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特許7510260検品装置及びその制御方法、印刷システム、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】検品装置及びその制御方法、印刷システム、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240626BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B41J29/393 105
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020032194
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021135197
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 靖二郎
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-118501(JP,A)
【文献】特開2019-149078(JP,A)
【文献】特開2013-101015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0285873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-G01N21/958
B41J29/00-B41J29/70
G06T 1/00-G06T 1/40
G06T 3/00-G06T 5/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用の基準画像を取得する取得手段と、
前記基準画像に対する画像の位置合わせに使用するための特徴点を、前記基準画像から抽出する抽出手段と、
前記基準画像に対して、画像が印刷された検査対象のシートを読み取って得られた読取画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、
前記位置合わせが行われた読取画像と前記基準画像とを比較することで、前記シートについての検査を行う検査手段と、を備え、
前記位置合わせ手段は、前記抽出手段により前記基準画像から抽出された前記特徴点の数が第1閾値以上である場合、前記特徴点の位置を使用する位置合わせ方法を用いて前記読取画像の前記位置合わせを行い、前記特徴点の数が、前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、シートの角を示す紙頂点の位置を使用する位置合わせ方法を用いて前記位置合わせを行い、前記特徴点の数が、前記第2閾値以上であり、かつ、前記第1閾値未満である場合、前記特徴点と前記紙頂点との両方を使用する位置合わせ方法を用いて前記位置合わせを行うことを特徴とする検品装置。
【請求項2】
搬送されるシートを読み取る読取手段を更に備え、
前記検査対象のシートは、前記読取手段により読み取られることを特徴とする請求項1に記載の検品装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記基準画像の生成用のシートを前記読取手段により読み取って得られた画像に基づいて、前記基準画像を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の検品装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記基準画像の生成用のシートを前記読取手段により読み取って得られた前記画像から前記紙頂点を抽出し、前記抽出された紙頂点の位置と、前記シートに対して行われた印刷に用いられた印刷設定とに基づいて、前記画像を前記シートの表面の形に合わせて変形することで、前記基準画像を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の検品装置。
【請求項5】
前記印刷設定は、前記印刷における1部当たりのシートの枚数と、シートのサイズと、シートの検査対象となる面に関する設定と、の少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の検品装置。
【請求項6】
前記取得手段は、
前記抽出手段により抽出された前記特徴点の数が所定数以上である場合には、前記特徴点を、前記基準画像と関連付けて前記位置合わせ用の設定情報として保存し、
前記抽出手段により抽出された前記特徴点の数が前記所定数未満である場合には、前記紙頂点を、前記基準画像と関連付けて前記設定情報として保存する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の検品装置。
【請求項7】
前記位置合わせ手段は、前記保存された設定情報に従って、前記特徴点の位置を使用する位置合わせ方法、前記紙頂点の位置を使用する位置合わせ方法、又は、前記特徴点と前記紙頂点との両方を使用する位置合わせ方法を用いて前記基準画像に対する前記読取画像の位置合わせを行う
ことを特徴とする請求項6に記載の検品装置。
【請求項8】
前記位置合わせ手段は、前記特徴点の位置を使用する位置合わせ方法を用いて前記基準画像に対する前記読取画像の位置合わせを行う場合、前記読取画像における、前記設定情報が示す前記特徴点の位置を取得し、前記読取画像における前記特徴点の位置と前記基準画像における前記特徴点の位置とが一致するように前記読取画像を変形することで、前記位置合わせを行う
ことを特徴とする請求項7に記載の検品装置。
【請求項9】
前記位置合わせ手段は、前記紙頂点の位置を使用する位置合わせ方法を用いて前記基準画像に対する前記読取画像の位置合わせを行う場合、前記読取画像から抽出される前記紙頂点の位置と、前記基準画像における前記紙頂点の位置とが一致するように前記読取画像を変形することで、前記位置合わせを行う
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の検品装置。
【請求項10】
前記取得手段は、搬送される画像が印刷された検査対象のシートへの画像の印刷に用いられた印刷データを取得し、当該印刷データに基づいて前記基準画像を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検品装置。
【請求項11】
前記検査手段による前記検査の結果、異常がないと判定されたシートと異常があると判定されたシートとを、それぞれ異なる排紙先に排紙する排紙制御を行う制御手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の検品装置。
【請求項12】
シートに画像を印刷する印刷装置と、
前記印刷装置によって画像が印刷されたシートが搬送路を通じて搬送され、当該搬送されたシートの検査を行う、請求項1から11のいずれか1項に記載の検品装置と、
を備える印刷システム。
【請求項13】
検査用の基準画像を取得する取得工程と、
前記基準画像に対する画像の位置合わせに使用するための特徴点を、前記基準画像から抽出する抽出工程と、
前記基準画像に対して、画像が印刷された検査対象のシートを読み取って得られた読取画像の位置合わせを行う位置合わせ工程と、
前記位置合わせが行われた読取画像と前記基準画像とを比較することで、前記シートについての検査を行う検査工程と、を含み、
前記位置合わせ工程では、前記抽出工程で前記基準画像から抽出された前記特徴点の数が第1閾値以上である場合、前記特徴点の位置を使用する位置合わせ方法を用いて前記読取画像の前記位置合わせを行い、前記特徴点の数が、前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、シートの角を示す紙頂点の位置を使用する位置合わせ方法を用いて前記位置合わせを行い、前記特徴点の数が、前記第2閾値以上であり、かつ、前記第1閾値未満である場合、前記特徴点と前記紙頂点との両方を使用する位置合わせ方法を用いて前記位置合わせを行うことを特徴とする検品装置の制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の検品装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が印刷されたシートの検査を行う検品装置及びその制御方法、印刷システム、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷装置により画像が印刷された印刷シートを搬送中に検品装置によって検査可能とした印刷システムが知られている。検品装置は、搬送された印刷シートの画像を読み取り、当該読み取りにより得られた画像の画像解析により、印刷シートが正常であるか否かを判定する。このような検査により、例えば、バーコード又は罫線の欠け、画像抜け、印刷不良、ページ抜け、色ずれ等の異常がある印刷シートを検出可能である。
【0003】
特許文献1には、検査用の基準画像(リファレンス画像)と、搬送された印刷シートを読み取って得られた印刷画像との比較を行う際に、各画像内から抽出した特徴点に基づいて画像間の位置合わせを行う検品装置が記載されている。当該検品装置では、画像間の位置合わせを行うのに十分な数の特徴点が抽出されなかった場合に、画像間の位置合わせを行わずに、印刷画像から抽出された特徴点の数に基づく検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-101015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、例えば、基準画像が白紙に対応する画像である場合のように、基準画像から十分な数の特徴点を抽出できない場合、画像間の位置合わせを行わない。このように画像間の位置合わせを行わなければ、基準画像と印刷画像との比較自体を行うことができず、印刷シートにおけるいずれの位置にどのような異常が生じているのかを判定できない。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、特徴点の少ない画像が印刷された印刷シートの検査を行う際でも、検査用の基準画像と印刷シートの読取画像との位置合わせを行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る検品装置は、検査用の基準画像を取得する取得手段と、前記基準画像に対する画像の位置合わせに使用するための特徴点を、前記基準画像から抽出する抽出手段と、前記基準画像に対して、画像が印刷された検査対象のシートを読み取って得られた読取画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記位置合わせが行われた読取画像と前記基準画像とを比較することで、前記シートについての検査を行う検査手段と、を備え、前記位置合わせ手段は、前記抽出手段により前記基準画像から抽出された前記特徴点の数が第1閾値以上である場合、前記特徴点の位置を使用する位置合わせ方法を用いて前記読取画像の前記位置合わせを行い、前記特徴点の数が、前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、シートの角を示す紙頂点の位置を使用する位置合わせ方法を用いて前記位置合わせを行い、前記特徴点の数が、前記第2閾値以上であり、かつ、前記第1閾値未満である場合、前記特徴点と前記紙頂点との両方を使用する位置合わせ方法を用いて前記位置合わせを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特徴点の少ない画像が印刷された印刷シートの検査を行う際でも、検査用の基準画像と印刷シートの読取画像との位置合わせを行うことが可能になる。これにより、印刷シートの検査のために基準画像と読取画像との比較を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】印刷システムを含むネットワーク構成例を示す図
図2】印刷システムのハードウェア構成例を示すブロック図
図3】印刷システムのハードウェア構成例を示す断面図
図4】基準画像の登録処理の手順を示すフローチャート
図5】基準画像の生成処理(S405)の手順を示すフローチャート
図6】印刷シートの検品処理の手順を示すフローチャート
図7】基準画像との比較処理(S605)の手順を示すフローチャート
図8】紙頂点の抽出処理(S501,S701)の手順を示すフローチャート
図9】紙頂点を抽出する処理の一例を示す図
図10】基準画像からの特徴点の抽出の例を示す図
図11】画像変形の例を示す図
図12】検品結果を示す操作画面の例を示す図
図13】第2実施形態に係る基準画像の生成処理(S405)の手順を示すフローチャート
図14】第2実施形態に係る基準画像との比較処理(S605)の手順を示すフローチャート
図15】第2実施形態に係る基準画像からの特徴点の抽出の例を示す図
図16】第2実施形態に係る画像変形の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る印刷システムを含むネットワーク構成例を示す図である。図1に示すように、印刷システム101は、外部コントローラ102と接続されている。印刷システム101及び外部コントローラ102は、画像処理システムを構成する。印刷システム101は、例えば、画像形成装置、複合機、又はマルチファンクションペリフェラル(MFP)と称されることもある。印刷システム101と外部コントローラ102は、内部LAN105及びビデオケーブル106を介して通信可能に接続されている。外部コントローラ102は、外部LAN104を介してクライアントPC103と通信可能に接続されている。外部コントローラ102は、例えば、画像処理コントローラ、デジタルフロントエンド(DFE)、又はプリントサーバと称されることもある。
【0012】
クライアントPC103は、外部LAN104を介して外部コントローラ102に対して印刷指示を行うことが可能である。クライアントPC103にはプリンタドライバがインストールされている。当該プリンタドライバは、印刷データを外部コントローラ102により処理可能な印刷記述言語のデータに変換する機能を有する。ユーザは、クライアントPC103を操作することにより、当該PCにインストールされた各種アプリケーションからプリンタドライバを介して印刷システム101に対する印刷指示を行うことができる。プリンタドライバは、ユーザからの印刷指示に基づいて、外部コントローラ102に対して印刷データを送信する。外部コントローラ102は、クライアントPC103から印刷データを受信すると、受信した印刷データにデータ解析及びラスタライズ処理を行い、処理後の印刷データを印刷システム101に対して投入することで印刷指示を行う。
【0013】
印刷システム101は、それぞれ異なる機能を有する複数の装置を備え、製本処理等の種々の処理が実行可能となるように構成されている。本実施形態では、印刷システム101は、印刷装置107、インサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110、及びフィニッシャ111で構成される。印刷装置107によって画像が印刷され、印刷装置107から排紙されたシート(用紙)は、インサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110、及びフィニッシャ111の順に、各装置の内部を搬送される。本実施形態では、印刷システム101は画像形成装置の一例であるが、印刷システム101に含まれる印刷装置107が画像形成装置と称される場合もある。
【0014】
印刷装置107は、印刷装置107の下部に配置された給紙部から給紙及び搬送されるシートに対してトナー(現像剤)を用いて画像を形成(印刷)する。インサータ108は、印刷装置107から搬送される一連のシート群に対して挿入シートを挿入する装置である。検品装置109は、印刷装置107によって画像が印刷されたシートが搬送路を通じて搬送され、当該搬送されたシートの検査を行う装置である。より具体的には、検品装置109は、搬送されたシートに印刷された画像を読み取り、得られた読取画像を、予め登録された基準画像と比較することで、シートに印刷された画像を検査(画像が正常か否かを判定)する。大容量スタッカ110は、多数のシートを積載可能な装置である。フィニッシャ111は、搬送されたシートに対して、ステイプル処理、パンチ処理、中綴じ製本処理等のフィニッシング処理を実行可能な装置である。フィニッシャ111による処理後のシートは所定の排紙トレイに排紙される。
【0015】
図1の構成例では、印刷システム101に外部コントローラ102が接続されているが、本実施形態はこれとは異なる構成にも適用可能である。例えば、印刷システム101が外部LAN104に接続され、外部コントローラ102を介さずに、クライアントPC103から印刷システム101へ印刷データが送信される構成が用いられてもよい。この場合、印刷データに対するデータ解析及びラスタライズは、印刷システム101によって実行される。
【0016】
<印刷システム>
図2は、印刷システム101、外部コントローラ102、及びクライアントPC103のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2を参照して、印刷システム101の構成例について説明する。
【0017】
印刷システム101の印刷装置107は、通信I/F(インタフェース)217、LANI/F218、ビデオI/F220、HDD221、CPU222、メモリ223、操作部224、及びディスプレイ225を備える。印刷装置107は更に、原稿露光部226、レーザ露光部227、作像部228、定着部229、給紙部230を備える。これらのデバイスは、システムバス231を介して互いに接続される。
【0018】
通信I/F217は、通信ケーブル260を介してインサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110及びフィニッシャ111と接続される。CPU222は、通信I/F217を介して、それぞれの装置の制御のための通信を行う。LANI/F218は、内部LAN105を介して外部コントローラ102と接続され、制御データ等の通信に用いられる。ビデオI/F220は、ビデオケーブル106を介して外部コントローラ102と接続され、画像データ等のデータの通信に用いられる。なお、印刷装置107(印刷システム101)と外部コントローラ102とは、外部コントローラ102による印刷システム101の動作の制御が可能であれば、ビデオケーブル106のみで接続されていてもよい。
【0019】
HDD221には、各種プログラム又はデータが保存される。CPU222は、HDD221に保存されたプログラムを実行することで、印刷装置107全体の動作を制御する。メモリ223には、CPU222が各種処理を行う際に必要となるプログラム及びデータが格納される。メモリ223は、CPU222のワークエリアとして動作する。操作部224は、ユーザからの各種設定の入力及び操作の指示を受け付ける。ディスプレイ225は、設定情報及び印刷ジョブの処理状況等、各種情報の表示に使用される。
【0020】
原稿露光部226は、コピー機能又はスキャン機能が使用される際に、原稿の読み取りを行う。ユーザによりセットされたシートに対して露光ランプを照らし、CMOSイメージセンサで画像を撮影することで、原稿の読み取りを行う。レーザ露光部227は、印刷処理(画像形成処理)において、感光ドラムを帯電させ、及び画像データに応じて変調されたレーザ光を用いて感光ドラムを露光することで、感光ドラムに静電潜像を形成する。作像部228は、感光ドラムに形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像ユニット、トナー像を感光ドラムから中間転写ベルトに転写する一次転写ユニット、中間転写ベルトからシートにトナー像を転写する二次転写ユニットを含む。定着部229は、シートに転写されたトナー像に熱及び圧力を加えることで当該トナー像をシートに定着させる。給紙部230は、給紙デッキ(給紙カセット)から、作像部228による画像形成の対象となるシートを搬送路に給紙する。シートの給紙動作及び搬送動作は、各種ローラ又はセンサを用いて制御される。
【0021】
インサータ108は、通信I/F232、CPU233、メモリ234、及び給紙制御部235を備える。これらのデバイスは、システムバス236を介して互いに接続される。通信I/F232は、通信ケーブル260を介して印刷装置107と接続される。CPU233は、通信I/F232を介して、インサータ108の制御に必要な通信を行う。CPU233は、メモリ234に格納された制御プログラムを実行することで、インサータ108の動作を制御する。メモリ234には、インサータ108用の制御プログラムが保存される。給紙制御部235は、CPU233からの指示に従って、各種ローラ及びセンサを制御することで、インサータ108の給紙部からの挿入シートの給紙、及び印刷装置107から搬送されるシートの搬送を制御する。
【0022】
検品装置109は、通信I/F237、CPU238、メモリ239、撮影部240、表示部241、操作部242、及びHDD255を備える。これらのデバイスは、システムバス243を介して互いに接続される。通信I/F237は、通信ケーブル260を介して印刷装置107と接続される。CPU238は、通信I/F237を介して、検品装置109の制御に必要な通信を行う。CPU238は、メモリ239に格納された制御プログラムを実行することで、検品装置109の動作を制御する。メモリ239には、検品装置109用の制御プログラムが保存される。
【0023】
撮影部240は、CPU238の指示に従って、搬送されたシートを撮影する。CPU238は、撮影部240によって撮影された画像を、基準画像としてメモリ239に保存する処理を行う。CPU238は更に、撮影部240によって撮影された画像と、メモリ239に保存されている基準画像と比較し、その比較結果に基づいて、シートに印刷された画像を検査する検品処理を行う。表示部241は、検品結果及び設定画面等の表示に使用される。操作部242は、ユーザによって操作され、ユーザから各種指示(例えば、検品装置109の設定変更、及び基準画像の登録指示等)を受け付ける。HDD255には、検品処理に検品に必要な各種設定情報及び画像データが保存される。HDD255に保存された各種設定情報及び画像データは再利用が可能である。
【0024】
大容量スタッカ110は、通信I/F244、CPU245、メモリ246、及び排紙制御部247を備える。これらのデバイスは、システムバス248を介して互いに接続される。通信I/F244は、通信ケーブル260を介して印刷装置107と接続される。CPU245は、通信I/F244を介して、大容量スタッカ110の制御に必要な通信を行う。CPU245は、メモリ246に格納された制御プログラムを実行することで、大容量スタッカ110の動作を制御する。メモリ246には、大容量スタッカ110用の制御プログラムが保存される。排紙制御部247は、CPU245からの指示に従って、搬送路を搬送されてきたシートを、スタックトレイへ排紙するか、エスケープトレイへ排紙するか、又はシートの搬送方向の下流側に接続されているフィニッシャ111へ搬送する制御を行う。
【0025】
フィニッシャ111は、通信I/F249、CPU250、メモリ251、排紙制御部252、及びフィニッシング処理部253を備える。これらのデバイスは、システムバス254を介して互いに接続される。通信I/F249は、通信ケーブル260を介して印刷装置107と接続される。CPU250は、通信I/F249を介して、フィニッシャ111の制御に必要な通信を行う。CPU250は、メモリ251に格納された制御プログラムを実行することで、フィニッシャ111の動作を制御する。メモリ251には、フィニッシャ111用の制御プログラムが保存される。排紙制御部252は、CPU250からの指示に従って、シートの搬送及び排紙を制御する。フィニッシング処理部253は、CPU250からの指示に従って、ステイプル、パンチ、又は中綴じ製本等のフィニッシング処理を行う。
【0026】
<外部コントローラ>
外部コントローラ102は、CPU208、メモリ209、HDD210、キーボード211、ディスプレイ212、LANI/F213,214、及びビデオI/F215を備える。これらのデバイスは、システムバス216を介して互いに接続される。CPU208は、HDD210に保存されたプログラムを実行することで、外部コントローラ102全体の動作(例えば、クライアントPC103からの印刷データの受信、RIP処理、及び印刷システム101への印刷データの送信)を制御する。メモリ209には、CPU208が各種処理を行う際に必要となるプログラム及びデータが格納される。メモリ209は、CPU208のワークエリアとして動作する。
【0027】
HDD210には、各種プログラム及びデータが保存される。キーボード211は、ユーザからの外部コントローラ102の操作指示の入力に使用される。ディスプレイ212は、例えば、外部コントローラ102における実行中のアプリケーションの情報、及び操作画面の表示に使用される。LANI/F213は、外部LAN104を介してクライアントPC103と接続され、印刷指示等のデータの通信に用いられる。LANI/F214は、内部LAN105を介して印刷システム101と接続され、印刷指示等のデータの通信に用いられる。外部コントローラ102は、内部LAN105及び通信ケーブル260を介して、印刷装置107、インサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110、及びフィニッシャ111と通信可能に構成される。ビデオI/F215は、ビデオケーブル106を介して印刷システム101と接続され、画像データ(印刷データ)等のデータの通信に用いられる。
【0028】
<クライアントPC>
クライアントPC103は、CPU201、メモリ202、HDD203、キーボード204、ディスプレイ205、及びLANI/F206を備える。これらのデバイスは、システムバス207を介して互いに接続される。CPU201は、HDD203に保存されたプログラムを実行することで、システムバス207を介して各デバイスの動作を制御する。これにより、クライアントPC103による各種処理が実現される。例えば、CPU201は、HDD203に保存された文書処理プログラムを実行することで、印刷データの生成及び印刷指示を行う。メモリ202は、CPU201が各種処理を行う際に必要となるプログラム及びデータが格納される。メモリ202は、CPU201のワークエリアとして動作する。
【0029】
HDD203には、各種アプリケーション(例えば、文書処理プログラム)及びプリンタドライバ等のプログラム、及び各種データが保存される。キーボード204は、ユーザからのクライアントPC103の操作指示の入力に使用される。ディスプレイ205は、例えば、クライアントPC103における実行中のアプリケーションの情報、及び操作画面の表示に使用される。LANI/F206は、外部LAN104を介して外部コントローラ102と通信可能に接続される。CPU201は、LANI/F206を介して、外部コントローラ102と通信する。
【0030】
<印刷システムの動作例>
図3は、印刷システム101のハードウェア構成例を示す断面図である。以下では、図3を参照して印刷システム101の具体的な動作例について説明する。
【0031】
印刷装置107において、給紙デッキ301,302には、各種シートが収納される。各印刷デッキに収納されたシートのうち、最も上に位置するシートが1枚ずつ分離されて搬送路303へ給紙される。画像形成ステーション304~307は、それぞれ感光ドラム(感光体)を含み、それぞれ異なる色のトナーを用いて、感光ドラムにトナー像を形成する。具体的には、画像形成ステーション304~307は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナーをそれぞれ用いてトナー像を形成する。
【0032】
画像形成ステーション304~307において形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト308上に順に重ね合わせて転写される(一次転写)。中間転写ベルト308に転写されたトナー像は、中間転写ベルト308の回転に従って二次転写位置309まで搬送される。二次転写位置309では、搬送路303を搬送されてきたシートに、中間転写ベルト308からトナー像が転写される(二次転写)。二次転写後のシートは、定着ユニット311へ搬送される。定着ユニット311は、加圧ローラ及び加熱ローラを備える。これらのローラ間をシートが通過する間に熱及び圧力がシートに加えられることで、シートにトナー像を定着させる定着処理が行われる。定着ユニット311を通過したシートは、搬送路312を通って、印刷装置107とインサータ108との接続点315へ搬送される。このようにして、シートにカラー画像が形成(印刷)される。
【0033】
シートの種類に応じて更なる定着処理が必要な場合には、定着ユニット311を通過したシートは、定着ユニット313が設けられた搬送路314へ導かれる。定着ユニット313は、搬送路314を搬送されるシートに対して更なる定着処理を行う。定着ユニット313を通過したシートは、接続点315へ搬送される。また、両面印刷を行う動作モードが設定されている場合には、第1面に画像が印刷され、搬送路312又は搬送路314を搬送されたシートは、反転パス316へ導かれる。反転パス316で反転したシートは両面搬送路317へ導かれ、二次転写位置309まで搬送される。これにより、二次転写位置309においてシートの第1面とは反対側の第2面にトナー像が転写される。その後、定着ユニット311(及び定着ユニット313)をシートが通過することで、シートの第2面へのカラー画像の形成が完了する。
【0034】
印刷装置107における画像の形成(印刷)が完了し、接続点315まで搬送されたシートは、インサータ108内へ搬送される。インサータ108は、挿入シートがセットされるインサータトレイ321を備える。インサータ108は、インサータトレイ321から給紙した挿入シートを、印刷装置107から搬送される一連のシート群における任意の挿入位置に挿入し、後段の装置(検品装置109)へ搬送する処理を行う。インサータ108を通過したシートは、順に検品装置109へ搬送される。
【0035】
検品装置109は、インサータ108からのシートが搬送される搬送路333上に、撮影部240を構成するCIS(Contact Image Sensor)331,332を備える。CIS331,332は、搬送路333を介して対向する位置に配置される。CIS331,332は、それぞれ、シートの上面(第1面)及び下面(第2面)を読み取るように構成される。なお、撮影部240は、例えば、CISに代えてラインスキャンカメラで構成されてもよい。
【0036】
検品装置109は、搬送路333を搬送されるシートに印刷された画像を検査する検品処理を行う。具体的には、検品装置109は、搬送中のシートが所定に位置に到達したタイミングに、撮影部240(CIS331,332)を用いて、当該シートの画像を読み取る読取処理を行う。更に、検品装置109は、読取処理により得られた画像に基づいて、シートに印刷された画像を検査する。検品装置109を通過したシートは、順に大容量スタッカ110へ搬送される。
【0037】
本実施形態では、検品装置109は、シートに印刷された画像を読み取って得られた読取画像と、予め登録された基準画像とを比較することで、検品処理を行う。検品処理における画像の比較方法には、例えば、画素ごとの画素値を比較する方法、エッジ検出により得られた物体の位置を比較する方法、OCR(Optical Character Recognition)による文字データの抽出を用いる方法がありうる。また、検品装置109は、予め設定された検査項目について検品処理を行う。検査項目の例には、画像の印刷位置のずれ、画像の色合い、画像の濃度、画像に生じたスジ又はカスレ、印刷抜け等がありうる。
【0038】
大容量スタッカ110は、シートの搬送方向の上流側の装置(検品装置109)から搬送されてきたシートが積載されるトレイとして、スタックトレイ341を備える。検品装置109を通過したシートは、大容量スタッカ110内の搬送路344を搬送される。搬送路344を搬送されるシートが搬送路345へ導かれることで、当該シートはスタックトレイ341に積載される。
【0039】
大容量スタッカ110は、排紙トレイとしてエスケープトレイ346を更に備える。本実施形態では、エスケープトレイ346は、検品装置109による検品の結果、印刷された画像に異常があると判定されたシートの排紙に使用される。搬送路344を搬送されるシートが搬送路347へ導かれることで、当該シートはエスケープトレイ346へ搬送される。大容量スタッカ110において積載及び排紙されずに搬送されたシートは、搬送路348を通じて後段のフィニッシャ111へ搬送される。
【0040】
大容量スタッカ110は、搬送されるシートの向きを反転させるための反転部349を更に備える。反転部349は、例えば、大容量スタッカ110に入力されたシートの向きと、スタックトレイ341に積載されて大容量スタッカ110から出力される際のシートの向きとを同一とするために用いられる。なお、大容量スタッカ110において積載されずにフィニッシャ111へ搬送されるシートに対しては、反転部349による反転動作はお行われない。
【0041】
フィニッシャ111は、シートの搬送方向の上流側の装置(検品装置109)から搬送されてきたシートに対して、ユーザによって指定されたフィニッシング機能を実行する。本実施形態では、フィニッシャ111は、例えば、ステイプル機能(1個所又は2箇所綴じ)、パンチ機能(2穴又は3穴)、及び中とじ製本機能等のフィニッシング機能を有する。
【0042】
フィニッシャ111は、2つの排紙トレイ351,352を備える。フィニッシャ111によるフィニッシング処理が行われない場合には、フィニッシャ111へ搬送されてきたシートは、搬送路353を通じて排紙トレイ351へ排紙される。フィニッシャ111によってステイプル処理等のフィニッシング処理が行われる場合には、フィニッシャ111へ搬送されてきたシートは、搬送路354へ導かれる。フィニッシャ111は、搬送路354を搬送されるシートに対して、処理部355を用いて、ユーザによって指定されたフィニッシング処理を実行し、当該シートを排紙トレイ352へ排紙する。なお、排紙トレイ351,352は、それぞれ昇降可能に構成されている。フィニッシャ111は、排紙トレイ351を下降させることで、処理部355によるフィニッシング処理が行われたシートを排紙トレイ351へ積載するように動作することも可能である。
【0043】
ユーザによって中とじ製本処理が指定された場合には、フィニッシャ111は、中とじ処理部356を用いて、シートの中央にテイプル処理を行い、その後に当該シートを二つ折りにすることで、製本物を生成する。フィニッシャ111は、生成した製本物を、搬送路357を通じて製本トレイ358へ排出する。製本トレイ358は、製本トレイ358上に積載された製本物を装置の外部へ搬送するためのベルトコンベア構成を有している。
【0044】
以下、図4乃至図12を参照して、検品装置109によって実行される、基準画像の登録処理、及び画像が印刷されたシート(印刷シート)の検品処理についてより具体的に説明する。
【0045】
<基準画像の登録処理>
本実施形態の検品装置109は、画像が印刷されたシートを撮影部240により読み取り、得られた読取画像を用いて、検品処理における検査用の基準画像を予め登録する機能を有する。図4は、検品装置109によって実行される、基準画像の登録処理の手順を示すフローチャートである。図4の各ステップの処理は、検品装置109のCPU238によって実行される。この基準画像の登録処理は、搬送されるシートの画像を撮影部240により読み取って得られた画像に基づいて基準画像を生成する処理に相当する。
【0046】
S401で、CPU238は、基準画像の登録に用いられる画像のシートへの印刷に用いられる印刷設定を示す印刷設定情報を取得する。具体的には、CPU238は、通信ケーブル260を介して印刷装置107と通信することで、印刷装置107からそのような印刷設定情報を取得しうる。S401で取得される印刷設定情報には、例えば、1部当たりのシートの枚数、シートのサイズ、検品の対象となる面に関する設定を示す情報が含まれうる。
【0047】
次にS402で、CPU238は、シートの搬送方向における上流側の装置(印刷装置107及びインサータ108)から、検品装置109にシートが搬送されまで待機する。CPU238は、シートの搬送が検出されるとS403へ処理を進める。S403で、CPU238は、撮影部240によりシートの画像を読み取って読取画像を取得し、取得した読取画像をメモリ239に保存する。
【0048】
その後S404で、CPU238は、S401で取得した印刷設定情報が示す、設定された枚数のシートについて画像の読み取りが完了したか否かを判定する。CPU238は、設定された枚数のシートについて画像の読み取りが完了していない場合には、処理をS402に戻し、順に搬送されるシートの画像の読み取りを継続する。一方、CPU238は、設定された枚数のシートについて画像の読み取りが完了した場合には、S405へ処理を進める。
【0049】
S405で、CPU238は、図5に示す手順に従って、上述の処理で得られた読取画像を用いて基準画像を生成する生成処理を行う。この生成処理では、生成された基準画像と、印刷設定情報と、基準画像に関連する(後述する)設定情報とが、メモリ239に保存されることで、基準画像の登録が行われる。CPU238は、基準画像の生成処理が完了すると、本手順による処理を終了する。
【0050】
<基準画像の生成処理(S405)>
次に、図5図8乃至図10を参照して、基準画像を生成する際に検品装置109によって実行される処理について説明する。
【0051】
図5は、S405において検品装置109のCPU238によって実行される基準画像の生成処理の手順を示すフローチャートである。なお、本フローチャートでは、1枚のシートに対応する読取画像に対して行われる処理を記載しているが、1部当たりのシートの枚数が複数枚である場合には、シートごとに同様の処理が繰り返されることで、シートごとに基準画像が生成される。
【0052】
まずS501で、CPU238は、後述する図8に示す手順に従って、S403において撮影部240によって撮影された画像(読取画像)から紙頂点を抽出する処理を行う。本明細書において「紙頂点」とは、シートの四隅(4つの角)を示す。紙頂点の抽出処理が完了すると、CPU238は処理をS502へ進める。
【0053】
S502で、CPU238は、検品処理に用いられる基準画像を生成するために、S501で得られた紙頂点の位置を用いて、S403で得られた読取画像を変形する処理(画像変形)を行う。具体的には、CPU238は、S501で得られた紙頂点の位置と、S401で得られた印刷設定情報とに基づいて、基準画像の登録に使用されたシートの表面の形に合わせて読取画像を変形する処理(画像変形)を行う。なお、この処理では、読取画像の解像度を所定の解像度に変換する処理が行われてもよい。
【0054】
通常、シートの斜行又は搬送速度の変動の影響により、読取画像に含まれる、シートに相当する部分の画像の形状は歪んだ状態になっている。例えば、検品処理の対象となるシートのサイズがLTRで、読み取りの解像度が主走査方向において300dpi、副走査方向において300dpiである場合を想定する。この場合、シートの形は、主走査方向の長さをWR、副走査方向の長さをHRとすると、WR=11[インチ]×300=3300[ピクセル]、HR=8.5[インチ]×300=2550[ピクセル]の長方形となる。また、シートの形を4つの紙頂点の座標で表現する場合、当該4つの紙頂点の座標は(0,0)、(3299,0)、(0,2549)及び(3299,2549)と表される。
【0055】
S502において、CPU238は、読取画像から得られた4つの紙頂点の位置(座標)と、シートの形を示す4つの紙頂点の位置(座標)とが一致するように、読取画像を変形する。このような画像変形は、幾何変換とも称され、アフィン変換等の既知の方法を用いて実現可能である。CPU238は、読取画像の変形により得られた画像を、基準画像としてメモリ239に保存する。
【0056】
次にS503で、CPU238は、S502で得られた基準画像から特徴点を抽出する。抽出される特徴点は、後述する検品処理において基準画像との比較を行う際に行われる画像全体の位置合わせ用に適した、画像内の位置を示す。画像全体の位置合わせ用に適した特徴点として、画像内のコーナー特徴量が大きい点が考えられる。ここで、コーナー特徴とは、ある局所近傍で方向の異なる2つの際立ったエッジが存在するような特徴であり、コーナー特徴量は、このエッジ特徴の強度を表す量である。
【0057】
ただし、画像全体の位置合わせに用いられる複数の特徴点が画像内の一部分に偏っていると、それらの特徴点から離れた位置において位置合わせの誤差(位置ずれ)が大きくなりうる。このように、ある特徴点から離れた位置では位置ずれが大きくなるため、画像の位置合わせに用いられる複数の特徴点は、画像内で互いにある程度離れた位置に分散していることが望ましい。このため、CPU238は、基準画像から抽出される、上述のコーナー特徴量の大きい点のうちで、画像全体に分散した位置に存在するものを、特徴点として抽出する。なお、特徴点の抽出例については図10を用いて後述する。
【0058】
特徴点の抽出が完了すると、次にS504で、CPU238は、基準画像から抽出された特徴点の数が所定数以上であるか否かを判定することで、画像の位置合わせ用に十分な数の特徴点が抽出できているか否かを判定する。CPU238は、抽出された特徴点の数が所定数以上である(即ち、十分な数の特徴点を抽出できている)場合には、S504からS505へ処理を進める。
【0059】
一方、CPU238は、抽出された特徴点の数が所定数以上ではない(即ち、十分な数の特徴点を抽出できていない)場合には、S504からS506へ処理を進める。ここで、S506へ処理を進める場合とは、例えば、画像が印刷されていない白紙の状態にあるシート、又はコーナー特徴量が小さい点のみを有する絵柄のみが印刷されたシートを用いて、基準画像の登録が行われる場合である。このようなシートを読み取って得られる読取画像からは、画像の位置合わせ用に十分な数の特徴点を抽出することができない可能性がある。
【0060】
S505では、CPU238は、S503で基準画像から抽出した特徴点を、検品処理における画像の位置合わせ用の設定情報(位置合わせ情報)としてメモリ239に保存し、処理を終了する。一方、S506では、CPU238は、S501で得られた紙頂点を、検品処理における画像の位置合わせ用の設定情報(位置合わせ情報)としてメモリ239に保存し、処理を終了する。なお、CPU238は、S401で得られた印刷設定情報と関連付けて、生成した基準画像と位置合わせ情報とをメモリ239に保存する。
【0061】
このようにして、CPU238は、基準画像から抽出された特徴点の数に基づいて、画像の位置合わせに特徴点の位置を使用するか、紙頂点の位置を使用するかを判定する。具体的には、CPU238は、特徴点の数が所定数以上である場合には、画像の位置合わせにおいて特徴点の位置を使用すると判定し、特徴点の数が所定数未満である場合には、画像の位置合わせにおいて紙頂点の位置を使用すると判定する。この判定結果は、位置合わせ情報としてメモリ239に保存される。後述する画像の位置合わせ(S702~S705)では、CPU238は、当該定結果に従って、特徴点の位置又は紙頂点の位置を用いて基準画像に対する読取画像の位置合わせを行う。
【0062】
<紙頂点の抽出処理(S501,S701)>
図8は、基準画像の生成処理(図5:S501)及び後述する基準画像との比較処理(図7:S701)において実行される、読取画像から紙頂点を抽出する処理の手順を示すフローチャートである。また、図9は、紙頂点を抽出する処理の一例を示す図である。本実施形態では、撮影部240によって撮影される画像(読取画像)は、シート以外の部分である背景が暗く映り、シートの部分は明るく映る画像となる例を用いている。
【0063】
S801で、CPU238は、撮影部240によって得られた読取画像を、任意の閾値を用いて二値化する。図9(A)は、S801で二値化された画像を示しており、xは主走査方向、yは副走査方向をそれぞれ示している。
【0064】
次にS802で、CPU238は、S801で二値化された画像から、シートのエッジの位置を検出する。本実施形態では、シートは長方形であるので、用紙のエッジは長方形の4つの辺(上辺、下辺、左辺、及び右辺)に相当する。図9(B)は、二値化された画像における、シートの上辺付近を拡大して示している。CPU238は、シートの上辺に相当するエッジの位置を検出するために、図9(C)に示すように、主走査方向(x方向)において所定の間隔WEごとに、副走査方向(同図において上から下の方向)に、二値化された画像を走査する。CPU238は、この走査により、画素値の変化(背景部分に対応する値からシート部分に対応する値への変化)が生じる位置ETnを、エッジの位置として検出する。同様に、シートの下辺に相当するエッジの位置EBn、シートの左辺に相当するエッジの位置ELn、シートの右辺に相当するエッジの位置ERnが、それぞれ検出される。
【0065】
次にS803で、CPU238は、図9(D)に示すように、検出したエッジ位置についての近似直線を求める。具体的には、シートの上辺について、S802で得られた複数個のETnに対して最小二乗法を適用して近似直線TLを求める。同様に、CPU238は、シートの下辺、左辺及び右辺について、それぞれ近似直線BL、LL及びRLを求める。
【0066】
最後にS804で、CPU238は、S803で得られた4つの直線についての4つの交点の位置を、シートの紙頂点の位置として定め、処理を終了する。ここで、図9(E)は、S501において上述の手順により読取画像から抽出された紙頂点を用いて、S502において読取画像の変形を行うことで生成された画像(基準画像)の例を示している。
【0067】
なお、本実施形態で説明した紙頂点の抽出処理は一例である。例えば、撮影部240の読取条件(例えば、背景が白色で明るく映る画像が撮影される)及び使用されるシートの特性(例えば、黒色若しくは透明のシート、又は長方形以外の形のシート)等に合わせて抽出処理が行われる必要がある。
【0068】
<特徴点の抽出例(S503)>
図10は、生成された基準画像からの特徴点の抽出(S503)の例を示す図である。図10(A)は、撮影部240によって得られた読取画像を示しており、図10(B)は、紙頂点を用いて読取画像の変形を行って得られた画像(基準画像)を示している。S503に関連して上述したように、画像全体の位置合わせ用に適した特徴点として、画像内のコーナー特徴量が大きい点が考えられる。コーナー特徴量を検出する方法の1つとして、例えばHarrisコーナー検出法が知られている。Harrisコーナー検出法では、主走査方向の微分画像及び副走査方向の微分画像から、コーナー特徴量画像を求める。このコーナー特徴量画像は、コーナー特徴を構成する2つのエッジのうち、弱い方のエッジ量を表現した画像となっている。コーナー特徴は、2つのエッジのどちらも強いエッジであるはずなのに、相対的に弱い方のエッジであっても、強いエッジ量を持っているかどうかでコーナー特徴量の大きさを表現している。
【0069】
図10(C)は、図10(B)に示す画像に対して、Harrisコーナー検出法を適用して得られた画像であり、当該画像において、所定の値より大きい特徴量を有する画素が白で表現されている。図10(C)の画像では、コーナー特徴量が比較的大きい点が、画像内で複数存在している。本実施形態では、例えば、コーナー特徴量が大きい順に、画像全体に分散した位置に存在する所定数(本例では6個)の特徴点が、位置合わせ用の特徴点として抽出される。図10(C)では、このように抽出された6個の特徴点が白い点線の円で示されている。
【0070】
図10(D)は、図10(C)に示すように抽出された所定数(本例では6個)の特徴点のうちの1つの特徴点の位置を中心とした、近傍の33画素の画像を拡大して示している。後述する検品処理では、処理対象の読取画像に対して、特徴点に相当する位置の近傍において、図10(D)に示すような画像と一致する部分を探索することにより、処理対象の読取画像に含まれる特徴点の位置(座標)が取得される。
【0071】
<印刷シートの検品処理>
次に、図6図7図11及び図12を参照して、印刷シートの検品処理を行う際に検品装置109によって実行される処理について説明する。
【0072】
図6は、検品装置109によって実行される、印刷シートの検品処理の手順を示すフローチャートである。図6の各ステップの処理は、検品装置109のCPU238によって実行される。本例では、印刷設定として、大容量スタッカ110を印刷シートの排紙先とする設定(即ち、大容量スタッカ110のスタックトレイ341を排紙先とする設定)が予め行われている。
【0073】
S601で、CPU238は、メモリ239に保存されている設定情報を取得し、処理をS602へ進める。取得される設定情報には、印刷設定情報及び位置合わせ情報が含まれる。S602で、CPU238は、検品終了指示を受信したか否かを判定する。検品終了指示は、例えば、操作部242を介してユーザから受け付けられ、その場合には操作部242から当該指示が受信される。CPU238は、検品終了指示を受信した場合には、図6の手順による検品処理を終了し、検品終了指示を受信していない場合には、S604へ処理を進める。
【0074】
S603で、CPU238は、シートの搬送方向における上流側の装置(印刷装置107及びインサータ108)から検品装置109にシートが搬送されたか否かを判定する。CPU238は、シートが搬送されていない場合にはS602へ処理を戻し、シートが搬送された場合にはS604へ処理を進める。S604で、CPU238は、撮影部240により検査対象のシートの画像を読み取って読取画像を取得し、取得した読取画像をメモリ239に保存し、S605へ処理を進める。
【0075】
S605で、CPU238は、後述する図7に示す手順に従って、S604で得られた(即ち、シートに印刷された画像を読み取って得られた)読取画像と基準画像とを比較する処理を行う。ここで使用される基準画像は、基準画像の登録処理(図4)により登録(生成)された画像であり、メモリ239に保存された状態にある。画像の比較処理が完了すると、次にS606で、CPU238は、比較処理における基準画像との比較の結果、印刷された画像が正常であるか否かを判定する(即ち、正常な画像がシートに印刷されているか否かを判定する)。
【0076】
CPU238は、印刷された画像が正常である場合には、S606からS607へ処理を進め、印刷された画像が正常であることを示す検品結果を、検品装置109の表示部241に表示する。更にCPU238は、S608で、印刷装置107に対して、印刷シートを大容量スタッカ110のスタックトレイ341に排紙するよう指示し、S602へ処理を戻す。この場合、印刷装置107は、検品装置109からの指示に基づいて、大容量スタッカ110に対して、搬送される印刷シートをスタックトレイ341に排紙するよう指示する。
【0077】
一方、CPU238は、印刷された画像が正常ではない(画像に異常がある)場合には、S606からS609へ処理を進め、印刷された画像が正常ではないことを示す検品結果を、検品装置109の表示部241に表示する。更にCPU238は、S610で、印刷装置107に対して、印刷シートを大容量スタッカ110のエスケープトレイ346に排紙するよう指示し、S602へ処理を戻す。この場合、印刷装置107は、検品装置109からの指示に基づいて、大容量スタッカ110に対して、搬送される印刷シートをエスケープトレイ346に排紙するよう指示する。
【0078】
S602に処理を戻すと、CPU238は、S602~S610の処理を継続する。CPU238は、検品終了指示を受信すると、図6の手順による検品処理を終了する。
【0079】
<画像の比較処理(S605)>
図7は、S605において検品装置109のCPU238によって実行される画像の比較処理の手順を示すフローチャートである。
【0080】
S701で、CPU238は、S604において撮影部240によって撮影された画像(読取画像)から紙頂点を抽出する処理を行う。S701における紙頂点の抽出処理は、上述した図8に示す手順に従って、S501と同様に実行される。紙頂点の抽出処理が完了すると、CPU238は処理をS702へ進める。
【0081】
S702で、CPU238は、読取画像と基準画像との位置合わせに特徴点を使用するか否かを判定する。具体的には、読取画像に対して使用される基準画像に関連する位置合わせ情報に、特徴点が用いられている場合には、読取画像と基準画像との位置合わせに特徴点が使用されると判定される。上述のように、基準画像から抽出された特徴点の数が所定数以上である場合(S504で「YES」)、抽出された特徴点が、当該基準画像に関連する位置合わせ情報としてメモリ239に保存されている。一方、基準画像から抽出された特徴点の数が所定数以上ではない場合(S504で「NO」)、紙頂点が、当該基準画像に関連する位置合わせ情報としてメモリ239に保存されている。
【0082】
CPU238は、読取画像と基準画像との位置合わせに特徴点を使用すると判定した場合、S702からS703へ処理を進める。S703で、CPU238は、S604で得られた読取画像における、位置合わせ情報が示す特徴点の位置を取得する。具体的には、図10(D)を用いて上述したように、CPU238は、S701で読取画像から抽出された紙頂点を基準として用いて、読取画像に対して、基準画像における特徴点の位置(座標)の近傍の画像と一致する部分を探索する。これにより、読取画像における特徴点の位置が取得される。
【0083】
S703の処理が完了すると、次にS704で、CPU238は、S703で得られた、読取画像における特徴点の位置(座標)と、基準画像における特徴点の位置(座標)とが一致するように、読取画像を変形する処理(画像変形)を行う。なお、この処理では、読取画像の解像度を所定の解像度に変換する処理が行われてもよい。このような画像変形は、幾何変換とも称され、アフィン変換等の既知の方法を用いて実現可能である。アフィン変換では、変形の基準となる画像(本実施形態では基準画像)と変形対象となる画像(本実施形態では読取画像)との間で一致させるべき部分の座標から、変換処理に必要な係数を求めることが可能である。このような画像変形により、基準画像に対する読取画像の位置合わせが実現される。
【0084】
一方、CPU238は、読取画像と基準画像との位置合わせに特徴点を使用しないと判定した場合、S702からS705へ処理を進める。S705で、CPU238は、S701で読取画像から抽出された紙頂点の位置(座標)と、基準画像における紙頂点の位置(座標)とが一致するように、読取画像を変形する処理(画像変形)を行う。なお、この処理では、読取画像の解像度を所定の解像度に変換する処理が行われてもよい。
【0085】
このように、S702~S705では、CPU238は、メモリ239に保存された設定情報(位置合わせ情報)に従って、特徴点の位置又は紙頂点の位置を使用して基準画像に対する読取画像の位置合わせを行う。
【0086】
S704又はS705における読取画像の変形により、基準画像に対する読取画像の位置合わせが実現される。S704又はS705における読取画像の変形が完了すると、CPU238は、処理をS706へ進める。S706で、CPU238は、S704又はS705における変形後の画像と基準画像との比較を行い、本手順による比較処理を終了する。
【0087】
ここで、図11は、S704又はS705において行われる画像変形(画像の位置合わせ)の例を示す図である。図11(A)~(C)は、画像の位置合わせ用に十分な数の特徴点が基準画像から抽出できている場合における、基準画像、S604で得られる読取画像、及び読取画像を変形して得られた画像をそれぞれ示している。なお、図11(A)及び(B)では、基準画像及び読取画像における特徴点が点線の円で示されている。本例では、図11(A)に示す基準画像における(点線の円で示される)特徴点の位置と、図11(B)における読取画像における(点線の円で示される)特徴点の位置とが一致するように、読取画像の変形が行われている。その結果、図11(C)に示す画像が得られている。この場合、S706では、図11(A)に示す基準画像と、図11(C)に示す画像との比較が行われることにより、シートに印刷された画像の検査が行われる。
【0088】
図11(D)~(F)は、画像の位置合わせ用に十分な数の特徴点が基準画像から抽出できていない場合における、基準画像、S604で得られる読取画像、及び読取画像を変形して得られた画像をそれぞれ示している。図11(D)に示すように、本例では、基準画像として白紙(画像が印刷されていない状態)に対応する画像が使用されている。なお、図11(D)及び(E)では、基準画像及び読取画像における紙頂点が点線の円で示されている。本例では、図11(D)に示す基準画像における(点線の円で示される)紙頂点の位置と、図11(E)における読取画像における(点線の円で示される)紙頂点の位置とが一致するように、読取画像の変形が行われている。その結果、図11(F)に示す画像が得られている。この場合、S706では、図11(D)に示す基準画像と、図11(F)に示す画像との比較が行われることにより、シートに印刷された画像の検査が行われる。
【0089】
<検品結果の表示例>
図12は、検品装置109の表示部241に表示される、検品結果を示す操作画面の例を示す図であり、S609において表示される、シートに印刷された画像に異常があると判定された場合に表示される操作画面の例を示している。表示領域1201には、検品装置109において撮影部240により最後に得られた読取画像を、基準画像との位置合わせのために変形して得られた画像が表示されている。表示領域1202には、検品結果を示す情報(印刷された画像に異常があるとの判定結果とその要因及び当該要因が生じた位置)が表示されている。ボタン1203は、検品処理の終了を指示するために用いられる。また、ボタン1204は、印刷ジョブ全体の検品結果をユーザが確認するための画面の表示を指示するために用いられる。本例では、(表示領域1201に表示された)読取画像を変形して得られた画像を基準画像(図11(D))と比較した結果、変形後の画像において黒ポチ1205が検出されたことにより、印刷された画像に異常があると判定されたことが示されている。
【0090】
なお、本実施形態では、印刷装置107から検品装置109へ搬送されたシートの画像を読み取って基準画像を生成しているが(図4)、ラスタライズされた印刷データを用いて基準画像が生成されてもよい。この場合、検品装置109は、搬送されるシートの画像の印刷に用いられた印刷データを印刷装置107から取得し、取得した印刷データに基づいて基準画像を生成する。なお、検品装置109は、基準画像の生成処理(図5)のS501及びS502において、印刷データに基づいて用紙に画像が印刷される際に生じる余白幅から、シートの紙頂点の位置を算出してもよい。
【0091】
以上説明したように、本実施形態の検品装置109は、シートの検査用の基準画像を取得し、基準画像に対する画像の位置合わせに使用するための特徴点を、当該基準画像から抽出する。検品装置109は、基準画像に対して、撮影部240により検査対象のシートの画像を読み取って得られた読取画像の位置合わせを行い、位置合わせが行われた読取画像と基準画像とを比較することで、当該シートについての検査を行う。検品装置109は、画像の位置合わせにおいて、基準画像から抽出された特徴点の数に基づいて、位置合わせに特徴点の位置を使用するか、又はシートの角を示す紙頂点の位置を使用する。
【0092】
このように、本実施形態では、取得された基準画像から抽出された特徴点の数に基づいて、当該特徴点の位置を使用して、基準画像に対する読取画像の位置合わせを行うか、又は、紙頂点の位置を使用して当該位置合わせを行う。例えば、特徴点の数が所定数以上であれば、特徴点の位置を使用して画像の位置合わせを行い、特徴点の数が所定数未満でれば、紙頂点の位置を使用して画像の位置合わせを行う。即ち、シートに印刷された画像から抽出される特徴点が少なく、画像の位置合わせに十分な数の特徴点を使用できない場合には、紙頂点の位置を使用して画像の位置合わせを行う。これにより、特徴点の少ない画像が印刷された印刷シートの検査を行う際でも、検査用の基準画像と印刷シートの読取画像との位置合わせを行うことが可能になる。したがって、印刷シートの検査のために基準画像と読取画像との比較(即ち、印刷シートの検品処理)を行うことが可能になる。例えば、基準画像が白紙に対応する画像である場合でも、シートの検品処理において異常個所を検出することが可能になる。
【0093】
[第2実施形態]
第1実施形態では、基準画像内の特徴点の数に基づいて、画像の位置合わせ用に特徴点を用いるか紙頂点を用いるかを決定する例を説明した。第2実施形態では、所定の条件下で、画像の位置合わせ用に特徴点と紙頂点との両方を用いる例について説明する。以下では、第1実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0094】
<基準画像の生成処理(S405)>
本実施形態では、第1実施形態と同様、図4に示す手順に従って基準画像の登録処理が検品装置109によって実行されるが、S405では、図13に示す手順に従って、S403で得られた読取画像を用いて基準画像を生成する処理が実行される。図13は、本実施形態に係る基準画像の生成処理の手順を示すフローチャートである。なお、図4及び図13の各ステップの処理は、検品装置109のCPU238によって実行される。
【0095】
S501~S503は、第1実施形態で同様である。本実施形態では、CPU238は、S503の処理が完了すると、S1301へ処理を進める。
【0096】
S1301で、CPU238は、S503で基準画像から抽出された特徴点の数Nを、第1閾値Th1及び第2閾値Th2と比較する。CPU238は、当該比較の結果、抽出された特徴点の数Nが第1閾値以上(Th1以上)である場合(N≧Th1)、S505へ処理を進める。これは、画像の位置合わせ用に十分な数の特徴点が抽出できている場合に相当する。また、CPU238は、抽出された特徴点の数Nが第2閾値未満(Th2未満)である場合(N<Th2)、S506へ処理を進める。これは、画像の位置合わせ用に十分な数の特徴点が抽出できていない場合に相当する。S505又はS506では、第1実施形態と同様の処理が行われる。
【0097】
S1301において、CPU238は、抽出された特徴点の数Nが、第2閾値以上(Th2以上)であり、かつ、第1閾値未満(Th1未満)である場合(Th2≦N<Th1)、S1302へ処理を進める。これは例えば、図15(A)に一例として示すように、シートの隅の領域にページ番号が印刷されており、それ以外の領域にはコーナー特徴量が大きい点が存在しない状態にあるシートを用いて、基準画像の登録が行われる場合である。
【0098】
また、図15(B)は、図15(A)に示す基準画像から、S503において特徴点を抽出した画像の例を示している。図15(B)に示す画像は、(同図において点線の円で示される)シートの隅の領域に特徴量の大きい点が偏っている状態を示している。CPU238が、S503において、このような特徴量の大きい点のいずれかを特徴点として抽出した場合、それ以外の特徴量の大きい点は非常に近い位置にあるため、特徴として抽出しないことになる。この場合、基準画像から特徴点が抽出されても、特徴点に基づいて基準画像に対して処理対象の読取画像の位置合わせを行うことは難しくなりうる。
【0099】
本実施形態では、S1302で、CPU238は、S503で抽出された特徴点と、画像内でそのような特徴点から比較的遠い位置に存在する紙頂点とを、検品処理における画像の位置合わせ用の設定情報(位置合わせ情報)としてメモリ239に保存する。なお、CPU238は、S401で得られた印刷設定情報と関連付けて、生成した基準画像と位置合わせ情報とをメモリ239に保存する。
【0100】
<画像の比較処理(S605)>
本実施形態では、第1実施形態と同様、図6に示す手順に従って印刷シートの検品処理が検品装置109によって実行される。ただし、S605では、図14に示す手順に従って、S604で得られた(即ち、シートに印刷された画像を読み取って得られた)読取画像と基準画像とを比較する処理が実行される。図14は、本実施形態に係る画像の比較処理の手順を示すフローチャートである。なお、図6及び図14の各ステップの処理は、検品装置109のCPU238によって実行される。
【0101】
S701~S703及びS705は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、CPU238は、S703の処理が完了すると、S1401へ処理を進める。
【0102】
S1401で、CPU238は、読取画像と基準画像との位置合わせに、特徴点と紙頂点との両方を使用するか否かを判定する。具体的には、CPU238は、読取画像に対して使用される基準画像に関連する位置合わせ情報に、特徴点と紙頂点とが組み合わせて用いられている場合には、S1402へ処理を進める。一方、CPU238は、読取画像に対して使用される基準画像に関連する位置合わせ情報に、特徴点のみが使用されている場合には、S704へ処理を進める。S704では、第1実施形態と同様の処理が行われる。
【0103】
S1402で、CPU238は、S703で得られた、読取画像における特徴点及び紙頂点の位置(座標)と、基準画像における特徴点及び紙頂点の位置(座標)とが一致するように、読取画像を変形する処理(画像変形)を行う。なお、この処理では、読取画像の解像度を所定の解像度に変換する処理が行われてもよい。
【0104】
S704、S705又はS1402の処理が完了すると、CPU238は、S706で、S704、S705又はS1402における変形後の画像と基準画像との比較を第1実施形態と同様に行い、本手順による比較処理を終了する。
【0105】
ここで、図16(A)は、S1401において、読取画像と基準画像との位置合わせに、特徴点と紙頂点との両方を使用すると判定される基準画像の一例を示しており、図15)と同様の画像である。図16(B)は、検品処理においてS604で得られる読取画像の一例を示している。図16(A)及び図16(B)では、位置合わせ情報用に使用される特徴点及び紙頂点が、点線の円で示されている。
【0106】
図16(C)は、S1402における変形(画像の位置合わせ)が行われた画像を示している。本実施形態では、図16(A)及び図16(B)に示す紙頂点及び特徴点の位置を基準として用いて、読取画像と基準画像との位置合わせが行われている。CPU238は、S706において、図16(A)に示す画像と図16(C)に示す画像との比較を行う。
【0107】
以上説明したように、本実施形態によれば、必要に応じて、所定の条件下で画像の位置合わせ用に特徴点と紙頂点との両方を使用することで、検査用の基準画像と印刷シートの読取画像との位置合わせをより精度良く行うことが可能になる。したがって、印刷シートの検査のために基準画像と読取画像との比較をより適切に行うことが可能になる。
【0108】
[その他の実施形態]
第1実施形態では、検品装置109における各種設定及び指示は、検品装置109の表示部241及び操作部242を用いて行われているが、これに限られない。例えば、検品処理の実行指示若しくは終了指示、又は印刷指示は、外部コントローラ102、印刷装置107、検品装置109、及びクライアントPC103のいずれかにおけるユーザの操作に従って、検品装置109に対して行われてもよい。例えば、印刷装置107のディスプレイ225及び操作部224を用いて、検品装置109に対する各種設定及び指示をユーザが行うことが可能な構成が採用されてもよい。
【0109】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0110】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0111】
101:印刷システム、102:外部コントローラ、107:印刷装置、108:インサータ、109:検品装置、110:大容量スタッカ、111:フィニッシャ、238:CPU、240:撮影部、241:表示部
図1
図2
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図16