(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
A47K 5/12 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A47K5/12 Z
(21)【出願番号】P 2021083826
(22)【出願日】2021-05-18
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 公丈
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6834048(JP,B1)
【文献】特開平11-178744(JP,A)
【文献】特開平06-062980(JP,A)
【文献】実開平06-065984(JP,U)
【文献】特開平09-069188(JP,A)
【文献】特開2016-043227(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1672966(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 5/00- 5/18
A47K10/00-10/14
A47K10/18-10/48
B65D35/44-35/54
B65D39/00-55/16
B65D83/00
B65D83/08-83/76
B67D 1/00- 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するディスペンサであって、
スイッチと、
前記スイッチが押下されたときに、電力供給を開始する電源部と、
前記スイッチが押下されている押下時間を計測する計測部と、
前記押下時間に基づいて、前記液体を吐出する吐出時間を設定する吐出時間設定部と、
前記電力供給の開始に応じて、光を照射する照射部と、
前記光を受光する受光部と、
前記電力供給が行われている状態において、前記受光部が前記光を受光できないときに、前記吐出時間設定部によって設定された前記吐出時間に亘って前記液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部による前記液体の吐出終了後に前記吐出部への電力供給を停止させる停止部と、
を備えるディスペンサ。
【請求項2】
前記吐出時間が、第1時間から第2時間の間で設定可能であって、
前記吐出時間設定部は、前記押下時間が前記第1時間よりも短い場合には前記吐出時間を前記第1時間に設定し、前記押下時間が前記第2時間よりも長い場合には前記吐出時間を前記第2時間に設定する請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記スイッチに対して予め設定された操作が行われた場合に、前記停止部により前記電力供給が停止される直前の前記吐出時間が設定された状態で起動する請求項1又は2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記吐出時間は前記押下時間に基づいて無段階で設定可能である請求項1から3のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば手洗い用のソープや消毒液等の液体を、ユーザの手で接触させることなく自動的に吐出させるディスペンサが利用されている。このようなディスペンサとして、例えば下記に出典を示す特許文献1及び2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載のディスペンサは、ハウジングの上部に被せられた上被塞部にタッチセンサを備えている。タッチセンサは、ユーザがタッチする長さ及びタッチする回数によって、電源をON(オン)にしたりOFF(オフ)にしたりすることができるように構成され、また、吐出口からの液体の吐出量を選択することができるように構成されている。具体的には、タッチセンサが短押しされると電源がONされ、タッチセンサが長押しされると洗浄モードになるように構成されている。また、タッチセンサを短く押す回数によって、吐出量が三段階で変更される。
【0004】
特許文献2に記載のディスペンサは、吐出量調整部を備えて構成され、吐出量の調整は可変抵抗器の調整で行うことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6834048号公報
【文献】米国特許出願公開第2003/0226853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、ディスペンサから液体を吐出する時間の設定や電源の供給を行うために、複数回にわたってタッチセンサを操作する必要がある。また、特許文献2に記載の技術も吐出量の調整をするにあたり、可変抵抗器を操作して調整する必要がある。このように、特許文献1及び2に記載の技術は、吐出量の設定や電源供給(電力供給)の指示に対して手間を要し、改善の余地があった。
【0007】
そこで、吐出量の設定や電力供給の指示に対するユーザの手間を軽減できるディスペンサが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスペンサの特徴構成は、液体を吐出するディスペンサであって、スイッチと、前記スイッチが押下されたときに、電力供給を開始する電源部と、前記スイッチが押下されている押下時間を計測する計測部と、前記押下時間に基づいて、前記液体を吐出する吐出時間を設定する吐出時間設定部と、前記電力供給の開始に応じて、光を照射する照射部と、前記光を受光する受光部と、前記電力供給が行われている状態において、前記受光部が前記光を受光できないときに、前記吐出時間設定部によって設定された前記吐出時間に亘って前記液体を吐出する吐出部と、前記吐出部による前記液体の吐出終了後に前記吐出部への電力供給を停止させる停止部と、を備えている点にある。
【0009】
このような特徴構成とすれば、ディスペンサのスイッチを押下した時間に応じて、吐出部から液体を吐出する吐出時間を設定できるので、吐出時間を簡便に設定することができる。したがって、電力供給の開始指示や吐出量の設定を同時にできるので、ユーザの手間を軽減することが可能となる。
【0010】
また、前記吐出時間が、第1時間から第2時間の間で設定可能であって、前記吐出時間設定部は、前記押下時間が前記第1時間よりも短い場合には前記吐出時間を前記第1時間に設定し、前記押下時間が前記第2時間よりも長い場合には前記吐出時間を前記第2時間に設定すると好適である。
【0011】
このような構成とすれば、吐出時間として第1時間を希望する場合には、押下時間が第1時間より短い時間で良いので、吐出時間の設定をより短い時間で行うことができる。一方、スイッチを誤って長く押した場合には、吐出時間が第2時間に設定されるので、吐出部から吐出される液体を節約することができる。
【0012】
また、前記スイッチに対して予め設定された操作が行われた場合に、前記停止部により前記電力供給が停止される直前の前記吐出時間が設定された状態で起動すると好適である。
【0013】
このような構成とすれば、電力供給が行われていない状態のディスペンサのスイッチに対して予め設定された操作が行われた場合に、電力供給が停止される直前の吐出時間をそのまま利用することが可能となる。したがって、利用者の希望に応じた吐出時間を設定することが可能となる。
【0014】
また、前記吐出時間は前記押下時間に基づいて無段階で設定可能であると好適である。
【0015】
このような構成とすれば、押下時間に応じて吐出時間が設定されるので、スイッチを押下した利用者に対して、体感的に吐出時間を把握させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】ディスペンサの機能部を示すブロック図である。
【
図3】ディスペンサの状態を示す状態遷移図である。
【
図4】押下時間と吐出時間との関係を示す図である。
【
図5】ディスペンサの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るディスペンサは液体を吐出することができるように構成される。液体とは、例えば体(例えば手)を洗う際に使用するハンドソープや、除菌する際に使用する薬剤(例えばアルコール)が相当し、液体と気体とが混合されて泡状になったものも含むものとする。以下では、本実施形態のディスペンサ1がハンドソープを吐出する場合の例を挙げて説明する。
【0018】
図1はディスペンサ1の斜視図である。
図2はディスペンサ1が液体を吐出する機能に係る機能部を示すブロック図である。
図1及び
図2に示されるように、ディスペンサ1は、電源スイッチ10、電源部12、計測部14、吐出時間設定部16、吐出制御部18、照射部20、受光部22、吐出部24、停止部26、記憶部28を備えて構成される。各機能部は、液体の吐出に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0019】
図1に示されるように、ディスペンサ1は柱状に構成され、その内部にハンドソープを貯留するよう構成される。電源スイッチ(「スイッチ」の一例)10は、ハンドソープを利用する人が押下可能に構成され、本実施形態ではハンドソープが吐出される吐出部24(後述する)の下方に設けられる。このような電源スイッチ10は、例えば押下されている利用者の指が電源スイッチ10から離間された際に、自動的に押下されていない状態に復帰するようなタクティールスイッチを用いて構成することが可能である。なお、電源スイッチ10は、ディスペンサ1の上面(例えば後述する表示装置30の近傍)に設けられていても良い。
【0020】
電源部12は、電源スイッチ10が押下されたときに、電力供給を開始する。電源スイッチ10が押下されたときとは、電力供給が行われていない状態において利用者の指で電源スイッチ10が押下されたときをいう。このように電源スイッチ10が所定時間(例えば0.1秒)以上押下されると、電源部12は各機能部に対して電力を供給するように構成される。ディスペンサ1は、電池から電力が供給されても良いし、商用電源から電力が供給されても良い。電源部12は、このような電池或いは商用電源からの電力を用いてディスペンサ1の各機能部に対して電力を供給する。上述したように、電源スイッチ10は、所定時間以上押下されている利用者の指が電源スイッチ10から離間されると、自動的に押下されていない状態に復帰するように構成されるが、このような押下されていない状態に復帰した場合であっても、電源部12は電力供給を継続する。なお、電源部12は電源部12自体が電力供給を行う構成だけでなく、電池或いは商用電源からディスペンサ1の各機能部に対して電力供給を行わせる指示を行う構成も含まれる(すなわち、電源部12は電力供給の制御(電力供給の開始指示)を行う構成、例えば「内部パワーモード制御部」とする形態も含まれる)。この場合、上述した電源スイッチ10の押下に応じてスタンバイ状態から復帰(ウェークアップ)するように構成することが可能であり、このような構成も、「電源スイッチ10が押下されたときに、電力を開始する」構成に含まれる。
【0021】
本ディスペンサ1は、ハンドソープを吐出する吐出時間が、電源スイッチ10が押下されている押下時間に基づいて設定可能に構成されている。そこで、計測部14は、電源スイッチ10が押下されている押下時間を計測する。電源スイッチ10が押下されている押下時間とは、利用者の指により電源スイッチ10が押下されてから、押下されている利用者の指が電源スイッチ10から離間され、自動的に押下されていない状態に復帰するまでの時間である。このような押下時間を計測する計測部14は、カウンターとして構成すると好適である。計測部14の計測結果は、後述する吐出時間設定部16に伝達される。上述したように、電源部12が電源スイッチ10の押下に応じてスタンバイ状態から復帰するように構成する場合には、復帰後に、押下時間の計測を開始すると良い。
【0022】
吐出時間設定部16は、押下時間に基づいて、ハンドソープを吐出する吐出時間を設定する。吐出時間設定部16は、計測部14から伝達される計測結果で示される押下時間と等しい時間を吐出時間として設定する。したがって、本ディスペンサ1によれば、ハンドソープを利用したい利用者がハンドソープを吐出したい時間だけ、電源スイッチ10を押下すれば良い。具体的には、3秒間ハンドソープを吐出してほしい場合には、電源スイッチ10を3秒間押下すれば良く、5秒間ハンドソープを吐出してほしい場合には、電源スイッチ10を5秒間押下すれば良い。吐出時間設定部16は設定した吐出時間を示す情報を、後述する吐出制御部18に伝達する。吐出時間設定部16により設定された吐出時間は、ディスペンサ1に備えられる表示装置30(例えば7セグメント表示)に表示すると好適である。これにより、利用者が吐出時間を把握することが可能となる。
【0023】
照射部20は、電源部12による電力供給の開始に応じて、後述する受光部22に向けて光を照射する。照射部20は、電源部12によりディスペンサ1に対して電力供給が開始されてから、ディスペンサ1に対して電力供給が停止されるまで光を照射する。照射部20は、例えばLEDを用いて構成することが可能である。例えば照射部20は、光を照射していることを示す情報を後述する吐出制御部18に伝達すると好適である。あるいは、吐出制御部18が照射部20に対して光の照射を指示するように構成しても良い。これにより、吐出制御部18が、照射部20が光を照射している状態であるか否かを特定することが可能となる。なお、本実施形態では照射部20による光の照射は、パルス駆動により所定時間毎に行われるが、照射部20が常時照射するように構成されていても良い。
【0024】
受光部22は、照射部20からの光を受光する。受光部22は、電源部12によりディスペンサ1に対して電力供給が開始されると電力供給が行われるように構成される。受光部22は電力供給が行われると、光を受光している状態と光を受光していない状態とを識別可能な検出結果を後述する吐出制御部18に伝達すると好適である。なお、上述した照射部20及び受光部22は、透過型のものを用いても良いし、反射型のものを用いても良い。
【0025】
吐出制御部18は、照射部20が光を照射している状態となってから、光の照射を停止するまでの間において、受光部22から受光していない状態を示す検出結果が伝達された場合に、後述する吐出部24に対して吐出時間に亘ってハンドソープを吐出するように指示する。
【0026】
吐出部24は、電力供給が行われている状態において、受光部22が光を受光できないときに、吐出時間設定部16によって設定された吐出時間に亘ってハンドソープを吐出する。電力供給が行われている状態において、受光部22が光を受光できないときとは、照射部20が光を照射している状態において、受光部22が照射部20からの光を受光できないときをいう。具体的には、照射部20と受光部22との間に利用者の手がかざされ、受光部22から光を受光していない状態であることを示す情報が吐出制御部18に伝達されたときが相当する。吐出部24には、電源スイッチ10の押下に応じて電力供給が行われている。また、吐出部24には、吐出制御部18から、吐出時間に亘ってハンドソープを吐出する指示が伝達される。したがって、吐出部24は、照射部20と受光部22との間に利用者の手がかざされ、受光部22から光を受光していない状態であることを示す情報が吐出制御部18に伝達されたときに、電源スイッチ10の押下に応じて供給される電力供給により、吐出制御部18から伝達される吐出時間に亘ってハンドソープを吐出する指示に応じてハンドソープを吐出する。
【0027】
停止部26は、吐出部24によるハンドソープの吐出終了後に電源部12による吐出部24への電力供給を停止させる。ここで、吐出制御部18は、吐出時間が経過した場合にハンドソープの吐出を終了させると共に、吐出時間が経過していない状態であっても受光部22が光を受光したことを示す検出結果が伝達された場合にもハンドソープの吐出を終了させる。停止部26には、このようなハンドソープの吐出を終了させる指示が伝達される。したがって、停止部26はこのような指示を受けた場合に、吐出部24によるハンドソープの吐出が終了したと特定することが可能となる。停止部26は、このような指示を受けると、電源部12による吐出部24への電力供給を停止させる。これにより吐出部24からハンドソープの吐出が停止される。この時、他の機能部への電力供給は継続される。
【0028】
記憶部28は、停止部26により電力供給が停止される直前の吐出時間を記憶しておくと好適である。これにより、ディスペンサ1に対して継続して電力供給が行われている状態において、受光部22が光を受光できなくなると、直前の吐出時間に応じて吐出部24からハンドソープを吐出することが可能となる。このような直前の吐出時間を利用する場合には、例えば停止部26により電力供給が停止された状態のディスペンサ1の電源スイッチ10に対して予め設定された操作が行われた場合に、停止部26により電力供給が停止される直前の吐出時間が設定された状態で起動するように構成すると良い。「予め設定された操作」とは、例えば短時間での複数回の操作(ダブルクリックのような操作や連続してタップするような操作)や、指でなぞるような操作(フリックのような操作)や、これらを複合した操作とすることが可能である。
【0029】
図3には、ディスペンサ1の状態を表した状態遷移図が示される。電源オフ状態において、電源スイッチ10が所定時間以上のT秒間に亘って押下されると(#1)、ディスペンサ1に対して電力供給が開始され、ディスペンサ1は電源オン状態となる。この時、吐出時間設定部16により、吐出時間としてT秒間が設定される。電源オン状態では照射部20から受光部22に向かって光が照射されるが、この光が遮断され受光部22が光を受光できなくなると(#2)、吐出部24からハンドソープが吐出され、ディスペンサ1は吐出状態となる。
【0030】
吐出部24からハンドソープが吐出されている状態において、吐出時間、すなわちT秒間が経過するか、あるいは、受光部22が光を受光すると(#3)、吐出部24からのハンドソープの吐出が停止され、ディスペンサ1は電源オン状態となる。
【0031】
この時、照射部20からの光が遮断され受光部22が光を受光できなくなると(#2)、再度、吐出部24からハンドソープが吐出され、ディスペンサ1は吐出状態となる。一方、電源オン状態において、電源スイッチ10が押下されると(#4)、ディスペンサ1に対して電力供給が停止され、電源オフ状態となる。
【0032】
ここで、吐出時間は押下時間に応じて設定されるとして説明したが、吐出時間の上限値と下限値とを設定しておくことも可能である。例えば、吐出時間が第1時間から第2時間の間で設定可能とする。第1時間が上記下限値に相当し、第2時間が上記上限値に相当する。この場合、
図4に示されるように、押下時間が第1時間以上、第2時間以下である場合には、吐出時間は押下時間に合わせて(例えば等しく)設定される。一方、押下時間が第1時間よりも短い場合には、吐出時間設定部16は吐出時間を第1時間に設定し、押下時間が第2時間よりも長い場合には、吐出時間設定部16は吐出時間を第2時間に設定するように構成することも可能である。これにより、押下時間が第1時間に満たない場合であっても、利用者が手を洗えるだけの量のハンドソープを吐出させることができ、押下時間が第2時間を超える場合には、無駄遣いしないような量のハンドソープを吐出させることができる。
【0033】
なお、吐出時間は、
図4に示されるように、押下時間に基づいて無段階で設定可能にすると好適である。これにより、利用者が押下した押下時間に合わせて、ハンドソープが吐出される吐出時間を体感的に把握することが可能となる。
【0034】
次に、ディスペンサ1の処理について、
図5のフローチャートを用いて説明する。ディスペンサ1は、電源スイッチ10が所定時間以上押下されると処理を開始する(ステップ#10:Yes)。電源スイッチ10が押下されると、電源部12が電力供給を開始する(ステップ#11)。また、電源スイッチ10が押下されると、計測部14が押下時間の計測を開始する(ステップ#12)。この計測は、電源スイッチ10の押下が終了するまで継続される(ステップ#13:No)。
【0035】
電源スイッチ10の押下が終了すると(ステップ#13:Yes)、計測部14は押下時間の計測を終了する(ステップ#14)。吐出時間設定部16が押下時間に応じて吐出時間を設定する(ステップ#15)。
【0036】
ステップ#11により、ディスペンサ1に電力供給が開始されると、照射部20は受光部22に対して光を照射する。この時、電源スイッチ10が押下されない状態で(ステップ#16:No)、光が遮断され、受光部22が光を受光できなくなると(ステップ#17:Yes)、吐出部24からハンドソープが吐出される(ステップ#18)。この光が遮断されない場合には(ステップ#17:No)、保留状態となる。
【0037】
ハンドソープが吐出部24から吐出されてから継続して光が遮断され、受光部22が光を受光できない場合において(ステップ#19:Yes)、吐出時間が経過していないときには(ステップ#20:No)、ステップ#19に戻り処理が継続される。ステップ#19において、光が遮断されなくなり、受光部22が光を受光できるようになる(ステップ#19:No)、あるいは、ステップ#20において吐出部24からハンドソープが吐出されてから吐出時間が経過すると(ステップ#20:Yes)、吐出部24からのハンドソープの吐出が終了する(ステップ#21)。
【0038】
この状態において、電源スイッチ10が押下されると(ステップ#16:Yes)、ディスペンサ1に対する電力供給が停止され、処理が終了する(ステップ#22)。ステップ#16において、電源スイッチ10が押下されない場合には(ステップ#16:No)、ステップ#17から処理が継続される。ディスペンサ1は、このようなフローチャートに沿って処理が行われる。
【0039】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、吐出部24からハンドソープが吐出される場合の例を挙げて説明したが、吐出部24からハンドソープとは異なる液体(例えば薬剤)を吐出するように構成することも可能である。
【0040】
上記実施形態では、スイッチとして電源スイッチ10を例に挙げて説明したが、電源スイッチ10とは異なる他のスイッチであっても良い。
【0041】
上記実施形態では、吐出時間が、第1時間から第2時間の間で設定可能であって、吐出時間設定部16は、押下時間が第1時間よりも短い場合には吐出時間を第1時間に設定し、押下時間が第2時間よりも長い場合には吐出時間を第2時間に設定するとして説明したが、第1時間及び第2時間に関わらず、吐出時間設定部16は押下時間に合わせて吐出時間を設定するように構成することも可能である。
【0042】
上記実施形態では、記憶部28は、停止部26により電力供給が停止される直前の吐出時間を記憶しておき、電源スイッチ10に対して予め設定された操作が行われた場合に、停止部26により電力供給が停止される直前の吐出時間が設定された状態で起動するとして説明したが、記憶部28は停止部26により電力供給が停止される直前の吐出時間を記憶しないように構成することも可能である。この場合、吐出時間設定部16は、停止部26により電力供給が停止された場合には、吐出時間を予め設定された初期値に設定するように構成すると好適である。
【0043】
上記実施形態では、吐出時間は押下時間に基づいて無段階で設定可能であるとして説明したが、吐出時間は、押下時間を複数に区分ごとに区分けしておき、その区分に応じて設定するように構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、液体を噴出するディスペンサに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:ディスペンサ
10:電源スイッチ(スイッチ)
12:電源部
14:計測部
16:吐出時間設定部
20:照射部
22:受光部
24:吐出部
26:停止部