(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】記録装置およびその制御方法、プログラム、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B65H 29/66 20060101AFI20240626BHJP
B41J 13/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B65H29/66
B41J13/00
(21)【出願番号】P 2022042782
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅史
(72)【発明者】
【氏名】有田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】玉利 健人
(72)【発明者】
【氏名】田口 基之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 翔
(72)【発明者】
【氏名】古松 亮汰
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-044058(JP,A)
【文献】特開2016-215451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/66
B41J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を供給する供給手段と、
前記供給手段で
供給された記録媒体を搬送方向に搬送する第1のローラと、
前記第1のローラにより搬送された記録媒体に記録を行う記録手段と、
前記記録手段の下流に配され、前記第1のローラで搬送された記録媒体を搬送する第2のローラと、
記録媒体の搬送方向における前記第1のローラの前記搬送方向の上流側において、先行記録媒体の後端部に、後続する後続記録媒体の先端部が重なっている重ね状態を形成するように前記供給手段と前記第1のローラとを制御す
る制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記先行記録媒体と前記後続記録媒体の記録データに基づいて、記録媒体の搬送方向における前記第1のローラの上流側において、前記重ね状態での重ね量を調節
した後、前記第1のローラと前記第2のローラとの間において、前記第2のローラを制御することで前記先行記録媒体と前記後続記録媒体とを引き離すことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記搬送方向において、前記第2のローラ
と前記第1のローラとの間に第3のローラを備え、前記第2のローラと前記第3のローラとの間で前記先行記録媒体と前記後続記録媒体を引き離すことを特徴とする請求項
1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第1のローラと前記第3のローラを駆動する第1駆動モータと、
前記第2のローラを駆動する第3駆動モータと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記先行記録媒体の記録データから初期重ね量を算出し、前記初期重ね量よりも前記重ね量を小さくするように調節することを特徴とする請求項2または3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記制御手段は、所定の区間における前記後続記録媒体の記録データに基づいて前記第1のローラが駆動している搬送時間を算出し、算出された前記搬送時間に応じて前記重ね量を調節することを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
記録媒体を供給する供給手段と、
前記供給手段で供給された記録媒体を搬送方向に搬送する第1のローラと、
前記第1のローラにより搬送された記録媒体に記録を行う記録手段と、
前記記録手段の下流に配され、前記第1のローラで搬送された記録媒体を搬送する第2のローラと、
記録媒体の搬送方向における前記第1のローラの前記搬送方向の上流側において、先行記録媒体の後端部に、後続する後続記録媒体の先端部が重なっている重ね状態を形成するように前記供給手段と前記第1のローラとを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、所定の区間における前記後続記録媒体の記録データに基づいて前記第1のローラが駆動している搬送時間を算出し、前記搬送方向における前記第1のローラの上流側において、算出された前記搬送時間に応じて前記第1のローラと前記第2のローラとを駆動させて前記重ね状態での重ね量を調節することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
前記制御手段は、所定の区間における前記後続記録媒体の記録データに基づいて前記第1のローラが停止している搬送停止時間を算出し、算出された前記搬送停止時間に応じて前記重ね量を調節することを特徴とする請求項
6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記後続記録媒体の先端の位置を前記第1のローラまたは前記第2のローラから前記重ね量の分だけ搬送した位置から予め設定された距離を搬送する間に記録される記録データに基づいて、前記搬送時間と前記搬送停止時間とを算出することを特徴とする請求項
7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記搬送時間と前記搬送停止時間とに基づいて前記先行記録媒体の搬送速度を決定することを特徴とする請求項
8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記先行記録媒体の搬送速度が閾値より大きいと判断した場合に、前記重ね量を小さくするように調節することを特徴とする請求項
9に記載の記録装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記搬送時間と前記搬送停止時間とに基づいて前記先行記録媒体の搬送距離を決定することを特徴とする請求項
7または
8に記載の記録装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記先行記録媒体の搬送距離が閾値より小さいと判断した場合に、前記重ね量を小さくするように調節することを特徴とする請求項
11に記載の記録装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記先行記録媒体の搬送距離と搬送速度とに基づいて前記先行記録媒体の搬送時間を決定することを特徴とする請求項
7または
8に記載の記録装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記先行記録媒体の搬送時間が前記搬送時間と前記搬送停止時間の合計より大きいと判断した場合に、前記重ね量を小さくするように調節することを特徴とする請求項
13に記載の記録装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記先行記録媒体の最終行の画像形成の後に、前記先行記録媒体を搬送することにより前記重ね量を小さくするように調節することを特徴とする請求項1乃至
14のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項16】
記録媒体を供給する供給手段と、前記供給手段で
供給された記録媒体を搬送方向に搬送する第1のローラと、前記第1のローラにより搬送された記録媒体に記録を行う記録手段と
、前記記録手段の下流に配され、前記第1のローラで搬送された記録媒体を搬送する第2のローラとを備える記録装置を制御する方法であって、
記録媒体の搬送方向における前記第1のローラの前記搬送方向の上流側において、先行記録媒体の後端部に、後続する後続記録媒体の先端部が重なっている重ね状態を形成するように前記供給手段と前記第1のローラとを制御す
る制御工程を有し、
前記制御工程では、前記先行記録媒体と前記後続記録媒体の記録データに基づいて、記録媒体の搬送方向における前記第1のローラの上流側において、前記重ね状態での重ね量を調節
した後、前記第1のローラと前記第2のローラとの間において、前記第2のローラを制御することで前記先行記録媒体と前記後続記録媒体とを引き離すことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータに、請求項
16に記載の記録装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピュータに、請求項
16に記載の記録装置の制御方法を実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の第1面から第2面に自動で反転して両面印刷が可能な記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録媒体の第1面から第2面に自動で反転して両面印刷が可能な記録装置では、記録媒体の一部と一部が重なった状態で記録ヘッドと対向する記録領域に搬送し印刷を行った後、排紙性や用紙詰まりの観点から、重なった状態を解消する必要がある。
【0003】
特許文献1には、後端部と先端部とが一部重ね合わされた記録媒体の重ね合せ部が画像形成部を通過した後に、その重ね合わせ状態を解消させるように先行する記録媒体の搬送速度を速め後続する記録媒体から引き離す動作を行う記録装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では、重ね合わせ状態を解消させるように先行する記録媒体の搬送速度を速め後続する記録媒体から引き離す動作を行う際に、搬送経路の寸法関係によっては先行する記録媒体を非常に高速で引き離す必要がある。この場合、引き離し動作を行う搬送部や駆動部も高速で駆動することとなり、騒音や電力消費が増加する懸念がある。
【0006】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体の重ね合わせ状態を解消させる際の騒音や電力消費の増加を抑制できる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わる記録装置は、記録媒体を供給する供給手段と、前記供給手段で供給された記録媒体を搬送方向に搬送する第1のローラと、前記第1のローラにより搬送された記録媒体に記録を行う記録手段と、前記記録手段の下流に配され、前記第1のローラで搬送された記録媒体を搬送する第2のローラと、記録媒体の搬送方向における前記第1のローラの前記搬送方向の上流側において、先行記録媒体の後端部に、後続する後続記録媒体の先端部が重なっている重ね状態を形成するように前記供給手段と前記第1のローラとを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記先行記録媒体と前記後続記録媒体の記録データに基づいて、記録媒体の搬送方向における前記第1のローラの上流側において、前記重ね状態での重ね量を調節した後、前記第1のローラと前記第2のローラとの間において、前記第2のローラを制御することで前記先行記録媒体と前記後続記録媒体とを引き離すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録媒体の重ね合わせ状態を解消させる際の騒音や電力消費の増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る記録装置の主要箇所を説明する断面図。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る記録装置の主要箇所を説明する断面図。
【
図5】第1実施形態における重ね連送動作の各状態を示す図。
【
図6】第1実施形態における重ね連送動作の各状態を示す図。
【
図7】第1実施形態における重ね連送動作の各状態を示す図。
【
図8】第1実施形態における重ね連送動作の各状態を示す図。
【
図9】第1実施形態における重ね連送動作の各状態を示す図。
【
図10】第1実施形態における重ね連送動作の各状態を示す図。
【
図11】第1実施形態における重ね連送動作の各状態を示す図。
【
図12】第1実施形態における重ね連送動作の各状態を示す図。
【
図13】第1実施形態における印刷処理での重ね連送動作のフローチャート。
【
図14】第1実施形態における印刷処理での重ね連送動作のフローチャート。
【
図15】第1実施形態における印刷処理での重ね連送動作のフローチャート。
【
図16】第1実施形態における引き離し動作のフローチャート。
【
図17】第1実施形態における引き離し動作を説明する概念図。
【
図18】先行シートに後続シートを重ねる動作を説明する図。
【
図19】先行シートに後続シートを重ねる動作を説明する図。
【
図20】第1実施形態における重ね可否判断のフローチャート。
【
図21】第1実施形態における重ね量調節動作のフローチャート。
【
図22】後続シートの先端位置を算出する動作を説明するフローチャート。
【
図23】第2実施形態における重ね量調節動作のフローチャート。
【
図24】第3実施形態における重ね量調節動作のフローチャート。
【
図25】引き離し動作を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1、
図2は、本発明の第1実施形態に係る記録装置200における主要箇所を説明する断面図である。
図1のST1~ST3、および
図2のST1~ST3で示す図を用いて本実施形態における記録装置200の概略構成について説明する。
【0012】
<概略構成>
図1のST1において、Pは記録媒体である。複数枚の記録媒体Pは用紙積載部11に積載されている。2は用紙積載部11に積載された最上位の記録媒体Pに当接してこの記録媒体をピックアップするピックアップローラである。3はピックアップローラ2によってピックアップされた記録媒体Pを第1搬送路100内に沿って、搬送方向下流側へ給送するための給送ローラである。ピックアップローラ2はワンウェイローラとなっており、給送ローラ3を超える位置まで記録媒体Pを搬送した後であれば、ピックアップローラ2を停止しても給送ローラ3による搬送を継続できる。4は給送ローラ3へ付勢され給送ローラ3とともに記録媒体Pを挟持して給送する給送従動ローラである。
【0013】
5は給送ローラ3及び給送従動ローラ4によって給送された記録媒体Pを記録ヘッド7と対向する位置へ搬送する第1搬送ローラである。6は第1搬送ローラ5へ付勢され第1搬送ローラ5とともに記録媒体Pを挟持して搬送するピンチローラである。
【0014】
給送ローラ3及び給送従動ローラ4で形成される給送ニップ部と、第1搬送ローラ5及びピンチローラ6で形成される搬送ニップ部との間では、記録媒体Pは第1搬送路100内をガイドによって案内される。16は記録媒体Pの先端及び後端を検知するための記録媒体検知センサである。記録媒体検知センサ16は記録媒体搬送方向において給送ローラ3の下流に設けられている。
【0015】
7は第1搬送ローラ5及びピンチローラ6によって搬送された記録媒体Pに対して記録を行う記録ヘッドである。本実施形態では記録ヘッドは、インクを吐出して記録媒体Pに記録を行うインクジェット記録ヘッドであるとして説明する。8は記録ヘッド7と対向する位置で記録媒体Pの第2面(裏面)を支持するプラテンである。1は記録ヘッド7を搭載して記録媒体搬送方向と交差する方向へ移動するキャリッジである。
【0016】
10は記録ヘッド7によって記録が行われた記録媒体Pを第3搬送ローラ20に向けて搬送する第2搬送ローラである。12は記録ヘッド7によって記録が行われた記録媒体の記録面と接触して回転する拍車である。ここで拍車12は第2搬送ローラ10へ付勢されている。
【0017】
20は記録ヘッド7によって記録が行われた記録媒体Pを
図1のST1における矢印EまたはF方向に搬送することが可能な第3搬送ローラである。
図1のST2に示すように矢印E方向へ搬送した際には、第3搬送ローラ20とともに排紙ローラ22も回転することで、記録媒体Pを、第4搬送路(排紙路)104内のガイドに沿って搬送し、排紙部25に排出することができる。
図1のST3に示すように、矢印F方向へ搬送した際には、記録媒体Pは、第3搬送路102内のガイドに沿って反転ローラ9に向かって搬送される。矢印EまたはF方向への分岐は、フラッパ24によって
図1のST2やST3のように行われる。なお、21は第3搬送ローラ20へ付勢され第3搬送ローラ20とともに記録媒体Pを挟持して搬送する第3搬送従動ローラである。23は排紙ローラ22へ付勢され排紙ローラ22とともに記録媒体Pを挟持して搬送する排紙従動ローラである。
【0018】
反転ローラ9は両面搬送モータ216(
図3参照)を正転駆動することにより、
図2のST1における矢印A方向に回転(正転)し、記録ヘッド7によって記録が行われた記録媒体Pを矢印C方向に搬送することが可能なローラである。そして、記録媒体Pの一部を装置外に露出させることができる。また、
図2のST2に示したように、記録媒体Pが
図2のST2における矢印C方向に搬送され、記録媒体Pの搬送方向上流側端部が反転ローラ9近傍に達した後、両面搬送モータ216を逆転駆動する。これにより、反転ローラ9は
図2のST3における矢印B方向に回転(逆転)し、記録媒体Pは反転して、第2搬送路(反転路)101内のガイドに沿って、図における矢印D方向に搬送されることになる。
【0019】
この時、反転ローラ9の逆転とともに、中間ローラ15も
図2のST3における矢印B方向に回転(逆転)し、第2搬送路101内の記録媒体Pを給送ローラ3に向けて搬送する。なお、中間ローラ15はワンウェイローラであり、
図2のST3における矢印B方向に駆動及び空転が可能である。13は反転ローラ9へ付勢され反転ローラ9とともに記録媒体Pを挟持して搬送する反転従動ローラである。14は中間ローラ15へ付勢され中間ローラ15とともに記録媒体Pを挟持して搬送する中間従動ローラである。
【0020】
<制御部と駆動割付>
図3は、本実施形態の記録装置のブロック図である。201は、各部動作やデータの処理などを制御するMPUである。MPU201は、後述するように、先行する記録媒体の後端部と後続する記録媒体の先端部とが重なるように記録媒体の搬送を制御可能な搬送制御手段及び重ね量を調節する重ね量調節制御手段300としても機能する。重ね量調節制御手段300は、後述するように、先行する記録媒体の記録データから初期重ね量を算出する初期重ね量算出手段301、後続する記録媒体の記録データから搬送時間を算出する搬送時間算出手段302、後続する記録媒体の記録データから搬送停止時間を算出する搬送停止時間算出手段303を備える。また、先行する記録媒体の搬送速度を算出する搬送速度算出手段304、先行する記録媒体の搬送距離を算出する搬送距離算出手段305、先行する記録媒体の搬送時間を算出する搬送時間算出手段306の少なくとも一つを備える。そして、先行する記録媒体の搬送速度・搬送距離・搬送時間から重ね量を調節するか判断する重ね量判断手段307を備える。202は、MPU201によって実行されるプログラムやデータを格納するROMである。203は、MPU201によって実行される処理データ及びホストコンピュータ214から受信したデータを一時的に記憶するRAMである。なお、上述した各手段300~307は、MPU201が、ROM202に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0021】
記録ヘッド7は記録ヘッドドライバ220によって制御される。キャリッジ1はキャリッジモータ204により駆動される。第1搬送ローラ5及び第2搬送ローラ10は搬送モータ205によって駆動される。ピックアップローラ2は第1給送モータ206によって駆動される。給送ローラ3は第2給送モータ207によって駆動される。第3搬送ローラ20及び排紙ローラ22は排紙モータ215によって駆動される。反転ローラ9及び中間ローラ15は両面搬送モータ216によって駆動される。フラッパ24はフラッパ用ソレノイド217により駆動される。上述した各種モータは、複数を代表して示すモータドライバ218により制御される。また、フラッパ用ソレノイド217はソレノイドドライバ219により制御される。
【0022】
ホストコンピュータ214には、使用者によって記録動作の実行が命令された場合に、記録画像や記録画像品位等の記録情報を取りまとめて記録装置200と通信するためのプリンタドライバ2141が設けられている。MPU201は、I/F部213を介してホストコンピュータ214と記録画像等のやり取りを実行する。
【0023】
<両面印刷での重ね連送動作の流れ>
図4及び
図5のST1から
図12のST22を用いて、両面印刷モード時の重ね連送の動作について、1ジョブ内で2枚の記録媒体Pに対して4頁分の記録データがある場合を例に挙げて時系列に説明する。ホストコンピュータ214から1/F部213を介して両面印刷モードの記録データが送信されると、MPU201で処理された後、RAM203に展開される。そして、MPU201が展開されたデータに基づいて記録動作を開始する。
【0024】
本実施形態では、印刷を
図4に示すような順序で行った場合に関して説明する。なお、印刷の順序は、表面が下向きに排紙されるフェイスダウン方式となるように設定したものである。ただし、印字の順序は上記に限定されるものではない。
【0025】
図5のST1を参照して説明する。最初に、第1給送モータ206が低速駆動される。これにより、ピックアップローラ2は7.6inch/secで回転される。ピックアップローラ2が回転すると、用紙積載部11に積載された最上位の記録媒体Pがピックアップされる。ピックアップローラ2によってピックアップされた1枚目の記録媒体P(図では記録媒体1Pとして示す)は、ピックアップローラ2と同方向に回転している給送ローラ3によって搬送される。給送ローラ3は第2給送モータ207によってピックアップローラ2と同様の速度で駆動される。
【0026】
ピックアップローラ2は、給送ローラ3を超える位置まで記録媒体Pを搬送可能な所定量回転後、次の記録媒体Pをピックアップしないように停止する。ピックアップローラ2はワンウェイローラとなっており、ピックアップローラ2を停止しても給送ローラ3による搬送を継続できる。本実施形態は、ピックアップローラ2及び給送ローラ3を備える構成で説明する。しかしながら、用紙積載部11に積載された記録媒体Pを給送する給送ローラ3のみ備える構成であってもよい。
【0027】
給送ローラ3の搬送方向下流側に設けられた記録媒体検知センサ16によって1枚目の記録媒体1Pの先端が検知されると、第2給送モータ207を高速駆動に切り替える。即ち、給送ローラ3は20inch/secで回転する。
【0028】
図5のST2を参照して説明する。給送ローラ3を回転し続けると、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向下流側先端は第1搬送ローラ5とピンチローラ6で形成される搬送ニップ部に突き当たる。このとき第1搬送ローラ5は停止状態である。1枚目の記録媒体1Pの搬送方向下流側先端が搬送ニップ部に突き当たった後も給送ローラ3を所定量回転させることによって、1枚目の記録媒体1Pの先端が搬送ニップ部に突き当たった状態で整列し斜行が嬌正される。斜行矯正動作をレジ取り動作ともいう。
【0029】
図5のST3を参照して説明する。1枚目の記録媒体Pの斜行矯正動作が終了すると、搬送モータ205が駆動されることによって第1搬送ローラ5が回転を開始する。第1搬送ローラ5は15inch/secで記録媒体Pを搬送する。1枚目の記録媒体1Pは記録ヘッド7と対向する位置まで頭出しされた後に、記録データに基づいて、記録ヘッド7からインクを吐出することによって、1枚目の記録媒体1Pの第2面に対する2頁目の記録データの記録動作が開始される。なお、頭出し動作は、1枚目の記録媒体Pの先端が搬送ニップ部に突き当てられることにより第1搬送ローラ5の位置に一旦位置決めされ、その後第1搬送ローラ5の位置を基準として第1搬送ローラ5の回転量を制御することにより行われる。
【0030】
本実施形態の記録装置は、記録ヘッド7がキャリッジ1に搭載されているシリアルタイプの記録装置である。第1搬送ローラ5によって記録媒体Pを所定量ずつ間欠搬送する搬送動作と、第1搬送ローラ5が停止しているときに記録ヘッド7を搭載したキヤリッジ1を移動させながら記録ヘッド7からインクを吐出する画像形成動作とを繰り返す。これによって1枚目の記録媒体1Pに対する記録動作が行われる。
【0031】
1枚目の記録媒体1Pが頭出しされると、第2給送モータ207を低速駆動に切り替える。すなわち、給送ローラ3は7.6inch/secで回転する。第1搬送ローラ5によって1枚目の記録媒体1Pを所定量ずつ間欠搬送しているときに、第2給送モータ207によって給送ローラ3も間欠駆動される。すなわち第1搬送ローラ5が回転しているときは給送ローラ3も回転し、第1搬送ローラ5が停止しているときは給送ローラ3も停止している。第1搬送ローラ5の回転速度に対して、給送ローラ3の回転速度は小さい。そのため、第1搬送ローラ5と給送ローラ3の間で記録媒体Pは張った状態になる。また、給送ローラ3は第1搬送ローラ5によって搬送される1枚目の記録媒体1Pによって連れ回りさせられる。
【0032】
記録媒体検知センサ16は、センサの応答性等の要因により記録媒体Pの端部を検知するためには記録媒体間に所定以上の間隔が必要になる。すなわち、記録媒体検知センサ16によって1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部を検知した後、2枚目の記録媒体P(以下、2Pと表す)の搬送方向下流側先端を検知するまでに所定の時間間隔をもたせる必要がある。そのために、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部と、2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端部との間を所定距離離す。したがって、2枚目の記録媒体2Pのピックアップ動作は、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部がセンサ16を通過したと判断されてから行う。また、ピックアップローラ2の回転は、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部と2枚目の記録媒2体Pの搬送方向下流側先端部との間隔が所定距離以上となるように制御される。各記録媒体の先端位置及び後端位置は各種ローラの回転量から求めてもよいし、別途センサを設けて算出してもよい。
【0033】
なお、第1搬送ローラ5によって1枚目の記録媒体1Pを所定量ずつ間欠搬送しているときに、排紙モータ215及び両面搬送モータ216によって第3搬送ローラ20及び反転ローラ9は第1搬送ローラ5と同様の回転方向と速度で間欠駆動される。
【0034】
図6のST4を参照して説明する。ピックアップローラ2によってピックアップされた2枚目の記録媒体2Pは、給送ローラ3によって搬送される。このとき、1枚目の記録媒体1Pには、記録データに基づいて記録ヘッド7によって画像形成動作が行われている。記録媒体検知センサ16によって2枚目の記録媒体2Pの先端が検知されると、第2給送モータ207を高速駆動に切り替える。すなわち給送ローラ3は20inch/secで回転する。
【0035】
図6のST5を参照して説明する。記録ヘッド7による記録動作によって1枚目の記録媒体1Pが下流に移動する速度に対して、2枚目の記録媒体2Pを高速に移動させる。これによって1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部の上に2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端部が重なった状態を形成することができる。1枚目の記録媒体1Pは記録データに基づいて記録動作が行われているため、1枚目の記録媒体1Pは第1搬送ローラ5によって間欠搬送される。一方、2枚目の記録媒体2Pは記録媒体検知センサ16によって搬送方向下流側先端が検知された後、給送ローラ3を20inch/secで連続的に回転させることによって1枚目の記録媒体1Pに追いつくことができる。その後、2枚目の記録媒体2Pは搬送方向下流側先端が搬送ニップの上流の所定位置で停止するまで給送ローラ3によって搬送される。2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端の位置は、2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端が記録媒体検知センサ16によって検知されてからの給送ローラ3の回転量から算出され、この算出結果に基づいて制御される。このとき、1枚目の記録媒体1Pは、記録データに基づいて記録ヘッド7によって画像形成動作が行われている。
【0036】
図6のST6を参照して説明する。1枚目の記録媒体1Pの最終行の画像形成動作(インク吐出動作)を行うために第1搬送ローラ5が停止しているときに、給送ローラ3を駆動することによって2枚目の記録媒体2Pの先端を搬送ニップ部に突き当てて2枚目の記録媒体2Pの斜行嬌正動作を行う。
【0037】
なお、1枚目の記録媒体1Pの印字後の処理は反転であるため、フラッパ24は、第3搬送路102を経由し反転ローラ9に向かう経路に向けて、フラッパ用ソレノイド217により予め回動されている。したがって、1枚目の記録媒体1Pは反転ローラ9に向けて第3搬送路102にガイドされ搬送される。以降の動作では、記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過した後、次にフラッパ24を通過する記録媒体Pの印刷後の処理に合わせてフラッパ24を回動する。記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過したかどうかの判定は、各種ローラの回転量から行ってもよいし、別途センサを設けて行ってもよい。
【0038】
図7のST7を参照して説明する。1枚目の記録媒体1Pの最終行の画像形成動作が終了すると、第1搬送ローラ5を所定量回転させることによって1枚目の記録媒体1Pの上に2枚目の記録媒体2Pが重なった状態を維持して2枚目の記録媒体2Pの頭出しを行うことができる。
【0039】
2枚目の記録媒体2Pが頭出しされると、第2給送モータ207を低速駆動に切り替える。すなわち、給送ローラ3は7.6inch/secで回転する。第1搬送ローラ5によって2枚目の記録媒体2Pを所定量ずつ間欠搬送しているときに、第2給送モータ207によって給送ローラ3も間欠駆動される。2枚目の記録媒体2Pに、記録データに基づいて、記録ヘッド7からインクを吐出することによって、2枚目の記録媒体2Pの第2面に対する4頁目の記録データの記録動作が開始される。2枚目の記録媒体2Pが記録動作のために間欠搬送されると、1枚目の記録媒体1Pも間欠搬送される。
【0040】
<引き離し動作(第2搬送路101に向かう場合)>
図7のST8-1及びST8-2を参照して説明する。頭出し動作開始からの第1搬送ローラ5の回転量と用紙の長さから、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部が第2搬送ローラ10を通過したと判断した後、第1搬送ローラ5及び第2搬送ローラ10とは独立して、排紙モータ215により第3搬送ローラ20が連続して回転し、引き離し動作を行う。なお、両面搬送モータ216が正転し反転ローラ9も
図2における矢印A方向に第3搬送ローラ20と同様の速度で回転される。このとき、先行する1枚目の記録媒体1Pを第3搬送ローラ20で搬送する。そして、搬送方向上流側端部が第3搬送ローラ20を通過するよりも先に、2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側端部と1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部との間隔が所定距離以上になるように第3搬送ローラ20の速度を制御する。このときの第3搬送ローラ20の速度の算出方法の詳細に関しては、制御フローを参照して後述する。上記の所定距離>0とすることで、1枚目の記録媒体1Pと2枚目の記録媒体2Pは引き離され、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部と2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端の重なり状態を解消することができる。
【0041】
これにより、フラッパ24による搬送路の切り替え時に用紙詰まりが発生する可能性を低減することができる。
【0042】
なお、重なり状態を解消するにあたり、第3搬送ローラ20の速度を第1搬送ローラ5より速くしてもよいが、必ずしも第3搬送ローラ20の速度が第1搬送ローラ5より速い必要はない。第1搬送ローラ5が2枚目の記録媒体2Pの記録動作のために間欠搬送される場合、キャリッジ1のスキャン時間など間欠搬送に要する時間が発生する。この場合、第1搬送ローラ5で2枚目の記録媒体2Pを搬送し搬送方向下流側端部が第3搬送ローラ20を通過するまでの時間は、2枚目の記録媒体2Pの記録動作のための間欠搬送が行われていない場合に比べて長くなる。したがって、第3搬送ローラ20の速度を低減することができる。換言すると、記録動作中に引き離し動作を行うことで、記録動作中に引き離し動作を行わない場合に比べ、引き離しのための搬送速度を低減し騒音や電力消費などの増加を抑制できる
そして、後述するとおり、1枚目の記録媒体1Pが反転ローラ9で反転され、第2搬送路101内に入り、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部が第2搬送路101内に入る。その後に、2枚目の記録媒体Pの搬送方向下流側先端が第2搬送路101への分岐部を通過し反転ローラ9に到達することが可能になる。
【0043】
図7のST9を参照して説明する。反転ローラ9が
図2のST1における矢印A方向に回転すると、1枚目の記録媒体Pは
図2のST1における矢印C方向に搬送される。これにより、1枚目の記録媒体Pは搬送方向上流側端部が反転ローラ9の搬送方向上流側の所定の位置に到達するまで連続して搬送される。
【0044】
なお、記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過した後、次にフラッパ24を通過する記録媒体Pの印刷後の処理に合わせてフラッパ24を回動する。2枚目の記録媒体Pの印字後の処理は反転であるため、2枚目の記録媒体Pは反転ローラ9に向けて第3搬送路102にガイドされ搬送される。記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過したかどうかの判定は、各種ローラの回転量から行ってもよいし、別途センサを設けて行ってもよい。
【0045】
図8のST10を参照して説明する。1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部が反転ローラ9の搬送方向上流側の所定の位置に到達すると、両面搬送モータ216を逆転での高速駆動に切り替える。これにより、反転ローラ9および中間ローラ15は
図2のST3における矢印B方向に18inch/secで回転される。そして、1枚目の記録媒体1Pは、第2搬送路(反転路)101内のガイドに沿って反転ローラ9および中間ローラ15で搬送され、その搬送方向下流側先端が第1搬送路100の手前の所定の位置に到達するまで搬送される。この時の上記の所定位置も、頭出し動作開始からの搬送ローラの回転量と用紙の長さから算出される。
【0046】
図8のST11を参照して説明する。2枚目の記録媒体2Pの搬送が進み、2枚目の記録媒体Pの搬送方向上流側端部が記録媒体検知センサ16によって検知されると、両面搬送モータ216が逆転低速駆動されるとともに第2給送モータ207が低速駆動される。これにより、中間ローラ15および給送ローラ3は7.6inch/secで回転される。そして、1枚目の記録媒体1Pは中間ローラ15および給送ローラ3により、第2搬送路101から第1搬送路100を経て、第1搬送ローラ5の方向に搬送される。このとき、2枚目の記録媒体2Pは、記録データに基づいて記録ヘッド7によって画像形成動作が行われている。記録媒体検知センサ16によって1枚目の記録媒体1Pの搬送方向下流側先端が検知されると、両面搬送モータ216を逆転駆動のまま高速駆動に切り替えるとともに第2給送モータ207を高速駆動に切り替える。すなわち、中間ローラ15及び給送ローラ3は20inch/secで回転する。
【0047】
記録ヘッド7による記録動作によって2枚目の記録媒体2Pが下流に移動する速度に対して、1枚目の記録媒体1Pを高速に移動させることによって2枚目の記録媒体1Pの後端部の上に1枚目の記録媒体1Pの先端部が重なった状態を形成することができる。2枚目の記録媒体2Pは記録データに基づいて記録動作が行われているため、2枚目の記録媒体2Pは第1搬送ローラ5によって間欠搬送される。一方、1枚目の記録媒体1Pは記録媒体検知センサ16によって先端が検知された後、給送ローラ3を20inch/secで連続的に回転させることによって2枚目の記録媒体2Pに追いつくことができる。その後、1枚目の記録媒体1Pは搬送方向下流側先端が搬送ニップの上流の所定位置で停止するまで給送ローラ3によって搬送される。1枚目の記録媒体1Pの搬送方向下流側先端の位置は、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向下流側先端が記録媒体検知センサ16によって検知されてからの給送ローラ3の回転量から算出され、この算出結果に基づいて制御される。このとき、2枚目の記録媒体2Pは、記録データに基づいて記録ヘッド7によって画像形成動作が行われている。
【0048】
図8のST12を参照して説明する。2枚目の記録媒体2Pの最終行の画像形成動作(インク吐出動作)を行うために第1搬送ローラ5が停止しているときに、給送ローラ3を駆動することによって1枚目の記録媒体1Pの搬送方向下流側先端を搬送ニップ部に突き当てる。これにより、1枚目の記録媒体1Pの斜行嬌正動作を行う。
【0049】
図9のST13を参照して説明する。2枚目の記録媒体2Pの最終行の画像形成動作が終了すると、第1搬送ローラ5を所定量回転させることによって2枚目の記録媒体2Pの上に1枚目の記録媒体1Pが重なった状態を維持して1枚目の記録媒体1Pの頭出しを行うことができる。
【0050】
1枚目の記録媒体1Pが頭出しされると、第2給送モータ207を低速駆動に切り替える。すなわち、給送ローラ3は7.6inch/secで回転する。第1搬送ローラ5によって1枚目の記録媒体1Pを所定量ずつ間欠搬送しているときに、第2給送モータ207によって給送ローラ3も間欠駆動される。1枚目の記録媒体1Pに、記録データに基づいて、記録ヘッド7からインクを吐出することによって、1枚目の記録媒体Pの第1面に対する1頁目の記録データの記録動作が開始される。1枚目の記録媒体1Pが記録動作のために間欠搬送されると、2枚目の記録媒体2Pも間欠搬送される。
【0051】
<引き離し動作(第2搬送路101に向かう場合)>
図9のST14-1及びST14-2を参照して説明する。頭出し動作開始からの第1搬送ローラ5の回転量と用紙の長さから、2枚目の記録媒体2Pの搬送方向上流側端部が第2搬送ローラ10を通過したと判断した後、第1搬送ローラ5及び第2搬送ローラ10とは独立して、排紙モータ215により第3搬送ローラ20が連続して回転し、引き離し動作を行う。なお、両面搬送モータ216が正転し、反転ローラ9も
図2における矢印A方向に第3搬送ローラ20と同様の速度で回転される。このとき、先行する2枚目の記録媒体2Pを第3搬送ローラ20で搬送する。そして、搬送方向上流側端部が第3搬送ローラ20を通過するよりも先に、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向下流側端部と2枚目の記録媒体2Pの搬送方向上流側端部との間隔が所定距離以上になるように第3搬送ローラ20の速度を制御する。このときの第3搬送ローラ20の速度の算出方法の詳細に関しては、制御フローを参照して後述する。上記の所定距離>0とすることで、2枚目の記録媒体2Pと1枚目の記録媒体1Pは引き離され、2枚目の記録媒体2Pの搬送方向上流側端部と1枚目の記録媒体1Pの搬送方向下流側先端の重なり状態を解消することができる。
【0052】
これにより、フラッパ24による搬送路の切り替え時に用紙詰まりが発生する可能性を低減することができる。
【0053】
なお、重なり状態を解消するにあたり、第3搬送ローラ20の速度を第1搬送ローラ5より速くしてもよいが、必ずしも第3搬送ローラ20の速度が第1搬送ローラ5より速い必要はない。第1搬送ローラ5が1枚目の記録媒体1Pの記録動作のために間欠搬送される場合、キャリッジ1のスキャン時間など間欠搬送に要する時間が発生する。この場合、第1搬送ローラ5で1枚目の記録媒体1Pを搬送し搬送方向下流側端部が第3搬送ローラ20を通過するまでの時間は、1枚目の記録媒体1Pの記録動作のための間欠搬送が行われていない場合に比べて長くなる。したがって、第3搬送ローラ20の速度を低減することができる。換言すると、記録動作中に引き離し動作を行うことで、記録動作中に引き離し動作を行わない場合に比べ、引き離しのための搬送速度を低減し騒音や電力消費などの増加を抑制できる。
【0054】
図9のST15を参照して説明する。反転ローラ9が
図2のST1における矢印A方向に回転すると、2枚目の記録媒体2Pは
図2のST1における矢印C方向に搬送される。これにより、2枚目の記録媒体2Pは搬送方向上流側端部が反転ローラ9の搬送方向上流側の所定の位置に到達するまで連続して搬送される。
【0055】
なお、記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過した後、次にフラッパ24を通過する記録媒体Pの印刷後の処理に合わせてフラッパ24を回動する。1枚目の記録媒体1Pの印字後の処理は排紙であるため、1枚目の記録媒体1Pは排紙ローラ22に向けて第4搬送路104にガイドされ搬送される。記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過したかどうかの判定は、各種ローラの回転量から行ってもよいし、別途センサを設けて行ってもよい。
【0056】
図10のST16を参照して説明する。2枚目の記録媒体2Pの搬送方向上流側端部が反転ローラ9の搬送方向上流側の所定の位置に到達すると、両面搬送モータ216を逆転での高速駆動に切り替える。これにより、反転ローラ9および中間ローラ15は
図2のST3における矢印B方向に18inch/secで回転される。そして、2枚目の記録媒体2Pは、第2搬送路(反転路)101内のガイドに沿って反転ローラ9および中間ローラ15で搬送され、その搬送方向下流側先端が第1搬送路100の手前の所定の位置に到達するまで搬送される。この時の上記の所定位置も、頭出し動作開始からの搬送ローラの回転量と用紙の長さから算出される。
【0057】
図10のST17を参照して説明する。1枚目の記録媒体1Pの搬送が進み、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部が記録媒体検知センサ16によって検知されると、両面搬送モータ216が逆転低速駆動されるとともに第2給送モータ207が低速駆動される。これにより、中間ローラ15および給送ローラ3は7.6inch/secで回転される。そして、2枚目の記録媒体2Pは中間ローラ15および給送ローラ3により、第2搬送路101から第1搬送路100を経て、第1搬送ローラ5の方向に搬送される。このとき、1枚目の記録媒体1Pは、記録データに基づいて記録ヘッド7によって画像形成動作が行われている。記録媒体検知センサ16によって2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端が検知されると、両面搬送モータ216を逆転駆動のまま高速駆動に切り替えるとともに第2給送モータ207を高速駆動に切り替える。すなわち、中間ローラ15及び給送ローラ3は20inch/secで回転する。
【0058】
記録ヘッド7による記録動作によって1枚目の記録媒体1Pが下流に移動する速度に対して、2枚目の記録媒体2Pを高速に移動させることによって1枚目の記録媒体1Pの後端部の上に2枚目の記録媒体2Pの先端部が重なった状態を形成することができる。1枚目の記録媒体1Pは記録データに基づいて記録動作が行われているため、1枚目の記録媒体1Pは第1搬送ローラ5によって間欠搬送される。一方、2枚目の記録媒体2Pは記録媒体検知センサ16によって先端が検知された後、給送ローラ3を20inch/secで連続的に回転させることによって1枚目の記録媒体1Pに追いつくことができる。その後、2枚目の記録媒体2Pは搬送方向下流側先端が搬送ニップの上流の所定位置で停止するまで給送ローラ3によって搬送される。2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端の位置は、2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端が記録媒体検知センサ16によって検知されてからの給送ローラ3の回転量から算出され、この算出結果に基づいて制御される。このとき、1枚目の記録媒体1Pは、記録データに基づいて記録ヘッド7によって画像形成動作が行われている。
【0059】
図10のST18を参照して説明する。1枚目の記録媒体1Pの最終行の画像形成動作(インク吐出動作)を行うために第1搬送ローラ5が停止しているときに、給送ローラ3を駆動することによって2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端を搬送ニップ部に突き当てる。これにより、2枚目の記録媒体2Pの斜行嬌正動作を行う。
【0060】
図11のST19を参照して説明する。1枚目の記録媒体1Pの最終行の画像形成動作が終了すると、第1搬送ローラ5を所定量回転させることによって1枚目の記録媒体1Pの上に2枚目の記録媒体2Pが重なった状態を維持して2枚目の記録媒体2Pの頭出しを行うことができる。
【0061】
2枚目の記録媒体2Pが頭出しされると、第2給送モータ207を低速駆動に切り替える。すなわち、給送ローラ3は7.6inch/secで回転する。第1搬送ローラ5によって2枚目の記録媒体2Pを所定量ずつ間欠搬送しているときに、第2給送モータ207によって給送ローラ3も間欠駆動される。2枚目の記録媒体2Pに、記録データに基づいて、記録ヘッド7からインクを吐出することによって、2枚目の記録媒体2Pの第1面に対する3頁目の記録データの記録動作が開始される。2枚目の記録媒体2Pが記録動作のために間欠搬送されると、1枚目の記録媒体1Pも間欠搬送される。
【0062】
<引き離し動作(第4搬送路104に向かう場合)>
図11のST20-1及びST20-2を参照して説明する。頭出し動作開始からの第1搬送ローラ5の回転量と用紙の長さから、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部が第2搬送ローラ10を通過したと判断した後、第1搬送ローラ5及び第2搬送ローラ10とは独立して、排紙モータ215により第3搬送ローラ20と排紙ローラ22が連続して回転し、引き離し動作を行う。このとき、先行する1枚目の記録媒体1Pを第3搬送ローラ20で搬送する。そして、搬送方向上流側端部が第3搬送ローラ20を通過するよりも先に、2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側端部と1枚目の記録媒1体Pの搬送方向上流側端部との間隔が所定距離以上になるように第3搬送ローラ20の速度を制御する。このときの第3搬送ローラ20の速度の算出方法の詳細に関しては、制御フローを参照して後述する。上記の所定距離>0とすることで、1枚目の記録媒体1Pと2枚目の記録媒体2Pは引き離され、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部と2枚目の記録媒体2Pの搬送方向下流側先端の重なり状態を解消することができる。
【0063】
これにより、排紙時に用紙の順番が入れ替わり、排紙性が低下するのを抑制することができる。
【0064】
なお、重なり状態を解消するにあたり、第3搬送ローラ20の速度を第1搬送ローラ5より速くしてもよいが、必ずしも第3搬送ローラ20の速度が第1搬送ローラ5より速い必要はない。第1搬送ローラ5が2枚目の記録媒体2Pの記録動作のために間欠搬送される場合、キャリッジ1のスキャン時間など間欠搬送に要する時間が発生する。この場合、第1搬送ローラ5で2枚目の記録媒体2Pを搬送し、搬送方向下流側端部が第3搬送ローラ20を通過するまでの時間は、2枚目の記録媒体2Pの記録動作のための間欠搬送が行われていない場合に比べて長くなる。したがって、第3搬送ローラ20の速度を低減することができる。換言すると、記録動作中に引き離し動作を行うことで、記録動作中に引き離し動作を行わない場合に比べ、引き離しのための搬送速度を低減し騒音や電力消費などの増加を抑制できる
図12のST21を参照して説明する。1枚目の記録媒体1Pに対しては、第1面および第2面の記録が終了しているため、排紙ローラ22と第3搬送ローラ20の回転により、1枚目の記録媒体Pは排紙トレイ25に排出される。
【0065】
なお、記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過した後、次にフラッパ24を通過する記録媒体Pの印刷後の処理に合わせてフラッパ24を回動する。2枚目の記録媒体2Pの印字後の処理は排紙であるため、2枚目の記録媒体2Pは排紙ローラ22に向けて第4搬送路104にガイドされ搬送される。記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過したかどうかの判定は、各種ローラの回転量から行ってもよいし、別途センサを設けて行ってもよい。
【0066】
図12のST22を参照して説明する。2枚目の記録媒体2Pの最終行の画像形成動作が終了すると、1ジョブ内最後の記録媒体である2枚目の記録媒体2Pに対しての第1面および第2面の記録が終了したことになる。ここで、排紙ローラ22及び第3搬送ローラ20、第2搬送ローラ10、第1搬送ローラ5を同一方向に回転することにより、2枚目の記録媒体2Pを排紙トレイ25に排出して両面印字を終了する。
【0067】
<制御フローの説明>
図13~
図15は、本実施形態の印刷処理における重ね連送動作のフローチャートである。
図4に示した表を参照しながら、印刷順序Nにおいて、各変数をNの関数として、M(N)枚目の記録媒体Pを給紙元Q(N)から給紙し、記録媒体のF(N)面に、K(N)頁分の記録データを記録し、印字後の処理G(N)を行う場合について、最大印刷順序をNmaxとして説明を行う。なお、印刷の順序はあくまでも一例であり、順序は上記に限定されるものではない。I/F部213を介してホストコンピュータ214から両面印刷モードでの記録データが送信されると両面印刷モードの記録動作S30を開始する。
【0068】
図13のステップS301において、印刷順序N=1をセットし初期化する。ステップS302では最大印刷順序Nmaxを記録データから取得する。
【0069】
ステップS303ではフラッパ24を印刷後の処理G(N)に対応するようにフラッパ用ソレノイド217により予め回動しておく。
【0070】
ステップS304では給紙元Q(N)から、M(N)枚目の記録媒体Pの給送を7.6inch/secで開始する。
【0071】
給紙元Q(N)が用紙積載部11である場合には、最初に、第1給送モータ206が低速駆動される。これにより、ピックアップローラ2は7.6inch/secで回転される。ピックアップローラ2が回転すると、用紙積載部11に積載された最上位の記録媒体がピックアップされる。ピックアップローラ2によってピックアップされた1枚目の記録媒体1Pは、ピックアップローラ2と同方向に回転している給送ローラ3によって搬送される。給送ローラ3は第2給送モータ207によってピックアップローラ2と同様の速度で駆動される。ピックアップローラ2は、給送ローラ3を超える位置まで記録媒体Pを搬送可能な所定量回転後、次の記録媒体Pをピックアップしないように停止する。ピックアップローラ2はワンウェイローラとなっており、ピックアップローラ2を停止しても給送ローラ3による搬送を継続できる。
【0072】
給紙元Q(N)が第2搬送路101である場合には、両面搬送モータ216が逆転低速駆動されるとともに第2給送モータ207が低速駆動される。これにより、中間ローラ15および給送ローラ3は7.6inch/secで回転される。そして、記録媒体Pは中間ローラ15および給送ローラ3により、第2搬送路101から第1搬送路100を経て、第1搬送ローラ5の方向に搬送される。
【0073】
ステップS305ではM(N)枚目の搬送方向下流側端部がセンサ16を通過したかを判断する。通過していないと判断された場合(ステップS305:NO)、ステップS305の処理を繰り返す。一方で、通過したと判断された場合(ステップS305:YES)、ステップS306を実行する。
【0074】
ステップS306では、M(N)枚目の給送速度を20inch/secに切り替える。このとき、第2給送モータ207を高速駆動に切り替えることで、給送ローラ3は20inch/secで回転する。M(N-1)枚目の記録媒体が存在する場合には、その記録媒体に追いつくための動作となる。
【0075】
ステップS307では、N=1であるかを判断する。N=1であると判断された場合(ステップS307:YES)、重ねる相手の搬送媒体Pは存在し得ないので、ステップS308に進む。一方で、N=1でないと判断された場合(ステップS307:NO)、重ね連送を行う可能性があるため、ステップS40の重ね準備動作を実行する。
【0076】
図14に示すステップS40の重ね準備動作が開始されると、続いてステップS401が実行され、第1搬送ローラ5の手前の所定の位置でM(N)枚目の記録媒体Pを停止させる。M(N)枚目の記録媒体Pの搬送方向下流側先端の位置は、M(N)枚目の記録媒体Pの搬送方向下流側先端が記録媒体検知センサ16によって検知されてからの給送ローラ3の回転量から算出され、この算出結果に基づいて制御される。
【0077】
ステップS402では所定の重ね実施条件を満たしているかを判断する。重ね実施条件の詳細については後述する。重ね実施条件を満たしていると判断された場合(ステップS402:YES)、ステップS408を実行する。ステップS408では、ステップS402で設定された重ね量が初期重ね量か判断する。初期重ね量の判断については後述する。
【0078】
初期重ね量と判断された場合(ステップS408:YES)、ステップS403を実行する。ステップS403では、M(N-1)枚目の最終行の画像形成が開始されたか判断する。開始されていないと判断された場合(ステップS403:NO)、ステップS403の処理を繰り返す。開始されたと判断された場合(ステップS403:YES)、処理を終了し、続いて
図13のステップS308を実行する。ステップS408で初期重ね量ではないと判断された場合(ステップS408:NO)、ステップS409を実行する。ステップS409では、M(N-1)枚目の最終行の画像形成が終了したかを判断する。終了していないと判断された場合(ステップS409:NO)、ステップS409の処理を繰り返す。終了したと判断された場合(ステップS409:YES)、ステップS410を実行し、M(N-1)枚目の記録媒体Pを、第1搬送ローラ5を用いて10inch/secで搬送する。
【0079】
ステップS411では、M(N-1)枚目の後端とM(N)枚目の先端の重ね量がステップS402で設定された重ね量になるまで搬送されているかを判断する。所定重ね量まで搬送されていないと判断された場合(ステップS411:NO)、ステップS411の処理を繰り返す。所定重ね量まで搬送されていると判断された場合(ステップS411:YES)、ステップS412を実行し、第1搬送ローラ5を停止する。処理を終了し、続いて
図13のステップS308を実行する。
【0080】
一方で、ステップS402で重ね実施条件を満たしていないと判断された場合(ステップS402:NO)、ステップS404を実行する。後述するステップS404~S407を順次実行することで、重ね状態を第1搬送ローラ5より搬送方向上流で解除する動作、またはM(N)枚目の記録媒体PがM(N-1)枚目の記録媒体Pに十分に追いつけていないときの動作を行うことができる。
【0081】
ステップS404では、M(N-1)枚目の最終行の画像形成が終了したかを判断する。終了していないと判断された場合(ステップS404:NO)、ステップS404の処理を繰り返す。終了したと判断された場合(ステップS404:YES)、ステップS405を実行し、M(N-1)枚目の記録媒体Pを、第1搬送ローラ5を用いて18inch/secで搬送する。
【0082】
ステップS406では、M(N-1)枚目の記録媒体Pの後端が第1搬送ローラ5を通過後、所定量以上搬送されているかを判断する。所定量以上搬送されていないと判断された場合(ステップS406:NO)、ステップS406の処理を繰り返す。所定量以上搬送されていると判断された場合(ステップS406:YES)、ステップS407を実行し、第1搬送ローラ5を停止する。処理を終了し、続いて
図13のステップS308を実行する。
【0083】
上述したステップS404~S407を順次実行することで、重なった状態ではあるが重ね実施条件を満たしていない場合に、重ね状態を第1搬送ローラ5より搬送方向上流で解除することができる。また、M(N)枚目の記録媒体PがM(N-1)枚目の記録媒体Pに十分に追いつけていないときには、M(N)枚目の記録媒体Pを単独で斜行矯正するための準備を行うことができる。
【0084】
ステップS308では、M(N)枚目の記録媒体Pの斜行矯正を行う。第1搬送ローラ5が停止しているときに、給送ローラ3を駆動することによってM(N)枚目の記録媒体Pの搬送方向下流側先端を搬送ニップ部に突き当ててM(N)枚目の記録媒体Pの斜行嬌正動作を行う。このとき、ステップS307でN=1であると判断されていた場合(ステップS307:YES)、M(N)枚目の記録媒体Pは単独で斜行矯正される。また、ステップS402で重ね実施条件を満たしていると判断されていた場合(ステップS402:YES)、M(N)枚目の記録媒体PはM(N-1)枚目の記録媒体Pと重なった状態で斜行矯正される。一方で、ステップS402で重ね実施条件を満たしていないと判断されていた場合(ステップS402:NO)、M(N)枚目の記録媒体Pは単独で斜行矯正される。
【0085】
ステップS309では、M(N)枚目の頭出しを行う。第1搬送ローラ5を所定量回転させることによってM(N)枚目の記録媒体Pの頭出しを行うことができる。このとき、ステップS308でM(N)枚目の記録媒体PがM(N-1)枚目の記録媒体Pと重なった状態で斜行矯正されていれば、重なった状態を維持して頭出しされる。
【0086】
ステップS310では、M(N)枚目の給送速度を7.6inch/secに切り替える。第2給送モータ207を低速駆動に切り替えることで、給送ローラ3は7.6inch/secで回転する。
【0087】
ステップS311では、M(N)枚目の記録媒体PのF(N)面にK(N)頁目のデータの記録動作を開始する。第1搬送ローラ5によってM(N)枚目の記録媒体Pを所定量ずつ間欠搬送しているときに、第2給送モータ207によって給送ローラ3も間欠駆動される。M(N)枚目の記録媒体Pが記録動作のために間欠搬送されると、M(N-1)枚目の記録媒体Pも間欠搬送される。
【0088】
ステップS312では、N=1であるかを判断する。N=1であると判断された場合(ステップS312:YES)、ステップS313を実行する。一方で、N=1でないと判断された場合(ステップS312:NO)、ステップS316を実行する。
【0089】
ステップS316では、重ね連送を実施したかを判断する。重ね連送を実施したと判断された場合(ステップS316:YES)、ステップS50の引き離し動作を実行する。引き離し動作の詳細については後述する。ステップS50の実行後は
図15に示すステップS60の反転・排紙動作を実行する。重ね連送を実施していないと判断された場合(ステップS316:NO)、ステップS50の引き離し動作を実行せず、
図15に示すステップS60の反転・排紙動作を実行する。
【0090】
図15に示すステップS60の反転・排紙動作が開始されると、ステップS601が実行される。ステップS601では、印字後の処理G(N-1)が反転であるかを判断する。反転であると判断された場合(ステップS601:YES)、ステップS602を実行し、M(N-1)枚目の記録媒体Pを、反転ローラ9を回転させ反転ローラ9に向けて搬送する。
【0091】
ステップS603では、M(N-1)枚目の記録媒体Pの搬送方向上流側端部がフラッパ24を通過したかを判断する。フラッパ24を通過したかどうかの判定は、各種ローラの回転量から行ってもよいし、別途センサを設けて行ってもよい。フラッパ24を通過していないと判断された場合(ステップS603:NO)、ステップS603の処理を繰り返す。フラッパ24を通過したと判断された場合(ステップS603:YES)、ステップS604を実行する。
【0092】
ステップS604では、フラッパ24を印字後の処理G(N)に対応するように回動する。ステップS601で印字後の処理G(N)は反転と判断されているため、反転ローラ9に向けて搬送できるようフラッパ24を回動する。
【0093】
ステップS605では、M(N-1)枚目の記録媒体Pの搬送方向上流側端部が反転ローラ9の搬送方向上流側の所定の位置に到達するまで連続して搬送し停止する。ステップS606では、M(N-1)枚目の記録媒体Pを第2搬送路101に向けて搬送する。両面搬送モータ216を逆転での高速駆動に切り替えることで、反転ローラ9および中間ローラ15は
図2のST3における矢印B方向に18inch/secで回転される。その後、ステップS607では、M(N-1)枚目の記録媒体Pを、記録媒体Pの搬送方向下流側先端が第1搬送路100の手前の所定位置まで到達した段階で停止させる。この時の上記の所定位置も、頭出し動作開始からの搬送ローラの回転量と用紙の長さから算出される。ステップS607が終了すると
図13のステップS313を実行する。
【0094】
一方で、
図15のステップS601で、印字後の処理G(N-1)が反転ではないと判断された場合(ステップS601:NO)、ステップS608を実行し、M(N-1)枚目の記録媒体Pを、排紙ローラ22と第3搬送ローラ20の回転により排紙トレイ25に排紙する。
【0095】
ステップS609では、M(N-1)枚目の記録媒体Pの搬送方向上流側端部が、排紙を行う中でフラッパ24を通過したかを判断する。フラッパ24を通過したかどうかの判定は、各種ローラの回転量から行ってもよいし、別途センサを設けて行ってもよい。フラッパ24を通過していないと判断された場合(ステップS609:NO)、ステップS609の処理を繰り返す。フラッパ24を通過したと判断された場合(ステップS609:YES)、ステップS610を実行する。
【0096】
ステップS610では、フラッパ24を印字後の処理G(N)に対応するように回動する。ステップS601で印字後の処理G(N)は反転ではないと判断されているため、排紙を行うこととなる。したがって、排紙ローラ22に向けて搬送できるようフラッパ24を回動する。ステップS610が終了すると
図13のステップS313を実行する。
【0097】
図13のステップS313では印刷順序N=N+1をセットしインクリメントする。
【0098】
ステップS314では、印刷順序Nが最大印刷順序Nmax以下であるかを判断する。最大印刷順序Nmax以下であると判断された場合(ステップS314:YES)、ステップS315を実行する。ステップS315では、M(N-1)枚目の記録媒体Pの搬送方向上流側端部がセンサ16を通過したかどうかを判断する。センサ16を通過したと判断された場合(ステップS315:YES)、ステップS304に戻り給紙動作を行い、以降同様の流れで制御を実行する。
【0099】
一方で、ステップS314で、印刷順序Nが最大印刷順序Nmax以下でないと判断された場合(ステップS314:NO)、最終印字が終了したと判断しステップS317を実行する。ステップS317では、M(N-1)枚目の記録媒体Pを排紙する。排紙ローラ22及び第3搬送ローラ20、第2搬送ローラ10、第1搬送ローラ5を同一方向に回転することにより、M(N-1)枚目の記録媒体Pを排紙トレイ25に排出することができる。排紙が終了すると処理を終了する。
【0100】
<引き離し動作>
図16は、引き離し動作の制御フローチャートである。また、
図17は後述する変数の関係を表した概念図である。
図5~
図12で説明した、重なった状態の先行記録媒体と後続記録媒体を引き離す動作について説明する。
【0101】
図17は、先行する1枚目の記録媒体1Pを後続する2枚目の記録媒体2Pから引き離す動作において、後述する変数の関係を表した概念図である。引き離し動作には2つのローラを用いる。本実施形態では、搬送方向上流側が第2搬送ローラ10であり、下流側が第3搬送ローラ20である。
【0102】
図17のST1は、
図13のS308において後続する記録媒体Pの斜行矯正を行っている状態である。
図6のST6を参照して説明したように、1枚目の記録媒体1Pの最終行の画像形成動作(インク吐出動作)を行うために第1搬送ローラ5が停止しているときに、2枚目の記録媒体2Pの先端を搬送ニップ部に突き当てて2枚目の記録媒体2Pの斜行嬌正動作を行う。このとき、1枚目の記録媒体1Pと2枚目の記録媒体2Pは重ね量Wだけ重なっている。なお、
図17においてKyは記録媒体P上の記録予定領域、Kdは記録済み領域である。また、Dnはノズル領域の距離であり、記録ヘッド7が備える吐出ノズル71の再上流から最下流までの領域の距離、すなわち印字時の最大記録幅となる。したがって、キャリッジ1のスキャン動作ごとの記録幅をDsとすれば、Ds≦Dnである。また、記録幅は一定ではなくスキャン動作ごとに異なってもよい。
【0103】
図17のST2では、
図7のST7を参照して説明したように、1枚目の記録媒体Pの最終行の画像形成動作が終了すると、第1搬送ローラ5を所定量回転させることによって1枚目の記録媒体1Pの上に2枚目の記録媒体2Pが重ね量Wだけ重なった状態を維持して2枚目の記録媒体2Pの頭出しを行うことができる。本実施形態では記録ヘッド7が備える吐出ノズルの最下流に2枚目の記録媒体Pの印字予定領域Kyの最下流が一致するように頭出しを行う。
【0104】
図17のST3を参照して説明する。先行する1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部が、引き離し動作に使用する上流側のローラを通過した後に引き離し動作を開始する。本実施形態では
図17のST3のように、先行する1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部が、引き離し動作に使用する上流側のローラを通過した直後に引き離し動作を開始した場合について説明する。なお、開始タイミングは通過直後に限定するものでなく、通過後であればよい。引き離し動作は、先行する記録媒体Pの搬送方向上流側端部が任意の点Tを通過するまでに終了するように制御する。点Tは本実施形態においては、第3搬送ローラ20と一致している。すなわち、先行する記録媒体Pの搬送方向上流側端部が第3搬送ローラ20を通過するまでに終了するように制御する。
【0105】
引き離し動作に用いる上流側のローラから点Tまでの領域を引き離し領域とし、その距離はLである。また、引き離し動作後における先行する記録媒体Pの搬送方向上流側端部と後続する記録媒体Pの搬送方向下流側端部の用紙間隔をDpとする。この時、(L-W-Dp)の距離をスキャン判定距離とし、後続する記録媒体Pに記録を行う場合のスキャン数Sの算出で参照する。
【0106】
図16を用いて、引き離し動作の制御フローチャートについて説明する。
図16のステップS501で、重ね量WをMPU201が取得する。また、ステップS502で、後続する記録媒体Pへ記録する記録データから、後続する記録媒体Pの搬送方向下流側端部がスキャン判定距離(L-W-Dp)を進む間のスキャン数SをMPU201が算出する。
【0107】
ステップS503では、引き離し可能時間TmaxをMPU201が算出する。重ね量W、スキャン数S、1スキャンの所要時間Ts、引き離し領域の距離L、引き離し動作後の用紙間隔Dp、後続する記録媒体Pの搬送速度V1から算出する。具体的には、次式を用いて算出する。
【0108】
Tmax=(L-W-Dp)/V1+STs
後続する記録媒体Pの搬送速度V1は、本実施形態においては第2搬送ローラ10の搬送速度である。なお、1スキャンの所要時間Tsは、
図25のタイミングチャートに示すようにキャリッジ1のスキャン動作に必要な時間である。Tsには、動作前後の待機時間や加減速時間を含んでもよい。また、キャリッジ1のスキャン動作に必要な時間が駆動ごとに異なる場合には、Tsをその平均値としてもよい。なお、
図25中のVcはキャリッジ1の駆動速度である。
【0109】
ステップS504では、引き離し動作時の先行する記録媒体Pの速度V2をMPU201が算出する。引き離し可能時間Tmaxと引き離し領域の距離Lから、次式で算出する。
【0110】
V2=L/Tmax
ステップ505では、先行する記録媒体Pの搬送方向上流側端部が引き離し動作に用いる搬送方向上流側のローラを通過したかMPU201が判断する。本実施形態では、第2搬送ローラ10を通過したかを判断する。通過していないと判断された場合(ステップS505:NO)ステップS505の処理を繰り返す。一方、通過したと判断された場合(ステップS505:YES)、ステップS506に進む。
【0111】
ステップS506では、引き離しに用いる搬送方向下流側のローラをV2以上の速度で回転させる。本実施形態では第3搬送ローラ20を回転させる。この動作により、
図17のST4で示すように、先行する記録媒体Pが後続する記録媒体Pから引き離され、重ね量WはW’に減少していく。この時、V2以上の速度で回転させることにより、
図17のST5で示すように、後続する記録媒体Pの搬送方向下流側端部が第3搬送ローラ20を通過するまでに用紙間隔Dp以上の用紙間隔をあけることが可能となり、重ね状態を解消することができる。
【0112】
ステップS507では、先行する記録媒体Pの搬送方向上流側端部と後続する記録媒体Pの搬送方向下流側端部の間隔が、引き離し動作後の用紙間隔Dp以上であるかをMPU201が判断する。所定量より小さいと判断された場合(ステップS507:NO)、ステップS507の処理を繰り返す。一方、用紙間隔Dp以上であると判断された場合(ステップS507:YES)、引き離し動作が完了したと判断し、処理を終了する。
【0113】
用紙間隔Dpは、本実施形態ではDp≧0としており、Dp≧0とすることで重ね状態を解消することができる。したがって、フラッパ24による搬送路の切り替え時に用紙詰まりが発生する可能性や排紙性が低下する可能性を低減することができる。なお、用紙間隔Dpの値についてはフラッパ24の回動動作の間に搬送される搬送量に対して大きな値であることが望ましい。また、排紙時における用紙の落下速度に鑑み、排紙整列性を低下させない程度の大きさであることが望ましい。
【0114】
ただし、Dp<0とすることも可能である。この場合、重ね状態は完全には解消されないが、重ね量を減少させ、フラッパが回動可能である値や、排紙した際に先行紙と後続紙の順番が入れ替わらない値を実験的に求めて設定する。これにより、フラッパ24による搬送路の切り替え時に用紙詰まりが発生する可能性や排紙性が低下する可能性を低減することができる。
【0115】
なお、引き離し動作をキャリッジ1のスキャン動作中には行わない場合の引き離し可能時間T’maxは、
T’max=(L-W-Dp)/V1
である。したがって、この場合の引き離し動作時の先行する記録媒体Pの速度V’2は、
V’2=L/T’max
となる。このとき、
Tmax>T’max
であるため、
V2<V’2
となる。すなわち、記録動作中に引き離し動作を行うことで、記録動作中に引き離し動作を行わない場合に比べ、引き離しのための搬送速度を低減し騒音や電力消費などの増加を抑制できる。
【0116】
S回のスキャン動作に要する時間STsが大きい場合、V2を小さくすることができる。また、別途スキャン動作に関係のない待機時間を設けてもよい。この場合、さらに搬送速度を低減し騒音や電力消費などの増加を抑制できる。
【0117】
なお、重なり状態を解消するにあたり、引き離し動作に用いる搬送方向下流側のローラの速度は、引き離し領域の搬送方向上流側のローラより速くしてもよいが、V2の算出結果によっては必ずしも速い必要はなく、同様または遅くてもよい。
【0118】
また、引き離し動作に用いる搬送方向下流側のローラはV2以上の一定速度で連続駆動しなくてもよく、例えば停止や加減速を含め平均速度がV2以上となるように制御してもよい。
【0119】
加えて、ステップS507において、先行する記録媒体Pの搬送方向上流側端部と後続する記録媒体Pの搬送方向下流側端部の間隔が、引き離し動作後の用紙間隔Dp以上であると判断された場合(ステップS507:YES)、引き離し動作が完了したと判断し、処理を終了したが、別の終了条件を設けてもよい。例えば、先行する記録媒体Pの搬送方向上流側端部が第3搬送ローラ20に到達したら終了としてもよい。このときV2より大きな速度で引き離し動作を行っていれば、さらに用紙間隔を広げることができる。
【0120】
<重ね動作の説明>
図18、
図19は、本実施形態における先行記録媒体に後続記録媒体を重ねる動作を説明する図である。
図5~
図12で説明した、先行記録媒体の後端部の上に後続記録媒体の先端部を重ねる重ね状態を形成する動作について説明する。
【0121】
図18、
図19は、給送ローラ3と給送従動ローラ4で形成される給送ニップ部と、第1搬送ローラ5とピンチローラ6で形成される搬送ニップ部の間の拡大図である。本実施形態での説明図では、記録媒体Pの後端部の浮き上がりを抑える記録媒体押えレバーを備えた図で説明する。
【0122】
第1搬送ローラ5、給送ローラ3により記録媒体が搬送される過程を、3つの状態として順に説明する。後続記録媒体が先行記録媒体を追いかける動作を行う第1の状態を
図18のST1、ST2を参照して説明する。後続記録媒体を先行記録媒体に重ねる動作を行う第2の状態を
図19のST3、ST4を参照して説明する。重ね状態を維持して後続記録媒体の斜行矯正動作を行うか判定する第3の状態を
図19のST5を参照して説明する。
【0123】
図18のST1では、給送ローラ3を制御し後続記録媒体Pを搬送し、記録媒体検知センサ16で後続記録媒体Pの先端を検知する。記録媒体検知センサ16から後続記録媒体Pを先行記録媒体Pの上に重ねることが可能となる位置P1までを第1の区間A1と定義する。第1の区間A1において、後続記録媒体Pの先端が先行記録媒体Pの後端を追いかける動作を行う。P1は、機構の構成により決定されるものである。
【0124】
第1の状態では、第1の区間A1において、追いかける動作を停止する場合が存在する。
図18のST2のように、後続記録媒体Pの先端が、P1より手前で先行記録媒体Pの後端を追い越してしまう場合は、後続記録媒体を先行記録媒体に重ねる動作を行わない。
【0125】
図19のST3において、前述のP1から記録媒体押えレバー17が設けられた位置P2までを第2の区間A2と定義する。第2の区間A2において、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pに重ねる動作を行う。
【0126】
第2の状態では、第2の区間A2において、後続記録媒体を先行記録媒体に重ねる動作を停止する場合が存在する。
図19のST4のように、第2の区間A2内で後続記録媒体Pの先端が先行記録媒体Pの後端に追いつくことができない場合は、先行記録媒体に後続記録媒体を重ねる動作ができない。
【0127】
図19のST5において、前述のP2からP3までを第3の区間A3と定義する。P3は、一例として、
図14のステップS401で後続記録媒体が停止したときの先端の位置である。後続記録媒体Pを先行記録媒体Pに重ねた状態で、後続記録媒体Pの先端がP3に到達するまで搬送する。第3の区間A3において、重ね状態を維持したまま後続記録媒体Pを搬送ニップ部に突き当てて頭出しをするか否かを判断する。すなわち、重ね状態を維持して斜行矯正動作の後頭出しをするか、重ね状態を解除して斜行矯正動作の後頭出しをするかの判定を行う。
【0128】
<重ね可否判断>
図20は、本実施形態における後続記録媒体の斜行矯正動作を説明するフローチャートである。
図14のS402で説明した重ね実施条件を満たしているかの判断について詳細に説明する。
【0129】
先行記録媒体Pと後続記録媒体Pの重ね量を初期重ね量のまま後続記録媒体Pの先端を搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行うか、初期重ね量より小さい重ね量で後続記録媒体Pの先端を搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行うか、先行記録媒体Pと後続記録媒体Pの重ね状態を解除してから後続記録媒体Pの先端を搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行うかの判定動作について説明する。
【0130】
ステップS101で開始する。ステップS102において、後続記録媒体Pの先端が判定位置(
図19ST5のP3)まで到達しているかを判定する。ここで到達していない場合(ステップS102:NO)、所定量の搬送で後続記録媒体Pの先端が搬送ニップ部に突き当たるか不明であるため、後続記録媒体のみの斜行矯正動作に決定し(ステップS103)、判定動作は終了する(ステップS104)。すなわち、先行記録媒体Pの後端が搬送ニップ部を通過した後に、後続記録媒体Pのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続記録媒体Pのみの状態で頭出しをする。
【0131】
一方、後続記録媒体Pの先端が判定位置P3まで到達している場合(ステップS102:YES)、先行記録媒体Pの後端が搬送ニップ部を通過したかの判定を行う(ステップS105)。ここで通過したと判定された場合(ステップS105:YES)、先行記録媒体と後続記録媒体は重なっていないため、後続記録媒体のみの斜行矯正動作に決定する(ステップS106)。すなわち、後続記録媒体Pのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続記録媒体Pのみの状態で頭出しをする。
【0132】
一方、先行記録媒体Pの後端が搬送ニップ部を通過していないと判定された場合(ステップS105:NO)、先行記録媒体Pの後端部と後続記録媒体Pの先端部の重なり量が閾値より小さいかの判定を行う(ステップS107)。先行記録媒体Pの後端の位置は、先行記録媒体Pに対する記録動作にともなって更新していく。また、後続記録媒体Pの先端の位置は、前述の判定位置にある。すなわち、重なり量は、先行記録媒体Pの記録動作にともなって減少していく。重なり量が閾値より小さいと判定された場合(ステップS107:YES)、重ね状態を解除して後続記録媒体のみの斜行矯正動作に決定する(ステップS108)。すなわち、先行記録媒体Pの画像形成動作が終了した後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pとともに搬送しない。具体的には、搬送モータ205によって第1搬送ローラ5を駆動して先行記録媒体Pを搬送する。しかしながら、給送ローラ3は駆動しない。したがって、重ね状態は解除される。さらに、後続記録媒体Pのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続記録媒体Pのみの状態で頭出しをする。
【0133】
重なり量が閾値以上と判定された場合(ステップS107:NO)、後続記録媒体Pを頭出ししたときに後続記録媒体Pが不図示の拍車まで到達するかの判定を行う(ステップS109)。不図示の拍車は記録ヘッド7によって記録が行われた記録シートの記録面と接触して回転する拍車であり、搬送方向において拍車12より上流に位置する。不図示の拍車は記録シート1の浮き上がりを防止するためのものであり押え拍車とも呼ぶ。後続記録媒体Pが不図示の拍車まで到達しないと判定された場合(ステップS109:NO)、重ね状態を解除して後続記録媒体のみの斜行矯正動作に決定する(ステップS110)。 すなわち、先行記録媒体Pの画像形成動作が終了した後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pとともに搬送しない。具体的には、搬送モータ205によって第1搬送ローラ5を駆動して先行記録媒体Pを搬送する。しかしながら、給送ローラ3は駆動しない。したがって、重ね状態は解除される。さらに、後続記録媒体Pのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続記録媒体Pのみの状態で頭出しを行う。
【0134】
後続記録媒体Pが不図示の拍車まで到達すると判定された場合(ステップS109:YES)、先行記録媒体の最終行と当該最終行の前行との間に隙間があるかの判定を行う(ステップS111)。隙間がないと判定された場合(ステップS111:NO)、重ね状態を解除して後続記録媒体のみの斜行矯正動作に決定する(ステップS112)。隙間があると判定された場合(ステップS111:YES)、
図21に示すステップS70の重ね量調節動作を実行する。
【0135】
<重ね量調節動作>
図21は、重ね量調節動作の制御フローチャートである。
【0136】
ステップS70の重ね量調節動作のステップS701で、MPU201は先行する記録媒体Pへ記録する記録データから初期重ね量W0を算出し、ステップS702で重ね量Wに初期重ね量W0を設定する(初期重ね量算出手段301)。また、ステップS703で、後続する記録媒体Pへ記録する記録データから、後続する記録媒体Pの搬送方向下流側端部がスキャン判定距離(L-W-Dp)を進む間のスキャン数SをMPU201が算出する。
【0137】
ステップS704では、引き離し可能時間TmaxをMPU201が算出する。引き離し可能時間Tmaxは重ね量W、スキャン数S、1スキャンの所要時間Ts、引き離し領域の距離L、引き離し動作後の用紙間隔Dp、後続する記録媒体Pの搬送速度V1から、以下の式で算出される。
【0138】
Tmax=(L-W-Dp)/V1+STs
この式において、右辺の第1項(L-W-Dp)/V1は、後続する記録媒体Pの搬送時間であり、右辺の第2項STsは、後続する記録媒体Pの搬送停止時間である。引き離し可能時間Tmaxは、これらの搬送時間と搬送停止時間の合計である。
【0139】
後続する記録媒体Pの搬送速度V1は、本実施形態においては第2搬送ローラ10の搬送速度である。なお、1スキャンの所要時間Tsは、
図25のタイミングチャートに示すようにキャリッジ1のスキャン動作に必要な時間である。所要時間Tsには、動作前後の待機時間や加減速時間を含んでもよい。搬送時間算出手段302は引き離し領域の距離L、重ね量W、引き離し動作後の用紙間隔Dp、搬送速度V1から、後続する2枚目の記録媒体Pを搬送している時間を算出する。また、搬送停止時間算出手段303はスキャン数Sと1スキャンの所要時間Tsから、第1搬送ローラ5が後続する2枚目の記録媒体Pの搬送を停止している時間を算出する。
【0140】
ステップS705では、引き離し動作時の先行する記録媒体Pの速度V2をMPU201が算出する(搬送速度算出手段304)。引き離し可能時間Tmaxと引き離し領域の距離Lから、次式で算出する。
【0141】
V2=L/Tmax
ステップS706では、先行する記録媒体Pの速度V2が閾値以下かMPU201が判断する。本実施形態では、第3搬送ローラ20の搬送速度である。速度V2が閾値以下と判断された場合(ステップS706:YES)、ステップS707に進む(重ね量判断手段307)。ステップS707では重ね量WをMPU201がRAM203に設定し、ステップS708に進む。
【0142】
ステップS708では、重ね状態を維持したまま後続記録媒体Pの斜行矯正動作を行い、その後頭出しをする動作にMPU201が決定する。すなわち、先行記録媒体Pの画像形成動作が終了した後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pと重なった状態のまま搬送ニップ部に突き当てる。具体的には、搬送モータ205と同時に第2給送モータ207を駆動することによって第1搬送ローラ5及び給送ローラ3を回転させる。斜行矯正動作の後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pと重なった状態のまま頭出しをする。
【0143】
ステップS706で速度V2が閾値より大きいと判断された場合(ステップS706:NO)、ステップS709に進む。
【0144】
ステップS709では、設定されている重ね量Wを所定量減算して再度重ね量WをMPU201がRAM203に設定し、ステップS710に進む。例えば、1mm毎に小さくしてもよいし、2mm毎に小さくしてもよい。ステップS710では先行記録媒体Pの後端部と後続記録媒体Pの先端部の重ね量Wが閾値以下かMPU201が判定する。重ね量Wが閾値以下と判定された場合(ステップS710:YES)、重ね状態を解除して後続記録媒体のみの斜行矯正動作にMPU201が決定する(ステップS711)。すなわち、先行記録媒体Pの画像形成動作が終了した後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pとともに搬送しない。具体的には、搬送モータ205によって第1搬送ローラ5を駆動して先行記録媒体Pを搬送する。しかしながら、給送ローラ3は駆動しない。したがって、重ね状態は解除される。さらに、後続記録媒体Pのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続記録媒体Pのみの状態で頭出しをする。
【0145】
ステップS710で重ね量Wが閾値より大きいと判断された場合(ステップS710:NO)、ステップS703に戻り、MPU201は減算された重ね量Wで後続する記録媒体Pへ記録する記録データからスキャン判定距離におけるスキャン数Sを算出する。
【0146】
図26を用いて、1枚目の記録媒体Pと2枚目の記録媒体Pの重ね量を調節する動作について説明する。
【0147】
図26のST1は、
図14のS409において1枚目の記録媒体1Pの最終行の画像形成動作が終了した状態である。このとき1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部は第1搬送ローラ5よりW0だけ上流側に位置する。つまり、この状態で2枚目の記録媒体2Pの斜行矯正動作を行うと、1枚目の記録媒体1Pと2枚目の記録媒体2Pは初期重ね量W0だけ重なることになる。なお、
図26においてKyは記録媒体P上の記録予定領域、Kdは記録済み領域である。また、Dnはノズル領域の距離であり、記録ヘッド7が備える吐出ノズル71の最上流から最下流までの領域の距離、すなわち印字時の最大記録幅となる。したがって、キャリッジ1のスキャン動作ごとの記録幅をDsとすれば、Ds≦Dnである。また、記録幅は一定ではなくスキャン動作ごとに異なってもよい。
【0148】
図26のST2に示すように、1枚目の記録媒体1Pの最終行の画像形成動作が終了すると、MPUが第1搬送ローラ5を所定量回転し1枚目の記録媒体1Pのみを搬送する(
図14のステップS410)。このとき、MPU201は、1枚目の記録媒体1Pの搬送方向上流側端部がW0だけ上流側の位置から
図21のステップS707で設定された重ね量Wの位置になるまで、第1搬送ローラ5を回転させて搬送を行う(
図14のステップS411)。重ね量Wになる位置まで搬送したら、MPU201は第1搬送ローラ5を停止させる(
図14のステップS12)。
【0149】
図26のST3は、
図13のステップS308において2枚目の記録媒体2Pの斜行矯正を行っている状態である。
図6のST6を参照して説明したように、1枚目の記録媒体1Pの最終行の画像形成動作で第1搬送ローラ5が停止しているときに、2枚目の記録媒体2Pの先端を搬送ニップ部に突き当てて2枚目の記録媒体2Pの斜行嬌正動作を行う。このとき、1枚目の記録媒体1Pと2枚目の記録媒体2Pは重ね量Wだけ重なっている。
【0150】
図26のST4は、
図13のステップS309において、2枚目の記録媒体2Pの頭出しを行っている状態である。MPU201が第1搬送ローラ5を所定量回転させることによって1枚目の記録媒体1Pの上に2枚目の記録媒体2Pが重ね量Wだけ重なった状態を維持して2枚目の記録媒体Pの頭出しを行う。本実施形態では記録ヘッド7が備える吐出ノズルの最下流に2枚目の記録媒体Pの印字予定領域Kyの最下流が一致するように頭出しを行う。
【0151】
このように、先行する1枚目の記録媒体1Pと後続する2枚目の記録媒体2Pの重ね量を調節する動作を行う。
【0152】
なお、後続記録媒体のみ斜行矯正(
図20のステップS103、S106)及び重ね状態を解除して斜行矯正(
図20のS108、S110、S112、
図21のS711)は、
図13~15におけるS404~407、S308の一連の処理に対応する。また、重ね状態を維持して斜行矯正(
図21のステップS708)は、
図13~15におけるS403、S408~412、S308の一連の処理に対応する。
【0153】
<頭出し後の先端位置を算出する構成>
図22は、本実施形態における後続記録媒体の頭出し後の先端位置を算出する動作を説明するフローチャートである。
【0154】
ステップS201で開始する。ステップS202で、記録媒体サイズの記録可能領域を読み込む。最先端で記録可能な位置、すなわち上端マージンが特定されるため、記録可能領域の上端マージンを先端位置に設定する(ステップS203)。ここで、先端位置は、搬送ニップ部からの距離で定義される。
【0155】
次に、最初の記録データを読み込む(ステップS204)。これにより、最初の記録データが記録媒体先端からどの位置になるかが特定される(非記録領域の検出)ため、記録媒体先端から最初の記録データまでの距離が先に設定した先端位置より大きいか否かの判定を行う(ステップS205)。記録媒体先端から最初の記録データまでの距離が先に設定した先端位置より大きい場合(ステップS205:YES)、先端位置を記録媒体先端から最初の記録データまでの距離に更新する(ステップS206)。記録媒体先端から最初の記録データまでの距離が先に設定した先端位置以下の場合(ステップS205:NO)は、ステップS207へ進む。
【0156】
次に最初のキャリッジ移動命令を作成する(ステップS207)。最初のキャリッジ移動のための記録媒体搬送量が先に設定した先端位置より大きいか否かの判定を行う(ステップS208)。最初のキャリッジ移動のための記録媒体搬送量が先に設定した先端位置より大きい場合(ステップS208:YES)、先端位置を最初のキャリッジ移動のための記録媒体搬送量に更新する(ステップS209)。最初のキャリッジ移動のための記録媒体搬送量が先に設定した先端位置以下の場合(ステップS208:NO)は、先端位置を更新しない。以上のように、後続記録媒体Pの先端位置が確定し(ステップS210)、終了する(ステップS211)。確定した先端位置に基づいて、後続記録媒体Pを頭出ししたときに後続記録媒体Pが不図示の拍車まで到達するかの判定(
図20:ステップS109)を行うことができる。
【0157】
以上説明したように、上記の実施形態によれば、重ね合わせ状態を解消させるように先行する記録媒体を後続する記録媒体から引き離す動作を行う際の、先行する記録媒体の搬送速度を低減し、騒音や電力消費などの増加を抑制することができる。
【0158】
(第2実施形態)
第1実施形態では先行する記録媒体の搬送速度を算出し重ね量を調整するか判断を行う場合について説明したが、本実施形態では、先行する記録媒体の搬送距離を算出し重ね量を調節するか判断を行う場合の例について
図23を用いて説明する。ステップS801~S804については、第1実施形態における
図21のステップS701~S704と同様であるため説明を省略する。
【0159】
ステップS805では、引き離し動作時の先行する記録媒体Pの搬送距離L2をMPU201が算出する(搬送距離算出手段306)。引き離し可能時間Tmaxと先行記録媒体の搬送速度V2とから次式により算出する。
【0160】
L2=V2×Tmax
ステップS806では、先行する記録媒体Pの搬送距離L2が閾値以上かMPU201が判断する(重ね量判断手段307)。搬送距離L2が閾値以上と判断された場合(ステップS806:YES)、ステップS807に進む。ステップS807では重ね量WをMPU201がRAM203に設定し、ステップS808に進む。
【0161】
ステップS808では、重ね状態を維持したまま後続記録媒体Pの斜行矯正動作を行い、その後頭出しをする動作にMPU201が決定する。すなわち、先行記録媒体Pの画像形成動作が終了した後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pと重なった状態のまま搬送ニップ部に突き当てる。具体的には、搬送モータ205と同時に第2給送モータ207を駆動することによって第1搬送ローラ5及び給送ローラ3を回転させる。斜行矯正動作の後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pと重なった状態のまま頭出しをする。
【0162】
ステップS806で搬送距離L2が閾値より小さいと判断された場合(ステップS806:NO)ステップS809に進む。
【0163】
ステップS809では設定されている重ね量Wを所定量減算して再度重ね量WをMPU201がRAM203に設定し、ステップS810に進む。例えば、1mm毎に小さくしてもよいし、2mm毎に小さくしてもよい。ステップS810では先行記録媒体Pの後端部と後続記録媒体Pの先端部の重ね量Wが閾値以下かMPU201が判定する。重ね量Wが閾値以下と判定された場合(ステップS810:YES)、重ね状態を解除して後続記録媒体のみの斜行矯正動作にMPU201が決定する(ステップS811)。すなわち、先行記録媒体Pの画像形成動作が終了した後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pとともに搬送しない。具体的には、搬送モータ205によって第1搬送ローラ5を駆動して先行記録媒体Pを搬送する。しかしながら、給送ローラ3は駆動しない。したがって、重ね状態は解除される。さらに、後続記録媒体Pのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続記録媒体Pのみの状態で頭出しをする。
【0164】
ステップS810の重ね量Wが閾値より大きいと判断された場合(ステップS810:NO)、ステップS803に戻り、MPU201は減算された重ね量Wで後続する記録媒体Pへ記録する記録データからスキャン判定距離におけるスキャン数Sを算出する。
【0165】
以上により、重ね合わせ状態を解消させるように先行する記録媒体を後続する記録媒体から引き離す動作を行う際に、先行する記録媒体の搬送速度を抑えつつ、騒音や電力消費などの増加を抑制することができる。
【0166】
(第3実施形態)
第1実施形態では先行する記録媒体の搬送速度を算出し重ね量を調整するか判断を行う場合について説明したが、本実施形態では、先行する記録媒体の搬送時間を算出し重ね量を調節するか判断する場合の例について
図24を用いて説明する。ステップS901~S904については第1実施形態における
図21のステップS701~S704と同様であるため説明を省略する。
【0167】
ステップS905では、引き離し動作時の先行する記録媒体Pの搬送時間T2をMPU201が算出する(搬送時間算出手段306)。先行記録媒体の搬送距離L2と先行記録媒体の搬送速度V2とから次式により算出する。
【0168】
T2=L2/V2
ステップS906では、先行する記録媒体Pの搬送時間T2が引き離し可能時間Tmax以下かMPU201が判断する(重ね量判断手段307)。搬送時間T2が引き離し可能時間Tmax以下と判断された場合(ステップS906:YES)、ステップS907に進む。ステップS907では重ね量WをMPU201がRAM203に設定し、ステップS908に進む。
【0169】
ステップS908では、重ね状態を維持したまま後続記録媒体Pの斜行矯正動作を行い、その後頭出しをする動作にMPU201が決定する。すなわち、先行記録媒体Pの画像形成動作が終了した後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pと重なった状態のまま搬送ニップ部に突き当てる。具体的には、搬送モータ205と同時に第2給送モータ207を駆動することによって第1搬送ローラ5及び給送ローラ3を回転させる。斜行矯正動作の後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pと重なった状態のまま頭出しをする。
【0170】
ステップS906で搬送時間T2が引き離し可能時間Tmaxより大きいと判断された場合(ステップS906:NO)ステップS909に進む。
【0171】
ステップS909では設定されている重ね量Wを所定量減算して再度重ね量WをMPU201がRAM203に設定し、ステップS910に進む。例えば、1mm毎に小さくしてもよいし、2mm毎に小さくしてもよい。ステップS910では先行記録媒体Pの後端部と後続記録媒体Pの先端部の重ね量Wが閾値以下かMPU201が判定する。重ね量Wが閾値以下と判定された場合(ステップS910:YES)、重ね状態を解除して後続記録媒体のみの斜行矯正動作にMPU201が決定する(ステップS911)。すなわち、先行記録媒体Pの画像形成動作が終了した後に、後続記録媒体Pを先行記録媒体Pとともに搬送しない。具体的には、搬送モータ205によって第1搬送ローラ5を駆動して先行記録媒体Pを搬送する。しかしながら、給送ローラ3は駆動しない。したがって、重ね状態は解除される。さらに、後続記録媒体Pのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続記録媒体Pのみの状態で頭出しをする。
【0172】
ステップS910で重ね量Wが閾値より大きいと判断された場合(ステップS910:NO)、ステップS903に戻り、MPU201は減算された重ね量Wで後続する記録媒体Pへ記録する記録データからスキャン判定距離におけるスキャン数Sを算出する。
【0173】
以上により、重ね合わせ状態を解消させるように先行する記録媒体を後続する記録媒体から引き離す動作を行う際の、先行する記録媒体の搬送速度を抑えつつ、騒音や電力消費などの増加を抑制することができる。
【0174】
(他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
【0175】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0176】
1:キャリッジ、2:ピックアップローラ、3:給送ローラ、4:給送従動ローラ、5:第1搬送ローラ、6:ピンチローラ、7:記録ヘッド、8:プラテン、9:反転ローラ、10:第2搬送ローラ、11:用紙積載部、12:拍車、13:反転従動ローラ、14:中間従動ローラ、15:中間ローラ、16:記録媒体検知センサ、17:記録媒体押えレバー、20:第3搬送ローラ、21:第3搬送従動ローラ、22:排紙ローラ、23:排紙従動ローラ、24:フラッパ、25:排紙部、100:第1搬送路、101:第2搬送路、102:第3搬送路、104:第4搬送路、205:搬送モータ、206:第1給送モータ、207:第2給送モータ、215:排紙モータ、216:両面搬送モータ、P:記録媒体