(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】自動運転制御システム、制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G06F 11/20 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
G06F11/20 625
(21)【出願番号】P 2022533107
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 CN2020115797
(87)【国際公開番号】W WO2021114794
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】201911247246.8
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang310000, China
(73)【特許権者】
【識別番号】516099613
【氏名又は名称】浙江吉利汽車研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY AUTOMOBILE RESEARCH INSTITUTE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Chengdong Zhatou, Linhai City, Taizhou City, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】李 博
(72)【発明者】
【氏名】李 雪峰
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/220811(WO,A1)
【文献】特開2019-111866(JP,A)
【文献】特開2019-006188(JP,A)
【文献】特開平03-260702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277608(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン制御システムと予備制御システムとを含み、
前記メイン制御システムは、メイン制御モジュールとメイン実行モジュールとを含み、
前記予備制御システムは、予備制御モジュールと予備実行モジュールとを含み、
前記メイン制御モジュールは、前記メイン制御システムの作動状態をリアルタイムで監視するために使用され、
前記メイン制御モジュールは、さらに、前記メイン制御システムの故障発生を検出した場合、前記予備制御モジュールに故障の通知を送信し、応答中止制御命令を各メイン実行モジュールに送信するために使用され、前記応答中止制御命令は、各メイン実行モジュールに車両を制御する任意の制御命令への応答を禁止するように指示するために使用され、
前記予備制御モジュールは、
前記予備実行モジュールを制御するのに用いられる予備制御命令を送信可能であり、前記故障の通知を受信した後に、前記予備実行モジュールが
前記予備制御命令の実行を開始するように制御するために使用され、
さらに、
前記予備制御モジュールは、前記故障の通知を受信した後に、前記予備実行モジュールに予備制御命令を送信
し、かつ、前記予備実行モジュール
が前記予備制御命令を実行する
よう制御を行い、
または、
前記予備制御モジュールは、
前記故障の通知を受信する前から、前記予備実行モジュールに予備制御命令を送信
し、前記故障の通知を受信し
てから、
前記予備実行モジュールに前記予備制御命令への応答を開始するように指示するための制御命令であ
る第一応答制御命令を前記予備実行モジュールに送信し、前記予備実行モジュール
が、前記第一応答制御命令に基づいて、前記予備制御命令の実行を開始する
よう制御を行う、
ことを特徴とする自動運転制御システム。
【請求項2】
前記予備制御モジュールは、さらに、前記予備制御命令を分解し、分解された予備制御命令をそれぞれ対応する予備実行モジュールに送信し、各予備実行モジュールは、分解された前記予備制御命令に基づいて車両を制御するために使用される、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動運転制御システム。
【請求項3】
前記メイン制御システムの作動状態には、前記メイン制御モジュール、いずれか一つのメイン実行モジュール及びメイン通信ネットワークの作動状態が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動運転制御システム。
【請求項4】
前記予備制御モジュールは、前記メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断し、メイン制御モジュールとの通信が切断されていると判断した場合に、前記予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御するために使用され、
及び/または、
前記メイン実行モジュールは、前記メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断し、前記メイン制御モジュールとの通信が切断されていると判断した場合に、作動を停止するために使用される、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動運転制御システム。
【請求項5】
前記メイン制御モジュールは、前記メイン実行モジュールにメイン制御命令と第二応答制御命令を送信するために使用され、前記第二応答制御命令は、各メイン実行モジュールが前記メイン制御命令に応答するように指示し、分解されたメイン制御命令に各予備実行モジュールが応答するように指示するための制御命令である、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動運転制御システム。
【請求項6】
自動運転制御システムの制御方法であって、
前記自動運転制御システムは、メイン制御システムと予備制御システムとを含み、前記メイン制御システムは、メイン制御モジュールとメイン実行モジュールとを含み、前記予備制御システムは、予備制御モジュールと予備実行モジュールとを含み、
前記制御方法は、
前記メイン制御モジュールが前記メイン制御システムの作動状態をリアルタイムで監視すること、
前記メイン制御モジュールは、前記メイン制御システムに故障が発生したと前記メイン制御モジュールが検出した場合、前記予備制御モジュールに故障の通知を送信し、応答中止制御命令を各メイン実行モジュールに送信し、前記応答中止制御命令は、各メイン実行モジュールに車両を制御する任意の制御命令への応答を禁止するように指示するための制御命令であること、
前記予備制御モジュールは、
前記予備実行モジュールを制御するのに用いられる予備制御命令を送信可能であり、前記故障の通知を受信した後に、前記予備実行モジュールが
前記予備制御命令の実行を開始するように制御すること、を含み、
さらに、
前記予備制御モジュールが、
前記予備実行モジュールを制御するのに用いられる予備制御命令を送信可能であり、前記故障の通知を受信した後に、前記予備実行モジュールが
前記予備制御命令の実行を開始するように制御することは、
前記予備制御モジュールが、前記故障の通知を受信した後に、前記予備実行モジュールに予備制御命令を送信
し、前記予備実行モジュールが前記予備制御命令を実行する
よう制御するこ
と、
または、
前記予備制御モジュールが
、前記故障の通知を受信する前から、前記予備実行モジュールに予備制御命令を送信
し、前記故障の通知を受信し
てから、前記予備実行モジュールに前記予備制御命令への応答を開始するように指示するための制御命令である
第一応答制御命令を前記予備実行モジュールに送信し、前記予備実行モジュール
が前記第一応答制御命令に基づいて前記予備制御命令の実行を開始する
よう制御すること、を含む、
ことを特徴とする自動運転制御システムの制御方法。
【請求項7】
前記予備制御モジュールは、前記予備制御命令を分解すること、及び、
前記予備制御モジュールは、分解された予備制御命令をそれぞれ対応する予備実行モジュールに送信し、分解された前記予備制御命令に基づいて車両を各予備実行モジュールが制御すること、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記予備制御モジュールは、前記メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断すること、及び、前記予備実行モジュールは、切断されていると判断した場合に予備制御命令の実行を開始するように制御すること、をさらに含み、
及び/または、
前記制御方法は、前記メイン実行モジュールは、前記メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断すること、及び、前記メイン実行モジュールは、切断されていると判断した場合に作動を停止すること、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項9】
前記制御方法は、
前記メイン制御モジュールは、前記メイン実行モジュールにメイン制御命令と第二応答制御命令を送信し、前記第二応答制御命令は、各メイン実行モジュールが前記メイン制御命令に応答するように指示し、分解されたメイン制御命令に各予備実行モジュールが応答するように指示するための制御命令である、ことをさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項10】
プロセッサと記憶手段を含み、
前記記憶手段には、少なくとも一つの命令、少なくとも一つのプログラム、コードセット又は命令セットが記憶されており、前記少なくとも一つの命令、前記少なくとも一つのプログラム、前記コードセット又は命令セットが、前記プロセッサによってロード及び実行される場合に、請求項6~9のいずれか一項に記載の自動運転制御システムの制御方法を実現する、
ことを特徴とする自動運転システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年12月09日に出願された出願番号201911247246.8、発明の名称「自動運転制御システム、制御方法及び装置」である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、その全内容は引用により本願に取り組まれる。
本発明は、自動運転に関し、特に、自動運転制御システム、制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、自動化、ネットワーク化、電動化及び共有化という四つの分野で発展している。その中でも、自動運転技術は、現在、自動車産業を発展させる最も重要なものであって、産業の発展にとって大きな影響を与えるのみならず、将来の走行モードで大きな変革をリードする。将来、L3及びL4レベルの高度に自動化された運転システムをさらに実現するためには、システムの信頼性を総合的に向上させ、知覚、意思決定、実行システム、ソフトウェア、ハードウェアに対する要求を高める必要がある。また、コントローラー及びアクチュエータに対するバックアップや冗長化も、高度に自動化された運転にとって不可欠なものである。
【0003】
L3及びL4レベルの高度に自動化された運転は、ドライバーを運転タスクから解放し、ドライバーにEyes-Off、Minds-Offの運転体験を与えるために、より高い信頼性で運転タスクを実行することが必要となる。このような高度な信頼性システムを実現するためには、コントローラーとアクチュエータの両方がASIL Dレベルの機能安全と信頼性に到達する必要があるが、既存の単一のECU(Electronic Control Unit、電子制御手段)とアーキテクチャの自動運転システムは、ASIL Dレベルの機能安全と信頼性を実現することができていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の上記の問題に対して、本発明は、自動運転制御システム、方法及び装置を提供することにより、従来の単一アーキテクチュアの自動運転制御システムが、任意のコントローラー又はアクチュエータが1つ故障した場合に正常に作動できない、という問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様は、自動運転制御システムを提供する。制御システムは、メイン制御システムと予備制御システムを含み、メイン制御システムは、メイン制御モジュールとメイン実行モジュールを含み、予備制御システムは、予備制御モジュールと予備実行モジュールを含む。ここで、メイン制御モジュールは、メイン制御システムの作動状態をリアルタイムで監視するために使用される。メイン制御モジュールは、さらに、メイン制御システムの故障発生を検出した場合、故障の通知を予備制御モジュールに送信し、各メイン実行モジュールに応答中止制御命令を送信するために使用される。応答中止制御命令は、各メイン実行モジュールに車両を制御する任意の制御命令への応答を禁止するように指示するために使用される。予備制御モジュールは、故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御するために使用される。
【0006】
さらに、予備制御モジュールは、故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールに予備制御命令を送信するために使用される。予備実行モジュールは、予備制御命令を実行するために使用される。
【0007】
さらに、予備制御モジュールは、予備実行モジュールに予備制御命令を送信するために使用される。予備制御モジュールは、さらに、故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールに第一応答制御命令を送信するために使用される。第一応答制御命令は、各予備実行モジュールに予備制御命令への応答を開始するように指示するための制御命令である。予備実行モジュールは、第一応答制御命令に基づいて予備制御命令の実行を開始するために使用される。
【0008】
さらに、予備制御モジュールは、予備制御命令を分解し、分解された予備制御命令をそれぞれ対応する予備実行モジュールに送信し、各予備実行モジュールは、分解された予備制御命令に基づいて車両を制御するために使用される。
【0009】
さらに、メイン制御システムの作動状態には、メイン制御モジュール、いずれか一つのメイン実行モジュール及びメイン通信ネットワークの作動状態が含まれる。
【0010】
さらに、予備制御モジュールは、メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断し、メイン制御モジュールとの通信が切断されていると判断した場合に、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御するために使用される。
【0011】
さらに、メイン実行モジュールは、メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断し、メイン制御モジュールとの通信が切断されていると判断した場合に、作動を停止するために使用される。
【0012】
さらに、メイン制御モジュールは、メイン実行モジュールに、メイン制御命令と第二応答制御命令を送信するために使用され、第二応答制御命令は、各メイン実行モジュールがメイン制御命令に応答するように指示し、及び分解されたメイン制御命令に各予備実行モジュールが応答するように指示するための制御命令である。
【0013】
本発明の第二の態様は、自動運転制御システムの制御方法を提供する。自動運転システムは、メイン制御システムと予備制御システムを含み、メイン制御システムは、メイン制御モジュールとメイン実行モジュールを含み、予備制御システムは、予備制御モジュールと予備実行モジュールを含む。上記制御方法は、メイン制御モジュールがメイン制御システムの作動状態をリアルタイムで監視すること、メイン制御モジュールは、メイン制御システムに故障が発生したとメイン制御モジュールが検出した場合、予備制御モジュールに故障の通知を送信し、かつ応答中止制御命令を各メイン実行モジュールに送信し、応答中止制御命令は、各メイン実行モジュールに車両を制御する任意の制御命令への応答を禁止するように指示するための制御命令であること、予備制御モジュールは、故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御すること、を含む。
【0014】
本発明の第三の態様は、プロセッサと記憶手段を含み、記憶手段に少なくとも一つの命令、少なくとも一つのプログラム、コードセット又は命令セットが記憶されており記少なくとも一つの命令、少なくとも一つのプログラム、コードセット又は命令セットが、プロセッサによってロード及び実行される場合に、自動運転制御システムの制御方法を実現する自動運転システムの制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
上記の技術的解決策により、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0016】
本発明に係る自動運転制御システムは、メイン制御システムと予備制御システムを含み、通常の状態では、メイン制御システムにより自動運転システムのメイン制御命令を実行する一方、メイン制御システムのいずれかのモジュールが1つ故障した場合、代わりに予備制御システムにより予備制御命令を実行することにより、自動運転車両は、メイン制御システムのいずれかのモジュールが1つ故障しても依然として正常に作動でき、自動運転におけるASIL Dレベルの機能安全と信頼性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとっては創造的な努力なしに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本発明の実施例が提供する自動運転制御システムの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施例が提供する自動運転制御システムの制御方法のフローを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者が本発明の解決策をよりよく理解できるようにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決策を明確かつ完全に記載する。明らかに、記載された実施例は本発明の実施例の一部に過ぎす、実施例の全てではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られる実施例は、いずれも、本発明が保護範囲に含まれるものとする。
【0019】
なお、本発明の明細書、特許請求の範囲及び図面における「第一」や「第二」などの用語は類似の対象を区分するために使用され、必ずしも、特定の順序や先後順序を意味するものではない。理解するべきことは、このように用いられるデータも、適正な場合には交換可能であり、そして、本明細書で記載される本発明の実施例は、本明細書で示されたり記載されたりする図面以外の順序に従っても実施可能であることである。また、「含む」や「有する」、並びに、それらの任意の変形も、非排他的な包含をカバーすることを意図している。
【0020】
図1は、本発明の実施例が提供する自動運転制御システムの構成を示す模式図である。
図1に示すように、前記自動運転制御システムは、メイン制御システムと予備制御システムを含む。上記メイン制御システムは、メイン制御モジュールとメイン実行モジュールを含む。上記予備制御システムは、予備制御モジュールと予備実行モジュールを含む。上記メイン制御モジュールは、上記メイン制御システムの作動状態をリアルタイムで監視するために使用される。上記メイン制御モジュールは、さらに、上記メイン制御システムの故障発生を検出した場合、上記予備制御モジュールに故障の通知を送信し、応答中止制御命令を各メイン実行モジュールに送信するために使用される。上記応答中止制御命令は、各メイン実行モジュールに車両を制御する任意の制御命令への応答を禁止するように指示するために使用される制御命令である。上記予備制御モジュールは、故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御するために使用される。
【0021】
本発明の実施例では、上記メイン実行モジュールは、一つ又は複数ありえ、上記メイン制御モジュールは、それぞれ、一つ又は複数のメイン実行モジュールとの通信接続を確立する。上記予備実行モジュールは、一つ又は複数ありえ、予備制御モジュールは、それぞれ、一つ又は複数の上記予備実行モジュールとの通信接続を確立する。メイン制御モジュールと予備制御モジュールとの間の通信が切断されないように保証するために、メイン制御モジュールと予備制御モジュールとを二つのバスを介して接続する。
【0022】
上記予備実行モジュールは、実際のニーズに合わせて配置されてもよい。例えば、メイン実行モジュールは、メイン制動モジュール、メイン転向モジュール及びメイン動力モジュールを含み、予備実行モジュールは、実際のニーズに合わせて、予備制動モジュールと予備転向モジュールのみを配置すればよく、予備動力モジュールを配置しなくてもよい。
【0023】
上記メイン制御システムの作動状態は、メイン制御モジュール、いずれかのメイン実行モジュール及びメイン通信ネットワークの作動状態を含む。メイン制御システムの故障発生には、メイン制御モジュール又はいずれかのメイン実行モジュールに故障が発生すること、メイン制御モジュールといずれかのメイン実行モジュールとの間の通信が切断されること、を含む。
【0024】
特定の実施例では、メイン制御システムに故障が発生していない場合、予備実行モジュールは予備制御命令を受信することがない。一方、メイン制御システムに故障が発生した場合、予備実行モジュールが予備制御命令を受信し、予備制御命令の実行を開始することになる。即ち、予備制御モジュールは、故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールに予備制御命令を送信するために使用され、予備実行モジュールは、予備制御命令を実行するために使用される。
【0025】
他の特定の実施例では、メイン制御システムに故障が発生してない場合、予備実行モジュールは予備制御命令を受信できるが、予備制御命令を実行することはできない。一方、メイン制御システムに故障が発生した場合、予備実行モジュールは予備制御命令の実行を開始してもよい。つまり、予備制御モジュールは、予備実行モジュールに予備制御命令を送信するために使用される。予備制御モジュールは、さらに、故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールに第一応答制御命令を送信するために使用される。第一応答制御命令は、各予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように指示するための制御命令である。予備実行モジュールは、第一応答制御命令に基づいて予備制御命令の実行を開始するために使用される。
【0026】
いくつかの他の実施例では、複数の予備実行モジュールがあり得るので、予備制御命令を正確に、対応する予備実行モジュールに送信するために、予備制御モジュールに以下の機能も有する。予備制御モジュールは、さらに、予備制御命令を分解し、分解された予備制御命令をそれぞれ対応する予備実行モジュールに送信して、分解された予備制御命令に従って車両を各予備実行モジュールが制御するようにする。
【0027】
いくつかの他の実施例では、メイン制御モジュールとの通信が切断されている場合、予備制御モジュールがメイン制御モジュールから送信された故障の通知を受信できなくなり、そして、予備制御システムは、メイン制御システムに故障が発生すると、予備制御命令を実行できない、又は、タイムリーに実行できない。そして、メイン制御モジュールとの通信が切断したことにより引き起こされるこの問題を回避するために、予備制御モジュールに以下の機能も有する。予備制御モジュールは、メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断し、メイン制御モジュールとの通信が切断されている判断した場合に、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御するために使用される。
【0028】
いくつかの他の実施例では、メイン制御モジュールとの通信が切断されている場合、メイン実行モジュールはメイン制御モジュールから送信される応答中止請求を受信できなくなり、メイン実行モジュールはメイン制御命令と対応する実行操作を停止できない。そして、メイン制御モジュールとの通信が切断したことにより引き起こされるこの問題を回避するために、メイン実行モジュールは、以下の機能も有する。メイン実行モジュールは、メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断し、メイン制御モジュールとの通信が切断されている判断した場合に、作動を停止するために使用される。
【0029】
いくつかの他の実施例では、メイン実行モジュールのみによりメイン制御命令を実行する効率が比較的低いことから、自動運転の作動効率を高めるために、メイン制御モジュールは、以下の機能も有する。メイン制御モジュールは、メイン実行モジュールにメイン制御命令と第二応答制御命令を送信するために使用される。第二応答制御命令は、各メイン実行モジュールがメイン制御命令に応答するように指示し、分解されたメイン制御命令に応答するように各予備実行モジュールに指示するための制御命令である。
【0030】
以下、本発明に係る自動運転制御システムの制御方法を説明する。
図2は、本発明の実施例が提供する自動運転制御システムの制御方法のフローを示す模式図である。本明細書には、実施例又はフローチャートに記載されている方法、操作やステップが提供されるが、日常的又は非創造的な作業に基づいて、より多い又はより少ない操作ステップが含まれてもよい。実施例に列挙されたステップの順序は、多くのステップの実行順序の一形態に過ぎず、実行される唯一の順序を意味するわけではない。実際、自動運転制御システムにおける制御装置や製品は、実行されるとき、実施例又は図面に示された方法の順序に従って実行したり、並列実行(例えば、並列プロセッサ又はマルチスレッディング処理環境において)したりしてもよい。
図1に示すように、自動運転制御システムは、メイン制御システムと予備制御システムを含み、メイン制御システムは、メイン制御モジュールとメイン実行モジュールを含み、予備制御システムは、予備制御モジュールと予備実行モジュールを含む。
図2に示すように、上述した方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0031】
ステップS201:メイン制御モジュールは、メイン制御システムの作動状態をリアルタイムで監視する。
ステップS203:メイン制御モジュールが、メイン制御システムの故障発生を検出した場合、メイン制御モジュールが予備制御モジュールに故障の通知を送信し、応答中止制御命令を各メイン実行モジュールに送信する。応答中止制御命令は、各メイン実行モジュールに車両を制御する任意の制御命令への応答を禁止するように指示するための制御命令である。本発明の実施例では、メイン制御システムの故障には、メイン制御モジュール、いずれかのメイン実行モジュール及びメイン通信ネットワークの故障が含まれる。
ステップS205:予備制御モジュールが故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御する。
【0032】
特定の実施例では、予備制御モジュールが故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御することは、予備制御モジュールが故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールに予備制御命令を送信すること、及び、予備実行モジュールが予備制御命令を実行すること、を含んでもよい。
【0033】
他の特定の実施例では、予備制御モジュールが故障の通知を受信した後、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御する前に、上述した方法は、さらに以下を含んでもよい。
予備制御モジュールは、予備実行モジュールに予備制御命令を送信する。
予備制御モジュールが故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御することは、予備制御モジュールが故障の通知を受信した後に、予備実行モジュールに第一応答制御命令を送信し、第一応答制御命令は、各予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように指示するための制御命令であること、及び、予備実行モジュールは、第一応答制御命令に基づいて予備制御命令の実行を開始すること、を含んでもよい。
【0034】
いくつかの他の実施例では、上述した方法は、さらに以下を含んでもよい。
予備制御モジュールは予備制御命令を分解する。
予備制御モジュールは、分解された予備制御命令をそれぞれ対応する予備実行モジュールに送信し、分解された予備制御命令に従って車両を各予備実行モジュールが制御するようにする。
【0035】
いくつかの他の実施例では、上述した方法は、さらに以下を含んでもよい。
予備制御モジュールは、メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断し、切断されている場合、予備実行モジュールが予備制御命令の実行を開始するように制御する。
【0036】
いくつかの他の実施例では、メイン実行モジュールは、メイン制御モジュールとの通信が切断されているかどうかを判断し、切断されている場合、メイン実行モジュールが作動を停止する。
【0037】
いくつかの他の実施例は、前記方法は、さらに以下を含んでもよい。
メイン制御モジュールは、メイン実行モジュールにメイン制御命令と第二応答制御命令を送信する。第二応答制御命令は、各メイン実行モジュールがメイン制御命令に応答し、分解されたメイン制御命令に各予備実行モジュールが応答するように指示するための制御命令である。
【0038】
上述した方法に係る実施例中の方法は、システムに係る実施例と同じ発明発想に基づいている。
【0039】
本発明の実施例は、プロセッサと記憶手段を含み、記憶手段に少なくとも一つの命令、少なくとも一つのプログラム、コードセット又は命令セットが記憶されており、少なくとも一つの命令、少なくとも一つのプログラム、コードセット又は命令セットが、プロセッサによってロード及び実行されることにより、上述したいずれかの自動運転制御システムの制御方法を実現する自動運転制御装置をさらに提供する。
【0040】
本発明の実施例が提供する自動運転制御システム、方法又は装置に係る実施例を実施すると、通常の状態では、メイン制御システムを介して自動運転システムメイン制御命令を実行し、メイン制御システムのいずれかのモジュールの1つが故障した場合、代わりに予備制御システムを介して予備制御命令を実行することにより、メイン制御システムのいずれかのモジュールの1つが故障しても自動運転車両が依然として正常に作動できることから、自動運転におけるASIL Dレベルの機能安全と信頼性を実現することができる。
【0041】
なお、上述した本発明の実施例についてその前後の順序は説明ためのものに過ぎず、実施例の優劣を示すものではない。また、上記に本明細書の特定の実施例を説明した。しかし、他の実施例も、以下の請求の範囲に含まれる。幾つかの場合において、請求の範囲に記載されている動作やステップは、実施例に示された順序と異なって実行されても、依然として、望ましい結果を達成することも可能である。また、図面は、示された特定の順序又は連続的順序でなければ期待可能な結果を達成できないように描かれたものではない。幾つかの実施形態では、マルチタスク処理及び並列処理も可能であるか又は有益な場合がある。
【0042】
本明細書の各実施例は、いずれも、漸進的に説明されており、各実施例間の同一又は類似の部分を互いに参照可能であり、各実施例において焦点を当てて説明したのは、他の実施例との相違点である。特に、装置、端末又はシステムに係る実施例について、それらは方法に係る実施例と基本的に同様であることから、その記載はかなり簡単であり、関連するところについては方法に係る実施例の部分への説明を参照すればよい。
【0043】
当業者にとって理解可能なことは、上記の実施例の全て又はステップの一部を実現することに、ハードウェアを採用したり、プログラムを介して関連するハードウェアを採用したりしてもよいことである。前記プログラムは、コンピューターの記憶媒体に記憶されているものであり、上記の記憶媒体は、読み取り専用記憶手段、磁気ディスク又は光ディスクであってもよい。