(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】カテーテルに作用する力を測定するように構成されたカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/24 20060101AFI20240626BHJP
G01L 1/24 20060101ALI20240626BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A61B18/24
G01L1/24 A
G01L5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021570853
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020065321
(87)【国際公開番号】W WO2020245177
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-04-07
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513326853
【氏名又は名称】ファスコメット ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビショッフ、ロベルト
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0196479(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0137952(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180168(US,A1)
【文献】国際公開第2016/034598(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/144312(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0333205(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0005773(US,A1)
【文献】特開2015-089489(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0142569(US,A1)
【文献】特開2016-116814(JP,A)
【文献】特表2003-508110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル(1)であって、
-長手方向軸(Z)に沿って延在し、かつ前記カテーテル(1)の遠位端でカテーテル先端(20)に接続された遠位端部(11)を有する、細長いシャフト本体(10)であって、前記シャフト本体(10)が、前記長手方向軸(Z)に沿って延びている第1の管腔(12)を含む、シャフト本体(10)と、
-力を測定するための光ファイバ(30)であって、前記光ファイバ(30)が、前記第1の管腔(12)内に延在し、かつ前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)内に配置された少なくとも第1のブラッグ格子(31)を含む、光ファイバ(30)と、
を備え、
前記光ファイバ(30)は、前記カテーテル先端(20)に作用する力を測定するための第2のブラッグ格子(32)および第3のブラッグ格子(33)を備え、前記第2のブラッグ格子(32)は、前記光ファイバ(30)の一部に形成されており、前記第3のブラッグ格子(33)は、前記光ファイバ(30)の一部に形成されており、前記第1のブラッグ格子(31)、前記第2のブラッグ格子(32)、および前記第3のブラッグ格子(33)が、前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)において、前記シャフト本体(10)の前記長手方向軸(Z)の方向において互いに間隔をあけて配置されており、
前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)が、少なくとも第1の補剛要素(40)を囲んでおり、前記第1の補剛要素(40)が、
前記遠位端部(11)内の前記長手方向軸(Z)に沿って延在
し、前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)を補剛しており、
患者の組織にエネルギーを加えて患者組織のアブレーションを行うための電極が、前記カテーテル(11)の前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)に配置されている、カテーテル(1)。
【請求項2】
前記第1の補剛要素が、細長いワイヤストランド、細長いワイヤブレード、細長いチューブ、または板バネの形態である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)が、第2の補剛要素(41)を囲んでおり、前記第2の補剛要素(41)が、
前記遠位端部(11)内の前記長手方向軸(Z)に沿って延在
し、前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)を補剛している、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記光ファイバ(30)が、温度を測定するための第4のブラッグ
格子(34)を含み、前記第4のブラッグ
格子(34)を含む前記光ファイバ(30)の一部が、前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)内に配置された保護チューブ(35)によって取り囲まれて、前記保護チューブ(35)
内を自由に移動するように構成されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記シャフト本体(10)が、第2の管腔(13)を含み、前記シャフト本体(10)をそらすための引きワイヤ(50)が、前記第2の管腔(13)内に配置されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記引きワイヤ(50)が、前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)に固定されている、請求項
5に記載のカテーテル。
【請求項7】
ワイヤストランドまたはワイヤブレードの形態のさらなる補剛要素(51)が、前記第2の管腔(13)内に配置されて前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)内に延在
し、前記引きワイヤ(50)を補剛している、請求項
5または
6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記カテーテル(1)が、前記シャフト本体(10)の前記遠位端部(11)に配置された複数のリング電極(60、61、62)を備え、特に各リング電極(60)が、前記シャフト本体(10)内に延びている導電体(63)に電気的に接続されている、請求項1から
7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記カテーテル(1)が、前記カテーテル先端(20)を形成するヘッド電極(64)を備え、特に前記ヘッド電極(64)が、前記シャフト本体(10)内に延びている導電体(65)に電気的に接続されている、請求項1から
8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテル(1)が、前記カテーテル(1)を
洗浄するために前記シャフト本体(10)内に延びている
潅注ホース(80)を備える、請求項1から
9のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記導電体(63、65)が、前記第1の管腔(12)内に配置されている、請求項
8を引用する請求項9に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記潅注ホース(80)が、前記第1の管腔(12)内に配置されている、請求項
10に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記カテーテル(1)が、第3および第4の管腔(14、15)を備え、前記リング電極(60、61、62)に電気的に接続された前記導電体(63)が、前記第3の管腔(14)内に配置されており、前記ヘッド電極(64)に電気的に接続された前記導電体(65)が、前記第4の管腔(15)内に配置されている、請求項
8を引用する請求項9に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記光ファイバ(30)が、光(L)が前記光ファイバ(30)から前記ヘッド電極(64)の内部空間(64a)に
放出され得るように、または光(L)が前記ヘッド電極(64)から
放出され得るように、前記ヘッド電極(64)内に延在する、請求項1から
13のいずれか一項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなカテーテルは、特に患者組織のアブレーションのために、患者の組織にエネルギーを加えるためにカテーテルのシャフト本体の遠位端部に配置された電極を備え得る。
【0003】
そのようなカテーテルは、細長い光ファイバであって、当該光ファイバの一部に形成された少なくとも1つのファイバブラッグ格子を含む、光ファイバを使用することによってカテーテル先端に作用する力を測定するように構成することができる。
【0004】
特に、文献である国際公開第2016/149819号パンフレットは、オーバーラップする管状部材に接続された歪みセンサを備えるカテーテルを記載している。
【0005】
しかしながら、管状部材は、特定の用途の場合、特に患者の心臓エリアに到達することが困難な場合に、カテーテルのシャフトの遠位端部を堅くしすぎてカテーテルの先端の柔軟なガイドをできなくするリスクを抱える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2016/149819号パンフレット
【発明の概要】
【0007】
そこで、本発明が解決する1つの課題は、カテーテル先端の柔軟なガイドを同時に実現しつつカテーテルに作用する力を計測することができる、カテーテルを提供することである。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有するカテーテルによって解決される。さらなる実施形態は、従属請求項に記載され、かつ以下で説明される。
【0009】
カテーテルであって、
-長手方向軸に沿って延在し、かつ当該カテーテルの遠位端でカテーテル先端に接続された遠位端部を有する、細長いシャフト本体であって、当該シャフト本体が、当該長手方向軸に沿って延びている第1の管腔を含む、シャフト本体と、
-力を測定するための光ファイバであって、当該光ファイバが、当該第1の管腔内に延在し、かつ少なくとも第1のブラッグ格子を含み、特に当該第1の管腔が、当該長手方向軸に沿って延在する、光ファイバと、
を備える、カテーテルが、開示される。
【0010】
シャフト本体の遠位端部は、少なくとも第1の補剛要素を囲んでおり、第1の補剛要素は、シャフト本体の遠位端部を補剛するために長手方向軸に沿って延在する。従来技術とは対照的に、カテーテルは、シャフト本体の遠位端部内に配置された金属管状力変換器を含まない(またはシャフト本体の遠位端部内に配置された金属管状力変換器がない)。
【0011】
第1の補剛要素は、細長いワイヤストランド、細長いワイヤブレード、(例えば、プラスチック材料を含むか、もしくはプラスチック材料から作られた)細長いチューブ、または板バネの形態であってもよい。
【0012】
本発明は、剛性の(金属の)力変換器を、シャフト本体の可撓性部分内で上下に位置付けられた、例えばチューブ、ワイヤストランドもしくはワイヤブレード、または管腔などの構成要素で完全に置き換えることができるという利点を有する。これら構成要素の互いに対する位置が、光ファイバを使用した効率的な力測定を可能にする。同時に、カテーテルの設計が簡素化される。さらに、シャフト本体の遠位端部全体を可逆的に変形させることができ、そのため標準的なロックを介してカテーテルを容易にガイドすることができる。
【0013】
本開示の枠組みにおいて、カテーテルの遠位端は、カテーテル先端によって形成され、カテーテルは、カテーテル先端で前方に挿入される。近位端において、カテーテルは、カテーテルを手動で保持および操作するためのハンドルを備えてもよい。
【0014】
特に、力測定に使用されるブラッグ格子は、光ファイバに内接される光干渉フィルタである。特に、ブラッグ格子のブラッグ波長付近の、ブラッグ格子のフィルタ帯域幅内にある、光ファイバに結合された光の波長が、反射される。反射波長は、ファイバブラッグ格子の位置における光ファイバの相対的な歪みと共にシフトする。これにより、反射波長のシフトを測定および分析することによって、光ファイバに作用する歪み(または力)を測定することが可能になる。
【0015】
一実施形態によれば、シャフト本体の遠位端部は、第2の補剛要素を囲んでおり、第2の補剛要素は、シャフト本体の遠位端部を補剛するために長手方向軸に沿って延在する。第2の補剛要素は、細長いワイヤストランド、細長いワイヤブレード、(例えば、プラスチック材料を含むか、もしくはプラスチック材料から作られた)細長いチューブ、または板バネの形態であってもよい。
【0016】
特に、一実施形態では、第1および第2の補剛要素は、シャフト本体の遠位端部にのみ延在する。特に、補剛要素は、シャフト本体に設けられた開口部を介して、遠位端部シャフト本体のレセプタクルに挿入されてもよい。
【0017】
さらに、好ましい実施形態によれば、光ファイバは、カテーテル先端に作用する当該力を測定するための、第2のブラッグ格子および第3のブラッグ格子を含む。これにより、3次元におけるすべての力成分を感知することが可能になる。特に、ブラッグ格子はすべて、シャフト本体の遠位端部の領域に次々に配置されており、特に互いに離間している。
【0018】
特に、一実施形態によれば、各ブラッグ格子は、光ファイバの変形に関して様々な感度を含む。各ブラッグ格子は、光ファイバの変形に対して様々な反応を示す。
【0019】
一実施形態によれば、第1のブラッグ格子はその第2の感度とは異なる第1の感度を含み、この第2の感度は第1のブラッグ格子の第3の感度とは異なる。
【0020】
さらに、一実施形態では、第2のブラッグ格子はその第1の感度とは異なる(例えば、その第1の感度より大きい)第2の感度を含み、第2のブラッグ格子の第2の感度は第2のブラッグ格子の第3の感度とは異なる(例えば、第2のブラッグ格子の第3の感度より大きい)。一実施形態では、第2のブラッグ格子の第1の感度は、第2のブラッグ格子の第3の感度に等しいものとすることができる第2のブラッグ格子の第2の感度よりも、大きくてもよい。
【0021】
さらに、特に、第3のブラッグ格子は、第3のブラッグ格子の第2の感度に等しいものとすることができるその第1の感度とは異なる(例えばその第1の感度より大きい)第3の感度を含む。
【0022】
さらなる実施形態によれば、光ファイバは、温度を測定するための第4のブラッグ格子を含み、第4のブラッグ格子を含む光ファイバの一部は、シャフト本体の遠位端部に配置された保護チューブによって取り囲まれている。光ファイバは、保護チューブに対して自由に移動するように構成されてもよい。
【0023】
特に、一実施形態によれば、4つのブラッグ格子は、シャフト本体の長手方向軸の方向に互いに離間している。特に、ブラッグ格子の数が多いほど、それぞれのブラッグ格子は、シャフト本体の遠位端に、より近く配置される
【0024】
さらに、一実施形態によれば、光ファイバは、シャフト本体の遠位端部の領域において、第1の管腔の内側に固定(例えば接着)される。特に、光ファイバは、少なくともブラッグ格子を覆うクラッドを含む。クラッドは、熱収縮チューブから形成することができる。
【0025】
さらなる実施形態によれば、シャフト本体は、第1の管腔に沿って(またはシャフト本体の長手方向軸に沿って)延びる第2の管腔を含み、シャフト本体をそらすための引きワイヤが、第2の管腔内に配置される。
【0026】
好ましくは、一実施形態では、引きワイヤは、シャフト本体の遠位端部に固定(例えば接着)される。特に、引きワイヤは、シャフト本体の遠位端部の領域で第2の管腔の内側サイダーに固定(例えば接着)することができて、光ファイバで測定される力をカテーテルのシャフト本体のそりから分離することができる。
【0027】
さらに、一実施形態では、引きワイヤを補剛するために、ワイヤストランドまたはワイヤブレードが、第2の管腔内に配置されてシャフト本体の遠位端部に延在する。
【0028】
一実施形態によれば、カテーテルは、シャフト本体の遠位端部に配置された複数のリング電極を備え、好ましくは、各リング電極は、シャフト本体の近位端に向かってシャフト本体内に延びる導電体に電気的に接続される。
【0029】
さらに、一実施形態によれば、カテーテルは、カテーテル先端を形成するヘッド電極を備え、好ましくは、ヘッド電極は、シャフト本体の近位端に向かってシャフト本体内に延びる導電体に電気的に接続される。好ましくは、一実施形態によれば、ヘッド電極は、シャフト本体の遠位端に(すなわち、シャフト本体の遠位端部の遠位端に)固定(例えば接着)される。
【0030】
さらに、一実施形態によれば、カテーテルはまた、シャフト本体内に配置された、(例えば、熱電対の形態の)細長い温度センサを備え得る。
【0031】
さらなる実施形態によれば、カテーテルは、カテーテルをパージするためにシャフト本体内に延びるパージホース(潅注ホース)を備える。潅注流体をパージホースから外へ出すために、カテーテルの遠位部に1つ以上の開口部が形成されてもよい。
【0032】
特に、一実施形態では、カテーテルは、シャフト本体の遠位端部の領域内の第2の管腔内に配置された剛性のガイドチューブを含むことができ、ガイドチューブは、ヘッド電極に挿入される。特に、近位方向において、ガイドチューブは、カテーテルの最も近位のブラッグ格子(第1のブラッグ格子)を越えても最も近位のリング電極を越えても延在しない。特に、パージホースは、ガイドチューブを通過する。
【0033】
特に、一実施形態では、カテーテルは、2つの管腔、すなわち第1および第2の管腔を備えることができ、第1の管腔は、好ましくは、第2の管腔の内径よりも大きい内径を含む。
【0034】
一実施形態では、リング/ヘッド電極に接続する導電体は、光ファイバに隣接する第1の管腔内に配置される。
【0035】
さらに、細長い温度センサ(例えば熱電対)を、当該導電体および光ファイバに隣接する第1の管腔内に配置することもできる。
【0036】
さらに、パージホース(および特にガイドチューブのセクション)を、第1の管腔内に配置することもできる。
【0037】
好ましくは、シャフト本体の遠位端部の領域内の第1の管腔の少なくとも一部は、導電体、光ファイバ、パージホース、および特にまた温度センサを、互いに対して、およびシャフト本体の遠位端部に、固定するために接着剤で充填される。
【0038】
さらに、代替的な実施形態では、第1および第2の管腔に加えて、カテーテルは、第3および第4の管腔を備えることができ、第2の管腔は、好ましくは、第1、第3、および第4の管腔の内径よりも大きい内径を含む。一実施形態によれば、リング電極に電気的に接続された導電体は、好ましくはいよいよ第3の管腔内に配置され、ヘッド電極に電気的に接続された導電体は、好ましくはいよいよ第4の管腔内に配置される。
【0039】
特に、4管腔カテーテルの場合、温度センサは、好ましくは第3の管腔内に配置される。さらなる実施形態によれば、4つの管腔が存在する場合、パージホースは、好ましくは第2の管腔内に配置される(引きワイヤと同様。上記を参照されたい)。
【0040】
さらに別の実施形態によれば、光ファイバは、光が光ファイバからヘッド電極の内部空間に出ることを可能にするために、または光がヘッド電極から出ることを可能にするために、ヘッド電極内に延在する。後者の場合、光ファイバは、ヘッド電極を貫通し得る。ここでは、光ファイバは、患者の組織/血液を分析するために使用することもでき、またはレーザアブレーションに使用することができる(レーザ光が光ファイバを介してヘッド電極から出ることができるようにされている場合)。血液および/または組織によって反射された光は、光ファイバに再び入り得る。生理学的パラメータ、例えば組織の酸素飽和度を決定するために、(例えば、カテーテルに接続されたデータ処理ユニットによって)反射光を処理してもよい。カテーテルは、ファイバ分光計として使用されてもよい。
【0041】
一実施形態では、カテーテルは、長手方向軸に沿って延在し、かつ当該カテーテルの遠位端でカテーテル先端に接続された遠位端部を有する、細長いシャフト本体であって、当該シャフト本体が、当該長手方向軸に沿って延びている第1の管腔を含む、シャフト本体を備えてもよい。当該カテーテルは、光ファイバであって、当該光ファイバが、当該第1の管腔内に延在し、特に当該第1の管腔が、当該長手方向軸に沿って延在する、光ファイバをさらに備える。この実施形態では、血液または組織の光学的分析は、力測定デバイスから独立している。カテーテルは、ブラッグ格子を伴わずに、したがって力測定機能を伴わずに提供することができる。
【0042】
本発明のさらなる特徴および実施形態を、図を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1A】4つの管腔を含むカテーテルのシャフト本体の遠位端部を示す図である。
【
図1B】
図1Aに示すカテーテルの、長手方向軸に沿った概略断面図である。
【
図2】当該長手方向軸に垂直な、
図1Aおよび
図1Bに示すカテーテルの概略断面図である。
【
図3】カテーテル先端に作用する力を測定するために使用される、
図1~
図2に示すカテーテルの光ファイバの概略図である。
【
図4】カテーテルのシャフト本体が2つの管腔を含む、カテーテルのさらなる実施形態の概略断面図である。
【
図5】
図4に示すカテーテルの、カテーテルの長手方向軸に沿った概略断面図である。
【
図6】カテーテルの一実施形態の、カテーテルの長手方向軸に沿ったさらなる概略断面図であり、カテーテルの光ファイバは、光ファイバの端からヘッド電極の外へ光を放射することができるように、カテーテルのヘッド電極を貫通する。
【
図7】
図4に示す断面図の代替的な詳細を示す図であり、カテーテルは、ここでは複数の光ファイバを含む。
【
図8A】
図6に示すヘッド電極の代替的な構成を示す図であり、3つの光ファイバがヘッド電極を貫通する。
【
図8B】
図6に示すヘッド電極の代替的な構成を示す図であり、光ファイバは、ヘッド電極内に接着されており、硬化した接着剤が、光学要素を形成し、光ファイバを通過した光が、当該光学要素を通ってヘッド電極の端で光ファイバを出ることができる。
【
図9】
図6に示すカテーテル、およびカテーテルの光ファイバに接続された測定デバイスの概略図である。
【
図10】3つの光ファイバを含む
図8aに示す種類のカテーテルに接続された、測定デバイスのさらなる実施形態を示す図である。
【
図11】
図6に示す種類のカテーテルに接続された測定デバイスのさらなる実施形態を示す図であり、ここでは、力測定ユニット、分光計、および光源(例えば、レーザ)が、マルチプレクサを介して単一の光ファイバに接続されている。
【
図12】カテーテルのさらなる実施形態を示す図であり、ここでは、光ファイバは、カテーテルの長手方向軸に対して鋭角でヘッド電極を貫通する端部を含む。
【
図13】
図12に示す実施形態の修正を示す図であり、光ファイバの端は、ここではヘッド電極の内部空間に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1Aは、
図1Bおよび
図2と併せて、カテーテル1の実施形態を示す。このようなカテーテル1は、外科処置中に患者の組織のアブレーションに使用することができる。
【0045】
カテーテル1は、細長いシャフト本体10であって、長手方向軸Zに沿って延在し、かつカテーテル1の遠位端でカテーテル先端20に接続された遠位端部11を有する、細長いシャフト本体10を備え、シャフト本体10は、長手方向軸Zに沿って互いに平行に延びる第1の管腔12、第2の管腔13、第3の管腔14、および第4の管腔15(
図2を参照されたい)を含む。カテーテル先端20は、好ましくは接着剤接続部G’を介してシャフト本体10の当該部11の遠位端11aに接着される、ヘッド電極64によって形成される。カテーテルは、例えば、カテーテル1のシャフト本体10の遠位端部11に配置された3つのリング電極60、61、62をさらに備える。さらに、カテーテル1は、力を測定するための光ファイバ30を備え、光ファイバ30は、第1の管腔12内に延在し、好ましくは第1、第2、第3および第4のブラッグ格子31、32、33、34を含み、第1、第2、および第3のブラッグ格子31、32、33は、カテーテル先端20に作用する力を測定するように構成されている。特に、第4のブラッグ格子34は、カテーテル1のヘッド電極64付近の温度を測定する役割を果たす。好ましくは、第4のブラッグ格子34は、
図3に示すようにシャフト本体10の遠位端部11に埋め込まれた、保護チューブ35内に配置され、かつ保護チューブに対して自由に移動することができるようにされている。これによって、第4のブラッグ格子の圧力負荷を大部分、防止して、第4のブラッグ格子の変形が主に温度変化に起因するようにする。別の実施形態では、第4のブラッグ格子34は、製造がより容易な接着剤で完全に覆われてもよい。
【0046】
好ましくは、カテーテル1は、カテーテル先端20に作用する力を測定するための金属管状力変換器を備えるのではなく、好ましくは、カテーテル1のシャフト本体の遠位端部を補剛するための、細長いワイヤストランドまたは細長いワイヤブレードの形態の第1の補剛要素40などの、少なくとも1つの剛性のより低い構成要素を備える。好ましくは、カテーテルはまた、
図2に示すように、ワイヤストランドまたはワイヤブレードの形態の、第2の補剛要素41を備える。特に、第2の補剛要素41もまた、シャフト本体の遠位端部11に、後者の補剛のために埋め込まれる。
【0047】
特に、第1の補剛要素40、41は、シャフト本体10の遠位端部11を補剛するために、シャフト本体の管腔12、13、14、15に平行に遠位端部11の内側で長手方向軸Zに沿って延在する。
【0048】
さらに、
図1Bおよび
図2に示すように、カテーテルは、定められた長さの剛性のガイドチューブ81を備え、当該ガイドチューブ81は、ヘッド電極62に固定および挿入され、かつシャフト本体10の遠位端部11の領域内の第2の管腔13内に突出する。特に、カテーテルは、ガイドチューブ81を貫通するパージポーズ(pose)を備えてもよく、当該パージホース80は、カテーテルのカテーテル先端20/ヘッド電極64をパージするように構成される。さらに、カテーテル1のシャフト本体10をそらすための引きワイヤ50を、第2の管腔13内に配置することができる。特に、
図1Bに示すように、引きワイヤ50も、第2の管腔13内に配置された管状引きワイヤガイド52によってガイドされ得る。好ましくは、第2の管腔13は、他の管腔12、14、15よりも大きい内径を含む。特に、第3の管腔14は、リング電極60、61、62と電気的に接触するために使用される導電体63を収容するために、利用することができる。さらに、任意的に、第3の管腔14は、熱電対などの細長い温度センサ70を収容することができる。さらに、特に、第4の管腔15は、ヘッド電極64と電気的に接触するための、導電体65を収容することができる。
【0049】
ブラッグ格子31~34のエリアでは、光ファイバ30は、好ましくはクラッド36内に配置され、例えば、第1の管腔12の内側で正確な接合が可能となるように、収縮性チューブ材料で包まれる。好ましくは、長手方向軸Zの方向の力成分を測定するための第3のブラッグ格子33が配置されている領域(
図1Bを参照されたい)とは別に、他のブラッグ格子31、32、34を含む光ファイバ30の部分は、好ましくは、
図1Bに示す2つの接着剤接続部Gによって第1の管腔の内側12aに接着される。さらに、ヘッド電極64は、接着剤接続部G’によってシャフト本体10の遠位端部11の遠位端11aに接着される。
【0050】
特に、ブラッグ格子31、32、33、34は、カテーテル1のシャフト本体10の長手方向軸Zの方向に互いに離間しており、特に、ブラッグ格子31、32、33は、カテーテル1のシャフト本体10の長手方向軸Zの方向ならびに長手方向軸Zに垂直に延びる2つの直交する方向XおよびYにおける、光ファイバ30の変形に関するそれぞれ異なる感度を構成する(上記も参照されたい)。これにより、ブラッグ格子31、32、33の波長シフトを既知の方法で分析することによって、カテーテル先端20に作用する力の力成分を計算することが可能になる。
【0051】
さらに、
図4は、
図5と併せて、カテーテル1のさらなる実施形態を示し、ここでは、カテーテル1は、2つの管腔、すなわち第1の管腔12および第2の管腔13のみを含み、第1の管腔12は、好ましくは、第2の管腔12よりも大きい内径を含む。
【0052】
ここでも、光ファイバ30は、第1の管腔12内に配置される。上述の実施形態とは対照的に、第1の管腔12は、リング電極60、61、62と電気的に接触するための導電体63、任意的な温度センサ70、およびヘッド電極64との電気的接触を作るための導電体65も収容する。さらに、パージホース80も、シャフト本体10の第1の管腔12に収容することができる。引きワイヤ50は、他の構成要素から分離され、好ましくはワイヤストランドまたはワイヤブレードの形態の補剛要素51と一緒に、第2の管腔13内に配置される。
【0053】
好ましくは、引きワイヤ50は、シャフト本体10の遠位端部11、具体的にはシャフト本体10の遠位端部11の領域内の第2の管腔13の内側13aに接着されて、光ファイバ30で測定される力をカテーテル1のシャフト本体10のそりから分離する。
【0054】
図4および
図5に示す実施形態ではまた、カテーテル1は、シャフト本体10の遠位端部11に配置されかつそれぞれの導電体63(
図5を参照されたい)に接続された3つのリング電極60、61、62、さらにはカテーテル先端20を形成するヘッド電極64を備え、ヘッド電極64は、当該導電体65と電気的に接続される。ここでも、ヘッド電極64は、好ましくは、接着剤接続部G’を介してシャフト本体10/遠位端部11の遠位端11aに接着される。
【0055】
さらに、シャフト本体10の遠位端部11を補剛するために、カテーテル1は、好ましくは、互いに平行に延在しかつカテーテル1のシャフト本体10の遠位端部11に埋め込まれたワイヤストランドまたはワイヤブレードの形態の第1および第2の補剛要素40、41を備える(
図4を参照されたい)。
【0056】
さらに、
図5に示すように、光ファイバ30は、上述のように構成することができ、かつ第1、第2、第3、および第4のブラッグ格子31、32、33、34を含んでもよく、第4のブラッグ格子34は、好ましくは、上述のように保護チューブ35内に配置される。
【0057】
図5に示す例によれば、特にカテーテル1のヘッド電極64が7F(すなわち2.67mm)の外径を含む場合、第1のブラッグ格子31は、カテーテル1のシャフト本体10/遠位端部11の遠位端11aまで10mmの距離に、配置され得る。さらに、この距離は、第2のブラッグ32格子では7mm、第3のブラッグ格子33では4mm、第4のブラッグ格子34では1mmとなり得る。さらに、
図5に示す特定の例によれば、補剛要素40、41は、カテーテル1のシャフト本体10の長手方向軸Zに沿って点Bから点Aまで延在し得、点Bは、当該遠位端11aから15mm離間され得、点Aは、当該遠位端11aから8mm離間され得る。
【0058】
さらに、シャフト本体10の遠位端部11は、補剛要素40、41、51(例えば、ワイヤストランドまたはワイヤブレード)をシャフト本体10の遠位端部11に挿入するための、および第2の管腔13内の引きワイヤ50に接着剤を塗布して、引きワイヤ50を第2の管腔13に固定するための接着剤接続部Gを実現するための、横開口部110、111を含み得る(上記も参照されたい)。特定の例によれば、補剛要素40、41は、シャフト本体10の遠位端11aから11mmで位置付けられた開始点から、離れて遠位端11aに向かって延在してもよい。
【0059】
さらに、接着剤は、シャフト本体10の遠位端部11の横開口部112を介して塗布することができて、横開口部112の位置から開始してシャフト本体10の遠位端11aまでの、第1の管腔12を当該接着剤で充填して、シャフト本体10の遠位端部11に対して第1の管腔12内に配置された構成要素30、63、65、70を固定するための接着剤接続部G’’を確立するようにし得る。特定の例によれば、接着剤接続部G’’は、長手方向軸Zの長さ12mmの延長部を有し得る。
【0060】
さらに、
図6~
図13は、カテーテル1が少なくとも1つの光ファイバ30を備える、実施形態を示す。当該光ファイバ30は、光Lが光ファイバ30からヘッド電極64の内部空間64a(
図13を参照されたい)に出ることを可能にするために、または光Lがヘッド電極64から出ることを可能にするために、ヘッド電極64内に延在する。後者の場合、光ファイバ30は、ヘッド電極64を貫通し得る。
【0061】
光(例えば、ガラス)ファイバ30が、特にヘッド電極64を通って、カテーテル先端20まで光学的にガイドされる場合、光Lは、遠位に出る(拡散する)ことができ、組織が、反射光を使用して分析され得る。特に、(例えば、心腔内の)患者の血液の酸素飽和度のリアルタイム測定、インビボでの患者の血液または組織の分光法、レーザアブレーションによる組織の硬化療法、さらには光(パルス)による組織への刺激は、
図6に示すような光ファイバ30の構成を使用して実行することができる。さらに、
図12に示すように、光ファイバ30は、カテーテル1/シャフト本体の長手方向軸Zに対する角度で配置されたヘッド電極64内に延びる端セクション30aを含み得る。
【0062】
特に、酸素含有量は、様々な波長での比較測定によって決定することができ、波長スペクトルにわたる比較測定は、カテーテルのフラッシングによる希釈とは無関係である。さらに、使用されるIRスペクトルは、分析されるエリアに適合させることができる。
【0063】
あるいは、
図13に示すように、光ファイバ30はまた、ヘッド電極64の内側で、フラッシングされるエリアすなわち内部空間64aで終端してもよい。これにより、積分反射光を測定することが可能になる。特に、リンシング中の水柱も、光ガイドとして(すなわち、例えば照明用の、光ファイバ30の補足または置換えとして)使用することができる。
【0064】
図8Aに示す実施形態によれば、2つ以上の光ファイバ30、特に3つの光ファイバ30が、カテーテル1の遠位端/カテーテル先端20まで延在し、ヘッド電極64に接合される。ここで、1つの光ファイバ30は、ブラッグ格子33、34、...を含み得、かつカテーテル先端20に作用する力を測定するために使用される。他の2つの隣接する光ファイバ30は、光学分光法および光伝送に使用することができる。例えば3つの光ファイバ30を使用することにより、力測定機能、光学分光法、および光伝送を互いに物理的に分離することが可能になる。
【0065】
図8Bに示す実施形態によれば、単一の光(例えば、ガラス)ファイバを、ヘッド電極64内へ通すことができ、かつ接着剤を使用してそこに固定することができる。特に、接着剤は、ヘッド電極64の前部空洞を充填して(例えば、レンズまたは拡散器の形態の)光学要素300を形成してもよい。さらに、接着剤は、機械的な緩衝器としても作用し得る。
【0066】
特に、
図9は、光ファイバ30を有するカテーテル1の実施形態を示し、当該光ファイバ30は、光Lがヘッド電極64を出ることができるように、ヘッド電極64を貫通し、カテーテル1は、測定デバイス37を備え、当該測定デバイス37は、単一の光ファイバ30を、力測定ユニット37aに、分光計37bに、および光ファイバ30内に光を放射するための光源(例えば、レーザ)37cに、接続するためのビームスプリッタ370を含む。したがって、
図9に示す実施形態によれば、すべての信号が、同じ光ファイバ30を通してルーティングされる。
【0067】
あるいは、
図10に示すように、力測定ユニット37a、分光計37b、および光源(例えば、レーザ)37cは、それぞれ、当該3つの光ファイバ30の関連する光ファイバに接続される(
図8Aも参照されたい)。
【0068】
さらに、
図11に示す実施形態によれば、測定デバイス37のマルチプレクサ/チョッパ/周波数変調デバイス371を介して力測定ユニット37aに、分光計37bに、および光源(例えば、レーザ37c)に接続された、単一の光ファイバ30使用することもできる。したがって、ここでも、同じ光ファイバ30を異なる用途に使用することができる。
【0069】
本開示によるカテーテル設計は、いくつかの異なる利点を可能にする。特に、様々な実施形態によるカテーテル1は、先端エリアにおける(例えば、内向きのスルースによって引き起こされる)可逆的な変形を可能にするため、適用可能性が向上する。
【0070】
さらに、剛性の力変換器を排除することにより、製造コストが大幅に削減され、より細いカテーテルの構築が可能になる。
【0071】
ブラッグ格子を有する光ファイバを使用することにより、すべての空間方向の力測定を実行することができる。さらに、光ファイバは、酸素測定、スペクトル評価、化学分析、(例えば、化学的または物理的プロセスの刺激のための低エネルギー供給での)刺激のための光照射、およびレーザアブレーションに使用することもできる。
【0072】
特に、例えば約660nmおよび900nmでの、相対スペクトル変化の評価は、酸素飽和度(ヘモグロビン複合体)に関する情報をもたらす。有利なことに、酸素飽和度の評価は、組織特性と相関させることができる。
【0073】
特に、チョッパ/ログイン増幅器または他の周波数変調を使用する場合、様々な組織深さにおけるさらなる効果(例えば、りん光など)を評価することが可能である。