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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】電動流体圧シリンダ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/18 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
F15B15/18
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020074248
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021173285
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 智和
(72)【発明者】
【氏名】田中 大介
(72)【発明者】
【氏名】桝田 雄三
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-164805(JP,U)
【文献】特開2020-026815(JP,A)
【文献】実開昭63-099008(JP,U)
【文献】実開昭58-040474(JP,U)
【文献】特開昭63-186015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0159677(US,A1)
【文献】実開平02-141703(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給によって回転する電動モータ、当該電動モータによって駆動され作動流体を吐出するポンプ、及び作動流体を貯留するタンクを一体的に備える駆動ユニットと、
前記駆動ユニットから供給される作動流体により伸縮作動する流体圧シリンダと、
前記駆動ユニットと前記流体圧シリンダとの間で作動流体を導く配管部材と、を備え、
前記駆動ユニットは、
前記流体圧シリンダと前記ポンプとの間の作動流体の流れを制御するバルブブロックと、
前記バルブブロックに取り付けられると共に、前記配管部材が接続されて前記流体圧シリンダに給排される作動流体が通過する接続ポートが形成される接続部材と、をさらに備え、
前記流体圧シリンダは、第1流体圧室及び第2流体圧室の流体圧によって伸縮作動する複動型シリンダであり、
前記接続部材には、前記接続ポートとして、前記第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1接続ポートと、前記第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2接続ポートと、が形成され、
前記配管部材として、前記第1接続ポートを通過する作動流体を導く第1配管と、前記第2接続ポートを通過する作動流体を導く第2配管と、が前記接続部材に接続され、
前記バルブブロックには、前記第1接続ポートに連通し前記第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1バルブポートと、前記第2接続ポートに連通し前記第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2バルブポートと、が形成され、
前記流体圧シリンダには、前記第1バルブポートに連通する第1シリンダポート及び前記第2バルブポートに連通する第2シリンダポートが形成されるシリンダ接続部材が設けられ、
前記流体圧シリンダは、
シリンダチューブと、
前記シリンダチューブに摺動自在に挿入され前記シリンダチューブ内を前記第1流体圧室と前記第2流体圧室とに区画するピストンと、
前記ピストンに連結されるピストンロッドと、
前記シリンダチューブの外周側に配置されるアウターチューブと、
前記シリンダチューブと前記アウターチューブとの間の空間を前記第1流体圧室に連通する第1外側圧力室と前記第2流体圧室に連通する第2外側圧力室とに区画する仕切部と、を有し、
前記アウターチューブには、前記第1外側圧力室と前記シリンダ接続部材の前記第1シリンダポートとを連通する第1連通ポートと、前記第2外側圧力室と前記シリンダ接続部材の前記第2シリンダポートとを連通する第2連通ポートと、が形成されることを特徴とする電動流体圧シリンダ。
【請求項2】
電力供給によって回転する電動モータ、当該電動モータによって駆動され作動流体を吐出するポンプ、及び作動流体を貯留するタンクを一体的に備える駆動ユニットと、
前記駆動ユニットから供給される作動流体により伸縮作動する流体圧シリンダと、
前記駆動ユニットと前記流体圧シリンダとの間で作動流体を導く配管部材と、を備え、
前記駆動ユニットは、
前記流体圧シリンダと前記ポンプとの間の作動流体の流れを制御するバルブブロックと、
前記バルブブロックに取り付けられると共に、前記配管部材が接続されて前記流体圧シリンダに給排される作動流体が通過する接続ポートが形成される接続部材と、をさらに備え、
前記流体圧シリンダは、第1流体圧室及び第2流体圧室の流体圧によって伸縮作動する複動型シリンダであり、前記第1流体圧室に連通する第1連通ポート及び前記第2流体圧室に連通する第2連通ポートを有し、
前記接続部材には、前記接続ポートとして、前記第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1接続ポートと、前記第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2接続ポートと、が形成され、
前記配管部材として、前記第1接続ポートを通過する作動流体を導く第1配管と、前記第2接続ポートを通過する作動流体を導く第2配管と、が前記接続部材に接続され、
前記バルブブロックには、前記第1接続ポートに連通し前記第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1バルブポートと、前記第2接続ポートに連通し前記第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2バルブポートと、が形成され、
前記流体圧シリンダには、前記第1バルブポートに連通する第1シリンダポート及び前記第2バルブポートに連通する第2シリンダポートが形成されるシリンダ接続部材が設けられ、
前記流体圧シリンダにおける前記第1連通ポートと前記第2連通ポートとのピッチと、前記バルブブロックにおける前記第1バルブポートと前記第2バルブポートとのピッチとは、互いに一致するように形成されることを特徴とする電動流体圧シリンダ。
【請求項3】
前記接続部材には、前記駆動ユニットが取り付けられる被取付部材に当該駆動ユニットを取り付けるための取付部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動流体圧シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動流体圧シリンダ及び移動構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動流体圧式リニアアクチュエータであって、下側にシリンダがレイアウトされ、その上に作動油タンク、作動油ポンプユニット、電動モータがレイアウトされるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-91386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような流体圧シリンダ、タンク、ポンプ、電動モータがユニット化されて構成される電動流体圧シリンダは、コンパクトな構成で高出力を実現できるため、様々な用途に利用されている。
【0005】
このような電動流体圧シリンダは、既存の流体圧シリンダ、ガススプリング、及び電動リニアアクチュエータなどからの置き換えの要望もある。しかしながら、既存の流体圧シリンダを電動流体圧シリンダに置き換えを検討する際には、流体圧シリンダに一体化されたタンク、ポンプ、電動モータ等が他の装置や設備に干渉しないかを検討する必要があり、干渉が置き換えの妨げとなることがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、配置レイアウトの自由度を向上させる電動流体圧シリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電動流体圧シリンダであって、電力供給によって回転する電動モータ、当該電動モータによって駆動され作動流体を吐出するポンプ、及び作動流体を貯留するタンクを一体的に備える駆動ユニットと、駆動ユニットから供給される作動流体により伸縮作動する流体圧シリンダと、駆動ユニットと流体圧シリンダとの間で作動流体を導く配管部材と、を備え、駆動ユニットは、流体圧シリンダとポンプとの間の作動流体の流れを制御するバルブブロックと、バルブブロックに取り付けられると共に、配管部材が接続されて流体圧シリンダに給排される作動流体が通過する接続ポートが形成される接続部材と、をさらに備え、流体圧シリンダが、第1流体圧室及び第2流体圧室の流体圧によって伸縮作動する複動型シリンダであり、接続部材には、接続ポートとして、第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1接続ポートと、第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2接続ポートと、が形成され、配管部材として、第1接続ポートを通過する作動流体を導く第1配管と、第2接続ポートを通過する作動流体を導く第2配管と、が接続部材に接続され、バルブブロックには、第1接続ポートに連通し第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1バルブポートと、第2接続ポートに連通し第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2バルブポートと、が形成され、流体圧シリンダには、第1バルブポートに連通する第1シリンダポート及び第2バルブポートに連通する第2シリンダポートが形成されるシリンダ接続部材が設けられ、流体圧シリンダが、シリンダチューブと、シリンダチューブに摺動自在に挿入されシリンダチューブ内を第1流体圧室と第2流体圧室とに区画するピストンと、ピストンに連結されるピストンロッドと、シリンダチューブの外周側に配置されるアウターチューブと、シリンダチューブとアウターチューブとの間の空間を第1流体圧室に連通する第1外側圧力室と第2流体圧室に連通する第2外側圧力室とに区画する仕切部と、を有し、アウターチューブには、第1外側圧力室とシリンダ接続部材の第1シリンダポートとを連通する第1連通ポートと、第2外側圧力室とシリンダ接続部材の第2シリンダポートとを連通する第2連通ポートと、が形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、電動流体圧シリンダであって、電力供給によって回転する電動モータ、当該電動モータによって駆動され作動流体を吐出するポンプ、及び作動流体を貯留するタンクを一体的に備える駆動ユニットと、駆動ユニットから供給される作動流体により伸縮作動する流体圧シリンダと、駆動ユニットと流体圧シリンダとの間で作動流体を導く配管部材と、を備え、駆動ユニットは、流体圧シリンダとポンプとの間の作動流体の流れを制御するバルブブロックと、バルブブロックに取り付けられると共に、配管部材が接続されて流体圧シリンダに給排される作動流体が通過する接続ポートが形成される接続部材と、をさらに備え、流体圧シリンダが、第1流体圧室及び第2流体圧室の流体圧によって伸縮作動する複動型シリンダであり、第1流体圧室に連通する第1連通ポート及び第2流体圧室に連通する第2連通ポートを有し、接続部材には、接続ポートとして、第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1接続ポートと、第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2接続ポートと、が形成され、配管部材として、第1接続ポートを通過する作動流体を導く第1配管と、第2接続ポートを通過する作動流体を導く第2配管と、が接続部材に接続され、バルブブロックには、第1接続ポートに連通し第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1バルブポートと、第2接続ポートに連通し第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2バルブポートと、が形成され、流体圧シリンダには、第1バルブポートに連通する第1シリンダポート及び第2バルブポートに連通する第2シリンダポートが形成されるシリンダ接続部材が設けられ、流体圧シリンダにおける第1連通ポートと第2連通ポートとのピッチと、バルブブロックにおける第1バルブポートと第2バルブポートとのピッチとは、互いに一致するように形成されることを特徴とする。
【0009】
これらの発明では、タンク、ポンプ、及び電動モータが駆動ユニットとしてユニット化される一方、駆動ユニットは配管部材を介して流体圧シリンダに接続される。このため、流体圧シリンダから離れた位置に駆動ユニットを設けることができ、流体圧シリンダ周辺に駆動ユニットを配置するスペースが要求されない。よって、電動流体圧シリンダ全体としてコンパクトな構成を維持しつつ、配置レイアウトの自由度が向上する。また、駆動ユニットは、ポートが形成される接続部材を介して配管部材に接続される。このため、接続部材においてポートが形成される位置を任意に調整することで、駆動ユニットの取付姿勢を調整することができ、駆動ユニットのレイアウトの自由度が向上する。また、これらの発明では、流体圧シリンダとバルブブロックとを直接連結して電動流体圧シリンダを構成することが可能である。
【0013】
また、本発明は、接続部材には、駆動ユニットが取り付けられる被取付部材に当該駆動ユニットを取り付けるための取付部が設けられることを特徴とする。
【0014】
この発明では、配管部材が接続される接続部材を、駆動ユニットを取り付けるための取付部材としても機能させることができるため、部品点数を削減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電動流体圧シリンダの配置レイアウトの自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る電動流体圧シリンダの構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る電動流体圧シリンダの油圧シリンダの断面図である。
図3図2におけるA部拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係る電動流体圧シリンダの油圧シリンダの平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る電動流体シリンダの駆動ユニットの平面図であり、接続プレートを取り外した状態を示す図である。
図6図1におけるIV-IV線断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る移動構造体の構成を示す概略図である。
図8】本発明の実施形態の第1変形例に係る移動構造体の構成を示す概略図である。
図9】本発明の実施形態の第2変形例に係る移動構造体の構成を示す概略図である。
図10】本発明の実施形態の第3変形例に係る油圧シリンダの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電動流体圧シリンダ100及びこれを備える移動構造体101について説明する。
【0020】
まず、図1図6を参照して、電動流体圧シリンダ100の構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、電動流体圧シリンダ100は、シリンダ部材20及び当該シリンダ部材20に対して進退するピストンロッド12を有して伸縮作動する流体圧シリンダとしての油圧シリンダ10と、電動モータ31を含み油圧シリンダ10を駆動する駆動ユニット30と、油圧シリンダ10と駆動ユニット30とを接続する配管部材としての第1ホース配管60(第1配管)及び第2ホース配管61(第2配管)と、を備える。
【0022】
油圧シリンダ10は、図1及び図2に示すように、シリンダ部材20と、シリンダ部材20に対して進退するピストンロッド12と、ピストンロッド12に連結されるピストン11と、を有する。
【0023】
シリンダ部材20は、筒状のシリンダチューブ21と、シリンダチューブ21の外周側に配置される有底筒状のシリンダボディ22と、シリンダボディ22の開口端部に螺合するアウターチューブ14と、を有する。このように、油圧シリンダ10は、シリンダチューブ21、シリンダボディ22、及びアウターチューブ14によってシリンダ部材20が構成される、いわゆる複筒式の油圧シリンダである。
【0024】
図2に示すように、アウターチューブ14の一端部は、ピストンロッド12を摺動自在に支持するロッドガイド13の外周に螺合し、ロッドガイド13に連結される。アウターチューブ14の他端部は、シリンダボディ22の内周に螺合し、シリンダボディ22に連結される。ロッドガイド13とシリンダボディ22とは、アウターチューブ14によって連結され、シリンダチューブ21は、ロッドガイド13とシリンダボディ22の底部とによって挟持される。
【0025】
ピストン11は、シリンダチューブ21に摺動自在に挿入されシリンダチューブ21内をロッド側室1とボトム側室2と(第1流体圧室、第2流体圧室)に区画する。ピストン11によってシリンダチューブ21内に形成されるロッド側室1及びボトム側室2には、それぞれ作動油が充填される。
【0026】
ピストンロッド12の先端は、ロッドガイド13に形成される挿通孔13Aを通じてシリンダ部材20から突出し、基端にはナット11Aを介してピストン11が連結される。また、ピストンロッド12の先端には、クレビス10Aが設けられる。
【0027】
シリンダボディ22は、シリンダチューブ21を外周から覆うように設けられる。シリンダボディ22の底部(閉塞端)には、クレビス10Bが設けられる。
【0028】
シリンダボディ22の内周面とシリンダチューブ21の外周面との間には、環状空間3が形成される。シリンダボディ22の開口端は、アウターチューブ14を介してロッドガイド13に連結される。具体的には、アウターチューブ14の外周にシリンダボディ22の開口端が螺合する。これにより、シリンダボディ22は、アウターチューブ14を介してシリンダチューブ21と連結される。
【0029】
シリンダボディ22の内周には、シリンダボディ22とシリンダチューブ21との間の環状空間3を第1外側圧力室3Aと第2外側圧力室3Bとに仕切る仕切部24が設けられる。仕切部24は、図3に示すように、シリンダボディ22と一体に形成されシリンダボディ22の内周面から径方向の内側に突出する円環状の突出部24Aと、突出部24Aに設けられ突出部24Aとシリンダチューブ21の外周面との間の隙間を封止するシール部材24Bと、を有する。
【0030】
第1外側圧力室3Aは、シリンダチューブ21とアウターチューブ14との間に形成される図示しない通路を通じてロッド側室1に連通する。第2外側圧力室3Bは、シリンダチューブ21とシリンダボディ22の底部との間の図示しない通路を通じてボトム側室2に連通する。
【0031】
シリンダボディ22には、図3に示すように、第1外側圧力室3Aに連通する第1連通ポート4Aと、第2外側圧力室3Bに連通する第2連通ポート4Bと、後述するシリンダ接続部材としてのシリンダプレート25が取り付けられる取付面23と、が形成される。
【0032】
取付面23は、シリンダボディ22の外周に形成される平坦面である。
【0033】
第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとは、シリンダボディ22の径方向に延びて形成され、それぞれ取付面23に開口する。また、第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとは、図4に示すように、取付面23において、シリンダボディ22の中心軸O1方向(図中左右方向)にずれて形成されると共に、中心軸O1に垂直な方向(図中上下方向)にずれて形成される。つまり、第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとは、図4に示す平面視において、シリンダボディ22の中心軸O1と、第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとの中央を通り中心軸O1に垂直な軸C1と、の交点P1を中心とする点対称となるように形成される。
【0034】
油圧シリンダ10には、図3に示すように、シリンダボディ22の取付面23に着脱可能に取り付けられるシリンダ接続部材としてのシリンダプレート25が設けられる。シリンダプレート25は、互いに平行な一対の平坦面(以下、一方を基準面25A、他方を接続面25Bとする。)を有する平板状の部材であり、平坦な基準面25Aをシリンダボディ22の取付面23に接触させた状態でシリンダボディ22に取り付けられる。
【0035】
シリンダプレート25には、シリンダボディ22に取り付けられた状態で第1連通ポート4Aに連通する第1シリンダポート5A及び第2連通ポート4Bに連通する第2シリンダポート5Bが形成される。第1シリンダポート5A及び第2シリンダポート5Bは、それぞれシリンダプレート25の接続面25Bに開口している。
【0036】
油圧シリンダ10は、作動油がボトム側室2に供給されるとともにロッド側室1から排出されることでピストンロッド12が伸長方向(図2中左方向)に移動する。また、油圧シリンダ10は、作動油がロッド側室1に供給されるとともにボトム側室2から排出されることでピストンロッド12が収縮方向(図2中右方向)に移動する。このように、油圧シリンダ10は、いわゆる複動型シリンダである。
【0037】
図1に示すように、駆動ユニット30は、電力供給によって回転する電動モータ31と、電動モータ31によって駆動され作動油を吐出するポンプ32と、作動油を貯留するタンク33と、油圧シリンダ10とポンプ32との間の作動油の流れを制御するバルブブロック40と、バルブブロック40に取り付けられると共に、第1及び第2ホース配管60,61が接続されて油圧シリンダ10に給排される作動油が通過する第1接続ポート7A及び第2接続ポート7Bが形成される接続部材としての接続プレート50と、を一体的に有する。つまり、電動モータ31、ポンプ32、タンク33、バルブブロック40、及び接続プレート50が一つのユニットとして駆動ユニット30を構成する。なお、ユニット化される駆動ユニット30の各構成は、その一部又は全部が一体の部品として一体的に構成されてもよい。例えば、ポンプ32とバルブブロック40とが一体の部品として構成され、当該一体の部品が電動モータ31等他の構成部品とユニット化されて駆動ユニット30が構成されてもよい。また、例えば、電動モータ31とバルブブロック40とが一体の部品として構成されてもよい。
【0038】
電動モータ31は、直流ブラシモータである。電動モータ31は、例えばインバータによるPWM制御によって電力が供給されて、回転が制御される。なお、電動モータ31の種類やその制御方法は、これに限定されるものではなく、その他の構成でもよい。
【0039】
ポンプ32は、電動モータ31の回転軸(図示省略)に連結されて、電動モータ31の回転によって駆動されるギヤポンプである。ポンプ32から吐出される作動油の吐出方向は、電動モータ31の回転方向に応じて選択的に切り換えられる。
【0040】
バルブブロック40には、図5及び6に示すように、接続プレート50が取り付けられる平坦な取付面40Aと、取付面40Aに開口する第1バルブポート6A及び第2バルブポート6Bと、が形成される。
【0041】
バルブブロック40は、図示しない制御弁、オペレートチェック弁、スローリターン弁等を有し、油圧シリンダ10とポンプ32の間の作動油の流れ(厳密には、ポンプ32及びタンク33と第1バルブポート6A及び第2バルブポート6Bとの間の流れ)を制御する。
【0042】
接続プレート50は、図6に示すように、バルブブロック40の取付面40Aに接触する平坦な基準面50Aを有する平板状の部材である。接続プレート50は、その基準面50Aをバルブブロック40の取付面40Aに接触させた状態で、バルブブロック40に着脱可能に取り付けられる。
【0043】
接続プレート50には、接続ポートとして第1接続ポート7A及び第2接続ポート7Bが形成される。第1接続ポート7Aは、一端が接続プレート50の基準面50Aに開口し、他端が側面50Bに開口する。第2接続ポート7Bは、一端が接続プレート50の基準面50Aに開口し、他端が側面50Cに開口する。接続プレート50がバルブブロック40に取り付けられた状態では、第1接続ポート7Aの一端がバルブブロック40の第1バルブポート6Aに連通し、第2接続ポート7Bの一端がバルブブロック40の第2バルブポート6Bに連通する。
【0044】
第1ホース配管60及び第2ホース配管61は、それぞれ可撓性(柔軟性)を有する材質によって形成される。
【0045】
第1ホース配管60の一端は、シリンダプレート25の接続面25Bに開口する第1連通ポート4Aの開口部に取り付けられたコネクタ60Aを介して第1連通ポート4A接続される。第1ホース配管60の他端は、接続プレート50の側面50Bに開口する第1接続ポート7Aの開口部に取り付けられたコネクタ60Bを介して第1接続ポート7Aに接続される。これにより、第1連通ポート4Aと第1接続ポート7Aとが、第1ホース配管60を通じて連通する。
【0046】
同様に、第2ホース配管61の一端は、シリンダプレート25の第2連通ポート4Bにコネクタ61Aを介して接続され、他端は接続プレート50の第2接続ポート7Bにコネクタ61Bを介して接続される。これにより、第2連通ポート4Bと第2接続ポート7Bとが、第2ホース配管61を通じて連通する。
【0047】
各コネクタ60A,60B,61A,61Bは、例えば、作動油が通過する通路が内部に形成されるバンジョーボルトにより構成される。なお、各コネクタ60A,60B,61A,61Bは、バンジョーボルトに限らず、例えばスイベルジョイントなどその他の構成であってもよい。
【0048】
以上のように、油圧シリンダ10のロッド側室1は、シリンダボディ22の第1連通ポート4A、シリンダプレート25の第1シリンダポート5A、第1ホース配管60、接続プレート50の第1接続ポート7Aを通じてバルブブロック40の第1バルブポート6Aに連通する。油圧シリンダ10のボトム側室2は、シリンダボディ22の第2連通ポート4B、シリンダプレート25の第2シリンダポート5B、第2ホース配管61、接続プレート50の第2接続ポート7Bを通じてバルブブロック40の第2バルブポート6Bに連通する。よって、ポンプ32から吐出される作動油が第1及び第2バルブポート6A,6Bの一方からロッド側室1又はボトム側室2に導かれ、ロッド側室1又はボトム側室2から排出される作動油が第1及び第2バルブポート6A,6Bの他方からタンク33に導かれる。これにより、油圧シリンダ10は伸縮作動する。
【0049】
また、図1に示すように、接続プレート50には、駆動ユニット30が取り付けられる被取付部材(例えば後述するベース部102や移動部103)に駆動ユニット30を取り付けるための取付部としての取付孔51が形成される。つまり、接続プレート50は、バルブブロック40の第1及び第2バルブポート6A,6Bに作動油を導くために第1及び第2ホース配管60,61が接続される接続部材としての機能に加えて、駆動ユニット30の取付用の取付部材としての機能も発揮する。
【0050】
また、図4及び5に示すように、バルブブロック40の取付面40A上において、第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとの相対的位置関係は、油圧シリンダ10のシリンダボディ22の第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとの相対的位置関係(シリンダプレート25の第1シリンダポート5Aと第2シリンダポート5Bとの相対的位置関係)と一致する。つまり、第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとは、図5に示すように、バルブブロック40の取付面40A上に互いに直交する2軸O2,C2を設定すると、軸O2と軸C2との交点P2に対して点対称に設けられる。軸O2は、電動モータ31、ポンプ32、バルブブロック40、及びタンク33が隣接する方向(図5中左右方向)に沿った軸であって、第1バルブポート6Aと第2バルブポート6B間の中央を通る。また、軸C2は、軸O2に垂直な軸であって、第1バルブポート6Aと第2バルブポート6B間の中央を通る。
【0051】
また、バルブブロック40の第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとのピッチ(中心間距離)は、シリンダボディ22の第1連通ポート4A第2連通ポート4Bとのピッチと一致する。さらにいえば、軸O2に沿った第1方向における第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとの間の距離は、中心軸O1方向に沿った第1連通ポート4A第2連通ポート4Bとの間の距離と一致する(距離=L1)。また、軸C2に沿った第2方向における第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとの間の距離は、軸C1に沿った第1連通ポート4A第2連通ポート4Bとの間の距離と一致する(距離=L2)。
【0052】
このように構成することで、電動流体圧シリンダ100では、第1及び第2ホース配管60,61を用いずに、第1バルブポート6Aと第1連通ポート4A、第2バルブポート6Bと第2連通ポート4Bが互いに連通するように、バルブブロック40にシリンダボディ22を直接取り付けることも可能である。言い換えれば、図4に示す軸O1と図5に示す軸O2とが一致し、図4に示す軸C1と図5に示す軸C2とが一致するようにして、バルブブロック40にシリンダボディ22を直接取り付けることも可能である。これによれば、油圧シリンダ10と駆動ユニット30とを一体化して電動流体圧シリンダ100全体を一つのユニットとして構成することができる。
【0053】
次に、図7を参照して、電動流体圧シリンダ100を備える移動構造体101について説明する。なお、図7及び後述する図8,9では、駆動ユニット30、第1及び第2ホース配管60,61は、簡略化して図示している。
【0054】
移動構造体101は、電動流体圧シリンダ100と、ベース部102と、電動流体圧シリンダ100によってベース部102に対して回転移動される移動部103と、を備える。
【0055】
ベース部102は移動しないように固定されており、移動部103は回転支点104を中心に回転自在にベース部102に取り付けられる。
【0056】
ベース部102には、電動流体圧シリンダ100の駆動ユニット30が取り付けられる。具体的には、接続プレート50が取付孔51を介してベース部102に取り付けられることで、駆動ユニット30がベース部102に取り付けられる。また、油圧シリンダ10のシリンダボディ22がクレビス10Bを介して回転自在にベース部102に取り付けられ、ピストンロッド12の先端がクレビス10Aを介して回転自在に移動部103に取り付けられる。
【0057】
このような構成により、油圧シリンダ10が伸縮作動することによって、移動部103が回転支点104を中心としてベース部102に対して回転移動される。
【0058】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0059】
電動流体圧シリンダ100では、油圧シリンダ10と駆動ユニット30とは第1及び第2ホース配管60,61により接続される。このため、油圧シリンダ10から離れた位置に駆動ユニット30を設けることができるため、油圧シリンダ10周辺に駆動ユニット30を配置するスペースが要求されず、比較的狭いスペースであっても油圧シリンダ10を取り付けることができる。このため、電動流体圧シリンダ100は、全体としてコンパクトな構成を維持しつつ、配置レイアウトの自由度が向上する。また、駆動ユニット30の取付姿勢が油圧シリンダ10の取付姿勢に影響されないため、タンク33が下向きの状態(タンク33の給排口がタンク33に対して鉛直方向下方に位置する状態)となることを回避しやすくなる。
【0060】
また、駆動ユニット30は、第1及び第2接続ポート7A,7Bが形成される接続プレート50を介して第1及び第2ホース配管60,61に接続される。このため、接続プレート50において第1及び第2接続ポート7A,7Bの形状や形成される位置を変更することで、駆動ユニット30の取付姿勢を調整することができ、駆動ユニット30、ひいては電動流体圧シリンダ100の配置レイアウトの自由度が向上する。
【0061】
また、油圧シリンダ10は、複筒式であり、油圧シリンダ10のシリンダボディ22の第1及び第2連通ポート4A,4Bと、駆動ユニット30のバルブブロック40の第1及び第2バルブポート6A,6Bとは、互いにピッチが同一に形成される。よって、電動流体圧シリンダ100は、第1及び第2ホース配管60,61を用いずに、第1及び第2連通ポート4A,4Bと第1及び第2バルブポート6A,6Bとが連通するように、油圧シリンダ10とバルブブロック40とを直接連結し、油圧シリンダ10及び駆動ユニット30全体を一体化することもできる。よって、電動流体圧シリンダ100は、油圧シリンダ10及び駆動ユニット30が一体化された従来の電動流体圧シリンダ100と同様の使い方も可能である。
【0062】
また、移動構造体101は、第1及び第2ホース配管60,61が接続される駆動ユニット30及びシリンダボディ22がベース部102に取り付けられ、ピストンロッド12が移動部103に取り付けられる。このように、駆動ユニット30とシリンダボディ22とが、相対移動するベース部102と移動部103のうちの同じ部材(上記実施形態でいえばベース部102)に設けられるため、移動部103とベース部102とが相対移動しても、駆動ユニット30とシリンダボディ22との相対的な位置関係は大きく変化しない。よって、駆動ユニット30とシリンダチューブ21との相対位置関係の変化を吸収するために第1及び第2ホース配管60,61を余分に長く構成する必要がないため、コスト低減することができる。
【0063】
次に、図8から図10を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
【0064】
(1)第1変形例
上記実施形態では、駆動ユニット30はベース部102に取り付けられる。
【0065】
これに対し、図8に示す第1変形例では、駆動ユニット30は、移動部103に取り付けられる。第1変形例では、移動部103が回転してもタンク33が下向きの状態とならないように駆動ユニット30を配置することが望ましい。
【0066】
このような第1変形例では、シリンダボディ22がベース部102に設けられ、駆動ユニット30が移動部103に設けられるため、ベース部102と移動部103の相対移動によるシリンダボディ22と駆動ユニット30との相対位置が変化する。第1及び第2ホース配管60,61は、可撓性を有するため、このようなシリンダボディ22と駆動ユニット30との相対位置の変化を許容することができる。なお、シリンダボディ22と駆動ユニット30との相対位置の変化を許容しやすくするために、第1及び第2ホース配管60,61は、長さに余裕を持たせて撓ませておくことが望ましい。
【0067】
(2)第2変形例
上記実施形態では、駆動ユニット30はベース部102に取り付けられる。また、油圧シリンダ10は、シリンダボディ22がベース部102に取り付けられ、ピストンロッド12の先端が移動部103に取り付けられる。
【0068】
これに対し、図9に示す第2変形例では、駆動ユニット30は、移動部103に取り付けられる。また、油圧シリンダ10は、シリンダボディ22が移動部103に取り付けられ、ピストンロッド12の先端がベース部102に取り付けられる。
【0069】
このような第2変形例によれば、駆動ユニット30とシリンダボディ22とが移動部103に取り付けられているため、油圧シリンダ10が伸縮作動して移動部103がベース部102に対して回転しても、駆動ユニット30とシリンダボディ22(シリンダプレート25)との相対位置があまり変化しない。よって、移動部103の移動に伴うホース配管の変形を許容するためにホース配管を余分に長く設ける必要がない。これにより、ホース配管の長さを短くすることができる。
【0070】
(3)第3変形例
上記実施形態では、第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとの相対的位置関係は、油圧シリンダ10のシリンダボディ22の第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとの相対的位置関係と互いに一致するように形成される。これに対し、この構成は必須のものではない。
【0071】
例えば、図10に示す第3変形例のように、第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとは、それぞれシリンダボディ22の取付面23に形成される開口ポート4C,4Dを通じて取付面23に開口するように構成してもよい。開口ポート4C,4Dは、一端が取付面23に開口し、他端に第1連通ポート4A及び第2連通ポート4Bが接続される円形の穴である。この場合、一対の開口ポート4C,4Dをそれぞれ第1連通ポート4A及び第2連通ポート4Bよりも大きな内径に形成し、一対の開口ポート4C,4Dを通じて、第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとが、第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとにそれぞれ連通するように構成すればよい。このような構成によれば、図5及び図10に示すように、第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとの相対的位置関係が第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとの相対的位置関係と一致しない場合であっても、油圧シリンダ10とバルブブロック40とを直接連結して電動流体圧シリンダ100を構成することが可能になる。
【0072】
(4)その他の変形例
次に、その他の変形例について説明する。
【0073】
上記実施形態では、油圧シリンダ10は、複筒式、かつ、複動型の油圧シリンダ10であるが、これに限定されるものではない。例えば、油圧シリンダ10は、シリンダボディ22を備えずシリンダチューブ21のみを備える単筒式の油圧シリンダ10でもよい。また、油圧シリンダ10は、ロッド側室1及びボトム側室2の一方に作動油が充填され、他方には気体が充填される、単動型の油圧シリンダ10であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態、第1変形例、第2変形例では、移動構造体101は、移動部103が、回転支点104を中心としてベース部102に対して相対回転する。これに対し、移動構造体101は、移動部103が、ベース部102に対して一方向に相対移動(並進)するものでもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、油圧シリンダ10には、シリンダプレート25が設けられる。これに対し、シリンダプレート25は必須の構成ではない。例えば、シリンダプレート25を廃止し、シリンダボディ22にコネクタ60A,61Aを直接取り付けてもよい。
【0076】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0077】
電動流体圧シリンダ100は、電力供給によって回転する電動モータ31、当該電動モータ31によって駆動され作動油を吐出するポンプ32、及び作動油を貯留するタンク33を一体的に備える駆動ユニット30と、駆動ユニット30から供給される作動油により伸縮作動する油圧シリンダ10と、駆動ユニット30と油圧シリンダ10との間で作動油を導く配管部材(第1ホース配管60、第2ホース配管61)と、を備え、駆動ユニット30は、流体圧シリンダとポンプ32との間の作動流体の流れを制御するバルブブロック40と、バルブブロック40に取り付けられると共に、配管部材が接続され流体圧シリンダに給排される作動流体が通過する接続ポートが形成される接続プレート50と、をさらに備える。
【0078】
この構成では、タンク33、ポンプ32、及び電動モータ31が駆動ユニット30としてユニット化される一方、駆動ユニット30は配管部材を介して油圧シリンダ10に接続される。このため、油圧シリンダ10から離れた位置に駆動ユニット30を設けることができるため、油圧シリンダ10周辺に駆動ユニット30を配置するスペースが要求されない。このため、電動流体圧シリンダ100全体としてコンパクトな構成を維持しつつ、配置レイアウトの自由度が向上する。また、駆動ユニット30は、ポートが形成される接続プレート50を介して配管部材に接続される。このため、接続プレート50においてポートが形成される位置を任意に調整することで、駆動ユニット30の取付姿勢を調整することができ、駆動ユニット30のレイアウトの自由度が向上する。したがって、電動流体圧シリンダ100によれば、の配置レイアウトの自由度が向上する。
【0079】
また、電動流体圧シリンダ100では、油圧シリンダ10が、第1流体圧室及び第2流体圧室の流体圧によって伸縮作動する複動型シリンダであり、接続プレート50には、流体通路として、第1流体圧室に給排される作動油が通過する第1接続ポート7Aと、第2流体圧室に給排される作動油が通過する第2接続ポート7Bと、が形成され、配管部材として、前記第1接続ポート7Aを通過する作動流体を導く第1ホース配管60と、第2接続ポート7Bを通過する作動流体を導く第2ホース配管61と、が接続部材に接続され、バルブブロック40には、第1接続ポート7Aに連通し第1流体圧室に給排される作動油が通過する第1バルブポート6Aと、第2接続ポート7Bに連通し第2流体圧室に給排される作動油が通過する第2バルブポート6Bと、が形成され、油圧シリンダ10には、第1流体圧室に給排される作動流体が通過する第1シリンダポート5Aと、第2流体圧室に給排される作動流体が通過する第2シリンダポート5Bと、が形成されるシリンダプレート25が設けられる。
【0080】
また、電動流体圧シリンダ100では、油圧シリンダ10は、シリンダチューブ21と、シリンダチューブ21に摺動自在に挿入されシリンダチューブ21内を第1流体圧室と第2流体圧室とに区画するピストン11と、ピストン11に連結されるピストンロッド12と、シリンダチューブ21の外周側に配置されるシリンダボディ22と、シリンダチューブ21とシリンダボディ22との間の環状空間3を第1流体圧室に連通する第1外側圧力室3Aと第2流体圧室に連通する第2外側圧力室3Bとに区画する仕切部24と、を有し、シリンダボディ22には、第1外側圧力室3Aとシリンダプレート25の第1シリンダポート5Aとを連通する第1連通ポート4Aと、第2外側圧力室3Bとシリンダプレート25の第2シリンダポート5Bとを連通する第2連通ポート4Bと、が形成される。
【0081】
また、電動流体圧シリンダ100では、油圧シリンダ10における第1連通ポート4Aと第2連通ポート4Bとのピッチと、バルブブロック40における第1バルブポート6Aと第2バルブポート6Bとのピッチとは、互いに一致するように形成される。
【0082】
この構成では、油圧シリンダ10とバルブブロック40とを直接連結して電動流体圧シリンダ100を構成することも可能である。よって、電動流体圧シリンダ100の配置レイアウトの自由度がさらに向上する。
【0083】
また、電動流体圧シリンダ100では、接続プレート50には、駆動ユニット30が取り付けられる被取付部材(ベース部102、移動部103)に当該駆動ユニット30を取り付けるための取付孔51が設けられる。
【0084】
この構成では、第1及び第2ホース配管61が接続される接続プレート50を、駆動ユニット30を取り付けるための取付部材としても機能させることができるため、部品点数を削減することができる。
【0085】
また、移動構造体101は、電動流体圧シリンダ100と、ベース部102と、電動流体圧シリンダ100によってベース部102に対して移動される移動部103と、を備え、電動流体圧シリンダ100は、電力供給によって回転する電動モータ31、当該電動モータ31によって駆動され作動油を吐出するポンプ32、及び作動流体を貯留するタンク33を一体的に備える駆動ユニット30と、駆動ユニット30から供給される作動油により伸縮作動する油圧シリンダ10と、駆動ユニット30と油圧シリンダ10との間で作動油を導く配管部材と、を備え、油圧シリンダ10は、シリンダチューブ21と、シリンダチューブ21に対して進退するピストンロッド12と、を有し、移動部103には、駆動ユニット30と油圧シリンダ10のシリンダチューブ21とが取り付けられ、ベース部102には、流体圧シリンダのピストンロッド12が取り付けられる。
【0086】
この構成では、それぞれ配管部材が接続される駆動ユニット30と油圧シリンダ10のシリンダチューブ21とは、同じ移動部103に取り付けられるため、移動部103とベース部102とが相対移動しても、相対的な位置関係は大きく変化しない。よって、駆動ユニット30とシリンダチューブ21との相対位置関係の変化を吸収するために配管部材を余分に長く構成する必要がないため、コスト低減することができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0088】
100…電動流体圧シリンダ、1…ロッド側室(第1圧力室)、2…ボトム側室、3…環状空間(空間)、3A…第1外側圧力室、3B…第2外側圧力室、4A…第1連通ポート、4B…第2連通ポート、5A…第1シリンダポート、5B…第2シリンダポート、6A…第1バルブポート、6B…第2バルブポート、7A…第1接続ポート、7B…第2接続ポート、10…油圧シリンダ(流体圧シリンダ)、11…ピストン、12…ピストンロッド、21…シリンダチューブ、22…アウターチューブ、24…仕切部、25…シリンダプレート(シリンダ接続部材)、30…駆動ユニット、31…電動モータ、32…ポンプ、33…タンク、40…バルブブロック、50…接続プレート(接続部材)、51…取付孔(取付部)、60…第1ホース配管(配管部材、第1配管)、61…第2ホース配管(配管部材、第2配管)、101…移動構造体、102…ベース部、103…移動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10