(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】遊技場用システム及び遊技場用表示装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A63F7/02 328
A63F7/02 350Z
(21)【出願番号】P 2020177357
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】成田 晋治
【審査官】藤脇 沙絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-110194(JP,A)
【文献】特開2011-239809(JP,A)
【文献】特開2016-086890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位遊技の実行に応じて更新される遊技機始動情報により天井条件が満たされた場合に天井特典を与える遊技機を対象とする遊技場用システムにおいて、
遊技機側から出力される遊技信号、及び操作入力の内、少なくとも一方によって、単位遊技の実行数に対応した管理始動情報と遊技機にて消費される遊技価値を示すアウトとの対応関係を示す始動消費情報、及び前記アウトと遊技期間との対応関係を示す消費期間情報を少なくとも含む遊技情報を特定可能な遊技情報特定手段と、
所定の条件を成立させるために必要な単位遊技の実行分に対応した管理始動情報を示す必要始動情報であって、天井条件が満たされる迄に想定される天井迄始動情報を設定する設定手段と、
前記天井迄始動情報、前記始動消費情報、及び前記消費期間情報により特定可能な想定期間であって、当該天井迄始動情報に対応するアウトに対応した遊技期間を示す天井条件が満たされる迄の想定到達期間、及び当該想定到達期間を利用した想定統合期間の内、少なくとも一方を管理する管理手段と、を備える遊技場用システム。
【請求項2】
前記設定手段は、前記天井条件が満たされてから大当りが発生する迄に対応した前記必要始動情報を示す天井後始動情報を設定し、
前記管理手段は、前記想定統合期間を管理可能であり、
前記想定統合期間は、前記天井後始動情報分、或いは当該天井後始動情報分と大当り発生後の通常状態に戻る迄の特賞期間分の想定期間を前記想定到達期間に加えた想定期間を示す請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記遊技情報特定手段は、少なくとも通常状態とそれ以外の特別状態とで区分して前記消費期間情報を特定し、
前記管理手段は、前記想定到達期間を通常状態の前記消費期間情報により特定する一方、前記天井後始動情報分の想定期間を前記特別状態の前記消費期間情報により特定する請求項2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記設定手段は、前記必要始動情報について複数の候補を設定し、
前記管理手段は、その複数の候補に対応する想定期間をそれぞれ管理する請求項1から3の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
前記遊技情報特定手段は、閉店時の前記管理始動情報を示す第1始動情報と当該第1始動情報になった時点から閉店迄の期間を示す第1閉店期間とを含む第1閉店情報、及び営業日における最終の遊技者の遊技開始時点の前記管理始動情報を示す第2始動情報と当該遊技開始時点から閉店迄の期間を示す第2閉店期間とを含む第2閉店情報の内、少なくとも一方を特定可能であり、
前記管理手段は、前記第1閉店情報が特定される場合における前記第1始動情報に対応した想定期間と前記第1閉店期間とを比較可能な第1管理、及び前記第2閉店情報が特定される場合における前記第2始動情報に対応した想定期間と前記第2閉店期間とを比較可能な第2管理との内、少なくとも一方を行う請求項1から4の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【請求項6】
単位遊技の実行に応じて更新される遊技機始動情報により天井条件が満たされた場合に天井特典を与える遊技機を対象とする遊技場用表示装置において、
遊技機側から出力される遊技信号、及び操作入力の内、少なくとも一方によって、単位遊技の実行数に対応した管理始動情報と遊技機にて消費される遊技価値を示すアウトとの対応関係を示す始動消費情報、及び前記アウトと遊技期間との対応関係を示す消費期間情報を少なくとも含む遊技情報を特定可能な遊技情報特定手段と、
所定の条件を成立させるために必要な単位遊技の実行分に対応した管理始動情報を示す必要始動情報であって、天井条件が満たされる迄に想定される天井迄始動情報を設定する設定手段と、
前記天井迄始動情報、前記始動消費情報、及び前記消費期間情報により特定可能な想定期間であって、当該天井迄始動情報に対応するアウトに対応した遊技期間を示す前記遊技機天井条件が満たされる迄の想定到達期間、及び当該想定到達期間を利用した想定統合期間の内、少なくとも一方を表示する表示手段と、を備える遊技場用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システム及び遊技場用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一定数のゲームを行っても大当りやART等の特定状態が発生しない場合に天井特典を遊技者に与える所謂天井と呼ばれる機能がスロットマシンのような遊技機に設けられており、例えば特許文献1ではゲーム数に応じた天井特典に関わる情報を提供することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、天井機能を備えた遊技機を設ける場合、最も問題となるのは閉店時の稼動である。つまり、閉店時刻が近付き、天井特典を得るためのゲーム数を消化することが時間的に困難であると遊技者が判断すれば、天井機能による恩恵を得られないため、どうしても稼動が低下してしまう。このような傾向は、閉店時刻だけでなく、例えば遊技終了後に他の約束があるといった退店時刻に制約のある遊技者にも同様に想定される。
【0005】
この場合、従来は遊技者の操作によりゲーム当りの時間が均一となる傾向があるスロットマシンにしか天井機能が搭載されていなかったため、どの遊技機もほぼ一律に残り時間と天井特典迄の残りゲーム数とを勘案して遊技されていた。一方、近年では、パチンコ遊技機にも天井機能が搭載されつつあり、このようなパチンコ遊技機は例えばリーチが長い場合、スロットマシンのように図柄を停止させるといった操作により演出(リーチ)を終了させることが難しく、このような傾向は機種単位、或いは遊技機単位で異なるため、天井機能迄の残りゲーム数が例え同じであっても、天井特典迄に必要な遊技時間が異なることで、遊技者は目安を把握することが難しく、管理者においてもどのような傾向が表れるのかを把握し難かった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、天井特典を発生させるために必要な時間を把握し難いパチンコ遊技機のような遊技機を遊技場に設ける場合に、適切にサポート可能となる遊技場用システム及び遊技場用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した遊技場用システムによれば、天井条件が満たされる迄に想定される天井迄始動情報と、単位遊技の実行数に対応した管理始動情報と遊技機にて消費される遊技価値を示すアウトとの対応関係を示す始動消費情報と、天井迄始動情報に対応するアウトに対応した遊技期間を示す天井条件が満たされる迄の想定到達期間、及び当該想定到達期間を利用した想定統合期間の内、少なくとも一方を管理するようにしたので、天井特典を発生させるために必要な時間を把握し難いパチンコ遊技機のような遊技機を遊技場に設ける場合に、適切にサポート可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】想定期間と残期間とに対応する区分毎の件数(機種A)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技機装置2及び情報表示装置3(遊技情報特定手段、設定手段、表示手段、遊技場用表示装置に相当する)が設置されている。これら遊技機1、遊技機装置2及び情報表示装置3は2台ずつ中継装置4に接続されており、中継装置4はLAN5を介して管理装置6(遊技情報特定手段、設定手段、管理手段、遊技場用表示装置に相当する)と接続されている。又、遊技場内にはPOSや残高精算機(何れも図示せず)も設置されており、これらPOSや残高精算機もLAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード7、モニタ8(表示手段に相当する)、プリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、遊技機装置2等)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1毎の遊技データ、会員登録された会員毎の個人データ、遊技機1や遊技機装置2等の稼動状態等を管理する。
【0010】
遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、盤面9に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル10、上部受皿11、下部受皿12を有すると共に、盤面9に、液晶表示部13、普図入賞口14、第1始動口15、第2始動口16、大入賞口17を有する。
【0011】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口15は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口16は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。
(2)第1始動口15又は第2始動口16への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部13において行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0012】
(3)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)迄図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0013】
(4)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/200で、大当りがその後確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率はヘソ入賞では50%であるのに対して電チューでは70%である。大当りが発生すると振分けられたラウンド(R)分だけ大入賞口17を開放する。ここでRはヘソ入賞では全てが4Rに振分けられる一方、電チューでは10Rに50%、4Rに50%振分けられる。尚、1Rの上限入賞数は10個、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0014】
(5)確変中は大当り確率が1/50に向上すると共に各始動口15,16への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる複合時短となり、大当り発生迄継続する。一方で、確変とならない通常大当りが発生した場合、100回の図柄変動が行われる迄継続する確変ではない時短(単独時短)となり、大当りが発生しなければ通常状態に戻る。
【0015】
(6)第2始動口16は普図入賞口14への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普
図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口16の入賞率が高くなる。
【0016】
(7)初期化条件成立(例えば大当り発生やラムクリア)後の図柄変動数(遊技機始動情報に相当する)を管理しており、所定数(500回、天井条件に相当する)の図柄変動を行う迄大当りとならなかった場合は所定数(640回)の図柄変動を行う迄時短(天井時短、天井特典に相当する)となるが、確変にはならないので単独時短となる。ここで、天井時短を発生させるための図柄変動は複合時短も含め確変中は加算対象にならないが、単独時短は確変ではないので加算対象となる。又、大当りが発生しないまま時短が終了した場合、それ以降に所定数(500回)の図柄変動を行っても天井時短は発生しない。このような遊技機以外に、確変中も加算対象となるような遊技機や、所謂ST機のような構成の単独時短が発生しない遊技機、或いは大当り確率が複数設けられ、設定により変更可能な遊技機といった例示した遊技機以外の遊技機を管理対象としても良い。以上は、例えば機種Aについて例示したが、例えば機種Bであればラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な値となる。
【0017】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口15,16への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号(稼動信号)である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機から出力される信号でも良い。
セーフ信号=遊技機から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。入賞に応じた払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。又、玉を実際に払出した際に出力される実セーフ信号と、入賞に応じて払出が予約された場合に出力される入賞セーフ信号とがあるが、入賞から出力迄のタイムラグを極力省くため後者を採用することが望ましい。
【0018】
スタート信号=遊技機から出力される始動入賞(S入賞)により変動(作動)する液晶表示部(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)、及びスタート(スタート処理数、ゲーム数)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、信号入力に応じてスタート処理を特定する。尚、始動入賞時に出力されるS入賞信号にて代用しても良い。
大当り信号=遊技機から出力される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル出力される状態信号なので、大当り信号入力中を大当り中として特定する。
【0019】
特別状態信号=遊技機から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口16の入賞率が向上する特別状態中(時短中(複合時短含む))にレベル出力される状態信号なので、特別状態信号入力中を特別状態中として特定する。尚、大当り確率が向上する確変中にレベル出力される状態信号(確変信号)であっても良い。又、大当り信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。"
【0020】
遊技機装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示灯18、貨幣(貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口19、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部20、持玉(会員であれば貯玉も含む、獲得価値、有価価値)を払い出すための払出釦21、払い出された玉が通過する払出ノズル22、一般カードや会員カードが挿入されるカード挿入口23、遊技機1の下部受皿12の下方に位置する着脱可能な計数受皿24等を有する。
【0021】
遊技機装置2は、以下に示すように動作する。
(1)貨幣を受付ける(貨幣受付処理)と、遊技機1と遊技機装置2の双方に入金額が表示されると共に貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)が遊技機1から払出され(対価付与処理)、その対価付与処理に応じて入金額の表示が貸出玉の対価を除いた残高の表示となる。貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円迄)。残高がある状態で遊技機1の貸出釦を押下(貸出操作、付与操作)すると、貸出1単位分の貸出玉が遊技機から払出され、その対価分を残高から引落とす。又、所謂各台計数機能も備えており、遊技者が獲得した獲得玉を計数し、その計数した獲得玉を対価として再度玉を払戻すことも可能で、その払戻し分の対価を除いた玉数を持玉として特定可能である。
【0022】
(2)残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦を押下(発行操作を受付)すると、残玉や持玉を特定可能な一般カードが発行される。尚、残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行は説明の簡略化のため不可としたが、可能としても良い。
【0023】
(3)中継装置4とのシリアル通信(売上信号の受信)により貨幣受付処理や対価付与処理、残高や貸出玉数、入金額や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、計数玉、持玉、払戻玉、及び一般カードの受付や発行処理を特定可能であるが、これらはパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)でも特定可能である。
【0024】
管理装置6は、従来と同様に遊技情報を遊技機単位で集計し、
図2に示す素データ一覧(機種A)を機種単位で集計する。
図2,3,5,6は機種「機種A」を対象とした遊技情報例あり、「平均」は機種Aを対象とした遊技機平均であり、「合計」の対応値である。尚、管理装置6は、周知の通り、台番と機種とを対応付ける機種設定等の設定も行う。
図2に示す項目は以下の通りである。
アウト=アウト信号により特定される遊技機1にて消費された遊技価値である。
遊技期間=アウト信号の入力により所定期間(例えば60秒)作動する稼動タイマの作動期間である。
セーフ=セーフ信号により特定される遊技機1への入賞に応じて付与された遊技価値である。
【0025】
スタート=スタート信号により特定される遊技機1における役物の作動回数である。尚、以下も含め「甘中」とは時短などの特別状態期間に対応した遊技情報を示す。
売上玉=売上信号により特定される対応する遊技機装置2にて貨幣価値を対価として付与された遊技価値(貸出玉数、対価付与価値)である。
大当り数=大当り信号により特定される大当り数である。「通常」は「特定」以外の大当り数であり、「特定」は特定の条件を満たす(例えばT1Yに対して設定される基準範囲(例えば800~)内のT1Yとなった)大当りである特定大当りの発生回数である。
【0026】
Tアウト=T中(大当り中及び甘中)のアウトである。
Tセーフ=T中(大当り中及び甘中)のセーフである。
T1アウト=T1中(大当り中)のアウトである。
T1セーフ=T1中(大当り中)のセーフである。
特T1アウト=特定大当りのみを対象としたT1中のアウトである。
特T1セーフ=特定大当りのみを対象としたT1中のセーフである。
【0027】
尚、本実施形態では説明の都合上、所謂貯玉に基づく再プレイシステムのない遊技場を前提としているが、再プレイシステムのある遊技場であれば、売上玉に再プレイ玉を含めて演算することが望ましい。尚、
図1に示す払出しノズル22の再プレイ用とは遊技者が当該営業日に獲得した獲得玉を払戻す再プレイを指し、この再プレイ玉は売上玉に含める必要はない。
【0028】
又、管理装置6は、
図3に示す遊技情報集計(機種A)を機種単位で集計する。
図3に示す項目は以下の通りである。
ベース=状態(通常時、甘中)別の出率であり、「通常」はBセーフ÷BOにて特定し、「甘中」はBセーフA÷BOAにて特定する。以下も含め、通常中のアウトであるBOはBO=アウト-Tアウトにて特定し、通常中のセーフであるBセーフはBセーフ=セーフ-Tセーフ、甘中のアウトであるBOAはBOA=Tアウト-T1アウト、甘中のセーフであるBセーフAはBセーフA=Tセーフ-T1セーフにて特定しているが、BO、Bセーフ、BOA、BセーフAを素データとして特定しても良い。尚、以下では通常中のベースを単にベース、甘中のベースをBAとも言う。
【0029】
平均S(始動消費情報に相当する)=状態別のアウトに対するスタートの割合であり、平均S=通常(甘中)スタート÷BO(BOA)にて特定する。尚、以下では通常中の平均SをS、甘中の平均SをSAとも言う。
時間アウト(消費期間情報に相当する)=単位遊技期間(例えば1時間)当りのアウトであり、時間アウト=アウト÷遊技期間にて特定する。
【0030】
T1Y、T1O=T1Yは平均大当り中出玉数であり、T1Y=(T1セーフ-T1アウト)÷合計大当り数にて特定する。T1Oは平均大当り中アウトであり、T1O=T1アウト÷合計大当り数にて特定する。尚、合計大当り数=通常大当り数+特定大当り数である。
【0031】
特T1Y、特T1O=特T1Yは特定大当りを対象としたT1Yであり、特T1Y=(特T1セーフ-特T1アウト)÷特定大当り数にて特定する。特T1Oは特定大当りを対象としたT1Oであり、特T1O=特T1アウト÷特定大当り数にて特定する。
【0032】
出率、Bサ、客滞率=出率はアウトに対するセーフの割合(払出率、付与率)であり、出率=セーフ÷アウトにて特定する。Bサは通常時の差玉数であり、Bサ=BO-Bセーフにて特定する。客滞率は売上玉に対するBサの割合であり、客滞率=Bサ÷売上玉にて特定する。
【0033】
粗利=遊技に応じた遊技場側の営業利益であり、粗利=売上額-獲得玉×貸単価×原価率にて特定する。尚、獲得玉(獲得価値)=売上玉+セーフ-アウト、売上額=売上玉×貸単価、貸単価=4円、原価率=90.9%にて演算する。
【0034】
玉単価、玉粗利=玉単価はアウト1当りの売上額であり、玉単価=売上額÷アウトにて特定する。玉粗利はアウト1当りの粗利であり、玉粗利=粗利÷アウトにて特定する
営業割数=実際の売上額(売上玉)に対する遊技場側の損益額(損失玉)の割合であり、営業割数=獲得玉÷売上玉にて特定する。
【0035】
図4は、機種Aについて
図2から
図3のように集計した情報やスペック情報に基づいて天井時短に関する想定期間を特定するための情報を機種別に集計した例を示している。
時間アウトは、通常、甘中、大当りに区分して
図3同様に特定しているが、大当りについては集計対象となる期間が短く収束し難いと共にリーチのような遊技を中断するような要因も少ないため規則的に認められる最大値(6000)に近い値(5950)を一律に設定している。勿論、通常や甘中と同様に実際の遊技情報を集計対象としても良い。
【0036】
TSは、大当り発生迄に想定される平均スタート回数であり、大当り確率の逆数を示している。ここで、天井となった場合、ほとんどの機種は時短となるだけで大当り確率は変わらないが、例えば機種Dのような機種(例えば所謂1種2種混合機)は、通常時はヘソ入賞による大当り抽選であるが、天井時短になると役物開放により役物内のV入賞口に入賞し易くなることで大当りし易くなり、大当り迄に想定される平均スタート回数が変わるので、そのような機種は天井であっても甘中同様にTSが変わるようなスペック情報となる。又、甘中は時短も含むので確変中の大当り確率の逆数と同数にはならない。尚、上限は天井時短中に大当りが発生しない場合に天井時短が終了する際のスタートを示している。
【0037】
1S期間は、スタート1回当りの期間を示し、例えば機種Aの通常の場合、平均Sが7.0%であることから、おおよそスタート7回で100のアウトとなり、1回のスタートには7%の逆数となる14.3分のアウト(1Sアウト)が必要になる。時間アウトは1時間=3600秒に対応するので、この関係と同じ関係となるように1Sアウトに対応する期間を特定すると、
図4に示す通り10秒(1Sアウト:時間アウト=1S期間:1時間なので、1時間の14.3÷4920倍、即ち0.29%倍となる10秒45。
図4では小数点以下を省略しており、以下も適宜同様)となる。甘中も同様であるが、甘中は甘中に対応した時間アウトとTSとから特定する。
【0038】
TS期間は、TS分のスタートを得るために必要な期間であり、1S期間にTS分を乗じた期間となるが、天井は天井時短になってから甘中(同じ時短状態であるため)の1S期間にて天井分のスタートを得るために必要な期間を示す。
【0039】
平均継続数やラウンド係数は、スペック上の数値であり、平均継続数は、天井時短中に大当りが発生した場合に想定される大当り回数の期待値である。ラウンド係数は、特TIOに対応するラウンドに対して甘中に大当りが発生した場合の平均的なラウンド数に換算するための数値である。
【0040】
初当り後特賞期間は、天井時短中に大当りが発生した場合に、当該大当りを初当りとして通常状態に戻るまでの特賞状態における期間に関する遊技情報であり、総T1は特賞状態にて発生が見込まれる大当り、即ち平均継続数の大当りが平均的なラウンド数で発生した場合の大当りに相当する期間を示し、特T1Oにラウンド係数と平均継続数とを乗ずることで対応するアウトが特定され(例えば機種Aの場合、233×62%×3.3≒476.7)、そのアウトに対応する期間が総T1となるが、上記同様に機種Aの場合、例えば、大当りの時間アウト(5950)と当該アウト(476.7)との関係が1時間と総T1とで同じ関係となるように、1時間×476.7÷5950=288秒から4分48秒となる。
【0041】
総甘中も同様であり、上記初当り後の特賞状態における大当りを除く甘中の期間の合計期間を示し、平均的なスタート、即ちTS(機種Aであれば70)にて大当りが発生する場合の期間(機種Aであれば甘中のTS期間6分1秒)に、平均継続数から初当り分を除いた値(平均継続数は初当りを含むので、例えば機種Aであれば3.3-1=2.3)分の期間(機種Aであれば2.3×6分1秒=13分50秒)となり、合計は総T1と総甘中を合計した特賞状態全体の期間を示す。
【0042】
図5は、機種Aを対象として
図4に基づいて天井迄のスタート(残りS、管理始動情報、必要始動情報、天井迄始動情報に相当する)に応じた天井時短にて大当りとなった特賞状態が終了する迄の目安期間を示しており、以下の手順にて特定することができる。
【0043】
まず、天井を発生させるために必要なスタートである天井基準値(機種A(以下、同様)であれば500回)から既に実行したスタートを除外した値(例えば400回分を実行していたら、500-400=100)を示す残りSを想定する。
【0044】
次に、例えば天井時短となってからTS分のスタート(天井後始動情報に相当する)にて大当りとなることを想定したTSであれば、残りSに
図4の通常の1S期間を乗じて、天井時短が発生する迄の想定期間(例えば上記の場合、100×10秒45=17分25秒、想定到達期間に相当する)と、天井のTS期間(例えば17分11秒)と、初当り後の特賞期間(例えば18分38秒)との合計期間を特定する(53分14秒、想定統合期間に相当する)。
【0045】
上記同様にTS×2であれば、上記の天井のTS期間を甘中の1S期間(例えば5秒155)に天井のTSを2倍した値(例えば400)を乗じた期間(例えば34分22秒)に代えた期間(例えば1時間10分25秒)、上限であれば上記の天井のTS期間を甘中の1S期間にTSの上限(例えば640)を乗じた期間(例えば54分59秒)に代えた期間(例えば1時間31分2秒)となる。
【0046】
このように残りSに対応した天井時短迄の想定期間(天井迄期間)と、天井時短となってから想定されるスタートに対応する想定期間(天井中期間)と、天井時短にて大当りが発生した場合に想定される特賞期間(天井特賞期間)とを合計することで、残りSに応じた天井時短にて発生した大当りを起点とする特賞状態が終了する迄の想定期間を特定可能となる。尚、特賞状態が終了するまでの想定期間ではなく特賞状態が開始する迄、即ち、天井時短迄の想定期間と天井時短となってから想定されるスタートに対応する想定期間との合計期間(想定統合期間に相当する)を特定可能としても良い。
【0047】
天井迄期間については残りSに応じた期間を特定しても良いし、遊技機1の性能を把握するために例えば閉店時の残りSに応じた想定期間を特定することで、どれぐらいの想定期間となることで、遊技者が遊技を敬遠しているかを把握可能になる。又、天井中期間においても、TS、TS×2、上限といった3つのパターンしか例示していないが、任意の数値により想定される天井中における想定されるスタートに応じた想定期間が特定可能になる。又、遊技機1を評価する場合には、
図5のように残りSか天井中のスタートの少なくとも一方について、複数の候補を対象とした想定期間を比較可能に管理することが望ましい。更に、閉店時の残りSとなった時刻から閉店迄(閉店時刻迄)の期間(残期間)を管理し、当該残りSに対応した想定期間と比較可能に管理しても良い。
【0048】
この場合、天井迄期間は通常の時間アウトに応じた1S期間、天井中期間は甘中の時間アウトに応じた1S期間により特定しているので、例えばリーチが長いといった遊技中に遊技価値を消費する割合が比較的低くなる傾向のある通常状態と、例えばリーチが短いといった遊技中に遊技価値を消費する割合が比較的高くなる傾向のある特別状態(甘中)とのそれぞれの傾向を考慮した上で想定期間を特定可能となるので、想定期間の精度を高められる。尚、1S期間を特定することなく1S期間を特定するための平均Sや時間アウト、或いはそれらを特定するための
図2に示すアウトや遊技期間等から直接的に想定期間を特定しても勿論良い。又、天井迄期間や、天井迄期間と天井中期間との合計となる天井時短中の大当り迄の期間だけを特定しても勿論良い。
【0049】
図5では遊技場の管理者向けのデータ表示や印字等の管理装置6での出力例となるが、例えば情報表示装置3や、島端に設けられるデータ表示機等で表示することで遊技者向けに表示しても良い。この場合、
図5を出力対象としても勿論良いが、例えば現在の残りSに応じた想定期間を表示すれば良く、天井中期間について
図5のように複数の候補を出力対象としても良いし、例えばTSだけといった単数の候補を出力対象としても良い。
【0050】
図6は、閉店時の残S(第1始動情報に相当する)となってから閉店時刻迄の非遊技期間(第1閉店期間、第1閉店情報に相当する)と、
図5迄に説明した当該残Sからの想定期間(例えばTSを対象)とをそれぞれ複数の区分(1時間迄、1時間半迄等)とし、該当する実際の遊技機1の台数を対象期間(例えば30日)分で集計して比較可能に管理した例を示している(第1管理に相当する)。このような比較により、どれぐらいの想定期間にて遊技者が遊技を断念しているかを把握可能となる。
【0051】
上記では閉店迄の非遊技期間を例示しているが、例えば売上の発生やカード挿入、或いは顔認証等により営業日における最終の遊技者が遊技を開始したかを判定し、最終の遊技者が遊技を開始した時点の残S(第2始動情報に相当する)から閉店時刻迄の非遊技期間(第2閉店期間、第2閉店情報に相当する)と、想定期間とを比較可能に管理しても良い(第2管理に相当する)。勿論、
図6のように遊技機数を集計する代わりに、遊技機単位で閉店迄の期間と想定期間とを比較可能に管理しても勿論良い。
【0052】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
遊技場用システムにおいて、天井条件が満たされる迄に想定される天井迄のスタートと、アウトに対するスタートの割合を示す平均Sと、天井時短が発生する迄の想定期間を管理するようにしたので、天井時短を発生させるために必要な時間を把握し難いパチンコ遊技機のような遊技機を遊技場に設ける場合に、スタートの発生割合や期間に対するアウト消費量を考慮した上で適切にサポート可能となる。
【0053】
天井時短に到達してから大当りが発生する迄の残りSである天井残りSを設定することで、天井残りS分、或いは天井残りS分と大当り発生後の通常状態に戻る迄の特賞期間分を加えた想定期間を管理するようにしたので、天井特典として時短のような特別状態に移行するといった遊技機の場合であっても遊技価値を比較的大きく付与される大当りや、大当り後の特賞状態終了迄に必要な想定期間を特定可能となる。
【0054】
少なくとも通常状態と特別状態とで区分して時間アウトを管理し、天井時短迄の想定期間を通常状態、天井残りS分の想定期間を特別状態のそれぞれの時間アウトに対応させて想定期間を特定するようにしたので、例えばリーチが長いといった遊技中に遊技価値を消費する割合が比較的低くなる傾向のある通常状態と、例えばリーチが短いといった遊技中に遊技価値を消費する割合が比較的高くなる傾向のある特別状態(甘中)とのそれぞれの傾向を考慮した上で想定期間を特定可能となり、想定期間の精度を高めることが可能となる。
【0055】
残りSと天井残りS分との内、少なくとも一方について複数の候補を特定し、その複数の候補となった場合の想定期間をそれぞれ特定するようにしたので、遊技機の仕様や調整状況に対応した想定期間を、複数の候補間で比較しながら検討可能となる。
【0056】
閉店時の残りSに対応した想定期間と、閉店時の残りSとなってから又は営業日における最終の遊技者が遊技を開始してから閉店時刻迄の期間とを比較可能に管理するようにしたので、残りSに対応した想定される期間に対して遊技者がどの程度で遊技を断念するようになるのかといった傾向を把握可能となる。
【0057】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
平均S、時間アウト、残りS、閉店時の残りSとなってから閉店時刻迄の非遊技期間、営業日における最終の遊技者の遊技開始時点から閉店時刻迄の非遊技期間等を、遊技機側から出力される遊技信号により特定することを例示したが、遊技場の管理者による操作入力により特定しても良い。
機種単位で時間アウトのような遊技情報を特定することを例示したが、遊技機単位でそれらを特定して評価を行っても良い。
時間アウトを状態別に区分したが、状態別に区分することなく全状態に共通した時間アウトにより各種の想定期間を特定しても良い。
【0058】
天井特典として天井時短となることを例示したが、時短のような特別状態に移行するだけでなく、例えば所定数の遊技価値を付与するとか、大当り確率を変更するための設定値のようなモードを提示するといった他の特典を天井特典としても良い。又、特別状態に移行する場合、時短だけでなく確変のような他の特別状態を対象としても勿論良い。
【0059】
各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置6の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。尚、この場合もサーバにて操作入力により入力された設定値となる。又、過去の遊技情報を基準値として設定しても勿論良い。
【0060】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。尚、例示した演算式は単なる例示であり、どのような演算式を採用しても良い。又、遊技信号としてパルス信号を例示したが、シリアル通信等による信号入力としても良い。
【0061】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。又、識別出力についても例示した以外に記号を付ける等、どのような出力態様としても良く、出力としては印字、表示出力が少なくとも想定される。
【0062】
以上と超過についてはどちらを採用しても良く、「達した」等の表現は「以上となった」又は「超過した」の何れにも対応する表現となる。以下と未満についても同様であり、「達していない」等の表現は「以下となった」又は「未満となった」の何れにも対応する表現となる。
【0063】
対象となる遊技機1としては遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式等の例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等も採用することができる。尚、所謂封入式のように遊技媒体を払い出さない遊技機を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
【0064】
管理装置6が行う処理の一部を中継装置4、或いは遊技機装置2等にて行っても良く、どのように構成しても良い。更に例示した構成は変形例も含めて、どのように組み合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。又、遊技場の管理者向けに情報表示することを例示したが、遊技者向けに情報表示しても良く、この場合、例えば遊技機装置2や情報表示装置3、或いは島端に設けられる図示しない集中情報表示装置にて情報表示しても良く、この場合の表示情報の管理や特定等は管理装置6にて行っても良いし、遊技機装置2及び情報表示装置3等で行っても良い。
【符号の説明】
【0065】
図面中、1は遊技機、3は情報表示装置(遊技情報特定手段、設定手段、表示手段、遊技場用表示装置)、6は管理装置(遊技情報特定手段、設定手段、管理手段、遊技場用表示装置)、8はモニタ(表示手段)である。