(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】ヒューズプラー
(51)【国際特許分類】
H01H 85/02 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
H01H85/02 C
(21)【出願番号】P 2021079927
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】直井 創
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-047996(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033269(US,A1)
【文献】特開平08-315713(JP,A)
【文献】登録実用新案第3031423(JP,U)
【文献】特開平05-144539(JP,A)
【文献】実公昭63-020158(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
69/02
85/00 - 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に延びるベース部と、
前記ベース部の左端から前方に延びる第1アーム部と、
前記ベース部の右端から前方に延びる第2アーム部とを有し、
前記ベース部、前記第1アーム部、及び前記第2アーム部は、樹脂によって一体に形成され、
前記第1アーム部及び前記第2アーム部は、上方から見て互いに離れた組立前状態と、上方から見て互いに交差した組立後状態とを取ることができ、
前記第1アーム部の先端に設けられた第1先端部及び前記第2アーム部の先端に設けられた第2先端部は、前記組立後状態において、前記第1アーム部と前記第2アーム部の復元力によって、互いに近づく方向に付勢されており、
前記ベース部の左右方向における中央部の上下方向における幅が、前記ベース部の左端部及び右端部の上下方向における幅のそれぞれよりも小さく形成されているヒューズプラー。
【請求項2】
前記組立後状態において、
前記第1先端部は、前記第2先端部に向かって突出する第1係止爪を有し、
前記第2先端部は、前記第1先端部に向かって突出する第2係止爪を有する、請求項1に記載のヒューズプラー。
【請求項3】
前記組立後状態において、
前記第1先端部は、前記第2先端部に向かって延びる第1ガイド部を有し、
前記第2先端部は、前記第1先端部に向かって延びる第2ガイド部を有し、
前記第1ガイド部と前記第2ガイド部とが互いに摺接している、請求項1又は2に記載のヒューズプラー。
【請求項4】
前記組立後状態において、
前記第1ガイド部の下面は前記第2先端部に向かって上方に傾斜し、
前記第2ガイド部の上面は前記第1先端部に向かって下方に傾斜している、請求項3に記載のヒューズプラー。
【請求項5】
前記第1アーム部は、前記ベース部側から順に、第1基端部と、上下方向における幅が前記第1基端部に対して小さく形成され、かつ上縁が前記第1基端部の上縁に対して下方にずれて配置された第1中間部と、前記第1中間部に対して上下方向における幅が大きく形成された前記第1先端部とを有し、
前記第2アーム部は、前記ベース部側から順に、第2基端部と、上下方向における幅が前記第2基端部に対して小さく形成され、かつ下縁が前記第2基端部の下縁に対して上方にずれて配置された第2中間部と、前記第2中間部に対して上下方向における幅が大きく形成された前記第2先端部とを有し、
前記第1先端部の上縁は、前記第1中間部から前記第1アーム部の先端側に向けて上方に傾斜した第1傾斜部を有し、
前記第2先端部の下縁は、前記第2中間部から前記第2アーム部の先端側に向けて下方に傾斜した第2傾斜部を有する請求項1~4のいずれか1項に記載のヒューズプラー。
【請求項6】
前記組立後状態において、前記第1基端部は前記ベース部の左端から前方に向かって延び、前記第1中間部は前記第1基端部の前端から前方かつ右方に向かって延び、前記第1先端部は前記第1中間部の前端から前方に向かって延び、
前記組立後状態において、前記第2基端部は前記ベース部の右端から前方に向かって延び、前記第2中間部は前記第2基端部の前端から前方かつ左方に向かって延び、前記第2先端部は前記第2中間部の前端から前方に向かって延びている、請求項5に記載のヒューズプラー。
【請求項7】
前記第1傾斜部の上縁は、右方に向けて下方に傾斜し、
前記第2傾斜部の下縁は、左方に向けて上方に傾斜している請求項5に記載のヒューズプラー。
【請求項8】
前記組立後状態において、
前記第1中間部の上面と前記第2中間部の下面とが互いに摺接している請求項5に記載のヒューズプラー。
【請求項9】
前記ベース部の前記左端部及び前記右端部、又は前記第1基端部の前記ベース部側の左側部及び前記第2基端部の前記ベース部側の右側部には、前方を向く一対の係止面が設けられている、請求項5に記載のヒューズプラー。
【請求項10】
前記第1基端部は、右方に向けて凸となる弧状に形成され、
前記第2基端部は、左方に向けて凸となる弧状に形成され、
前記係止面の一方は、前記第1基端部の前記ベース部側の前記左側部に形成され、
前記係止面の他方は、前記第2基端部の前記ベース部側の前記右側部に形成されている、請求項9に記載のヒューズプラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズプラーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒューズボックスからヒューズを抜き出すために用いられるヒューズプラーが開示されている。特許文献1に係るヒューズプラーは、同一形状にそれぞれ成形された一対の挟持片を組み合わせて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係るヒューズプラーは、各挟持片を個別に成形した後、作業者がそれぞれの挟持片を組み合わせる必要がある。そのため、製造時の作業工数が多くなるという問題がある。
【0005】
以上の背景を鑑み、本発明は、組立性の良いヒューズプラーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の一態様は、ヒューズプラー(1)であって、左右に延びるベース部(2)と、前記ベース部(2)の左端から前方に延びる第1アーム部(3)と、前記ベース部の右端から前方に延びる第2アーム部(4)とを有し、前記ベース部(2)、前記第1アーム部(3)、及び前記第2アーム部(4)は、樹脂によって一体に形成され、前記第1アーム部(3)及び前記第2アーム部(4)は、上方から見て互いに離れた組立前状態と、上方から見て互いに交差した組立後状態とを取ることができ、前記第1アーム部(3)の先端に設けられた第1先端部(7)及び前記第2アーム部(4)の先端に設けられた第2先端部(10)は、前記組立後状態において、互いに近づく方向に付勢されている。
【0007】
この態様によれば、組立性の良いヒューズプラーを提供することができる。ベース部、第1アーム部、及び第2アーム部が一体に成形されているため、組立時に各部品を準備する必要がなく、組立作業が容易になる。第1アーム部と第2アーム部とが互いに離れた状態でヒューズプラーは成形され、成形後に作業者によって第1アーム部と第2アーム部とが互いに交差するように操作される。これにより、作業者は第1アーム部及び第2アーム部を互いに近づけるように挟み込むことによって、第1アーム部及び第2アーム部を交差させることができる。
【0008】
上記の態様において、前記第1先端部(7)は、前記第2先端部(10)に向かって突出する第1係止爪を有し、前記第2先端部(10)は、前記第1先端部(7)に向かって突出する第2係止爪を有する。
【0009】
この態様によれば、各係止爪が、ヒューズをより安定して挟持することができる。また、ヒューズに凹部が設けられている場合には、各係止爪がヒューズの凹部を係止し、より確実にヒューズを挟持することができる。
【0010】
上記の態様において、前記第1アーム部(3)は、前記ベース部(2)側から順に、第1基端部(5)と、上下方向における幅が前記第1基端部(5)に対して小さく形成され、かつ上縁が前記第1基端部(5)の上縁に対して下方にずれて配置された第1中間部(6)と、前記第1中間部(6)に対して上下方向における幅が大きく形成された前記第1先端部(7)とを有し、前記第2アーム部(4)は、前記ベース部(2)側から順に、第2基端部(8)と、上下方向における幅が前記第2基端部(8)に対して小さく形成され、かつ下縁が前記第2基端部(8)の下縁に対して上方にずれて配置された第2中間部(9)と、前記第2中間部(9)に対して上下方向における幅が大きく形成された前記第2先端部(10)とを有し、前記第1先端部(7)の上縁は、前記第1中間部(6)から前記第1アーム部(3)の先端側に向けて上方に傾斜した第1傾斜部(11)を有し、前記第2先端部(10)の下縁は、前記第2中間部(9)から前記第2アーム部(4)の先端側に向けて下方に傾斜した第2傾斜部(12)を有する。
【0011】
この態様によれば、組立時において、第1傾斜部と第2傾斜部とが互いに摺接することによって第1アーム部は第2アーム部に対して下方に導かれ、第1先端部が第2先端部の下方を通過することができる。これにより、作業者はより容易に第1アーム部及び第2アーム部を交差させることができる。
【0012】
上記の態様において、前記組立後状態において、前記第1基端部(5)は前記ベース部(2)の左端から前方に向かって延び、前記第1中間部(6)は前記第1基端部(5)の前端から前方かつ右方に向かって延び、前記第1先端部(7)は前記第1中間部(6)の前端から前方に向かって延び、前記組立後状態において、前記第2基端部(8)は前記ベース部(2)の右端から前方に向かって延び、前記第2中間部(9)は前記第2基端部(8)の前端から前方かつ左方に向かって延び、前記第2先端部(10)は前記第2中間部(9)の前端から前方に向かって延びている。
【0013】
この態様によれば、組立後状態において、第1中間部に対する第1基端部と第1先端部の位置が定まり、かつ第2中間部に対する第1基端部と第1先端部の位置が定まる。
【0014】
上記の態様において、前記第1傾斜部(11)の上縁は、右方に向けて下方に傾斜し、前記第2傾斜部(12)の下縁は、左方に向けて上方に傾斜しているとよい。
【0015】
この態様によれば、第1傾斜部と第2傾斜部とが互いに摺接することによって、第1アーム部は第2アーム部に対して一層確実に下方に導かれる。これにより、第1先端部が第2先端部の下方を一層円滑に通過することができる。
【0016】
上記の態様において、前記第1先端部(7)は、前記第2先端部(10)に向かって延びる第1ガイド部(13)を有し、前記第2先端部(10)は、前記第1先端部(7)に向かって延びる第2ガイド部(14)を有し、前記第1ガイド部(13)と前記第2ガイド部(14)とが互いに摺接している。
【0017】
この態様によれば、第1中間部が第2中間部の下方に配置され、かつ第1ガイド部と前記第2ガイド部とが互いに摺接するため、第1先端部の第2先端部に対する上下方向における位置が定まる。これにより、ヒューズプラーの形状が維持される。
【0018】
上記の態様において、前記第1ガイド部(13)の下面は前記第2先端部(10)に向かって上方に傾斜し、前記第2ガイド部(14)の上面は前記第1先端部(7)に向かって下方に傾斜しているとよい。
【0019】
この構成によれば、第1先端部と第2先端部とが互いに上下方向へずれている場合においても、第1ガイド部及び第2ガイド部が互いに摺接することによって、第1先端部と第2先端部とが適正な位置に移動する。
【0020】
上記の態様において前記第1中間部の上面と前記第2中間部の下面とが互いに摺接している。
【0021】
この構成によれば、第1アーム部の復元力による第1先端部の上方への移動と、第2アーム部の復元力による第2先端部の下方への移動を、第1中間部の上面が第2中間部の下面に当接することにより規制するため、第1アーム部及び第2アーム部の上下方向における相対位置が定まる。
【0022】
上記の態様において、前記ベース部(2)の左端部(17)及び右端部(18)、又は前記第1基端部(5)の前記ベース部(2)側の左側部(19)及び前記第2基端部(8)の前記ベース部(2)側の右側部(20)には、前方を向く一対の係止面(21)が設けられているとよい。
【0023】
この態様によれば、ヒューズプラーがヒューズを挟持し、作業者がヒューズプラーを後方に向かって引っ張るときに、一対の係止面に作業者の指が係止され、作業者の指が後方に滑ることが防止される。
【0024】
上記の態様において、前記第1基端部(8)は、右方に向けて凸となる弧状に形成され、前記第2基端部(8)は、左方に向けて凸となる弧状に形成され、前記係止面(21)の一方は、前記第1基端部(5)の前記ベース部(2)側の左側部(19)に形成され、前記係止面(21)の他方は、前記第2基端部(8)の前記ベース部(2)側の右側部(20)に形成されているとよい。
【0025】
この態様によれば、第1基端部及び第2基端部が弧状に形成されていることで、作業者がヒューズプラーを挟持しやすい。また、係止面の一方が、第1基端部のベース部側の左側部に形成され、係止面の他方が、第2基端部のベース部側の右側部に形成されていることで、作業者がヒューズプラーを後方に向かって引っ張るときに、作業者はより安定してヒューズプラーを挟持することができる。
【0026】
前記ベース部(2)の左右方向における中央部(22)の上下方向における幅が、前記ベース部(2)の前記左端部(17)及び前記右端部(18)の上下方向における幅のそれぞれよりも小さく形成されているとよい。
【0027】
この態様によれば、一対のアーム部が上下方向に撓み易くなり、ヒューズプラーの組み立てがより容易になる。
【発明の効果】
【0028】
以上の構成によれば、組立性の良いヒューズプラー(1)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図6】
図3におけるヒューズプラーのVI-VI断面図
【
図7】
図3におけるヒューズプラーのVII-VII断面図
【
図10】ヒューズプラーがヒューズを挟持した状態を示す平面図
【
図11】変形実施例に係るヒューズプラーの先端部を示す斜視図
【
図12】変形実施例に係るヒューズプラーのガイド部を示す断面図
【
図13】変形実施例に係るヒューズプラーのガイド部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明のヒューズプラー1の形態について説明する。本発明に係るヒューズプラー1は、車両等に搭載されるヒューズボックスからヒューズ23を抜き出すために使用される。
図1は、ヒューズプラー1の組立後状態を示す。
【0031】
以下、ヒューズプラー1を説明するために、図示の通りに各方向を定める。なお、各方向は、ヒューズプラー1の使用時の方向を規定するものではない。ヒューズプラー1は、ベース部2と、第1アーム部3と、第2アーム部4を有する。ベース部2と各アーム部3,4とは一体に成形されている。ヒューズプラー1は、可撓性を有し、例えば、樹脂から形成されている。
【0032】
ベース部2は、前後を向く板状に形成され、左右に延びている。ベース部2の左右方向における中央部22の上下方向における幅は、ベース部2の左端部17及び右端部18の上下方向における幅のそれぞれよりも小さくなっている。ベース部2の上縁及び下縁は、弧状に形成されているとよい。
【0033】
第1アーム部3は、ベース部2の左端から延びている。第1アーム部3は、ベース部2側から順に、第1基端部5、第1中間部6、及び第1先端部7を有する。
【0034】
第1基端部5は、ベース部2の左端部17から前方に向かって延びている。第1基端部5は、ベース部2側の左側部19において、前方を向く係止面21Aを有する。本実施形態では、第1基端部5は、上方から見て、右方に凸となる弧状に形成されている。これにより、係止面21Aは、第1基端部5のベース部2側の左側部19において、前方かつ左方を向いている。
【0035】
第1基端部5は、左側面に左方に向かって突出する第1ストッパ部24を有する。第1ストッパ部24は、上下方向に延びている。
【0036】
第1中間部6は、第1基端部5の前端から前方かつ右方に向かって延びている。第1中間部6の上下方向における幅は、第1基端部5の上下方向の幅よりも小さく形成されている。また、第1中間部6の上縁は、第1基端部5の上縁に対して下方にずれて配置されている。一方、第1中間部6の下縁は第1基端部5の下縁と連続して水平に延びている。第1中間部6の上縁と第1基端部5の上縁との境界、すなわち第1基端部5の前端は、上下に延びている。
【0037】
第1先端部7は、第1中間部6から前方に向かって延びている。第1先端部7は、第1基端部5に対して右方に配置されている。第1先端部7は、その上部に、第1中間部6から第1先端部7の先端側に向けて上方に傾斜した第1傾斜部11を有する。
図2に示すように、第1先端部7の先端側における上下方向の幅は、第1中間部6の上下方向の幅よりも大きく形成されている。また、
図7に示すように、第1傾斜部11は、右方に向けて下方に傾斜している。
【0038】
第1先端部7は、その左側面に、左方に向かって延びる第1ガイド部13を有する。第1ガイド部13は、左側面の上部に配置されている。
図5に示すように、第1ガイド部13の下面は、左方に向けて上方に傾斜している。
【0039】
第1先端部7は、左方に向かって突出する第1係止爪15を有する。
図3に示すように、第1係止爪15は、第1先端部7の左側面において第1ガイド部13よりも前方に配置されているとよい。また、第1係止爪15は、複数設けられているとよい。本実施形態では、
図1及び
図5に示すように、2つの第1係止爪15が、第1先端部7の左側面の前端における上端と下端に設けられている。第1係止爪15の左右方向における長さは、第1ガイド部13の左右方向における長さよりも小さく形成されている。第1基端部5は、第1中間部6と第1先端部7に対して前後方向に長く形成されている。
【0040】
図1に示すように、第2アーム部4は、ベース部2の右端から延びている。第2アーム部4は、ベース部2側から順に、第2基端部8、第2中間部9、及び第2先端部10を有する。第2アーム部4は、前後に延びるヒューズプラー1の中心軸線に対して、第1アーム部3と180度回転対称形に形成されている。
【0041】
第2基端部8は、ベース部2の右端部18から前方に向かって延びている。第2基端部8は、ベース部2側の右側部20において、前方を向く係止面21Bを有する。本実施形態では、第2基端部8は、上方から見て、左方に凸となる弧状に形成されている。これにより、係止面21Bは、第2基端部8のベース部2側の右側部20において、前方かつ右方を向いている。
【0042】
第2基端部8は、右側面に右方に向かって突出する第2ストッパ部25を有する。第2ストッパ部25は、上下方向に延びている。
【0043】
第2基端部8は、第1基端部5の右方に間隔を置いて配置され、左右方向において第1基端部5と対向している。
【0044】
図3に示すように、第2中間部9は、第2基端部8の前端から前方かつ左方に向かって延びている。
図4に示すように、第2中間部9の上下方向における幅は、第2基端部8の上下方向の幅よりも小さく形成されている。また、第2中間部9の下縁は、第2基端部8の下縁に対して上方にずれて配置されている。一方、第2中間部9の上縁は第2基端部8の上縁と連続して水平に延びている。第2中間部9の下縁と第2基端部8の下縁との境界、すなわち第2基端部8の前端は、上下に延びている。第2中間部9は、第1中間部6の上方を通過している。すなわち、
図3及び
図6に示すように、上方から見て、第2中間部9は第1中間部6と交差しているとよい。第2中間部9の下面は、第1中間部6の上面と摺接しているとよい。
【0045】
図1及び
図3に示すように、第2先端部10は、第2中間部9の前端から前方に向かって延びている。第2先端部10は、第2基端部8に対して左方に配置されている。第2先端部10は、第1先端部7の左方に配置されている。第2先端部10は、その下部に、第2中間部9から第2先端部10の先端側に向けて下方に傾斜した第2傾斜部12を有する。第2先端部10の先端側における上下方向の幅は、第2中間部9の上下方向の幅よりも大きく形成されている。また、
図7に示すように、第2傾斜部12は、左方に向けて上方に傾斜している。
【0046】
図5及び
図9に示すように、第2先端部10は、その右側面に、右方に向かって延びる第2ガイド部14を有する。第2ガイド部14は、右側面の下部に配置されている。第2ガイド部14の上面は、右方に向けて下方に傾斜している。
【0047】
図1及び
図3に示すように、第2先端部10は、右方に向かって突出する第2係止爪16を有する。第2係止爪16は、第2先端部10の右側面において第2ガイド部14よりも前方に配置されているとよい。また、第2係止爪16は、複数設けられているとよい。
図1及び
図5に示すように、本実施形態では、2つの第2係止爪16が、第2先端部10の右側面の前端における上端と下端に設けられている。第2係止爪16の左右方向における長さは、第2ガイド部14の左右方向における長さよりも小さく形成されている。
【0048】
図1に示すように、組立後状態において、第1アーム部3は自身の復元力によって左方に付勢され、第2アーム部4は自身の復元力によって右方に付勢されている。これにより、第1先端部7と第2先端部10とは互いに近づく方向に付勢され、かつ第1基端部5と第2基端部8とは互いに離れる方向に付勢されている。第1ガイド部13が第2先端部10の右側面に当接し、かつ第2ガイド部14が第1先端部7の左側面に当接することによって、第1アーム部3及び第2アーム部4の左右方向における相対位置が定まる。このとき、第1ガイド部13の下面が第2ガイド部14の上面に当接することにより、第1先端部7は上方に移動し、第2先端部10は下方に移動する。同時に、第1中間部6の上面が第2中間部9の下面に当接して第1先端部7と第2先端部10の移動を規制する。これにより、第1アーム部3及び第2アーム部4の上下方向における相対位置が定まる。
【0049】
組立後状態において、第1ストッパ部24の右端部26と第2ストッパ部25の左端部27とは互いに離れている。第1係止爪15と第2係止爪16とは互いに離れていてもよく、又は当接していてもよい。なお、特に記載がない限り、本明細書におけるヒューズプラー1の組立後状態とは、第1ガイド部13が第2先端部10の右側面に当接し、かつ第2ガイド部14が第1先端部7の左側面に当接している状態(閉状態)を指す。
【0050】
図8に示すように、ヒューズプラー1の組立前状態、すなわち成形後の状態では、上方から見て、第1アーム部3と第2アーム部4とは互いに交差しておらず、左右方向に離れている。作業者又は組立機械は、第1基端部5及び第2基端部8の外側面を把持し、第1基端部5及び第2基端部8を互いに近づく方向に押し込むことによって、ヒューズプラー1を組立前状態から組立後状態に変化させる。このとき、第1傾斜部11と第2傾斜部12が互いに摺接することによって、第1先端部7が第2先端部10に対して下方に移動し、かつ第2先端部10が第1先端部7に対して上方に移動する。これにより、第1先端部7が第2先端部10の下方を通過して、第2先端部10の右方に到達する。なお、ベース部2の左右方向における中央部22の上下方向における幅が、ベース部2の左端部17及び右端部18の上下方向における幅のそれぞれよりも小さくなっているため、ベース部2が捻じれ易くなる。その結果、第1アーム部3が第2アーム部4に対して下方に変位し易くなる。この状態で、第1アーム部3及び第2アーム部4が離されると、
図1に示すように、第1アーム部3及び第2アーム部4の復元力によってヒューズプラー1が組立後状態になる。
【0051】
次に、ヒューズプラー1の使用方法を説明する。
図10に示すように、ヒューズ23は、平行に配置された2つの端子28と、2つの端子28の基端(不図示)に接続したヒューズエレメント(不図示)と、2つの端子28の基端及びヒューズエレメントを覆うヒューズ本体29とを有する。ヒューズ本体29の互いに相反する側面のそれぞれには、凹部である係止孔30が設けられている。ヒューズボックス(不図示)には複数のスロットが形成されている。ヒューズ23の各端子28の先端部31は、ヒューズボックスのスロットに挿入され、ヒューズ本体29がヒューズボックスの表面から突出している。ヒューズ23がスロットに挿入された状態で、係止孔30は外部に露出している。
【0052】
作業者は、組立後状態のヒューズプラー1の第1基端部5及び第2基端部8の外側面を挟持し、第1基端部5及び第2基端部8が互いに近づく方向に押す。これにより、
図9に示すように、付勢力に抗して、第1基端部5と第2基端部8とが互いに近づき、第1先端部7と第2先端部10とが互いに離れる。
【0053】
図9に示すように、第1ストッパ部24と第2ストッパ部25とが当接するとき、第1先端部7と第2先端部10との間の距離は最大になる。この状態をヒューズプラー1の開状態という。第1ストッパ部24の右端部26と第2ストッパ部25の左端部27が当接するため、ヒューズプラー1の開状態が安定する。
【0054】
ヒューズプラー1が開状態であるとき、第1先端部7及び第2先端部10の間に、ヒューズ本体29を受容することができる。
図10に示すように、第1先端部7及び第2先端部10の間にヒューズ本体29が受容された状態において、作業者が第1基端部5及び第2基端部8の外側面を挟持する力を弱めると、第1アーム部3及び第2アーム部4の復元力によって第1基端部5及び第2基端部8が互いに近接し、第1基端部5及び第2基端部8がヒューズ本体29を挟持する。このとき、第1係止爪15及び第2係止爪16が対応する係止孔30に突入し、係止孔30に係止される。この状態で、作業者は一対の係止面21のそれぞれに指を引っ掛けてヒューズ23をヒューズボックスから引き抜くことができる。各係止面21が少なくとも前方を向くため、作業者は係止面21に指を引っ掛け易い。
【0055】
上記の実施形態に係るヒューズプラー1によれば、ベース部2、第1アーム部3及び第2アーム部4が一体に成形されているため、ヒューズプラー1の部品を個別に準備する必要が無い。そのため、部品を個別に準備した場合と比較して、作業工数を減らすことができる。
【0056】
組立時において、第1基端部5と第2基端部8を互いに近付けるように挟み込むと、第1傾斜部11の上縁と第2傾斜部12の下縁が摺接することにより、第1先端部7が第2先端部10の下方を円滑に通過することができる。これにより、作業者又は組立機械は、ヒューズプラー1を容易に組立後状態にすることができる。
【0057】
また、ベース部2の左端部17と右端部18にそれぞれ一対の係止面21を設けたことにより、作業者がヒューズ23をヒューズボックスから引き抜くときに、作業者の指が各係止面21に係止され、安定してヒューズ23を引き抜くことができる。
【0058】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では係止面21A、21Bが前方かつ左右外方を向くように傾斜しているが、他の実施形態では係止面21A、21Bは前後方向と直交する平面に形成されてもよい。また、係止面21A、21Bは、ベース部2の左右両端の前面に形成されてもよい。
【0059】
第1傾斜部11の上縁は右方に向けて下方に傾斜していなくてもよく、第2傾斜部12の上縁は左方に向けて上方傾斜していなくてもよい。
【0060】
図11に示すように、第1先端部7は、第1傾斜部11を有していなくてもよく、第2先端部10は第2傾斜部12を有していなくてもよい。このとき、第1先端部7の上縁は、右方に向けて下方に傾斜しているとよく、第2先端部10の下縁は、左方に向けて上方に傾斜しているとよい。
【0061】
図12に示すように、第1ガイド部13及び第2ガイド部14はそれぞれ異なる形状を有していてもよい。例えば、第1ガイド部13の左端部は、前方から見て、左方に向かって凸となる凸部を有し、第2ガイド部14の右端部は、前方から見て、第1ガイド部13の凸部を受容する凹部を有していてもよい。
【0062】
また、
図13に示すように、第1ガイド部13の左端部は、前方から見て、左方に向かって凸となる丸みを帯びた凸部を有し、第2ガイド部14は前方から見て、第1ガイド部13の凸部を受容する丸みを帯びた凹部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 :ヒューズプラー
2 :ベース部
3 :第1アーム部
4 :第2アーム部
5 :第1基端部
6 :第1中間部
7 :第1先端部
8 :第2基端部
9 :第2中間部
10 :第2先端部
11 :第1傾斜部
12 :第2傾斜部
13 :第1ガイド部
14 :第2ガイド部
15 :第1係止爪
16 :第2係止爪
17 :左端部
18 :右端部
19 :左側部
20 :右側部
21A,B :係止面
22 :中央部