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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】ポリエチレンを含むポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20240626BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20240626BHJP
   C08F 10/02 20060101ALI20240626BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20240626BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20240626BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
C08L23/04
C08K5/14
C08F10/02
H01B7/18 B
C08L23/08
B32B27/32 A
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020532709
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2018085537
(87)【国際公開番号】W WO2019121710
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】17208195.2
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511114678
【氏名又は名称】ボレアリス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】エングルンド,ヴィルゴット
(72)【発明者】
【氏名】エーリクソン,ヴィルジニー
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】スメドベルグ,アンニカ
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0162869(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L、C08F6-246
H01B7
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低密度ポリエチレン(LDPE)ホモポリマー又はコポリマー及び架橋剤を含むポリマー組成物であって、該ポリマー組成物が、方法ASTM D6248-98に従い、架橋前に測定される場合に、炭素原子1000個当たりB個のビニル基の総数を有し、B≦B≦B(式中、Bは0.88であり、Bは3.0である)であること、並びに、該架橋剤が、ポリマー組成物の総量(100重量%)に基づきZ重量%である量で存在し、Z≦Z(式中、Zは0.60である)であることを特徴とする前記ポリマー組成物であって、該ポリマー組成物が、架橋前に、方法ISO1133-1:2011に従って決定される、2.16kgの荷重且つ190℃でのメルトフローレート(MFR)を有し、該MFRは、Ag/10分であり且つA≦Aであり、前記式中、Aは2である、前記ポリマー組成物。
【請求項2】
前記低密度ポリエチレンが、不飽和又は飽和である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
該ポリマー組成物の架橋中における該架橋剤の分解が、GC分析法に従って測定される場合に、200ppm未満のメタンの形成を生じる、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
該ポリマー組成物は、架橋され、そしてホットセット試験法に従い測定される場合に、175%未満である、20N/cm負荷時のホットセット伸びを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記低密度ポリエチレンが不飽和LDPEポリマーである、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記低密度ポリエチレンが、モノマーと、少なくとも1の多価不飽和コモノマー、及び0又は1以上の他のコモノマーとのコポリマーであり、上記ポリマー組成物中に存在するビニル基の前記総数(B)は、上記少なくとも1の多価不飽和コモノマーに由来するビニル基を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記低密度ポリエチレンが、モノマーと少なくとも1の多価不飽和コモノマーとのコポリマーであり、該多価不飽和コモノマーが、少なくとも8個の炭素原子を有し、且つ非共役二重結合(そのうちの少なくとも1つが末端にある)の間に少なくとも4個の炭素原子を有する直鎖状炭素鎖を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記低密度ポリエチレンが、エチレンと1,7-オクタジエンとのコポリマーである、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記低密度ポリエチレンが、エチレンと、1以上の多価不飽和コモノマー、及び0又は1以上の他のコモノマーとのLDPEコポリマー、である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
該ポリマー組成物は、架橋前に、方法ISO1133-1:2011に従って決定される、2.16kgの荷重及び190℃でのメルトフローレート(MFR)を有し、該MFRは、Ag/10分であり、A≦A(式中、Aは1.7である)である、請求項1~9のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記低密度ポリエチレンが、架橋前に、
0.05rad/秒においてX Pasの複素粘度(η)を有し、X≦X≦X(式中、Xは7600であり、且つXは30000である)である、及び
300rad/秒においてY Pasの複素粘度(η)を有し、Y≦Y≦Y(式中、Yは5であり、且つYは380である)である、
該2つの複素粘度(η)が、方法ISO6721-1に従って、該低密度ポリエチレンの安定化された試料において決定される、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
が、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25又は1.30であり、及び/又はZが、0.48又は0.46である、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
≦Z≦Z(式中、Zは0.01である)である、請求項1~12のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記低密度ポリエチレンが、炭素原子1000個当たりP個のビニル基の総数を有し、P ≦P≦P(式中、Pは0.89であり且つPは3.0である)である、請求項1~13のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
≦P≦P(式中、Pは0.89であり、且つPは3.0である);
≦Z≦Z(式中、Zは0.15であり、且つZは0.60である);及び
≦A≦A(式中、Aは0.15であり、且つAは3.0である)
を同時に満たす、請求項1~14のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
≦P≦P(式中、Pは0.9であり、且つPは1.5である);
≦Z≦Z(式中、Zは0.25であり、且つZは0.50である);及び
≦A≦A(式中、Aは0.60であり、且つAは2.5である)
を同時に満たす、請求項1~15のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
架橋剤が過酸化物を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用を含む方法から得られた物品。
【請求項19】
前記物品がケーブルである、請求項18記載の物品。
【請求項20】
該物品が、請求項1~17のいずれか1項に記載のポリマー組成物から得られる1以上の層を含む請求項18又は19に記載の物品。
【請求項21】
電源ケーブルである、請求項18~20のいずれか1項に記載の物品。
【請求項22】
請求項1~17のいずれか1項に記載のポリマー組成物を製造する方法であって、前記低密度ポリエチレンを架橋剤とブレンドすることを含む前記方法。
【請求項23】
請求項18~21のいずれか1項に記載の物品を製造する方法であって、請求項1~17のいずれか1項に記載のポリマー組成物を使用することを含む前記方法。
【請求項24】
該物品が電力ケーブルであり、
)請求項1~17のいずれか1項に記載のポリマー組成物を、任意的に更なる成分と共に、溶融混合すること;
a)工程a)から得られた溶融混合物を導電体上に施与して、少なくとも1つの層を形成すること
の工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
該物品が架橋された電源ケーブルであり、
b)工程a)から得られた少なくとも1のケーブル層を架橋すること
の工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン及び架橋剤を含むポリマー組成物、該ポリマー組成物から得られる1以上の層、例えば1以上の絶縁層、を含む物品(該物品は、ケーブル、例えば電力ケーブル、でありうる)、該ポリマー組成物を製造する方法、及びポリマー組成物の使用を含む、物品を製造する方法に関する。更に、該ポリマー組成物は、種々の最終用途、例えばワイヤー及びケーブル(W&C:wire and cable)用途、特にケーブル用途、例えば電力ケーブル用途、例えば中電圧(MV:medium voltage)、及び例えば高電圧(HV:high voltage)、及び例えば超高電圧(EHV:extra high voltage)ケーブル用途において有用でありうる。更に、該ポリマー組成物は交流(AC:alternating current)用途及び直流(DC:direct current)用途の両方において有用でありうる。
【背景技術】
【0002】
高圧(HP:high pressure)プロセスにおいて製造されるポリエチレンは、ポリマーが高い機械的及び/又は電気的要件を満たさなければならない過酷なポリマー用途において幅広く使用されている。例えばW&C用途、例えば電力ケーブル用途、において、例えば低電圧(LV)、MV用途において、HV及びEHV用途において、ポリエチレンの及びポリエチレンを含むポリマー組成物の機械的及び電気的特性が、大いなる重要性を有する。
【0003】
例えば、電力ケーブル用途において、特にMV用途において、特にHV及びEHVのケーブル用途において、ポリマー組成物の電気的特性は、大いなる重要性を有する。その上、重要である電気的特性は、ACケーブル用途とDCケーブル用途との間で異なるように、異なるケーブル用途によって相違しうる。
【0004】
更に、ポリマー、例えばポリエチレン、の架橋は、ポリマーの耐熱性及び耐変形性、機械的強度、耐薬品性、及び耐摩耗性の改善に実質的に寄与することがまた知られている。それ故に、架橋ポリマーは、種々の最終用途、例えば言及さえたW&C用途、において幅広く使用されている。
【0005】
その上、ケーブル用途において、導電体は通常、最初に内部半導電層で、その後に絶縁層及び外部半導電層で被覆される。これらの複数の層に対して、1以上の更なる層、例えば1以上のスクリーン層及び/又は1以上の補助的バリア層、例えば1以上の遮水層及び1以上のジャケッティング層、が追加されうる。
【0006】
架橋により達成可能な、本明細書に記載されている利益に起因して、ケーブル用途における絶縁層及び半導電層は典型的に、架橋性ポリマー組成物を使用して作成される。層状に形成されたケーブルの用途で用いられるポリマー組成物は、次に架橋される。
【0007】
その上、低密度ポリエチレン(LDPE:low density polyethylene)を含むそのような架橋性ポリマー組成物は、今日、電力ケーブル用の主要なケーブル絶縁材料において特筆される。
【0008】
架橋は、架橋剤を用いて行われることができ、該架橋剤は分解してフリーラジカルを生成する。そのような架橋剤、例えば過酸化物、は、慣用的に、ケーブルの押出前又は押出中に、ポリマー材料に添加される。上記架橋剤は好ましくは、押出工程の間、安定なままであるべきである。押出工程は好ましくは、架橋剤の初期の分解を最小限にする為に十分低い温度で、しかしポリマー組成物の適切な溶融及び均一化を得る為に十分高い温度で行われるべきである。かなりの量の架橋剤、例えば過酸化物、が、押出機内で既に分解し、これにより時期尚早な架橋を開始し、いわゆる「スコーチ」の形成、すなわち不均質性、表面の不陸、及びおそらくは得られたケーブルの異なる層における変色、を結果として生じる。それ故に、押出中に、架橋剤、すなわちフリーラジカル形成剤、の何らかの有意な分解は回避されるべきである。その代わりに、該架橋剤は理想的には、後続する高められた温度での架橋工程においてのみ分解するべきである。該高められた温度は該架橋剤の分解速度を増加させ、従って架橋速度を増加させ、そして所望の、すなわち目標とする、架橋度が迅速に到達しうる。
【0009】
その上、例えばケーブル内のポリマー組成物が架橋される場合に、架橋剤、例えば過酸化物、の分解はまた更に、架橋中に、過酸化物分解生成物の形成を結果として生じる。該過酸化物分解生成物のうちの幾つかは揮発性であり、例えばケーブルに関連して架橋する為に典型的に使用される過酸化物の幾つかの種類が使用される場合、その主要成分はメタンである。該過酸化物分解生成物は、架橋後、例えばケーブルのポリマー組成物内にほとんど捕捉されたままである。これは、例えば、ケーブル製造方法の観点からの並びに最終ケーブルの品質の観点からの問題を引き起こす。
【0010】
特にMV、HV、及びEHV電力ケーブルは、該ケーブルの設置中、及び最終用途での安全性に役立つように、高品質の層を有さなければならない。設置では例えば、捕捉された分解生成物、例えば可燃性のメタン、が、例えばエンドキャップが除去されたときに発火するのを回避することが重要である。サービスを提供中、架橋工程中にケーブル内に形成された揮発性の過酸化物分解生成物が、気体圧力を発生させ、従って遮蔽部及び接合部における欠陥を引き起こすおそれがある。例えば、ケーブルコアが金属バリアを備えている場合に、該気体状の生成物は、特に接合部及び末端部に圧力を惹起するおそれがあり、それによってシステム障害が生じうる。従って、このような揮発性の過酸化物分解生成物のレベルは、後続するケーブル製造工程が行われる前に、十分低いレベルまで低減される必要がある。
【0011】
揮発性の過酸化物分解生成物の十分に低いレベルは、LDPEを含むポリマー組成物の使用が、設置、例えばケーブルの設置、における使用、且つ付属品、例えばケーブル付属品、と一緒の使用を安全にする。従って、今日、揮発性の過酸化物分解生成物のレベルを低下させる、所謂、脱気工程が、ケーブル製造プロセスにおいて必要である。脱気工程は、時間及びエネルギーを消費し、従ってケーブル製造プロセスにおいてコストが嵩む操作である。脱気は、例えば可燃性メタンの蓄積を回避する為に十分に換気されなければならない大型の加熱されたチャンバーを必要とする。ケーブルコア、すなわち層及び導電体、は典型的に、ケーブルドラム上に巻き取られ、通常は、50~80℃、例えば60~70℃、の範囲の高められた温度において、長時間上記脱気工程内に維持される。必要とされる温度に曝露された場合に、絶縁体の熱膨張及び軟化が生じ、ケーブルの不具合に直結する形成後のケーブル層の望ましくない変形を引き起こすおそれがある。従って、ケーブル重量が大きいHV及びEHVケーブルの脱気は、多くの場合、脱気時間を更に引き延ばす低下された温度で行われる必要がある。従って、最新技術の問題を克服する為の新しい解決策を見つける必要性がある。
【0012】
更に、例えばケーブル中に含まれるポリマー組成物の架橋は、ポリマー組成物及び外ポリマー組成物を含むケーブルの耐熱性及び耐変形性、機械的強度、耐化学性、及び耐摩耗性の改善に実質的に寄与する。
【0013】
この文脈において、エチレンと少なくとも1のモノマー(該モノマーは、多価不飽和化合物であり、且つエチレンと共重合可能である)との不飽和コポリマーを製造する方法に関する米国特許第5539075号明細書を参照されたい。
【0014】
エチレンと1以上の多価不飽和コモノマーとの不飽和LDPEコポリマーを含み、且つ架橋されたポリマーの用途に好適であるポリマー組成物に関する欧州特許第2318210号明細書をまた参照されたい。該ポリマー組成物は、少なくとも2.8g/10分の、2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFR)を有し、及び炭素原子1000個当たり少なくとも0.40個の炭素-炭素二重結合の量で炭素-炭素二重結合を有する。
【0015】
更に、異なる材料、すなわちポリマー組成物が、異なるケーブル、ケーブル構築物及びケーブルラインについて必要とされうる。その上、2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFR)として約2g/10分の数値を有する、本明細書においては、所謂、標準的粘度の「架橋された」(ここでは、より正確には「架橋性」を意味する)ポリエチレン(XLPE:crosslinkable polyethylene)材料を使用して、全てのケーブルライン上に全てのケーブル又はケーブル構築物を設けることは不可能である。これは、これらの標準的粘度のXLPE材料が、十分な耐垂れ性を有しない為である。耐垂れ性の不十分さは通常、ケーブルの場合、2g/10分よりも低いMFR値を有する材料を使用することによって解決される。2g/10分よりも低いMFR値を有する材料は、高い粘度を有し、且つ改善された耐垂れ性を有する。改善された耐垂れ性は、大型のケーブル構築の為に、且つカテナリーケーブルラインにおけるケーブル製造、並びに水平ケーブルラインにおけるケーブル製造の為に必要とされる。例えば、ケーブル製造の為の、水平連続加硫ライン、例えばMitsubishi Dainichi連続加硫(MDCV:Mitsubishi Dainichi Continuous Vulcanization)ラインにおいて、及びカテナリー連続加硫(CCV:catenary continuous vulcanization)ライン(特により厚い構築物の場合)において、垂直連続加硫(VCV:vertical continuous vulcanization)ライン及びCCVライン(より薄い構築物の場合)において使用されるポリマー材料(例えば、標準的粘度のXLPE材料)のMFRと比較して、低いMFRを有するポリマー材料を、例えば絶縁層の為に、使用することが典型的に必要とされる。
【0016】
ケーブルを製造する為の水平連続加硫ラインにおいて、過剰に高いMFRを有するポリマー材料が使用される場合、導電体が絶縁層内に沈み込むおそれがあり、該導電体の沈み込みはまた、ケーブルコアの偏心を結果として生じる。
【0017】
同様に、CCVラインにおいて、過剰に高いMFRを有する、すなわち過剰に低い耐垂れ性を有する、ポリマー材料が使用される場合、絶縁層の柔軟な溶融ポリマー材料が導電体から垂れ下がるおそれがあるので、壁の厚さが過剰に厚くなりうる。このことは、絶縁層の下部で変位を結果として生じ、従って偏心、例えば、所謂、洋ナシ形のケーブルコア、を与える。
【0018】
更に、耐垂れ性の不十分さは、種々の方法、例えば
押出機ヘッドにおいて偏心ツールを使用して、導電体の沈み込みの効果を補うこと;
ケーブルコアに撚りを加えて、導電体の変位に対抗すること、
二回転技術を(double rotating technique)使用して、洋ナシ形に対抗すること、及び
所謂、進入加熱処理(EHT:entry heat treatment)を使用すること、
により対抗されうる。
【0019】
従って、比較的低いMFRと比較的高い粘度を有するポリマー材料が通常、既に記載されている通り、これらの垂れ挙動に対抗する為に使用される。
【0020】
しかしながら、高い粘度を有する材料は、一般的に使用される押出条件で、より高い溶融温度を生成し、それは時期尚早な架橋、従って時期尚早に架橋された物の形成、すなわち「スコーチ」、に対する高いリスクをもたらしうる。「スコーチ」は、本明細書に既に記載されている通り、おそらくは、例えば、結果として得られたケーブルの異なる層における、不均質性、表面の不陸、及び/又は変色でありうる。「スコーチ」の形成は、クリーニングが必要とされるまでの製造長さを有意に制限し、それ故に製造速度が低下するので、ケーブルラインの生産性に対して深刻な影響を有しうる。従って、より高い溶融温度を引き起こす、より低いMFRを有するポリマー材料を使用することによってケーブルを製造する場合に、溶融温度を低下させ、そしてそれによって「スコーチ」を最低限に抑える為に、低めの製造スピードが必要とされる。
【0021】
従って、材料のMFR値を減少させることの欠点はまた、処理条件の変更、例えば製造スピードの低下、を必要とすることでありうる。
【0022】
該処理条件はまた、耐垂れ性に加え、架橋性XLPE材料、例えば過酸化物の架橋性XLPE材料、に関連して重要である特性である。理想的には、材料は、プロセスの押出工程で、望ましくは低溶融温度を有する為に、該押出工程において低粘度を有さなければならない。一方、該プロセスの架橋工程において、該材料の比較的高い粘度が望ましくありうる。架橋性XLPE材料が低い溶融温度を生じる場合には、より高い溶融温度を生じる別の架橋性XLPE材料が関与する押出と比較して、例えば、ケーブル構築物の押出中に「スコーチ」が形成されるリスクがより低くなる。
【0023】
処理条件における耐垂れ性及び粘度は、プレート-プレートレオロジー測定で得られた粘度曲線によっていずれも可視化されうる。次に、上記耐垂れ性は、非常に低い剪断速度における複素粘度(η)、すなわち、それぞれ0rad/秒及び0.05rad/秒におけるη 及びη 0.05、により可視化され、且つ次に、処理条件における上記粘度は、300rad/秒における複素粘度η 300を介して可視化される。
【0024】
XLPEについてのなおも更に重要な特性は架橋度であり、最適には、できる限り少ない量の架橋剤、例えば過酸化物、を用いて目標とする架橋度レベルが達成されなければならない。該架橋度は例えば、所謂、ホットセット試験を用いて測定されうる。上記ホットセット試験に従うと、ホットセット伸び値が低いほど、材料はより多く架橋される。該架橋剤の量をできる限り低くすることは、揮発性の過酸化物分解生成物を減少させ、且つまた、脱気に必要とされる時間を短縮する。
【0025】
例えばケーブル製造に含まれるポリマー材料の押出工程及び架橋工程は、異なる要件を有する。押出工程の為に重要なパラメーターは、既に記載されている通り、「スコーチ」に対するリスクを低減する為に、ポリマー材料が低い溶融温度を生じることである。これは、例えば300rad/秒での低複素粘度(η)を使用して、ポリマー材料が押出機内で示す剪断速度の領域内のレオロジー特性により影響を受ける。300rad/秒での低複素粘度(η)は一般的に、より高いメルトフローレート(MFR)を有するポリマー材料に関連する。
【0026】
しかしながら、高いMFRを有するポリマー材料が過剰に低い耐垂れ性を有し、例えば、許容されない中心からのずれを有するケーブルを結果として生じるので、メルトフローレートの増加は、多くの場合バランスをとられなければならない。耐垂れ性に影響を及ぼすレオロジー特性は、非常に低い剪断速度、例えば0rad/秒、での複素粘度(η)である。しかしながら、0rad/秒での複素粘度(η)は外挿された数値であり、従ってここでは0.05rad/秒で実測された複素粘度(η)が代わりに使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って、最新技術の問題を克服する為に、新しい解決策を見つける必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、ポリエチレン及び架橋剤を含むポリマー組成物であって、該ポリマー組成物が、方法ASTM D6248-98に従い、架橋前に測定される場合に、炭素原子1000個当たりB個のビニル基の総数を有し、B≦Bで(式中、Bは0.88である)であること、並びに、該架橋剤が、ポリマー組成物の総量(100重量%)に基づきZ重量%である量で存在し、Z≦Z(式中、Zは0.60である)である上記ポリマー組成物に関する。
【0029】
1つの実施態様において、本発明者等は、以下で議論される通り、上記された特性と、相対的に低いMFRとの組み合わせが、魅力的な特性を有するポリマー組成物を驚くべきことにもたらすことを見出した。
【0030】
比較的高いビニル基の総数Bを有する本発明に従うポリマー組成物は、本明細書で定義される通り、1種のポリマー組成物において、
比較的高いMFRを有する材料とのみ一般的に関連付けられた良好な加工適性、例えば良好な流動性、と、
比較的低いMFRを有する材料とのみ一般的に関連付けられた優れた耐垂れ性、並びに、
驚くほど低いメタンレベルの発揮と、
技術的に望ましい架橋度レベルの維持
を驚くべきことに併せ持つ。
【0031】
更に、該ポリマー組成物が良好な加工適性、例えば流動性と共に優れた耐垂れ性を併せ持つが、該ポリマー組成物はまた、300rad/秒での複素粘度(η)及び0.05rad/秒での複素粘度(η)(該2つの複素粘度(η)は、架橋前に、方法ISO6721-1に従って、該ポリエチレンの安定化された試料において決定される)について、バランスのとれた複素粘度(η)を示すという事実によって例証される。従って、300rad/秒での複素粘度(η)は低く、且つ従って0.05rad/秒での複素粘度(η)は高く、それは押出機内において、改善された処理特性を有し、且つあらゆる種類のケーブルラインについて、ケーブル製造において良好な中心性を有する、大型のケーブル構築物を含むケーブルの製造をなおも可能にする、本発明に従うポリマー組成物をもたらす。従って、該ポリマー組成物から得られる層、例えば絶縁層、を含むそのようなケーブルが、結果的に製造されうる。
【0032】
更に、本発明に従うポリマー組成物はまた、驚くほど低いメタンレベルを示し、一方、同時に、相対的に少ない量、すなわち本明細書で定義されるZ重量%、の架橋剤を使用して、該ポリマー組成物の技術的に望ましいレベルの架橋度が維持されることを意外にも明らかにした。該技術的に望ましいレベルの架橋度は、十分な熱-機械的特性を保証し、例えば高められた温度での寸法安定性を維持する。該架橋剤は例えば、当技術分野において周知である過酸化物でありうる。主要成分が典型的にメタンである、形成された揮発性分解生成物の量は、該ポリマー組成物に添加される架橋剤、例えば過酸化物、の量に直接的に依存する。所与の架橋剤、例えば過酸化物、について、例えば、形成された揮発性分解生成物の量はまた、該架橋剤の化学構造に更に依存する。更に、上記の相対的に少ない量の架橋剤を選択することによって、ポリマー組成物の望ましいレベルの架橋度が維持されながら、低メタンレベルを示し並びに架橋された場合に記憶効果を保持するポリマー組成物が可能となる。
【0033】
上記の低メタンレベルは、より短い脱気時間を可能にし、又は代替的には、脱気工程を完全に無用なものとし、両方の選択肢は、該ポリマー組成物から得られる層、例えば絶縁層、を含む、架橋性物品及び架橋された物品、例えばケーブル、の製造全体に対して非常に有益である。
【0034】
従って、本発明のポリエチレンを含むポリマー組成物は、架橋性物品及び架橋された物品、例えばケーブル、例えばそのケーブル層、例えばケーブル絶縁層、の製造において使用されることは、明らかにきわめて有利である。
【0035】
該ポリマー組成物は架橋性であり、且つ架橋性物品、例えばケーブルの1以上の架橋性層、例えばケーブルの1以上の架橋性絶縁層、(該層はその後架橋される)を製造するのにきわめて好適である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
「架橋性」は、周知の表現であり、且つ該ポリマー組成物が、特にポリマー鎖の間で架橋形成する為に、例えばラジカル形成を介して、架橋されることができることを意味する。
【0037】
該ポリマー組成物は、ポリエチレン及び架橋剤を含む。
【0038】
該ポリエチレンは、項「ポリマー組成物のポリエチレン」において詳細に記載されるだろう。
【0039】
本発明のポリマー組成物に含まれるポリエチレンは、不飽和又は飽和でありうる。
【0040】
該ポリエチレンが飽和している、本発明の更なる実施態様が提供される。
【0041】
表現「1つの実施態様」又は「複数の実施態様」は、本明細書において単独で使用されたとしても、本発明の1つの実施態様又は本発明の複数の実施態様と常に関連することに留意すること。
【0042】
更なる実施態様において、不飽和である該ポリエチレンを含む本発明のポリマー組成物が提供される。
【0043】
本明細書において、該ポリエチレンが「不飽和」であるとは、該ポリエチレンが炭素-炭素二重結合を含むことを意味する。本明細書において、炭素-炭素二重結合とは、不飽和を意味する。該ポリエチレンは、本明細書に記載されている通り、ビニル基、例えばアリル基、を含む。ビニル基は、炭素-炭素二重結合を含む官能基である。語「ビニル基」は、本明細書で使用される場合の、その慣用的な意味、すなわち「-CH=CH」部分、を指す。更に、該ポリエチレンは、炭素-炭素二重結合をまた含む他の官能基を更に含みうる。炭素-炭素二重結合をまた含む他の官能基は例えば、ビニリデン基及び/又はビニレン基でありうる。該ビニレン基はシス又はトランス配置のいずれかを有する。疑問を避ける為に、ビニリデン基及びビニレン基は、該語が本明細書において使用される場合に、ビニル基でない。
【0044】
上記「炭素原子1000個当たりB個のビニル基の総数」とは、本発明に基づき架橋前に測定されるとき、該ポリマー組成物中に存在する「炭素原子1000個当たりB個のビニル基の総数」を意味する。更に、少なくとも該ポリエチレンは、ビニル基の総数に寄与する上記ビニル基を有する。
【0045】
ポリマー組成物は任意的に、上記ビニル基の総数にやはり寄与する、ビニル基を有する1以上の更なる成分を含みうる。1つの実施態様において、従って、ビニル基含有量は、ポリマー組成物のポリエチレンに限るのではなく、ポリマー組成物全体について測定される。
【0046】
該ビニル基の量を決定する為の方法ASTM D6248-98は、「決定方法」に記載されている。
【0047】
本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様は、架橋前に、方法ASTM D6248-98に従って測定される場合に、炭素原子1000個当たりB個のビニル基の総数を有し、B≦B(式中、Bは0.89である)であるポリマー組成物を開示する。
【0048】
が0.90である、該ポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0049】
本発明に従う更なる実施態様において、Bが0.92である、本明細書に記載されているポリマー組成物が開示される。
【0050】
が0.94である、該ポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0051】
が0.95である、該ポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0052】
が1.00である、該ポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0053】
が0.95、1.00、1.05、又は1.10である、該ポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0054】
が0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、又は1.30である、該ポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0055】
が0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、若しくは1.30であり、及び/又はZが0.48若しくは0.46である、該ポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0056】
が1.15、1.20、1.25、又は1.30である、該ポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0057】
が1.30である、該ポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0058】
B≦B且つBが3.0である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0059】
該ポリマー組成物が、炭素原子1000個当たりB個のビニル基の総数を有し、B≦B≦B(式中、B及びBそれぞれは、B及びBに対して本明細書において与えられる任意の数値からそれぞれ選択されうる)である、該ポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0060】
が2.5である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0061】
特に好ましい実施態様において、Bが0.89であり且つBが3.0であり、いっそうより好ましくは、Bは0.90であり且つBは1.5である。
【0062】
該ポリマー組成物は更に、架橋剤を含む。
【0063】
該架橋剤、例えば過酸化物、は、ポリマー組成物の総量(100重量%)に基づき、Z重量%である量で存在し、Z≦Z(式中、Zは0.60である)である。
【0064】
本発明に従う更なる実施態様において、該架橋剤が、ポリマー組成物の総量(100重量%)に基づきZ重量%である量で存在し、Z≦Z(式中、Zは0.01である)である、本明細書に記載されているポリマー組成物である。
【0065】
該架橋剤は、架橋反応を開始することができるラジカルを生成することが可能な任意の化合物として本明細書において定義される。例えば、該架橋剤は、-O-O-結合を含む。
【0066】
該架橋剤が、過酸化物、例えば1種の過酸化物、を含む、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0067】
更なる実施態様において、該架橋剤は過酸化物を含む、すなわち架橋剤の分子当たり少なくとも1の過酸化物単位を含む。
【0068】
いっそう更なる実施態様において、該架橋剤は過酸化物を含む。
【0069】
更なる実施態様において、該架橋剤は過酸化物である。
【0070】
本発明の更なる実施態様において、Zが、0.02、0.04、0.06、又は0.08である、本明細書に記載されている上記ポリマー組成物が開示される。
【0071】
いっそう更に、Zが、例えば0.1若しくは0.2であり、及び/又はZが、例えば0.58若しくは0.56である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0072】
更なる実施態様において、Zは0.58又は0.56である。なおも更なる実施態様において、Zは0.58である。いっそう更なる実施態様において、Zは0.56である。更なる実施態様において、Zは0.54、0.52、又は0.50である。なおも更なる実施態様において、Zは0.54である。いっそう更なる実施態様において、Zは0.52である。更なる実施態様において、Zは0.50である。
【0073】
更なる実施態様において、Zは0.48又は0.46である。なおも更なる実施態様において、Zは0.48である。いっそう更なる実施態様において、Zは0.46である。
【0074】
該架橋剤、例えば過酸化物、の量Zが、0.45であるZである、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0075】
が0.44又は0.42である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0076】
なおも更なる実施態様において、該架橋剤、例えば過酸化物、の量Zは、0.40であるZである。
【0077】
が0.38又は0.36である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0078】
が0.38である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0079】
が0.36である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0080】
いっそう更なる実施態様において、架橋剤、例えば過酸化物、の量Zは、0.35であるZである。
【0081】
が0.34、0.32、又は0.30である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0082】
が0.34である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0083】
が0.32である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0084】
が0.30である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0085】
該架橋剤の非限定的な例は、有機過酸化物、例えばジ-tert-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ(tert-ブチル)ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-バレレート、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、又はそれらの任意の混合等を包含する。
【0086】
更なる実施態様において、過酸化物である該架橋剤は例えば、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、ジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ(tert-ブチル)ペルオキシド、又はそれらの任意の混合から選択されうる。
【0087】
なおも更なる実施態様において、該架橋剤は、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、及びtert-ブチルクミルペルオキシド、又はそれらの任意の混合のいずれかから選択される過酸化物である。
【0088】
更なる実施態様において、該架橋剤は、ジクミルペルオキシドである過酸化物を含む。
【0089】
なおも更なる実施態様において、該架橋剤は、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3である過酸化物を包含する。
【0090】
いっそう更なる実施態様において、該架橋剤は、tert-ブチルクミルペルオキシドである過酸化物を包含する。
【0091】
1つの実施態様において、上記ポリマー組成物は該架橋剤を含む。
【0092】
B≦B(式中、Bは3.0である)であり、且つZ≦Z≦Z(式中、Zは0.01である)である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0093】
該架橋剤が、該ポリマー組成物の総量(100重量%)に基づきZ重量%であり且つZ≦Z≦Z(式中、Z及びZは、Z及びZそれぞれに対して本明細書において与えられる任意の数値からそれぞれ選択されうる)である量で存在する、本明細書に記載されている、該ポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0094】
本明細書に記載されている、本発明に従う更なる実施態様において、Zは、0.05である。
【0095】
が0.10である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0096】
が0.15である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0097】
が0.20である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0098】
特に好ましい実施態様において、Zが0.15であり、及びZが0.60であり、いっそうより好ましくは、Zが0.25であり且つZが0.50である。
【0099】
MFRが、架橋前に、ISO1133-1:2011に従って、2.16kgの荷重下、且つ190℃で決定される。
【0100】
本発明に従う更なる実施態様において、本明細書に記載されているポリマー組成物が、架橋前に、方法ISO1133-1:2011に従って決定される、2.16kgの荷重且つ190℃でのメルトフローレート(MFR)を有し、該MFRは、Ag/10分であり且つA≦A(式中、Aは10である)である。
【0101】
が5.0である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0102】
該ポリマー組成物のなおも更なる実施態様において、Aは4.0である.
【0103】
が3.0である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様がなおも開示される。
【0104】
なおも更なる実施態様において、Aが2.7である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物が開示される。
【0105】
が2.5である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0106】
が2.0である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様がなおも開示される。
【0107】
が1.7である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0108】
なおも更なる実施態様において、該ポリマー組成物は、Ag/10分であり且つA≦A(式中、Aは0.05である)であるメルトフローレートMFRを有する。
【0109】
Ag/10分であり且つA≦A≦A(式中、A及びAは、A及びAそれぞれに対して本明細書において与えられる任意の数値からそれぞれ選択されうる)である、メルトフローレートMFRを有するポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0110】
が0.10である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様がなおも開示される。
【0111】
が0.15である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0112】
が0.20である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0113】
が0.25である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様がなおも開示される。
【0114】
が0.30である、本明細書に記載されている、本発明に従う更なる実施態様が開示される。
【0115】
が0.35である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様が開示される。
【0116】
が0.40である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様がなおも開示される。
【0117】
が0.45である、本明細書に記載されている、本発明に従う更なる実施態様が開示される。
【0118】
が0.50である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様が開示される。
【0119】
が0.55である、本明細書に記載されている、本発明に従う更なる実施態様が開示される。
【0120】
が0.60である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様が開示される。
【0121】
が0.65である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様がなおも開示される。
【0122】
が0.70である、本明細書に記載されている、本発明に従う更なる実施態様が開示される。
【0123】
が0.75である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様が開示される。
【0124】
が0.80である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様がなおも開示される。
【0125】
が0.85である、本明細書に記載されている、本発明に従う更なる実施態様が開示される。
【0126】
が0.90である、本明細書に記載されている、本発明に従う実施態様が開示される。
【0127】
が1.65である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0128】
が1.60である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0129】
が1.55である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0130】
が1.50である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0131】
特に好ましい実施態様において、Aが0.15であり且つAが3.0であり、いっそうより好ましくは、Aが0.60であり且つAはが2.5である。
【0132】
1つの好ましい実施態様において、該ポリマー組成物は、
≦B≦B(式中、Bは0.89であり、且つBは3.0である);
≦Z≦Z(式中、Zは0.15であり、且つZは0.60である);及び
≦A≦A(式中、Aは0.15であり、且つAは3.0である);
好ましくは
≦B≦B(式中、Bは0.9であり、且つBは1.5である);
≦Z≦Z(式中、Zは0.25であり、且つZは、0.50である);及び
≦A≦A(式中、Aは0.60であり、且つAは2.5である)
を同時に満たす。
【0133】
該ポリエチレンが、架橋前に、0.05rad/秒においてX Pasの複素粘度(η)を有し、X≦X≦X(式中、Xは7600であり、且つXは30000である)である、及び、300rad/秒においてY Pasの複素粘度(η)を有し、Y≦Y≦Y(式中、Yは5であり、且つYは380である)である、該2つの複素粘度(η)が、ポリエチレンの安定化された試料において方法ISO6721-1に従って決定される、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0134】
該ポリエチレンが、架橋前に、方法ISO6721-1に従って、該ポリエチレンの安定化された試料において決定される、0.05rad/秒においてX Pasの複素粘度(η)を有し、X≦X≦X(式中、X及びXそれぞれは、X及びXに対して本明細書において与えられる任意の数値から選択されうる)である、該ポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0135】
該ポリエチレンが、架橋前に、方法ISO6721-1に従って、該ポリエチレンの安定化された試料において決定される、300rad/秒におけるにおいてY Pasの複素粘度(η)を有し、Y≦Y≦Y(式中、Y及びYそれぞれは、Y及びYに対して本明細書において与えられる任意の数値からそれぞれ選択されうる)である、該ポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0136】
が7614である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0137】
が8000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0138】
が9000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0139】
が10000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0140】
が11000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0141】
が12000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0142】
が13000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0143】
が14000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0144】
が29000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0145】
が28000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0146】
が27000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0147】
が26000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0148】
が25000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0149】
が24000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0150】
が15000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0151】
が16000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0152】
が17000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0153】
が18000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0154】
が18100である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0155】
が18200である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0156】
が18300である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0157】
が18400である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0158】
が18500である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0159】
が18600である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0160】
が18700である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0161】
が23500である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0162】
が23000である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0163】
が22900である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0164】
が22800である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0165】
が22700である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0166】
が22600である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0167】
が22500である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0168】
が22400である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0169】
が22300である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0170】
が10である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0171】
が20である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0172】
が30である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0173】
が40である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0174】
が50である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0175】
が60である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0176】
が70である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0177】
が80である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0178】
が90である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0179】
が100である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0180】
が110である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0181】
が120である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0182】
が130である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0183】
が140である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0184】
が150である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0185】
が160である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0186】
が170である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0187】
が180である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0188】
が190である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0189】
が200である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0190】
が210である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0191】
が220である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0192】
が230である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0193】
が240である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0194】
が250である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0195】
が378である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0196】
が375である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0197】
が360である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0198】
が355である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0199】
が350である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0200】
が345である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0201】
が340である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0202】
が335である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0203】
が330である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0204】
が8000であり且つXが28000であり、並びにYが250であり且つYが360である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0205】
が12000であり且つXが28000であり、並びにYが250であり且つYが330である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0206】
が13000であり且つXが27000であり、並びにYが240であり且つYが340である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0207】
が13000であり且つXが27000であり、並びにYが250であり且つYが330である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0208】
更なる実施態様において、上記ポリマー組成物はまた、1以上の更なる添加剤を含みうる。そのような1以上の更なる添加剤は、下記を含む:
1以上の不飽和低分子量化合物、例えば、下記を含む:
該ポリマー組成物内の架橋度及び/又はビニル基の量に寄与することができる、1以上の任意の所定の化合物を含む、本明細書に記載されている1以上の架橋ブースター。
使用される代表的な押出温度で、該ポリマー組成物の押出中にスコーチの形成を低下させる化合物(上記化合物を含めずに押出された同一のポリマー組成物と比較した場合に)として、本明細書において定義される1以上のスコーチ防止剤。該スコーチ防止剤はまた、該ポリマー組成物内のビニル基の量に寄与することができる。
【0209】
1以上の不飽和低分子量化合物、例えば1以上の架橋ブースター及び/又は「1以上の」スコーチ防止剤(SR:scorch retarders)、からの、該ポリマー組成物中のビニル基の量に対する何らかの寄与がまた、方法ASTM D6248-98に従って測定される。
【0210】
該架橋ブースターは、少なくとも2つの不飽和の基を含む化合物、例えば脂肪族若しくは芳香族化合物、エステル、エーテル、アミン、又はケトンであり得、それは少なくとも2つの不飽和の基、例えばシアヌレート、イソシアヌレート、ホスフェート、オルトホルメート、脂肪族若しくは芳香族エーテル、又はベンゼントリカルボン酸のアリルエステル、を含む。エステル、エーテル、アミン、及びケトンの例は、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラ-オキサスピロ[5,5]-ウンデカン(DVS)、トリアリルトリメリテート(TATM)、若しくはN,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン(HATATA)、又はそれらの任意の混合からなる一般群から選択される化合物である。該架橋ブースターは、2.0重量%未満、例えば1.5重量%未満、例えば1.0重量%未満、例えば0.75重量%未満、例えば0.5重量%未満のそのような架橋ブースターの量で添加されることができ、且つその下限は、該ポリマー組成物の重量に基づき、例えば少なくとも0.05重量%、例えば少なくとも0.1重量%、である。
【0211】
該スコーチ防止剤(SR)は、例えば芳香族アルファ-メチルアルケニルモノマーの不飽和二量体、例えば2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、置換型又は非置換型ジフェニルエチレン、キノン誘導体、ハイドロキノン誘導体、エステル及びエーテルを有する単官能性ビニル、少なくとも2つ以上の二重結合を有する単環式炭化水素、又はそれらの混合でありうる。例えば、該スコーチ防止剤は、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、置換型又は非置換型ジフェニルエチレン、又はそれらの混合から選択されうる。
【0212】
該スコーチ防止剤の量は、該ポリマー組成物の重量に基づき、例えば0.005重量%以上でありうる。更に、該スコーチ防止剤の量は、該ポリマー組成物の重量に基づき、例えば0.01重量%以上、0.03重量%以上、又は0.04重量%以上でありうる。
【0213】
更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、2.0重量%以下、例えば1.5重量%以下、でありうる。更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.8重量%以下、0.75重量%以下、0.70重量%以下、又は0.60重量%以下でありうる。その上、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.55重量%以下、0.50重量%以下、0.45重量%以下、又は0.40重量%以下でありうる。
【0214】
なおも更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.35重量%以下、例えば0.30重量%以下、でありうる。更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.25重量%以下、0.20重量%以下、0.15重量%以下、又は0.10重量%以下でありうる。更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.15重量%以下、又は0.10重量%以下でありうる。
【0215】
その上、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.005~2.0重量%、例えば0.005~1.5重量%、でありうる。更なる例示的な範囲は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.01~0.8重量%、0.03~0.75重量%、0.03~0.70重量%、又は0.04~0.60重量%である。その上、例示的な範囲は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.01~0.60、0.01~0.55、0.01~0.50、0.01~0.45、又は代替的には0.01~0.40重量%、0.03~0.55、又は代替的には0.03~0.50重量%、0.03~0.45、又は代替的には0.03~0.40重量%、又は0.04~0.45、又は代替的には0.40重量%である。
【0216】
更に、該スコーチ防止剤(SR)は例えば、欧州特許第1699882号明細書に記載されている通り、ヒンダードアミン由来の安定な有機フリーラジカル:例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシ(TEMPO)のヒドロキシ誘導体、例えば4-ヒドロキシ-TEMPO又はビス-TEMPO(例えば、ビス(l-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート)、及び、例えば、オキソ-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOのエステル、ポリマー結合型のTEMPO、PROXYL、DOXYL、ジ-tert-ブチルNオキシル、ジメチルジフェニルピロリジン-1-オキシル、又は4-ホスホノキシTEMPOに由来する、少なくとも2つのニトロキシル基を有する多官能分子を含む、グラフト可能で安定な有機フリーラジカルから選択されうる。
【0217】
該グラフト可能で安定な有機フリーラジカルは、欧州特許第1699882号明細書に記載されている通り、該ポリマー組成物の重量に基づき、約0.005重量パーセント以上、例えば約0.01重量パーセント以上、約0.03重量パーセント以上、の量で存在しうる。
【0218】
更に、該グラフト可能で安定な有機フリーラジカルは、欧州特許第1699882号明細書に記載されている通り、該ポリマー組成物の重量に基づき、約20.0重量パーセント以下、例えば約10.0重量パーセント以下、例えば約5.0重量パーセント以下、の量で存在しうる。
【0219】
更に、該グラフト可能で安定な有機フリーラジカルは、欧州特許第1699882号明細書に記載されている通り、該ポリマー組成物の重量に基づき、約0.005重量パーセント~約20.0重量パーセント、例えば15約0.01重量パーセント~約10.0重量パーセント、例えば約0.03重量パーセント~約5.0重量パーセント、の量で存在しうる。
【0220】
その上、そのような1以上の更なる添加剤は、1以上の添加剤、例えば1以上の抗酸化剤、1以上の安定剤、及び/又は1以上の加工助剤、を含む。抗酸化剤として、1以上の立体障害又は半障害フェノール、1以上の芳香族アミン、1以上の立体障害脂肪族アミン、1以上の有機ホスフェート、1以上のチオ化合物、及びこれらの混合が言及されることができる。更なる1以上の添加剤として、1以上の難燃性添加剤、1以上の水トゥリー抑制添加剤(water tree retardant additive)、1以上のアシッドスカベンジャー(acid scavenger)、1以上の充填剤、1以上の顔料、及び1以上の電圧安定化剤が言及されることができる。
【0221】
好適な充填剤及び/又は顔料の例は、TiO、CaCO、カーボンブラック(例えば、導電性カーボンブラック又は「UVブラック」、すなわち紫外線を吸収するカーボンブラック)、ハンタイト、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム(ATH)、水酸化マグネシウム(MDH)、及びSiOを包含する。
【0222】
なおも更なる実施態様において、本発明に従う上記ポリマー組成物は、充填剤及び/又は顔料を更に含む。
【0223】
その上、上記充填剤及び/又は顔料は、例えば0.01~5重量%、例えば0.01~3重量%、又は例えば0.01~2重量%、の量で、本発明に従う上記ポリマー組成物中に含まれうる。
【0224】
上記ポリマー組成物は、1以上の不飽和ポリマー、及び/又は1以上の不飽和ではないポリマーを含む、1以上の更なるポリマー成分を更に含み得、ここで、1以上の該更なるポリマー成分は上記ポリエチレンと異なる。
【0225】
上記ポリマー組成物は、顆粒を含む、任意の形状及びサイズで粉末又はペレットの形態で提供されることができる。ペレットは、例えば上記ポリエチレンの重合の後、慣用的なペレット化機器、例えばペレット化押出機、を使用する周知の様式で製造されることができる。該ポリマー組成物は例えば、ペレットの形態で提供されうる。
【0226】
その上、該ポリマー組成物の架橋中に、該ポリマー組成物中の架橋剤の分解は、GC分析法に従って測定された場合に、200ppm未満のメタンの形成を結果として生じ、一方、同時に、ホットセット試験法に従って測定される場合に、技術的に望ましいレベルの架橋度のポリマー組成物が維持される。GC分析法及びホットセット試験法は更に、本明細書において、実施例の「決定方法」に記載されている。
【0227】
本発明に従う実施態様において、ポリマー組成物の架橋中での架橋剤の分解は、GC分析法に従って測定される場合に、200ppm未満のメタンの形成を結果として生じる、本明細書に記載されているポリマー組成物が開示される。
【0228】
本発明に従う更なる実施態様において、該架橋剤の分解が、190又は180ppm未満のメタンの形成を結果として生じる、本明細書に記載されているポリマー組成物が開示される。
【0229】
該架橋剤の分解が、170又は160ppm未満のメタンの形成を結果として生じる、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0230】
該架橋剤の分解が150ppm未満のメタンの形成を結果として生じる、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0231】
該架橋剤の分解が、140、130、120、110、又は100ppm未満のメタンの形成を結果として生じる、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0232】
該架橋剤の分解が、115、110、105、又は100ppm未満のメタンの形成を結果として生じる、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様がなおも開示される。
【0233】
更に、ホットセット試験法に従って、架橋されたプラーク試料(plaque sample)において測定された場合に、該架橋ポリマー組成物は、200℃で175%未満である、20N/cm負荷時のホットセット伸びを有する。この方法は更に本明細書において、架橋に関係する部分において且つ実施例の「決定方法」においてまた記載されている。
【0234】
該ポリマー組成物が架橋されており且つホットセット試験法に従って測定された場合に、175%未満である、20N/cm負荷時のホットセット伸びを有する、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0235】
本発明に従う更なる実施態様において、本明細書に記載されているポリマー組成物は、170%未満である、又は160%未満である、20N/cm負荷時のホットセット伸びを有する。
【0236】
20N/cm負荷時の上記ホットセット伸びが150%未満である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様がなおも開示される。
【0237】
20N/cm負荷時の上記ホットセット伸びが140%未満である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0238】
20N/cm負荷時の上記ホットセット伸びが130%未満である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0239】
20N/cm負荷時の上記ホットセット伸びが、120%未満である、又は110%未満である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のいっそう更なる実施態様が開示される。
【0240】
該架橋ポリマー組成物が、100%未満である、20N/cm負荷時のホットセット伸びを有する、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0241】
該架橋ポリマー組成物が、95%未満である、又は90%未満である、20N/cm負荷時のホットセット伸びを有する、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0242】
該架橋剤の分解が、150ppm未満のメタンの形成を結果として生じ、及び該架橋ポリマー組成物が、100%未満である、20N/cm負荷時のホットセット伸びを有する、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の実施態様が開示される。
【0243】
架橋剤の分解が、150ppm未満のメタンの形成を結果として生じ、及び該架橋ポリマー組成物が、90%未満である、20N/cm負荷時のホットセット伸びを有する、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0244】
ポリマー組成物のポリエチレン
該ポリマー組成物の複数の実施態様において、該ポリエチレンは、本明細書に記載されている通り、炭素原子1000個当たりP個のビニル基の総数を有する。本明細書に記載されている通り、P≦P又はP≦P≦Pである。
【0245】
該ポリマー組成物の1つの実施態様において、該ポリエチレンは、炭素原子1000個当たりP個のビニル基の総数を有する。
【0246】
該ポリマー組成物の更なる実施態様において、該ポリエチレンは、P個のビニル基の総数を有し、但しPは0.88である。
【0247】
特に好ましい実施態様において、Pは0.89であり且つPは3.0であり、いっそうより好ましくは、Pは0.90であり且つPは1.5である。
【0248】
1つの好ましい実施態様において、該ポリマー組成物は、
≦P≦P(式中、Pは0.89であり、且つPは3.0である);
≦Z≦Z(式中、Zは0.15であり、且つZは0.60である);及び
≦A≦A(式中、Aは0.15であり、且つAは3である);
好ましくは
≦P≦P(式中、Pは0.9であり、且つPは1.5である);
≦Z≦Z(式中、Zは0.25であり、且つZは0.50である);及び
≦A≦A(式中、Aは0.60であり、且つAは2.5である)
を同時に満たす。
【0249】
本実施態様において、「ビニル基の量」は、「該ポリエチレン中に存在するビニル基の総数」を意味する。本明細書において、該ポリエチレンは、連鎖移動剤により不飽和が設けられたホモポリマー及びコポリマーの両方を意味し、ここで、該不飽和は、任意的に連鎖移動剤の存在下で、及びまた、任意的に更なるコモノマーとも組み合わせて、モノマーを少なくとも多価不飽和コモノマーと共に重合させることによって提供される。
【0250】
1つの実施態様において、該ポリエチレンは、本明細書に既に記載されている通り、1以上の多価不飽和コモノマーを含む不飽和コポリマーである。更に、該不飽和コポリマー中に存在する上記ビニル基(P)は、該多価不飽和コモノマー、該ポリエチレンを生成する方法、及び任意的に、任意の使用された連鎖移動剤に由来しうる。
【0251】
該ポリマー組成物の該ポリエチレンが、少なくとも1の多価不飽和コモノマーを含む不飽和コポリマーである場合に、該多価不飽和コモノマーは、少なくとも一方が末端部にある非共役二重結合の間に少なくとも8個の炭素原子及び少なくとも4個の炭素原子を有する直鎖状炭素鎖である。
【0252】
該ポリマー組成物の為に好適なポリマー材料に関して、上記ポリエチレンは、例示的なポリマー組成物のポリエチレンについて、本明細書で定義されている、関連する特徴を有する任意のポリマーであることができる。該ポリエチレンは、ポリエチレンのホモポリマー、並びにポリエチレンと1以上のコモノマーとのコポリマーから選択されうる。該ポリエチレンは、分子量分布及び/又はコモノマー分布に関して、単峰性又は多峰性であることができ、それら表現は周知の意味を有する。
【0253】
1つの実施態様において、該ポリエチレンは、エチレンのホモポリマーである。
【0254】
該ポリマー組成物の1つの実施態様において、該ポリマー組成物は、エチレンの単独重合を含むプロセスによって得られる。
【0255】
該ポリマー組成物の例示的な実施態様において、該ポリエチレンは、ポリエチレンと、少なくとも1の多価不飽和コモノマー、及び任意的に、1以上の他のコモノマーとの不飽和コポリマーである。
【0256】
ポリエチレンの上記不飽和コポリマーは、エチレンの不飽和コポリマーである。
【0257】
本発明の1つの実施態様において、ポリエチレンが、モノマーと、少なくとも1の多価不飽和コモノマー、及び0又は1以上、例えば0、1、2、又は3の他のコモノマーとのコポリマーであり、並びに該ポリマー組成物中に存在するビニル基の上記総数(B)は、上記少なくとも1の多価不飽和コモノマー、例えばジエン、に由来するビニル基を含む、本明細書に記載されているポリマー組成物が開示される。
【0258】
該ポリマー組成物の例示的な実施態様において、該ポリマー組成物は、エチレンの不飽和コポリマーを架橋剤と共にブレンドする工程を含む方法により得られる。
【0259】
エチレンの上記コポリマーは、連続的な高圧重合プロセスにおいて製造されるLDPEコポリマーであり得、エチレンは、任意的に連鎖移動剤の存在下で、少なくとも1の多価不飽和コモノマー、及び任意的に、1以上の他のコモノマーと共重合化される。
【0260】
ポリエチレン中に存在する任意的な1以上の更なるコモノマー、例えばエチレンのコポリマー、は、「骨格」(backbone)モノマーとは異なり、且つエチレン及び1以上のより高級なアルファ-オレフィン、例えば1以上のC~C20アルファ-オレフィン、例えば5~12個の炭素の環状アルファ-オレフィン、又は3~12個の炭素原子の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルファ-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ノネン若しくは1-オクテン、から、並びに1以上の極性のコモノマーから選択されうる。
【0261】
1つの実施態様において、直鎖状又は分岐鎖状のアルファ-オレフィンは、3~6個の炭素原子の直鎖状又は分岐鎖状のアルファ-オレフィンである。
【0262】
更なる実施態様において、直鎖状アルファ-オレフィンはプロピレンである。
【0263】
例えば、プロピレンは、コモノマーとして若しくは連鎖移動剤(CTA:chain transfer agent)として、又はその両方として使用されることができ、それによって、それはP個のビニル基の総数に寄与することができることは周知である。本明細書において、ポリエチレン内の共重合可能なCTA、例えばプロピレン、が使用される場合に、共重合されたCTAは、コモノマー含有量に対して計算されない。
【0264】
ポリマー組成物の例示的な実施態様において、該ポリエチレンは、不飽和LDPEポリマー、例えば多価不飽和コモノマーである少なくとも1のコモノマーを含む不飽和LDPEコポリマー(本明細書においてLDPEコポリマーと呼ばれる)、である。
【0265】
更に、上記多価不飽和コモノマーは、ジエン、例えば(1)少なくとも8個の炭素原子を含むジエン、であって、最初の炭素-炭素二重結合が末端にあり、且つ第2の炭素-炭素二重結合が最初の炭素-炭素二重結合と非共役的であるジエン(グループ1のジエン)でありうる。例示的なジエン(1)は、C~C14の非共役型ジエン又はその混合から選択され得、例えば1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、1,11-ドデカジエン、1,13-テトラデカジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、又はこれらの混合から選択されうる。更なる実施態様において、該ジエン(1)は、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、1,11-ドデカジエン、1,13-テトラデカジエン、又はそれらの任意の混合から選択される。
【0266】
該ポリエチレンが、モノマーと少なくとも1の多価不飽和コモノマーとのコポリマーであり、該多価不飽和コモノマーが、少なくとも8個の炭素原子を有し且つ非共役二重結合(そのうちの少なくとも1つが末端にある)の間に少なくとも4個の炭素原子を有する直鎖状炭素鎖を有し、例えばC~C14の非共役型ジエンであり、例えば1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、1,11-ドデカジエン、1,13-テトラデカジエン、又はこれらの混合から選択される、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物の更なる実施態様が開示される。
【0267】
好ましい実施態様において、該ポリエチレンは、エチレンと1,7-オクタジエンとのコポリマーである。
【0268】
ポリエチレンが、連続的な高圧重合プロセスにおいて製造される不飽和LDPEホモポリマー又はコポリマー、例えばエチレンと、1以上の多価不飽和コモノマー、及び0又は1以上の他のコモノマーとのLDPEコポリマー、である、本明細書に記載されている、本発明に従うポリマー組成物のなおも更なる実施態様が開示される。
【0269】
本明細書に掲載されているジエン(1)に加えて又はそれに代わりとして、該ジエンはまた、他の種類の多価不飽和ジエン(2)から、例えば下記の式を有する1以上のシロキサン化合物から、選択されうる(グループ(2)ジエン):
CH=CH-[SiR-O]-SiR-CH=CH
(式中、
n=1~200、及び
及びRは、同一であっても又は異なっていてもよく、C~Cアルキル基及び/又はC~Cアルコキシ基より選択される)。
【0270】
更に、R及び/又はRは、例えばメチル、メトキシ、又はエトキシでありうる。その上、nは例えば、1~100、例えば1~50、でありうる。例として、ジビニルシロキサン、例えばα,ω-ジビニルシロキサン、が挙げられうる。
【0271】
該ポリエチレンに対する例示的な多価不飽和コモノマーは、本明細書で定義されているグループ(1)に由来するジエンである。該ポリエチレンは例えば、エチレンと、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、1,11-ドデカジエン、1,13-テトラデカジエン、又はそれらの任意の混合から選択される少なくとも1のジエン、及び任意的に、1以上の他のコモノマーとのコポリマーでありうる。上記ポリエチレンが本明細書に記載されている不飽和LDPEコポリマーであることがまた例示されている。上記ポリエチレンは、更なるコモノマー、例えば1以上の極性のコモノマー、1以上のアルファ-オレフィンコモノマー、1以上の非極性コモノマー、又はそれらの任意の混合を含みうる。
【0272】
極性コモノマーとして、1以上のヒドロキシル基、1以上のアルコキシ基、1以上のカルボニル基、1以上のカルボキシル基、1以上のエーテル基、若しくは1以上のエステル基、又はこれらの混合を有する1以上の化合物が使用されることができる。
【0273】
更に、非極性コモノマーは、1以上のヒドロキシル基、1以上のアルコキシ基、1以上のカルボニル基、1以上のカルボキシル基、1以上のエーテル基だけでなく、1以上のエステル基をも有しない1以上の化合物である。
【0274】
更なる実施態様において、1以上のカルボキシル基及び/又は1以上のエステル基を有する化合物が使用され、例えば該化合物は、1以上のアクリレート、1以上のメタクリレート、若しくは1以上のアセテート、又はそれらの任意の混合の群から選択される。
【0275】
上記不飽和LDPEコポリマー内に存在する場合、該極性コモノマーは例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、若しくはビニルアセテート、又はこれらの混合の群から選択されうる。更に、上記極性コモノマーは例えば、C~C-アルキルアクリレート、C~C-アルキルメタクリレート、又はビニルアセテートから選択されうる。なおも更に、上記極性コポリマーは、エチレンとC~C-アルキルアクリレート、例えばメチル、エチル、プロピル、若しくはブチルアクリレート、若しくはビニルアセテート、又はそれらの任意の混合とのコポリマーを含む。
【0276】
本明細書に記載されたポリマー組成物のポリエチレンは、プロセス条件を制御及び調整して、重合化されたポリマーのMFRとビニル基の量との間で所望のバランスを達成する為に、とりわけ慣用的な任意の重合プロセス及び機器、不飽和を提供する為の本明細書に記載されている慣用手段、及びMFRを調整する為の任意の慣用手段を使用して調製されることができる。該ポリマー組成物の本明細書で定義されている不飽和LDPEポリマー、例えば不飽和LDPEコポリマー、は、フリーラジカル開始重合(高圧ラジカル重合と呼ばれる)によって、連続的高圧反応器内で、例えば連続的高圧管形反応器内で、製造される。使用可能な高圧(HP:high pressure)重合及びプロセス条件の調整は周知であり、且つ文献に記載されており、且つ本明細書に記載された本発明のバランスを提供する為に、当業者によって容易に使用されることができる。連続的な高圧重合は、管形反応器又はオートクレーブ反応器内で、例えば管形反応器内で、行われることが可能である。連続的HPプロセスの1つの実施態様は、本明細書で定義されているLDPEホモポリマー又はコポリマーを得る為に、管形反応器内で、エチレンを、任意的に1以上のコモノマー、例えば少なくとも1以上の多価不飽和コモノマー、と共に重合させることについて、本明細書に記載されている。該プロセスは、他のポリマーに対しても同様に適用されることができる。
【0277】
更に、本明細書に記載のポリマー組成物のポリエチレンは、フリーラジカル重合(高圧ラジカル重合と呼ばれる)によって高圧反応器内で製造されうる。フリーラジカル開始重合は、非常に迅速であり、従って、プロセスパラメーターの注意深いコントロールが連続モニタリング及び調整によって得られることができる連続プロセスにとって好適である。高圧ラジカル重合プロセスに対して、エチレン及び開始剤の連続的供給が存在する。高圧ラジカル重合プロセスは好ましくは、オートクレーブ又は管形のプロセス、より好ましくは管形反応器、である。類似したプロセス条件、例えば類似した温度プロファイル、類似した圧力、及び類似した開始剤供給、が使用される場合、オートクレーブプロセスにおいて製造されたポリエチレンと比較して、高圧管形プロセスは典型的に、より狭い分子量分布及びより低い程度の長鎖分岐度並びに別の分岐構造を有するポリエチレンを生み出す。典型的には、管形反応器はより高いエチレン変換率を有するので、該管形反応器またより好ましい生産経済性を有する。
【0278】
更なる実施態様において、本発明のポリマー組成物の該ポリエチレンが、連続的高圧管形反応器内で製造される。
【0279】
圧縮
制御された圧力及び温度で多量のエチレンの取り扱いを可能にする為に、エチレンが主にコンプレッサーに供給される。該コンプレッサーは通常、ピストンコンプレッサー又はダイアフラムコンプレッサーである。該コンプレッサーは通常、連続して又は並行して作動することができる一連のコンプレッサーである。2~5の圧縮工程が最も一般的である。リサイクルされたエチレン及びコモノマーは、圧力に依存して実現可能な時点で添加されることができる。温度は典型的に低く、通常、200℃未満又は100℃未満の範囲内である。上記温度は例えば、200℃未満でありうる。
【0280】
管形反応器
混合物が管形反応器に供給される。チューブの最初の部分は、供給されるエチレンの温度を調整する為のものである;通常、温度は150~170℃である。次に、ラジカル開始剤が添加される。該ラジカル開始剤として、高められた温度でラジカルに分解する任意の化合物又はその混合物が使用されることができる。使用可能なラジカル開始剤は市販されている。該重合反応は発熱性である。分離した注入ポンプを通常は備える、幾つかのラジカル開始剤注入の時点、例えば1~5の時点、が存在することができる。周知の通り、エチレン及び任意的な1以上のコモノマーがまた、該プロセス中に、任意の時期で、該管形反応器の任意のゾーンで、及び/又は1以上の注入ポイントから、添加されることができる。該反応器は、例えば水又は水蒸気によって、連続的に冷却される。最高温度はピーク温度と呼ばれ、且つ最低温度はラジカル開始剤温度と呼ばれる。本明細書において、「最低温度」は反応開始温度を意味し、それは開始温度と呼ばれ、該開始温度は、当業者にとって明らかなとおり「より低い」。
【0281】
好適な温度は、80~350℃の範囲、及び圧力は100~400MPaの範囲である。圧力は、少なくとも圧縮段階において、及びチューブの後に測定されることができる。温度は、全ての工程中に幾つかの時点で測定されることができる。高温及び高圧力は、一般的にアウトプットを増加させる。当業者によって選択される様々な温度プロファイルを使用することは、ポリマー鎖の構造、すなわち長鎖分岐化及び/又は短鎖分岐化、密度、MFR、粘度、分子量分布等の制御を可能にする。
【0282】
該反応器の末端部は慣用的に、バルブを備えている。該バルブは、反応器圧力を制御し、且つ反応混合物を反応圧力から分離圧力まで減圧する。
【0283】
分離
圧力は典型的に、約10~45MPa、例えば約30~45MPa、まで減圧される。該ポリマーは、未反応生成物、例えばガス状生成物、例えばモノマー又は任意の1以上のコモノマー、から分離され、そしてほとんどの未反応生成物は回収される。通常、低分子化合物、すなわちワックス、は、ガスから除去される。未使用のガス状生成物、例えばエチレン、を回収及びリサイクルする為に、圧力が更に減圧されることができる。該ガスは通常冷却され、そしてリサイクルの前に洗浄される。
【0284】
次に、得られたポリマー溶融物は通常、混合され、そしてペレット化される。任意的に、又は幾つかの実施態様において、添加剤がミキサー内に添加されることができる。高圧ラジカル重合によるエチレン(co)ポリマーの製造に関する更なる詳細情報が、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.6(1986年),pp383-410に見出されることができる。
【0285】
該ポリエチレン、例えばLDPEコポリマー、のMFRは、重合中に、例えば1以上の連鎖移動剤を使用することによって、及び/又は反応温度若しくは圧力を調整することによって調節されることができる。
【0286】
本発明のLDPEコポリマーが調製される場合、周知の通り、ビニル基の量は、LDPEコポリマーにとって望ましい炭素-炭素二重結合の性質及び量に依存して、Cと多価不飽和コモノマー及び/又は連鎖移動剤との間の所望の供給比を使用して、例えば1以上の多価不飽和コモノマー、1以上の連鎖移動剤、又はその両方の存在下でエチレンを重合させることによって調節されることができる。とりわけ、国際公開第9308222号パンフレットは、エチレンコポリマーの不飽和を増加させる為に、エチレンと多価不飽和モノマー、例えばα,ω-アルカジエン、との高圧ラジカル重合を記載する。従って、1以上の未反応の二重結合は、多価不飽和コモノマーが重合によって取り込まれた部位で、形成されたポリマー鎖にペンダントビニル基を提供する。その結果、不飽和は、ポリマー鎖に沿って、ランダムな共重合様式において一様に分布されることができる。また、例えば、国際公開第9635732号パンフレットはまた、エチレンの高圧ラジカル重合及び特定の種類の多価不飽和α,ω-ジビニルシロキサンを記載する。その上、既知である通り、例えばプロピレンが、二重結合を提供する為に連鎖移動剤として使用されることができ、それによってプロピレンがまた、エチレンと部分的に共重合化されることができる。
【0287】
代替的な不飽和LDPEホモポリマーが、不飽和LDPEコポリマーについて本明細書に記載されているプロセス条件と同様の条件で製造されうる(但し、エチレンは連鎖移動剤の存在下でのみ重合化される点を除く)。
【0288】
1つの例示的なポリエチレン、例えば本発明のLDPEコポリマーのポリエチレン、は、ISO1183-1方法A:2012に従って、ポリエチレンにおいて測定される場合に、例えば0.860g/cmより高い、0.870より高い、0.880より高い、0.885より高い、0.890より高い、0.895より高い、0.900より高い、0.905より高い、0.910より高い、又は0.915g/cmより高い、密度を有しうる。
【0289】
本発明の別の例示的なポリエチレン、例えばLDPEコポリマーのポリエチレン、は、ISO1183-1方法A:2012に従って、ポリエチレンにおいて測定される場合に、最大0.960g/cm、0.955未満、0.950未満、0.945未満、0.940未満、0.935未満、又は0.930g/cm未満、の密度を有しうる。
【0290】
更なる実施態様において、密度範囲は、ISO1183-1方法A:2012に従って、ポリエチレンにおいて測定される場合に、0.915~0.930g/cmである。
【0291】
更に、該ポリマー組成物の上記不飽和コポリマー、例えばLDPEコポリマー、は、ポリエチレンの量に基づき、最大45重量%、例えば0.05~25重量%、又は例えば0.1~15重量%の総数で1以上のコモノマーを含む。
【0292】
該ポリマー組成物の例示的なポリエチレンは架橋性である。
【0293】
例示的な実施態様において、該ポリマー組成物は、少なくとも1のポリエチレンから構成される。該ポリマー組成物は、担体ポリマーを含む混合物、すなわち所謂マスターバッチ、に添加されうる更なる成分、例えば本明細書に記載された添加剤、を含みうる。
【0294】
更なる実施態様において、該ポリマー組成物は、架橋剤と共に、及び0、1、2、3、4、5、6以上の添加剤と共に、本明細書に記載されているポリエチレンを含み、ここで、該ポリマー組成物はペレットの形態である。
【0295】
本発明の更なる実施態様は、本明細書に記載されているポリマー組成物を製造する方法であって、該ポリエチレンを該架橋剤とブレンドする工程を含む上記方法を開示する。
【0296】
最終用途
本発明の実施態様は、本明細書に記載されているポリマー組成物の使用を含む方法から得られる物品であって、例えばケーブル、例えば電力ケーブル、である上記物品を提供する。
【0297】
本発明の更なる実施態様は、本明細書に記載されているポリマー組成物の使用を含む方法から得られる物品を提供する。
【0298】
本発明のなおも更なる実施態様は、本明細書に記載されているポリマー組成物から得られる1以上の層、例えば1以上の絶縁層、を含む物品であって、例えばケーブル、例えば電力ケーブル、である上記物品を提供する。
【0299】
本発明の1つの実施態様において、物品、例えばケーブル、であって、該ケーブル、例えば電力ケーブル、は、上記ポリマー組成物から得られる1つの層を含む上記物品が提供される。
【0300】
本発明の更なる実施態様において、物品であって、架橋性であり且つ本明細書に記載されているポリマー組成物の使用を含む方法から得られるところの上記物品が提供される。
【0301】
本発明のなおも更なる実施態様において、物品であって、本明細書に記載されているポリマー組成物を含む上記物品が提供される。
【0302】
本発明の更なる実施態様において、物品であって、架橋されており且つ本明細書に記載されているポリマー組成物の使用を含む方法から得られるところの上記物品が提供される。
【0303】
本発明の更なる実施態様は、ケーブル、例えば電力ケーブル、である物品を提供する。
【0304】
更に、本発明は、W&C用途にきわめて好適であり、それにより物品は例えば、架橋性であり且つ1以上の層を含むケーブルであり、ここで、少なくとも1つの層が、本明細書に記載されているポリマー組成物から得られる。
【0305】
その上、上記少なくとも1つの層が、本明細書に記載されているポリマー組成物を含む、本発明のなおも更なる実施態様が提供される。
【0306】
本発明の更なる実施態様は、本明細書に記載されているポリマー組成物から得られる1以上の層、例えば1以上の絶縁層、を含む電力ケーブルを提供する。
【0307】
上記物品がAC電力ケーブルである、本発明のなおも更なる実施態様が提供される。
【0308】
上記物品がDC電力ケーブルである、本発明の更なる実施態様が提供される。
【0309】
更に、該ポリマー組成物から得られるケーブルの少なくとも1つの層が、例えば絶縁層でありうる。
【0310】
その上、該ポリマー組成物を含むケーブルの少なくとも1つの層は、例えば絶縁層でありうる。
【0311】
更に、本発明のケーブルは、例えば少なくとも内部半導電層、絶縁層、及び外部半導電層を所定の順序で含む電力ケーブルであり得、ここで、少なくとも該絶縁層は、本明細書に記載されているポリマー組成物から得られる。
【0312】
更に、本発明のなおも更なる実施態様が提供され、表現「ポリマー組成物から得られる」はまた、「ポリマー組成物を含む」という特徴を含む。
【0313】
本明細書において、電力ケーブルは、任意の電圧で作動する、エネルギーを移送するケーブルを意味する。該電力ケーブルに施与される電圧は、AC、DC、又はトランジエント(インパルス)であることができる。1つの実施態様において、多層式の物品は、6kVよりも高い電圧で作動する電力ケーブルである。
【0314】
本発明の更なる実施態様は、本明細書に記載されている物品を製造する方法を開示し、該方法は、本明細書に記載されているポリマー組成物の使用を含む。
【0315】
その上、本発明は、本明細書に記載の物品を製造する方法であって、該方法は、a)物品を形成することを含み、本明細書に記載されているポリマー組成物を含む上記方法を提供する。上記方法は、例えば
)本明細書に記載されているポリマー組成物を、任意的に1以上の更なる成分と共に、溶融混合すること、そして
a)本明細書に記載されているポリマー組成物から得られるケーブルを形成すること
の工程を少なくとも含みうる。
【0316】
更なる実施態様は、本明細書に記載されているポリマー組成物を含むケーブルを形成することを開示する。
【0317】
「溶融混合すること」は周知の混合法であり、ここで、1以上のポリマー成分が、高められた温度で混合され、それは典型的に、1以上の該ポリマー成分の融点又は軟化点よりも高く、例えば少なくとも20~25℃高い。
【0318】
1つの実施態様において、1以上の層により取り囲まれた導電体を含むケーブルが製造され、該方法は、a)導電体上に本明細書に記載されているポリマー組成物を施与して、該導電体を取り囲む少なくとも1つの上記層を形成する工程を含む。
【0319】
従って、工程(a)において、上記1以上の層のうちの少なくとも1つの層が施与され、そして本明細書に記載されているポリマー組成物を使用することにより得られる。
【0320】
また、本明細書において例示されるケーブルの製造方法は、例えば、
)本明細書に記載されている上記ポリマー組成物を、任意的に1以上の更なる成分と共に、溶融混合すること、そして次に
a)工程a)から得られた溶融混合物を導電体上に施与して、少なくとも1つの層を形成すること
の少なくとも2つの工程を含みうる。
【0321】
本明細書に記載されているポリマー組成物は、該方法の工程a)に、例えばペレット形態で導入され得、且つ混合工程、すなわち溶融混合工程、は、ポリマー材料を溶融(又は軟化)させてその処理を可能にする高められた温度で行われる。
【0322】
更に、該層は、例えばa)(同時)押出により施与されうる。本明細書において、語「(同時)押出」は、2以上の層の場合に、当技術分野において周知である通り、上記層が、別々の工程において押出されることができる、又は少なくとも2つ若しくは全ての上記層が、同一の押出工程において同時押出されることができることを意味する。
【0323】
1つの例示的な実施態様において、架橋性ポリマー組成物は、該ポリマー組成物がケーブル製造の為に使用される前に架橋剤を含み得、それによってポリエチレン及び架橋剤は、任意の慣用的な混合プロセスによって、例えば架橋剤をポリマーの組成物の溶融物に、例えば押出機内で、添加することによって、並びに液体の過酸化物、液状形態の過酸化物、又は溶媒に溶解した過酸化物をポリマーの固体組成物、例えばそのペレット、上に吸着させることによって、ブレンドされることができる。代替的には、この実施態様において、ポリエチレン及び架橋剤は、任意の慣用的な混合プロセスによりブレンドされることができる。例示的な混合手順は、例えば押出機内での溶融混合工程、並びに液体の過酸化物、液状形態の過酸化物、又は溶媒に溶解した過酸化物の、ポリマーの組成物又はそのペレット上への吸着を含む。次に、成分、例えばポリエチレン及び架橋剤、の得られたポリマー組成物が、物品、例えばケーブル、の製造方法の為に使用される。
【0324】
別の実施態様において、架橋剤が、架橋性物品の製造中に、例えば工程a)において添加され得、且つまた、本発明の上記ポリマー組成物を形成する。該架橋剤が物品の製造プロセス中に添加される場合に、例えば、本明細書に記載されている架橋剤が、周囲温度で、液状形態で添加される、又は当技術分野において周知である通り、その融点よりも高く事前加熱される、若しくは担体媒体に溶解される。
【0325】
本発明の上記ポリマー組成物はまた、1以上の更なる添加剤を含みうる、又は1以上の更なる添加剤が、該ポリマー組成物を含む物品の製造プロセス中に該ポリマー組成物にブレンドされうる。
【0326】
従って、本発明の方法は、例えば、
00)上記工程a)に、
少なくとも1のポリエチレンと
架橋剤と
を含む、本明細書に記載されている上記ポリマー組成物を提供すること、
)該ポリマー組成物を、任意的に更なる成分と共に、溶融混合すること、
a)工程a)から得られた溶融混合物を導電体上に施与して、上記1以上のケーブル層のうちの少なくとも1つを形成すること
の工程を含みうる。
【0327】
代替的には、本発明の方法は、
00)上記工程a)に、
少なくとも1のポリエチレン
を含む、本明細書に記載されている上記ポリマー組成物を提供すること、
00’)上記ポリマー組成物に、少なくとも1の架橋剤を添加すること、
)該ポリマー組成物及び該架橋剤を、任意的に更なる成分と共に、溶融混合すること、
a)工程a)から得られた溶融混合物を導電体上に施与して、上記1以上のケーブル層のうちの少なくとも1つを形成すること
の工程を含む。
【0328】
例示的な方法において、a)ポリマー組成物を単独で溶融混合する工程は、ミキサー又は押出機において、又はその任意の組み合わせにおいて、高められた温度で、且つ架橋剤が存在する場合には、引き続き使用される架橋温度よりも低い温度でまた行われる。例えば上記押出機における溶融混合工程a)の後、結果として得られた溶融混合された層材料は、次に、例えば、a)当分野においてきわめて周知の様式で、導電体上に(同時)押出される。ケーブルを製造する為に慣用的に使用されるミキサー及び押出機、例えば一軸又は二軸のスクリュー押出機、が本発明の方法の為に好適である。
【0329】
本方法の例示的な実施態様は、架橋性ケーブル、例えば架橋性電力ケーブル、の製造を提供し、該方法は、b)ポリマー組成物の架橋性ポリエチレンを含む、工程a)から得られた少なくとも1つのケーブル層を架橋することの更なる工程を含み、該架橋することは、架橋剤、例えば過酸化物、の存在下で行われる。
【0330】
存在する場合、他のケーブル層及びその材料がまた、所望の場合には同時に架橋されることができることが理解されており且つ周知である。
【0331】
架橋は、当分野において周知である通り、使用される架橋剤に依存して、幾つかの架橋条件において、典型的に高められた温度で、例えば140℃超、例えば150℃超、例えば160~350℃、の温度で、処置することによって行われることができる。典型的には、架橋温度は、溶融混合工程a)で使用される温度よりも少なくとも20℃高く、且つ当業者によって見積もられることができる。
【0332】
その結果、本発明のポリマー組成物の少なくとも1つの架橋された層を含む架橋ケーブルが得られる。
【0333】
本発明に従う更なる実施態様において、該ポリマー組成物であって、上記ビニル基の総数B(フリーラジカル開始重合に由来するビニル基以外)が、
i)1以上の多価不飽和コモノマー、
ii)1以上の連鎖移動剤、
iii)1以上の不飽和低分子量化合物、例えば1以上の架橋ブースター及び/又は1以上のスコーチ防止剤、又は
iv)(i)~(iii)の任意の混合
に由来する、上記ポリマー組成物が開示される。
【0334】
一般的に、本明細書において、「ビニル基」は、下記のi)~iv)のいずれかに存在することができるCH=CH-部分を意味する。
【0335】
i)多価不飽和コモノマー及びii)連鎖移動剤が、本発明に従うポリマー組成物のポリエチレンに関連して、本明細書に記載されている。
【0336】
iii)1以上の低分子量化合物が、存在する場合には、該ポリマー組成物に添加されうる。
【0337】
更に、iii)1以上の低分子量化合物は例えば、該ポリマー組成物のビニル基の総数Bにまた寄与しうる1以上の架橋ブースターであることができる。該1以上の架橋ブースターは例えば、少なくとも2つの不飽和の基を含む1以上の化合物、例えば脂肪族若しくは芳香族化合物、エステル、エーテル、又はケトンであり得、それは少なくとも2つの不飽和の基、例えばシアヌレート、イソシアヌレート、ホスフェート、オルトホルメート、脂肪族若しくは芳香族エーテル、又はベンゼントリカルボン酸のアリルエステル、を包含する。エステル、エーテル、アミン、及びケトンの例は、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラ-オキサスピロ[5,5]-ウンデカン(DVS)、トリアリルトリメリテート(TATM)、若しくはN,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン(HATATA)、又はそれらの任意の混合からなる一般群から選択される化合物である。該架橋ブースターは、2.0重量%未満、例えば1.5重量%未満、例えば1.0重量%未満、例えば0.75重量%未満、例えば0.5重量%未満のそのような架橋ブースターの量で添加されることができ、且つその下限は、該ポリマー組成物の重量に基づき、例えば少なくとも0.05重量%、例えば少なくとも0.1重量%、である。
【0338】
その上、iii)1以上の低分子量化合物は例えば、該ポリマー組成物のビニル基の上記総数Bにまた寄与しうる1以上のスコーチ防止剤(SR)であることができる。
【0339】
該スコーチ防止剤(SR)は、例えば、本明細書に既に記載されている通り、芳香族アルファ-メチルアルケニルモノマーの不飽和二量体、例えば2,4-ジ-フェニル-4-メチル-1-ペンテン、置換型又は非置換型ジフェニルエチレン、キノン誘導体、ハイドロキノン誘導体、エステル及びエーテルを含む単官能性ビニル、少なくとも2つ以上の二重結合を有する単環式炭化水素、又はこれらの混合でありうる。例えば、該スコーチ防止剤は、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、置換型又は非置換型のジフェニルエチレン、又はこれらの混合から選択されうる。
【0340】
該スコーチ防止剤の量は、該ポリマー組成物の重量に基づき、例えば0.005重量%以上でありうる。更に、該スコーチ防止剤の量は、該ポリマー組成物の重量に基づき、例えば0.01重量%以上、0.03重量%以上、又は0.04重量%以上でありうる。
【0341】
更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、2.0重量%以下、例えば1.5重量%以下、でありうる。更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.8重量%以下、0.75重量%以下、0.70重量%以下、又は0.60重量%以下でありうる。その上、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.55重量%以下、0.50重量%以下、0.45重量%以下、又は0.40重量%以下でありうる。
【0342】
なおも更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.35重量%以下、例えば0.30重量%以下、でありうる。更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.25重量%以下、0.20重量%以下、0.15重量%以下、又は0.10重量%以下でありうる。更に、該スコーチ防止剤の量は例えば、ポリマー組成物の重量に基づき、0.15重量%以下、又は0.10重量%以下でありうる。
【0343】
その上、該スコーチ防止剤の量は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.005~2.0重量%、例えば0.005~1.5重量%、でありうる。更なる例示的な範囲は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.01~0.8重量%、0.03~0.75重量%、0.03~0.70重量%、又は0.04~0.60重量%である。その上、例示的な範囲は例えば、該ポリマー組成物の重量に基づき、0.01~0.60、0.01~0.55、0.01~0.50、0.01~0.45、又は代替的には0.01~0.40重量%、0.03~0.55、又は代替的には0.03~0.50重量%、0.03~0.45、又は代替的には0.03~0.40重量%、又は0.04~0.45、又は代替的には0.40重量%である。
【0344】
更に、該スコーチ防止剤(SR)は例えば、欧州特許第1699882号明細書に記載されている通り、グラフト可能で安定な有機フリーラジカルからも選択され得、そしてまた、本明細書中に既に記載されている。
【0345】
該ポリマー組成物のポリエチレンは例えば、モノマー単位と、少なくとも1の不飽和コモノマーの単位、及び0、1、2、又は3の他のコモノマーとのコポリマーであり得、且つ多価不飽和コモノマーに由来する少なくともビニル基を含む。
【0346】
更に、該ポリマー組成物のポリエチレンは、炭素原子(C原子)1000個当たり、フリーラジカル開始重合に由来する約0.05~約0.10個のビニル基を含みうる。
【0347】
本発明に従って、本明細書において開示される実施態様のいずれかにおける、本発明の任意のカテゴリーにおける各特徴は、本明細書の他において開示されている実施態様のいずれかにおける任意の特徴と自由に組み合わされうる。
【0348】
決定方法
発明の詳細な説明又は実験の部において別途記載がない限り、下記の方法が、特性を決定する為に使用された。
【0349】
メルトフローレート
メルトフローレート(MFR)は、方法ISO1133-1:2011に従って決定され、且つg/10分として表示される。MFRは、ポリマー、本明細書ではポリエチレン、の、又はポリマー組成物の流動性、従って加工適性、を表す。該メルトフローレートが高いほど、該ポリマーの又は該ポリマー組成物の粘度が低くなる。MFRは、ポリエチレンについて190℃で決定され、且つ異なる荷重、例えば2.16kg(MFR)又は21.6kg(MFR21)、で決定されうる。
【0350】
密度
密度は、ISO1183-1方法A:2012に従って、該ポリマーにおいて、すなわち該ポリエチレンにおいて、測定される。試料調製は、ISO17855-2:2016に従って、圧縮成形によって行われる。
【0351】
該ポリマー組成物中の又は該ポリマー、すなわちポリエチレン、中の二重結合の量を決定する為の方法 ASTM D3124-98及びASTM D6248-98
方法ASTM D6248-98は、該ポリマー組成物中及び該ポリエチレン中の両方の二重結合の決定に適用される。該ポリマー組成物の二重結合の決定は、(パラメーターPを決定する為に)ポリエチレンにおいて、代替的には(パラメーターBを決定する為に)該ポリマー組成物において、で行われる。該ポリマー組成物及び該ポリエチレンは、本明細書の以降、この方法の説明において、「該組成物」及び「該ポリマー」とそれぞれ呼ばれる。
【0352】
方法 ASTM D3124-98及びASTM D6248-98は、一方では、ASTM D3124-98法に基づく、C原子1000個当たりの二重結合の量を決定する為の手順を包含する。ASTM D3124-98法において、C原子1000個当たりのビニリデン基を決定する為の詳細な説明が、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンに基づいて与えられている。ASTM D6248-98法において、C原子1000個当たりのビニル基及びトランス-ビニレン基を決定する為の詳細な説明が、1-オクテン及びトランス-3-ヘキセンそれぞれに基づいて与えられている。それら方法において記載されている試料調製手順が、本発明において、C原子1000個当たりのビニル基とC原子1000個当たりのトランス-ビニレン基とを決定する為に適用された。ASTM D6248-98法は、ASTM D3124-98法の臭素化手順を組み込む可能性について示唆するが、しかし本発明に関する試料は臭素化されなかった。本出願者等は、C原子1000個当たりのビニル基とC原子1000個当たりのトランス-ビニレン基との決定が、臭素化された試料に由来するスペクトルの差し引き無しにでさえ、有意な妨害無しに行われることができることを実証していた。これら2種類の二重結合についての吸光係数の決定について、下記の2種の化合物、すなわち、ビニル基の為に1-デセン及びトランス-ビニレン基の為にトランス-4-デセン、が使用され、且つ上記記載を例外としてASTM-D6248-98に記載される手順が遵守された。
【0353】
「該ポリマー」のビニル結合、ビニリデン結合、及びトランス-ビニレン二重結合の総数が、IR分光法によって分析され、そして炭素原子1000個当たりのビニル結合、ビニリデン結合、及びトランス-ビニレン結合の量として与えられた。
【0354】
更に、使用された不飽和低分子量化合物(iii)のいずれかに由来する二重結合のあり得る寄与を含め、「組成物」のビニル及びトランス-ビニレン二重結合の総数がまた、IR分光法によって分析され、そして炭素原子1000個当たりのビニル結合、ビニリデン結合、及びトランス-ビニレン結合の量として与えられうる。
【0355】
分析される組成物又はポリマーは、0.5~1.0mmの厚さを有する薄層にプレスされた。実際の厚さが測定された。FT-IR分析が、Perkin Elmer Spectrum Oneにおいて行われた。2回のスキャンが、4cm-1の分解能で記録された。
【0356】
980cm-1~約840cm-1でベースラインが設定された。ピーク高さがビニル基について約910cm-1、且つトランス-ビニレンについて約965cm-1で決定された。炭素原子1000個当たりの二重結合の量が、下記の式を使用して計算された:
C原子1000個当たりのビニル基=(14×Abs)/(13.13×L×D)
C原子1000個当たりのトランス-ビニレン基=(14×Abs)/(15.14×L×D)
式中、
Abs:吸光度(ピーク高さ)
L:フィルム厚さ(mm)
D:材料の密度(g/cm)。
【0357】
上記計算におけるモル吸光係数ε、すなわちそれぞれ13.13及び15.14、が、l・mol-1・mm-1として、下記式により決定された:
ε=Abs/(C×L)
式中、Absはピーク高さとして定義される最大吸光度、Cは濃度(mol・l-1)、及びLはセルの厚さ(mm)である。
【0358】
方法 ASTM D3124-98及びASTM D6248-98はまた、一方では、モル吸光係数を決定する為の手順を含む。二硫化炭素(CS)中に溶解された少なくとも3つの0.18mol・l-1溶液が使用され、そしてモル吸光係数の平均値が使用された。
【0359】
炭素原子1000個当たりの多価不飽和コモノマーに由来するビニル基の量が決定され、そして下記の通り計算された:
同一の反応器において、同一条件、すなわち類似のピーク温度、圧力、及び生成速度、を基本的に使用して、分析されるポリマー、及び参照ポリマーが製造され、但し、多価不飽和コモノマーが分析されるポリマーには添加されたが、参照ポリマーには添加されなかった点が唯一の相違点である。各ポリマーのビニル基の総数は、本明細書に記載されているFT-IR測定によって決定された。次に、ビニル基のベースレベル、すなわち本方法により、及びビニル基をもたらす連鎖移動剤(存在する場合)から形成されたビニル基のベースレベルは、参照ポリマー及び分析されるポリマーについて同一であることが仮定され、但し、分析されるポリマーにおいて、多価不飽和コモノマーがまた反応器に添加される点が唯一の例外である。次に、このベースレベルは、分析されるポリマーにおけるビニル基の測定された量から差し引かれ、これにより多価不飽和コモノマーに起因するC原子1000個当たりのビニル基の量をもたらす。
【0360】
方法 ASTM D3124-98及びASTM D6248-98は、存在する場合には、不飽和の低分子量化合物(iii)(以下、化合物と呼ばれる)の二重結合含有量を測定する為の較正手順を含む。
【0361】
化合物(例えば、発明の詳細な説明で例示される架橋ブースター又はスコーチ防止剤化合物)のモル吸光係数が、ASTM D6248-98に従う上記方法を用いて決定されることができる。CS(二硫化炭素)中の化合物の少なくとも3つの溶液が調製される。該溶液の使用される濃度は、0.18mol/l近傍である。該溶液は、FTIRを用いて分析され、そして経路長さが0.1mmの液体セル内で、4cm-1の分解能でスキャンされる。1以上の化合物(各種類の炭素-炭素二重結合が存在する)の不飽和部分に関連する吸収ピークの最大強度が測定される。
【0362】
溶液及び二重結合の種類毎に、l・mol-1・mm-1で表されるモル吸光係数εが、下記の式を使用して計算される:
ε=(1/CL)×Abs
式中、
C=測定される各種類の炭素-炭素二重結合の濃度(mol/l)
L=セルの厚さ(mm)
Abs=測定される各種類の炭素-炭素二重結合のピークの最大吸光度(ピーク高さ)(mol/l)。
【0363】
二重結合の種類毎についてのモル吸光係数εの平均が、計算される。更に、次に、各種類の炭素-炭素二重結合の平均モル吸光係数εが、参照ポリマー及び分析されるポリマー試料中の二重結合の濃度の計算で使用されることができる。
【0364】
レオロジー、動的(粘度)方法ISO6721-1
ポリマー、ここではポリエチレン、の、又はポリマー組成物(ポリエチレンにおいてまた測定される)の動的レオロジー特性が、平行板形状(直径25mm)、並びに上部及び底部プレート間が1.8mmのギャップを使用する制御されたストレスレオメーター(stress rheometer)を使用して決定されうる。試験に先立ち、試料が、0.25~0.3%のIrganox B225と共にペレットを乾式混合することにより安定化される必要がある。Irganox B 225は、50%のIrganox1010、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、CAS番号6683-19-8、及び50%のlrgafos168、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、CAS番号31570-04-4、からなるブレンド品である。抗酸化剤、ここではIrganox B225、を添加することは通常、方法ISO6721-1の標準的手順でないことに留意されたい。
【0365】
周波数掃引試験、すなわち「レオロジー、動的(粘度)法」、が、ISO標準法、ISO6721-1に従って、500~0.02rad/秒の角周波数範囲を用いて行われた。全ての実験は、190℃の一定温度で、窒素雰囲気下で行われ、且つ歪みは線形粘弾性領域内であった。分析中に、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、複素弾性率(G)、及び複素粘度(η)が記録され、そして周波数(ω)に対してプロットされた。0.05、100、及び300rad/秒の角度周波数での複素粘度(η)の測定値が試験から取得される。これらのパラメーターの略号は、それぞれ
【0366】
【数1】
【0367】
である。
【0368】
ゼロ粘度η 値は、Carreau-Yasudaモデルを使用して計算される。ゼロ剪断粘度の推定に対してこのモデルの使用が推奨されない場合、低剪断速度での回転剪断試験が行われる。この試験は、0.001~1秒-1の範囲の剪断速度及び190℃の温度に限定される。
【0369】
架橋されたプラークの製造、すなわちプラークを架橋する方法:
ジクミルペルオキシド(DCP:dicumyl peroxide)又はtert-ブチルクミルペルオキシド(TBCP:tert-butylcumyl-peroxide)を過酸化物として使用した場合の架橋されたプラークの製造、すなわちプラークを架橋する方法
架橋されたプラークが、下記の条件を使用して圧縮成形された試験ポリマー組成物、すなわち本発明に従うポリマー組成物及び比較ポリマー組成物、のペレットから製造される:最初にペレットが、61N/cmの圧力下、120℃で、1分間溶融される。次に、温度が18K/分の速度で180℃まで高められ、そして同時に、圧力が614N/cmまで高められる。温度は、180℃で10分間維持される。次に、該プラークは、該ポリマー組成物中に存在する過酸化物によって架橋される。総架橋時間は14分であり、これは120から180℃に温度を上昇させる時間を含む。架橋完了後、架橋されたプラーク、すなわち本発明に従う架橋されたポリマー組成物及び架橋された比較ポリマー組成物、が、なお圧力下で、15K/分の冷却速度で室温まで冷却される。該プラークの最終的な厚さは1.5mmである。
【0370】
2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、すなわちTrigonox(登録商標)145-E85、(T145E85)、を過酸化物として使用した場合での、架橋されたプラークの製造、すなわちプラークを架橋する方法
架橋されたプラークが、下記の条件を使用して圧縮成形された試験ポリマー組成物、すなわち本発明に従うポリマー組成物及び比較ポリマー組成物、のペレットから製造される:最初にペレットが、61N/cmの圧力下、120℃で、1分間溶融される。次に、温度が18K/分の速度で180℃まで高められ、そして同時に、圧力が614N/cmまで高められる。温度は、180℃で20分間維持される。次に、該プラークは、該ポリマー組成物中に存在する過酸化物によって架橋される。総架橋時間は24分であり、これは120から180℃に温度を上昇させる時間を含む。架橋完了後、架橋されたプラーク、すなわち本発明に従う架橋されたポリマー組成物及び架橋された比較ポリマー組成物、が、なお圧力下で、15K/分の冷却速度で室温まで冷却される。該プラークの最終的な厚さは1.5mmである。
【0371】
ガスクロマトグラフィー(GC)分析プロトコール、すなわちGC分析法
GC分析プロトコール(プラーク)、すなわちGC分析法
揮発性の過酸化物分解生成物、本明細書ではメタン(CH)、の含有量がppm(重量)として与えられ、且つ本発明に従うポリマー組成物及び比較ポリマー組成物の架橋された試料から、ガスクロマトグラフィー(GC)によって決定される。上記架橋は、プラークを架橋する方法において記載されている通りに行われた。
【0372】
厚さ1.5mmを有し且つ重さ1gを有する試料試験片が、架橋工程(すなわち、プラークを架橋する方法において)の直後に、架橋されたプラーク、すなわち本発明に従う架橋されたポリマー組成物及び架橋された比較ポリマー組成物、の中央から、切り取られる。該得られた試料は、テフロンシールを有するアルミニウムクリンプカップを備えた120mlヘッドスペースボトル内に入れられ、そして60℃で1.5時間熱処置されて、上記試料中に存在するあらゆるガス状の揮発性物質を平衡化する。次に、該試料ボトル中に捕捉されたガス0.2mlがガスクロマトグラフ中に注入され、ここで、測定されるのが望ましい揮発性物質、例えばメタン、の存在及び含有量が分析される。二回の試料が分析され、報告されるメタン含有量の数値は両分析の平均である。本明細書で使用された装置は、Plot Ultimetalより供給された、寸法0.53mm×50m及びフィルムの厚さ10μmを有するAl/NaSO-カラムを備えたAgilent GC7890Aであった。ヘリウムがキャリヤガスとして使用され、且つFID検出が使用された。
【0373】
ホットセット試験法
架橋されたプラーク由来の試料についてのホットセット法
ホットセット伸び並びに永久変形が、架橋されたプラーク、すなわち本発明に従う架橋されたポリマー組成物及び架橋された比較ポリマー組成物、から採取された試料において決定された。これらの特性は、IEC60811-507:2012に従って決定された。該ホットセット試験において、試験された材料のダンベルが、20N/cmに相当する重量を用いて装着された。最初に、試験片が参照ラインでマーク付けされた。該試験片の中央部から、2本の参照ライン(各サイドに1本)が引かれる。2本の該ラインの間の距離L0は20mmである。この試験片は、20N/cmに相当する重量を用いて、200℃でオーブン内に置かれ、そして15分後に、ホットセット伸びが下記の通りに測定される。200℃で15分経過後の参照ラインの間の距離はL1と呼ばれ、且つ測定される。次に、15分経過後の伸びが下記の通り計算される:ホットセット伸び(%)=((L1*100)/L0)-100。引き続き、重量が除かれ、そして該試料は、200℃で5分間、弛緩した状態に置かれる。次に、該試料はオーブンから取り出され、そして室温まで冷却される。冷却後、2本の参照ラインの間の距離L2が測定され、そして永久変形が下記の通りに計算される:永久変形(%)=(L2*100)/L0)-100。
【0374】
顔架橋されたプラークが、「架橋されたプラークの製造」、すなわちプラークを架橋する方法、の記載に従って製造され、そしてダンベル試験片が、ISO527-2/5A:2012に従って、厚さ1.5mmの架橋されたプラークから調製される。
【0375】
実験の部
実施例
ポリエチレン
ポリエチレンは全て、連続的高圧管形反応器内で重合された低密度ポリエチレンである。
【0376】
実施例1ポリマー1:炭素原子(C)1000個当たり1.36個のビニル基、密度=922.4kg/m、MFR=1.13g/10分を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち本発明に従うポリマー組成物のポリエチレン
約2800barの初期反応圧力に到達するように、エチレンが、リサイクルされたCTAと共に、5ステージプレコンプレッサー、及び中間冷却工程を備えた2ステージハイパーコンプレッサー内で圧縮された。総コンプレッサースループットは約30トン/時であった。コンプレッサーエリア内では、MFRを1.13g/10分に維持する為に、およそ0.3kg/時のプロピオンアルデヒド(PA(propion aldehyde)、CAS番号:123-38-6)が、連鎖移動剤として、およそ43kg/時のプロピレンと共に添加された。ここでは、1,7-オクタジエンがまた、132kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、内径約40mm及び全長1200メートルを有するフロント供給式3ゾーン管形反応器の予備加熱セクション内で155℃まで加熱された。イソドデカンに溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱性の重合反応が約279℃のピーク温度に到達するのに十分な量で予備加熱装置の直後に注入され、ピーク温度到達後、およそ206℃まで冷却された。後続する第2及び第3のピーク反応温度はそれぞれ272℃及び245℃であり、両者で217℃まで冷却された。反応混合物は、キックバルブにより減圧され、冷却され、そして得られたポリマー1は、未反応のガスから分離された。
【0377】
実施例2ポリマー2:C1000個当たり0.89個のビニル基、密度=923.7kg/m、MFR=0.92g/10分)を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち、本発明に従うポリマー組成物のポリエチレン
約2800barの初期反応圧力に到達するように、エチレンが、リサイクルされたCTAと共に、5ステージプレコンプレッサー、及び中間冷却工程を備えた2ステージハイパーコンプレッサー内で圧縮された。総コンプレッサースループットは約30トン/時であった。コンプレッサーエリア内では、MFRを0.92g/10分に維持する為に、およそ3.8kg/時のプロピオンアルデヒド(PA、CAS番号:123-38-6)が、連鎖移動剤として添加された。ここでは、1,7-オクタジエンがまた、89kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、内径約40mm及び全長1200メートルを有するフロント供給式3ゾーン管形反応器の予備加熱セクション内で162℃まで加熱された。イソドデカンに溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱性の重合反応が約286℃のピーク温度に到達するのに十分な量で予備加熱装置の直後に注入され、ピーク温度到達後、およそ231℃まで冷却された。後続する第2及び第3のピーク反応温度はそれぞれ274℃及び248℃であり、両者で222℃まで冷却された。反応混合物は、キックバルブにより減圧され、冷却され、そして得られたポリマー2が、未反応のガスから分離された。
【0378】
実施例3ポリマー3:C1000個当たり1.34個のビニル基、密度=924.9kg/m、MFR=1.46g/10分)を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち、本発明に従うポリマー組成物のポリエチレン
約2800barの初期反応圧力に到達するように、エチレンが、リサイクルされたCTAと共に、5ステージプレコンプレッサー、及び中間冷却工程を備えた2ステージハイパーコンプレッサー内で圧縮された。総コンプレッサースループットは約30トン/時であった。コンプレッサーエリア内では、MFRを1.46g/10分に維持する為に、およそ3.9kg/時のプロピオンアルデヒド(PA、CAS番号:123-38-6)が、連鎖移動剤として添加された。ここでは、1,7-オクタジエンがまた、148kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、内径約40mm及び全長1200メートルを有するフロント供給式3ゾーン管形反応器の予備加熱セクション内で159℃まで加熱された。イソドデカンに溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱性の重合反応が約273℃のピーク温度に到達するのに十分な量で予備加熱装置の直後に注入され、ピーク温度到達後、およそ207℃まで冷却された。後続する第2及び第3のピーク反応温度はそれぞれ257℃及び226℃であり、両者で209℃まで冷却された。反応混合物は、キックバルブにより減圧され、冷却され、そして得られたポリマー3が、未反応のガスから分離された。
【0379】
実施例4ポリマー4:C1000個当たりビニル基0.94個、密度=922.3kg/m、MFR2=1.91g/10分を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち本発明に従うポリマー組成物のポリエチレン
約2900barの初期反応圧力に到達するように、エチレンが、リサイクルされたCTAと共に、5ステージプレコンプレッサー及び中間冷却工程を備えた2ステージハイパーコンプレッサー内で圧縮された。総コンプレッサースループットは約30トン/時であった。コンプレッサーエリア内では、1.91g/10分のMFRを維持する為に、およそ0.4kg/時のプロピオンアルデヒド(PA、CAS番号:123-38-6)が、連鎖移動剤として、およそ117kg/時のプロピレンと共に添加された。ここでは、1,7-オクタジエンがまた、77kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、内径約40mm及び全長1200メートルを有するフロント供給式の3ゾーン管形反応器の予備加熱セクション内で162℃まで加熱された。イソドデカンに溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱性の重合反応が約267℃のピーク温度に到達するのに十分な量で予備加熱装置の直後に注入され、ピーク温度到達後、およそ205℃まで冷却された。後続する第2及び第3のピーク反応温度はそれぞれ260℃及び237℃であり、両者で213℃まで冷却された。反応混合物は、キックバルブにより減圧され、冷却され、そして得られたポリマー4が、未反応のガスから分離された。
【0380】
比較例1ポリマー5:C1000個当たり0.82個のビニル基、密度=未測定(kg/m)、MFR=2.1g/10分を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち比較ポリマー組成物のポリエチレン
精製されたエチレンが、圧縮により液化され、そして90barの圧力及び-30℃の温度まで冷却され、そしておよそ14トン/時の2つの等しい流れにそれぞれ分割された。CTA(メチルエチルケトン(MEK))、空気、及び溶媒に溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤が2つの液体エチレンの流れにそれぞれの量で添加された。コモノマーとして1,7-オクタジエンが、190kg/時の量で反応器に添加された。2つの混合物は、一連の4つの増強装置を通じて個別にポンプ搬送され、2200~2300barの圧力及び約40℃の出口温度に達した。これら2つの流れは、スプリット供給式の2ゾーン管形反応器のフロント(ゾーン1)(50%)及びサイド(ゾーン2)(50%)にそれぞれ供給された。2つの反応器ゾーンの内径及び長さは、ゾーン1につき32mm及び200m、及びゾーン2につき38mm及び400mであった。約2.1g/10分のMFRを維持する為に、MEKが、115kg/時の量でフロント流に添加された。フロント供給された流れは、加熱セクションを通過し、発熱性の重合反応が開始するのに十分な温度に達した。反応の到達ピーク温度は第1ゾーン及び第2ゾーン内で、それぞれ253℃及び290℃であった。サイド供給流は、第2ゾーン開始温度である165℃まで反応を冷却した。空気及び過酸化物溶液が、目標ピーク温度に達するのに十分な量で2つの流れに添加された。反応混合物は、製品バルブにより減圧され、冷却され、そしてポリマーが、未反応のガスから分離された。得られたポリマーは、C1000個当たり0.82個の量でビニル基を有し、且つMFR=2.1g/10分を有した。
【0381】
比較例2ポリマー6:C1000個当たり0.86個のビニル基、密度=未測定(kg/m)、MFR=3.1g/10分を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち比較ポリマー組成物のポリエチレン
約3000barの初期反応圧力に達するように、エチレンが、リサイクルされたCTAと共に、5ステージプレコンプレッサー及び中間冷却工程を備えた2ステージハイパーコンプレッサー内で圧縮された。総コンプレッサースループットは、約30トン/時であった。コンプレッサーエリア内では、MFRを3.1g/10分に維持する為に、およそ121kg/時のプロピレンが連鎖移動剤として添加された。ここでは、1,7-オクタジエンがまた、57kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、内径約40mm及び全長1200メートルを有するフロント供給式の3ゾーン管形反応器の予備加熱セクション内で165℃まで加熱された。イソドデカンに溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱性の重合反応が約283℃のピーク温度に達するのに十分な量で予備加熱装置の直後に注入され、ピーク温度到達後、およそ225℃まで冷却された。後続する第2及び第3のピーク反応温度はそれぞれ283℃及び267℃であり、両者で235℃まで冷却された。反応混合物は、キックバルブにより減圧され、冷却され、そしてポリマーが、未反応のガスから分離された。
【0382】
比較例3ポリマー7:C1000個当たり0.77個のビニル基、密度=922.1kg/m、MFR=1.82g/10分を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち比較ポリマー組成物のポリエチレン
約2900barの初期反応圧力に達するように、エチレンが、リサイクルされたCTAと共に、5ステージプレコンプレッサー及び中間冷却工程を備えた2ステージハイパーコンプレッサー内で圧縮された。総コンプレッサースループットは、約30トン/時であった。コンプレッサーエリア内では、MFRを1.82g/10分に維持する為に、およそ0.8kg/時のプロピオンアルデヒド(PA、CAS番号:123-38-6)が、連鎖移動剤として、およそ123kg/時のプロピレンと共に添加された。ここでは、1,7-オクタジエンがまた55kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、内径約40mm及び全長1200メートルを有するフロント供給式の3ゾーン管形反応器の予備加熱セクション内で163℃まで加熱された。イソドデカンに溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱性の重合反応が約274℃のピーク温度に達するのに十分な量で予備加熱装置の直後に注入され、ピーク温度到達後、およそ204℃まで冷却された。後続する第2及び第3のピーク反応温度はそれぞれ261℃及び244℃であり、両者で216℃まで冷却された。反応混合物は、キックバルブにより減圧され、冷却され、そしてポリマーが、未反応のガスから分離された。
【0383】
比較例4ポリマー8:C1000個当たり0.58個のビニル基、密度=922.1kg/m、MFR=1.75g/10分を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち比較ポリマー組成物のポリエチレン
約2900barの初期反応圧力に達するように、エチレンが、リサイクルされたCTAと共に、5ステージプレコンプレッサー及び中間冷却工程を備えた2ステージハイパーコンプレッサー内で圧縮された。総コンプレッサースループットは、約30トン/時であった。コンプレッサーエリア内では、MFRを1.75g/10分に維持する為に、およそ1.6kg/時のプロピオンアルデヒド(PA、CAS番号:123-38-6)が、連鎖移動剤として、およそ123kg/時のプロピレンと共に添加された。ここでは、1,7-オクタジエンがまた、34kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、内径約40mm及び全長1200メートルを有するフロント供給式の3ゾーン管形反応器の予備加熱セクション内で164℃まで加熱された。イソドデカンに溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱性の重合反応が約276℃のピーク温度に達するのに十分な量で予備加熱装置の直後に注入され、ピーク温度到達後、およそ200℃まで冷却された。後続する第2及び第3のピーク反応温度は、それぞれ266℃及び251℃であり、両者で219℃まで冷却された。反応混合物は、キックバルブにより減圧され、冷却され、そしてポリマーが、未反応のガスから分離された。
【0384】
比較例5ポリマー9:C1000個当たり0.71個のビニル基、密度=922.3kg/m、MFR=0.68g/10分を有するポリ(エチレン-co-1,7-オクタジエン)ポリマー)、すなわち比較ポリマー組成物のポリエチレン
約2900barの初期反応圧力に到達するように、エチレンが、リサイクルされたCTAと共に、5ステージプレコンプレッサー及び中間冷却工程を備えた2ステージハイパーコンプレッサー内で圧縮された。総コンプレッサースループットは、約30トン/時であった。コンプレッサーエリア内では、MFRを0.68g/10分に維持する為に、およそ1.2kg/時のプロピオンアルデヒド(PA、CAS番号:123-38-6)が、連鎖移動剤として、およそ87kg/時のプロピレンと共に添加された。ここでは、1,7-オクタジエンがまた、56kg/時の量で反応器に添加された。圧縮された混合物が、内径約40mm及び全長1200メートルを有するフロント供給式3ゾーン管形反応器の予備加熱セクション内で164℃まで加熱された。イソドデカンに溶解された市販の過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱性の重合反応が約277℃のピーク温度に到達するのに十分な量で予備加熱装置の直後に注入され、ピーク温度到達後、およそ206℃まで冷却された。後続する第2及び第3のピーク反応温度はそれぞれ270℃及び249℃であり、両者で217℃まで冷却された。反応混合物は、キックバルブにより減圧され、冷却され、そしてポリマーが、未反応のガスから分離された。
【0385】
ポリマー組成物
処方物、すなわち本発明のポリマー組成物(本明細書に記載されているポリエチレン、架橋剤を使用して、但し抗酸化剤を使用しない)及び比較例がまた、ラボスケールで製造され、そして比較された(表1を参照)。70℃で、ポリエチレンペレット上に架橋剤(架橋剤は液状形態にある)を分散させることによって、架橋剤がポリエチレンに添加された。湿らせたペレットは、該ペレットが乾燥するまで80℃で保持された。架橋剤、例えば過酸化物、例えばDCP、の量は、ホットセット決定法(20N/cmの負荷を用いて)によって測定された場合とほぼ同一の架橋度が実現されるように、ベース樹脂毎に選択された。
【0386】
ホットセット測定及びメタン測定について、「架橋されたプラークの製造、すなわちプラークを架橋する方法」の決定方法に記載されている通り、厚さ1.5mmのプラークが圧縮成形され、そして180℃で架橋された。「GC分析プロトコール(プラーク)、すなわちGC分析法」の決定方法に記載されている通り、架橋後、メタンが2つの試料について直接的に測定され、そして報告される数値は2回の測定の平均である。「架橋されたプラークから得られた試料のホットセット法」の決定方法に記載されている通り、ホットセットが、20N/cmの負荷を用いて、200℃で3つの試料について測定された。
【0387】
【表1】
【0388】
上記実施例は、ポリエチレンから得られる本発明のポリマー組成物が、優れた架橋レベル(100%未満のホットセット伸び)に達し、一方、200ppm未満のメタンを形成することを驚くべきことに示す。比較例は全て、技術的に等価なレベルまで架橋された場合に、200ppm超のメタンを形成する。すなわち、本発明のポリマー組成物(該ポリマー組成物は、炭素原子1000個当たりB個のビニル基の総数を有し、そして架橋剤をZ重量%である量で含む)は、高度に架橋された系でありながら、それと同時に揮発性の分解生成物、一般的にメタン、がほとんど形成されない系が必要とされる最終用途の為に特に好適である。従って、炭素原子1000個当たりB個のビニル基の総数を有するポリマー組成物内で、比較的少量の架橋剤、例えば過酸化物、例えばDCP、が本発明に従って使用される場合であっても、高度に架橋された系が驚くべきことに実現される。すなわち、比較的低い量のDCPを用いること、すなわちZ≦Z(式中、Zは0.60である)の量で架橋剤を使用することは、ホットセットによって測定される驚くほど良好な架橋レベル(100%未満のホットセット伸び)が、本発明のポリマー組成物によって達成される。対照的に、より低い総数のビニル基を有する比較ポリマー組成物は、十分な架橋レベルを実現する為に0.6重量%超の架橋剤、ここではDCP、を必要とし、より多くの揮発性分解生成物、一般的にはメタン、の形成をもたらす。