(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
E03C1/042 F
(21)【出願番号】P 2020171505
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591138212
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】中川 芳一
(72)【発明者】
【氏名】照井 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐也
(72)【発明者】
【氏名】石川 剛士
(72)【発明者】
【氏名】小川 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 量敬
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-177807(JP,A)
【文献】特開2008-285905(JP,A)
【文献】特開2020-26637(JP,A)
【文献】特開2006-233470(JP,A)
【文献】特開2011-69169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00 - 1/10
F16K 11/00 - 11/24
F16K 35/00 - 35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の水栓本体と、
先端に吐水口を有するとともに基端が前記水栓本体に前記水栓本体の周方向に回転可能に支持され、前記水栓本体と連通される吐水管と、
前記水栓本体と前記吐水管の前記基端との間に設けられるとともに、前記水栓本体に設けられる取付け部と、
前記吐水管と前記取付け部との間に設けられる規制部材と、
前記取付け部に対する前記規制部材の向きを変更可能、且つ前記取付け部に対して前記規制部材を一定の向きで保持する保持機構と、
を備え、
前記取付け部は、前記周方向に沿って弧状に形成された第1開口部を有し、
前記規制部材は、前記周方向に沿って延び、且つ前記第1開口部と同一ピッチ円上に弧状に形成されるとともに、前記規制部材を貫通する第2開口部を有し、
前記吐水管は、前記第1開口部及び前記第2開口部に挿入される突起部を有する水栓装置。
【請求項2】
筒状の水栓本体と、
先端に吐水口を有するとともに基端が前記水栓本体に前記水栓本体の周方向に回転可能に支持され、前記水栓本体と連通される吐水管と、
前記水栓本体と前記吐水管の前記基端との間に設けられるとともに、前記吐水管に設けられる取付け部と、
前記水栓本体と前記取付け部との間に設けられる規制部材と、
前記取付け部に対する前記規制部材の向きを変更可能、且つ前記取付け部に対して前記規制部材を一定の向きで保持する保持機構と、
を備え、
前記取付け部は、前記周方向に沿って弧状に形成された第1開口部を有し、
前記規制部材は、前記周方向に沿って延び、且つ前記第1開口部と同一ピッチ円上に弧状に形成されるとともに、前記規制部材を貫通する第2開口部を有し、
前記水栓本体は、前記第1開口部及び前記第2開口部に挿入される突起部を有する水栓装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記取付け部に対して前記周方向に回転可能であり、
前記保持機構は、前記取付け部に対する一定の回転位置で前記規制部材を保持する請求項1または請求項2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記保持機構は、
前記取付け部及び前記規制部材のいずれか一方に設けられた少なくとも1つの嵌合凸部を有し、
前記取付け部及び前記規制部材のいずれか他方に設けられた前記周方向に沿って前記嵌合凸部が嵌合される嵌合凹部を前記嵌合凸部と同数以上有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項5】
前記保持機構は、前記嵌合凸部を複数有する請求項4に記載の水栓装置。
【請求項6】
前記保持機構は、
前記取付け部に形成された複数の第1保持開口部と、
前記規制部材
に、前記第1保持開口部に重なる位置に設けられ、前記規制部材を貫通する少なくとも1つの第2保持開口部と、
前記第1保持開口部及び前記第2保持開口部に挿入された状態で、前記第1保持開口部に締結されるネジと、を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項7】
前記規制部材は、円板状に形成されるとともに、裏表を反転して前記取付け部に取り付け可能とされ、
前記第2開口部は、前記規制部材の反転線を中心として非対称に設けられている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シンクの周囲に設置される水栓装置には、水栓本体に対して吐水管が回転可能に取り付けられるものがある。このような水栓装置には、シンク外に吐水されることを防ぐため、吐水管の回転範囲を規制する規制手段が用いられることがある。規制手段として、例えば吐水管の基端から突出したストッパ軸と、吐水管の基端が取り付けられる水栓本体の先端から突出したストッパボルトと、を用いる技術が開示されている。水栓装置は、ストッパ軸とストッパボルトとを当接させることにより、吐水管の回転を規制している。水栓本体は、ストッパボルトの突出長さを調整することにより、ストッパ軸とストッパボルトとの当接の有無を任意に選択し、吐水管の回転の規制範囲を変更できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した水栓装置では、吐水管の回転の規制範囲を変更するために、水栓本体の内側からストッパボルトの突出長さを調整する必要がある。このため、従来の水栓装置には、吐水管の回転の規制範囲を変更する際に手間がかかるという点で課題が残されていた。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、吐水管の回転の規制範囲の変更が容易な水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の課題を解決するために、本発明に係る水栓装置は、筒状の水栓本体と、先端に吐水口を有するとともに基端が前記水栓本体に前記水栓本体の周方向に回転可能に支持され、前記水栓本体と連通される吐水管と、前記水栓本体と前記吐水管の前記基端との間に設けられるとともに、前記水栓本体に設けられる取付け部と、前記吐水管と前記取付け部との間に設けられる規制部材と、前記取付け部に対する前記規制部材の向きを変更可能、且つ前記取付け部に対して前記規制部材を一定の向きで保持する保持機構と、を備え、前記取付け部は、前記周方向に沿って弧状に形成された第1開口部を有し、前記規制部材は、前記周方向に沿って延び、且つ前記第1開口部と同一ピッチ円上に弧状に形成されるとともに、前記規制部材を貫通する第2開口部を有し、前記吐水管は、前記第1開口部及び前記第2開口部に挿入される突起部を有する。
【0007】
(2)上記の課題を解決するために、本発明に係る水栓装置は、筒状の水栓本体と、先端に吐水口を有するとともに基端が前記水栓本体に前記水栓本体の周方向に回転可能に支持され、前記水栓本体と連通される吐水管と、前記水栓本体と前記吐水管の前記基端との間に設けられるとともに、前記吐水管に設けられる取付け部と、前記水栓本体と前記取付け部との間に設けられる規制部材と、前記取付け部に対する前記規制部材の向きを変更可能、且つ前記取付け部に対して前記規制部材を一定の向きで保持する保持機構と、を備え、前記取付け部は、前記周方向に沿って弧状に形成された第1開口部を有し、前記規制部材は、前記周方向に沿って延び、且つ前記第1開口部と同一ピッチ円上に弧状に形成されるとともに、前記規制部材を貫通する第2開口部を有し、前記水栓本体は、前記第1開口部及び前記第2開口部に挿入される突起部を有する。
【0008】
(3)上記(1)または(2)において、前記規制部材は、前記取付け部に対して前記周方向に回転可能であり、前記保持機構は、前記取付け部に対する一定の回転位置で前記規制部材を保持してもよい。
【0009】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記保持機構は、前記取付け部及び前記規制部材のいずれか一方に設けられた少なくとも1つの嵌合凸部を有し、前記取付け部及び前記規制部材のいずれか他方に設けられた前記周方向に沿って前記嵌合凸部が嵌合される嵌合凹部を前記嵌合凸部と同数以上有してもよい。
すなわち、前記取付け部が前記嵌合凸部を有する場合、前記規制部材が前記嵌合凹部を有し、前記取付け部が前記嵌合凹部を有する場合、前記規制部材が前記嵌合凸部を有してもよい。
【0010】
(5)上記(4)において、前記保持機構は、前記嵌合凸部を複数有してもよい。
【0011】
(6)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記保持機構は、前記取付け部に形成された複数の第1保持開口部と、前記規制部材に、前記第1保持開口部に重なる位置に設けられ、前記規制部材を貫通する少なくとも1つの第2保持開口部と、前記第1保持開口部及び前記第2保持開口部に挿入された状態で、前記第1保持開口部に締結されるネジと、を有してもよい。
【0012】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、前記規制部材は、円板状に形成されるとともに、裏表を反転して前記取付け部に取り付け可能とされ、前記第2開口部は、前記規制部材の反転線を中心として非対称に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記の水栓装置によれば、吐水管の回転の規制範囲を容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る水栓装置の断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る取付け部を上方から見た平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る規制部材を上方から見た平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る取付け部に取り付けられた規制部材を上方から見た平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る取付け部に裏表を反転して取り付けられた規制部材を上方から見た平面図である。
【
図6】第1実施形態に係る吐水管の接続部における上下方向に沿う断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る吐水管の接続部を下方から見た平面図である。
【
図8】第1実施形態に係る別の規制部材を上方から見た平面図である。
【
図9】第2実施形態に係る取付け部を上方から見た平面図である。
【
図10】第2実施形態に係る別の規制部材を上方から見た平面図である。
【
図11】第3実施形態に係る取付け部を上方から見た平面図である。
【
図12】第3実施形態に係る規制部材を上方から見た平面図である。
【
図13】第3実施形態に係る取付け部に取り付けられた規制部材を上方から見た平面図である。
【
図14】第3実施形態に係る取付け部に回転位置を変更して取り付けられた規制部材を上方から見た平面図である。
【
図15】第3実施形態の変形例に係る取付け部を上方から見た平面図である。
【
図16】第3実施形態の変形例に係る規制部材を上方から見た平面図である。
【
図17】第4実施形態に係る規制部材周辺の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
(水栓装置)
以下、本発明の水栓装置1について
図1から
図8に基づいて説明する。
図1に示すように、水栓装置1は、給水部4から浄水用のカートリッジ5に原水W1を導入して原水W1を濾過し、原水W1が濾過された浄水W2を吐出する場合に使用される。
図1に示すように、水栓装置1は、流し台のシンク(不図示)に設けられたカウンタ3(請求項の被取付け部の例示)から上方に起立した状態で設けられている。カウンタ3には、水栓装置1を取り付けるための取付け孔3aが設けられている。取付け孔3aは、カウンタ3を上下方向に貫通している。以下の説明に用いる図中において、矢印UPは上方、矢印DOWNは下方をそれぞれ示している。
【0016】
水栓装置1は、基端(下端)10aがカウンタ3に固定された略円筒状の水栓本体10と、水栓本体10の先端(上端)10bに設けられた規制部材40と、基端(下端)20aが規制部材40を介して水栓本体10の先端10bに接続された吐水管20と、水栓本体10の先端10bと吐水管20の基端20aとの間に設けられた取付け部30と、吐水管20の基端20aと取付け部30との間に設けられた規制部材40と、取付け部30に対して規制部材40を一定の向きで保持する保持機構50と、を備えている。
【0017】
(水栓本体)
水栓本体10は、基端10aを下方に向けた状態で上下方向に延びている。水栓本体10の軸方向は、上下方向に沿っている。以下、水栓本体10の軸方向を単に「軸方向」と称し、水栓本体10の周方向を単に「周方向」と称し、水栓本体10の径方向を単に「径方向」と称して説明する場合がある。
水栓本体10の下端部には、水栓本体10の外側面から径方向の外側に延出するフランジ部11が設けられている。フランジ部11は、カウンタ3の取付け孔3aを上方から塞いでいる。水栓本体10は、フランジ部11を介して取付け孔3aの外周縁に固定されている。
【0018】
水栓本体10内には、給水部4に接続される第1流路P1と、第1流路P1と連通するとともにカートリッジ5に接続される第2流路P2と、第2流路P2とは別にカートリッジ5に接続される第3流路P3と、が設けられている。第1流路P1は、軸方向に延びている。第1流路P1は、給水部4から原水W1が導入される流路である。第2流路P2は、軸方向に延びている。第2流路P2は、第1流路P1に導入された原水W1をカートリッジ5に導入する流路である。第3流路P3は、軸方向に延びるとともに水栓本体10を軸方向に貫通している。第3流路P3は、吐水管20と連通している。第3流路P3は、カートリッジ5から導入された浄水W2を吐水管20に導入する流路である。
【0019】
水栓本体10の内部であって、第1流路P1の上端と第2流路P2の上端との間には、水量調節部P4が設けられている。水量調節部P4は、第1流路P2と第2流路P2とを連通させる流路である。水量調節部P4は、水栓本体10の径方向の外側に開口している。水量調節部P4の開口部には、径方向の外側からハンドル12が連結されている。ハンドル12は、外部から操作可能とされている。水栓装置1は、ハンドル12の操作によって、吐水管20から吐出される浄水W2の量を調節できる。
水栓本体10の先端10bには、取付け部30が設けられている。
【0020】
(取付け部)
図2は、取付け部30を上方から見た平面図である。
図1及び
図2に示すように、取付け部30は、有底円筒状に形成されている。取付け部30は、底部31を下方に向けた状態で水栓本体10の先端10bに設けられている。取付け部30は、水栓本体10の一部を構成している。取付け部30の底部31には、連通孔31bが設けられている。連通孔31bは、内部に底部31の中心点31aを含んでいる。連通孔31bは、中心点31aから径方向の外側に延びる上面視長孔形状に形成されている。連通孔31bは、径方向の外側の端部31b1で底部31を軸方向に貫通し、第3流路P3と連通している。
【0021】
底部31には、内部に連通孔31bを含む取付け凹部32が設けられている。取付け凹部32は、上方に開口している。取付け凹部32は、凹部本体32aと、嵌合凹部32bと、を有している。凹部本体32aは、内部に連通孔31bを含んでいる。凹部本体32aは、底部31の中心点31aを中心とした上面視真円状に形成されている。嵌合凹部32bは、凹部本体32aの外周縁から径方向の外側に突出するように設けられている。嵌合凹部32bは、2個設けられている。2個の嵌合凹部32bは、周方向に沿って設けられている。
【0022】
底部31には、連通孔31bにおける径方向の内側の端部31b2よりも径方向の外側であって、凹部本体32aの内部に第1開口部33が設けられている。第1開口部33は、周方向に沿って弧状に形成されている。第1開口部33は、上方に開口している。第1開口部33は、2個の嵌合凹部32bの周方向の中間点を通るとともに径方向に延びる直線に対して、対称な形状に形成されている。
取付け部30の内部には、規制部材40が上方から取り付けられる。規制部材40は、取付け部30によって支持されている。
【0023】
(規制部材)
図3は、規制部材40を上方から見た平面図である。
図4は、取付け部30に取り付けられた規制部材40を上方から見た平面図である。
図1、
図3及び
図4に示すように、規制部材40は、円板状に形成されている。規制部材40の直径は、取付け部30の取付け凹部32の凹部本体32aの内径よりも僅かに小さい。規制部材40は、取付け凹部32の凹部本体32aに嵌め込まれることにより、取付け部30に取り付けられる。
【0024】
規制部材40には、連通孔40bが設けられている。連通孔40bは、規制部材40の中心点40aを中心とした上面視真円状に形成されている。連通孔40bは、規制部材40を軸方向に貫通している。連通孔40bは、連通孔31bの径方向の内側の端部31b2と重なっている。連通孔40bは、連通孔31bを介して第3流路P3と連通している。
【0025】
規制部材40には、取付け部30の嵌合凹部32bに対応する嵌合凸部41が2個設けられている。2個の嵌合凸部41は、周方向に沿って設けられている。嵌合凸部41は、規制部材40の側面40cから径方向の外側に突出している。嵌合凸部41は、嵌合凹部32bに嵌合可能に設けられている。嵌合凸部41は、嵌合凹部32bと嵌合することにより、取付け部30に対して規制部材40を一定の向きで保持する。すなわち、嵌合凸部41は、嵌合凹部32bとともに保持機構50を構成している。
【0026】
また、規制部材40は、嵌合凸部41と嵌合凹部32bとの嵌合を解除することで、取付け部30から取り外すことができる。すなわち、規制部材40は、取付け部30に着脱可能に設けられている。
【0027】
規制部材40は、取付け部30の底部31に対して裏表を変更(反転)させた状態で嵌合凸部41と嵌合凹部32bとを嵌合可能(取り付け可能)とされている。このとき、規制部材40は、規制部材40の径方向に延びる反転線Lrの回りに裏表を反転して、底部31の上面に取り付けられる。反転線Lrは、2つの嵌合凸部41の周方向の中間点を通る直線である。
【0028】
規制部材40には、規制部材40を軸方向に貫通する第2開口部42が設けられている。第2開口部42は、連通孔40bよりも径方向の外側に設けられている。第2開口部42は、周方向に沿って延びている。第2開口部42は、第1開口部33と同一ピッチ円上に弧状に形成されている。第2開口部42の形成範囲は、第1開口部33の形成範囲と等しい。第2開口部42の一部は、取付け部30に規制部材40が取り付けられた状態において、第1開口部33の一部と上下方向に重なる。上下方向に重ねられた第1開口部33と第2開口部42とは、上下方向に連通し、上方に開口する規制溝60を形成する。規制溝60の形成範囲は、第1開口部33と第2開口部42との重なり範囲と一致する。
図4の例では、規制溝60の形成範囲は、第1開口部33のうち第2開口部42と重なる部分の形成範囲と一致する。規制溝60は、周方向に沿って延びている。
【0029】
図5は、第1実施形態に係る取付け部に裏表を反転して取り付けられた規制部材を上方から見た平面図である。
図4及び
図5に示すように、第2開口部42は、反転線Lrを中心として非対称に設けられている。このため、規制部材40が取付け部30の底部31に対して裏表を変更させた状態で底部31に取り付けられた場合、規制部材40の裏表を変更させる前後で、上方から見た第2開口部42の形成範囲が反転する。第2開口部42の形成範囲が反転すると、第1開口部33と第2開口部42との重なり範囲が反転する。よって、規制溝60の形成範囲は、規制部材40の裏表を変更させる前後で反転する。
【0030】
規制溝60の形成範囲を第1開口部33の形成範囲と一致させる場合には、規制部材40を取り外せばよい。この場合、規制溝60は、第1開口部33のみから構成される。
水栓装置1の使用者は、状況に応じて、規制部材40の裏表を反転させる、或いは規制部材40を取り外す、の中から1つを選択することができる。
【0031】
(保持機構)
保持機構50は、上述した嵌合凹部32bと嵌合凸部41とを備えている。保持機構50は、嵌合凹部32bと嵌合凸部41とを嵌合させることにより、取付け部30に対して規制部材40を一定の向きで保持する。加えて、保持機構50は、取付け部30に対する規制部材40の向きを変更できる。本実施形態では、保持機構50は、取付け部30に対して規制部材40の裏表を反転できる。なお、本実施形態において、保持機構50が保持し、変更できる「規制部材の向き」とは、「規制部材の裏表」である。また、使用者の状況に応じては、規制部材40を取り付けない状態でも水栓装置1の利用は可能である。
【0032】
(吐水管)
図1に示すように、規制部材40を挟んで水栓本体10の上方側には、吐水管20が設けられている。吐水管20は、規制部材40から水栓本体10の軸方向に沿って上方に突出するように形成されている。吐水管20の基端20aは、水栓本体10に周方向に回転可能に支持されている。吐水管20は、連通孔31b,40bを介して水栓本体10の第3流路P3と連通している。吐水管20は、水栓本体10の取付け部30に接続される接続部21と、接続部21に外挿され接続部21から上方に延びる吐水管本体22と、接続部21とは反対側の吐水管本体22の端部に設けられた吐水口23と、を有している。接続部21、吐水管本体22及び吐水口23は、一体化されている。
【0033】
図6は、吐水管20の接続部21における上下方向に沿う断面図である。
図7は、吐水管20の接続部21を下方から見た平面図である。
接続部21は、吐水管20の基端20aに設けられている。
図6及び
図7に示すように、接続部21は、軸方向に延びる円筒状に形成されている。接続部21の外形状は、側面視で多段状に形成されている。接続部21は、連通孔31b,40bと連通している。接続部21の下端21aには、突起部24が設けられている。突起部24は、接続部21の下端21aから下方に突出している。突起部24は、上方から規制溝60に収容される。突起部24は、規制溝60内で周方向に沿って移動可能となっている。突起部24の移動範囲は、規制溝60によって規制される。すなわち、突起部24を有する吐水管20は、規制溝60によって周方向への回転が規制される。このため、吐水管20の回転軌跡は、規制溝60の形成範囲によって規定される。したがって、水栓装置1は、取付け部30に裏表を反転して規制部材40を取り付けることにより、吐水管20の周方向への回転の規制範囲を反転できる。また、水栓装置1は、規制部材40を裏表反転させたり、取り外したりすることにより、吐水管20の周方向への回転の規制範囲を変更することができる。
【0034】
図1に示すように、吐水管本体22は、接続部21と水栓本体10の取付け部30との間に挿入される円筒状の部材である。吐水管本体22は、水栓本体10の先端10bから上方に起立している。吐水管本体22は、吐水管20の先端20bの手前で逆U字状に曲げられている。吐水管本体22は、接続部21と連通している。
吐水口23は、吐水管20の先端20bに設けられている。吐水口23は、接続部21及び吐水管本体22と連通している。吐水口23は、下方のシンクに向けて開口している。吐水口23は、第3流路P3から吐水管20に導入された浄水W2をシンク内に吐出する。
【0035】
次に、取付け部30と規制部材40との作用について説明する。
図4及び
図5に示すように、取付け部30に規制部材40を取り付けると、第1開口部33と第2開口部42とが重なり、規制溝60が形成される。
図4の例では、規制溝60の左端は、第1開口部33の左端と一致し、規制溝60の右端は、第2開口部42の右端と一致している。規制溝60は、反転線Lrを挟んで左側の領域が広く形成されている。
【0036】
ここで、
図4の例から取付け部30に対して反転線Lrの回りに規制部材40を反転させることにより、第2開口部42の形成範囲が反転し、
図5の例に移行する。
図5の例では、規制溝60の左端は、第2開口部42の左端と一致し、規制溝60の右端は、第1開口部33の右端と一致している。規制溝60は、反転線Lrを挟んで右側の領域が広く形成されている。すなわち、規制溝60の形成範囲は、
図4の例と
図5の例とで反転している。
【0037】
このように、上述の水栓装置1では、取付け部30に対して規制部材40を反転させることにより、規制溝60の形成範囲を反転できる。ここで、規制溝60には、吐水管20の突起部24が収容されるため、吐水管20は、規制溝60の範囲でのみ回転できる。このため、水栓装置1は、取付け部30に対して規制部材40を反転させるだけで、水栓本体10に対する吐水管20の回転の規制範囲を容易に調整できる。
【0038】
また、水栓装置1は、規制部材40を取り外すことにより、第1開口部33の形成範囲と規制溝60の形成範囲とを一致させることができる。このため、水栓装置1は、規制部材40を用いる場合と比較して規制溝60の形成範囲を周方向に長くすることができる。規制溝60の形成範囲が周方向に長くなると、吐水管20の突起部24の移動範囲が周方向に長くなる。したがって、水栓装置1は、規制部材40を取り外すだけで、吐水管20の回転の規制範囲を周方向に長くすることができる。
【0039】
(作用効果)
本実施形態の水栓装置1において、取付け部30は、第1開口部33を有している。規制部材40は、第1開口部33と重なる第2開口部42を有している。第1開口部33と第2開口部42とが重なることにより、吐水管20の回転を規制する規制溝60が形成される。吐水管20は、規制溝60に挿入される突起部24を有する。
この構成によれば、取付け部30に第1開口部33を、規制部材40に第2開口部42を設け、吐水管20に突起部24を設けるだけの簡単な構造で、水栓装置1は、吐水管20の水栓本体10に対する回転を規制できる。
加えて、水栓装置1は、取付け部30に対する規制部材40の向きを変更可能、且つ取付け部30に対して規制部材40を一定の向きで保持する保持機構50を備えている。第2開口部42は、取付け部30に対する規制部材40の向きが変更されることにより、第1開口部33と重なる範囲が変化する。このため、水栓装置1は、取付け部30に対する規制部材40の向きを変更することにより、規制溝60の形成範囲を変更できる。したがって、水栓装置1は、取付け部30に対する規制部材40の向きを変更するだけで、吐水管20の回転の規制範囲を容易に変更できる。
【0040】
また、吐水管20の回転の規制範囲を変更するために、水栓本体10をカウンタ3から取り外す必要がないため、水栓装置1の作業性を向上できる。また、水栓装置1は、吐水管20の回転の規制範囲を変更するために、規制部材40以外の部材を別途用いる必要がないため、従来技術と比較して部品点数を削減できる。また、水栓装置1は、取付け部30と規制部材40と突起部24とを備える簡単な構成で吐水管20の回転規制を行える。このため、本発明は、吐水管20の径が比較的細い場合にも適用できる。
【0041】
本実施形態の水栓装置1では、保持機構50は、取付け部30に設けられた嵌合凹部32bと、規制部材40に設けられた嵌合凸部41と、を有している。
この構成によれば、保持機構50は、嵌合凹部32bと嵌合凸部41とを嵌合させることにより、取付け部30に対して規制部材40を一定の向きで保持できる。したがって、水栓装置1は、例えば規制部材40が取付け部30にネジによって締結される場合と比較して水栓装置1の部品点数を削減できる。
【0042】
本実施形態の水栓装置1では、保持機構50は、複数の嵌合凹部32bに嵌合される嵌合凸部41を複数有している。
この構成によれば、保持機構50は、嵌合凹部32bと嵌合凸部41とを複数箇所で嵌合させることができる。したがって、保持機構50は、嵌合凸部41を1つ有する場合と比較して、取付け部30に規制部材40を強固に保持できる。
【0043】
本実施形態の水栓装置1では、規制部材40は、円板状に形成されている。規制部材40は、裏表を反転させて取り付け可能とされている。第2開口部42は、反転線Lrを中心として非対称に設けられている。
この構成によれば、水栓装置1は、規制部材40を反転線Lrの回りに反転させることにより、規制部材40を反転させる前後で、上方から見た第2開口部42の形成範囲を反転できる。第2開口部42は、規制部材40が反転されることにより、第1開口部33と重なる範囲が反転する。このため、水栓装置1は、規制部材40を反転することにより、規制溝60の形成範囲を反転できる。したがって、水栓装置1は、規制部材40を反転するだけで、吐水管20の回転の規制範囲を反転できる。よって、水栓装置1は、吐水管20の回転の規制範囲を容易に変更できる。
【0044】
本実施形態の水栓装置1は、規制部材40の裏表を反転させる、或いは規制部材40を取り外す、の中から1つを選択可能とされている。
この構成によれば、水栓装置1の使用者は、必要に応じて規制部材40の裏表を反転させる、或いは規制部材40を取り外す、を使い分けることができる。これにより、水栓装置1は、規制部材40の使い方を変更することにより、規制溝60の形成範囲を変更できる。したがって、水栓装置1は、規制部材40の使い方を変更するだけで、吐水管20の回転規制の範囲を容易に変更できる。
【0045】
本実施形態の水栓装置1では、規制部材40は、取付け部30の内部に取り付けられる。
この構成によれば、水栓装置1は、規制部材40が外部に露出することを抑制できる。したがって、水栓装置1のデザイン性を維持できる。
【0046】
本実施形態の水栓装置1では、第2開口部42の形成範囲は、第1開口部33の形成範囲と等しい。
この構成によれば、水栓装置1は、規制溝60を形成するために、第1開口部33及び第2開口部42が必要以上に広範囲に形成されることを抑制できる。したがって、水栓装置1は、取付け部30及び規制部材40の強度を確保できる。
【0047】
上述の第1実施形態では、連通孔40bは、規制部材40の中心点40aを中心とした上面視真円状に形成されているとしたが、これに限られない。
図8は、別の規制部材40Aを上方から見た平面図である。
図8に示す別の規制部材40Aのように、連通孔40bは、内部に中心点40aを含む上面視長孔形状に形成されてもよい。この場合、連通孔40bは、中心点40aから径方向に延びている。連通孔40bの全体は、規制部材40Aを軸方向に貫通している。連通孔40bは、取付け部30の連通孔31bに対応して開口している。連通孔40bは、連通孔31bと重ね合わされることにより、水栓本体10と吐水管20との間に、浄水W2の導入流路を形成する。このため、連通孔40bが上面視真円状に形成されている場合と比較して、別の規制部材40Aを用いた水栓装置1は、浄水W2の導入流路を広くとることができる。したがって、この水栓装置1は、水栓本体10から吐水管20へと導入される浄水W2の流量をより多くすることができる。
【0048】
別の規制部材40Aにおける連通孔40bは、中心点40a側の端部が規制部材40Aを軸方向に貫通していれば、連通孔40bのうち中心点40a側の端部以外の部分は水栓本体10に向けて開口する凹部であってもよい。ただし、連通孔40bの全体が、規制部材40Aを貫通している方が、浄水W2の導入流路を広くとることができ、吐水管20への浄水W2の流量をより多くすることができる。
【0049】
(第2実施形態)
続いて、
図9及び
図10に基づいて本発明の第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を適宜省略する。
【0050】
(取付け部)
図9は、取付け部30Aを上方から見た平面図である。
第1実施形態では、取付け部30には、嵌合凹部32bが2個設けられているとした。これに対して、第2実施形態は、取付け部30Aには、嵌合凹部32bが4個設けられている点で第1実施形態と異なる。
図9に示すように、4個の嵌合凹部32bは、周方向に等間隔で並ぶように設けられている。第1開口部33は、4個の嵌合凹部32bの周方向の中間点を通るとともに径方向に延びる直線に対して、対称な形状に形成されている。
【0051】
(規制部材)
規制部材40は、取付け部30Aに対して周方向に回転可能に取り付けられている。
【0052】
図10は、別の規制部材40Bを上方から見た平面図である。
図10に示すように、規制部材40Bと規制部材40とは、第2開口部42の形成範囲が異なっている。規制部材40Bにおける第2開口部42は、反転線Lrを中心として対称な形状に形成されている。
水栓装置1の使用者は、状況に応じて、複数の規制部材40,40Bの中から1つを選択して水栓本体10に取り付けることができる。規制部材40Bは、規制部材40と同様に取付け部30Aに対して周方向に回転可能に取り付けられる。すなわち、本実施形態において、保持機構50が保持し、変更できる「規制部材の向き」には、「規制部材の裏表」だけでなく「規制部材の回転位置」も含まれる。
【0053】
(保持機構)
保持機構50は、取付け部30Aに対する一定の回転位置で規制部材40を保持する。保持機構50は、取付け部30Aに設けられた4個の嵌合凹部32bと、規制部材40に設けられた2個の嵌合凸部41と、を有している。水栓装置1の使用者は、4個の嵌合凹部32bから周方向に隣り合う2個の嵌合凹部32bを選択して、規制部材40に設けられた2個の嵌合凸部41と嵌合させる。
【0054】
次に、取付け部30Aと規制部材40との作用について説明する。
規制部材40は、取付け部30Aに対する回転位置を変更できる。水栓装置1の使用者は、取付け部30Aに対する規制部材40の回転位置を変更する際、まず、嵌合凹部32bと嵌合凸部41との嵌合を解除する。その後、水栓装置1の使用者は、周方向に規制部材40を回転させ、回転前とは別の嵌合凹部32bに嵌合凸部41を嵌合する。嵌合凹部32bと嵌合凸部41との嵌合により、規制部材40は、回転後の位置で一定に保持される。このようにして、取付け部30Aに対する規制部材40の回転位置が変更される。
【0055】
取付け部30Aに対する規制部材40の回転位置が変更されると、第1開口部33及び第2開口部42の重なり範囲が変更される。すなわち、規制溝60の形成範囲が変更される。したがって、水栓装置1の使用者は、取付け部30Aに対して規制部材40を周方向に回転し、嵌合凸部41の嵌合に使用される嵌合凹部32bを変更するだけで、吐水管20の回転の規制範囲を容易に変更できる。
また、水栓装置1は、規制部材40を別の規制部材40Bに変更することにより、規制溝60の形成範囲を変更することもできる。
【0056】
(作用効果)
本実施形態の水栓装置1において、規制部材40は、取付け部30Aに対して周方向に回転可能である。
この構成によれば、水栓装置1は、規制部材40を水栓本体10に対して周方向に回転させるだけで、第1開口部33と第2開口部42との重なり範囲を変更できる。これにより、水栓装置1は、規制溝60の形成範囲を変更できる。加えて、保持機構50は、取付け部30Aに対して規制部材40を回転させて、規制溝60の形成範囲を変更した上で、取付け部30Aに対する一定の回転位置で規制部材40を保持できる。このため、水栓装置1は、規制溝60の形成範囲を細かく調整できる。したがって、水栓装置1は、吐水管20の回転の規制範囲を細かく調整し、吐水管20の回転範囲を適正な範囲に調整できる。
【0057】
本実施形態の水栓装置1では、保持機構50は、嵌合凹部32bを、嵌合凸部41の個数よりも多い4個有している。
この構成によれば、水栓装置1の使用者は、4個の嵌合凹部32bから2個の嵌合凹部32bを選択して、嵌合凸部41と嵌合させることができる。これにより、水栓装置1の使用者は、嵌合凸部41との嵌合に使用される嵌合凹部32bを選択するだけで、取付け部30に対する規制部材40の回転位置を容易且つ細かく変更できる。
【0058】
本実施形態の水栓装置1は、複数の規制部材40,40Bの中から1つを選択して取付け部30Aに取り付け可能とされている。複数の規制部材40,40Bは、各々第2開口部42の形成範囲が互いに異なっている。
この構成によれば、水栓装置1の使用者は、必要に応じて規制部材40と規制部材40Bとを使い分けることができる。これにより、水栓装置1は、規制部材40と規制部材40Bとを変更することにより、規制溝60の形成範囲を変更できる。したがって、水栓装置1は、規制部材40と規制部材40Bとを変更するだけで、吐水管20の回転規制の範囲を容易に変更できる。
【0059】
(第3実施形態)
続いて、
図11から
図16に基づいて本発明の第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態の構成のうち、上述の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を適宜省略する。
図11は、取付け部30Bを上方から見た平面図である。
上述の各実施形態では、規制部材40,40A,40Bの嵌合凸部41と嵌合する嵌合凹部32bが、取付け部30,30Aの底部31に設けられているとした。これに対して、第3実施形態は、
図11に示すように、嵌合凸部41と嵌合する嵌合凹部34aが取付け部30Bの筒部34に設けられている点で上述の各実施形態と異なる。
【0060】
(取付け部)
本実施形態の取付け部30Bの底部31には、第1実施形態の取付け部30と異なり、取付け凹部32が設けられておらず、連通孔31b及び第1開口部33を除くと、底部31の上面は平面状に形成されている。嵌合凹部34aは、筒部34に9個設けられている。9個の嵌合凹部34aは、周方向に等間隔で並ぶように設けられている。各嵌合凹部34aは、上方に開口するとともに、筒部34を径方向に貫通している。
【0061】
(規制部材)
図12は、規制部材40Cを上方から見た平面図である。
図13は、取付け部30Bに取り付けられた規制部材40Cを上方から見た平面図である。
図12及び
図13に示すように、規制部材40Cには、嵌合凸部41が3個設けられている。3個の嵌合凸部41は、周方向に等間隔で並ぶように設けられている。規制部材40Cの反転線Lrは、3個の嵌合凸部41に周方向の中間点を通って、径方向に延びる直線である。第2開口部42は、反転線Lrを中心として左右対称に形成されている。規制部材40Cは、取付け部30Bの筒部34の内側面に嵌り込むように取り付けられる。規制部材40Cは、連通孔31bの径方向の外側の端部31b1を上方から覆った状態で、取付け部30に取り付けられる。
【0062】
(保持機構)
図14は、取付け部30Bに回転位置を変更して取り付けられた規制部材40Cを上方から見た平面図である。
図13及び
図14に示すように、保持機構50は、9個の嵌合凹部34aと、3個の嵌合凸部41と、を有している。水栓装置1の使用者は、9個の嵌合凹部34aから周方向に隣り合う3個の嵌合凹部34aを選択して、3個の嵌合凸部41と嵌合させる。
【0063】
(作用効果)
本実施形態の水栓装置1において、保持機構50は、上述の各実施形態よりも多くの嵌合凹部34aと嵌合凸部41とを有している。
この構成によれば、水栓装置1は、上述の各実施形態よりも規制溝60の形成範囲を細かく調整できる。したがって、水栓装置1は、上述の各実施形態よりも吐水管20の回転の規制範囲を細かく調整できる。
【0064】
本実施形態の水栓装置1では、嵌合凹部34aが取付け部30の筒部34に設けられている。
この構成によれば、嵌合凹部34aと嵌合凸部41とを水栓装置1の外部に露出できる。これにより、水栓装置1の使用者は、水栓本体10から吐水管20を取り外すことなく、嵌合凹部34aと嵌合凸部41とを視認できる。したがって、水栓装置1の使用者は、嵌合凹部34aまたは嵌合凸部41に異変が生じた場合、その異変を容易に察知してメンテナンスすることができる。よって、水栓装置1のメンテナンス性を向上できる。
【0065】
本実施形態の水栓装置1では、規制部材40Cは、連通孔31bの径方向の外側の端部31b1を上方から覆った状態で、取付け部30Bに取り付けられる。
この構成によれば、規制部材40Bは、連通孔31bの端部31b1を通って吐水管20に導入される浄水W2の水圧を受けることができる。これにより、水栓装置1は、浄水W2の水圧が吐水管20に直接加えられることを抑制できる。したがって、水栓装置1は、吐水管20の耐久性を向上できる。また、水栓装置1は、浄水W2の水圧によって、吐水管20が水栓本体10から外れてしまうことを抑制できる。よって、水栓装置1の安定性を向上できる。
【0066】
上述の第3実施形態では、取付け部30Bと規制部材40Cとが、嵌合により保持される場合について説明したが、これに限られない。
図15は、第3実施形態の変形例に係る取付け部30Cを上方から見た平面図である。
図16は、第3実施形態の変形例に係る規制部材40Dを上方から見た平面図である。
図15に示すように、取付け部30Cの底部31には、吐水管20側に開口する第1保持開口部35が設けられている。第1保持開口部35の内周面には雌ネジ部が形成されている。第1保持開口部35は、径方向に延びる直線上であって、底部31の中心点31aを挟んで対称な位置に少なくとも一対設けられている。本実施形態では、一対の第1保持開口部35は、計3組設けられている。すなわち、第1保持開口部35は、計6個設けられている。なお、第1保持開口部35の個数は、2個以上であれば適宜変更可能である。
【0067】
図16に示すように、規制部材40Dには、規制部材40Dを軸方向に貫通する第2保持開口部43が形成されている。第2保持開口部43は、周方向に並んで2個形成されている。2個の第2保持開口部43は、径方向に延びる直線上であって、規制部材40Dの中心点40aを挟んで対称な位置に設けられている。2個の第2保持開口部43は、取付け部30Cに3組設けられている一対の第1保持開口部35のうち任意の一対の第1保持開口部35に重ね合わせ可能に設けられている。なお、第2保持開口部43の個数は、適宜変更可能である。
【0068】
本変形例において、保持機構50は、第1保持開口部35と、第2保持開口部43と、第1保持開口部35及び第2保持開口部43に挿入された状態で、第1保持開口部35に締結されるネジ(不図示)と、から構成されている。
この構成によれば、水栓装置1は、重ね合わされた第1保持開口部35と第2保持開口部43とにネジを挿入して締結するだけで、取付け部30Cに対して規制部材40Dを簡単且つ強固に保持できる。したがって、水栓装置1の作業性を向上できるとともに、水栓装置1の強度を向上できる。
【0069】
また、水栓装置1は、ネジを締結される第1保持開口部35を変更することにより、第1開口部33と第2開口部42との重なり範囲を変更できる。これにより、水栓装置1は、突起部24の移動範囲を規制する規制溝60の形成範囲を容易に変更できる。
【0070】
(第4実施形態)
続いて、
図17に基づいて本発明の第4実施形態を説明する。なお、第3実施形態の構成のうち、上述の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を適宜省略する。
図17は、規制部材40E周辺の分解斜視図である。
図17に示すように、水栓本体10の上面10cには、上方に突出する外周壁13と、上方に向かって突出する突起部14と、連通孔15と、が設けられている。
外周壁13の外側面は、水栓本体10の外側面と面一となるように形成されている。突起部14は、周方向に沿うように設けられている。連通孔15は、内部に上面10cの中心点を含んでいる。連通孔15は、上面10cの中心点から径方向の外側に延びる上面視長孔形状に形成されている。連通孔15は、径方向の外側の端部15bで上面10cを軸方向に貫通し、第3流路P3と連通している。
【0071】
取付け部30Dは、吐水管20の基端20a側、すなわち吐水管20の接続部21の下端21aに設けられている。取付け部30Dは、接続部21よりも大径な円筒状に形成されている。取付け部30Dは、吐水管20と上下方向に連通している。取付け部30Dの下面には、水栓本体10側に開口する第1開口部33と、6個の第1保持開口部35と、が設けられている。第1開口部33は、突起部14よりも周方向に長く形成されている。
【0072】
規制部材40Eは、取付け部30Dの下面に取り付けられている。規制部材40Eは、板厚方向が上下方向と一致する円板状に形成されている。規制部材40Eは、取付け部30Dに取り付けられた状態で、取付け部30Dとともに、外周壁13内に挿入されている。規制部材40Eには、規制部材40Eを上下方向に貫通する連通孔40bと、第2開口部42と、2個の第2保持開口部43と、が設けられている。
第2開口部42は、突起部14よりも周方向に長く形成されている。
連通孔40bは、連通孔15の径方向の内側の端部15aと重なっている。連通孔40bは、連通孔15を介して第3流路P3と連通している。
【0073】
規制部材40Eは、ネジBを第1保持開口部35及び第2保持開口部43に挿入させた状態で、第1保持開口部35に締結させることにより、取付け部30Dに保持されている。すなわち、保持機構50は、第1保持開口部35と、第2保持開口部43と、重ね合わされた第1保持開口部35及び第2保持開口部43に挿入した状態で、第1保持開口部35に締結されるネジBと、から構成されている。規制部材40Eは、取付け部30Dに締結固定されているため、取付け部30Dから落下することなく強固に保持される。
【0074】
規制部材40Eが取付け部30Dに保持された状態において、水栓本体10の突起部14は、第1開口部33と第2開口部42とが重なって形成される規制溝60内に挿入される。規制溝60が突起部14よりも周方向に長くなるように、第1開口部33と第2開口部42とが重ね合わされている。このため、規制溝60に突起部14が挿入された状態で吐水管20を周方向に回転させると、突起部14が規制溝60に対して相対移動する。突起部14の相対移動は、規制溝60によって規制される。すなわち、吐水管20の周方向の回転は、規制溝60によって規制される。
また、水栓装置1の使用者がネジBを締結される第1保持開口部35を変更することにより、第1開口部33と第2開口部42との重なり範囲が変更される。これにより、水栓装置1は、突起部24の移動範囲を規制する規制溝60の形成範囲を容易に変更できる。すなわち、水栓装置1は、吐水管20の回転規制の範囲を容易に変更できる。
【0075】
本実施形態の水栓装置1において、取付け部30Dは、第1開口部33を有している。規制部材40Eは、第1開口部33と重なる第2開口部42を有している。第1開口部33と第2開口部42とが重なることにより、吐水管20の回転を規制する規制溝60が形成される。水栓本体10は、規制溝60に挿入される突起部14を有する。
この構成によれば、取付け部30Dに第1開口部33を、規制部材40Eに第2開口部42を設け、吐水管20に突起部24を設けるだけの簡単な構造で、水栓装置1は、吐水管20の水栓本体10に対する回転を規制できる。
加えて、水栓装置1は、取付け部30Dに対する規制部材40Eの向きを変更可能、且つ取付け部30Dに対して規制部材40Eを一定の向きで保持する保持機構50を備えている。なお、本実施形態において、保持機構50が保持し、変更できる「規制部材の向き」には、「規制部材の裏表」だけでなく「規制部材の回転位置」も含まれる。第2開口部42は、取付け部30Dに対する規制部材40Eの向きが変更されることにより、第1開口部33と重なる範囲が変化する。このため、水栓装置1は、取付け部30Dに対する規制部材40Eの向きを変更することにより、規制溝60の形成範囲を変更できる。したがって、水栓装置1は、取付け部30Dに対する規制部材40Eの向きを変更するだけで、吐水管20の回転の規制範囲を容易に変更できる。
【0076】
また、吐水管20の回転の規制範囲を変更するために、水栓本体10をカウンタ3から取り外す必要がないため、水栓装置1の作業性を向上できる。また、水栓装置1は、吐水管20の回転の規制範囲を変更するために、規制部材40E以外の部材を別途用いる必要がないため、従来技術と比較して部品点数を削減できる。また、水栓装置1は、取付け部30Dと規制部材40Eと突起部14とを備える簡単な構成で吐水管20の回転規制を行える。このため、本発明は、吐水管20の径が比較的細い場合にも適用できる。
【0077】
上述の各実施形態では、水栓装置1は、カウンタ3から上方に起立した状態で設けられている場合について説明したが、これに限られない。水栓装置1は、カウンタ3以外の被取付け部から側方または下方に延びるように取り付けられてもよい。
【0078】
上述の各実施形態では、規制部材40,40A,40B,40C,40D,40Eが円板状に形成されている場合について説明したが、これに限られない。規制部材40,40A,40B,40C,40D,40Eは、上方から見て例えばイチョウ型に形成されてもよい。
【0079】
上述の各実施形態では、第2開口部42の形成範囲は、第1開口部33の形成範囲と等しい場合について説明したが、これに限られない。第2開口部42の形成範囲は、第1開口部33の形成範囲より広くても狭くてもよい。
【0080】
上述の各実施形態では、取付け部30,30A,30Bに嵌合凹部32b,34aが設けられ、規制部材40,40A,40B,40Cに嵌合凸部41が設けられている場合について説明したが、これに限られない。取付け部に嵌合凸部が設けられ、規制部材に嵌合凹部が設けられてもよい。この場合、取付け部や規制部材の形状に合わせて、嵌合凸部の突出方向や嵌合凹部の開口方向が変更されてもよい。
【0081】
上述の各実施形態では、嵌合凸部41が2個または3個設けられている場合について説明したが、これに限られない。嵌合凸部41は、嵌合凹部32b,34aの個数以下であれば、1個または4個以上設けられてもよい。また、嵌合凹部32b,34aの個数についても、適宜変更可能である。
【0082】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の水栓装置は、吐水管の回転の規制範囲を容易に変更できる。本発明の水栓装置は、例えば、一般家庭や業務用の流し台のシンクに用いられる。
【符号の説明】
【0085】
1 水栓装置
3 カウンタ(被取付け部)
4 給水部
5 カートリッジ
10 水栓本体
14 突起部
20 吐水管
20a 基端
20b 先端
23 吐水口
24 突起部
30,30A,30B,30C,30D 取付け部
32b 嵌合凹部
33 第1開口部
34a 嵌合凹部
35 第1保持開口部
40,40A,40B,40C,40D,40E 規制部材
41 嵌合凸部
42 第2開口部
43 第2保持開口部
B ネジ
50 保持機構
Lr 反転線