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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240626BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240626BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20240626BHJP
   G06F 1/3287 20190101ALI20240626BHJP
【FI】
B41J29/38 104
H04N1/00 885
B41J29/38 102
B41J29/13 103
G06F1/3287
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022147210
(22)【出願日】2022-09-15
(65)【公開番号】P2024042464
(43)【公開日】2024-03-28
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植木 秀行
(72)【発明者】
【氏名】江積 陽亮
(72)【発明者】
【氏名】大串 卓広
(72)【発明者】
【氏名】西川 幸典
(72)【発明者】
【氏名】相田 崇裕
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-067910(JP,A)
【文献】特開2019-043029(JP,A)
【文献】特開2012-103557(JP,A)
【文献】特開2005-242935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N1/00
B41J29/00-29/70
G06F1/32-1/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器であって、
前記電気機器の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を取得し、該検知結果に基づく制御を実行する制御手段と、
前記検知手段の検知結果を検知情報として保持する保持手段と、
前記制御手段の入力ポートに入力される入力情報を、前記検知手段の前記検知結果と、前記保持手段の前記検知情報とで切り替える切替手段と、を備え、
前記制御手段の電力状態は、第一の状態と、前記第一の状態よりも消費電力が大きい第二の状態と、を含み、
前記制御手段は、
前記検知結果を前記第二の状態では取得し、前記第一の状態では取得せず、かつ、前記電力状態が前記第一の状態から前記第二の状態に遷移した場合に、前記第一の状態において前記保持手段に保持された前記検知情報を取得する、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記電力状態が、前記第二の状態から前記第一の状態に遷移する場合に、前記保持手段の前記検知情報がクリアされる、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電気機器であって、
記電力状態が前記第二の状態から前記第一の状態に遷移する場合に、前記切替手段は前記入力情報を前記検知情報に切り替え、
前記電力状態が前記第一の状態から前記第二の状態に遷移した場合であって、前記保持手段に保持された前記検知情報を前記制御手段が取得した後に、前記切替手段は前記入力情報を前記検知結果に切り替える、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記検知結果は、前記状態を第一の検知結果と第二の検知結果とのいずれかで示し、
前記保持手段は、前記検知結果が前記第二の検知結果となった場合は、その後に前記第一の検知結果となった場合であっても、前記第二の検知結果を前記検知情報として保持する、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記検知手段を複数備え、
前記保持手段を複数備える、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項6】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記第一の状態とは、前記制御手段に電力が供給されない状態である、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電気機器であって、
前記制御手段に対して電力を供給する電力供給手段と、
前記電力供給手段から電力が供給され、前記電力供給手段による前記制御手段に対する電力の供給と遮断とを制御する電力制御手段と、を備える、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電気機器であって、
前記電力制御手段は、
ユーザによる電源オン指示に基づいて、前記電力供給手段によって前記制御手段に対して電力を供給させ、
ユーザによる電源オフ指示に基づいて、前記電力供給手段によって前記制御手段に対する電力の供給を遮断する、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項9】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記検知手段は、ユーザが操作可能な可動部の状態を検知する、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項10】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記電気機器は、記録媒体に液体を吐出して記録を行う記録装置である、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項11】
請求項10に記載の電気機器であって、
前記記録装置は、本体と該本体を覆う開閉可能なカバーとを備え、
前記検知手段は、前記カバーの開閉状態を検知する、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項12】
請求項10に記載の電気機器であって、
前記記録装置は、本体と、該本体に対して引き出し可能で、前記記録媒体が積載される積載部を備え、
前記検知手段は、前記積載部の引き出しを検知する、
ことを特徴とする電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器の省電力化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器の消費電力を削減するため、その電力状態として通常状態と通常状態よりも消費電力が低い省電力状態とに遷移可能な技術が知られている。省電力状態では、電気機器の少なくとも一部の構成に電力を供給しないか、或いは、少なくとも一部の機能を制限することで、消費電力が削減される。特許文献1には、電気機器の状態を検知するセンサの検知結果を受信する受信部を備えた第一制御部が開示されており、この第一制御部が省電力状態においては第二制御部から検知結果を取得する技術が開示されている。この技術によれば、省電力状態では受信部の機能を制限することで第一制御部の消費電力を削減する一方、省電力状態においてもセンサの検知結果を第一制御部が認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-10638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、省電力状態においても第一制御部が第二制御部と通信を行ってセンサの検知結果を取得しており、第一制御部の消費電力削減の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、消費電力を削減しつつ、電気機器の状態を認識可能な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
電気機器であって、
前記電気機器の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を取得し、該検知結果に基づく制御を実行する制御手段と、
前記検知手段の検知結果を検知情報として保持する保持手段と、
前記制御手段の入力ポートに入力される入力情報を、前記検知手段の前記検知結果と、前記保持手段の前記検知情報とで切り替える切替手段と、を備え、
前記制御手段の電力状態は、第一の状態と、前記第一の状態よりも消費電力が大きい第二の状態と、を含み、
前記制御手段は、
前記検知結果を前記第二の状態では取得し、前記第一の状態では取得せず、かつ、前記電力状態が前記第一の状態から前記第二の状態に遷移した場合に、前記第一の状態において前記保持手段に保持された前記検知情報を取得する、
ことを特徴とする電気機器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消費電力を削減しつつ、電気機器の状態を認識可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る電気機器の外観図。
図2図1の電気機器の内部機構を示す説明図。
図3図1の電気機器の制御ユニットのブロック図。
図4】電源投入時の動作の説明図。
図5】電源キーが操作された場合の動作の説明図。
図6】電源キーが操作された場合の動作の説明図。
図7】処理回路のブロック図。
図8】(A)及び(B)は処理回路に関連する制御例を示すフローチャート。
図9】検知結果、検知情報及び入力情報等の変化の例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<電気機器の概要>
図1は本発明の一実施形態に係る電気機器1を前側から見た外観図である。本実施形態の電気機器1は、液体としてインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置であるが、本発明はインクジェット記録装置以外の各種の電気機器にも適用可能である。図中、矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下方向(重力方向)を示している。X方向は電気機器1の幅方向(左右方向)である。Y方向は電気機器1の奥行方向である。
【0011】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
【0012】
電気機器1は、全体として扁平な直方体形状を有しており、装置本体2と、カバー3と、カセット式の積載部4と、を備える。カバー3は装置本体2の上部を覆うように設けられており、電気機器1の天部を構成している。カバー3はユーザが操作可能な可動部であり、矢印D1方向に開閉可能である。図1は閉状態のカバー3を示している。カバー3を開状態とすると、装置本体2の内部機構を外部に露出させてメンテナンス等を行うことができる。積載部4は、記録媒体が積載されるトレイであり、ユーザが操作可能な可動部であって、装置本体2に対して矢印D2方向で手前に引き出し及び装着(奥へ押し込み)が可能である。電気機器1の前部には記録済みの記録媒体が排出される排出部6が形成されている。また、電気機器1の前部には、ユーザの操作を受け付ける操作ユニット8が設けられている。操作ユニット8は、タッチパネル形式の表示部や電源キー8aを有している。電源キー8aは、本実施形態の場合、押しボタン型のスイッチである。ユーザは、電源キー8aに対する操作によって、電気機器1に対する電源オン指示及び電源オフ指示を行うことができる。
【0013】
装置本体2の外壁を形成する筐体には、複数の窓部2a~2dが形成されている。ユーザは窓部2a~2dを介して、装置本体2の内部の構成を視認することができる。本実施形態の場合、ユーザは窓部2a~2dを介して、容器5Bk、5C、5M、5Y(以下、総称する場合又は区別しない場合は容器5と表記する)に収容されている液体の残量を視認することができる。容器5は液体としてインクを収容するインクタンクであり、4つの容器5には異なる種類のインクが収容されている。本実施形態の場合、容器5Bkに黒インクが、容器5Cにシアンインクが、容器5Mにマゼンタインクが、容器5Yにイエローインクがそれぞれ収容されている。なお、インクの種類は、本実施形態のように4種類に限られず、1種類であってもよいし、4種類以外の複数種類であってもよく、容器5は液体インクの種類に対応した数以上あればよい。
【0014】
図2は電気機器1の内部機構を示す説明図である。電気機器1は、液体を吐出する吐出ヘッド12a、12b(以下、総称する場合又は区別しない場合は容器5と表記する)を備える。本実施形態の吐出ヘッド12aは容器5Bkから供給されるインクを記録媒体に吐出して記録を行う記録ヘッドであり、吐出ヘッド12bは容器5C~5Yから供給されるインクを記録媒体に吐出して記録を行う記録ヘッドである。吐出ヘッド12は、インクを吐出する複数のノズルが形成された吐出面を有している。各ノズルには、例えば、電気熱変換素子(ヒータ)が設けられており、電気熱変換素子は通電によって加熱してインクを発泡させ、その発泡エネルギーでインクを吐出させる。
【0015】
吐出ヘッド12はキャリッジ11に搭載されている。キャリッジ11は、駆動ユニット13によってX方向(主走査方向)に往復する。駆動ユニット13はX方向に離間して配置された駆動プーリ及び従動プーリ(図2で従動プーリ13bのみが図示されている)と、これらのプーリに巻き回された無端ベルト13cと、駆動プーリを回転させる駆動源であるキャリッジモータ13aとを備える。キャリッジ11は無端ベルト13cに連結されており、無端ベルト13cを走行させることで、キャリッジ11がX方向に移動する。キャリッジ11の移動の過程で吐出ヘッド12からインクを、記録媒体に吐出することで画像が記録される。この動作を記録走査と呼ぶ場合がある。
【0016】
このように本実施形態の電気機器1は、往復移動するキャリッジ11に吐出ヘッド12が搭載されたシリアル型のインクジェット記録装置である。しかし、本発明は記録媒体の幅に相当する領域に液体を吐出する複数のノズルが設けられた、いわゆるフルラインヘッドの吐出ヘッド(記録ヘッド)を備えたインクジェット記録装置等、他の記録装置にも適用可能である。
【0017】
電気機器1は、記録媒体を搬送する給送ユニット9及び搬送ユニット10を備える。給送ユニット9は、積載部4又はシート状の記録媒体が積載されるトレイ7から記録媒体を給送する給送機構(不図示)を含む。給送機構は例えば記録媒体を給送する給送ローラと、給送ローラを回転させる駆動源である給送モータとを備える。搬送ユニット10は給送ユニット9から給送される記録媒体をY方向(副走査方向)に搬送する機構である。搬送ユニット10は搬送ローラ10aと、搬送ローラ10aを回転させる駆動源である搬送モータとを備える。搬送ローラ10aには不図示のピンチローラが圧接し、これらのニップ部で記録媒体が挟持される。搬送ローラ10aの回転によって記録媒体を吐出ヘッド12へ間欠的に搬送する。記録動作は、搬送ユニット10による記録媒体の搬送動作と、記録走査とを交互に繰り返すことで行われる。
【0018】
<制御ユニット>
図3は電気機器1が備える制御ユニットのブロック図である。制御ユニットは電気機器1を制御する電気回路である。制御ユニットは、電力供給ユニット20、システム制御ユニット30及び電力制御ユニット40を含む。
【0019】
システム制御ユニット30は、電気機器1全体の制御を司る制御回路(例えば、ASIC)である。CPU31は、電気機器1の各動作の制御やデータの処理などを制御するプロセッサである。CPU31は記憶部32に記憶されたプログラムを実行して電気機器1全体の制御を行う。記憶部32は半導体メモリ(例えばROMやRAM)で構成される。記憶部32には、CPU31が実行するプログラムの他、ホストコンピュータ100から受信したデータ等、処理に必要な各種のデータを格納する。エンジンコントローラ34は、エンジン50を制御するドライバ等を含む。エンジン50には、記録動作に関わる構成(吐出ヘッド12、給送ユニット9及び搬送ユニット10、各種のセンサ等)が含まれる。
【0020】
ホストコンピュータ100は、例えば、ユーザが使用するパソコンや携帯端末(例えばスマートフォンやタブレット端末等)である。ホストコンピュータ100には、ホストコンピュータ100と電気機器1との間の通信を行うプリンタドライバがインストールされている。電気機器1は通信インタフェース(通信I/F)33を備えており、ホストコンピュータ100とCPU31との通信は通信I/F33を介して実行される。
【0021】
入力インタフェース(入力I/F)36は、電力制御ユニット41からの信号が入力される入力ポートを有し、特に、電源キー8aに対するユーザの操作の検知結果を示す信号が入力される。通信インタフェース(通信I/F)35は電力制御ユニット41の通信インタフェース(通信I/F)42とデータ通信を行う。
【0022】
入力インタフェース(入力I/F)37は、カバーセンサ15の検知結果が入力される入力ポート、及び、カセットセンサ16の検知結果が入力される入力ポートを有する。これらの検知結果は、センサ毎に設けられた処理回路45を介して入力I/F37に入力され、各処理回路45は電力制御ユニット40に設けられている。カバーセンサ15及びカセットセンサ16は、電気機器1の状態を検知するセンサの一例であり、カバーセンサ15は、カバー3の開閉状態を検知するセンサである。また、カセットセンサ16は、積載部4の位置状態(引き出し又は装着)を検知するセンサである。
【0023】
電源ユニット(PSU)14は、プラグ14aがコンセントに差し込まれることにより商用交流電圧を32Vや24Vといった電気機器1で使用される直流電圧に変換して電力供給ユニット20に出力する。プラグ14aがコンセントに差し込まれてPSU14が電力供給を開始していることをハードオン状態ともいう。
【0024】
電力供給ユニット20は、システム制御ユニット30に電力を供給する回路であり、DC/DCコンバータ21、レギュレータ22及びリセット制御回路23を含む。DC/DCコンバータ21は、PSU14から出力される直流電圧を所定の直流電圧V1に変換してシステム制御ユニット30に供給する。レギュレータ22はPSU14から出力される直流電圧を所定の直流電圧V2に変換して電力制御ユニット40やリセット制御回路23に供給する。
【0025】
リセット制御回路23は、DC/DCコンバータ21による電圧V1の出力と停止とを切り替える回路である。リセット制御回路23は、省電力制御回路41から出力停止指示(リセット指示と呼ぶ)を受信するとDC/DCコンバータ21の電圧V1の出力を停止する(リセット状態と呼ぶ)。また、リセット制御回路23は、省電力制御回路41がリセット状態の解除指示を受信すると、DC/DCコンバータ21に電圧V1を出力させる。
【0026】
電力制御ユニット40は、レギュレータ22から電力が供給されて動作し、電力供給ユニット20によるシステム制御ユニット30に対する電力の供給と遮断とを制御する。省電力制御回路41は、リセット制御回路23に対するリセット指示の送信とその解除とを制御する。すなわち、システム制御ユニット30の電力状態は、電力制御ユニット40の省電力制御回路41によって制御され、リセット指示が出力されると省電力状態となり、リセット状態が解除されると電力供給状態となる。
【0027】
本実施形態では、省電力状態はシステム制御ユニット30への電力供給が遮断される待機状態であり、システム制御ユニット30の消費電力は0となる。本実施形態では、省電力状態のことをソフトオフ状態、記録動作が可能な電力供給状態のことをソフトオン状態ともいう。なお、レギュレータ22は、リセット状態及びその解除に関わらず、PSU14から電力が供給されている限り、常に電圧V2を出力する。
【0028】
省電力制御回路41には、電源キー8aに対する操作検知結果が入力される。省電力制御回路41は電源キー8aに対する操作検知結果をシステム制御ユニット30の入力I/F36に入力する。したがってソフトオン状態ではシステム制御ユニット30も電源キー8aの操作状態を認識することができる。
【0029】
省電力制御回路41は、ハードオン時(レギュレータ22による電圧V2の供給開始時)、電源キー8aの操作検出結果、及び、通信I/F42を介したシステム制御ユニット30からの信号に基づいてリセット指示の出力とリセット状態の解除とを制御する。
【0030】
電力制御ユニット40は、また、カウンタ43、記憶部44及び処理回路45を備えている。カウンタ43は時間のカウントを行うことができる。カウンタ43は例えば例えば50ミリ秒に1回カウントすることができるような遅いクロックを有し、そのクロック信号をカウントすることにより、例えばソフトオフ状態において省電力で時間を計時することができる。記憶部44は電気機器1の動作に応じて特定の値を保持することができる。記憶部44は、例えば、フリップフロップなど、必要最小限の記憶領域を有する回路で構成される。これにより例えばソフトオフ状態において省電力で値を保持することができる。カウンタ43のカウント値や記憶部44に保持された値は、通信I/F42を介してシステム制御ユニット30が取得可能である。
【0031】
処理回路45は、対応するセンサ(カバーセンサ15又はカセットセンサ16)の検知結果をシステム制御ユニット30に出力し、また、検知結果を保持する機能を有する回路である。例えば、ソフトオフ状態においては処理回路45において検知結果を保持しておき、ソフトオン状態においてシステム制御ユニット30が保持された検知情報を取得する。これによりソフトオフ状態での電気機器1の状態を、ソフトオン状態においてシステム制御ユニット30が認識することができる。本実施形態では処理回路45とセンサとは複数備えられている。
【0032】
本実施形態では、ソフトオフ状態においてシステム制御ユニット30への電力供給を断つことで、電力消費を削減する。その一方で、比較的小規模の回路で構成された電力制御ユニット40によって、システム制御ユニット30の電力状態を制御することができる。これにより、電気機器1では必要な機能を実現しつつも大幅に電力消費を削減することができる。
【0033】
なお、本実施形態ではソフトオフ状態においても通信I/F42に電力が供給されるが、通信相手であるシステム制御ユニット30には電源供給がされておらず、通信は行われない。したがって、ソフトオフ状態では通信I/F42に電力を供給しない構成も採用可能である。
【0034】
<電力状態の遷移例>
システム制御ユニット30の電力状態の遷移と動作の例について図4図6を参照して説明する。図4はハードオン時の、PSU14、電力供給ユニット20、電力制御ユニット40及びシステム制御ユニット30の動作の例(起動シーケンス)を示している。商用電力が停電してから復帰した場合も図4と同様の動作となる。
【0035】
PSU14により、電気機器1で使用する電源電圧の生成を開始する(S1)。PSU14で生成した直流電圧が電力供給ユニット20に供給される(電源投入)。電力供給ユニット20が初期化され、レギュレータ22が直流電圧V2の出力を開始する(S2)。電力制御ユニット40に直流電圧V2が供給される(電源投入(V2))。電力制御ユニット40が動作を開始し(S3)、電力制御ユニット40の内部リセットが行われる。省電力制御回路41が電力供給ユニット20のリセット制御回路23のリセット状態を解除する。
【0036】
リセット状態の解除により、リセット制御回路23はDC/DCコンバータ21の動作を開始させる(S4)。DC/DCコンバータ21からシステム制御ユニット30に直流電圧V1が供給される(電源投入(V1))。システム制御ユニット30のCPU31は記憶部32に格納されているプログラムに従って起動処理を実行する(S5)。システム制御ユニット30は、起動が完了すると、電力制御ユニット40に対して起動通知を行う。電力制御ユニット40では、システム制御ユニット30の起動時に関する処理が実行される。
【0037】
その後、システム制御ユニット30は、例えば、電源キー8aに対する電源オン操作を検知すると、ソフトオン状態へ遷移する。システム制御ユニット30に直流電圧V1が供給されていからソフトオン状態に遷移するまでを待機状態と呼ぶ場合がある。他の処理例として、例えば、記憶部32に格納された、ユーザが事前に設定した情報を読み出して、ソフトオン状態とするか、ソフトオフ状態とするかを選択してもよい。
【0038】
次に、ソフトオン状態において、ユーザが電源キー8aに対して電源オフ操作を行った場合について図5を参照して説明する。
【0039】
ソフトオン状態で、電源キー8aに対する電源オフ操作を検出すると、ユーザが電気機器1の終了要求を行ったと判断し、システム制御ユニット30が停止処理を開始する(S11)。停止処理はシステム制御ユニット30が電力供給遮断に備える処理である。停止処理が完了するとシステム制御ユニット30は通信I/F35を介して電子制御ユニット40に停止通知を送信する。
【0040】
停止通知を受信した停止制御ユニット40は、省電力制御回路41が、状態遷移処理として電力供給ユニット20に対してリセット指示を行う(S12)。電力供給ユニット20のリセット制御回路23は、リセット指示に対応してDC/DCコンバータ21の動作を停止するリセット処理を行う(S13)。DC/DCコンバータ21からシステム制御ユニット30に対して直流電圧V1の供給が停止する(電源停止(V1))。システム制御ユニット30はソフトオフ状態に遷移する。
【0041】
なお、図示の例では、電源キー8aに対する電源オフ操作を条件として、システム制御ユニット30をソフトオフ状態に遷移させる例について説明した。しかし、他の条件の成立により、同様の動作を行ってもよい。例えば、ソフトオフ時刻を設定しておき、設定した時刻が到来した場合に図5の動作によって、システム制御ユニット30をソフトオフ状態に遷移するようにしてもよい。また、別の例として、例えば、一定時間、ユーザからの処理要求がなかったことを条件としてもよい。
【0042】
次に、ソフトオフ状態において、ユーザが電源キー8aに対して電源オン操作を行った場合について図6を参照して説明する。システム制御ユニット30は停止しているため、電源オン操作は電力制御ユニット40(省電力制御回路42)にて認識される(S21)。電力制御ユニット40は、状態遷移処理としてリセット制御回路23に対してリセット状態の解除を指示する(S22)。電力供給ユニット20のリセット制御回路23はリセット解除処理を行い、DC/DCコンバータ21に動作を開始させる。DC/DCコンバータ21からシステム制御ユニット30へ電力が供給される(電源投入(V1))。
【0043】
電力の供給によってシステム制御ユニット30のCPU31は記憶部32に格納されているプログラムに従って起動処理を実行する(S24)。システム制御ユニット30は、起動が完了すると、電力制御ユニット40に対して起動通知を行う。システム制御ユニット30はソフトオン状態に遷移する。電力制御ユニット40では、システム制御ユニット30の起動時に関する処理が実行される(S25)。
【0044】
<センサ信号の処理>
積載部4の出し入れがあった場合、記録媒体の種類が変更された可能性がある。例えば普通紙から光沢紙へ記録媒体の種類が変更される場合等である。記録媒体の種類が変更されると、インクの吐出、記録媒体の搬送といった記録条件を変更する必要がある場合がある。したがって、カセットセンサ16により積載部4に対する操作が検知された場合、システム制御ユニット30はユーザに対して変更後の記録媒体の種類を問い合わせて、ユーザが指定した記録媒体の種類を設定する処理を実行する。また、カバー3が開閉された場合は、ユーザによって装置本体2の内部に対してインクの補充などが行われた場合がある。こうした場合は、インクの残量に変更が生じるため、カバーセンサ15により積載部4に対する操作が検知された場合、システム制御ユニット30はインク残量を検知する処理を実行する。
【0045】
しかし、こうしたユーザの操作がソフトオフ状態中に行われた場合、システム制御ユニット30はこれをリアルタイムで認識できない。本実施形態では、処理回路45を備えたことで、ソフトオフ状態からソフトオン状態に遷移したとき、システム制御ユニット30が、ソフトオフ状態でのカバーセンサ15やカセットセンサ16の検知結果を取得できる。
【0046】
図7は処理回路45のブロック図である。図示の例はカセットセンサ16に対応する処理回路45を示しているが、カバーセンサ15に対応する処理回路45も同様の構成を備えている。
【0047】
カセットセンサ16は、レギュレータ22から出力される直流電圧V2が、プルアップ抵抗R1を介して印加されるスイッチ式のセンサである。積載部4が装置本体2に装着されて記録媒体を給送可能な状態では、カセットセンサ16からHighレベルの電圧(V2)が検知結果を示す信号(検知信号ともいう)として出力される。また、積載部4が装置本体2から引き出された状態では、カセットセンサ16からLowレベルの電圧(0V)が検知信号として出力される。ソフトオフ状態であってもレギュレータ22からは直流電圧V2が出力されているので、カセットセンサ16は作動する。
【0048】
処理回路45は、フィルタ450、ラッチ回路451、切替回路452及びオープンドレインバッファ453を備える。カセットセンサ16の検知信号はフィルタ450でノイズが除去され、ラッチ回路451及び切替回路452に入力される。
【0049】
ラッチ回路451は、カセットセンサ16の検知結果を保持する保持回路(データラッチ回路)であり、保持されている検知結果を検知情報とよぶ。ラッチ回路451の出力は、その初期値がHighレベルであり、検知信号としてLowレベルの入力があるとこれをラッチし、その出力をLowレベルに変化させる。その後、リセットされるまで、その出力はLowレベルに維持される。例えば、カセットセンサ16により積載部4の引き出しが検知されると、ラッチ回路451にLowレベルの信号が入力され、その出力はLowレベルになる。積載部4が装置本体2に装着されるとカセットセンサ16の検知信号はHighレベルに変化するが、リセットされるまでラッチ回路451の出力はLowレベルに維持される。なお、HighレベルとLowレベルの論理関係は逆であってもよく、検知対象の特徴に合わせて決定することができる。
【0050】
切替回路452は、システム制御ユニット30に入力する入力情報を、カセットセンサ16から出力される検知結果(換言するとリアルタイムでの検知結果)と、ラッチ回路451に保持されている検知情報とで切り替えるセレクタである。切替回路452は、2つの入力端子C2、C3と、1つの出力端子C1とを有する。切替回路452の接続状態は、出力端子C1と入力端子C2とが接続される状態と、出力端子C1と入力端子C3とが接続される状態とで切り替えられる。図7は出力端子C1と入力端子C3とが接続された状態を示している。
【0051】
入力端子C2には、ラッチ回路451を介さずに、カセットセンサ16の検知結果が入力される。入力端子C3には、ラッチ回路451に保持された検知情報が入力される。
【0052】
出力端子C1は、バッファ453を介して、入力I/F37の所定の入力ポートに接続されている。バッファ453と入力I/F37との間の配線にはプルアップ抵抗R2を介して直流電圧V1が印加されている。バッファ453から出力される信号がHighレベルであるとき、入力I/F37に入力される入力情報はHighレベルとなり、LowレベルであるときはLowレベルとなる。ソフトオン状態で直流電圧V1がシステム制御ユニット30に供給されている電力状態でのみ、入力情報がHighレベルとなる構成としている。
【0053】
ラッチ回路451のクリアと、切替回路452の接続状態の切り替えは、システム制御ユニット30の通信I/F35から出力される起動通知及び停止通知によって制御される。起動通知及び停止通知は、一例として、HighレベルとLowレベルで変化する状態信号の形態が採用される。通信I/F42は、状態信号がHighレベルに立ち上がったタイミングを起動通知と認識して、切替回路452の接続状態を、出力端子C1と入力端子C2とが接続された状態に切り替える。また、通信I/F42は、状態信号がLowレベルに立ち下がったタイミングを停止通知と認識して、切替回路452の接続状態を、出力端子C1と入力端子C3とが接続された状態に切り替え、かつ、ラッチ回路451をクリアする。
【0054】
図8(A)は図5のS14の停止時の処理の例を示しており、システム制御ユニット30から停止通知を受信した通信I/F42の処理例を示している。S141で通信I/F42はクリア信号を各処理回路45のラッチ回路45に出力し、ラッチ回路451に保持されている検知情報がクリアさる。検知情報は初期値であるHighレベルとなる。S142で通信I/F42は各処理回路45の切替回路452に切り替え信号を出力し、切替回路452の接続状態は出力端子C1と入力端子C3とが接続された状態となる。すなわち、入力I/F37への入力情報として検知情報が選択される。この処理によって、ソフトオフ状態の間は、カバーセンサ15、カセットセンサ16の各検知結果が、対応する処理回路45のラッチ回路45に保持され、切替回路452の出力端子C1は検知情報を出力する状態となる。
【0055】
図8(B)は図6のS24の起動処理と、S25の起動時の処理の例を示している。S24の起動処理について説明する。システム制御ユニット30のCPU31はS241で予め定めた初期処理を実行する。S242では、入力I/F37からカバーセンサ15及びカセットセンサ16の各検知情報を取得する。S243では起動時に行うべく定められた他の処理を実行し、起動が完了する。S244では通信I/F35を介して電力制御ユニット40に起動通知を送信する。S245では、S242で取得した検知情報により、ソフトオフ状態において電気機器1の状態変化(カバー3の開放、積載部4の引き出し)があったか否かを判定する。状態変化があったと判定した場合はS246で確認処理を行う。確認処理では、例えば、カバー3の開放があった場合はインク残量の検知を行い、また、積載部4の引き出しがあった場合はユーザに対して積載されている記録媒体の種類を問い合わせる。状態変化がないと判定した場合はS247へ進み、通常の処理を開始して記録動作が可能となる。
【0056】
S25の起動時の処理について説明する。電力制御ユニット40において、起動通知を受信した通信I/F42は、S251で各処理回路45の切替回路452に切り替え信号を出力し、切替回路452の接続状態は出力端子C1と入力端子C2とが接続された状態となる。すなわち、入力I/F37への入力情報として検知情報ではなく、カバーセンサ15やカセットセンサ16のリアルタイムの検知結果が選択される。この処理によって、ソフトオン状態の間は、カバーセンサ15、カセットセンサ16の各検知結果を、システム制御ユニット30がリアルタイムで取得可能となる。そして、状態の変化があった場合は例えばS246の確認処理と同様の処理が行われる。S252では、システム制御ユニット30が起動したときに行うべき他の処理が実行される。
【0057】
図9は、検知結果、検知情報及び入力情報の変化を示すタイミングチャートである。「電力状態」とは、システム制御ユニット30の電力状態を示し、ソフトオン状態とソフトオフ状態との間の遷移を示している。「選択状態」は切替回路452の接続状態を示し、特に出力端子C1から出力されているのが検知情報か検知結果かを示している。「状態信号」は、システム制御ユニット30から電力制御ユニット40へ出力される状態信号であり、起動通知(立ち上がり)又は停止通知(立ち下がり)を意味する。「検知結果」は、センサ(カバーセンサ15又はカセットセンサ16)の検知結果を、「検知情報」はラッチ回路451で保持されている検知結果を示している。「入力情報」は入力I/Fに入力される情報を意味する。
【0058】
時刻T1は、ソフトオフ状態である。選択状態は検知情報である。検知情報は検知結果に合わせてHighレベルである。時刻T2は、ソフトオフ状態で、検知結果がLowレベルに変化している。検知情報はLowレベルに変化し、その後、検知結果がHighレベルに戻っているが、検知情報はLowレベルを保持する。時刻T3でシステム制御ユニット30に電力が供給され、その電力状態はソフトオン状態となる。その際、システム制御ユニット30は、入力情報として検知情報を取得し、その後、選択状態は検知結果に切り替わる。入力情報は検知結果となり、検知結果の変化に応じて入力情報も変化する。
【0059】
時刻T4でシステム制御ユニット30の電力状態がソフトオフ状態に切り替わる。その際、選択状態は検知状態となり、検知情報はHighレベルにリセットされる。しかし、検知結果がLowレベルなので検知情報も直ぐにLowレベルとなる。時刻T5で検知結果が変化してHighレベルになるが、検知情報はLowレベルのままである。時刻T6でシステム制御ユニット30に電力が供給され、その電力状態はソフトオン状態となる。その際、システム制御ユニット30は、入力情報として検知情報を取得し、その後、選択状態は検知結果に切り替わる。入力情報は検知結果となり、検知結果の変化に応じて入力情報も変化する。以降、同様である。
【0060】
以上のように、本実施形態によればシステム制御ユニット30は、ソフトオフ状態でのセンサの検知結果をソフトオン状態に遷移したときに取得するようにした。ソフトオフ状態においてシステム制御ユニット30がセンサの検知結果を監視するために必要な電力を消費することがなく、消費電力の低下を図れ、しかも、センサの検知結果を反映することができる。
【0061】
<他の実施形態>
上記実施形態では、ソフトオフ状態で検知結果を保持する対象として、カバーセンサ15及びカセットセンサ16を例示したが、センサの種類(監視の対象)はこれに限られない。また、センサの数も2つに限られず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0062】
上記実施形態では、電気機器としてインクジェット記録装置を例示したが他の電気機器にも本発明は適用可能である。例えば、空気清浄機に適用した場合には、フィルタを保持すためのカバーにセンサを設けておき、ソフトオフ状態においてその検知結果を保持するようにしてもよい。ソフトオフ状態においてカバーが開放されたことが検知されていた場合、ソフトオン状態に遷移したときに、フィルタの交換を行ったかどうかを確認するメッセージをユーザに通知してもよい。
【0063】
上記実施形態では、電力供給ユニット20と電力制御ユニット40を別々のICで構成したが、これらを一つのICで構成してもよい。
【0064】
上記実施形態では、ソフトオフ状態においてシステム制御ユニット30に対する電力供給を遮断したが、ソフトオン状態よりも低い消費電力となる範囲で電力供給を行ってもよい。また、上記実施形態ではソフトオン状態を1種類としたが、ソフトオン状態を更に通常の電力供給状態と省電力状態との2種類で構成してもよい。
【0065】
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0066】
<実施形態の開示>
上記実施形態は、以下の各項目の発明を開示している。
【0067】
項目1.
電気機器であって、
前記電気機器の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を取得し、該検知結果に基づく制御を実行する制御手段と、
前記検知手段の検知結果を検知情報として保持する保持手段と、を備え、
前記制御手段の電力状態は、第一の状態と、前記第一の状態よりも消費電力が大きい第二の状態と、を含み、
前記制御手段は、
前記検知結果を前記第二の状態では取得し、前記第一の状態では取得せず、かつ、前記電力状態が前記第一の状態から前記第二の状態に遷移した場合に、前記第一の状態において前記保持手段に保持された前記検知情報を取得する、
ことを特徴とする電気機器。
【0068】
項目2.
項目1に記載の電気機器であって、
前記電力状態が、前記第二の状態から前記第一の状態に遷移する場合に、前記保持手段の前記検知情報がクリアされる、
ことを特徴とする電気機器。
【0069】
項目3.
項目1又は項目2に記載の電気機器であって、
前記制御手段の入力ポートに入力される入力情報を、前記検知手段の前記検知結果と、前記保持手段の前記検知情報とで切り替える切替手段を備え、
前記電力状態が前記第二の状態から前記第一の状態に遷移する場合に、前記切替手段は前記入力情報を前記検知情報に切り替え、
前記電力状態が前記第一の状態から前記第二の状態に遷移した場合であって、前記保持手段に保持された前記検知情報を前記制御手段が取得した後に、前記切替手段は前記入力情報を前記検知結果に切り替える、
ことを特徴とする電気機器。
【0070】
項目4.
項目1乃至項目3のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記検知結果は、前記状態を第一の検知結果と第二の検知結果とのいずれかで示し、
前記保持手段は、前記検知結果が前記第二の検知結果となった場合は、その後に前記第一の検知結果となった場合であっても、前記第二の検知結果を前記検知情報として保持する、
ことを特徴とする電気機器。
【0071】
項目5.
項目1乃至項目4のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記検知手段を複数備え、
前記保持手段を複数備える、
ことを特徴とする電気機器。
【0072】
項目6.
項目1乃至項目5のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記第一の状態とは、前記制御手段に電力が供給されない状態である、
ことを特徴とする電気機器。
【0073】
項目7.
項目6に記載の電気機器であって、
前記制御手段に対して電力を供給する電力供給手段と、
前記電力供給手段から電力が供給され、前記電力供給手段による前記制御手段に対する電力の供給と遮断とを制御する電力制御手段と、を備える、
ことを特徴とする電気機器。
【0074】
項目8.
項目7に記載の電気機器であって、
前記電力制御手段は、
ユーザによる電源オン指示に基づいて、前記電力供給手段によって前記制御手段に対して電力を供給させ、
ユーザによる電源オフ指示に基づいて、前記電力供給手段によって前記制御手段に対する電力の供給を遮断する、
ことを特徴とする電気機器。
【0075】
項目9.
項目1乃至項目8のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記検知手段は、ユーザが操作可能な可動部の状態を検知する、
ことを特徴とする電気機器。
【0076】
項目10.
項目1乃至項目8のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記電気機器は、記録媒体に液体を吐出して記録を行う記録装置である、
ことを特徴とする電気機器。
【0077】
項目11.
項目10に記載の電気機器であって、
前記記録装置は、本体と該本体を覆う開閉可能なカバーとを備え、
前記検知手段は、前記カバーの開閉状態を検知する、
ことを特徴とする電気機器。
【0078】
項目12.
項目10に記載の電気機器であって、
前記記録装置は、本体と、該本体に対して引き出し可能で、前記記録媒体が積載される積載部を備え、
前記検知手段は、前記積載部の引き出しを検知する、
ことを特徴とする電気機器。
【0079】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために項目を添付する。
【符号の説明】
【0080】
1 電気機器、12a 吐出ヘッド、12b 吐出ヘッド、15 カバーセンサ、16 カセットセンサ、30 システム制御ユニット、451 ラッチ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9