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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】アクチュエータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20240626BHJP
   H02K 33/02 20060101ALN20240626BHJP
【FI】
B06B1/04
H02K33/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020135669
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032150
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】日向 章二
(72)【発明者】
【氏名】小林 優帆
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045996(JP,A)
【文献】特開2013-064441(JP,A)
【文献】特開2002-306277(JP,A)
【文献】特開平09-117973(JP,A)
【文献】特開2016-152734(JP,A)
【文献】特開平06-123321(JP,A)
【文献】特開平03-139588(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030265(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
H02K 33/02
H02K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および可動体と、前記支持体および前記可動体に接続されるゲル状部材と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有するアクチュエータの製造方法であって、
前記ゲル状部材を製造するゲル状部材製造工程と、
前記支持体および前記可動体を前記ゲル状部材を介して接続する組立工程と、を行い、
前記可動体は、前記支持体の径方向の中心において軸線方向に延びる支軸を有し、前記支軸には、筒状の内枠部材によって、前記磁気駆動機構の磁石およびヨークが固定され、
前記ゲル状部材製造工程では、主剤と硬化剤とを所定の配合比で配合したゲル材料における前記配合比を、前記可動体が振動するときの振動特性の目標値に基づいて決定し、
製造用治具に前記内枠部材と外枠部材を位置決めし、前記内枠部材と前記外枠部材の隙間に前記ゲル材料を充填して硬化させることにより、前記ゲル状部材を製造するとともに前記内枠部材および前記外枠部材に前記ゲル状部材を固定し、前記ゲル状部材を前記内枠部材および前記外枠部材とともに前記製造用治具から取り外し、
前記組立工程では、
前記磁石および前記ヨークの前記軸線方向の両側で前記支軸に前記内枠部材を固定するとともに、前記支持体を構成する部材に前記外枠部材を固定することを特徴とするアクチュエータの製造方法。
【請求項2】
前記目標値は、前記可動体の共振周波数、および前記可動体の加速度の目標値であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータの製造方法。
【請求項3】
前記配合比を決定した後、前記目標値に基づいて前記ゲル材料の充填量を調整することを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータの製造方法。
【請求項4】
前記主剤は、ベースオイルおよび触媒を含み、
前記硬化剤は、前記ベースオイルおよび架橋剤を含むことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のアクチュエータの製造方法。
【請求項5】
前記主剤と前記硬化剤の基準配合比を決定しておき、
前記主剤および前記硬化剤のロットが変わる場合には、
新たなロットの前記主剤および前記硬化剤を前記基準配合比で配合して製造した前記ゲル状部材を用いて前記アクチュエータを製造した場合の、当該アクチュエータの振動特性の前記目標値からのずれを求め、
前記ずれを補正するように、前記配合比を調整することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のアクチュエータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を固定体に対して相対移動させるアクチュエータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータとして、固定体および可動体と、固定体に対して可動体を振動させる磁気駆動機構を備えるとともに、可動体と固定体とを弾性および粘弾性を備えたゲル状部材によって接続したものがある。特許文献1には、直方体状のカバーの内部に可動体を配置し、可動体をカバーの長手方向に振動させるアクチュエータが開示される。可動体は、磁石が固定されたヨークを備えており、固定体は、コイルを保持するホルダと、可動体を収容するカバーを備える。ゲル状部材は、厚さ方向の一方の面がヨークに接着され、他方の面がカバーに接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-13086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動体と固定体とを接続する接続体として用いられるゲル状部材は、複数の原料を配合したゲル材料を硬化させることによって製造することができる。アクチュエータの振動特性は、ゲル状部材の特性によって決まる。
【0005】
アクチュエータの新規設計時や設計変更時に、従来とは異なる特性を持つゲル状部材が必要となることがある。この場合に、新規原料を用いてゲル材料を配合することによってゲル状部材の特性を調整してアクチュエータの振動特性を目標値に合わせることができるが、新規原料の開発は容易ではない。従って、ゲル状部材の特性を調整することは容易ではなく、アクチュエータの新規設計や設計変更は容易ではない。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、可動体と固定体とをゲル状部材によって接続するアクチュエータの製造において、必要な特性のゲル状部材を容易に製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、支持体および可動体と、前記支持体および前記可動体に接続されるゲル状部材と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有するアクチュエータの製造方法であって、前記ゲル状部材を製造するゲル状部材製造工程と、前記支持体および前記可動体を前記ゲル状部材に接続する組立工程と、を行い、前記ゲル状部材製造工程では、主剤と硬化剤とを所定の配合比で配合したゲル材料を型に充填して硬化させた後に離型し、前記可動体が振動するときの振動特性の目標値に基づき、前記配合比を決定することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、主剤と硬化剤とを配合したゲル材料を硬化させてゲル状部材を製造し、このゲル状部材を用いたアクチュエータの振動特性が目標値を達成できるように、主剤と硬化剤の配合比を決定する。このように、ゲル状部材を製造する際、配合する原料の種類ではなく配合比を変更することでゲル状部材の特性を調整できれば、必要な特性のゲル状部材を製造するために新たな原料を使用する必要がない。従って、必要な特性のゲル状
部材を容易に製造でき、アクチュエータの新規設計や設計変更が容易である。
【0009】
本発明において、前記目標値は、前記可動体の共振周波数、および前記可動体の加速度の目標値である。本発明者らは、主剤と硬化剤の配合比と、可動体の共振周波数および加速度との間に相関関係があることを示すデータを得た。従って、得られたデータを用いれば、新たな原料を開発せずに、配合比の調整によって必要な特性のゲル状部材を製造することができる。
【0010】
本発明において、前記配合比を決定した後、前記目標値に基づいて前記ゲル材料の充填量を調整することが好ましい。本発明者らは、ゲル材料の充填量(体積)と、可動体の共振周波数および加速度との間に相関関係があることを示すデータを得た。従って、得られたデータを用いれば、可動体が振動するときの振動特性の目標値に精度良く合わせ込むことができる。
【0011】
本発明において、前記主剤は、ベースオイルおよび触媒を含み、前記硬化剤は、前記ベースオイルおよび架橋剤を含む。ゲル状部材は、触媒を含む主剤と架橋剤を含む硬化剤の配合比が変わると、ゲル状部材を構成するポリマーの重合度が変化し、ゲル状部材の硬さが変化する。従って、主剤と硬化剤との配合比を調整することより、必要な特性のゲル状部材を製造することができる。
【0012】
本発明において、前記主剤と前記硬化剤の基準配合比を決定しておき、前記主剤および前記硬化剤のロットが変わる場合には、新たなロットの前記主剤および前記硬化剤を前記基準配合比で配合して製造した前記ゲル状部材を用いて前記アクチュエータを製造した場合の、当該アクチュエータの振動特性の前記目標値からのずれを求め、前記ずれを補正するように、前記配合比を調整することが好ましい。このようにすると、ゲル状部材の原料のロットによりゲル状部材の特性がばらつくことを防止できる。従って、アクチュエータの振動特性のばらつきを少なくすることができる。
【0013】
本発明において、前記ゲル状部材製造工程では、製造用治具に内枠部材と外枠部材を位置決めし、前記内枠部材と前記外枠部材の隙間に前記ゲル材料を充填して硬化させることにより、前記ゲル状部材を製造するとともに前記内枠部材および前記外枠部材に前記ゲル状部材を固定し、前記組立工程では、前記可動体を構成する部材に前記内枠部材を固定するとともに、前記支持体を構成する部材に前記外枠部材を固定する。このようにすると、製造時に内枠部材および外枠部材にゲル状部材を固定して部品化できる。従って、アクチュエータの組立工程では、ゲル状部材を単体で部品として取り扱う必要がないので、容易に組み立てることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、主剤と硬化剤とを配合したゲル材料を硬化させてゲル状部材を製造し、このゲル状部材を用いたアクチュエータの振動特性が目標値を達成できるように、主剤と硬化剤の配合比を決定する。このように、ゲル状部材を製造する際、配合する原料の種類ではなく配合比を変更することでゲル状部材の特性を調整できれば、必要な特性のゲル状部材を製造するために新たな原料を使用する必要がない。従って、必要な特性のゲル状部材を容易に製造でき、アクチュエータの新規設計や設計変更が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図である。
図2図1に示すアクチュエータの分解斜視図である。
図3図1に示すアクチュエータの断面図(図1のA-A断面図)である。
図4】内枠部材および外枠部材が固定されたゲル状部材の断面図である。
図5】ゲル状部材の製造方法の説明図である。
図6】ゲル材料の充填量(体積)とゲル状部材のバネ定数との関係を示すグラフである。
図7】ゲル材料の配合比によるアクチュエータの振動特性の変化を示すグラフである。
図8】ゲル材料の充填量(体積)によるアクチュエータの振動特性の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明において、可動体3の中心軸線が延在する方向を軸線L方向とし、軸線L方向の一方側をL1とし、軸線L方向の他方側をL2とする。本発明を適用したアクチュエータ1は、可動体3が支持体2に対して軸線L方向に振動する。
【0017】
以下に説明する実施形態では、可動体3は、支持体2の内周側に配置されるが、本発明では、可動体3が支持体2の外周側に配置される態様を採用してもよい。また、以下に説明する実施形態では、可動体3を支持体2に対して振動させる磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、支持体2に配置されるコイル62とを備えているが、本発明では、磁石61とコイル62の配置を逆にした態様を採用してもよい。すなわち、磁気駆動機構6は、可動体3に配置されるコイル62と、支持体2に配置される磁石61とを備えている態様であってもよい。また、以下に説明する実施形態は、可動体3と、可動体3の外周側を囲む支持体2とを円筒状の接続体10によって接続する構成であるが、本発明は、直方体状のケースの内側に可動体3を配置し、ケースの上板と可動体3との間、および、ケースの底板と可動体3との間に接続体を配置して可動体3と支持体2とを接続する態様を採用してもよい。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るアクチュエータ1の斜視図である。図2は、図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。図3は、図1に示すアクチュエータ1の断面図であり、図1のA-A位置で切断した断面図である。アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、支持体2および可動体3に接続された接続体10と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6とを備える。接続体10は、弾性および粘弾性のうちの少なくとも一方を備える。磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、支持体2に配置されるコイル62とを備えており、支持体2に対して可動体3を軸線L方向に相対移動させる。図3に示すように、可動体3は、軸線L方向の一方側L1の端部、および軸線L方向の他方側L2の端部の各位置において、接続体10を介して支持体2と接続される。
【0019】
(支持体)
支持体2は、筒状のケース20と、ケース20の軸線L方向の一方側L1の開口を塞ぐ第1蓋部材21と、ケース20の軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ第2蓋部材22と、ケース20の内周側で第1蓋部材21と第2蓋部材22との間に配置されるコイルホルダ4を有する。本形態では、ケース20、第1蓋部材21、第2蓋部材22、およびコイルホルダ4は樹脂製である。また、支持体2は、コイルホルダ4の内周側に嵌まる第1外枠部材51と、第1外枠部材51に対して軸線L方向の他方側L2に離間した位置でケース20の内周側に嵌まる第2外枠部材52を有する。第1外枠部材51と第2外枠部材52とは同一形状であり、軸線L方向で逆向きに配置される。
【0020】
(接続体)
接続体10は、第1外枠部材51の内周面に接合された環状の第1接続体11と、第2
外枠部材52の内周面に接合された環状の第2接続体12を備える。可動体3の軸線L方向(すなわち、可動体の振動方向)の一端側に第1接続体11が配置され、可動体3の軸線L方向の他端側に第2接続体12が配置される。第1接続体11と第2接続体12は同一形状であり、軸線L方向で逆向きに配置される。
【0021】
第1接続体11および第2接続体12はゲル状部材であり、ゲル状部材自身の粘着性によって、第1外枠部材51および第2外枠部材52に接合される。第1接続体11および第2接続体12は、例えば、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。本形態では、第1外枠部材51をコイルホルダ4に圧入して固定することにより、第1接続体11が支持体2に接続される。また、第2外枠部材52をケース20に圧入して固定することにより、第2接続体12が支持体2に接続される。
【0022】
(コイルホルダ)
図2に示すように、コイルホルダ4は、環状の第1外枠部材固定部41と、第1外枠部材固定部41から軸線L方向の他方側L2へ突出する胴部42とを備えており、胴部42の周りにコイル62が配置される。コイル62から引き出されたコイル線63の端部は、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41から径方向外側へ突出する2本の端子ピン64に絡げられている。図1に示すように、端子ピン64はケース20の外部へ突出しており、配線基板7に接続される。
【0023】
図3に示すように、コイルホルダ4は、第1外枠部材51を軸線L方向に位置決めする第1段部44を備える。第1外枠部材固定部41は第1外枠部材51の外周側を囲んでいる。第1外枠部材固定部41の内周面には、軸線L方向の他方側L2に凹む第1凹部43が設けられ、第1外枠部材51は、第1凹部43に圧入される。第1段部44は、第1凹部43の軸線L方向の他方側L2の端部に設けられている。本形態では、第1外枠部材51の外周面に形成された環状段部511が第1段部44に対して軸線L方向に当接する。
【0024】
(ケース)
ケース20は、円筒状のケース本体24と、ケース本体24の内周側に配置される第2外枠部材固定部25を備える。図2に示すように、第2外枠部材固定部25は、ケース本体24の内周面から内周側に突出しており、ケース本体24と一体に成形される。図3に示すように、第2外枠部材固定部25は、コイルホルダ4に対して軸線L方向の他方側L2に離間した位置に配置される。
【0025】
ケース20は、第2外枠部材52を軸線L方向に位置決めする第2段部45を備える。図3に示すように、第2外枠部材固定部25の内周面には、軸線L方向の一方側L1に凹む第2凹部46が設けられ、第2外枠部材52は、第2凹部46に圧入される。第2段部45は、第2凹部46の軸線L方向の一方側L1の端部に設けられている。本形態では、第2外枠部材52の外周面に形成された環状段部521が第2段部45に対して軸線L方向に当接する。
【0026】
また、ケース20は、コイルホルダ4を軸線L方向に位置決めする第3段部47を備える。図3に示すように、第3段部47は、ケース本体24の内周面に形成される。ケース本体24の内周面には、軸線L方向に延びる複数の溝部29が形成され、各溝部29の軸線L方向の他方側L2の端部に第3段部47が形成されている。一方、図2図3に示すように、コイルホルダ4は、第1外枠部材固定部41の外周面から突出する複数の凸部49を備える。支持体2を組み立てる際、コイルホルダ4の各凸部49は、ケース本体24の各溝部29に軸線L方向の一方側L1から嵌め込まれ、第3段部47に対して軸線L方向に当接する。これにより、コイルホルダ4がケース本体24に圧入されて固定されるとともに、コイルホルダ4が軸線L方向に位置決めされる。
【0027】
(蓋部材)
図3に示すように、第1蓋部材21は、コイルホルダ4に設けられた第1外枠部材固定部41の軸線L方向の一方側L1からケース本体24に固定されている。また、第2蓋部材22は、第2外枠部材固定部25の軸線L方向の他方側L2からケース本体24に固定されている。図2に示すように、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、軸線L方向から見て円形の蓋部26と、蓋部26の外周縁に等間隔で配置された複数の係止部27を備える。本形態では、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、3個所の係止部27を備える。係止部27は、蓋部26から外周側へ拡がる方向に傾斜して延びる爪部である。
【0028】
係止部27は、径方向に弾性変形して蓋部26と共にケース本体24の内周側に押し込まれる。ケース20は、係止部27がケース20の内側から外れることを規制する規制部28を備える。規制部28は、ケース本体24の端部から内周側に突出する凸部である。図1図2に示すように、規制部28は、ケース本体24の軸線L方向の一方側L1および他方側L2の端部に、それぞれ、3個所ずつ等間隔で配置される。規制部28は、係止部27の先端に対して軸線L方向に当接する。
【0029】
第1蓋部材21は、係止部27および規制部28による係止構造と、接着剤による固定と、溶着とを併用してケース20に固定される。接着剤は、硬化後にケース20の一方側L1の端部と第1蓋部材21との隙間を封止する封止材となるように塗布される。従って、組立後の支持体2では、第1蓋部材21とケース20との隙間は、接着剤(図示せず)によって封止される。
【0030】
第1蓋部材21は、溶着によってコイルホルダ4に固定され、コイルホルダ4を介してケース20に固定される。図2図3に示すように、第1蓋部材21は、蓋部26から軸線L方向の他方側L2に突出する複数の溶着用凸部210を備える。一方、図3に示すように、コイルホルダ4は、蓋部26と軸線L方向に対向する複数の溶着用凹部410を備える。本形態では、溶着用凸部210および溶着用凹部410は、周方向に等間隔で3個所に配置される。第1蓋部材21をケース20に固定する際には、図3に示すように、各溶着用凸部210がコイルホルダの溶着用凹部410に溶着される。
【0031】
第2蓋部材22は、第1蓋部材21と同様に、係止部27および規制部28による係止構造と、接着剤による固定と、溶着とを併用してケース20に固定される。接着剤は、硬化後にケース20の他方側L2の端部と第2蓋部材22との隙間を封止する封止材となるように塗布される。従って、組立後の支持体2では、第2蓋部材22とケース20との隙間は、接着剤(図示せず)によって封止される。
【0032】
第2蓋部材22は、溶着によってケース20の第2外枠部材固定部25に固定される。図2図3に示すように、第2蓋部材22は、蓋部26から軸線L方向の一方側L1に突出する複数の溶着用凸部220を備える。一方、第2外枠部材固定部25は、蓋部26と軸線L方向に対向する複数の溶着穴250を備える。本形態では、溶着用凸部220および溶着穴250は、周方向に等間隔で3個所に配置される。第2蓋部材22をケース20に固定する際には、図3に示すように、各溶着用凸部220が第2外枠部材固定部25の溶着穴250に溶着される。
【0033】
図2に示すように、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41は、ケース本体24に設けられた3個所の規制部28と軸線L方向で重なる部分を内周側に切り欠いた溝部48を備える。従って、コイルホルダ4をケース本体24の内部に挿入する際に、第1外枠部材固定部41と規制部28とが干渉することが回避される。
【0034】
(配線引き出し部)
図1に示すように、支持体2は、磁気駆動機構6のコイル62から引き出したコイル線63を絡げた端子ピン64を外部に引き出すための配線引き出し部60を備える。配線引き出し部60は、ケース20の軸線L方向の一方側L1の縁を軸線L方向の他方側L2に切り欠いた切欠き部65と、第1蓋部材21の外周縁の周方向の一部から軸線L方向の他方側L2に延びるカバー66との間に設けられた隙間である。
【0035】
切欠き部65の内周側には、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41が配置される。本形態では、第1外枠部材固定部41から外周側に延びる2本の端子ピン64が配線引き出し部60に配置される。各端子ピン64の根本には、コイル62から引き出されたコイル線63が絡げられている。
【0036】
ケース20は、切欠き部65の他方側L2に形成された基板固定部69を備える。配線引き出し部60には、基板固定部69に固定される配線基板7の端部が配置される。端子ピン64は、配線基板7の縁に設けられた保持溝71に位置決めされ、保持溝71の縁に形成されたランドと電気的に接続される。配線基板7には、コイル62に対する給電用のリード線8が接続される。
【0037】
(可動体)
図2図3に示すように、可動体3は、支持体2の径方向の中心において軸線L方向に延びる支軸30を有する。支軸30には、筒状の第1内枠部材36、および筒状の第2内枠部材37によって、磁石61および第3ヨーク35が固定される。支軸30は金属製の丸棒である。第1内枠部材36および第2内枠部材37は、金属製の円筒体であり、第1内枠部材36および第2内枠部材37には円形の貫通穴が設けられている。第1内枠部材36および第2内枠部材37は同一形状であり、軸線L方向に逆向きに配置される。
【0038】
第1内枠部材36は第1外枠部材51と径方向に対向しており、第1内枠部材36と第1外枠部材51の間に第1接続体11が配置される。また、第2内枠部材37は第2外枠部材52と径方向に対向しており、第2内枠部材37と第2外枠部材52の間に第2接続体12が配置される。上記のように、第1接続体11および第2接続体12はゲル状部材であり、ゲル状部材自身の粘着性によって、第1接続体11が第1内枠部材36に接合され、第2接続体12が第2内枠部材37に接合されている。第1内枠部材36および第2内枠部材37に支軸30を圧入して固定することにより、第1接続体11および第2接続体12が可動体3に接続される。
【0039】
図3に示すように、第1内枠部材36の内周面には、軸線L方向の他方側L2の端部に径方向内側に突出した環状突部361が形成されている。第1内枠部材36を支軸30に圧入した際、支軸30は環状突部361に圧入される。また、第2内枠部材37の内周面には、軸線L方向の一方側L1の端部に径方向内側に突出した環状突部371が形成されている。第2内枠部材37を支軸30に圧入した際、支軸30は環状突部371に圧入される。
【0040】
磁石61は、支軸30が貫通する軸穴610が設けられており、支軸30の軸線L方向の略中央に固定される。第3ヨーク35は、磁石61に軸線L方向の一方側L1で重なる第1ヨーク31と、磁石61に軸線L方向の他方側L2で重なる第2ヨーク32を備える。第1ヨーク31は、支軸30が貫通する軸穴310が設けられた円板状であり、磁石61と第1ヨーク31とは外径が等しい。第2ヨーク32は、カップ状の第1磁性部材33と、円板状の第2磁性部材34の2つの部材からなる。第1磁性部材33は、支軸30が貫通する軸穴330が設けられた円形の端板部331と、端板部331の外縁から軸線L
方向の一方側L1に延びる円筒部332とを有する。本形態では、第1磁性部材33の端板部331が磁石61の軸線L方向の他方側L2の端面に固定される。第2磁性部材34は、支軸30が貫通する軸穴340を備えており、第1磁性部材33の端板部331に対して磁石61とは反対側から固定される。
【0041】
可動体3は、磁石61および第3ヨーク35を構成する各部材の軸穴310、610、330、340に支軸30を貫通させた状態で、磁石61および第3ヨーク35の軸線L方向の両側で第1内枠部材36および第2内枠部材37を支軸30に固定する。その結果、第1内枠部材36が軸線L方向の一方側L1から磁石61および第3ヨーク35を支持し、第2内枠部材37が軸線L方向の他方側L2から磁石61および第3ヨーク35を支持する結果、磁石61および第3ヨーク35は、支軸30に固定される。
【0042】
(接続体の製造方法)
図4は、内枠部材および外枠部材が固定されたゲル状部材の断面図である。図4(a)は、第1内枠部材36および第1外枠部材51が固定された第1接続体11の断面図であり、図4(b)は、第2内枠部材37および第2外枠部材52が固定された第2接続体12の断面図である。図4(a)、図4(b)において、LAは、第1内枠部材36、第1外枠部材51、第2内枠部材37、および第2外枠部材52の中心軸線である。
【0043】
第1内枠部材36は、中心軸線LA方向の長さ(高さ)が第1外枠部材51よりも大きく、第1外枠部材51から中心軸線LA方向の一方側LA1へ突出する。同様に、第2内枠部材37は、中心軸線LA方向の長さ(高さ)が第2外枠部材52よりも大きく、第2外枠部材52から中心軸線LA方向の一方側LA1へ突出する。アクチュエータ1を組み立てると、中心軸線LAと可動体3の軸線Lとが一致する。また、第1内枠部材36および第1外枠部材51は、中心軸線LA方向の一方側LA1と軸線L方向の他方側L2とが同一方向を向くように組み立てられ、第2内枠部材37および第2外枠部材52は、中心軸線LA方向の一方側LA1と軸線L方向の一方側L1とが同一方向を向くように組み立てられる。
【0044】
第1接続体11および第2接続体12は、ゲル材料を成形したゲル状部材であり、注型により製造される。図4(a)に示すように、第1接続体11は、成形される際に第1外枠部材51および第1内枠部材36が接合されて部品化されている。また、図4(b)に示すように、第2接続体12は、成形される際に第2外枠部材52および第2内枠部材37が接合されて部品化されている。従って、アクチュエータ1を組み立てる際には、ゲル状部材を接着する工程を行わずに、支持体2と可動体3とを接続することができる。
【0045】
図5は、接続体10の製造方法の説明図である。以下、図5を参照して第1接続体11の製造方法を説明する。第2接続体12の製造方法は、第1接続体11の製造方法と同一であるため、説明を省略する。図5に示すように、第1工程では、製造用治具90に設けられた円形凹部91の中央から突出するピン92を第1内枠部材36に挿入し、円形凹部91の底面94に第1内枠部材36を当接させる。また、円形凹部91の内周面に第1外枠部材51を内接させ、円形凹部91の底面94に第1外枠部材51を当接させる。これにより、第1内枠部材36と第1外枠部材51が位置決めされ、第1内枠部材36と第1外枠部材51の間に環状の隙間Sが形成される。
【0046】
本形態では、第1内枠部材36は、支軸30を固定するための環状突部361を備えている。製造用治具90に第1内枠部材36を位置決めする際、環状突部361が配置される側とは反対側からピン92を挿入し、環状突部361が配置される側とは反対側の端面を円形凹部91の底面94に当接させる。
【0047】
第2工程では、第1内枠部材36と第1外枠部材51との隙間Sにディスペンサー93からゲル材料Gを充填する。なお、隙間Sにゲル材料Gを入れる前に、第1内枠部材36の外周面360および第1外枠部材51の内周面510にプライマーなどの接着補助剤13を塗布しておく。接着補助剤13の塗布は、第1内枠部材36と第1外枠部材51を製造用治具90に位置決めする前に行ってもよいし、位置決めした後に行ってもよい。
【0048】
第3工程では、ゲル材料Gを製造用治具90ごと加熱し、規定の温度で規定の時間維持することにより硬化させる。これにより、隙間Sにはゲル状部材である第1接続体11が形成される。ゲル材料Gは、加熱硬化する際に、接着補助剤13に接する部分が接着補助剤13と反応して、第1内枠部材36の外周面360および第1外枠部材51の内周面510に固定される。従って、第1接続体11は、第1接続体11自体の接着力によって第1内枠部材36および第1外枠部材51に固定される。
【0049】
第4工程では、完成した第1接続体11を第1内枠部材36および第1外枠部材51と共に製造用治具90から取り外す。例えば、円形凹部91の底面94に突き出しピンを配置するための貫通孔(図示せず)を設けておき、突き出しピンを用いて、第1内枠部材36および第1外枠部材51と共に第1接続体11を製造用治具90から取り外す。
【0050】
図4(a)に示すように、第1接続体11は、中心軸線LA方向の他方側LA2を向く第1ゲル端面111と、中心軸線LA方向の一方側LA1を向く第2ゲル端面112を備える。図4(b)に示すように、第2接続体12は、中心軸線LA方向の他方側LA2を向く第1ゲル端面121と、中心軸線LA方向の一方側LA1を向く第2ゲル端面122を備える。アクチュエータ1を組み立てると、第1接続体11と第2接続体12は軸線L方向で逆向きに配置されるため、第1接続体11の第2ゲル端面112と第2接続体12の第2ゲル端面122とが対向する。
【0051】
第1ゲル端面111、121は、円形凹部91の底面94によって成形される。従って、第1ゲル端面111、121は平坦面である。一方、第2ゲル端面112、122は凹面である。第2ゲル端面112、122は、成形時にゲル材料Gの表面張力によって凹んだ形状に成形される。
【0052】
図4(a)、図4(b)は、アクチュエータ1を組み立てる前の、部品の状態の第1接続体11および第2接続体12を示す。部品の状態では、第1接続体11および第2接続体12はせん断変形していない。本形態では、アクチュエータ1を組み立てたとき、第1接続体11と第2接続体12が軸線L方向で逆向きにせん断変形した状態となるように構成されている(図2参照)。これにより、可動体3が軸線L方向に振動した際に、第1接続体11および第2接続体12の内周部に加わる応力が緩和されるので、アクチュエータ1の耐久性を高めることができる。
【0053】
(ゲル材料の配合比)
第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)は、2種類の原料(第1材料と第2材料)を所定の配合比で混合した2液性のゲル材料Gから製造される。ここで、第1接続体11および第2接続体12は、第1材料と第2材料の配合比によってばね定数が変化する。また、第1接続体11および第2接続体12は、その体積(すなわち、ゲル材料Gの充填量)によってばね定数が変化する。従って、アクチュエータ1は、第1材料と第2材料の配合比によって振動特性が変化する。また、アクチュエータ1は、ゲル材料Gの充填量によって振動特性が変化する。本形態では、アクチュエータ1の振動特性が目標値と一致するように、第1材料と第2材料の配合比、および、ゲル材料Gの充填量を決定する。
【0054】
第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)の製造工程においては、決定した配合比に基づき、第1材料と第2材料を計量し、ミキサーにて第1材料と第2材料を撹拌して混合させる。そして、撹拌後のゲル材料Gをシリンジへ入れて脱泡し、シリンジをディスペンサー93にセットして一定量ずつ吐出する。これにより、第1内枠部材36と第1外枠部材51との隙間、および、第2内枠部材37と第2外枠部材52との隙間に、一定量ずつゲル材料Gを吐出して充填する。
【0055】
第1材料は主剤であり、ベースオイルおよび触媒を含む。なお、主剤は、ベースオイルおよび触媒以外の材料を含んでいてもよい。第2材料は硬化剤であり、ベースオイルおよび架橋剤を含む。なお、硬化剤は、ベースオイルおよび架橋剤以外の材料を含んでいてもよい。主剤と硬化剤の配合比が変わると、ゲル状部材を構成するポリマーの重合度が変化し、ゲル状部材の硬さが変化するため、ゲル状部材のばね定数が変化する。例えば、架橋剤の配合量が増加するほど硬くなるため、ばね定数が大きくなるが、ベースオイルの配合量が多すぎると柔らかくなり、ばね定数が小さくなる。
【0056】
図6は、ゲル材料Gの充填量(体積)とゲル状部材のばね定数との関係を示すグラフである。図6に示すように、ゲル材料Gの充填量(体積)が大きいほど、ゲル状部材のばね定数が大きくなる。従って、アクチュエータ1は、ゲル材料Gの充填量を調整することにより、振動特性を調整可能であることがわかる。例えば、ゲル材料Gの充填量を調整することにより、可動体3の加速度および共振周波数を調整することができる。
【0057】
図7は、ゲル材料Gの配合比によるアクチュエータ1の振動特性の変化を示すグラフであり、第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)との配合比が以下の(1)~(5)の場合のデータである。横軸は可動体3の振動の周波数、縦軸は可動体3の加速度である。第1材料(主剤)の配合比が変動すると、アクチュエータ1の共振周波数がシフトし、振動の強度が変化することがわかる。
(1)51.5:48.5
(2)52.0:48.0
(3)52.25:47.75
(4)52.5:47.5
(5)53.0:47.0
【0058】
図8は、ゲル材料Gの充填量(体積)によるアクチュエータ1の振動特性の変化を示すグラフであり、充填量が210mg、220mg、230mg、240mgの場合のデータである。横軸は可動体3の振動の周波数、縦軸は可動体3の加速度である。ゲル材料Gの充填量が変動すると、アクチュエータ1の共振周波数がシフトし、振動の強度が変化することがわかる。
【0059】
アクチュエータ1の振動特性(共振周波数および加速度)が目標値と一致するように、第1材料と第2材料の配合比、および、ゲル材料Gの充填量を決定するにあたっては、以下の手順で行うことができる。まず、先に配合比を決定し、決定した配合比で製造したゲル状部材を第1接続体11および第2接続体12として用いた場合のアクチュエータ1の振動特性を求め、振動特性が目標値からずれている場合には、ずれを補正するように充填量を調整して、振動特性を目標値に合わせ込む。
【0060】
第1材料と第2材料のロットによって成分の含有量がばらつく場合には、ロットが変わるとゲル状部材の特性がばらつき、アクチュエータ1の振動特性がばらつくおそれがある。そこで、ロットが変わった場合には、配合比を調整することによってアクチュエータ1の振動特性のばらつきを低減させることができる。例えば、第1材料と第2材料の基準配合比を決定しておき、ロットが変わった場合には、新たなロットの第1材料と第2材料を
基準配合比で配合したゲル材料Gを用いてゲル状部材を製造する。そして、製造したゲル状部材を第1接続体11および第2接続体12として用いた場合のアクチュエータ1の振動特性を求め、振動特性が目標値からずれている場合には、ずれを補正するように配合比を調整して、振動特性を目標値に合わせ込む。
【0061】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1は、支持体2および可動体3と、支持体2および可動体3に接続される第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6と、を有する。アクチュエータ1の製造方法は、第1接続体11および第2接続体12を製造するゲル状部材製造工程と、支持体2および可動体3を第1接続体11および第2接続体12によって接続する組立工程と、を行う。ゲル状部材製造工程では、第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)とを所定の配合比で配合したゲル材料Gを型に充填して硬化させた後に離型する。第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)との配合比は、可動体3が振動するときの振動特性の目標値に基づいて決定する。
【0062】
本形態では、第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)を製造する際、配合する原料の種類ではなく配合比を変更することでゲル状部材の特性を調整する。従って、必要な特性のゲル状部材を製造するために新たな原料を使用する必要がないで、必要な特性のゲル状部材を容易に製造できる。また、アクチュエータ1の振動特性を容易に目標値に合わせることができるので、アクチュエータ1の新規設計や設計変更が容易である。
【0063】
本形態では、アクチュエータ1の振動特性の目標値は、可動体3の共振周波数、および可動体3の加速度の目標値である。本発明者らは、第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)の配合比の変化によるアクチュエータ1の振動特性の変化を検証した結果、可動体3の共振周波数および加速度と、配合比との間に相関関係があることを示すデータを得た。従って、得られたデータを用いることにより、配合比の調整によって必要な特性のゲル状部材を製造できる。
【0064】
本形態では、第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)の配合比を決定した後、アクチュエータ1の振動特性の目標値に基づいてゲル材料Gの充填量を調整する。本発明者らは、ゲル材料Gの充填量の変化によるアクチュエータ1の振動特性の変化を検証した結果、可動体3の共振周波数および加速度と、ゲル材料Gの充填量の間に相関関係があることを示すデータを得た。従って、得られたデータを用いて充填量を調整すれば、可動体3が振動するときの振動特性の目標値に精度良く合わせ込むことができる。
【0065】
本形態では、第1材料(主剤)は、ベースオイルおよび触媒を含み、第2材料(硬化剤)は、ベースオイルおよび架橋剤を含む。ゲル状部材は、触媒を含む主剤と架橋剤を含む硬化剤の配合比が変わると、ゲル状部材を構成するポリマーの重合度が変化し、ゲル状部材の硬さが変化する。従って、主剤と硬化剤との配合比を調整することより、必要な特性のゲル状部材を容易に製造できる。
【0066】
本形態では、第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)のロットの違いによるアクチュエータ1振動特性のばらつきを低減させることができる。例えば、第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)の基準配合比を決定しておき、第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)のロットが変わる場合には、新たなロットの第1材料(主剤)と第2材料(硬化剤)を基準配合比で配合して製造したゲル状部材を用いてアクチュエータ1を製造した場合の、当該アクチュエータ1の振動特性の目標値からのずれを求め、ずれを補正するように、配合比を調整すればよい。
【0067】
本形態では、製造用治具90に内枠部材と外枠部材(第1内枠部材36と第1外枠部材51、および、第2内枠部材37と第2外枠部材52)を位置決めし、内枠部材と外枠部材の隙間にゲル材料Gを充填して硬化させることにより、第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)を製造するとともに内枠部材および外枠部材にゲル状部材を固定する。このように、注型によりゲル状部材を製造することによって、ゲル状部材の製造時に同時にゲル状部材を内枠部材と外枠部材に固定して部品化できる。従って、アクチュエータ1を組み立てる組立工程では、可動体3を構成する支軸30に内枠部材(第1内枠部材36および第2内枠部材37)を固定するとともに、支持体2を構成するケース20に外枠部材(第1外枠部材51および第2外枠部材52)を固定すればよく、第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)を単体で部品として取り扱う必要がない。従って、アクチュエータ1を容易に組み立てることができる。
【符号の説明】
【0068】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4…コイルホルダ、6…磁気駆動機構、7…配線基板、8…リード線、10…接続体、11…第1接続体、12…第2接続体、13…接着補助剤、20…ケース、21…第1蓋部材、22…第2蓋部材、24…ケース本体、25…第2外枠部材固定部、26…蓋部、27…係止部、28…規制部、29…溝部、30…支軸、31…第1ヨーク、32…第2ヨーク、33…第1磁性部材、34…第2磁性部材、35…第3ヨーク、36…第1内枠部材、37…第2内枠部材、41…第1外枠部材固定部、42…胴部、43…第1凹部、44…第1段部、45…第2段部、46…第2凹部、47…第3段部、48…溝部、49…凸部、51…第1外枠部材、52…第2外枠部材、60…配線引き出し部、61…磁石、62…コイル、63…コイル線、64…端子ピン、65…切欠き部、66…カバー、67…溝部、68…係止部、69…基板固定部、71…保持溝、90…製造用治具、91…円形凹部、92…ピン、93…ディスペンサー、94…底面、111、121…第1ゲル端面、112、122…第2ゲル端面、210、220…溶着用凸部、250…溶着穴、310、330、340…軸穴、331…端板部、332…円筒部、360…外周面、361…環状突部、370…外周面、371…環状突部、410…溶着用凹部、510…内周面、511、521…環状段部、610…軸穴、G…ゲル材料、L…軸線、L1…軸線方向の一方側、L2…軸線方向の他方側、LA…中心軸線、LA1…中心軸線方向の一方側、LA2…中心軸線方向の他方側、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8