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特許7510364情報処理装置、可視化方法および可視化プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、可視化方法および可視化プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/045 20220101AFI20240626BHJP
   H04L 43/0894 20220101ALI20240626BHJP
【FI】
H04L43/045
H04L43/0894
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021003320
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108372
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-03-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 http://journals.socsys.org/symposium022/pdf/022-051.pdf ウェブサイトの掲載日 令和2年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】エフサステクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌彦
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-044717(JP,A)
【文献】国際公開第2009/148021(WO,A1)
【文献】特開2016-194752(JP,A)
【文献】特開2002-026935(JP,A)
【文献】長坂 康史, 福田 宏見,ネットワークトラフィックの可視化による通信データの監視および制御に関する研究,広島工業大学紀要研究編,第44巻,日本,[オンライン],2010年02月,p223-227,[検索日 2023.02.06], インターネット:<URL: https://libwww.cc.it-hiroshima.ac.jp/library/pdf/library_research44_51.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワーク機器から、各ネットワーク機器が他のネットワーク機器との間で送受信したパケットの数と時間との関係を示す統計情報を取得する取得部と、
前記統計情報を基にして、ネットワーク機器間で送受信される第1期間のパケットの数に対応する第1エージェントのアイコンの大きさと、前記第1期間の次の第2期間のパケットの数に対応する第2エージェントのアイコンの大きさとを特定する特定部と、
前記第1エージェントに対応するアイコンおよび前記第2エージェントに対応するアイコンを比較可能な状態で、前記特定部によって特定された大きさによって、送信元のネットワーク機器から、送信先のネットワーク機器へ視覚可能にして移動させる画面情報を表示する表示制御部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記統計情報を基にして、前記第1エージェントおよび前記第2エージェントに、前記送信元のネットワーク機器から前記送信先のネットワーク機器までの経路情報を設定する処理を更に実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記第1エージェントおよび前記第2エージェントに設定された経路情報を基にして、前記経路情報の異なるエージェントのアイコンをそれぞれ区別可能に表示する処理を更に実行することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記第1エージェントおよび前記第2エージェントに設定された経路情報を基にして、送信元のネットワーク機器が異なるエージェントのアイコンをそれぞれ異なる色で表示することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第1エージェントおよび前記第2エージェントに設定された経路情報を基にして、前記経路情報の異なるエージェントのアイコンの形状を、進行方向が識別可能な形状で表示することを特徴とする請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する可視化方法であって、
複数のネットワーク機器から、各ネットワーク機器が他のネットワーク機器との間で送受信したパケットの数と時間との関係を示す統計情報を取得し、
前記統計情報を基にして、ネットワーク機器間で送受信される第1期間のパケットの数に対応する第1エージェントのアイコンの大きさと、前記第1期間の次の第2期間のパケットの数に対応する第2エージェントのアイコンの大きさとを特定し、
前記第1エージェントに対応するアイコンおよび前記第2エージェントに対応するアイコンを比較可能な状態で、特定した大きさによって、送信元のネットワーク機器から、送信先のネットワーク機器へ視覚可能にして移動させる画面情報を表示する
処理を実行することを特徴とする可視化方法。
【請求項7】
コンピュータに、
複数のネットワーク機器から、各ネットワーク機器が他のネットワーク機器との間で送受信したパケットの数と時間との関係を示す統計情報を取得し、
前記統計情報を基にして、ネットワーク機器間で送受信される第1期間のパケットの数に対応する第1エージェントのアイコンの大きさと、前記第1期間の次の第2期間のパケットの数に対応する第2エージェントのアイコンの大きさとを特定し、
前記第1エージェントに対応するアイコンおよび前記第2エージェントに対応するアイコンを比較可能な状態で、特定した大きさによって、送信元のネットワーク機器から、送信先のネットワーク機器へ視覚可能にして移動させる画面情報を表示する
処理を実行させることを特徴とする可視化プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信システムでは、様々な機器やサービスがネットワークでつながり、DX(Digital transformation)によって新たな価値が創出されている。その一方で、情報通信システムが複雑化することによって、様々なトラブルを招く恐れもあり、トラブルの原因究明を行うことが求められている。
【0003】
従来の監視ツールでは、機器のIP(Internet Protocol)アドレスを基本単位とする情報を蓄積した統計情報を解析することによって、トラブルの原因を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-356915号公報
【文献】特開2013-255000号公報
【文献】特開平7-273763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、ある程度長い期間で収集した統計情報を用いて解析を行っており、ネットワーク負荷を起因とした一過性のトラブルの原因を特定することが難しい。また、上記の統計情報は、IPアドレス毎の膨大なリソースの使用率やパケット数などの数値の塊であるため、ユーザが統計情報を目視によってトラブルの原因を判断することも困難である。
【0006】
1つの側面では、本発明は、情報通信システムにおけるトラフィックの状況を効果的に可視化することができる情報処理装置、可視化方法および可視化プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、情報処理装置は、取得部と、特定部と、制御部とを有する。取得部は、複数のネットワーク機器から、各ネットワーク機器が他のネットワーク機器との間で送受信したパケットの数と時間との関係を示す統計情報を取得する。特定部は、統計情報を基にして、ネットワーク機器間で送受信される所定時間毎のパケットの数に対応するエージェントのアイコンの大きさを特定する。表示制御部は、エージェントに対応するアイコンを、特定部によって特定された大きさによって、送信元のネットワーク機器から、送信先のネットワーク機器へ視覚可能にして移動させる画面情報を表示する。
【発明の効果】
【0008】
情報通信システムにおけるトラフィックの状況を効果的に可視化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施例に係る情報通信システムの一例を示す図である。
図2図2は、本実施例に係る情報処理装置が生成する画面情報の一例を示す図である。
図3図3は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、統計情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、エージェントのパケットの大きさの一例を示す図である。
図6図6は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、実施例の情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する情報処理装置、可視化方法および可視化プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例
【0011】
図1は、本実施例に係る情報通信システムの一例を示す図である。図1に示すように、この情報通信システム1は、情報処理装置100と、ネットワーク機器10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10hを有する。ここでは、情報通信システム1に、ネットワーク機器10a~10hが含まれる場合について説明するが、情報通信システム1は、他のネットワーク機器を含んでいてもよい。以下の説明では適宜、ネットワーク機器10a~10hを、まとめて、ネットワーク機器10と表記する。
【0012】
ネットワーク機器10は、2つ以上の異なるネットワークで送受信されるパケットを中継する通信機器である。ネットワーク機器10は、ルータ、L2スイッチ、L3スイッチ、リピータハブ等に対応する。ネットワーク機器10は、複数の接続口を備えており、ネットワークケーブル等によって、他のネットワーク機器10と物理的に接続される。図示を省略するが、各ネットワークには、複数のコンピュータが含まれ、ネットワーク機器10は、かかるコンピュータから送信されるパケットを、中継する。
【0013】
また、ネットワーク機器10は、情報処理装置100に接続される。ネットワーク機器10は、情報処理装置100から、標準的なネットワークプロトコルとなるSNMP(Simple Network Management Protocol)によって、統計情報の要求を受け付けた場合には、統計情報を、情報処理装置100に送信する。
【0014】
統計情報は、ネットワーク機器10が送信した(または受信した)パケットの数と、時間との関係を示す情報である。また、パケットには、送信元のネットワーク機器10の接続口のIPアドレスと、送信先のネットワーク機器10の接続口のIPアドレスが設定される。
【0015】
情報処理装置100は、SNMPによって、ネットワーク機器10から統計情報を取得する。情報処理装置100は、統計情報を基にして、ネットワーク機器10の間で送受信される所定時間毎のパケットの数に対応するエージェントのアイコンの大きさを特定し、アイコンを送信元のネットワーク機器10から、送信先のネットワーク機器10へ視覚可能に移動させる画面情報を表示する。
【0016】
エージェントは、所定時間において、送信元のネットワーク機器10から、送信先のネットワーク機器10に送信されたパケットの塊に対応するものである。情報処理装置100は、エージェントを、所定時間毎に生成する。情報処理装置100は、エージェントに、経路情報を設定する。経路情報は、送信元のネットワーク機器10の接続口のIPアドレスと、送信先のネットワーク機器10の接続口のIPアドレスとが含まれる。
【0017】
図2は、本実施例に係る情報処理装置が生成する画面情報の一例を示す図である。図2に示すように、この画面情報30は、ネットワーク機器10a~10hが表示されている。また、ネットワーク機器10は、それぞれ1つ以上の回線によって接続されている。たとえば、回線R1,R2は、ネットワーク機器10a,10bをそれぞれ接続する回線に対応する。回線R3は、ネットワーク機器10a,10b,10c,10d,10e,10fをそれぞれ接続する回線に対応する。回線R4,R5は、ネットワーク機器10c,10dをそれぞれ接続する回線に対応する。回線R6は、ネットワーク機器10f,10hを接続する回線に対応する。
【0018】
ここでは、送信元のネットワーク機器10cから、送信先のネットワーク機器10cに送信されるパケットの数に基づくエージェントのアイコンについて説明する。たとえば、送信元のネットワーク機器10cから、送信先のネットワーク機器10cに送信されるパケットの数に基づくエージェントのアイコンは、アイコンIc1,Ic2,Ic3,Ic4となる。
【0019】
アイコンIc1は、第1期間において、ネットワーク機器10cからネットワーク機器10dに送信したパケットの塊に対応するエージェントのアイコンである。情報処理装置100は、第1期間において、送信元のネットワーク機器10cから、送信先のネットワーク機器10cに送信されるパケットの数に応じて、アイコンIc1の大きさを特定する。情報処理装置100は、第1期間におけるパケットの数が多いほど、アイコンIc1を大きくする。
【0020】
アイコンIc2は、第2期間(第1期間の次の期間)において、ネットワーク機器10cからネットワーク機器10dに送信したパケットの塊に対応するエージェントのアイコンである。情報処理装置100は、第2期間において、送信元のネットワーク機器10cから、送信先のネットワーク機器10cに送信されるパケットの数に応じて、アイコンIc2の大きさを特定する。情報処理装置100は、第2期間におけるパケットの数が多いほど、アイコンIc2を大きくする。
【0021】
アイコンIc3は、第3期間(第2期間の次の期間)において、ネットワーク機器10cからネットワーク機器10dに送信したパケットの塊に対応するエージェントのアイコンである。情報処理装置100は、第3期間において、送信元のネットワーク機器10cから、送信先のネットワーク機器10cに送信されるパケットの数に応じて、アイコンIc3の大きさを特定する。情報処理装置100は、第3期間におけるパケットの数が多いほど、アイコンIc3を大きくする。
【0022】
アイコンIc4は、第4期間(第3期間の次の期間)において、ネットワーク機器10cからネットワーク機器10dに送信したパケットの塊に対応するエージェントのアイコンである。情報処理装置100は、第4期間において、送信元のネットワーク機器10cから、送信先のネットワーク機器10cに送信されるパケットの数に応じて、アイコンIc4の大きさを特定する。情報処理装置100は、第4期間におけるパケットの数が多いほど、アイコンIc4を大きくする。
【0023】
情報処理装置100は、画面情報30において、アイコンIc1,Ic2,Ic3,Ic4の順に、アイコンをネットワーク機器10cから、ネットワーク機器10aに視覚可能に移動させる。情報処理装置100は、アイコンIc1,Ic2,Ic3,Ic4の色を、送信元のネットワーク機器10c固有の色に設定する。
【0024】
情報処理装置100は、第n期間(n=5,6,7・・・)についても、アイコンIcnを生成し、アイコンIcnの大きさを特定し、アイコンIcnをネットワーク機器10cから、ネットワーク機器10aに移動させる処理を繰り返し実行する。
【0025】
情報処理装置100は、他の送信元のネットワーク機器10および送信先のネットワーク機器10の組についても、送信元のネットワーク機器10cおよび送信先のネットワーク機器10cの組と同様の処理を実行する。すなわち、情報処理装置100は、期間毎にエージェントのアイコンを設定し、視覚可能にして移動させる。
【0026】
図2で説明したように、本実施例に係る情報処理装置100は、統計情報を基にして、ネットワーク機器10の間で送受信される所定時間毎のパケットの数に対応するエージェントのアイコンの大きさを特定し、アイコンを送信元のネットワーク機器10から、送信先のネットワーク機器10へ視覚可能に移動させる画面情報30を表示する。これによって、情報通信システムにおけるトラフィックの状況を効果的に可視化することができる。また、ユーザが、画面情報30を参照することで、ネットワーク負荷を起因とした一過性のトラブルの原因を特定することが容易となる。
【0027】
続いて、本実施例に係る情報処理装置100の構成の一例について説明する。図3は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、この情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0028】
通信部110は、有線又は無線によってネットワーク機器10に接続され、ネットワーク機器10との間で情報の送受信を行う。たとえば、通信部110は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0029】
入力部120は、各種の情報を、入力する入力装置である。入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。
【0030】
表示部130は、制御部150から出力される情報を表示する表示装置である。表示部130は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、タッチパネル等に対応する。表示部130は、制御部150から出力される画面情報30を表示する。
【0031】
記憶部140は、統計情報テーブル141を有する。記憶部140は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0032】
統計情報テーブル141は、ネットワーク機器10から取得された統計情報を基に生成される情報を保持するテーブルである。図4は、統計情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図4において、統計情報テーブル141は、所定期間毎に、送信元のネットワーク機器10から、送信先のネットワーク機器10に送信されたパケットの数に関する情報を保持する。図4の送信元IPアドレスは、送信元のネットワーク機器10(接続口)のIPアドレスを示す。送信先IPアドレスは、送信先のネットワーク機器10(接続口)のIPアドレスを示す。
【0033】
たとえば、図4において、期間「2019年8月21日の0:00~0:10」に、ネットワーク機器10aから、ネットワーク機器10bに送信されたパケットの数が「1623」であることが示される。
【0034】
図3の説明に戻る。制御部150は、取得部151、特定部152、表示制御部153を有する。制御部150は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)により実現される。また、制御部150は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実行されてもよい。
【0035】
取得部151は、SNMPを用いることで、ネットワーク機器10から統計情報を取得する。取得部151は、ネットワーク機器10から取得した統計情報を集計し、集計した結果を、統計情報テーブル141に登録する。
【0036】
たとえば、取得部151は、統計情報に含まれるパケットの送信元のネットワーク機器10のIPアドレスと、送信先のネットワーク機器10のIPアドレスと、時間とを参照し、所定の期間に、送信元のネットワーク機器10のIPアドレスおよび送信元のネットワーク機器10のIPアドレスの組に対するパケットの数をカウントし、統計情報テーブル141に登録する。取得部151は、所定の期間毎に、各ネットワーク機器10について、上記処理を繰り返し実行することで、統計情報テーブル141に情報を登録する。図4に示す例では、所定の期間を10分としているが、これに限定されるものではない。
【0037】
特定部152は、統計情報テーブル141を基にして、エージェントに関する各種の情報を特定し、特定した情報をエージェントに設定する。特定部152は、エージェントの情報を、表示制御部153に出力する。以下において、特定部152の処理の一例について説明する。
【0038】
特定部152は、統計情報テーブル141を参照して、期間と、送信元IPアドレスと、送信先IPアドレスとの組を選択する。特定部152は、選択した期間と、送信元IPアドレスと、送信先IPアドレスとの組に対応するエージェントを生成する。特定部152は、選択した期間と、送信元IPアドレスと、送信先IPアドレスとの組に対応するパケットの数を特定する。たとえば、図4に示す例では、期間「2019年8月21日の0:00~0:10」、送信元IPアドレス「ネットワーク機器10aのIPアドレス」、送信先IPアドレス「ネットワーク機器10bのIPアドレス」に対応するパケットの数は「1623」となる。
【0039】
特定部152は、エージェントにパケットの数と、経路情報とを設定する。経路情報には、エージェントの生成元となった、送信元IPアドレスと、送信先IPアドレスとの組が設定される。たとえば、期間「2019年8月21日の0:00~0:10」、送信元IPアドレス「ネットワーク機器10aのIPアドレス」、送信先IPアドレス「ネットワーク機器10bのIPアドレス」に関するエージェントの経路情報には、送信元IPアドレス「ネットワーク機器10aのIPアドレス」、送信先IPアドレス「ネットワーク機器10bのIPアドレス」が設定される。
【0040】
特定部152は、上記処理を繰り返し実行することで、同一の期間において、送信元IPアドレスと、送信先IPアドレスとの組に対応する全てのエージェントを生成し、各エージェントに、パケットの数と、経路情報とを設定する。
【0041】
続いて、特定部152は、同一の期間に対応する、複数のエージェントを、エージェントに設定されたパケットの数を基にして、n個(たとえば、10個)のグループに分類する。同一のグループには、パケットの数が類似するエージェントが属する。
【0042】
特定部152は、エージェントが属するグループに応じて、エージェントのアイコンの大きさを特定する。特定部152は、より多くのパケットの数が設定されたエージェントが属するグループほど、アイコンの大きさをより大きくする。
【0043】
図5は、エージェントのパケットの大きさの一例を示す図である。図5に示す例では、エージェントのパケットの大きさは、10個の大きさのうち、いずれかの大きさとなる。特定部152は、エージェントに、アイコンの大きさを設定する。なお、特定部152は、単純に、パケットの数の大小によって、アイコンの大きさを設定してもよい。
【0044】
特定部152は、同一の期間において生成した複数のエージェントに対して、上記処理を実行することで、各エージェントに、経路情報と、アイコンの大きさとを設定する。特定部152は、各期間において、上記処理を繰り返し実行することで、各期間に対応する、複数のエージェントを生成する。各エージェントには、経路情報と、アイコンの大きさとが設定されているものとする。特定部152は、各期間と、エージェントの情報と対応付けて、表示制御部153に出力する。
【0045】
表示制御部153は、図2で説明した画面情報30を生成し、画面情報30を表示部130に表示させる。表示制御部153は、図2で説明したように、画面情報30を表示させる場合に、エージェントに対応するアイコンを、特定部152によって特定された大きさによって、送信元のネットワーク機器10から、送信先のネットワーク機器10へ視覚可能にして移動させる。また、エージェントのアイコンの色は、送信元のネットワーク機器10固有の色となる。
【0046】
たとえば、表示制御部153は、予め入力されたネットワーク機器10の接続関係を基にして、ネットワーク機器10a~10h、回線R1~R6を、画面情報30に設定する。
【0047】
表示制御部153は、特定部152から取得する各期間のエージェント情報を基にして、各エージェントの大きさ、色を設定する。表示制御部153は、送信元のネットワーク機器10と、エージェントのアイコンの色との関係を定義したテーブルを基にして、各エージェントの色を設定する。
【0048】
表示制御部153は、入力部120を操作するユーザによって、特定の回線が選択された場合には、選択された回線付近の画像を拡大表示してもよい。また、表示制御部153は、画面情報30に表示する回線の太さを、回線の性能によって、変化させてもよい。たとえば、表示制御部153は、回線の性能が高いほど、回線を太く表示する。
【0049】
表示制御部153は、パケットの移動方向を示す矢印や図形(3角形等)によって、エージェントのアイコンを表示させてもよい。たとえば、ある期間のエージェントが、ネットワーク機器10cから、ネットワーク機器10aに送信されたパケットの塊に相当するものである場合、表示制御部153は、係るエージェントのアイコンを、ネットワーク機器10aへの方向を示す矢印のアイコンで表示する。
【0050】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の処理手順の一例について説明する。図6は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、情報処理装置100の取得部151は、ネットワーク機器10から統計情報を取得し、統計情報テーブル141に情報を登録する(ステップS101)。
【0051】
情報処理装置100の特定部152は、送信元のネットワーク機器10および送信先のネットワーク機器10に対応するエージェントを生成する(ステップS102)。特定部152は、期間毎のパケットの数を基にして、エージェントのアイコンの大きさを特定する(ステップS103)。
【0052】
特定部152は、エージェントに経路情報およびアイコンの大きさを設定する(ステップS104)。情報処理装置100の表示制御部153は、エージェントに設定された大きさのアイコンを、経路情報に基づいて、送信元のネットワーク機器から送信先のネットワーク機器へ視覚可能に移動させる画面情報30を表示部130に表示させる(ステップS105)。
【0053】
次に、情報処理装置100の効果について説明する。情報処理装置100は、統計情報を基にして、ネットワーク機器10の間で送受信される所定時間毎のパケットの数に対応するエージェントのアイコンの大きさを特定し、アイコンを送信元のネットワーク機器10から、送信先のネットワーク機器10へ視覚可能に移動させる画面情報30を表示する。これによって、情報通信システムにおけるトラフィックの状況を効果的に可視化することができる。また、ユーザが、画面情報30を参照することで、ネットワーク負荷を起因とした一過性のトラブルの原因を特定することが容易となる。
【0054】
たとえば、ユーザは、画面情報30を参照し、エージェントの大きさを基にして、問題の発生しているネットワーク機器10を容易に絞り込むことができる。エージェントの大きさが、ユーザが想定している大きさよりも大きい場合や小さい場合には、トラブルが発生している可能性が高い。また、エージェントの流れによって、各ネットワーク機器10に係る負担を把握することができる。また、通信遅延トラブルの調査や、パケットが設計通りに流れているかを容易に把握することができる。
【0055】
情報処理装置100は、統計情報を基にして、エージェントに、送信元のネットワーク機器から送信先のネットワーク機器までの経路情報を設定する。これによって、トラフィックの流れをより明確に可視化することができる。
【0056】
情報処理装置100は、エージェントに設定された経路情報を基にして、送信元のネットワーク機器が異なるエージェントのアイコンをそれぞれ異なる色で表示する。これによって、パケットの送信先をより明確に可視化することができる。
【0057】
情報処理装置100は、エージェントに設定された経路情報を基にして、矢印表現にすることで向かう先を見やすくすることができる。
【0058】
次に、上記実施例に示した情報処理装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。図7は、実施例の情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0059】
図7に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置202と、ディスプレイ203とを有する。また、コンピュータ200は、有線または無線ネットワークを介して、外部装置等との間でデータの授受を行う通信装置204と、インタフェース装置205とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM206と、ハードディスク装置207とを有する。そして、各装置201~207は、バス208に接続される。
【0060】
ハードディスク装置207は、取得プログラム207a、特定プログラム207b、表示制御プログラム207cを有する。また、CPU201は、各プログラム207a~207cを読み出してRAM206に展開する。
【0061】
取得プログラム207aは、取得プロセス206aとして機能する。特定プログラム207bは、特定プロセス206bとして機能する。表示制御プログラム207cは、表示制御プロセス206cとして機能する。
【0062】
取得プロセス206aの処理は、取得部151の処理に対応する。特定プロセス206bの処理は、特定部152の処理に対応する。表示制御プロセス206cの処理は、表示制御部153の処理に対応する。
【0063】
なお、各プログラム207a~207cについては、必ずしも最初からハードディスク装置207に記憶させておかなくても良い。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が各プログラム207a~207cを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
100 情報処理装置
110 通信部
120 入力部
130 表示部
140 記憶部
141 統計情報テーブル
150 制御部
151 取得部
152 特定部
153 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7