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特許7510425含窒素ヘテロアリール化合物のオニウム塩および有害生物防除剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】含窒素ヘテロアリール化合物のオニウム塩および有害生物防除剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/56 20060101AFI20240626BHJP
   C07D 237/08 20060101ALI20240626BHJP
   C07D 241/12 20060101ALI20240626BHJP
   C07D 249/08 20060101ALI20240626BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240626BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240626BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20240626BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 31/4425 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20240626BHJP
   A61K 31/50 20060101ALI20240626BHJP
   A01N 43/58 20060101ALI20240626BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20240626BHJP
   A01N 43/60 20060101ALI20240626BHJP
   A01N 43/50 20060101ALI20240626BHJP
   A01N 43/78 20060101ALI20240626BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20240626BHJP
   A01N 43/80 20060101ALI20240626BHJP
   A01N 43/52 20060101ALI20240626BHJP
   A01P 7/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
C07D233/56 CSP
C07D237/08
C07D241/12
C07D249/08 536
C07D401/12
C07D401/14
C07D403/12
A61P33/00
A61K31/4164
A61K31/4196
A61K31/4425
A61K31/4439
A61K31/444
A61K31/50
A01N43/58 A
A01N43/653 M
A01N43/60
A01N43/50 A
A01N43/78 A
A01N43/56 C
A01N43/80 102
A01N43/52
A01P7/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021545566
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2020034092
(87)【国際公開番号】W WO2021049522
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2019166676
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】柴山 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛人
(72)【発明者】
【氏名】田口 莉帆
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 孝男
(72)【発明者】
【氏名】岩田 賢人
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-104068(JP,A)
【文献】REGISTRY(STN)[online],2011年03月03日,[検索日 2024年3月7日], CAS登録番号 1266249-37-9
【文献】REGISTRY(STN)[online],2011年03月02日,[検索日 2024年3月7日], CAS登録番号 1265907-92-3
【文献】J. Org. Chem.,2019年,Vol.84,pp.13022-13032
【文献】J.Org.Chem.,1993年,Vol.58,pp.5323-5328
【文献】Journal of Photopolymer Science and Technology,1995年,Vol.8, No.1,pp.119-124
【文献】Journal of Photopolymer Science and Technology,1996年,Vol.9,No.1,pp. 93-94
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
A01N
A01P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物。
【化1】
(式(I)中
1、イミダゾール環、1,2,4-トリアゾール環、ピラジン環、またはピリダジン環を示し、
1は、窒素原子または炭素原子を示し、
1、ハロゲノ基置換若しくは無置換のC1~6アルキル基を示し、
mは、X1の数を示し、且つQ1 がイミダゾール環、または1,2,4-トリアゾール環である場合、1~3のいずれかの整数であり、Q1 がピラジン環、またはピリダジン環である場合、0~3のいずれかの整数であり、
隣接する炭素原子上のXは一緒になって、それら2つの炭素原子を含む、シクロヘキセン環を形成してもよく、
Aは、酸素原子を示し、
Yは、単結合、または、ハロゲノ基置換若しくはC1~6アルキル基換のC2~6アルケニレン基を示し、
2は、ベンゼン環、まはピリジン環を示し、
2、置換C1~6アルキル基、置換C1~6アルコキシ基、置換フェニル基、置換フェノキシ基または、換ピリジル基を示し、置換C1~6アルキル基または置換C1~6アルコキシ基上の置換基がハロゲノ基であり、置換フェニル基、置換フェニル基、置換フェノキシ基、または置換ピリジル基上の置換基がC1~6ハロアルキル基またはC1~6ハロアルコキシ基であり、
3 は、ハロゲノ基、無置換のC1~6アルキル基、またはシアノ基を示し、
nは、X3の数を示し、且つQ2がベンゼン環である場合、0~4のいずれかの整数であり、Q2 がピリジン環である場合、0~3のいずれかの整数である。)
ただし、下記化合物を除く。
【化2】
【請求項2】
請求項1に記載の化合物から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する殺虫若しくは殺ダニ剤。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する外部寄生虫防除剤。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する内部寄生虫防除または駆除剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含窒素ヘテロアリール化合物のオニウム塩および有害生物防除剤に関する。より詳細に、本発明は、優れた殺虫活性および/または殺ダニ活性を有し、安全性に優れ、かつ工業的に有利に合成できる含窒素ヘテロアリール化合物のオニウム塩ならびにこれを有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。
本願は、2019年9月12日に、日本に出願された特願2019-166676号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
殺虫・殺ダニ活性を有する化合物が種々提案されている。そのような化合物を農薬として実用するためには、効力が十分に高いだけでなく、薬剤抵抗性が生じ難いこと、植物に対する薬害や土壌汚染を生じさせないこと、家畜や魚類などに対する毒性が低いことなどが要求される。
【0003】
ところで、特許文献1には、有害生物の防除効果を有する式(A)などで表されるピリジニウム塩が開示されている。
【0004】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO 2019/107348 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、有害生物防除活性、その中でも特に殺虫活性および/または殺ダニ活性に優れ、安全性に優れ、かつ工業的に有利に合成できる含窒素ヘテロアリール化合物のオニウム塩(以下、簡単のために、芳香環状第4級アンモニウム化合物(aromacyclic quaternary ammonium compound)ということがある。)を提供することである。本発明の別の課題は、芳香環状第4級アンモニウム化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤、殺虫もしくは殺ダニ剤、外部寄生虫防除剤、または内部寄生虫防除もしくは駆除剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく検討した結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
〔1〕 式(I)または式(II)で表される化合物。
【0008】
【化2】
【0009】
式(I)および(II)中、
1は、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,4-トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、またはピリダジン環を示し、
1は、窒素原子または炭素原子を示し、
1は、ハロゲノ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、またはシアノ基を示し、
mは、X1の数を示し、且つQ1がピラゾール環、イミダゾール環、または1,2,4-トリアゾール環である場合、1~3のいずれかの整数であり、Q1がオキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、またはピリダジン環である場合、0~3のいずれかの整数であり、
隣接する炭素原子上のXは一緒になって、それら2つの炭素原子を含む、シクロヘキセン環を形成してもよく、
Aは、酸素原子または硫黄原子を示し、
Yは、単結合、または置換若しくは無置換のC2~6アルケニレン基を示し、
2は、ベンゼン環、ナフタレン環、または5~10員ヘテロアリール環を示し、
2は、ハロゲノ基、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、水酸基、置換もしくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニルオキシ基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニルオキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基、ホルミル基、R-CO-で表される基、RO-CO-で表される基、アミノ基、RNH-で表される基、R2N-で表される基、RCONH-で表される基、RO-CONH-で表される基、カルバモイル基、RNH-CO-で表される基、R2N-CO-で表れる基、RO-N=CH-で表される基、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、またはシアノ基を示し、
Rは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、または置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基を示し、
3は、ハロゲノ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、ニトロ基、またはシアノ基を示し、
nは、X3の数を示し、且つQ2がベンゼン環である場合、0~4のいずれかの整数であり、Q2が5~6員ヘテロアリール環である場合、0~3のいずれかの整数であり、
隣接する炭素原子上のXとXは一緒になって、それら2つの炭素原子を含む、置換若しくは無置換の5員ヘテロ環を形成してもよく、
q-は、対イオンを示し、且つ
qは、対イオンの価数を示し且つ1または2である。
〔2〕 〔1〕に記載の化合物から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する有害生物防除剤。
〔3〕 〔1〕に記載の化合物から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する殺虫若しくは殺ダニ剤。
〔4〕 〔1〕に記載の化合物から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する外部寄生虫防除剤。
〔5〕 〔1〕に記載の化合物から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する内部寄生虫防除または駆除剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物は、農作物や衛生面で問題となる有害生物を防除する機能を有する。本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物を含有する防除剤は、有害生物、特に農業害虫およびダニ類をより低濃度で効果的に防除することができ、さらに人畜を害することがある外部寄生虫および内部寄生虫を効果的に防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物は、式(I)で表わされる化合物(分子内塩)または式(II)で表わされる化合物(分子間塩)である。分子内塩は、一分子内にカチオン中心とアニオン中心を有する化合物、すなわち、双性イオンである。分子間塩は、カチオンとアニオンとがイオン会合してなる化合物、すなわち、イオン対である。
【0012】
【化3】
【0013】
ここで、「無置換」の用語は、母核となる基のみであることを意味する。「置換」との記載がなく母核となる基の名称のみで記載しているときは、別段の断りがない限り「無置換」の意味である。
一方、「置換」の用語は、母核となる基のいずれかの水素原子が、母核と同一または異なる構造の基(置換基)で置換されていることを意味する。従って、「置換基」は、母核となる基に結合した他の基である。置換基は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。2つ以上の置換基は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
「C1~6」などの用語は、母核となる基の炭素原子数が1~6個などであることを表している。この炭素原子数には、置換基の中に在る炭素原子の数を含まない。例えば、置換基としてエトキシ基を有するブチル基は、C2アルコキシC4アルキル基に分類する。
【0014】
「置換基」は化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。以下に「置換基」となり得る基を例示する。
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基などのC2~6アルケニル基;
エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基などのC2~6アルキニル基;
【0015】
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、キュバニル基などのC3~8シクロアルキル基;
フェニル基、ナフチル基などのC6~10アリール基;
ベンジル基、フェネチル基などのC6~10アリールC1~6アルキル基;
3~6員ヘテロシクリル基;
3~6員へテロシクリルC1~6アルキル基;
【0016】
水酸基;
メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;
ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基などのC2~6アルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基などのC2~6アルキニルオキシ基;
フェノキシ基、ナフトキシ基などのC6~10アリールオキシ基;
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのC6~10アリールC1~6アルコキシ基;
チアゾリルオキシ基、ピリジルオキシ基などの5~6員ヘテロアリールオキシ基;
チアゾリルメチルオキシ基、ピリジルメチルオキシ基などの5~6員ヘテロアリールC1~6アルキルオキシ基;
【0017】
ホルミル基;
アセチル基、プロピオニル基などのC1~6アルキルカルボニル基;
ホルミルオキシ基;
アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのC1~6アルキルカルボニルオキシ基;
ベンゾイル基などのC6~10アリールカルボニル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基などのC1~6アルコキシカルボニル基;
メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオキシ基、i-プロポキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基、t-ブトキシカルボニルオキシ基などのC1~6アルコキシカルボニルオキシ基;
カルボキシル基;
【0018】
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;
クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基などのC1~6ハロアルキル基;
2-クロロ-1-プロペニル基、2-フルオロ-1-ブテニル基などのC2~6ハロアルケニル基;
4,4-ジクロロ-1-ブチニル基、4-フルオロ-1-ペンチニル基、5-ブロモ-2-ペンチニル基などのC2~6ハロアルキニル基;
トリフルオロメトキシ基、2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基;
2-クロロプロペニルオキシ基、3-ブロモブテニルオキシ基などのC2~6ハロアルケニルオキシ基;
クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基などのC1~6ハロアルキルカルボニル基;
【0019】
アミノ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのC1~6アルキル置換アミノ基;
アニリノ基、ナフチルアミノ基などのC6~10アリールアミノ基;
ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基などのC6~10アリールC1~6アルキルアミノ基;
ホルミルアミノ基;
アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i-プロピルカルボニルアミノ基などのC1~6アルキルカルボニルアミノ基;
メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、i-プロポキシカルボニルアミノ基などのC1~6アルコキシカルボニルアミノ基;
カルバモイル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N-フェニル-N-メチルアミノカルボニル基などの無置換若しくは置換基を有するアミノカルボニル基;
イミノメチル基、(1-イミノ)エチル基、(1-イミノ)-n-プロピル基などのイミノC1~6アルキル基;
N-ヒドロキシ-イミノメチル基、(1-(N-ヒドロキシ)-イミノ)エチル基、(1-(N-ヒドロキシ)-イミノ)プロピル基、N-メトキシ-イミノメチル基、(1-(N-メトキシ)-イミノ)エチル基などの置換若しくは無置換のN-ヒドロキシイミノC1~6アルキル基;
アミノカルボニルオキシ基;
エチルアミノカルボニルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルオキシ基などのC1~6アルキル置換アミノカルボニルオキシ基;
【0020】
メルカプト基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1~6アルキルチオ基;
トリフルオロメチルチオ基、2,2,2-トリフルオロエチルチオ基などのC1~6ハロアルキルチオ基;
フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのC6~10アリールチオ基;
チアゾリルチオ基、ピリジルチオ基などの5~6員ヘテロアリールチオ基;
【0021】
メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基などのC1~6アルキルスルフィニル基;
トリフルオロメチルスルフィニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルフィニル基などのC1~6ハロアルキルスルフィニル基;
フェニルスルフィニル基などのC6~10アリールスルフィニル基;
チアゾリルスルフィニル基、ピリジルスルフィニル基などの5~6員ヘテロアリールスルフィニル基;
【0022】
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基などのC1~6アルキルスルホニル基;
トリフルオロメチルスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニル基などのC1~6ハロアルキルスルホニル基;
フェニルスルホニル基などのC6~10アリールスルホニル基;
チアゾリルスルホニル基、ピリジルスルホニル基などの5~6員ヘテロアリールスルホニル基;
メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、t-ブチルスルホニルオキシ基などのC1~6アルキルスルホニルオキシ基;
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニルオキシ基などのC1~6ハロアルキルスルホニルオキシ基;
【0023】
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基などのトリC1~6アルキル置換シリル基;
トリフェニルシリル基などのトリC6~10アリール置換シリル基;
ペンタフルオロスルファニル基;
シアノ基;ニトロ基;
【0024】
また、これらの「置換基」は、前記置換基中のいずれかの水素原子が、異なる構造の基で置換されていてもよい。その場合の「置換基」としては、C1~6アルキル基、C1~6ハロアルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルコキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基などを挙げることができる。
【0025】
また、上記の「3~6員ヘテロシクリル基」は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1~4個のヘテロ原子を環構成原子として含む3員環、4員環、5員環または6員環である。ヘテロシクリル基は、単環および多環のいずれであってもよい。多環ヘテロシクリル基は、少なくとも一つの環がヘテロ環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環、または芳香環のいずれであってもよい。「3~6員ヘテロシクリル基」としては、3~6員飽和ヘテロシクリル基、5~6員ヘテロアリール基、5~6員部分不飽和ヘテロシクリル基などを挙げることができる。
【0026】
3~6員飽和ヘテロシクリル基としては、アジリジニル基、エポキシ基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、チアゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などを挙げることができる。
【0027】
5員ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などを挙げることができる。
6員ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基などを挙げることができる。
【0028】
〔Zq-
式(II)中、Zq-は、対イオンを示し、qは、対イオンの価数を示し且つ1または2である。一価の陰イオンZ-の具体例としては、Cl-、Br-、I-、NO3 -、CH3COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、TolSO3 -などを挙げることができる。二価の陰イオンZ2-の具体例としては、SO4 2-などを挙げることができる。Tolは、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基またはp-メチルフェニル基を示す略号である。
【0029】
本発明においては、Zq-としては、一価の陰イオンZ-が好ましく、具体的にはCl-、Br-、I-が好ましい。
【0030】
〔Q1
式(I)および(II)中、Q1は、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,4-トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、またはピリダジン環を示し、G1は、窒素原子または炭素原子を示す。
【0031】
〔X1、m〕
式(I)および(II)中、X1は、ハロゲノ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
mは、X1の数を示し、且つQ1がピラゾール環、イミダゾール環、または1,2,4-トリアゾール環である場合、1~3のいずれかの整数であり、Q1がオキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、またはピリダジン環である場合、0~3のいずれかの整数である。mが2以上であるとき、X1は、相互に、同じでもよいし、異なってもよい。
また、隣接する炭素原子上のXは一緒になって、それら2つの炭素原子を含む、シクロヘキセン環を形成してもよい。
【0032】
1における「ハロゲノ基」としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などを挙げることができる。
【0033】
1における「C1~6アルキル基」は、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。X1における「C1~6アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、i-ヘキシル基などを挙げることができる。
【0034】
1における「C2~6アルケニル基」としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基などを挙げることができる。
【0035】
1における「C2~6アルキニル基」としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-メチル-3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、2-メチル-3-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、1,1-ジメチル-2-ブチニル基などを挙げることができる。
【0036】
1における「C1~6アルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、i-プロポキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、i-ヘキシルオキシ基などを挙げることができる。
【0037】
1における「C1~6アルキルチオ基」は、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、i-プロピルチオ基などを挙げることができる。
【0038】
1における「C1~6アルキルスルフィニル基」としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基などを挙げることができる。
【0039】
1における「C1~6アルキルスルホニル基」としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基などを挙げることができる。
【0040】
1における「C1~6アルキル基」、「C2~6アルケニル基」、「C2~6アルキニル基」、「C1~6アルコキシ基」、「C1~6アルキルチオ基」、「C1~6アルキルスルフィニル基」、または「C1~6アルキルスルホニル基」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; フェニル基、ナフチル基などのC6~10アリール基; 4-クロロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメトキシフェニル基などの、ハロゲノ基、C1~6ハロアルキル基、またはC1~6ハロアルコキシ基で置換されたC6~10アリール基; またはシアノ基; が好ましい。
【0041】
1における「C3~8シクロアルキル基」としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などを挙げることができる。
【0042】
1における「C6~10アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
【0043】
1における「5~6員ヘテロアリール基」は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1、2,3または4個のヘテロ原子を環構成原子として含む5員環または6員環である。ヘテロ原子が2個以上であるとき、それらは同じでもよいし、異なってもよい。
5員ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などを挙げることができる。
6員ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基などを挙げることができる。
【0044】
1における「C3~8シクロアルキル基」、「C6~10アリール基」、または「5~6員ヘテロアリール基」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基; クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基などのC1~6ハロアルキル基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; またはシアノ基; が好ましい。
【0045】
本発明においては、X1としては、ハロゲノ基;フェニル基置換、ハロゲノ基置換若しくは無置換のC1~6アルキル基;またはハロゲノ基置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基が好ましく、ハロゲノ基置換若しくは無置換のC1~6アルキル基がより好ましい。
【0046】
1における「フェニル基置換のC1~6アルキル基」としては、ベンジル基、フェネチル基などを挙げることができる。
1における「ハロゲノ基置換のC1~6アルキル基」としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,2,1,1-ペンタフルオロエチル基などを挙げることができる。
1における「ハロゲノ基置換のC1~6アルコキシ基」としては、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2-ジフルオロエトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,1,1-テトラフルオロエトキシ基、2,2,2,1,1-ペンタフルオロエトキシ基などを挙げることができる。
【0047】
1を含むQ1部分(芳香環状第4級アンモニウムカチオン)の構造を具体的に以下に示す。部分構造中の「-*」は、式(I)においては「N-」との結合を示し、式(II)においては「NH」との結合を示す。
【0048】
【化4】
【0049】
本発明においては、X1を含むQ1部分としては、具体例に示された構造の内で、Q-2、Q-5、Q-8、Q-10またはQ-12が好ましく、Q-5、Q-8、またはQ-10がより好ましい。
【0050】
〔A〕
式(I)および(II)中、Aは、酸素原子または硫黄原子を示す。
本発明のおいては、Aとしては、酸素原子が好ましい。
【0051】
〔Y〕
Yは、単結合、または置換若しくは無置換のC2~6アルケニレン基を示す。
Yにおける「C2~6アルケニレン基」上の置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基などのC1~6アルキル基; クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基などのC1~6ハロアルキル基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; メトキシメチル基などのC1~6アルコキシC1~6アルキル基; メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1~6アルキルチオ基; メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基などのC1~6アルキルスルフィニル基; またはメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基などのC1~6アルキルスルホニル基; が好ましい。
【0052】
本発明においては、Yとしては、単結合;あるいは、置換(ハロゲノ基若しくはC1~6アルキル基で置換)、若しくは、無置換のC2~6アルケニレン基が好ましい。
【0053】
〔Q2
2は、ベンゼン環、ナフタレン環、または5~10員ヘテロアリール環を示す。
「5~10員ヘテロアリール環」は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1~4個のヘテロ原子を環構成原子として含む5~10員の芳香環である。ヘテロアリール環は、単環および多環のいずれであってもよい。
5員ヘテロアリール環としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、テトラゾール環などを挙げることができる。
6員ヘテロアリール環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環などを挙げることができる。
9員ヘテロアリール環としては、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサオゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環などが挙げられる。
10員ヘテロアリール環としては、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環などが挙げられる。
本発明においては、Qとしては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、またはベンゾチアゾール環が好ましく、ベンゼン環またはピリジン環がより好ましい。
【0054】
〔X2、R〕
2は、ハロゲノ基、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、水酸基、置換もしくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニルオキシ基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニルオキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基、ホルミル基、R-CO-で表される基、RO-CO-で表される基、アミノ基、RNH-で表される基、R2N-で表される基、RCONH-で表される基、RO-CONH-で表される基、カルバモイル基、RNH-CO-で表される基、R2N-CO-で表れる基、RO-N=CH-で表される基、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
【0055】
2における、ハロゲノ基、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、水酸基、置換もしくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、または置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基の具体例としては、X1におけるそれらと同じものを挙げることができる。
【0056】
2における「C2~6アルケニルオキシ基」としては、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基などを挙げることができる。
【0057】
2における「C2~6アルキニルオキシ基」としては、エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基などを挙げることができる。
【0058】
2における「C3~8シクロアルキルオキシ基」としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基などを挙げることができる。
2における「C6~10アリールオキシ基」としては、フェノキシ基、ナフトキシ基などを挙げることができる。
2における「5~6員ヘテロアリールオキシ基」は、5~6員ヘテロアリール基とオキシ基が結合した構造を有する。具体例としては、チアゾリルオキシ基、ピリジルオキシ基などを挙げることができる。
【0059】
2における「C2~6アルケニルオキシ基」、「C2~6アルキニルオキシ基」、または「C3~8シクロアルキルオキシ基」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基; クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基などのC1~6ハロアルキル基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; またはシアノ基; が好ましい。
【0060】
2における「R-CO-で表される基」、「RO-CO-で表される基」、「RNH-で表される基」、「R2N-で表される基」、「RCONH-で表される基」、「RO-CONH-で表される基」、「RNH-CO-で表される基」、「R2N-CO-で表れる基」、または「RO-N=CH-で表される基」中、Rは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、または置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基を示す。
【0061】
Rにおける「C1~6アルキル基」は、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。Rにおける「C1~6アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、i-ヘキシル基などを挙げることができる。「C1~6アルキル基」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; フェニル基、ナフチル基などのC6~10アリール基; 4-クロロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメトキシフェニル基などの、ハロゲノ基、C1~6ハロアルキル基、またはC1~6ハロアルコキシ基で置換されたC6~10アリール基; またはシアノ基; が好ましい。
【0062】
Rにおける「C6~10アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
Rにおける「5~6員ヘテロアリール基」は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1、2,3または4個のヘテロ原子を環構成原子として含む5員環または6員環である。ヘテロ原子が2個以上であるとき、それらは同じでもよいし、異なってもよい。
5員ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などを挙げることができる。
6員ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基などを挙げることができる。
【0063】
Rにおける「C6~10アリール基」または「5~6員ヘテロアリール基」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基; クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基などのC1~6ハロアルキル基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; またはシアノ基; が好ましい。
【0064】
本発明においては、X2としては、ハロゲノ基、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換もしくは無置換のC2~6アルケニル基、置換もしくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基、または置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基が好ましく、ハロゲノ基、置換もしくは無置換のC1~6アルキル基、置換もしくは無置換のC2~6アルケニル基、置換もしくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のフェノキシ基、置換若しくは無置換のイソオキサゾリル基、または置換若しくは無置換のピリジル基がより好ましい。
【0065】
2における「C1~6アルキル基」、「C2~6アルケニル基」、または「C1~6アルコキシ基」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; フェニル基、ナフチル基などのC6~10アリール基; 4-クロロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメトキシフェニル基などの、ハロゲノ基、C1~6ハロアルキル基、またはC1~6ハロアルコキシ基で置換されたC6~10アリール基; フェノキシ基などのC6~10アリール基; 4-クロロフェノキシ基、4-トリフルオロメチルフェノキシ基、4-トリフルオロメトキシフェノキシ基などの、ハロゲノ基、C1~6ハロアルキル基、またはC1~6ハロアルコキシ基で置換されたC6~10アリールオキシ基、またはシアノ基; が好ましく、ハロゲノ基またはC1~6ハロアルコキシ基がより好ましい。
【0066】
2における「C6~10アリール基」、「C6~10アリールオキシ基」、「5~6員ヘテロアリール基」、または「5~6員ヘテロアリールオキシ基」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基; クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基などのC1~6ハロアルキル基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; またはシアノ基; が好ましく、C1~6ハロアルキル基またはC1~6ハロアルコキシ基がより好ましい。
【0067】
また、本発明においては、Xとしては、RO-CO-で表される基、RCONH-で表される基、RO-CONH-で表される基、またはRO-N=CH-で表される基も好ましい。
Rは、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基が好ましく、ハロゲノ基置換若しくは無置換のC1~6アルキル基がより好ましい。
【0068】
〔X3、n〕
3は、ハロゲノ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
nは、X3の数を示し、且つQ2がベンゼン環である場合、0~4のいずれかの整数、好ましくは0~2のいずれかの整数であり、Q2が5~6員ヘテロアリール環である場合、0~3のいずれかの整数、好ましくは0または1である。nが2以上であるとき、X3は、相互に、同じでもよいし、異なってもよい。
3におけるこれらの基の具体例としては、X1において例示したものと同じものを挙げることができる。
【0069】
本発明においては、Xとしては、ハロゲノ基;ハロゲノ基置換若しくは無置換のC1~6アルキル基;ハロゲノ基置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基;ニトロ基;またはシアノ基が好ましく、ハロゲノ基;無置換のC1~6アルキル基;またはシアノ基がより好ましい。
【0070】
また、隣接する炭素原子上のXとXは一緒になって、それら2つの炭素原子を含む、置換若しくは無置換の5員ヘテロ環を形成してもよい。先の「5員ヘテロ環」は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1、2,または3個のヘテロ原子を環構成原子として含む5員環である。ヘテロ原子が2個以上であるとき、それらは同じでもよいし、異なってもよい。
その具体例としては、2,3-ジヒドロフラン環、2,5-ジヒドロフラン環、1,3-ジオキソール環などの部分不飽和の含酸素ヘテロ環;フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環などの5員ヘテロアリール環などを挙げることができる。
【0071】
「5員ヘテロ環」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基; クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基などのC1~6ハロアルキル基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; またはシアノ基; が好ましい。
【0072】
本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物は、その製造方法によって特に限定されない。例えば、本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物(以下、「本発明化合物」と言うことがある。)は、公知の反応を用いて実施例などに記載した手順にて得ることができる。
【0073】
本発明化合物は、例えば以下の様な方法で製造することもできる。
〔N-アミノオニウム塩の製造〕
【0074】
【化5】
【0075】
ヘテロアリール化合物(1)と、O-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン(2)を反応させることで、N-アミノオニウム塩(3)を調製することができる。
O-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン以外でも、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸、O-(ジフェニルホスフィニル)ヒドロキシルアミンなども用いることができる。
なお、反応式中のG、Q、X、mは、上記式(I)および式(II)中のそれらと同様の意味を示す。
【0076】
【化6】
【0077】
N-アミノオニウム塩(3)は、そのまま次のカルボン酸化合物(5)との縮合に用いることができるが、基質の安定性を考慮する必要がある場合は、塩交換し、ヨウ化物塩としたN-アミノオニウム塩(4)にして、用いることができる。
なお、反応式中のG、Q、X、mは、上記式(I)および式(II)中のそれらと同様の意味を示す。
〔縮合反応〕
【0078】
【化7】
【0079】
N-アミノオニウム塩(3)または(4)と、カルボン酸化合物(5)は、アミド合成に用いられている縮合剤の存在下縮合させることで、本発明化合物(6)を製造することができる。
縮合剤としては、DCC(dicyclohexylcarbodiimide)、DIC(diisopropylcarbodiimide)、EDI(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide)などを挙げることができる。
なお、反応式中のG、Q、X、mは、上記式(I)および式(II)中のそれらと同様の意味を示し、Zは、上記式(I)および式(II)中のXおよび(X)nを有するQが結合したY部分を示す。Q上の置換基は、この縮合反応後に適宜変換することができる。
また、上記式(I)および式(II)中のAが硫黄である化合物を製造する場合、カルボン酸化合物(5)に換えて、ジチオカルボン酸エステル(7)を用いることで製造することができる。
【0080】
【化8】
【0081】
ジチオカルボン酸エステル(7)との縮合反応においては、炭酸カリウム、ナトリウムエトキシドなどの塩基を用いることが好ましい。
なお、反応式中のG、Q、X、mは、上記式(I)および式(II)中のそれらと同様の意味を示し、Zは、上記式(I)および式(II)中のXおよび(X)nを有するQが結合したY部分を示し、Rは、メチル基、エチル基などのC1~6アルキル基を示す。Q上の置換基は、この縮合反応後に適宜変換することができる。
【0082】
本発明化合物は、植物の生育に影響する各種の農業害虫およびダニ類などの有害生物の防除効果に優れている。
また、本発明化合物は、作物に対する薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低いため、安全性の高い物質である。そのため、殺虫剤または殺ダニ剤の有効成分として有用である。
さらに、近年、コナガ、ウンカ、ヨコバイ、アブラムシなど多くの害虫において各種既存薬剤に対する抵抗性が発達し、それら薬剤の効力不足問題を生じており、抵抗性系統の害虫にも有効な薬剤が望まれている。本発明化合物は、感受性系統のみならず、各種抵抗性系統の害虫や、さらに殺ダニ剤抵抗性系統のダニ類にも優れた防除効果を示す。
【0083】
本発明化合物は、人獣に害を及ぼす外部寄生虫および内部寄生虫の防除効果に優れている。また、魚類や温血動物への毒性が低いため、安全性の高い物質である。そのため、外部寄生虫および内部寄生虫の防除剤の有効成分として有用である。
【0084】
また、本発明化合物は、防除の対象となる生物のすべての発育ステージにおいて効力を示し、例えば、ダニ、昆虫などの卵、若虫、幼虫、蛹、成虫に対して優れた防除効果を示す。
【0085】
〔有害生物防除剤、殺虫もしくは殺ダニ剤〕
本発明の有害生物防除剤、または殺虫もしくは殺ダニ剤は、本発明化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有する。本発明の有害生物防除剤、または殺虫もしくは殺ダニ剤に含まれる本発明化合物の量は有害生物、農業害虫もしくはダニ類の防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0086】
本発明の有害生物防除剤、または殺虫もしくは殺ダニ剤は、穀物類;野菜類;根菜類;イモ類;花卉類;果樹類;観葉植物、茶、コーヒー、カカオなどの樹木類;牧草類;芝類;ワタなどの植物に対して用いることが好ましい。
植物への施用において、本発明の有害生物防除剤、または殺虫もしくは殺ダニ剤は、葉、茎、柄、花、蕾、果実、種子、スプラウト、根、塊茎、塊根、苗条、挿し木などのいずれの部位に用いてもよい。
また、本発明の有害生物防除剤、または殺虫もしくは殺ダニ剤は、施用される植物の種によって特に制限されない。植物の種としては、例えば、原種、変種、改良品種、栽培品種、突然変異体、ハイブリッド体、遺伝子組み換え体(GMO)などを挙げることができる。
【0087】
本発明の有害生物防除剤は、各種の農業害虫およびダニ類を防除するために、種子処理、茎葉散布、土壌施用、水面施用などに使用することができる。
【0088】
本発明の有害生物防除剤によって防除可能な各種の農業害虫およびダニ類の具体例を以下に示す。
【0089】
(1)鱗翅目(Lepidoptera)のチョウまたは蛾
(a)ヒトリガ科(Arctiidae)のガ、例えば、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)、クワゴマダラヒトリ(Lemyra imparilis);
(b)チビガ科(Bucculatricidae)のガ、例えば、ナシチビガ(Bucculatrix pyrivorella);
(c)シンクイガ科(Carposinidae)のガ、例えば、モモシンクイガ(Carposina sasakii);
(d)ツトガ科(Crambidae)のガ、例えば、ジアファニア属種(Diaphania spp.)の、ワタヘリクロノメイガ(Diaphania indica)、アメリカウリノメイガ (Diaphania nitidalis);例えば、オストリニア属種(Ostrinia spp.)の、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilalis)、アズキノメイガ(Ostrinia scapulalis);その他、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、モモノゴマダラノメイガ(Conogethes punctiferalis)、サウスウエスタンコンボーラー(Diatraea grandiosella)、クワノメイガ(Glyphodes pyloalis)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、シバツトガ(Parapediasia teterrella);
(e)キバガ科(Gelechiidae)のガ、例えば、イモキバガ(Helcystogramma triannulella)、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモキバガ(Phthorimaea operculella)、バクガ(Sitotroga cerealella);
(f)シャクガ科(Geometridae)のガ、例えば、ヨモギエダシャク(Ascotis selenaria);
(g)ホソガ科(Gracillariidae)のガ、例えば、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoniella);
(h)セセリチョウ科(Hesperiidae)のチョウ、例えば、イチモンジセセリ(Parnara guttata);
(i)カレハガ科(Lasiocampidae)のガ、例えば、オビカレハ(Malacosoma neustria);(j)ドクガ科(Lymantriidae)のガ、例えば、リマントリア属種(Lymantria spp.)の、マイマイガ(Lymantria dispar)、ノンネマイマイ(Lymantria monacha);その他の、チャドクガ(Euproctis pseudoconspersa)、ヒメシロモンドクガ(Orgyia thyellina);
【0090】
(k)モグリガ科(Lyonetiidae )のガ、例えば、リオネチア属種(Lyonetia spp.)の、モモハモグリガ(Lyonetia clerkella)、ギンモンハモグリガ(Lyonetia prunifoliella malinella);
(l)ヤガ科(Noctuidae)のガ、例えば、スポドプテラ属種(Spodoptera spp.)の、スジキリヨトウ(Spodoptera depravata)、サザンアーミーワーム(Spodoptera eridania)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)、アフリカヨトウ(Spodoptera littoralis)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura);例えば、オートグラファ属種(Autographa spp.)の、ガンマキンウワバ (Autographa gamma)、タマナギンウワバ(Autographa nigrisigna);例えば、アグロチス属種(Agrotis spp.)の、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、カブラヤガ(Agrotis segetum);例えば、ヘリコベルパ属種(Helicoverpa spp.)の、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)、タバコガ(Helicoverpa assulta)、コットンボールワーム(Helicoverpa zea);例えば、ヘリオチス属種(Heliothis spp.)の、ワタキバガ (Heliothis armigera)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens);その他の、ナカジロシタバ(Aedia leucomelas)、ミツモンキンウワバ(Ctenoplusia agnata)、アケビコノハ(Eudocima tyrannus)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、アワヨトウ(Mythimna separata)、フタオビコヤガ(Naranga aenescens)、マツキリガ(Panolis japonica)、ニセタマナヤガ(Peridroma saucia)、ソイビーンルーパー(Pseudoplusia includens)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni);
(m)コブガ科(Nolidae) のガ、例えば、ミスジアオリンガ (Earias insulana);
(n)シロチョウ科(Pieridae)のチョウ、例えば、モンシロチョウ属種(Pieris spp.)のオオモンシロチョウ(Pieris brassicae)、モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora);
(o)コナガ科(Plutellidae)のガ、例えば、アクロレピオプシス属種(Acrolepiopsis spp.)の、ネギコガ(Acrolepiopsis sapporensis)、ヤマノイモコガ(Acrolepiopsis suzukiella);その他、コナガ(Plutella xylostella);
(p)メイガ科(Pyralidae)のガ、例えば、スジマダラメイガ(Cadra cautella)、モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)、シロイチモジマダラメイガ(Etiella zinckenella)、ハチノスツヅリガ (Galleria mellonella);
(q)スズメガ科(Sphingidae)のガ、例えば、マンジュカ属種(Manduca spp.)の、トマトホーンワーム(Manduca quinquemaculata)、タバコホーンワーム(Manduca sexta);
【0091】
(r)ニセマイコガ科(Stathmopodidae)のガ、例えば、カキノヘタムシガ(Stathmopoda masinissa);
(s)ヒロズコガ科(Tineidae)のガ、例えば、イガ(Tinea translucens);
(t)ハマキガ科(Tortricidae)のガ、例えば、アドキソフィエス属種(Adoxophyes spp.)の、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes honmai)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana);例えば、アルチプス属種(Archips spp.)の、リンゴモンハマキ(Archips breviplicanus)、ミダレカクモンハマキ(Archips fuscocupreanus);その他の、トウヒノシントメハマキ (Choristoneura fumiferana)、コドリンガ(Cydia pomonella)、ブドウホソハマキ (Eupoecilia ambiguella)、ナシヒメシンクイ(Grapholitha molesta)、チャハマキ(Homona magnanima)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、ホソバヒメハマキ(Lobesia botrana)、マメヒメサヤムシガ(Matsumuraeses phaseoli)、トビハマキ(Pandemis heparana)、テングハマキ(Sparganothis pilleriana);
(u)スガ科(Yponomeutidae)のガ、例えば、リンゴヒメシンクイ(Argyresthia conjugella)。
【0092】
(2)アザミウマ目(Thysanoptera)害虫
(a)クダアザミウマ科(Phlaeothripidae)の、例えば、カキクダアザミウマ(Ponticulothrips diospyrosi);
(b)アザミウマ科(Thripidae)の、例えば、フランクリニェラ属種(Frankliniella spp.)の、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis);例えば、トリプス属種(Thrips spp.)の、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci);その他の、クロトンアザミウマ(Heliothrips haemorrhoidalis)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)。
【0093】
(3)カメムシ目(Hemiptera)の害虫
(A)頸吻亜目(Archaeorrhyncha)
(a)ウンカ科(Delphacidae)の、例えば、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatella)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、クロフツノウンカ(Perkinsiella saccharicida)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)。
【0094】
(B)頸吻亜目(Clypeorrhyncha)
(a)ヨコバイ科(Cicadellidae)の、例えば、エンポアスカ属種(Empoasca spp.)の、ジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae)、カキノヒメヨコバイ(Empoasca nipponica)、チャノミドリヒメヨコバイ(Empoasca onukii)、マメノミドリヒメヨコバイ(Empoasca sakaii);その他の、フタテンヒメヨコバイ(Arboridia apicalis)、ミドリナガヨコバイ(Balclutha saltuella)、フタテンオオヨコバイ(Epiacanthus stramineus)、ヒメフタテンヨコバイ(Macrosteles striifrons)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cinctinceps)。
【0095】
(C)カメムシ亜目(Heteroptera)
(a)ホソヘリカメムシ科(Alydidae)の、例えば、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus);
(b)ヘリカメムシ科(Coreidae)の、例えば、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis);
(c)ナガカメムシ科(Lygaeidae)の、例えば、アメリカコバネナガカメムシ (Blissus leucopterus)、カンシャコバネナガカメムシ(Cavelerius saccharivorus)、コバネヒョウタンナガカメムシ(Togo hemipterus);
(d)カスミカメムシ科(Miridae)の、例えば、クロトビカスミカメ(Halticus insularis)、サビイロカスミカメ (Lygus lineolaris)、コットンフリーホッパー(Psuedatomoscelis seriatus)、ナガムギカスミカメ(Stenodema sibiricum)、アカスジカスミカメ(Stenotus rubrovittatus)、イネホソミドリカスミカメ(Trigonotylus caelestialium);
【0096】
(e)カメムシ科(Pentatomidae)の、例えば、ネザラ属種(Nezara spp.)の、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula);例えば、シラホシカメムシ属種(Eysarcoris spp.)の、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris aeneus)、オオトゲシラホシカメムシ(Eysarcoris lewisi)、シラホシカメムシ(Eysarcoris ventralis)、その他の、ブチヒゲカメムシ(Dolycoris baccarum)、ナガメ(Eurydema rugosum)、ツヤアオカメムシ(Glaucias subpunctatus)、サギカメムシ(Halyomorpha halys)、クイチモンジカメムシ(Piezodorus hybneri)、チャバネアオカメムシ(Plautia crossota)、イネクロカメムシ(Scotinophora lurida);
(f)ホシカメムシ科(Pyrrhocoridae)の、例えば、アカホシカメムシ(Dysdercus cingulatus);
(g)ヒメヘリカメムシ科(Rhopalidae)の、例えば、アカヒメヘリカメムシ(Rhopalus msculatus);
(h)キンカメムシ科(Scutelleridae)の、例えば、ムギチャイロカメムシ(Eurygaster integriceps);
(i)グンバイムシ科(Tingidae)の、例えば、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)。
【0097】
(D)腹吻亜目(Sternorrhyncha)
(a)カサアブラムシ科(Adelgidae)の、例えば、カラマツカサアブラムシ(Adelges laricis);
(b)コナジラミ科(Aleyrodidae)例えば、ベミシア属種(Bemisia spp.)の、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci);その他の、ミカントゲコナジラミ(Aleurocanthus spiniferus)、ミカンコナジラミ(Dialeurodes citri)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum);
(c)アブラムシ科(Aphididae)、例えば、アフィス属種(Aphis spp.)の、マメアブラムシ(Aphis craccivora)、マメクロアブラムシ(Aphis fabae)、イチゴネアブラムシ(Aphis forbesi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ヨーロッパリンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ニワトコアブラムシ(Aphis sambuci)、ユキヤナギアブラムシ(Aphis spiraecola);例えば、ロパロシフム属種(Rhopalosiphum spp.)の、トウモロコシアブラムシ(Rhopalosiphum maidis)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi);例えば、ジサフィス属種(Dysaphis spp.)の、オオバコアブラムシ(Dysaphis plantaginea)、ギシギシネアブラムシ(Dysaphis radicola);例えば、マクロシフム属種(Macrosiphum spp.)の、ムギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum avenae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae);例えば、ミズス属種(Myzus spp.)の、ニワウメクロコブアブラムシ (Myzus cerasi)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、カワリコブアブラムシ(Myzus varians);その他の、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギワラギクオマルアブラムシ(Brachycaudus helichrysi)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、イチゴケナガアブラムシ(Chaetosiphon fragaefolii)、モモコフキアブラムシ(Hyalopterus pruni)、チシャミドリアブラムシ(Hyperomyzus lactucae)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi)、ソラマメヒゲナガアブラムシ(Megoura viciae)、ムギウスイロアブラムシ(Metopolophium dirhodum)、レタスアブラムシ(Nasonovia ribis-nigri)、ホップイボアブラムシ(Phorodon humuli)、ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)、ムギヒゲナガアブラムシ(Sitobion avenae)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii);
【0098】
(d)カタカイガラムシ科(Coccidae)の、例えば、セロプラスター属種(Ceroplastes spp.)の、ツノロウムシ(Ceroplastes ceriferus)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens);
(e)マルカイガラムシ科(Diaspididae)の、シューダウラカスピス属種(Pseudaulacaspis spp.)の、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)、ウメシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis prunicola);例えば、ウナスピス属種(Unaspis spp.)の、マサキナガカイガラムシ(Unaspis euonymi)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis);その他の、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、ナシマルカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、チャコノハカイガラムシ(Fiorinia theae)、チャノマルカイガラムシ(Pseudaonidia paeoniae);
(f)ワタフキカイガラムシ科(Margarodidae)の、例えば、オオワラジカイガラムシ(Drosicha corpulenta)、イセリアカイガラムシ(Icerya purchasi);
(g)ネアブラムシ科(Phylloxeridae)の、例えば、ブドウネアブラムシ(Viteus vitifolii);
(h)コナカイガラムシ科(Pseudococcidae )の、例えば、プラノコッカス属種(Planococcus spp.)の、ミカンコナカイガラムシ(Planococcus citri)、フジコナカイガラムシ(Planococcus kuraunhiae);その他の、ナスコナカイガラムシ(Phenacoccus solani)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki);
(i)キジラミ科(Psyllidae)の、例えば、プスルラ属種(Psylla spp.)の、リンゴキジラミ(Psylla mali)、ナシキジラミ(Psylla pyrisuga);その他の、ミカンキジラミ(Diaphorina citri)。
【0099】
(4)カブトムシ亜目(Polyphaga)の害虫
(a)シバンムシ科(Anobiidae)の、例えば、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne);
(b)オトシブミ科(Attelabidae)の、例えば、ドロハマキチョッキリ(Byctiscus betulae)、モモチョッキリゾウムシ(Rhynchites heros);
(c)ナガシンクイムシ科(Bostrichidae)の、例えば、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus);
(d)ミツギリゾウムシ科(Brentidae)の、例えば、アリモドキゾウムシ(Cylas formicarius);
(e)タマムシ科(Buprestidae )の、例えば、アカバナガタマムシ (Agrilus sinuatus);
(f)カミキリムシ科(Cerambycidae)の、例えば、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、キボシカミキリ(Psacothea hilaris)、ブドウトラカミキリ(Xylotrechus pyrrhoderus);
(g)ハムシ科(Chrysomelidae)の、例えば、ブルクス属種(Bruchus spp.)の、エンドウマメゾウムシ (Bruchus pisorum)、ソラマメゾウムシ (Bruchus rufimanus);例えば、ジアブロチカ属種(Diabrotica spp.)の、ノーザンコーンルートワーム(Diabrotica barberi)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata)、ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera);例えば、フィロトレタ属種(Phyllotreta spp.)の、ノミトビヨロイムシ(Phyllotreta nemorum)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata);その他の、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、カメノコハムシ(Cassida nebulosa)、テンサイトビハムシ(Chaetocnema concinna)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、イネクビホソハムシ(Oulema oryzae)、ナスナガスネトビハムシ(Psylliodes angusticollis);
【0100】
(h)テントウムシ科(Coccinellidae)の、例えば、エピラクナ属種(Epilachna spp.)の、インゲンテントウ(Epilachna varivestis)、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata);
(i)ゾウムシ科(Curculionidae)の、例えば、アントノムス属種(Anthonomus spp.)の、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、ナシハナゾウムシ (Anthonomus pomorum);例えば、シトフィルスコクゾウムシ属種(Sitophilus spp.)の、グラナリーウィービル(Sitophilus granarius)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais);その他の、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イモゾウムシ(Euscepes postfasciatus)、マツアナアキゾウムシ(Hylobius abietis)、アルファルファタコゾウムシ(Hypera postica)、イネミズゾウムシ(Lissohoptrus oryzophilus)、キンケクチブトゾウムシ(Otiorhynchus sulcatus)、アカアシチビコフキゾウムシ (Sitona lineatus)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus);
(j)コメツキムシ科(Elateridae)の、例えば、メラノツス属種(Melanotus spp.)の、マルクビクシコメツキ(Melanotus fortnumi)、カンシャクシコメツキ(Melanotus tamsuyensis);
(k)ケシキスイ科(Nitidulidae)の、例えば、ヒメヒラタケシキスイ(Epuraea domina);
(l)コガネムシ科(Scarabaeidae)の、例えば、アノマラ属種(Anomala spp.)の、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea);その他の、キンイロハナムグリ(Cetonia aurata)、コアオハナムグリ(Gametis jucunda)、ナガチャコガネ(Heptophylla picea)、ヨーロッパコフキコガネ (Melolontha melolontha)、マメコガネ(Popillia japonica);
(m)キクイムシ科(Scolytidae)の、例えば、ヤツバキクイ (Ips typographus);
(n)ハネカクシ科(Staphylinidae)の、例えば、アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes);
(o)ゴミムシダマシ科(Tenebrionidae)の、例えば、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum);
(p)コクヌスト科(Trogossitidae)の、例えば、コクヌスト(Tenebroides mauritanicus)。
【0101】
(5)ハエ目(Diptera)の害虫
(A)ハエ亜目(Brachycera)
(a)ハモグリバエ科(Agromyzidae)の、例えば、リリオマイザ属種(Liriomyza spp.)の、ナスハモグリバエ(Liriomyza bryoniae)、ネギハモグリバエ(Liriomyza chinensis)、トマトハモグリバエ(Liriomyza sativae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii);その他の、ナモグリバエ(Chromatomyia horticola)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae);
(b)ハナバエ科(Anthomyiidae)の、例えば、デリア属種(Delia spp.)の、タネバエ(Delia platura)、キャベツハナバエ (Delia radicum);その他の、テンサイモグリハナバエ(Pegomya cunicularia);
(c)ショウジョウバエ科(Drosophilidae)の、例えば、ショウジョウバエ属種(Drosophila spp.)の、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、オウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii);
(d)ミギワバエ科(Ephydridae)の、例えば、イネヒメハモグリバエ(Hydrellia griseola);
(e)ハネオレバエ科(Psilidae)の、例えば、ニンジンサビバエ (Psila rosae);
(f)ミバエ科(Tephritidae)の、例えば、バクトロセラ属種(Bactrocera spp.)の、ウリミバエ(Bactrocera cucurbitae)、ミカンコミバエ(Bactrocera dorsalis);例えば、ラゴレチス属種(Rhagoletis spp.)の、ヨーロッパオウトウミバエ (Rhagoletis cerasi)、リンゴミバエ (Rhagoletis pomonella);その他の、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)、オリーブミバエ(Dacus oleae)。
【0102】
(B)カ亜目(Nematocera)
(a)タマバエ科(Cecidomyiidae)の、例えば、ダイズサヤタマバエ(Asphondylia yushimai)、ソルガムタマバエ(Contarinia sorghicola)、ヘシアンバエ(Mayetiola destructor)、ムギアカタマバエ(Sitodiplosis mosellana)。
【0103】
(6)バッタ目(Orthoptera)の害虫
(a)バッタ科(Acrididae)の、例えば、スキストセルカ属種(Schistocerca spp.)の、アメリカイナゴ (Schistocerca americana)、サバクトビバッタ (Schistocerca gregaria);その他の、オーストラリアトビバッタ(Chortoicetes terminifera)、モロッコイナゴ (Dociostaurus maroccanus)、トノサマバッタ(Locusta migratoria)、ブラウンイナゴ(Locustana pardalina)、アカトビバッタ (Nomadacris septemfasciata)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis);
(b)コオロギ科(Gryllidae)の、例えば、ヨーロッパイエコオロギ (Acheta domestica)、エンマコオロギ(Teleogryllus emma);
(c)ケラ科(Gryllotalpidae)の、例えば、ケラ(Gryllotalpa orientalis);
(d)キリギリス科(Tettigoniidae)の、例えば、クラズミウマ (Tachycines asynamorus)。
【0104】
(7)ダニ類(Acari)
(A)無気門目(Astigmata)のコナダニ類(Acaridida)
(a)コナダニ科(Acaridae)のダニ、例えば、リゾギルホス属種(Rhizoglyphus spp.)の、ネダニ(Rhizoglyphus echinopus)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini);例えば、ケナガコナダニ属種(Tyrophagus spp.)の、オンシツケナガコナダニ(Tyrophagus neiswanderi)、オオケナガコナダニ(Tyrophagus perniciosus)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、ホウレンソウケナガコナダニ(Tyrophagus similis);その他、アシブトコナダニ(Acarus siro)、ムギコナダニ(Aleuroglyphus ovatus)、ニセケナガコナダニ(Mycetoglyphus fungivorus);
【0105】
(B)前気門目(Prostigmata)のケダニ類(Actinedida)
(a)ハダニ科(Tetranychidae)のダニ、例えば、ブリオビア属種(Bryobia spp.)の、クローバーハダニ(Bryobia praetiosa)、ニセクローバーハダニ(Bryobia rubrioculus);例えば、エオテトラニクス属種(Eotetranychus spp.)の、コウノシロハダニ(Eotetranychus asiaticus)、アンズハダニ(Eotetranychus boreus)、エノキハダニ(Eotetranychus celtis)、ミチノクハダニ(Eotetranychus geniculatus)、ミヤケハダニ(Eotetranychus kankitus)、クリハダニ(Eotetranychus pruni)、シイノキハダニ(Eotetranychus shii)、スミスハダニ(Eotetranychus smithi)、スギナミハダニ(Eotetranychus suginamensis)、クルミハダニ(Eotetranychus uncatus);例えば、オリゴニクス属種(Oligonychus spp.)の、スギノハダニ(Oligonychus hondoensis)、チビコブハダニ(Oligonychus ilicis)、カラマツハダニ(Oligonychus karamatus)、マンゴーハダニ(Oligonychus mangiferus)、サトウキビハダニ(Oligonychus orthius)、アボガドハダニ(Oligonychus perseae)、エゾスギハダニ(Oligonychus pustulosus)、イネハダニ(Oligonychus shinkajii)、トドマツハダニ(Oligonychus ununguis);例えば、パノニクス属種(Panonychus spp.)の、ミカンハダニ(Panonychus citri)、クワオオハダニ(Panonychus mori)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi);例えば、テトラニクス属種(Tetranychus spp.)の、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、ミツユビナミハダニ(Tetranychus evansi)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、アシノワハダニ(Tetranychus ludeni)、ミズナラハダニ(Tetranychus quercivorus)、サガミハダニ(Tetranychus phaselus)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、オウトウハダニ(Tetranychus viennensis);例えば、アポニクス属(Aponychus spp.)の、イトマキハダニ(Aponychus corpuzae)、タイリクハダニ(Aponychus firmianae);例えば、ミドリハダニ属(Sasanychus spp.)の、ミドリハダニ(Sasanychus akitanus)、ヒメミドリハダニ(Sasanychus pusillus);例えば、シゾテトラニクス属(Shizotetranychus spp.)の、タケスゴモリハダニ(Shizotetranychus celarius)、ケナガスゴモリハダニ(Shizotetranychus longus)、ススキスゴモリハダニ(Shizotetranychus miscanthi)、ヒメササハダニ(Shizotetranychus recki)、ヤナギハダニ(Shizotetranychus schizopus);その他、カタバミハダニ(Tetranychina harti)、ナミケナガハダニ(Tuckerella pavoniformis)、ケウスハダニ(Yezonychus sapporensis);
【0106】
(b)ヒメハダニ科(Tenuipalpidae)のダニ、例えば、ブレビパルプス属種(Brevipalpus spp.)の、ブドウヒメハダニ(Brevipalpus lewisi)、チャノヒメハダニ(Brevipalpus obovatus)、ミナミヒメハダニ(Brevipalpus phoenicis)、サボテンヒメハダニ(Brevipalpus russulus)、オンシツヒメハダニ(brevipalpus californicus);例えば、テニパルプス属種(Tenuipalpus spp.)の、ランヒメハダニ(Tenuipalpus pacificus)、カキヒメハダニ(Tenuipalpus zhizhilashviliae);その他、パイナップルヒメハダニ(Dolichotetranychus floridanus);
(c)フシダニ科(Eriophyidae)のダニ、例えば、アセリア属種(Aceria spp.)の、カキサビダニ(Aceria diospyri)、イチジクモンサビダニ(Aceria ficus)、クリフシダニ(Aceria japonica)、クコフシダニ(Aceria kuko)、カーネーションサビダニ(Aceria paradianthi)、クコハモグリダニ(Aceria tiyingi)、チューリップサビダニ(Aceria tulipae)、シバハマキフシダニ(Aceria zoysiea);例えば、エリオフィエス属種(Eriophyes spp.)の、ニセナシサビダニ(Eriophyes chibaensis)、ウメフシダニ(Eriophyes emarginatae);例えばアクロプス属種(Aculops spp.)の、トマトサビダニ(Aculops lycopersici)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi);例えば、アクルス属種(Aculus spp.)の、モモサビダニ(Aculus fockeui)、リンゴサビダニ(Aculus schlechtendali);その他、チャノナガサビダニ(Acaphylla theavagrans)、チャノサビダニ(Calacarus carinatus)、ブドウハモグリダニ(Colomerus vitis)、ブドウサビダニ(Calepitrimerus vitis)、ナシサビダニ(Epitrimerus pyri)、キンモクサビダニ(Paraphytoptus kikus)、マキサビダニ(Paracalacarus podocarpi)、リュウキュウミカンサビダニ(Phyllocotruta citri);
(d)ホコリダニ科(Tarsonemidae)のダニ、例えば、タルソネムス属種(Tarsonemus spp.)の、スジブトホコリダニ(Tarsonemus bilobatus)、アシボソホコリダニ(Tarsonemus waitei);その他、シクラメンホコリダニ(Phytonemus pallidus)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus);
(e)ハシリダニ科(Penthaleidae)のダニ、例えば、ペンタレウス属種(Penthaleus spp.)の、ハクサイダニ(Penthaleus erythrocephalus)、ムギダニ(Penthaleus major)。
【0107】
本発明の有害生物防除剤は、殺菌剤、殺虫・殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤などの他の有効成分; 植物調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料などと混用または併用してもよい。
本発明化合物と他の有効成分との組合せは、殺虫・殺ダニ・殺線虫活性に関して相乗効果が期待できる。相乗効果は、定法に従ってコルビーの式(Colby.S.R. ; Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations ; Weeds 15, 20-22頁, 1967)により確認することができる。
【0108】
本発明の有害生物防除剤と混用または併用することができる、殺虫・殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、駆虫剤などの具体例を以下に示す。
【0109】
(1)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤:
(a)カーバメート系: アラニカルブ、アルジカルブ、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メチオカルブ、メソミル、メトルカルブ、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、チオファノックス、トリアザメート、トリメタカルブ、XMC、キシリルカルブ、フェノチオカルブ、アルドキシカルブ、アリキシカルブ、アミノカルブ、ブフェンカルブ、クロエトカルブ、フェンチオカルブ、プロメカルブ;
【0110】
(b)有機リン系: アセフェート、アザメチホス、アジンホス-エチル、アジンホス-メチル、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クマホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス/DDVP、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、ファムフール、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イミシアホス、イソフェンホス、イソプロピル= O-(メトキシアミノチオホスホリル)サリチラート、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシジメトン-メチル、パラチオン、パラチオン-メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロペタムホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルホテップ、テブピリンホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン、ブロモホス・エチル、シアノフェンホス、デメトン-S-メチルスルホン、ジアリホス、ジクロフェンチオン、ジオキサベンゾホス、エトリムホス、フェンスルホチオン、ホノホス、ホルモチオン、イサゾホス、ヨードフェンホス、イソカルボホス、メタクリホス、ピリミホス-エチル、ホスホカルブ、プロパホス、プロトエート、スルプロホス。
【0111】
(2)GABA-作動性塩素イオンチャネルアンタゴニスト: アセトプロール、クロルデン、エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、ピラフルプロール、ピリプロール、カンフェクロル、ヘプタクロル、ジエノクロル、フルフィプロル。
(3)ナトリウムチャンネルモジュレーター: アクリナトリン、アレスリン、d-シス-トランス アレスリン、d-トランスアレスリン、ビフェントリン、ビオアレスリン、ビオアレスリンS-シクロペンテニル異性体、ビオレスメトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、シータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、シフェノトリン[(1R)-トランス異性体]、デルタメトリン、エンペントリン[(EZ)-(1R)-異性体]、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルメトリン、タウ-フルバリネート、ハルフェンプロックス、イミプロトリン、カデスリン、ペルメトリン、フェノトリン[(1R)-トランス異性体]、プラレトリン、ピレトリン、レスメトリン、シラフルオフェン、テトラメスリン、テトラメスリン[(1R)-異性体]、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ジメフルトリン、ビオエタノメトリン、ビオペルメトリン、トランスペルメトリン、フェンフルトリン、フェンピリトリン、フルフェンプロックス、メトフルトリン、プロトリフェンブト、テラレトリン。
【0112】
(4)ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト: アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、ニチアジン、チアクロプリド、チアメトキサム、スルフォキサフロール、ニコチン、フルピラジフロン、フルピリミン、トリフルメゾピリム、ジクロロメゾチアズ。
(5)ニコチン性アセチルコリン受容体アロステリックモジュレーター: スピネトラム、スピノサド。
(6)クロライドチャンネル活性化剤: アバメクチン、エマメクチン、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチン、ミルベメクチン、イベルメクチン、セラメクチン、ドラメクチン、エプリノメクチン、モキシデクチン。
(7)幼若ホルモン様物質: ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、ジオフェノラン、エポフェノナン、トリプレン。
(8)その他非特異的阻害剤: 臭化メチル、ハロゲン化アルキル類、クロルピクリン、弗化アルミニウムナトリウム、フッ化スルフリル、ホウ砂、ホウ酸、オクタホウ酸ニナトリウム塩、ホウ酸ナトリウム塩、メタホウ酸ナトリウム塩、吐酒石、ダゾメット、メタム、メタムカリウム塩、メタムナトリウム塩。
(9)同翅目選択的摂食阻害剤: フロニカミド、ピメトロジン、ピリフルキナゾン、アフィドピロペン。
【0113】
(10)ダニ類生育阻害剤: クロフェンテジン、ジフロビダジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール。
(11)微生物由来昆虫中腸内膜破壊剤: バチルス・チューリンゲンシス亜種イスラエレンシ、バチルス・スファエリクス、バチルス・チューリンゲンシス亜種アイザワイ、バチルス・チューリンゲンシス亜種クルスタキ、バチルス・チューリンゲンシス亜種テネブリオニス、Bt作物タンパク質、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1Fa、Cry1A.105、Cry2Ab、Vip3A、mCry3A、Cry3Ab、Cry3Bb、Cry34Ab1/Cry35Ab1。
(12)ミトコンドリアATP生合成酵素阻害剤: ジアフェンチウロン、アゾシクロチン、シヘキサチン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット、テトラジホン。
(13)酸化的リン酸化脱共役剤: クロルフェナピル、スルフルラミド、DNOC、ビナパクリル、ジノブトン、ジノカップ。
(14)ニコチン性アセチルコリン受容体チャンネルブロッカー: ベンスルタップ、カルタップ塩酸塩、チオスルタップ-ナトリウム塩、チオシクラム。
(15)キチン合成阻害剤: ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ブプロフェジン、フルアズロン。
(16)双翅目脱皮かく乱剤: シロマジン。
(17)脱皮ホルモン受容体アゴニスト: クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド。
(18)オクトパミン受容体アゴニスト: アミトラズ、クロルジメホルム。
(19)ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤: アセキノシル、フルアクリピリム、ヒドラメチルノン、ビフェナゼート。
(20)ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤: フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリミジフェン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、ロテノン。
【0114】
(21)電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー: インドキサカルブ、メタフルミゾン。
(22)アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤: スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、スピロピジオン。
(23)ミトコンドリア電子伝達系複合体IV阻害剤: リン化アルミニウム、リン化カルシウム、ホスフィン、リン化亜鉛、シアニド。
(24)ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤: シエノピラフェン、シフルメトフェン、ピフルブミド。
(25)リアノジン受容体モジュレーター: クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、フルベンジアミド、シクラニリプロール、テトラニリプロール、シハロジアミド、テトラクロラントラニリプロール。
(26)GABA作動性塩化物イオン(塩素イオン)チャネルアロステリックモジュレーター: ブロフラニリド、フルキサメタミド、イソシクロセラム、アフォキソラネル、フルララネル、ロチネラル、サロラネル。
(27)その他の剤(作用機構が未知): アシノナピル、アザジラクチン、ベンゾキシメート、ブロモプロピレート、キノメチオネート、クリオライト、ジコホル、ピリダリル、ベンクロチアズ、硫黄、アミドフルメット、1,3-ジクロロプロペン、DCIP、フェニソブロモレート、ベンゾメート、メタアルデヒド、クロルベンジレート、クロチアゾベン、ジシクラニル、フェノキサクリム、フェントリファニル、フルベンジミン、フルフェナジン、ゴシップルア、ジャポニルア、メトキサジアゾン、石油、オレイン酸ナトリウム、テトラスル、トリアラセン、アフィドピロペン(afidopyropen)、フロメトキン、フルエンスルフォン、メペルフルスリン、テトラメチルフルスリン、トラロピリル、メチルネオデカンアミド、トリフルメゾピリム、ジクロロメゾチアズ、オキサゾスルフィル、チクロピラゾフロル。
【0115】
(28)駆虫剤:
(a)ベンズイミダゾール系: フェンベンダゾール、アルベンダゾール、トリクラベンダゾール、オキシベンダゾール、メベンダゾール、オクスフェンダゾール、パーベンダゾール、フルベンダゾール、フェバンテル、ネトビミン、チオファネート、チアベンダゾール、カンベンダゾール;
(b)サリチルアニリド系: クロサンテル、オキシクロザニド、ラフォキサニド、ニクロサミド;
(c)置換フェノール系: ニトロキシニル、ニトロスカネイト;
(d)ピリミジン系: ピランテル、モランテル;
(e)イミダゾチアゾール系: レバミソール、テトラミソール;
(f)テトラヒドロピリミジン系: プラジカンテル、エプシプランテル;
(g)その他の駆虫薬: シクロジエン、リアニア、クロルスロン、メトロニダゾール、デミジトラズ、ピペラジン、ジエチルカルバマジン、ジクロロフェン、モネパンテル、トリベンジミジン、アミダンテル、チアセタルサミド、メラルサミン、アルセナマイド。
【0116】
本発明の有害生物防除剤と混用または併用することができる、殺菌剤の具体例を以下に示す。
(1)核酸生合成阻害剤:
(a)RNAポリメラーゼI阻害剤: ベナラキシル、ベナラキシル-M、フララキシル、メタラキシル、メタラキシル-M、オキサジキシル、クロジラコン、オフレース;
(b)アデノシンデアミナーゼ阻害剤: ブピリメート、ジメチリモール、エチリモール;
(c)DNA/RNA合成阻害剤: ヒメキサゾール、オクチリノン;
(d)DNAトポイソメラーゼII阻害剤: オキソリン酸。
【0117】
(2)有糸核分裂阻害剤および細胞分裂阻害剤:
(a)β-チューブリン重合阻害剤: ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール、チオファネート、チオファネートメチル、ジエトフェンカルブ、ゾキサミド、エタボキサム;クロルフェナゾール、デバカルブ、トリクラミド、ザリラミド;
(b)細胞分裂阻害剤: ペンシクロン;
(c)スペクトリン様タンパク質の非局在化阻害剤: フルオピコリド、フルオピモミド。
(d)アクチン/ミオシン/フィンブリン機能阻害剤:
フェナマクリル、メトラフェノン、ピリオフェノン。
【0118】
(3)呼吸阻害剤:
(a)複合体I NADH酸化還元酵素阻害剤: ジフルメトリム、トルフェンピラド、フェナザキン;
(b)複合体IIコハク酸脱水素酵素阻害剤: ベノダニル、フルトラニル、メプロニル、イソフェタミド、フルオピラム、フェンフラム、カルボキシン、オキシカルボキシン、チフルザミド、ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、フルキサピロキサド、フラメトピル、インピルフルキサム、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、イソフルシプラム、ピジフルメトフェン、ボスカリド、ピラジフミド、フルメシクロックス;
(c)複合体IIIユビキノールオキシダーゼQo阻害剤: アゾキシストロビン、クモキシストロビン、クメトキシストロビン、エノキサストロビン、フルフェノキシストロビン、ピコキシストロビン、ピラオキシストロビン、マンデストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、トリクロピリカルブ、クレソキシム-メチル、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、フェナミンストロビン、メトミノストロビン、オリサストロビン、ファモキサドン、フルオキサストロビン、フェンアミドン、ピリベンカルブ、メチルテトラプロール;
(d)複合体IIIユビキノール還元酵素Qi阻害剤: シアゾファミド、アミスルブロム;
(e)酸化的リン酸化の脱共役剤: ビナパクリル、メプチルジノカップ、ジノカップ、フルアジナム、フェリムゾン;
(f)酸化的リン酸化阻害剤(ATP 合成酵素の阻害剤): フェンチンアセテート、塩化フェンチン、水酸化フェンチン;
(g)ATP生産阻害剤: シルチオファム;
(h)複合体III:チトクローム bc1(ユビキノン還元酵素)のQx(未知)阻害剤: アメトクトラジン。
【0119】
(4)アミノ酸およびタンパク質合成阻害剤
(a)メチオニン生合成阻害剤: シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル;
(b)タンパク質合成阻害剤: ブラストサイジン-S、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩、ストレプトマイシン、オキシテトラサイクリン。
【0120】
(5)シグナル伝達阻害剤:
(a)シグナル伝達阻害剤: キノキシフェン、プロキナジド;
(b)浸透圧シグナル伝達におけるMAP・ヒスチジンキナーゼ阻害剤: フェンピクロニル、フルジオキソニル、クロゾリネート、ジメタクロン、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン。
【0121】
(6)脂質および細胞膜合成阻害剤:
(a)りん脂質生合成、メチルトランスフェラーゼ阻害剤: エジフェンホス、イプロベンホス、ピラゾホス、イソプロチオラン;
(b)脂質の過酸化剤: ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、キンドゼン、テクナゼン、トルクロホスメチル、エトリジアゾール;
(c)細胞膜に作用する剤: ヨードカルブ、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、プロパモカルブホセチレート、プロチオカルブ;
(d)病原菌細胞膜を撹乱する微生物: バチルスズブチリス菌、バチルス ズブチリスQST713 株、バチルス ズブチリスFZB24 株、バチルス ズブチリスMBI600 株、バチルス ズブチリスD747株;
(e)細胞膜を撹乱する剤: ゴセイカユプテ(ティーツリー)の抽出物。
(f)エルゴステロールに作用する剤
ナタマイシン
(g)脂質恒常性および輸送/貯蓄に影響する剤
オキサチアピプロリン、フルオキサピプロリン。
【0122】
(7)細胞膜のステロール生合成阻害剤:
(a)ステロール生合成におけるC14位の脱メチル化阻害剤: トリホリン、ピリフェノックス、ピリイソキサゾール、フェナリモル、ヌアリモル、イマザリル、イマザリル硫酸塩、オキスポコナゾール、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、プロチオコナゾール、フルコナゾール、フルコナゾール-シス、ジニコナゾール M;
(b)ステロール生合成におけるΔ14還元酵素およびΔ8→Δ7-イソメラーゼの阻害剤: アルジモルフ、ドデモルフ、ドデモルフ酢酸塩、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、ピペラリン、スピロキサミン、ブチオベート;
(c)ステロール生合成系のC4位脱メチル化における3-ケト還元酵素阻害剤: フェンヘキサミド、フェンピラザミン;
(d)ステロール生合成系のスクワレンエポキシダーゼ阻害剤: ピリブチカルブ、ナフチフェン、テルビナフィン。
【0123】
(8)細胞壁合成阻害剤:
(a)キチン合成酵素阻害剤: ポリオキシン、ポリオクソリム;
(b)セルロース合成酵素阻害剤: ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ、ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、バリフェナレート、マンジプロパミド。
【0124】
(9)メラニン生合成阻害剤
(a)メラニン生合成の還元酵素阻害剤: フサライド、ピロキロン、トリシクラゾール;
(b)メラニン生合成の脱水酵素阻害剤: カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル。
【0125】
(10)宿主植物の抵抗性誘導剤:
(a)サリチル酸合成経路に作用する剤: アシベンゾラル-S-メチル;
(b)その他: プロベナゾール、チアジニル、イソチアニル、ラミナリン、オオイタドリ抽出液、ホセチル、亜リン酸および塩、ホセチルカルシウム、ホセチルナトリウム。
【0126】
(11)作用性が不明な剤: シモキサニル、テクロフタラム、トリアゾキシド、フルスルファミド、ジクロメジン、メタスルホカルブ、シフルフェナミド、ドジン、ドジン遊離塩基、フルチアニル、テブフロキン、ピカルブトラゾクス、バリダマイシン;ベトキサジン、シプロフラム、フルメトベル、ニトロタールイソプロピル、プロパミジン;フロリルピコキサミド、イプフルフェノキン、ピリダクロメチル、ピラプロポイン、アミノピリフェン、ジクロベンチアゾクス、イプフェントリフルコナゾール、メフェントリフルコナゾール、キノフメリン、ジピメチトロン。
【0127】
(12)多作用点を有する剤: 銅(銅塩)、ボルドー液、水酸化銅、銅ナフタレート、酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、硫黄、硫黄製品、多硫化カルシウム、ファーバム、マンゼブ、マンネブ、メチラム、プロピネブ、チウラム、チアゾール亜鉛、ジネブ、ジラム、キャプタン、カプタホール、ホルペット、クロロタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、グアザチン、イミノクタジン酢酸塩(iminoctadine triacetate)、イミノクタジンアルベシル酸塩(iminoctadine trialbesilate) 、アニラジン、ジチアノン、キノメチオネート、フルオルイミド、メタスルホタップ、ダゾメット、クフラネブ、マンカッパー、ポリカーバメート。
【0128】
(13)その他の剤: DBEDC、フルオロフォルペット、クロロピクリン、アグロバクテリウム、ジフェニルアミン、メチルイソチアネート(MITC)、ミルデオマイシン、カプサイシン、シプロスルファミド、ジフェンゾクワット、ジフェンゾクワットメチルスルホネート、イルママイシン、オキサモカルブ、プロパノシンナトリウム、ピロールニトリン、トルニファニド、アルゴフェーズ(Algophase)、アミカルチアゾール(Amicarthiazol)、ベンチアゾール。
【0129】
本発明の有害生物防除剤と混用または併用することができる、植物調節剤の具体例を以下に示す。
1-メチルシクロプロペン、2,3,5-トリヨード安息香酸、IAA、IBA、MCPA、MCPB、4-CPA、5-アミノレブリン酸塩酸塩、6-ベンジルアミノプリン、アブシシン酸、アビグリシン塩酸塩、アンシミドール、ブトルアリン、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、過酸化カルシウム、石灰硫黄、硫酸カルシウム、クロルメコートクロリド、クロロプロファム、塩化コリン、クロプロップ、シアナミド、シクラニリド、ダミノジッド、デシルアルコール、ジクロルプロップ、ジケグラック、ジメチピン、ジクワット、エテホン、エチクロゼート、フルメトラリン、フルルプリミドール、ホルクロルフェヌロン、ジベレリンA、ジベレリンA3、ヒメキサゾール、イナベンフィド、イソプロチオラン、カイネチン、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド、メピコートクロリド、酸化型グルタチオン、パクロブトラゾール、ペンディメタリン、プロヘキサジオンカルシウム、プロヒドロジャスモン、ピラフルフェンエチル、シントフェン、1-ナフタレン酢酸ナトリウム、シアン酸ナトリウム、ストレプトマイシン、チジアズロン、トリアペンテノール、トリブフォス、トリネキサパックエチル、ウニコナゾールP、1-ナフチルアセトアミド。
【0130】
〔外部寄生虫防除剤〕
本発明の外部寄生虫防除剤は、本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有する。本発明の外部寄生虫防除剤に含まれる本発明化合物の量は外部寄生虫の防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0131】
本発明の外部寄生虫防除剤の処理の対象となる宿主動物としては、イヌ、ネコなどの愛玩動物;愛玩鳥;ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなどの家畜;家禽; などの温血動物を挙げることができる。その他にも、ミツバチ、クワガタムシ、カブトムシを挙げることができる。
【0132】
本発明の外部寄生虫防除剤は、公知の獣医学的な手法(局所、経口、非経口または皮下投与)で施用することができる。その方法として、錠剤、カプセル、飼料混入などにより動物に経口的に投与する方法; 浸漬液、坐薬、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内など)などにより動物に投与する方法; 油性または水性液剤を噴霧、ポアオン、スポットオンなどにより局所的に投与する方法; 樹脂に外部寄生虫防除剤を練り込み、前記混練物を首輪、耳札などの適当な形状に成形し、それを動物に装着し局所的に投与する方法; などを挙げることができる。
【0133】
外部寄生虫は、宿主動物、特には温血動物の中および上に寄生する。詳しくは、宿主動物の背、脇下、下腹部、内股部などに寄生して動物から血液やフケなどの栄養源を得て生息する。外部寄生虫としては、ダニ類、シラミ類、ノミ類、カ、サシバエ、ニクバエなどを挙げることができる。本発明の外部寄生虫防除剤によって防除可能な外部寄生虫の具体例を以下に示す。
【0134】
(1)ダニ類(Acari)
ワクモ科(Dermanyssidae)のダニ、オオサシダニ科(Macronyssidae)のダニ、トゲダニ科(Laelapidae)のダニ、ヘギダニ科(Varroidae)のダニ、ヒメダニ科(Argasidae)のダニ、マダニ科(Ixodidae)のダニ、キュウセンヒゼンダニ科(Psoroptidae)のダニ、ヒゼンダニ科(Sarcoptidae)のダニ、トリヒゼンダニ科(Knemidokoptidae)のダニ、ニキビダニ科(Demodixidae)のダニ、ツツガムシ科(Trombiculidae)のダニ、クワガタナカセ類などの昆虫寄生性のダニ。
(2)シラミ目(Phthiraptera)
ケモノジラミ科(Haematopinidae)のシラミ、ケモノホソジラミ科(Linognathidae)のシラミ、タンカクハジラミ科(Menoponidae)のハジラミ、チョウカクハジラミ科(Philopteridae)のハジラミ、ケモノハジラミ科(Trichodectidae)のハジラミ。
(3)ノミ目(Siphonaptera)
ヒトノミ科(Pulicidae)のノミ、例えば、イヌノミ属種(Ctenocephalides spp.)の、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ネコノミ(Ctenocephalides felis);
スナノミ科(Tungidae)のノミ、ナガノミ科(Ceratophyllidae)のノミ、ホソノミ科(Leptopsyllidae)のノミ。
(4)カメムシ目(Hemiptera)。
(5)ハエ目(Diptera)の害虫
カ科(Culicidae)のカ、ブユ科(Simuliidae)のブユ、ヌカカ科(Ceratopogonidae)のヌカカ、アブ科(Tabanidae)のアブ、イエバエ科(Muscidae)のハエ、ツエツエバエ科(Glossinidae)のシェシェバエ、ニクバエ科のニクバエ、シラミバエ科(Hippoboscidae)のハエ、クロバエ科(Calliphoridae)のハエ、ヒツジバエ科(Oestridae)のハエ。
【0135】
〔内部寄生虫防除もしくは駆除剤〕
本発明の内部寄生虫防除もしくは駆除剤は、本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有する。本発明の内部寄生虫防除もしくは駆除剤に含まれる本発明化合物の量は内部寄生虫の防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0136】
本発明の内部寄生虫防除もしくは駆除剤の対象となる寄生虫は、宿主動物、特には温血動物や魚類の中に寄生する(内部寄生虫)。本発明の内部寄生虫防除もしくは駆除剤が有効な宿主動物としては、ヒト、家畜哺乳動物(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、実験動物(例えば、マウス、ラット、スナネズミなど)、愛玩動物(例えば、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、リス、ウサギ、フェレットなど)、野生および動物園の哺乳動物(サル、キツネ、シカ、バッファローなど)、家禽(シチメンチョウ、アヒル、ニワトリ、ウズラ、ガチョウなど)、愛玩鳥(ハト、オウム、九官鳥、文鳥、インコ、ジュウシマツ、カナリアなど)などの温血動物;または、サケ、マス、ニシキゴイなどの魚類を挙げることができる。寄生虫を防除および駆除することで、寄生虫が媒介する寄生虫疾患を予防または治療することができる。
【0137】
防除または駆除対象の寄生虫としては、以下のものを挙げることができる。
(1)腎虫目(Dioctophymatida)の線虫類
(a)腎虫科(Dioctophymatidae)の腎虫、例えば、ディオクトフィーマ属種(Dioctophyma spp.)の、腎虫(Dioctophyma renale);
(b)ソブリフィメ科(Soboliphymatidae)の腎虫、例えば、ソブリフィメ属種(Soboliphyme spp.)の、ソブリフィメ・アベイ(Soboliphyme abei)、ソブリフィメ・ブツリニ(Soboliphyme baturini)。
【0138】
(2)毛頭虫目(Trichocephalida)の線虫類
(a)旋毛虫科(Trichinellidae)の旋毛虫、例えば、旋毛虫属種(Trichinella spp.)の、旋毛虫(Trichinella spiralis);
(b)鞭虫科(Trichuridae)の鞭虫、例えば、キャピラリア属種(Capillaria spp.)の、有環毛細線虫(Capillaria annulata)、捻転毛細線虫(Capillaria contorta)、肝毛細線虫(Capillaria hepatica)、穿通毛細線虫(Capillaria perforans)、キャピラリア・プリカ(Capillaria plica)、豚毛細線虫(Capillaria suis);トリキュリス属種(Trichuris spp.)の、犬鞭虫(Trichuris vulpis)、牛鞭虫(Trichuris discolor)、羊鞭虫(Trichuris ovis)、トリキュリス・スクリジャビニー(Trichuris skrjabini)、豚鞭虫(Trichuris suis)。
【0139】
(3)桿線虫目(Rhabditida)の線虫類
糞線虫科(Strongyloididae)の糞線虫、例えば、糞線虫属種(Strongyloides spp.)の、乳頭糞線虫(Strongyloides papillosus)、猫糞線虫(Strongyloides planiceps)、豚糞線虫(Strongyloides ransomi)、豚糞線虫(Strongyloides suis)、糞線虫(Strongyloides stercoralis )、アメリカ猫糞線虫(Strongyloides tumefaciens)、ネズミ糞線虫(Strongyloides ratti)。
【0140】
(4)円虫目(Strongylida)の線虫類
鈎虫科(Ancylostomatidae)の鉤虫、例えば、鉤虫属種(Ancylostoma spp.)の、ブラジル鉤虫(Ancylostoma braziliense)、犬鉤虫(Ancylostoma caninum)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma duodenale)、ネコ鈎虫(Ancylostoma tubaeforme);ウンシナリア属種(Uncinaria stenocephala)の、狭頭鉤虫(Uncinaria stenocephala);ブノストマム属種(Bunostomum spp.)の、牛鉤虫(Bunostomum phlebotomum)、羊鉤虫(Bunostomum trigonocephalum)。
【0141】
(5)円虫目(Strongylida)の線虫類
(a)住血線虫科(Angiostrongylidae)の線虫、例えば、ネコ肺虫属種(Aelurostrongylus spp.)の、猫肺虫(Aelurostrongylus abstrusus);住血線虫属種(Angiostrongylus spp.)の、住血線虫(Angiostrongylus vasorum)、広東住血線虫(Angiostrongylus cantonesis);
(b)クレノゾーマ科(Crenosomatidae)の線虫、例えば、クレノゾーマ属種(Crenosoma spp.)の、肺毛細線虫(Crenosoma aerophila)、キツネ肺虫(Crenosoma vulpis);
(c)フィラロイデス科(Filaroididae)の線虫、例えば、フィラロイデス属種(Filaroides spp.)の、犬肺虫(Filaroides hirthi)、フィラロイデス・オスレリ(Filaroides osleri);
(d)肺虫科(Metastrongylidae)の肺虫、例えば、豚肺虫属種(Metastrongylus spp.)の、豚肺虫(Metastrongylus apri)、メタストロンギルス・アシムメトリクス(Metastrongylus asymmetricus)、メタストロンギルス・プデンドテクタス(Metastrongylus pudendotectus)、メタストロンギルス・サルミィ(Metastrongylus salmi);
(e)開嘴虫科(Syngamidae)の開嘴虫、例えば、シアトストーマ属種(Cyathostoma spp.)の、水鳥肺虫(Cyathostoma bronchialis);シンガムス属種(Syngamus spp.)の、スクリジャビン開嘴虫(Syngamus skrjabinomorpha)、鶏開嘴虫(Syngamus trachea)。
【0142】
(6)円虫目(Strongylida)の線虫類
(a)モリネウス科(Molineidae)の線虫、例えば、ネマトジルス属種(Nematodirus spp.)の、細頸毛円虫(Nematodirus filicollis)、ネマトジルス・スパティガー(Nematodirus spathiger);
(b)ディクチオカウルス科(Dictyocaulidae)の線虫、例えば、ディクチオカウルス属種(Dictyocaulus spp.)の、糸状肺虫(Dictyocaulus filaria)、牛肺虫(Dictyocaulus viviparus );
(c)捻転胃虫科(Haemonchidae )の線虫、例えば、ヘモンクス属種(Haemonchus spp.)の、捻転胃虫(Haemonchus contortus);メキストシリウス属種(Mecistocirrus spp.)の、牛捻転胃虫(Mecistocirrus digitatus);
(d)捻転胃虫科(Haemonchidae)の線虫、例えば、胃虫属種(Ostertagia spp.)の、オステルターグ胃虫(Ostertagia ostertagi );
(e)ヘリグモネラ科(Heligmonellidae )の線虫、例えば、ニッポストロンジルス属種(Nippostrongylus spp.)の、ネズミ円虫(Nippostrongylus braziliensis);
(f)毛様線虫科(Trichostrongylidae)の線虫、例えば、毛様線虫属種(Trichostrongylus spp.)の、皺胃毛様線虫(Trichostrongylus axei )、蛇状毛様線虫(Trichostrongylus colubriformis )、毛様線虫科(Trichostrongylus tenuis);ヒオストロンギルス属種(Hyostrongylus spp.)の、紅色毛様線虫(Hyostrongylus rubidus);オベリスコイデス属種(Obeliscoides spp.)の、オベリスコイデス・クニクリ(Obeliscoides cuniculi)。
【0143】
(7)円虫目(Strongylida)の線虫類
(a)シャベルティア科(Chabertiidae)の線虫、例えば、シャベルティア属種(Chabertia spp.)の、羊縮小線虫(Chabertia ovina);腸結節虫属種(Oesophagostomum spp.)の、腸結節虫(豚)(Oesophagostomum brevicaudatum)、コロンビア腸結節虫(Oesophagostomum columbianum)、豚腸結節虫(Oesophagostomum dentatum)、腸結節虫(豚)(Oesophagostomum georgianum)、腸結節虫(Oesophagostomum maplestonei)、腸結節虫(豚)(Oesophagostomum quadrispinulatum)、牛腸結節虫(Oesophagostomum radiatum)、山羊腸結節虫(Oesophagostomum venulosum)、腸結節虫(イノシシ)(Oesophagostomum watanabei);
(b)豚腎虫科(Stephanuridae)の線虫、例えば、ステファヌラス属種(Stephanurus spp.)の、豚腎虫(Stephanurus dentatus );
(c)円虫科(Strongylidae)の線虫、例えば、円虫属種(Strongylus spp.)の、ロバ円虫(Strongylus asini )、無歯円虫(Strongylus edentatus)、馬円虫(Strongylus equinus)、普通円虫(Strongylus vulgaris)。
【0144】
(8)蟯虫目(Oxyurida)の線虫類
蟯虫科(Oxyuridae)の線虫、例えば、エンテロビウス属種(Enterobius spp.)の、チンパンジー蟯虫(Enterobius anthropopitheci)、蟯虫(Enterobius vermicularis);オキシルス属(Oxyuris spp.)の、馬蟯虫(Oxyuris equi);パサルルス属種(Passalurus spp.)の、ウサギ蟯虫(Passalurus ambiguus)。
【0145】
(9)回虫目(Ascaridida)の線虫類
(a)ニワトリ回虫科(Ascaridiidae)の線虫、例えば、ニワトリ回虫属種(Ascaridia spp.)の、ニワトリ回虫(Ascaridia galli);
(b)盲腸虫科(Heterakidae)の線虫、例えば、ヘテラキス属種(Heterakis spp.)の、ヘテラキス・ベラムポリア(Heterakis beramporia)、ヘテラキス・ブレビスピクルム(Heterakis brevispiculum)、鶏盲腸虫(Heterakis gallinarum)、ヘテラキス・プシーラ(Heterakis pusilla)、ヘテラキス・プトオーストラリス(Heterakis putaustralis);
(c)アニサキス科(Anisakidae)の線虫、例えば、アニサキス属種(Anisakis spp.)の、アニサキス線虫(Anisakis simplex);
(d)回虫科(Ascarididae)の線虫、例えば、回虫属種(Ascaris spp.)の、ヒト回虫(Ascaris lumbricoides)、豚回虫(Ascaris suum);パラスカリア属種(Parascaris spp.)の、馬回虫(Parascaris equorum);
(e)トキソカーラ科(Toxocaridae)の線虫、例えば、トキソカーラ属種(Toxocara spp.)の、犬回虫(Toxocara canis)、犬小回虫(Toxocara leonina)、豚回虫(Toxocarasuum)、牛回虫(Toxocara vitulorum)、猫回虫(Toxocara cati)。
【0146】
(10)旋尾線虫目(Spirurida)の線虫類
(a)オンコセルカ科(Onchocercidae)の線虫、例えば、ブルギア属種(Brugia spp.)の、マレー糸状虫(Brugia malayi)、ブルギア・パハンギィ(Brugia pahangi)、ブルギア・パティ(Brugia patei);ディペタロネーマ属種(Dipetalonema spp.)の、ディペタロネーマ・リコンディトゥム(Dipetalonema reconditum);イヌ糸状虫属種(Dirofilaria spp.)の、イヌ糸状虫(Dirofilaria immitis);フィラリア属種(Filaria spp.)の、フィラリア・オクリィ(Filaria oculi);オンコセルカ属種(Onchocerca spp.)の、頸部糸状虫(Onchocerca cervicalis)、ギブソン糸状虫(Onchocerca gibsoni)、咽頭糸状虫(Onchocerca gutturosa);
(b)セタリア科(Setariidae)の線虫、例えば、セタリア属種(Setaria spp.)の、指状糸状虫(Setaria digitata)、馬糸条虫(Setaria equina)、唇乳頭糸状虫(Setaria labiatopapillosa)、マーシャル糸状虫(Setaria marshalli);ブケレリア属種(Wuchereria spp.)の、バンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti);
(c)糸状虫科(Filariidae)の線虫、例えば、パラフィラリア属種(Parafilaria spp.)の、多乳頭糸状虫(Parafilaria multipapillosa);ステファノフィラリア属種(Stephanofilaria spp.)の、ステファノフィラリア・アッサムエンシス(Stephanofilaria assamensis)、ステファノフィラリア・デドエシー(Stephanofilaria dedoesi)、ステファノフィラリア・カエリー(Stephanofilaria kaeli)、沖縄糸状虫(Stephanofilaria okinawaensis)、ステファノフィラリア・スティレシー(Stephanofilaria stilesi)。
【0147】
(11)旋尾線虫目(Spirurida)の線虫類
(a)顎口虫科(Gnathostomatidae)の線虫、例えば、顎口虫属種(Gnathostoma spp.)の、顎口虫(Gnathostoma doloresi)、有棘顎口虫(Gnathostoma spinigerum);
(b)ハブロネーマ科(Habronematidae)の線虫、例えば、ハブロネーマ属種(Habronema spp.)の、小口胃虫(Habronema majus)、小口胃虫(Habronema microstoma)、蠅馬胃虫(Habronema muscae);ドラスキア属種(Draschia spp.)の、大口馬胃虫(Draschia megastoma);
(c)フィザロプテラ科(Physalopteridae)の線虫、例えば、フィサロプテラ属種(Physaloptera spp.)の、犬胃虫(Physaloptera canis)、キツネ胃虫(Physaloptera cesticillata)、フィサロプテラ・エルドシオーナ(Physaloptera erdocyona)、フィサロプテラ・フェリディス(Physaloptera felidis)、エジプト猫胃虫(Physaloptera gemina)、フィサロプテラ・パピロラディラータ(Physaloptera papilloradiata)、猫胃虫(Physaloptera praeputialis)、フィサロプテラ・シュードプラエルティアリス(Physaloptera pseudopraerutialis)、ラーラ胃虫(Physaloptera rara)、フィサロプテラ・シビリカ(Physaloptera sibirica)、フィサロプテラ・ブルピニウス(Physaloptera vulpineus);
(d)ゴンギロネマ科(Gongylonematidae)の線虫、例えば、ゴンギロネーマ属種(Gongylonema spp.)の、美麗食道虫(Gongylonema pulchrum);
(e)スピロセルカ科(Spirocercidae)の線虫、例えば、アスカロプス属種(Ascarops spp.)の、類円豚胃虫(Ascarops strongylina);
(f)テラジア科(Thelaziidae)の線虫、例えば、テラジア属種(Thelazia spp.)の、東洋眼虫(Thelazia callipaeda)、テラジア・グローサ(Thelazia gulosa)、涙眼虫(Thelazia lacrymalis)、ロデシア眼虫(Thelazia rhodesi)、スクリャービン眼虫(Thelazia skrjabini)。
【0148】
〔その他の有害生物についての防除剤〕
本発明化合物は、その他にも、毒針や毒液を持ち、人獣に被害を加える害虫、各種の病原体・病原菌を媒介する害虫、人に不快感を与える害虫(有毒害虫・衛生害虫・不快害虫など)の防除効果に優れている。
【0149】
以下に、その具体例を示す。
(1)ハチ目(Hymenoptera)の害虫
ミフシババチ科(Argidae)のハチ、タマバチ科(Cynipidae)のハチ、マツハバチ科(Diprionidae)のハチ、アリ科(Formicidae)のアリ、アリバチ科(Mutillidae )のハチ、スズメバチ科(Vespidae)のハチ。
【0150】
(2)その他の害虫
ゴキブリ類(Blattodea)、シロアリ類(termite)、クモ類(Araneae)、ムカデ類(cetipede)、ヤスデ類(millipede)、甲殻類(crustacea)、南京虫(Cimex lectularius)。
【0151】
〔製剤処方〕
本発明の有害生物防除剤、殺虫もしくは殺ダニ剤、外部寄生虫防除剤または内部寄生虫防除もしくは駆除剤の製剤実施例を若干示すが、添加物および添加割合は、これら製剤実施例の処方に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。製剤処方中の「部」は質量部を示し、「%」は質量%を示す。
【0152】
以下に農園芸用および水稲用の製剤処方を示す。
【0153】
(製剤1:水和剤)
本発明化合物40部、珪藻土53部、高級アルコール硫酸エステル4部、およびアルキルナフタレンスルホン酸塩3部を均一に混合して微細に粉砕して、有効成分40%の水和剤を得る。
【0154】
(製剤2:乳剤)
本発明化合物30部、キシレン33部、ジメチルホルムアミド30部、およびポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル7部を混合溶解して、有効成分30%の乳剤を得る。
【0155】
(製剤3:粒剤)
本発明化合物5部、タルク40部、クレー38部、ベントナイト10部、およびアルキル硫酸ソーダ7部を均一に混合して微細に粉砕後、直径0.5~1.0mmの粒状に造粒して有効成分5%の粒剤を得る。
【0156】
(製剤4:粒剤)
本発明化合物5部、クレー73部、ベントナイト20部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩1部、およびリン酸カリウム1部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0157】
(製剤5:懸濁剤)
本発明化合物10部、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル4部、ポリカルボン酸ナトリウム塩2部、グリセリン10部、キサンタンガム0.2部、および水73.8部を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕し、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0158】
以下に外部寄生虫防除剤、または内部寄生虫防除もしくは駆除剤の製剤処方を示す。
【0159】
(製剤6:顆粒剤)
本発明化合物5部を有機溶媒中で溶解させて溶液を得、前記溶液をカオリン94部およびホワイトカーボン1部の上に噴霧し、次いで溶媒を減圧下蒸発させる。この種の顆粒は動物の餌と混合できる。
【0160】
(製剤7:注入剤)
本発明化合物0.1~1部とラッカセイ油99~99.9部を均一に混合し、次いで滅菌フィルターによりろ過滅菌する。
【0161】
(製剤8:ポアオン剤)
本発明化合物5部、ミリスチン酸エステル10部、およびイソプロパノール85部を均一に混合してポアオン剤を得る。
【0162】
(製剤9:スポットオン剤)
本発明化合物10~15部、パルミチン酸エステル10部、およびイソプロパノール75~80部を均一に混合してスポットオン剤を得る。
【0163】
(製剤10:スプレー剤)
本発明化合物1部、プロピレングリコール10部、およびイソプロパノール89部を均一に混合してスプレー剤を得る。
【0164】
次に、合成実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の合成実施例によって何ら制限されるものではない。
【0165】
〔実施例1〕
ピラジン-1-イウム-1-イル(4’-(トリフルオロメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニル)アミド〔Pyrazin-1-ium-1-yl(4'-(trifluoromethoxy)-[1,1'-biphenyl]-4-carbonyl)amide〕の合成
【0166】
【化9】
【0167】
4’-(トリフルオロメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸(71mg)をジクロロメタン(1ml)に溶解させた。これに、オキサリルクロリド(38mg)を加え、N,N-ジメチルホルムアミドを1滴加えた。室温で3時間撹拌した。その後、溶媒を留去し、残渣にジクロロメタン(1ml)と1-アミノピラジン-1-イウム 2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(81mg)とトリエチルアミン(61mg)を加え、室温で1昼夜撹拌した。
得られた物を減圧濃縮し、得られた濃縮物に水を加えて、析出した結晶をろ取することで目的物(60mg)を得た。
【0168】
前記の実施例と同様の方法で製造した本発明化合物の例を第1表に示す。化合物の物性データを「物性」の欄に記入した。物性データとしては、融点(m.p.)を記載した。
【0169】
【表1】
【0170】
【表2】
【0171】
【表3】
【0172】
【表4】
【0173】
【表5】
【0174】
【表6】
【0175】
【表7】
【0176】
【表8】
【0177】
【表9】
【0178】
【表10】
【0179】
【表11】
【0180】
【表12】
【0181】
【表13】
【0182】
【表14】
【0183】
「物性」の欄において*を付した化合物についてはH-NMRデータを以下に示す。
化合物番号(A-1):1H-NMR (CDCl3) δ: 6.99-7.05 (m, 4H), 7.20 (d, 2H), 7.60 (m, 1H), 8.02 (m, 1H), 8.20 (d, 2H), 8.95 (m, 1H), 10.05 (d, 1H).
化合物番号(A-9):1H-NMR (CDCl3) δ: 3.91 (s, 3H), 5.92 (t, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.27 (d, 2H), 7.50-7.54(m, 3H), 7.59 (d, 2H), 8.12 (d, 2H), 9.64 (s, 1H).
化合物番号(A-13):1H-NMR (CDCl3) δ: 3.90 (s, 3H), 7.00 (s, 1H), 7.27 (m, 2H), 7.52 (s, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.63 (d, 2H), 8.17 (d, 2H), 9.85 (s, 1H).
化合物番号(A-33):1H-NMR (CDCl3) δ: 3.92 (s, 3H), 6.99-7.01 (m, 3H), 7.42 (s, 1H), 7.56 (d, 2H), 7.74 (d, 2H), 9.60 (s, 1H).
化合物番号(A-40):1H-NMR (CDCl3) δ: 2.33 (s, 3H), 7.20-7.30 (m, 4), 7.42 (m, 1H), 7.60-7.65 (m, 3H), 7.82 (s, 1H), 8.03 (m, 1H), 8.96 (br, 1H), 10.08 (d, 1H).
化合物番号(A-41):1H-NMR (CDCl3) δ: 1.90-1.95 (m, 4H), 2.71 (m, 2H), 2.87 (m, 2H), 5.94 (t, 1H), 7.25-7.31 (m, 2H), 7.45 (m, 1H), 7.60-7.63 (m, 4H), 7.93 (m, 1H), 7.98 (m, 1H), 8.58 (s, 1H).
化合物番号(A-42):1H-NMR (CDCl3) δ: 1.90-1.95 (m, 4H), 2.70 (m, 2H), 2.85 (m, 2H), 5.94 (t, 1H), 7.24-7.30 (m, 2H), 7.61-7.68 (m, 5H), 8.20 (d, 1H), 8.59 (s, 1H).
化合物番号(A-43):1H-NMR (CDCl3) δ: 1.89-1.97 (m, 4H), 2.70 (m, 2H), 2.85 (m, 2H), 7.26-7.30 (m, 2H), 7.42 (m, 1H), 7.61-7.66 (m, 4H), 8.20 (m, 1H), 8.59 (s, 1H).
化合物番号(A-46):1H-NMR (CDCl3) δ: 2.23 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 6.95 (s, 1H), 7.25-7.29 (m, 4H), 7.37 (m, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.58 (m, 2H), 9.81 (s, 1H).
化合物番号(A-47):1H-NMR (CDCl3) δ: 2.23 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 6.96 (s, 1H), 7.21-7.28 (m, 4H), 7.39-7.45 (m, 3H), 7.53 (m, 2H), 9.84 (s, 1H).
【0184】
さらに、前記の実施例と同様の方法で製造した本発明化合物を第2表に示す。化合物の液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)における保持時間を「保持時間」の欄に記入した。
以下の方法を使用して、液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)により、保持時間および関連する質量イオンを判定した。
Waters CORTECS UPLC C18カラム(ウォーターズ社製、2.1×50mm、1.6μm)を、温度40℃および流量0.6mL/分、2μL注入、移動相(A)0.1%ギ酸を含む水、移動相(B)アセトニトリルで使用し、保持時間を分単位(分間)で表した。
(I)泳動はACQUITY UPLC H-Class(ウォーターズ社製)にてACQUITY UPLCフォトダイオードアレイ(PDA)eλ検出器(ウォーターズ社製)及びACQUITY QDa 検出器(正及び負イオンエレクトロスプレーモードで、UV PDA検出、ウォーターズ社製)で行い、移動相(B)の濃度を、1.5分の直線勾配で30質量%から95質量%に上げ、(II)0.5分間95質量%で維持し、(III)直ちに30質量%(B)に下げ、(IV)0.5分間30質量%で維持した。
【0185】
【表15】
【0186】
【表16】
【0187】
【表17】
【0188】
【表18】
【0189】
【表19】
【0190】
【表20】
【0191】
〔生物試験〕
本発明化合物が、有害生物防除剤の有効成分として有用であることを以下の試験例で示す。「部」は質量基準である。
【0192】
(試験用乳剤の調製)
本発明化合物5質量部、ジメチルホルムアミド93.6質量部、およびポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル1.4質量部を混合し溶解させて、有効成分5質%の乳剤(I)を調製した。
(対照用乳剤の調製)
ジメチルホルムアミド93.6質量部、およびポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル1.4質量部を混合し溶解させて、乳剤(II)を調製した。
【0193】
(1)アワヨトウに対する効力試験
市販の人工飼料(インセクタLFS、日本農産工業社製)0.8gと乳剤(I)1μlをよく混和し、プラスチック製試験容器(1.4ml容)に各処理区当り0.2gを詰めて試験用飼料とした。
アワヨトウ2齢幼虫を各処理区当り2頭接種し、プラスチック製の蓋で密閉した。それを25℃の恒温室内に置き、5日目に殺虫率と摂食量を調べた。試験は2反復で行った。
また、乳剤(I)を乳剤(II)に代えた以外は上記と同じ条件で並行して試験を行い、溶媒対照区とした。
化合物番号A-2、A-3、A-4、A-9、A-10、A-11、A-15、およびA-16の化合物について、アワヨトウに対する効力試験を行った。いずれの化合物も、殺虫率が100%または摂食量が対溶媒対照区比で10%以下であり、有効であった。なお、殺虫率は、下記式に基づき算出した。
殺虫率(%)=(死亡虫数/供試虫数)×100
【0194】
同様に以下の第3表に示す化合物についても効力試験を行った。いずれの化合物も、殺虫率が100%または摂食量が対溶媒対照区比で10%以下であり、有効であった。
【0195】
【表21】
【0196】
(2)ハスモンヨトウに対する効力試験
乳剤(I)を、本発明化合物の濃度が125質量ppmになるように水で希釈した。キャベツ葉を前記希釈液に30秒間浸漬した。このキャベツ葉を風乾してシャーレに入れ、ハスモンヨトウ2齢幼虫5頭を放した。シャーレを温度25℃、湿度60%の恒温室内に置いた。放虫から6日間経過したときに生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
化合物番号A-4、A-9、A-11、およびA-13の化合物について、ハスモンヨトウに対する効力試験を行った。いずれの化合物も80%以上の殺虫率を示した。
【0197】
同様に以下の第4表に示す化合物についても効力試験を行った。いずれの化合物も、殺虫率が80%以上の殺虫率を示した。
【0198】
【表22】
【0199】
(3)オオタバコガに対する効力試験
乳剤(I)を、本発明化合物の濃度が125質量ppmになるように水で希釈した。キャベツ葉を前記希釈液に30秒間浸漬した。このキャベツ葉を風乾してシャーレに入れ、オオタバコガ2齢幼虫5頭を放した。シャーレを温度25℃、湿度60%の恒温室内に置いた。放虫から6日間経過したときに生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
化合物番号A-9の化合物について、オオタバコガに対する効力試験を行った。本化合物は80%以上の殺虫率を示した。
【0200】
(4)ナミハダニに対する効力試験
3寸鉢でインゲンを育苗し、初生葉上に、ナミハダニ雌成虫を5頭接種した。乳剤(I)を、本発明化合物の濃度が125質量ppmになるように水で希釈した。前記希釈液を前記インゲンに散布し、処理区とした。前記の3寸鉢を、温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、散布から3日間経過したときに接種したカンザワハダニ雌成虫を除去し、葉上に産下された卵のみを残した。散布から10日間経過した時点で葉上に生存する個体数を調査した。試験は2反復で行った。
また、乳剤(I)を乳剤(II)に代えた以外は上記と同じ条件で並行して試験を行い、溶媒対照区とした。
下記の式に従い防除率を算出した。
防除率(%)=100×[1-Nt/Nc]
Nt: 処理区生存個体数、Nc: 溶媒対照区生存個体数
化合物番号A-18の化合物について、ナミハダニに対する効力試験を行った。本化合物は90%以上の防除率を示した。
【0201】
(5)ワタアブラムシに対する効力試験
3寸鉢にきゅうりを播種した。発芽から10日経過したキュウリに、ワタアブラムシ雌成虫を放虫した。翌日に、産下された1齢幼虫は残し、雌成虫は除去した。乳剤(I)を、本発明化合物濃度が125質量ppmになるように水で希釈した。この希釈液を前記のキュウリに散布した。その後キュウリを温度25℃・湿度60%の恒温室内に置き、5日経過後にワタアブラムシの生死を調べ、殺虫率を求めた。
化合物番号A-19の化合物について、ワタアブラムシに対する効力試験を行った。本化合物は殺虫率が80%以上であった。
【0202】
(6)トビイロウンカに対する効力試験
乳剤(I)を本発明化合物の濃度が125質量ppmになるように水で希釈した。前記希釈液にイネ幼苗を30秒間浸漬し、風乾させた後にプラスチックケースに入れ、トビイロウンカ2齢幼虫5頭を放虫した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、接種から10日後に生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
化合物番号A-11の化合物について、トビイロウンカに対する効力試験を行った。本化合物は殺虫率が80%以上であった。
【0203】
(7)カンザワハダニに対する効力試験
3寸鉢で緑豆を育苗し、初生葉上に、カンザワハダニ雌成虫を5頭接種した。乳剤(I)を、本発明化合物の濃度が125質量ppmになるように水で希釈した。前記希釈液を前記緑豆に散布し、処理区とした。また、乳剤(I)から本発明化合物を除いた以外は同じ条件で試験を行い、溶媒対照区とした。前記の3寸鉢を、温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、散布から4日間経過したときに接種したカンザワハダニ雌成虫を除去し、葉上に産下された卵のみを残した。散布から11日間経過した時点で葉上に生存する個体数を調査し、上記の式に従い防除率を算出した。試験は2反復で行った。
化合物番号A-23、A-37、A-47、A-48、A-49、およびA-50の化合物について、カンザワハダニに対する効力試験を行った。いずれの化合物も90%以上の防除率を示した。
【0204】
本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物の中から無作為に選択したものが、上記のような効果を奏することから、本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物は、実施例において示しきれなかった化合物を含め、有害生物防除、殺ダニ、特に殺虫などの効果を有する化合物であることが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物は、農作物や衛生面で問題となる有害生物を防除する機能を有する。本発明の芳香環状第4級アンモニウム化合物を含有する防除剤は、有害生物、特に農業害虫およびダニ類をより低濃度で効果的に防除することができ、さらに人畜を害することがある外部寄生虫および内部寄生虫を効果的に防除することができる。