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特許7510356架橋パルプ、それから作製されたセルロースエーテル生成物、ならびにパルプおよびセルロースエーテル生成物を作製する関連方法
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  • 特許-架橋パルプ、それから作製されたセルロースエーテル生成物、ならびにパルプおよびセルロースエーテル生成物を作製する関連方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】架橋パルプ、それから作製されたセルロースエーテル生成物、ならびにパルプおよびセルロースエーテル生成物を作製する関連方法
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/20 20060101AFI20240626BHJP
   C08B 15/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
D21H11/20
C08B15/00
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2020568292
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019044344
(87)【国際公開番号】W WO2020028493
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】62/712,844
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/999,228
(32)【優先日】2018-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504293447
【氏名又は名称】インターナショナル・ペーパー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,メンクイ
(72)【発明者】
【氏名】レア,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ドッド,アンジェラ
(72)【発明者】
【氏名】ドッド,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン-ゲーバー,エイミー
(72)【発明者】
【氏名】リンデナウアー,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ウエスト,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,チャールズ
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/147496(WO,A1)
【文献】特表2019-513193(JP,A)
【文献】特開2004-155806(JP,A)
【文献】国際公開第2018/093753(WO,A1)
【文献】特表2020-500253(JP,A)
【文献】特開2000-256986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0019563(US,A1)
【文献】特表2017-522394(JP,A)
【文献】特開平07-268774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 1/00-37/18
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
D06M 13/00-15/715
D21B 1/00-D21J7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋セルロース繊維を含むパルプであって、
93%以上のパルプR18値を有し、ヘミセルロースを乾燥質量で約6重量%以上含み、そして0.6g/g以上で1.0g/g未満の範囲の保水値(WRV)を有する、
パルプ。
【請求項2】
30%未満の、生じるカルボキシメチルセルロース(CMC)の粘度の変動係数(COV)を有する、
請求項1に記載のパルプ。
【請求項3】
0.8g/g以上で1.0g/g未満の範囲の保水値(WRV)を有する
請求項1に記載のパルプ。
【請求項4】
99以上のR18値、および
0.6g/g~0.8g/gの範囲の保水値
を有する
請求項1に記載のパルプ。
【請求項5】
ヘミセルロースを乾燥質量で約重量%以上含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項6】
56センチポアズ(cP)より高い、生じるCMCの粘度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項7】
約100cP~約400cPの範囲の生じるCMCの粘度を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項8】
約800キロダルトン(kDa)より高い得られたCMC重量平均分子量を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項9】
約900kDa~約4,000kDaの範囲の得られたCMC重量平均分子量を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項10】
パルプR18値が93%~約100%の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項11】
約3以上の得られたCMC多分散指数(PDI)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項12】
架橋セルロース繊維が、2つ以上のグリシジル基を有するグリシジルエーテル架橋剤を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項13】
0.8g/gより高い保水値(WRV)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項14】
0.8g/g以上で1.0g/g未満の範囲のWRVを有する、請求項1または2に記載のパルプ。
【請求項15】
乾燥質量で約6重量%~乾燥質量で約30重量%の範囲のヘミセルロースを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項16】
クラフトパルプである、請求項1から3のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項17】
ワラパルプである、請求項1から3のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項18】
コットンリンターパルプである、請求項1から15のいずれか一項に記載のパルプ。
【請求項19】
架橋セルロースエーテルを含むセルロースエーテル生成物であって、架橋セルロースエーテルが、
約56cPより高い粘度を有し、
請求項1から18のいずれか一項に記載のパルプから形成されている、
セルロースエーテル生成物。
【請求項20】
架橋メチルセルロース、架橋CMC、架橋ヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋ヒドロキシルエチルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載のセルロースエーテル生成物。
【請求項21】
約3以上のPDIを有する、請求項19に記載のセルロースエーテル生成物。
【請求項22】
約800kDより高い重量平均分子量を有する、請求項19に記載のセルロースエーテル生成物。
【請求項23】
約900kDa~約4,000kDaの範囲の重量平均分子量を有する、請求項19に記載のセルロースエーテル生成物。
【請求項24】
ヘミセルロースを乾燥質量で約2重量%以上含む、請求項19に記載のセルロースエーテル生成物。
【請求項25】
乾燥質量で約2.5重量%~乾燥質量で約20重量%の範囲のヘミセルロースを含む、請求項19に記載のセルロースエーテル生成物。
【請求項26】
第1の繊維キンク値を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の第1のパルプと、
第1の繊維キンク値と異なる第2の繊維キンク値を有する第2のパルプと
を含むブレンドパルプ。
【請求項27】
第1のパルプが、第1のパルプR18値を有し、第2のパルプが、第1のパルプR18値とは異なる第2のパルプR18値を有する、請求項26に記載のブレンドパルプ。
【請求項28】
第1のパルプが、銅エチレンジアミン(cuen)溶液に部分溶解性である、請求項26に記載のブレンドパルプ。
【請求項29】
第1のパルプが、cuen溶液に不溶性である、請求項26に記載のブレンドパルプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月31日出願の米国特許出願第62/712,844号および2018年8月16日出願の米国特許出願第15/999,228号の利益を主張し、これらのそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、セルロース生成物(例えば、パルプ)およびセルロース誘導体(例えば、セルロースエーテル)およびセルロース生成物を作製する関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロースなど)は水性溶液を形成し、主にこれらの溶液の粘度に応じて様々なグレードのものが入手可能である。粘性のより高い水性溶液を形成する高グレードのセルロースエーテルは、同じ条件下(濃度、温度など)で粘性のより低い水性溶液を形成する低グレードのセルロースエーテルより価値が高い傾向がある。粘性のより高い水性溶液を形成する所与のセルロースエーテルの能力は、重合度、架橋度、および/または所与のセルロースエーテルを生成するセルロース前駆体の他の特性と密接に関連している。高グレードのセルロースエーテルは、通常、溶解グレードパルプ(例えば、高粘度木材パルプおよび高粘度コットンリンターパルプ(CLP))から生成され、中グレードおよび低グレードのセルロースエーテルは、通常、より低コストの木材パルプから生成される。本開示において参照されるパルプグレードは、Herbert Sixta、Handbook of Pulp、Wiley-Vch社(2006年)でさらに論じられており、この文献は全体として参照により本明細書に組み込まれる。大部分の木材パルプの重合度は、典型的に約1,500を超えない。対照的に、溶解グレードパルプは、2,400以上の重合度を有することが多い。残念なことに、溶解グレードパルプは高価である傾向がある。高グレードのセルロース誘導体の生成のために低コストパルプを改変する以前の試みは、限られた成功しか収められなかった。
【0004】
複数の通常のプロセスが、高粘度水性溶液を形成するセルロースエーテルを生成するクラフトパルプの能力を増大させることにある程度成功した。残念なことに、これらの通常のプロセスの成功は、それによって誘導されたセルロースエーテルの他の望ましい特性および/またはプロセス収率を犠牲にしたものであった。例えば、一部の通常のプロセスは、クラフトパルプからのヘミセルロースの除去を増大させるステップを含む。しかし、これらのプロセスは、ヘミセルロースがもたらす塊の除去のために収率が低い。さらに、これらのプロセスによって生じるパルプは、構成セルロースのセルロース-Iからセルロース-IIへの変換のために反応性が低い傾向がある。通常の架橋反応も、典型的にはパルプの反応性を低減させる。低収率および/または低反応性を考慮に入れても、低コストパルプを改変する通常のプロセスは、高粘度の溶解グレードエーテルパルプから生成されたセルロース誘導体の粘度と同じ高さの粘度を有する水性溶液を形成するセルロースエーテルを生成するのに適したパルプを生成することが依然としてできなかった。
【0005】
セルロースを適度な稠度で架橋する試みを行って、適度に高い粘度のパルプが生成された。そのような適度な稠度は、例えば20%未満または30%未満の稠度での架橋を含みうる。そのようなプロセスは、既存のパルプ工場における通常のプロセスシステムによって制限される。高値(例えば、高エーテル粘度および粘度稠度)を有するパルプ生成物を生成する方法、特に低コスト方法は調査されてこなかった。本明細書でもさらに論じられているように、一貫した生成物品質を有する良質生成物が現在不足している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、この分野でさらなる革新が必要とされている。これは、特に、架橋パルプおよびそれから作製される高粘度セルロースエーテル生成物を作製する経済的に効率の良い方法に関して革新が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の概要は、以下に発明を実施するための形態においてさらに記載される概念の選択を簡略した形で紹介するために記載される。本発明の概要は、特許請求された主題の重要な特徴を特定することを意図したものでもなく、特許請求された主題の範囲を決定する際に補助として使用されることを意図したものでもない。
【0008】
一態様において、本開示は、架橋セルロース繊維を含むパルプであって、93%以上のパルプR18値を有するパルプを提供する。
一態様において、本開示は、架橋セルロース繊維を含むパルプであって、該パルプより生じるカルボキシメチルセルロース(CMC)の粘度の変動係数(COV)が30%未満であり、そして92%より高いパルプR18値を有するパルプを提供する。
【0009】
一態様において、本開示は、架橋セルロース繊維を含むパルプであって、0.8g/g~1.0g/g未満の範囲の保水値(WRV);および89%より高いパルプR18値を有するパルプを提供する。
【0010】
一態様において、本開示は、架橋セルロースエーテルを含むセルロースエーテル生成物であって、架橋セルロースエーテルが、約56センチポアズ(cP)より高い粘度を有し、本開示の実施形態のいずれかによるパルプから形成されている、セルロースエーテル生成物を提供する。
【0011】
一態様において、本開示は、第1の繊維キンク値を有する、本開示の実施形態のいずれかによる第1のパルプと、第1の繊維キンク値と異なる第2の繊維キンク値を有する第2のパルプとを含むブレンドパルプを提供する。
【0012】
一態様において、本開示は、パルプを作製する方法であって、セルロース系供給原料を蒸解して、パルプを形成するステップと、パルプを漂白して、漂白パルプを形成するステップと、漂白パルプ内のセルロース繊維を架橋剤で架橋して、架橋パルプを形成するステップであって、架橋時において、漂白パルプが30%より高い稠度を有し、架橋パルプのR18値が92%より高いステップと、架橋パルプを乾燥するステップとを含む方法を提供する。
【0013】
一態様において、本開示は、パルプを作製する方法であって、木質繊維を架橋剤およびアルカリ性水酸化物と接触させるステップであって、木質繊維が約0重量%~約50重量%の範囲の含水率を有するステップと、木質繊維、架橋剤、およびアルカリ性水酸化物を加熱して架橋木質繊維を得るステップと、架橋木質繊維を洗浄して、未反応の架橋剤を除去するステップとを含み、架橋後のパルプのR18値が93%以上である、方法を提供する。
【0014】
一態様において、本開示は、架橋セルロースパルプを作製する方法であって、セルロース系パルプを水酸化アルカリで4%より高い稠度にて活性化して活性化パルプを得るステップと、活性化パルプから水酸化アルカリを除去するステップと、活性化パルプを架橋剤で20%より高い稠度および30℃~95℃の範囲の温度において架橋して架橋パルプを得るステップとを含む方法を提供する。
【0015】
一態様において、本開示は、本開示の方法のいずれかに従って形成されたパルプを提供する。
上述の態様および特許請求された主題の付随する利点の多くは、添付図面と一緒に読めば以下の発明を実施するための形態を参照することによってよりよく理解されるので、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施形態に従ってパルプを作製する方法の概略図である。
図2】本開示の実施形態に従ってパルプを作製する別法の概略図である。
図3】本開示の実施形態に従ってパルプを作製するさらなる別法の概略図である。
図4】本開示の実施形態に従ってパルプを作製する別法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、パルプ、セルロースエーテル生成物、およびパルプを作製する方法を提供する。
架橋パルプを作製する方法
ある特定の態様において、本開示は、架橋パルプを作製する方法を提供する。本明細書でさらに論じられるように、本開示の方法は、高粘度の架橋エーテル生成物を経済的に効率良く作製するのに適した架橋パルプを作製する際に有用である。
【0018】
一般に、本明細書に開示されているものに加えて、他の方法、系、および組成物も本開示の範囲内であると理解されるべきである。例えば、本開示の実施形態による方法、系、および組成物は、本明細書に開示されているものとは異なるおよび/または追加の操作、成分、構成などを有することができる。さらに、当業者は、本開示の実施形態による方法、系、および組成物が、本開示から逸脱することなく本明細書に開示されているある特定の操作、成分、構成などなしでありうることを理解するであろう。
高稠度架橋を含む改変クラフト法
本開示の実施形態に従って架橋パルプならびに関連した系および組成物を作製する方法は、通常の技術に伴う1つまたは複数の問題に、そのような問題が本明細書に記載されていようがいまいが少なくとも部分的に対処することができる。例えば、本開示の少なくともいくつかの実施形態に従う方法により、低コストパルプが、高グレードのセルロースエーテルおよび/または他のセルロース誘導体(例えば、セルロースエステル)の生成における前駆体の働きをすることが可能になる。例えば、クラフトパルプは、ある特定の溶解グレードパルプよりはるかに安価であり、広く入手可能である。しかし、標準クラフトパルプが、セルロースエーテルの生成のための前駆体として使用されるとき、生じるセルロースエーテルは低グレードである傾向がある。
【0019】
通常のクラフト加工において、パルプは、比較的低い稠度(例えば、10%以下の稠度)で維持される。パルプの稠度が増加するにつれて、パルプをパイプで流し、パルプを混合することはより難しくなる。したがって、高グレードのセルロース誘導体を生成する可能性を増加させるようにクラフトパルプを改変する通常のプロセスにおける架橋はいずれも、比較的低い稠度で実施された。
【0020】
本明細書でさらに論じられるように、例えば高稠度ミキサーおよび他の高稠度方法の使用によって、例えばセルロース、苛性物質、および架橋剤のその密接混合を達成できることが見出された。架橋反応成分の密接混合を通して、本開示の方法は、高粘度セルロースエーテル生成物を経済的に効率良く作製するのに適したパルプを提供する。本開示の少なくともいくつかの実施形態に伴う驚くべき別の発見は、架橋時にパルプの稠度を増加させると、架橋時により低い稠度を有するある特定の架橋パルプに比べて架橋パルプの反応性を増加させることができる点である。
【0021】
本開示の少なくともいくつかの実施形態に伴うこれらおよび/または他の発見とともに、今回、高グレードの高粘度セルロース誘導体の生成における高価な溶解グレードパルプに代わる真の代替物および/またはその好適なエキステンダーであるクラフトパルプを生成することができる。
【0022】
本開示の少なくともいくつかの実施形態による方法は、パルプを比較的高い稠度(例えば、20%以上、30%以上、またはそれ以上の稠度)で架橋するステップを含む。したがって、本開示の実施形態において、方法は、セルロース系供給原料を蒸解して、パルプを形成するステップと、パルプを漂白して、漂白パルプを形成するステップと、漂白パルプ内のセルロース繊維を架橋剤で架橋して、架橋パルプを形成するステップとを含み、架橋時において、漂白パルプが例えば20%より高い、25%より高い、30%より高い、またはそれ以上の稠度を有する。
【0023】
一実施形態において、本明細書に記載されている方法は、架橋パルプを作製する改変クラフト法を含む。本開示の実施形態による改変クラフト法などにおけるパルプを作製するのに適した出発物質の例としては、木材および再生紙が挙げられる。少なくともいくつかの実施形態において、出発物質は乾燥されない。木材パルプ化産業において、樹木は、通常、硬材または軟材と分類される。出発物質として使用するためのパルプは、軟材または硬材の樹木種に由来することができる。好適な軟材樹木種の例としては、モミ(例えば、ダグラスファーおよびバルサムファー)、マツ(例えば、ストローブマツおよびロブロリパイン)、トウヒ(例えば、ホワイトスプルース)、カラマツ(例えば、イースタンラーチ)、ヒマラヤスギ、およびツガ(例えば、イースタンおよびウェスタンヘムロック)が挙げられる。好適な硬材種の例としては、アカシア、ハンノキ(例えば、レッドアルダーおよびヨーロピアンブラックアルダー)、アスペン(例えば、クエイキングアスペン)、ブナ、カバノキ、オーク(例えば、ホワイトオーク)、ゴムノキ(例えば、ユーカリおよびスイートガム)、ポプラ(例えば、バルサムポプラ、イースタンコットンウッド、ブラックコットンウッド、およびイエローポプラ)、グメリナおよびカエデ(例えば、シュガーメープル、レッドメープル、シルバーメープル、およびビッグリーフメープル)が挙げられる。
【0024】
軟材または硬材種の木材は、一般に3つの主成分:セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンを含む。セルロースは、植物の木質構造の約50%を占め、D-グルコースモノマーの分岐していないポリマーである。個々のセルロースポリマー鎖が結合して、より太いミクロフィブリルを成し、次にこれらが結合して、束に整えられたフィブリルを成す。束は繊維を成し、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡下に高倍率で見ると植物細胞壁の成分として見える。セルロースは、広範囲にわたる分子内および分子間水素結合の結果として高度な結晶構造である。ヘミセルロースは、キシランやマンナンなど木材中においてセルロースと結合している種々雑多な低分子量炭水化物ポリマーの一群である。ヘミセルロースは、線状ポリマーであるセルロースとは対照的に、非晶質の分岐ポリマーである。リグニンは複合芳香族ポリマーであり、木材の約20%~40%を占め、非晶質ポリマーとして生じる。
【0025】
一般に、クラフト加工は、蒸煮用化学薬品(例えば、硫化ナトリウムおよび水酸化ナトリウム)の水性溶液である白液中、セルロース系供給原料(例えば、木材チップ)を高温および高圧で化学的に蒸解するものである。蒸煮用化学薬品は木材を膨張させ、供給原料内のセルロース繊維を束ねるリグニンを溶解する。この化学的蒸解が完了すると、パルプは、「ブロータンク」と呼ばれる大気タンクに移される。次いで、ブロータンクの内容物はパルプ洗浄機に送られ、そこで、使用済みの蒸煮用化学薬品がパルプから分離される。次いで、パルプは洗浄および漂白の様々な段階を経て進行し、その後、加圧および乾燥して完成品になる。
【0026】
クラフト法は、蒸煮用化学薬品および熱をクラフトプロセスステップから回収するように設計されている。例えば、使用済みの蒸煮用化学薬品およびパルプ洗浄水を合わせて、弱黒液を成し、多重効用蒸発器システム中で固形分約55%まで濃縮することができる。次いで、直接接触型蒸発器中で黒液を回収炉からの煙道ガスと接触させることによってまたは間接接触型濃縮器中で、黒液を固形分65%までさらに濃縮することができる。次いで、強黒液を回収炉中で焼成することができる。黒液に溶解している有機物の燃焼により、プロセス蒸気の生成および硫酸ナトリウムから硫化ナトリウムへの変換のための熱をもたらすことができる。黒液中に存在する無機化学薬品は、炉の底部で溶融された溶融物として回収することができる。溶融物を水に溶解して、緑液を成すことができ、次いで苛性化タンクに移すことができ、そこで生石灰(酸化カルシウム)を添加して、溶液を白液に変換し戻し、蒸解がまシステムに戻すことができる。苛性化タンクからの石灰泥沈澱物を石灰窯中でか焼して、生石灰を再生することができる。
【0027】
図1は、本開示の実施形態に従ってパルプを作製する方法100を示すフローチャートである。例示の実施形態において、方法100は、クラフト法に基づいている。他の実施形態において、方法100のカウンターパートは、(サルファイトのような)他の好適なプロセスに基づくことができる。図1を参照して、方法100は、パルプ化プロセスブロック102およびパルプ化後プロセスブロック104を含むことができる。パルプ化プロセスブロック102の範囲内で、方法100は、チップを投入するステップ(プロセスブロック106)と、チップを前蒸気処理するステップ(プロセスブロック108)とを含むことができる。大気圧の蒸気を使用して、チップを予熱し、空気を追い払って、液の浸透を増大することができる。前蒸気処理の後に、方法100は、化学薬品(例えば、NaOH、NaS、および/または他の好適な化学薬品)をチップに添加するステップ(プロセスブロック110)を含むことができる。例えば、化学薬品を蒸煮液として添加することができる。次いで、木材チップおよび蒸煮液を蒸解がまにフィードすることができる。蒸解がま内で、蒸煮液を木材チップに含浸させることができる(プロセスブロック112)。蒸煮液の良好な浸透により、木材チップの均一な蒸煮を促進することができる。
【0028】
含浸後に、方法100は、木材チップおよび蒸煮液を並流(プロセスブロック114)および向流(プロセスブロック116)液接触で蒸煮させるステップを含むことができる。どちらの操作においても、蒸煮液およびチップをある温度にすることができる。次に、洗浄液を、蒸煮パルプに向流流動するように蒸解がまの底部に導入することができる(プロセスブロック118)。蒸煮は、パルプがより冷たい洗浄液に遭遇すると終了することができる。蒸解がま洗浄後に、蒸解がまの内容物をブローすることができる(プロセスブロック120)。蒸解がまブローは、木材および液を大気圧で放出するものでありうる。放出は、繊維分離を引き起こすのに十分な量の力で起こりうる。希望するなら、ブロータンクは熱回収機器を装備して、操業費用を低減することができる。最後に、パルプをブロータンクから外部パルプ洗浄機に送って、黒液をパルプから分離することができる(プロセスブロック122)。
【0029】
パルプ化プロセスブロック102に続いて、パルプを漂白することができ、パルプ内のセルロース繊維を架橋することができる。標準クラフト法において、架橋を行うことなく漂白が行われる。漂白は、典型的に、パルプのヘミセルロース含有量の実質的な低減を引き起こさない。代わりに、漂白は、リグニンの除去を伴い、パルプ繊維長および粘度の低下が付随する。漂白時に、パルプを漂白プラントにおいて異なる段階で様々な化学薬品で処理することができる。段階は、通常の設計の容器または塔において実施することができる。漂白は、典型的に、異なる漂白剤(例えば、酸素、二酸化塩素など)を用いる1つまたは複数の漂白段階、抽出段階、他の処理段階など一連の操作として行われる。漂白シーケンスは、シーケンスにおいて行われる操作の順序の観点から特定することができる。例えば、漂白シーケンスの一例はO-D-E-Dである。そのような漂白シーケンスは、酸素系漂白段階(「O段階」)、次に第1の二酸化塩素漂白段階(「D段階」)、次に抽出段階(「E段階」、または過酸化物(「P」)および/もしくは酸素(「O」)などの漂白化学薬品を苛性物質と混合し、リグニンを除去する「EOP段階」)、および第2のD段階を含むことができる。漂白プロセスの複数の追加の例については、米国特許第6,331,354号および同第6,605,350号に記載されており、これらは、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
パルプ化後プロセスブロック104は、最初にパルプを酸素で漂白するステップを含むことができる(プロセスブロック124)。パルプを酸素で漂白することは、パルプを二酸化塩素で漂白することより、リグニンの除去に特異的ではない傾向がある。酸素系漂白は、酸素反応器中、加圧下で行うことができる。好適な酸素反応器および関連酸素系漂白プロセスについては、米国特許第4,295,925号、同第4,295,926号、同第4,298,426号、および同第4,295,927号に記載されており、これらは、全体として参照により本明細書に組み込まれる。パルプに添加される酸素の量は、パルプ1トン当たり22.7~36.3kg(50~80ポンド)の範囲内とすることができる。酸素系漂白時の温度は、100℃~140℃の範囲内とすることができる。
【0031】
パルプを酸素系漂白した後、方法100は、パルプ内のセルロース繊維を架橋するステップを含むことができる(プロセスブロック126)。少なくともいくつかの場合に、これは、架橋剤および苛性物質をパルプに添加し、パルプをさらに加工する前に架橋反応が起こりうるステップを含む。
【0032】
本明細書でさらに論じられるように、パルプの稠度が比較的高い間における架橋は、パルプが高グレードのセルロース誘導体を生成する能力を増加させるのに有用でありうる。その点では、架橋の全部または一部分(例えば、時間単位で少なくとも50%)におけるパルプの稠度は、少なくとも30%(例えば、30%~50%の範囲内)または少なくとも35%(例えば、35%~50%の範囲内)でありうる。一実施形態において、パルプは、バッチまたは連続ミキサーで混合される。一実施形態において、パルプは、精製装置、押出機、または他の高稠度ミキサーで混合される。一実施形態において、パルプは、例えば実施例1に関連して本明細書でさらに記載されるAndritz(商標)ミキサーまたはLoedige(商標)ミキサーなどの高稠度ミキサーを用いて混合される。一実施形態において、パルプは、例えばパルプおよび架橋剤が添加される逆転プレートを含むシステムで混合される。一実施形態において、パルプは、プラウシェアミキサーなどの1つまたは複数の回転式プラウ様器具を含むシステムで混合される。
【0033】
一実施形態において、歯車ポンプ、またはパルスを有しないもしくは最小限のパルスを有するポンプなどの安定なフローポンプを使用して、架橋剤、アルカリ性水酸化物、触媒などの架橋性反応物を架橋より前に反応器に計量する。このようにして、架橋性反応物が架橋用の反応器に一様に分布される。架橋性反応物のそのような均等な分布は、典型的に、均一かつ均等に架橋されたパルプをもたらし、そのパルプは、均等な粘度を有する架橋エーテルを作製するのに適している。
【0034】
そのような高稠度のミキサーおよび混合は、パルプと架橋剤の密接混合および接触をもたらし、例えば架橋剤と水の望ましくない副反応が減少(したがって、架橋剤とセルロースの望ましい反応が増加)し、所定数の有用な架橋反応に使用する反応器空間が少なくなる。この点で、本開示の方法は、パルプをより低い稠度で架橋する方法より少ない架橋剤を使用するのに適している。逆に、より低い稠度で架橋する方法は、より高い含水率を有し、したがって水中の架橋剤濃度を低下させ、架橋剤とセルロースの相互作用の生成を減少させる。したがって、所与の架橋度には、より多くの架橋剤が必要とされ、水と架橋剤の反応がより多く起こる。その上に、本開示の方法は、とりわけ、繊維と架橋剤の間で達成される密接混合度がより高いために、パルプをより低い稠度で架橋する方法より少ない反応器空間で、また少ない資本を必要として、架橋パルプを提供する。本開示の方法のそのような有利な特徴によって、他のより低い稠度の方法より低いコストおよび少ない資本で高粘度架橋エーテル生成物を生成するのに適した架橋パルプが生じる。
【0035】
さらに、比較的高い稠度および/または他の因子のために、架橋はパルプの耐アルカリ性を(例えば、架橋パルプR18値により測定して)増加させることができる。一実施形態において、本開示による方法によって作製された架橋木材パルプは、89%より高いR18値を有する。一実施形態において、本開示による方法によって作製された架橋木材パルプは、実施例1に関連して本明細書でさらに論じられるように、93%より高いR18値を有する。一実施形態において、本開示による架橋木材パルプは、92%より高く100%までの範囲のR18値を有する。一実施形態において、本開示による架橋木材パルプは、93%~95%の範囲のR18値を有する。対照的に、30%未満の架橋稠度を有する架橋プロセスは、典型的に、92%未満の木材パルプR18値を提供する。本明細書でさらに論じられるように、そのような架橋プロセスは、1.0g/g未満のWRVを有する架橋パルプを生成することができる。ある特定の実施形態において、そのようなパルプは、89%より高いパルプR18値および1.0g/g未満のWRVを有する。
【0036】
その上に、一実施形態において、架橋時、架橋段階のパルプは、高度のパルプ稠度のために高度に不変のアルカリイオン濃度を有する。本明細書でさらに論じられるように、一実施形態において、漂白パルプを架橋するステップは、アルカリ性水酸化物を漂白パルプに供給することを含む。架橋時のセルロース繊維と、例えば水酸化ナトリウムを含むアルカリ性水酸化物溶液との密接混合のため、架橋段階のパルプは、ナトリウムイオン濃度の変動係数(COV)が低い。一実施形態において、実施例12に関連して本明細書でさらに論じられるように、本明細書に記載されているパルプは、5未満など10未満の架橋時のナトリウムイオン濃度のCOVを有する。
【0037】
本開示の方法において使用される架橋剤は、比較的強い架橋結合(例えば、エステルの代わりにエーテル架橋またはイオン性架橋)を形成するように選択することができる。比較的強い架橋は、例えばより弱い架橋より好ましいことがあり、架橋がセルロース誘導体を形成するために使用される官能化反応(例えば、エーテル化)によって破壊される可能性が低くなる。架橋剤を、パルプに対する重量比2:100以上、3:100以上、5:100以上、または別の好適なより低い閾値で添加することができる。上方閾値は、パルプから生じるCMCを水に不溶にせずに使用することができる架橋剤の最大量でありうる。少なくともいくつかの場合に、触媒(例えば、NaOH、テトラフルオロホウ酸亜鉛Zn(BF)が架橋時に存在する。さらに、あるいは、架橋剤分散および浸透の促進などのために、界面活性剤が架橋時に存在しうる。界面活性剤は、疎水性架橋剤と組み合わせて特に有用でありうる。
【0038】
好適な架橋剤としては、2つ以上のグリシジル基を有するグリシジルエーテルなどのエーテルが挙げられる。例えば、架橋剤は、第1のグリシジル基、第2のグリシジル基、および第1と第2のグリシジル基間に3または4個の直鎖炭素原子を含むことができる。一実施形態において、架橋剤は、3つ以上のグリシジル基を含む。さらに、あるいは、架橋剤は、500以下(例えば、174~500の範囲内)の重量平均分子量を有することができる。さらに、架橋剤がエポキシドであるとき、架橋剤は、175以下(例えば、140~175の範囲内)の1エポキシド当たりの重量を有しうる。架橋剤は、25℃で500センチポアズ(cP)以下の粘度を有しうる。少なくともいくつかの実施形態において、架橋剤は、水に少なくとも部分的に不溶性である。この特性は、架橋反応時に架橋剤とセルロース繊維の接触を増加させるのに有用でありうる。好適な架橋剤の具体例としては、とりわけトリメチロールエタントリグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、およびトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
通常の非架橋クラフトパルプは、サルファイトパルプ(すなわち、亜硫酸の塩を主に使用してリグニンを木材から抽出することによって作製されたパルプ)など他の化学パルプより低い反応性を有する傾向がある。しかし、本開示の少なくともいくつかの実施形態において、架橋クラフトパルプは比較的高い反応性を有する。もっぱら理論として、またそのような理論に限定されることを望むものではないが、これは、セルロース鎖間に余分な空間を均一に加える架橋の存在のためと思われる。より長鎖の架橋剤(例えば、ポリグリシジルエーテル)は、同様の架橋条件下で、より短鎖の架橋剤(例えば、1,3-ジクロロ-2-ヒドロキシプロパノール(DCP))より高い反応性を有する架橋パルプを生成することができる。より長鎖の架橋剤で架橋されたパルプは、出発パルプの結晶化度より低い結晶化度、また溶解グレードのサルファイト木材パルプおよびコットンリンターパルプ(CLP)の結晶化度よりはるかに低い結晶化度を有することができる。高粘度エーテル用途のためにサルファイトパルプの代わりにクラフトパルプを架橋することは、クラフトが優勢なパルプ化プロセスであり、(少なくとも一部は、より高いヘミセルロース含有量のために)サルファイトパルプ化プロセスより高い収率、低いコストを有し、環境に優しいので、少なくとも一部の場合に有利でありうる。
【0040】
ある特定の実施形態において、漂白パルプを架橋するステップは、漂白パルプを2種以上の架橋性反応物を含む混合物を含めて架橋性反応物とともに順次投入するステップを含む。この点では、また試料5Aに関連して本明細書でさらに論じられるように、実施形態において、漂白パルプを架橋するステップは、漂白パルプをアルカリ性水酸化物溶液、水の第1の一部分、架橋剤溶液、乳濁液、または懸濁液、および水の第2の一部分と順次接触させるステップを含む。ある特定の実施形態において、漂白パルプを架橋するステップは、アルカリ性水酸化物および架橋剤を含む溶液を漂白パルプに複数回供給するステップを含む。その点では、実施形態において、漂白パルプを架橋するステップは、漂白パルプをアルカリ性水酸化物の第1の一部分および架橋剤の第1の一部分と接触させ、漂白パルプとアルカリ性水酸化物の第1の一部分および架橋剤の第1の一部分との反応が可能になった後、続いて漂白パルプをアルカリ性水酸化物の第2の一部分および架橋剤の第2の一部分と接触させるステップを含む。別の実施形態において、漂白パルプを架橋するステップは、漂白パルプを、架橋剤およびアルカリ性水酸化物を含む混合物と異なるいくつかの回数接触させるステップを含む。アルカリ性水酸化物および架橋剤の多回投入は、化学的利用の増大および/または反応コストの低減をもたらすことができる。さらに、アルカリ性水酸化物および架橋剤を漂白パルプに複数回供給するステップを含むそのような順次投入には、投入制御によるミキサーが考慮される。
【0041】
架橋時において、パルプは、30℃~90℃の範囲内の温度を有することができる。さらに、パルプは、9~14の範囲内のpHを有することができる。
実施形態において、本開示の方法は、実施例2および3に関連して本明細書でさらに論じられるように、セルロース繊維を架橋した後、架橋パルプからアルカリ性水酸化物を抽出するステップを含む。次に図2を参照して、苛性物質の抽出および再使用を含む本開示の方法200を論じる。ある特定の実施形態において、本開示の方法100および/または他の方法は、方法200の1つまたは複数の態様を含む。実施形態において、方法200は、セルロース繊維源を蒸解および漂白してパルプを得るステップを含むプロセスブロック202で始まる。実施形態において、蒸解および漂白は、図1に関連して本明細書でさらに論じられるように行われる。プロセスブロック202の次に、漂白パルプを30%より高い稠度などに混合するステップを含むプロセスブロック204を行ってもよい。プロセスブロック204の次に、漂白された高稠度パルプをアルカリ性水酸化物および架橋剤で架橋するステップを含むプロセスブロック206を行ってもよい。本明細書でさらに論じられるように、そのような高稠度架橋反応は、より低い稠度の架橋反応にまさる多数の利点をもたらす。その利点としては、より高いR18値、より低い架橋試薬要件、および例えばとりわけCMC粘度COV、アルカリイオンCOVによって測定してより一貫したパルプが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
実施形態において、プロセスブロック206の次に、プロセスブロック208を行う。プロセスブロック208は、架橋パルプを洗浄し、漂白高稠度パルプを架橋するのに使用されたアルカリ性水酸化物の一部分を回収するステップを含むことができる。示されるように、回収されたアルカリ性水酸化物は、蒸解および漂白プロセスブロック202および混合物プロセスブロック204のどちらかまたは両方において再使用することができる。苛性物質のそのような回収および再使用は、反応物の再使用および混合物中の望ましくない有機成分の除去を通して経済効率をもたらすことができる。プロセスブロック208の次に、架橋された洗浄パルプへの酸性溶液の適用などを通して、架橋された洗浄パルプを中和するステップを含むプロセスブロック210を行ってもよい。実施例2および3に関連して本明細書で論じられるように、架橋パルプの洗浄および中和により、抽出有機物含有量、金属イオン含有量、灰分、およびシリカ含有量などのパルプ成分レベルを低減することができる。実施形態において、図1のプロセスブロック134に関連して本明細書でさらに論じられるように、プロセスブロック210の次に、プロセスブロック212を行う。プロセスブロック212は、市場パルプを形成するステップを含むことができる。
【0043】
本開示の実施形態によるパルプの架橋を、パルプが高グレードのセルロース誘導体を生成する能力を増大させる他の技法と組み合わせて使用することができる。例えば、図1を再度参照して、パルプ化プロセスブロック102における上記の蒸煮は比較的穏和でありうる。比較的穏和な蒸煮では、パルプから除去されるリグニンは、普通なら除去されるはずのリグニンより少ない可能性がある。穏和な蒸煮の後に、パルプは、著しい残留リグニンの存在を示す25~35のカッパ価および高パルプ粘度を有することができる。別の例として、パルプ化後プロセスブロック104における下記の漂白および抽出は比較的穏和でありうる。強苛性物質抽出および前加水分解を加えることによってクラフト法を改変することとは異なり、クラフト法に対する上記の改変は、収率および/または反応性を不当に損なうことなく、高グレードのセルロース誘導体を生成するクラフトパルプの能力を増加的に改善することができる。
【0044】
パルプ内のセルロース繊維を架橋した後、方法100は、パルプを二酸化塩素で初めて漂白するステップを含むことができる(プロセスブロック128)。二酸化塩素漂白は、リグニンを除去する選択性が、酸素系漂白剤より高い傾向がある。パルプに添加される二酸化塩素の量は、パルプ1トン当たり9.1~13.6kg(20~30ポンド)の範囲内とすることができる。第1の二酸化塩素漂白時の温度は、50℃~85℃の範囲内とすることができる。パルプを二酸化塩素で初めて漂白した後、方法100は、リグニンをパルプから除去するために抽出ステップ(プロセスブロック130)を含むことができる。抽出は、過酸化水素または好適な苛性物質をパルプに添加するステップを含むことができる。パルプに添加される過酸化水素の量は、パルプ1トン当たり9.1~45.4kg(20~100)ポンドの範囲内とすることができる。抽出時の温度は、75℃~95℃の範囲内とすることができる。ヘミセルロースを除去する強苛性物質抽出とは対照的に、リグニンを除去する抽出は比較的穏和でありうる。例えば、抽出は、セルロース繊維の結晶構造を変更しない抽出とすることができる。
【0045】
抽出後に、方法100は、パルプを二酸化塩素で2回目の漂白を行うステップ(プロセスブロック132)を含むことができる。パルプに添加される二酸化塩素の量は、パルプ1トン当たり4.5~13.6kg(10~30ポンド)の範囲内とすることができる。第2の二酸化塩素漂白時の温度は、60℃~90℃の範囲内とすることができる。方法100は、図1で具体的に特定される操作以外の追加の操作をさらに含むことができる。例えば、パルプ化後プロセスブロック104における操作のいずれかの後に、方法100は、パルプを洗浄するステップを含むことができる。これは、例えばキャリーオーバーを除去し、パルプ稠度を増大させるのに有用でありうる。パルプを酸素系漂白した後で、パルプを架橋する前に、洗浄操作を使用して、パルプ稠度を増大させることができる。
【0046】
例示の実施形態における架橋は、酸素系漂白後で二酸化塩素漂白前に行われるが、他の実施形態においては、架橋を下記のパルプ化後プロセス104のカウンターパートにおける別の時点で行うことができる。漂白および抽出操作は、他の実施形態において再配列または取り除くこともできる。「X」が架橋操作と定義される場合、本技術の複数の実施形態によるパルプ化後方法は、多数の他の好適な順列のうちO-X-D-E-D(図1)、O-D-X-E-D、O-D-E-X、O-D-E-X-D、O-D-E-D-X、D-X-E-D-E-D、D-E-X-D-E-D、D-E-D-X-E-D、D-E-D-E-X-D、D-E-D-E-D-X、D-X-E-E-D、D-E-X-E-D、D-E-E-X-D、またはD-E-E-D-Xと特徴づけることができる。さらに、架橋は、酸素系漂白、二酸化塩素漂白、および/または抽出時に行うことができる。したがって、本技術のなお複数の実施形態によるパルプ化後方法は、多数の他の好適な順列のうちO/X-D-E-D、O-D/X-E-D、O-D-E/X-D、O-D-E/X、O-D-E-D/X、D/X-E-D-E-D、D-E/X-D-E-D、D-E-D/X-E-D、D-E-D-E/X-D、D-E-D-E-D/X、D/X-E-E-D、D-E/X-E-D、D-E-E/X-D、D-E-E-D/Xと特徴づけることができる。
【0047】
漂白プロセスブロック104の後に、方法100は、パルプを使用、販売、および/または輸送のために処理するステップ(プロセスブロック134)を含むことができる。例えば、パルプを乾燥(例えば、フラッシュ乾燥)、プレス、コンテナ輸送、および/またはその他の方法で処理して、パルプを使用、販売、および/または輸送に適した形(例えば、シート、ベール、ロールなど)にすることができる。パルプは、500g/m~1200g/mの坪量および/または0.2g/cm~0.9g/cmの密度を有することができる。一部の実施形態において、方法100のパルプを、乾燥する前に別のパルプと組み合わせる。本開示の少なくともいくつかの実施形態によるパルプは、生成物の粘度または他の望ましい特性を損なうことなく所与のセルロース誘導体生成物を生成するのに必要とされる高価な溶解グレードパルプの量を低減するパルプエキステンダーとしての使用に好都合である。例えば、方法100のパルプと別のパルプ(例えば、炉乾燥(OD)重量で90重量%より高いセルロース含有量を有する溶解グレードパルプ)を、方法100のパルプが、得られるブレンドパルプのセルロース炉乾燥重量で少なくとも20重量%(例えば、少なくとも30重量%)を占めるようにブレンドすることができる。他の実施形態において、方法100のパルプは、別のパルプとブレンドすることなく使用することができる。
【0048】
実施形態において、乾燥パルプは、ロール、ベール、およびフラッフから選択される、輸送、販売などに適した形態にさらに処理または形成される。
乾燥および半乾燥パルプ架橋
ある特定の実施形態において、本開示の方法は、木質繊維を架橋剤およびアルカリ性水酸化物と接触させるステップであって、木質繊維が約0重量%~約50重量%の範囲の含水率を有するステップを含む。実施形態において、木質繊維の含水率は、約0重量%~約10%の範囲である。この場合、約0重量%は、当技術分野において公知である検出限界によって制限して、0重量%~1重量%の含水率を指す。特定の理論に拘泥することを望むものではないが、そのような乾燥または半乾燥木質繊維を架橋剤およびアルカリ性水酸化物と接触させることによって、架橋剤と木質繊維の密接混合が、パルプを活発に混合することなく水性懸濁液または溶液を反応容器中で混合するなどによって達成されると思われる。その上に、特定の理論に拘泥することを望むものではないが、乾燥および半乾燥木質繊維内の空隙は、アルカリ性水酸化物および架橋剤溶液で満たされていると思われる。これは、木質繊維をアルカリ性水酸化物および架橋剤の比較的希薄な溶液に分散させる他の方法とは対照的である。
【0049】
図3は、乾燥または半乾燥木質繊維をアルカリ性水酸化物および架橋剤と接触させるステップを含む本開示の実施形態による方法300を概略的に示す。方法300は、乾燥または半乾燥木質繊維をアルカリ性水酸化物および架橋剤と接触させるステップを含むプロセスブロック302で始めてもよい。実施形態において、乾燥または半乾燥木質繊維は、約0重量%~約50重量%の範囲の含水率を有するパルプシートの形をとる。架橋剤は、グリシジルエーテルなど本明細書で論じられるいかなる架橋剤でもよい。実施形態において、乾燥または半乾燥木質繊維は、アルカリ性水酸化物および架橋剤溶液で飽和される。実施形態において、木質繊維をアルカリ性水酸化物と約1重量%~約5重量%の範囲で接触させる。実施形態において、木質繊維をアルカリ性水酸化物と約1重量%~約10重量%の範囲で接触させる。
【0050】
実施形態において、プロセスブロック302の次に、木質繊維、架橋剤、およびアルカリ性水酸化物を、いくつかの架橋を有する架橋木質繊維を提供するのに十分な温度および時間で加熱するステップを含むプロセスブロック304を行う。実施形態において、木質繊維、架橋剤、およびアルカリ性水酸化物の加熱は、木質繊維、架橋剤、およびアルカリ性水酸化物を約100℃~約140℃の範囲の温度で加熱するステップを含む。実施形態において、木質繊維、架橋剤、およびアルカリ性水酸化物の加熱は、木質繊維、架橋剤、およびアルカリ性水酸化物を約120℃の温度で加熱するステップを含む。実施形態において、木質繊維、架橋剤、およびアルカリ性水酸化物は、木質繊維によって吸収されたすべての水を蒸発させることなく約5分~約20分の範囲の時間加熱される。
【0051】
プロセスブロック304の次に、架橋木質繊維を洗浄して、未反応の架橋剤およびアルカリ性水酸化物を除去するステップを含むプロセスブロック306を行ってもよい。実施形態において、洗浄するステップは、架橋木質繊維のpHを酸性溶液などで中和するステップをさらに含む。
【0052】
実施例5に関連して本明細書でさらに論じられるように、方法300など乾燥または半乾燥木質繊維を架橋剤およびアルカリ性水酸化物と接触させるステップを含む方法により作製されたパルプから作製されたCMCは、100cPより高い、110cPより高い、120cPより高い粘度など80cPより高い粘度を有することができる。実施形態において、そのような方法に従って作製されたパルプから作製されたCMCは、約80cP~約140cPの範囲の粘度を有する。さらに、実施形態において、方法300など乾燥または半乾燥木質繊維を架橋剤およびアルカリ性水酸化物と接触させるステップを含む方法により作製された架橋パルプは、92%より高いR18値を有する。実施形態において、そのようなパルプは、93%~100%の範囲のR18値を有する。その上に、方法300など乾燥または半乾燥木質繊維を架橋剤およびアルカリ性水酸化物と接触させるステップを含む方法は、高粘度架橋セルロースエーテル生成物を作製するための架橋パルプを提供するのに適している。
アルカリ抽出によるパルプ処理およびパルプ洗浄
実施形態において、本開示の方法は、セルロース系パルプを水酸化アルカリで活性化して活性化パルプを得るステップと、活性化パルプからアルカリ性水酸化物を除去するステップと、活性化パルプを架橋剤で架橋して架橋パルプを得るステップとを含む。その点で、本開示の実施形態による方法400を概略的に示す図4に注意を向ける。
【0053】
方法400は、セルロース系パルプを水酸化アルカリで活性化して活性化パルプを得るステップを含むプロセスブロック402で始めてもよい。実施形態において、セルロース系パルプはCLPである。実施形態において、セルロース系パルプはクラフトパルプである。実施形態において、セルロース系パルプを活性化するステップは、パルプを16%より高いなど4%より高い稠度で活性化するステップを含む。
【0054】
プロセスブロック402の次に、濾過などによって、活性化パルプからアルカリ性水酸化物を除去するステップを含むプロセスブロック404を行ってもよい。実施形態において、プロセスブロック404の次に、本明細書でさらに論じられるように、除去されたアルカリ性水酸化物を回収し、その後のパルプ反応に再使用するプロセスブロック406を行う。
【0055】
プロセスブロック402、404、または406の次に、活性化パルプを架橋剤で架橋するステップを含むプロセスブロック408を行ってもよい。実施形態において、活性化パルプを架橋剤により架橋するステップは、活性化パルプを30%より高いなど20%より高い稠度で架橋するステップを含む。実施例2および3に関連して本明細書でさらに示されるように、20%より高いなどより高い稠度で架橋し、アルカリ性水酸化物を除去することによって、そのような抽出されたより高い稠度のパルプから作製されたCMCの粘度は同様により高い。例えば、表2における試料3B対試料3Aおよび試料4B対試料4Aの、生じるCMCの粘度の稠度を参照のこと。
【0056】
実施形態において、活性化パルプを架橋剤により架橋するステップは、30℃~95℃の範囲の温度で架橋するステップを含む。実施形態において、活性化パルプを架橋剤により架橋するステップは、70℃~95℃の範囲の温度で架橋するステップを含む。実施例2および3に関連して本明細書でさらに示されるように、パルプを70℃~95℃の範囲などの高温で架橋すると、高粘度を有するCMCを調製する際に有用なパルプが提供される。例えば、試料4Cおよび試料3Cから作製されたCMCの粘度を参照のこと。実施形態において、得られたCMCの粘度は、約100cP~約400cPの範囲である。
【0057】
実施形態において、プロセスブロック408の次に、架橋パルプを乾燥するステップを含むプロセスブロック410を行う。プロセスブロック408および410の次に、架橋パルプを洗浄およびプレスしてプレスパルプを得るステップを含むプロセスブロック412を行ってもよい。そのような洗浄およびプレスは、例えば方法100および図1に関連して本明細書でさらに論じられている方法によって達成することができる。プロセスブロック408、410、および412の次に、プレスパルプを希釈および中和するステップを含むプロセスブロック414を行ってもよい。実施例6に関連して本明細書でさらに論じられるように、そのような洗浄および中和は、例えば、パルプ中の有機抽出物、金属、灰、およびシリカのレベルを低減するのに適している。
パルプ
別の態様において、本開示は、架橋セルロース繊維を含めて、パルプを提供する。実施形態において、パルプは、本明細書に記載されている方法に従って作製されたパルプである。
パルプR18値
実施形態において、本開示のパルプは、89%より高いR18値を有する。実施形態において、本開示のパルプは、92%より高いR18値を有する。本開示の方法に関連して本明細書でさらに論じられるように、パルプを20%より高い、30%より高い、またはそれ以上などの高稠度で架橋すると、一般的に、パルプR18値によって測定して比較的高い耐アルカリ性を有する架橋パルプが提供される。逆に、例えば30%より低い稠度で架橋すると、例えば93%より低いR18値を有するパルプが提供される。例えば、実施例1~3に示されるように、そのような高稠度架橋により、約92%~約100%の範囲のパルプR18値を有するパルプが提供される。
【0058】
実施形態において、パルプは、約92%~約100%の範囲のパルプR18値を有する。この場合、約100%のパルプR18値は、TAPPI T 235 cm-00など公知の検出方法によって制限して、99%~100%のパルプR18値を指す。実施形態において、本開示のパルプは、約93%~約97%の範囲のパルプR18値を有する。実施形態において、本開示のパルプは、約93%~約96%の範囲のパルプR18値を有する。実施形態において、本開示のパルプは、約93%~約95%の範囲のパルプR18値を有する。
生じるCMCの粘度
実施形態において、本開示のパルプは、56cPより高い、該パルプより生じるCMCの粘度を有する。実施形態において、本開示のパルプは、90cPより高い、該パルプより生じるCMCの粘度を有する。実施形態において、本開示のパルプは、約100cP~約400cPの範囲の、該パルプより生じるCMCの粘度を有する。
【0059】
ある特定の実施形態において、本開示のパルプは、ある特定の場合に高稠度架橋反応のために高架橋度を有する。その上に、上記のように、これらのパルプの、生じるCMCの粘度は極めて高くてもよい。もっぱら理論として、またそのような理論に拘泥することを望むものではないが、セルロースの分子構造は、本開示の実施形態の方法によって達成される高架橋度などの高架橋度で直鎖状から高度に分枝状に変わりうる。高度に分枝状の構造を有するセルロースは、高グレードのCMCなどの高グレードのエーテルを形成することができる。
【0060】
実施例1および2ならびに表1および2に関連して本明細書でさらに論じられるように、本開示の実施形態に従って高稠度で架橋されたパルプは、そのような高い、生じるCMCの粘度を有する。この点で、実施形態において、本開示のパルプは、表1に示す90cP~130cPの範囲の、生じるCMCの粘度を有する。実施形態において、本開示のパルプは、表2に示されるように約100cP~約400cPの範囲の、生じるCMCの粘度を有する。
【0061】
さらに、本開示のパルプは、生じるCMCの粘度が、例えば通常のCLPと対照的である。実施例6に記載され、表3に示すように、本開示の方法によって生成された、本開示の実施形態によるパルプは、CLPより高い、生じるCMCの粘度を有する。本明細書でさらに論じられるように、CLPは、実施例6に記載されているものなどクラフトパルプよりしばしば高価である。その理由の少なくとも1つは、それらが高グレードの高粘度エーテルを生成する際に有用であることである。しかし、本明細書で示されるように、ある特定の場合に、改変クラフト法によって作製されたパルプなど本開示のパルプは、より高価なCLPより高い粘度を有するCMCを作製するのに適している。
【0062】
本明細書で用いられているように、「生じるCMCの粘度」は、本明細書に記載されている、生じるCMC試験方法に従って得られたCMCの0.5重量%水性溶液の粘度を指す。
生じるCMCの粘度の変動係数
実施形態において、本開示のパルプは、37%未満の生じるCMCの粘度の変動係数(COV)を有する。実施例9および表6A~6Cに関連して本明細書でさらに論じられるように、本開示のパルプから作製されたCMCは、20%以下、15%以下など37%未満の粘度COVを有する。特定の理論に拘泥することを望むものではないが、パルプを高稠度で架橋することによって、架橋パルプは比較的均等に架橋され、したがって、それから作製されたCMCは粘度COVが低い粘度を有すると思われる。
【0063】
その点では、実施形態において、本開示のパルプは、約5%~38%未満の範囲の生じるCMCの粘度のCOVを有する。実施形態において、本開示のパルプは、約37%~約20%の範囲の生じるCMCの粘度のCOVを有する。表6Bに関連して本明細書でさらに論じられるように、Loedige(商標)ミキサーなどのプラウシェアミキサーを用いて架橋したパルプから作製されたCMCは、粘度を約37%~約20%の範囲のCOVで有する。実施形態において、本開示のパルプは、約5%~約15%の範囲の生じるCMCの粘度のCOVを有する。実施形態において、本開示のパルプは、約10%~約12%の範囲の生じるCMCの粘度のCOVを有する。表6Cに関連して本明細書でさらに論じられるように、Andritz(商標)ミキサーなど逆転プレートを含む反応器中で架橋したパルプから作製されたCMCは、粘度を約5%~約15%の範囲のCOVで有する。
【0064】
実施形態において、37%未満の生じるCMCの粘度のCOVを有する本開示のパルプは、92%より高いパルプR18値をさらに有する。実施例9ならびに表6B、6C、および1に関連して本明細書でさらに論じられているように、そのようなパルプは、生じるCMCの粘度のCOVが低いことに加えて、比較的高い耐アルカリ性を有する。
アルカリイオン濃度COV
ある特定の実施形態において、本開示のパルプは、比較的低いアルカリイオン濃度COVを有する。本明細書でさらに論じられているように、本開示の方法は、パルプを高稠度で架橋する。特定の理論に拘泥することを望むものではないが、そのような高稠度は高度に均一な架橋反応環境を提供すると思われる。この点で、パルプが架橋されているが、洗浄も中和もされていない場合など、架橋環境および得られた架橋パルプには、アルカリイオンなどある特定の架橋試薬がパルプ内に均等に分布されている。実施形態において、実施例12に関連して本明細書でさらに論じられるように、本明細書に記載されているパルプは、架橋時に5未満など10未満のナトリウムイオン濃度COVを有する。
得られたCMC多分散指数
ある特定の実施形態において、本開示のパルプは、約3以上の得られたCMC多分散指数(PDI)を有する。実施形態において、本開示のパルプは、約4.5より高い得られたCMC PDIを有する。実施形態において、本開示のパルプは、4.5~約7の範囲の得られたCMC PDIを有する。実施形態において、本開示のパルプは、約5.0~約6.5の範囲の得られたCMC PDIを有する。表1に示されるように、そのような比較的高いPDIは、コットンリンターパルプ、溶解木材パルプ(DWP)サルファイトパルプ、および通常架橋クラフトパルプなどの通常入手可能なパルプから調製されたCMCの、典型的には2以下であるPDIとは対照的である。本明細書で用いられているように、得られたCMC PDIは、CMC重量平均分子量とCMC数平均分子量の比である。
【0065】
特定の理論に拘泥するものではないが、本開示のエーテルのPDIが比較的高いのは、架橋のために少なくとも一部はより高いMwの分子をより低分子に添加したからであって、例えばセルロースが分解したからではないと考えられる。対照パルプPDI(表1および表2を参照のこと)と比較して、本開示の架橋パルプ中の分子は分子長さが増加した。架橋時に、より短い分子ではなくより長い分子が生成される。この点および他の点で、高PDIは有利である。例えば、得られたエーテルにおけるより高いMwは、最終生成物をより低い濃度でさえより強力およびより弾性にする。さらに、そのようなより高い重量平均Mwの得られたエーテルは、より低いPDIを有するエーテルより高いせん断速度で高いせん断減粘性を有する。
保水値
ある特定の実施形態において、本開示のパルプは、約0.8g/g~約1.0g/gの範囲の保水値(WRV)を有する。ある特定の実施形態において、本開示のパルプは、約0.8g/g~1.0g/g未満の範囲のWRVを有する。実施形態において、本開示のパルプは、約0.8g/g~1.0g/g未満の範囲のWRVおよび89%~94%の範囲のパルプR18値を有する。実施形態において、本開示のパルプは、約0.8g/g~1.0g/g未満の範囲のWRVおよび92%~94%の範囲のパルプR18値を有する。実施形態において、パルプは、約0.8g/g~1.0g/g未満の範囲のWRVおよび92%~94%の範囲のパルプR18値を有するクラフトパルプである。実施例10および表7に記載されているように、実施例1と同様にして調製された本開示の実施形態によるパルプは、約0.8g/g~1.0g/g未満の範囲のWRVを有する。さらに、そのようなパルプは、92%~94%のパルプR18値を有する。実施例1に関連して本明細書でさらに論じられるように、そのようなパルプは、30%より高い架橋稠度で調製されたクラフトパルプであった。そのようなパルプは、典型的には92%未満のR18値および1.1g/gより高いWRVを有する、30%未満の稠度で架橋されたパルプとは対照的である。
【0066】
実施形態において、そのようなパルプは、56cP~130cPの範囲のCMCの粘度を有する。
実施形態において、本開示のパルプとしては、99%以上のR18値および0.6g/g~0.8g/gの範囲のWRVを有するCLPなどのリンターパルプが挙げられる。実施例10および表7に示されるように、本開示の実施形態による試料3Aおよび3Bに関連して本明細書でさらに論じられるように調製された架橋CLPは、99%以上などの比較的に高いR18値および0.6g/g~0.8g/gの範囲などの比較的低いWRVを有することができる。
【0067】
高エーテル粘度およびエーテル粘度稠度を有する高値パルプ生成物は、出発パルプより低いWRVを有することができる。
上記のように、ある特定の実施形態において、本開示のパルプとしては、高粘度エーテルおよび本明細書でさらに論じられるように、高度に不変の高粘度エーテルを作製するのに適したパルプが挙げられ、パルプのWRVは、未架橋供給原料パルプのWRVより低い。驚くべきことに、そのようなパルプは、本開示の架橋パルプを作製するために使用される供給原料パルプのWRVより低いWRVなどの比較的低いWRVでさえ高粘度稠度を有する高粘度エーテルを生成できるということが発見された。架橋パルプのWRVがパルプを高粘度エーテルに変換するのに十分に高い限り、架橋パルプは、約0.6g/g~約0.8g/gの範囲などの比較的低いWRVを有することができる。特定の理論に拘泥するものではないが、架橋剤のセルロース分子と分子構造の開口部との間への導入のために、架橋により、期待DSを有する可溶性CMCの形成によって測定されるなどのパルプ反応性が分子レベルで増大したと思われる。
ヘミセルロース含有量
実施形態において、本開示のパルプは、乾燥質量で約6重量%以上(例えば、10重量%以上、15重量%以上、または20重量%以上)のヘミセルロースを有する。実施形態において、本開示のパルプは、乾燥質量で約6重量%~乾燥質量で約30重量%の範囲のヘミセルロースを含む。実施形態において、本開示のパルプは、乾燥質量で約9重量%~乾燥質量で約20重量%の範囲のヘミセルロースを含む。実施形態において、本開示のパルプは、ヘミセルロースを約15重量%で含む。
【0068】
本開示の方法に関連して本明細書でさらに論じられるように、ヘミセルロースは、全体的なパルプ処理効率の一測定基準である。一般的に言えば、より高いヘミセルロース含有量(本出願においてキシランとマンナンの合計と定義される)を有するパルプは、ヘミセルロースによってもたらされるバルクの増加のために、より高い収率を有する。実施例11および表8に関連して本明細書でさらに論じられるように、本開示の方法に従って調製された本開示によるパルプは、6重量%より高いなど比較的高いヘミセルロース含有量を有する。記載のように、実施例1に関連して本明細書でさらに記載される方法によるパルプなど、30%より高い稠度で架橋したパルプは、6重量%より高いヘミセルロース含有量を有する。特に、試料2Aの方法に従って調製されたパルプは、約16重量%のヘミセルロース含有量を有する。
【0069】
実施形態において、パルプはクラフトパルプである。本開示の方法に関連して本明細書でさらに論じられるように、クラフトパルプ処理は、一般的に言えば、ヘミセルロース含有量を出発供給原料ヘミセルロース含有量から大幅に減らすことはない。高稠度架橋するステップを含む改変クラフト法を利用することによって、本開示の架橋パルプは、例えば高ヘミセルロース含有量(および高ヘミセルロース含有量に伴う付随するパルプバルク)および高R18値を有する。この点で、そのようなパルプは、高グレードのセルロースエーテル生成物を比較的低いコストで作製するのに適している。
【0070】
クラフトパルプが本明細書で論じられているが、本開示のパルプとしては、CLP、ワラパルプなど他の架橋パルプが挙げられることが理解されよう。
重量平均分子量
実施形態において、本開示のパルプは、1,000kDa以上、1,500kDa以上、2,000kDa以上など約800キロダルトン(kDa)より高い得られたCMC重量平均分子量を有する。実施形態において、パルプは、約900kDa~約4,000kDaの範囲の得られたCMC重量平均分子量を有する。実施形態において、パルプは、約1,000kDa~約2,500kDaの範囲の得られたCMC重量平均分子量を有する。
【0071】
表1に示されるように、本開示の実施形態によるパルプから作製されたCMCは、1,000kDaより高い、2,000kDaより高いなど800kDaより高い重量平均分子量を有する。これは、CLP、DWPサルファイトパルプ、および通常のクラフトパルプなどの通常入手可能なパルプから作製されたCMCとは対照的である。やはり表1を参照のこと。
【0072】
得られたCMC PDIに関連して本明細書でさらに論じられるように、本開示の実施形態による方法によって作製されたCMCの得られた重量平均分子量の増加は、パルプの架橋に帰因する。得られたCMC PDIに関連して本明細書でも論じられるように、そのような重量平均分子量の増加は、より低い分子量パルプから調製されたCMCと比較するとより高い強度、弾性、およびせん断減粘性を得られたCMCに与える。
架橋剤
本開示のパルプは、1つまたは複数のセルロース繊維にカップリングしている架橋剤を含む架橋セルロース繊維を含む。
【0073】
実施形態において、架橋剤は、1つまたは複数のセルロース繊維とエーテル結合を形成する。本開示の方法に関連して本明細書でさらに論じられるように、そのようなエーテル架橋結合は、典型的には、イオン架橋結合および/またはエステル架橋結合などある特定の他の架橋結合より強力である。そのようなより強力な架橋結合は、一般的に、エーテル化反応など別のパルプ処理における反応に対してより高い耐性を示す。
【0074】
実施形態において、架橋剤は、他のパルプ成分に対する重量比2:100以上、3:100以上、5:100以上、または別の好適なより低い閾値以上で存在する。上方閾値は、パルプから得られたCMCを水に不溶にさせることなく使用することができる架橋剤の最大量でありうる。
【0075】
好適な架橋剤としては、2つ以上のグリシジル基を有するグリシジルエーテルなどのエーテルが挙げられる。例えば、架橋剤は、第1のグリシジル基、第2のグリシジル基、および第1と第2のグリシジル基間に3または4個の直鎖炭素原子を含むことができる。実施形態において、架橋剤は、3つ以上のグリシジル基を含む。さらに、あるいは、架橋剤は、500以下(例えば、174~500の範囲内)の重量平均分子量を有することができる。さらに、架橋剤がエポキシドであるとき、架橋剤は、175以下(例えば、140~175の範囲内)の1エポキシド当たりの重量を有しうる。架橋剤は、25℃で500cP以下の粘度を有しうる。少なくともいくつかの実施形態において、架橋剤は、水に少なくとも部分的に不溶性である。この特性は、架橋反応時に架橋剤とセルロース繊維の接触を増加させるのに有用でありうる。好適な架橋剤の具体例としては、とりわけトリメチロールエタントリグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、およびトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが挙げられる。
得られたCMC試験方法
本開示全体にわたって、パルプの特性は、「得られたCMC」特性の点から特徴づけることができる。これらは、パルプを使用して、生成することができるCMCの特性であり、CMCがセルロース誘導体の代表例として働く。CMCが、本開示の実施形態によるパルプを使用して、生成することができる唯一のセルロース誘導体ではないことは理解されるべきである。本明細書に記載されている所与のパルプの得られたCMC特性は、以下の手順によって決まる。この手順について追加の詳細は、Nevell T.P.およびZeronian S.、Cellulose Chemistry and its Applications,Chapter 15-Cellulose Ethers(1985年)で見ることができ、その文献は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
最初に、CMCの置換度(DS)を決定する。CMCのDSが少なくとも1.0である場合、以下に指定されるように進行する。CMCのDSが1.0以下である場合、以下に指定されるように進行するが、(3.6gの代わりに)2.73gのモノクロロ酢酸(MCA)を使用する。
【0077】
3ODgの固形分約92重量%の(繊維化)パルプを80mLのイソプロパノール中でスラリーにする。8.0mLの30重量%NaOH(水性)溶液を3分にわたって添加する。懸濁液を20℃で1時間撹拌する。2.73gのMCAを(15.2mLのイソプロパノール中20.7重量%MCA溶液として)3分にわたって添加する。温度を25分で55℃に上げ、撹拌を3.5時間継続する。得られた繊維状CMCを濾過し、100mlの70%エタノール(v/v)(水性)で洗浄する。酢酸を用いて、試料を中性(pH7.0)にし、次いで濾過する。濾過ケークを20℃で100mlの70%エタノール(v/v)(水性)で再び洗浄し、濾過する。20℃にて100mlの70%エタノール(v/v)(水性)でもう1回洗浄し、次いで20℃にて100%変性エタノールでもう3回洗浄する、洗浄および濾過を繰り返す。試料を固形分70~85%に風乾する。風乾したCMC繊維をDI水に溶解し、強力に混合して(Waringブレンダー、3回の混合、各混合時間1分)、0.5重量%溶液を作製する。
【0078】
0.5重量%CMC溶液を、Brookfield粘度計でスピンドル2および50RPMを使用してASTM方法D2196-99に従って20℃で試験して、生じるCMCの粘度を決定する。
セルロースエーテル生成物
別の態様において、本開示は、約56cPより高い粘度を有する架橋セルロースエーテルを含むセルロースエーテル生成物を提供する。実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、90cPの粘度を有する。実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、約100cP~約400cPの範囲の粘度を有する。実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、表1に示され、実施例1に関連して本明細書でさらに論じられているように、90cP~130cPの範囲の粘度を有する。実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、表2に示され、実施例2および3に関連して本明細書でさらに論じられているように、約100cP~約300cPの粘度を有する。
【0079】
実施形態において、セルロースエーテル生成物は、本開示のパルプから形成される。本明細書でさらに論じられるように、ある特定の実施形態において、本開示のパルプは、クラフトパルプなどの低コストパルプである。本明細書でさらに論じられるように、高稠度架橋など本開示の方法のある特定の態様のため、およびパルプR18値、保水値など本開示のパルプのある特定の特性の結果として、そのようなパルプは、高グレードの高粘度セルロースエーテル生成物を作製するのに適している。
【0080】
実施形態において、セルロースエーテル生成物は架橋CMCである。CMCが本明細書で論じられるが、本開示のセルロースエーテル生成物は他のセルロースエーテル生成物を含むことが理解されよう。したがって、実施形態において、架橋セルロースエーテル生成物は、架橋メチルセルロース、架橋CMC、架橋ヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋ヒドロキシルエチルセルロース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0081】
実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、1,000kDa以上、1,500kDa以上、2,000kDa以上など約800kDより高い重量平均分子量を有する。実施形態において、セルロースエーテル生成物は、約900kDa~約4,000kDaの範囲の重量平均分子量を有する。実施形態において、セルロースエーテル生成物は、約1,000kDa~約2,500kDaの範囲の重量平均分子量を有する。
【0082】
ある特定の実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、約3以上のPDIを有する。実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、約4.5以上のPDIを有する。実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、4.5~約7の範囲のPDIを有する。実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、約5.0~約6.5の範囲のPDIを有する。
【0083】
本明細書でさらに論じられるように、本開示のセルロースエーテル生成物の比較的高い重量平均分子量およびPDIは、より低い分子量およびPDIを有する、ある特定の通常のパルプから調製されたセルロースエーテルなどセルロースエーテルより高い強度、弾性、およびせん断減粘性をもたらす。
【0084】
実施形態において、本開示のセルロースエーテル生成物は、乾燥質量で約2重量%以上(6重量%より高い、10重量%より高いなど)のヘミセルロースを含む。実施形態において、セルロースエーテル生成物は、乾燥質量で約2.5重量%~乾燥質量で約20重量%の範囲のヘミセルロースを含む。実施形態において、セルロースエーテル生成物は、乾燥質量で約2重量%~乾燥質量で約8重量%の範囲のヘミセルロースを含む。実施形態において、セルロースエーテル生成物は、ヘミセルロースを約12重量%で含む。本明細書でさらに論じられるように、そのような比較的高いヘミセルロース含有量がバルクをセルロースエーテル生成物に与える。
【0085】
実施形態において、セルロースエーテル生成物はCMCであり、約10重量%~約15重量%の範囲のヘミセルロース含有量を有する。実施形態において、セルロースエーテル生成物はCMCであり、約12重量%のヘミセルロース含有量を有する。
【0086】
実施形態において、セルロースエーテル生成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのメチルセルロース(MC)であり、約2重量%~約8重量%の範囲のヘミセルロース含有量を有する。
ブレンドパルプ
別の態様において、本開示は、本開示によるパルプおよび第2のパルプを含むブレンドパルプを提供する。いかなる実施形態においても、第2のパルプは未架橋パルプである。
【0087】
実施形態において、ブレンドパルプは、25重量%より高い、50重量%より高い、75重量%より高い量の本開示の架橋パルプを含む。
実施形態において、本開示のブレンドパルプは、銅エチレンジアミン(cuen)などの溶媒によって接触された後不溶解のままの繊維の量によって特徴づけることができる。実施形態において、ブレンドパルプは、cuenと接触させた後10重量%超、15重量%超、20重量%超、30重量%超が不溶解のままである。例えば、表10および実施例13を参照のこと。
【0088】
表10および実施例13にも示されるように、本開示のブレンドパルプは、本開示のパルプを含まないパルプより高いカールおよびキンクを有する。さらに、そのようなカールおよびキンクは、その中でブレンドされている本開示の架橋パルプの割合に比例している傾向がある。より高いカールおよびキンクが、誘導体化反応時における繊維の接近可能性の増大などに望ましいことがある。
【0089】
したがって、実施形態において、本開示は、第1の繊維キンク値を有する、本開示の実施形態のいずれかによる第1のパルプと、第1の繊維キンク値と異なる第2の繊維キンク値を有する第2のパルプとを含むブレンドパルプを提供する。実施形態において、繊維キンク値は、1メートル当たりのキンク数である。例えば、表10を参照のこと。別の実施形態において、キンク値はキンク角である。やはり表10を参照のこと。
【0090】
実施形態において、第1のパルプは、第1のパルプR18値を有し、第2のパルプは、第1のパルプR18値とは異なる第2のパルプR18値を有する。別の実施形態において、第1のパルプはcuenに部分溶解性である。ある特定の実施形態において、第1のパルプはcuenに不溶性である。
【実施例
【0091】
実施例1
パルプの高稠度架橋およびそれから作製されたカルボキシメチルセルロース
この実施例は、極めて高い粘度パルプをSWおよびHWの両パルプから作製するためのAndritz(商標)およびLoedige(商標)ミキサーなどの高稠度ミキサーの使用を含む、パルプを架橋する改良プロセスを明らかにする。高粘度パルプは、セルロース誘導体用途の市場における高価な高粘度CLPまたは木材パルプに取って代わることができる。これらの高稠度反応器は、さらに化学薬品の使用を大幅に低減することができる。
【0092】
本明細書でさらに論じられるように、実験試料2A~2Cを、市販のCLP、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,771,687号で調製されたようなDWPサルファイトパルプ、および市販のNB416パルプと比較する。表1に示されるように、試料2A~2Cは、通常入手可能なパルプと比べて高ヘミセルロース濃度、高重量平均分子量、高PDI、および高い生じるCMCの粘度を有する。
試料2A
この実施例における架橋パルプを調製するための出発物質は、New Bern mill,International Paper Company社の乾燥された漂白NB416パルプであった。パルプを、パルパー中、(蒸気によって加熱して)90℃で水に分散(固形分5%)して、スラリーを形成し、供給タンク中で固形分4重量%に希釈した。得られたスラリーは、固形分40重量%にプレスされたツインワイヤであった。パルプは、約65℃でツインワイヤプレスから出て、インラインのピンミルにかけた。温かいパルプをAndritz(商標)高稠度ミキサーに10ODkg/分の速度で供給し、5重量%NaOH(水性)および20重量%Heloxy 48/80重量%水の乳濁液と(歯車ポンプで)同時に混合した。Heloxy 48乳濁液は、Heloxy 48をDI水と(ライティングミキサーまたはブレンダーを使用して)高速混合下にブレンドすることによって調製した。Heloxy 48は乳濁液の形をしており、Heloxy 48を高速混合下にDI水中で混合することによって調製した。炉乾燥パルプへのNaOHおよびHeloxy 48の添加は、それぞれ2重量%および5重量%である。化学薬品と混合したパルプを蒸気で処理して、温度を約75℃で維持し、貯蔵塔に放出し、そこで温度を蒸気で75℃に維持した。塔のパルプ混合物は、約30%~38%の稠度を有し、塔におけるパルプ滞留時間は60分である。60分の滞留時間後に、パルプを塔から10ODkg/分の速度で放出し、タンクに回収して、酢酸で中和した(pH4.5~5.0、3%パルプ稠度、および10~15C)。中和パルプをプレスして、その後の処理のために固形分約40%にした(抄紙機を用いて、0.50g/cm~0.80g/cmのシート密度でロールを形成し、実験室試験用にフレークとして風乾した)。このパルプは、93%のパルプR18値を有する。
【0093】
CMC試料を、本明細書の他の箇所で記載されている架橋パルプから調製した。0.5重量%CMC溶液粘度は128cPであった(本明細書の他の箇所で記載されているように8mlの30重量%NaOH(水性)および2.73グラムの記載のMCAを使用することによりDS 0.95)。Brookfield粘度計を用いてスピンドル2および速さ50RPMを使用して、すべてのCMCの粘度を決定した。NB416出発パルプは、0.5重量%CMC(DS 0.95)粘度が約33cPであった。
【0094】
GPCについては、CMC試料を約0.5mg/mLの水溶液として送達した。溶液の比較的高い粘度のために、10mLの送達された溶液を超純水で25mLに希釈した。これは、約2mg/mLの試料濃度に対応する。希釈後に、清澄な溶液を1μmのナイロンメンブランによって濾過した。あらゆるCMC試料溶液を2回注入した。調査した試料の平均モル質量、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(MWD)またはPDIを表1にまとめる。
【0095】
上記の試料2A、下記の2B、2C、3A~3Cおよび4A~4CのCMC溶液のMWDを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー-多角度光散乱(GPC-MALS)で分析した。
GPC実験装置は以下の通りであった:
装置:
・分離モジュールAlliance 2695、(Waters社)
・屈折率検出器2414、(Waters社)
・レーザー光度計Dawn-HELEOS(Wyatt Technology Inc.社)波長λ=658nmおよびK5フローセル
・PC制御Empowerソフトウェア3、(Waters社)
・Astraソフトウェア5.3.4.20を用いたGPC-MALSの評価(Wyatt Technology Inc.社)
GPC条件:
・GPC-カラムセット:Suprema;(Polymer Standards Service GmbH PPS社)
・GPC-炉温度:30℃
・溶離液:0.2m NaNOを含む超純水
・流速:0.8mL/分
・検出器:RI(30℃)
・レーザー光度計Dawn Heleos、658nm
・注入量:100μl
・試料濃度:約0.2mg/mL、dn/dc、0.163mL/g
試料2B
この試料の架橋パルプを調製するための出発物質は、New Bern mill,International Paper Company社の乾燥された漂白NB416パルプであった。パルプを、パルパー中、(蒸気によって加熱して)90℃で水に分散(固形分5%)して、スラリー(供給タンク中で固形分4重量%)を形成し、ツインワイヤプレスして、固形分40重量%にした。温かいパルプをAndritz(商標)高稠度ミキサーに10(OD)kg/分の速度で供給し、5重量%NaOH(水性)および20重量%Heloxy 48/80重量%水の乳濁液と(歯車ポンプで)同時に混合した。炉乾燥パルプへのNaOHおよびHeloxy 48の添加は、それぞれ1重量%および4重量%である。化学薬品と混合したパルプを蒸気で処理して、温度を約65℃で維持し、貯蔵塔にポンプで汲み上げ、約65℃で温度制御した。塔のパルプ混合物は、約30%~38%の稠度を有し、塔におけるパルプ滞留時間は約60分であった。60分の滞留時間後に、パルプを塔から10(OD)kg/分の速度で放出し、タンクに回収して、中和した(pH4.5~5.0)。中和パルプをその後のプロセスのためにプレスし、または風乾した。CMC試料を、本明細書の他の箇所で記載されているパルプから調製した。
【0096】
0.5重量%CMC(DS 0.95)溶液粘度は71cPであった。NB416出発パルプは、0.5重量%CMC(DS 0.95)粘度が約33cPであった。
試料2C
この試料の架橋パルプを調製するための出発物質は、New Bern mill,International Paper Company社の乾燥された漂白NB416パルプであった。パルプを、パルパー中、20℃で水に分散し、遠心して、固形分40重量%にし、ピンミルでふわふわにした。26.8kg(10ODkg)の湿潤パルプ(20℃)をLoedige(商標)高稠度反応器(10kg/バッチ)に供給し、(混合しながら)温度を75℃に上げた。0.2kgのNaOH(水性)(50重量%)を、最初に反応器中のパルプに15秒で注入し、次に1kgの温水を注入した。次いで、2kgの20重量%Heloxy 48/80重量%乳濁液を混合物に注入し、次に1kgの温水を注入した。各注入間は2分であり、注入時間は15秒であった。パルプ(OD)へのNaOH(水性)およびHeloxy 48乳濁液の添加は、それぞれ1重量%および4重量%であった(苛性物質、Heloxy 48および水を同時に混合/注入して、同様の結果を達成することができる)。化学薬品とのパルプ混合物を反応器の内側で、75℃にて高速で5分間および低速で55分間の合計60分間混合した。反応器中のパルプ混合物は、約32%の稠度を有した。60分の滞留時間後に、パルプ混合物を酢酸で中和し、放出して、洗浄した。洗浄パルプを乾燥し、CMCを本明細書の他の箇所で記載されている試料から調製した。この試料からの0.5重量%CMC(DS=0.95)溶液粘度は95cPであった。NB416出発パルプは、0.5重量%CMC(DS=0.95)粘度が約33cPであった。
試料2C1
New Bern mill社の乾燥されていないNB416を化学薬品と混合した点以外は、上記の試料2Cを繰り返した。最終パルプ稠度は32%であり、パルプからの0.5重量%CMC(DS=0.95)溶液粘度は110cPであった。DSが1.25であった場合(8mlの30重量%NaOH(水性)および3.6グラムの本明細書の他の箇所で記載されているMCA)、パルプからの0.5重量%CMC溶液粘度は298cPであった。
【0097】
【表1】
【0098】
実施例2
高稠度架橋およびアルカリ抽出ステップを含む架橋パルプを作製する方法
この実施例は、CLPの高稠度架橋を使用して、架橋パルプを調製する方法を明らかにする。示されるように、得られたCMCは、例えば高い粘度、分子量、およびPDIを有する。
【0099】
1589ml/gのSCAN粘度を有する20グラムのCLPをプラスチック袋に入れ、炉中、35℃で温めた。次いで、温かいCLPを、プラスチック袋中、(予め35℃に温めた)480グラムの8重量%NaOH(水性)と35℃で15分間混合した。CLPスラリーを3等分(A、BおよびC)に分け、等しい重量の各パート(166グラム、6.64グラムのCLPを含む)をプラスチック袋に保存した。
試料3A(パートA:約166グラム、6.64グラムのパルプ)
2.6グラムの10重量%H48/90重量%水乳濁液を、袋中のパルプ/苛性物質混合物(パートA)(パルプ上に3.92重量%H48、パルプ稠度4%)に添加し、袋中の混合物を手で徹底的に混合し、袋を35℃の炉に入れ、温度を5分で50℃に上げた。温度を40分間維持した(50℃の炉)。40分後に、パルプスラリーをDI水で洗浄し、酢酸で中和し、DI水で再び洗浄し、85℃の炉中で乾燥して、試験した。
試料3B(パートB:約166グラム、6.64グラムのパルプ)
パルプスラリーパートBを濾過して、できる限り苛性物質を除去した(約141グラム)。次いで、一部の濾液(6グラム)および2.6グラムの10重量%H48/90重量%乳濁液を混合し、次いで袋中のパルプ/苛性物質混合物(濾過後のパートB)に添加して、最終重量約33グラムとした(パルプ上に3.92重量%H48、パルプ稠度約20%)。袋中の混合物を手で徹底的に混合し、袋を35℃の炉に入れ、温度を5分で50℃に上げた。温度を40分間維持した(50℃の炉)。40分後に、パルプスラリーを洗浄、中和、再び洗浄、および乾燥し、3Aに記載されているように試験した。
試料3C(パートC:約166グラム、6.64グラムのパルプ)
パルプスラリーパートCを濾過して、苛性物質を除去した(133グラム除去)。次いで、133グラムのDI水をパルプに添加し、混合物を混合した。次いで、141グラムの液体を再び濾過した(新しい濾液)。このとき、混合物は苛性物質濃度が低下した。次いで、一部の新しい濾液(6グラム)および2.6グラムの10重量%H48/90重量%水乳濁液を混合し、次いで袋中の上記のパルプ/苛性物質混合物(苛性物質濃度が低下したパートC)に添加して、最終重量約33グラムとした(パルプ上に3.92重量%H48、パルプ稠度20%)。袋中の混合物を手で徹底的に混合し、袋を35℃の炉に入れ、温度を5分で50℃に上げた。温度を40分間維持した(50℃の炉)。40分後に、パルプスラリーを洗浄、中和、再び洗浄、および乾燥し、3Aに記載されているように試験した。
【0100】
対照、3A、3Bおよび3Cからの0.5重量%CMC(DS=1.0)溶液粘度(Brookfield粘度計、すべての試験でスピンドル2、速さ50RPM)は、表2に示されるようにそれぞれ55cP、79cP、150cP、120cPである。
【0101】
実施例3
高温における高稠度架橋およびアルカリ抽出ステップを含む架橋パルプを作製する方法
この実施例は、高い架橋温度におけるCLPの高稠度架橋を使用して架橋パルプを調製する方法を明らかにする。示されるように、得られたCMCは、例えば高い粘度、分子量、およびPDIを有する。
試料4A~4C
架橋温度が50℃の代わりに75℃であった点以外は、実施例3における(試料3A、3Bおよび3Cについての)試験を再び繰り返して、それぞれ試料4A、4Bおよび4Cを作製した。4A、4Bおよび4Cからの0.5%CMC(DS=1.0)溶液粘度(Brookfield粘度計、スピンドル2、速さ50RPM)は、それぞれ109cP、124cP、300cPである。
【0102】
結果を表2に示す。CMC溶液を分析し、データを表2に示す。
結論:高稠度架橋は、より低いコストで得られたCMCの粘度を上昇させた。例えば、試料3B対試料3Aおよび試料4B対試料4Aを参照のこと。抽出段階は、より高い架橋温度で品質を改善し、より高いCMCの粘度をもたらした。例えば、試料4C対試料3Cを参照のこと。さらに、改良プロセスを使用した架橋木材パルプ(実施例1)からのCMCも架橋CLP(実施例2)からのCMCも、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,828,725号に記載されている架橋パルプよりはるかに高い溶液粘度、PDIおよびMwを有するものであった。
【0103】
【表2】
【0104】
実施例4
92%より高いR18値を有する架橋パルプを作製する方法
この実施例は、架橋性反応物を順次投入するステップを含む本開示の実施形態による架橋パルプを調製する方法を明らかにする。示されるように、この実施例に従って作製されたパルプは、高い生じるCMCの粘度および高R18値を有する。
試料5A:
この試料の架橋パルプを調製するための出発物質は、New Bern mill,International Paper Company社の乾燥された漂白NB416パルプであった。パルプを、パルパー中、20℃で水に分散し、150メッシュスクリーンで脱水し、遠心して、固形分40重量%にし、ピンミルでふわふわにした。26.8kg(OD 10kg)の湿潤パルプ(20℃)をLoedige(商標)高稠度反応器(10kg/バッチ)に供給し、(80RPMで混合しながら)温度を75℃に上げた。0.6kgのNaOH(水性)(50重量%)を、反応器中のパルプに約5秒で注入し、次に1kgの温水を注入した。次いで、2.5kgの20重量%Heloxy 48/80重量%水乳濁液を混合物に注入し、次に1kgの温水を注入した。各注入間は2分であった。パルプ(OD)へのNaOHおよびHeloxy 48の添加は、それぞれ3重量%および5重量%である。化学薬品とのパルプ混合物を5分間混合し、合わせて55分間、75重量%、120RPMで混合し、反応器の内側の温度を約75℃、25重量%、40RPMで55分間維持した。反応器中のパルプ混合物は、約32%の稠度を有した。60分の滞留時間後に、パルプ混合物を0.45kgの酢酸で中和し、放出して、DI水で洗浄した。洗浄パルプを乾燥した。パルプのR18は93.7%であり、出発パルプNB416は88%のR18を有する。CMCをこの試料から調製した。試料からの0.5重量%CMC(水性)(DS=1.25)溶液粘度は、313cPである(本明細書でさらに記載されるように、パルプSCAN IVの計算値は2304ml/gである)。NB416パルプは、約40cPの0.5%CMC(DS=1.25)粘度を有するものであった。
試料5B
パルプ添加後に4.5kgの水を添加した点以外は、試料5Aのようにして試料5Bを調製した。最終パルプ稠度は27.5%であった。架橋パルプは、92.7%のR18値を有するものであった。パルプからの0.5重量%CMC(DS=1.25)粘度は190cPであった。
試料5C
パルプ添加後に8.1kgの水を添加した点以外は、試料5Aのようにして試料5Cを調製した。最終パルプ稠度は25%であった。架橋パルプは、92.4%のR18値を有するものであった。パルプからの0.5重量%CMC(DS=1.25)粘度は170cPであった。
試料5D
Mogi工場からの乾燥ユーカリパルプを化学薬品と混合した(パルプ上に1重量%NaOH(水性)および4重量%H48(水性乳濁液))点以外は、試料5Aのようにして試料5Bを調製した。最終パルプ稠度は32%であった。架橋パルプは、93.8%のR18値を有するものであった。このパルプからの0.5重量%CMC(DS=1.0)溶液粘度は65cPであった。
【0105】
実施例5
苛性物質および架橋剤の適用によって架橋パルプを作製して、パルプを乾燥および半乾燥させる方法
この実施例は、架橋性反応物の適用を含んで架橋パルプを調製して、パルプを乾燥または半乾燥させる方法を提供する。示されるように、そのような方法に従って作製されたパルプは、比較的高いR18値を有し、得られたCMCは、活発な混合ステップなしで高粘度を有する。
【0106】
25グラムのNew Bern International Paper Company社の(OD)NB421シートを、6.2グラムのHeloxy 48、4.8グラムの50重量%NaOH(水性)、および157グラムの水の混合物に1分間浸漬した。浸漬したパルプシートをステンレス製のローラーで数回プレスして、42%の最終パルプシート稠度をもたらした。パルプへのNaOHおよびHeloxyの添加は、それぞれ約2重量%および5重量%である。プレスパルプシートを2片に分け、カバー付きのガラスビーカーに入れて(水蒸発を制限し)、120℃の炉中で10および20分間乾燥した。半乾燥パルプシートを完全に乾燥する前に中和および洗浄した。10分間および20分間乾燥させたシートからの0.5重量%CMC溶液は、それぞれ82cPおよび130cPの粘度を有するものであった。
【0107】
実施例6
パルプの濾過における洗浄pHおよび苛性物質抽出
この実施例は、本開示の方法に従って調製されたパルプを低pH溶液で洗浄して、パルプ中に分散されている金属、灰、およびシリカのレベルを低減することを明らかにする。
【0108】
高粘度クラフトパルプをpH<7、<6、<5、<4で酸洗浄して、金属(Ca、Fe、Mn、Ni、Co、Cr、Cuなど)を除去し、灰(いずれの酸を使用しても、pHを調整することができる)およびシリカを減少させた。酸洗浄後に、パルプスラリーのpHを、ヘッドボックスに入る際にまたは入る前にpH>4、>5、>6または>7に調整して、残留酸を中和することができる。パルプ中の残留酸は、最終乾燥時にパルプ分解および粘性損失を引き起こすおそれがある(表3)。パルプ粘度を架橋反応時に維持した。パイロット生成において、試料2Aに関連して本明細書でさらに論じられるように調製された架橋パルプを水に3%稠度で分散し、スラリーpHを酢酸でpH4.5~5に調整した。この洗浄パルプは、パイロットにおいて酸洗浄なしで調整されたパルプと同様のCMCの粘度を有するものであった(表2)。パイロット洗浄パルプは、2310ml/gのSCANのCLPより高いCMCの粘度をもたらした。これらのパルプは、表3に示されるように、灰、Ca、Fe、シリカなども低かった。パイロット洗浄試料は、最後に約4.8のヘッドボックスpH(貯蔵浸透水および酢酸を使用)でロールに形成され、これらのパルプは、灰、Ca、Fe、シリカなどがはるかに低かった。
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
実施例7
苛性物質の洗浄および再使用を伴う高稠度パルプからの架橋ユーカリ(Eucalyptus)パルプ
Saillat mill,International Paper社の乾燥された混合硬材を化学薬品(パルプ上に1重量%NaOH(水性)および4重量%H48(水性乳濁液))と混合した点以外は、上記の試料5Dを繰り返した。最終パルプ稠度は32%であった。架橋パルプは、94.1%のR18値を有するものであった。パルプからの0.5重量%CMC(DS=1.0)溶液粘度は、架橋パルプをそれぞれpH4、3、および2で洗浄すると約63cP、50cP、40cPであった。パルプを低すぎるpHで洗浄すると、パルプを分解するおそれがあることが認められている。
【0112】
パルプ洗浄および溶出液処理を向上させるために、架橋反応器からの高粘度パルプを(プロセス水または工場からの酸性水で)固形分>30重量%から10重量%以下に希釈することができる。希釈されたスラリーを高稠度にプレスして、濾液を残留苛性物質、架橋剤などとともに放出する。濾液中の苛性物質をパルプ化および漂白状態で再使用することができ、濾液中のいずれの有機化学薬品も再使用時においても分解される可能性がある。プレスパルプを再び酸性水で低pHに希釈して、ストックに回す前に金属(Ca、Fe、Cu、Mn、Mgなど)を除去した。ストックを使用して、ヘッドボックスにおけるような形成段階で可能なpH調整によりパルプロールまたはベールを形成した(例えば、ヘッドボックスpHは4~8でありうる)。
【0113】
実施例8
高粘度パルプからのメチルセルロース
セルロース(CELL)パルプを粉砕して、粉末にし、ジエチルエーテル(DEE)に懸濁し、50重量%NaOH(水性)溶液を添加した。室温でアルカリ化した後、塩化メチル(MeCl)を反応器に添加し、温度を85℃に上げた。反応時間は、この温度で2時間であった。冷却した後、混合物を真空濾過によって回収し、中和し、熱水で4回洗浄した。プロピレンオキシド(PO)を添加することによって、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)も調製した(表5)。
【0114】
誘導体化セルロースのAGUにおけるDSおよび置換基の分布の決定のために、試料をトリフルオロ酢酸で加水分解し、DOに溶解し、高分解能液体13C-NMRで分析した。表5を参照のこと。測定は、核オーヴァーハウザー効果がない定量的方法を用いて、400MHz分光計(Varian社)において100MHzで行われた。(「Characterization of cellulose and cellulose derivatives in solution by high resolution 13C-NMR spectroscopy」、I.Nehls,W.Wagenknecht,B.Philipp,D.Stscherbina、Prog.Polym.Sci.,1994年、19巻、29~78頁を参照のこと)。
【0115】
2重量%水性溶液の粘度は、回転式粘度計(VT550、Haake)を使用して、20℃において円錐形シリンダー(MV-DIN)で測定した。せん断粘度をせん断速度=2.55sー1で決定した。
【0116】
【表5】
【0117】
実施例9
CMC粘性の変動係数
本開示は、本明細書に記載されている方法が、通常入手可能なCMCと比較して低変動係数(COV)を有する粘度のCMCを調整する際に有用なパルプを提供することを明らかにする。
【0118】
比較のパルプクラフトBの調製および特徴については、米国特許第9,771687号の実験例13および表12に記載されており、その文献は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。パルプの比較クラフトAの調製および特徴については、米国特許第9,771687号の実験例8および表8に記載されている。
【0119】
【表6A】
【0120】
CMCの粘度のCOV 試料クラフトAおよびクラフトBは38%である。
試料2Cについて本明細書でさらに記載されるように機器および条件を使用して、架橋パルプの複数のバッチを調製し、生じるCMCの粘度は、20~36%のCMC COVを有した。表6Bを参照のこと。この点で、より高い稠度架橋は、より均一な反応環境をもたらし、したがってCMCの粘度のCOVははるかに低くなる。
【0121】
【表6B】
【0122】
さらに、(NaOHおよび架橋剤がパルプ上にそれぞれ2重量%および3.5重量%である点以外は)試料2Aおよび2Bに関連して本明細書でさらに記載される機器を使用して、架橋パルプの複数のバッチを調製し、生じるCMCの粘度は、10%~12%というさらに低いCMC COVを有するものであった。表6Cを参照のこと。
【0123】
【表6C】
【0124】
実施例10
本開示のパルプの保水値
プロセス最適化のために、架橋パルプは、より高い架橋密度および低減されたWRVを有するものであった。
【0125】
【表7】
【0126】
実施例11
本開示のパルプのヘミセルロース含有量
本開示は、本開示の方法に従って作製されたパルプのヘミセルロースレベルを明らかにする。
【0127】
架橋パルプおよびCMCは、実施例1の試料2Aに関連して本明細書でさらに記載されるように調製した。
HPLCを使用して、加水分解されたパルプおよびエーテル中で糖モノマーを検出した。グルコース、キシロースおよびマンノースのような主な糖を検出することができ、対応するグルカン、キシランおよびマンナン含有量を計算することができる。誘導体化のために、エーテル中の糖重量%は、セルロースパルプ中より低い。キシラン比は、グルカン、キシランおよびマンナンの合計中のキシランの%として計算される。マンナン比は、グルカン、キシランおよびマンナンの合計中のマンナンの%として計算される。ヘミセルロース%は、キシラン比およびマンナン比の合計である。
【0128】
表8に示されるように、架橋パルプ試料は、10重量%~20重量%の範囲のヘミセルロース重量%を有し、それから作製されたCMCは、約12重量%のヘミセルロース重量%を有し、それから作製されたMCは、2重量%~8重量%の範囲のヘミセルロース重量%を有した。
【0129】
【表8】
【0130】
実施例12
本開示のパルプのアルカリイオン変動係数
架橋時に、本明細書に記載されているパルプは、高稠度を有する。したがって、その中に分散されているナトリウムイオンなどのアルカリイオンは、改善された混合方法のために、より不十分な混合によって、より低い稠度で通常架橋されているパルプにおいて、より均等に分布されている。この実施例において、ナトリウムはNaOHに由来するものであり、架橋剤およびパルプと混合されて、架橋される。ナトリウムイオン濃度COVは、混合の有効性の一測定基準である。
【0131】
以下の表9に示すように、本開示の方法に従って作製されたパルプは、5未満などの低ナトリウムイオン濃度COVを有する。湿潤パルプ試料を架橋反応器から取り出し、乾燥して、金属分析を行った。
【0132】
【表9】
【0133】
実施例13
ブレンドパルプ
本開示の架橋パルプを、未架橋パルプ、この場合はNB416、とブレンドすることによって、本開示のパルプを含むブレンドパルプを調製した。
【0134】
以下の表10に示されるように、ブレンドパルプは、キンク角がより大きく、cuenなどの溶媒中の繊維不溶解の割合が大きかった。さらに、そのようなブレンドパルプは、より高いカール百分率およびキンクを有するものであった。
【0135】
【表10】
【0136】
実施例14
多回架橋剤投入
(5重量%架橋剤で処理された)試料2Aに関連して本明細書でさらに論じられている方法に従って作製されたパルプの2回目の架橋を、全架橋剤投入量が15~20重量%として行った。表11に示されるように、これらの架橋パルプ(2E、2F)は、はるかに高い粘度および>94%のR18を有するものであった。
【0137】
【表11】
【0138】
試験方法および頭字語
約(aboutおよびapproximately)は、明記された値のプラスまたはマイナス5%を指す。
灰分:TAPPI T 211 om-07によって決定。
ASTM:米国材料試験協会
CMC:カルボキシメチルセルロース
CLP:コットンリンターパルプ
変動係数(COV):標準偏差と平均値の比として定義。
稠度:パルプの稠度(C)は、試料の乾燥重量(Wd)を試料の全重量(Wt)で割った商によって決まり、百分率として表される。稠度は、C=(Wd/Wt)×100として表すことができる。稠度は、TAPPI/ANSI T 240 om-12によって測定されてもよい。
結晶化度:Lionettoら、「Monitoring Wood Degradation during Weathering by Cellulose Crystallinity」、Materials、5巻、1910~1922頁(2012年)の対応する方法によって決定され、その文献は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
Cuen溶解度:ASTM-D1795-96の条件下における銅エチレンジアミンに対する溶解性。
カール指数:米国特許第6,685,856号に開示された対応する方法によって決定され、その文献は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
重合度:ASTM-D1795-96によって測定されたセルロース分子中のD-グルコースモノマーの数。平均重合度は、セルロースポリマー集団における1セルロースポリマー当たりの平均D-グルコース分子数を指す。
置換度(DS):ASTM D 1439-03によって決定。
DWP:溶解木材パルプ
ヘミセルロース含有量:米国特許第7,541,396号の実施例6および7に記載されている方法により決定されたマンナンおよびキシラン含有量の合計。その文献は全体として参照により本明細書に組み込まれる。この試験は、TAPPI T 249 cm00に基づいて、Dionexイオンクロマトグラフィーによって分析。
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
ISO:国際標準化機構
キンク:バルメットFS5繊維画像分析装置を使用して決定。
キンク角:バルメットFS5繊維画像分析装置を使用して決定。
カッパ価:ISO 302:2004によって決定。
MCA:モノクロロ酢酸
炉乾燥(OD):7重量%以下の水分まで乾燥。
R18:TAPPI T 235 cm-00によって測定。
生じるCMCの粘度:本明細書に記載されている得られたCMC試験方法に従った、得られたCMCの0.5%溶液の粘度を指す。
TAPPI:米国紙パルプ技術協会
遷移金属含有量:EPA SW-856方法3050、200.8によって決定。
EPA:米国環境保護庁
保水値(WRV):TAPPI T UM256M(2011)によって決定。
【0139】
例示的な実施形態を説明および記載してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更をその中で行うことができると認識されている。
排他的な特性または特権が特許請求される本発明の実施形態を、以下の通り定義する。
[発明の態様]
[1]
架橋セルロース繊維を含むパルプであって、
93%以上のパルプR18値を有するパルプ。
[2]
架橋セルロース繊維を含むパルプであって、
30%未満の、生じるカルボキシメチルセルロース(CMC)の粘度の変動係数(COV)、および
92%より高いパルプR18値
を有するパルプ。
[3]
架橋セルロース繊維を含むパルプであって、
0.8g/g~1.0g/g未満の範囲の保水値(WRV)、および
89%より高いパルプR18値
を有するパルプ。
[4]
99以上のR18値、および
0.6g/g~0.8g/gの範囲の保水値
を有する架橋リンターパルプ。
[5]
ヘミセルロースを乾燥質量で約6重量%以上含む、1から4のいずれか一項に記載のパルプ。
[6]
56センチポアズ(cP)より高い、生じるCMCの粘度を有する、1から5のいずれか一項に記載のパルプ。
[7]
約100cP~約400cPの範囲の生じるCMCの粘度を有する、1から6のいずれか一項に記載のパルプ。
[8]
約800キロダルトン(kDa)より高い得られたCMC重量平均分子量を有する、1から7のいずれか一項に記載のパルプ。
[9]
約900kDa~約4,000kDaの範囲の得られたCMC重量平均分子量を有する、1から8のいずれか一項に記載のパルプ。
[10]
パルプR18値が93%~約100%の範囲である、1から3のいずれか一項に記載のパルプ。
[11]
約3以上の得られたCMC多分散指数(PDI)を有する、1から10のいずれか一項に記載のパルプ。
[12]
架橋セルロース繊維が、2つ以上のグリシジル基を有するグリシジルエーテル架橋剤を含む、1から11のいずれか一項に記載のパルプ。
[13]
0.8g/gより高い保水値(WRV)を有する、1から3のいずれか一項に記載のパルプ。
[14]
0.8g/g~1.0g/g未満の範囲のWRVを有する、1または2に記載のパルプ。
[15]
乾燥質量で約6重量%~乾燥質量で約30重量%の範囲のヘミセルロースを含む、1から14のいずれか一項に記載のパルプ。
[16]
クラフトパルプである、1から3のいずれか一項に記載のパルプ。
[17]
ワラパルプである、1から3のいずれか一項に記載のパルプ。
[18]
コットンリンターパルプである、1から15のいずれか一項に記載のパルプ。
[19]
架橋セルロースエーテルを含むセルロースエーテル生成物であって、架橋セルロースエーテルが、
約56cPより高い粘度を有し、
1から18のいずれか一項に記載のパルプから形成されている、
セルロースエーテル生成物。
[20]
架橋メチルセルロース、架橋CMC、架橋ヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋ヒドロキシルエチルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択される、19に記載のセルロースエーテル生成物。
[21]
約3以上のPDIを有する、19に記載のセルロースエーテル生成物。
[22]
約800kDより高い重量平均分子量を有する、19に記載のセルロースエーテル生成物。
[23]
約900kDa~約4,000kDaの範囲の重量平均分子量を有する、19に記載のセルロースエーテル生成物。
[24]
ヘミセルロースを乾燥質量で約2重量%以上含む、19に記載のセルロースエーテル生成物。
[25]
乾燥質量で約2.5重量%~乾燥質量で約20重量%の範囲のヘミセルロースを含む、19に記載のセルロースエーテル生成物。
[26]
第1の繊維キンク値を有する、1から18のいずれか一項に記載の第1のパルプと、
第1の繊維キンク値と異なる第2の繊維キンク値を有する第2のパルプと
を含むブレンドパルプ。
[27]
第1のパルプが、第1のパルプR18値を有し、第2のパルプが、第1のパルプR18値とは異なる第2のパルプR18値を有する、26に記載のブレンドパルプ。
[28]
第1のパルプが、銅エチレンジアミン(cuen)溶液に部分溶解性である、26に記載のブレンドパルプ。
[29]
第1のパルプが、cuen溶液に不溶性である、26に記載のブレンドパルプ。
[30]
パルプを作製する方法であって、
セルロース系供給原料を蒸解して、パルプを形成すること、
パルプを漂白して、漂白パルプを形成すること、
漂白パルプ内のセルロース繊維を架橋剤で架橋して、架橋パルプを形成すること、ここで架橋時において、漂白パルプが30%より高い稠度を有し、架橋パルプのR18値が92%より高い、ならびに
架橋パルプを乾燥すること
を含む方法。
[31]
漂白パルプを架橋することが、アルカリ性水酸化物を漂白パルプに供給するおことを含み、該方法が、セルロース繊維を架橋した後、架橋パルプからアルカリ性水酸化物を抽出することをさらに含む、30に記載の方法。
[32]
漂白パルプを架橋することが、アルカリ性水酸化物および架橋剤を漂白パルプに複数回供給することを含む、31に記載の方法。
[33]
アルカリイオン濃度の変動係数が10%未満である、30に記載の方法。
[34]
架橋パルプを、ロール、ベール、およびフラッフからなる群から選択される形態に形成するステップをさらに含む、30に記載の方法。
[35]
30に記載の方法に従って形成された架橋パルプ。
[36]
パルプを作製する方法であって、
木質繊維を架橋剤およびアルカリ性水酸化物と接触させること、ここで木質繊維が約0重量%~約50重量%の範囲の含水率を有する、
木質繊維、架橋剤、およびアルカリ性水酸化物を加熱して架橋木質繊維を得ること、ならびに
架橋木質繊維を洗浄して、未反応の架橋剤およびアルカリ性水酸化物を除去すること
を含み、架橋後のパルプのR18値が93%以上である、
方法。
[37]
アルカリ性水酸化物を回収することをさらに含む、36に記載の方法。
[38]
架橋パルプを中和して中和パルプを得ること、
中和パルプを洗浄して洗浄パルプを得ること、ならびに
洗浄パルプを乾燥すること
をさらに含む、36に記載の方法。
[39]
36に記載の方法に従って形成されたパルプ。
[40]
架橋セルロースパルプを作製する方法であって、
セルロース系パルプを水酸化アルカリで4%より高い稠度にて活性化して活性化パルプを得ること、
活性化パルプから水酸化アルカリを除去すること、ならびに
活性化パルプを架橋剤で20%より高い稠度および30℃~95℃の範囲の温度にて架橋して架橋パルプを得ること
を含む方法。
[41]
架橋パルプを洗浄およびプレスしてプレスパルプを得ることをさらに含む、40に記載の方法。
[42]
プレスパルプを希釈および中和することをさらに含む、41に記載の方法。
[43]
活性化パルプから除去された水酸化アルカリを回収することをさらに含む、40に記載の方法。
[44]
架橋パルプを乾燥することをさらに含む、40に記載の方法。
[45]
40に記載の方法に従って形成されたパルプ。
図1
図2
図3
図4