(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】偏平縫いミシンのガイド機構
(51)【国際特許分類】
D05B 35/10 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
D05B35/10
(21)【出願番号】P 2020124106
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】篠江 務
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-039781(JP,U)
【文献】特開2019-025266(JP,A)
【文献】特開2008-023165(JP,A)
【文献】特開昭57-075693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の被縫製物の端縁部同士を縫い合わせる偏平縫いミシンの針板の上面から当該針板上で被縫製物を押さえる押さえ足に向かって突出した被縫製物のガイドピンと、
前記押さえ足に設けられた、前記ガイドピンを挿入可能な被挿入部とを備え、
前記ガイドピンは、針穴に対して、前記被縫製物の送り方向上流側に配置され、さらに、前記針穴に対して、前記被縫製物の送り方向の隣に配置され、
前記ガイドピンは、
丸棒状であって、前記針板に形成された針穴に対して、前記被縫製物の送り方向における隣に配置されて
おり、縫製時に前記二枚の被縫製物の突き合わされた端縁部と端縁部との間に位置した状態とされることを特徴とする
偏平縫いミシンのガイド機構。
【請求項2】
二枚の被縫製物の端縁部同士を縫い合わせる偏平縫いミシンの針板上で被縫製物を押さえる押さえ足の下面から前記針板に向かって突出した被縫製物のガイドピンと、
前記針板に設けられた、前記ガイドピンを挿入可能な被挿入部とを備え、
前記被挿入部は、前記針板に形成された針穴に対して、前記被縫製物の送り方向における隣に配置され
、
前記ガイドピンは、前記針穴に対して、前記被縫製物の送り方向上流側に配置され、
前記ガイドピンは、丸棒状であって、縫製時に前記二枚の被縫製物の突き合わされた端縁部と端縁部との間に位置した状態とされることを特徴とする
偏平縫いミシンのガイド機構。
【請求項3】
前記ガイドピンの突出量を調節する調節部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の
偏平縫いミシンのガイド機構。
【請求項4】
前記ガイドピンは、前記被縫製物の送り方向上流側に位置する送り歯と下流側に位置する送り歯との間に配置されていることを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の
偏平縫いミシンのガイド機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏平縫いミシンのガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
偏平縫いミシンは、複数の縫い針によって送り方向に沿って複数の縫い目を形成することができる(例えば、特許文献1参照)。
このような偏平縫いミシンを用いて、生地と生地の端縁部を突き合わせた状態で縫い合わせる縫製が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、生地と生地の端縁部を突き合わせた状態で縫い合わせる縫製を行う場合、突き合わされる生地の端縁部から逸れて運針が行われると、縫い品質が大きく低下するため、縫製作業は技量が要求されるものとなっていた。
【0005】
本発明は、縫い品質の高い縫製を容易に実現可能とする偏平縫いミシンのガイド機構を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、偏平縫いミシンのガイド機構において、
二枚の被縫製物の端縁部同士を縫い合わせる偏平縫いミシンの針板の上面から当該針板上で被縫製物を押さえる押さえ足に向かって突出した被縫製物のガイドピンと、
前記押さえ足に設けられた、前記ガイドピンを挿入可能な被挿入部とを備え、
前記ガイドピンは、針穴に対して、前記被縫製物の送り方向上流側に配置され、さらに、前記針穴に対して、前記被縫製物の送り方向の隣に配置され、
前記ガイドピンは、丸棒状であって、前記針板に形成された針穴に対して、前記被縫製物の送り方向における隣に配置されており、縫製時に前記二枚の被縫製物の突き合わされた端縁部と端縁部との間に位置した状態とされることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、偏平縫いミシンのガイド機構において、
二枚の被縫製物の端縁部同士を縫い合わせる偏平縫いミシンの針板上で被縫製物を押さえる押さえ足の下面から前記針板に向かって突出した被縫製物のガイドピンと、
前記針板に設けられた、前記ガイドピンを挿入可能な被挿入部とを備え、
前記被挿入部は、前記針板に形成された針穴に対して、前記被縫製物の送り方向における隣に配置され、
前記ガイドピンは、前記針穴に対して、前記被縫製物の送り方向上流側に配置され、
前記ガイドピンは、丸棒状であって、縫製時に前記二枚の被縫製物の突き合わされた端縁部と端縁部との間に位置した状態とされることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の偏平縫いミシンのガイド機構において、
前記ガイドピンの突出量を調節する調節部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のミシンのガイド機構において、
前記ガイドピンは、前記被縫製物の送り方向上流側に位置する送り歯と下流側に位置する送り歯との間に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガイド機構は、針板の上面から押さえ足側に突出したガイドピンと、押さえ足に設けられた被挿入部とを備え、ガイドピンを針穴の隣に配置したので、針落ち位置のすぐ近くで二つの被縫製物の端縁部をガイドすることができ、被縫製物の端縁部が直線状ではない場合であっても、本来通過すべき軌跡に沿ってガイドすることができる。これにより、被縫製物の端縁部同士に隙間が生じることを抑制して、縫い品質の高い縫製を実現することが可能となる。
また、ガイド機構が二つの被縫製物の端縁部を誘導するので、縫製に際し、高い技量が要求されず、縫製作業負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】発明の実施形態であるミシンのガイド機構の斜視図である。
【
図2】ガイド機構の針板側の構成を示した斜視図である。
【
図3】ガイド機構が設けられた押さえ足と針板の側面視の断面図である。
【
図5】比較例であるガイド機構が設けられた押さえ足の側面視の断面図である。
【
図6】比較例であるガイド機構が設けられた押さえ足の側面視の斜視図である。
【
図7】実施例であるガイド機構を使用して偏平縫いを行った状態を示す左布及び右布の平面図である。
【
図8】比較例であるガイド機構を使用して偏平縫いを行った状態を示す左布及び右布の平面図である。
【
図9】他の例であるガイド機構が設けられた押さえ足と針板の側面視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明の実施形態の概略]
本発明の実施形態であるミシンのガイド機構10について図面を参照して説明する。
図1はミシンのガイド機構10(以下、単にガイド機構10とする)の斜視図、
図2はガイド機構10の針板120側の構成を示した斜視図、
図3はガイド機構10が設けられた押さえ足110と針板120の側面視の断面図である。
なお、以下の説明では、布送り方向をX軸方向、針板120上で布送り方向に直交する方向をY軸方向、鉛直上下方向をZ軸方向とする。
また、布送り方向下流側を「前」、布送り方向上流側を「後」、前を向いた状態で左手側を「左」、同状態で右手側を「右」とする。
【0014】
[偏平縫い]
ガイド機構10は、いわゆる偏平縫いミシンに搭載される。
偏平縫いミシンは、複数の縫い針101(四本を例示する。
図2参照)と、針板120の下方で各縫い針101の目穴に挿通された各針糸T1~T4のループに先端部が挿入されるルーパー(図示略)と、針板120の上方で縫い針101の並び方向に沿って飾り糸T5を誘導して針糸T1~T4に交絡させるスプレッダ(図示略)とを備えている(
図7参照)。
そして、ミシンは、布送り方向に沿った針糸T1~T4による四本の縫い目と、被縫製物の上面で布送り方向に交差する方向に沿って往復する飾り糸T5の縫い目と、被縫製物の下面で各針糸T1~T4に交絡するルーパー糸の縫い目とを形成して偏平縫いを実行する。
【0015】
上記偏平縫いは、送り方向に対して交差する方向に渡る飾り糸T5とルーパー糸の縫い目を形成することから、二枚の被縫製物(左布LCと右布RCとする。
図7参照)の端縁部同士を縫い合わせることができる。
ガイド機構10は、上記偏平縫いにおいて、ミシンの針板120上で互いの端縁部の縫い合わせが行われる左布LCと右布RCが送り歯132~137により搬送される際に、縫い合わせが行われる端縁部の形状に沿って良好に送りが行われるように、左布LC及び右布RCを案内する。
【0016】
[針板]
上記ガイド機構10は、押さえ足110と針板120の間に設けられる。
針板120は、図示しないミシンベッド部上面における針落ち位置に取り付けられている矩形の平板である。そして、針板120には、
図2に示すように、四本の縫い針101が針落ちを行う四つの針穴121がY軸方向に沿って並んで形成されている。
さらに、四つの針穴121の左右両側にはそれぞれ針穴121の後方から針穴121の前方に渡ってX軸方向に沿った開口122,123が形成されている。
また、四つの針穴121の後側にはX軸方向に沿った開口124,125が二本並んで形成されており、四つの針穴121の前側にはX軸方向に沿った開口126,127が二本並んで形成されている。
【0017】
そして、左右の開口122,123の内側には左右の送り歯132,133が配置されており、後側の開口124,125の内側には後側の送り歯134,135が配置されており、前側の開口126,127の内側には前側の送り歯136,137が配置されている。
各送り歯132~137は、いずれもX-Z平面に沿った長円運動を行い、開口122~127から突出する際に前方に移動して、針板120上の左布LCと右布RCを前方に送る。
【0018】
[押さえ足]
押さえ足110は、
図1及び
図3に示すように、Y軸方向に沿ったピン102を介して押さえ棒103に連結されている。
そして、押さえ足110は、前端部近傍の上面には、押さえ棒103との連結部111が設けられている。
さらに、押さえ足110は、X-Y平面に沿った平坦部112を有し、その後端側には後方に向かうにつれて上方に向かう勾配部113が設けられ、その前端側は前方に向かうにつれて上方に向かう勾配部114が設けられている。
また、押さえ足110の平坦部112は、四本の縫い針101を遊挿可能な針開口部115が上下に貫通形成されている。
【0019】
なお、押さえ足110を支持する押さえ棒103は、ミシンアーム部内において、図示しない押圧バネにより下方に押圧されており、これによって押さえ足110が、針板120上の左布LCと右布RCに対する下方への押さえ圧を付与する。
そして、押さえ足110は、例えば、図示しない押さえ解除レバーにより、押圧バネに抗して上方に引き上げることが可能となっている。或いは、押さえ棒103を図示しないアクチュエーターに接続し、解除指令を与えることで、押さえ足110を押圧バネに抗して上方に引き上げ可能となるように構成してもよい。
【0020】
[ガイド機構]
ガイド機構10は、
図1~
図3に示すように、針板120の上面から押さえ足110側に突設されたガイドピン20と、押さえ足110に設けられた、ガイドピン20を挿入可能な被挿入部30とを備えている。
【0021】
ガイドピン20は、丸棒状であって、四つの針穴121の隣において上方に向かって立設した状態で設けられている。このガイドピン20は、四つの針穴121のすぐ後側(送り方向上流側)に配置されている。
なお、この場合の「隣」とは、針穴121とガイドピン20との間に他の部材や他の構造が設けられていない状態をいう。また、針穴121とガイドピン20とは、X軸方向について極力近くに配置することが望ましい。
また、ガイドピン20は、必要強度が確保可能な範囲内でなるべく小径とすることが好ましい。
【0022】
図4はガイドピン20の周辺の拡大断面図である。図示のように、ガイドピン20は、針板120に形成された支持孔21に挿入支持されており、支持孔21に直交する方向に螺入された頭無しネジからなる止めネジ22により上下に移動しないように固定されている。
そして、止めネジ22を緩めると、ガイドピン20は上下に突出量を調節することができる。つまり、支持孔21と止めネジ22とより、ガイドピン20の突出量を調節する調節部を構成している。
【0023】
被挿入部30は、押さえ足110の平坦部112を上下に貫通する、ガイドピン20を挿入可能な貫通孔からなり、前述した針開口部115の隣であってすぐ後側(送り方向上流側)に形成されている。
なお、この場合も「隣」とは、針開口部115と被挿入部30との間に他の部材や他の構造が設けられていない状態をいう。また、針開口部115と被挿入部30とは、X軸方向について極力近くに配置することが望ましい。
【0024】
この被挿入部30に対して、針板120から立設されたガイドピン20が下方から挿入されている。
押さえ足110は、針板120上で左布LCと右布RCを上から押さえている状態において、押さえられた状態の左布LC又は右布RCの厚さ分だけ上昇する。この押さえ足110の上昇状態において、ガイドピン20が縫製中に被挿入部30から容易に抜け出てしまわない長さ分だけ、針板120の上面から突出するように調節部により調節されている。
例えば、左布LC及び右布RCの厚さが既値である場合には、(左布LC又は右布RCの厚さ)+(押さえ足110の平坦部112の厚さ)+(針板120の上面からの各送り歯132~136の最大突出量)の合計値以上となるようにガイドピン20の突出量は調節される。
また、左布LC又は右布RCの厚さが既値ではない場合には、(想定される左布LC又は右布RCの最大厚さ)+(押さえ足110の平坦部112の厚さ)+(針板120の上面からの各送り歯132~136の最大突出量)の合計値以上とすることが好ましい。
【0025】
また、上記ガイドピン20及び被挿入部30は、X軸方向について、後側(送り方向上流側)に位置する送り歯134,135と前側(送り方向下流側)に位置する送り歯136,137との間に配置されている。
【0026】
[ガイド機構によるガイド動作]
偏平縫いミシンの縫製時において、上記ガイド機構10のガイドピン20は、押さえ足110により上から押さえられた左布LCと右布RCの互いに突き合わされた端縁部と端縁部との間に位置し、この状態で左布LC及び右布RCは、各送り歯132~136によって前方に送られる。
その結果、ガイドピン20が左布LCと右布RCの端縁部をなぞるように左布LCと右布RCとが送られるため、左布LCと右布RCの端縁部の形状が平面視で直線状ではない場合、例えば、曲線状であるような場合でもその形状に沿って左布LCと右布RCをガイドすることができ、端縁部の形状に沿って良好な高品質の偏平縫いが行われる。
【0027】
[発明の実施形態の技術的効果]
上記ガイド機構10の技術的効果について、比較例となるガイド機構10Xとの比較に基づいて説明する。
図5はガイド機構10Xが設けられた押さえ足110の側面視の断面図、
図6は斜視図である。
【0028】
比較例のガイド機構10Xは、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部との間に介挿されるX-Z平面に沿ったガイド板から構成されている。押さえ足110は、平坦部112によって左布LCの端縁部と右布RCとを上から押さえる機能上、平坦部112の下面側にガイド機構10Xを設けることができず、針落ち位置から離隔した勾配部113にしか設けることができない。
ガイド機構10Xは、X-Z平面に沿った平板状である点、針落ち位置から離隔した配置である点等について、ガイド機構10と異なっている。この場合、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部が直線形状であれば問題は生じないが、端縁部が曲線状等のように直線状ではない場合に、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部を本来通過すべき軌跡から逸れた位置に誘導してしまい、縫い品質の低下を招くおそれがある。
【0029】
図7はガイド機構10を使用して偏平縫いを行った状態を示す左布LC及び右布RCの平面図、
図8はガイド機構10Xを使用して偏平縫いを行った状態を示す左布LC及び右布RCの平面図である。
ガイド機構10の場合は、X軸方向について幅が小さいガイドピン20が左布LCの端縁部と右布RCの端縁部をガイドすることに加えて、押さえ足110側に被挿入部30を設けることでガイドピン20を針穴121の隣に配置することができ、針落ち位置に最大限に近づけることができる。このため、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部を本来通過すべき軌跡に沿ってガイドすることができる。従って、
図7に示すように、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部との間に隙間を生じさせることなく密着状態で縫着させることが可能となる。
これに対して、ガイド機構10Xは、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部を本来通過すべき軌跡から逸れた位置にガイドする場合があり、
図8に示すように、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部との間に隙間を生じさせてしまう。
なお、
図7及び
図8は、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部とがいずれも直線状に図示されているが、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部とが曲線状である場合には、ガイド機構10Xの場合には、隙間の発生がより顕著となる。
【0030】
このように、ガイド機構10は、針板120の上面から上方に突出したガイドピン20と、押さえ足110に設けられた被挿入部30とを備え、ガイドピン20を針穴121の隣に配置したので、針落ち位置のすぐ近くで左布LCの端縁部と右布RCの端縁部をガイドすることができ、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部が直線状ではない場合であっても、本来通過すべき軌跡に沿ってガイドすることができ、左布LCの端縁部と右布RCの端縁部に隙間が生じることを抑制して、縫い品質の高い縫製を実現することが可能となる。
また、ガイド機構10が左布LCの端縁部と右布RCの端縁部とを誘導するので、縫製に際し、高い技量が要求されず、縫製作業負担を軽減することが可能となる。
【0031】
また、ガイド機構10は、ガイドピン20の突出量を調節する調節部を備えているので、その突出量を適正に調節することが可能である。
これにより、縫製中には安定的に左布LCの端縁部と右布RCの端縁部とをガイドすることができ、縫い終わり時等に針板120上から左布LCと右布RCとを除去する際には、作業の妨げとならない最小限の突出量とすることもでき、縫製中の安定性と作業性とのバランスをとることが可能となる。
【0032】
また、ガイド機構10のガイドピン20は、針穴121に対して、左布LCと右布RCの送り方向上流側(後側)に配置されているので、ガイドピン20が縫製作業の妨げとならず、良好な縫製作業を行うことが可能となる。
【0033】
さらに、ガイド機構10のガイドピン20は、左布LCと右布RCの送り方向上流側(後側)に位置する送り歯134,135と下流側(前側)に位置する送り歯136,137との間に配置されているので、ガイドピン20に対して、左布LCと右布RCは、前後両側から送り動作が付与されるため、各々の端縁部をより効果的にガイドピン20に沿わせることができ、より縫い品質の高い縫製を行うことが可能となる。
【0034】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られず、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、ガイド機構10のガイドピン20を針板120に設け、被挿入部30を押さえ足110に設けたが、
図9のガイド機構10Aに示すように、ガイドピン20Aを押さえ足110の平坦部112の下面側において下方に向けて設けてもよい。また、この場合、被挿入部30Aは、針板120の針穴121の隣後方に配置しても良い。
また、この場合も、ガイドピン20Aは、押さえ足110に形成された支持孔に頭無しネジからなる止めネジにより固定可能とし、止めネジを緩めることでガイドピン20Aの突出量を調節可能としてもよい。
これらの構成により、ガイド機構10Aはガイド機構10と同一の技術的効果を得ることが可能である。
【0035】
また、被挿入部30,30Aは、ガイドピン20,20Aを挿入可能な貫通孔としたが、ガイドピン20,20Aを挿入可能であれば貫通孔でなくともよい。例えば、被挿入部30,30Aは、十分な深さを有する有底穴でもよいし、ガイドピン20,20Aを挿入可能な切り欠きや凹部であっても良い。
【符号の説明】
【0036】
10,10A,10X ガイド機構
20,20A ガイドピン
21 支持孔
22 止めネジ
30,30A 被挿入部
101 縫い針
110 押さえ足
112 平坦部
113,114 勾配部
115 針開口部
120 針板
121 針穴
122~127 開口
132~137 送り歯
LC 左布(被縫製物)
RC 右布(被縫製物)
T1~T4 針糸
T5 飾り糸