(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】繊維樹脂材料の加熱方法並びに複合材料の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 70/88 20060101AFI20240626BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20240626BHJP
B29C 70/50 20060101ALI20240626BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20240626BHJP
【FI】
B29C70/88
B29C70/16
B29C70/50
B29K105:08
(21)【出願番号】P 2020059232
(22)【出願日】2020-03-28
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】荒金 陽介
(72)【発明者】
【氏名】郷家 正義
(72)【発明者】
【氏名】古屋 光啓
(72)【発明者】
【氏名】木村 公
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特表昭61-501259(JP,A)
【文献】特開平1-115935(JP,A)
【文献】特開昭49-81472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/88
B29C 70/16
B29C 70/50
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電繊維を含む繊維束と樹脂とからなる連続状の繊維樹脂材料
に対して前記繊維樹脂材料の繊維方向に沿って異なる電流値の電流を通電
して前記繊維樹脂材料を加熱する加熱方法において、
前記繊維樹脂材料に当接すると共に当接部分が導電性を有する回転ローラを、前記繊維方向に沿って間隔をおいて3個備え、
前記3個のローラは、前記繊維方向の中間に位置する中間ローラの中心から前記繊維方向の上流側に位置する上流ローラと前記繊維方向の下流側に位置する下流ローラとを結ぶ仮想線に下した垂線の足が前記上流ローラの中心と前記下流ローラの中心との間にあると共に、前記中間ローラの中心が前記仮想線よりも前記繊維樹脂材料側に突出する状態に配され、
前記繊維樹脂材料が前記3個の回転ローラに巻き付く巻付け角が、20~70度の範囲内にあり、
前記3個の回転ローラに電圧が印加されて、前記中間ローラと前記上流ローラとの間、前記中間ローラと前記下流ローラとの間に電流を通電する
加熱方法。
【請求項2】
前記
3個の回転ローラと前記繊維樹脂材料との当接長さは、
前記繊維方向に沿って5~40mmの範囲内にある
請求項1に記載の加熱方法。
【請求項3】
前記中間ローラと前記上流ローラとの間、前記中間ローラと前記下流ローラとの間には、前記中間ローラに電流が向かうように通電される
請求項1又は2に記載の加熱方法。
【請求項4】
導電繊維を含む繊維束と樹脂とからなる連続状の繊維樹脂材料を加熱して複合材料を製造する複合材料の製造方法において、
前記繊維樹脂材料の加熱は、請求項1~
3の何れか1項に記載の加熱方法を用いる
製造方法。
【請求項5】
導電繊維を含む繊維束と樹脂とからなる連続状の繊維樹脂材料を加熱して複合材料を製造する複合材料の製造装置において、
前記繊維樹脂材料と当接し且つ前記繊維方向に沿って間隔をおいて配された
回転ローラであって前記繊維樹脂材料との当接部分に導電性を有する
3個の回転ローラと、
前記繊維方向に隣接する前記
3個の回転ローラ間に異なる電流値の電流を通電させる通電部と
を備え
、
前記3個のローラは、前記繊維方向の中間に位置する中間ローラの中心から前記繊維方向の上流側に位置する上流ローラと前記繊維方向の下流側に位置する下流ローラとを結ぶ仮想線に下した垂線の足が前記上流ローラの中心と前記下流ローラの中心との間にあると共に、前記中間ローラの中心が前記仮想線よりも前記繊維樹脂材料側に突出する状態に配され、
前記繊維樹脂材料が前記3個の回転ローラに巻き付く巻付け角が、20~70度の範囲内にあり、
前記通電部は、前記3個の回転ローラに電圧を印加して、前記中間ローラと前記上流ローラとの間、前記中間ローラと前記下流ローラとの間に電流を通電する
製造装置。
【請求項6】
導電繊維を含む繊維束と樹脂とからなる連続状の繊維樹脂材料を加熱して複合材料を製造する複合材料の製造装置において、
前記製造装置は、ロボットアームと、前記ロボットアームの先端に取り付けられた成形ユニットとを備え、
前記ロボットアームは、3次元的に移動可能であり、
前記成形ユニットは、供給される前記繊維樹脂材料を被積層体の積層領域に積層しながら加熱し、
前記成形ユニットは、
前記繊維樹脂材料と当接し且つ前記繊維方向に沿って間隔をおいて配された
3個の回転ローラと、
前記繊維方向に隣接する
前記3個の回転ローラに電圧を印加して前記回転ローラ間に異なる電流値の電流を通電させる通電部と
を備え、
前記回転ローラは、前記繊維樹脂材料に当接する部分に導電性を有し、
前記3個の回転ローラは、前記繊維樹脂材料が供給される側に位置する上流ローラと、前記上流ローラの下流側に隣接して位置する中間ローラと、前記中間ローラの下流側に隣接して位置する下流ローラであり、
前記成形ユニットは、更に、前記中間ローラと前記下流ローラとを前記積層領域側に個別に押圧する押圧手段を備える
製造装置。
【請求項7】
前記
回転ローラと前記繊維樹脂材料との当接長さは、
前記繊維方向に沿って5~40mmの範囲内にある
請求項5
又は6に記載の製造装置。
【請求項8】
前記通電部は、前記中間ローラと前記上流ローラとの間、前記中間ローラと前記下流ローラとの間には、前記中間ローラに電流が向かうように通電する
請求項5
~7の何れか1項に記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続状の導電繊維束を含む繊維束と樹脂とからなる繊維樹脂材料の加熱方法、複合材料の製造方法及び複合材料の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料の製造方法として、樹脂が供給されている炭素繊維束に電流を流して、そのジュール熱の発熱により樹脂を加熱する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-173232号公報(
図4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、繊維樹脂材料の温度管理が難しいという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、導電繊維束に電流を流して樹脂を加熱する場合に、繊維樹脂材料の温度管理が容易な加熱方法並びに当該加熱方法を用いた複合材料の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る加熱方法は、導電繊維を含む繊維束と樹脂とからなる連続状の繊維樹脂材料の加熱方法において、前記繊維樹脂材料の繊維方向に沿って異なる電流値の電流を通電する。
本発明に係る製造方法は、導電繊維を含む繊維束と樹脂とからなる連続状の繊維樹脂材料を加熱して複合材料を製造する複合材料の製造方法において、前記繊維樹脂材料の加熱は、上記の加熱方法を用いる。
本発明に係る製造装置は、導電繊維を含む繊維束と樹脂とからなる連続状の繊維樹脂材料を加熱して複合材料を製造する複合材料の製造装置において、前記繊維樹脂材料と当接し且つ前記繊維方向に沿って間隔をおいて配された3個以上の導電性を有する当接部と、前記繊維方向に隣接する当接部間に異なる電流値の電流を通電させる通電部とを備える製造装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、導電繊維束の繊維方向に沿って異なる電流値の電流を通電させるため、繊維樹脂材料の温度管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る製造装置を説明するための概略図である。
【
図2】第2実施形態に係る製造装置の要部を説明するための概略図である。
【
図3】第3実施形態に係る製造装置の要部を説明するための概略図である。
【
図4】変形例に係る製造装置の要部を説明するための概略図である。
【0008】
<概要>
1.繊維樹脂材料
繊維樹脂材料は、導電繊維束を含む繊維束と樹脂とから構成される。
樹脂が熱硬化性樹脂の場合、繊維樹脂材料は、導電繊維束を含む繊維束と硬化前の樹脂とから構成される。繊維樹脂材料に熱エネルギを付与することで、樹脂が硬化して複合材料となる。
樹脂が熱可塑化性樹脂の場合、繊維樹脂材料は、導電繊維束を含む繊維束と固化状態又は溶融状態の樹脂とから構成される。固化状態において、繊維樹脂材料に熱エネルギを付与することで樹脂が溶融して導電繊維束と含浸し、その後樹脂が固化して複合材料となる。溶融状態において、繊維樹脂材料に熱エネルギを付与することで樹脂が導電繊維束と含浸し、その後樹脂が固化して複合材料となる。
なお、複合材料(コンポジット)は成形物とも呼ばれる。
【0009】
(1)繊維
繊維束は、複合材料を構成するマトリクスとしての樹脂が付着していない連続状の複数本の繊維からなる。繊維束は、繊維樹脂材料とした際に通電可能であればよく、すべてを導電繊維で構成してもよいし、導電繊維と非導電繊維とで構成してもよい。導電繊維の例としては、炭素繊維、金属繊維等があり、非導電繊維としてはガラス繊維、アラミド繊維等がある。また、導電繊維は、金属被覆された非導電繊維であってもよい。
【0010】
(2)樹脂
(2-1)熱硬化性樹脂
繊維樹脂材料を構成する樹脂は硬化前の樹脂である。熱硬化性樹脂は、熱エネルギを付与することで硬化するタイプの樹脂である。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンズオキサゾン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、これらの樹脂の混合物等である。また、樹脂は、熱可塑性樹脂などの変性剤、難燃剤や無機系充填剤、内部離型剤等を含んだものであってもよい。
【0011】
(2-2)熱可塑性樹脂
繊維樹脂材料を構成する樹脂は、最終の固化前の樹脂である。熱可塑性樹脂は、熱エネルギを付与することで溶融するタイプの樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、及びその共重合体やブレンド物であるポリオレフィン系樹脂、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド12等の脂肪族ポリアミド系樹脂、酸成分として芳香族成分を有する半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)やポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等)、ポリ乳酸系などの脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリスルフォン樹脂(PSu)ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)などがある。本発明においては、これらの樹脂の混合物を使用することもできる。
なお、樹脂は、溶融状態で導電繊維束に供給されてもよいし、フィルム状で供給されてもよい。
【0012】
2.複合材料
複合材料は、最終製品の形状又は最終製品に近い形状を有し、樹脂が硬化したものをいう。複合材料は、繊維樹脂材料を硬化又は固化させたもののみから構成されてもよいし、繊維樹脂材料と異なる他部材に繊維樹脂材料を配して当該繊維樹脂材料を硬化又は固化させた、所謂、一体成形物で構成されてもよい。他部材としては、例えば、金属、木材、硬化前の樹脂を含んだ繊維樹脂材料でない他の繊維樹脂材料から成形された複合材料等がある。
【0013】
3.加熱方法
(1)加熱方法は、走行する繊維樹脂材料に対して繊維方向に沿って異なる電流値の電流を通電する。換言すると、加熱方法は、繊維樹脂材料における繊維方向沿った複数領域に対して、電流値の異なる電流を通電させる。これにより、繊維樹脂材料に含まれる導電繊維束が加熱し、繊維樹脂材料に含まれる樹脂が繊維方向に沿って異なる温度で加熱される。つまり、繊維樹脂材用の複数領域での温度管理が容易となる。
電流値は繊維方向の下流側の方が高くなるようにしてもよい。
これにより、熱硬化性樹脂の場合、上流側での加熱温度が下流側よりも低くでき、例えば、加熱温度の低い領域では樹脂の含浸が可能となり、加熱温度の高い領域では樹脂の硬化促進が可能となる。このように、繊維樹脂材料は複数の領域で異なる温度で加熱されることとなり、良好な複合材料が得られる。また、熱可塑性樹脂の場合、上流側での加熱温度が下流側よりも低くでき、例えば、加熱温度の低い領域では樹脂の溶融(軟化)が可能となり、加熱温度の高い領域では粘度が下がった樹脂の含浸促進が可能となる。このように、繊維樹脂材料は複数の領域で異なる温度で加熱されることとなり、良好な複合材料が得られる。
また、電流値は繊維方向の下流側の方が低くなるようにしてもよい。
これにより、熱硬化性樹脂の場合、上流側での加熱温度が下流側よりも高くでき、例えば、加熱温度の高い領域では樹脂の含浸と硬化促進が可能となり、加熱温度の低い領域では樹脂硬化が可能となる。このように、繊維樹脂材料は複数の領域で異なる温度で加熱されることとなり、良好な複合材料が得られる。
また、熱可塑性樹脂の場合、上流側での加熱温度が下流側よりも高くでき、例えば、加熱温度の高い領域では樹脂の溶融と含浸が可能となり、加熱温度の低い領域では熱残留応力を緩和しながら樹脂の固化促進が可能となる。このように、繊維樹脂材料は複数の領域で異なる温度で加熱されることとなり、良好な複合材料が得られる。
【0014】
(2)加熱方法は、繊維樹脂材料に当接すると共に当接部分が導電性を有する当接部材を利用している。当接部材は、繊維方向に沿って間隔をおいて3個以上配され、繊維方向に隣接する2個の当接部材間に所定の電圧が印加される。これにより、2種類以上の異なる電流値の電流を繊維樹脂材料の導電繊維束に通電できる。
当接部材又は当接部分は、繊維樹脂材料に対して固定式であってもよいし、移動式であってもよい。
固定式の例としては金属バー等の棒状体、繊維方向に沿った平坦面(曲面を含む)を有する部材等がある。この場合、当接部分は曲面である方が好ましい。移動式の例としては、回転ローラ、導電性のベルトコンベア等がある。なお、回転ローラの例として、駆動ローラ、フリーローラ、ニップローラ、ダンサーローラ等がある。
3個以上の当接部材は、固定式のみであってもよいし、回転式のみであってもよいし、固定式と回転式との混合であってもよい。なお、当接部材として回転ローラを用いることで、繊維樹脂材料を走行させる駆動力を小さくできる。
【0015】
(3)当接部分は、繊維樹脂材料に対してその走行方向に5~40mmの範囲内が好ましく、10~35mmの範囲内で当接(接触)するのがより好ましい。これにより導電繊維に電流を安定して流すことができる。また、当接部分と接触する繊維樹脂材料の過度な温度上昇を防止できる。なお、当接部分と繊維樹脂材料とが走行方向(繊維方向)に接触する長さを接触長さとする。
【0016】
(4)当接部材として回転ローラを使用し、繊維方向に沿って3個以上を配する場合、繊維方向の中間に位置する中間ローラを、中間ローラの上流側に位置する上流ローラと、中間ローラの下流側に位置する下流ローラとを結ぶ仮想線よりも繊維樹脂材料側に配し、中間ローラと繊維樹脂材料との接触長さを上記の範囲とすることが好ましい。
換言すると、上記範囲の接触長さにするには、繊維樹脂材料が中間ローラに巻き付く巻付け角を20~70度の範囲内にするのが好ましく、30~60度の範囲内にするのがより好ましい。これにより、繊維樹脂材料に安定して電流を流すことができる。また、中間ローラと接触する繊維樹脂材料の過度な温度上昇を防止できる。
なお、巻付け角は、繊維樹脂材料を幅方向から見たときに、中間ローラに接触する繊維樹脂材料において、上流ローラ側の接点(上流端)と、下流ローラ側の接点(下流端)と、中間ローラの回転軸(中心)との間の角度である。換言すると、上流端と回転軸とを結ぶ上流側仮想線と、下流端と回転軸とを結ぶ下流側仮想線との間の角度である。
【0017】
また、中間ローラ以外の他のローラと繊維樹脂材料との接触長さも5~40mmの範囲内が好ましく、10~35mmの範囲にするのがより好ましい。同様に、中間ローラ以外の他のローラへの繊維樹脂材料の巻付け角も、中間ローラと同様に、20~70度の範囲内にあるのが好ましく、30~60度の範囲内にあるのがより好ましい。
なお、回転ローラに変えて、少なくとも接触部分の断面が円弧状をする金属バーを利用してもよい。
回転ローラや金属バーを利用する場合、直径は20~100mmの範囲が好ましく、20~70mmの範囲がより好ましい。回転ローラや金属バーを利用する場合、直径が大きくなると、巻付け角が小さくなる傾向にあり、直径と巻付け角を適宜決定してもよい。また、回転ローラや金属バーと繊維樹脂材料との接触長さが5~40mmの範囲内が好ましく、10~35mmの範囲内がより好ましく、このような範囲になるように直径と巻付け角を決定してもよい。
接触長さの観点からは、回転ローラや金属バーに限定する必要はなく、繊維樹脂材料と上記範囲の長さで接触する当接部材でもよい。
【0018】
4.製造方法
複合材料を繊維樹脂材料から製造する製造方法は、繊維樹脂材料の繊維方向に沿って、上流側領域で第1電流値の電流を通電させ、下流側領域で第2電流値の電流を通電させる。これにより、繊維樹脂材料における2以上の領域で異なる電流が流れ、繊維樹脂材料の繊維方向の複数の領域での温度管理が容易となる。
なお、製造方法の特徴部分は、繊維樹脂材料を加熱して成形物を成形する成形方法の特徴部分としても適用できる。
第1電流値は第2電流値よりも小さい。温度に着目すると、上流側領域の繊維樹脂材料の温度の方が下流側領域の繊維樹脂材料の温度よりも低い。
この場合、熱硬化性樹脂では、上流側領域での加熱は繊維束に供給された硬化前の樹脂を繊維束に含浸させる含浸工程(含浸区間)でもあり、下流側領域の加熱は硬化前の樹脂の硬化を促進させる硬化促進工程(硬化区間)でもある。また、熱可塑性樹脂では、上流側領域での加熱は供給された樹脂を軟化させる軟化工程(軟化区間)であり、下流側領域の加熱はさらに軟化(溶融)させて繊維束に含浸させる含浸工程(含浸区間)でもある。
製造方法及び成形方法は、例えば、繊維束を走行させる工程と、走行する繊維束に硬化前の樹脂を供給する工程と、樹脂が繊維束に供給されてなる繊維樹脂材料に対して走行方向に沿って異なる電流値の電流を通電するステップとを含む。なお、繊維樹脂材料の通電は、繊維樹脂材料に当接する当接部を介して行われる。
【0019】
5.製造装置
導電繊維を含む繊維束と樹脂とからなる連続状の繊維樹脂材料を加熱して複合材料を製造する製造装置は、繊維樹脂材料に当接し且つ前記繊維方向に沿って間隔をおいて配された3個以上の導電性を有する当接部と、繊維方向に隣接する当接部材間に異なる電流値の電流を通電させる通電部とを備える。これにより、繊維樹脂材料における当接部間の2以上の領域で異なる電流値の電流が通電し、繊維樹脂材料の繊維方向の複数の領域での温度管理が容易となる。
なお、製造装置の特徴部分は、繊維樹脂材料を加熱して成形物を成形する成形装置の特徴部分としても適用できる。
【0020】
当接部として機能する当接部材は、走行する繊維樹脂材料に対して電流を流すことができればよく、繊維樹脂材料に対して移動する移動式であってもよいし、移動しない固定式であってもよい。
移動式としては、回転ローラ、コンベア等がある。固定式としては、棒状体(横断面形状が円形状、非円形状を含む)、ブロック状、板状体等がある。当接部材の材料は、繊維樹脂材料に電流を流すことが可能であればよく、特に限定するものではない。電気抵抗を考慮すると、導電率の高い材料が好ましい。また、絶縁材料であっても表面に導電層を設けることで導電性を確保してもよい。導電層としては、メッキ、金属箔等がある。樹脂材料やゴム材料等の導電性の低い材料に導電粒子や導電体を混入させることで導電性を確保してもよい。当接部材は、剛体である必要なく、例えば、ゴムローラに金属箔を貼り付けたものや、ゴムローラに薄肉の金属スリーブを被せたものであってもよい。
【0021】
当接部材は、繊維樹脂材料に対してその走行方向に5~40mmの範囲内が好ましく、10~35mmの範囲内で当接(接触)するのがより好ましい。これにより導電繊維に電流を安定して流すことができる。また、当接部材と接触する繊維樹脂材料の過度な温度上昇を防止できる。
当接部材として、3個以上の回転ローラを用いてもよい。これにより、繊維樹脂材料を走行させる駆動力を小さくできる。
当接部材として回転ローラを使用し、繊維方向に沿って3個以上を配する場合、繊維方向の中間に位置する中間ローラを、当該中間ローラの上流側に位置する上流ローラと、中間ローラの下流側に位置する下流ローラとを結ぶ仮想線よりも繊維樹脂材料の厚み方向の一方側に突出する位置に配し、中間ローラと繊維樹脂材料との接触長さが上記範囲であることが好ましい。
換言すると、上記範囲の接触長さにするには、繊維樹脂材料が中間ローラに巻き付く巻付け角を、20~70度の範囲内にするのが好ましく、30~60度の範囲内にするのがより好ましい。これにより、中間ローラと接触する繊維樹脂材料の過度な温度上昇を防止できる。
なお、中間ローラ以外の他のローラへの繊維樹脂材料の巻付け角も、中間ローラと同様に、20~70度の範囲内にするのが好ましく、30~60度の範囲内にするのがより好ましい。
3個の以上の回転ローラは、その直径がすべて同じであってもよいし、一部の回転ローラが異なってもよいし、すべて異なってもよい。中間ローラの直径は、30~70mmの範囲内が好ましく、40~70mmの範囲内がより好ましい。直径がこの範囲内にあると、樹脂が繊維束に含浸しやすくなる。
【0022】
<第1実施形態>
1.全体
図1を用いて説明する。
ここでは、供給された繊維束に樹脂を供給して複合材料を製造する製造装置について説明する。
製造装置101は、少なくとも、供給された繊維樹脂材料FR1を第1温度に加熱して樹脂R1を繊維束F1に含浸させる含浸ユニット110と、繊維樹脂材料FR1を第2温度に加熱して樹脂R1を硬化させる硬化ユニット120とを備える。
ここでの製造装置101は、含浸ユニット110と硬化ユニット120以外に、繊維束F1を供給する繊維供給ユニット130と、供給された繊維束F1に樹脂R1を供給する樹脂供給ユニット140と、樹脂R1が硬化した複合材料C1を採取する採取ユニット150とを備える。
なお、繊維束F1に樹脂R1が供給されたものが繊維樹脂材料FR1である。また、
図1では、繊維束F1を所定位置に案内するガイド部材や、複合材料C1を採取位置まで案内するガイド部材や、走行する繊維樹脂材料FR1を支持する支持部材及び案内部材等の図示と説明は省略する。
【0023】
2.各部構成
(1)繊維供給ユニット
繊維供給ユニット130は、ボビン巻きされた繊維束F1を使って供給する。具体的には、繊維供給ユニット130は、ボビン132を回転可能に支持する回転ローラ131を備え、ボビン132に巻き付けられている繊維束F1が引き出される。なお、ボビン132を立設させて、引き出すようにしてもよい。
ここでの繊維供給ユニット130は、引き出される繊維束F1に所望のテンションが作用するように、テンション調整ユニットが組み込まれている。
(2)樹脂供給ユニット
樹脂供給ユニット140は、調合された樹脂R1を吐出するディスペンサ141を備え、ここでは、繊維束F1の一方面に樹脂R1が供給される。
(3)採取ユニット
ここでの複合材料は、厚みが薄く湾曲(弾性変形)可能である。このため、採取ユニット150は、ボビン152を回転可能に支持する回転(駆動)ローラ151を備え、ボビン152に複合材料C1を巻き取る。
繊維供給ユニット130からの繊維束F1の引き出し、含浸ユニット110及び硬化ユニット120での繊維樹脂材料FR1の走行は、採取ユニット150の複合材料C1の巻き付け駆動を利用している。
【0024】
(4)含浸ユニット
含浸ユニット110は、繊維樹脂材料FR1の走行方向(繊維方向でもある)に沿って間隔を置いた2以上の当接部と、2以上の当接部間に第1電流値I1を通電させる通電部111とを備える。ここでの当接部は2個ある。k
2個の当接部は、表面に導電性を有する回転ローラにより構成され、図中の「1r1」、「1r2」である。回転ローラ1r1,1r2の表面は通電部111と電気的に接続している。ここでの回転ローラ1r1,1r2はフリーローラである。
通電部111は、回転ローラ1r1,1r2間に第1電圧値V1の電圧を印加する。
(5)硬化ユニット
硬化ユニット120は、繊維樹脂材料FR1の走行方向(繊維方向でもある)に沿って間隔を置いた2以上の当接部と、2以上の当接部間に第2電流値I2を通電させる通電部121とを備える。ここでの当接部は2個ある。
2個の当接部は、表面に導電性を有する回転ローラで、図中の「1r2」、「1r3」である。回転ローラ1r2,1r3の表面は通電部121と電気的に接続している。回転ローラ1r2,1r3フリーローラである。
通電部121は、回転ローラ1r2,1r3間に第2電圧値V2の電圧を印加する。
【0025】
(6)含浸ユニット及び硬化ユニット
回転ローラ1r2は、含浸ユニット110の当接部の一部を構成し、硬化ユニット120の当接部の一部を構成する。つまり、含浸ユニット110及び硬化ユニット120は、複数の当接部(1r1,1r2,1r3)と、走行方向に隣接する当接部1r1,1r2間に第1電流値I1を通電する第1通電部111と、走行方向に隣接する当接部1r2,1r3間に第2電流値I2を通電する第2通電部121とから構成される。ここでの第1通電部111と第2通電部は、繊維樹脂材料FR1の下流側に向かって電流が流れるようにしている。
第1電流値I1は、樹脂R1が加熱により最低粘度となる温度又は当該温度に近い温度となるように設定されている。これにより、繊維樹脂材料FR1が回転ローラ1r1,1r2間で加熱されて含浸しやすくなる。また、繊維樹脂材料FR1が回転ローラ1r2を通過する際に回転ローラ1r2に押し付けられ、粘度の低くなった樹脂R1が繊維束F1を構成する繊維間へと含浸しやすくなる。
第2電流値I2は、樹脂R1が加熱により硬化を開始又は促進する温度あるいは当該温度に近い温度となるように設定されている。これにより、繊維樹脂材料FR1が回転ローラ1r2,1r3間で、樹脂R1が硬化を開始したり、硬化を促進したりする。
【0026】
<実施例1>
上記製造装置101を利用した実施例について説明する。
繊維束F1は、炭素繊維束を使用した。炭素繊維束は、帝人株式会社、テナックス(登録商標)STS40 F13 24K S(フィラメント数24,0000本)である。樹脂R1は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂組成物を使用した。
回転ローラ1r1,1r2,1r3は、同じ構成であり、直径50mmで、200mmの間隔をおいて配されている。第1通電部111は、回転ローラ1r1、1r2間を走行する繊維樹脂材料FR1の温度が60~80℃(ここでは70℃である)となるように、通電する。第2通電部121は、回転ローラ1r2、1r3間を走行する繊維樹脂材料FR1の温度が150~200℃(ここでは150℃である)となるように、通電する。
繊維樹脂材料FR1の走行速度は5mm/secである。なお、繊維供給ユニット130は、走行する繊維に対してテンションが1.1N作用するように、回転方向と反対方向に負荷を作用させている。
本製造装置101において、樹脂R1の繊維束F1への含浸、樹脂R1の硬化を確認できている。
【0027】
<第2実施形態>
1.全体
図2を用いて説明する。
製造装置201は、少なくとも、供給された繊維樹脂材料FR2を第1温度に加熱して樹脂R2を繊維束F2に含浸させる含浸ユニット210と、繊維樹脂材料FR2を第2温度に加熱して樹脂R2を硬化させる硬化ユニット220とを備える。
なお、
図2では、含浸ユニット210及び硬化ユニット220の当接部のみを表示している。このため、樹脂R2及び繊維束F2は図示されていないが、第2実施形態で説明している樹脂又は繊維束であることが分かるように、「R2」と「F2」を付している。
【0028】
製造装置201は、含浸ユニット210と硬化ユニット220以外に、図示していないが、繊維束F2を供給する繊維供給ユニットと、供給された繊維束F2に樹脂R2を供給する樹脂供給ユニットと、樹脂R2が硬化した複合材料C2を採取する採取ユニットと、繊維樹脂材料にテンションを作用させるテンション作用ユニットを備える。テンション作用ユニットは、例えば、ダンサーローラ等を利用している。
なお、ここでも、繊維束F2に樹脂R2が供給されたものが繊維樹脂材料FR2である。また、
図2でも、繊維束を所定位置に案内するガイド部材や、複合材料C2を採取位置まで案内するガイド部材や、走行する繊維樹脂材料FR2を支持する支持部材及び案内部材等の図示と説明は省略する。
以下、含浸ユニット210と硬化ユニット220について説明する。
【0029】
2.各部構成
(1)含浸ユニット
含浸ユニット210は、繊維樹脂材料FR2の走行方向に沿って間隔を置いた2以上の当接部と、2以上の当接部間に第1電流値I1を通電させる通電部(図示省略)とを備える。ここでの当接部は2個ある。
2個の当接部は、表面に導電性を有する回転ローラにより構成され、図中の「2r1」、「2r2」である。回転ローラ2r1,2r2の表面は通電部と電気的に接続している。回転ローラ2r1,2r2はフリーローラである。
(2)硬化ユニット
硬化ユニット220は、繊維樹脂材料FR2の走行方向に沿って間隔を置いた2以上の当接部と、2以上の当接部間に第2電流値I2を通電させる通電部(図示所略)とを備える。ここでの当接部は2個ある。
2個の当接部は、表面に導電性を有する回転ローラで、図中の「2r2」、「2r3」である。回転ローラ2r2,2r3の表面は通電部と電気的に接続している。回転ローラ2r2,2r3はフリーローラである。
【0030】
(3)含浸ユニット及び硬化ユニット
第1実施形態と同様に、回転ローラ2r2は、含浸ユニット210の当接部の一部を構成し、硬化ユニット220の当接部の一部を構成する。つまり、含浸ユニット210及び硬化ユニット220は、複数の当接部(2r1,2r2,2r3)と、走行方向に隣接する当接部2r1,2r2間に第1電流値I1を通電する第1通電部と、走行方向に隣接する当接部2r2,2r3間に第2電流値I2を通電する第2通電部とから構成される。なお、第1電流値I1及び第2電流値I2は、第1実施形態と同様であるが、第1通電部と第2通電部は、中間ローラ2r2に向かって電流が流れるようにしている。
各回転ローラ2r1,2r2,2r3は繊維樹脂材料FR2との接触長さが5~40mmの範囲内にある。この際、各回転ローラ2r1,2r2,2r3は、繊維樹脂材料FR2との巻付け角θ1,θ2,θ3が20~70度の範囲内にある。これにより、繊維樹脂材料FR2と回転ローラ2r1,2r2,2r3との接触面積を広くでき、繊維樹脂材料FR2に対して均等に電流が流れ、繊維樹脂材料に局所的な過度な加熱部分がなくなる。
【0031】
<実施例2>
上記製造装置201を利用した実施例について、実施例1と異なる構成のみ説明する。
回転ローラ2r1,2r2,2r3の巻付け角は45度である。このため、回転ローラ2r2は、回転ローラ2r1と回転ローラ2r3とを結ぶ仮想線よりも繊維樹脂材料が走行する側に突出するように配されている。ここでの位置関係は、回転ローラ2r1,2r2,2r3と繊維樹脂材料FR2との接触部分を基準している。接触部分が繊維樹脂材料FR2の走行方向に沿って延伸している場合は、その走行方向の中心を基準としている。
実施例2では、繊維樹脂材料FR2に3.4Nのテンションを作用させている。
本製造装置201では、樹脂R2の繊維束F2への含浸、樹脂R2の硬化を確認できている。また、本製造装置201では、実施例1の製造装置101と比較して、含浸区間及び硬化区間を流れる電流値の変動が小さいことを確認している。
【0032】
<第3実施形態>
1.全体
第1実施形態及び第2実施形態では、繊維樹脂材料FR1,FR2を成形して薄板状の複合材料C1,C2を製造してボビン152に採取している。
第3実施形態では、3次元的に移動自在なロボットアームのエンドエフェクタに成形ユニットを取り付けた製造装置であって、繊維樹脂材料FR3を被積層体の積層領域に積層しながら成形する装置について、
図3を用いて説明する。
製造装置301は、ロボットアーム(図示省略)と、ロボットアームの先端に取付具305を介して取り付けられた成形ユニット310を有する。成形ユニット310は、被積層体350の積層領域351に繊維樹脂材料FR3を積層しながら加熱する。
【0033】
成形ユニット310は、繊維樹脂材料FR3の走行方向の上流側に配された上流ローラ3r1と、上流ローラ3r1に対して繊維樹脂材料FR3の走行方向の下流側に隣接して配された中間ローラ3r2と、中間ローラ3r2に対して繊維樹脂材料FR3の走行方向の下流側に隣接して配された下流ローラ3r3とを備える。
成形ユニット310は、図示しないが、上流ローラ3r1と中間ローラ3r2との間を走行する繊維樹脂材料FR3に対して第1電流値I1を通電させる上流側通電部と、中間ローラ3r2と下流ローラ3r3との間を走行する繊維樹脂材料FR3に対して第2電流値I2を通電させる下流側通電部とを備える。
成形ユニット310は、中間ローラ3r2を積層領域351側に押圧する押圧部311と、下流ローラ3r3を積層領域351側に押圧する押圧部313とを有する。ここでは、押圧部311,313としてエアシリンダを利用している。
【0034】
2.動作
成形ユニット310に供給された繊維樹脂材料FR3は、上流側通電部の通電より、上流ローラ3r1と中間ローラ3r2との間の領域で樹脂R3が加熱されて繊維束F3間に含浸しやすくなる。
この状態で、繊維樹脂材料FR3は中間ローラ3r2により積層領域351へと押圧される。これにより、樹脂R3が繊維束F3に含浸すると共に、積層領域351に繊維樹脂材料FR3が積層される。
そして、積層領域351に積層された繊維樹脂材料FR3は、下流側通電部の通電より、中間ローラ3r2と下流ローラ3r3との間の領域で樹脂R3が加熱されて硬化が開始する。これと同時に、繊維樹脂材料FR3が積層領域351に接着して、被積層体350と一体化される。
ヘッドは、
図3中の矢印方向へ移動することで、被積層体350の全積層領域に成形物を成形できる。
なお、積層領域351に離型処理を施して、被積層体350から成形物C3を取り外すと、積層領域に沿った複合材料C3が得られる。
【0035】
<変形例>
以上、第1~第3実施形態を説明したが、これらの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0036】
(1)当接部は、
図4に示すように、繊維樹脂材料FR4の両面で当接するように配置されてもよい。この場合、
図2に示すように、巻付け角が20~70度の範囲内になるように、当接部を配置してもよい。この場合、繊維樹脂材料FR4は三角波状に走行することとなる。
また、当接部は、回転ローラを利用しているが、例えば、ニップローラを利用してもよい。
(2)製造装置は、複数の当接部間のうち、繊維樹脂材料FR3に電流を通電させない当接部間を有してもよい。具体的には、
図4に示すように、回転ローラ4r1,4r2間で第1電流値I1の電流を、回転ローラ4r3,4r4間で第2電流値I2の電流をそれぞれ通電し、回転ローラ4r2,4r3間で通電させないとしてもよい。
【0037】
(3)第1~第3実施形態では、繊維樹脂材料の2つの領域に異なる電流値の電流を通電させているが、繊維樹脂材料の3以上の領域に異なる電流値の電流を通電させてもよい。
第1実施形態の電流は下流側に向かって流れ、第2実施形態では中間ローラに向かって流れている。しかしながら、繊維樹脂材料に電流が流れればよく、その向きは特に限定するものではない。
(4)樹脂供給ユニット140はディスペンサを利用しているが、樹脂を繊維束に供給できればよく、例えば、樹脂が付着したローラ面を繊維束が通過する(キスタッチ)方式であってもよいし、樹脂を貯留する樹脂浴内を繊維束が通過する方式であってもよい。
(5)実施形態での樹脂供給ユニット140は熱硬化性樹脂を供給しているが、熱可塑性樹脂を供給してもよい。供給は、例えば、溶融させた樹脂を供給してもよいし、フィルムを供給してもよい。
【符号の説明】
【0038】
101 製造装置
111 通電部
121 通電部
FR1 繊維樹脂材料
R1 樹脂
F1 繊維束
1r1 当接部(回転ローラ)
1r2 当接部(回転ローラ)
1r3 当接部(回転ローラ)