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特許7510358TRK受容体の調節剤としての4-置換フェニル-1,3,5-トリアジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】TRK受容体の調節剤としての4-置換フェニル-1,3,5-トリアジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/10 20060101AFI20240626BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20240626BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
C07D403/10 CSP
A61P1/10
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/10
A61P9/10
A61P21/02
A61P25/02
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P27/02
A61P27/16
A61P39/02
A61P25/00
A61K31/53
C07D403/12
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2020570716
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 GB2019051853
(87)【国際公開番号】W WO2020002950
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】1810668.2
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519220892
【氏名又は名称】アルゼキュア ファーマ アーべー
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ノルドヴァル, グンナー
(72)【発明者】
【氏名】フォーセル, ポンタス
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-007133(JP,A)
【文献】国際公開第2011/150347(WO,A2)
【文献】EXPERT OPINION ON THERAPEUTIC PATENTS,2017年,VOL.27, NO.6,733-751
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 403/10
A61P 1/10
A61P 3/00
A61P 3/04
A61P 3/10
A61P 9/10
A61P 21/02
A61P 25/02
A61P 25/04
A61P 25/08
A61P 25/14
A61P 25/16
A61P 25/18
A61P 25/22
A61P 25/24
A61P 25/28
A61P 27/02
A61P 27/16
A61P 39/02
A61P 25/00
A61K 31/53
C07D 403/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物であって、
【化1】
式中、
は、メチル;またはメチル、メトキシ、クロロ、フルオロ、-OCF、およびメチレンジオキシから選択される1つの基によって任意に置換されたフェニルを表し、
は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシ、C1-3アルキル、またはC1-3アルコキシを表し、後者の2つの基は、それぞれ1つ以上のフルオロ基によって任意に置換され、
nは、0、1、または2を表し、
、Q、およびQは、それぞれ-C(R)-を表し、
は、H、ハロゲン、C1-4アルキル、またはC1-4アルコキシを表し、後者の2つの基は、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換され、
Xは、-O-、-S-、または直接結合を表し、
Aは、直接結合、-O-、C1-2アルキレン、-C1-2アルキレンO-、-OC1-2アルキレン-、-N(H)C1-2アルキレン-、または-C1-2アルキレンN(H)-を表し、後者の5つの基は、1つ以上のハロ、C1-2アルキル、または=O基によって任意に置換され、
は、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、およびテトラゾリルから選択される5員ヘテロアリール基を表し、各5員ヘテロアリール基は、1つ以上のフルオロ、クロロ、ブロモ、またはC1-2アルキル基によって任意に置換され、C1-2アルキル基は、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、
化合物、
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、メチル、フェニル、m-トリル、またはp-トリルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、メチル、フェニル、またはp-トリルを表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
nが、0または1を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
nが、1を表し、Rが、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位にある、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
nが、0を表す、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
nが、1を表し、Rが、C1-2アルキルまたはフルオロを表し、Rが、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位にある、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
nが、1を表し、Rが、C1-2アルキルを表し、Rが、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位にある、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、H、ハロゲン、C1-4アルキル、またはC1-4アルコキシを表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
各R基が、独立して、H、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル、またはC1-2アルコキシを表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
各R基が、Hを表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Aが、直接結合、-O-、C1-2アルキレン、-メチレンO-、-Oメチレン-、-N(H)メチレン-、または-メチレンN(H)-を表し、後者の5つの基が、1つ以上のハロまたはC1-2アルキル基によって任意に置換されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
Aが、直接結合、-CH-、-OCH-、または-OCHC(O)-を表し、後者の3つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
Aが、-O-、またはC1-2アルキレンを表し、前記C1-2アルキレンが、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
Aが、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されたメチレンを表す、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、ピロール-1-イル、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル、または1,2,4-トリアゾール-1-イルを表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上のフルオロ、メチル、またはエチル基によって任意に置換され、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
が、ピラゾール-1-イル、イミダゾール-1-イル、または1,2,4-トリアゾール-1-イルを表す、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Xが、-O-または直接結合を表す、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
1-{4-フェノキシ-3-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]フェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{4-フェノキシ-3-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]フェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-[4-(4-エチルフェノキシ)-3-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]フェニル]-3-メチル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-メチル-3-{2-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-[1,1’-ビフェニル]-4-イル}-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]フェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(1H-イミダゾール-2-イル)メトキシ]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、 1-{3-[(1H-イミダゾール-5-イル)メトキシ]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、 1-{3-[(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(4-フルオロ-1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-[3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、 1-{3-[(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-(3-メチルフェニル)-3-{3-[2-オキソ-2-(1H-ピラゾール-1-イル)エトキシ]-4-フェノキシフェニル}-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-(3-メチルフェニル)-3-{4-フェノキシ-3-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、
1-{3-[(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、及び
1-(3-{[4-(ジフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]メチル}-4-フェノキシフェニル)-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
からなる群より選ばれる、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて、請求項1~19のいずれか一項に定義される化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を含む薬学的組成物。
【請求項21】
医学における使用のための、請求項1~19のいずれか一項に定義される化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を含む治療剤。
【請求項22】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療および/または予防における使用のための、請求項1~19のいずれか一項に定義される化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を含む治療剤。
【請求項23】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療および/または予防における使用のための、請求項20に定義される薬学的組成物。
【請求項24】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品の製造のための、請求項1~19のいずれか一項に定義される化合物(その薬学的に許容される塩を含む)、または請求項20に定義される薬学的組成物の使用。
【請求項25】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば、多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性由来の認知症、初老性認知症、老年性認知症、ならびにパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、肥満、糖尿病および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などの関連障害を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性または後天性または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、疼痛、うつ病、統合失調症、不安症、ならびに便秘(パーキンソン病における便秘、結腸通過時間延長型便秘、およびオピオイド誘発性便秘を含む)から選択される、請求項22に記載の治療剤。
【請求項26】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば、多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性由来の認知症、初老性認知症、老年性認知症、ならびにパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、肥満、糖尿病および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などの関連障害を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性または後天性または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、疼痛、うつ病、統合失調症、不安症、ならびに便秘(パーキンソン病における便秘、結腸通過時間延長型便秘、およびオピオイド誘発性便秘を含む)から選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、他のパーキンソン疾患、他のタウオパチー、レビー小体型認知症、運動ニューロン病、ピック病、肥満、代謝症候群、糖尿病、糖尿病性神経障害、便秘、およびレット症候群からなる群から選択される、請求項22に記載の治療剤。
【請求項28】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、他のパーキンソン疾患、他のタウオパチー、レビー小体型認知症、運動ニューロン病、ピック病、肥満、代謝症候群、糖尿病、糖尿病性神経障害、便秘、およびレット症候群からなる群から選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項29】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、うつ病、糖尿病性神経障害、便秘、およびレット症候群からなる群から選択される、請求項22に記載の治療剤。
【請求項30】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、うつ病、糖尿病性神経障害、便秘、およびレット症候群からなる群から選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項31】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病である、請求項22に記載の治療剤。
【請求項32】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする前記疾患が、アルツハイマー病である、請求項24に記載の使用。
【請求項33】
組み合わせ製品であって、
(I)請求項1~19のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩と、
(II)ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含み、
成分(I)および(II)のそれぞれが、任意に、薬学的に許容されるアジュバント希釈剤または担体などの薬学的に許容される賦形剤と混合して製剤化される、組み合わせ製品。
【請求項34】
キットであって、
(a)薬学的に許容される賦形剤と混合して製剤化された、請求項1~19のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物と、
(b)薬学的に許容される賦形剤と混合して製剤化された、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な1つ以上の他の治療剤を含む薬学的組成物と、を含み、
成分(a)および(b)が、それぞれ他方と併せた投与に適した形態で提供される、キット。
【請求項35】
請求項1~19のいずれか一項に定義される化合物(その薬学的に許容される塩を含む)の調製のためのプロセスであって、式IIの化合物であって、
【化2】
式中、R、R、R、Q、Q、Q、X、A、およびnが、請求項1~19のいずれか一項に定義される通りである、化合物を、エトキシカルボニルイソシアネートと反応させるステップ、または
式IXの化合物であって、
【化3】
式中、R、R、R、Q、Q、Q、X、A、およびnが、請求項1~19のいずれか一項に定義される通りである、化合物を、好適な酸の存在下で反応させるステップを含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の薬学的に活性な化合物、そのような化合物を含む薬学的組成物、およびそれらの薬学的使用に関する。特に、本発明は、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療および/または予防のための方法における、これらの化合物および組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で明らかに先に公表された文献のリストまたは考察は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0003】
神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、およびニューロトロフィン-4/5は全て、ニューロトロフィンタンパク質ファミリーに属する。これらのホルモンは、トロポミオシン-受容体キナーゼ(Trk)と呼ばれる受容体型チロシンキナーゼのクラスを介して作用する。Trkへのリガンド結合は、キナーゼドメインの受容体二量体化および自己リン酸化を開始し、これが受容体のキナーゼ活性を活性化する。これは、TrkAのTyr490、Tyr751、およびTyr785(または他のTrk受容体におけるそれらの等価な残基)におけるさらなる受容体リン酸化をもたらす。このリン酸化は、受容体をSHCアダプタータンパク質1(SHC-1)、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)、およびホスホリパーゼCγ1(PLCγ1)に結合するアダプター結合部位をもたらす。受容体へのアダプタータンパク質の結合は、いくつかの異なる細胞事象を開始し、例えば神経突起伸長および軸索伸長をもたらす。これらの受容体およびそれらのシグナル伝達経路は、例えば、脳の海馬神経発生、シナプス可塑性、および長期増強における多くの重要なプロセスにおいて極めて重要な役割を果たしており、これはシナプスレベルでの記憶形成の基礎となる提案されているメカニズムである。NGF/TrkAおよびBDNF/TrkB刺激シグナル伝達は両方とも、ニューロンの生存および形態形成にも必要である。
【0004】
古典的なリガンド結合によるTrk受容体の活性化に加えて、ニューロトロフィンシグナル伝達を調節することができるリガンド非依存性事象がある。
【0005】
受容体型チロシンキナーゼの活性とチロシンホスファターゼの活性との間のバランスは、リン酸化された受容体のレベルを複雑に調節する。したがって、PTP-1Bなどのタンパク質チロシンホスファターゼまたは他のホスファターゼは、ニューロトロフィンシグナル伝達を増大させ、Trk受容体ならびに受容体型チロシンキナーゼの時間的および空間的活性を調節することができる。
【0006】
また、アデノシンおよびアデノシンアゴニストは、アデノシン2A(A2A)受容体を必要とするメカニズムを介して、Trk受容体のリン酸化を媒介することができる。Trk受容体のこのリン酸化はリガンド結合に非依存性であり、このことはTrk受容体シグナル伝達の調節がいくつかの異なるメカニズムによって達成できることを示唆している。
【0007】
シナプス喪失および海馬体積の減少は、脳におけるアルツハイマー病の病理学的徴候であり、シナプス喪失が疾患における認知低下の最良の神経解剖学的指標であることを多くの研究が示唆している。前脳基底部コリン作動性ニューロン(BFCN)は、ADの病状に対して特に損傷を受けやすいと思われるニューロンの亜集団である。これらのニューロンの機能障害性萎縮は、次に皮質および海馬神経支配(innervation)の重度の喪失をもたらすが、ADにおけるコリン作動系の機能障害の原因となり得る(Bartus RT Exp Neurol2000;163:495-529)。疾患における重度の皮質コリン作動性欠損には、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)活性およびアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性の喪失も含まれる。前脳基底部コリン作動系はNGFに依存し、コリン作動性前脳基底部ニューロンはNGFの受容体、すなわちTrkAを発現する主要な細胞群である。コリン作動性ニューロンの生存および機能におけるNGFの役割は十分に確立されているが、研究により、この系によって媒介される神経保護/神経回復効果、例えば、動物における軸索切断コリン作動性投射がTrkA活性化によって救済され得ることが示されている(Lucidi-Phillipi CA,Neuron.,1996,16(3):653-663)。
【0008】
AD患者の脳における初期の形態学的変化は、海馬体積の減少である。BDNF/TrkB刺激シグナル伝達は、特に海馬ニューロンの生存および形態形成に必要であることが今までに示されている。さらに、BDNFが神経可塑性および長期増強(LTP)において重要な役割を果たすことは広く認められている。実際、BDNFシグナル伝達の増加がADにおける認知を改善する可能性があることを示す実験的証拠が増えている。アミロイドおよびタウの病理、すなわち、ADの主要な神経病理学的特徴を発現する、ADのトリプルトランスジェニックマウスモデルの脳への幹細胞の移植は、認知の改善をもたらす(Blurton-Jones M,PNAS,2009.106(32):p.13594-13599)。この効果は、機能獲得研究が、組換えBDNFが神経幹細胞(NSC)移植の有益な効果を模倣することを示すように、BDNFによって媒介される。さらに、機能喪失研究によって、NSC由来BDNFの枯渇は認知を改善せず、または海馬シナプス密度を回復しないことが示されている。
【0009】
TrkA/NGFおよびTrkB/BDNF系の強力な神経保護および神経回復効果を考えると、ニューロトロフィンシグナル伝達の小分子の正の調節剤は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病、ならびに他のパーキンソン障害を含むがこれに限定されない、神経変性を伴う多くの疾患の治療に有益であり得る。調節剤はまた、多発性硬化症を含むがこれに限定されない脱髄疾患などの、神経再生の増強が有益である疾患の治療にも使用することができる。調節剤はまた、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷などの、損傷前または損傷後の神経保護にも使用し得る。さらに、シナプス可塑性におけるこれらのニューロトロフィン系の重要な役割は、学習および記憶プロセスを媒介すると考えられており、軽度認知障害、認知症障害(血管性および変性性起源の認知症、初老期認知症、老人性認知症、およびパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)、および統合失調症における認知機能障害を含むがこれらに限定されない、認知機能が損傷している疾患に調節剤が使用され得ることを示している。
【0010】
最近のデータはまた、NGF/TrkAおよびBDNF/TrkB系がメタボトロフィンとして作用し得ること、すなわち、心臓代謝ホメオスタシス(グルコースおよび脂質代謝、ならびにエネルギーバランス、心臓保護、および創傷治癒)に関与し得ることを示した(Chaldakov G,Arch.Ital.Biol.2011 Jun.149(2):257-63)。実際、BDNFおよびその受容体TrkBをコードする遺伝子の変異は、ヒトにおいて重度の肥満を引き起こすことが示されている(Yeo,GS.et al.Nat.Neurosci.2004,7,1187-1189)。したがって、アテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病、および代謝症候群などの適応症もまた、NGF/TrkAおよびBDNF/TrkB指向型治療から利益を受け得る。
【0011】
ニューロトロフィンシグナル伝達に関して別の関心領域は、精神神経性障害である(Castren E et al.,Neurobiol Dis.2016 Jul 15,30169-3)。例えば、うつ病患者では血清BDNFレベルが低下しており、このレベルが病状回復の成功後に回復することが研究によって明確に実証されている(Shimizu et al.,2003,Sen et al.,2008)。さらに、様々な抗うつ薬による長期治療が、大脳皮質および海馬におけるBDNF mRNAおよびタンパク質レベルを増加させることがいくつかの研究により実証されている(Calabrese et al.,Psychopharmacology,2011,215,pp.267-275)。また、脳へのBDNFの局所投与は、うつ病様の行動を減少させ、抗うつ薬の効果を模することが示されている(Hoshaw et al.,Brain Res.,2005,1037,pp.204-208)。特に、BDNFの役割は、うつ病に限定されないようであり、それはまた、不安症および統合失調症などの他の障害にも関与している(Castren E.,Handb.Exp.Pharmacol.,2014,220,pp.461-479)。これらのデータは、ニューロトロフィン系、例えばNGF/TrkAおよびBDNF/TrkBを標的とする治療が、うつ病、統合失調症、および不安症を含むがこれらに限定されないいくつかの神経精神障害において治療効果を有し得ることを示唆している。
【0012】
BDNFおよびNT3の両方が胃腸の運動性を刺激し、結腸通過時間を加速させ、ヒトにおける便秘を緩和することも実証されている(Coulie B.,et al.,Gastroenterology,2000,119(1),41-50)。結腸通過時間延長型便秘を有する患者からの結腸生検におけるBDNFのレベルもまた、健康な対照と比較して低減することが見出された(Chen et al.,Acta.Physiol.,2014,212(3),226-238)。さらに、組換えBDNFによる治療を受けている神経障害筋萎縮性側索硬化症を有する>1,000人の患者での大規模な第3相臨床試験において観察された有害事象の1つは、腸運動性の増加、下痢、および便秘の緩和であった(Neurology,1999,52(7),1427)。同様の観察は、糖尿病性神経障害を有する患者におけるBDNFの小規模な臨床試験でも行われた(Wellmer A.et al.,J.Peripher.Nerv.Syst.,2001,6(4),204-210)。前臨床モデルはまた、BDNFおよびNT3が胃腸運動性の調節において役割を果たし得ることを示した。BDNF+/-ヘテロ接合マウスは、排便頻度の減少および総胃腸通過時間の増加を示し、より低いBDNFが胃腸運動性を低減することを示す。BDNFはまた、マウスにおけるロペラミド誘発性便秘を緩和した(Chen et al.,Acta.Physiol.,2014,212(3),226-238)。したがって、ニューロトロフィンおよびそれらの受容体は、正常な運動性の維持において重要な役割を果し得、したがって、ニューロトロフィンシグナル伝達の調節は、便秘に罹患している患者における腸運動性を改善するための有望な戦略を表し得ると考えられている。
【0013】
NGFおよびBDNFがそれらの神経保護効果および神経回復効果と組み合わせて神経ホメオスタシスにおいて重要な役割を果たすという発見により、これらの経路が中枢神経系および末梢神経系の疾患の治療のための薬物介入の候補として非常に適したものとなる。しかしながら、BDNFおよびNGFは、それらの薬物動態学的特性、投与の困難性、およびそれらの血液脳関門を通過する能力が制限されているために、それ自体理想的な薬物候補ではない。このことは、NGFもしくはBDNFの、ペプチド、環化ペプチド、ペプチドミメティック、小分子アゴニスト、または選択的調節剤を同定するいくつかの試みをもたらした。ガンボギンアミド(gambogic amide)(およびその類似体)、デオキシゲズニン(deoxygedunin)、および7,8-ジヒドロキシフラボンなどのいくつかの天然物は、TrkAまたはTrkBアゴニストとして作用することが実証されている。さらに、三環式抑制薬アミトリプチリンもまたTrkAおよびTrkBアゴニストであることが示されている。しかしながら、現在、市場に出ている特定のTrkAまたはTrkBアゴニストはない。したがって、神経性(neurological)障害および非神経性障害の両方の治療のための、TrkC、FGFR1、および/またはIGF1R、ならびに任意選択で他の受容体型チロシンキナーゼと組み合わせる、TrkAおよび/またはTrkB受容体を刺激または調節する能力を有する小分子化合物に対する当該技術分野における未だ満たされていない必要性が存在する。TrkAおよび/またはTrkB受容体に対する改善された効力および改善された選択性を有する化合物が依然として必要とされている。
【0014】
BDNF産生は、BDNF遺伝子(rs6265)内の多型により影響され得、コドン66でのバリン(Val)からメチオニン(Met)への置換を引き起こす(Val66Met)。この多型は、白人のおよそ30%およびアジア人口の最大70%に見られる。1つまたは2つのMet対立遺伝子の存在は、対象におけるより低いBDNF産生に関連する。このより低いBDNF産生は、認知低下および海馬体積の減少をもたらし得る。
【0015】
Bootsらによる研究により(Neurology,2017,88,1-9)、BDNF Met対立遺伝子を保有する孤発性アルツハイマー病に罹患している対象が、非保有者よりもエピソード記憶および遂行機能においてより急激な低下を経験することが実証された。家族性アルツハイマー病を有するVal66Met患者において、記憶のより大きな低下および海馬機能の低下も観察されている(Lim et al.,Brain,2016,139(10),2766-2777)。同じ研究により、この患者群の脳脊髄液中のタウタンパク質およびリン酸化タウタンパク質の増加も示された。前臨床的または臨床的アルツハイマー病を有する対象における記憶の低下はアミロイド斑負荷の増大によって悪化し、したがって、このことはVal66Met多型を有する患者におけるBDNFの効果を増強することにより、疾患の様々な段階でアルツハイマー病を治療することが可能であることを示唆している。そのような治療は、神経保護および認知機能の増大をもたらし得る。
【0016】
したがって、一般に、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患、特にアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療および/または予防に有用な代替および/またはより効果的な化合物が依然として必要である。
【0017】
トルトラズリル(1-メチル-3-(3-メチル-4-{4-[(トリフルオロメチル)スルファニル]フェノキシ}フェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン;Baycox(登録商標))は、イソスポリア症、トキソプラズマ症、ネオスポロラ症、およびウマ原虫性髄膜脳炎などのコクシジウム感染症を治療するために獣医学で使用されるトリアジン系の抗原虫性化合物である。
【0018】
Suzukiらによる最近の研究により(FEBS Open Bio 2016,6 461-468)、トルトラズリルがエフリンB型受容体2(EphB2;記憶および学習機能において役割を果たすと理解されている受容体)へのβ-アミロイドオリゴマーの結合を30%阻害することが報告された。しかしながら、この受容体についての選択性の欠如のため、それは、アルツハイマー病の治療のための潜在的な候補化合物としてさらなる研究のために選択されなかった。
【0019】
他のフェニル-1,3,5-トリアジン誘導体は、US3,933,814、SE 402 103、DE 3 408 768 A1、EP 0 081 142 A2、および279 219 A1などのいくつかの古い特許文書において、獣医学における同様の使用について開示されている。これらの文書のいずれかに開示されている化合物のいずれかが、それ自体がヒト患者の治療に使用される可能性があるという示唆はなく、その化合物が、アルツハイマー病などのニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療および/または予防において有用である可能性があることは確かではない。
【0020】
現在、驚くべきことに、特定の4-置換フェニル-1,3,5-トリアジン誘導体は、Trk受容体(TrkA、TrkBおよびTrkCを含む)およびIGF1Rおよび/またはFGFR1などの受容体チロシンキナーゼの正の調節剤であり、したがって、アルツハイマー病などのニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療のためにそれらに有用性を付与する特性を有することが見出された。それらの作用様式の結果として、化合物は、アルツハイマー病などの障害、例えば、脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子にVal66Met変異を有する患者での使用のための治療薬として特に適していると考えられている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一態様によれば、式Iの化合物であって、
【化1】
式中、
は、メチル;ハロゲン、-CN、-C(O)NRa1a2、-NRa3a4、5員ヘテロアリール基、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはメチレンジオキシから選択され、後者の4つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上の基によって任意に置換されたフェニル;またはハロゲン、-CN、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはフェニルから選択され、後者の4つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上の基によって任意に置換された5~9員ヘテロアリール基を表し、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、-C(O)NRa5a6、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、またはC1-4アルコキシ-C1-4アルキルを表し、後者の3つの基は、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換され、
nは、0、1、または2を表し、
、Q、およびQは、それぞれ-C(R)-または-N-を表し、Q~Qのうちの最大2つは、-N-を表し、
は、H、ハロゲン、-CN、-NRa7a8、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、またはC1-4アルコキシ-C1-4アルキルを表し、後者の3つの基は、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換され、
Xは、-C(R)(R)-、-O-、-S-、-N(R)-、または直接結合を表し、
、R、およびRは、それぞれ独立して、HまたはC1-2アルキルを表し、
Aは、直接結合、-O-、C1-2アルキレン、-C1-2アルキレンO-、-OC1-2アルキレン-、-N(H)C1-2アルキレン-、または-C1-2アルキレンN(H)-を表し、後者の5つの基は、1つ以上のハロ、C1-2アルキル、または=O基によって任意に置換され、
は、ハロ、-CN、-NRa9a10、-C(O)NRa11a12、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、またはC1-4アルコキシ-C1-4アルキルから選択される1つ以上の基によって任意に置換された、5~6員ヘテロアリール基を表し、後者の3つの基は、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換され、
a1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6、Ra7、Ra8、Ra9、Ra10、Ra11、およびRa12は、それぞれ独立して、HまたはC1-4アルキルを表し、C1-4アルキル基は、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているか、または
a1およびRa2、Ra3およびRa4、Ra5およびRa6、Ra7およびRa8、Ra9およびRa10、ならびにRa11およびRa12は、独立して、それらが結合している原子と共に、一緒に結合して、4~6員ヘテロシクリル環を形成してもよく、ヘテロシクリル環は、N、O、およびSから選択される1つのさらなるヘテロ原子を任意に含有する、化合物、
またはその薬学的に許容される塩が提供され、
化合物(薬学的に許容される塩を含む)は、本明細書において「本発明の化合物」と称され得る。
【0022】
疑義を避けるために、当業者は、本発明の特定の態様の化合物(例えば、本発明の第1の態様、すなわち、本明細書の第1の態様で定義される式Iの化合物を指す)への本明細書における言及が、全ての実施形態およびその特定の特徴への言及を含み、その実施形態および特定の特徴は組み合わせて、本発明のさらなる実施形態および特徴を形成し得ることを理解するであろう。
【0023】
他に示さない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって理解される一般的な意味を有する。
【0024】
薬学的に許容される塩には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。このような塩は、慣用的手段により、例えば、本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態と、1当量以上の適切な酸または塩基とを、任意の溶媒中で、または塩が不溶である媒体中で反応させ、次いで、標準的技法を用いて(例えば、真空中、凍結乾燥または濾過によって)、当該溶媒または当該媒体を除去することにより、形成されてもよい。塩はまた、例えば好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによってなどの、当業者に知られている技術を使用して、調製されてもよい。
【0025】
言及され得る特定の酸付加塩には、対応する酸との反応によって形成されるものが含まれ、よって本発明の化合物をプロトン化して形成される、カルボン酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ヘプタン酸塩、デカン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、カプロン酸塩、プロピオル酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、乳酸塩、洒石酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、o-アセトキシ-安息香酸塩、サリチル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、桂皮酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、馬尿酸塩、フタル酸塩またはテレフタル酸塩)、ハロゲン化物塩(例えば、塩化物塩、臭化物塩、またはヨウ化水素酸塩)、スルホン酸塩(例えば、ベンゼンスルホン酸塩、メチル-、ブロモ-、もしくはクロロ-ベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、1-もしくは2-ナフタレン-スルホン酸塩、または1,5-ナフタレン-ジスルホン酸塩)、または硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、もしくは硝酸塩などが含まれる。
【0026】
言及され得る特定の塩基付加塩には、対応する塩基との反応によって形成され、したがって、本発明の化合物からプロトンを除去して、アルカリ金属(Na塩およびK塩など)、アルカリ土類金属(Mg塩およびCa塩など)、有機塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンおよびリジンなど)ならびに無機塩基(例えば、アンモニアおよび水酸化アルミニウム)、と形成される塩が含まれる。より具体的には、言及され得る塩基付加塩には、Mg塩、Ca塩が含まれ、また最も具体的には、K塩およびNa塩が含まれる。
【0027】
言及され得るより具体的な塩には、Na塩が含まれる。
【0028】
疑義を避けるために、本発明の化合物は、固体として存在してもよく、したがって、本発明の範囲は、その全ての非晶質、結晶、および部分結晶形態を含み、油として存在してもよい。本発明の化合物が結晶および部分結晶形態で存在する場合、そのような形態は、本発明の範囲に含まれる溶媒和物を含んでもよい。
【0029】
疑義を避けるために、本発明の化合物は、溶液中(すなわち、好適な溶媒中の溶液中)にも存在し得る。例えば、本発明の化合物は水溶液中に存在してもよく、その場合、本発明の化合物はその水和物の形態で存在してもよい。
【0030】
本発明の化合物はまた、互変異性を呈してもよい。全ての互変異性体形態およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる(特にその単離を可能にするのために十分な安定性を有するもの)。
【0031】
本発明の化合物はまた、1個以上の不斉炭素原子を含有していてもよく、したがって、光学異性および/またはジアステレオ異性を示してもよい(すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマー形態で存在する)。ジアステレオマーは、慣用的な技法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶化を用いて分離されてもよい。種々の立体異性体(すなわち、エナンチオマー)は、慣用的な、例えば分別結晶化またはHPLCの技法を用いて、化合物のラセミ混合物または他の混合物を分離することによって単離されてもよい。代替的には、所望のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、適切な光学活性をもつ出発物質から、ラセミ化またはエピマー化を引き起こさない条件下で(すなわち、「キラルプール」法)、適切な出発物質とその後適切な段階で除去され得る「キラル補助剤」との反応により、誘導体化(すなわち、動的分解を含む分解、例えば、ホモキラル酸で処理した後、ジアステレオマー誘導体をクロマトグラフィーなどの慣用的手段によって分離する)により、または適切なキラル試薬またはキラル触媒と反応させることにより、得られてもよく、これらの方法およびプロセスの全ては当業者に知られた全ての条件下で行われることができる。別に特定されない限り、全ての立体異性体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0032】
疑義を避けるためであるが、当業者は、特定の基が本明細書において浮動結合を介して環系に結合している(すなわち、結合は、環内の特定の原子に結合しているものとして示されていない)ものとして示されている場合、関連する基は、関連する環系(つまり、浮動結合が終了する環)内の任意の適切な原子に結合できる。
【0033】
別段の指定がない限り、本明細書で定義されるC1~zアルキル基(ここで、zは範囲の上限である)は、直鎖であり得るか、あるいは十分な数(すなわち、必要に応じて最小2もしくは3個)の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状および/または環状であり得る(したがって、C3~zシクロアルキル基を形成する)。十分な数(すなわち最小4個)の炭素原子が存在するとき、そのような基はまた、部分環状であってもよい(したがって、C4~z部分シクロアルキル基を形成する)。例えば、言及され得るシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。同様に、言及され得る部分環状アルキル基(「部分シクロアルキル」基とも呼ばれ得る)には、シクロプロピルメチルが含まれる。十分な数の炭素原子が存在する場合、このような基は、多環式(例えば、二環式もしくは三環式)またはスピロ環式であってもよい。誤解を避けるために、言及され得る特定のアルキル基には、直鎖(すなわち、分岐および/または環状ではない)アルキル基が含まれる。
【0034】
別段の指定がない限り、本明細書で定義されるC1-zアルコキシ基(すなわち、-OC1-zアルキル基)(式中、zは、範囲の上限である)は、直鎖であり得るか、または十分な数(すなわち、必要に応じて、最小2もしくは3つ)の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状、および/もしくは環状であり得る(したがって、-OC3-zシクロアルキル基を形成する)。十分な数(すなわち、最小4つ)の炭素原子が存在する場合、そのような基はまた、部分環状であり得る(したがって、-OC4-z部分シクロアルキル基を形成する)。例えば、言及され得るシクロアルキル基には、シクロプロポキシ、シクロペントキシ、およびシクロヘキソキシが含まれる。同様に、言及され得る部分環状アルコキシ基(「部分シクロアルコキシ」基とも呼ばれ得る)には、シクロプロピルメトキシが含まれる。十分な数の炭素原子が存在する場合、このような基は、多環式(例えば、二環式もしくは三環式)またはスピロ環式であってもよい。疑義を避けるために、言及され得る特定のアルコキシ基には、直鎖(すなわち、分岐および/または環状ではない)アルコキシ基が含まれる。
【0035】
疑義を避けるために、C1-zアルコキシ-C1-zアルキル基への言及は、メトキシメチル基などのアルコキシアルキル基(すなわち、-C1-zアルキル-O-C1-zアルキル基)を示す。アルキル基およびアルコキシ基に関しては、別段の指定がない限り、そのような基は、直鎖であり得るか、または十分な数の炭素原子が存在する場合、分岐鎖、環状、および/もしくは部分環状であり得る。
【0036】
疑義を避けるために、本明細書に記載のアルキル基はまた、リンカー基(すなわち、記載の化合物の2つ以上の部分を結合する基)として作用し得、その場合、そのような基は、「アルキレン」基と呼ばれ得る。
【0037】
本明細書で使用する場合、ヘテロシクリルという用語は、非芳香族単環式および多環式(例えば、二環式)複素環式基(十分な数の原子を含有する場合、これらの基はまた架橋されていてもよい)を指し、環系中の少なくとも1つ(例えば、1~4つ)の原子は、炭素以外(すなわち、ヘテロ原子)であり、環系中の原子の総数は、3~12個である(例えば、3~8個などの5~10個であり、例えば、5~6員ヘテロシクリル基を形成する)。さらに、そのようなヘテロシクリル基は飽和していて、ヘテロシクロアルキルを形成し得るか、あるいは不飽和であって、1以上の炭素-炭素、または可能であれば炭素-ヘテロ原子もしくはヘテロ原子-ヘテロ原子二重および/もしくは三重結合を含有して、例えばC2~z(例えば、C4~z)ヘテロシクロアルケニル(ここで、zは範囲の上限である)またはC7~zヘテロシクロアルキニル基を形成し得る。
【0038】
疑義を避けるために、当業者は、本発明の化合物の一部を形成し得るヘテロシクリル基が、当業者に知られる、化学的に得られるものであることを理解するであろう。7-アザビシクロ-[2.2.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.2.1]-オクタニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、アジリジニル、アゼチジニル、2,3-ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロリル(2,5-ジヒドロピロリルを含む)、ジオキソラニル(1,3-ジオキソラニルを含む),ジオキサニル(1,3-ジオキサニルおよび1,4-ジオキサニルを含む)、ジチアニル(1,4-ジチアニルを含む)、ジチオラニル(1,3-ジチオラニルを含む)、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6-オキサビシクロ[3.2.1]-オクタニル、オキセタニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリジニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル、スルホラニル、3-スルホレニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピリジニル(1,2,3,4-テトラヒドロピリジニルおよび1,2,3,6-テトラヒドロピリジニルなど)、チエタニル、チイラニル、チオラニル、テトラヒドロチオピラニル、チオモルホリニル、トリチアニル(1,3,5-トリチアニルを含む)、トロパニルなどのような、様々なヘテロシクリル基が当業者に周知であろう。
【0039】
ヘテロシクリル基上の置換基は、適切な場合、ヘテロ原子を含む環系中の任意選択の原子上に位置し得る。さらに、置換基が別の環状化合物である場合、環状化合物は、ヘテロシクリル基上の単一の原子を介して結合して、スピロ環状化合物を形成してもよい。ヘテロアリール基の結合点は、(適切な場合)さらなるヘテロ原子(窒素原子など)、または環系の一部として存在し得る任意の縮合炭素環上の原子を含む、環系内の任意の適切な原子を介してもよい。ヘテロシクリル基は、当業者に知られているように、N-またはS-酸化型であってもよい。
【0040】
本明細書で言及される場合、各発生で、言及され得る特定のヘテロシクリル基には、4~8員ヘテロシクリル基(例えば、5または6員ヘテロシクリル基などの4~6員ヘテロシクリル基)が含まれる。
【0041】
疑義を避けるために、多環式(例えば、二環式または三環式)基(例えば、ヘテロシクリルまたはシクロアルキル基(例えば、ヘテロシクリル)の文脈で使用する場合)への言及は、そのような環を非環状鎖(すなわち、直鎖または分岐鎖)に変換するために少なくとも2つの切断が必要であろう環系を指し、そのような切断の最小の数は、定義された環の数に対応する(例えば、二環式という用語は、環を直鎖に変換するために最小で2つの切断が必要であろうことを示し得る)。疑義を避けるために、二環式という用語は(例えば、アルキル基の文脈で使用される場合)、2環系の第2の環が第1の環の2つの隣接原子間に形成される基、2つの非隣接原子がアルキル(2つの部分を結合する場合、アルキレンと呼ばれ得る)によって結合される基(1つ以上のヘテロ原子を任意に含有する)であって、後者の基が架橋と呼ばれ得る、基、または第2の環が単一の原子に結合している基であって、後者の基がスピロ化合物と呼ばれ得る、基を指し得る。
【0042】
言及され得る特定のヘテロシクリル基には、ピペリジニル(例えば、ピペリジン-1-イル)、オクタヒドロ-1H-イソインドリル(例えば、オクタヒドロ-1H-イソインドール-2-イル)、アゼチジニル(例えば、アゼチジン-1-イル)、オキセタニル(例えば、オキセタン-3-イル)、モルホリニル(例えば、モルホリン-4-イル)、ピペラジニル(例えば、ピペラジン-1イルもしくはピペラジン-4-イル)、アゼパニル(例えば、アゼパン-1-イル)、イミダゾリジニル(例えば、イミダゾリジン-2-イル)、ピロリジニル(例えば、ピロリジン-1イル)、およびジアゼパニル(例えば、1,4-ジアゼパン-1-イル).が含まれる。
【0043】
本明細書で使用され得るように、アリールという用語は、C6-14(例えば、C6-10)芳香族基を指し得る。そのような基は、単環式または二環式であり得、二環式であるとき、全体的芳香族または部分的芳香族のいずれかであり得る。言及され得るC6-10アリール基には、フェニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、インダニルなど(例えば、フェニル、ナフチルなど)が含まれる。疑義を避けるために、アリール基上の置換基の結合点は、環系の任意の好適な炭素原子を介し得る。
【0044】
疑義を避けるために、当業者は、本発明の化合物の一部を形成し得るアリール基が、当業者に知られる、化学的に得られるものであることを理解するであろう。言及され得る特定のアリール基には、フェニルおよびナフチル、例えば、フェニルが含まれる。
【0045】
本明細書で使用する場合、ヘテロアリール(ヘテロ芳香族とも呼ばれ得る)への言及は、1つ以上のヘテロ原子(酸素、窒素、および/または硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子など)を含有する5~14(例えば、5~10)員ヘテロ芳香族基を指し得る。そのようなヘテロアリール基は、1つ、2つ、または3つの環を含み得、これらのうち少なくとも1つは芳香族である。ヘテロアリール/ヘテロ芳香族基上の置換基は、適切な場合、ヘテロ原子を含む環系における任意の好適な原子上に(例えば、好適なN原子上に)位置してもよい。
【0046】
ヘテロアリール/ヘテロ芳香族基の結合点は、(適切な場合)ヘテロ原子を含む環系中の任意の原子を介していてもよい。二環式ヘテロアリール/ヘテロ芳香族基は、1つ以上のさらなる芳香族または非芳香族複素環に融合されたベンゼン環を含んでもよく、この場合、多環式ヘテロアリール/ヘテロ芳香族基の結合点は、ベンゼン環またはヘテロアリール/ヘテロ芳香族環もしくは複素環を含む任意の環を介していてもよい。
【0047】
疑義を避けるために、当業者は、本発明の化合物の一部を形成し得るヘテロアリール基が、当業者に知られているように、化学的に得られるものであることを理解するであろう。様々なヘテロアリール基、例えば、ピリジニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルチアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イミダゾピリミジニル、イミダゾチアゾリル、チエノチオフェニル、ピリミジニル、フロピリジニル、インドリル、アザインドリル、ピラジニル、ピラゾロピリミジニル、インダゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、およびプリニルなどが、当業者に周知であろう。
【0048】
疑義を避けるために、ヘテロアリール/ヘテロ芳香族基の酸化物も本発明の範囲内に包含される(例えば、N-オキシド)。
【0049】
上記のように、ヘテロアリールは、一方の環が芳香族である(他方は芳香族であってもなくてもよい)多環式(例えば、二環式)基を含む。したがって、言及され得る他のヘテロアリール基には、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ジヒドロベンゾ[d]イソチアゾール、3,4-ジヒドロベンゾ[1,4]オキサジニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、インドリニル、5H,6H,7H-ピロロ[1,2-b]ピリミジニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、チオクロマニルなどの基が含まれる。
【0050】
疑義を避けるために、環がその中に円を有するとして描写される場合、その存在は、関連する環が芳香族であることを示すものとする。あるいは、芳香族基は、芳香族性を可能にする好適な数の二重結合をその中に含む環状基として表すことができる。
【0051】
本発明はまた、1個以上の原子が、通常自然界で見られる原子量または質量数(または自然界に見られる最も豊富なもの)とは異なる原子量または質量数を有する原子で置き換えられているという事実はあるが、本明細書に列挙されたものと同一である、本発明の同位体的に標識された化合物も包含する。本明細書で特定される任意の特定の原子または元素の全ての同位体は、本発明の化合物の範囲内であると考えられる。したがって、本発明の化合物は、重水素化化合物、すなわち、1つ以上の水素原子が水素同位体重水素によって置き換えられている本発明の化合物も含む。
【0052】
疑義を避けるために、本発明の化合物中の2つ以上の置換基の同一性が同じであり得る場合、それぞれの置換基の実際の同一性は、決して相互依存しない。例えば、2つ以上のR基が存在する状況において、それらのR基は、同じでも異なっていてもよい。同様に、2つ以上のR基が存在し、それぞれが1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されたC1-2アルキルを表す場合、これらの基も同じでも異なっていてもよい。
【0053】
さらに疑義を避けるために、置換基自体が1つ以上の置換基によって任意に置換されると指定される場合(例えば、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されたC1-3アルキル)、これらの置換基は、可能な場合、同じまたは異なる原子上に位置することができる。そのような任意の置換基は、その任意の適切な数で存在してもよい(例えば、関連する基は、1つ以上のそのような置換基で、例えば、1つのそのような置換基で置換されてもよい)。
【0054】
疑義を避けるために、基が任意に置換されていると本明細書で言及される場合、そのような任意の置換基は存在しなくてもよい(すなわち、そのような任意の置換基への言及が除去されてもよい)ことが特に意図され、その場合、任意に置換された基は、非置換として言及され得る。
【0055】
疑義を避けるために、当業者であれば、本発明の主題である本発明の化合物には、入手可能なもの、すなわち、安定な形態で調製され得るものが含まれることを理解するであろう。すなわち、本発明の化合物は、例えば、反応混合物からの、有用な純度までの単離に耐えるほどに十分に頑強なものを含む。
【0056】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;ハロゲン、-CN、-C(O)NRa1a2、-NRa3a4、5員ヘテロアリール基(例えば、ピロリルまたはピラゾリル)、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはメチレンジオキシから選択され、後者の4つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;またはハロゲン、-CN、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはフェニルから選択され、後者の4つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された5~9員ヘテロアリール基(例えば、チオフェニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、またはインドリル)を表すものが含まれ、Ra1、Ra2、Ra3、およびRa4は、本明細書で定義される通りである。
【0057】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ハロゲン、-CN、-C(O)NRa1a2、-NRa3a4、5員ヘテロアリール基(例えば、ピロリルまたはピラゾリル)、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはメチレンジオキシから選択され、後者の4つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;またはハロゲン、-CN、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはフェニルから選択され、後者の4つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された5~9員ヘテロアリール基(例えば、チオフェニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、またはインドリル)を表すものが含まれ、Ra1、Ra2、Ra3、およびRa4は、本明細書で定義される通りである。
【0058】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;ハロゲン、-CN、-C(O)NRa1a2、-NRa3a4、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはメチレンジオキシから選択され、後者の4つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;またはハロゲン、-CN、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、もしくはフェニルから選択され、後者の3つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された5~9員ヘテロアリール基(例えば、チオフェニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、またはインドリル)を表すものが含まれ、Ra1、Ra2、Ra3、およびRa4は、本明細書で定義される通りである。
【0059】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ハロゲン、-CN、-C(O)NRa1a2、-NRa3a4、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはメチレンジオキシから選択され、後者の4つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;またはハロゲン、-CN、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、もしくはフェニルから選択され、後者の3つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された5~9員ヘテロアリール基(例えば、チオフェニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、またはインドリル)を表すものが含まれ、Ra1、Ra2、Ra3、およびRa4は、本明細書で定義される通りである。
【0060】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;または、好ましくは、ハロゲン、-CN、-C(O)NRa1a2、-NRa3a4、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、もしくはメチレンジオキシから選択され、後者の4つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニルを表すものが含まれる。
【0061】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、もしくはメチレンジオキシから選択され、後者の3つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;またはC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、およびフェニルから選択され、それぞれの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された5~9員ヘテロアリール基を表すものが含まれる。
【0062】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;フルオロ、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル、C1-2アルコキシから選択され、後者の2つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル、C1-2アルキル、C1-2アルコキシ、およびフェニルから選択され、それぞれが、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されてもよい、1つ以上の基によってそれぞれが任意に置換されている、チオフェニル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、またはインドリルを表すものが含まれる。
【0063】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;フルオロ、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル、C1-2アルコキシから選択され、後者の2つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;C1-2アルキル(例えば、メチル)、C1-2アルコキシ(例えば、メトキシ)、およびフェニルから選択される1つ以上の基によって任意に置換されたチオフェニル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、またはインドリル;それぞれが、C1-2アルキル(例えば、メチル)およびC1-2アルコキシ(例えば、メトキシ)から選択される1つ以上の基によって任意に置換されている、ベンゾフラニルまたはインドリルを表すものが含まれる。
【0064】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;フルオロ、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル、C1-2アルコキシから選択され、後者の2つの基が、1つ以上のF(例えば、非置換)によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;1つ以上(例えば、1つ)のメチル基によって任意に置換されたチオフェニル;1つ以上(例えば、1つ)のメチルまたはフェニル基によって任意に置換されたピラゾリル;チアゾリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、またはインドリルを表すものが含まれる。
【0065】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、-CF、-OCF、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;1つ以上(例えば、1つ)のメチル基(例えば、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、または5-メチルチオフェン-2-イル)によって任意に置換されたチオフェニル;1つ以上(例えば、1つ)のメチルもしくはフェニル基(例えば、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、または、特に、1-フェニルピラゾール-4-イル)によって任意に置換されたピラゾール;チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、またはチアゾール-5-イル);ピリジニル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、またはピリジン-4-イル);ベンゾフラニル(例えば、ベンゾフラン-5-イル、ベンゾフラン-4-イル)、またはインドリル(例えば、インドール-5-イルまたはインドール-4-イル)を表すものが含まれる。
【0066】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、-CF、-OCF、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;1つ以上(例えば、1つ)のメチル基(例えば、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、または5-メチルチオフェン-2-イル)によって任意に置換されたチオフェニル;1つ以上(例えば、1つ)のメチルもしくはフェニル基(例えば、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、または、特に、1-フェニルピラゾール-4-イル)によって任意に置換されたピラゾール;チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、またはチアゾール-5-イル);ピリジニル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、またはピリジン-4-イル);ベンゾフラニル(例えば、ベンゾフラン-5-イル、ベンゾフラン-4-イル)、またはインドリル(例えば、インドール-5-イルまたはインドール-4-イル)を表すものが含まれる。
【0067】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル;またはメチル、メトキシ、クロロ、フルオロ、および-OCF、およびメチレンジオキシから選択される1つの基によって任意に置換されたフェニルを表すものが含まれる。
【0068】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ、および-OCF、およびメチレンジオキシから選択される1つの基によって任意に置換されたフェニルを表すものが含まれる。
【0069】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、メチル、フェニル、またはトリル(o-トリル、p-トリル、または、好ましくは、m-トリル)を表すものが含まれる。
【0070】
疑義を避けるために、o-トリル、m-トリル、およびp-トリルという用語は、それぞれ、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、および4-メチルフェニル基を指すと理解され得る。
【0071】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、メチル、フェニル、m-トリル、またはp-トリルを表すものが含まれる。
【0072】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、メチル、フェニル、またはp-トリルを表すものが含まれる。
【0073】
言及され得るさらなる化合物には、Rが、フェニルまたはトリル(例えば、m-トリル)を表すものが含まれる。
【0074】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、メチルまたはフェニル(特にフェニル)を表すものが含まれる。
【0075】
言及され得るさらなる化合物には、Rが、m-トリルを表すものが含まれる。
【0076】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ハロゲン;ヒドロキシ;シアノ;C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシを表し、各アルキル基またはアルコキシ基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0077】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシ、C1-3アルキル、またはC1-3アルコキシを表し、後者の2つの基が、それぞれ1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、-CHCHCF、-OMe、-OEt、-OPr、-OiPr、-OCF、-OCHF、-OCHF、-OCHCF、-OCHCHCF)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0078】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、フルオロ、C1-2アルキル、またはC1-2アルコキシを表し、これらの基のそれぞれが、1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、-OMe、-OEt、-OCF、-OCHF、-OCHF、-OCHCF)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0079】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、C1-2アルキルまたはC1-2アルコキシを表し、これらの基のそれぞれが、1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、-OMe、-OEt、-OCF、-OCHF、-OCHF、-OCHCF)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0080】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、フルオロ、クロロ、またはC1-2アルキル(メチルまたは、特に、エチル)を表すものが含まれる。
【0081】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、フルオロまたはエチルを表すものが含まれる。
【0082】
言及され得る本発明の化合物には、nが、0または1(特に0)を表すものが含まれる。
【0083】
言及され得る本発明の化合物には、nが、1を表し、Rが、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位(すなわち、4位)にあるものが含まれる。
【0084】
言及され得る本発明の化合物には、nが、1を表し、Rが、C1-2アルキル(例えば、メチルまたは、特にエチル)またはフルオロを表し、Rが、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位(すなわち、4位)にあるものが含まれる。
【0085】
言及され得る本発明の化合物には、nが、1を表し、Rが、C1-2アルキル(例えば、メチルまたは、特にエチル)を表し、Rが、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位(すなわち、4位)にあるものが含まれる。
【0086】
言及され得る本発明の化合物には、Q、Q、およびQのうちの1つが-N-を表し、他が-C(R)-を表すものが含まれる。特に、Qは、-N-を表し、QおよびQは、それぞれ-C(R)-を表し得る。
【0087】
言及され得る本発明の化合物には、Q、Q、およびQが、それぞれ-C(R)-を表すものが含まれる。
【0088】
言及され得る本発明の化合物には、各R基が、H、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル(例えば、メチル)、またはC1-2アルコキシ(例えば、メトキシ)を表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、-CF、-CHF、CHF、-CHCF-Oメチル、-Oエチル、-OCF、-OCHF、-OCHF、または-OCHCF(特にメチルまたは-Oメチル))によって任意に置換されているものが含まれる。
【0089】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、1つのR基が、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル、またはC1-2アルコキシを表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、-CF、-CHF、CHF、-CHCF-Oメチル、-Oエチル、-OCF、-OCHF、-OCHF、または-OCHCF(特にメチルまたは-Oメチル))によって任意に置換され、残りのR基が、Hを表すものが含まれる。
【0090】
本発明のさらなる化合物には、各R基が、Hを表すもの(すなわち、Q、Q、およびQが、独立して、-N-または-CH-を表し、Q~Qのうちの最大2つ(例えば、1つ)が、-N-を表し得るもの)が含まれる。
【0091】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Q、Q、およびQが、それぞれ-CH-を表すものが含まれる。
【0092】
言及され得る本発明の化合物には、Aが、直接結合、-O-、C1-2アルキレン、-メチレンO-、-Oメチレン-、-N(H)メチレン-、または-メチレンN(H)-を表し、後者の5つの基が、1つ以上のハロまたはC1-2アルキル基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0093】
言及され得る本発明の化合物には、Aが、-O-もしくはC1-2アルキレン、-メチレンO-、-Oメチレン-、-N(H)メチレン-、または-メチレンN(H)-を表し、後者の5つの基が、1つ以上のクロロ、フルオロ(例えば、フルオロ)、またはC1-2アルキル基(例えば、メチル)によって任意に置換されているものが含まれる。(例えば、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されたC1-2アルキレン)。
【0094】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Aが、-O-もしくはC1-2アルキレン、-メチレンO-、-Oメチレン-を表し、後者の3つの基が、C1-2アルキル基の1つ以上のフルオロ(例えば、メチル基)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0095】
Aが非対称基(-Oメチレン-または-メチレンN(H)-など)を表す場合、基の左側は、Q~Q含有環に結合し、基の右側は、Rに結合していることが理解され得る。
【0096】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Aが、直接結合、-O-、C1-2アルキレン、-C1-2アルキレンO-、-OC1-2アルキレン、-N(H)C1-2アルキレン-、または-C1-2アルキレンN(H)を表し、後者の5つの基が、1つ以上のハロ、C1-2アルキル、または基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0097】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Aが、直接結合、-CH-、-OCH-、または-OCHC(O)-を表し、後者の3つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、非置換)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0098】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Aが、直接結合、-CH-、または-OCH-を表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、非置換)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0099】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Aが、-O-、またはC 1-2 アルキレンを表し、前記C 1-2 アルキレンが、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0100】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Aが、1つ以上のF(すなわち、-CF-、-CHF-、または、特に-CH-)によって任意に置換されたメチレンを表すものが含まれる。
【0101】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ハロ、-CN、-NRa9a10、-C(O)NRa11a12、C1-4アルキル、C1-4アルコキシから選択される1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された5~6員ヘテロアリール基(例えば、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾール、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、またはチアジアゾリル)を表すか、または後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれ、Ra9、Ra10、Ra11、およびRa12は、本明細書で定義される通りである。
【0102】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ハロ、-CN、-NRa9a10、-C(O)NRa11a12、C1-4アルキル、C1-4アルコキシから選択される1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された5員ヘテロアリール基(例えば、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、またはイミダゾール-5-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、またはテトラゾリル(例えば、テトラゾール-1-イル))を表すか、または後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれ、Ra9、Ra10、Ra11、およびRa12は、本明細書で定義される通りである。
【0103】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ハロ、-CN、-NRa9a10、-C(O)NRa11a12、C1-4アルキル、C1-4アルコキシから選択される1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された5員ヘテロアリール基(例えば、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル))を表すか、または後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれ、Ra9、Ra10、Ra11、およびRa12は、本明細書で定義される通りである。
【0104】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、または-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)から選択される1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換された、5~6員ヘテロアリール基を表し、後者の3つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0105】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、少なくとも1つの窒素原子(例えば、1つまたは2つの窒素原子などの1~3つの窒素原子)を含む5~6員ヘテロアリール基を表すものが含まれる。
【0106】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルから選択される5~6員ヘテロアリール基を表し、各5~6員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル基(例えば、メチル)、C1-2アルコキシ(例えば、メトキシ)、または-N(C1-2アルキル)(C1-2アルキル)(例えば、-NMe)基によって任意に置換され、後者の3つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0107】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルから選択される5~6員ヘテロアリール基を表し、各5~6員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル基(例えば、メチル)、C1-2アルコキシ(例えば、メトキシ)、または-N(C1-2アルキル)(C1-2アルキル)(例えば、-NMe)基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0108】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ピリジニル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、またはピリジン-4-イル)、ピリダジニル(例えば、ピリダジン-3-イル、ピリダジン-4-イル、ピリダジン-5-イル、またはピリダジン-6-イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、またはピリミジン-5-イル)、ピリダジニル(例えば、ピリダジン-2-イルまたはピリダジン-3-イル)、トリアジニル(例えば、トリアジン-2-イル)、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール-1-イル)から選択される5~6員ヘテロアリール基を表し、各5~6員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル基(例えば、メチル)、C1-2アルコキシ(例えば、メトキシ)、または-N(C1-2アルキル)(C1-2アルキル)(例えば、-NMe)基によって任意に置換され、後者の3つの基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0109】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ピリジニル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、またはピリジン-4-イル)、ピリダジニル(例えば、ピリダジン-3-イル、ピリダジン-4-イル、ピリダジン-5-イル、またはピリダジン-6-イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、またはピリミジン-5-イル)、ピリダジニル(例えば、ピリダジン-2-イルまたはピリダジン-3-イル)、トリアジニル(例えば、トリアジン-2-イル)、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール-1-イル)から選択される5~6員ヘテロアリール基を表し、各5~6員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル基(例えば、メチル)、C1-2アルコキシ(例えば、メトキシ)、または-N(C1-2アルキル)(C1-2アルキル)(例えば、-NMe)基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0110】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、またはイミダゾール-5-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール-1-イル)から選択される5員ヘテロアリール基を表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、クロロ、ブロモ、またはC1-2アルキル基(例えば、メチル)によって任意に置換され、C1-2アルキル基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0111】
言及され得る本発明の化合物には、Rが、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール-1-イル)から選択される5員ヘテロアリール基を表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、クロロ、ブロモ、またはC1-2アルキル基(例えば、メチル)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0112】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾール(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール-1-イル)から選択される5員ヘテロアリール基を表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、メチル、またはエチル基によって任意に置換され、各メチルまたはエチル基が、1つ以上のF(例えば、-CF、-CFH、-CFH、または-CHCF)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0113】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾール(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)から選択される5員ヘテロアリール基を表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、メチル、またはエチル基によって任意に置換され、各メチルまたはエチル基が、1つ以上のF(例えば、-CF、-CFH、-CFH、または-CHCF)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0114】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール-1-イル)から選択される5員ヘテロアリール基を表すものが含まれる。
【0115】
疑義を避けるために、ピロール-1-イル、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル、およびテトラゾール-1-イルという用語は、それぞれ以下の置換基を指し、
【化2】
式中、
【化3】
は、分子の残部への結合点を示す。
【0116】
トリアゾリルという用語は、1,2,4-トリアゾール置換基または1,2,3-トリアゾール置換基(例えば、1,2,4-トリアゾール置換基)を指し得る。同様に、トリアゾール-1-イルという用語は、以下に示される、1,2,4-トリアゾール-1-イルまたは1,2,3-トリアゾール-1-イル置換基を指し得、
【化4】
式中、
【化5】
は、分子の残部への結合点を示す。
【0117】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、ピロール-1-イル、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル、または1,2,4-トリアゾール-1-イルを表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上のフルオロ、メチル、またはエチル基によって任意に置換され、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、-CF、-CFH、-CFH、または-CHCF)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0118】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、ピロール-1-イル、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル、4-エチルピラゾール-1-イル、4-フルオロピラゾール-1-イル、1-エチルピラゾール-4-イル、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル、4-メチルイミダゾール-1-イル、5-メチルイミダゾール-4-イル、4-フルオロイミダゾール-1-イル、4-ジフルオロメチルイミダゾール-1-イル、または1,2,4-トリアゾール-1-イルを表すものが含まれる。
【0119】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、ピラゾール-1-イルまたはイミダゾール-1-イルを表し、それぞれが、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基(例えば、4-フルオロピラゾール-1-イル、4-フルオロイミダゾール-1-イル)によって任意に置換されているものが含まれる。
【0120】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、ピラゾール-1-イル、イミダゾール-1-イル、または1,2,4-トリアゾール-1-イルを表すものが含まれる。
【0121】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Rが、ピラゾール(例えば、ピラゾール-4-イルまたは、好ましくは、ピラゾール-1-イル)を表し、ピラゾール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0122】
言及され得る本発明の化合物には、Xが、-CH-、-NH-、-O-、-S-、または直接結合を表すものが含まれる。
【0123】
言及され得る本発明の化合物には、Xが、-CH-、-NH-、-O-、または直接結合を表すものが含まれる。
【0124】
言及され得る本発明の化合物には、Xが、-O-、-S-、または直接結合を表すものが含まれる。
【0125】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Xが、-O-または直接結合(特に-O-)を表すものが含まれる。
【0126】
言及され得る本発明の化合物には、Xが-C(R)R-を表す場合、RおよびRが、それぞれ独立して、Hまたはメチルを表す(すなわち、Xが、-C(CH-、-C(CH)H-、または特に、-CH-)を表す)ものが含まれる。
【0127】
言及され得る本発明の化合物には、Xが-N(R)-を表す場合、Rが、メチルまたはHを表す(すなわち、Xが、-N(CH)-または特に-NH-を表す)ものが含まれる。
【0128】
言及され得る本発明の化合物には、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6、Ra7、Ra8、Ra9、Ra10、Ra11、およびRa12が、それぞれ独立して、HもしくはC1-2アルキルを表し、C1-2アルキル基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているか、または
a1およびRa2、Ra3およびRa4、Ra5およびRa6、Ra7およびRa8、Ra9およびRa10、ならびにRa11およびRa12が、独立して、それらが結合している原子と共に、一緒に結合して、4~7員ヘテロシクリル環を形成してもよく、ヘテロシクリル環が、N、O、およびS(例えば、NまたはO)から選択される1つのさらなるヘテロ原子を任意に含有するものが含まれる。
【0129】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6、Ra7、Ra8、Ra9、Ra10、Ra11、およびRa12が、それぞれ独立して、HまたはC1-2アルキルを表し、C1-2アルキル基が、1つ以上のフルオロ基によって任意に置換されているものが含まれる。
【0130】
言及され得る本発明の特定の化合物には、
が、メチル;フルオロ、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル、C1-2アルコキシから選択され、後者の2つの基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されている、1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル、C1-2アルキル、C1-2アルコキシ、およびフェニルから選択され、それぞれが、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ基によって任意に置換されてもよい、1つ以上の基によって任意に置換されている、チオフェニル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、またはインドリルを表し、
が、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシ、C1-3アルキル、またはC1-3アルコキシを表し、後者の2つの基が、それぞれ1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、-CHCHCF、-OMe、-OEt、-OPr、-OiPr、-OCF、-OCHF、-OCHF、-OCHCF、-OCHCHCF)によって任意に置換され、
nが、0または1(特に0)を表し、nが1を表す場合、Rが、好ましくは、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位(すなわち、4位)に位置し、
、Q、およびQが、それぞれ-C(R)-を表し、
各R基が、H、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル(例えば、メチル)、またはC1-2アルコキシ(例えば、メトキシ)を表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、-CF、-CHF、CHF、-CHCF-Oメチル、-Oエチル、-OCF、-OCHF、-OCHF、または-OCHCF(特にメチルまたは-Oメチル))によって任意に置換され、
Aが、-O-またはC1-2アルキレン、-メチレンO-、-Oメチレン-を表し、後者の3つの基が、C1-2アルキル基の1つ以上のフルオロ(例えば、メチル基)によって任意に置換され、
が、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール-1-イル)から選択される5員ヘテロアリール基を表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、クロロ、ブロモ、またはC1-2アルキル基(例えば、メチル)によって任意に置換され、
Xが、-CH-、-NH-、-O-、-S-、または直接結合を表すものが含まれる。
【0131】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、
が、メチル;フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、-CF、-OCF、もしくはメチレンジオキシから選択される1つ以上(例えば、1つ)の基によって任意に置換されたフェニル;1つ以上(例えば、1つ)のメチル基(例えば、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、または5-メチルチオフェン-2-イル)によって任意に置換されたチオフェニル;1つ以上(例えば、1つ)のメチルもしくはフェニル基(例えば、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、または、特に、1-フェニルピラゾール-4-イル)によって任意に置換されたピラゾール;チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、またはチアゾール-5-イル);ピリジニル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、またはピリジン-4-イル);ベンゾフラニル(例えば、ベンゾフラン-5-イル、ベンゾフラン-4-イル)、またはインドリル(例えば、インドール-5-イルまたはインドール-4-イル)を表し、
が、C1-2アルキルまたはC1-2アルコキシを表し、これらの基のそれぞれが、1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、-OMe、-OEt、-OCF、-OCHF、-OCHF、-OCHCF)によって任意に置換され、
nが、0または1(特に0)を表し、nが1を表す場合、Rが、好ましくは、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位(すなわち、4位)に位置し、
、Q、およびQのうちの1つが-N-を表し、他が-C(R)-を表すか、またはQ、Q、およびQがそれぞれ-C(R)-を表し、
1つのR基が、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル、もしくはC1-2アルコキシを表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、-CF、-CHF、CHF、-CHCF-Oメチル、-Oエチル、-OCF、-OCHF、-OCHF、または-OCHCF(特にメチルまたは-Oメチル))によって任意に置換され、残りのR基が、Hを表すか、または全てのR基が、Hを表し、
Aが、直接結合、-CH-、-OCH-、または-OCHC(O)-を表し、後者の3つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、非置換)によって任意に置換され、
が、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾール(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)から選択される5員ヘテロアリール基を表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、メチル、またはエチル基によって任意に置換され、各メチルまたはエチル基が、1つ以上のF(例えば、-CF、-CFH、-CFH、または-CHCF)によって任意に置換され、
Xが、-O-、-S-、または直接結合を表すものが含まれる。
【0132】
言及され得る本発明のさらなる化合物には、
が、メチル;または、好ましくは、メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ、および-OCF、およびメチレンジオキシから選択される1つの基によって任意に置換されたフェニルを表し、
が、フルオロ、クロロ、またはC1-2アルキル(メチルまたは、特に、エチル)を表し、
nが、0または1(特に0)を表し、nが1を表す場合、Rが、好ましくは、フェニル環のX基への結合点に対してパラ位(すなわち、4位)に位置し、
、Q、およびQが、それぞれ-C(R)-を表し、
1つのR基が、クロロ、ブロモ、C1-2アルキル、またはC1-2アルコキシを表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、メチル、エチル、-CF、-CHF、CHF、-CHCF-Oメチル、-Oエチル、-OCF、-OCHF、-OCHF、または-OCHCF(特にメチルまたは-Oメチル))によって任意に置換され、残りのR基が、Hを表すか、または、好ましくは、全てのR基が、Hを表し、
Aが、直接結合、-CH-、または-OCH-を表し、後者の2つの基が、1つ以上のフルオロ基(例えば、非置換)によって任意に置換され、
が、ピロリル(例えば、ピロール-1-イル)、ピラゾール(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル)、トリアゾリル(例えば、トリアゾール-1-イル)(好ましくは、ピラゾリル(例えば、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-4-イル)、またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-5-イル)、より好ましくは、ピラゾール(例えば、ピラゾール-1-イル))から選択される5員ヘテロアリール基を表し、各5員ヘテロアリール基が、1つ以上(例えば、1つ)のフルオロ、メチル、またはエチル基によって任意に置換され、各メチルまたはエチル基が、1つ以上のF(例えば、メチル、エチル、-CF、-CFH、-CFH、または-CHCF)によって任意に置換され、
Xが、-O-または直接結合(特に-O-)を表すものが含まれる。
【0133】
医療用途
本明細書で示すように、本発明の化合物、したがってそれを含む組成物およびキットは、薬剤として有用である。
【0134】
本発明の化合物はそれ自体で薬理学的活性を有し得るが、本発明の化合物のある特定の薬学的に許容される(例えば「保護された」)誘導体が存在し、または調製され得、それらはそのような活性を有さない場合があり得るが、非経口または経口投与された後に体内で代謝されて本発明の化合物を形成し得る。したがって、そのような化合物(該化合物はいくらかの薬理学的活性を有し得るが、但し、そのような活性は該化合物が代謝される活性化合物の活性よりもかなり低い)は、本発明の化合物の「プロドラッグ」として記載され得る。
【0135】
本明細書中で使用される場合、プロドラッグへの言及は、経腸(例えば、経口)または非経口投与の後に、所定の時間内に、実験的に検出可能な量で、本発明の化合物を形成する化合物を含むであろう。本発明の化合物の全てのプロドラッグが、本発明の範囲内に含まれる。
【0136】
さらに、本発明のある特定の化合物は、それ自体では薬理学的活性を全く有さないかまたは最小の薬理学的活性を有し得るが、非経口または経口投与された後に、体内で代謝されて、それ自体で薬理学的活性を有する本発明の他の化合物を形成し得る。そのような化合物(いくらかの薬理学的活性を有し得るが、そのような活性は、該化合物が代謝される本発明の活性化合物の活性よりもかなり低い)はまた、「プロドラッグ」として記載され得る。
【0137】
疑義を避けるために、本発明の化合物は、したがって、薬理学的活性を有する、および/または経口もしくは非経口投与後に体内で代謝されて薬理学的活性を有する化合物を形成するので、有用である。
【0138】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療において特に有用であり得る。それらの作用様式のために、本発明の化合物は、BDNF遺伝子にVal66Met変異を有する患者におけるそのような疾患の治療において特定の有用性を有し得る。
【0139】
本発明の化合物はまた、BDNF遺伝子に直接または間接的に影響する、欠失を含む他の遺伝的変異を有する患者におけるニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療において特定の有用性を有し得る。例えば、本発明の化合物は、より低いBDNF発現に関連することが知られているrs12291063マイナーC対立遺伝子を有する患者、および/または11番染色体の欠失などのWAGR症候群に関連する欠失を有する患者における疾患の治療において特定の有用性を有し得る。
【0140】
したがって、本発明の特定の実施形態において、BDNF遺伝子にVal66Met変異を有する患者、および/またはrs12291063マイナーC対立遺伝子を有する患者、および/またはWAGR症候群に関連する遺伝子欠失を有する患者における、本明細書に記載の疾患の治療における使用のための本発明の化合物が提供される。
【0141】
当業者は、栄養因子が細胞組織の成長および維持を促進する分子クラスを指すことを理解するであろう。ニューロトロフィンは、神経栄養因子とも呼ばれるニューロンの成長および生存の促進に関連する分子のクラスを指すと理解され得る。ニューロトロフィンの例には、NGF、BDNF、NT3およびNT4/5が含まれる。他の栄養因子には、インスリン様成長因子(IGF-1)、線維芽細胞成長因子(FGF)、肝細胞成長因子(HGF)、およびグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)などのグリア細胞株由来神経栄養因子、ニュールツリン(NRTN)、アルテミン(ARTN)、ならびにペルセフィン(PSPN)が含まれる。
【0142】
本明細書で使用する場合、ニューロトロフィンおよび他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患との語句は、上記で列挙したものなどの栄養因子のシグナル伝達の減少を伴う疾患および障害を示すと理解され得る。そのような障害は、TrKA、TrKB、およびTrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達の正の調節、および/または他の栄養因子受容体の正の調節によって治療し得る。
【0143】
BDNF遺伝子におけるVal66Met変異とは、脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子における多く見られる一塩基多型を指し、コドン66のバリン(Val)(Val66Met)に代えてメチオニン(Met)の置換をもたらす。
【0144】
当業者は、特定の状態の「治療」(同様に、その状態を「治療する」)についての言及は、医学分野における通常の意味であると理解するであろう。特に、この用語は、状態に関連する1つ以上の臨床症状の重症度および/または発生頻度の軽減を達成することを指し、そのような症状を有するかまたはかかりやすい患者を看る医師によって判断される。例えば、アルツハイマー病の場合、この用語は治療を受けている患者の認知改善を達成することを指し得る。
【0145】
本明細書で使用する場合、予防(prevention)(および同様に、予防する)という用語は、疾患または障害の予防(prophylaxis)への言及(およびその逆)を含む。そのようなものとして、予防(prevention)への言及はまた、予防(prophylaxis)への言及であってもよく、逆もまた同様である。特に、この用語は、患者(または健康な対象)が状態(該状態は、患者が、医師により、関連する疾患または障害を有する、例えば、それらの治療が必要であると診断されるような患者の状態の変化を意味すると理解され得る)を発症する可能性の低下(例えば少なくとも10%の低下、例えば少なくとも20%、30%、または40%の低下、例えば少なくとも50%の低下)を達成することを指し得る。
【0146】
本明細書で使用する場合、患者への言及は、哺乳動物(例えばヒト)患者を含む、治療される生きた対象を指す。
【0147】
疑念を避けるために、当業者は、そのような治療または予防がそれを必要とする患者(または対象)で行われることを理解するであろう。患者(または対象)がそのような治療または予防を必要とすることは、日常的な技術を用いて当業者によって評価され得る。
【0148】
本明細書で使用する場合、疾患および障害の用語(および同様に、状態、病気、医学的問題などの用語)は互換的に使用され得る。
【0149】
本発明の化合物は、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達、ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達の調節剤である。この化合物は、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達、ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体型チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達の調節について改善された効力を有すると考えられる。本発明の化合物は、TrkAおよびTrkBに対する従来のアゴニストに関連した副作用の可能性が低いと考えられる。
【0150】
別の適応には、リハビリテーションまたは新たに習得した身体的もしくは知的スキルの習得の際などに神経系の可塑性を促進することの目標がある状況設定が含まれる。さらに、これには、IGF1Rおよび/またはFGFR1受容体などの受容体型チロシンキナーゼによって媒介されるシグナル伝達に対する、直接的または間接的のいずれかでの調節効果と任意選択で組み合わせて、TrkA、TrkB、およびTrkC受容体によって媒介されるシグナル伝達に対して、直接的または直接的のいずれかで正の調節効果を有する能力を有する本発明の化合物で神経細胞もしくは非神経細胞または幹細胞を治療することによる、神経細胞もしくは非神経細胞または幹細胞の生存の促進または神経機能の促進も含まれる。
【0151】
本発明は、医学(例えば、ヒト医学)における使用のための、上記で定義される、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩に関する。上記で定義される化合物の作用機序に関する理論に縛られることなく、化合物は、本明細書で言及される疾患の治療および/または予防のために使用することができると考えられている。
【0152】
特定の実施形態において、本発明の化合物によって治療され得る疾患には、アルツハイマー病、うつ病、パーキンソン病、他のパーキンソン障害および/または他のタウオパチー、レビー小体型認知症、多発性硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、脳損傷(外傷性脳損傷を含む)、脳卒中、他の認知症障害、運動ニューロン疾患、ピック病、脊髄損傷、低酸素性虚血損傷、認知機能障害、冠動脈疾患、肥満、代謝症候群、糖尿病、シャルコー・マリー・トゥース病、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などのその合併症を含む)、組織再生、運動機能、神経損傷、難聴、失明、後眼部疾患、ドライアイ疾患、神経栄養性角膜炎、緑内障、高眼圧(IOP)、網膜色素変性症、心的外傷後ストレス障害、WAGR症候群、嗅索疾患、嗅覚低下、嗅覚機能障害、不安症、脆弱X症候群、先天性中枢性低換気症候群、強迫性障害、全身性不安障害、摂食障害、双極性障害、慢性疲労症候群、視神経脊髄炎、レット症候群、フリードライヒ運動失調症、閉塞性睡眠時無呼吸-低呼吸症候群、ならびに便秘(パーキンソン病における便秘、結腸通過時間延長型便秘、およびオピオイド誘発性便秘を含む)が含まれる。
【0153】
特定の実施形態において、本発明の化合物によって治療され得る疾患には、アルツハイマー病、うつ病、パーキンソン病、他のパーキンソン障害および/または他のタウオパチー、レビー小体型認知症、多発性硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、脳損傷(外傷性脳損傷を含む)、脳卒中、他の認知症障害、運動ニューロン疾患、ピック病、脊髄損傷、低酸素性虚血損傷、認知機能障害、冠動脈疾患、肥満、代謝症候群、糖尿病、シャルコー・マリー・トゥース病、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症(糖尿病誘発性骨粗鬆症)、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などのその合併症を含む)、組織再生、運動機能、神経損傷、難聴(遺伝性または後天性難聴を含む)、失明、後眼部疾患、前眼部疾患、ドライアイ疾患、神経栄養性角膜炎、緑内障、高眼圧(IOP)、網膜色素変性症、心的外傷後ストレス障害、WAGR症候群、プラダー・ウィリー症候群、嗅索疾患、嗅覚低下、嗅覚機能障害、不安症、脆弱X症候群、先天性中枢性低換気症候群、強迫性障害、全身性不安障害、摂食障害、双極性障害、慢性疲労症候群、視神経脊髄炎、レット症候群、フリードライヒ運動失調症、閉塞性睡眠時無呼吸-低呼吸症候群、ならびに便秘(パーキンソン病における便秘、結腸通過時間延長型便秘、およびオピオイド誘発性便秘を含む)が含まれる。
【0154】
特定の実施形態において、本発明の化合物によって治療され得る疾患には、アルツハイマー病、うつ病、パーキンソン病、他のパーキンソン障害および/または他のタウオパチー、レビー小体型認知症、多発性硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、脳損傷(外傷性脳損傷を含む)、脳卒中、他の認知症障害、運動ニューロン疾患、ピック病、脊髄損傷、低酸素性虚血損傷、認知機能障害、冠動脈疾患、肥満、代謝症候群、糖尿病、シャルコー・マリー・トゥース病、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などのその合併症を含む)、組織再生、運動機能、神経損傷、難聴、失明、後眼部疾患、ドライアイ疾患、神経栄養性角膜炎、緑内障、高眼圧(IOP)、網膜色素変性症、心的外傷後ストレス障害、WAGR症候群、嗅索疾患、嗅覚低下、嗅覚機能障害、不安症、脆弱X症候群、先天性中枢性低換気症候群、強迫性障害、全身性不安障害、摂食障害、双極性障害、慢性疲労症候群、視神経脊髄炎、レット症候群、フリードライヒ運動失調症、ならびに閉塞性睡眠時無呼吸-低呼吸症候群が含まれる。
【0155】
本明細書で使用する場合、「他のパーキンソン障害」との語句は、運動緩慢、震え、および姿勢保持反射障害などのパーキンソン病に類似した症状を有する障害を指すと理解され得る。そのような障害の例には、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、および大脳皮質基底核変性症(CBD)が含まれる。
【0156】
「他のタウオパチー」との語句は、脳内のタウタンパク質の病理学的ミスフォールディングに関連するアルツハイマー病以外の神経変性疾患を指すことを理解され得る。そのような障害の例には、原発性年齢関連タウオパチー、進行性核上性麻痺、ピック病、大脳皮質基底核変性症、および脳炎後パーキンソン症候群が含まれる。当業者は、進行性核上性麻痺などのある特定の障害がパーキンソン障害およびタウオパチーの両方として記載され得ることを理解するであろう。
【0157】
「他の認知症障害」という語句は、血管性認知症、混合型血管性認知症、偶発性認知症、術後認知症、初老期認知症、パーキンソン病に関連する認知症、およびHIV感染による認知症を含むと理解され得る。進行性核上性麻痺および大脳皮質基底核変性症はまた、認知症障害として分類され得る。
【0158】
運動ニューロン疾患には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、遺伝性痙性対麻痺(HSP)、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症(PMA)、進行性球麻痺(PBP)、および偽球麻痺が含まれる。
【0159】
認知機能障害は、学習、記憶の喪失、理解、および問題解決の能力の低下を含む、患者の認知能力の低下を指すと理解され得る。認知機能障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、および統合失調症などの広範な状態と関連している。したがって、特定の実施形態において、本発明の化合物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、または統合失調症の認知機能障害の治療において使用され得る。認知機能障害にはまた、術後認知機能障害および早産に関連する認識障害が含まれる。
【0160】
同様に、他の特定の実施形態において、本発明の化合物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、または統合失調症を有する患者における認知の改善において使用され得る。本明細書で使用する場合、「認知を改善する」との語句は、患者の学習、記憶、理解、および/または問題解決の能力を向上させることを示すと理解され得る。認知を改善することはまた、(例えば上記の障害に関連する)認知機能障害を患っている患者における認知の低下の速度を遅らせるまたは認知の低下を止めることを指し得る。
【0161】
認知機能は、当業者に既知の標準的な検査を用いて評価し得る。そのような検査の例には、アルツハイマー病評価尺度-認知サブスケール検査(ADAS-COG)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、臨床的認知症尺度(CDR)、臨床的認知症尺度-合計点数(CDR-SB)、アルツハイマー病共同研究-前臨床アルツハイマー認知複合指数(Alzheimer’s Disease Cooperative Study-Preclinical Alzheimer Cognitive Composite)(ADCS-PACC)、および神経心理状態反復性バッテリー(RBANS)が含まれる。
【0162】
本明細書で使用する場合、「摂食障害」は、過食症、神経性無食欲症、制限型神経性無食欲症、および神経性過食症を含むと理解され得る。
【0163】
本発明のさらなる態様によれば、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば、多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性由来の認知症、初老性認知症、老年性認知症、ならびにパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、肥満、糖尿病、および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などの関連障害を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性、後天性、または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、疼痛、うつ病、統合失調症、不安症、ならびに便秘、特にパーキンソン病における便秘、結腸通過時間延長型便秘、およびオピオイド誘発性便秘を含むかまたは含有する群から選択される1つ以上の疾患の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0164】
本発明のさらなる態様によれば、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば、多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性由来の認知症、初老性認知症、老年性認知症、ならびにパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、肥満、糖尿病、および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などの関連障害を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性または後天性または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、前眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、疼痛、うつ病、統合失調症、不安症、ならびに便秘、特にパーキンソン病における便秘、結腸通過時間延長型便秘、およびオピオイド誘発性便秘を含むかまたは含有する群から選択される1つ以上の疾患の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0165】
本発明のさらなる態様によれば、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および他のパーキンソン障害、神経再生の増強が有益な障害、例えば、多発性硬化症を含む脱髄疾患、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、外傷性脳損傷を含む脳損傷、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性由来の認知症、初老性認知症、老年性認知症、ならびにパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)および統合失調症における認知機能障害、肥満、糖尿病、および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などの関連障害を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性、後天性、または外傷性難聴、失明および後眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、疼痛、うつ病、統合失調症、ならびに不安症を含むかまたは含有する群から選択される1つ以上の疾患の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0166】
より具体的な実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、他のパーキンソン疾患、他のタウオパチー、レビー小体型認知症、運動ニューロン病、ピック病、肥満、代謝症候群、糖尿病、糖尿病性神経障害、便秘、およびレット症候群からなる群から選択される。
【0167】
より具体的な実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、他のパーキンソン疾患、他のタウオパチー、レビー小体型認知症、運動ニューロン病、ピック病、肥満、代謝症候群、糖尿病、糖尿病性神経障害、およびレット症候群からなる群から選択される。
【0168】
より具体的な実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、他のパーキンソン疾患、他のタウオパチー、レビー小体型認知症、運動ニューロン病、ピック病、肥満、代謝症候群、糖尿病、およびレット症候群からなる群から選択される。この群の障害の治療は、BDNF遺伝子においてVal66Met変異を有する患者に特に有効であり得る。
【0169】
さらにより具体的な実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、眼障害である。
【0170】
さらにより具体的な実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、失明、後眼部疾患、前眼部疾患、ドライアイ疾患、神経栄養性角膜炎、緑内障、高眼圧、および網膜色素変性症からなる群から選択される眼障害である。より具体的には、眼障害は、ドライアイ疾患、神経栄養性角膜炎、および緑内障からなる群から選択される。
【0171】
さらにより具体的な実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、うつ病、糖尿病性神経障害、便秘、およびレット症候群からなる群から選択される。
【0172】
さらにより具体的な実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、うつ病、糖尿病性神経障害、およびレット症候群からなる群から選択される。
【0173】
さらに特定の実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、うつ病、およびレット症候群からなる群から選択される。
【0174】
本発明のさらなる実施形態は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病および/または他のパーキンソン障害の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0175】
本発明のさらなる実施形態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症における認知機能障害、レット症候群、および/またはうつ病の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0176】
本発明のさらなる実施形態は、アルツハイマー病の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0177】
本発明のさらなる実施形態は、うつ病の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0178】
本発明のさらなる実施形態は、脱髄疾患などの神経再生の増強が有益である疾患の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0179】
本発明のさらなる実施形態は、多発性硬化症の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0180】
本発明のさらなる実施形態は、レット症候群の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0181】
本発明のさらなる実施形態は、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、および/または外傷性脳損傷を含む脳損傷の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0182】
本発明のさらなる実施形態は、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性由来の認知症、初老性認知症、老年性認知症、ならびにパーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、術後認知症に関連する認知症を含む)、および/または統合失調症における認知機能障害の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0183】
本発明のさらなる実施形態は、アテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などのその合併症を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、糖尿病誘発性骨粗鬆症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性もしくは外傷性難聴、失明および後眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、WAGR症候群、プラダー・ウィリー症候群、ならびに/または疼痛の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0184】
本発明のさらなる実施形態は、アテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などのその合併症を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性もしくは外傷性難聴、失明および後眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、ならびに/または疼痛の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0185】
本発明のさらなる実施形態は、うつ病、統合失調症、および/または不安症の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0186】
別の実施形態は、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達、ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達の調節剤が有益である疾患の治療および/または予防のための、例えば、前述の状態の1つ以上を含む、非神経性および神経性疾患の両方の治療および/または予防のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0187】
本発明はさらに、TrkA、TrkB、TrkCなどのニューロトロフィン受容体および/またはそれらのシグナル伝達、ならびにFGFR1およびIGF1Rなどの受容体チロシンキナーゼおよび/またはそれらのシグナル伝達の調節剤が有益である疾患を治療、予防、またはそのリスクを低減する方法における、例えば、非神経性および神経性疾患の両方の治療および/または予防における、本発明の化合物の使用に関する。
【0188】
一実施形態は、前述の1つ以上の疾患を治療、予防、またはそのリスクを低減する方法における使用のための(例えば、医薬品の製造における)本発明の化合物の使用に関し、これは、治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とするヒトなどの哺乳動物に投与することを含む。
【0189】
別の実施形態は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン疾患、レット症候群、てんかん、パーキンソン病、ならびに/または他のパーキンソン障害を治療、予防、またはそのリスクを低減する方法における、本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0190】
さらなる実施形態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症における認知機能障害、レット症候群、および/またはうつ病を治療、予防、またはそのリスクを低減する方法における本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0191】
さらなる実施形態は、多発性硬化症などの脱髄疾患などの神経再生の増強が有益である疾患を治療、予防、またはそのリスクを低減する方法における本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0192】
さらなる実施形態は、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、および/または外傷性脳損傷を含む脳損傷を治療、予防、またはそのリスクを低減する方法における本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0193】
さらなる実施形態は、便秘、特にパーキンソン病における便秘、結腸通過時間延長型便秘、およびオピオイド誘発性便秘を治療または予防する方法における、本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0194】
別の実施形態は、軽度認知障害、認知症障害(混合型血管性および変性由来の認知症、初老性認知症、老年性認知症、ならびにパーキンソン病、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症に関連する認知症を含む)、および/または統合失調症における認知機能障害を治療、予防、またはそのリスクを低減する方法における、本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0195】
さらなる実施形態は、肥満、糖尿病および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などのその合併症を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、糖尿病誘発性骨粗鬆症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性もしくは外傷性難聴、失明および後眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、ならびに/または疼痛を治療する方法における、本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0196】
さらなる実施形態は、肥満、糖尿病および代謝症候群、糖尿病性神経障害(骨粗鬆症、痛みを伴う結合組織障害、および腱断裂などのその合併症を含む)、シャルコー・マリー・トゥース病およびその異型、神経移植およびその合併症、運動ニューロン病、末梢神経損傷、遺伝性もしくは後天性もしくは外傷性難聴、失明および後眼部疾患、うつ病、肥満、代謝症候群、ならびに/または疼痛を治療する方法における、本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0197】
さらに別の実施形態は、うつ病、統合失調症、および/または不安症を治療、予防、またはそのリスクを低減する方法における、本発明の化合物のそのような使用に関する。
【0198】
上記のように、本発明の化合物による本明細書に記載の障害の治療は、BDNF遺伝子にVal66Met変異を有する患者において特に有効であり得る。したがって、特定の実施形態において、ニューロトロフィンおよび/または本明細書で定義される他の栄養因子(本明細書に記載の様々な実施形態を含む)のシグナル伝達障害を特徴とする障害の治療は、BDNF遺伝子にVal66Met変異を有する患者におけるものである。
【0199】
薬学的組成物
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、薬剤として有用である。このような化合物は、単独で投与されてもよく、または既知の薬学的組成物/製剤を経由して投与されてもよい。
【0200】
本発明のさらなる態様において、任意にBDNF遺伝子にVal66Met変異を有する患者において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患(本明細書に記載される様々な疾患および障害を含む)の治療における使用のための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤、例えば、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む、薬学的組成物が提供される。
【0201】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される賦形剤」という用語には、ビヒクル、アジュバント、担体、希釈剤、pH調整剤および緩衝剤、張性調整剤、安定剤、湿潤剤などへの言及が含まれる。特に、そのような賦形剤は、アジュバント、希釈剤、または担体を含み得る。
【0202】
当業者は、本発明の化合物が全身的におよび/または局所的に(すなわち特定の部位で)作用し得、したがって当業者に既知の適切な技術を用いて投与され得ることを理解する。
【0203】
当業者は、本明細書で記載されるような化合物および組成物が、通常、経口、静脈内、皮下、頬側、直腸、皮膚、鼻腔、気管、気管支、舌下、鼻腔内、局所(眼への局所投与を含む)的に、任意の他の非経口経路または吸入を介して、薬学的に許容される剤形で投与されることを理解するであろう。
【0204】
好適な薬学的製剤の選択および調製のための従来の手順は、例えば、“Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Designs”,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,1988.に記載されている。本発明の化合物から薬学的組成物を調製するために、不活性の薬学的に許容される担体は固体または液体のいずれかであり得る。固形製剤には、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、および坐剤が含まれる。
【0205】
本明細書に記載の薬学的組成物には、経口投与のための錠剤、カプセル剤、もしくはエリキシル剤、直腸投与のための坐剤、非経口もしくは筋肉内投与のための滅菌溶液または懸濁液などの形態の組成物が含まれる。あるいは、特に本発明のそのような化合物が局所的に作用する場合、薬学的組成物は局所投与用に製剤化され得る。特に、化合物は、例えば人工脳脊髄液(CSF)の形態で、CNSへの局所送達用に製剤化され得る。
【0206】
したがって、特定の実施形態において、薬学的組成物は、錠剤もしくはカプセル剤、経口でもしくは注射により摂取される液体形態、坐剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、吸入剤(例えば鼻腔内投与される)、または局所投与に好適な形態を含む、薬学的に許容される剤形で提供される。疑義を避けるために、そのような実施形態では、本発明の化合物は、固体(例えば、固体分散物)、液体(例えば、溶液中)、またはミセルの形態などの他の形態で存在してもよい。
【0207】
したがって、本発明の化合物、およびそれを含む組成物は、経口、非経口、頬側、膣、直腸、吸入、吹送、舌下、筋肉内、皮下、局所(眼への局所投与を含む)、鼻腔内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、くも膜下腔内、脳室内、および関節への注射により、投与され得る。
【0208】
投与様式に応じて、薬学的組成物は、好ましくは0.05~99重量パーセント(%wt)、より好ましくは0.05~80重量パーセント、さらにより好ましくは0.10~70重量パーセント、さらにより好ましくは0.10~50重量パーセントの本発明の化合物(非塩形態として計算)を含み、全ての重量パーセントは総組成物に基づく。
【0209】
本発明の化合物(すなわち活性成分)の効力および物理的特性に応じて、言及し得る薬学的製剤には、活性成分が少なくとも1重量%(もしくは少なくとも10%、少なくとも30重量%、または少なくとも50重量%)である量で存在するものが含まれる。すなわち、薬学的組成物の他の成分(すなわち、アジュバント、希釈剤、および担体の添加)に対する活性成分の比は少なくとも1:99(または少なくとも10:90、少なくとも30:70、もしくは少なくとも50:50)である。
【0210】
投与される化合物の量は治療される患者によって異なり、1日当たり約100ng/体重kg~100mg/体重kgまで変化するであろう。例えば、投与量は、この開示および当該技術分野における知識から当業者によって容易に確かめることができる。したがって、当業者は、組成物中のおよび本発明の使用または方法において投与される化合物および任意選択での添加剤、ビヒクル、および/または担体の量を容易に決定することができる。
【0211】
より特定的には、当業者は、本発明の化合物を様々な用量で(例えば上記の製剤として)投与することができ、好適な用量は当業者によって容易に決定されることを理解するであろう。経口的、肺的、および局所的投与量(ならびに皮下投与量、但し、これらの投与量は、相対的により低くてもよい)は、1日体重1kg当たり約0.01μg(μg/kg/日)~約14mg/kg/日、好ましくは、約0.01μg/kg/日~約10mg/kg/日、より好ましくは、約0.1μg/kg/日~約5.0mg/kg/日の範囲であり得る。例えば、経口投与される場合、そのような化合物での治療は、約0.01μg~約1000mg、例えば、約0.1μg~約500mg、または1μg~約100mg(例えば約20μg~約80mg)の有効成分(複数可)を典型的に収容する製剤の投与を含んでいてもよい。静脈内投与される場合、最も好ましい用量は、定速注入の間、約0.001~約10μg/kg/時の範囲であろう。有利には、治療は、このような化合物および組成物の1日1回用量での投与を含んでいてもよく、または1日総投与量を、1日2回、3回、もしくは4回の分割用量で(例えば、本明細書で記載の用量に関連して、1日2回、例えば、1日2回、1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、または200mgの用量で)投与してもよい。
【0212】
疑義を避けるために、当業者(例えば、医師)は、個々の患者に最も適した実際の投与量を決定することができ、これは、投与経路、製剤の種類、治療されるべき状態の種類および重篤度、患者が摂取し得る他の医薬品、ならびに治療されるべき特定の患者の種、年齢、体重、サイズ、性別、食事、腎機能、肝機能、一般的な身体状態、一般的な因子、および応答によって様々である可能性が高い。上記の投与量は、平均の場合の例であるが、当然に、より高いまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の事例があり得、そのような用量も本発明の範囲内に含まれる。
【0213】
よって、本発明のさらなる態様において、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の療法における、または治療および/もしくは予防のための、上記で定義される、薬学的組成物の使用が提供される。
【0214】
組み合わせおよびキットオブパーツ
本明細書で定義される神経系の疾患および関連する病理の治療および/または予防は、単独療法として本発明の化合物の投与を含んでもよく、または本発明の化合物に加えて、本明細書で言及される1つ以上の疾患の治療において価値のある従来の療法との併用治療を含んでもよい。そのような従来の治療には、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、抗炎症剤、認知および/もしくは記憶増強剤、非定型抗精神病剤、ドーパミンアゴニスト、ならびに/またはL-DOPAなどの1つ以上の薬剤を含まれ得る。
【0215】
そのような併用治療および/または予防は、本発明の個々の化合物または治療および/もしくは予防の追加の薬剤の同時、逐次、または別々の投与によって達成することができる。そのような組み合わせ製品は、本発明の、化合物、またはその薬学的に許容される塩を使用する。
【0216】
したがって、当業者は、本発明の化合物による治療が、同じ症状に対するさらなる治療または予防方法をさらに含む(すなわち組み合わせる)ことができることを理解するであろう。特に、本発明の化合物による治療は、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患(本明細書に記載のアルツハイマー病、パーキンソン病、認知機能障害、およびうつ病、例えばアルツハイマー病など)の治療手段、例えば、本明細書に記載のニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする様々な疾患の治療に有用な1つ以上の他の治療薬による治療、および/または当業者に既知である、治療に使用される1つ以上の物理的方法(外科手術による治療など)と組み合せてもよい。
【0217】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物はまた、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療および/または予防に有用な1つ以上の他の(すなわち異なる)治療薬(すなわち本発明の化合物ではない薬剤)と組み合せてもよい。1種以上の他の治療薬と共に本発明の化合物を投与するそのような組み合わせ製品は、別々の製剤として提示され得るか(ここでそれらの製剤うちの少なくとも1つは本発明の化合物を含み、少なくとも1つは他の治療薬を含む)、または組み合わせ調製物として提示(すなわち、製剤化)され得る(すなわち、本発明の化合物および1種以上の他の治療薬を含む単一製剤として提示され得る)。
【0218】
よって、本発明のさらなる態様によれば、
(I)本明細書において上記で定義される本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、
(II)ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含み、
成分(I)および(II)のそれぞれが、任意に、薬学的に許容されるアジュバント希釈剤または担体などの薬学的に許容される賦形剤と、混合して製剤化される、組み合わせ製品が提供される。
【0219】
本発明のさらなる態様によれば、任意に、薬学的に許容されるアジュバント希釈剤または担体などの薬学的に許容される賦形剤と、混合して製剤化された、本明細書において上記で定義される本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含む、薬学的組成物が提供される。
【0220】
本発明のさらなる態様によれば、
(a)任意に、薬学的に許容されるアジュバント希釈剤または担体などの薬学的に許容される賦形剤と、混合して製剤化された、本明細書において上記で定義される本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物と、
(b)任意に、薬学的に許容されるアジュバント希釈剤または担体などの薬学的に許容される賦形剤と、混合して製剤化された、ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達障害を特徴とする疾患の治療または予防において有用な1つ以上の他の治療剤を含む、薬学的組成物と、を含み、
成分(a)および(b)が、それぞれ他方と併せた投与に適した形態で提供される、キットオブパーツが提供される。
【0221】
本明細書に記載のキットオブパーツに関して、「と合わせて投与」(および同様に、「と合わせて投与する」)には、それぞれの製剤が、関連する状態の治療に対する医療介入の一部として、逐次、別々に、または同時に投与されることを含む。
【0222】
したがって、本発明に関連して、「と合わせて投与」(同様に「と合わせて投与する」)との用語は、2つの活性成分が、関連する状態の治療および予防の過程にわたって、一緒にまたは時間的に十分に近接して(任意選択で繰り返して)投与され、いずれかの薬剤が、同じ過程の治療および予防にわたって、他の構成要素の不存在下で単独で(任意選択で繰り返して)投与される場合よりも患者のためのより大きな有益な効果を可能とすることを含む。組み合わせが、特定の状態の治療または予防に関しておよびその過程にわたって、より大きな有益な効果を提供するかどうかの決定は治療または予防される状態に依存するであろうが、当業者によって日常的に行い得る。
【0223】
さらに、本発明の文脈において、「と一緒に」という用語は、2つの製剤のうちの一方が、他方の構成要素の投与の前、後、および/または同時に投与され得る(任意で繰り返して)ことを含む。この文脈で使用する場合、「同時に(simultaneously)投与する」および「同時に(at the same time as)投与する」との用語は、本発明の化合物、ならびにニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患を治療するための追加の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の個々の用量を、互いに48時間以内に(例えば24時間、12時間、6時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、または10分以内に)投与する場合を含む。
【0224】
ニューロトロフィンおよび/または他の栄養因子のシグナル伝達の障害を特徴とする疾患の治療または予防に有用な他の治療薬は当業者に周知であろう。例えば、そのような他の治療剤には、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、抗炎症剤、認知増強剤、記憶増強剤、および非定型抗精神病剤、抗うつ剤、抗アルツハイマー剤、ベータ-セクレターゼ阻害剤、ガンマ-セクレターゼ調節剤、タウ機能調節剤、アミロイド-ベータ産生阻害剤、アミロイド-ベータに対する抗体、タウに対する抗体、アルファ-シヌクレインに対する抗体、抗パーキンソン剤、抗糖尿病剤、抗多発性硬化症剤、抗肥満剤、聴覚機能障害の治療に使用される薬剤、眼疾患の治療に使用される薬剤、嗅覚機能障害の治療に使用される薬剤、味覚機能障害の治療に使用される薬剤、抗ハンチントン剤、抗レット症候群剤、抗脳卒中剤が含まれ得る。言及され得る特定の治療剤には、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、抗アルツハイマー剤、抗パーキンソン剤、認知増強剤、アミロイド-ベータに対する抗体、タウに対する抗体、アルファ-シヌクレインに対する抗体、ベータ-セクレターゼ阻害剤およびガンマ-セクレターゼ調節剤、抗便秘剤(下剤、セロトニンアゴニスト、および塩素イオンチャネル活性化剤など)が含まれる。
【0225】
組成物の調製
本明細書で定義される薬学的組成物/製剤、組み合わせ製品、およびキットは、標準的および/または容認されている薬務に従って調製することができる。
【0226】
よって、本発明のさらなる態様において、本明細書において上記で定義される薬学的組成物/製剤の調製のためのプロセスであって、本明細書において上記で定義される本発明の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることを含む、プロセスが提供される。
【0227】
本発明のさらなる態様において、本明細書において上記で定義される組み合わせ製品またはキットオブパーツの調製のためのプロセスであって、本明細書において上記で定義される本発明の化合物を、関連する疾患または障害の治療において有用な他の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることを含む、プロセスが提供される。
【0228】
本明細書で使用される場合、関連付けることへの言及は、2つの構成要素が互いに組み合わせて投与するのに適格とすることを意味し得る。
【0229】
よって、本明細書において上記で定義されるキットオブパーツの調製のためのプロセスに関して、2つの構成要素を互いに「組み合わせる」ことによって、我々は、キットオブパーツの2つの構成要素が、
(i)別個の製剤として(すなわち、互いに独立して)提供されてもよく、その後、併用療法において互いに併せて使用するために組み合わされるか、または
(ii)併用療法において互いに併せて使用するための「併用パック」の別個の構成要素として一緒に包装および提示されてもよいことを含む。
【0230】
本発明の化合物の調製
本明細書に記載される本発明の化合物は、以下に提供される例に記載されるものなどの当業者に周知の技法に従って、遊離塩基または薬学的に許容される塩のいずれかとして調製され得る。
【0231】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の化合物の調製のためのプロセスが提供され、これは、式IIの化合物であって、
【化6】
式中、R、R、R、Q、Q、Q、A、X、およびnは、上記で定義される通りである、化合物の、エトキシカルボニルイソシアネートとの反応のステップを含む。
【0232】
この反応は、例えば、
a.密封されたマイクロ波バイアル中、好適な溶媒(トルエンまたはブロモベンゼンなど)中、好適な反応温度(例えば、室温~還流温度)で、または
b.最初にDMFなどの好適な溶媒中、約1~約60分間、好適な反応温度(例えば、0℃~室温)で、式IIの化合物を水素化ナトリウムなどの好適な塩基で処理し、続いて、約1~約60分間などの好適な時間、撹拌しながら、ほぼ同じにエトキシカルボニルイソシアネートを添加することによって、実施され得る。
【0233】
式IIの化合物は、式IIIの化合物であって、
【化7】
式中、R、R、Q、Q、Q、A、X、およびnは、上記で定義される通りである、化合物を、
a.式IVの化合物であって、
-N=C=O (IV)
式中、Rは、上記で定義される通りである、化合物、または
b.式Vの化合物であって、
-N(H)C(O)Cl (V)
式中、Rは、上記で定義される通りである、化合物のいずれかと、例えば、(両方の場合において)TEAなどの好適な塩基の存在下、DCM、THF、またはピリジンなどの好適な溶媒中、好適な反応温度(例えば、室温~還流温度)で反応させることによって得ることができる。
【0234】
あるいは、式IIの化合物は、式VIの化合物であって、
【化8】
式中、R、R、Q、Q、Q、X、A、およびnは、上記で定義される通りである、化合物を、式VIIのアミンであって、
-NH (VII)
式中、Rは、上記で定義される通りである、アミンと、例えば、TEAなどの好適な塩基の存在下、THFなどの好適な溶媒中、好適な反応温度(例えば、室温~還流温度)で反応させることによって得ることができる。
【0235】
あるいは、式IIの化合物は、上記で定義された式IIIの化合物を、DCMなどの好適な溶媒中、NaHCOまたはTEAなどの好適な塩基の存在下、好適な反応温度(例えば、0℃~室温)で、トリホスゲンまたはホスゲンと反応させることによって調製されてもよい。約1~約6時間などの好適な時間後、式VIIの化合物を、追加量の好適な(例えば、上記の)塩基と一緒に加えてもよく、次いで、反応混合物を、室温などの好適な温度で、約1~約24時間などの好適な時間反応させる。あるいは、この反応の順序は、最初に式IVの化合物をトリホスゲンまたはホスゲンと反応させ、続いて上記と実質的に同じ反応条件下で式VIIの化合物を添加することによって変更することができる。
【0236】
式IIIの化合物は、式VIIIの化合物であって、
【化9】
式中、R、R、Q、Q、Q、X、A、およびnは、上記で定義される通りである、化合物を、SnCl.2HOなどの好適な還元剤の存在下、例えば、HClの存在下、またはH(g)の存在下でPd/Cを用いて、還元することによって得ることができる。この反応は、エタノールなどの好適な溶媒中、好適な温度(例えば、室温~還流温度)で行うことができる。
【0237】
本発明のさらなる実施形態では、式IXの化合物であって、
【化10】
式中、R、R、R、Q、Q、Q、X、A、およびnは、上記で定義される通りであり、特にRは、本明細書で定義されるフェニルまたはヘテロアリール基を表す(より具体的には、Rは、フェニルまたはトリルを表す)、化合物から、好適な酸(HCl(例えば、2M HCl)など)および任意に有機共溶媒(例えば、1,4-ジオキサン)の存在下、好適な温度(例えば、室温~還流温度)での、本発明の化合物の調製のためのプロセスが提供される。
【0238】
式IXの化合物は、式Xの化合物であって、
【化11】
式中、R、R、Q、Q、Q、X、A、およびnは、上記で定義される通りであり、特に、Rは、本明細書で定義されるフェニルまたはヘテロアリール基を表す(より具体的には、Rは、フェニルまたはトリルを表す)、化合物を、過剰な(例えば、2当量の)式XIの化合物であって、
-N=C=O (XI)
式中、Rは、上記で定義される通りであり、特にRは、本明細書で定義されるアリールまたはヘテロアリール基を表す(より具体的には、Rは、フェニルを表す)、化合物と、好適な塩基(例えば、アセトニトリル)好適な試薬(例えば、1,1′-カルボニルジイミダゾール(CDI))の存在下、好適な温度(例えば、室温)で反応させることによって得ることができる。
【0239】
式IV、V、VI、VII、VIII、およびXIの化合物は、市販されているか、文献において既知であるか、または本明細書に記載のプロセスによって類推するか、もしくは従来の合成手順によるかのいずれかで、標準的な技法に従って、適切な試薬および反応条件を用いて入手可能な出発物質から得ることができる。これに関して、当業者は、特に、B.M.TrostおよびI.Flemingによる“Comprehensive Organic Synthesis”,Pergamon Press,1991を参照することができる。使用され得るさらなる参考文献は、“Heterocyclic Chemistry” by J.A.Joule,K.Mills and G.F.Smith,3rd edition,published by Chapman&Hall、“Comprehensive Heterocyclic Chemistry II” by A.R.Katritzky,C.W.Rees and E.F.V.Scriven,Pergamon Press,1996、および“Science of Synthesis”,Volumes 9-17(Hetarenes and Related Ring Systems),Georg Thieme Verlag,2006を含む。
【0240】
当業者は、本明細書で定義された置換基および該置換上の置換基が、当業者に周知の方法により、本発明の化合物の調製について上記の方法の後またはその間に1回以上修飾されてもよいことを理解するであろう。そのような方法の例には、置換、還元、酸化、脱水素化、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化、およびニトロ化が含まれる。前駆体基は、反応順序の間いつでも、異なるそのような基または式Iで定義された基に変えることができる。当業者はまた、A.R.Katritzky,O.Meth-CohnおよびC.W.Reesによる“Comprehensive Organic Functional Group Transformations”,Pergamon Press,1995、および/またはR.C.Larockによる“Comprehensive Organic Transformations”,Wiley-VCH,1999を参照し得る。
【0241】
本発明の化合物は、それらの反応混合物から単離され、必要な場合には当業者に既知のものなどの従来技術を用いて精製することができる。したがって、本明細書に記載の本発明の化合物の調製方法は、最終工程として、本発明の化合物の単離および任意選択での精製を含んでもよい。
【0242】
上記および下記の方法において、中間体化合物の官能基を保護基によって保護する必要があり得ることは当業者によって理解されるであろう。官能基の保護および脱保護は、先に言及したスキームにおける反応の前または後に行ってもよい。
【0243】
保護基は、当業者に周知であって以下に記載されるような技術に従って適用および除去することができる。例えば、本明細書に記載の保護された化合物/中間体は、標準的な脱保護技術を用いて、保護されていない化合物に化学的に変換することができる。関与する化学の種類は、保護基の必要性および種類ならびに合成を達成するための順序を決定付けるであろう。保護基の使用は、“Protective Groups in Organic Synthesis”,第3版,T.W.Greene&P.G.M.Wutz,Wiley-Interscience(1999)に十分に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0244】
特定の値(量など)に関して本明細書で使用する場合、「約」との用語(または「およそ」などの同様の用語)は、そのような値が定義された値の最大10%(特に、最大5%、例えば、最大1%)変動し得ることを示すと理解される。各場合において、そのような用語は、表記「±10%」などと(または関連する値に基づいて計算された特定量の変動を示すことによって)置き換えてもよいことが企図される。各場合において、そのような用語は削除してもよいこともまた企図される。
【0245】
本発明の化合物は、上記の適応症での使用のためであろうと他での使用のためであろうと、先行技術で既知の化合物よりも、より効果的であり、より毒性が低く、より長く作用し、より効力があり、より副作用が少なく、より吸収されやすく、および/もしくははより優れた薬物動態プロフィール(例えば、より高い経口バイオアベイラビリティおよび/またはより低いクリアランス)を有し、および/または他の有用な薬理学的、物理的、または化学的特性を有し得るという利点を有し得る。特に、本発明の化合物は、インビボでより有効でありおよび/または有利な特性を示すという利点を有し得る。
【実施例
【0246】
本発明は、本発明の範囲を限定することを意図しない以下の実施例を参照することによってさらに説明される。
【0247】
実験手順
本明細書に記載の化合物の合成に使用される出発物質および中間体は、市販されているか、または本明細書に記載の方法もしくは当該技術分野で既知の方法によって調製することができる。
【0248】
実験は一般的に、特に酸素または水分に敏感な試薬または中間体が使用された場合、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)の下で行われた。
【0249】
質量分析データは、エレクトロスプレーイオン化を使用した液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)から報告される。NMRデータの化学シフトは、使用した重水素化溶媒からの残留ピークを参照して、百万分率(ppm、δ)で表される。
【0250】
一般的な手順を参照する合成では、反応条件(反応の長さまたは温度など)が異なる場合がある。一般に、反応の後に薄層クロマトグラフィーまたはLC-MSを行い、必要に応じて後処理を行った。精製は実験間で異なる場合がある。一般的に、溶離液/勾配に使用される溶媒および溶媒比は、適切なRおよび/または保持時間を提供するために選択された。
【0251】
一般的な方法
全ての溶媒は分析用グレードのものであり、市販の無水溶媒を反応に日常的に使用した。使用した出発物質は、商業的供給源から入手可能であるか、または文献の手順に従って調製され、室温は、20~25℃を指す。溶媒混合物組成は、体積百分率または体積比として与えられる。
【0252】
MW加熱は、2450MHzで連続照射を生成する標準的なMW反応器中で行った。MWは反応混合物の加熱に使用できることが理解される。典型的には、Anton paarマイクロ波合成装置300がマイクロ波合成装置として使用された。
【0253】
薄層クロマトグラフィー(TLC)をMerckTLCプレート(シリカゲル60F254)で行い、スポットを紫外線で可視化した。TLCは一般に反応進行をモニタリングするために使用され、使用した溶媒は、例えば1~10%のMeOHを含む酢酸エチルもしくはアセトニトリルもしくはDCM、0~95%のヘキサンを含む酢酸エチルであった。直相フラッシュカラムクロマトグラフィー(「フラッシュクロマトグラフィー」/「カラムクロマトグラフィー」)は、Merckシリカゲル60(0.040~0.063mm)もしくは塩基性酸化アルミニウムもしくは中性酸化アルミニウムで手動で、または指示された溶媒系を用いるRediSep(商標)順相フラッシュカラム(「Combiflash」)を用いるISCO Combiflash(登録商標)Companion(商標)システムを使用して自動で行った。
【0254】
NMRスペクトルは、好適な構成のプローブを備えた400MHz NMR分光計(Bruker 400MHz Avance-III)で記録した。特記しない限り、スペクトルは周囲温度で記録した。化学領域(chemical field)は、TMS(0.00ppm)からの低磁場および高磁場のppmで示した。(別段の指示がない限り)以下の基準シグナルをH-NMRに使用した:TMS∂0.00、またはDMSO-d6 δ 2.49、CDClδ 7.25の残留溶媒シグナル。共鳴多重度は、一重項、二重項、三重項、四重項、二重項の二重項、三重項の三重項、三重項の二重項、多重項、広幅、および見かけに対して、それぞれs、d、t、q、m、dd、tt、dt、br、およびappと表される。いくつかの場合には、診断シグナルのみが報告される。
【0255】
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を逆相(RP)カラムで行った。例えば、移動相A(水中の5mM酢酸アンモニウム+0.1%ギ酸)およびB(アセトニトリル中0.1%ギ酸)、もしくはA(水中の0.1%NH3)およびB(アセトニトリル中の0.1%NH3)、またはA(水中の10mM酢酸アンモニウム)およびB(アセトニトリル)を用いて勾配を適用した。
【0256】
使用した逆相カラムは、例えば、BEH C18(50*2.1mm)、1.7μm;X-Bridge C18(50*4.6mm)3.5μm;X-Bridge/YMCC18(150*4.6mm)、5μm;BEH C18(50*2.1mm)、1.7μm;X-Bridge C8(250*19)mm、5μmであった。使用した流速は、例えば0.55ml/分または1.00ml/分であった。
質量分析(MS)分析は、エレクトロスプレーイオン化(ESI+/-)を用いて陽および/または陰イオンモードで行った。
【0257】
分取HPLCクロマトグラフィーは、PDA検出器を備えたWaters e2695分離モジュール、またはUV検出器を備えたShimadzu LC-20APで実行された。カラム;X-BRIDGE C18、150*4.6mm、5μmまたはX-Bridge C18(250*19mm)5μmまたはGEMINI C18(250*21.2mm)5μmまたはsunfire c18(150*19)mm、5ミクロンまたはx-bridge c18(150*19)mm、5ミクロンまたはymc actus triart c18(150*20)mm、5ミクロンまたはkromasil eternity c18(250*21.2)mm、5ミクロン。使用した流速は、例えば、10~15ml/分であった。UVスペクトルは、典型的には、202nmおよび214~260nmラムダ最大で記録された。
【0258】
例えば、LC分離のために、流速1ml/分で、移動相A(水中の0.1%NH)およびB(アセトニトリル中の0.1%NH3)、A(水中の0.1%TFA)およびB(アセトニトリル)、A(水中の5mM重炭酸アンモニウム+0.05%アンモニア)およびB(アセトニトリル)、A(5mM重炭酸アンモニウム)およびB(アセトニトリル)を用いて勾配を適用した。
【0259】
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)は、直相カラムで行った。例えば相A(ヘキサン)および相B(XX)を使用して線形(linear)勾配またはアイソクラティックフローを適用した。
【0260】
化合物は、Collaborative Drug Discovery Inc.Burlingame CA、USAからのCDD vault、またはiChemLabs LLC、USAからのChemDoodle 8.1.0/9.02、またはAdvanced Chemistry Development(ACD/labs)Ontario、CanadaからのACD/ChemSketch 2012(14.01)を使用して命名されている。化合物の名称と同じ化合物の構造式との間に矛盾がある場合、構造式が化合物の分子構造について決め手となる。
【0261】
命名法と図で描写されている任意の化合物との間に不一致がある場合、(与えられ得る任意の実験上の詳細と相反しない限り、または文脈から明らかでない限り)後者が優先される。
【0262】
中間体1
1-(5-ニトロ-2-フェノキシベンジル)-1H-ピラゾール
【化12】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、ピラゾール(0.24g、3.5mmol)およびアセトニトリルを入れた。得られた溶液を0℃に冷却し、KCO(0.49g、3.5mmol)を加え、反応混合物を10分間撹拌した。2-(ブロモメチル)-4-ニトロ-1-フェノキシベンゼン(市販、0.50g、1.6mmol)を反応混合物に滴下し、室温で16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、反応混合物を氷水(30ml)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(60~120メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の7%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.40g(83%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 8.16(dd、J=8.8、2.8Hz、1H)、7.91(d、J=1.6Hz、1H)、7.84(d、J=2.4Hz、1H)、7.56-7.49(m、3H)、7.32(t、J=7.2Hz、1H)、7.15(d、J=7.6Hz、2H)、6.86(d、J=9.2Hz、1H)、6.34(t、J=2.0Hz、1H)、5.58(s、2H);MS(ES+)m/z 296[M+H]
【0263】
中間体2
4-フェノキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)アニリン
【化13】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、1-(5-ニトロ-2-フェノキシベンジル)-1H-ピラゾール(中間体1、0.250g、12mmol)およびメタノール(10ml)を入れた。10%Pd/C(50%湿潤)(0.05g)を、N雰囲気下で撹拌された溶液に加えた。混合物をH(g)下で3時間撹拌した。反応混合物を、セライトベッドを通して濾過し、メタノールで洗浄し、溶媒を減圧下で除去して、0.210g(93%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.61(d、J=2.0Hz、1H)、7.43(d、J=1.2Hz、1H)、7.31(t、J=7.6Hz、2H)、7.02(t、J=7.6Hz、1H)、6.85(d、J=8.0Hz、2H)、6.71(d、J=8.8Hz、1H)、6.52(dd、J=8.4、2.8Hz、1H)、6.25-6.22(m、2H)、5.11(s、2H)、5.05(s、2H);MS(ES+)m/z 266[M+H]
【0264】
中間体3
1-[4-フェノキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)フェニル]-3-フェニル尿素
【化14】
磁気スターラーを予め備えたRBFに、DCM(2ml)中の4-フェノキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)アニリン(中間体2、0.21g、0.7mmol)およびTEA(0.22ml)を入れ、混合物を0℃に冷却した。混合物に、フェニルイソシアネート(0.11g、0.9mmol)を加え、反応混合物を25℃に到達させ、16時間撹拌した。反応混合物を氷水(10ml)でクエンチした。生成物をDCM(3×20ml)で抽出し、合わせた有機層をブライン(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を、溶離液としてヘキサン中の12%酢酸エチルを使用するシリカゲル(100~200メッシュ)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.16g(52%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 8.70(s、1H)、8.58(s、1H)、7.72(d、J=2.0Hz、1H)、7.52-7.32(m、6H)、7.27(t、J=7.6Hz、2H)、7.12-7.05(m、2H)、6.98-6.88(m、4H)、6.26(t、J=2.0Hz、1H)、5.30(s、2H);MS(ES+)m/z 385[M+H]
【0265】
中間体4
1-(5-ニトロ-2-フェノキシベンジル)-1H-イミダゾール
【化15】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、イミダゾール(0.09g、1.4mmol)およびアセトニトリル(12ml)を入れた。溶液を0℃に冷却し、KCO(0.19g、1.4mmol)を加え、反応混合物を10分間撹拌した。2-(ブロモメチル)-4-ニトロ-1-フェノキシベンゼン(市販、0.20g、0.6mmol)を反応混合物に滴下し、室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗反応混合物を氷水(20ml)でクエンチした。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の80%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.19g(99%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.18(dd、J=9.2、2.8Hz、1H)、8.10(d、J=2.8Hz、1H)、7.80(s、1H)、7.52(t、J=7.6Hz、2H)、7.34(t、J=7.2Hz、1H)、7.27(s、1H)、7.15(d、J=7.6Hz、2H)、6.96(s、1H)、6.86(d、J=9.2Hz、1H)、5.44(s、2H);MS(ES+)m/z 296[M+H]
【0266】
中間体5
3-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-4-フェノキシアニリン
【化16】
磁気スターラーを予め備えたRBFに、エタノール(1.7ml)中の1-(5-ニトロ-2-フェノキシベンジル)-1H-イミダゾール(中間体4、0.17g、0.5mmol)およびSnCl・2HO(0.51g、2.3mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。35%水性HCl(0.17ml)を加え、反応混合物を50℃まで加熱し、5時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、アンモニアで塩基性化して、pH7~8を維持した。沈殿物を、Celite(登録商標)ベッドを介した濾過によって除去し、ベッドを酢酸エチル(2×20ml)で洗浄した。合わせた濾液を水(3×15ml)およびブライン(15ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、0.15g(98%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 7.59(s、1H)、7.32(t、J=7.6Hz、2H)、7.04-7.01(m、2H)、6.87-6.84(m、3H)、6.73(d、J=8.4Hz、1H)、6.54(dd、J=8.4、2.8Hz、1H)、6.34(d、J=2.8Hz、1H)、5.10(s、2H)、4.98(s、2H);MS(ES+)m/z 266[M+H]
【0267】
中間体6
1-[3-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-フェニル尿素
【化17】
磁気スターラーを予め備えたRBFに、DCM(1.5ml)中の3-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-4-フェノキシアニリン(中間体5、0.15g、0.5mmol)およびTEA(0.15ml、1.1mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。フェニルイソシアネート(0.08g、0.6mmol)を加え、反応混合物を25℃に到達させ、16時間撹拌した。反応混合物を氷水(10ml)の混合物でクエンチした。生成物をDCM(3×20ml)で抽出し、合わせた有機層をブライン(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離液としてヘキサン中の90%酢酸エチルを使用するシリカゲル(100~200メッシュ)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.2g(92%収率)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 385[M+H]
【0268】
中間体7
1-(5-ニトロ-2-フェノキシベンジル)-1H-1,2,4-トリアゾール
【化18】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DMF(12ml)中の1,2,4-トリアゾール(0.53g、7.7mmol)を入れた。溶液を0℃に冷却し、NaH(95%、0.18g、7.7mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。2-(ブロモメチル)-4-ニトロ-1-フェノキシベンゼン(市販、1.2g、3.8mmol)を反応混合物に0℃で滴下し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合物を氷水(30ml)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーおよび溶離液としてヘキサン中の50%酢酸エチルによって精製して、0.570g(49%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ8.70(s、1H)、8.22-7.19(m、2H)、8.05(s、1H)、7.51(t、J=8.0Hz、2H)、7.33(t、J=7.6Hz、1H)、7.11(d、J=8.0Hz、2H)、6.87(d、J=9.2Hz、1H)、5.68(s、2H);MS(ES+)m/z 297[M+H]
【0269】
中間体8
4-フェノキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)アニリン
【化19】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、エタノール(5.4ml)中の1-(5-ニトロ-2-フェノキシベンジル)-1H-1,2,4-トリアゾール(中間体7、0.54g、1.8mmol)およびSnCl・2HO(1.64g、7.2mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。35%水性HCl(0.54ml)を加え、反応混合物を70℃で3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(25ml)で希釈し、水性アンモニアで塩基性化して、pH7~8を維持した。混合物をCelite(登録商標)ベッドを通して濾過し、ベッドを酢酸エチル(2×25ml)で洗浄した。合わせた濾液を水(3×25ml)で洗浄し、続いてブライン(25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、0.430g(88%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.43(s、1H)、7.95(s、1H)、7.31(t、J=7.6Hz、2H)、7.02(t、J=7.2Hz、1H)、6.83(d、J=8.0Hz、2H)、6.72(d、J=8.8Hz、1H)、6.56(dd、J=8.8、2.4Hz、1H)、6.36(d、J=2.0Hz、1H)、5.21(s、2H)、5.12(s、2H);MS(ES+)m/z 267[M+H]
【0270】
中間体9
1-[4-フェノキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)フェニル]-3-フェニル尿素
【化20】
磁気スターラーを予め備えたRBFに、DCM(2.8ml)中の4-フェノキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)アニリン(中間体8、0.28g、1.0mmol)およびTEA(0.29ml、2.1mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。フェニルイソシアネート(0.12g、1.0mmol)を加え、反応混合物を25℃に到達させ、16時間撹拌した。得られた固体沈殿物を濾別し、n-ペンタン(30ml)で洗浄して、0.300g(74%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.74(s、1H)、8.61(s、1H)、8.53(s、1H)、7.99(s、1H)、7.48-7.43(m、3H)、7.37(t、J=8.0Hz、2H)、7.28(t、J=8.0Hz、3H)、7.11(t、J=7.4Hz、1H)、6.98(t、J=7.4Hz、1H)、6.92-6.89(m、3H)、5.40(s、2H);MS(ES+)m/z 386[M+H]
【0271】
中間体10
1-[2-(4-エチルフェノキシ)-5-ニトロベンジル]-1H-ピラゾール
【化21】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DMF(6ml)中のピラゾール(0.36g、5.3mmol)を入れた。溶液を0℃に冷却し、NaH(60%、0.19g、5.3mmol)を少しずつ加え、反応混合物を1時間撹拌した。DMF(3ml)中の2-(ブロモメチル)-1-(4-エチルフェノキシ)-4-ニトロベンゼン(市販、0.90g、2.6mmol)を反応混合物に0℃で滴下して、反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を氷水(20ml)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーおよび溶離液としてヘキサン中の8%酢酸エチルによって精製して、0.710g(82%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.16(dd、J=9.2、2.8Hz、1H)、7.92(d、J=2.0Hz、1H)、7.84(d、J=2.8Hz、1H)、7.57(d、J=1.2Hz、1H)、7.36(d、J=8.4Hz、2H)、7.08(d、J=8.4Hz、2H)、6.84(d、J=8.8Hz、1H)、6.35(t、J=2.1Hz、1H)、5.58(s、2H)、2.66(q、J=7.6Hz、2H)、1.22(t、J=7.6Hz、3H);MS(ES+)m/z 324[M+H]
【0272】
中間体11
4-(4-エチルフェノキシ)-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)アニリン
【化22】
磁気スターラーを予め備えたRBFに、エタノール(7.0ml)中の1-[2-(4-エチルフェノキシ)-5-ニトロベンジル]-1H-ピラゾール(中間体10、0.70g、2.1mmol)およびSnCl・2HO(1.95g、8.6mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。35%水性HCl(0.70ml)を加え、反応混合物を70℃で3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、アンモニアで塩基性化して、pH7~8を維持した。混合物を、セライトベッドを通して濾過し、酢酸エチル(2×20ml)で洗浄した。濾液を水(3×20ml)、続いてブライン(25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、0.55g(86%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.63(d、J=2.0Hz、1H)、7.45(d、J=1.2Hz、1H)、7.16(d、J=8.4Hz、2H)、6.79(d、J=8.8Hz、2H)、6.70(d、J=8.4Hz、1H)、6.52(dd、J=8.4、2.8Hz、1H)、6.25(d、J=2.0Hz、2H)、5.13(s、2H)、5.04(s、2H)、2.59(q、J=7.6Hz、2H)、1.16(t、J=7.6Hz、3H)。MS(ES+)m/z 294[M+H]
【0273】
中間体12
1-[4-(4-エチルフェノキシ)-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)フェニル]-3-メチル尿素
【化23】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた25mlRBFに、DCM(5.0ml)中の4-(4-エチルフェノキシ)-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)アニリン(中間体11、0.50g、1.7mmol)およびTEA(0.71ml、5.1mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。塩化メチルアミノホルミル(0.25g、2.7mmol)を加え、反応混合物を25℃に到達させ、16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、反応混合物を氷水(20ml)でクエンチし、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーおよび溶離液としてヘキサン中の35%酢酸エチルによって精製して、0.300g(50%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.51(s、1H)、7.70(d、J=1.6Hz、1H)、7.47(d、J=1.2Hz、1H) 7.43(dd、J=8.8、2.4Hz、1H)、7.20(m、2H)、7.02(d、J=2.0Hz、1H)、6.85-6.80(m、3H)、6.27(s、1H)、5.92(d、J=4.4Hz、1H)、5.27(s、2H)、2.63(s、3H)、2.59(q、J=7.6Hz、2H)、1.18(t、J=7.6Hz、3H);MS(ES+)m/z 351[M+H]
【0274】
中間体13
1-[(4-ニトロビフェニル-2-イル)メチル]-1H-ピラゾール
【化24】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた50mlRBFに、DMF(10ml)中のピラゾール(0.60g、8.8mmol)を加えた。溶液を0℃に冷却し、NaH(60%、0.32g、8.8mmol)を少しずつ加え、反応混合物を1時間撹拌した。DMF(3ml)中の2-(ブロモメチル)-4-ニトロビフェニル(Iihama,T.、Fu,J.M.、Bourguignon,M.、Snieckus,V.Synthesis(1989),3,184-8)(1.30g、4.4mmol)を反応混合物に0℃で滴下し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を氷水(30ml)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を、溶離液としてヘキサン中の50%酢酸エチルを使用するコンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、1.1g(88%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.22(dd、J=8.5、2.5Hz、1H)、7.75(dd、J=10.7、2.4Hz、2H)、7.59-7.48(m、7H)、6.31(s、1H)、5.44(s、2H)。
【0275】
中間体14
2-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ビフェニル-4-アミン
【化25】
エタノール(11.0ml)中の1-[(4-ニトロビフェニル-2-イル)メチル]-1H-ピラゾール(中間体8、1.10g、3.9mmol)およびSnCl・2HO(3.55g、15.7mmol)を、磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに加え、混合物を0℃に冷却した。得られた懸濁液に、35%水性HCl(1.10ml)を加え、反応混合物を70℃で3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(25ml)で希釈し、水性アンモニアで塩基性化して、pH7~8を維持した。混合物を、セライトベッドを通して濾過し、酢酸エチル(2×25ml)で洗浄した。濾液を水(3×25ml)およびブライン(25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させて、1.2gの表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.55(d、J=2.2Hz、1H)、7.45-7.30(m、6H)、6.96(d、J=8.2Hz、1H)、6.57(dd、J=8.2、2.4Hz、1H)、6.25(d、J=2.0Hz、2H)、5.19(s、2H)、5.17(s、2H);MS(ES+)m/z 250[M+H]
【0276】
中間体15
1-メチル-3-[2-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ビフェニル-4-イル]尿素
【化26】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DCM(5ml)中の(中間体9、0.50g、2mmol)およびTEA(0.84ml、6mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。塩化メチルアミノホルミル(0.28g、3mmol)を加え、得られた反応混合物を25℃に到達させ、16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、反応混合物を氷水(20ml)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離液としてヘキサン中の40%酢酸エチルを使用するコンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.250g(40%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.58(s、1H)、7.58-7.53(m、2H)、7.47-7.36(m、6H)、7.15(d、J=8.4Hz、1H)、6.94(d、J=1.6Hz、1H)、6.25(t、J=2.0Hz、1H)、5.96(q、J=4.8Hz、1H)、5.24(s、2H)、2.63(d、J=4.6Hz、3H);MS(ES+)m/z 307[M+H]
【0277】
中間体16
5-{[(3-メチルフェニル)カルバモイル]アミノ}-2-フェノキシ安息香酸メチル
【化27】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、3-メチルアニリン(1.35g、12.6mmol)、NaHCO(3.17g、37.8mmol)、およびDCM(17ml)を加えた。混合物を0℃に冷却し、トリホスゲン(1.23g、4.1mmol)を加え、反応混合物を2時間0℃で撹拌した。5-アミノ-2-フェノキシ安息香酸メチル(市販、3.08g、12.6mmol)およびNaHCO(3.17g、37.8mmol)を反応混合物に加えた。反応混合物を25℃に到達させ、2時間撹拌した。反応混合物を水(50ml)でクエンチし、生成物をDCM(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、シリカゲル(60~120メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の30%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、4.5g(94%収率)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 377[M+H]
【0278】
中間体17
3-[3-(ヒドロキシメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-(3-メチルフェニル)尿素
【化28】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、THF(45ml)中の5-{[(3-メチルフェニル)カルバモイル]アミノ}-2-フェノキシ安息香酸メチル(中間体16、4.50g、11.9mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。LiBH(1.56g、71.7mmol)を0℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温に到達させ、4時間撹拌した。反応混合物を水(50ml)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をDCM(2×15ml)によって粉砕し、固体生成物を濾過によって収集して、3.9g(93%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.76(s、1H)、8.57(s、1H)、7.64(s、1H)、7.35-7.40(m、4H)、7.33-7.15(m、2H)、7.05-7.06(m、1H)、6.81-6.79(m、4H)、5.21(d、J=4.80Hz、1H)、4.45(d、J=4.80Hz、2H)、2.30(s、3H)。MS(ES+)m/z 349[M+H]
【0279】
中間体18
3-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-(3-メチルフェニル)尿素
【化29】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、ジクロロメタン(38ml)中の3-[3-(ヒドロキシメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-(3-メチルフェニル)尿素(中間体17、3.80g、10.9mmol)を加えた。触媒量のDMF(0.5ml)を加え、混合物を0℃に冷却し、10分間0℃で撹拌した。塩化チオニル(2.59g、21.8mmol)を滴下し、得られた反応混合物を室温に到達させ、2時間撹拌した。反応混合物を水(30ml)でクエンチし、水層をジクロロメタン(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてニートヘキサンを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、3.0g(74%収率)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 367[M+H]
【0280】
中間体19
1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化30】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、ブロモベンゼン(10ml)中の3-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-(3-メチルフェニル)尿素(中間体18、1.00g、2.3mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。エトキシカルボニルイソシアネート(0.53g、4.5mmol)を加え、得られた反応混合物を25℃に到達させ、Anton parマイクロ波合成装置-300において150℃で3時間加熱した。反応混合物を水(10ml)でクエンチし、水層を酢酸エチル(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、コンビフラッシュクロマトグラフィーおよび溶離液としてヘキサン中の20%酢酸エチルによって精製して、0.53gの粗表題化合物を得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。MS(ES-)m/z 434[M-H]
【0281】
中間体20
(5-アミノ-2-フェノキシフェニル)メタノール
【化31】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、メタノール(50ml)中の(5-ニトロ-2-フェノキシフェニル)メタノール(市販、5.0g、20.4mmol)を加えた。炭素上パラジウム(10%(50%湿潤)、1.0g)をN雰囲気下で加え、混合物をH(ガス)下で4.5時間撹拌した。反応混合物を、セライトベッドを通して濾過し、メタノールで洗浄した。合わせた濾液を減圧下で蒸発させて、4.1g(93%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.27(t、J=8.00Hz、2H)、6.96(t、J=7.20Hz、1H)、6.77(d、J=7.60Hz、3H)、6.65(d、J=8.40Hz、1H)、6.45(dd、J=2.40、8.40Hz、1H)、5.01-4.98(m、3H)、4.29(d、J=5.60Hz、2H);MS(ES+)m/z 216[M+H]
【0282】
中間体21
3-[3-(ヒドロキシメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-(4-メトキシフェニル)尿素
【化32】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、(5-アミノ-2-フェノキシフェニル)メタノール(中間体20、1.00g、4.65mmol)、NaHCO(1.17g、13.95mmol)、およびジクロロメタン(30ml)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、トリホスゲン(0.413g、1.395mmol)を加え、反応混合物を2時間0℃で撹拌した。4-メトキシ-アニリン(0.572g、4.65mmol)およびNaHCO(1.17g、13.95mmol)を加え、反応混合物を室温に到達させ、4時間撹拌した。反応混合物を水(50ml)でクエンチし、生成物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をn-ペンタンで粉砕して、2.1gの表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 365[M+H]
【0283】
中間体22
3-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-(4-メトキシフェニル)尿素
【化33】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、ジクロロメタン(21ml)中の3-[3-(ヒドロキシメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-(4-メトキシフェニル)尿素(中間体21、2.1g、5.76mmol)を加えた。触媒量のDMF(0.5ml)を加え、混合物を0℃に冷却し、10分間撹拌した。塩化チオニル(0.83ml、1.15mmol)を滴下し、得られた反応混合物を25℃で2時間撹拌した。反応混合物を水(30ml)でクエンチし、水層をジクロロメタン(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の9%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、1.0gの粗表題化合物を得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。MS(ES+)m/z 383[M+H]
【0284】
中間体23
1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化34】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、ブロモベンゼン(5ml)中の3-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-(4-メチルフェニル)尿素(中間体22、0.500g、1.3mmol)を加えた。エトキシカルボニルイソシアネート(0.603g、5.23mmol)を加え、得られた反応混合物をAnton parマイクロ波合成装置-300において150℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の75%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.1gの粗表題化合物を得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。MS(ES-)m/z 450[M-H]
【0285】
中間体24
1-{[2-(4-フルオロフェノキシ)-5-ニトロフェニル]メチル}-1H-イミダゾール
【化35】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、ACN(33ml)中のイミダゾール(0.50g、7.4mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。KCO(1.02g、7.4mmol)を加え、反応混合物を0℃で10分間撹拌した。2-(ブロモメチル)-1-(4-フルオロフェノキシ)-4-ニトロベンゼン(市販、1.1g、3.3mmol))を加え、反応混合物を室温に到達させ、3時間撹拌した。反応混合物を水(10ml)でクエンチし、水層を酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離液としてジクロロメタン中の8%MeOHを使用するコンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、0.810g(76%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d:δ 8.17(dd、J=2.80、8.8Hz、1H)、8.09(d、J=2.80Hz、1H)、7.79(s、1H)、7.36(t、J=8.80Hz、2H)、7.27(s、1H)、7.22-7.18(m、2H)、6.95(s、1H)、6.86(d、J=8.80Hz、1H)、5.43(s、2H);MS(ES+)m/z 315[M+H]
【0286】
中間体25
4-(4-フルオロフェノキシ)-3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]アニリン
【化36】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、メタノール(8.1ml)中の1-{[2-(4-フルオロフェノキシ)-5-ニトロフェニル]メチル}-1H-イミダゾール(中間体24、0.81g、2.5mmol)を加えた。Pd/C(10%、(50%湿潤)、0.08g)をN雰囲気下で加え、混合物をH(ガス)バブリング下で撹拌した。反応の完了後、反応混合物を、セライトベッドを通して濾過し、メタノールで洗浄した。溶媒を減圧下で除去して、0.73g(99%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.58(s、1H)、7.14(t、J=8.8Hz、2H)、7.05(s、1H)、6.87-6.84(m、3H)、6.70(d、J=8.80Hz、1H)、6.52(dd、J=2.40、8.80Hz、1H)、6.33(d、J=2.40Hz、1H)、5.09(s、2H)、4.98(s、2H);MS(ES+)m/z 284[M+H]
【0287】
中間体26
3-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]フェニル]-1-(3-メチルフェニル)尿素
【化37】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたバイアルに、4-(4-フルオロフェノキシ)-3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]アニリン(中間体25、0.73g、2.5mmol)、NaHCO(0.63g、7.5mmol)、およびジクロロメタン(7.3ml)を加えた。混合物を0℃に冷却し、トリホスゲン(0.22g、0.7mmol)を加え、反応混合物を2時間撹拌した。3-メチル-アニリン(0.27g、2.5mmol)およびNaHCO(0.63g、7.5mmol)を加え、反応混合物を室温に到達させ、3時間撹拌した。反応混合物を水(25ml)で希釈し、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の30%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.43g(40%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 9.35(s、1H)、9.19(s、2H)、7.71-7.63(m、3H)、7.53(d、J=2.0Hz、1H)、7.30-7.14(m、5H)、6.97-6.94(m、2H)、6.9(d、J=8.80Hz、1H)、6.80(d、J=7.20Hz、1H)、5.45(s、2H)、2.34(s、3H)。MS(ES+)m/z 417[M+H]
【0288】
中間体27
3-(3-ヒドロキシ-4-フェノキシフェニル)-1-(3-メチルフェニル)尿素
【化38】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DMF(20ml)中の5-アミノ-2-フェノキシフェノール(市販、2.0g、9.9mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。NaHCO(2.49g、29.7mmol)を加え、得られた混合物を20分間撹拌した。3-メチル-フェニルイソシアネート(1.32g、9.9mmol)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を水(500ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をジクロロメタンおよびヘキサンで粉砕して、3.5gの表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 335[M+H]
【0289】
中間体28
3-[3-(ベンジルオキシ)-4-フェノキシフェニル]-1-(3-メチルフェニル)尿素
【化39】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DMF(35ml)中の3-(3-ヒドロキシ-4-フェノキシフェニル)-1-(3-メチルフェニル)尿素(中間体27、3.5g、10.47mmol)およびKCO(2.17g、15.70mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。臭化ベンジル(2.15g、12.57mmol)を加え、反応混合物を25℃に到達させ、16時間撹拌した。反応混合物を水(150ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の30%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、3.8g(定量的)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 425[M+H]
【0290】
中間体29
1-[3-(ベンジルオキシ)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化40】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、クロロベンゼン(10ml)中の3-[3-(ベンジルオキシ)-4-フェノキシフェニル]-1-(3-メチルフェニル)尿素(中間体28、1.0g、2.35mmol)を加えた。エトキシカルボニルイソシアネート(1.08g、9.4mmol)を加え、反応混合物を130℃で16時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の50%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、1.2gの表題化合物を得た。MS(ES-)m/z 492[M-H]
【0291】
中間体30
1-(3-ヒドロキシ-4-フェノキシフェニル)-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化41】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、メタノール(12ml)中の1-[3-(ベンジルオキシ)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体29、1.2g、2.43mmol)を加えた。Pd/C(10%(50%湿潤)、0.24g)をN雰囲気下で加えた。混合物をH(ガス)下で撹拌した。反応の完了後、反応混合物を、セライトベッドを通して濾過し、メタノールで洗浄し、溶媒を減圧下で除去して、0.271g(27%収率)の生成物を得た。MS(ES+)m/z 404[M+H]
【0292】
中間体31
1-(2-フルオロ-5-ニトロフェニル)-4-メチル-1H-イミダゾール
【化42】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、ギ酸(46.0g、480mmol)を加え、0℃に冷却した。酢酸無水物(12.42g、121mmol)を0℃で滴下し、混合物を30分間撹拌した。磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた別のRBFで、2-フルオロ-5-ニトロアニリン(5.0g、32.0mmol)をTHF(50ml)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。この混合物に、上記ギ酸/酢酸無水物反応混合物を0℃で加えた。得られた反応混合物を室温に到達させ、60℃で16時間撹拌した。反応混合物を水(100ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(75ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、9.01gの粗2-フルオロ-1-(ホルミルアミノ)-5-ニトロベンゼンを得た。この粗2-フルオロ-1-(ホルミルアミノ)-5-ニトロベンゼン(8.2g、44.5mmol)を、磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DMF(82ml)中の1-クロロ-2-プロパノン(10.3g、111.3mmol)、炭酸カリウム(21.55g、155.8mmol)、およびヨウ化カリウム(0.702g、4.2mmol)と一緒に室温で加えた。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を水(250ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×150ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、6.2gの粗N-(2-フルオロ-5-ニトロフェニル)-N-(2-オキソプロピル)ホルムアミドを得た。この粗N-(2-フルオロ-5-ニトロフェニル)-N-(2-オキソプロピル)ホルムアミド(6.0g、24.9mmol)を、磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、酢酸(60ml)中の酢酸アンモニウム(9.6g、124.9mmol)と一緒に加え、混合物を130℃で2時間加熱した。反応混合物を水(100ml)でクエンチし、pHが塩基性になるまで水性50%NaOH溶液を加えた。水層をEtOAc(3×75ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の45%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、2.0g(28%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d:δ 8.51(dd、J=2.80、6.80Hz、1H)、8.31-8.32(m、1H)、8.08(s、1H)、7.80(t、J=9.60Hz、1H)、7.43(s、1H)、2.20(s、3H)。
【0293】
中間体32
4-メチル-1-(5-ニトロ-2-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾール
【化43】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、DMF(15ml)中のフェノール(0.850g、9.0mmol)および炭酸カリウム(2.49g、18.0mmol)を加え、30分間室温で撹拌した。DMF(5ml)中の1-(2-フルオロ-5-ニトロフェニル)-4-メチル-1H-イミダゾール(中間体31、2.0g、9.0mmol)の溶液を滴下し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応混合物を水(100ml)でクエンチし、EtOAc(2×150ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の50%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、1.64g(61%収率)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 296[M+H]
【0294】
中間体33
3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-4-フェノキシアニリン
【化44】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた100mlRBFに、メタノール(60ml)中の4-メチル-1-(5-ニトロ-2-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾール(中間体32、1.6g、5.4mmol)を入れた。Pd/C(10%(50%湿潤)、0.6g)をN雰囲気下で加えた。懸濁液をH(ガス)バブリング下で撹拌した。反応の完了を、移動相としてDCM:MeOH(9:1)を使用するTLCによって確認した。TLCを、UV光を使用して視覚化した。反応の完了後、反応混合物を、セライトベッドを通して濾過し、メタノールで洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して、1.034g(71%収率)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 266[M+H]
【0295】
中間体34
N-シアノ-N’-[3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-4-フェノキシフェニル](メチルスルファニル)メタンイミダミド
【化45】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、エタノール(6ml)中の3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-4-フェノキシアニリン(中間体33、0.4g、1.508mmol)を加えた。この溶液に、[ビス(メチルスルファニル)メチリデン](シアノ)アミン(0.22、1.508mmol)を室温で加えた。反応混合物を80℃に2日間加熱した。反応の完了を、移動相としてDCM:MeOH(9:1)を使用するTLCによって確認した。TLCを、UV光を使用して視覚化した。反応の完了後、反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を、溶離液としてDCM中の8%MeOHを使用するコンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、0.2g(36%)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 364[M+H]
【0296】
中間体35
3-[5-[3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-4-フェノキシフェニル]-1-(3-メチルフェニル)-4-(メチルスルファニル)-6-オキソ-1,2,5,6-テトラヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-1-(3-メチルフェニル)尿素
【化46】
磁気スターラー窒素バルーンを予め備えたRBFに、DCM(6.0ml)中のN-シアノ-N’-[3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-4-フェノキシフェニル](メチルスルファニル)メタンイミダミド(中間体34、0.180g、0.49mmol)および3-メチル-フェニルイソシアネート(0.131g、0.99mmol)を加えた。反応混合物に、トリエチルアミン(0.501g、4.95mmol)を加え、続いてCDI(1,1’-カルボニルジイミダゾール、0.400g、2.47mmol)を加えた。反応混合物を、室温で6時間撹拌した。反応の完了を、移動相としてDCM:MeOH(9.5:0.5)を使用するTLCによって確認した。TLCを、UV光を使用して視覚化した。反応の完了後、反応混合物を水(30ml)でクエンチし、ジクロロメタン(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、0.140gの粗生成物を得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。MS(ES+)m/z 630[M+H]
【0297】
中間体36
2-フェノキシ-5-[(フェニルカルバモイル)アミノ]安息香酸メチル
【化47】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、5-アミノ-2-フェノキシ安息香酸メチル(市販、9g、37mmol)、NaHCO(4.65g、0.555mmol)、およびDMF(50ml)を入れた。反応混合物を0℃に冷却し、それにフェニルイソシアネート(4.05ml、37mmol)を滴下し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水(100ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(150ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、シリカゲル(60~120メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の40%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、9g(67%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.91(s、1H)、8.69(s、1H)、8.06(s、1H)、7.60(d、J=8.80Hz、1H)、7.45-7.47(m、2H)、7.34-7.26(m、4H)、7.06-7.05(m、2H)、6.98(t、J=6.80Hz、1H)、6.87(m、2H)、3.69(s、3H)。MS(ES+)m/z 366[M+H]
【0298】
中間体37
3-[3-(ヒドロキシメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-フェニル尿素
【化48】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、THF(90ml)中の2-フェノキシ-5-[(フェニルカルバモイル)アミノ]安息香酸メチル(中間体36、9g、24.8mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。反応混合物に、LiBH(4.33g、198.9mmol)を0℃で少しずつ(4回)加えた。反応混合物を室温に戻し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水(100ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物をヘキサン中の10%EtOAc(2×50ml)で粉砕し、固体を濾過によって収集して、8.1g(97%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.73(s、1H)、8.60(s、1H)、7.61(s、1H)、7.46(d、J=8.0Hz、2H)、7.40(d、J=8.8Hz、1H、)、7.34-7.25(m、4H)、7.04(t、J=6.8Hz、1H)、6.97-6.96(m、1H)、6.87(m、3H)、5.20(s、1H)、4.43(m、2H)。MS(ES+)m/z 333[M+H]
【0299】
中間体38
3-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-フェニル尿素
【化49】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DCM(70ml)中の3-[3-(ヒドロキシメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-フェニル尿素(中間体37、7.0g、20.9mmol)を入れた。触媒量のDMF(0.2ml)を加え、混合物を0℃に冷却し、混合物を10分間0℃で撹拌した。塩化チオニル(3ml、41.9mmol)を滴下し、得られた反応混合物を室温に戻し、2時間撹拌した。反応混合物を水(70ml)でクエンチし、水層をDCM(3×70ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、得られた材料を、ヘキサンを使用する粉砕によって精製して、7gの粗表題化合物を生成して、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.76(s、1H)、8.68(s、1H)、7.71(s、1H)、7.44-7.28(m、7H)、7.10(s、1H)、6.96-6.87(m、4H)、4.70(s、2H)。MS(ES+)m/z 353[M+H]
【0300】
中間体39
1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化50】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた密封バイアルに、ブロモベンゼン(30ml)中の3-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-1-フェニル尿素(中間体38、3g、8.5mmol)を入れた。エトキシカルボニルイソシアネート(2.93g、25.5mmol)を加え、得られた反応混合物を150℃で16時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、シリカゲル(230~400メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の40%酢酸エチルを使用するコンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、0.6gの粗表題化合物を得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。MS(ES-)m/z 420[M-H]
【0301】
中間体40
(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)(5-ニトロ-2-フェノキシフェニル)メタノール
【化51】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、THF(15ml)中の4-ブロモ-1-エチル-1H-ピラゾール(2.15g、12.33mmol)を入れ、混合物を-78℃で冷却した。n-BuLi(THF中2.5M、22.4ml、13.56mmol)を反応混合物に滴下し、これを同じ温度で2時間撹拌した。5-ニトロ-2-フェノキシベンズアルデヒド(市販、3.0g 12.33mmol)をTHF(5ml)に溶解し、溶液を-78℃で反応混合物に滴下した。反応混合物を-78℃で2時間撹拌し、次いで室温に到達させ、12時間撹拌した。反応混合物を塩化アンモニウム溶液(50ml)でクエンチし、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、2gの表題化合物を得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。MS(ES+)m/z 340[M+H]
【0302】
中間体41
1-エチル-4-[(5-ニトロ-2-フェノキシフェニル)メチル]-1H-ピラゾール
【化52】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DCM(20ml)中の(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)(5-ニトロ-2-フェノキシフェニル)メタノール(中間体40、2.0g、5.9mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。トリエチルシラン(4.657g、40mmol)を加え、続いてTFA18.15g、159.2mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温に到達させ、3時間撹拌した。反応混合物を水(30ml)でクエンチし、DCM(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(60~120メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の30%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、1gの表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.18(d、J=2.40Hz、1H)、8.08(dd、J=2.80、9.00Hz、1H)、7.59(s、1H)、7.49(m、2H)、7.32-7.26(m、2H)、7.12(m、2H)、6.84(d、J=8.80Hz、1H)、4.06(m、2H)、3.67(s、2H)、1.31(m、3H);MS(ES+)m/z 324[M+H]
【0303】
中間体42
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-フェノキシアニリン
【化53】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、メタノール(10ml)中の1-エチル-4-[(5-ニトロ-2-フェノキシフェニル)メチル]-1H-ピラゾール(中間体41、1.0g、3.0mmol)を加えた。混合物に、10%Pd/C(50%湿潤、0.2g)をN雰囲気下で加えた。混合物をH(ガス)バブリング下で5時間撹拌した。反応混合物をセライトベッドを通して濾過し、ベッドをメタノール(10ml)で洗浄し、合わせた濾液を減圧下で濃縮して、0.9g(99%)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 294[M+H]
【0304】
中間体43
3-{3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-1-フェニル尿素
【化54】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DMF(4ml)中の3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-フェノキシアニリン(中間体42、0.40g、1.36mmol)およびNaHCO(0.343g、4.08mmol)を入れた。混合物を0℃に冷却し、イソシアン酸フェニル(0.162g、1.36mmol)を滴下した。反応混合物を室温に到達させ、2時間撹拌した。反応混合物を水(30ml)でクエンチし、水層をEtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をヘキサン中の20%DCM(2×10ml)で粉砕し、固体を濾過によって収集して、0.3g(53%)の表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 413[M+H]
【0305】
中間体44
2-(5-{[(3-メチルフェニル)カルバモイル]アミノ}-2-フェノキシフェノキシ)酢酸エチル
【化55】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、DMF(30ml)中の3-(3-ヒドロキシ-4-フェノキシフェニル)-1-(3-メチルフェニル)尿素(中間体27、3.00g、8.97mmol)およびKCO(1.85g、13.46mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。反応混合物に、BrCHCOOEt(2.24g、13.46mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷冷水(100ml)で希釈し、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル(60~120メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の20%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、3.5gの表題化合物を得た。MS(ES+)m/z 421[M+H]
【0306】
中間体45
2-{5-[3-(3-メチルフェニル)-2,4,6-トリオキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル]-2-フェノキシフェノキシ}酢酸エチル
【化56】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた密封管に、クロロベンゼン(35ml)中の2-(5-{[(3-メチルフェニル)カルバモイル]アミノ}-2-フェノキシフェノキシ)酢酸エチル(中間体44、3.50g、8.32mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。エトキシカルボニルイソシアネート(3.83g、33.3mmol)を滴下し、得られた反応混合物を室温に到達させ、150℃で16時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)および溶離液としてヘキサン中の70%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、1.071gの粗表題化合物を得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。MS(ES-)m/z 488[M-H]
【0307】
中間体46
2-{5-[3-(3-メチルフェニル)-2,4,6-トリオキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル]-2-フェノキシフェノキシ}酢酸
【化57】
磁気スターラーを予め備えたRBFに、THF:HO(8ml:2ml)中の2-{5-[3-(3-メチルフェニル)-2,4,6-トリオキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル]-2-フェノキシフェノキシ}酢酸エチル(中間体45、1.0g)を入れた。LiOH(1.85g、13.4mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗塊を水(5ml)で希釈し、EtOAc(2×10ml)で抽出した。水層を、1M HClを使用してpH-3~4に維持し、次いで再びEtOAc(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をDCMおよびヘキサンで粉砕して、0.8gの表題化合物を得た。MS(ES-)m/z 460[M-H]
【0308】
実施例1
1-{4-フェノキシ-3-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]フェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化58】
磁気スターラーを備えたマイクロ波管に、1-[4-フェノキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)フェニル]-3-フェニル尿素(中間体3、0.15g、0.3mmol)およびブロモベンゼン(1.5ml)を入れた。溶液を0℃に冷却し、エトキシカルボニルイソシアネート(0.17g、1.5mmol)を加え、反応混合物をマイクロ波合成装置において150℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を、分取HPLC(移動相として水中40~100%アセトニトリル[0.1%ギ酸])によって精製して、0.015g(8%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 11.99(s、1H)、7.78(d、J=2.0Hz、1H)、7.48-7.35(m、8H)、7.30(dd、J=8.8、2.4Hz、1H)、7.21(t、J=7.6Hz、1H)、7.09-7.05(m、3H)、6.88(d、J=8.4Hz、1H)、6.28(t、J=2.0Hz、1H)、5.43(s、2H);MS(ES-)m/z 452[M-H]
【0309】
実施例2
1-{3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化59】
磁気スターラーを予め備えたマイクロ波バイアルに、1-[3-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-フェニル尿素(中間体6、0.18g、0.4mmol)およびブロモベンゼン(1.8ml)を入れた。溶液を0℃に冷却し、エトキシカルボニルイソシアネート(0.21g、1.8mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波合成装置において150℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を、分取HPLC(移動相として水中0~100%アセトニトリル[0.1%ギ酸])によって精製して、0.038g(17%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d) δ 12.16(s、1H)、8.17(s、1H)、7.71(s、1H)、7.49-7.31(m、7H)、7.25-7.16(m、3H)、7.09(d、J=7.6Hz、2H)、6.93-6.88(m、2H)、5.32(s、2H);MS(ES-)m/z 452[M-H]
【0310】
実施例3
1-{4-フェノキシ-3-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]フェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化60】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波管に、ブロモベンゼン(6.0ml)中の1-[4-フェノキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)フェニル]-3-フェニル尿素(中間体9、0.30g、0.7mmol)を入れた。溶液を0℃に冷却し、エトキシカルボニルイソシアネート(0.35g、3.1mmol)を反応混合物に加えた。反応混合物をマイクロ波合成装置において150℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得て、これを分取HPLC(移動相として水中25~100%アセトニトリル[0.1%ギ酸])によって精製して、0.022g(8%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 12.01(s、1H)、8.62(s、1H)、8.01(s、1H)、7.48-7.32(m、8H)、7.25-7.23(m、2H)、7.05(d、J=7.6Hz、2H)、6.88(d、J=8.8,1H)、5.52(s、2H);MS(ES-)m/z 453[M-H]
【0311】
実施例4
1-[4-(4-エチルフェノキシ)-3-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]フェニル]-3-メチル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化61】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波管に、ブロモベンゼン(3.0ml)中の1-[4-(4-エチルフェノキシ)-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)フェニル]-3-メチル尿素(中間体12、0.30g、0.8mmol)を入れた。溶液を0℃に冷却し、エトキシカルボニルイソシアネート(0.39g、3.4mmol)を加え、反応混合物を室温に到達させ、マイクロ波合成装置において150℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を分取HPLC(移動相として水中40~100%アセトニトリル[0.1%ギ酸]を使用)によって精製して、0.135g(37%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ11.80(s、1H)、7.80(d、J=2.0Hz、1H)、7.49(d、J=1.2Hz、1H)、7.30(d、J=8.2Hz、2H)、7.22(dd、J=8.7、2.6Hz、1H)、7.12(d、J=8.4Hz、3H)、6.83(d、J=8.8Hz、1H)、6.29(s、1H)、5.43(s、2H)、3.12(s、3H)、2.63(q、J=7.6Hz、2H)、1.21(t、J=7.6Hz、3H)、MS(ES-)m/z418[M-H]
【0312】
実施例5
1-メチル-3-{2-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-[1,1’-ビフェニル]-4-イル}-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化62】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波管に、ブロモベンゼン中の1-メチル-3-[2-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ビフェニル-4-イル]尿素(中間体10、0.25g、0.8mmol)を加えた。溶液を0℃に冷却し、エトキシカルボニルイソシアネート(0.37g、3.2mmol)を加え、得られた反応混合物を室温に到達させ、マイクロ波合成装置において150℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を分取RP-HPLC(水中アセトニトリル25~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.08g(26%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 11.83(s、1H)、7.59-7.46(m、7H)、7.43-7.33(m、2H)、7.00(s、1H)、6.25(s、1H)、5.32(s、2H)、3.14(s、3H);MS(ES-)m/z 374[M-H]
【0313】
実施例6
1-{3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化63】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、アセトニトリル(2ml)中のイミダゾール(0.044g、0.65mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。KCO(0.089g、0.65mmol)を加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体19、0.130g、0.29mmol)を加え、得られた反応混合物を室温に到達させ、次いで50℃に6時間加熱した。反応混合物を水(10ml)でクエンチし、水層を酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を分取HPLC(水中のアセトニトリル15~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.006g(4%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 12.04(s、1H)、7.71(s、1H)、7.49-7.42(m、2H)、7.37-7.28(m、2H)、7.25-7.19(m、2H)、7.18-7.11(m、4H)、7.10-7.04(m、2H)、6.92(s、1H)、6.87(d、J=8.4Hz、1H)、5.31(s、2H)、2.33(s、3H);MS(ES-)m/z 466[M-H]
【0314】
実施例7
1-{3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化64】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、アセトニトリル(1ml)中のイミダゾール(0.033g、0.48mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。KCO(0.067g、0.48mmol)を加え、反応混合物を0℃で10分間撹拌した。1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体23、0.100g、0.22mmol)を加え、得られた反応混合物を室温に到達させ、次いで50℃で12時間加熱した。反応混合物を水(10ml)でクエンチし、酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を分取HPLC(水中のアセトニトリル15~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.011g(10%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 11.93(s、1H)、7.72(s、1H)、7.53-7.45(m、2H)、7.35-7.21(m、4H)、7.20-7.15(m、2H)、7.14-7.05(m、2H)、7.03-6.97(m、2H)、6.93(s、1H)、6.88(d、J=8.80Hz、1H)、5.31(s、2H)、3.36(s、3H);MS(ES-)m/z 482[M-H]
【0315】
実施例8
1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]フェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化65】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、ブロモベンゼン(4.3ml)中の3-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3-[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]フェニル]-1-(3-メチルフェニル)尿素(中間体26、0.43、1.0mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。エトキシカルボニルイソシアネート(0.47g、4.1mmol)を加え、反応混合物を25℃に到達させ、次いでAnton parマイクロ波合成装置-300において150℃で3時間加熱した。反応混合物を水(10ml)でクエンチし、水層を酢酸エチル(30ml)で抽出し、有機溶媒を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を分取HPLC(水中のアセトニトリル5~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.06g(1.2%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 12.02(s、1H)、7.72(s、1H)、7.38-7.29(m、4H)、7.25(d、J=7.60Hz、1H)、7.20-7.12(m、6H)、6.93(s、1H)、6.86(d、J=8.40Hz、1H)、5.33(s、2H)、2.34(s、3H);MS(ES-)m/z 486[M-H]
【0316】
実施例9
1-{3-[(1H-イミダゾール-2-イル)メトキシ]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化66】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたバイアルに、DMF(0.7ml)中の1-(3-ヒドロキシ-4-フェノキシフェニル)-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体30、0.070g、0.17mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。KCO(0.035g、0.25mmol)を加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。2-(ブロモメチル)-1H-イミダゾール臭化水素酸塩(0.033g、0.13mmol)を少しずつ加え、反応混合物を室温に到達させ、16時間撹拌した。反応混合物を水(10ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を分取HPLC(水中のアセトニトリル35~100%[5mM重炭酸アンモニウム+0.1%NH3])によって精製して、0.005g(5%)の表題化合物を得て、粗生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 11.92(s、1H)、9.95(s、1H)、7.40-7.31(m、3H)、7.27(d、J=7.60Hz、1H)、7.23-7.17(m、2H)、7.11-6.99(m、4H)、6.92-6.81(m、4H)、5.03(s、2H)、2.35(s、3H);MS(ES+)m/z 484[M+H]
【0317】
実施例10
1-{3-[(1H-イミダゾール-5-イル)メトキシ]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化67】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたバイアルに、DMF(0.7ml)中の1-(3-ヒドロキシ-4-フェノキシフェニル)-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体30、0.070g、0.17mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。KCO(0.035g、0.26mmol)を加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。5-(クロロメチル)-1H-イミダゾール(0.026g、0.13mmol)を少しずつ加え、反応混合物を室温に到達させ、16時間撹拌した。反応混合物を水(10ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を分取HPLC(水中のアセトニトリル15~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.004g(4%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 11.97(s、1H)、9.89(s、1H)、7.56(s、1H)、7.38-7.31(m、3H)、7.29-7.18(m、3H)、7.12(s、1H)、7.09-6.96(m、3H)、6.93-6.70(m、3H)、4.91(s、2H)、2.34(s、3H)。MS(ES+)m/z 484[M+H]
【0318】
実施例11
1-{3-[(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン+1-{3-[(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化68】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた10mlのマイクロ波バイアルに、アセトニトリル(1.0ml)中の4-メチル-1H-イミダゾール(0.04g、0.5mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。KCO(0.07g、0.5mmol)を加え、混合物を0℃で10分間撹拌した。1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体19、0.10g、0.2mmol)を加え、得られた反応混合物を室温に到達させ、次いで50℃で加熱し、3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をジクロロメタン:MeOH(9:1)(2×1ml)によって粉砕し、得られた固体を分取HPLC(水中アセトニトリル5~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.0035g(3%収率)の2つの表題化合物の約2:1の比率の混合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 12.04(s、1H)、7.63(s、1H)、7.52-7.43(m、2H)、7.34-7.22(m、5H)、7.20-7.12(m、2H)、7.11-7.05(m、2H)、6.98-6.84(m、2H)、5.25(s、1.3H)、5.23(s.0.7H)、2.34(s、2H)、2.08(s,1H);MS(ES-)m/z 480[M-H]
【0319】
実施例12
1-{3-[(4-フルオロ-1H-イミダゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化69】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、アセトニトリル(1ml)中の4-フルオロ-1H-イミダゾール(0.0325g、0.4mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。KCO(0.0653g、0.5mmol)を加え、混合物を0℃で10分間撹拌した。1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体19、0.1g、0.2mmol)を加え、反応混合物を室温に到達させ、次いで50℃で加熱し、3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して粗生成物を得て、これを分取HPLC(水中のアセトニトリル35~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.003g(2.7%収率)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 12.01(s、1H)、7.49-7.45(m、3H)、7.37-7.31(m、2H)、7.26-7.22(m,3H)、7.20-7.13(m、2H)、7.12-7.05(m、2H)、6.89(d、J=8.8,Hz、1H)、6.85(d、J=8.4,Hz、1H)、5.27(s、2H)、2.34(s、3H);MS(ES+)m/z 486[M+H]
【0320】
実施例13
1-[3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化70】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたRBFに、1,4-ジオキサン(3.12ml)中の3-[5-[3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-4-フェノキシフェニル]-1-(3-メチルフェニル)-4-(メチルスルファニル)-6-オキソ-1,2,5,6-テトラヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-1-(3-メチルフェニル)尿素(中間体35、0.130g、0.20mmol)を加えた。この溶液に、2M水性HCl(2.4ml)を加え、反応混合物を100℃に加熱し、2時間撹拌した。反応の完了を、移動相としてDCM:MeOH(9:1)を使用するTLCによって確認した。TLCを、UV光を使用して視覚化した。反応の完了後、反応混合物を室温に到達させ、氷冷水(10ml)でクエンチし、ジクロロメタン(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を分取HPLC(水中のアセトニトリル25~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.033gの表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d:δ 12.1(s、1H)、7.99(s、1H)、7.64(s、1H)、7.43-7.343(m、4H)、7.25-7.06(m、8H)、2.33(s、3H)、2.144(s、3H)。MS(ES-)m/z 466[M-H]
【0321】
実施例14
1-{3-[(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化71】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた密閉管に、DMF(2ml)中の4-フルオロ-1H-ピラゾール(0.048g、0.56mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。NaH(60%、0.022g、0.56mmol)を0℃で加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体39、0.2g、0.47mmol)を加え、得られた反応混合物を室温に戻した。次いでそれを50℃に16時間加熱した。反応混合物を水(2ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を分取HPLC(水中のアセトニトリル20~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.025g(11%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 11.98(s、1H)、7.92(d、J=4.40Hz、1H)、7.51(d、J=4.40Hz、1H)、7.48-7.39(m、5H)、7.38-7.33(m、2H)、7.30(dd、J=2.00、8.40Hz、1H)、7.21(t、J=7.20Hz、1H)、7.10(d、J=2.00Hz、1H)、7.08-7.03(m、2H)、6.87(d、J=8.40Hz、1H)、5.34(s、2H);MS(ES-)m/z 470[M-H]
【0322】
実施例15
1-{3-[(4-フルオロ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化72】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた密閉管に、ACN中の1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体19、0.240g、0.5mmol)を入れ、これを0℃に冷却した。これにKCO(0.152g、1.1mmol)を加え、混合物を0℃で10分間撹拌した。4-フルオロ-1H-ピラゾール(0.056g、0.6mmol)を加え、得られた反応混合物を室温に到達させ、次いで50℃で2時間加熱した。反応混合物を水(10ml)でクエンチし、水層を酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離液としてDCM中の4%MeOHを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.014g(5%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 12.03(s、1H)、7.92(d、J=4.40Hz、1H)、7.51(d、J=4.00Hz、1H)、7.47-7.41(m、2H)、7.35-7.27(m、2H)、7.23-7.18(m、2H)、7.14-7.09(m、3H)、7.08-7.02(m、2H)、6.86(d、J=8.80Hz、1H)、5.34(s、2H)、2.32(s、3H)。MS(ES-)m/z 484[M-H]
【0323】
実施例16
1-{3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化73】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたマイクロ波バイアルに、ブロモベンゼン(2.5ml)中の3-{3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-1-フェニル尿素(中間体43、0.250g、0.60mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。エトキシカルボニルイソシアネート(0.279g、2.42mmol)を滴下し、得られた反応混合物を室温に到達させ、Anton paarマイクロ波合成装置-300において150℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を分取HPLC(水中のアセトニトリル20~100%[5mM重炭酸アンモニウム+0.1%NH3])によって精製して、0.030g(10%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 11.85(s、1H)、7.49-7.34(m、8H)、7.27(s、1H)、7.22-7.12(m、3H)、7.02-6.97(m、2H)、6.90(d、J=8.40Hz、1H)、4.01(q、J=7.20Hz、2H)、3.76(s、2H)、1.29(t、J=7.20Hz、3H);MS(ES-)m/z 480[M-H]
【0324】
実施例17
1-(3-メチルフェニル)-3-{3-[2-オキソ-2-(1H-ピラゾール-1-イル)エトキシ]-4-フェノキシフェニル}-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化74】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えたバイアルに、DMF(1ml)中の中間体46、0.10g、0.216mmol)およびピラゾール(0.017g、0.26mmol)を入れた。混合物に、EDC.HCl(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、0.083g、0.43mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。その後、HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.058g、0.43mmol)およびN-メチルモルホリン(0.065g、0.65mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応の完了を、移動相としてDCM:MeOH(9:1)を使用するTLCによって確認した。TLCを、UV光を使用して視覚化した。反応の完了後、反応混合物を冷却条件下に保持し、分取HPLC精製(水中のアセトニトリル30~100%[0.1%ギ酸])によって精製して、0.022g(19%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 11.99(s、1H)、8.46(d、J=2.4Hz、1H)、7.95(s、1H)、7.39-7.33(m、3H)、7.30(s、1H)、7.24(d、J=7.60Hz、1H)、7.14-7.07(m、4H)、7.03-6.99(m、3H)、6.67(s、1H)、5.58(s、2H)、2.34(s、3H););MS(ES-)m/z 510[M-H]
【0325】
実施例18
1-(3-メチルフェニル)-3-{4-フェノキシ-3-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化75】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた密閉管に、ACN(5.0ml)中のピラゾール(0.093g、1.3mmol)を入れ、混合物を0℃に冷却した。KCO(0.317g、2.3mmol)を加え、反応混合物を0℃で10分間撹拌した。その後、1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体19、0.50g、1.1mmol)を加え、得られた反応混合物を室温に到達させ、次いで撹拌しながら50℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得て、これをRP-HPLC((水中のアセトニトリル15~100%[5mM重炭酸アンモニウム+0.1%NH3])を使用して精製して、0.022g(4%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ11.57(s、1H)、8.83(s、1H)、7.76(s、1H)、7.46-42(m、3H)、7.31-7.29(m、1H)、7.24-7.19(m、3H)、7.10-7.03(m、4H)、6.86(d、J=8.40Hz、1H)、6.27(s、1H)、5.41(s、2H)、2.33(s、3H);MS(ES-)m/z 465[M-H]
【0326】
実施例19
1-{3-[(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化76】
磁気スターラーおよび窒素バルーンを予め備えた密閉管に、DMF(3ml)中の4-エチル-1H-ピラゾール(0.081g、0.8mmol)を入れ、これを0℃に冷却した。NaH(60%、0.022g、0.8mmol)を0℃で加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。1-[3-(クロロメチル)-4-フェノキシフェニル]-3-フェニル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(中間体39、0.3g、0.7mmol)を反応混合物に加え、得られた反応混合物を室温に到達させ、次いで50℃に16時間加熱した。反応混合物を水(2ml)でクエンチし、減圧下で濃縮した。粗生成物を分取RP-HPLC((水中のアセトニトリル10-100%[5mM重炭酸アンモニウム+0.1%NH3])によって精製して、0.015g(4%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 11.96(s、1H)、7.55-7.35(m、8H)、7.33-7.10(m、4H)、7.03(m、2H)、6.88(d、J=8.40Hz、1H)、5.33(s、2H)、2.40-2.38(m、2H)、1.09(t、J=7.20Hz、3H)。MS(ES-)m/z 480[M-H]
【0327】
以下の化合物は、上記のものと類似の手順に従って調製される。
【0328】
実施例20
1-{3-[(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-フェノキシフェニル}-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化77】
【0329】
実施例21
1-(3-{[4-(ジフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]メチル}-4-フェノキシフェニル)-3-(3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン
【化78】
【0330】
生物学的実施例
インビトロアッセイ
細胞ベースのハイスループットスクリーニングは、TrkA、TrkBおよびTrkCの正の調節剤を同定するために使用されている。このスクリーニングは、TrkA、TrkB、またはTrkCを過剰発現する細胞ベースのアッセイの使用を含む。アッセイの目的は、ニューロトロフィンシグナル伝達を調節する化合物を同定することである(Forsell et al 2012)。アッセイは、高濃度のリガンドを使用する阻害剤モード、中濃度を使用する調節剤モード、および低濃度のリガンドを使用するアゴニストモードで使用することができる。
【0331】
アッセイは、近接ベース(proximity-based)アッセイである酵素断片相補(EFC)技術を使用する。簡潔に、このアッセイで使用される細胞は、2つの融合タンパク質、すなわち、ベータ-ガラクトシダーゼの小さなペプチドに融合したTrkA、TrkB、またはTrkCのうちの1つであり得る受容体、およびベータ-ガラクトシダーゼの主要部分に融合したアダプタータンパク質、すなわち、SHC1(または任意の他のTrk-アダプタータンパク質)を過剰発現する。受容体へのリガンド結合は、細胞内ドメインのリン酸化およびそれ故の受容体へのアダプタータンパク質の動員を含む。受容体の小さな活性化ペプチドとアダプタータンパク質のベータ-ガラクトシダーゼの主要部分との間の近接は、活性型ベータ-ガラクトシダーゼ酵素をもたらす。受容体の活性化は、非発光基質の発光産物へのその変換によって活性型ベータ-ガラクトシダーゼの量を測定することによって定量化される。
【0332】
TrkAまたはTrkBまたはTrkCを過剰発現しているU2OS細胞を、96または384ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、試験化合物をリガンド(NGF)と予め混合し、次いでリガンド-化合物の混合物を細胞に加えて、10ng/mLの最終リガンド濃度をもたらした。室温で3時間のインキュベーション後、洗浄剤を含有するベータ-ガラクトシダーゼ基質混合物の添加によって、インキュベーションを停止する。基質混合物を周囲温度で60分間インキュベートする。その後、発光をプレートリーダーを用いて読み取る。
【0333】
結果
代表的な化合物に対してのこれらのアッセイのデータを以下の表に示す。効力は、個々の受容体のEC50(μM)として表される。データは、本発明の化合物が有用な治療特性を有するものと期待されることを示している。
【表1】