(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】油濾過装置及び調理装置
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A47J27/00 104Z
A47J27/00 103Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187752
(22)【出願日】2022-11-24
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】202220683921.2
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515117198
【氏名又は名称】佛山市▲順▼▲徳▼区美的▲電▼▲熱▼▲電▼器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOSHAN SHUNDE MIDEA ELECTRICAL HEATING APPLIANCES MANUFACTURING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】San Le Road #19,Beijiao,Shunde Foshan,Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】薛▲ショウ▼強
(72)【発明者】
【氏名】梅若愚
(72)【発明者】
【氏名】楊云
(72)【発明者】
【氏名】呂偉剛
(72)【発明者】
【氏名】瞿月紅
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211380772(CN,U)
【文献】特開2002-320560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液貯蔵チャンバーが設けられ、前記液貯蔵チャンバーに入液通路が設けられ、前記液貯蔵チャンバー内に入る液体に対して油分離を行うための油分離機構と、
前記液貯蔵チャンバー内に設置され、かつ前記入液通路を覆い、調理過程に、液圧作用で前記入液通路を開き、液体を前記液貯蔵チャンバーに入れる蓋体と、
を含むことを特徴とする油濾過装置。
【請求項2】
前記液貯蔵チャンバーの底壁には、入液孔及び前記入液孔の周りに設けられる第1の係合部が設置され、前記第1の係合部は前記液貯蔵チャンバー内に設置され、前記入液孔及び前記第1の係合部により囲まれる空間は前記入液通路を形成し、
前記蓋体は蓋本体及び第2の係合部を含み、前記蓋本体は前記入液孔を覆い、かつ前記第1の係合部と前記第2の係合部は配合して設置されることを特徴とする請求項1に記載の油濾過装置。
【請求項3】
前記第1の係合部は前記入液孔の外を囲む第1のバッフル板を含み、
前記蓋本体は、蓋板及び前記蓋板から前記入液孔の軸方向に沿って延出する環状部を含み、前記第2の係合部は前記蓋板から前記入液孔の軸方向に沿って延出する第2のバッフル板を含み、前記環状部は前記入液孔内に嵌設され、前記第2のバッフル板と前記第1のバッフル板は前記軸方向に沿って噛合して設置されることを特徴とする請求項2に記載の油濾過装置。
【請求項4】
前記底壁には、半径が異なっていて環状に設置される複数の前記第1のバッフル板が設置され、複数の前記第1のバッフル板がネスティングされて設置され、
前記蓋体は、半径が異なっていて環状に設置される複数の前記第2のバッフル板を含み、複数の前記第2のバッフル板がネスティングされて設置されることを特徴とする請求項3に記載の油濾過装置。
【請求項5】
隣接する前記第1のバッフル板の間に隙間が形成され、前記第1のバッフル板には、隣接して設置される前記隙間を連通するためのノッチまたは貫通孔が設置されることを特徴とする請求項4に記載の油濾過装置。
【請求項6】
前記第1のバッフル板は、前記入液孔の径方向に沿う寸法が前記底壁から前記蓋板の方向に向かって次第に減少し、
前記第2のバッフル板は、前記入液孔の径方向に沿う寸法が前記蓋板から前記底壁の方向に向かって次第に減少することを特徴とする請求項4に記載の油濾過装置。
【請求項7】
前記第1のバッフル板には、前記入液孔の中心軸へ延出するボスが設置され、前記油濾過装置はさらに、
前記環状部の前記蓋板から離れた一端の外に嵌設される止め輪と、
前記環状部の外にネスティングされ、一端が前記止め輪に連結され、他端が前記蓋体が前記入液通路を密封するときに前記ボスに当接するばねと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の油濾過装置。
【請求項8】
前記止め輪には、前記入液孔の軸方向に沿う貫通孔が設置され、前記液体が液圧作用下で前記貫通孔を通して前記蓋体へ排出されることで、前記蓋体に前記入液通路を開かせることを特徴とする請求項7に記載の油濾過装置。
【請求項9】
前記液貯蔵チャンバーの側壁に第1の排液孔及び第2の排液孔が設置され、前記第1の排液孔は前記第2の排液孔と前記液貯蔵チャンバーを連通させ、前記第1の排液孔と前記底壁との間の距離が前記第2の排液孔と前記底壁との間の距離より小さいことを特徴とする請求項2に記載の油濾過装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の油濾過装置を含むことを特徴とする調理装置。
【請求項11】
前記
油濾過装置はさらに
、底壁から前記液貯蔵チャンバーに対して離れた側へ延出する固定部を含み、
調理装置はさらに、前記調理装置の鍋体内に設置され、前記固定部と固定して連結されるラックを含むことを特徴とする請求項10に記載の調理装置。
【請求項12】
前記ラックは底板を含み、前記底板には貫通孔が設置され、前記固定部は前記貫通孔内に設置され、前記入液通路と前記貫通孔とは連通することを特徴とする請求項11に記載の調理装置。
【請求項13】
前記ラックはさらに、環状側壁を含み、前記環状側壁には、前記油分離機構から濾過される汁を前記鍋体内に回流させるための貫通孔が設置されることを特徴とする請求項12に記載の調理装置。
【請求項14】
前記環状側壁の前記底板から離れた一端において、前記入液通路の径方向に沿って、且つ前記液貯蔵チャンバーから離れた側に向かって、固定部が延出して設置され、前記環状側壁の固定部は、前記鍋体内に重ねて接続されることを特徴とする請求項13に記載の調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、家電技術分野に関し、特に、油濾過装置及び調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、調理器具により汁物を煮込んだ後、汁には大量の油脂が含まれ、大部分の油脂は汁の表面に浮遊し、汁物の口当たりに影響を与え、ユーザの身体健康にも不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願が主に解決する技術的課題は、油濾過効果を向上させ、ユーザの身体健康を保証するために、油濾過装置及び調理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した技術的課題を解決するために、本願に用いられる1つの技術的方案は、油濾過装置を提供する。この油濾過装置は、液貯蔵チャンバーが設けられ、液貯蔵チャンバーに入液通路が設けられ、液貯蔵チャンバー内に入る液体に対して油分離を行うための油分離機構と、液貯蔵チャンバー内に設置され、かつ入液通路を覆い、調理過程に、液圧作用で入液通路を開き、液体を液貯蔵チャンバーに入れる蓋体と、を含む。
【0005】
上述した技術的課題を解決するために、本願に用いられる技術的方案は、調理装置を提供する。この調理装置は、上述した油濾過装置を含む。
【発明の効果】
【0006】
本願に係る実施例の有益な効果は、本願に係る油濾過装置は、油分離機構により汁に対して油分離を行うことができる。かつ、蓋体により入液通路を開閉させ、調理初期状態(汁には油脂が生じないまたは少量の油脂が生じる)のとき、汁が油分離機構の液貯蔵チャンバーに入ることを回避でき、かつ、汁の温度が上昇し、特に、沸騰(汁に大量の油脂が生じる)する時に、入液通路は開かれ、汁を油分離機構の液貯蔵チャンバーに輸送し、油分離を行う。このような方式により、油分離効果を向上させ、ユーザの身体健康を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本願の実施例または従来の技術における技術的方案をさらに説明するために、以下、実施例に用いられる図面を簡単に説明する。当然、以下の記述における図面は本願のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとって、創造的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて、その他の図面を取得できる。
【0008】
【
図1】本願に係る油濾過装置の一実施例の構造を示す図である。
【
図2】
図1における実施例に係る油濾過装置において、油分離機構の一実施例の立体構造を示す図である。
【
図3】
図2における実施例に係る油分離機構の平面図である。
【
図4】
図3における実施例に係る油分離機構のAA’に沿う断面図である。
【
図5】
図3における実施例に係る油分離機構のBB’に沿う断面図である。
【
図6】
図2における実施例に係る油分離機構の一部構造を示す図である。
【
図7】
図1における実施例に係る油濾過装置において、蓋体の立体構造を示す図である。
【
図8】
図7における実施例に係る蓋体の平面図である。
【
図9】
図8における実施例に係る蓋体のCC’に沿う断面図である。
【
図10】
図1における実施例に係る油濾過装置において、止め輪の立体構造を示す図である。
【
図12】
図10における実施例に係る蓋体のDD’に沿う断面図である。
【
図13】
図1における実施例に係る油濾過装置において、油分離機構と止め輪の組立構造を示す図である。
【
図14】本願に係る調理装置の一実施例の構造を示す図である。
【
図15】
図14における実施例に係る調理装置において、ラックの立体構造を示す図である。
【
図17】
図16における実施例に係るラックのEE’に沿う断面図である。
【
図18】
図12における実施例に係る調理装置において、油濾過装置とラックの組立構造の立体構造を示す図である。
【
図20】
図19における実施例に係る組立構造のFF’に沿う断面図である。
【
図21】
図19における実施例に係る組立構造のGG’に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本願を詳しく説明する。特に説明するのは、以下の実施例は本願を説明するためのものにすぎず、本願の範囲に対して限定するものではない。同様に、以下の実施例は本願の一部の実施例にすぎず、全部の実施例ではない。当業者が創造的な労働をしない前提で、得られたその他の実施例はいずれも本願の保護範囲に含まれる。
【0010】
本願に係る実施例の記述において、説明する必要があるのは、特に規定又は限定する場合を除き、用語「接続」、「連結」が幅広く理解されるべきであり、例えば、固定連結でよく、取り外し可能な連結でよく、または一体連結でもよく、機械的連結でよく、電気的連結でもよく、直接接続でよく、中間媒体による間接接続でもよい。当業者にとって、本願に係る実施例における上述した用語の具体的な意味を場合によって理解してもよい。
【0011】
本願に係る実施例において、特に規定又は限定する場合を除き、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触することでよく、または第1の特徴と第2の特徴が中間媒体による間接接触でもよい。また、第1の特徴が第2の特徴「の上」、「上方」や「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上にあることでよく、または第1の特徴の水平高さが第2の特徴の水平高さより高いことのみを示す。第1の特徴が第2の特徴「の下」、「下方」や「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下または斜め下にあることでよく、または第1の特徴の水平高さが第2の特徴の水平高さより低いことのみを示す。
【0012】
本願は、まず、油濾過装置を提出する。
図1は本願に係る油濾過装置の一実施例の構造を示す図である。
図2は
図1における実施例に係る油濾過装置において、油分離機構の一実施例の立体構造を示す図である。
図3は
図2における実施例に係る油分離機構の平面図である。
図4は
図3における実施例に係る油分離機構のAA’に沿う断面図である。
図5は
図3における実施例に係る油分離機構のBB’に沿う断面図である。
図6は
図2における実施例に係る油分離機構の一部構造を示す図である。
図7は
図1における実施例に係る油濾過装置において、蓋体の立体構造を示す図である。
図8は
図7における実施例に係る蓋体の平面図である。
図9は
図8における実施例に係る蓋体のCC’に沿う断面図である。
図10は
図1における実施例に係る油濾過装置において、止め輪の立体構造を示す図である。
図11は
図10における実施例に係る止め輪の平面図である。
図12は
図10における実施例に係る蓋体のDD’に沿う断面図である。
図13は
図1における実施例に係る油濾過装置において、油分離機構と止め輪の組立構造を示す図である。本実施例に係る油濾過装置(図示せず)は、油分離機構11及び蓋体12を含む。油分離機構11には液貯蔵チャンバー(図示せず)が設置される。液貯蔵チャンバーには入液通路13が設置される。油分離機構11は液貯蔵チャンバー内に入る液体に対して油分離を行うことに用いられる。蓋体12は液貯蔵チャンバー内に設置され、入液通路13を覆う。蓋体12は、調理時に、液体を液貯蔵チャンバーに入れるように、液圧作用により入液通路を開く。
【0013】
本実施例の油濾過装置は、調理装置の調理チャンバー内に置かれるものである。調理初期状態では、油水未分離の汁が液貯蔵チャンバー内に入らないように、蓋体12は入液通路13を密封する。汁の温度の上昇(特に、沸騰のプロセスにて)に従い、調理チャンバー内の汁が蒸発し続け、水蒸気が生じ、これによって、液貯蔵チャンバーの底壁外の局部圧力を上昇させ、液面を上昇させ、汁の圧力が蓋体12の下向きの圧力を十分に克服するとき、蓋体12を上げ、このとき、入液通路13と液貯蔵チャンバーが連通し、油脂を混合した汁が液貯蔵チャンバー内に入る。油分離機構11は、液貯蔵チャンバー内の汁に対して油分離を行う。
【0014】
従来の技術と異なり、本実施例の油濾過装置は、油分離機構11により汁に対して油分離を行うことができる。かつ、蓋体12により入液通路13を開閉させ、調理初期状態(汁には油脂が生じないまたは少量の油脂が生じる)のとき、汁が油分離機構11の液貯蔵チャンバーに入ることを回避でき、かつ、汁の温度が上昇し、特に、沸騰(汁には大量の油脂が生じる)する時に、入液通路13は開かれ、汁を油分離機構11の液貯蔵チャンバーに輸送させ、油分離を行う。このような方式により、油分離効果を向上させ、ユーザの身体健康を保証できる。
【0015】
なお、本願の入液通路を液貯蔵チャンバーの底壁または側壁の底部に設置してもよい。本願の下記実施例では、入液通路を液貯蔵チャンバーの底壁に設置することを例として記述する。
【0016】
ここで、本実施例の油分離機構11は、オイルカップでよく、側壁(図示せず)及び側壁121に連結される底壁を含む。この側壁121とこの底壁は液貯蔵チャンバーを形成する。当然、そのほかの実施例では、油分離機構の形状に対して限定せず、液貯蔵チャンバーに上壁または上蓋などを設置する構造でもよい。
【0017】
選択的に、
図1及び
図4に示すように、本実施例の液貯蔵チャンバーの側壁には、第1の排液孔a及び第2の排液孔bが設置され、第1の排液孔aが第2の排液孔bと液貯蔵チャンバーを連通させ、第1の排液孔aと底壁との間の距離d1は第2の排液孔bと底壁との間の距離d2より小さい。
【0018】
本実施例の第1の排液孔aと底壁との間の距離d1が第2の排液孔bと底壁との間の距離d2より小さいことにより、汁における油脂(液面に浮遊)が第1の排液孔aから流出しないことを保証でき、これによって、汁における水などの成分(油脂の下に位置する)が第1の排液孔a及び第2の排液孔bから流出することを保証できる。
【0019】
具体的には、液貯蔵チャンバーの側壁は、底壁から延出する環状側壁101を含む。環状側壁101に、第2の排液孔bが設置される。液貯蔵チャンバーの側壁は、環状側壁101内に設置されるバッフル板102をさらに含む。このバッフル板102が第2の排液孔bに対応して設置され、且つ底壁との間に、第1の排液孔aが形成される。バッフル板は、油脂を阻止し、汁における水などの成分を第1の排液孔aから流出させる。
【0020】
液貯蔵チャンバー内の汁は特定の量に達した後、バッフル板102を避け、液貯蔵チャンバーから流出する。油脂は、密度が水の密度より小さいため、大部分が液面付近に浮遊する。一方、液貯蔵チャンバー内の汁は、底部から流出する。このため、油脂は、液貯蔵チャンバー内に残される。このように繰り返し、油脂を液貯蔵チャンバー内に集中させ、油水分離の目的を実現させる。
【0021】
一応用シーンでは、本実施例のd1範囲は0.8mm~5.2mmであり、例えば、0.8mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm及び5.2mmなどが挙げられ、汁を即時に流出させるとともに、油脂の流出を最小限にすることを保証する。d2とd1との間の差の範囲は4mm~55mmであり、例えば、4mm、5mm、10mm、20mm、30mm、40mm、50mm及び55mmなどが挙げられ、液貯蔵チャンバーには油脂を分離するための十分な空間があることを保証する。
【0022】
選択的に、
図1、
図2、
図3及び
図6に示すように、本実施例の液貯蔵チャンバーの底壁に入液孔61及び入液孔61の周りに設けられる第1の係合部が設置される。第1の係合部は、液貯蔵チャンバー内に設置され、入液孔61及び第1の係合部により囲まれる空間は入液通路を形成する。
【0023】
具体的には、第1の係合部は、入液孔61の外を囲む第1のバッフル板62を含む。第1のバッフル板62は、液貯蔵チャンバー内に設置され、入液孔61及び第1のバッフル板62により囲まれる空間が入液通路を形成する。
【0024】
汁は入液孔61から液貯蔵チャンバーに入り、第1のバッフル板62により囲まれる空間に沿って流動する。
【0025】
選択的に、
図1、
図7、
図8及び
図9に示すように、本実施例の蓋体12は、蓋本体及び第2の係合部を含む。蓋本体は、入液孔61をカバーし、第1の係合部と第2の係合部が配合して設置される。
【0026】
具体的には、本実施例の蓋体は、蓋板121及び蓋板121から入液孔61の軸方向に延出する環状部122を含む。第2の係合部は、蓋板121から入液孔61の軸方向に沿って延出する第2のバッフル板123を含む。環状部122は入液孔61内に嵌設され、第2のバッフル板123と第1のバッフル板62は入液孔61の軸方向に沿って噛合して設置される。
【0027】
蓋板121、環状部122及び第2のバッフル板123は一体成型される。
【0028】
環状部122は、蓋体12に対する入液孔61の軸方向に沿うガイド作用を実現するだけでなく、調理初期状態のとき、入液孔61に対する密封を実現できる。第2のバッフル板123と第1のバッフル板62は入液孔61の軸方向に沿って噛合して設置され、第2のバッフル板123が調理初期状態のとき、第1のバッフル板62により囲まれて形成される入液通路部分を密封することが実現される。
【0029】
選択的に、本実施例において、液貯蔵チャンバーの底壁には、半径が異なっていて、かつ環状に設置される複数の第1のバッフル板62が設置される。複数の第1のバッフル板62はネスティングして(半径が大きい第1のバッフル板62は半径が小さい第1のバッフル板62の外にネスティングされる)設置される。蓋体12は、半径が異なっていて、かつ環状に設置される複数の第2のバッフル板123を含む。複数の第2のバッフル板123はネスティングして(半径が大きい第2のバッフル板123は半径が小さい第2のバッフル板123外にネスティングされる)設置される。このような構造により、入液通路に対する蓋体12の密封効果を向上させることができる。
【0030】
選択的に、本実施例において、隣接して設置される第1のバッフル板62の間に隙間が形成される。第1のバッフル板62には、隣接して設置される隙間を連通するためのノッチまたは貫通孔が設置される。入液孔61、第1のバッフル板62の間の隙間及び第1のバッフル板62のノッチまたは貫通孔は入液通路を形成する。
【0031】
さらに、隣接して設置される第1のバッフル板62のノッチまたは貫通孔はずれて設置され、入液孔61を開くとき、汁はこの隙間及びこのノッチまたは貫通孔を通じて流れることができる。入液孔61を密封するとき、ずれたノッチまたは貫通孔は密封効果を向上させることができる。
【0032】
選択的に、本実施例の第1のバッフル板62は、入液孔61の径方向に沿う寸法が底壁から蓋板121に向かう方向に次第に減少する。第2のバッフル板123は、入液孔61の径方向に沿う寸法が蓋板121から底壁に向かう方向に次第に減少する。このような構造により、組み立てが順調である前提において、隣接する第1のバッフル板62との間の隙間及び隣接する第2のバッフル板123との間の隙間を減少でき、これによって、入液通路に対する蓋体12の密封効果を向上させることができる。
【0033】
ここで、第2のバッフル板123側表面と蓋板121表面の夾角rは、90°~95°でよく、例えば90°、91°、92°、93°、94°及び95°などが挙げられる。かつ、第1のバッフル板62側表面と底壁の表面の夾角rは90°~95°でよく、例えば90°、91°、92°、93°、94°及び95°などが挙げられる。底壁の表面と蓋板121の表面は平行である。
【0034】
選択的に、
図1~
図13に示すように、本実施例の第1のバッフル板62には、入液孔61の中心軸へ向かって延出するボス63が設置される。本実施例の油濾過装置は、止め輪14及びばね15をさらに含む。止め輪14は、第1の環状部122の蓋板121から離れた一端の外に嵌設される。ばね15は第1の環状部122の外に嵌設され、一端が止め輪14に連結され、他端が、蓋体12が入液通路を密封するとき、ボス63に当接する。
【0035】
第1の環状部122の蓋板121から離れた一端には、第1の固定部(図示せず)が設置され、止め輪14の内壁には、第2の固定部(図示せず)が設置される。第1の固定部と第2の固定部は結合し、止め輪14と環状部122を固定して設置する。
【0036】
止め輪14と環状部122は固定して設置され、ばね15の一端と止め輪14は固定して設置され、これによって、ばね15は蓋体12に対して底壁方向に向かう作用力を有し、蓋体12がばね15の作用力により下へプレスされ、入液通路を密封する。
【0037】
選択的に、本実施例の止め輪14には、入液孔61の軸方向に沿う貫通孔141が設置される。液体は、液圧の作用により、貫通孔141を介して蓋体12に排出され、蓋体12と入液通路を分離させる。
【0038】
止め輪14上の貫通孔141は、汁に上昇通路を提供する。貫通孔141の直径d3の範囲は、0.8mm~5.2mmであり、例えば0.8mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm及び5.2mmなどであり、流量が充分であることを保証するとともに、肉塊などの食物が貫通孔141内に入って孔を塞ぐことを防止することができる。
【0039】
沸騰のプロセスにおいて、調理装置内の汁は、蒸発し続け、水蒸気が生じる。これによって、液貯蔵チャンバー下部の局部圧力を上昇させ、液面を上昇させ、汁の圧力がばね15の圧力を充分に克服するとき、蓋体12を上げる。このとき、入液通路が開かれ、油脂を混合した汁が液貯蔵チャンバー内に入る。沸騰が停止するとき、ばね15の作用力により、蓋体12が下へプレスされ、入液通路を密封し、液貯蔵チャンバー内の汁が直接回流することにより油脂の回流を防止する。
【0040】
第1の固定部と第2の固定部はネジ山などの固定構造でよい。
【0041】
本実施例の油濾過装置は、油脂が水面に浮遊する特徴及び汁が沸騰すると液面が上昇する特徴を利用しており、U形油濾過通路を設けることで、汁を油分離機構の中心から液貯蔵チャンバー内に上昇させ、バッフル板102により濾過した後、回流させ、これによって、油脂を液貯蔵チャンバー内に集中させ、油濾過の目的を実現する。
【0042】
本実施例の油濾過装置は、ばね15の作用力により蓋体12を下へプレスし、特定の入液通路(第1のバッフル板62と入液孔61)を介して汁の単方向流通を実現する。沸騰するとき、入液通路を開き、汁が油分離機構11の中心から上昇する。沸騰が停止するとき、蓋体12は下へプレスされ、入液孔61を密封し、液貯蔵チャンバー内の汁が入液孔61から直接回流し、油脂が回流することを防止する。
【0043】
選択的に、第2のバッフル板123と第1のバッフル板62との間の側方向隙間は0.04mm~0.31mmでよく、例えば、0.04mm、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm及び0.31mmが挙げられ、優れた密封効果と組立性を達成する。
【0044】
第1のバッフル板62と蓋板121との間の隙間は0.15mm~2.1mmでよく、例えば0.15mm、0.2mm、0.7mm、1mm、2mm及び2.1mmが挙げられ、第2のバッフル板123の底部と底壁の圧着を確保し、密封効果を改善することができる。
【0045】
本実施例に係る密封構造は、機械構造と圧力配合により密封され、シリカゲル、ゴムなどの密封素子が必要ではなく、鍋内に置かれる食品と接触する材料が食品級金属材料であることを保証し、食品衛生安全を上げ、ユーザの体験を改善する。
【0046】
本願は、調理装置をさらに提出する。
図14~
図21に示すように、
図14は本願に係る調理装置の一実施例の構造を示す図である。
図15は
図14における実施例に係る調理装置において、ラックの立体構造を示す図である。
図16は
図15における実施例に係るラックの平面図である。
図17は
図16における実施例に係るラックのEE’に沿う断面図である。
図18は
図12における実施例に係る調理装置において、油濾過装置とラックの組立構造の立体構造を示す図である。
図19は
図18における実施例に係る組立構造の平面図である。
図20は
図19における実施例に係る組立構造のFF’に沿う断面図である。
図21は
図19における実施例に係る組立構造のGG’に沿う断面図である。本実施例の調理装置(図示せず)は油濾過装置20及び鍋体30を含む。油濾過装置20は鍋体30内に設置され、鍋体30内の汁に対して油濾過を行うことに用いられる。
【0047】
油濾過装置20の構造と動作原理は上述した実施例を参照でき、ここで、重複する説明は不要である。
【0048】
選択的に、本実施例の油分離機構11は、底壁から液貯蔵チャンバーに対して離れた側に延出する固定部(図示せず)をさらに含む。調理装置は、ラック40をさらに含む。ラック40は、調理装置の鍋体30内に設置され、固定部と固定して連結され、油濾過装置20を鍋体30内に固定する。
【0049】
選択的に、ラック40は底板(図示せず)と環状側壁(図示せず)を含む。底板には、貫通孔(図示せず)が設置される。油分離機構11上の固定部はこの貫通孔内に設置され、かつ、油分離機構11の入液通路の入液孔61がこの貫通孔と連通する。油分離機構11上の固定部はネジ山構造でよく、貫通孔内にネジ山が設けられ、油分離機構11と貫通孔がネジ山により固定して設置される。
【0050】
選択的に、ラック40の底板は、中心のみにこの貫通孔があり、汁を上へ流し、底板のその他のエリアは連続曲面または平面である。また、底板は液貯蔵チャンバーへ突起する構造である。底板の中心エリアの高さはエッジエリアの高さより高く、汁が沸騰するとき、中心へ近寄り、液貯蔵チャンバー内に集中することに有利である。
【0051】
選択的に、ラック40の底板の直径d4は鍋体30の内径より約1~10mm小さい。これによって、油分離機構11により濾過された汁の回流を保証するとともに、汁が側壁から上昇しすぎて、油分離機構11を通る汁の割合が不足することにより、油濾過効果を低減させることを防止できる。
【0052】
選択的に、ラック40は、環状側壁(図示せず)をさらに含む。環状側壁には、貫通孔が設置され、油分離機構11から濾過した汁を鍋体30内に回流させることに有利である。
【0053】
ラック40の環状側壁の底板から離れた一端において、入液通路の入液孔61の径方向に沿って、液貯蔵チャンバーから離れた側に向かって固定部を延出させ、この固定部は、鍋体30内の突出ブロックに重ねて接続される。さらに、安定性を向上させるために、ラック40の底板は、鍋体30に連結されてもよい。
【0054】
本実施例において、油濾過装置20とラック40との固定、止め輪14と蓋体12との固定はいずれもネジ山結合の方式を用いる。
【0055】
本願に関する油濾過装置は、その固定構造が上述した実施例に限らず、例えば、バックル、ボルト、スナップリングなどのその他の固定構造を用いてもよい。
【0056】
本実施例の調理装置は、電気炊飯器、蒸し器などでよく、具体的に限定されない。
【0057】
従来の技術と異なり、本願に係る油濾過装置は、液貯蔵チャンバーが設けられ、液貯蔵チャンバーに入液通路が設けられ、液貯蔵チャンバー内に入る液体に対して油分離を行うための油分離機構と、液貯蔵チャンバー内に設置され、かつ入液通路を覆い、調理過程に、液圧作用で入液通路を開き、液体を液貯蔵チャンバーに入れる蓋体と、を含む。本願に係る油濾過装置は、油分離機構により汁に対して油分離を行うことができる。かつ、蓋体により入液通路を開閉させ、調理初期状態(汁に油脂が生じないまたは少量の油脂が生じる)のとき、汁が油分離機構の液貯蔵チャンバーに入ることを回避でき、かつ、汁の温度が上昇し、特に、沸騰(汁に大量の油脂が生じる)する時に、入液通路は開かれ、汁を油分離機構の液貯蔵チャンバーに輸送し、油分離を行うことができる。このような方式により、油分離効果を向上させ、ユーザの身体健康を保証できる。
【0058】
上記は本願の実施形態にすぎず、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書及び図面を参照して作成した等価機構または等価プロセス変換、またはその他の関連の技術分野に直接または間接に運用されるものは、本願の特許保護範囲に含まれる。