(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】電圧変換装置、及び電圧変換装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240626BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J1/00 306L
H02J7/00 302B
(21)【出願番号】P 2022014009
(22)【出願日】2022-02-01
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】神田 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉満 翔大
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-030362(JP,A)
【文献】特開2007-137299(JP,A)
【文献】特開2010-018183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧を出力する蓄電池に接続され、前記蓄電池から入力された前記第1電圧を第2電圧に降圧する第1DC/DCコンバータと、
前記第1DC/DCコンバータから第1負荷に前記第2電圧を供給する第1給電経路と、
前記蓄電池に接続され、前記蓄電池から入力された前記第1電圧を前記第2電圧よりも低い第3電圧に降圧する第2DC/DCコンバータと、
前記2DC/DCコンバータから第2負荷に前記第3電圧を供給する第2給電経路と、
前記第1給電経路と前記第2給電経路とに接続され、前記第1給電経路から入力された前記第2電圧を前記第3電圧に降圧し、前記第2給電経路から入力された前記第3電圧を前記第2電圧に昇圧する第3DC/DCコンバータと、
前記第1DC/DCコンバータと前記第2DC/DCコンバータと前記第3DC/DCコンバータとを制御する制御部と
を備え
、
第1の制御として、
前記第1負荷の定常電力に対する前記第1DC/DCコンバータの効率は、前記第1負荷のピーク電力に対する前記第1DC/DCコンバータの効率よりも高く設定されており、
前記制御部は、前記第1負荷の前記ピーク電力の使用時、前記第1DC/DCコンバータを駆動し前記第1DC/DCコンバータに入力された前記第1電圧を前記第2電圧に降圧させると共に、前記第3DC/DCコンバータを駆動し前記第3DC/DCコンバータに入力された前記第3電圧を前記第2電圧に昇圧させる、
または、第2の制御として、
前記第1負荷のピーク電力に対する前記第1DC/DCコンバータの効率は、前記第1負荷の前記定常電力に対する前記第1DC/DCコンバータの効率よりも高く設定されており、
前記制御部は、前記第1負荷の前記定常電力の使用時、前記第1DC/DCコンバータを駆動し前記第1DC/DCコンバータに入力された前記第1電圧を前記第2電圧に降圧させると共に、前記第3DC/DCコンバータを駆動し前記第3DC/DCコンバータに入力された前記第2電圧を前記第3電圧に降圧させることを特徴とする電圧変換装置。
【請求項2】
前記第2給電経路に接続され、前記第3DC/DCコンバータの昇圧動作時に、前記第3電圧を前記第2給電経路に出力し、前記第3DC/DCコンバータの降圧動作時に、前記第3電圧が前記第2給電経路から入力される補助蓄電池を備える請求項
1に記載の電圧変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1負荷の回生電力の発生時、前記第3DC/DCコンバータを駆動し前記第3DC/DCコンバータに入力された前記第2電圧を前記第3電圧に降圧させる請求項
1又は2に記載の電圧変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1負荷の回生電力の発生時、前記第1DC/DCコンバータを駆動し前記第1DC/DCコンバータに入力された前記第2電圧を前記第1電圧に昇圧させる請求項
3に記載の電圧変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1DC/DCコンバータの失陥時、前記第3DC/DCコンバータを駆動し前記第3DC/DCコンバータに入力された前記第3電圧を前記第2電圧に昇圧させる請求項
4に記載の電圧変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1DC/DCコンバータの失陥時、前記第2DC/DCコンバータを駆動し前記第2DC/DCコンバータに入力された前記第1電圧を前記第3電圧に降圧させると共に、前記第3DC/DCコンバータを駆動し前記第3DC/DCコンバータに入力された前記第3電圧を前記第2電圧に昇圧させる請求項1~
4の何れか1項に記載の電圧変換装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2DC/DCコンバータの失陥時、前記第1DC/DCコンバータを駆動し前記第1DC/DCコンバータに入力された前記第1電圧を前記第2電圧に降圧させると共に、前記第3DC/DCコンバータを駆動し前記第3DC/DCコンバータに入力された前記第2電圧を前記第3電圧に降圧させる請求項1~
5の何れか1項に記載の電圧変換装置。
【請求項8】
請求項1の電圧変換装置の制御をする電圧変換装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧変換装置、及び電圧変換装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電源から負荷に給電する電源装置として、直流電源と大容量コンデンサとを備え、直流電源の出力電圧が大容量コンデンサの端子電圧を下回った時に大容量コンデンサから負荷に給電するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この電源装置は、負荷としてのモータの立ち上がり時、即ち一時的に大電力を消費する時に、モータに対して電源出力の電圧ドロップを抑えた状態で安定して電力を供給すること、及び、電源の平均供給電力容量を抑えて電源の大型化を防ぐことを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HV(High Voltage;高圧)系電源、12V系電源、及び48V系電源を備えるマルチ電源システムでは、HV-48Vコンバータ、HV-12Vコンバータを用いることが考えられる。このマルチ電源システムでは、HV-48Vコンバータの効率が48V負荷の定常電力に対してピークとなるようにHV-48Vコンバータを設計すると、48V負荷のピーク電力に対してHV-48Vコンバータの効率が低くなる可能性がある。他方で、HV-48Vコンバータの効率が48V負荷のピーク電力に対してピークとなるようにHV-48Vコンバータを設計すると、48V負荷の定常電力に対してHV-48Vコンバータの効率が低くなる可能性がある。
【0005】
また、上記マルチ電源システムでは、48V負荷の回生電力をHV系電源に回生させるためにHV-48Vコンバータを双方向化する場合、HV-48Vコンバータの効率が低下する。さらに、上記マルチ電源システムでは、HV―48VコンバータとHV-12Vコンバータとの一方に失陥が生じた場合に、12V系電源と48V系電源との冗長性を確保できない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、複数の電源を備える電源システムにおいて、DC/DCコンバータの効率を向上できると共に、複数の電源間の冗長性を確保でき、且つ、回生電力を効率良く吸収できる電圧変換装置、及び電圧変換装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電圧変換装置は、第1電圧を出力する蓄電池に接続され、前記蓄電池から入力された前記第1電圧を第2電圧に降圧する第1DC/DCコンバータと、前記第1DC/DCコンバータから第1負荷に前記第2電圧を供給する第1給電経路と、前記蓄電池に接続され、前記蓄電池から入力された前記第1電圧を前記第2電圧よりも低い第3電圧に降圧する第2DC/DCコンバータと、前記2DC/DCコンバータから第2負荷に前記第3電圧を供給する第2給電経路と、前記第1給電経路と前記第2給電経路とに接続され、前記第1給電経路から入力された前記第2電圧を前記第3電圧に降圧し、前記第2給電経路から入力された前記第3電圧を前記第2電圧に昇圧する第3DC/DCコンバータと、前記第1DC/DCコンバータと前記第2DC/DCコンバータと前記第3DC/DCコンバータとを制御する制御部とを備え、第1の制御として、前記第1負荷の定常電力に対する前記第1DC/DCコンバータの効率は、前記第1負荷のピーク電力に対する前記第1DC/DCコンバータの効率よりも高く設定されており、前記制御部は、前記第1負荷の前記ピーク電力の使用時、前記第1DC/DCコンバータを駆動し前記第1DC/DCコンバータに入力された前記第1電圧を前記第2電圧に降圧させると共に、前記第3DC/DCコンバータを駆動し前記第3DC/DCコンバータに入力された前記第3電圧を前記第2電圧に昇圧させる、または、第2の制御として、前記第1負荷のピーク電力に対する前記第1DC/DCコンバータの効率は、前記第1負荷の前記定常電力に対する前記第1DC/DCコンバータの効率よりも高く設定されており、前記制御部は、前記第1負荷の前記定常電力の使用時、前記第1DC/DCコンバータを駆動し前記第1DC/DCコンバータに入力された前記第1電圧を前記第2電圧に降圧させると共に、前記第3DC/DCコンバータを駆動し前記第3DC/DCコンバータに入力された前記第2電圧を前記第3電圧に降圧させる。
【0008】
本発明の電圧変換装置の制御装置は、上記電圧変換装置の制御をする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の電源を備える電源システムにおいて、DC/DCコンバータの効率を向上できると共に、複数の電源間の冗長性を確保でき、且つ、回生電力を効率良く吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電圧変換装置を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すHV-48VDC/DCコンバータの電力[W]と効率[%]との関係を示すグラフである。
【
図3】
図3は、48V負荷の定常電力の使用時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図4】
図4は、48V負荷のピーク電力の使用時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図5】
図5は、48V負荷の回生電力発生時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図6】
図6は、HV-48VDC/DCコンバータの失陥時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図7】
図7は、48V-12VDC/DCコンバータの失陥時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の他の実施形態に係る電圧変換装置におけるHV-48VDC/DCコンバータの電力[W]と効率[%]との関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は、48V負荷の定常電力の使用時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図10】
図10は、48V負荷のピーク電力の使用時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図11】
図11は、48V負荷の回生電力発生時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図12】
図12は、HV-48VDC/DCコンバータの失陥時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図13】
図13は、48V-12VDC/DCコンバータの失陥時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の他の実施形態に係る電圧変換装置を示す図である。
【
図15】
図15は、
図14に示す電圧変換装置におけるHV-48VDC/DCコンバータの電力[W]と効率[%]との関係を示すグラフである。
【
図16】
図16は、48V負荷の定常電力の使用時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図17】
図17は、48V負荷のピーク電力の使用時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図18】
図18は、48V負荷の回生電力発生時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図19】
図19は、HV-48VDC/DCコンバータの失陥時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図20】
図20は、48V-12VDC/DCコンバータの失陥時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【
図21】
図21は、HV-12VDC/DCコンバータの失陥時の電圧変換装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る電圧変換装置10を示す図である。この図に示す電圧変換装置10は、高圧電源(例えば400~800V程度)と48V電源と12V電源とを備える電動車両のマルチ電源システム1に適用される。このマルチ電源システム1は、高圧バッテリ2と、12Vバッテリ3と、電圧変換装置10とを備え、48V負荷4と12V負荷5と12Vバッテリ3と不図示の高圧モータとに電力を供給する。
【0014】
マルチ電源システム1は、電動車両の通常の走行時には、高圧バッテリ2から上記の高圧モータに電力を供給して高圧モータを駆動させる。また、マルチ電源システム1は、48V負荷4の回生電力を12Vバッテリ3又は高圧バッテリ2により吸収する。
【0015】
電圧変換装置10は、HV-48VDC/DCコンバータ11と、HV-12VDC/DCコンバータ12と、48V-12VDC/DCコンバータ13と、第1ワイヤーハーネス14と、第2ワイヤーハーネス15と、第3ワイヤーハーネス16と、第4ワイヤーハーネス17と、第5ワイヤーハーネス18と、制御装置20とを備える。
【0016】
HV-48VDC/DCコンバータ11は、双方向のDC/DCコンバータである。HV-48VDC/DCコンバータ11の高圧側端子11Aは、高圧バッテリ2に接続され、HV-48VDC/DCコンバータ11の48V側端子11Bは、第1ワイヤーハーネス14により48V負荷4に接続されている。
【0017】
HV-48VDC/DCコンバータ11は、高圧バッテリ2から出力された高圧(HV、例えば400~800V)を48Vに降圧して48V側端子11Bから出力する。これにより、48Vの電力が、HV-48VDC/DCコンバータ11から第1ワイヤーハーネス14を通じて48V負荷4に供給される。また、48V負荷4の回生電力が第1ワイヤーハーネス14を通じてHV-48VDC/DCコンバータ11に入力される。HV-48VDC/DCコンバータ11は、48Vを高圧に昇圧して高圧側端子11Aから高圧バッテリ2に出力する。
【0018】
HV-12VDC/DCコンバータ12は、単方向のDC/DCコンバータである。HV-12VDC/DCコンバータ12の高圧側端子12Aは、高圧バッテリ2に接続され、HV-12VDC/DCコンバータ12の12V側端子12Bは、第2ワイヤーハーネス15により12V負荷5に接続されている。また、第3ワイヤーハーネス16が、第2ワイヤーハーネス15から分岐しており、HV-12VDC/DCコンバータ12の12V側端子12Bと12Vバッテリ3とが、第2及び第3ワイヤーハーネス15,16により接続されている。
【0019】
HV-12VDC/DCコンバータ12は、高圧バッテリ2から出力された高圧を12Vに降圧して12V側端子12Bから出力する。これにより、12Vの電力が、HV-12VDC/DCコンバータ12から第2ワイヤーハーネス15を通じて12V負荷5に供給される。また、12Vの電力が、HV-12VDC/DCコンバータ12から第2及び第3ワイヤーハーネス15,16を通じて12Vバッテリ3に供給される。
【0020】
第4ワイヤーハーネス17が、第1ワイヤーハーネス14から分岐して、48V-12VDC/DCコンバータ13の48V側端子13Aに接続されている。また、第5ワイヤーハーネス18が、第2ワイヤーハーネス15から分岐して、48V-12VDC/DCコンバータ13の12V側端子13Bに接続されている。
【0021】
48V-12VDC/DCコンバータ13は、双方向のDC/DCコンバータである。48V-12VDC/DCコンバータ13は、HV-48VDC/DCコンバータ11から出力された48Vを12Vに降圧して12V側端子13Bから出力する。12Vの電圧が、48V-12VDC/DCコンバータ13から第5及び第2ワイヤーハーネス18,15を通じて12V負荷5に供給される。また、12Vの電圧が、48V-12VDC/DCコンバータ13から第5、第2及び第3ワイヤーハーネス18,15,16を通じて12Vバッテリ3に供給される。
【0022】
また、48V負荷4の回生電力が第1及び第4ワイヤーハーネス14,17を通じて48V-12VDC/DCコンバータ13に入力される。48V-12VDC/DCコンバータ13は、48Vを12Vに降圧して12V側端子13Bから出力する。これにより、12Vの電圧が、48V-12VDC/DCコンバータ13から第5及び第2ワイヤーハーネス18,15を通じて12V負荷5に供給される。また、12Vの電圧が、48V-12VDC/DCコンバータ13から第5、第2及び第3ワイヤーハーネス18,15,16を通じて12Vバッテリ3に供給される。
【0023】
48V-12VDC/DCコンバータ13は、12Vバッテリ3から出力された12Vを48Vに昇圧して48V側端子13Aから出力する。これにより、48Vの電圧が、48V-12VDC/DCコンバータ13から第4及び第1ワイヤーハーネス17,14を通じて48V負荷4に供給される。
【0024】
図2は、
図1に示すHV-48VDC/DCコンバータ11の電力[W]と効率[%]との関係を示すグラフである。このグラフに示すように、本実施形態の電圧変換装置10では、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率が、入力電力が300Wの時にピークとなるように、HV-48VDC/DCコンバータ11が設計されている。300Wの電力は48V負荷4の定常電力である。例えば、入力電力が300Wの時のHV-48VDC/DCコンバータ11の効率及び損失は、92%、24W(=300W×0.08)である。それに対して、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率が、入力電力がピーク電力(例えば2000W)の時にピークとなるように、HV-48VDC/DCコンバータ11を設計することも考えられる。その場合に、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率が92%であれば、損失は160W(=2000W×0.08)となる。即ち、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率が、入力電力が48V負荷4の定常電力の時にピークとなるように、HV-48VDC/DCコンバータ11を設計することにより、48V負荷4の定常電力の使用時のHV-48VDC/DCコンバータ11の損失を最小化できる。
【0025】
図3~
図7は、
図1に示す電圧変換装置10の動作を示す図である。なお、
図3~
図7では、供給電力の大きさを矢印の太さで識別している。
【0026】
図3は、48V負荷4の定常電力の使用時の電圧変換装置10の動作(定常動作)を示す図である。この図に示すように、48V負荷4の定常電力の使用時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。また、制御装置20は、HV-12VDC/DCコンバータ12を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を12Vに降圧させる。この際、制御装置20は、48V-12VDC/DCコンバータ13を停止させる。
【0027】
これにより、48V負荷4の定常電力の使用時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により48Vに降圧されて48V負荷4に供給される。この際、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率はピークとなり、HV-48VDC/DCコンバータ11の高効率な電圧変換が実現される。
【0028】
また、48V負荷4の定常電力の使用時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-12VDC/DCコンバータ12により12Vに降圧されて12V負荷5に供給される。また、48V負荷4の定常電力の使用時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-12VDC/DCコンバータ12により12Vに降圧されて12Vバッテリ3に供給される。
【0029】
図4は、48V負荷4のピーク電力の使用時の電圧変換装置10の動作を示す図である。この図に示すように、48V負荷4のピーク電力の使用時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。これと共に、制御装置20は、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し12Vバッテリ3から出力された12Vを48Vに昇圧させる。さらに、制御装置20は、必要に応じてHV-12VDC/DCコンバータ12を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を12Vに降圧させる。
【0030】
これにより、48V負荷4のピーク電力の使用時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により48Vに降圧されて48V負荷4に供給される。これと共に、12Vバッテリ3から出力された12Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により48Vに昇圧されて48V負荷4に供給される。また、必要に応じて、高圧バッテリ2から出力された高圧がHV-12VDC/DCコンバータ12により12Vに降圧されて12Vバッテリ3に供給される。
【0031】
ここで、本実施形態の電圧変換装置10では、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率が、入力電力が48V負荷4の定常電力の時にピークとなるように、HV-48VDC/DCコンバータ11が設計されている。そのため、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力が48V負荷4のピーク電力の時には、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率がピークに比して低くなる。そこで、本実施形態の電圧変換装置10では、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し、12Vバッテリ3から出力された12Vを48Vに昇圧して48V負荷4に供給することにより、48V負荷4へのピーク電力の供給を補助する。
【0032】
図5は、48V負荷4の回生電力発生時の電圧変換装置10の動作を示す図である。この図に示すように、48V負荷4の回生電力の発生時、制御装置20は、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し、48V負荷4から出力された48Vを12Vに降圧させる。また、制御装置20は、ピーク電力の吸収時等、必要に応じて、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し48V負荷4から出力された48Vを高圧に昇圧させる。
【0033】
これにより、48V負荷4の回生電力発生時、48V負荷4から出力された48Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により降圧されて12Vバッテリ3に供給される。また、ピーク電力の吸収時等の必要時には、48V負荷4から出力された48Vが、HV-48VDC/DCコンバータ11により昇圧されて高圧バッテリ2に供給される。
【0034】
図6は、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時の電圧変換装置10の動作を示す図である。この図に示すように、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時、制御装置20は、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し12Vバッテリ3から出力された12Vを48Vに昇圧させる。
【0035】
これにより、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時、12Vバッテリ3から出力された12Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により昇圧されて48V負荷4に供給される。即ち、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時には、48V-12VDC/DCコンバータ13により、HV-48VDC/DCコンバータ11の電圧変換機能が補完される。
【0036】
図7は、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時の電圧変換装置10の動作を示す図である。この図に示すように、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。
【0037】
これにより、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により降圧されて48V負荷4に供給される。即ち、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時には、HV-48VDC/DCコンバータ11により、48V-12VDC/DCコンバータ13の電圧変換機能が補完される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の電圧変換装置10では、48Vと12Vとを双方向に変換する48V-12VDC/DCコンバータ13を、48V系電源と12V系電源との間に両者を接続するように設けている。これにより、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率を向上できると共に、48V系電源と12V系電源との間の冗長性を確保でき、且つ、48V負荷4の回生電力を効率良く吸収できる。
【0039】
具体的には、本実施形態の電圧変換装置10では、HV-48VDC/DCコンバータ11の電圧変換における損失を最大限抑えるという観点から、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率を、入力電力が48V負荷4の定常電力の時にピークとなるように設定している。これにより、48V負荷4の定常電力の使用時には、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力を48V負荷4の定常電力としてHV-48VDC/DCコンバータ11を高効率に駆動させることができる。他方で、48V負荷4のピーク電力の使用時には、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し、12Vバッテリ3から出力される12Vを48Vに昇圧して48V負荷4に供給することにより、48V負荷4へのピーク電力の供給を補助する。これにより、48V負荷4のピーク電力の使用時にも、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力を48V負荷4の定常電力としてHV-48VDC/DCコンバータ11を高効率に駆動させることができる。
【0040】
また、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時には、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動して12Vバッテリ3から48V負荷4に電力を供給することにより、HV-48VDC/DCコンバータ11の電圧変換機能を補完することができる。他方で、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時には、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動して高圧バッテリ2から48V負荷4に電力を供給することにより、48V-12VDC/DCコンバータ13の電圧変換機能を補完することができる。
【0041】
さらに、48V負荷4の回生電力を、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動して12Vバッテリ3に回生させることができる。これにより、HV-48VDC/DCコンバータ11の逆方向の電力変換の機会を減らすことができ、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率の低下を抑制できる。
【0042】
図8は、本発明の他の実施形態に係る電圧変換装置10A(
図1参照)におけるHV-48VDC/DCコンバータ11の電力[W]と効率[%]との関係を示すグラフである。このグラフに示すように、本実施形態の電圧変換装置10Aでは、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率が、入力電力が2000Wの時にピークとなるように、HV-48VDC/DCコンバータ11が設計されている。2000Wの電力は48V負荷4のピーク電力である。
【0043】
ここで、本実施形態の電圧変換装置10Aでは、後述するように、48V負荷4の定常電力の使用時、HV-48VDC/DC11の入力電力は1200Wである。HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力が1200Wの場合、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率は、入力電力が2000Wの時に比して低くはなるもの、入力電力が300Wの時に比して高くなる。
【0044】
図9~
図13は、本実施形態の電圧変換装置10Aの動作を示す図である。なお、
図9~
図13では、供給電力の大きさを矢印の太さで識別している。
【0045】
図9は、48V負荷4の定常電力の使用時の電圧変換装置10Aの動作を示す図である。この図に示すように、48V負荷4の定常電力の使用時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。これと共に、制御装置20は、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動しHV-48VDC/DCコンバータ11から出力された48Vを12Vに降圧させる。また、制御装置20は、HV-12VDC/DCコンバータ12を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を12Vに降圧させる。
【0046】
これにより、48V負荷4の定常電力の使用時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により48Vに降圧されて48V負荷4に供給される。これと共に、HV-48VDC/DCコンバータ11から出力された48Vが48V-12VDC/DCコンバータ13により12Vに降圧されて12Vバッテリ3に供給される。また、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-12VDC/DCコンバータ12により12Vに降圧されて12Vバッテリ3及び12V負荷5に供給される。
【0047】
ここで、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力は1200W(=300W+900W)であり、48V-12VDC/DCコンバータ13は、1200W48V系の電力を900W12V系の電力へと変換する。
図8のグラフに示すように、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力が1200Wの場合には、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率は、入力電力が2000Wの場合に比して低くはなるものの、入力電力が300Wの場合に比して高くなる。従って、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率はピークには至らないものの高くなり、HV-48VDC/DCコンバータ11の高効率な電圧変換が実現される。
【0048】
図10は、48V負荷4のピーク電力の使用時の電圧変換装置10Aの動作を示す図である。この図に示すように、48V負荷4のピーク電力の使用時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。また、制御装置20は、48V負荷4のピーク電力に対する応答性や供給電力に不足が生じるような場合には、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し12Vバッテリ3から出力された12Vを48Vに昇圧させる。
【0049】
これにより、48V負荷4のピーク電力の使用時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により48Vに降圧されて48V負荷4に供給される。この際、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力は48V負荷4のピーク電力であり、HV-48VDC/DCコンバータ11の高効率な電圧変換が実現される。
【0050】
また、48V負荷4のピーク電力に対する応答性や供給電力に不足が生じるような場合には、12Vバッテリ3から出力された12Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により48Vに昇圧されて48V負荷4に供給される(破線で図示)。これにより、48V負荷4へのピーク電力の供給が補助される。
【0051】
図11は、48V負荷4の回生電力発生時の電圧変換装置10Aの動作を示す図である。この図に示すように、48V負荷4の回生電力の発生時、制御装置20は、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し、48V負荷4から出力された48Vを12Vに降圧させる。また、制御装置20は、ピーク電力の吸収時等、必要に応じて、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し48V負荷4から出力された48Vを高圧に昇圧させる。
【0052】
これにより、48V負荷4の回生電力の48Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により降圧されて12Vバッテリ3に供給される。また、ピーク電力の吸収時等の必要時には、48V負荷4の回生電力の48Vが、HV-48VDC/DCコンバータ11により高圧に昇圧されて高圧バッテリ2に供給される(破線で図示)。
【0053】
図12は、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時の電圧変換装置10Aの動作を示す図である。この図に示すように、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時、制御装置20は、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し12Vバッテリ3から出力された12Vを48Vに昇圧させる。
【0054】
これにより、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時、12Vバッテリ3から出力された12Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により昇圧されて48V負荷4に供給される。即ち、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時には、48V-12VDC/DCコンバータ13により、HV-48VDC/DCコンバータ11の電圧変換機能が補完される。
【0055】
図13は、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時の電圧変換装置10Aの動作を示す図である。この図に示すように、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。
【0056】
これにより、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により降圧されて48V負荷4に供給される。即ち、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時には、HV-48VDC/DCコンバータ11により、48V-12VDC/DCコンバータ13の電圧変換機能が補完される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の電圧変換装置10Aでは、48V負荷4のピーク電力の使用時のHV-48VDC/DCコンバータ11の効率を最大限高めるという観点から、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率を、入力電力が48V負荷4のピーク電力の時にピークとなるように設定している。これにより、48V負荷4のピーク電力の使用時には、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力をピーク電力としてHV-48VDC/DCコンバータ11を高効率に駆動させることができる。他方で、48V負荷4の定常電力の使用時には、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動して12V負荷5又は12Vバッテリ3に電力を供給する。これにより、48V負荷4の定常電力の使用時には、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力を、定常電力とピーク電力との中間の電力としてHV-48VDC/DCコンバータ11を高効率に駆動させることができる。また、12V負荷5への電力供給を補助することにより、HV-12VDC/DCコンバータ12の変換電力を低減でき、HV-12VDC/DCコンバータ12の高効率化に寄与する。
【0058】
図14は、本発明の他の実施形態に係る電圧変換装置10Bを示す図である。この図に示すように、本実施形態の電圧変換装置10Bは、12Vバッテリを備えない点で、上記実施形態の電圧変換装置10,10Aとは異なる。
【0059】
図15は、
図14に示す電圧変換装置10BにおけるHV-48VDC/DCコンバータ11の電力[W]と効率[%]との関係を示すグラフである。このグラフに示すように、本実施形態の電圧変換装置10Bでは、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率が、入力電力が1200Wの時にピークとなるように、HV-48VDC/DCコンバータ11が設計されている。なお、48V負荷4の定常電力は300W、48V負荷4のピーク電力は2000Wである。
【0060】
図16~
図21は、本実施形態の電圧変換装置10Bの動作を示す図である。なお、
図16~
図21では、供給電力の大きさを矢印の太さで識別している。
【0061】
図16は、48V負荷4の定常電力の使用時の電圧変換装置10Bの動作を示す図である。この図に示すように、48V負荷4の定常電力の使用時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。また、制御装置20は、HV-12VDC/DCコンバータ12を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を12Vに降圧させる。さらに、制御装置20は、48V負荷4の使用電力が1200Wに比して低い低負荷時には、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動しHV-48VDC/DCコンバータ11から出力された48Vを12Vに降圧させる。
【0062】
これにより、48V負荷4の定常電力の使用時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により48Vに降圧されて48V負荷4に供給される。また、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-12VDC/DCコンバータ12により12Vに降圧されて12V負荷5に供給される。さらに、48V負荷4の低負荷時には、HV-48VDC/DCコンバータ11から出力された48Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により12Vに降圧されて12V負荷5に供給される。
【0063】
ここで、48V負荷4が低負荷であることにより、HV-48VDC/DCコンバータ11の動作モードが不連続モードに移行した場合には、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率が低下する。そこで、48V負荷4が低負荷である場合には、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力を1200W(=300W+900W)とし、48V-12VDC/DCコンバータ13により、1200W48V系の電力を900W12V系の電力へと変換する。これにより、HV-48VDC/DCコンバータ11の動作モードを連続モードに維持することが可能になり、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率を高効率に維持することが可能になる。
【0064】
図17は、48V負荷4のピーク電力の使用時の電圧変換装置10Bの動作を示す図である。この図に示すように、48V負荷4のピーク電力の使用時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。また、制御装置20は、HV-12VDC/DCコンバータ12を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を12Vに降圧させる。さらに、制御装置20は、48V負荷4のピーク電力に対する応答性や供給電力に不足が生じるような場合には、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動しHV-12VDC/DCコンバータ12から出力された12Vを48Vに昇圧させる。
【0065】
これにより、48V負荷4のピーク電力の使用時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により48Vに降圧されて48V負荷4に供給される。また、高圧バッテリ2から出力された高圧がHV-12VDC/DCコンバータ12により12Vに降圧されて12V負荷5に供給される。さらに、48V負荷4のピーク電力に対する応答性や供給電力に不足が生じるような場合には、HV-12VDC/DCコンバータ12から出力された12Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により48Vに昇圧されて48V負荷4に供給される(破線で図示)。これにより、48V負荷4へのピーク電力の供給が補助される。
【0066】
図18は、48V負荷4の回生電力発生時の電圧変換装置10Bの動作を示す図である。この図に示すように、48V負荷4の回生電力の発生時、制御装置20は、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動し、48V負荷4から出力された48Vを12Vに降圧させる。また、制御装置20は、48V負荷4のピーク電力の吸収時等、必要に応じて、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し48V負荷4から出力された48Vを高圧に昇圧させる。
【0067】
これにより、48V負荷4の回生電力の48Vが、48V-12VDC/DCコンバータ13により12Vに降圧されて12V負荷5に供給される。また、48V負荷4のピーク電力の吸収時等の必要時には、48V負荷4から出力された48Vが、HV-48VDC/DCコンバータ11により高圧に昇圧されて高圧バッテリ2に供給される。
【0068】
図19は、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時の電圧変換装置10Bの動作を示す図である。この図に示すように、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時、制御装置20は、HV-12VDC/DCコンバータ12を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を12Vに降圧させ、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動しHV-12VDC/DCコンバータ12から出力された12Vを48Vに昇圧させる。
【0069】
これにより、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-12VDC/DCコンバータ12による12Vへの降圧と48V-12VDC/DCコンバータ13による48Vへの昇圧とを経て48V負荷4に供給される。即ち、HV-48VDC/DCコンバータ11の失陥時には、48V-12VDC/DCコンバータ13により、HV-48VDC/DCコンバータ11の電圧変換機能が補完される。
【0070】
図20は、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時の電圧変換装置10Bの動作を示す図である。この図に示すように、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させる。また、制御装置20は、HV-12VDC/DCコンバータ12を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を12Vに降圧させる。
【0071】
これにより、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11により48Vに降圧されて48V負荷4に供給される。また、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-12VDC/DCコンバータ12により12Vに降圧されて12V負荷5に供給される。即ち、48V-12VDC/DCコンバータ13の失陥時には、HV-48VDC/DCコンバータ11及びHV-12VDC/DCコンバータ12により、48V-12VDC/DCコンバータ13の電圧変換機能が補完される。
【0072】
図21は、HV-12VDC/DCコンバータ12の失陥時の電圧変換装置10Bの動作を示す図である。この図に示すように、HV-12VDC/DCコンバータ12の失陥時、制御装置20は、HV-48VDC/DCコンバータ11を駆動し高圧バッテリ2から出力された高圧を48Vに降圧させ、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動しHV-48VDC/DCコンバータ11から出力された48Vを12Vに降圧させる。
【0073】
これにより、HV-12VDC/DCコンバータ12の失陥時、高圧バッテリ2から出力された高圧が、HV-48VDC/DCコンバータ11による48Vへの降圧と48V-12VDC/DCコンバータ13による12Vへの降圧とを経て12V負荷5に供給される。即ち、HV-12VDC/DCコンバータ12の失陥時には、HV-48VDC/DCコンバータ11及び48V-12VDC/DCコンバータ13により、HV-12VDC/DCコンバータ12の電圧変換機能が補完される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の電圧変換装置10Bでは、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率を、入力電力が定常電力とピーク電力との中間の電力の時にピークとなるように設定している。そして、48V負荷4の使用電力が上記中間の電力よりも低い時には、48V-12VDC/DCコンバータ13を駆動して12V負荷5に電力を供給する。これにより、48V負荷4の使用電力が上記中間の電力よりも低い時には、HV-48VDC/DCコンバータ11の入力電力を、定常電力とピーク電力との中間の電力としてHV-48VDC/DCコンバータ11を高効率に駆動させることができる。また、12V負荷5への電力供給を補助することにより、HV-12VDC/DCコンバータ12の変換電力を低減でき、HV-12VDC/DCコンバータ12の高効率化に寄与する。
【0075】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0076】
例えば、上記実施形態の電圧変換装置10において、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率を、入力電力が48V負荷4の定常電力の時にピークとなるように設定することは必須ではない。上記実施形態の電圧変換装置10においては、入力電力が48V負荷4の定常電力である時のHV-48VDC/DCコンバータ11の効率が、入力電力が48V負荷4のピーク電力である時のHV-48VDC/DCコンバータ11の効率よりも高く設定されていればよい。
【0077】
同様に、上記実施形態の電圧変換装置10Aにおいて、HV-48VDC/DCコンバータ11の効率を、入力電力が48V負荷4のピーク電力の時にピークとなるように設定することは必須ではない。上記実施形態の電圧変換装置10Aにおいては、入力電力が48V負荷4のピーク電力である時のHV-48VDC/DCコンバータ11の効率が、入力電力が48V負荷4の定常電力である時のHV-48VDC/DCコンバータ11の効率よりも高く設定されていればよい。
【符号の説明】
【0078】
2 :高圧バッテリ(蓄電池)
3 :12Vバッテリ(補助蓄電池)
4 :48V負荷(第1負荷)
5 :12V負荷(第2負荷)
10 :電圧変換装置
10A :電圧変換装置
10B :電圧変換装置
11 :HV-48VDC/DCコンバータ(第1DC/DCコンバータ)
12 :HV-12VDC/DCコンバータ(第2DC/DCコンバータ)
13 :48V-12VDC/DCコンバータ(第3DC/DCコンバータ)
14 :第1ワイヤーハーネス(第1給電経路)
15 :第2ワイヤーハーネス(第2給電経路)
20 :制御装置(制御部)