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特許7510398磁気再生処理装置、磁気記録再生装置及び磁気再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】磁気再生処理装置、磁気記録再生装置及び磁気再生方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/09 20060101AFI20240626BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
G11B5/09 321Z
G11B20/10 321Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021139033
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032739
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】礒脇 洋介
(72)【発明者】
【氏名】菅原 克也
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-238285(JP,A)
【文献】特開平05-242407(JP,A)
【文献】特開2004-342239(JP,A)
【文献】特開2004-095096(JP,A)
【文献】特開平08-212716(JP,A)
【文献】国際公開第2004/072971(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B5/00-5/024
5/09
5/31-5/39
20/10-20/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体の第1記録領域に記録された情報を第1再生素子により再生して得られた第1電気信号と、前記第1記録領域に記録された前記情報を第2再生素子により再生して得られた第2電気信号と、を取得可能な取得部であって、前記磁気記録媒体に記録された磁気信号に対する前記第1再生素子の第1感度は、前記磁気信号に対する前記第2再生素子の第2感度と異なる、前記取得部と、
前記取得部により取得された前記第1電気信号及び前記第2電気信号に基づいて、前記第1記録領域に記録された前記情報に対応する再生信号を出力可能な処理部と、
を備え
前記第1記録領域における磁気信号強度は、最小記録パターンに対応する1Tパターン強度を含み、
前記第1電気信号は、前記1Tパターン強度に対応する第1パターン信号を含み、
前記第2電気信号は、前記1Tパターン強度に対応する第2パターン信号を含み、
前記第2パターン信号の強度は、前記第1パターン信号の強度よりも高い、磁気再生処理装置。
【請求項2】
前記第2パターン信号の前記強度は、前記第1パターン信号の前記強度の1.1倍以上である、請求項に記載の磁気再生処理装置。
【請求項3】
前記磁気信号強度は、前記最小記録パターンのn倍(nは3以上の整数)に対応するnTパターン強度を含み、
前記第1電気信号は、前記nTパターン強度に対応する第3パターン信号を含み、
前記第2電気信号は、前記nTパターン強度に対応する第4パターン信号を含み、
前記第1パターン信号の前記強度と前記第2パターン信号の前記強度との差の絶対値は、前記第3パターン信号の強度と前記第4パターン信号の強度との差の絶対値よりも大きい、請求項1に記載の磁気再生処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記取得部が取得した前記第1電気信号を波形処理する第1波形等化部と、
前記取得部が取得した前記第2電気信号を波形処理する第2波形等化部と、
前記第1波形等化部からの信号を処理する第1信号処理部と、
前記第2波形等化部からの信号を処理する第2信号処理部と、
前記第1信号処理部の第1出力信号、及び、前記第2信号処理部の第2出力信号に基づいて前記再生信号を導出可能な処理回路と、
を含む、請求項1~のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【請求項5】
前記第1出力信号は、前記第1波形等化部からの前記信号に関する第1尤度を含み、
前記第2出力信号は、前記第2波形等化部からの前記信号に関する第2尤度を含む、請求項に記載の磁気再生処理装置。
【請求項6】
前記処理回路は、前記第1出力信号、及び、前記第2出力信号を入力とするニューラルネットワーク処理部を含む、請求項またはに記載の磁気再生処理装置。
【請求項7】
前記処理回路の処理結果の少なくとも一部が、前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部に入力され、
前記第1信号処理部の動作、前記第2信号処理部の動作、及び、前記処理回路の動作が反復して実施される、請求項のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【請求項8】
前記第1信号処理部の処理結果の少なくとも一部が前記第2信号処理部に供給され、
前記第2信号処理部は、前記第1信号処理部の前記処理結果の前記少なくとも一部を用いて、前記第2波形等化部の前記信号を処理可能である、請求項のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【請求項9】
前記第2信号処理部の処理結果の少なくとも一部が前記第1信号処理部に供給され、
前記第1信号処理部は、前記第2信号処理部の前記処理結果の前記少なくとも一部を用いて、前記第1波形等化部の前記信号を処理可能である、請求項のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【請求項10】
磁気記録媒体の第1記録領域に記録された情報を第1再生素子により再生して得られた第1電気信号と、前記第1記録領域に記録された前記情報を第2再生素子により再生して得られた第2電気信号と、を取得可能な取得部であって、前記磁気記録媒体に記録された磁気信号に対する前記第1再生素子の第1感度は、前記磁気信号に対する前記第2再生素子の第2感度と異なる、前記取得部と、
前記取得部により取得された前記第1電気信号及び前記第2電気信号に基づいて、前記第1記録領域に記録された前記情報に対応する再生信号を出力可能な処理部と、
を備え
前記処理部は、
前記取得部が取得した前記第1電気信号を波形処理する第1波形等化部と、
前記取得部が取得した前記第2電気信号を波形処理する第2波形等化部と、
前記第1波形等化部からの信号を処理する第1信号処理部と、
前記第2波形等化部からの信号を処理する第2信号処理部と、
前記第1信号処理部の第1出力信号、及び、前記第2信号処理部の第2出力信号に基づいて前記再生信号を導出可能な処理回路と、
を含み、
前記第1信号処理部の処理結果の少なくとも一部が前記第2信号処理部に供給され、
前記第2信号処理部は、前記第1信号処理部の前記処理結果の前記少なくとも一部を用いて、前記第2波形等化部の前記信号を処理可能である、磁気再生処理装置。
【請求項11】
磁気記録媒体の第1記録領域に記録された情報を第1再生素子により再生して得られた第1電気信号と、前記第1記録領域に記録された前記情報を第2再生素子により再生して得られた第2電気信号と、を取得可能な取得部であって、前記磁気記録媒体に記録された磁気信号に対する前記第1再生素子の第1感度は、前記磁気信号に対する前記第2再生素子の第2感度と異なる、前記取得部と、
前記取得部により取得された前記第1電気信号及び前記第2電気信号に基づいて、前記第1記録領域に記録された前記情報に対応する再生信号を出力可能な処理部と、
を備え
前記処理部は、
前記取得部が取得した前記第1電気信号を波形処理する第1波形等化部と、
前記取得部が取得した前記第2電気信号を波形処理する第2波形等化部と、
前記第1波形等化部からの信号を処理する第1信号処理部と、
前記第2波形等化部からの信号を処理する第2信号処理部と、
前記第1信号処理部の第1出力信号、及び、前記第2信号処理部の第2出力信号に基づいて前記再生信号を導出可能な処理回路と、
を含み、
前記第2信号処理部の処理結果の少なくとも一部が前記第1信号処理部に供給され、
前記第1信号処理部は、前記第2信号処理部の前記処理結果の前記少なくとも一部を用いて、前記第1波形等化部の前記信号を処理可能である、磁気再生処理装置。
【請求項12】
請求項1~1のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置と、
前記第1再生素子及び前記第2再生素子を含む再生部を含む磁気ヘッドと、
を備えた磁気記録再生装置。
【請求項13】
磁気記録媒体の第1記録領域に記録された情報を第1再生素子により再生して得られた第1電気信号と、前記第1記録領域に記録された前記情報を第2再生素子により再生して得られた第2電気信号と、を取得し、前記磁気記録媒体に記録された磁気信号に対する前記第1再生素子の第1感度は、前記磁気信号に対する前記第2再生素子の第2感度と異なり、
前記取得した前記第1電気信号及び前記第2電気信号に基づいて、前記第1記録領域に記録された前記情報に対応する再生信号を出力
前記第1記録領域における磁気信号強度は、最小記録パターンに対応する1Tパターン強度を含み、
前記第1電気信号は、前記1Tパターン強度に対応する第1パターン信号を含み、
前記第2電気信号は、前記1Tパターン強度に対応する第2パターン信号を含み、
前記第2パターン信号の強度は、前記第1パターン信号の強度よりも高い、磁気再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気再生処理装置、磁気記録再生装置及び磁気再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体に情報が記録される。磁気記録再生装置において、記録再生密度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9431052号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記録再生密度の向上が可能な磁気再生処理装置、磁気記録再生装置及び磁気再生方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、磁気再生処理装置は、取得部及び処理部を含む。前記取得部は、磁気記録媒体の第1記録領域に記録された情報を第1再生素子により再生して得られた第1電気信号と、前記第1記録領域に記録された前記情報を第2再生素子により再生して得られた第2電気信号と、を取得可能である。前記磁気記録媒体に記録された磁気信号に対する前記第1再生素子の第1感度は、前記磁気信号に対する前記第2再生素子の第2感度と異なる。前記処理部は、前記取得部により取得された前記第1電気信号及び前記第2電気信号に基づいて、前記第1記録領域に記録された情報に対応する再生信号を出力可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置を例示する模式図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置に関する特性を例示するグラフである。
図3図3は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置を例示する模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置を例示する模式図である。
図5図5は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置を例示する模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置の動作を例示するフローチャートである。
図7図7は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置の特性を例示するグラフである。
図8図8は、第2実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的断面図である。
図9図9は、第2実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的断面図である。
図10図10は、第2実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的断面図である。
図11図11は、実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図12図12は、実施形態に係る磁気記録再生装置を例示する模式的斜視図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置を例示する模式図である。
実施形態に係る磁気再生処理装置70は、磁気ヘッド110と共に用いられる。磁気ヘッド110は、再生部10Rを含む。実施形態に係る磁気記録再生装置210は、再生部10R(磁気ヘッド110)及び磁気再生処理装置70を含む。
【0008】
磁気ヘッド110の再生部10Rは、磁気記録媒体80に記録された情報80iを再生する。後述するように、磁気記録媒体80は、ディスク状である。磁気記録媒体80は、記録領域(例えば第1記録領域80r)を含む。記録領域は、磁気記録媒体の中心を中心とする渦巻き状で良い。
【0009】
磁気記録媒体80は、例えば、媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81の磁化83(磁化83の向き)が情報80iに対応する。
【0010】
磁気ヘッド110は、記録部60を含んで良い。記録部60により、磁化83が制御される。記録部60は、例えば、第1磁極31を含む。第1磁極31から生じる記録磁界が磁気記録媒体80に印加される。これにより、磁化83が制御される。この例では、記録部60は、第2磁極32及び磁気素子20を含む。磁気素子20は、第1磁極31の一部と第2磁極32の一部との間に設けられる。第1磁極31及び第2磁極32は、磁気回路を形成可能である。磁気素子20は、磁性膜を含む。1つの例において、磁気素子20は、例えば、第1磁極31から出た記録磁界の向きを制御可能である。別の例において、磁気素子20は、交番磁界を発生させることが可能である。交番磁界が磁気記録媒体80に印加される。例えば、MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)が実施されても良い。
【0011】
再生部10Rは、第1再生素子11E及び第2再生素子12Eを含む。例えば、第1再生素子11Eは、第1再生シールド15a及び第2再生シールド15bの間に設けられる。例えば、第2再生素子12Eは、第3再生シールド15cと第4再生シールド15dとの間に設けられる。この例では、第1再生シールド15aと第4再生シールド15dとの間に第2再生シールド15bが設けられる。第2再生シールド15bと第4再生シールド15dとの間に第3再生シールド15cが設けられる。
【0012】
第1再生素子11Eから第2再生素子12Eへの第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及び軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0013】
Z軸方向は、例えばハイト方向に対応する。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向に対応する。Y軸方向は、例えば、クロストラック方向に対応する。ダウントラック方向に沿う媒体移動方向85に沿って、磁気記録媒体80と磁気ヘッド110とが相対的に移動する。磁気記録媒体80の所望の位置において、磁気記録媒体80に情報80iが記録可能である。磁気記録媒体80の所望の位置において、磁気記録媒体80に記録された情報80iが再生可能である。
【0014】
磁気ヘッド110は、媒体対向面10Fを有する。媒体対向面10Fは、磁気記録媒体80と対向する。媒体対向面10Fは、第1再生素子11E及び第2再生素子12Eの少なくともいずれかに含まれると見なされて良い。媒体対向面10Fは、例えば、ABS(Air Bearing Surface)に対応する。媒体対向面10Fは、例えば、X-Y平面に沿う。
【0015】
第1再生素子11Eは、磁気記録媒体80の第1記録領域80rに記録された情報80iを再生して第1電気信号Sr1を出力することが可能である。第2再生素子12Eは、磁気記録媒体80の第1記録領域80rに記録された情報80iを再生して第2電気信号Sr2を出力することが可能である。
【0016】
磁気再生処理装置70は、取得部76及び処理部75を含む。取得部76は、磁気記録媒体80の第1記録領域80rに記録された情報80iを第1再生素子11Eにより再生して得られた第1電気信号Sr1と、第1記録領域80rに記録された情報80iを第2再生素子12Eにより再生して得られた第2電気信号Sr2と、を取得可能である。取得部76は、例えば、入力回路である。取得部76は、例えば、インプットインターフェースで良い。
【0017】
後述するように、磁気記録媒体80に記録された磁気信号(磁気信号強度)に対する第1再生素子11Eの第1感度は、磁気信号(磁気信号強度)に対する第2再生素子12Eの第2感度と異なる。
【0018】
処理部75は、取得部76により取得された第1電気信号Sr1及び第2電気信号Sr2に基づいて、再生信号70sを出力することが可能である。再生信号70sは、第1記録領域80rに記録された情報80iに対応する信号(再生された情報)である。
【0019】
実施形態においては、感度が互いに異なる複数の再生素子から得られる電気信号に基づいて再生信号70sが導出され、出力される。これにより、より高い精度の再生が可能である。より高い線記録密度の磁気記録再生が実施可能である。実施形態によれば、記録再生密度の向上が可能な磁気再生処理装置を提供することができる。
【0020】
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置に関する特性を例示するグラフである。
図2(a)は、第1再生素子11Eに対応する。図2(b)は、第2再生素子12Eに対応する。これらの図の横軸は、磁気記録媒体80の第1記録領域80rにおける磁気信号強度SMに対応する。これらの図の縦軸は、磁気再生素子により得られる電気信号強度SEに対応する。図2(a)において、電気信号強度SEは、第1電気信号Sr1の強度に対応する。図2(b)において、電気信号強度SEは、第2電気信号Sr2の強度に対応する。
【0021】
図2(a)に示すように、磁気信号強度SMが変化したときに、電気信号強度SEが変化する。図2(a)の例において、第1再生素子11Eから得られる電気信号(第1電気信号Sr1)において、磁気信号強度SMがある範囲内で変化したときに、電気信号強度SEは実質的に線形に変化する。
【0022】
例えば、磁気信号強度SMは、1Tパターン強度を含む。1Tパターン強度は、最小記録パターンに対応する。磁気信号強度SMは、nTパターン強度を含む。nTパターン強度は、最小記録パターンのn倍に対応する。「n」は、3以上の整数である。1つの例において、nは、12である。この場合、nTパターン強度は、12Tパターン強度に対応する。
【0023】
図2(a)に示す例では、磁気信号強度SMが1Tパターン強度とnTパターン強度との間の範囲内で変化したときに、電気信号強度SE(第1電気信号Sr1の強度)は実質的に線形に変化する。
【0024】
図2(b)に示すように、第2再生素子12Eから得られる電気信号強度SE(第2電気信号Sr2の強度)の特性は、第1再生素子1Eから得られる電気信号強度SE(第1電気信号Sr1の強度)の特性とは異なる。この例では、磁気信号強度SMの範囲の少なくとも一部において、磁気信号強度SMの変化に対する電気信号強度SEの変化率(感度、または、傾き)は、第1再生素子11Eと第2再生素子12Eとの間で異なる。
【0025】
例えば、図2(a)に示すように、第1再生素子11Eにおいて電気信号強度SE(第1電気信号Sr1)は、1Tパターン強度に対応する第1パターン信号Se1を含む。図2(b)に示すように、第2再生素子12Eにおいて、電気信号強度SE(第2電気信号Sr2)は、1Tパターン強度に対応する第2パターン信号Se2を含む。第2パターン信号Se2の強度は、第1パターン信号Se1の強度よりも高い。このように、複数の再生素子において、感度が互いに異なる。
【0026】
後述するように、第2パターン信号Se2の強度は、第1パターン信号Se1の強度の1.1倍以上であることが好ましい。
【0027】
第1再生素子11Eの電気信号強度SE(第1電気信号Sr1)は、nTパターン強度に対応する第3パターン信号Se3を含む。第2再生素子12Eの電気信号強度SE(第2電気信号Sr2)は、nTパターン強度に対応する第4パターン信号Se4を含む。第4パターン信号Se4の強度は、第3パターン信号Se3の強度に近い。第1パターン信号Se1の強度と第2パターン信号Se2の強度との差の絶対値は、第3パターン信号Se3の強度と第4パターン信号Se4の強度との差の絶対値よりも大きい。
【0028】
例えば、1Tパターン強度とnTパターン強度との間において、第1再生素子11Eは、線形の再生特性を有する。例えば、1Tパターン強度とnTパターン強度との間において、第2再生素子12Eは、非線形の再生特性を有する。
【0029】
例えば、第1パターン信号Se1と第3パターン信号Se3との間において、第1再生素子11Eの電気信号強度SE(第1電気信号Sr1の強度)は、磁気信号強度SMに対して実質的に線形に変化する。例えば、第2パターン信号Se2と第4パターン信号Se4との間において、第2再生素子12Eの電気信号強度SE(第2電気信号Sr2の強度)は、磁気信号強度SMに対して非線形に変化する。
【0030】
例えば、図2(b)に示すように、磁気信号強度SMは、最小記録パターンのm倍(mはn-1である)に対応するmTパターン強度を含む。第2再生素子12Eの電気信号強度SE(第2電気信号Sr2)は、mTパターン強度に対応する第5パターン信号Se5を含む。第5パターン信号Se5及び第4パターン信号Se4を含む領域において、電気信号強度SEは、実質的に飽和している。第5パターン信号Se5の強度と第4パターン信号Se4の強度との差の絶対値は、他の部分における差よりも小さい。
【0031】
例えば、第5パターン信号Se5の強度と第4パターン信号Se4の強度との差の絶対値(第2絶対値)は、第2パターン信号Se2の強度と第4パターン信号Se4の強度との差の絶対値(第1絶対値)の1/mよりも小さい。例えば、第2絶対値は、第1絶対値の1/mの0.8倍以下でも良い。第2絶対値は、第1絶対値の1/mの0.5倍以下でも良い。
【0032】
このように互いに異なる感度を有する複数の再生素子から得られる複数の電気信号が、磁気再生処理装置70に供給される。以下、磁気再生処理装置70の例について説明する。
【0033】
図3は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置を例示する模式図である。
図3に示すように、磁気再生処理装置70の取得部76は、第1再生素子11Eから得られる第1電気信号Sr1、及び、第2再生素子12Eから得られる第2電気信号Sr2を取得する。
【0034】
処理部75は、第1波形等化部71a、第2波形等化部71b、第1信号処理部72a、第2信号処理部72b、及び、処理回路74を含む。
【0035】
第1波形等化部71aに、取得部76が取得した第1電気信号Sr1が供給される。第1波形等化部71aは、取得部76が取得した第1電気信号Sr1を波形処理する。例えば、第1ターゲット部73aから、第1再生素子11Eに関する第1ターゲットデータが第1波形等化部71aに供給される。第1波形等化部71aにおいて、第1ターゲットデータに基づいて波形処理が実施される。
【0036】
第2波形等化部71bに、取得部76が取得した第2電気信号Sr2が供給される。第2波形等化部71bは、取得部76が取得した第2電気信号Sr2を波形処理する。例えば、第2ターゲット部73bから、第2再生素子12Eに関する第2ターゲットデータが第2波形等化部71bに供給される。第2波形等化部71bにおいて、第2ターゲットデータに基づいて波形処理が実施される。
【0037】
第1波形等化部71aにおいて波形処理された信号71pが第1信号処理部72aに供給される。第1信号処理部72aは、例えば第1デコーダである。第1信号処理部72aは、第1波形等化部71aからの信号71pを処理する。第1信号処理部72aから、第1出力信号78a(出力情報)が出力される。
【0038】
第2波形等化部71bにおいて波形処理された信号71qが第2信号処理部72bに供給される。第2信号処理部72bは、例えば第2デコーダである。第2信号処理部72bは、第2波形等化部71bからの信号71qを処理する。第2信号処理部72bから、第2出力信号78b(出力情報)が出力される。
【0039】
処理回路74は、第1信号処理部72aの第1出力信号78a、及び、第2信号処理部72bの第2出力信号78bに基づいて、再生信号70sを導出可能である。
【0040】
例えば、第1出力信号78aは、第1波形等化部71aからの信号71pに関する第1尤度79aを含んで良い。第2出力信号78bは、第2波形等化部71bからの信号71qに関する第2尤度79bを含んで良い。処理回路74は、第1尤度79a及び第2尤度79bに基づいて、再生信号70sを導出可能である。
【0041】
例えば、処理回路74は、第1出力信号78a、及び、第2出力信号78bを入力とするニューラルネットワーク(Neural Network:NN)処理部を含んでも良い。処理回路74は、第1出力信号78a、及び、第2出力信号78bを入力とする機械学習回路を含んでも良い。
【0042】
1つの例において、磁気再生処理装置70は、第1再生素子11Eから得られる第1電気信号Sr1に対応する第1出力信号78a、及び、第2再生素子12Eから得られる第2電気信号Sr2に対応する第2出力信号78bの一方を選択しても良い。磁気再生処理装置70は、選択された出力信号に対応する信号(情報)を再生信号70sとして出力しても良い。
【0043】
実施形態において、第1波形等化部71a及び第2波形等化部71bの少なくともいずれかは、例えば、PR(Partial-Response)回路を含んでも良い。
【0044】
実施形態において、第1信号処理部72a及び第2信号処理部72bの少なくともいずれかは、例えば、PRML(Partial-Response Maximum-Likelihood)回路を含んでも良い。
【0045】
実施形態において、第1信号処理部72a及び第2信号処理部72bの少なくともいずれかは、LDPC(Low Density Parity Check)復号器を含んでも良い。
【0046】
図4は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置を例示する模式図である。
図4に示すように、磁気再生処理装置70の処理部75において、第1信号処理部72aの処理結果72pの少なくとも一部が第2信号処理部72bに供給されても良い。第1信号処理部72aの処理結果72pは、例えば、第1出力信号78aの少なくとも一部を含む。第2信号処理部72bは、第1信号処理部72aの処理結果72pの上記の少なくとも一部を用いて、第2波形等化部71bの信号71qを処理可能でも良い。
【0047】
第2信号処理部72bの処理結果72qの少なくとも一部が第1信号処理部72aに供給されても良い。第2信号処理部72bの処理結果72qは、例えば、第2出力信号78bの少なくとも一部を含む。第1信号処理部72aは、第2信号処理部72bの処理結果72qの上記の少なくとも一部を用いて、第1波形等化部71aの信号71pを処理可能でも良い。
【0048】
図5は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置を例示する模式図である。
図5に示すように、磁気再生処理装置70の処理部75において、処理回路74の処理結果74pの少なくとも一部が、第1信号処理部72a及び第2信号処理部72bに入力されて良い。第1信号処理部72aの動作、第2信号処理部72bの動作、及び、処理回路74の動作が反復して実施されて良い。例えば、Iterative loopの処理が行われても良い。
【0049】
図6は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置の動作を例示するフローチャートである。
図6は、磁気再生処理装置70の動作を例示している。図6に示すように、磁気再生処理装置70は、第1電気信号Sr1及び第2電気信号Sr2を取得する(ステップS11及びステップS12)。磁気再生処理装置70は、第1電気信号Sr1を波形処理(波形等化処理)し、第2電気信号Sr2を波形処理(波形等化処理)する(ステップS21及びステップS22)。
【0050】
磁気再生処理装置70は、波形等化処理された結果に基づいて、第1電気信号Sr1を復調(ステップS31)し、第2電気信号Sr2を復調(ステップS32)する。復調において、尤度(第1尤度79a及び第2尤度79b)が導出されて良い。ステップS31の結果の少なくとも一部がステップS32で利用されて良い。ステップS32の結果の少なくとも一部がステップS31で利用されて良い。
【0051】
磁気再生処理装置70は、復調結果、及び、尤度(第1尤度79a及び第2尤度79b)に基づいて、復調を行う(ステップS34)。ステップS34及びステップS31が繰り返して実施されて良い。ステップS34及びステップS32が繰り返して実施されて良い。
【0052】
磁気再生処理装置70は、復調(ステップS34)の結果に対応する再生信号70sを出力する(ステップS35)。
【0053】
実施形態においては、感度が互いに異なる複数の再生素子から得られる電気信号に基づいて、再生信号70sが導出され、出力される。これにより、エラーをより抑制できる。より高い精度の再生が可能である。例えば、感度が互いに同じ複数の再生素子から得られる電気信号に基づいて再生する場合と比べて、より高い精度の再生を行うことができる。より高い線記録密度の磁気記録再生が実施可能である。記録再生密度の向上が可能な磁気再生処理装置を提供することができる。
【0054】
図7は、第1実施形態に係る磁気再生処理装置の特性を例示するグラフである。
図7の横軸は、感度比RR1である。感度比RR1は、第2パターン信号Se2の強度の第1パターン信号Se1の強度に対する比である(図2(a)及び図2(b)参照)。第1パターン信号Se1は、第1再生素子11Eの第1電気信号Sr1における、1Tパターン強度に対応する信号である。第2パターン信号Se2は、第2再生素子12Eの第2電気信号Sr2における、1Tパターン強度に対応する信号である。図7の縦軸は、BER(bit error rate)である。
【0055】
図7に示すように、感度比RR1が低いと、BERが高い。感度比RR1が1を超える場合に、低いBERが得られる。感度比RR1が1.1以上の場合、極めて低いBERが得られる。
【0056】
実施形態において、感度比RR1は、1.1以上であることが好ましい。例えば、第2パターン信号Se2の強度は、第1パターン信号Se1の強度の1.1倍以上であることが好ましい。これにより、極めて低いBERが得られる。より高い精度の再生が可能である。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態は、磁気記録再生装置210(例えば図1参照)に係る。磁気記録再生装置210は、実施形態に係る磁気再生処理装置70と、磁気ヘッド110と、を含む。磁気ヘッド110は、再生部10R(第1再生素子11E及び第2再生素子12E)を含む。以下、複数の再生素子の構成の例について説明する。例えば、構成の差により、感度の差が形成可能である。
【0058】
図8図10は、第2実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的断面図である。
図8図10は、再生部10Rに関する第1~第3再生部構成CF1~CF3を例示している。既に説明したように、第1再生素子11Eは、磁気記録媒体80と対向する媒体対向面10Fを含む(図1参照)。第1再生素子11Eから第2再生素子12Eへの第1方向は、磁気記録媒体80のダウントラック方向(例えばX軸方向)に沿う。
【0059】
図8に示すように、第1再生部構成CF1において、第1再生素子11Eは、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nを含む。第1非磁性層11nは、第1方向において第1磁性層11と第1対向磁性層11oとの間に設けられる。
【0060】
第2再生素子12Eは、第2磁性層12、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nを含む。第2非磁性層12nは、第1方向において第2磁性層12と第2対向磁性層12oとの間に設けられる。
【0061】
この例では、第1再生素子11Eは、第1再生シールド15aと第2再生シールド15bとの間にある。第2再生素子12Eは、第3再生シールド15cと第4再生シールド15dとの間にある。第1再生シールド15aから第2再生シールド15bへの方向は、第1方向(例えばX軸方向)に沿う。
【0062】
この例では、第1再生シールド15aと第1磁性層11との間に、磁性部11pが設けられる。第1対向磁性層11oと第2再生シールド15bとの間に非磁性部11qが設けられる。この例では、第3再生シールド15cと第2磁性層12との間に、磁性部12pが設けられる。第2対向磁性層12oと第4再生シールド15dとの間に非磁性部12qが設けられる。磁性部11p及び磁性部12pは、例えば、IrMn及びPtMnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。磁性部11p及び磁性部12pは、例えば、反強磁性層である。例えば、磁性部11pにより、第1磁性層11の磁化が安定化する。例えば、磁性部12pにより、第2磁性層12の磁化が安定化する。
【0063】
非磁性部11q及び非磁性部12qは、例えば、Ta、Ru、Cu及びCよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。非磁性部11qが設けられることで、例えば、第1対向磁性層11oの磁化が変化し易くなる。非磁性部12qが設けられることで、例えば、第2対向磁性層12oの磁化が変化し易くなる。非磁性部11qは、第1再生素子11Eに含まれても良い。非磁性部12qは、第2再生素子12Eに含まれても良い。
【0064】
例えば、第1対向磁性層11o及び第2対向磁性層12oは、磁化自由層である。第1磁性層11及び第2磁性層12は、参照層である。
【0065】
第1磁性層11と第1対向磁性層11oとの間の電気抵抗が、磁気記録媒体80の磁化83に応じて変化する。これは、例えば、第1対向磁性層11oの磁化が磁気記録媒体80の磁化83に応じて変化することに起因する。
【0066】
第2磁性層12と第2対向磁性層12oとの間の電気抵抗が、磁気記録媒体80の磁化83に応じて変化する。これは、例えば、第2対向磁性層12oの磁化が磁気記録媒体80の磁化83に応じて変化することに起因する。
【0067】
図8に示すように、第1対向磁性層11oの第1方向に沿う厚さを第1厚さt1とする。第2対向磁性層12oの第1方向に沿う厚さを第2厚さt2とする。第1再生部構成CF1においては、第1厚さt1は、第2厚さt2と異なる。例えば、第1厚さt1は、第2厚さt2よりも厚い。このような厚さの差により、第1再生素子11Eと第2再生素子12Eとの間において、感度の差が得られる。
【0068】
実施形態において、第1厚さt1は、第2厚さt2の1.2倍以上3.0倍以下である。第1厚さt1は、例えば、5nm以上15nm以下である。第2厚さt2は、例えば、2nm以上10nm以下である。
【0069】
図8に示すように、第1再生素子11Eと第2再生素子12Eとの間の第1方向(X軸方向)に沿う距離を距離dxとする。距離dxは、例えば50μm以上200μm以下であることが好ましい。安定した再生信号が得易い。距離dxは短いことが好ましい。
【0070】
再生部10Rは、絶縁部材19kを含んで良い。絶縁部材19kの少なくとも一部は、第1再生素子11Eと第2再生素子12Eとの間にある。この例では、絶縁部材19kの少なくとも一部は、第2再生シールド15bと第3再生シールド15cとの間にある。
【0071】
図8に示すように、再生部10Rは、第1磁性部材16a及び第1対向磁性部材16cを含んで良い。Y軸方向において、第1磁性部材16aと第1対向磁性部材16cとの間に、第1再生素子11Eがある。再生部10Rは、第2磁性部材16b及び第2対向磁性部材16dを含んで良い。Y軸方向において、第2磁性部材16bと第2対向磁性部材16dとの間に、第2再生素子12Eがある。第1磁性部材16a、第1対向磁性部材16c、第2磁性部材16b及び第2対向磁性部材16dは、例えば、バイアス磁性層として機能する。これらの磁性部材が設けられることで、第1再生素子11E及び第2再生素子12Eに含まれる磁性層の磁化が安定化する。
【0072】
再生部10Rは、絶縁部材19i及び絶縁部材19jを含んでも良い。絶縁部材19iの少なくとも一部は、第1再生素子11Eと第1磁性部材16aとの間、及び、第1再生素子11Eと第1対向磁性部材16cとの間に設けられる。絶縁部材19jの少なくとも一部は、第2再生素子12Eと第2磁性部材16bとの間、及び、第2再生素子12Eと第2対向磁性部材16dとの間に設けられる。
【0073】
絶縁部材19k、絶縁部材19i及び絶縁部材19jの少なくともいずれかは、例えば、Si、Al、Zr及びHfよりなる群から選択された少なくとも1つと、酸素及び窒素よりなる群から選択された少なくとも1つと、を含んで良い。
【0074】
図9に示すように、第2再生部構成CF2において、第1対向磁性層11oの第2方向に沿う長さを第1長さL1とする。第2方向は、媒体対向面10Fと交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。第2対向磁性層12oの第2方向に沿う長さを第2長さL2とする。例えば、第1長さL1は、第2長さL2よりも長い。このような長さの差により、第1再生素子11Eと第2再生素子12Eとの間において、感度の差が得られる。
【0075】
実施形態において、第1長さL1は、第2長さL2の1.1倍以上2.0倍以下である。第1長さL1は、例えば、20nm以上40nm以下である。第2長さL2は、例えば、15nm以上30nm以下である。
【0076】
図10に示すように、第3再生部構成CF3においても、再生部10Rは、第1磁性部材16a及び第2磁性部材16bを含む。再生部10Rは、第1対向磁性部材16c及び第2対向磁性部材16dを含んでも良い。第1再生素子11Eは、媒体対向面10Fを含む。この場合も、第1再生素子11Eから第2再生素子12Eへの第1方向は、X軸方向(磁気記録媒体80のダウントラック方)に沿う。
【0077】
第1対向磁性層11oから第1磁性部材16aへの方向は、第3方向に沿う。第3方向は、媒体対向面10F(X-Y平面に沿う方向)に沿い、第1方向(X軸方向)と交差する。第3方向は、例えばY軸方向である。第2対向磁性層12oから第2磁性部材16bへの方向は、第3方向に沿う。
【0078】
第1対向磁性層11oと第1磁性部材16aとの間の第3方向に沿う距離を第1距離d1とする。第2対向磁性層12oと第2磁性部材16bとの間の第3方向に沿う距離を第2距離d2とする。第1距離d1は、第2距離d2と異なる。例えば、第1距離d1は、第2距離d2よりも短い。このような距離の差により、第1再生素子11Eと第2再生素子12Eとの間において、感度の差が得られる。第1対向磁性部材16cの構成は、例えば、第1磁性部材16aの構成に対して対称で良い。第2対向磁性部材16dの構成は、例えば、第2磁性部材16bの構成に対して対称で良い。
【0079】
実施形態において、第1~第3再生部構成CF1~CF3の2つ以上が組み合わされて設けられて良い。
【0080】
第1磁性層11及び第2磁性層12の少なくともいずれかは、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1対向磁性層11o及び第2対向磁性層12oの少なくともいずれかは、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nの少なくともいずれかは、金属酸化物(例えばMgOなど)を含む。第1磁性部材16a、第1対向磁性部材16c、第2対向磁性部材16b及び第2対向磁性部材16dの少なくともいずれかは、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0081】
(第3実施形態)
第3実施形態は、磁気再生方法に係る。磁気再生方法は、磁気記録媒体80の第1記録領域80rに記録された情報80iを第1再生素子11Eにより再生して得られた第1電気信号Sr1と、第1記録領域80rに記録された情報80iを第2再生素子12Eにより再生して得られた第2電気信号Sr2と、を取得することを含む(例えば、ステップS11及びステップS12)。図2(a)及び図2(b)に関して説明したように、磁気記録媒体80に記録された磁気信号(磁気信号強度SM)に対する第1再生素子11Eの第1感度は、磁気信号(磁気信号強度SM)に対する第2再生素子12Eの第2感度と異なる。
【0082】
磁気再生方法は、取得した第1電気信号Sr1及び第2電気信号Sr2に基づいて、第1記録領域80rに記録された情報80iに対応する再生信号70sを出力することを含む(例えば、ステップS35)。
【0083】
実施形態に係る磁気再生方法によれば、例えば、エラーをより抑制できる。より高い精度の再生が可能である。より高い線記録密度の磁気記録再生が実施可能である。実施形態によれば、記録再生密度の向上が可能な磁気再生処理方法を提供することができる。
【0084】
実施形態においては、例えば、出力特性が異なる複数の再生素子を用いて再生が行われる。複数の再生素子の少なくとも一方においては、例えば、デコードの全てを行わないで良い。複数の再生素子に関する尤度に関する情報が活用される。これにより、複数の再生素子により、デコードが行われる。
【0085】
一般に、再生素子においては、長い周期磁気パターン(nTパターン)を含めた線形性が適用される。例えば、再生素子の出力特性は、1Tパターンから12Tパターンの間で線形な特性が得られるように、設計される。
【0086】
実施形態においては、複数の再生素子の一方の出力特性が、1Tパターンに近い短い周期パターンで高い感度が得られるように設計される。実用的には、長い周期磁気パターンの発生頻度に比べて、1Tパターンに近い短い周期パターンの発生頻度は、高い。一方、1Tパターンに近い短い周期パターンにおいて発生する再生エラーの発生確率は、長い周期磁気パターンにおいて発生する再生エラーよりも高い。
【0087】
実施形態においては、複数の再生素子の1つの感度は、発生頻度が高く再生エラーの確率が高い短い周期パターンにおいて高くなるように設定される。これにより、再生動作の全体で再生エラーを抑制することができる。
【0088】
以下、磁気記録再生装置の例について説明する。
図11は、実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図11は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0089】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを有する。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに配置される。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0090】
図12は、実施形態に係る磁気記録再生装置を例示する模式的斜視図である。
図12に示すように、実施形態に係る磁気記録再生装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに装着される。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。本実施形態に係る磁気記録再生装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を備えても良い。磁気記録再生装置150は、記録媒体181を含んでもよい。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録再生装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0091】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0092】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0093】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを有する。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを有する。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0094】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0095】
図13(a)及び図13(b)は、実施形態に係る磁気記録再生装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図13(a)は、磁気記録再生装置の一部を例示している。図13(a)は、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。
図13(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する。
【0096】
図13(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0097】
図13(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を有している。
【0098】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0099】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0100】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を有する。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を有しても良い。サスペンション154は、例えばスピントランスファトルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を有しても良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0101】
磁気記録再生装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190は、信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0102】
実施形態に係る磁気記録再生装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする。信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0103】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0104】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
磁気記録媒体の第1記録領域に記録された情報を第1再生素子により再生して得られた第1電気信号と、前記第1記録領域に記録された前記情報を第2再生素子により再生して得られた第2電気信号と、を取得可能な取得部であって、前記磁気記録媒体に記録された磁気信号に対する前記第1再生素子の第1感度は、前記磁気信号に対する前記第2再生素子の第2感度と異なる、前記取得部と、
前記取得部により取得された前記第1電気信号及び前記第2電気信号に基づいて、前記第1記録領域に記録された情報に対応する再生信号を出力可能な処理部と、
を備えた、磁気再生処理装置。
【0105】
(構成2)
前記第1記録領域における磁気信号強度は、最小記録パターンに対応する1Tパターン強度を含み、
前記第1電気信号は、前記1Tパターン強度に対応する第1パターン信号を含み、
前記第2電気信号は、前記1Tパターン強度に対応する第2パターン信号を含み、
前記第2パターン信号の強度は、前記第1パターン信号の強度よりも高い、構成1に記載の磁気再生処理装置。
【0106】
(構成3)
前記第2パターン信号の前記強度は、前記第1パターン信号の前記強度の1.1倍以上である、構成2に記載の磁気再生処理装置。
【0107】
(構成4)
前記磁気信号強度は、前記最小記録パターンのn倍(nは3以上の整数)に対応するnTパターン強度を含み、
前記第1電気信号は、前記nTパターン強度に対応する第3パターン信号を含み、
前記第2電気信号は、前記nTパターン強度に対応する第4パターン信号を含み、
前記第1パターン信号の前記強度と前記第2パターン信号の前記強度との差の絶対値は、前記第3パターン信号の強度と前記第4パターン信号の強度との差の絶対値よりも大きい、構成1または2に記載の磁気再生処理装置。
【0108】
(構成5)
前記第1パターン信号と前記第3パターン信号との間において、前記第1電気信号の強度は、前記磁気信号強度に対して実質的に線形に変化する、構成4に記載の磁気再生処理装置。
【0109】
(構成6)
前記磁気信号強度は、前記最小記録パターンのm倍(mはn-1である)に対応するmTパターン強度を含み、
前記第2電気信号は、前記mTパターン強度に対応する第5パターン信号を含み、
前記第5パターン信号の強度と前記第4パターン信号の前記強度との差の絶対値は、前記第2パターン信号の前記強度と前記第4パターン信号の前記強度との差の絶対値の1/mよりも小さい、構成4または5に記載の磁気再生処理装置。
【0110】
(構成7)
前記処理部は、
前記取得部が取得した前記第1電気信号を波形処理する第1波形等化部と、
前記取得部が取得した前記第2電気信号を波形処理する第2波形等化部と、
前記第1波形等化部からの信号を処理する第1信号処理部と、
前記第2波形等化部からの信号を処理する第2信号処理部と、
前記第1信号処理部の第1出力信号、及び、前記第2信号処理部の第2出力信号に基づいて前記再生信号を導出可能な処理回路と、
を含む、構成1~6のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【0111】
(構成8)
前記第1出力信号は、前記第1波形等化部からの前記信号に関する第1尤度を含み、
前記第2出力信号は、前記第2波形等化部からの前記信号に関する第2尤度を含む、構成7に記載の磁気再生処理装置。
【0112】
(構成9)
前記処理回路は、前記第1出力信号、及び、前記第2出力信号を入力とするニューラルネットワーク処理部を含む、構成7または8に記載の磁気再生処理装置。
【0113】
(構成10)
前記処理回路の処理結果の少なくとも一部が、前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部に入力され、
前記第1信号処理部の動作、前記第2信号処理部の動作、及び、前記処理回路の動作が反復して実施される、構成7~9のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【0114】
(構成11)
前記第1信号処理部の処理結果の少なくとも一部が前記第2信号処理部に供給され、
前記第2信号処理部は、前記第1信号処理部の前記処理結果の前記少なくとも一部を用いて、前記第2波形等化部の前記信号を処理可能である、構成7~10のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【0115】
(構成12)
前記第2信号処理部の処理結果の少なくとも一部が前記第1信号処理部に供給され、
前記第1信号処理部は、前記第2信号処理部の前記処理結果の前記少なくとも一部を用いて、前記第1波形等化部の前記信号を処理可能である、構成7~11のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【0116】
(構成13)
前記第1波形等化部及び前記第2波形等化部の少なくともいずれかは、PR(Partial-Response)回路を含む、構成7~12のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【0117】
(構成14)
前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部の少なくともいずれかは、PRML(Partial-Response Maximum-Likelihood)回路を含む、構成7~13のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【0118】
(構成15)
前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部の少なくともいずれかは、LDPC(Low Density Parity Check)復号器を含む、構成7~14のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置。
【0119】
(構成16)
構成1~15のいずれか1つに記載の磁気再生処理装置と、
前記第1再生素子及び前記第2再生素子を含む再生部を含む磁気ヘッドと、
を備えた磁気記録再生装置。
【0120】
(構成17)
前記第1再生素子から前記第2再生素子への第1方向は、前記磁気記録媒体のダウントラック方向に沿い、
前記第1再生素子は、第1磁性層と、第1対向磁性層と、前記第1方向において前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含み、
前記第2再生素子は、第2磁性層と、第2対向磁性層と、前記第1方向において前記第2磁性層と前記第2対向磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、を含み、
前記第1対向磁性層の第1方向に沿う第1厚さは、前記第2対向磁性層の前記第1方向に沿う第2厚さと異なる、構成16に記載の磁気記録再生装置。
【0121】
(構成18)
前記第1再生素子は、前記磁気記録媒体と対向する媒体対向面を含み、
前記第1再生素子から前記第2再生素子への第1方向は、前記磁気記録媒体のダウントラック方向に沿い、
前記第1再生素子は、第1磁性層と、第1対向磁性層と、前記第1方向において前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含み、
前記第2再生素子は、第2磁性層と、第2対向磁性層と、前記第1方向において前記第2磁性層と前記第2対向磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、を含み、
前記第1対向磁性層の第2方向に沿う第1長さは、前記第2対向磁性層の前記第2方向に沿う第2長さとは異なり、前記第2方向は、前記媒体対向面と交差する、構成16に記載の磁気記録再生装置。
【0122】
(構成19)
前記再生部は、第1磁性部材及び第2磁性部材を含み、
前記第1再生素子は、前記磁気記録媒体と対向する媒体対向面を含み、
前記第1再生素子から前記第2再生素子への第1方向は、前記磁気記録媒体のダウントラック方向に沿い、
前記第1再生素子は、第1磁性層と、第1対向磁性層と、前記第1方向において前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含み、
前記第2再生素子は、第2磁性層と、第2対向磁性層と、前記第1方向において前記第2磁性層と前記第2対向磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、を含み、
前記第1対向磁性層から前記第1磁性部材への方向は、第3方向に沿い、
前記第2対向磁性層から前記第2磁性部材への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第3方向は、前記媒体対向面に沿い前記第1方向と交差し、
前記第1対向磁性層と前記第1磁性部材との間の前記第3方向に沿う第1距離は、前記第2対向磁性層と前記第2磁性部材との間の前記第3方向に沿う第2距離とは異なる、構成16に記載の磁気記録再生装置。
【0123】
(構成20)
磁気記録媒体の第1記録領域に記録された情報を第1再生素子により再生して得られた第1電気信号と、前記第1記録領域に記録された前記情報を第2再生素子により再生して得られた第2電気信号と、を取得し、前記磁気記録媒体に記録された磁気信号に対する前記第1再生素子の第1感度は、前記磁気信号に対する前記第2再生素子の第2感度と異なり、
前記取得した前記第1電気信号及び前記第2電気信号に基づいて、前記第1記録領域に記録された情報に対応する再生信号を出力する、磁気再生方法。
【0124】
実施形態によれば、記録再生密度の向上が可能な磁気再生処理装置、磁気記録再生装置及び磁気再生方法が提供できる。
【0125】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0126】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気再生処理装置に含まれる取得部及び処理部、並びに、磁気記録再生装置に含まれる、磁気ヘッド、再生部、再生素子、磁性層、非磁性層、及び記録部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0127】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0128】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気再生処理装置、磁気記録再生装置及び磁気再生方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気再生処理装置、磁気記録再生装置及び磁気再生方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0129】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
10F…媒体対向面、 10R…再生部、 11、12…第1、第2磁性層、 11E、12E…第1、第2再生素子、 11n、12n…第1、第2非磁性層、 11o、12o、第1、第2対向磁性層、 11p、12p…磁性部、 11q、12q…非磁性部、 15a~15d…第1~第4再生シールド、 16a、16b…第1、第2磁性部材、 16c、16d…第1、第2対向磁性部材、 19i、19j、19k…絶縁部材、 20…磁気素子、 31、32…第1、第2磁極、 60…記録部、 70…磁気再生処理装置、 70s…再生信号、 71a、71b…第1、第2波形等化部、 71p、71q…信号、 72a、72b…第1、第2信号処理部、 72p、72q…処理結果、 73a、73b…第1、第2ターゲット部、 74…処理回路、 74p…処理結果、 75…処理部、 76…取得部、 78a、78b…第1、第2出力信号、 79a、79b…第1、第2尤度、 80…磁気記録媒体、 80i…情報、 80r…第1記録領域、 81…磁気記録層、 82…媒体基板、 83…磁化、 85…媒体移動方向、 110…磁気ヘッド、 150…磁気記録再生装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 210…磁気記録再生装置、 AR…矢印、 CF1~CF3…第1~第3再生部構成、 L1、L2…第1、第2長さ、 RR1…感度比、 SE…電気信号強度、 SM…磁気信号強度、 Se1~Se5…第1~第5パターン信号、 Sr1、Sr2…第1、第2電気信号、 d1、d2…第1、第2距離、 dx…距離、 t1、t2…第1、第2厚さ
図1
図2
図3
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