(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】生体液試料を回収する方法および生体液回収デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/154 20060101AFI20240626BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A61B5/154 100
G01N1/10 V
(21)【出願番号】P 2023015024
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2020560938の分割
【原出願日】2019-04-30
【審査請求日】2023-02-20
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】エデルハウザー,アダム
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0367177(US,A1)
【文献】特開2015-154966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0016308(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/15-5/157
G01N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体液のポイントオブケア試験デバイスへの放出を制御する生体液回収デバイスであって、
入口、出口、及び前記入口と前記出口との間で延びる通路を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部にあり、前記通路に流体連通する回収チャンバと、
下面および上面を有する膜であって、前記膜の前記下面が前記回収チャンバの一部に接触する初期位置と、前記膜の前記下面が前記回収チャンバから間隔があけられる充填位置との間で移行可能な膜と、
変形可能部であって、液試料が前記回収チャンバ内に含まれる初期位置と、前記変形可能部が前記膜の前記上面に接触し前記液試料の一部が前記回収チャンバの前記出口からポイントオブケア試験デバイスへ放出される変形位置との間で移行可能な前記変形可能部と、
前記ハウジングの内部にあり、真空を含み、前記回収チャンバと連通して前記回収チャンバ内に前記液試料を引き寄せるように構成される排気チャンバと、
真空が前記排気チャンバ内に封入される閉位置から、前記真空が前記入口に適用されて前記回収チャンバ内に前記液試料を引き寄せる開位置に移行可能な封止材と、を備えるデバイス。
【請求項2】
前記膜が前記充填位置にあるとき、前記回収チャンバは前記液試料で充填され、前記回収チャンバが前記液試料で充填されると、前記膜が前記充填位置に移行されるように構成される、請求項
1に記載の生体液回収デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「生体液マイクロ試料管理デバイス(Biological Fluid Micro-Sample Management Device)」という表題の、2018年5月1日に出願された米国仮出願第62/665,100号の優先権を主張するものであり、この全体の開示内容が完全に参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して生体液試料を回収する方法および生体液回収デバイスに関する。より詳細には、本開示は、血液の小試料を回収し、且つ、ポイントオブケア又は近患者試験デバイスなど、前記試料を分析するためのデバイス内に前記試料の一部を分注するための回収モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
患者のポイントオブケアの適用のための、分析のための500マイクロリットル未満の回収試料などのマイクロ試料の回収を可能にするデバイスの必要性が存在する。現行のデバイスは、従来の試料回収と、ポイントオブケアカートリッジ収容ポート又はポイントオブケア器具収容ポートに小血液試料を移送するための1mLの注射器又はピペットの後続の使用とを必要とする。そのような開放的システムアプローチによって、前記試験を行う従事者の血液曝露リスクが増加し、特定の試験手順に必要な過剰な試験片が回収されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゆえに、従来の自動採血を組み込み、且つ曝露リスクを最小限に抑えつつ新規の制御された試料分注能力を含むポイントオブケアの適用のための血液試料回収及び分注器具を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、生体液試料を回収する方法、および、試料を収容し、且つ、フロースルー血液安定化技術と、ポイントオブケア及び近患者試験の適用のための正確な試料分注機能と、を提供する生体液回収デバイスを提供する。本開示の生体液回収デバイスは、血液試料中における試料安定剤の分布混合を実現し、制御された方法で前記安定化された試料を分注することが可能である。この方法において、本開示の生体液回収デバイスは、ポイントオブケア及び近患者試験の適用のための血液マイクロ試料管理、例えば、試料安定剤との受動的混合や、制御された分注を可能にする。
【0006】
有利には、本開示の生体液回収デバイスは、ポイントオブケア及び近患者試験の適用、自動採血、受動的混合技術、並びに近患者試験収容ポートを有するポイントオブケアカートリッジ及び標準ルアーインターフェイス(Luer interfaces)への制御された小試料分注の能力のための一貫した血液試料管理器具を提供する。
【0007】
有利には、本開示の生体液回収デバイスは内部真空を含む。この方法において、本開示の生体液回収デバイスによって、使用中に前記生体液回収デバイスに接続しなければならない追加的な真空発生構成要素の必要性がなくなる。一実施形態において、前記生体液回収デバイスの排気チャンバには、回収チャンバ内に試料を引き寄せる真空がある。前記生体液回収デバイスの使用者は、前記内部真空をいつ適用するのかについて制御することが可能である。
【0008】
本発明の実施形態によれば、試料を収容するために適合させた生体液回収デバイスは、入口、出口、及び前記入口と前記出口との間で延びる通路を有するハウジング;前記ハウジングの内部にあり、前記通路に流体連通する回収チャンバ;前記ハウジングの内部にあり、真空を含む排気チャンバ;及び前記真空が前記排気チャンバ内に封入される閉位置から、前記真空が前記入口に適用されて前記回収チャンバ内に前記試料を引き寄せる開位置に移行可能な封止材を含む。
【0009】
一構成において、前記封止材は、前記回収チャンバの第1部分に設けられる箔素子と、前記回収チャンバの第2部分に設けられるストッパ素子とを含む。
【0010】
別の構成において、前記生体液回収デバイスは、第1位置と第2位置との間で移行可能な活性化部材であって、前記活性化部材が前記箔素子を貫通して前記封止材を前記開位置へ移動させる、活性化部材を含む。さらに別の構成において、前記生体液回収デバイスは、前記ハウジングの前記入口を覆うクロージャを含む。一構成において、前記生体液回収デバイスは、前記ハウジングの前記出口を覆い、通気部を有するキャップを含む。別の構成において、前記通気部によって、空気はそれを通過し、前記試料がそれを通過することが阻止される。さらに別の構成において、前記生体液回収デバイスは、下面及び上面を有する膜であって、前記膜の前記下面が前記回収チャンバの一部に接触する初期位置と、前記膜の前記下面が前記回収チャンバから間隔があけられる充填位置との間で移行可能な前記膜を含む。一構成において、前記充填位置における前記膜によって、前記試料が前記回収チャンバに充填される。別の構成において、前記試料が前記回収チャンバに充填されると、前記膜を前記充填位置に移行させる。さらに別の構成において、前記生体液回収デバイスは、変形可能部であって、前記試料が前記回収チャンバ内に含まれる初期位置と、前記変形可能部が前記膜の前記上面に接触し、前記試料の一部が前記回収チャンバの前記出口から放出される変形位置との間で移行可能な前記変形可能部を含む。一構成において、前記生体液回収デバイスは、前記入口と前記回収チャンバとの間に設けられた混合チャンバ、及び前記入口と前記混合チャンバとの間に設けられた試料安定剤を含む。別の構成において、前記混合チャンバは、その中に前記試料及び前記試料安定剤を収容する。更に別の構成において、前記混合チャンバは、前記試料中における前記試料安定剤の分布混合を実現する。一構成において、前記生体液回収デバイスは、前記入口と前記混合チャンバとの間に設けられた孔を含む材料、及び前記材料の前記孔の中における乾燥抗凝固剤粉末を含む。別の構成において、前記試料は、前記材料を通過しつつ、前記乾燥抗凝固剤粉末を溶解し、混合する。さらに別の構成において、前記材料は連続気泡発泡体である。一構成において、前記試料安定剤は前記乾燥抗凝固剤粉末である。別の構成において、前記試料は血液試料である。
【0011】
本発明の生体液試料を回収する方法は、生体液回収デバイスを設ける工程と、前記生体液回収デバイスを、前記液試料を液源から回収するように構成された別の回収デバイスに接続する工程と、前記活性化部材に圧力をかけて、前記封止材を閉位置から開位置に移行させ、前記液試料を前記通路内に引き寄せる工程と、を有する。
【0012】
別の構成において、前記方法は、前記封止材が、前記回収チャンバの第1部分に設けられる箔素子と、前記回収チャンバの第2部分に設けられるストッパ素子と、を含み、前記活性化部材に圧力を加えることで、前記活性化部材を、第1位置と前記活性化部材が前記ストッパ素子に圧力をかけて前記箔素子を貫通して前記封止材を前記開位置へ移動させる第2位置との間で移行させる。
【0013】
別の構成において、前記方法は、クロージャを設ける工程と、前記ハウジングの前記入口を覆う工程と、を含む。
【0014】
別の構成において、前記方法は、通気部を有するキャップを設ける工程と、前記ハウジングの前記出口を覆う工程と、を含む。
【0015】
別の構成において、前記方法は、前記通気部は、空気の通過を許容し、前記液試料の通過を阻止する。
【0016】
別の構成において、前記方法は、前記生体液回収デバイスは、下面および上面を有する膜を含み、前記膜は、前記膜の前記下面が前記回収チャンバの一部に接触する初期位置と、前記膜の前記下面が前記回収チャンバから間隔があけられる充填位置との間で移行可能である。
【0017】
別の構成において、前記方法は、前記回収チャンバが前記液試料で充填されると、前記膜は前記充填位置に移行される。
【0018】
別の構成において、前記方法は、前記生体液回収デバイスは、変形可能部であって、前記液試料が前記回収チャンバ内に含まれる初期位置と、前記変形可能部が前記膜の前記上面に接触する変形位置との間で移行可能な変形可能部を含み、前記方法は、前記変形可能部に圧力をかけて、前記液試料の一部を前記回収チャンバの前記出口から放出する工程を含む。
【0019】
別の構成において、前記方法は、前記生体液回収デバイスにおいて、前記入口と前記回収チャンバとの間に混合チャンバを設ける工程と、前記入口と前記混合チャンバとの間に試料安定剤を設ける工程であって、前記混合チャンバは、前記別の回収デバイスから前記液試料を回収する際に、前記液試料と前記試料安定剤とを内部に収容するように構成された工程と、を更に含む。
【0020】
別の構成において、前記方法は、前記混合チャンバは、前記液試料中における前記試料安定剤の分布混合を実現するように構成される。
【0021】
別の構成において、前記方法は、前記入口と前記混合チャンバとの間に、孔を含む材料を設ける工程と、前記材料の前記孔の中に乾燥抗凝固剤粉末を設ける工程と、を更に含む。
【0022】
別の構成において、前記方法は、前記別の回収デバイスは、血液試料を引き寄せるように構成される。
【0023】
別の構成において、前記方法は、前記別の回収デバイスは、針カニューレを有するチューブホルダを備え、前記方法は、前記針カニューレを前記ハウジングの前記通路に挿入するする工程を含む。
【0024】
別の構成において、前記方法は、前記生体液回収デバイスは、前記ハウジングの前記入口を覆う自己密封式ストッパを有するクロージャを備え、前記針カニューレは、前記クロージャの前記自己密封式ストッパを通して挿入される。
【0025】
別の構成において、前記方法は、前記入口は、コネクタハウジングインターフェースを含み、前記別の回収デバイスは、インターフェースを有する液ラインを含み、前記方法は、前記コネクタハウジングインターフェースを液ラインインターフェースに接続する工程を含む。
【0026】
別の構成において、前記方法は、前記別の回収デバイスは、動脈血液回収デバイスを備え、前記方法は、前記入口を前記動脈血液回収デバイスに接続する工程を含む。
【0027】
本発明の生体液回収デバイスは、生体液のポイントオブケア試験デバイスへの放出を制御する生体液回収デバイスであって、入口、出口、及び前記入口と前記出口との間で延びる通路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部にあり、前記通路に流体連通する回収チャンバと、下面および上面を有する膜であって、前記膜の前記下面が前記回収チャンバの一部に接触する初期位置と、前記膜の前記下面が前記回収チャンバから間隔があけられる充填位置との間で移行可能な膜と、変形可能部であって、液試料が前記回収チャンバ内に含まれる初期位置と、前記変形可能部が前記膜の前記上面に接触し前記液試料の一部が前記回収チャンバの前記出口からポイントオブケア試験デバイスへ放出される変形位置との間で移行可能な前記変形可能部と、を備える。
【0028】
別の構成において、前記生体液回収デバイスは、前記膜が前記充填位置にあるとき、前記回収チャンバは前記液試料で充填され、前記回収チャンバが前記液試料で充填されると、前記膜が前記充填位置に移行されるように構成される。
【0029】
別の構成において、前記生体液回収デバイスは、前記ハウジングの内部にあり、真空を含み、前記回収チャンバと連通して前記回収チャンバ内に前記液試料を引き寄せるように構成される排気チャンバを備える。
【0030】
別の構成において、前記生体液回収デバイスは、真空が前記排気チャンバ内に封入される閉位置から、前記真空が前記入口に適用されて前記回収チャンバ内に前記液試料を引き寄せる開位置に移行可能な封止材を含む。
【0031】
添付の図面と共に取られる本開示の実施形態の以下の記載を参照することで、本開示の上述及び他の特徴及び長所並びにそれらを達成する方法はより明らかになるであろうし、本開示そのものはより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスの側部立面図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスの分解斜視図である。
【
図3A】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスに接続されたクロージャを有する生体液回収デバイスの斜視図である。
【
図3B】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスから除去されるクロージャを有する生体液回収デバイスの斜視図である。
【
図4A】本発明の実施形態にかかる第1血液回収デバイスに接続されるクロージャを有する生体液回収デバイスの斜視図である。
【
図4B】本発明の実施形態にかかる第2血液回収デバイスに接続される生体液回収デバイスの斜視図である。
【
図4C】本発明の実施形態にかかる第3血液回収デバイスに接続される生体液回収デバイスの斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる第1血液回収デバイスに接続されたクロージャを有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図6A】本発明の実施形態にかかる第1位置における活性化部材を有する第1血液回収デバイスに接続されたクロージャを有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図6B】本発明の実施形態にかかる
図6Aの部分6Bに沿って取られた前記生体液回収デバイスの拡大部分断面図である。
【
図7A】本発明の実施形態にかかる第2位置における活性化部材を有する第1血液回収デバイスに接続されたクロージャを有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図7B】本発明の実施形態にかかる
図7Aの部分7Bに沿って取られた前記生体液回収デバイスの拡大部分断面図である。
【
図8A】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスの第1部分の中に引き寄せられる試料を有する第1血液回収デバイスに接続されたクロージャを有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図8B】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスの第2部分の中に引き寄せられる試料を有する第1血液回収デバイスに接続されたクロージャを有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図8C】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスの第3部分の中に引き寄せられる試料を有する第1血液回収デバイスに接続されたクロージャを有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図8D】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスの第4部分の中に引き寄せられる試料と充填位置における膜とを有する第1血液回収デバイスに接続されたクロージャを有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図9】本発明の実施形態にかかる除去されるキャップと初期位置における変形可能部とを有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図10】本発明の実施形態にかかる変形位置における変形可能部を有する生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図11】本発明の実施形態にかかる第3血液回収デバイスに接続された生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図12】本発明の実施形態にかかる生体液回収デバイスの中に引き寄せられる試料と充填位置における膜とを有する第3血液回収デバイスに接続された生体液回収デバイスの断面側部立面図である。
【
図13】本発明の実施形態にかかる連続気泡発泡体材料の斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態にかかるそのマイクロ構造にわたって分布する乾燥抗凝固剤粉末を有する連続気泡発泡体材料のマイクロ構造の顕微鏡図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
対応する符号は、いくつかの前記図にわたって対応する部分を示す。本明細書に示される例示は、本開示の例示的な実施形態を示し、そのような例示は、いかなる方法でも本開示の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【0034】
本発明を実施するために考察される、記載された実施形態を当業者が製作し使用することを可能にするために、以下の記載が提供される。しかし、各種の修正、均等物、変更及び変形例は、当業者にとって容易に明らかなままとなるであろう。あらゆるそのような修正、変更、均等物及び変形例は、本発明の精神及び範囲内にあることが意図される。
【0035】
以下記載の目的のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上」、「底」、「横方向」、「長手方向」という用語及びそれらの派生物は、それが図面内で方向づけられる場合、本発明に関連する。しかし、本発明が、反対に明示的に特定される場合を除き、各種の代替的変更を想定してもよいことを理解すべきである。添付の図面に示され、以下の明細書に記載される前記特定のデバイスが単に本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。ゆえに、本明細書に開示される前記実施形態に関する特定の寸法及び他の物理的特性は、限定的なものとして考えるべきではない。
【0036】
本開示は、試料を収容し、且つ、フロースルー血液安定化技術と、ポイントオブケア及び近患者試験の適用のための正確な試料分注機能と、を提供する生体液回収デバイスを提供する。本開示の生体液回収デバイスは、血液試料中における試料安定剤の分布混合を実現し、制御された方法で前記安定化された試料を分注することが可能である。この方法において、本開示の生体液回収デバイスは、ポイントオブケア及び近患者試験の適用のための血液マイクロ試料管理、例えば、試料安定剤との受動的混合や、制御された分注を可能にする。
【0037】
有利には、本開示の生体液回収デバイスは、ポイントオブケア及び近患者試験の適用、自動採血、受動的混合技術、並びに近患者試験収容ポートを有するポイントオブケアカートリッジ及び標準ルアーインターフェイスへの制御された小試料分注の能力のための一貫した血液試料管理器具を提供する。
【0038】
有利には、本開示の生体液回収デバイスは内部真空を含む。この方法において、本開示の生体液回収デバイスによって、使用中に前記生体液回収デバイスに接続しなければならない追加的な真空発生構成要素の必要性がなくなる。一実施形態において、前記生体液回収デバイスの排気チャンバには、回収チャンバ内に試料を引き寄せる真空がある。前記生体液回収デバイスの使用者は、前記内部真空をいつ適用するのかについて制御することが可能である。
【0039】
図1~
図5は、本開示の生体液回収デバイスの例示的な実施形態を示す。
図1~
図5を参照すると、本開示の生体液回収デバイス10は、血液試料などの生体液試料12を収容するために適合され、ハウジング又はハウジング構築体14、回収チャンバ16、排気チャンバ18、封止材又は封止材構築体20、クロージャ22、キャップ24及び混合構築体26を含む。
【0040】
有利には、本開示の生体液回収デバイス10は、前記ハウジング14の内部にあり、前記生体液回収デバイス10の内部に真空28を含む排気チャンバ18を含む。
【0041】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10の前記ハウジング又はハウジング構築体14は、入口30、出口32、及び前記入口30と前記出口32との間で延びる通路34を有する主要ハウジング29を含む。一実施形態において、前記入口30は、前記主要ハウジング29の第1端部36に位置し、前記出口32は、前記主要ハウジング29の第2端部38に位置する。前記入口30及び前記出口32は、それらの間で延びる前記通路34を介して流体連通している。
【0042】
一実施形態において、前記ハウジング14は、前記主要ハウジング29の前記第1端部36に固定されたコネクタハウジング40を含んでもよい。前記コネクタハウジング40は、コネクタハウジングインターフェース42及びフランジ44を含む。一実施形態において、
図4A~
図4Cに示され、以下にさらに詳細に記載されるように、前記コネクタハウジングインターフェース42は、前記生体液回収デバイス10を、標準ルアーインターフェイス224を介して第2血液回収デバイス220に、又は標準ルアーインターフェイス234を介して第3血液回収デバイス230に接続するために使用され得るオスルアー取付具46を含む。一実施形態において、前記主要ハウジング29の前記第1端部36に固定されたコネクタハウジング40と共に、前記生体液回収デバイス10の前記入口30は、前記コネクタハウジング40の前記インターフェース42に位置する。
【0043】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、前記ハウジング14の内部にあり、前記通路34に流体連通する回収チャンバ16と、前記ハウジング14の内部にあり、真空28を含む排気チャンバ18と、混合構築体26とを含む。一実施形態において、前記ハウジング構築体14は、前記主要ハウジング29の内部に内部ハウジング50を含む。一実施形態において、前記内部ハウジング50は、前記回収チャンバ16及び前記排気チャンバ18を規定する。
【0044】
有利には、本開示の生体液回収デバイス10は、前記ハウジング14の内部にあり、前記生体液回収デバイス10の内部に真空28を含む前記排気チャンバ18を含む。本開示の真空28を含む前記排気チャンバ18によって、使用中に前記生体液回収デバイス10に接続していなければならない追加的な真空発生構成要素の必要性がなくなる。
【0045】
前記生体液回収デバイス10の前記排気チャンバ18は、前記回収チャンバ16内に試料12を引き寄せる真空28を有する。前記生体液回収デバイス10の使用者は、以下でさらに詳細に記載されるように前記内部真空28をいつ適用するのかについて制御することが可能である。
【0046】
前記生体液回収デバイス10は、前記真空28が前記排気チャンバ18内に封入される閉位置(
図5~
図6B)から、前記真空28が前記生体液回収デバイス10の前記通路34及び前記入口30に適用されて前記生体液回収デバイス10内に試料12を引き寄せる開位置(
図7A-8D)に移行可能な封止材又は封止材構築体20を含む。
【0047】
図2を参照すると、一実施形態において、前記封止材20は、前記排気チャンバ18の第1部分に設けられる箔素子100を含む。例えば、一実施形態において、前記箔素子100は、前記排気チャンバ18の壁内の穴102を封止する。前記封止材20は、前記排気チャンバ18の第2部分に設けられるストッパ素子104を含んでもよい。例えば、一実施形態において、前記ストッパ素子104は、前記内部ハウジング50の第1端部106を封止してもよい。
【0048】
一実施形態において、前記ストッパ素子104は、封止のために従来から用いられている任意の可撓性エラストマー材料で成形された単一デバイスであってもよい。特に、前記ストッパ素子104は、ゴム、シリコーン系エラストマー及び熱可塑性エラストマーを含むエラストマー材料又は同様の材料から形成されてもよい。
【0049】
前記生体液回収デバイス10は、第1位置(
図5~
図6B)と第2位置(
図7A~
図8D)との間で移行可能な活性化部材110を含み、前記活性化部材110は、前記箔素子100を貫通して前記封止材20を前記開位置(
図7A~
図8D)へ移動させる。開位置の前記封止材20と共に、前記排気チャンバ18内に含まれる前記真空28は前記入口30及び通路34に適用されて、前記回収チャンバ16内に試料12を引き寄せる。この方法で、前記排気チャンバ18内に含まれる前記真空28は、開放穴102を介して前記生体液回収デバイス10の前記回収チャンバ16及び通路34に連通して配置され、前記排気チャンバ18の前記真空28は、前記生体液回収デバイス10の前記回収チャンバ16内に試料12を引き寄せる。
【0050】
一実施形態において、前記活性化部材110は、前記主要ハウジング29の第2変形可能部94と前記排気チャンバ18の壁内の前記穴102を封止する前記箔素子100とのの間の前記生体液回収デバイス10内に設けられる。この方法において、
図7A及び
図7Bを参照すると、一実施形態において、使用者は、前記第2変形可能部94が前記活性化部材110に接触して、前記活性化部材110が前記箔素子100を貫通して前記封止材20を前記開位置(
図7A~
図8D)へ移動させる前記第2位置(
図7A~
図8D)に前記活性化部材110を押し下げるように、前記第2変形可能部94を押し下げてもよい。
前記活性化部材110によって、前記生体液回収デバイス10の使用者が、前記生体液回収デバイス10の前記回収チャンバ16内に試料12を引き寄せるために前記内部真空28をいつ適用するのかを制御することができるようになる。
【0051】
前記混合構築体26及び前記回収チャンバ16は、前記通路34に流体連通して提供される。前記生体液回収デバイス10の前記入口30に導入された血液試料などの生体液試料12が、まず試料安定剤60を通過し、次いで前記血液試料12及び前記試料安定剤60が前記混合構築体26を通過し、続いて、その中で前記試料安定剤60と適切に混合された前記試料12が前記回収チャンバ16内に流入した後、前記生体液回収デバイス10の前記出口32に達するように、前記混合構築体26及び前記回収チャンバ16が位置決めされる。このようにして、前記血液試料12は、前記血液試料12中における前記試料安定剤60の適切な混合のための前記混合構築体26を通過する前に、前記生体液回収デバイス10内で提供される抗凝固剤又は他の添加剤などの試料安定剤60と混合されてもよく、次いで、前記安定化試料は、前記回収チャンバ16内に収容され、貯蔵される。
【0052】
一実施形態において、試料安定剤60は、ハウジング構築体14のコネクタハウジング40の前記入口30と前記混合構築体26との間に設けられる。本開示の前記生体液回収デバイス10は、前記試料安定剤60との血液試料12の受動的で且つ急速な混合を提供する。例えば、前記生体液回収デバイス10は、前記血液試料12が前記混合構築体26の中を流れる際に血液安定剤などの抗凝固剤又は他の添加剤との前記血液試料12の受動的混合を可能にする混合構築体26を含む。
【0053】
前記試料安定剤60は、抗凝固剤であることが可能であり、又は、例えば、RNA、タンパク質分析物若しくは他の成分など、前記血液中に特定の成分を保存するように設計された物質であることが可能である。一実施形態において、前記試料安定剤60は、前記入口30と前記混合構築体26との間に設けられる。他の実施形態において、前記試料安定剤60は、前記生体液回収デバイス10の前記ハウジング14内の他の領域内に設けられてもよい。
【0054】
図13及び
図14を参照すると、一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、孔72を含む材料70と、前記材料70の前記孔72の中にある乾燥抗凝固剤粉末74とを含む。一実施形態において、前記材料70は、ハウジング構築体14のコネクタハウジング40の前記入口30と前記混合構築体26との間に設けられる。この方法において、前記生体液回収デバイス10は、前記生体液回収デバイス10の一部の上又は中に置かれたヘパリン又はEDTAなどの乾燥抗凝固剤を含んでもよい。一実施形態において、前記材料70は、フロースルー混合及び抗凝固剤取り込みの有効性を促進するために連続気泡発泡体の気泡中に分散させた乾燥抗凝固剤を含む連続気泡発泡体である。一実施形態において、前記試料安定剤60は、前記乾燥抗凝固剤粉末74である。
【0055】
一実施形態において、前記連続気泡発泡体を抗凝固剤で処理して、前記連続気泡発泡体の前記孔72にわたって微細に分布させた乾燥抗凝固剤粉末74を形成してもよい。前記血液試料12が前記生体液回収デバイス10に入るにつれて、前記血液試料12は、前記連続気泡発泡体を通過し、前記連続気泡発泡体の内部空孔構造にわたって利用可能な前記抗凝固剤粉末74に曝露される。この方法において、前記試料12は、前記材料70又は連続気泡発泡体を通過しつつ、前記乾燥抗凝固剤粉末74を溶解し、混合する。
【0056】
前記連続気泡発泡体は、血液に不活性な軟質の変形可能な連続気泡発泡体、例えばメラミン発泡体、例えばBASFから商業的に入手可能なBasotect(登録商標)発泡体であってもよいか、又はホルムアルデヒド-メラミン-重亜硫酸ナトリウムコポリマーからなってもよい。前記連続気泡発泡体は、熱及び有機溶剤に対して実質的に耐性のある可撓性親水性連続気泡発泡体であってもよい。一実施形態において、前記発泡体は、スポンジ材料を含んでもよい。
【0057】
前記発泡体を前記添加剤及び水の液体溶液中に浸漬し、続いて、前記水を蒸発させて、前記発泡体の内部構造にわたって微細に分布した乾燥添加剤粉末を形成することによって、前記抗凝固剤又は他の添加剤を前記連続気泡発泡体に導入してもよい。
【0058】
前記生体液回収デバイス10は、前記血液試料12が前記混合構築体26の中を流れる際に血液安定剤などの抗凝固剤又は別の添加剤との前記血液試料12の受動的混合を可能にする混合構築体26を含む。一実施形態において、前記混合構築体26は、前記入口30と前記出口32との間に設けられる。
【0059】
前記混合構築体26の内側部分は、前記血液試料12が前記生体液回収デバイス10の前記通路34を通過する際にそれが抗凝固剤又は別の添加剤との前記血液試料12の混合を提供する限り、任意の適切な構造又は形態を有してもよい。一実施形態において、前記混合構築体26は、外壁82と内側チャネル86を規定する内壁84とを有する混合チャンバ80を含む。前記混合チャンバ80は、前記外壁82と前記内壁84との間に規定された外側チャネル88も含む。一実施形態において、前記混合チャンバ80は、前記入口30と前記回収チャンバ16との間に設けられる。
【0060】
一実施形態において、前記内壁84は出口穴90を含む。一実施形態において、分布混合のための前記混合構築体26を通る前記血液試料12及び前記試料安定剤60の流れを制御するために前記出口穴90の断面積の大きさが決定される。血液試料12が前記生体液回収デバイス10に入る際、まず、前記血液試料12は試料安定剤60を通過し、次いで、前記血液試料12及び前記試料安定剤60は、制御された分布混合のための前記混合構築体26又は前記混合チャンバ80に入る。例えば、前記混合構築体26に入る試料安定剤60を有する前記血液試料12の第1部分が前記内側チャネル86に流入する。前記内側チャネル86が一杯になると、前記混合構築体26に入る試料安定剤60を有する前記血液試料12の後続部分が前記外側チャネル88に流れることになる。前記出口穴90の断面積が減少することによって、前記内側チャネル86からの試料安定剤60を有する前記血液試料12の流量が低下する。この方法において、前記内側チャネル86内の前記試料安定剤60を有する前記血液試料12の前記第1部分は、前記外側チャネル88を流れる試料安定剤60を有する前記血液試料12の後続部分との制御された分布混合のための前記混合チャンバ80内に戻る制御された速度で、前記内側チャネル86の前記出口穴90から流出する。
【0061】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、分布混合のための前記混合構築体26を通る前記血液試料12及び前記試料安定剤60の流れを制御するために使用され得る弁96を含む。
【0062】
前記混合チャンバ80は、その中に前記試料12及び前記試料安定剤60を収容し、前記試料12中における前記試料安定剤60の分布混合を実現する。前記混合チャンバ80は、前記試料12中における前記試料安定剤60の分布混合を実現し、前記血液試料12の任意部分における非常に高い試料安定剤濃度を阻止する。これによって、前記血液試料12の任意の部分における前記試料安定剤60の過少量投与が阻止される。前記混合チャンバ80は、ほぼ等しい量及び/又は濃度の前記試料安定剤60が前記血液試料12にわたって溶解されるように、例えば、ほぼ等しい量及び/又は濃度の前記試料安定剤60が、前記血液試料12の前側部分から前記血液試料12の後側部分に前記血液試料12中に溶解されるように、前記試料12中における前記試料安定剤60の分布混合を実現する。
【0063】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、前記混合構築体26と前記出口32との間に設けられた回収チャンバ16を含む。一実施形態において、前記回収チャンバ16は、空隙上面54及び空隙下面56を有する空隙52を含む。
【0064】
前記生体液回収デバイス10は、下面64、上面66、ドーム部67及びフランジ部68を有する膜62を含む。一構成において、前記膜62は、以下でさらに詳細に記載されるように、チャンバ69(
図8D及び
図9)を形成する。一実施形態において、前記膜62は、前記膜62の前記下面64が前記回収チャンバ16の一部に接触する初期位置(
図5)、例えば前記空隙52の前記上面54と、前記膜62の前記下面64が前記回収チャンバ16から間隔をあけられる充填位置(
図8D及び
図9)、例えば空隙52との間で移行可能である。一実施形態において、以下でさらに詳細に記載されるように、前記充填位置における前記膜62によって、前記試料12が前記回収チャンバ16に充填される。以下に記載されるように、前記試料12が前記回収チャンバ16に充填されると、前記膜62を前記充填位置に移行させる。
【0065】
一実施形態において、前記膜62は、前記膜62の前記フランジ部68によって前記生体液回収デバイス10内の前記内部ハウジング50の一部に確実に位置決めされる。一実施形態において、前記膜62は、事前に排気された血液回収チャンバを可能にする薄い可撓性の膜である。
【0066】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、前記試料12が前記回収チャンバ16内に含まれる初期位置(
図9)と、前記変形可能部92が前記膜62の前記上面66に接触し、前記試料12の一部が前記回収チャンバ16の前記出口32から放出される変形位置(
図10)との間で移行可能な変形可能部92を含む。
【0067】
一実施形態において、前記変形可能部92は、前記主要ハウジング29の一部に位置する。一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、前記変形可能部92から間隔をあけられた前記主要ハウジング29の一部に位置する第2変形可能部94も含む。
【0068】
有利には、本開示の生体液回収デバイス10は、変形可能部92を有することによって、制御された方法で前記回収チャンバ16及び前記出口32から試料12を分注することが可能である。
【0069】
前記混合構築体26を通過した後、前記安定化試料は、前記回収チャンバ16に方向づけられる。前記回収チャンバ16は、所望の試験に必要な充分な量、例えば500μL以下の血液を貯蔵するために任意の適切な形状及び大きさをとることができる。
【0070】
前記変形可能部92及び前記第2変形可能部94は、可撓性で、変形可能で、前記回収チャンバ16との流体密封を提供することが可能な任意の材料で作製され得る。いくつかの実施形態において、前記変形可能部92及び前記第2変形可能部94は、天然ゴム又は合成ゴム及び他の適切なエラストマー材料で作製され得る。前記変形可能部92及び前記第2変形可能部94は、前記変形可能部92及び前記第2変形可能部94が初期位置と変形位置との間で移行可能であるように前記主要ハウジング29の一部に固定される。
【0071】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、前記ハウジング14の前記入口30を覆うクロージャ22を含む。例えば、前記クロージャ22は、前記ハウジング14のコネクタハウジング40の前記入口30に係合されて前記通路34を封止する。前記クロージャ22は、前記入口30を保護して覆う。前記クロージャ22は、前記ハウジング14の前記通路34内への血液試料12の導入を可能にし、Becton,Dickinson and Companyから商業的に入手可能なHemogard(商標)キャップなどの外側シールド122を有する貫通可能自己密封式ストッパ120を含んでもよい。
【0072】
有利には、本開示の生体液回収デバイス10は、LLAD(ルアーラインアクセスデバイス(Luer Line Access Device))又は任意の他のホルダを用いることなく直接のルアーアクセスを可能にする。
【0073】
有利には、本開示の生体液回収デバイス10は、血液試料12などの生体液が通過する多くの異なる源に係合されてもよい。例えば、
図4A~
図4Cを参照すると、本開示の生体液回収デバイス10は、複数の異なる血液回収デバイスへの接続を可能にする。
図4Aを参照すると、第1構成において、前記生体液回収デバイス10の前記入口30及び前記通路34を封止するために前記ハウジング14に係合されたクロージャ22によって前記生体液回収デバイス10は第1血液回収デバイス210に接続されてもよい。一実施形態において、前記第1血液回収デバイス210は、針カニューレ214を有するチューブホルダ212を含む。
【0074】
図4Bを参照すると、第2構成において、前記生体液回収デバイス10の前記ハウジング14から除去されたクロージャ22によって前記生体液回収デバイス10は第2血液回収デバイス220に接続されてもよい。一実施形態において、前記第2血液回収デバイス220は、ルアーインターフェイス224を有するライン222を含む。
【0075】
図4Cを参照すると、第3構成において、前記生体液回収デバイス10の前記ハウジング14から除去されたクロージャによって前記生体液回収デバイス10は第3血液回収デバイス230に接続されてもよい。一実施形態において、前記第3血液回収デバイス230は、ルアーインターフェイス234を有する動脈血液回収デバイス232を含む。
【0076】
有利には、本開示の生体液回収デバイス10によって、使用者が、LLAD(ルアーラインアクセスデバイス)又は任意の他のホルダを用いることなく、ルアーライン、例えば、IVカテーテル、ウイングセット(wingset)、PICC又は同様デバイスに直接接続することが可能になる。上記で考察されるように、前記生体液回収デバイス10の前記入口30及び前記通路34を封止するために前記ハウジング14に係合されたクロージャ22によって、使用者は前記生体液回収デバイス10を従来のチューブホルダに接続してもよい。前記生体液回収デバイス10の前記ハウジング14から除去されたクロージャによって、使用者は前記コネクタハウジングインターフェース42を用いて前記生体液回収デバイス10をルアーインターフェイスに接続してもよい。
【0077】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、前記ハウジング14の前記出口32を覆い、且つ通気部又は通気プラグ130を有するキャップ24を含む。前記キャップ24は、前記出口32に着脱自在に取り付け可能であり、且つ前記出口32を保護して覆う。一実施形態において、前記キャップ24の前記通気部130によって、空気はそれを通過し、前記試料12がそれを通過するが阻止される。
【0078】
前記キャップ24及び通気部130の構築は、前記血液試料12が前記キャップ24を通過することを阻止しつつ、空気が前記キャップ24を通過することを可能にし、疎水性のフィルタ又は弁を含んでもよい。前記通気部130は、前記生体液回収デバイス10の前記通路34及び/又は前記回収チャンバ16の充填率を微細に制御するために用いられ得る空気通過耐性を選択した。前記通気部130の多孔性を変化させることによって、前記キャップ24からの空気流の速度、したがって、前記生体液回収デバイス10内への前記血液試料流の速度を制御してもよい。
【0079】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、プラグ又は通気孔140を含む。一実施形態において、前記プラグ140は、孔を有する材料で形成されてもよい。以下でさらに詳細に記載されるように、前記孔は、空気を前記生体液回収デバイス10から排気することができる。一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、一つのプラグ140を含んでもよい。他の実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、二つ以上のプラグ140を含んでもよい。
【0080】
図4A~
図10を参照して、次に本開示の生体液回収デバイス10の使用を説明する。
図4A~
図4Cを参照すると、使用者は、前記生体液回収デバイス10が血液試料を収容することが可能である仕方、源又は方法の内の一つを選択することができる。例えば、本開示の生体液回収デバイス10は、限定されるものではないが第1血液回収デバイス210(
図4A及び
図5~
図8D)、第2血液回収デバイス220(
図4B)、第3血液回収デバイス230(
図4C及び
図11~
図12)又は他の血液回収デバイスが挙げられる様々な源から血液試料を収容することを可能にする。
【0081】
図4A及び
図5~
図8Dを参照すると、第1構成において、前記生体液回収デバイス10の前記入口30及び前記通路34を封止するために前記ハウジング14に係合されたクロージャ22によって、前記生体液回収デバイス10は第1血液回収デバイス210に接続されてもよい。一実施形態において、前記第1血液回収デバイス210は、針カニューレ214を有するチューブホルダ212を含む。
【0082】
使用中において、チューブホルダ212の針カニューレ214は、クロージャ22の前記貫通可能自己密封式ストッパ120を通してなど、前記入口30を通して、前記生体液回収デバイス10の前記ハウジング14の前記通路34内に挿入される。
図5~
図8Dに示されるように、前記生体液回収デバイス10は、血液試料12などの生体液が通過するカニューレ214を有する従来のチューブホルダ212内に挿入されてもよい。
【0083】
前記血液試料12は、前記排気チャンバ18内に含まれる前記真空28の引き寄せによって、従来の前記チューブホルダ212から前記生体液回収デバイス10の前記ハウジング14の前記通路34内に引き入れられる。前記生体液回収デバイス10の使用者は、前記生体液回収デバイス10の前記内部真空28をいつ適用するのかについて制御することが可能である。
【0084】
例えば、
図7A及び
図7Bを参照すると、所望の場合、使用者は、前記活性化部材110が前記箔素子100を貫通して前記封止材20を前記開位置(
図7A~
図8D)へ移動させる第2位置(
図7A~
図8D)に前記活性化部材110を押し下げてもよい。前記開位置における前記封止材20によって、前記排気チャンバ18内に含まれる前記真空28は、前記入口30及び前記通路34に適用されて、前記回収チャンバ16内に試料12を引き寄せる。この方法において、前記排気チャンバ18内に含まれる前記真空28は、前記開放穴102を介して前記生体液回収デバイス10の前記回収チャンバ16及び前記通路34に連通して配置され、前記排気チャンバ18の前記真空28は、前記生体液回収デバイス10の前記回収チャンバ16内に試料12を引き寄せる。
【0085】
一実施形態において、使用者は、前記活性化部材110を第2位置(
図7A~
図8D)に直接押し下げてもよい。別の実施形態において、
図7A及び
図7Bに示されるように、前記活性化部材110は、主要ハウジング29の前記第2変形可能部94と前記排気チャンバ18の壁内の穴102を封止する前記箔素子100との間において前記生体液回収デバイス10内に設けられる。この方法において、使用者は、前記活性化部材110が前記箔素子100を貫通して前記封止材20を前記開位置(
図7A~
図8D)へ移動させる前記第2位置(
図7A~
図8D)に前記活性化部材110に前記第2変形可能部94が接触して押し下げるように、前記第2変形可能部94を押し下げてもよい。
【0086】
一実施形態において、前記血液試料12が前記生体液回収デバイス10に入る際、前記血液試料12が、前記連続気泡発泡体、例えば前記材料70を通過し、前記連続気泡発泡体の前記内部孔72構造にわたって利用可能な前記抗凝固剤粉末74に曝露されるように、前記血液試料12は前記通路34を充填する。この方法において、前記試料12は、前記材料70又は連続気泡発泡体を通過しつつ、前記乾燥抗凝固剤粉末74を溶解し、混合する。次に、前記混合チャンバ80は、上記で詳細に記載されるように、その中に前記試料12及び前記試料安定剤60を収容し、前記試料12中における前記試料安定剤60の分布混合を実現する。前記混合チャンバ80を通過した後、前記安定化試料は、前記回収チャンバ16に方向づけられる。前記回収チャンバ16は、所望の試験に必要な充分な量、例えば500μL以下の血液を貯蔵するために任意の適切な形状及び大きさをとることができる。
【0087】
一実施形態において、前記キャップ24は、前記生体液回収デバイス10の前記通路34、前記混合チャンバ80及び前記回収チャンバ16が完全に充填された場合に前記血液試料12の回収を停止させる。前記キャップ24の前記通気部130は、前記血液試料12が前記キャップ24を通過することを阻止しつつ、空気が前記キャップ24を通過することを可能にする。
【0088】
一実施形態において、前記生体液回収デバイス10は、それに血液試料12が充填される際、空気も排気する。例えば、一実施形態において、前記生体液回収デバイス10の設計は、前記膜62が上昇する場合よりも前記プラグ140を通る抵抗が小さいように、すなわち、エネルギーが小さいようになされる。この方法において、
図8A~
図8Dに示されるように、前記血液試料12が前記生体液回収デバイス10を充填し始める際、空気は、前記プラグ140及び/又は前記キャップ24の前記通気部130を介して前記生体液回収デバイス10を通過して出る。前記血液試料12が前記生体液回収デバイス10を充填し続ける際、空気は、前記プラグ140及び/又は前記キャップ24の前記通気部130を通過して前記生体液回収デバイス10から出ることを続ける。
図8Cを参照すると、前記血液試料12が前記通路34及び前記回収チャンバ16を充填すると、次いで、前記血液試料12は前記プラグ140に湿潤し、それによって、いかなる流体も前記プラグ140を通って移動することが封鎖される。前記プラグ140及び/又は前記キャップ24の前記通気部130を通して前記生体液回収デバイス10内のあらゆる空気を排気することによって、前記膜62の前記チャンバ69に血液が充填される前に、又は前記膜62の前記チャンバ69に血液が充填される際、前記システムにわたる全ての可能な空気が排気される。
【0089】
図8Dを参照すると、一実施形態において、全ての前記空気が前記生体液回収デバイス10から排出され、前記プラグ140が湿潤した後、残りの前記真空28は前記膜62を上方に引く、すなわち、残りの前記真空28は、前記初期位置から充填位置(
図8D)に前記膜62を移行させる。
図8Dを参照すると、(前記生体液回収デバイス10内に空気がないので)前記膜62が上昇するか、又は残りの前記真空28によって引き上げられる際、前記血液試料12の一部が、前記膜62の前記下面64と前記空隙52の前記上面54との間に位置するチャンバ69内に引き寄せられる。
図8Dに示されるように、前記チャンバ69に血液試料12が充填されるまで、残りの前記真空28は前記膜62を引き上げる。
【0090】
一実施形態において、試料回収が完了すると、前記生体液回収デバイス10は前記チューブホルダ212から分離される。次に、
図9を参照すると、前記キャップ24は、前記生体液回収デバイス10から除去される。前記キャップ24は、前記ハウジング14の前記出口32を露出する前記生体液回収デバイス10から除去される。除去は、前記キャップ24の外側部分を把持して、前記キャップ24を前記ハウジング14から引き離す使用者によってなされる。前記血液試料12は、前記キャップ24の除去後、毛管作用によって、前記ハウジング14の前記通路34、例えば前記回収チャンバ16の中で保持される。
【0091】
次いで、前記血液試料12は、前記変形可能部92の活性化によって前記生体液回収デバイス10から分注されてもよい。例えば、前記変形可能部92は、前記試料12が前記回収チャンバ16内に含まれる初期位置(
図9)と、前記変形可能部92が前記膜62の前記上面66に接触し、前記試料12の一部が前記回収チャンバ16の前記出口32から放出される変形位置(
図10)との間で移行可能である。
【0092】
この方法において、前記血液試料に医師が曝露することを最小限に抑えつつ、前記血液試料12は、例えばポイントオブケア試験デバイス、カートリッジテスタ又は近患者試験デバイスなど、前記試料を分析することが意図されるデバイスに移送されてもよい。
【0093】
図4C及び
図11~
図12を参照すると、第3構成において、前記生体液回収デバイス10の前記ハウジング14から除去されたクロージャ22によって前記生体液回収デバイス10は第3血液回収デバイス230に接続されてもよい。一実施形態において、前記第3血液回収デバイス230は、動脈血液回収デバイス232を含む。
【0094】
血液試料を収容するために第3血液回収デバイス230に接続された生体液回収デバイス10の使用は、
図5~
図10を参照して上記で記載された通りの第1血液回収デバイス210に接続された生体液回収デバイス10の使用と同様である。
【0095】
本開示が例示的な設計を有するものとして記載されたが、本開示は、本開示の精神及び範囲内でさらに改変されてもよい。ゆえに、本出願は、その一般的原理を用いた本開示の任意の変更、使用又は適合を包含することが意図される。さらに、本出願は、本開示が関連し、且つ添付の特許請求の範囲の範囲内にある、本技術分野において公知の又は通例の実施の範囲内にあるものなどの、本開示からの逸脱を包含することが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の生体液試料を回収する方法および生体液回収デバイスは、ポイントオブケア及び近患者試験の適用のための血液マイクロ試料管理に利用できる。
【符号の説明】
【0097】
10 生体液回収デバイス
12 試料
14 ハウジング
16 回収チャンバ
18 排気チャンバ
20 封止材
22 クロージャ
24 キャップ
28 真空
30 入口
32 出口
34 通路
42 コネクタハウジングインターフェース
60 試料安定剤
62 膜
74 乾燥抗凝固剤粉末
80 混合チャンバ
92 変形可能部
100 箔素子
104 ストッパ素子
110 活性化部材
120 貫通可能自己密封式ストッパ
130 通気部
210 第1血液回収デバイス
212 チューブホルダ
214 針カニューレ
232 動脈血液回収デバイス