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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
H01L21/306 J
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020183212
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073307
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋宏
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046262(JP,A)
【文献】特開2018-014470(JP,A)
【文献】特開2020-113621(JP,A)
【文献】特開2007-324567(JP,A)
【文献】特開2020-047885(JP,A)
【文献】特開2017-130574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0197861(US,A1)
【文献】特開2004-327826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列方向に沿って一列に並んだ基板列に配列された複数の基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板を浸漬するための処理液を貯留する処理槽と、
前記処理液に気体を供給することによって前記処理液中に気泡を発生させる複数の気泡発生管と
前記複数の気泡発生管と接続された複数の気体供給管と、
前記複数の気体供給管を流れる気体の流量を制御する流量制御機構と、
前記複数の気泡発生管のうち前記処理液に浸漬された前記基板列の端部の下方に位置する端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力と、前記基板列の中央の下方に位置する中央気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力とを測定する圧力計と、
前記流量制御機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記圧力計において測定された前記端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力および前記中央気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力に基づいて前記流量制御機構を制御して、前記端部気泡発生管に供給される気体の流量が前記中央気泡発生管に供給される気体の流量よりも多くなるように前記複数の気体供給管を流れる気体の流量を制御する、基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の気泡発生管は、前記基板の主面の法線方向に対して直交に延びる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記中央気泡発生管の単位面積当たりの数は、前記端部気泡発生管の単位面積当たりの数よりも少ない、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
御プログラムを記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記制御プログラムに従って前記流量制御機構を制御する、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記中央気泡発生管は、
前記基板に対して水平方向の一方側の下方に配置された中央第1配管と、
前記中央第1配管から分離され、前記基板に対して水平方向の他方側の下方に、前記中央第1配管と直線状に配列された中央第2配管と
を含み、
前記端部気泡発生管は、
前記基板に対して水平方向の一方側の下方に配置された端部第1配管と、
前記端部第1配管から分離され、前記基板に対して水平方向の他方側の下方に、前記端部第1配管と直線状に配列された端部第2配管と
を含む、請求項1からのいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理槽に配置された液体吐出管をさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記液体吐出管は、前記基板の主面の法線方向に対して平行に延びるように配置される、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理液は、燐酸液を含む、請求項1からのいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
列方向に沿って一列に並んだ基板列に配列された複数の基板を処理槽に貯留された処理液に浸漬する浸漬工程と、
前記処理槽内に配置された複数の気泡発生管に気体を供給することによって前記処理液中に気泡を発生させ、前記処理液に浸漬された基板に前記気泡を供給する気泡供給工程と
を包含し、
前記気泡供給工程は、
前記複数の気泡発生管のうち前記基板列の端部の下方に位置する端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力および前記基板列の中央部の下方に位置する中央気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力を測定する圧力測定工程と、
前記圧力測定工程における測定結果に基づいて、記端部気泡発生管に供給される気体の流量、前記中央気泡発生管に供給される気体の流量よりも多くする流量不均等供給工程
を含む、基板処理方法。
【請求項10】
前記複数の気泡発生管は、前記基板の主面の法線方向に対して直交に延びる、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記気泡供給工程は、前記端部気泡発生管および前記中央気泡発生管のそれぞれに等しい流量で気体を供給する流量均等供給工程をさらに含み、
前記圧力測定工程は、前記流量均等供給工程において、前記端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力および前記中央気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力を測定し、
前記流量不均等供給工程は、前記圧力測定工程における測定結果に基づいて、前記端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の流量および前記中央気泡発生管と接続された気体供給管に供給される気体の流量を設定する、請求項9または10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
列方向に沿って一列に並んだ基板列に配列された複数の基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板を浸漬するための処理液を貯留する処理槽と、
前記処理液に気体を供給することによって前記処理液中に気泡を発生させる複数の気泡発生管と
を備え、
前記複数の気泡発生管のうち前記処理液に浸漬された前記基板列の端部の下方に位置する端部気泡発生管に供給される気体の流量は、前記基板列の中央の下方に位置する中央気泡発生管に供給される気体の流量よりも多い、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置および液晶表示装置などの電子部品に用いられる基板は、基板処理装置によって処理されることが知られている。基板は、処理槽内の処理液に浸漬することによって処理できる。
【0003】
近年における半導体基板上に形成される半導体素子の微細化および/または三次元化に伴い、基板の処理を均一化する要請が高まっている。例えば、三次元構造を有するNAND素子は、立体的な凹凸構造が設けられた積層構造を有している。素子パターンの凹凸構造の凹部に処理液が滞留した場合には、凹部内の液置換が不十分となる。そのため、凹部を含む基板全体に対して充分に液置換を促すために、処理槽に浸漬した基板の下方に気泡発生管を配置し、気泡発生器から気泡を発生させて処理槽内の液置換を促進することがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1の基板処理装置では、燐酸水溶液を貯留した処理槽に基板を浸漬して基板を処理する際に、処理槽において浸漬した基板の下方に配置した気泡発生器から気泡を発生させる。気泡発生器は、筒状であり、多数の吐出口(多数の開口)を有する。気泡発生器の一端には、気泡発生器に水蒸気を供給する気体供給管が接続されている。気泡発生器は、水蒸気を各吐出口から燐酸水溶液中に吹き出すことによって、水蒸気を含む気泡を燐酸水溶液中に発生させる。
【0005】
また、特許文献2の基板処理装置では、基板処理工程において液体中の気泡の発生状態を撮像し、撮像結果に基づいて気泡発生器からの気泡の発生量を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-21822号公報
【文献】特開2018-46262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の基板処理装置では、基板ごとに処理ムラが発生することがある。また、特許文献2に記載の基板処理装置では、基板処理工程における液体中の気泡の発生状態を撮像するが、液体中の気泡の発生状態を撮像して気泡発生器からの気泡の発生量を個別に調整することは困難である。
【0008】
典型的には、1回の浸漬処理で複数の基板が処理される。このため、基板ごとに処理ムラが発生すると、基板から製造された半導体素子の特性にばらつきが生じることになり、半導体素子の歩留まりが低下することになる。例えば、基板をエッチングする処理液内のシリコン濃度にムラがあると、シリコン窒化物とシリコン酸化物のエッチング性に影響が生じる。この影響は、基板が立体的な凹凸形状である場合に特に顕著である。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理槽内における基板ごとの処理ムラを抑制可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、列方向に沿って一列に並んだ基板列に配列された複数の基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板を浸漬するための処理液を貯留する処理槽と、前記処理液に気体を供給することによって前記処理液中に気泡を発生させる複数の気泡発生管と、前記複数の気泡発生管と接続された複数の気体供給管と、前記複数の気体供給管を流れる気体の流量を制御する流量制御機構と、前記複数の気泡発生管のうち前記処理液に浸漬された前記基板列の端部の下方に位置する端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力と、前記基板列の中央の下方に位置する中央気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力とを測定する圧力計と、前記流量制御機構を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記圧力計において測定された前記端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力および前記中央気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力に基づいて前記流量制御機構を制御して、前記端部気泡発生管に供給される気体の流量が前記中央気泡発生管に供給される気体の流量よりも多くなるように前記複数の気体供給管を流れる気体の流量を制御する。
【0011】
ある実施形態において、前記複数の気泡発生管は、前記基板の主面の法線方向に対して直交に延びる。
【0012】
ある実施形態において、前記中央気泡発生管の単位面積当たりの数は、前記端部気泡発生管の単位面積あたりの数よりも少ない。
【0017】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、制御プログラムを記憶する記憶部をさらに備える。前記制御部は、前記制御プログラムに従って前記流量制御機構を制御する。
【0018】
ある実施形態において、前記中央気泡発生管は、前記基板に対して水平方向の一方側の下方に配置された中央第1配管と、前記中央第1配管から分離され、前記基板に対して水平方向の他方側の下方に、前記中央第1配管と直線状に配列された中央第2配管とを含む。前記端部気泡発生管は、前記基板に対して水平方向の一方側の下方に配置された端部第1配管と、前記端部第1配管から分離され、前記基板に対して水平方向の他方側の下方に、前記端部第1配管と直線状に配列された端部第2配管とを含む。
【0019】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、前記処理槽に配置された液体吐出管をさらに備える。
【0020】
ある実施形態において、前記液体吐出管は、前記基板の主面の法線方向に対して平行に延びるように配置される。
【0021】
ある実施形態において、前記処理液は、燐酸液を含む。
【0022】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、列方向に沿って一列に並んだ基板列に配列された複数の基板を処理槽に貯留された処理液に浸漬する浸漬工程と、前記処理槽内に配置された複数の気泡発生管に気体を供給することによって前記処理液中に気泡を発生させ、前記処理液に浸漬された基板に前記気泡を供給する気泡供給工程とを包含する。前記気泡供給工程は、前記複数の気泡発生管のうち前記基板列の端部の下方に位置する端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力および前記基板列の中央部の下方に位置する中央気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力を測定する圧力測定工程と、前記圧力測定工程における測定結果に基づいて、記端部気泡発生管に供給される気体の流量、前記中央気泡発生管に供給される気体の流量よりも多くする流量不均等供給工程を含む。
【0023】
ある実施形態において、前記複数の気泡発生管は、前記基板の主面の法線方向に対して直交に延びる。
【0025】
ある実施形態において、前記気泡供給工程は、前記端部気泡発生管および前記中央気泡発生管のそれぞれに等しい流量で気体を供給する流量均等供給工程をさらに含む。前記圧力測定工程は、前記流量均等供給工程において、前記端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力および前記中央気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の圧力を測定し、前記流量不均等供給工程は、前記圧力測定工程における測定結果に基づいて、前記端部気泡発生管と接続された気体供給管を流れる気体の流量および前記中央気泡発生管と接続された気体供給管に供給される気体の流量を設定する。
本発明の別の局面によれば、基板処理装置は、列方向に沿って一列に並んだ基板列に配列された複数の基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板を浸漬するための処理液を貯留する処理槽と、前記処理液に気体を供給することによって前記処理液中に気泡を発生させる複数の気泡発生管とを備える。前記複数の気泡発生管のうち前記処理液に浸漬された前記基板列の端部の下方に位置する端部気泡発生管に供給される気体の流量は、前記基板列の中央の下方に位置する中央気泡発生管に供給される気体の流量よりも多い。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、処理槽内における基板ごとの処理ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(a)および(b)は、本実施形態の基板処理装置の模式的な斜視図である。
図2】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図3】(a)は、本実施形態の基板処理装置の模式的な側面図であり、(b)は、本実施形態の基板処理装置の模式的な上面図である。
図4】(a)は、基板処理装置において複数の気泡発生管に等しい流量で気体を供給した場合に発生する気泡を示した模式図であり、(b)は、本実施形態の基板処理装置における処理液の流れを示した模式図である。
図5】(a)は、本実施形態の基板処理装置の模式的な側面図であり、(b)は、本実施形態の基板処理装置において、複数の気泡発生管に異なる流量で気体を供給した場合に発生する気泡を示した模式図である。
図6】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図7】本実施形態の基板処理方法によるフロー図である。
図8】(a)~(c)は、本実施形態の基板処理方法でエッチング処理される基板の変化を示す模式図である。
図9】本実施形態の基板処理装置の模式的な上面図およびその一部拡大図である。
図10】(a)および(b)は、本実施形態の基板処理装置の模式的な上面図である。
図11】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図12】(a)は、本実施形態の基板処理装置の模式的な側面図であり、(b)は、本実施形態の基板処理装置の模式的な上面図である。
図13】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図14】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置および基板処理方法の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。また、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を記載することがある。典型的には、x軸およびy軸は、基板または基材の主面に対して平行に延びており、z軸は基板または基材の主面に対して垂直な方向に延びている。
【0029】
図1を参照して、本発明による基板処理装置100の実施形態を説明する。図1(a)および図1(b)は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な斜視図である。図1(a)は、基板Wが処理槽110内の処理液Lに浸漬する前の模式的な斜視図であり、図1(b)は、基板Wが処理槽110内の処理液Lに浸漬した後の模式的な斜視図である。
【0030】
基板処理装置100は基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0031】
基板Wは、薄い板状である。典型的には、基板Wは、薄い略円板状である。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板などを含む。
【0032】
基板処理装置100は、処理液Lで基板Wを処理する。処理液Lにより、基板Wには、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つが行われる。
【0033】
基板処理装置100は、処理液Lによって複数の基板Wを一括して処理する。なお、基板処理装置100は、処理液Lによって多数の基板Wを所定数ずつ処理してもよい。所定数は、1以上の整数である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを複数枚まとめて処理する。
【0034】
例えば、基板処理装置100は、シリコン基板からなる基板Wのパターン形成側の表面に対して、シリコン酸化膜(SiO2膜)およびシリコン窒化膜(SiN膜)のエッチング処理を施す。このようなエッチング処理では、基板Wの表面からシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜のうちのいずれかを除去する。
【0035】
処理液Lは、燐酸(H3PO4)を含有する。処理液Lは、例えば、燐酸水溶液、燐酸水溶液に添加剤を含有させた液体、燐酸を含有する混酸、または、燐酸および添加剤を含有する混酸を含む。例えば、処理液Lとして、略89質量%の燐酸((H3PO4)と略11質量%の水(脱イオン水)とが混合された略157℃の溶液(以下、「燐酸液」と記載する。)が用いられると、基板Wの表面からシリコン窒化膜(SiN膜)が除去される。換言すれば、処理液Lとして、不純物を含有せず、高温、高酸濃度の溶液が用いられ、処理液Lは、シリコン(Si4+)を溶解する。なお、基板Wを処理できる限りにおいては、処理液Lの種類は特に限定されない。また、処理液Lの温度も特に限定されない。
【0036】
基板処理装置100は、処理槽110と、基板保持部120とを備える。処理槽110は、基板Wを処理するための処理液Lを貯留する。
【0037】
基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120によって保持された基板Wの主面の法線方向はY方向に平行である。複数の基板Wは、Y方向に沿って一列に配列される。換言すれば、複数の基板Wは、水平方向に略平行に配列される。また、複数の基板Wの各々の法線は、Y方向に延びており、複数の基板Wの各々は、X方向に略平行に広がる。基板保持部120は、基板Wを保持したまま基板Wを移動させる。例えば、基板保持部120は、基板Wを保持したまま鉛直方向に沿って鉛直上方または鉛直下方に移動する。
【0038】
典型的には、基板保持部120は、複数の基板Wをまとめて保持する。ここでは、基板保持部120は、Y方向に沿って一列に並んだ基板列の基板Wを保持する。
【0039】
具体的には、基板保持部120は、リフターを含む。基板保持部120は、複数の基板Wを保持した状態で鉛直上方または鉛直下方に移動する。基板保持部120が鉛直下方に移動することにより、基板保持部120によって保持されている複数の基板Wは、内槽112に貯留されている処理液Lに浸漬される。
【0040】
図1(a)では、基板保持部120は、処理槽110の上方に位置する。基板保持部120は、複数の基板Wを保持したまま鉛直下方(Z方向)に下降する。これにより、複数の基板Wが処理槽110に投入される。
【0041】
図1(b)に示すように、基板保持部120が処理槽110まで下降すると、複数の基板Wは、処理槽110内の処理液Lに浸漬する。基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液Lに、所定間隔をあけて整列した複数の基板Wを浸漬する。
【0042】
基板保持部120は、本体板122と、保持棒124とをさらに含む。本体板122は、鉛直方向(Z方向)に延びる板である。保持棒124は、本体板122の一方の主面から水平方向(Y方向)に延びる。図1(a)および図1(b)では、3つの保持棒124が本体板122の一方の主面から水平方向に延びる。複数の基板Wは、所定間隔をあけて整列した状態で、複数の保持棒124によって各基板Wの下縁が当接されて起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0043】
基板保持部120は、昇降ユニット126をさらに含んでもよい。昇降ユニット126は、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが処理槽110内に位置する処理位置(図1(b)に示す位置)と、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが処理槽110の上方に位置する退避位置(図1(a)に示す位置)との間で本体板122を昇降させる。従って、昇降ユニット126によって本体板122が処理位置に移動させられることにより、保持棒124に保持されている複数の基板Wが処理液Lに浸漬される。
【0044】
次に、図1および図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図2は、基板処理装置100の模式図である。
【0045】
図2に示すように、ここでは、基板Wの配列方向(Y方向)の位置に応じて3つの領域に分けられる。3つの領域は、中央領域Aと、端部領域Bと、端部領域Cとを有する。端部領域B、中央領域Aおよび端部領域Cは、基板Wの配列されたY方向に沿ってこの順番に位置する。中央領域Aは、端部領域Bと端部領域Cとの間に位置する。端部領域Bは、中央領域Aに対して-Y方向に位置し、端部領域Cは、中央領域Aに対して+Y方向に位置する。
【0046】
基板処理装置100は、気体供給部130と、制御装置180とをさらに備える。気体供給部130は、処理槽110に気体を供給する。詳細には、気体供給部130は、処理槽110に貯留された処理液Lに気体を供給する。気体供給部130が処理槽110に気体を供給することにより、基板Wの処理が促進される。
【0047】
気体供給部130が、処理槽110に気体を供給することにより、処理液L内に気泡が形成される。処理液L内に形成された気泡は、処理液L内を浮上し、処理槽110内の処理液Lと気体(例えば、空気または所定雰囲気)との界面にまで達する。
【0048】
気泡が処理液L中を浮上する際に、気泡は基板Wの表面と接触する。この場合、気泡によって燐酸が攪拌されるため、燐酸内のシリコン濃度のムラを解消できる。したがって、エッチングの均一性を向上できる。
【0049】
気体供給部130は、気体供給源132と、気体供給管134と、気泡発生管136とを有する。気体供給源132は、気体を保管する。気体は、気体供給源132から供給される。
【0050】
気体供給管134は、気体供給源132と気泡発生管136とを接続する。気体供給源132から供給される気体は、気体供給管134を通って気泡発生管136に流れる。
【0051】
気泡発生管136は、処理槽110内に配置される。典型的には、気泡発生管136は、処理槽110の底面に配置される。
【0052】
複数の気泡発生管136は、配列方向に配列された基板Wの間に1つおきに配置される。複数の気泡発生管136は、中央領域A、端部領域Bおよび端部領域Cにわたって配置される。本明細書において、複数の気泡発生管136のうち中央領域Aの基板Wの下方に位置する気泡発生管136を中央気泡発生管136aと記載することがある。また、本明細書において、複数の気泡発生管136のうち端部領域Bの基板Wの下方に位置する気泡発生管136を端部気泡発生管136bと記載することがあり、端部領域Cの基板Wの下方に位置する気泡発生管136を端部気泡発生管136cと記載することがある。
【0053】
例えば、複数の気泡発生管136は、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに均等またはほぼ均等の数に分類されてもよい。あるいは、複数の気泡発生管136は、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに不均等に分類されてもよい。例えば、複数の気泡発生管136の数が7以上である場合、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cのそれぞれが2個以上の気泡発生管136を含むことが好ましい。また、端部気泡発生管136bの数は、端部気泡発生管136cの数と等しくてもよい。さらに、中央気泡発生管136aの数は、端部気泡発生管136bの数と端部気泡発生管136cの数との和よりも少なくてもよい。または、中央気泡発生管136aの数は、端部気泡発生管136bの数および端部気泡発生管136cの数のそれぞれよりも少なくてもよい。
【0054】
気体供給部130は、流量制御機構140をさらに有してもよい。流量制御機構140は、気体供給管134に取り付けられる。流量制御機構140は、気体供給管134を流れる気体の圧力および流量の少なくとも一方を制御する。例えば、流量制御機構140は、気体供給管134を流れる気体の流量を制御する。一例として、流量制御機構140は、気体供給管134を流れる気体の圧力を一定に固定して、処理に応じて気体の流量を制御する。
【0055】
例えば、流量制御機構140は、気体供給管134の流路の開閉を行うノズルまたは調整弁を含む。なお、流量制御機構140は、圧力計および流量計を含んでもよい。
【0056】
上述したように、気泡発生管136は、処理槽110内に配置される。一方、気体供給源132および流量制御機構140は、処理槽110の外部に配置される、また、気体供給管134は、処理槽110の外部に配置される。なお、気体供給管134の少なくとも一部は、処理槽110内部に配置され、処理槽110内部において気体供給管134は気泡発生管136と接続されてもよい。
【0057】
制御装置180は、基板処理装置100の各種動作を制御する。典型的には、制御装置180は、気体供給部130を制御する。例えば、制御装置180は、流量制御機構140を制御する。
【0058】
制御装置180は、制御部182および記憶部184を含む。制御部182は、プロセッサーを有する。制御部182は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部182は、汎用演算機を有してもよい。
【0059】
記憶部184は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0060】
記憶部184は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部184はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部182は、記憶部184の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0061】
記憶部184には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されている。基板処理装置100は、コンピュータプログラムに定められた手順に従って動作する。
【0062】
制御部182は、気体供給部130を制御する。制御部182の制御により、気体供給部130からの気体の供給が制御される。詳細には、制御部182は、気体供給部130による気体の供給の開始および停止を制御する。また、制御部182は、流量制御機構140を制御して、処理槽110内の気泡発生管136に供給される気体の流量を制御する。一例では、制御部182は、処理槽110の外部に配置された気体供給管134に設けられたノズル、調整弁等を制御することで、気泡発生管136への気体の供給を制御してもよい。
【0063】
また、制御部182は、昇降ユニット126を制御する。制御部182の制御により、本体板122は、処理槽110の処理液Lに対して昇降する。
【0064】
次に、図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図3(a)は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な側面図であり、図3(b)は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な上面図である。ここでは、図3(a)および図3(b)は、基板処理装置100における処理槽110の中央領域A、端部領域Bおよび端部領域Cに分けて示している。また、図3(b)では、基板保持部120を省略して示している。
【0065】
図3(a)に示すように、基板保持部120は、Y方向に一列に配列された複数の基板Wを保持する。複数の基板Wは、等間隔に配列される。例えば、隣接する基板Wの間の間隔は、2mm以上20mm以下である。
【0066】
基板Wは、主面Waと、主面Wbとを有する。主面Waは基板の表面であり、主面Wbは基板Wの裏面である。ここでは、隣接して向かい合う基板Wの主面Waは互いに向き合い、隣接して向かい合う基板Wの主面Wbは互いに向き合う。
【0067】
ここでは、気泡発生管136は、基板Wの配列された方向と交差する方向に延びる。気泡発生管136は、複数の基板Wのうち隣接する2つの基板Wの間に位置する。気泡発生管136は、X方向に延びる。気泡発生管136は、複数の基板Wの配列方向において1列おきに配置される。
【0068】
気泡発生管136は、基板保持部120に保持された基板Wの下方に位置する。典型的には、気泡発生管136は、処理槽110の底面に配置される。
【0069】
図3(b)に示すように、気泡発生管136には複数の開口136pが設けられる。気泡発生管136において複数の開口136pが一列に配列される。複数の開口136pは、等間隔で配置される。1つの気泡発生管136における複数の開口136pは、配列方向(Y方向)に配列された2つの基板Wの間に位置する。
【0070】
気泡発生管136は、中央気泡発生管136aと、端部気泡発生管136bと、端部気泡発生管136cとを有する。端部気泡発生管136b、中央気泡発生管136aおよび端部気泡発生管136cは、-Y方向から+Y方向にむかって、この順番に配列される。気泡発生管136には、それぞれ複数の開口136pが設けられる。ここでは、複数の開口136pのそれぞれの大きさおよび間隔は互いに等しい。このように、気泡発生管136は、同様の構成を有する。
【0071】
気体供給源132は、複数の気体供給管134のそれぞれと接続する。気体供給管134は、気体供給源132と気泡発生管136とをそれぞれ接続する。また、気体供給管134には、流量制御機構140が取り付けられる。気体供給源132から供給される気体は、気体供給管134を通って気泡発生管136に流れる。このため、気泡発生管136には、気体供給源132から、流量制御機構140によって流量の制御された気体が気体供給管134を通過してそれぞれ供給される。
【0072】
気泡発生管136に供給される気体の流量(気体流量)は、流量制御機構140によってそれぞれ制御できる。流量制御機構140は、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに供給される気体の流量を等しくできる。あるいは、流量制御機構140は、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに供給される気体の流量を異ならせることができる。
【0073】
本明細書において、複数の気体供給管134のうち、中央気泡発生管136aと接続する気体供給管134を気体供給管134aと記載することがある。同様に、複数の気体供給管134のうち、端部気泡発生管136bと接続する気体供給管134を気体供給管134bと記載することがあり、端部気泡発生管136cと接続する気体供給管134を気体供給管134cと記載することがある。
【0074】
また、本明細書において、流量制御機構140が複数ある場合、気体供給管134aに供給される気体の流量を制御する流量制御機構140を流量制御機構140aと記載することがある。同様に、気体供給管134bに供給される気体の流量を制御する流量制御機構140を流量制御機構140bと記載することがあり、気体供給管134cに供給される気体の流量を制御する流量制御機構140を流量制御機構140cと記載することがある。
【0075】
なお、ここでは、同一の気体供給源132から複数の気泡発生管136に気体が供給される。ただし、複数の気泡発生管136には異なる気体供給源から気体が供給されてもよい。この場合、気泡発生管136には、気体供給源132から、予め定められた流量の気体が供給されてもよい。
【0076】
次に、図1図4を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図4(a)および図4(b)は、基板処理装置100の模式図である。図4(a)は、基板処理装置100において複数の気泡発生管136にそれぞれ等しい流量で気体を供給した場合に発生する気泡を示しており、図4(b)は、本実施形態の基板処理装置100において気泡発生中の処理液Lの流れを示している。ここでは、流量制御機構140a~140cは、気泡発生管136のそれぞれに供給される気体の流量を等しくしている。
【0077】
図4(a)に示すように、気泡発生管136のそれぞれに気体が供給されると、気泡発生管136のそれぞれから処理液L中に気泡が発生する。処理槽110の処理液Lに対して気泡発生管136から気体を吐出することにより、処理液L内に気泡が発生する。処理液L内に発生した気泡は、処理液L内を浮上し、処理槽110内の処理液Lと気体(例えば、空気または所定雰囲気)との界面にまで達する。
【0078】
気泡が処理液L中を浮上する際に、気泡は基板Wの表面と接触する。この場合、気泡によって燐酸が攪拌されるため、燐酸内のシリコン濃度のムラを解消できる。したがって、エッチングの均一性を向上できる。
【0079】
例えば、端部気泡発生管136bから発生する気泡の量は、中央気泡発生管136aから発生する気泡の量よりも少ない。同様に、端部気泡発生管136cから発生する気泡の量は、中央気泡発生管136aから発生する気泡の量よりも少ない。
【0080】
図4(b)に、気泡発生管136において発生した気泡による処理液Lの流れFを示す。気泡の浮上に伴って処理槽110内の処理液Lと気体(例えば、空気または所定雰囲気)との界面にまで達した処理液Lは、処理液Lの上方において-Y方向外側および+Y方向外側に向かって流れる。その後、処理液Lは、処理槽110の-Y方向外側の側壁および+Y方向外側の側壁に沿って下方に流れる下降流を形成する。
【0081】
したがって、処理槽110の端部に位置する端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cは、処理槽110の中央に位置する中央気泡発生管136aと比べて、処理液Lが処理槽110の上方から下方に向かう下降流の影響を強く受ける。このため、気泡発生管136に供給される気体の流量が等しくても、気泡発生管136から発生する気泡によるエッチング量が均一にならないことがある。詳細には、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量は、中央気泡発生管136aから発生する気泡の量よりも少なくなる。
【0082】
次に、図1図5を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図5(a)は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な上面図であり、図5(b)は、本実施形態の基板処理装置100において、複数の気泡発生管136に異なる流量で気体を供給することによって気泡が発生した基板処理装置100の模式図である。
【0083】
図5(a)に示すように、流量制御機構140は、気泡発生管136に供給される気体の流量が異なるように制御する。詳細には、流量制御機構140aおよび流量制御機構140bは、端部気泡発生管136bに供給される気体の流量が中央気泡発生管136aに供給される気体の流量よりも多くなるように気体供給管134aおよび気体供給管134bを流れる気体の流量を制御する。また、流量制御機構140aおよび流量制御機構140cは、端部気泡発生管136cに供給される気体の流量が中央気泡発生管136aに供給される気体の流量よりも多くなるように気体供給管134aおよび気体供給管134cを流れる気体の流量を制御する。このため、端部気泡発生管136b、136cに供給される気体の流量は、中央気泡発生管136aに供給される気体の流量よりも多い。
【0084】
図5(b)に示すように、気泡発生管136のそれぞれに気体が供給されると、処理液L中に気泡が発生する。ここでは、中央気泡発生管136aから発生した気泡の量、端部気泡発生管136bから発生した気泡の量、端部気泡発生管136cから発生した気泡の量は、それぞれほぼ等しい。詳細には、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから、同程度の大きさの気泡が同程度の頻度で処理液L内に発生する。このように、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量がほぼ等しくなるように、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに供給する気体の流量を異ならせることができる。
【0085】
複数の気泡発生管136に供給される気体の流量の上限は、処理槽110内の処理液Lが処理槽から溢れないように設定される。例えば、気泡発生管136に供給する気体流量の上限は、処理槽110内の容積、処理液Lの量、処理液Lの温度等に基づいて設定される。また、気泡発生管136に供給する気体流量の下限は、気泡発生管136からの気泡の発生の有無に応じて設定される。
【0086】
本実施形態の基板処理装置100では、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに供給される気体の流量は、中央気泡発生管136aに供給される気体の流量よりも多くする。このため、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量をほぼ等しくでき、基板Wごとの処理ムラを抑制できる。
【0087】
なお、図2図5では、気泡発生管136は等間隔に配列されていたが、本実施形態はこれに限定されない。中央気泡発生管136aの間の間隔は比較的長く、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cの間の間隔は比較的短くてもよい。この場合、中央気泡発生管136aの単位面積当たりの数は、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cの単位面積当たりの数よりも少なくてもよい。
【0088】
次に、図6を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図6は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。
【0089】
図6に示すように、気体供給部130は、気体供給源132と、気体供給管134と、気泡発生管136と、流量制御機構140とを有する。ここでは、処理槽110に配置された気泡発生管136の各々に気体を供給して、気泡発生管136の各々から処理液Lに気泡を発生させ、処理液Lに浸漬された複数の基板Wに対して気泡を供給する。
【0090】
気泡発生管136は、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136b、端部気泡発生管136cを含む。なお、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136b、端部気泡発生管136c、気体供給管134a~134c、流量制御機構140a~140cのそれぞれは複数設けられるが、図6では、代表して1つずつ示している。
【0091】
気体供給管134は、共通配管134Sと、個別配管134Tとを有する。個別配管134Tは、気体供給管134aと、気体供給管134bと、気体供給管134cとを含む。
【0092】
共通配管134Sは、気体供給源132と個別配管134Tとを接続する。具体的には、共通配管134Sの上流端は、気体供給源132に接続される。気体供給源132は、共通配管134Sに気体を供給する。共通配管134Sの下流端は、気体供給管134a~134cの上流端に接続される。
【0093】
気体供給管134aの下流端は、中央気泡発生管136aに接続される。気体供給管134bの下流端は、端部気泡発生管136bに接続される。気体供給管134cの下流端は、端部気泡発生管136cに接続される。このため、気体は、気体供給源132から、共通配管134Sおよび気体供給管134a~134cを通って、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136b、端部気泡発生管136cにそれぞれ供給される。
【0094】
流量制御機構140は、共通制御機構140Sと、個別制御機構140Tとを有する。個別制御機構140Tは、流量制御機構140aと、流量制御機構140bと、流量制御機構140cとを含む。
【0095】
共通制御機構140Sは、バルブ141と、レギュレーター142と、圧力計143とを有する。バルブ141、レギュレーター142および圧力計143は、共通配管134Sの上流から下流に向かってこの順番に、共通配管134Sに配置される。バルブ141が開かれると、気体供給源132から気体が、共通配管134Sを流れる。レギュレーター142は、共通配管134Sを通過する気体の圧力を定められた値に調整する。圧力計143は、共通配管134S中の圧力を検出する。圧力計143は、レギュレーター142と個別配管134Tとの間に接続される。
【0096】
流量制御機構140bは、気体供給源132から供給される気体の流量を制御する。流量の制御された気体が、気体供給管134bを通して、中央気泡発生管136aに供給する。例えば、流量制御機構140bは、調整バルブ145と、流量計146と、フィルター147と、バルブ148とを含む。調整バルブ145、流量計146、フィルター147およびバルブ148は、気体供給管134bの上流から下流に向かってこの順番に気体供給管134bに配置される。
【0097】
調整バルブ145は、開度を調節して、端部気泡発生管136bに供給される気体の流量を調整する。「流量」は、例えば、単位時間当たりに単位面積を通過する気体の量を示す。具体的には、調整バルブ145は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0098】
調整バルブ145は、流量計146の計測結果に基づいて気体の流量を調整する。なお、例えば、調整バルブ145は、マスフローコントローラー(MFC)の調整バルブであってもよい。
【0099】
流量計146は、気体供給管134bを流れる気体の流量を計測する。フィルター147は、気体供給管134bを流れる気体をろ過する。
【0100】
バルブ148は、気体供給管134bを開閉する。このため、バルブ148は、気体供給管134bからの端部気泡発生管136bに対する気体の供給と供給停止とを切り替える。
【0101】
同様に、流量制御機構140aは、気体供給源132から供給される気体の流量を制御する。また、流量制御機構140cは、気体供給源132から供給される気体の流量を制御する。
【0102】
図6に示した基板処理装置100は、複数の圧力計149をさらに備える。複数の圧力計149は、圧力計149aと、圧力計149bと、圧力計149cとを含む。
【0103】
圧力計149aは、気体供給管134a中の気体の圧力を検出する。圧力計149bは、気体供給管134b中の気体の圧力を検出する。圧力計149cは、気体供給管134c中の気体の圧力を検出する。
【0104】
基板処理装置100は、複数の排気機構134o、134p、134qをさらに備える。排気機構134oは、気体供給管134aと接続されている。排気機構134pは、気体供給管134bと接続されている。排気機構134qは、気体供給管134cと接続されている。
【0105】
排気機構134o~134qの各々は、気体を外部に排出する。具体的には、排気機構134o~134qの各々は、排気配管と、バルブとを含む。排気配管にはバルブが配置される。バルブは、排気配管を開閉する。排気配管の一端は、気体供給管134に接続される。バルブが開くことにより、気体供給管134から気体は排気配管を通って外部に排出される。
【0106】
このように、気体供給管134a~134cを流れる気体の流量を適宜制御できる。このため、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量を適宜制御できる。
【0107】
上述したように、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量は、気体供給管134a~134cを流れる気体の流量に応じて変化する。流量制御機構140a~140cが、気体供給管134a~134cを流れる気体の流量を制御する場合、制御装置180(図2)は、制御プログラムに予め設定された値に従って、流量制御機構140a~140cを制御してもよい。あるいは、制御装置180は、処理対象の基板Wに対して気体を供給して気体供給管134a~134cを流れる気体の流量または圧力を測定して気体供給管134a~134cを流れるべき気体の流量を設定してもよい。
【0108】
次に、図1図7を参照して、本実施形態の基板処理方法を概略的に説明する。図7は、本実施形態の基板処理方法によるフロー図である。
【0109】
図7に示すように、ステップS102において、基板保持部120は、基板Wを保持したまま処理槽110まで下降する。これにより、基板Wは、処理槽110内の処理液Lに浸漬する。
【0110】
ステップS104において、流量制御機構140a~140cは、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cのそれぞれに供給される気体の流量が等しくなるように気体供給管134a~134cを流れる気体の流量を制御する(流量均等供給工程:図4参照)。
【0111】
ステップS106において、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cのそれぞれに供給される気体の流量を等しくした状態で気体供給管134a~134c中の気体の圧力を測定する(圧力測定工程)。気体供給管134a~134c中の気体の圧力は、処理槽110内の気泡の発生のしやすさを示す指標となる。例えば、図6に示した圧力計149a~149cは、気体供給管134a~134c中の気体の圧力を測定する。
【0112】
ステップS108において、気体供給管134a~134cのそれぞれの気体の圧力に応じて気体供給管134a~134cに流れるべき気体の流量を取得する(流量取得工程)。典型的には、制御装置180は、圧力計149a~149cの測定結果に基づいて、気体供給管134a~134cに流れるべき気体の流量を取得する。
【0113】
ステップS110において、流量制御機構140a~140cは、取得した気体の流量に基づいて、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cのそれぞれに供給される気体の流量が異なるように気体供給管134a~134cを流れる気体の流量を制御する(流量不均等供給工程:図5参照)。この場合、流量制御機構140aおよび流量制御機構140bは、端部気泡発生管136bに供給される気体の流量が中央気泡発生管136aに供給される気体の流量よりも多くなるように気体供給管134aおよび気体供給管134bを流れる気体の流量を制御する。また、流量制御機構140aおよび流量制御機構140cは、端部気泡発生管136cに供給される気体の流量が中央気泡発生管136aに供給される気体の流量よりも多くなるように気体供給管134aおよび気体供給管134cを流れる気体の流量を制御する。中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに供給する気体の流量を異ならせることにより、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量をほぼ等しくできる。以上により、基板W、処理環境および処理液Lの状況が異なっても、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量をほぼ等しくでき、基板Wの処理ムラを抑制できる。
【0114】
なお、本実施形態の基板処理装置100および基板処理方法は、NAND素子の製造に好適に用いられる。
【0115】
次に、図1図8を参照して、本実施形態の基板処理方法を概略的に説明する。図8(a)~図8(c)は、本実施形態の基板処理方法によって処理される基板Wの模式図である。図8(a)~図8(c)は、基板Wをxz断面に沿って切断した模式的な拡大断面図である。
【0116】
図8(a)に示すように、基板Wは、基材Sと、積層構造Mとを有する。積層構造Mは、シリコン窒化層を含む複数の積層が間隙Dを介して相対する三次元積層構造である。ここでは、基板Wは、xy平面に広がるように配置されている。積層構造Mは、基材Sの上面に配置される。積層構造Mは、基材Sの上面からZ方向に延びる。積層構造Mには間隙Dが形成されている。ここでは、間隙Dは、基材Sにまで達しており、基材Sの一部が露出している。
【0117】
積層構造Mは、複数のシリコン酸化層Maと、複数のシリコン窒化層Eaとを有する。シリコン酸化層Maとシリコン窒化層Eaとは交互に積層されている。複数のシリコン酸化層Maおよびシリコン窒化層Eaのそれぞれは、基材Sの上面と平行に延びる。
【0118】
図8(b)に示すように、基板Wは、基板処理装置100において処理液Lで処理される。例えば、燐酸処理により、基板Wのシリコン窒化層Eaがエッチングされると、シリコン窒化層Eaが部分的に除去される。
【0119】
図8(c)に示すように、さらなる燐酸処理により、積層構造Mからシリコン窒化層Eaが充分に除去されており、積層構造Mには、処理液Lによってエッチングされなかったシリコン酸化層Maおよびシリコン窒化層Eaが残っている。以上のようにして、燐酸処理により、基板Wからシリコン窒化層Eaをエッチングする。
【0120】
このとき、基板Wの全面にわたって気泡が接触するように処理液L中に気泡を発生させると、気泡が基板Wの表面における処理液Lの置換を促進する。このため、基板Wごとの処理ムラを抑制できる。
【0121】
なお、図2図7に示した基板処理装置100では、気泡発生管136は、基板Wの全面にわたって延びており、基板Wの全面に気泡をそれぞれ供給したが、本実施形態はこれに限定されない。気泡発生管136は、対象となる基板WのX方向に沿った長さよりも短くてもよい。また、図2図7に示した基板処理装置100では、流量制御機構140a~140cが、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに供給する気体の流量をそれぞれ制御したが、本実施形態はこれに限定されない。
【0122】
次に、図1図10を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図9図10(a)および図10(b)は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な上面図である。
【0123】
図9に示すように、処理槽110には、複数の気泡発生管136が配置される。気泡発生管136は、中央領域Aの基板Wの下方に配置された中央気泡発生管136aと、端部領域Bの基板Wの下方に配置された端部気泡発生管136bと、端部領域Cの基板Wの下方に配置された端部気泡発生管136cとを含む。
【0124】
ここでは、中央領域Aは、-X方向側に位置する領域A1と、+X方向側に位置する領域A2とに分けられる。また、端部領域Bは、-X方向側に位置する領域B1と、+X方向側に位置する領域B2とに分けられる。同様に、端部領域Cは、-X方向側に位置する領域C1と、+X方向側に位置する領域C2とに分けられる。
【0125】
中央気泡発生管136aは、領域A1に位置する中央気泡発生管136a1と、領域A2に位置する中央気泡発生管136a2とを有する。中央気泡発生管136a1および中央気泡発生管136a2は、それぞれ直線状に配列される。中央気泡発生管136a1は、中央第1配管の一例であり、中央気泡発生管136a2は、中央第2配管の一例である。
【0126】
端部気泡発生管136bは、領域B1に位置する端部気泡発生管136b1と、領域B2に位置する端部気泡発生管136b2とを有する。端部気泡発生管136b1および端部気泡発生管136b2は、それぞれ直線状に配列される。同様に、端部気泡発生管136cは、領域C1に位置する端部気泡発生管136c1と、領域C2に位置する端部気泡発生管136c2とを有する。端部気泡発生管136c1および端部気泡発生管136c2は、それぞれ直線状に配列される。端部気泡発生管136b1、136c1は、端部第1配管の一例であり、端部気泡発生管136b2、136c2は、端部第2配管の一例である。
【0127】
このため、処理槽110の-X方向側には、端部気泡発生管136b1、中央気泡発生管136a1および端部気泡発生管136c1が、-Y方向側から+Y方向側に向かってこの順番に等間隔に配列される。また、処理槽110の+X方向側には、-端部気泡発生管136b2、中央気泡発生管136a2および端部気泡発生管136c2が、Y方向側から+Y方向側に向かってこの順番に等間隔に配列される。
【0128】
なお、本明細書において、複数の気体供給管134のうち、中央気泡発生管136a1、136a2とそれぞれ接続する気体供給管134を気体供給管134a1、134a2と記載することがある。同様に、複数の気体供給管134のうち、端部気泡発生管136b1、136b2と接続する気体供給管134を気体供給管134b1、134b2と記載することがあり、端部気泡発生管136c1、136c2と接続する気体供給管134を気体供給管134c1、134c2と記載することがある。
【0129】
図9に示した基板処理装置100では、気体供給管134a1、134b1、134c1は、気体供給源132と、中央気泡発生管136a1、端部気泡発生管136b1、端部気泡発生管136b1とをそれぞれ接続する。また、気体供給管134a2、134b2、134c2は、気体供給源132と、中央気泡発生管136a2、端部気泡発生管136b2、端部気泡発生管136b2とをそれぞれ接続する。なお、図9では、気体供給源132は、処理槽110に対して+X方向側および-X方向側に2つ示されているが、気体供給源132は1つの供給源であってもよい。
【0130】
また、本明細書において、気体供給管134a1、134a2に供給される気体の流量を制御する流量制御機構140を流量制御機構140a1、140a2と記載することがある。同様に、流量制御機構140が複数ある場合、気体供給管134b1、134b2に供給される気体の流量を制御する流量制御機構140を流量制御機構140b1、140b2と記載することがあり、気体供給管134c1、134c2に供給される気体の流量を制御する流量制御機構140を流量制御機構140c1、140c2と記載することがある。
【0131】
中央気泡発生管136a1には、流量制御機構140a1によって流量の制御された気体が気体供給管134a1を介して供給される。また、中央気泡発生管136a2には、流量制御機構140a2によって流量の制御された気体が気体供給管134a2を介して供給される。同様に、端部気泡発生管136b1~136c2には、流量制御機構140b1~140c2によって流量の制御された気体が気体供給管134b1~134c2を介して供給される。
【0132】
ここでは、2つの気泡発生管が、X方向に沿って直線状に配列される。平面視した場合、直線状に配列された2つの気泡発生管の境界は、隣接する2つの基板Wの間に位置する。例えば、端部気泡発生管136b1と端部気泡発生管136b2とは、直線状に配列される。
【0133】
本実施形態の基板処理装置100では、Y方向に沿って配列された複数の基板Wのそれぞれに対して、中央領域Aに位置する中央気泡発生管136a1、136a1と、端部領域B、Cに位置する端部気泡発生管136b1、136b2、136c1、136c2とに流量の異なる気体を供給できる。このため、基板Wごとに気泡をほぼ均等に発生できるため、基板Wごとの処理ムラを抑制できる。
【0134】
さらに、気体供給管134a1~134c2から気泡発生管136のそれぞれに気体を供給する場合、気泡発生管136の上流部分の流量が、下流部分の流量よりも多くなることがある。例えば、中央気泡発生管136a1のうち-X方向側に位置する上流側の流量が、下流部分の流量よりも多くなり、中央気泡発生管136a2のうち+X方向側に位置する上流部分の流量が、下流部分の流量よりも多くなることがある。この場合、本実施形態の基板処理装置100では、Y方向に沿って配列された基板Wに対して、-X方向側に位置する気泡発生管136と、+X方向側に位置する気泡発生管136とに分けて気体を供給することにより、1枚の基板Wに対して中央領域よりも外周領域により多くの気体を供給できる。この場合、基板Wの面内方向に沿って処理液の流れが生じる場合でも、基板Wの面内方向にも気泡を均等に発生でき、結果として、基板W面内の処理ムラを抑制できる。
【0135】
なお、図1図9に示した基板処理装置100では、流量制御機構140は、気泡発生管136に対応してそれぞれ設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。1つの流量制御機構140がいくつかの気泡発生管136に供給する気体の流量を制御してもよい。
【0136】
図10(a)に示すように、処理槽110に、X方向に延びる複数の気泡発生管136が配置される。端部気泡発生管136b、中央気泡発生管136aおよび端部気泡発生管136cは、-Y方向側から+Y方向側に向かって等間隔にこの順番に配列される。
【0137】
気体供給管134は、共通配管134s、134t、134uと、気体供給管134a、134b、134cとを有する。ここでは、複数の中央気泡発生管136aは、共通の流量制御機構140aと複数の気体供給管134aを介して接続する。複数の端部気泡発生管136bは、共通の流量制御機構140bと複数の気体供給管134bを介して接続する。同様に、複数の端部気泡発生管136cは、共通の流量制御機構140cと複数の気体供給管134cを介して接続する。
【0138】
共通配管134sは、気体供給源132と流量制御機構140aとを接続する。共通配管134tは、気体供給源132と流量制御機構140bとを接続する。共通配管134uは、気体供給源132と流量制御機構140cとを接続する。
【0139】
複数の中央気泡発生管136aには、気体供給源132から、共通の流量制御機構140aによって流量の制御された気体が気体供給管134aを通過してそれぞれ供給される。複数の端部気泡発生管136bには、気体供給源132から、共通の流量制御機構140bによって流量の制御された気体が気体供給管134bを通過してそれぞれ供給される。また、複数の端部気泡発生管136cには、気体供給源132から、共通の流量制御機構140cによって流量の制御された気体が気体供給管134cを通過してそれぞれ供給される。
【0140】
このため、中央気泡発生管136aには、流量制御機構140aによって制御された流量が供給される。また、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cには、流量制御機構140b、140cによって制御された流量が供給される。したがって、端部領域B、Cの基板Wの下方に位置する端部気泡発生管136b、136cに供給される気体の流量は、中央領域Aの基板Wの下方に位置する中央気泡発生管136aに供給される気体の流量よりも多くできる。これにより、端部気泡発生管136b、中央気泡発生管136aおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量をほぼ等しくでき、基板Wごとの処理ムラを抑制できる。
【0141】
なお、図9を参照して上述した基板処理装置100では、X方向に沿って2本の気泡発生管136が直線状に配列されており、図10を参照して上述した基板処理装置100では、中央領域A、端部領域Bおよび端部領域Cごとに共通の流量制御機構140a~140cが設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。X方向に沿って2本の気泡発生管136が直線状に配列されるとともに、領域A1~C2ごとに共通の流量制御機構140が設けられてもよい。
【0142】
図10(b)に示すように、気体供給管134は、共通配管134s1、134s2、134t1、134t2、134u1、134u2と、気体供給管134a1、134a2、134b1、134b2、134c1、134c2とを有する。気体供給源132は、共通配管134s1を介して流量制御機構140a1と接続する。気体供給源132は、共通配管134t1を介して流量制御機構140b1と接続し、共通配管134u1を介して流量制御機構140c1と接続する。
【0143】
同様に、気体供給源132は、共通配管134s2を介して流量制御機構140a2と接続する。気体供給源132は、共通配管134t2を介して流量制御機構140b2と接続し、共通配管134u2を介して流量制御機構140c2とを接続する。
【0144】
上述した説明と同様に、中央気泡発生管136a1には、流量制御機構140a1によって流量の制御された気体が気体供給管134a1を介して供給される。また、中央気泡発生管136a2には、流量制御機構140a2によって流量の制御された気体が気体供給管134a2を介して供給される。同様に、端部気泡発生管136b1~136c2には、流量制御機構140b1~140c2によって流量の制御された気体が気体供給管134b1~134c2を介して供給される。
【0145】
なお、図1図10を参照して上述した説明では、基板Wには、処理槽110に貯留された処理液Lの下方から気体が供給されたが、本実施形態は、これに限定されない。基板Wには、処理槽110に貯留された処理液Lの下方から気体だけでなく液体が供給されてもよい。
【0146】
次に、図1図11を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図11は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図11に示した基板処理装置100は、液体供給部150をさらに備える点を除いて、図2を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0147】
図11に示すように、基板処理装置100は、液体供給部150をさらに備える。液体供給部150は、処理槽110に液体を供給する。典型的には、液体供給部150は、処理槽110に処理液Lを供給する。この場合、液体供給部150は、処理槽110内の処理液Lに対して下方の位置から上方に向けて液体を供給することが好ましい。一例として、液体は、処理槽110に貯留された処理液Lと同じ種類の処理液Lであってもよい。
【0148】
液体供給部150が処理液Lを供給する場合でも、上方に向けて供給された処理液は、処理液中の基板Wとの接触部分を押し出しながら基板Wの表面を上方に向けて移動し、上方に向けて供給された処理液が通過した後には、周囲に存在する新鮮な処理液Lが進入する。このように、上方に向けて供給された処理液が基板Wの表面と接触することにより、基板Wの表面を攪拌することができ、これにより、基板Wの表面における処理液Lを新鮮な処理液に置換させることができる。その結果、基板Wの処理速度を向上させることができる。
【0149】
液体供給部150は、液体供給源152と、液体供給管154と、液体吐出管156とを有する。液体は、液体供給源152から供給される。液体供給源152は、処理槽110の外部に配置される。なお、液体供給源152は、処理槽110において処理液Lとして一旦使用された液体を循環して用いてもよい。液体吐出管156は、Y方向に延びる。ここでは、液体吐出管156は、気泡発生管136と平行に延びる。
【0150】
液体供給管154は、液体供給源152と液体吐出管156と接続する。液体供給源152から供給される気体は、液体供給管154を通って液体吐出管156に流れる。液体供給管154の少なくとも一部は、処理槽110の外部に配置される。
【0151】
液体吐出管156は、処理槽110内に配置される。典型的には、液体吐出管156は、処理槽110の底面に配置される。液体吐出管156は、気泡発生管136よりも鉛直方向上方側に配置されてもよい。あるいは、液体吐出管156は、気泡発生管136よりも鉛直方向下方側に配置されてもよい。液体吐出管156は、X方向に延びる。このため、平面視した場合、液体吐出管156は、気泡発生管136とは直交する。
【0152】
次に、図1図13を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図12(a)は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な側面図であり、図12(b)は、基板処理装置100の模式的な上面図である。図13は、基板処理装置100の模式図である。図12(a)および図12(b)に示した基板処理装置100は、液体供給部150をさらに備える点を除いて、図3(a)および図4を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。図13には、基板Wの中心を通って鉛直方向に延びる仮想中心線CLを示す。
【0153】
図12(a)および図12(b)に示すように、液体吐出管156は、液体吐出管156aと、液体吐出管156bとを有する。液体吐出管156aおよび液体吐出管156bは、互いに平行に延びる。液体吐出管156aおよび液体吐出管156bは、それぞれY方向に延びる。-X方向から+X方向にむかって、液体吐出管156aおよび液体吐出管156bの順番に配列される。
【0154】
液体吐出管156aおよび液体吐出管156bには、それぞれ複数の開口156pが設けられる。液体吐出管156において複数の開口156pは一列に配列される。液複数の開口156pの間隔は、基板Wの間隔と略等しい。複数の開口156pは、配列方向に配列された基板Wの間に位置する。液体吐出管156aおよび液体吐出管156bは、同様の構成を有している。なお、本明細書において、液体吐出管156aおよび液体吐出管156bを総称して液体吐出管156と記載することがある。
【0155】
液体吐出管156aには、液体供給源152から液体供給管154aを通過した液体が供給される。また、液体吐出管156bには、液体供給源152から液体供給管154bを通過した液体が供給される。
【0156】
液体吐出管156は、複数の開口156pから処理液Lを処理槽110に吐出する。この場合、複数の開口156pは、処理槽110内の処理液Lに対して下方の位置から上方に向いてることが好ましい。ここでは、複数の開口156pのそれぞれの大きさおよび間隔は互いに等しい。
【0157】
図13に示すように、処理槽110には、気泡発生管136および液体吐出管156a、156bが配置される。気泡発生管136の開口136pは、その吐出方向が鉛直方向に沿うように気泡発生管136の上部に設けられる。
【0158】
一方、液体吐出管156a、156bの開口156pは、その吐出方向が、基板Wの中心を向くように、鉛直方向(Z方向)に対して傾斜した位置に設けられる。そのため、液体吐出管156aの開口156pから吐出される斜め上向きの液体と液体吐出管156bの開口156pから吐出される斜め上向きの液流とが合流すると、処理槽110の内部を上方に向かって流れる非常に強いアップフローを形成できる。
【0159】
本実施形態の基板処理装置100では、端部領域B、Cに位置する端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cに供給される気体の流量は、中央領域Aに位置する中央気泡発生管136aに供給される気体の流量よりも多くする。このため、中央気泡発生管136a、端部気泡発生管136bおよび端部気泡発生管136cから発生する気泡の量をほぼ等しくできる。特に、アップフローを形成する場合、気泡の流れとともに基板処理の速度も速くなる。このように速い速度で基板処理が行われる場合でも、基板Wごとの処理ムラを抑制できる。
【0160】
次に、図1図14を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図16は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。
【0161】
図14に示すように、処理槽110は、内槽112および外槽114を含む二重槽構造を有する。内槽112および外槽114はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。内槽112は、処理液Lを貯留し、複数の基板Wを収容可能に構成される。外槽114は、内槽112の上部開口の外周面に設けられる。
【0162】
基板処理装置100は、流量調整機構160をさらに備える。流量調整機構160は、処理液Lの循環に用いられる。流量調整機構160は、基板処理で、処理槽110に貯留されている処理液Lを循環させて、処理液Lを液体吐出管156の各々に供給する。
【0163】
流量調整機構160は、配管161と、ポンプ162、ヒーター163、フィルター164、調整バルブ165およびバルブ166を含む。ポンプ162、ヒーター163、フィルター164、調整バルブ165およびバルブ166は、この順番に配管161の上流から下流に向かって配置される。
【0164】
配管161は、処理槽110から排出された処理液Lを再び処理槽110に導く。配管161の下流端に、複数の液体吐出管156が接続される。
【0165】
ポンプ162は、配管161から複数の液体吐出管156に処理液Lを送る。従って、液体吐出管156は、配管161から供給された処理液Lを処理槽110に供給する。ヒーター163は、配管161を流れる処理液Lを加熱する。ヒーター163により、処理液Lの温度が調整される。フィルター164は、配管161を流れる処理液Lをろ過する。
【0166】
調整バルブ165は、配管161の開度を調節して、複数の液体吐出管156に供給される処理液Lの流量を調整する。具体的には、調整バルブ165は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。バルブ166は配管161を開閉する。
【0167】
複数の液体吐出管156は、処理槽110の内槽112に処理液Lを供給する。複数の液体吐出管156は、処理槽110の内槽112の内部において、内槽112の底部に配置される。複数の液体吐出管156の各々は、略筒形状を有する。
【0168】
具体的には、複数の液体吐出管156の各々は、複数の開口156pを有する。図16では、1つの液体吐出管156に対して1つの開口156pだけが表れている。複数の液体吐出管156の各々は、複数の開口156pから処理液Lを内槽112に供給する。
【0169】
基板処理装置100は、処理液供給部150Aと、希釈液供給部150Bとをさらに備える。処理液供給部150Aは、処理液Lを処理槽110に供給する。処理液Lは、例えば、略85質量%の燐酸(H3PO4)と略15質量%の水(脱イオン水)とが混合された溶液を用いることができる。
【0170】
処理液供給部150Aは、ノズル152Aと、配管154Aと、バルブ156Aとを含む。ノズル152Aは処理液Lを内槽112に吐出する。ノズル152Aは、配管154Aに接続される。配管154Aには、処理液供給源TKAからの処理液Lが供給される。配管154Aには、バルブ156Aが配置される。バルブ156Aが開かれると、ノズル152Aから吐出された処理液Lが、内槽112内に供給される。
【0171】
希釈液供給部150Bは、希釈液を処理槽110に供給する。希釈液供給部150Bは、ノズル152Bと、配管154Bと、バルブ156Bとを含む。ノズル152Bは、希釈液を外槽114に吐出する。ノズル152Bは、配管154Bに接続される。配管154Bに供給される希釈液は、DIW(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水および希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかを採用することができる。配管154Bには、希釈液供給源TKBからの希釈液が供給される。配管154Bには、バルブ156Bが配置される。バルブ156Bが開かれると、ノズル152Bから吐出された希釈液が、外槽114内に供給される。
【0172】
基板処理装置100は、排液部170をさらに備える。排液部170は、処理槽110の処理液Lを排出する。
【0173】
排液部170は、排液配管170aと、バルブ170bとを含む。処理槽110の内槽112の底壁は、排液配管170aと接続される。排液配管170aにはバルブ170bが配置される。バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液Lは排液配管170aを通って外部に排出される。排出された処理液Lは排液処理装置(図示しない)へと送られ、処理される。
【0174】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0175】
例えば、図1図14を参照して上述した説明では、気泡発生管136は、基板Wの主面の法線方向(Y方向)と直交する方向に延びていたが、本実施形態はこれに限定されない。ただし、複数の基板Wからなる基板列の中央領域および端部領域のそれぞれの下方に異なる気泡発生管136が配置されることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0177】
100 基板処理装置
110 処理槽
120 基板保持部
130 気体供給部
150 液体供給部
180 制御装置
200 気体供給部
W 基板
L 処理液
図1
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