(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240626BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240626BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240626BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20240626BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20240626BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20240626BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20240626BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01L29/78 654C
H01L29/78 653A
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652T
H01L29/86 301F
H01L29/86 301D
H01L29/06 301D
H01L29/78 652C
H01L29/78 652B
H01L29/48 F
H01L29/50 M
H01L29/44 Y
H01L21/28 301R
(21)【出願番号】P 2020125240
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2020025596
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】井口 智明
(72)【発明者】
【氏名】雁木 比呂
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇介
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】高尾 和人
(72)【発明者】
【氏名】飯島 良介
(72)【発明者】
【氏名】清水 達雄
(72)【発明者】
【氏名】西脇 達也
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-007571(JP,A)
【文献】特開平09-008300(JP,A)
【文献】特開平02-188967(JP,A)
【文献】特開2016-171324(JP,A)
【文献】特開2012-204590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28、29/06、
29/12、29/41、
29/417、29/47、
29/78、29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部と、
第2導電部であって、前記第1導電部から前記第2導電部への方向は、第1方向に沿う、前記第2導電部と、
第1導電形の第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域及び第3部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第2部分領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第3部分領域は前記第1方向において前記第1部分領域と前記第2導電部と、の間にあり、前記第3部分領域は前記第2導電部と対向する対向面を含み、前記第3部分領域と前記第2導電部はショットキー接触する、前記第1半導体領域と、
第3導電部であって、前記対向面から前記第3導電部への方向は、前記第2方向に沿う、前記第3導電部と、
第1絶縁領域を含む第1絶縁部であって、前記第1絶縁領域の少なくとも一部は、前記対向面と前記第3導電部と、の間にある、前記第1絶縁部と、
を備え、
前記第2導電部は、第1導電領域及び第2導電領域を含み、
前記第1導電領域は、前記第1方向において、前記第3部分領域と前記第2導電領域との間にあり、
前記第2導電領域は、第1金属元素を含み、
前記第3部分領域は、シリコンを含み、
前記第1導電領域は、前記第1金属元素を含むシリサイドを含み、
前記第2導電領域の少なくとも一部における前記第1導電形の不純物の濃度は、前記第1導電領域の少なくとも一部における前記不純物の濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁領域は、前記第2導電部と前記第3導電部とを電気的に絶縁し、前記第3部分領域と前記第3導電部とを電気的に絶縁する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3部分領域の一部から前記第3導電部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2導電部の少なくとも一部から前記第3導電部への方向は、前記第2方向に沿う、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3部分領域は、第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域は、前記第1方向において、前記第2領域と前記第2導電部との間にあり、
前記第1領域における前記第1導電形の不純物の濃度は、前記第2領域における前記第1導電形の不純物の濃度よりも高い、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1領域の前記第1方向に沿う厚さは、1nm以上20nm以下である、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
第4導電部をさらに備え、
前記第1半導体領域は、第4部分領域をさらに含み、
前記第2方向において、前記第2部分領域は、前記第1部分領域と前記第4部分領域との間にあり、
前記第4部分領域から前記第4導電部への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第3部分領域の少なくとも一部から前記第4導電部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1絶縁部は、第2絶縁領域を含み、
前記第2絶縁領域は、前記第2方向において前記第3部分領域の前記少なくとも一部と、前記第4導電部との間にある、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第4導電部は、前記第2導電部と電気的に接続された、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
第5導電部をさらに備え、
前記第1方向において、前記第3部分領域と前記第5導電部の少なくとも一部との間に前記第2導電部があり、
前記第5導電部は、前記第2導電部及び前記第4導電部と電気的に接続された、請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1部材をさらに備え、
前記第2部分領域から前記第1部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第3部分領域の少なくとも一部から前記第1部材への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1絶縁部は、第2絶縁領域を含み、
前記第2絶縁領域は、前記第2方向において前記第3部分領域の前記少なくとも一部と、前記第1部材との間にあり、
前記第1部材は、前記第2導電部と電気的に接続され、
前記第1部材は、第1材料、第2材料、第3材料、第4材料、第5材料及び第6材料よりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1材料は、Si、N及びOを含み、
前記第2材料は、Si-Nの結合、N-Oの結合、及び、N-Nの結合を含み、
前記第3材料は、Si-Nの結合、N-Hの結合、及び、N-Nの結合を含み、
前記第4材料は、Siと、Cと、第1元素と、を含み、前記第1元素は、B及びNよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5材料は、Siと、Oと、第2元素と、を含み、前記第2元素は、Fe、Au、Ni、Ta、W及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第6材料は、第3元素及び第4元素を含み、前記第3元素は、In、Al及びGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記第4元素は、P、As、B、Fe、Au、Ni、Ti、Ta、W及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1導電部と、第2導電部と、第1半導体領域と、第3導電部と、第1絶縁部と、を含む。前記第1導電部から前記第2導電部への方向は、第1方向に沿う。前記第1半導体領域は、第1導電形である。前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域及び第3部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第2部分領域への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第3部分領域は前記第1方向において前記第1部分領域と前記第2導電部と、の間にある。前記第3部分領域は前記第2導電部と対向する対向面を含む。前記第3部分領域と前記第2導電部はショットキー接触する。前記対向面から前記第3導電部への方向は、前記第2方向に沿う。前記第1絶縁部は、第1絶縁領域を含む。前記第1絶縁領域の少なくとも一部は、前記対向面と前記第3導電部と、の間にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1導電部51、第2導電部52、第3導電部53、第1半導体領域11及び第1絶縁部41を含む。
【0009】
第1導電部51から第2導電部52への方向は、第1方向に沿う。第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第1半導体領域11は、第1導電形である。第1導電形はn形及びp形の一方である。以下では、第1導電形をn形とする。
【0011】
第1半導体領域11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b及び第3部分領域11cを含む。第1部分領域11aから第2部分領域11bへの第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、Y軸方向である。
【0012】
第3部分領域11cは、第1方向(Z軸方向)において、第1部分領域11aと第2導電部52と、の間にある。第3部分領域11cは、第2導電部52と対向する対向面F1を含む。第3部分領域11cと第2導電部52はショットキー接触する。
【0013】
対向面F1から第3導電部53への方向は、第2方向(例えばY軸方向)に沿う。
【0014】
第1絶縁部41は、第1絶縁領域41aを含む。第1絶縁領域41aの少なくとも一部は、対向面F1と第3導電部53と、の間にある。例えば、第1絶縁部41(例えば第1絶縁領域41a)は、第2導電部52と第3導電部53とを電気的に絶縁する。例えば、第1絶縁部41(例えば第1絶縁領域41a)は、第3部分領域11cと第3導電部53とを電気的に絶縁する。
【0015】
例えば、第3部分領域11cの一部から第3導電部53への方向は、第2方向(例えばY軸方向)に沿っても良い。第2導電部52の少なくとも一部から第3導電部53への方向は、第2方向に沿っても良い。
【0016】
例えば、第3導電部53の電位を制御することで、第1導電部51と第2導電部52との間に流れる電流が制御される。第1導電部51は、例えばドレイン電極として機能する。第2導電部52は、ソース電極の少なくとも一部として機能する。第3導電部53は、例えばゲート電極として機能する。第1絶縁領域41aは、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。半導体装置110は、例えば、縦型のトランジスタである。
【0017】
半導体装置110において、第3部分領域11cと第2導電部52との界面にショットキー障壁が形成される。第3導電部53の電位により、ショットキー障壁の厚さ(Z軸方向における距離)が制御できる。ショットキー障壁が厚いときには電流が実質的に流れない。これにより、オフ状態が得られる。第3導電部53の電位を制御することで、ショットキー障壁が薄くなり、例えば、トンネル電流が流れる。トンネル電流が流れることで、オン状態が得られる。実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0018】
例えば、pnp構造を有する縦型の参考例のトランジスタがある。この場合、ソース電極のコンタクト部に生じるボディダイオードは、pn接合を含む。このため、リカバリに長い時間を要する。
【0019】
これに対して、実施形態においては、第3部分領域11cと第2導電部52とを含む領域(ショットキー接触を含む領域)が、ボディダイオードとなる。実施形態においては、ボディダイオードがショットキーダイオードであるため、リカバリを高速化できる。
【0020】
pnp構造を用いる参考例においては、第1n領域、p領域及び第2n領域を含む領域と、ゲート電極と、が対向する。このため、ゲート長が長い。
【0021】
これに対して、実施形態においては、第3導電部53は、第3部分領域11cと第2導電部52との界面(例えば対向面F1)に対向すれば良い。このため、ゲート長が短い。これにより、ゲート総電荷量(Qg)が小さい。ゲート容量が小さい。これにより、高速のスイッチングが得られる。損失が小さい。例えば、ゲート容量(Cg)、及び、ゲート・ドレイン間容量(Cgd)が小さくなる。これにより、ゲート総電荷量(Qg)、及び、ゲート・ドレイン間電荷量(Qgd)が低減する。これにより、ゲートドライバの損失を低減できる。例えば、スイッチングを高速化できる。例えば、ターンオン損失、及び、ターンオフ損失を抑制できる。
【0022】
第3導電部53は、対向面F1に加えて、第3部分領域11cの一部及び第2導電部52の一部と対向しても良い。例えば、第3導電部53の厚さ(第1方向すなわちZ軸方向に沿う長さ)は薄くても良い。第3導電部53の厚さは、例えば、100nm以下でも良い。
【0023】
pnp構造を用いる参考例においては、合わせずれを考慮するため、ソースコンタクト部分の幅(Y軸方向の長さ)を縮小することが困難である。このため、複数のソースコンタクトのピッチを縮小することが困難である。
【0024】
これに対して、実施形態においては、トレンチコンタクトは不要である。第2導電部52は第3部分領域11cと接する構造が設けられるだけで良い。実施形態においては、複数のソースコンタクトのピッチを縮小することが容易になる。例えば、小型で低抵抗の半導体装置を提供できる。
【0025】
pnp構造を用いる参考例においては、寄生バイポーラ構造がある。例えば、ドレイン側から注入されるホール電流が過度に大きくなると、アバランシェ破壊が生じ易い。
【0026】
これに対して、実施形態においては、寄生バイポーラ構造が無い。このため、例えば、高いアバランシェ耐圧が得られる。
【0027】
このように、実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0028】
図1に示すように、第1半導体領域11は、第4部分領域11d及び第5部分領域11eを含んでも良い。第2方向(Y軸方向)において、第2部分領域11bは、第1部分領域11aと第4部分領域11dとの間にある。
【0029】
第5部分領域11eは、第1導電部51と第1部分領域11aとの間に設けられる。この例では、第5部分領域11eは、第1導電部51と第2部分領域11bとの間、及び、第1導電部51と第4部分領域11dとの間にも設けられる。第5部分領域11eにおける第1導電形の不純物濃度は、第1部分領域11aにおける第1導電形の不純物濃度よりも高い。第5部分領域11eは、例えば、n+領域である。第1~第4部分領域11a~11dは、例えば、n領域である。第5部分領域11eが設けられることで、第1半導体領域11と第1導電部51との間において、良好な電気的な接続が得られる。
【0030】
図1に示すように、半導体装置110は、第4導電部54を含んでも良い。第4部分領域11dから第4導電部54への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。第3部分領域11cの少なくとも一部から第4導電部54への方向は、第2方向(例えばY軸方向)に沿う。第1絶縁部41は、第2絶縁領域41bを含む。第2絶縁領域41bは、第2方向(例えばY軸方向)において、第3部分領域11cの少なくとも一部と、第4導電部54と、の間にある。例えば、第2絶縁領域41bは、第3部分領域11cと第4導電部54とを電気的に絶縁する。
【0031】
例えば、第4導電部54は、第2導電部52と電気的に接続される。または、第4導電部54は、第2導電部52と電気的に接続されることが可能でも良い。この例では、配線54Lにより、第4導電部54は、第5導電部55を介して第2導電部52と電気的に接続される。配線54Lに端子が設けられ、半導体装置110の外部で、端子と第2導電部52とが電気的に接続されても良い。
【0032】
第4導電部54の電位は、第2導電部52の電位(例えばソース電位)に設定される。第4導電部54を設けることで、第1半導体領域11における電界が制御できる。例えば、局所的な電界の集中が抑制できる。例えば、高い信頼性が得やすくなる。
【0033】
図1に示すように、第1方向(Z軸方向)において、第3部分領域11cと第5導電部55の少なくとも一部との間に第2導電部52がある。第5導電部55は、第2導電部52及び第4導電部54と電気的に接続される。
【0034】
図1に示すように、半導体装置110は、第2絶縁部42を含んでも良い。第3導電部53は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第5導電部55との間にある。第2絶縁部42の少なくとも一部は、第1方向(Z軸方向)において、第3導電部53と、第5導電部55の少なくとも一部と、の間にある。この例では、第3導電部53は、第1方向において、第2絶縁領域41bと、第2絶縁部42の少なくとも一部と、の間にある。
【0035】
実施形態において、第1半導体領域11は、例えば、シリコン(Si)、窒化物半導体(例えばGaNなど)、炭化珪素(SiC)、及び、酸化物半導体(例えばGaO)よりなる群から選択された少なくとも1つを含んで良い。第1半導体領域11がシリコンを含む場合、第1導電形の不純物は、例えば、リン、ヒ素及びアンチモンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0036】
1つの例において、第1半導体領域11の第3部分領域11cがシリコンを含む場合、第2導電部52は、Ti、W、Mo、Ta、Zr、Al、Sn、V、Re、Os、Ir、Pt、Pd、Rh、Ru、Nb、Sr及びHfよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0037】
第3導電部53及び第4導電部54は、例えば、ポリシリコン及び金属の少なくともいずれかを含んで良い。第5導電部55は、例えば、Al、Cu、Mo、W、Ta、Co、Ru、Ti及びPtよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1導電部51は、例えば、Al、Cu、Mo、W、Ta、Co、Ru、Ti及びPtなどを含む。
【0038】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図2は、第2導電部52を含む領域の拡大図である。
【0039】
図2に示すように、第3部分領域11cは、第1領域r1及び第2領域r2を含んでも良い。第1領域r1は、第1方向(Z軸方向)において、第2領域r2と第2導電部52との間にある。第1領域r1における第1導電形の不純物の濃度は、第2領域r2における第1導電形の不純物の濃度よりも高い。第1領域r1は、例えばn
+領域である。第2領域r2は、例えば、n領域である。第1領域r1は、薄い。1つの例において、第1領域r1の第1方向に沿う厚さは、1nm以上20nm以下である。
【0040】
第1領域r1を設けることで、例えば、オン時のショットキー障壁の厚さ(Z軸方向に沿う長さ)を薄くできる。これにより、オン電流を大きくできる。
【0041】
図2に示すように、第2導電部52は、第1導電領域c1及び第2導電領域c2を含んでも良い。第1導電領域c1は、第1方向(Z軸方向)において、第3部分領域11cと第2導電領域c2との間にある。
【0042】
例えば、第2導電領域c2は、第1元素を含む。第3部分領域11cは、第2元素を含む。第1導電領域c1は、第1元素と第2元素とを含む化合物を含む。例えば、第2導電領域c2は、第1金属元素を含む。第3部分領域11cは、シリコンを含む。第1導電領域c1は、第1金属元素を含むシリサイドを含む。第1金属元素は、例えばTi、W、Mo、Ta、Zr、Al、Sn、V、Re、Os、Ir、Pt、Pd、Rh、Ru、Nb、Sr及びHfよりなる群から選択された少なくとも1つである。
【0043】
上記のような第1導電領域c1及び第2導電領域c2を設けることで、高濃度で第1導電形の不純物を含む第1領域r1が形成し易い。
【0044】
1つの例において、第3部分領域11cとなるシリコン層の上に、第2導電部52となる金属層が形成される。金属層は、第1導電形の不純物を含む。例えば、熱処理などにより、金属層のシリコン層の側の部分にシリサイド領域が形成される。このとき、シリサイド領域が形成される前のシリコン層に含まれる不純物は、シリサイド領域から下方(第1導電部51への向き)に移動する。これにより、第3部分領域11cの、シリサイド領域に対向する部分に、高い濃度で不純物を含む領域(例えば第1領域r1)が形成される。
【0045】
1つの例において、第3部分領域11cとなるシリコン層の上に、第2導電部52となる金属層が形成され、金属層を介して、シリコン層の一部に第1導電形の不純物が導入されても良い。シリコン層の、金属層に対向する部分に、高い濃度で不純物を含む領域(例えば第1領域r1)が形成される。例えば、第2導電領域c2の少なくとも一部における第1導電形の不純物の濃度は、第1導電領域c1の少なくとも一部における不純物の濃度よりも高くても良い。
【0046】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式図である。
図3は、第3部分領域11c及び第2導電部52を含む領域における不純物のプロファイルを例示している。
図3の横軸は、Z軸方向における位置pZである。縦軸は、第1導電形の不純物の濃度Cn1である。
【0047】
図3に示すように、第1領域r1における不純物の濃度Cn1は、第2領域r2における不純物の濃度Cn1よりも高い。
【0048】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、実施形態に係る半導体装置111においては、第1半導体領域11の構成が、半導体装置110における第1半導体領域11の構成と異なる。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様である。
【0049】
半導体装置111においては、第4部分領域11dにおける第1導電形の不純物濃度は、第3部分領域11cにおける第1導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第1部分領域11aにおける第1導電形の不純物濃度は、第3部分領域11cにおける第1導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第2部分領域11bにおける第1導電形の不純物濃度は、第3部分領域11cにおける第1導電形の不純物濃度よりも高い。半導体装置111においても、特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0050】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る半導体装置112においては、第2絶縁部42は、複数の第3導電部53のそれぞれに設けられる。例えば、第5導電部55は、2つの第2絶縁部42の間を通過して、第4導電部54と接する。半導体装置112におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様である。半導体装置112においても、特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0051】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置113においては、
図1に例示した複数の構造が、Y軸方向に並ぶ。この例では、複数の第4導電部54のピッチよりも、複数の第2導電部52のピッチが小さい。このような構造を用いることにより、例えば、ショットキー接触を含む部分のオン時の抵抗を下げつつ、ドリフト部(例えば、第1半導体領域11)のオン抵抗を下げることができる。
【0052】
半導体装置113において、複数の第2導電部52と、複数の第4導電部54と、が設けられる。複数の第2導電部52の1つの第2方向(Y軸方向)における位置、及び、複数の第2導電部52の別の1つの第2方向における位置は、複数の第4導電部54の1つの第2方向における位置と、複数の第4導電部54の別の1つの第2方向における位置と、の間にある。複数の第4導電部54の上記の別の1つは、複数の第4導電部54の上記の1つの隣である。
【0053】
第4導電部54を含む部分と、第2導電部52を含む部分と、が別に作製され、これらの2つの部分が互いに接合されることで、上記の半導体装置113が製造されても良い。
【0054】
または、第4導電部54を含む部分を形成した後、絶縁部の間の半導体領域から半導体層を再成長させて第2導電部52及び第3導電部53を含む部分が形成されても良い。再成長は、例えば横方向成長を含む。このような手法によって半導体装置113が製造されても良い。
【0055】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る半導体装置114は、第2半導体領域12を含む。半導体装置114におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。
【0056】
第2半導体領域12は、第2導電形(例えばp形である)。第2半導体領域12は、第1方向(Z軸方向)において、第3部分領域11cの一部と、第2導電部52と、の間にある。第3部分領域11cの別の一部は、第2方向(例えばY軸方向)において、第2半導体領域12と第1絶縁領域41aとの間にある。
【0057】
第2半導体領域12が設けられることで、例えば、リーク電流を小さくできる。第2半導体領域12がシリコンを含む場合、第2導電形の不純物は、例えば、ホウ素、ガリウム及びインジウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0058】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係る半導体装置115においては、Z軸方向において、1つの第3導電部53は、第1絶縁部41の2つの領域、及び、第4導電部54と重なる。第4導電部54と第3導電部53との間に、第3絶縁部43が設けられる。半導体装置115におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。半導体装置115においても、特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0059】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9に示すように、実施形態に係る半導体装置116は、第1導電部51、第2導電部52、第3導電部53、第1半導体領域11及び第1絶縁部41に加えて、第1部材61を含む。半導体装置116におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。
【0060】
図9に示すように、第1半導体領域11は、第1~第4部分領域11a~11dを含む。この例では、第1半導体領域11は、第5部分領域11eをさらに含む。第2方向(Y軸方向)において、第2部分領域11bは、第1部分領域11aと第4部分領域11dとの間にある。第4部分領域11dから第1部材61への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。第3部分領域11cの少なくとも一部から第1部材61への方向は、第2方向(Y軸方向)に沿う。第1絶縁部41は、第2絶縁領域41bを含む。第2絶縁領域41bは、第2方向(Y軸方向)において、第3部分領域11cの少なくとも一部と、第1部材61との間にある。
【0061】
例えば、第1部材61は、第2導電部52と電気的に接続される。または、第1部材61は、第2導電部52と電気的に接続されることが可能である。例えば、配線61Lにより第1部材61が、第5導電部55を介して第2導電部52と電気的に接続されても良い。例えば、配線61Lに端子61Tが設けられ、端子61Tと第2導電部52とが半導体装置116の外部で接続されても良い。
【0062】
第1部材61の抵抗率は、第4部分領域11dの抵抗率よりも高く、第2絶縁領域41bの抵抗率よりも低い。例えば、第1部材61の抵抗率は、5×107Ωm以上8×1011Ωm以下である。
【0063】
実施形態によれば、例えば、オフ時に第1部材61に微小な電流が流れることが可能である。これにより、例えば、第3部分領域11cにおける電界を均一化できる。例えば、ソース-ドレイン間の電荷量Qossを低減できる。これにより、例えば、損失を抑制できる。例えば、消費電力を低減できる。例えば、ゲート絶縁膜に印加される電界を低減できる。例えば、高い信頼性が得られる。実施形態によれば、例えば、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0064】
第1部材61は、以下のような各種の材料を含んでもよい。第1部材61は、例えば、第1材料、第2材料、第3材料、第4材料、第5材料及び第6材料よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1材料は、例えば、Si、N及びOを含む。
【0065】
第2材料は、例えば、Si、N及びOを含む。第2材料は、例えば、Si-Nの結合、N-Oの結合、及び、N-Nの結合を含む。第2材料は、例えば、酸素ドープされたSIPOS(Semi-insulating Poly-crystalline Silicon)を含む。第2材料は、例えば、SiH4、N2O、及び、N2の混合材料である。
【0066】
第3材料は、Si、N及びOを含む。第3材料は、例えば、Si-Nの結合、N-Hの結合、及び、N-Nの結合を含む。第3材料は、例えば、窒素ドープされたSIPOSである。第3材料は、SiH4、NH3、及び、N2の混合材料である。
【0067】
第4材料は、例えば、Siと、Cと、第1元素と、を含む。第1元素は、B及びNよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5材料は、例えば、Siと、Oと、第2元素と、を含む。第2元素は、Fe、Au、Ni、Ta、W及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第6材料は、例えば、第3元素及び第4元素を含む。第3元素は、In、Al及びGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4元素は、P、As、B、Fe、Au、Ni、Ti、Ta、W及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0068】
このような材料により、例えば、第1部材61は、適切な抵抗率を有することができる。これにより、上記のように、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0069】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10に示すように、実施形態に係る半導体装置120は、第1導電部51、第2導電部52、第1半導体領域11、第2半導体領域12、第3導電部53及び第1絶縁部41を含む。
【0070】
第1導電部51から第2導電部52への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。
【0071】
第1半導体領域11は、第1導電形(例えばn形)である。第1半導体領域11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b及び第3部分領域11cを含む。第1部分領域11aから第2部分領域11bへの第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、Y軸方向である。第3部分領域11cは、第1方向(Z軸方向)において、第1部分領域11aと第2導電部52と、の間にある。
【0072】
第2半導体領域12は、第3部分領域11cと第2導電部52との間に設けられる。第2半導体領域12は、第2導電形(例えばp形)である。第2半導体領域12の少なくとも一部から第3導電部53への方向は、第2方向(例えばY軸方向)に沿う。第1絶縁部41は、第1絶縁領域41aを含む。第1絶縁領域41aの少なくとも一部は、第2半導体領域12の少なくとも一部と、第3導電部53と、の間にある。
【0073】
半導体装置120は、例えば、pn形のトランジスタである。第1半導体領域11と第2半導体領域12との間に形成される障壁の高さが、第3導電部53の電位により制御できる。半導体装置120においても、例えばゲート総電荷量(Qg)が小さい。例えば、ゲート容量(Cg)及びゲート・ドレイン間容量(Cgd)が小さくなる。これにより、ゲート総電荷量(Qg)及びゲート・ドレイン間電荷量(Qgd)が低減する。例えば、ゲートドライバの損失を低減できる。例えば、スイッチングを高速化できる。例えば、ターンオン損失、及び、ターンオフ損失を抑制できる。特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0074】
半導体装置120において、第2導電部52は、第5導電部55と連続的でも良い。第2導電部52は、第5導電部55と一体でも良い。
【0075】
図11及び
図12は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11及び
図12に示すように、実施形態に係る半導体装置141及び141aにおいては、第2導電部52は、第1導電部分52p及び第2導電部分52qを含む。第2導電部分52qは、第3部分領域11cと、第1導電部分52pと、の間にある。例えば、第2導電部分52qから第3部分領域11cの一部への方向は、Y軸方向に沿う。例えば、第2導電部分52qから第3導電部53の少なくとも一部への方向は、Y軸方向に沿う。この例では、第2導電部分52qは、Y軸方向において、第3部分領域11cの2つの部分の間にある。半導体装置141aのように、第2導電部分52qの側面は、Z軸方向に対して傾斜しても良い。このような構成においても、特性を向上できる半導体装置が得られる。半導体装置141に関して説明した第2導電部52の構成は、第1実施形態及び第2実施形態に係る任意の半導体装置に適用されて良い。
【0076】
実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0077】
本明細書において「窒化物半導体」とは、BxInyAlzGa1-x-y-zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0078】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる導電部、半導体領域、絶縁部及び配線などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0079】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0080】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0081】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
11…半導体領域、 11a~11e…第1~第5部分領域、 12…第2半導体領域、 41…第1絶縁部、 41a、41b…第1、第2絶縁領域、 42…第2絶縁部、 43…第3絶縁部、 51~55…第1~第5導電部、52p、52q…第1、第2導電部分 54L…配線、 61…第1部材、 61L…配線、 61T…端子、 110~116、120、141、141a…半導体装置、 Cn1…濃度、 F1…対向面、 c1、c2…第1、第2導電領域、 pZ…位置、 r1、r2…第1、第2領域