熱電半導体素子、31N…n型熱電半導体素子、32…電源切換部、33…電源蓄電部、40…マイクロコンピュータ、41…検出データ取得部、42…通信制御部、43…電源制御部、44…除去制御部、50…センサ、60…無線通信機、70…残留電荷除去装置、71…蓄電部、72…第1切換部、73…第2切換部、74…接続ライン、75…接続ライン、80…電源ライン、82…電気ライン、90…制御ライン、100…管理コンピュータ、320…DC/DCコンバータ、321…スイッチ、322…スイッチ制御端子、330…電源コンデンサ、440…ビジー端子、710…コンデンサ、720…第1トランジスタ、730…第2トランジスタ、B…機器、C…負荷。