(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】作業機械の制御システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/24 20060101AFI20240626BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240626BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 B
E02F9/20 C
(21)【出願番号】P 2021058618
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】関根 和也
(72)【発明者】
【氏名】日暮 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】荒井 雅嗣
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-55358(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084161(WO,A1)
【文献】特開2007-85091(JP,A)
【文献】特開2017-82430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24
E02F 9/26
E02F 9/20
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が携帯する無線端末と、前記無線端末から送信される信号に基づいて作業機械の作業範囲内への前記人の侵入を検知した場合に前記作業機械のアクチュエータの動作を制限する制御を行う制御装置と、を備える作業機械の制御システムにおいて、
前記制御装置は、
前記作業機械の状態および前記人の状態の少なくとも一方に基づき前記人が予め定められたルールを順守して前記作業範囲内に侵入したか否かを判定し、その判定結果と前記人の識別情報とを対応付けた情報を侵入履歴情報として記憶し、
前記侵入履歴情報に基づいて、前記人が前記ルールを順守して前記作業範囲内に侵入した度合いを表すルール順守度を演算し、
前記作業範囲内への前記人の侵入を検知した場合に、前記作業範囲内に侵入した人の前記ルール順守度が高い場合、前記ルール順守度が低い場合に比べて前記アクチュエータの動作の制限度合いが小さくなるように前記アクチュエータの動作を制御する
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械の制御システムにおいて、
前記制御装置は、前記人が前記作業範囲内に侵入した回数の合計値である全侵入回数に対する、前記人が前記ルールを順守して前記作業範囲内に侵入した回数の割合を前記ルール順守度として演算する
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械の制御システムにおいて、
前記ルールは、前記作業機械の状態が作業可能状態であるときには前記作業範囲内に侵入することを禁止し、前記作業機械の状態が作業不能状態であるときには前記作業範囲内に侵入することを許可するというルールである
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機械の制御システムにおいて、
前記作業機械は、
前記アクチュエータの動作を指令する操作装置と、
前記操作装置による前記アクチュエータの動作が可能な状態と、前記操作装置による前記アクチュエータの動作が不能な状態とに切換可能なロック装置と、を備え、
前記制御装置は、前記ロック装置により前記アクチュエータの動作が可能な状態とされている場合には、前記作業機械の状態は作業可能状態であると判定し、前記ロック装置により前記アクチュエータの動作が不能な状態とされている場合には、前記作業機械の状態は作業不能状態であると判定する、
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【請求項5】
請求項2に記載の作業機械の制御システムにおいて、
前記制御装置は、
前記作業範囲内に侵入した人が前記全侵入回数の少ない人のときには、前記全侵入回数の多い人のときに比べて前記アクチュエータの動作の制限度合いが大きくなるように前記アクチュエータの動作を制御する
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【請求項6】
請求項2に記載の作業機械の制御システムにおいて、
前記制御装置は、
前記作業範囲内に侵入した人が、前記全侵入回数が所定回数以下の人のときには、前記ルール順守度にかかわらず、前記全侵入回数が前記所定回数よりも多く、かつ前記ルール順守度が最も低い人のときと同じ制限度合いで前記アクチュエータの動作を制御する
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【請求項7】
請求項1に記載の作業機械の制御システムにおいて、
前記ルールは、前記人の状態が予め定められた所持品を所持していない状態であるときには前記作業範囲内に侵入することを禁止し、前記人の状態が前記所持品を所持している状態であるときには前記作業範囲内に侵入することを許可するというルールである
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【請求項8】
請求項1に記載の作業機械の制御システムにおいて、
前記ルールは、前記人の状態が1人の状態であるときには前記作業範囲内に侵入することを禁止し、前記人の状態が2人以上の状態であるときには前記作業範囲内に侵入することを許可するというルールである
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【請求項9】
請求項1に記載の作業機械の制御システムにおいて、
前記制御装置として、前記作業機械に搭載される車体制御コントローラと、前記作業機械の外部に設けられるサーバと、を有し、
前記サーバは、複数の前記作業機械から送信される前記人の侵入履歴情報を収集し、
前記車体制御コントローラは、前記作業範囲内に侵入した人が、前記サーバが収集した前記人の侵入履歴情報から得られるルール順守度が高い人の場合、前記ルール順守度が低い人の場合に比べて前記アクチュエータの動作の制限度合いが小さくなるように前記アクチュエータの動作を制御する
ことを特徴とする作業機械の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に接近する作業員を検知し、作業員と作業機械との接触の可能性がある場合に、作業機械の動作を制限する技術の開発が進んでいる。一方、この技術には、作業機械の動作が頻繁に制限されることで、作業効率が低下する場合がある。例えば、道路工事などの狭小現場では、作業員が作業機械の近傍で作業することが多い。この場合、仮に作業員が作業機械に対して十分に注意を払いながら作業を行っていたとしても、作業機械に接近する作業員が検知される度に作業機械の動作が制限されてしまう。そのため、作業機械と作業員の接触を防止しつつ、作業効率を向上させることが課題となっている。
【0003】
このような課題に対して、作業機械の周囲で作業を行う作業員の経験、熟練度に応じて作業機械の動作の制限度合いを調整する方策がある。作業員が熟練者の場合、作業機械の特性(死角、作業機械の動作の方向、速さ)、操縦者の特性(操縦の習熟度、性格)、作業現場の特性(天候、路面状態、傾斜具合、作業機械の周囲の他の機械、作業員の数、配置、作業機械と作業員の接触の可能性が高い場所)、作業の内容(計画、進捗、他の機械と作業機械の配置関係)などを十分に理解している。このため、熟練者は、仮に作業機械の近傍で作業していたとしても作業機械の動作を予想することができ、作業機械の接近に対して適切に対処することができる。
【0004】
一方で、作業員が非熟練者の場合、上述した特性等を十分に理解できていないことが多い。したがって、非熟練者は、熟練者と同じように、作業機械の近傍で作業していても、作業機械の接近に対して適切に対処できない場合がある。つまり、非熟練者は、熟練者と比べて作業機械と接触する可能性が高い。このような作業員の特性を利用し、作業員の熟練度に応じて作業機械の動作の制限度合いを適切に調整することで、必要以上に作業機械の動作が制限されることを防ぐことができ、生産性と安全性の両立が可能となる。
【0005】
特許文献1には、人と機械が協調する環境において、人情報を取得し、取得した人情報に基づいて機械を制御する協調安全制御システムが開示されている。人情報には、人が有する安全資格情報が含まれる。特許文献1に記載の協調安全制御システムは、取得した安全資格情報に基づいて、機械の速度の制御、およびゾーンの範囲の設定を行う。なお、ゾーンは、人がゾーン内に入ったときに機械を停止させるために設定される。また、安全資格情報とは、人が安全に関して有する知識や能力に基づき第三者が認証した資格に関する情報である。安全資格情報には、例えば、セーフティベーシックアセッサ資格認証制度やセーフティアセッサ資格認証制度により認証されたセーフティベーシックアセッサ(SBA)、セーフティサブアセッサ(SSA)、セーフティアセッサ(SA)およびセーフティリードアセッサ(SLA)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、作業員が保有する安全資格情報に応じて機械を制御する場合、安全資格情報を含めた認証を作業員が取得していない作業現場では、作業員の能力を区別することができない。また、認証の種類も多数ある。作業員が所属する組織が独自の認証を設けている場合もあり、それら全ての認証に対応可能なシステムを提供することは困難である。したがって、特許文献1に記載の技術では、作業機械の作業範囲内に侵入する作業員に応じた作業機械の動作の制限を適切に行うことができないおそれがある。
【0008】
本発明は、人が所有する安全資格情報によらず、作業機械の作業範囲内に侵入した人に応じて作業機械の動作を適切に制限可能な作業機械の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による作業機械の制御システムは、人が携帯する無線端末と、前記無線端末から送信される信号に基づいて作業機械の作業範囲内への前記人の侵入を検知した場合に前記作業機械のアクチュエータの動作を制限する制御を行う制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記作業機械の状態および前記人の状態の少なくとも一方に基づき前記人が予め定められたルールを順守して前記作業範囲内に侵入したか否かを判定し、その判定結果と前記人の識別情報とを対応付けた情報を侵入履歴情報として記憶し、前記侵入履歴情報に基づいて、前記人が前記ルールを順守して前記作業範囲内に侵入した度合いを表すルール順守度を演算し、前記作業範囲内への前記人の侵入を検知した場合に、前記作業範囲内に侵入した人の前記ルール順守度が高い場合、前記ルール順守度が低い場合に比べて前記アクチュエータの動作の制限度合いが小さくなるように前記アクチュエータの動作を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業機械の作業範囲内に侵入した人に応じて作業機械の動作を適切に制限可能な作業機械の制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る作業機械の制御システムの構成を示す図。
【
図2】油圧ショベルに搭載される油圧システムの構成を示す図。
【
図3】車体制御コントローラによる動作制限制御に関する機能ブロック図。
【
図5】アクチュエータの制限度合いに応じて出力信号生成部から出力されるエンジン回転数指令値と、制限度合いに応じた出力信号生成部によるパイロット圧制御弁の制御内容について示す図。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る油圧ショベルにおける不揮発性メモリに記憶されている閾値テーブルについて示す図。
【
図7】本発明の第2実施形態の変形例に係る油圧ショベルにおける不揮発性メモリに記憶されている閾値テーブルについて示す図。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る作業機械の制御システムの構成について示す図。
【
図9A】ホイールローダを上方から見た図であり、ホイールローダの停車時における作業範囲について示す。
【
図9B】ホイールローダを上方から見た図であり、ホイールローダの走行時における作業範囲について示す。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る作業機械の制御システムの構成について示す図。
【
図11】本変形例1-1に係る作業機械の制御システムにおける車体制御コントローラによる動作制限制御に関する機能ブロック図。
【
図12】本変形例1-2に係る作業機械の制御システムにおける車体制御コントローラによる動作制限制御に関する機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る作業機械の制御システムについて説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る作業機械の制御システム1の構成を示す図である。本実施形態では、作業機械が、クローラ式の油圧ショベル100である例について説明する。作業機械の制御システム1は、油圧ショベル100と、油圧ショベル100の周囲で作業を行う作業員(人)が携帯する無線端末であるRFIDタグ4と、を有する。なお、作業員が複数人いる場合、作業員それぞれが、本人を識別するための固有の作業員ID(識別情報)を保持するRFIDタグ4を携帯している。RFIDタグ4は、後述する磁界発生装置61が発生する磁界を検知すると、自身が保持する作業員IDを含む電波を発信する。
【0014】
油圧ショベル100は、機体(車体)104と、機体104に取り付けられた作業装置110と、を備える。機体104は、走行体102と、走行体102上に旋回可能に設けられた旋回体103と、を備え、旋回体103の前部に作業装置110が取り付けられている。走行体102は、左右一対のクローラを走行モータ19L,19R(
図1においては左側の走行モータ19Lのみ図示)によって駆動することにより走行する。旋回体103は、旋回モータ20によって駆動され、走行体102に対して回動する(すなわち、旋回する)。
【0015】
旋回体103は、運転室107と、運転室107の後側に設けられるエンジン室106と、を有する。エンジン室106には、エンジン80、およびエンジン80により駆動される油圧ポンプ等の油圧機器が収容されている。旋回体103のフレームの前部中央には作業装置110が回動可能に連結されている。
【0016】
作業装置110は、回動可能に連結される複数の被駆動部材および被駆動部材を駆動する複数の油圧シリンダを有する多関節型の作業装置である。本実施形態では、3つの被駆動部材としてのブーム111、アーム112およびバケット113が、直列的に連結される。ブーム111は、その基端部が旋回体103の前部に回動可能に連結される。アーム112は、その基端部がブーム111の先端部に回動可能に連結される。バケット113は、アーム112の先端部に回動可能に連結される。
【0017】
ブーム111は、アクチュエータである油圧シリンダ(以下、ブームシリンダ111aとも記す)によって駆動され、旋回体103に対して回動する。アーム112は、アクチュエータである油圧シリンダ(以下、アームシリンダ112aとも記す)によって駆動され、ブーム111に対して回動する。バケット113は、アクチュエータである油圧シリンダ(以下、バケットシリンダ113aとも記す)によって駆動され、アーム112に対して回動する。
【0018】
油圧ショベル100は、RFIDタグ4から送信される信号に基づいて油圧ショベル100の作業範囲内への作業員(人)の侵入を検知する作業員検知装置60と、油圧ショベル100の各部を制御する制御装置である車体制御コントローラ120と、を備えている。作業員検知装置60は、RFIDタグ4を励磁する磁界を発生する磁界発生装置61と、磁界発生装置61が発生した磁界によってRFIDタグ4が発生する電波を受信するための受信器62と、車体制御コントローラ120からの制御信号に基づいて磁界発生装置61で発生する磁界を制御するとともに、受信器62で受信した電波(信号)に含まれている作業員IDを取得して車体制御コントローラ120に出力する検知制御装置63と、を有する。
【0019】
磁界発生装置61は、例えば、旋回体103の旋回中心軸上に配置されている。磁界発生装置61は、ある一定の強度の磁界を発生する。この場合、磁界検知可能エリア69は、磁界発生装置61を中心としたある一定の範囲となる。磁界検知可能エリア69とは、磁界発生装置61が発生する磁界をRFIDタグ4の磁界検知感度で受信可能な範囲である。RFIDタグ4は、磁界発生装置61からの磁界を受信すると電波を受信器62に出力する。このため、磁界検知可能エリア69が、作業員検知装置60によってRFIDタグ4を検知可能なエリアとなる。
【0020】
磁界発生装置61が発生する磁界により半球状の磁界検知可能エリア69が形成される。なお、磁界検知可能エリア69の大きさは、磁界発生装置61が発生する磁界の強度を調整することにより変更可能である。後述するように、磁界検知可能エリア69に作業員が侵入すると、油圧ショベル100の動作が制限される。このため、磁界検知可能エリア69が作業範囲に対して小さすぎると、作業員の接近に対して油圧ショベル100の動作の制限が適切に機能しないおそれがあり、反対に大きすぎると衝突の可能性がないにもかかわらず油圧ショベル100の動作が制限されてしまい、作業の効率が低下する。このため、本実施形態では、磁界検知可能エリア69が油圧ショベル100の作業範囲と同等以上の大きさであって、必要以上に大きすぎない程度の大きさとされている。
【0021】
なお、磁界検知可能エリア69は、半球状である場合に限定されず、例えば、半楕円体であってもよい。油圧ショベル100の作業範囲は、油圧ショベル100の走行体102が停止している状態で、作業装置110および旋回体103を動作させたときに、作業装置110の先端が到達し得る範囲である。作業範囲は、例えば、油圧ショベル100の最大旋回半径に基づいて設定される。最大旋回半径は、作業装置110を前方(旋回中心軸に直交する方向)に向かって伸ばしたときの、旋回体103の旋回中心軸からバケット113の先端までの長さに相当する。
【0022】
上述したように、RFIDタグ4は、固有の作業員IDを保持しており、磁界検知可能エリア69内に存在する場合には、作業員IDを含んだ電波を発生する。RFIDタグ4は、例えば、作業員のヘルメット等に取り付けられる。作業員は常に同じRFIDタグ4を携帯する。このため、車体制御コントローラ120は、作業員IDから作業員を特定することが可能となる。
【0023】
検知制御装置63は、受信器62でRFIDタグ4が発生した電波を受信すると、作業員が磁界検知可能エリア69内に侵入したこと、すなわち作業員が油圧ショベル100の作業範囲内に侵入したことを検知する。検知制御装置63は、油圧ショベル100の作業範囲内に侵入した作業員の作業員IDを車体制御コントローラ120に出力する。車体制御コントローラ120は、検知制御装置63から作業員の作業員IDを受信することで、作業員が油圧ショベル100の作業範囲内に侵入したことを検知する。車体制御コントローラ120は、油圧ショベル100の作業範囲内への作業員の侵入を検知した場合に、油圧ショベル100のアクチュエータの動作を制限する動作制限制御を実行する。動作制限制御の詳細については、後述する。
【0024】
図2を参照して、油圧ショベル100に搭載される油圧システムについて説明する。
図2は、油圧ショベル100に搭載される油圧システムの構成を示す図である。
図2において、機械的な接続は二重線、作動油ライン24は太い実線、パイロットライン29は太い破線、電気系(信号線)は細い破線で示す。
【0025】
油圧ショベル100は、エンジン80、メインポンプ11、パイロットポンプ12、コントロールバルブ13、操作装置14、操作圧センサ15、車体制御コントローラ120、エンジンコントローラ17、ゲートロック装置18、走行モータ19L,19R、旋回モータ20、パイロット圧制御弁21、ゲートロック電磁弁25、および、警報装置22を備える。
【0026】
なお、油圧システムには、複数のアクチュエータが設けられているが、
図2では、走行体102を駆動する走行モータ19L,19Rと、旋回体103を駆動する旋回モータ20について示し、その他のアクチュエータの図示は省略している。また、アクチュエータを操作する操作装置、および、操作装置とコントロールバルブ13との間に設けられるパイロット圧制御弁21も複数のアクチュエータ毎に設けられるが、
図2では、代表して、一つのアクチュエータを制御するための構成についてのみ図示している。さらに、コントロールバルブ13は、複数のアクチュエータ毎に設けられる流量制御弁を備えているが、流量制御弁の図示は省略している。
【0027】
エンジン80は、油圧ショベル100の動力源であり、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される。メインポンプ11は可変容量型の油圧ポンプであり、パイロットポンプ12は固定容量型の油圧ポンプである。エンジン80の出力軸は、メインポンプ11およびパイロットポンプ12のそれぞれの入力軸に接続される。メインポンプ11およびパイロットポンプ12はエンジン80の動力により駆動される。
【0028】
メインポンプ11は、作動油ライン24に作動油を吐出し、作動油ライン24を介して作動油をコントロールバルブ13に供給する。パイロットポンプ12は、操作装置14に作動油を供給する。操作装置14は、パイロットポンプ12から供給されるパイロット一次圧を減圧してコントロールバルブ13における流量制御弁(不図示)の受圧部にパイロット圧(操作圧)を供給する。
【0029】
コントロールバルブ13は、メインポンプ11から各アクチュエータに供給される作動油の流れを制御する複数の流量制御弁(不図示)を有する。コントロールバルブ13は、メインポンプ11から吐出される作動油をアクチュエータに選択的に供給する。
【0030】
操作装置14は、操作圧を出力することによって、アクチュエータの動作を指令する。操作装置14は、操縦者によって傾動操作される操作部材と、油圧パイロット方式の一対の減圧弁と、を有する。操作装置14としては、例えば、左右の走行モータ19L,19Rを操作するための操作部材としての走行レバーおよび走行ペダルを有する走行操作装置、旋回モータ20を操作するための操作部材としての旋回レバーを有する旋回操作装置がある。
【0031】
操作装置14の減圧弁は、パイロットポンプ12から供給されるパイロット一次圧を減圧して、操作部材の操作量と操作方向に応じたパイロット二次圧(操作圧とも記す)を生成する。操作圧は、操作された操作部材と操作方向に応じた流量制御弁の受圧部に導かれ、流量制御弁を駆動してアクチュエータを動作させる操作信号として利用される。操作装置14の操作部材が操作されると、操作方向および操作量に応じた操作信号がコントロールバルブ13の流量制御弁に導かれ、流量制御弁が動作する。これにより、メインポンプ11から吐出された作動油は、コントロールバルブ13の流量制御弁を通じて、その流量制御弁に対応するアクチュエータに供給され、アクチュエータが駆動される。
【0032】
操作圧センサ15は、操作装置14の減圧弁により生成される操作圧(すなわち、操作量)を検出し、その検出結果を車体制御コントローラ120に出力する。
【0033】
パイロット圧制御弁21は、操作装置14とコントロールバルブ13の流量制御弁の受圧部との間のパイロットライン29に設けられる電磁比例減圧弁である。パイロット圧制御弁21は、車体制御コントローラ120からの制御信号に応じて操作装置14の減圧弁で生成された操作圧をさらに減圧することにより補正操作圧を生成する。
【0034】
操作装置14の減圧弁で生成された操作圧が、パイロット圧制御弁21で減圧されることなく流量制御弁に導かれる場合、アクチュエータは操作装置14の操作量に応じた速度で動作する。これに対して、操作装置14の減圧弁で生成された操作圧がパイロット圧制御弁21で減圧され、パイロット圧制御弁21で生成された補正操作圧が流量制御弁に導かれる場合、アクチュエータは操作装置14の操作量に応じた速度よりも低い速度で動作する。つまり、パイロット圧制御弁21で生成された補正操作圧に応じて動作するアクチュエータは、その動作が制限されることになる。
【0035】
車体制御コントローラ120は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ121、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ122、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ123、入出力インタフェース124および、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。なお、車体制御コントローラ120は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
【0036】
不揮発性メモリ122には、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ122は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。プロセッサ121は、不揮発性メモリ122に記憶されたプログラムを揮発性メモリ123に展開して演算実行する処理装置であって、プログラムに従って入出力インタフェース124、不揮発性メモリ122および揮発性メモリ123から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。
【0037】
車体制御コントローラ120は、操作圧センサ15、エンジンコントローラ17、ゲートロック装置18、ゲートロック電磁弁25、パイロット圧制御弁21、警報装置22、エンジンコントロールダイヤル26、および、作業員検知装置60の検知制御装置63のそれぞれに接続される。入出力インタフェース124の入力部は、各種装置(エンジンコントローラ17、エンジンコントロールダイヤル26、ゲートロック装置18、操作圧センサ15、作業員検知装置60の検知制御装置63等)から入力された信号をプロセッサ121で演算可能なように変換する。また、入出力インタフェース124は、プロセッサ121での演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を各種装置(パイロット圧制御弁21、警報装置22、エンジンコントローラ17、ゲートロック電磁弁25、作業員検知装置60の検知制御装置63等)に出力する。
【0038】
車体制御コントローラ120は、エンジンコントロールダイヤル26の操作量に応じたエンジン回転数指令値をエンジンコントローラ17に出力する。エンジンコントローラ17は、エンジン80の実回転数がエンジン回転数指令値となるように、エンジン80を制御する。
【0039】
ゲートロック装置18は、操作装置14によるアクチュエータの動作を可能な状態とするアンロック位置と、操作装置14によるアクチュエータの動作を不能な状態とするロック位置とに切換可能なロック装置である。ゲートロック装置18は、ロック位置とアンロック位置とに選択的に操作されるゲートロックレバー18aと、ゲートロックレバー18aの操作位置に応じて遮断位置と連通位置との間で切り替えられるゲートロック電磁弁25と、を備える。車体制御コントローラ120は、ゲートロック装置18から出力される信号に基づいてゲートロックレバー18aの操作位置を検出し、ゲートロック装置18の操作位置に応じてゲートロック電磁弁25を制御する。車体制御コントローラ120は、ゲートロックレバー18aがロック位置に操作されている場合には、ゲートロック電磁弁25を遮断位置に切り換える。車体制御コントローラ120は、ゲートロックレバー18aがアンロック位置に操作されている場合には、ゲートロック電磁弁25を連通位置に切り換える。
【0040】
ゲートロック電磁弁25が遮断位置にある場合、パイロットポンプ12から操作装置14に供給されるパイロット一次圧がゲートロック電磁弁25により遮断され、操作装置14によるアクチュエータの動作が不能な状態となる。ゲートロック電磁弁25が連通位置にある場合、パイロットポンプ12から操作装置14にパイロット一次圧が供給される。したがって、操作量に応じて操作装置14で生成されるパイロット圧(操作圧)が流量制御弁に導かれるため、操作装置14によるアクチュエータの動作が可能な状態となる。
【0041】
なお、車体制御コントローラ120は、ゲートロック装置18がロック位置の場合、アクチュエータの動作を不能な状態にするとともに、エンジンコントローラ17に対してアイドル回転数を指令することで動力を低減する。
【0042】
車体制御コントローラ120により実行される動作制限制御について説明する。本実施形態では、第1の動作制限制御として、車体制御コントローラ120は、エンジンコントローラ17に対して動力低減指令(≒エンジン回転数低減指令)を出力して、エンジン80の回転数を低下させる。また、第2の動作制限制御として、車体制御コントローラ120は、パイロット圧制御弁21を駆動して操作装置14からコントロールバルブ13へのパイロット圧(操作圧)を減圧あるいは遮断することで、アクチュエータの動作を減速あるいは停止させる。さらに、車体制御コントローラ120は、警報装置22を駆動して操縦者および作業員に対して警報を発報する。
【0043】
ゲートロック装置18がロック位置に操作されている場合、アクチュエータが動作することはない。すなわち、この場合、油圧ショベル100が動作することにより、油圧ショベル100が作業員に接触することはない。車体制御コントローラ120は、ゲートロック装置18がロック位置にある場合には、作業員が油圧ショベル100の作業範囲内に侵入したとしても、エンジンコントローラ17に対して動力低減指令を出力しない。また、この場合、車体制御コントローラ120は、パイロット圧制御弁21を制御することはしない。さらに、この場合、車体制御コントローラ120は、警報装置22で操縦者や作業員に対して警報を発することはしない。
【0044】
警報装置22は、作業員が油圧ショベル100の作業範囲内に侵入した場合に警告を発する装置である。例えば、警報装置22は、光を発することにより、油圧ショベル100の周囲の作業員に対して警告を行う発光装置22aと、警報音を発報することにより、油圧ショベル100の周囲の作業員に対して警告を行うブザー等の音出力装置22bを備える。発光装置22aは、例えば、複数の発光ダイオード(LED)を備える。
【0045】
上述したように、ゲートロック装置18がロック位置にある場合には、アクチュエータが動作することは無い。このため、車体制御コントローラ120は、ゲートロック装置18がロック位置にある場合には、発光装置22aを制御して、作業員に対して作業範囲内への侵入を許可することを表す非警告色(緑)のLEDを点灯させる。これにより、作業員は、視覚的に作業範囲内への侵入が許可されている状態であることを知ることができる。
【0046】
一方、ゲートロック装置18がアンロック位置にある場合には、アクチュエータが動作する可能性がある。このため、車体制御コントローラ120は、ゲートロック装置18がアンロック位置にある場合には、発光装置22aを制御して、作業員に対して作業範囲内への侵入を禁止することを表す警告色(赤)のLEDを点灯させる。これにより、作業員は、視覚的および聴覚的に作業範囲内への侵入が禁止されている状態であることを知ることができる。なお、車体制御コントローラ120は、ゲートロック装置18がアンロック位置にある場合であって、作業員が作業範囲内へ侵入したときには、音出力装置22bによって警報音を発報させる。
【0047】
図3を参照して、車体制御コントローラ120の機能について詳しく説明する。
図3は、車体制御コントローラ120による動作制限制御に関する機能ブロック図である。
図3に示すように、車体制御コントローラ120は、状態管理部31、ルール順守判定部32、侵入履歴記憶部33、制限度合い設定部34、および、出力信号生成部35としての機能を有する。
【0048】
状態管理部31は、アクチュエータの動作が可能な状態と不能な状態とに切換可能なゲートロック装置18の操作位置(アンロック位置/ロック位置)を検出し、検出した操作位置に基づいて、油圧ショベル100の状態が作業可能状態であるか否かを判定する。状態管理部31は、ゲートロックレバー18aがアンロック位置にあり、アクチュエータの動作が可能な状態とされている場合には、油圧ショベル100の状態は作業可能状態であると判定する。状態管理部31は、ゲートロック装置18がロック位置にあり、アクチュエータの動作が不能な状態とされている場合には、油圧ショベル100の状態は作業可能状態でない(すなわち作業不能状態である)と判定する。
【0049】
ルール順守判定部32は、作業員検知装置60から油圧ショベル100の作業範囲内に侵入した作業員の作業員IDを取得する。ルール順守判定部32は、状態管理部31での判定結果と作業員検知装置60での検知結果に基づいて、ルール順守判定処理を実行する。ルール順守判定処理は、作業員が予め定められたルールを順守して作業範囲内に侵入したか否かを判定する処理である。
【0050】
本実施形態でのルールは、油圧ショベル100の状態が作業可能状態であるときには作業範囲内に侵入することを禁止し、油圧ショベル100の状態が作業不能状態であるときには作業範囲内に侵入することを許可するというルールである。
【0051】
具体的には、ルール順守判定部32は、油圧ショベル100の状態が作業不能状態(すなわち、作業範囲内への侵入が許可された状態)であるときに、作業員検知装置60から作業員IDが入力されると、作業員はルールを順守して作業範囲内に侵入したと判定する。ルール順守判定部32は、油圧ショベル100の状態が作業可能状態(すなわち、作業範囲内への侵入が禁止されている状態)であるときに、作業員検知装置60から作業員IDが入力されると、作業員はルールを順守せずに作業範囲内に侵入したと判定する。
【0052】
侵入履歴記憶部33は、ルール順守判定部32によるルール順守判定処理の結果と、侵入した作業員の作業員IDとを対応付けた情報を侵入履歴情報として記憶する。
【0053】
図4を参照して、侵入履歴記憶部33に記憶されている侵入履歴情報について説明する。
図4は、侵入履歴情報について示す図である。
図4に示すように、侵入履歴情報は、作業員ID(識別情報)と、全侵入回数[回]と、適切侵入回数[回]と、ルール順守度[%]と、が対応付けられた情報である。全侵入回数は、作業員が予め定められたルールを順守したか否かにかかわらずに作業範囲内に侵入した回数の合計値である。適切侵入回数は、作業員がルールを順守して作業範囲内に侵入した回数である。ルール順守度は、全侵入回数に対する適切侵入回数の割合(適切侵入回数/全侵入回数)である。
【0054】
ルール順守判定部32において作業員がルールを順守して作業範囲内に侵入したと判定されると、侵入履歴記憶部33は、侵入履歴情報の全侵入回数および適切侵入回数のそれぞれに1[回]を加算する。ルール順守判定部32において作業員がルールを順守せずに作業範囲内に侵入したと判定されると、侵入履歴記憶部33は、侵入履歴情報の全侵入回数に1[回]を加算し、適切侵入回数には1[回]を加算しない。
【0055】
侵入履歴記憶部33は、侵入履歴情報の全侵入回数が更新されると、全侵入回数と適切侵入回数とに基づいて、ルール順守度(適切侵入回数/全侵入回数)を演算し、侵入履歴情報のルール順守度を更新する。つまり、侵入履歴記憶部33は、侵入履歴情報に基づいて、作業員がルールを順守して作業範囲内に侵入した度合いを表すルール順守度を演算するルール順守度演算部としても機能する。
【0056】
例えば、作業員IDが001の作業員Aが油圧ショベル100の作業範囲内に初めて侵入した場合であって、かつ作業員Aは、ルールを順守して作業範囲内に侵入したときには、全侵入回数および適切侵入回数がそれぞれ1[回]となり、ルール順守度は100%(=1[回]/1[回]×100)となる。
【0057】
また、例えば、作業員IDが002の作業員Bは、これまでに12回作業範囲内に侵入し、その内、ルールを順守して作業範囲内に侵入した回数が6回である。このため、作業員Bのルール順守度は、50%(=6[回]/12[回]×100)である。この作業員Bが、ルールを順守せずに作業範囲内に侵入すると、侵入履歴情報は、全侵入回数が13[回]に更新され、ルール順守度が46%(=6[回]/13[回]×100)に更新される。
【0058】
図3に示すように、制限度合い設定部34は、ルール順守判定部32で作業員が作業範囲内に侵入したと判定された場合(すなわち、作業範囲内への作業員の侵入が検知された場合)に、その作業員のルール順守度に基づいて制限度合いを「重度」「中度」「軽度」の中から選択し、設定する。以下、具体的に説明する。
【0059】
制限度合い設定部34は、作業員のルール順守度が重度閾値以下であるか否かを判定する。ルール順守度が重度閾値以下である場合、制限度合い設定部34は、制限度合いを「重度」に設定する。ルール順守度が重度閾値よりも大きい場合、制限度合い設定部34は、作業員のルール順守度が中度閾値以下であるか否かを判定する。ルール順守度が重度閾値よりも大きく中度閾値以下である場合、制限度合い設定部34は、制限度合いを「中度」に設定する。ルール順守度が中度閾値よりも大きい場合、制限度合い設定部34は、制限度合いを「軽度」に設定する。重度閾値および中度閾値は、予め不揮発性メモリ122に記憶されている。重度閾値は、例えば、5%~50%の範囲の任意の数値である。中度閾値は、例えば、40%~90%の範囲の任意の数値であって、重度閾値よりも大きい値である。制限度合いは、「軽度」「中度」「重度」の順に段階的に大きくなる。つまり、「重度」が最も油圧ショベル100の動作が制限されることを意味する。
【0060】
出力信号生成部35は、制限度合い設定部34で設定された制限度合いに基づいて、パイロット圧制御弁21を制御するためのPWM(Pulse Wide Modulation)信号を生成し、パイロット圧制御弁21に出力する。また、出力信号生成部35は、制限度合い設定部34で設定された制限度合いに基づいて、エンジン回転数指令値を生成し、エンジンコントローラ17に出力する。
【0061】
図5は、アクチュエータの制限度合いに応じて出力信号生成部35から出力されるエンジン回転数指令値と、制限度合いに応じた出力信号生成部35によるパイロット圧制御弁21の制御内容について示す図である。
図5に示すように、出力信号生成部35は、制限度合いが「重度」の場合にはエンジン回転数指令値を重度回転数、制限度合いが「中度」の場合にはエンジン回転数指令値を中度回転数、制限度合いが「軽度」の場合にはエンジン回転数指令値を軽度回転数に設定し、エンジン回転数低減指令をエンジンコントローラ17に出力する。なお、それぞれの回転数の大小関係は、重度エンジン回転数<中度エンジン回転数<軽度エンジン回転数である。
【0062】
軽度エンジン回転数、中度エンジン回転数、および、重度エンジン回転数は、それぞれエンジンコントロールダイヤル26の操作量に応じたエンジン回転数指令値よりも小さい値である。軽度エンジン回転数、中度エンジン回転数、および、重度エンジン回転数は、例えば、エンジンコントロールダイヤル26の操作量に応じたエンジン回転数指令値に所定の定数ce(0<ce<1)を乗じることにより算出される。
【0063】
出力信号生成部35は、制限度合いに応じた遮断態様でパイロット圧制御弁21を制御する。出力信号生成部35は、制限度合いが「重度」の場合、パイロット圧制御弁21による急停止制御を実行する。出力信号生成部35は、制限度合いが「中度」の場合、パイロット圧制御弁21による緩停止制御を実行する。出力信号生成部35は、制限度合いが「軽度」の場合、パイロット圧制御弁21による始動抑止制御を実行する。
【0064】
急停止制御とは、走行モータ19L,19Rおよび旋回モータ20の動作を停止させるようにパイロット圧制御弁21を制御することを指す。緩停止制御とは、走行モータ19L,19Rおよび旋回モータ20の動作を急停止制御のときよりも緩やかに停止させるようにパイロット圧制御弁21を制御することを指す。始動抑止制御とは、走行モータ19L,19Rおよび旋回モータ20の動作を停止させることはせず、走行モータ19L,19Rおよび旋回モータ20が停止している場合に、その停止状態を保持するようにパイロット圧制御弁21を制御することを指す。
【0065】
本実施形態での主な動作について説明する。なお、重度閾値は30%、中度閾値は60%に設定されている場合について説明する。例えば、
図4に示すように、作業員IDが003の作業員Cは、これまでに4回作業範囲内に侵入し、その内、ルールを順守して作業範囲内に侵入した回数が1回である。このため、作業員Cのルール順守度は、25%(=1[回]/4[回]×100)である。この作業員Cが、ルールを順守せずに作業範囲内に侵入すると、車体制御コントローラ120は、不揮発性メモリ122に記憶されている侵入履歴情報において、作業員IDが003の作業員Cの全侵入回数を5[回]に更新するとともに、ルール順守度を20%(=1[回]/5[回]×100)に更新する。
【0066】
車体制御コントローラ120は、侵入履歴情報を参照し、作業員IDが003の作業員Cのルール順守度(20%)が重度閾値(30%)以下であると判定して、制限度合いを重度に設定する。車体制御コントローラ120は、エンジン回転数指令値を重度回転数に設定するとともに、パイロット圧制御弁21による急停止制御を実行する。したがって、油圧ショベル100の旋回中に、作業員IDが003の作業員Cが作業範囲内に侵入した場合には、旋回モータ20が直ちに減速し、停止する。これにより、作業員Cと油圧ショベル100の接触を防止することができる。
【0067】
例えば、作業員IDが004の作業員Dは、これまでに27回作業範囲内に侵入し、その内、ルールを順守して作業範囲内に侵入した回数が12回である。このため、作業員Dのルール順守度は、44%(=12[回]/27[回]×100)である。この作業員Dが、ルールを順守して作業範囲内に侵入すると、車体制御コントローラ120は、不揮発性メモリ122に記憶されている侵入履歴情報において、作業員IDが004の作業員Dの全侵入回数を28[回]に、適切侵入回数を13回に更新するとともに、ルール順守度を46%(=13[回]/28[回]×100)に更新する。
【0068】
車体制御コントローラ120は、侵入履歴情報を参照し、作業員IDが004の作業員Dのルール順守度(46%)が重度閾値(30%)よりも大きく、中度閾値(60%)以下であると判定して、制限度合いを中度に設定する。車体制御コントローラ120は、エンジン回転数指令値を中度回転数に設定するとともに、パイロット圧制御弁21による緩停止制御を実行する。したがって、油圧ショベル100の旋回中に、作業員IDが004の作業員Dが作業範囲内に侵入した場合には、旋回モータ20が減速し、停止する。これにより、作業員Dと油圧ショベル100の接触を防止することができる。
【0069】
例えば、作業員IDが005の作業員Eは、これまでに24回作業範囲内に侵入し、その内、ルールを順守して作業範囲内に侵入した回数が20回である。このため、作業員Eのルール順守度は、83%(=20[回]/24[回]×100)である。この作業員Eが、ルールを順守せずに作業範囲内に侵入すると、車体制御コントローラ120は、不揮発性メモリ122に記憶されている侵入履歴情報において、作業員IDが005の作業員Eの全侵入回数を25[回]に更新するとともに、ルール順守度を80%(=20[回]/25[回]×100)に更新する。
【0070】
車体制御コントローラ120は、侵入履歴情報を参照し、作業員IDが005の作業員Eのルール順守度(80%)が中度閾値(60%)よりも大きいと判定して、制限度合いを軽度に設定する。車体制御コントローラ120は、エンジン回転数指令値を軽度回転数に設定するとともに、パイロット圧制御弁21による始動抑止制御を実行する。したがって、油圧ショベル100が停止している状態のときに、旋回操作が行われたとしても、旋回モータ20は停止状態が維持される。
【0071】
作業員Eは、ルール順守度が高いため、油圧ショベル100が作業可能状態であることを知りつつ、作業範囲内に侵入したと考えられる。このため、車体制御コントローラ120は、緩停止制御および急停止制御を行わない。したがって、作業員Eの作業範囲内への侵入に起因して油圧ショベル100による作業の効率が低下することを防止することができる。なお、油圧ショベル100の旋回中に、作業員IDが005の作業員Eが作業範囲内に侵入した場合には、エンジン回転数の低下によって旋回モータ20が減速する。また、警報装置22は、作業員Eが作業範囲内に侵入していることを、操縦者および作業員Eに報知する。このため、作業員Eと油圧ショベル100の接触は防止される。
【0072】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0073】
(1)作業機械の制御システム1は、作業員(人)が携帯するRFIDタグ(無線端末)4と、RFIDタグ4から送信される信号に基づいて油圧ショベル(作業機械)100の作業範囲内への作業員の侵入を検知した場合に、油圧ショベル100のアクチュエータ(走行モータ19L,19R、旋回モータ20)の動作を制限する制御を行う車体制御コントローラ(制御装置)120と、を備える。車体制御コントローラ120は、油圧ショベル1の状態に基づき作業員が予め定められたルールを順守して作業範囲内に侵入したか否かを判定し、その判定結果と作業員の識別情報(作業員ID)とを対応付けた情報を侵入履歴情報として記憶し、侵入履歴情報に基づいて、作業員がルールを順守して作業範囲内に侵入した度合いを表すルール順守度を演算する。車体制御コントローラ120は、作業範囲内への作業員の侵入を検知した場合に、作業範囲内に侵入した作業員のルール順守度が高い場合、ルール順守度が低い場合に比べてアクチュエータの動作の制限度合いが小さくなるようにアクチュエータの動作を制御する。
【0074】
このように、本実施形態では、作業員が油圧ショベル100の作業範囲内に侵入したときの行動態様を記憶して集計し、作業員の経験、熟練度、保有する能力(安全資格情報を含む)だけでは測ることが困難な作業員のルール順守度を定量化することができる。この作業員のルール順守度を活用することで、作業員が保有する能力の区別が難しい場合(作業現場に資格取得者がいない場合、および、一般的でない独自の認証制度を設けている場合)にも油圧ショベル100の動作の制限度合いを適切に調整することができる。したがって、本実施形態によれば、油圧ショベル100の作業範囲内に侵入した作業員に応じて油圧ショベル100の動作を適切に制限可能な作業機械の制御システム1を提供することができる。その結果、油圧ショベル100と作業員の接触を防止しつつ、作業効率を向上させることができる。つまり、作業現場での生産性と安全性を両立することができる。
【0075】
(2)また、本実施形態では、作業員が熟練者であるがゆえの慣れに起因した不適切な侵入行動を含め、作業員の行動態様を記録することができる。このため、作業員の安全意識の向上につながる。
【0076】
(3)ルールは、油圧ショベル100の状態が作業可能状態であるときには作業範囲内に侵入することを禁止し、油圧ショベル100の状態が作業不能状態であるときには作業範囲内に侵入することを許可するというルールである。これにより、作業員が作業範囲内に侵入したときには、侵入した作業員の全侵入回数と作業可能状態であるときに作業範囲内に侵入した回数の割合(ルール順守度)に基づいて、制限度合いを適切に調整することができる。
【0077】
<第2実施形態>
図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る作業機械の制御システム1について説明する。なお、図中、第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。第1実施形態では、重度閾値および中度閾値が定数である例について説明した。これに対して、第2実施形態では、重度閾値および中度閾値が、全侵入回数に応じて変化する変数である。
【0078】
図6は、不揮発性メモリ122に記憶されている閾値テーブルについて示す図である。閾値テーブルは、全侵入回数と、ルール順守度との関係が記憶されたデータテーブルである。閾値テーブルには、重度閾値の特性と、中度閾値の特性とが記憶されている。重度閾値の特性は、全侵入回数が0[回]のときに値Ts1となり、全侵入回数が多くなるほど値が小さくなる特性である。中度閾値の特性は、全侵入回数が0[回]のときに値Tm1となり、全侵入回数が多くなるほど値が小さくなる特性である。値Ts1と値Tm1の大小関係は、Ts1<Tm1である。
【0079】
なお、全侵入回数が所定回数(第1回数)以上になると、重度閾値が下限値となる。重度閾値下限値は、0[%]としてもよいし、所定の値(第1下限値)としてもよい。同様に、全侵入回数が所定回数(第2回数)以上になると、中度閾値が中度閾値下限値となる。中度閾値下限値は、0[%]としてもよいし、所定の値(第2下限値)としてもよい。第1下限値と第2下限値の大小関係は、第1下限値≦第2下限値とすることが好ましい。
【0080】
第2実施形態では、作業員が作業範囲内に侵入すると、制限度合い設定部34が、閾値テーブル(
図6参照)を参照し、侵入履歴情報(
図4参照)から読み出した全侵入回数に基づいて、重度閾値および中度閾値を決定する。制限度合い設定部34は、侵入履歴情報(
図4参照)から読み出したルール順守度と、重度閾値および中度閾値とを比較し、その比較結果に基づいてアクチュエータの動作の制限度合いを設定する。
【0081】
このような構成とすることにより、ルール順守度が同じであっても全侵入回数に応じてアクチュエータの制限度合いが変わる。
図6を参照して、例えば、非熟練者である作業員Fおよび熟練者である作業員Gが作業範囲内に侵入した場合について説明する。作業員Fの全侵入回数がNf、ルール順守度がRfであり、作業員Gの全侵入回数がNg、ルール順守度がRgであり、Rf=Rg、Nf<Ngである。この場合、作業員Gが作業範囲内に侵入したときには、車体制御コントローラ120は、アクチュエータの動作の制限度合いを「中度」に設定する。これに対して、作業員Fが作業範囲内に侵入したときには、車体制御コントローラ120は、アクチュエータの動作の制限度合いを「重度」に設定する。
【0082】
このように、本第2実施形態に係る車体制御コントローラ(制御装置)120は、作業範囲内に侵入した作業員が、全侵入回数の少ない作業員Fのときには、全侵入回数の多い作業員Gのときに比べてアクチュエータ(走行モータ19L,19R、旋回モータ20)の動作の制限度合いが大きくなるようにアクチュエータの動作を制御する。
【0083】
したがって、本第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、次の作用効果を奏する。作業員の作業範囲内への侵入回数が少ない場合、すなわち、作業員の熟練度が低い場合には、高い場合に比べてアクチュエータの動作の制限度合いが高くなる。つまり、本第2実施形態によれば、作業員の熟練度に応じて、適切にアクチュエータの動作を制限することができる。
【0084】
<第2実施形態の変形例>
第2実施形態では、全侵入回数が0以上の範囲において、重度閾値および中度閾値が全侵入回数の増加に応じて直線的に減少する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0085】
作業範囲内に侵入した回数が極めて少ない作業員は、非熟練者であることが予想される。そこで、本変形例では、
図7に示すように、制限度合い設定部34は、作業範囲内に侵入した作業員の全侵入回数が所定回数N0以下の場合には、重度閾値および中度閾値を100[%]に設定する。したがって、作業範囲内に侵入した作業員の全侵入回数が所定回数N0以下の場合には、ルール順守度にかかわらず、アクチュエータの制限度合いには「重度」が設定される。
【0086】
このように、本変形例に係る車体制御コントローラ(制御装置)120は、作業範囲内に侵入した作業員が、全侵入回数が所定回数N0以下の作業員のときには、ルール順守度にかかわらず、全侵入回数が所定回数N0よりも多く、かつルール順守度が最も低い(ルール順守度=0%)作業員のときと同じ制限度合いである「重度」でアクチュエータの動作を制御する。このため、作業経験の少ない作業員が作業範囲内に侵入した場合において、確実に、油圧ショベル100と作業員との接触を回避することができる。
【0087】
<第3実施形態>
図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る作業機械の制御システム1Cについて説明する。
図8は、第3実施形態に係る作業機械の制御システム1Cの構成について示す図である。
図8に示すように、本第3実施形態では、作業機械が、ホイールローダ200である例について説明する。作業機械の制御システム1Cは、ホイールローダ200と、ホイールローダ200の周囲で作業を行う作業員(人)が携帯する無線端末であるRFIDタグ4Bと、を有する。
【0088】
ホイールローダ200は、走行装置202が搭載された車体204と、車体204の前部に取り付けられた多関節型の作業装置210と、を備える。車体204は、アーティキュレート操舵式(車体屈折式)の車体であり、前部車体204Aと、後部車体204Bと、前部車体204Aと後部車体204Bを連結するセンタージョイント203と、を有する。後部車体204B上には、前方に運転室207、後方にエンジン室206が設けられている。エンジン室206には、エンジン280、エンジン280により駆動される油圧ポンプ等の油圧機器が収容されている。作業装置210および走行装置202は、エンジン280の動力によって、互いに独立して駆動される。エンジン280は、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される。
【0089】
作業装置210は、前部車体204Aに取り付けられる。作業装置210は、前部車体204Aに回動自在に取り付けられるリフトアーム(以下、単にアームと記す)211と、アーム211に回動自在に取り付けられるバケット213と、を有する。アーム211は、油圧シリンダであるアームシリンダ211aの伸縮動作に応じて動かされ、バケット213は、油圧シリンダであるバケットシリンダ213aの伸縮動作に応じて動かされる。
【0090】
走行装置202は、前部車体204Aに取り付けられる前輪(前側の車輪)と、後部車体204Bに取り付けられる後輪(後側の車輪)と、エンジン280の動力を車輪に伝達する動力伝達装置と、を有する。動力伝達装置は、アクスル、デファレンシャル装置、プロペラシャフト等を含んで構成される。
【0091】
ホイールローダ200は、前部車体204Aと後部車体204Bとを連結するように設けられる左右一対の油圧シリンダであるステアリングシリンダ216を有する。ホイールローダ200は、左右のステアリングシリンダ216の伸縮量が調整されることにより転舵される。アクチュエータである油圧シリンダ(211a,213a,216)は、エンジン280が出力するトルクによって回転する油圧ポンプから吐出される作動油(圧油)によって伸縮する。
【0092】
ホイールローダ200には、車体204に搭載されるエンジン280、油圧ポンプ、制御弁等を制御する制御装置である車体制御コントローラ220が搭載されている。車体制御コントローラ220は、油圧ショベル100に搭載されている車体制御コントローラ120と同様、プロセッサ、不揮発性メモリおよび揮発性メモリ、入出力インタフェース、ならびに、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。
【0093】
図9Aは、ホイールローダ200を上方から見た図であり、ホイールローダ200の停車時における作業範囲(図中、ハッチングで示される領域)について示している。
図9Bは、ホイールローダ200を上方から見た図であり、ホイールローダ200の走行時における作業範囲(図中、ハッチングで示される領域)について示している。
【0094】
車体制御コントローラ220は、ホイールローダ200が停車中であるか走行中であるかを判定する。なお、停車中であるか走行中であるかの判定は、ホイールローダ200に設けられる車速センサでの検出値に基づいて行われてもよいし、ホイールローダ200に設けられる前後進切替操作装置の操作位置に基づいて行ってもよいし、ホイールローダ200に設けられる駐車ブレーキ装置を操作する操作部材の操作位置に基づいて行ってもよい。
【0095】
例えば、車体制御コントローラ220は、車速センサで検出された車速が閾値未満である場合にホイールローダ200は停車中であると判定し、車速センサで検出された車速が閾値以上である場合にホイールローダ200は走行中であると判定する。また、車体制御コントローラ220は、前後進切替操作装置の操作位置が中立位置にある場合には、ホイールローダ200は停車中であると判定し、前後進切替操作装置の操作位置が前進位置または後進位置にある場合には、ホイールローダ200は走行中であると判定してもよい。さらに、車体制御コントローラ220は、駐車ブレーキ装置の操作部材が駐車ブレーキ装置を作動させる操作位置にある場合には、ホイールローダ200は停車中であると判定し、駐車ブレーキ装置の操作部材が駐車ブレーキ装置の作動を解除させる操作位置にある場合には、ホイールローダ200は走行中であると判定してもよい。
【0096】
車体制御コントローラ220は、ホイールローダ200が停車中であると判定すると、
図9Aに示すような作業範囲を設定する。この作業範囲は、ホイールローダ200が停止している状態で、ステアリングシリンダ216を伸縮させることにより屈曲可能な最大範囲に相当する。
【0097】
車体制御コントローラ220は、ホイールローダ200が走行中であると判定すると、
図9Bに示すような作業範囲を設定する。この作業範囲は、ホイールローダ200が走行している状態で、所定時間内にホイールローダ200が到達できる領域に相当する。車体制御コントローラ220は、車速センサで検出された車速と、不揮発性メモリに記憶されている所定時間とに基づいて、到達可能距離を演算し、到達可能距離を半径とする略円弧状の作業範囲を前方と後方のそれぞれに設定する。
【0098】
なお、本実施形態では、車体制御コントローラ220は、ホイールローダ200の進行方向にかかわらず、車体204の前後のそれぞれに作業範囲を設定しているが、本発明はこれに限定されない。ホイールローダ200の進行方向を決定する前後進切替操作装置の操作位置に基づいて、ホイールローダ200の進行方向が前進であるか後進であるかを判定し、その判定結果に基づいて、車体204の前方の作業範囲あるいは車体204の後方の作業範囲のいずれか一方のみを設定してもよい。
【0099】
車体制御コントローラ220は、第1実施形態で説明した車体制御コントローラ120と同様、作業員が作業範囲内に侵入した場合、その作業員のルール順守度に基づいて、アクチュエータの動作の制限度合いを設定する。本第2実施形態では、車体制御コントローラ220は、設定されている制限度合いに応じたエンジン回転数低減指令をエンジンコントローラに対して出力する。これにより、エンジン回転数が低減し、アクチュエータの動作が制限される。
【0100】
なお、車体制御コントローラ220は、エンジン回転数を低減させるだけでなく、ステアリングシリンダ216を制御する流量制御弁の受圧部に導かれるパイロット圧(操作圧)を減圧可能なパイロット圧制御弁を制御してもよい。この場合、車体制御コントローラ220は、このパイロット圧制御弁を制御して受圧部に導かれるパイロット圧(操作圧)を減圧することによりステアリングシリンダ216の動作を制限してもよい。なお、ステアリングシリンダ216の動作の制限は、走行中に行う場合、回避動作に支障をきたすおそれがあるため、停車中に限って行うことが好ましい。
【0101】
さらに、走行装置202が走行モータを備える場合、走行モータの回転を制限することで、ホイールローダ200の動作を制限するようにしてもよい。
【0102】
本実施形態では、ホイールローダ200の車速に応じて、作業範囲が異なる。このため、RFIDタグ4Bは、ホイールローダ200に設けられた磁界発生装置61が発生する磁界を検知する機能だけでなく、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)により3次元位置算出値(位置情報)を取得する機能を備えている。同様に、ホイールローダ200もGNSSにより3次元位置算出値(位置情報)を取得する機能を有している。ホイールローダ200の車体制御コントローラ220は、自車両の位置情報とRFIDタグ4Bからの位置情報を用いて、ホイールローダ200とRFIDタグ4Bとの詳細な位置関係を算出する。これにより、車体制御コントローラ220は、作業範囲が変化した場合であっても、作業員が作業範囲内に侵入したか否かを適切に検知することができる。
【0103】
<第4実施形態>
図10を参照して、本発明の第4実施形態に係る作業機械の制御システム1Dについて説明する。
図10は、本発明の第4実施形態に係る作業機械の制御システム1Dの構成について示す図である。なお、図中、第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。
【0104】
図10に示すように、第4実施形態に係る作業機械の制御システム1Dは、作業員が携帯するRFIDタグ4と、車体制御コントローラ120を備える油圧ショベル100と、車体制御コントローラ220を備えるホイールローダ200と、油圧ショベル100およびホイールローダ200の外部の設備に設けられるサーバ320と、を備える。
【0105】
なお、本第4実施形態では、2台の作業機械が作業現場で稼働している例について説明するが、3台以上の作業機械が作業現場で稼働している場合において本発明を適用することもできる。サーバ320は、通信装置によって広域ネットワークである通信回線41を介して複数の作業機械(油圧ショベル100およびホイールローダ200)とデータの授受が可能である。通信回線41は、携帯電話事業者等が展開する携帯電話通信網(移動通信網)、インターネット等である。
【0106】
サーバ320は、車体制御コントローラ120と同様、プロセッサ、不揮発性メモリ322および揮発性メモリ、入出力インタフェース、ならびに、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。サーバ320は、複数の作業機械から送信される侵入履歴情報を収集し、不揮発性メモリ322の侵入履歴データベースに記憶する。
【0107】
不揮発性メモリ322の侵入履歴データベースには、油圧ショベル100の作業範囲内に侵入した作業員の作業員ID、全侵入回数、適切侵入回数、および、ホイールローダ200の作業範囲内に侵入した作業員の作業員ID、全侵入回数、適切侵入回数が記憶されている。
【0108】
作業現場では、複数の作業機械が作業を行っている。このため、作業現場において、一人の作業員が、複数の作業機械の作業範囲内に侵入する場合もある。例えば、油圧ショベル100の車体制御コントローラ120の不揮発性メモリ122には、作業員IDが008の作業員Hの全侵入回数は10回、適切侵入回数は3回であることが記憶されている。また、ホイールローダ200の車体制御コントローラ220の不揮発性メモリ222には、作業員IDが008の作業員Hの全侵入回数は6回、適切侵入回数は5回であることが記憶されている。
【0109】
サーバ320の不揮発性メモリ322の侵入履歴データベースには、油圧ショベル100から送信される作業員Hの全侵入回数と、ホイールローダ200から送信される作業員Hの全侵入回数との和が、作業員Hの全侵入回数(図示する例では、16回)として記憶される。また、サーバ320の不揮発性メモリ322の侵入履歴データベースには、油圧ショベル100から送信される作業員Hの適切侵入回数と、ホイールローダ200から送信される作業員Hの適切侵入回数との和が、作業員Hの適切侵入回数(図示する例では、8回)として記憶されている。
【0110】
サーバ320は、作業機械の侵入履歴情報が更新され、その更新情報を取得すると、不揮発性メモリ322の侵入履歴データベースを更新する。例えば、油圧ショベル100の車体制御コントローラ120の不揮発性メモリ122に記憶されている、作業員IDが008の作業員Hの全侵入回数と適切侵入回数がそれぞれ1増えると、サーバ320の侵入履歴データベースにおける作業員IDが008の作業員Hの全侵入回数と適切侵入回数がそれぞれ1増えることになる。
【0111】
サーバ320は、作業員Hの全侵入回数が更新されると、全侵入回数に対する適切侵入回数の割合をルール順守度として演算し、不揮発性メモリ322の侵入履歴データベースのルール順守度を更新する。サーバ320は、作業員Hのルール順守度を更新すると、更新したルール順守度を、通信回線41を介して、油圧ショベル100に送信する。
【0112】
油圧ショベル100の車体制御コントローラ120は、受信したルール順守度に基づいて、アクチュエータの動作の制限度合いを設定する。アクチュエータの動作の制限度合いの設定方法は、上記第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0113】
以上のとおり、本第4実施形態に係る作業機械の制御システム1Dは、複数の作業機械(油圧ショベル100、ホイールローダ200)と、サーバ320との間で通信回線41を介して双方向通信を行うことができるように構成されている。
【0114】
また、制御システム1Dは、制御装置として、作業機械に搭載される車体制御コントローラ120,220と、作業機械の外部に設けられるサーバ320と、を有する。サーバ320は、複数の作業機械から送信される作業員の侵入履歴情報を収集する。車体制御コントローラ120,220は、作業範囲内に侵入した作業員が、サーバ320が収集した作業員の侵入履歴情報から得られるルール順守度が高い作業員の場合、ルール順守度が低い作業員の場合に比べてアクチュエータの動作の制限度合いが小さくなるようにアクチュエータの動作を制御する。
【0115】
このような本第4実施形態によれば、特定の作業機械によらず、作業現場全体で作業員のルール順守度を定量化することができる。このため、例えば、新たに作業現場に導入された作業機械や稼働率の低い作業機械に対して、既に定量化された作業員のルール順守度を用いることで作業機械の動作を適切に制限することが可能となる。
【0116】
<第4実施形態の変形例>
第4実施形態では、サーバ320がルール順守度を演算し、その演算結果を作業機械に送信する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。サーバ320は、複数の作業機械から収集した侵入履歴情報である全侵入回数と適切侵入回数を作業機械に送信し、作業機械に搭載される車体制御コントローラ120,220が、サーバ320から取得した全侵入回数と適切侵入回数に基づいてルール順守度を演算してもよい。このような場合であっても、上記第4実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0117】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0118】
<変形例1>
第1実施形態では、車体制御コントローラ120,220は、作業機械の状態に基づき人が予め定められたルールを順守して作業範囲内に侵入したか否かを判定する例について説明した。また、ルールは、作業機械の状態が作業可能状態であるときには作業範囲内に侵入することを禁止し、作業機械の状態が作業不能状態であるときには作業範囲内に侵入することを許可するというルールである例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。車体制御コントローラ120,220は、作業機械の状態および人の状態の少なくとも一方に基づき人が予め定められたルールを順守して作業範囲内に侵入したか否かを判定してもよい。
【0119】
<変形例1-1>
例えば、ルールは、人の状態が予め定められた所持品を所持していない状態であるときには作業範囲内に侵入することを禁止し、人の状態が所持品を所持している状態であるときには作業範囲内に侵入することを許可するというルールであってもよい。所持品としては、例えば、ヘルメット、反射材を備えた高視認性安全服などである。
【0120】
図11を参照して、第1実施形態の変形例1-1について説明する。
図11は、本変形例1-1に係る作業機械の制御システムにおける車体制御コントローラ120Aによる動作制限制御に関する機能ブロック図である。油圧ショベル100は、油圧ショベル100の周囲を撮影する複数の撮影装置90を備える。車体制御コントローラ120Aは、撮影装置90で撮影された画像に基づいて、作業員が、予め定められた所持品を所持しているか否かを判定する所持品判定部91と、を有する。
【0121】
撮影装置90は、例えば、耐久性、耐候性に優れたCCD、CMOSなどの撮像素子と広角レンズを備えた広角ビデオカメラである。撮影装置90は、油圧ショベル100に複数取り付けられている。車体制御コントローラ120Aは、複数の撮影装置90によって、油圧ショベル100の作業範囲内の監視を行う。
【0122】
所持品判定部91は、撮影装置90により撮影された画像データを取得し、取得した画像データから、周知の認識モデル(例えば、YOLOモデル)を用いた認識処理によって、画像内の所持品の存在を認識する。所持品判定部91は、画像データに対する認識処理の結果の信頼度が信頼度閾値以上であるか否かを判定する。所持品判定部91は、認識処理の結果の信頼度が信頼度閾値以上であると判定された場合には、作業範囲内に所持品が存在すると判定する。所持品判定部91は、画像データに対する認識処理の結果の信頼度が信頼度閾値未満であると判定された場合には、作業範囲内に所持品が存在しないと判定する。
【0123】
信頼度は、所持品判定部91の認識処理により得られる判定出力値であり、認識モデルに予め設定されている物体のパラメータとの一致度に相当し、完全に一致する場合には100%となる。信頼度閾値は、所持品の存在の有無を判定するために予め設定される閾値である。
【0124】
ルール順守判定部32Aは、作業員検知装置60から作業範囲内に存在する作業員の作業員IDが入力されるとともに所持品判定部91で作業範囲内に所持品が存在すると判定されると、作業範囲内に侵入した作業員の状態が予め定められた所持品を所持していると状態であると判定する。つまり、ルール順守判定部32Aは、作業員がルールを順守して作業範囲内に侵入したと判定する。ルール順守判定部32Aは、作業員検知装置60から作業範囲内に存在する作業員の作業員IDが入力されるとともに、所持品判定部91で作業範囲内に所持品が存在していないと判定されると、作業範囲内に侵入した作業員の状態が予め定められた所持品を所持していないと状態であると判定する。つまり、ルール順守判定部32Aは、作業員がルールを順守せずに作業範囲内に侵入したと判定する。
【0125】
このような変形例によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0126】
なお、本変形例1-1では、車体制御コントローラ120Aは、撮影装置90で撮影された画像に基づいて、作業員の所持品の認識処理を実行する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。撮影装置90に代えて赤外線センサを設け、車体制御コントローラ120Aは、赤外線センサでの検出結果に基づいて、作業員の所持品の認識処理を実行してもよい。
【0127】
<変形例1-2>
ルールは、人の状態が1人の状態であるときには作業範囲内に侵入することを禁止し、人の状態が2人以上の状態であるときには作業範囲内に侵入することを許可するというルールであってもよい。
【0128】
図12を参照して、第1実施形態の変形例1-2について説明する。
図12は、本変形例1-2に係る作業機械の制御システムにおける車体制御コントローラ120Bによる動作制限制御に関する機能ブロック図である。ルール順守判定部32Bは、作業員検知装置60によって、作業範囲内に1人の作業員(例えば、作業員J)が侵入したことが検知されると時間の計測を開始する。ルール順守判定部32Bは、計測時間tが予め定められた時間閾値t0を経過する前に、作業員検知装置60によって、作業範囲内に別の作業員(例えば、作業員K)が侵入したことが検知されたか否かを判定する。
【0129】
ルール順守判定部32Bは、計測時間tが時間閾値t0を経過する前に作業員検知装置60によって作業範囲内に別の作業員(例えば、作業員K)が侵入したことが検知された場合、作業範囲内に侵入した作業員の状態が2人以上の状態であると判定する。つまり、ルール順守判定部32Bは、2人の作業員(例えば、作業員J,K)は、ルールを順守して作業範囲内に侵入したと判定する。ルール順守判定部32は、作業員検知装置60によって作業範囲内に別の作業員が侵入したことが検知されることなく、計測時間tが時間閾値t0を経過した場合、作業範囲内に侵入した作業員の状態が1人の状態であると判定する。つまり、ルール順守判定部32Bは、作業範囲内に侵入した作業員(例えば、作業員J)はルールを順守せずに作業範囲内に侵入したと判定する。
【0130】
なお、ルール順守判定部32Bは、計測時間tが時間閾値t0を経過する前に、作業員検知装置60によって作業範囲内から作業員(例えば、作業員J)が出たことが検知された場合、その作業員(例えば、作業員J)はルールを順守せずに作業範囲内に侵入したと判定する。
【0131】
制限度合い設定部34Bは、作業範囲内に作業員が2人侵入している場合には、2人の作業員のルール順守度のうち、低い方を選択し、選択したルール順守度に基づいて、アクチュエータの動作の制限度合いを設定する。
【0132】
このような変形例によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0133】
<変形例1-3>
上記第1実施形態および変形例1-1、変形例1-2で説明したルールを組み合わせて用いてもよい。例えば、ルールは、作業機械の状態が作業可能状態であるとき、または、作業員の状態が予め定められた所持品を所持していない状態であるときには、作業範囲内に侵入することを禁止し、作業機械の状態が作業不能状態であり、かつ、作業員の状態が所持品を所持している状態であるときには作業範囲内に侵入することを許可するというルールとしてもよい。
【0134】
<変形例2>
第1実施形態で説明した構成と、第2実施形態の変形例で説明した構成とを組み合わせてもよい。つまり、第1実施形態において、車体制御コントローラ120は、作業範囲内に侵入した人の全侵入回数が所定回数N0以下のときには、ルール順守度にかかわらず、「重度」でアクチュエータの動作を制御するようにしてもよい。
【0135】
<変形例3>
第2実施形態では、
図6に示すように、重度閾値および中度閾値の特性が、全侵入回数に応じて直線的に変化する特性である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。重度閾値および中度閾値の特性は、曲線的に変化する特性であってもよい。
【0136】
<変形例4>
上記実施形態では、アクチュエータの制限度合いが3段階(「重度」「中度」「軽度」)である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。制限度合いは2段階でもよいし、4段階以上でもよい。
【0137】
<変形例5>
第1実施形態および第2実施形態で説明した動作制限態様はあくまで一例であり、油圧ショベル100の種類や作業動作等に応じて変更してもよい。例えば、第1実施形態における動作制限態様として、エンジン回転数を低減するとともに、作業装置110のアクチュエータ(111a,112a,113a)に対応する流量制御弁の受圧部に導かれる操作圧をパイロット圧制御弁21で減圧あるいは遮断することで、作業装置110の動作を減速あるいは停止させてもよい。また、油圧ポンプの吐出容量(押しのけ容積)を低減させることにより、油圧アクチュエータの動作を制限してもよい。なお、エンジン回転数を低減することのみによって、アクチュエータの動作を制限してもよいし、パイロット圧制御弁21により操作圧を低減することのみによって、アクチュエータの動作を制限してもよい。
【0138】
<変形例6>
上記実施形態では、ルール順守度が、全侵入回数に対する適切侵入回数の割合である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ルール順守度は、作業員がルールを順守して作業範囲内に侵入した度合いを表す値であればよい。例えば、ルール順守度は、特定の作業員に対して、重みを加味した値としてもよい。
【0139】
<変形例7>
第1実施形態では、油圧ショベル100の作業範囲が一定である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。作業装置110の姿勢に応じて作業範囲を変化させてもよい。この場合、検知制御装置63は、作業装置110の姿勢に応じて変化する作業範囲を含むような磁界検知可能エリア69が形成されるように、磁界発生装置61が発生する磁界の強度を調整する。なお、RFIDタグ4および油圧ショベル100に、GNSSにより3次元位置算出値(位置情報)を取得する機能を持たせてもよい。この場合、車体制御コントローラ120は、RFIDタグ4と油圧ショベル100との位置関係から、RFIDタグ4が油圧ショベル100の作業範囲内に存在しているか否かを判定する。
【0140】
<変形例8>
第1実施形態および第2実施形態では、作業機械がクローラ式の油圧ショベル100である例について説明し、第3実施形態では、作業機械がホイールローダ200である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。作業機械は、ホイール式の油圧ショベル、道路機械、クローラクレーン等であってもよい。
【0141】
<変形例9>
上記実施形態では、作業員が携帯する無線端末がRFIDタグである例について説明したが、本発明はこれに限定されない。GNSSにより3次元位置算出値(位置情報)を取得し、取得した位置情報と作業員の識別情報を作業機械に送信可能なスマートフォン等であってもよい。
【0142】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0143】
1,1C,1D…制御システム、4,4B…RFIDタグ(無線端末)、11…メインポンプ、12…パイロットポンプ、13…コントロールバルブ、14…操作装置、15…操作圧センサ、18…ゲートロック装置、19L,19R…走行モータ(アクチュエータ)、20…旋回モータ(アクチュエータ)、21…パイロット圧制御弁、25…ゲートロック電磁弁、31…状態管理部、32,32A,32B…ルール順守判定部、33…侵入履歴記憶部、34,34B…制限度合い設定部、35…出力信号生成部、60…作業員検知装置、80…エンジン、90…撮影装置、91…所持品判定部、100…油圧ショベル(作業機械)、102…走行体、103…旋回体、110…作業装置、111a…ブームシリンダ(アクチュエータ)、112a…アームシリンダ(アクチュエータ)、113a…バケットシリンダ(アクチュエータ)、120,120A,120B…車体制御コントローラ(制御装置)、122…不揮発性メモリ、200…ホイールローダ(作業機械)、202…走行装置、204…車体、204A…前部車体、204B…後部車体、210…作業装置、211a…アームシリンダ(アクチュエータ)、213a…バケットシリンダ(アクチュエータ)、216…ステアリングシリンダ(アクチュエータ)、220…車体制御コントローラ(制御装置)、222…不揮発性メモリ、280…エンジン、320…サーバ(制御装置)、322…不揮発性メモリ