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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】接触検知センサ及び接触検知装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20240626BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20240626BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B62D1/06
B60R16/027 T
G01B7/00 101C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021033843
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134603
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 誠也
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-213663(JP,A)
【文献】特開2017-156169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0224040(US,A1)
【文献】特表2018-533519(JP,A)
【文献】国際公開第2014/123222(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
B60R 16/027
G01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールのリム部に設けられ、操作者のリム部周面への接触を検知するための第1電極部と、
前記第1電極部よりも前記リム部の径方向内側に配置され、操作者のリム部周面への接触を検知するための検知領域が前記第1電極部の検知領域に対して前記リム部の周方向に相違された第2電極部と、
を含み、
前記第1電極部の検知領域及び前記第2電極部の検知領域は、一方が前記ステアリングホイールの裏側又は回転中心側とされている接触検知センサ。
含む接触検知センサ。
【請求項2】
前記第1電極部の検知領域と前記第2電極部の検知領域とが、リム部周方向に連続されている請求項1に記載の接触検知センサ。
【請求項3】
前記第1電極部の検知領域及び前記第2電極部の検知領域は、他方が前記ステアリングホイールの表側又は回転径方向外側とされている請求項1又は請求項2に記載の接触検知センサ。
【請求項4】
ステアリングホイールのリム部に設けられ、操作者のリム部周面への接触を検知するための第1電極部、及び前記第1電極部よりも前記リム部の径方向内側に配置され、操作者のリム部周面への接触を検知するための検知領域が前記第1電極部の検知領域に対して前記リム部の周方向に相違された第2電極部を含む接触検知センサと、
前記第1電極部の静電容量を検知するための第1検知部と、
前記第2電極部の静電容量を検知するための第2検知部と、
前記第1検知部と前記第2検知部とを交互に動作させる制御部と、
を含み、
前記第1電極部及び前記第2電極部は、各々が前記ステアリングホイールの回転中心を挟んだ一側及び他側の各々に前記ステアリングホイールの周方向に沿って配置され、
前記第1検知部及び前記第2検知部は、各々前記一側及び前記他側の前記第1電極部及び前記第2電極部に対して設けられ、
前記制御部は、前記ステアリングホイールの前記一側の前記第1検知部及び前記第2検知部と、前記ステアリングホイールの前記他側の前記第1検知部及び前記第2検知部とを交互に動作させる接触検知装置
【請求項5】
前記接触検知センサは、前記第1電極部の検知領域と前記第2電極部の検知領域とが、リム部周方向に連続されている請求項4に記載の接触検知装置。
【請求項6】
前記接触検知センサは、前記第1電極部の検知領域及び前記第2電極部の検知領域の一方が前記ステアリングホイールの裏側又は回転中心側とされている請求項4又は請求項5に記載の接触検知装置。
【請求項7】
前記接触検知センサは、前記第1電極部の検知領域及び前記第2電極部の検知領域の他方が前記ステアリングホイールの表側又は回転径方向外側とされている請求項6に記載の接触検知装置。
【請求項8】
前記第1検知部は、前記第1電極部の電位を低電位から所定の高電位にして該第1電極部の静電容量を検知し、前記第2検知部は、前記第2電極部の電位を低電位から所定の高電位にして該第2電極部の静電容量を検知し、
前記制御部は、前記一側の前記第1電極部及び前記第2電極部の電位と、前記他側の前記第1電極部及び第2電極部の電位とが、交互に高くなるように前記一側及び他側の各々の前記第1検知部及び前記第2検知部を動作させる請求項4から請求項7の何れか1項に記載の接触検知装置。
【請求項9】
前記第1検知部及び前記第2検知部の各々は、前記第1電極部と前記第2電極部とを同電位にして静電容量を検知する請求項4から請求項8の何れか1項に記載の接触検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触検知センサ及び接触検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のセンサシステムには、ステアリングホイールリム表面に各々が運転者の接触を検知するためのセンサS1、センサS2及びセンサS3が配置されている。センサS1及びセンサS2は、各々ステアリングホイールの前面左側及び前面右側に配置され、センサS3は、ステアリングホイールにおいてセンサ1及びセンサ2の背後に配置されている。
【0003】
センサシステムでは、ステアリングホイールに対し、センサ1、センサ2及びセンサ3の各々のインピーダンス値から、運転者に接触されていない、運転者の二本の手で接触されている、及び運転者の一本の手又は指だけに接触されているなどの判定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5871422号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ステアリングホイールのリムの周方向に近接させて2つの電極を互いが電気的に接触しないようにして、2つの電極を分けて配置するための構造が複雑になる。
【0006】
本発明は、上記事実を鑑みて成されたものであり、簡単な構造でステアリングホイールへの接触状態を検知できる接触検知センサ及び接触検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様の接触検知センサは、ステアリングホイールのリム部に設けられ、操作者のリム部周面への接触を検知するための第1電極部と、前記第1電極部よりも前記リム部の径方向内側に配置され、操作者のリム部周面への接触を検知するための検知領域が前記第1電極部の検知領域に対して前記リム部の周方向に相違された第2電極部と、を含む。
【0008】
第2の態様の接触検知センサは、第1の態様において、前記第1電極部の検知領域と前記第2電極部の検知領域とが、リム部周方向に連続されている。
【0009】
第3の態様の接触検知センサは、第1又は第2の態様において、前記第1電極部の検知領域及び前記第2電極部の検知領域は、一方が前記ステアリングホイールの裏側又は回転中心側とされている。
【0010】
第4の態様の接触検知センサは、第3の態様において、前記第1電極部の検知領域及び前記第2電極部の検知領域は、他方が前記ステアリングホイールの表側又は回転径方向外側とされている。
【0011】
第5の態様の接触検知装置は、第1から第4の何れか1の態様の接触検知センサと、前記第1電極部の静電容量を検知するための第1検知部と、前記第2電極部の静電容量を検知するための第2検知部と、前記第1検知部と前記第2検知部とを交互に動作させる制御部と、を含む。
【0012】
第6の態様の接触検知装置は、第5の態様において、前記第1電極部及び前記第2電極部は、各々が前記ステアリングホイールの回転中心を挟んだ一側及び他側の各々に前記ステアリングホイールの周方向に沿って配置され、前記第1検知部及び前記第2検知部は、各々前記一側及び前記他側の前記第1電極部及び前記第2電極部に対して設けられ、前記制御部は、前記ステアリングホイールの前記一側の前記第1検知部及び前記第2検知部と、前記ステアリングホイールの前記他側の前記第1検知部及び前記第2検知部とを交互に動作させる。
【0013】
第7の態様の接触検知装置は、第6の態様において、前記第1検知部は、前記第1電極部の電位を低電位から所定の高電位にして該第1電極部の静電容量を検知し、前記第2検知部は、前記第2電極部の電位を低電位から所定の高電位にして該第2電極部の静電容量を検知し、前記制御部は、前記一側の前記第1電極部及び前記第2電極部の電位と、前記他側の前記第1電極部及び第2電極部の電位とが、交互に高くなるように前記一側及び他側の各々の前記第1検知部及び前記第2検知部を動作させる。
【0014】
第8の態様の接触検知装置は、第5から第7の何れか1の態様において、前記第1検知部及び前記第2検知部の各々は、前記第1電極部と前記第2電極部とを同電位にして静電容量を検知する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の態様の接触検知センサでは、各々操作者のリム部周面への接触を検知するための第1電極部及び第2電極部がステアリングホイールのリム部に設けられている。第1電極部の検知領域と第2電極部の検知領域とは、リム部の周方向に相違されており、操作者のリム部への接触を第1電極部及び第2電極部の少なくとも一方で検知できる。
【0016】
ここで、第2電極部は、第1電極部のリム部径方向の内側に配置されている。これにより、リム部に第1電極部及び第2電極部を分けて配置するための構造を簡略にできる。
【0017】
第2の態様の接触検知センサでは、第1電極部の検知領域と第2電極部の検知領域とが、リム部周方向に連続されている。これにより、リム部の周方向における第1電極部と第2電極部との間に操作者の接触を検知できない領域が生じるのを抑制できる。
【0018】
第3の態様の接触検知センサでは、第1電極部の検知領域及び第2電極部の検知領域は、一方がステアリングホイールの裏側又は回転中心側とされている。これにより、第1電極部及び第2電極部の一方によって操作者がステアリングホイールを把持した際の指の接触を検知可能になり、操作者のステアリングホイールの把持状態の効果的に検知可能になる。
【0019】
第4の態様の接触検知センサでは、第1電極部の検知領域及び第2電極部の検知領域は、他方がステアリングホイールの表側又は回転径方向外側とされている。これにより、第1電極部及び第2電極部の他方により操作者がステアリングホイールを把持した際の掌の接触を検知可能になり、操作者のステアリングホイールの把持状態の一層効果的に検知可能になる。
【0020】
第5の態様の接触検知装置では、第1検知部が接触検知センサの第1電極部の静電容量を検知し、第2検知部が接触検知センサの第2検知部の静電容量を検知する。制御部は、第1検知部と第2検知部とを交互に動作させて、第1電極部の静電容量及び第2電極部の静電容量を検知する。これにより、第1電極部と第2電極部とにより生じる容量結合を抑制して、操作者の接触検知の精度が低下するのを抑制できる。
【0021】
第6の態様の接触検知装置では、第1電極部及び第2電極部が、テアリングホイールの回転中心を挟んだ一側及び他側の各々に、ステアリングホイールの周方向に沿って配置されている。また、第1検知部及び第2検知部は、ステアリングホイールの一側及び他側の第1電極部と第2電極部とに対して設けられている。
【0022】
ここで、制御部は、ステアリングホイールの一側の第1検知部及び第2検知部と、ステアリングホイールの他側の第1検知部及び第2検知部とを交互に動作させる。これにより、ステアリングホイールの一側及び他側の各々に複数の電極部を配置しても、容量結合が生じることにより検知精度の低下を抑制しながら、効果的に操作者の接触検知が可能になる。
【0023】
第7の態様の接触検知装置では、第1検知部の各々が第1電極部の電位を低電位から所定の高電位にして第1電極部の静電容量を検知し、第2検知部の各々が第2電極部の電位を低電位から所定の高電位にして第2電極部の静電容量を検知する。
【0024】
制御部は、一側の第1電極部及び第2電極部の電位と、他側の第1電極部及び第2電極部の電位とが、交互に高くなるように一側及び他側の各々の第1検知部及び第2検知部を動作させる。これにより、操作者を介した容量結合に起因する検知精度の低下を抑えることができて、複数の電極部の各々により効果的に操作者の接触検知を行うことができる。
【0025】
第8の態様の接触検知装置では、第1検知部及び第2検知部の各々が、第1電極部と第2電極部とを同電位にして静電容量を検知する。これにより、第1電極部に対して第2電極部をシールド電極として用いることができると共に、第2電極部に対して第1電極部をシールド電極にできるので、ノイズ抑制できて、効果的に検知精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係るセンサアッセンブリを示すステアリングホイールの主要部の概略断面図である。
図2】ステアリングホイールを示す正面図である。
図3】本実施形態に係る接触検知装置を示す概略構成図である。
図4】(A)及び(B)は、各々センサアッセンブリの他の一例を示すリム部のステアリングホイール径方向に沿う概略断面図である。
図5】(A)及び(B)は、各々センサアッセンブリの他の一例を示すリム部のステアリングホイール径方向に沿う概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る接触検知装置10は、ステアリング装置12に設けられている。ステアリング装置12は、操作体及びステアリング体としてのステアリングホイール14を備えている。
【0028】
接触検知装置10は、自動運転システム(図示省略)が搭載された車両に設けることができる。自動運転システムは、運転者の運転操作に応じて走行される手動運転モードと、運転者の運転操作を介さずに走行する自動運転モードとを切換え、車両を自動運転モード又は手動運転モードで走行可能にしている。接触検知装置10は、運転者のステアリングホイール14への接触状態を検知する。自動運転システムでは、例えば、接触検知装置10の検知結果を用い、手動運転モードに移行した際に、運転者がステアリングホイール14の操作が可能な状態か否か等を判断する。
【0029】
図1には、本実施形態に係るステアリングホイール14の主要部がステアリングホイール14径方向に沿う断面図にて示され、図2には、ステアリング装置12の主要部が正面図にて示されている。また、図3には、接触検知装置10の主要部が概略構成図にて示されている。なお、図面では、車両前側が矢印FRにて示され、車幅右側が矢印RHにて示され、上方が矢印UPにて示され、ステアリングホイール14径方向内側が矢印INにて示されている。
【0030】
図2に示すように、ステアリングホイール14は、略円環状に形成されており、ステアリングホイール14は、車両(操舵対象)を運転する操作者としての運転者(乗員)が着座する座席(運転席)の車両前側に配置されている。
【0031】
ステアリングホイール14には、把持部としての円環状のリム部16、リム部16の中心部に設けられたボス部18、及びリム部16とボス部18とを連結するステー部20によって構成されている。ステアリングホイール14は、骨格を構成する金属製の芯金を備えており、芯金は、リム部16の円環状のリム芯金部、ボス部18のボス芯金部、及びステー芯金部によって構成されている(何れも図示省略)。ステアリングホイール14では、リム芯金部とボス芯金部とがステー芯金部によって連結され、リム部16、ボス部18及びステー部20が一体とされている。
【0032】
ステアリング装置12は、ステアリングシャフト(図示省略)を備えており、ステアリングシャフトは、運転席の車両前側において軸線方向が略車両前後方向とされて、車体に回転可能に支持されている。ステアリングホイール14は、ボス部18のボス芯金部がステアリングシャフトの車両後側端に固定されており、ステアリングホイール14は、ステアリングシャフトと一体回転可能に支持されている。
【0033】
このため、ステアリングホイール14が回転操作されることで、ステアリングシャフトが回転されて、車両が操舵される。この際、ステアリング装置12では、ステアリングシャフトの回転角が図示しないセンサによって検出され、ステアリングシャフトの回転角に応じて図示しないアクチュエータが作動されて、転舵輪が転舵される。なお、図2には、車両を直進させる状態における回転位置(直進操舵位置)のステアリングホイール14が示されている。
【0034】
図1に示すように、ステアリングホイール14のリム部16は、ステアリングホイール14径方向断面が略円状(略楕円状でもよい)とされており、リム部16には、基体22が配置されている。基体22には、絶縁材料としてのウレタンなどの樹脂材料が用いられており、基体22は、ステアリングホイール14径方向断面外周が略円状(略楕円状でもよい)に形成されている。また、基体22内には、リム芯金部がインサート成形により収容されており(図示省略)、リム芯金部は、基体22によって被覆されている。
【0035】
基体22の外周部には、接触部(表皮)としての加飾部24が配置されている。加飾部24は、絶縁性を有しており、加飾部24は、皮革製あるいは樹脂製等(一部が木製でもよい)とされている。リム部16は、基体22のステアリングホイール14径方向断面における全周、及びステアリングホイール14周方向の全周(全域)が加飾部24によって被覆されている。
【0036】
図3に示すように、接触検知装置10は、接触検知センサとしてのセンサアッセンブリ30、及びコントローラ32を備えている。図1及び図2に示すように、センサアッセンブリ30は、ステアリングホイール14のリム部16に配置されている。センサアッセンブリ30は、ステアリングホイール14車両左側のセンサアッセンブリ30L、及びステアリングホイール14車両右側のセンサアッセンブリ30Rにより構成されている。
【0037】
図2に示すように、センサアッセンブリ30L、30Rは、各々ステアリングホイール14の周方向の略半周に渡って配置されて、互いに電気的に非接触状態とされている。なお、センサアッセンブリ30L、30Rの基本的構成は同様とされており、以下では、センサアッセンブリ30L、30Rを区別しない場合、センサアッセンブリ30として説明する。
【0038】
図1及び図3に示すように、センサアッセンブリ30(30L、30R)には、第1電極部(外側電極)としてのセンサ電極34、及び第2電極部(内側電極)としてのセンサ電極36が配置されており、センサ電極34、36は、各々帯状(シート状でもよい)とされている。センサアッセンブリ30には、センサ電極34、36の間に絶縁性シート38が配置されており、センサアッセンブリ30は、センサ電極34、絶縁性シート38及びセンサ電極36が層状に配置されて全体としてシート状に形成されている。
【0039】
図1に示すように、センサアッセンブリ30は、リム部16において基体22と加飾部24との間に配置されており、センサアッセンブリ30は、幅方向がリム部16周方向(断面周方向)とされ、長手方向がステアリングホイール14周方向とされている。また、センサアッセンブリ30は、センサ電極36が基体22側とされて、基体22の外周を略全周(リム部16周方向の略全周)に渡って被覆しており、センサ電極36は、基体22周方向の両端部がステアリングホイール14径方向内側とされている。
【0040】
このため、センサアッセンブリ30は、センサ電極34がリム部16径方向(断面径方向)外側に配置され、センサ電極36がリム部16径方向内側に配置されて加飾部24によって被覆されている。また、センサアッセンブリ30は、センサ電極36のリム部16周方向(センサ電極36の幅方向)の中央部にセンサ電極34が配置されて、センサ電極34のリム部16周方向に沿う両側にセンサ電極36の検知領域を担う出代部40が形成されている。
【0041】
これにより、センサ電極36は、リム部16周方向の中央部がセンサ電極34によって被覆されていると共に、出代部40においてセンサ電極34から露出(非被覆)されている。センサアッセンブリ30では、センサ電極36の出代部40がステアリングホイール14の回転中心側(径方向内側)においてステアリングホイール14の車両前側(運転者とは反対側、裏側)及び車両後側(運転者側、表側)に配置されている。
【0042】
センサアッセンブリ30は、運転者が運転操作のためにステアリングホイール14(リム部16)を握った際、運転者の手の掌(手のひら)にセンサ電極34が対向され、運転者の手の指にセンサ電極34から露出されたセンサ電極36の出代部40が対向される。この際、センサ電極36の出代部40は、一方(車両後側)に運転者の手の親指が対向され、他方(車両前側)に親指を除く他の指が対向される。
【0043】
これにより、センサアッセンブリ30では、運転者がステアリングホイール14を把持した際は、運転者の手のひらがセンサ電極34に近接(接触)する。また、センサアッセンブリ30では、運転者がステアリングホイール14を把持した際は勿論、把持した状態とまではならないが、運転者がステアリングホイール14のリム部16に指を掛けるように触れた場合にも、運転者の指がセンサ電極36の出代部40に近接(接触)する。
【0044】
接触検知装置10では、センサアッセンブリ30がコントローラ32に電気的に接続されており、センサアッセンブリ30L、30Rは、各々のセンサ電極34、36がコントローラ32に接続されている。
【0045】
センサアッセンブリ30(30L、30R)では、センサ電極34、36に運転者の手等が接触することで、静電容量などのインピーダンスが変化する。コントローラ32では、インピーダンスとして静電容量を適用し、自己容量方式によりセンサアッセンブリ30においてセンサ電極34、36の各々と運転者との間に生じる静電容量あるいは静電容量の変化を検知する。また、コントローラ32は、検知した静電容量(あるいは静電容量の変化)から運転者がステアリングホイール14(のリム部16の加飾部24)に触れているか否か(接触状態)を判定する。
【0046】
図3に示すように、コントローラ32は、検知部42、検知部42の動作を制御する制御部44、及び検知部42の検知結果に基づいてステアリングホイール14への運転者の接触状態を判定する判定部46を備えている。
【0047】
コントローラ32は、図示しない電源(車両のバッテリ)から供給される電力によって動作する。また、コントローラ32には、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリとしてのストレージ等がバスによって接続されたマイクロコンピュータ(図示省略)が設けられている。コントローラ32では、CPUがROMあるいはストレージに記憶されたプログラムを実行することで、制御部44及び判定部46の機能が実現され、制御部44が各検知部42の作動を制御する。
【0048】
検知部42は、センサアッセンブリ30Lに対応された検知部42L、及びセンサアッセンブリ30Rに対応された検知部42Rにより構成されている。なお、検知部42L、42Rの基本的構成は同様であり、以下では区別しない場合に検知部42として説明する。
【0049】
検知部42(42L、42R)の各々は、検知手段を構成する第1検知部としての接触検知回路48、検知手段を構成する第2検知部としての接触検知回路50、及び切換手段としての切換部52を備えている。接触検知回路48には、検知機能部54A及びシールド機能部56Aが形成されており、接触検知回路50には、検知機能部54B及びシールド機能部56Bが形成されている。
【0050】
切換部52には、一次側にセンサアッセンブリ30のセンサ電極34、36の各々が接続されている。また、切換部52には、センサ電極34に対応する二次側に接触検知回路48の検知機能部54A、及び接触検知回路50のシールド機能部56Bが接続され、センサ電極36に対応する二次側に接触検知回路50の検知機能部54B、及び接触検知回路48のシールド機能部56Aが接続されている。
【0051】
制御部44は、センサ電極34の静電容量を検知する際、センサ電極34を検知機能部54Aに接続すると共に、センサ電極36をシールド機能部56Aに接続するように切換部52を制御して、センサ電極34、36を接触検知回路48に接続する。
【0052】
接触検知回路48は、動作されることで検知機能部54A及びシールド機能部56Aが各々センサ電極34及びセンサ電極36に所定電流(定電流)を供給し、センサ電極34、36を同電位としながらセンサ電極34を静電容量に応じた充電状態とする(以下、Hレベルという)。検知機能部54Aは、静電容量に応じて充電されたセンサ電極34から出力される電気信号(電流値又は電圧値)を検知する。すなわち、接触検知回路48では、所定周期のパルス状の信号波形を用い、センサ電極34の電位を低電位(Lレベル)から所定の高電位(Hレベル)に変化させて、さらに、HレベルからLレベルに変化させて、センサ電極34の静電容量を検知する。また、接触検知回路48では、センサ電極34の静電容量を検知する際、センサ電極34と共にセンサ電極36の電位を変化させてセンサ電極36をシールド電極として用いる。
【0053】
また、制御部44は、センサ電極36の静電容量を検知する際、センサ電極36を検知機能部54Bに接続すると共に、センサ電極34をシールド機能部56Bに接続するように切換部52を制御して、センサ電極34、36を接触検知回路50に接続する。
【0054】
接触検知回路50は、動作されることで検知機能部54B及びシールド機能部56Bが各々センサ電極36及びセンサ電極34に所定電流(定電流)を供給し、センサ電極34、36を同電位としながらセンサ電極36を静電容量に応じた充電状態とする。検知機能部54Bは、静電容量に応じて充電されたセンサ電極36から出力される電気信号(電流値又は電圧値)を検知する。すなわち、接触検知回路50では、接触検知回路48と同意用に所定周期のパルス状の信号波形を用い、センサ電極36の電位をLレベルからHレベルに変化させて、さらに、HレベルからLレベルに変化させて、センサ電極36の静電容量を検知する。また、接触検知回路50では、センサ電極36の静電容量を検知する際、センサ電極36と共にセンサ電極34の電位を変化させてセンサ電極34をシールド電極として用いる。
【0055】
さらに、制御部44は、接触検知回路48、50を交互に動作させることで、センサ電極34の静電容量Caの検知と、センサ電極36の静電容量Cbの検知とを所定周期で交互に行う。
【0056】
ここで、制御部44では、センサアッセンブリ30Lにおける静電容量Ca、Cbの検知と、センサアッセンブリ30Rにおける静電容量Ca、Cbの検知とを並行して行う。この際、制御部44では、検知部42Lと検知部42Rとを逆位相で動作させて、センサアッセンブリ30L、30Rの一方のセンサ電極34、36の電位がHレベルとなった際、センサアッセンブリ30L、30Rの他方のセンサ電極34、36がLレベルとなるように検知部42L、42Rを動作させる。
【0057】
判定部46には、検知部42L、42Rの各々における検知結果が入力される。判定部46は、入力された検知結果に基づいて、ステアリングホイール14(センサアッセンブリ30L、30R)に対する運転者の接触状態を判定して、判定結果を出力する。判定部46に入力される検知結果は、検知部42L、42Rの各々におけるセンサ電極34、36の静電容量Ca、Cbに応じた値(例えば、電流値又は電圧値)となっており、以下では、静電容量Ca、Cbとして説明する。
【0058】
運転者がステアリングホイール14を操作可能に握った場合、センサアッセンブリ30のセンサ電極34に運転者の手のひらが接触され、センサ電極36に運転者の指が接触される。この際、センサ電極36では、運転者の手のひらに対応する領域がセンサ電極34により覆われていることで、センサ電極36では、主に出代部40に運転者の指が接触される。これにより、センサ電極34、36には、運転者の手の接触状態に応じた静電容量Ca、Cbが生じる。
【0059】
判定部46には、センサ電極34の静電容量Caから運転者の手(手のひら)がセンサ電極34に接触していると判定し得るしきい値Cadetが設定されている。また、判定部46には、センサ電極36の静電容量Cbから運転者の指がセンサ電極36(主に出代部40)に接触していると判定し得るしきい値Cbdetが設定されている。
【0060】
判定部46では、センサアッセンブリ30L、30Rの各々について静電容量Caとしきい値Cadetとを比較すると共に、静電容量Cbとしきい値Cbdetとを比較することで、センサアッセンブリ30Lに対応するステアリングホイール14の車両左側、及びセンサアッセンブリ30Rに対応するステアリングホイール14の車両右側の各々について運転者の接触状態を判定する。例えば、判定部46は、静電容量Caがしきい値Cadet以上(Ca≧Cadet)であり、かつ静電容量Cbがしきい値Cbdet以上(Cb≧Cbdet)である場合に、運転者がステアリングホイール14を両手で把持して運転操作可能な状態であると判定する。
【0061】
接触検知装置10では、車両に設けられた自動運転システムからの要求に応じて判定部46の判定結果が自動運転システムに出力される。なお、接触検知装置10は、自動運転システムなどの外部装置からの要求に応じて運転者が運転操作可能な状態でステアリングホイール14を把持しているか否かを判定(検知)し、検知結果を要求元に出力してもよい。
【0062】
以下に、本実施形態の作用を説明する。
接触検知装置10では、ステアリング装置12のステアリングホイール14にセンサアッセンブリ30(30L、30R)が設置されている。センサアッセンブリ30は、リム部16の加飾部24側にセンサ電極34が配置され、センサ電極34のリム部16径方向内側にセンサ電極36が配置されている。また、センサアッセンブリ30では、センサ電極34がリム部16(基体22)のステアリングホイール14径方向外側に配置され、センサ電極36の出代部40がステアリングホイール14径方向内側に配置されている。
【0063】
このため、センサ電極36の幅方向の中央部にセンサ電極34が配置されて被覆されており、センサ電極36は、ステアリングホイール14径方向内側かつ車両前側及び車両後側の出代部40がセンサ電極34から露出されている。これにより、センサアッセンブリ30では、運転者がステアリングホイール14を把持する(操作可能に握る、グリップ)ことで、運転者の手のひらがセンサ電極34に接触され、運転者の指がセンサ電極36の出代部40に接触される。この際、センサ電極34がセンサ電極36を覆っている領域では、センサ電極36には、運転者が接触されない(センサ電極36と運転者との間に静電容量が生じない)。したがって、センサアッセンブリ30では、センサ電極34によりリム部16の外側接触(ステアリングホイール14径方向外側への接触)を検知でき、センサ電極36(出代部40)によりリム部16の内側接触(ステアリングホイール14径方向内側への接触)を検知でき、センサ電極34、36によりリム部16の把持(グリップ)を検知できる。
【0064】
接触検知装置10では、車両の図示しないイグニッションスイッチがオンされるなどしてコントローラ32に電力供給が開始されると動作し、車両走行が終了してコントローラ32への電力供給が停止することで動作を停止する。コントローラ32は、動作中において所定の時間間隔などの予め設定されたタイミングでセンサアッセンブリ30(30L、30R)を用いた接触検知処理を実行する。
【0065】
コントローラ32(制御部44)では、接触検知処理において、検知部42L、42Rの各々の切換部52によってセンサ電極34を接触検知回路48側の検知機能部54Aに接続すると共に、センサ電極36を接触検知回路48側のシールド機能部56Aに接続する。これにより、センサアッセンブリ30L、30Rの各々のセンサ電極34の静電容量Caの検知が可能とされる。
【0066】
制御部44は、検知部42L、42Rの一方において、センサ電極34及びセンサ電極36へ給電する(センサ電極34の充電、Hレベル)と共に、検知部42L、42Rの他方をセンサ電極34及びセンサ電極36へ非給電状態とする(Lレベル)。
【0067】
次に、制御部44は、センサ電極34へ給電している検知部42(検知部42L、42Rの一方)において、給電を停止してセンサ電極34の静電容量Caを計測(検知)する(Lレベル)。これと略同時に制御部44は、センサ電極34へ非給電している検知部42(検知部42L、42Rの他方)において、センサ電極34及びセンサ電極36へ給電(センサ電極34の充電)する(Hレベル)。
【0068】
次に、制御部44は、センサ電極34へ給電している検知部42(検知部42L、42Rの他方)において、給電を停止してセンサ電極34の静電容量Caを計測(検知)する(Lレベル)。これと略同時に制御部44は、センサ電極34へ非給電している検知部42(検知部42L、42Rの一方)において、センサ電極34及びセンサ電極36へ給電(センサ電極34の充電)する(Hレベル)。
【0069】
これにより、検知部42Lでは、センサアッセンブリ30Lにおけるセンサ電極34の静電容量Caを検知でき、検知部42Rでは、センサアッセンブリ30Rにおけるセンサ電極34の静電容量Caを検知できる。
【0070】
次に、制御部44では、検知部42L、42Rの各々の切換部52によってセンサ電極36を接触検知回路50側の検知機能部54Bに接続すると共に、センサ電極34を接触検知回路50側のシールド機能部56Bに接続し、センサアッセンブリ30L、30Rの各々のセンサ電極36の静電容量Cbの検知を行う。
【0071】
この後、制御部44は、検知部42L、42Rの一方において、センサ電極34及びセンサ電極36へ給電(センサ電極36の充電、Hレベル)すると共に、検知部42L、42Rの他方をセンサ電極34及びセンサ電極36へ非給電状態とする(Lレベル)。
【0072】
次に、制御部44は、センサ電極36へ給電している検知部42(検知部42L、42Rの一方)において、給電を停止してセンサ電極36の静電容量Cbを計測(検知)する(Lレベル)。これと略同時に制御部44は、センサ電極36へ非給電している検知部42(検知部42L、42Rの他方)において、センサ電極34及びセンサ電極36へ給電する(Hレベル)。
【0073】
次に、制御部44は、センサ電極36へ給電している検知部42(検知部42L、42Rの他方)において、給電を停止してセンサ電極36の静電容量Cbを計測(検知)する(Lレベル)。これと略同時に制御部44は、センサ電極36へ非給電している検知部42(検知部42L、42Rの一方)において、センサ電極34及びセンサ電極36へ給電する(Hレベル)。
【0074】
これにより、検知部42Lでは、センサアッセンブリ30Lにおけるセンサ電極34の静電容量Ca及びセンサ電極36の静電容量Cbを検知でき、検知部42Rでは、センサアッセンブリ30Rにおけるセンサ電極34の静電容量Ca及びセンサ電極36の静電容量Cbを検知できる。なお、センサアッセンブリ30L、30Rの各々におけるセンサ電極34、36への給電及び給電停止は、複数回ずつ繰返されてもよい。
【0075】
一方、判定部46では、検知部42L、42Rの各々において検知された静電容量Ca、Cbを用い、センサアッセンブリ30L、30Rの各々に対する接触判定を行う。接触判定では、静電容量Caとしきい値Cadetとを比較することで、運転者の手などがセンサ電極34に接触しているか否かを判定すると共に、静電容量Cbとしきい値Cbdetとを比較することで、運転者の手などがセンサ電極36(出代部40)に接触しているか否かを判定する。
【0076】
ここで、運転者の手などがステアリングホイール14に接触していない場合、センサアッセンブリ30L、30Rでは、センサ電極34の静電容量Caがしきい値Cadetに達しない(Ca<Cadet)と共に、センサ電極36の静電容量Cbがしきい値Cbdetに達しない(Cb<Cbdet)。これにより、判定部46では、ステアリングホイール14に運転者が触れていないと判定する。
【0077】
これに対して、運転者が両手でステアリングホイール14を把持していると、センサアッセンブリ30L、30R各々では、センサ電極34の静電容量Caがしきい値Cadet以上となる(Ca≧Cadet)と共に、センサ電極36の静電容量Cbがしきい値Cbdet以上となる(Cb≧Cbdet)。これにより、判定部46では、運転者の両手がステアリングホイール14を把持していると判定する。
【0078】
また、運転者がステアリングホイール14を片手で握っていると、センサアッセンブリ30L、30Rの一方では、静電容量Ca、Cbが各々しきい値Cadet、Cbdet以上となり(Ca≧Cadet、Cb≧Cbdet)、センサアッセンブリ30L、30Rの他方では、静電容量Ca、Cbが各々しきい値Cadet、Cbdet未満となる(Ca<Cadet、Cb<Cbdet)。これにより、判定部46では、ステアリングホイール14が片方の手で把持されていると判定できると共に、ステアリングホイール14の車両左右のどちら側が把持されているか(どちら側が把持されていないか)を判定できる。
【0079】
さらに、運転者の手のひらだけでステアリングホイール14に触れていたり、運転者の体の一部がステアリングホイール14に触れていたりする場合がある。この場合、例えば、対応する部位のセンサアッセンブリ30(センサアッセンブリ30L、30Rの少なくとも一方)では、センサ電極34の静電容量Caがしきい値Cadet以上となる(Ca≧Cadet)。これと共に、センサアッセンブリ30(30L、30R)では、センサ電極36の静電容量Cbがしきい値Cbdet未満となる(Cb≧Cbdet)。これにより、判定部46では、運転者の手のひらなどがステアリングホイール14の径外側に接触していると判定できる。
【0080】
一方、運転者がステアリングホイール14に触れる際、ステアリングホイール14に指を掛けている状態(例えば、手をステアリングホイール14車両前側に回して指でステアリングホイール14の径方向内側に触れている状態、指掛かり)がある。
【0081】
この場合、対応する部位のセンサアッセンブリ30(センサアッセンブリ30L、30Rの少なくとも一方)では、センサ電極36の静電容量Cbがしきい値Cbdet以上となる(Cb≧Cbdet)。これと共に、センサアッセンブリ30(センサアッセンブリ30L、30Rの各々)では、センサ電極34の静電容量Caがしきい値Cadet未満となる(Ca<Cadet)。これにより、判定部46では、運転者の指などがステアリングホイール14の内側(径方向内側)に接触していると判定できる。
【0082】
したがって、接触検知装置10では、ステアリングホイール14が運転者の両手で把持されているか、片手で把持されているか、運転者がステアリングホイール14の径外側に触れているか、あるいは運転者がステアリングホイール14の径内側に接触しているか(指掛かり)を判定可能にでき、接触検知装置10では、運転者によるステアリングホイール14への接触状態を効果的に検知可能にできる。また、自動運転システムは、自動運転モードから手動運転モードに切換える際、接触検知装置10の判定結果から運転者がステアリングホイール14を操作可能に把持しているか否かの確認ができる。
【0083】
このようにセンサアッセンブリ30では、リム部16の基体22にセンサ電極36が配置され、センサ電極36のリム部16径方向の外側にセンサ電極34が配置されている。また、センサアッセンブリ30のセンサ電極36では、センサ電極34から露出された出代部40が検知領域となっている。このため、センサアッセンブリ30では、センサ電極34の検知領域とセンサ電極36との検知領域とがリム部16の周方向において相違されている。
【0084】
これにより、センサアッセンブリ30では、運転者のリム部16への接触をセンサ電極34及びセンサ電極36の少なくとも一方で検知できる。また、センサアッセンブリ30では、センサ電極36がセンサ電極34のリム部16径方向内側に配置されているので、リム部16周方向に検知領域の異なるセンサ電極34、36を分けて配置するための構造を簡略にできる。しかも、センサアッセンブリ30では、絶縁性シート38を介してセンサ電極34とセンサ電極36とがシート状に積層されているので、リム部16に容易に組付けることができる。
【0085】
また、センサアッセンブリ30では、センサ電極34の検知領域とセンサ電極36の検知領域とが、リム部16周方向に連続されている。これにより、センサアッセンブリ30では、リム部16の周方向において運転者の接触が検知できない領域が生じるのを効果的に抑制できて、運転者の接触を的確に検知できる。
【0086】
また、センサアッセンブリ30では、センサ電極36の一部にセンサ電極34を重ねているので、センサ電極34の検知領域とセンサ電極36の検知領域の連続性を容易に確保できて、センサ電極34の検知領域とセンサ電極36の検知領域とを容易にリム部16の周方向に連続させることがきる。
【0087】
さらに、センサアッセンブリ30では、センサ電極36のリム部16周方向の中央部にセンサ電極34を重ねて配置している。これにより、センサ電極34の検知領域とセンサ電極36の検知領域とを効果的にリム部16周方向に連続させることができる。
【0088】
また、センサアッセンブリ30では、センサ電極34の検知領域をステアリングホイール14径方向外側に配置し、センサ電極36の検知領域となる出代部40をステアリングホイール14径方向内側に配置している。これにより、センサ電極34によって運転者の手のひらの接触を検知し、センサ電極36の出代部40によって運転者の指の接触を検知できるので、運転者がステアリングホイール14を運転操作可能に把持しているか否かを効果的に検知できる。
【0089】
接触検知装置10では、センサ電極34の静電容量Caを検知する接触検知回路48と、センサ電極36の静電容量Cbを検知する接触検知回路50とが交互に動作される。このため、センサ電極34の電位とセンサ電極36の電位とに起因する容量結合が生じるのを抑制できて、静電容量Ca、Cbを精度よく検知できる。
【0090】
一方、接触検知装置10では、ステアリングホイール14の車両左側部分にセンサアッセンブリ30Lが配置され、ステアリングホイール14の車両右側部分にセンサアッセンブリ30Rが配置されており、センサアッセンブリ30L、30Rが各々ステアリングホイール14の周方向に延設されている。また、接触検知装置10では、センサアッセンブリ30Lへの接触検知のための検知部42L、42Rが設けられ、検知部42L、42Rが交互に動作される。
【0091】
運転者が両手でステアリングホイール14を把持するなど、運転者がセンサアッセンブリ30L、30Rの各々に接触した状態で、センサアッセンブリ30Lのセンサ電極34、36の電位とセンサアッセンブリ30Rのセンサ電極34、36の電位とが共に高く(Hレベル)なると、運転者を介した容量結合が生じる。これにより、センサアッセンブリ30L、30Rの各々において静電容量Ca、Cbが低下し、検知精度が低下する。
【0092】
ここで、検知部42L、42Rは、センサアッセンブリ30Lのセンサ電極34、36の電位とセンサアッセンブリ30Rのセンサ電極34、36の電位とが逆位相で変化させている。すなわち、センサアッセンブリ30Lのセンサ電極34、36の電位が、H→L→H・・・と変化するのに対して、センサアッセンブリ30Rのセンサ電極34、36の電位が、L→H→L・・・と変化し、センサアッセンブリ30Lのセンサ電極34、36の電位と、センサアッセンブリ30Rのセンサ電極34、36の電位とが、同じタイミングでHレベルとなることがない。
【0093】
このため、接触検知装置10では、静電容量Ca、Cbを検知する際、センサアッセンブリ30Lのセンサ電極34、36とセンサアッセンブリ30Rのセンサ電極34、36との間の電位差を大きくできる。これにより、接触検知装置10では、運転者が両手でステアリングホイール14に触れても容量結合を抑制できるので、センサアッセンブリ30L、30Rの静電容量Ca、Cbを精度よく検知できて、ステアリングホイール14への運転者の接触検知を高精度にできる。
【0094】
また、接触検知装置10では、静電容量Ca、Cbを検知する際、センサアッセンブリ30のセンサ電極34、36を同電位にする。これにより、センサ電極34の静電容量Caを検知においては、センサ電極36をシールド電極にできて、センサ電極34とセンサ電極36及び基体22内のリム芯金部との間に寄生容量が生じるのを抑制できる。また、センサ電極36の静電容量Cbを検知においては、センサ電極34をシールド電極にできて、センサ電極36にセンサ電極34が起因する寄生容量が生じるのを抑制できる。したがって、接触検知装置10では、センサアッセンブリ30の静電容量Ca、Cbにノイズ成分が含まれてしまうのを抑制できて、静電容量Ca、Cbの検知精度を効果的に向上できる。
【0095】
なお、以上説明した本実施形態では、コントローラ32に判定部46を配置した。しかしながら、接触検知装置は、第1電極及び第2電極の静電容量を検知して出力できればよく、ステアリングホイールに対する操作者の接触状態は、自動運転システムなどの外部装置で行われてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、センサアッセンブリ30L、30Rの各々がステアリングホイール14周方向の略半周に渡って設けられている。しかしながら、接触検知センサは、複数がステアリングホイールにおいて各々所定の角度範囲に設けられていてもよい。また、接触検知センサは、一つがステアリングホイールの略全周に渡って設けられてもよい。
【0097】
さらに、本実施形態では、センサ電極34の静電容量Caを検知する際にセンサ電極36をシールド電極とする接触検知回路48、及びセンサ電極36の静電容量Cbを検知する際にセンサ電極34をシールド電極とする接触検知回路50を用いた。しかしながら、検知部は、外側電極及び内側電極の一方の静電容量を検知する際、外側電極及び内側電極の他方を接地(GND)とするようにしてもよい。
【0098】
一方、以上説明した本実施形態では、センサ電極36のステアリングホイール14径方向外側をセンサ電極34により覆い、ステアリングホイール14径方向内側にセンサ電極34に覆われないセンサ電極36の出代部40を配置した。しかしながら、接触検知センサは、リム部周方向において第2電極部の一部が第1電極部と重なる構成に限らず、接触検知センサは、リム部周方向において第1電極部と第2電極部とが重ならない構成であってもよい。
【0099】
また、接触検知センサは、第1電極部の検知領域及び第2電極部の検知領域の一方がステアリングホイールの裏側(車両前側)又はステアリングホイールの回転中心側とされていればよい。さらに、接触検知センサは、第1電極部の検知領域及び第2電極部の検知領域の一方がステアリングホイールを把持した操作者の指の接触位置に対応され、第1電極部の検知領域及び第2電極部の検知領域の他方がステアリングホイールを把持した操作者の手のひらの接触位置に対応されてもよい。
【0100】
ここで、図4(A)、図4(B)、図5(A)及び図5(B)には、センサアッセンブリ30(30L、30R)とは異なる接触検知センサがステアリングホイール14径方向に沿う概略断面図にて示されている。
【0101】
図4(A)に示すように、接触検知センサとしてのセンサアッセンブリ60では、第1電極部としてのセンサ電極62と第2電極部としてのセンサ電極64とが絶縁性シート38を介して積層されている。センサアッセンブリ60では、センサ電極64が基体22側(リム部16径方向内側)とされ、センサ電極62が加飾部24側(リム部16径方向外側)とされている。
【0102】
センサアッセンブリ60のセンサ電極62は、リム部16周方向(断面周方向)において、車両後側からステアリングホイール14径方向外側を回って車両前側に渡って基体22の周囲に配置されており、センサ電極62は、リム部16周方向の一端が車両前側とされ、リム部16周方向の他端が車両後側のステアリングホイール14径方向内側寄りとされている。
【0103】
また、センサアッセンブリ60のセンサ電極64は、リム部16周方向において、車両後側からステアリングホイール14径方向外側及び車両前側を回ってステアリングホイール14径方向内側に渡って基体22の周囲に配置されており、センサ電極64は、リム部16周方向の一端がステアリングホイール14径方向内側とされ、リム部16周方向の他端が車両後側のステアリングホイール14径方向内側寄りとされている。これにより、センサ電極64には、センサ電極64の検知領域としての出代部66が、車両前側からステアリングホイール14径方向内側の車両前側寄りに形成されている。
【0104】
このように構成されたセンサアッセンブリ60では、運転者がステアリングホイール14を把持することで、運転者の手のひらがセンサ電極62に接触し、運転者の指がセンサ電極64の出代部66に接触する。これにより、センサアッセンブリ60では、センサアッセンブリ30と同様に運転者の接触状態を検知できる。
【0105】
また、図4(B)に示すように、接触検知センサとしてのセンサアッセンブリ68では、第1電極部としてのセンサ電極70と第2電極部としてのセンサ電極72とが絶縁性シート38を介して積層されている。センサアッセンブリ68では、センサ電極70が加飾部24側(リム部16径方向外側)とされ、センサ電極72が基体22側(リム部16径方向内側)とされている。
【0106】
センサアッセンブリ68のセンサ電極70は、リム部16周方向(断面周方向)において、車両前側から車両後側の範囲のステアリングホイール14径方向外側に配置されており、センサ電極70は、リム部16周方向の一端が車両前側のステアリングホイール14径方向外側寄りとされ、リム部16周方向の他端が車両後側のステアリングホイール14径方向外側寄りとされている。
【0107】
また、センサアッセンブリ68のセンサ電極72は、リム部16周方向において、略ステアリングホイール14径方向内側から車両後側、ステアリングホイール14径方向外側及び車両前側を回って略ステアリングホイール14径方向内側に渡って基体22の周囲に配置されており、センサ電極72は、リム部16周方向の一端がステアリングホイール14径方向内側の車両後側寄りとされ、リム部16周方向の他端がステアリングホイール14径方向内側の車両前側寄りとされている。これにより、センサアッセンブリ68には、センサ電極72の検知領域としての出代部74Aが、車両後側のステアリングホイール14径方向内側寄りに形成され、出代部74Bが、車両前側のステアリングホイール14径方向内側に寄りに形成されている。
【0108】
このように構成されたセンサアッセンブリ68では、運転者がステアリングホイール14を把持することで、運転者の手のひらがセンサ電極70に接触し、運転者の手の指(指側)がセンサ電極72の出代部74A、74Bに接触する。これにより、センサアッセンブリ68では、センサアッセンブリ30と同様に運転者の接触状態を検知できる。
【0109】
また、図5(A)に示すように、接触検知センサとしてのセンサアッセンブリ76では、第1電極部としてのセンサ電極78と第2電極部としてのセンサ電極80とが絶縁性シート38を介して積層されている。センサアッセンブリ76では、センサ電極78が加飾部24側(リム部16径方向外側)とされ、センサ電極80が基体22側(リム部16径方向内側)とされている。
【0110】
センサアッセンブリ76のセンサ電極78は、リム部16周方向(断面周方向)において、車両後側のステアリングホイール14径方向内側寄りからステアリングホイール14径方向内側を回って車両前側に渡って基体22の周囲に配置されており、センサ電極78は、リム部16周方向の一端がステアリングホイール14径方向内側の車両後側寄りとされ、リム部16周方向の他端が車両前側とされている。
【0111】
また、センサアッセンブリ76のセンサ電極80は、リム部16周方向において、車両後側のステアリングホイール14径方向外側寄りからステアリングホイール14径方向外側、車両前側及びステアリングホイール14径方向内側を回って車両後側のステアリングホイール14径方向内側寄りの範囲に渡って配置されており、センサ電極80は、リム部16周方向の一端が車両後側のステアリングホイール14径方向内側寄りとされ、リム部16周方向の他端が車両後側のステアリングホイール14径方向外側寄りとされている。これにより、センサアッセンブリ76には、センサ電極80の検知領域としての出代部82Aが、車両後側のステアリングホイール14径方向内側に寄り形成され、出代部82Bが、車両前側からステアリングホイール14径方向外側を回って車両後側のステアリングホイール14径方向外側の範囲に形成されている。
【0112】
このように構成されたセンサアッセンブリ76では、運転者がステアリングホイール14を把持することで、運転者の手のひらがセンサ電極80の出代部82B(及び出代部82A)に接触し、運転者の指がセンサ電極78に接触する。これにより、センサアッセンブリ76では、センサアッセンブリ30と同様に運転者の接触状態を検知できる。
【0113】
さらに、図5(B)に示すように、接触検知センサとしてのセンサアッセンブリ84では、第1電極部としてのセンサ電極86と第2電極部としてのセンサ電極88とが絶縁性シート38を介して積層されている。センサアッセンブリ84では、センサ電極86が加飾部24側(リム部16径方向外側)とされ、センサ電極88が基体22側(リム部16径方向内側)とされている。
【0114】
センサアッセンブリ84のセンサ電極86は、リム部16周方向(断面周方向)において、ステアリングホイール14径方向内側に配置されており、センサ電極86は、リム部16周方向の一端が車両前側とされ、リム部16周方向の他端がステアリングホイール14径方向内側の車両後側寄りとされている。
【0115】
また、センサアッセンブリ84のセンサ電極88は、リム部16周方向において、ステアリングホイール14径方向外側に配置されており、センサ電極88は、リム部16周方向の一端が車両回側とされ、リム部16周方向の他端が車両後側のステアリングホイール14径方向外側寄りとされている。これにより、センサ電極88は、リム部16周方向においてセンサ電極86と重なっておらず、センサ電極88は、センサ電極86から露出されている。
【0116】
このように構成されたセンサアッセンブリ84では、運転者がステアリングホイール14を把持することで、運転者の手のひらがセンサ電極88に接触し、運転者の手の指がセンサ電極86に接触する。これにより、センサアッセンブリ84では、センサアッセンブリ30と同様に運転者の接触状態を検知できる。
【0117】
なお、以上説明した本実施形態及び変形例では、2つのセンサ電極の一方で運転者の手のひらの接触を検知し、2つのセンサ電極の他方で運転者の手の指の接触を検知することで運転者によるステアリングホイール14の把持判定を行った。しかしながら、把持判定のための接触検知は、第1電極部及び第2電極部の一方で運転者の手の所定の指(親指)を検知し、第1電極部及び第2電極部の他方で運転者の手の所定の指以外の指(親指以外の指)の接触を検知するようにしてもよい。その場合は、第1電極部及び第2電極部の一方をステアリングホイールの表側(かつ回転中心側)に配置(設定)し、第1電極部及び第2電極部の他方をステアリングホイールの裏側(かつ回転中心側)に配置してもよい。
【0118】
また、第1電極部及び第2電極部の配置は、リム部の周方向に相違して配置するという思想の範囲であればよく、第1電極部及び第2電極部は、ステリングホイールの形状、及びリム部の形状に合わせて適宜設定した位置に配置されればよい。
【符号の説明】
【0119】
10・・・接触検知装置、14・・・ステアリングホイール、16・・・リム部、30(30L、30R)、60、68、76、84・・・センサアッセンブリ(接触検知センサ)、34、62、70、78、86・・・センサ電極(第1電極部)、36、64、72、80、88・・・センサ電極(第2電極部)、42(42L、42R)・・・検知部、44・・・制御部、48・・・接触検知回路(第1検知部)、50・・・接触検知回路(第2検知部)。
図1
図2
図3
図4
図5