IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セルガード エルエルシーの特許一覧

特許7510528エンボス微多孔膜電池セパレータ材料およびそれらの製造および使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】エンボス微多孔膜電池セパレータ材料およびそれらの製造および使用の方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240626BHJP
   C08J 9/36 20060101ALI20240626BHJP
   C08J 9/00 20060101ALI20240626BHJP
   B29C 59/04 20060101ALI20240626BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/406 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/494 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240626BHJP
   H01M 50/454 20210101ALI20240626BHJP
【FI】
B32B27/32 E
C08J9/36 CES
C08J9/00 A
B29C59/04 Z
H01M50/403 B
H01M50/406
H01M50/489
H01M50/494
H01M50/417
H01M50/457
H01M50/44
H01M50/426
H01M50/423
H01M50/414
H01M50/454
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023036044
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2020175933の分割
【原出願日】2015-03-19
(65)【公開番号】P2023088926
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】61/955,285
(32)【優先日】2014-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ストークス,クリストファー,ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ハミストン,カール,エフ.
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7242620(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/32
C08J 9/36
C08J 9/00
B29C 59/04
H01M 50/403
H01M 50/406
H01M 50/489
H01M 50/494
H01M 50/417
H01M 50/457
H01M 50/44
H01M 50/426
H01M 50/423
H01M 50/414
H01M 50/454
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は、乾式延伸法によって作られ、かつ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作られ、
前記微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの35%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムであり、
前記複数の細孔が、0.03ミクロン~0.50ミクロンの平均細孔径および0.75~1.25のアスペクト比を有し、前記微多孔ポリマーフィルムは、20%~80%の気孔率および少なくとも175kg/cmのTD引張強度を有する、エンボス微多孔膜。。
【請求項2】
エンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は、乾式延伸法によって作られ、かつ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作られ、
前記微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの35%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムであり、
前記微多孔ポリマーフィルムが、65%~90%の気孔率、60秒未満のJISガーレー、少なくとも0.05ミクロンの平均流細孔径、少なくとも0.08ミクロンのアクアポア径、少なくとも225kg/cmのTD引張強度、8ミクロン~80ミクロンの厚さ、90℃で6.0%未満のTD収縮、および120℃で15.0%未満のTD収縮の少なくとも1つを備える、エンボス微多孔膜。
【請求項3】
エンボス微多孔膜を作る方法であって、前記エンボス微多孔膜は、エンボスパターンをその中に有する微多孔ポリマーフィルムを含み、前記エンボス微多孔膜を作る方法は、
非多孔性前駆体を形成するためにポリマーを押し出すステップと、
2軸延伸された膜を形成するために前記非多孔性前駆体を2軸延伸するステップであって、前記2軸延伸は縦方向延伸および横方向延伸を備え、前記横方向延伸は同時制御された縦方向の弛緩を備える、2軸延伸するステップと、
前記エンボス微多孔膜を形成するために前記2軸延伸された膜をエンボス加工するステップとを備え、
前記エンボス加工された微多孔ポリマーフィルムは、乾式延伸法フィルムであり、2ミクロン~20ミクロンの厚さ、20%~65%の気孔率、および500以下のJISガーレーを備え、前記エンボス加工された微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの30%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムである、エンボス微多孔膜を作る方法。
【請求項4】
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは、3ミクロン~12ミクロンの厚さ、25%~50%の気孔率、80秒~500秒のJISガーレー、90℃で6.0%未満および120℃で15.0%未満のTD収縮、200g~325gの突刺強度、少なくとも250kg/cmのTD引張強度、および1000kg/cm~2000kg/cmのMD引張強度の少なくとも1つを備える、請求項に記載のエンボス微多孔膜を作る方法。
【請求項5】
前記2軸延伸された膜をエンボス加工することが、前記2軸延伸された膜の厚さを縮小させることを備え、前記エンボス微多孔膜の厚さが、前記2軸延伸された膜の厚さの35%~75%である、請求項に記載のエンボス微多孔膜を作る方法。
【請求項6】
前記エンボス微多孔膜の片面に不織布を設けることをさらに備える、請求項に記載のエンボス微多孔膜を作る方法。
【請求項7】
エンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は、乾式延伸法によって作られ、かつ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作られ、
前記微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの35%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムであり、
前記エンボス微多孔膜が、前記膜のTDに平行に走るエンボス横線、前記膜のMDおよび前記TDに対して斜めの網目状エンボスパターン、疑似ランダムパターンにおけるエンボス円、疑似ランダム対象パターン、ロゴパターン、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるエンボスパターンを含む、エンボス微多孔膜
【請求項8】
前記エンボスパターンが、前記膜のTDに平行に走るエンボス横線を含み、前記横線が2ミクロン~10ミクロンの線幅を有し、前記横線が前記線幅の1~10倍の前記MDにおける間隔を有する、請求項に記載の膜。
【請求項9】
エンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は、乾式延伸法によって作られ、かつ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作られ、
前記微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの35%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムであり、
前記微多孔ポリマーフィルムが、ポリオレフィン、フルオロカーボン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール(またはポリオキシメチレン)、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるポリマーによって形成される、エンボス微多孔膜
【請求項10】
前記微多孔ポリマーフィルムがポリオレフィンによって形成され、前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の膜。
【請求項11】
前記ポリオレフィンがインパクトコポリマーポリプロピレンを備える、請求項10に記載の膜。
【請求項12】
エンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は、乾式延伸法によって作られ、かつ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作られ、
前記微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの35%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムであり、
前記複数の細孔が、0.03ミクロン~0.50ミクロンの平均細孔径および0.75~1.25のアスペクト比を有し、前記微多孔ポリマーフィルムが、20%~80%の気孔率および少なくとも175kg/cmのTD引張強度を有する、エンボス微多孔膜
【請求項13】
エンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は、乾式延伸法によって作られ、かつ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作られ、
前記微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの35%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムであり、
前記微多孔ポリマーフィルムが、40%~90%の気孔率、100秒未満のJISガーレー、少なくとも0.04ミクロンの平均流細孔径、および少なくとも0.06ミクロンのアクアポア径、65%~90%の気孔率、60秒未満のJISガーレー、少なくとも0.05ミクロンの平均流細孔径、および少なくとも0.08ミクロンのアクアポア径、少なくとも8ミクロンの厚さおよび少なくとも225kg/cmのTD引張強度、8ミクロン~80ミクロンの厚さ、ならびに90℃で6.0%未満および120℃で15.0%未満のTD収縮の少なくとも1つを備える、エンボス微多孔膜
【請求項14】
エンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は、乾式延伸法によって作られ、かつ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作られ、
前記微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの35%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムであり、
前記微多孔ポリマーフィルムが多層微多孔ポリマーフィルムを備える、エンボス微多孔膜
【請求項15】
エンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は、乾式延伸法によって作られ、かつ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作られ、
前記微多孔ポリマーフィルムは、エンボス加工された領域とエンボス加工されていない領域を含み、前記エンボス加工された領域の厚さは、前記エンボス加工されていない領域の厚さの35%~75%であり、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示し、
前記微多孔ポリマーフィルムは、PP/PE/PP構造を有する3層フィルムであり、
前記エンボス微多孔膜の少なくとも片面に設けられた不織布をさらに備える、エンボス微多孔膜
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照によって本願に組み込まれる、2014年3月19日に出願された米国特許仮出願第61/955,285号の利益およびそれに対する優先権を主張するものである。
【0002】
少なくとも選択された実施形態、態様、または対象によると、本出願は、エンボス加工またはカレンダー加工された電池セパレータ、電池セパレータ膜または層、微多孔膜電池セパレータ、微多孔膜、合成物または積層物、製造方法、使用方法、そのようなセパレータ、層、膜、合成物、または積層物を含む製品またはシステムなどに関する。
【背景技術】
【0003】
微多孔膜は、様々な方法によって作られてよいことが知られており、膜がつくられる方法は、膜の物理属性に影響を及ぼし得る。Kesting, R., Synthetic Polymeric Membranes, A structural Perspective, Second Edition, John Wiley & Sons, New York, N.Y., (1985)を参照する。微多孔膜を作るための3つの商業的に実現可能な方法は、(セルガード法としても知られている)乾式延伸法、湿式法、および粒子延伸法を含む。
【0004】
乾式延伸法は、非多孔性前駆体フィルムを延伸することによって細孔が形成される方法を指す。Kesting氏の同書における290~297頁を参照する。乾式延伸法は、湿式法および粒子延伸法を含む、微多孔膜を形成する他の方法とは異なる。通常、(位相反転法、抽出法、またはTIPS法とも称される)湿式法において、高分子原料は(可塑剤と称されることもある)加工油と混合される。その後この混合物が押し出され、加工油が除去される(これらのフィルムは、油の除去の前または後に延伸されてよい)。Kesting氏の同書の237~286頁を参照する。通常、粒子延伸法において、高分子原料は粒子と混合される。この混合物が押し出され、延伸中に細孔が形成され、その際、延伸する力によって高分子と粒子との境界面が破断する。たとえば、米国特許第6,057,061号および第6,080,507号を参照する。これらの膜を形成するために用いられる方法の相違に加えて、これらの方法によって形成された結果生じる膜は物理的に区別され得る。
【0005】
乾式延伸法によって作られた微多孔膜を含む微多孔膜は、著しい商業的成功をおさめてきたが、それらがより広範囲の用途に使用され得るようにそれらの物理属性を改善する必要がある。特に、増加した縦方向(MD)引張強度、増加した横方向(TD)引張強度、増加した突刺強度、および減少したMD割裂を有する膜の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、エンボス微多孔膜が提供される。エンボス膜は、エンボス加工の無い同じ膜と比べて、たとえば増加したMD引張強度、増加したTD引張強度、増加した突刺強度、減少したMD割裂など、改善された物理属性を示し得る。エンボス微多孔膜はまた、縮小された膜の厚さも示し得る。
【0007】
エンボス微多孔膜は、エンボス微多孔ポリマーフィルムを備えてよい。エンボス微多孔ポリマーフィルムは、任意の適切なポリマーまたはポリマーの混合物によって形成されてよい。たとえばエンボス微多孔ポリマーフィルムは、ポリオレフィン、フルオロカーボン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール(またはポリオキシメチレン)、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるポリマーによって形成されてよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを備えるポリオレフィンによって形成されてよい。特定の実施形態において、ポリオレフィンは、インパクトコポリマーポリプロピレンを備えてよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、2ミクロン~20ミクロンの厚さ(たとえば3ミクロン~12ミクロンの厚さ、または5ミクロン~10ミクロンの厚さ)を有してよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、20%~65%の気孔率(たとえば25%~50%の気孔率、または30%~40%の気孔率)を有してよい。エンボス微多孔ポリマーフィルムは、500以下のJISガーレーを有してよい。たとえばいくつかの場合において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、80秒~500秒のJISガーレー(たとえば100秒~450秒のJISガーレー、または150秒~400秒のJISガーレー)を有してよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0のMD引張強度対TD引張強度の比を示してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも250kg/cmのTD引張強度(たとえば少なくとも300kg/cmのTD引張強度、たとえば250kg/cm~1000kg/cmのTD引張強度、または300kg/cm~1000kg/cmのTD引張強度)を有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも1000kg/cmのMD引張強度(たとえば1000kg/cm~2000kg/cmのMD引張強度)を有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、90℃で6.0%未満および120℃で15.0%未満のTD収縮を有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、200g~325gの突刺強度を有してよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、多層エンボス微多孔ポリマーフィルム(たとえば2層ポリマーフィルム、3層ポリマーフィルム、または3より多くの層を備えるポリマーフィルム)を備えてよい。任意選択的に、いくつかの実施形態において、エンボス微多孔膜は、エンボス微多孔ポリマーフィルムの片面に設けられた不織布(たとえばスパンボンドまたはメルトブローン不織布材料)をさらに備えてよい。これらの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムと不織布とは、たとえば粘着ラミネートまたは熱ラミネート、エンボス加工、カレンダー加工、またはそれらの組み合わせなど任意の適切な方法によって結合されてよい。
【0012】
エンボス微多孔膜は、適切な微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工することによって作製されてよい。微多孔ポリマーフィルムは、乾式延伸法によって作られてよく、ほぼ円形を有する複数の細孔を含んでよい。微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向引張強度対横方向引張強度の比を示してよい。
【0013】
微多孔ポリマーフィルムは、任意の適切なポリマーまたはポリマーの混合物によって形成されてよい。たとえば微多孔ポリマーフィルムは、ポリオレフィン、フルオロカーボン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール(またはポリオキシメチレン)、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるポリマーによって形成されてよい。いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを備えるポリオレフィンによって形成されてよい。特定の実施形態において、ポリオレフィンはインパクトコポリマーポリプロピレンを備えてよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、少なくとも8ミクロンの厚さ(たとえば8ミクロン~80ミクロンの厚さ)を有してよい。いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、少なくとも175km/cmのTD引張強度(たとえば少なくとも225kg/cmのTD引張強度)を有してよい。いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、90℃で6.0%未満および120℃で15.0%未満のTD収縮を有してよい。
【0015】
微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、20%~90%の気孔率(たとえば20%~80%の気孔率、40%~90%の気孔率、または65%~90%の気孔率)を有してよい。いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムにおける複数の細孔は、エンボス加工の前、0.03ミクロン~0.50ミクロンの平均細孔径および0.75~1.25のアスペクト比を有してよい。いくつかの場合において、微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、少なくとも0.04ミクロンの平均流細孔径(たとえば少なくとも0.05ミクロンの平均流細孔径)を有してよい。いくつかの場合において、微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、少なくとも0.06ミクロン(たとえば少なくとも0.08ミクロン)のアクアポア径を有してよい。いくつかの場合において、微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、100未満のJISガーレーを有してよい。特定の場合において、微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、60未満のJISガーレーを有してよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムはエンボス加工の前、多層微多孔ポリマーフィルム(たとえば2層ポリマーフィルム、3層ポリマーフィルム、または3より多くの層を備えるポリマーフィルム)を備えてよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工することは、パターンエンボスローラを用いて微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工することを備えてよい。パターンエンボスローラは、エンボス微多孔膜にエンボスパターンを施し得る。したがっていくつかの実施形態において、エンボス微多孔膜は、エンボス加工によって形成される、押し潰され、すなわち縮小された厚さの領域を含むエンボスパターンを備えてよい。エンボス微多孔膜は、任意の適切なエンボスパターンを備えてよい。いくつかの例において、エンボス微多孔膜は、フィルムのTDに平行に走るエンボス横線、フィルムのMDおよびTDに対して斜めの網目状エンボスパターン、疑似ランダムパターンにおけるエンボス円、疑似ランダム花模様、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるエンボスパターンを備えてよい。特定の実施形態において、エンボスパターンは、フィルムのTDに平行に走るエンボス横線を備えてよい。横線は、2ミクロン~10ミクロンの線幅を有してよい。横線は、線幅の1~10倍のMDにおける間隔を有してよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工することは、微多孔ポリマーフィルムの少なくとも一部をカレンダー加工、押し潰し、または圧縮することを備えてよい。微多孔ポリマーフィルムをカレンダー加工することは、無地(たとえば滑らかな)エンボスローラを用いて微多孔ポリマーフィルムをカレンダー加工することを備えてよい。これらの実施形態において、エンボス微多孔膜は、ほぼ均一に押し潰され、すなわち縮小された厚さを有してよい。
【0019】
エンボス微多孔膜を製造および/または使用する方法も提供される。方法は、(i)非多孔性前駆体を形成するためにポリマーを押し出すこと、(ii)2軸延伸された膜を形成するために非多孔性前駆体を2軸延伸することであって、2軸延伸は縦方向延伸および横方向延伸を備え、横方向延伸は同時制御された縦方向の弛緩を備えること、および(iii)エンボス微多孔膜を形成するために、2軸延伸された膜をエンボス加工することを備えてよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、2軸延伸された膜をエンボス加工するステップ(iii)は、2軸延伸された膜の厚さを縮小させることを備えてよい。これらの場合において、エンボス微多孔膜の厚さは、2軸延伸された膜の厚さの35%~75%(たとえば35%~55%)になり得る。いくつかの実施形態において、2軸延伸された膜をエンボス加工するステップ(iii)は、パターンエンボスローラを用いて、2軸延伸された膜をエンボス加工することを備えてよい。これらの実施形態において、パターンエンボスローラは、エンボス微多孔膜にエンボスパターンを施し得る。いくつかの実施形態において、2軸延伸された膜をエンボス加工するステップ(iii)は、2軸延伸された膜をカレンダー加工することを備えてよい。2軸延伸された膜をカレンダー加工することは、無地(たとえば滑らかな)エンボスローラを用いて、2軸延伸された膜をカレンダー加工することを備えてよい。これらの実施形態において、エンボス微多孔膜は、エンボスパターンを備えなくてよい(たとえば、エンボス微多孔膜は、膜全体でほぼ一定の厚さ(たとえば±15%、または±10%)を有し得る)。
【0021】
いくつかの場合において、方法は、ステップ(i)とステップ(ii)との間にT-80℃~T-10℃(ここでTはポリマーの融解温度である)で非多孔性前駆体をアニールすることをさらに備えてよい。いくつかの実施形態において、ステップ(ii)における縦方向の総延伸は50~500%、横方向の総延伸は100~1200%、横方向延伸による縦方向の弛緩は5~80%、またはそれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、方法は、2軸延伸された膜の片面に不織布を設けることをさらに備えてよい。
【0022】
また、本明細書に記載されるエンボス微多孔膜を備える電池セパレータ(単層または多層セパレータ)、材料、布地、合成物、および積層物を含む物品も提供される。さらに、本明細書に記載される電池セパレータを備える電池(たとえばリチウム電池)も提供される。電池は、アノード、カソード、およびアノードとカソードとの間に配置された本明細書に記載されるエンボス微多孔膜を備える電池セパレータを備えてよい。また、たとえば衣類、HVAC材料、燃料電池の湿度調整膜、プロトン交換膜、分離材、ろ過材など他の製品またはシステムも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】パターンローラを用いてエンボス加工されたエンボス微多孔膜の例を示す写真である。
図2A】無地エンボスローラを用いてエンボス加工された微多孔膜の両面の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2B】無地エンボスローラを用いてエンボス加工された微多孔膜の両面の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3A】エンボス加工前の3層微多孔膜の表面(図3A)および断面(図3B)のSEM画像である。
図3B】エンボス加工前の3層微多孔膜の表面(図3A)および断面(図3B)のSEM画像である。
図4A】無地エンボスローラを用いてエンボス加工された3層微多孔膜の表面(図4A)および断面(図3B)のSEM画像である。
図4B】無地エンボスローラを用いてエンボス加工された3層微多孔膜の表面(図4A)および断面(図3B)のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書においてエンボス微多孔膜が提供される。エンボス膜は、エンボス加工の無い同じ膜と比べて、たとえば増加したMD引張強度、増加したTD引張強度、増加した突刺強度、減少したMD割裂、またはそれらの組み合わせなど改善された物理属性を示し得る。エンボス微多孔膜はまた、縮小された膜の厚さも示し得る。
【0025】
エンボス微多孔膜は、適切な微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工することによって作製され得る。上述したエンボス微多孔膜を形成するためにエンボス加工され得る適切な微多孔ポリマーフィルムは、たとえば米国特許第6,602,593号に記載されたフィルムや、米国特許出願公報第2007/0196638号、第2008/0118827号、第2011/0223486号、および第2014/0302374号に記載されたフィルムなど、乾式延伸法によって作られた微多孔フィルムを含み、それらは全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0026】
いくつかの場合において、微多孔ポリマーフィルムは、たとえば米国特許第6,602,593号に記載されたような一軸配向セルガード膜であってよい。他の場合において、微多孔ポリマーフィルムは、たとえば米国特許出願公報第2007/0196638号および第2011/0223486号において開示されたような二軸配向セルガード膜であってよい。そのような二軸配向膜はいくつかの例において、二軸配向が膜の気孔率を増加させることにより、電池セパレータとして一軸配向セルガード膜よりも良好に機能し得る。さらに、ポリエチレンおよびポリプロピレンのブロックコポリマーで作られた二軸配向セルガード膜は、非常に素晴らしい触感や手触りという追加の利点を有し得る。しかし、電池セパレータを含むエンボス微多孔膜を作製するために一軸配向エンボス微多孔膜が用いられてもよい。
【0027】
1つの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムは、乾式延伸法によって作られた膜を含んでよい。この膜は、乾式延伸法によって作られた、複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムを備えてよい。いくつかの例において、細孔は、ほぼ円形と特徴付けられてよい。いくつかの例において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜における複数の細孔は、SEMによって計測された0.03ミクロン~0.50ミクロンの平均細孔径を有してよい。さらに、細孔の形状は、細孔の長さ対幅の比であるアスペクト比によって特徴付けられてよい。いくつかの実施形態において、細孔のアスペクト比は0.75~1.25の範囲であってよい。
【0028】
微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、1または複数の熱可塑性ポリマーによって形成されてよい。これらのポリマーは半結晶性であってよい。1つの実施形態において、半結晶性ポリマーは、20~80%の範囲の結晶度を有してよい。適切なポリマーの例は、ポリオレフィン、フルオロカーボン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール(またはポリオキシメチレン)、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。ポリオレフィンは、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、それらのコポリマー、およびそれらの混合物を含んでよい。フルオロカーボンは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)樹脂、それらのコポリマー、およびそれらの混合物を含んでよい。ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6/6、ナイロン10/10、ポリフタルアミド(PPA)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物を含んでよいがその限りではない。ポリエステルは、ポリテレフタル酸エステル(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ-1-4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および液晶ポリマー(LCP)を含んでよい。ポリスルフィドは、ポリフェニルスルフィド、ポリエチレンスルフィド、それらのコポリマー、およびそれらの混合物を含むがその限りではない。ポリビニルアルコールは、エチレンビニルアルコール、それらのコポリマー、およびそれらの混合物を含むがその限りではない。
【0029】
特定の実施形態において、熱可塑性ポリマーは、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、またはそれらの組み合わせなどのポリオレフィンであってよい。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー(たとえばアタクチックポリプロピレン、イソタクチックポリプロピレン、およびシンジオタクチックポリプロピレン)、ポリプロピレンコポリマー(たとえばポリプロピレンランダムコポリマー)、ポリプロピレンインパクトコポリマー、ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー、ポリブチレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、およびそれらの混合物から成るグループから選択されるポリオレフィンである。適切なポリプロピレンコポリマーは、エチレン、but-1-ene(すなわち1-ブテン)、およびhex-1-ene(すなわち1-ヘキセン)から成るグループから選択されるコモノマーの存在下でのプロピレンの重合によって生成されるランダムコポリマーを含むがその限りではない。そのようなポリプロピレンランダムコポリマーにおいて、コモノマーは、任意の適切な量(たとえば1~7重量%など10重量%未満の量)だけ存在してよい。
【0030】
特定の実施形態において、ポリオレフィンは、インパクトコポリマーポリプロピレンを備えてよい。適切なポリプロピレンインパクトコポリマーは、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、ポリエチレン、およびプラストマーから成るグループから選択されるコポリマーをポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンランダムコポリマーに付加することによって生成されるものを含むがその限りではない。そのようなポリプロピレンインパクトコポリマーにおいて、コポリマーは任意の適切な量だけ存在してよいが、通常、5~25重量%の量だけ存在する。
【0031】
いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーはポリエチレンであってよい。適切なポリエチレンは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびそれらの組み合わせを含むがその限りではない。特定の実施形態において、熱可塑性ポリマーは、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびそれらの混合物から成るグループから選択されてよい。特定の実施形態において、熱可塑性ポリマーは高密度ポリエチレンであってよい。
【0032】
他の選択実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、他の成分をさらに含んでよい。たとえば微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、充填剤(たとえば、フィルムの価格を抑えるために使用されるが、膜の製造または物理特性への影響が特にない不活性粒子)、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、抗酸化物質、(たとえば製造を容易にするための)滑剤などをさらに含んでよい。
【0033】
他の実施形態において、ポリマーに様々な材料が付加されてよく、その結果生じる膜の特性が変更または改良される。そのような材料は、(1)130℃未満の融解温度を有するポリオレフィンまたはポリオレフィンオリゴマー、(2)炭酸カルシウム、酸化亜鉛、珪藻土、タルク、カオリン、合成シリカ、雲母、粘土、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど、およびそれらの混合物を含むがその限りではない鉱物充填剤、(3)エチレン-プロピレン(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)、スチレン-ブタジエン(SBR)、スチレン-イソプレン(SIR)、エチリデンノルボルネン(ENB)、エポキシ、およびポリウレタン、およびそれらの混合物を含むがその限りではないエラストマー、(4)エトキシル化アルコール、一次高分子カルボン酸、グリコール(たとえばポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール)、官能化ポリオレフィンなどを含むがその限りではない湿潤剤、(5)たとえばシリコン、フルオロポリマー、Kemamide(登録商標)、オレアミド、ステアルアミド、エルカミド、ステアリン酸カルシウム、または金属ステアリン酸化物などの潤滑剤、(6)たとえば臭素化難燃剤、リン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、アルミナ三水和物、およびリン酸エステルなどの難燃剤、(7)架橋剤またはカップリング剤、(8)ポリマー加工助剤、および(9)ポリプロピレンのためのベータ核剤を含む任意の種類の核剤を含むが、その限りではない。
【0034】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、エンボス加工の前、少なくとも8ミクロンの厚さ(たとえば8ミクロン~80ミクロンの厚さ)を有してよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、エンボス加工の前、少なくとも600kg/cm(たとえば少なくとも650kg/cm、少なくとも700kg/cm、少なくとも750kg/cm、少なくとも800kg/cm、少なくとも850kg/cm、少なくとも900kg/cm、少なくとも950kg/cm、少なくとも1000kg/cm、少なくとも1100kg/cm、少なくとも1200kg/cm、少なくとも1300kg/cm、または少なくとも1400kg/cm)のMD引張強度を有してよい。いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、エンボス加工の前、1500kg/cm以下(たとえば1400kg/cm以下、1300kg/cm以下、1200kg/cm以下、1100kg/cm以下、1000kg/cm以下、950kg/cm以下、900kg/cm以下、850kg/cm以下、800kg/cm以下、750kg/cm以下、700kg/cm以下、または650kg/cm以下)のMD引張強度を有してよい。
【0036】
微多孔ポリマーまたは膜は、エンボス加工の前、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲のMD引張強度を有してよい。たとえば微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、エンボス加工の前、600kg/cm~1500kg/cmのMD引張強度を有してよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、エンボス加工の前、少なくとも175kg/cm(たとえば少なくとも200kg/cm、少なくとも225kg/cm、少なくとも250kg/cm、少なくとも275kg/cm、少なくとも300kg/cm、少なくとも350kg/cm、少なくとも400kg/cm、少なくとも500kg/cm、少なくとも600kg/cm、少なくとも700kg/cm、少なくとも800kg/cm、少なくとも900kg/cm、少なくとも1000kg/cm)のTD引張強度を有してよい。いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、1100kg/cm以下(たとえば1000kg/cm以下、900kg/cm以下、800kg/cm以下、700kg/cm以下、600kg/cm以下、500kg/cm以下、400kg/cm以下、350kg/cm以下、300kg/cm以下、275kg/cm以下、250kg/cm以下、225kg/cm以下、200kg/cm以下)のTD引張強度を有してよい。
【0038】
微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、エンボス加工の前、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲のTD引張強度を有してよい。たとえば微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、175kg/cm~1100kg/cmのTD引張強度を有してよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜のMD引張強度対微多孔ポリマーフィルムまたは膜のTD引張強度の比は、少なくとも0.5(たとえば少なくとも1.0、少なくとも2.0、少なくとも3.0、少なくとも4.0、または少なくとも5.0)であってよい。いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜のMD引張強度対微多孔ポリマーフィルムまたは膜のTD引張強度の比は、6.0以下(たとえば5.0以下、4.0以下、3.0以下、2.0以下、または1.0以下)であってよい。
【0040】
微多孔ポリマーフィルムまたは膜のMD引張強度対微多孔ポリマーフィルムまたは膜のTD引張強度の比は、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲であってよい。たとえば微多孔ポリマーフィルムまたは膜のMD引張強度対微多孔ポリマーフィルムまたは膜のTD引張強度の比は、0.5~6.0(たとえば0.5~5.0、または0.5~4.0)であってよい。
【0041】
特定の実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、90℃で6.0%未満および120℃で15.0%未満のTD収縮率を有してよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、少なくとも20%(たとえば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも65%、または少なくとも80%)の気孔率を有してよい。いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、90%以下(たとえば80%以下、65%以下、50%以下、または40%以下)の気孔率を有してよい。
【0043】
微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の気孔率を有してよい。たとえば微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、20%~90%の気孔率(たとえば20%~80%の気孔率、40%~90%の気孔率、または65%~90%の気孔率)を有してよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、少なくとも0.04ミクロンの(ASTM F316-86標準法を用いてキャピラリーフロー分析によって計測される)平均流細孔径(たとえば少なくとも0.05ミクロンの平均流細孔径)を有してよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、少なくとも0.06ミクロン(たとえば少なくとも0.08ミクロン)の(PMI(Porous Materials社)によって販売されるアクアポアを用いて計測される)アクアポア径を有してよい。
【0046】
いくつかの場合において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、100秒未満のJISガーレーを有してよい。いくつかの場合において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、80秒未満のJISガーレーを有してよい。特定の場合において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、60秒未満のJISガーレーを有してよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、140psiを超える(ASTM D3393-91標準法を用いて計測される)ハイドロヘッド圧を有してよい。
【0048】
微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、単層微多孔ポリマーフィルムまたは多層微多孔ポリマーフィルム(たとえば2層フィルム、3層フィルム、または3より多くの層を備えるフィルム)を備えてよい。多層フィルムは、以下で詳述するような当該技術において知られている標準的な積層方法を用いて作製されてよい。また多層フィルムは、以下で詳述する当該技術において知られている共押出し法を用いて作製されてもよい。多層フィルムは、同じ材料または異なる材料の積み重ねで作られてよい。1つの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、ポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン3層フィルムを備えてよい。
【0049】
任意選択的に、いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、微多孔ポリマーフィルムまたは膜の片面に設けられた不織布(たとえばスパンボンドまたはメルトブローン不織布材料)をさらに備えてよい。不織布は、たとえばポリプロピレン不織布であってよい。これらの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムと不織布とは、たとえば粘着ラミネートまたは熱ラミネート、エンボス加工、カレンダー加工、またはそれらの組み合わせなど任意の適切な方法によって結合されてよい。
【0050】
1つの例示的実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、セルガード(登録商標)微多孔膜、特にエンボスブロックコポリマーZシリーズ膜を備えてよい。
【0051】
エンボス微多孔膜は、任意の適切なエンボス加工法を用いて適切な微多孔ポリマーフィルムまたは膜をエンボス加工することによって作製されてよい。適切な微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工する方法が以下で詳述される。
【0052】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜をエンボス加工することは、パターンエンボスローラを用いて微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工することを備えてよい。パターンエンボスローラは、エンボス微多孔膜にエンボスパターンを施すことができる。したがっていくつかの実施形態において、エンボス微多孔膜は、エンボス加工によって形成される、押し潰され、すなわち縮小された厚さを含むエンボスパターンを備えてよい。これらの場合において、エンボス微多孔膜は、任意の適切なエンボスパターンを備えてよい。
【0053】
エンボスパターンは、意図された微多孔膜の用途に基づいて選択されてよい。たとえばエンボスパターンは、MD割裂を減少させるように選択されてよい。またエンボスパターンは、微多孔膜における裂け目を伝搬させるあらゆる亀裂先端を鈍らせるように選択されてもよい。膜が電池セパレータとして用いられる場合、エンボスパターンは、セパレータを含む組電池の性能に悪影響を及ぼさないように選択されてもよい。たとえばエンボスパターンは、電池セパレータとしての使用に適した特性(たとえば気孔率)を有する膜を提供するように、元の厚さおよび気孔率を維持する十分な数の領域を含んでよい。
【0054】
いくつかの場合において、エンボスパターンは美的理由および/またはブランド化のために選択されてよい。たとえばエンボスパターンは、企業名、ロゴ、またはブランドとしておよび/または美的に魅力的なパターン(たとえば花模様)を含んでよい。エンボスパターンの例は、たとえばHansen氏らの米国特許第3,855,046号、Bomslaeger氏の米国特許第4,374,888号、Bourne氏らの米国特許第5,635,134号、Levy氏らの米国特許第5,620,779号、およびLevy氏らの米国特許第5,714,107号に記載される。
【0055】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔膜は、膜のTDに平行に走るエンボス横線、膜のMDおよびTDに対して斜めの網目状エンボスパターン、疑似ランダムパターンにおけるエンボス円、疑似ランダム花模様、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるエンボスパターンを備えてよい。特定の実施形態において、エンボスパターンは、膜のTDに平行に走るエンボス横線を備えてよい。このエンボスパターンは、MD方向の割裂を減少させ、および/または微多孔膜における裂け目を伝搬させるあらゆる亀裂先端を鈍らせることができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、エンボス横線は、100ミクロン未満(たとえば90ミクロン未満、80ミクロン未満、70ミクロン未満、60ミクロン未満、50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、10ミクロン未満、または5ミクロン未満)の線幅を有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス横線は、少なくとも1ミクロン(たとえば少なくとも2ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも25ミクロン、少なくとも30ミクロン、少なくとも35ミクロン、少なくとも40ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも60ミクロン、少なくとも70ミクロン、少なくとも80ミクロン、または少なくとも90ミクロン)の線幅を有してよい。
【0057】
エンボス横線は、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の線幅を有してよい。たとえばエンボス横線は、1ミクロン~100ミクロン(たとえば2ミクロン~100ミクロン、2ミクロン~25ミクロン、または2ミクロン~10ミクロン)の線幅を有してよい。いくつかの場合において、エンボス横線は、線幅の1~10倍のMDにおける間隔(すなわち隣接する平行な横線同士の膜のMD方向の距離)を有してよい。
【0058】
フィルムのMDおよびTDに対して斜めの網目状エンボスパターンの場合、網目状パターンは、上述した寸法を有する線形セグメントによって構成されてよい。疑似ランダムパターンにおけるエンボス円の場合、円は、上述した寸法に等しい直径を有してよい。
【0059】
エンボス加工は、膜の無地エリアを部分的に押し潰すこと(またはその逆)を伴ってよい。エンボスロールのネガパターン押印によって残され得るパターンエリアは、元の厚さ、気孔率、および特徴的な乳白色を保ったままであってよい(この白色はフィルムの細孔内の光の散乱によるものである)。たとえば、部分的に押し潰されるエリアは、元の厚さから、元の厚さの75%~35%(たとえば元の厚さの75%~55%、元の厚さの55%~35%、元の厚さの40%~30%、または元の厚さの70%~65%)である最終の厚さへ押し潰されてよいが、その限りではない。例として、1つの実施形態において、部分的に押し潰されるエリアは、約19~20ミクロンである元の厚さから約13ミクロンの最終の厚さへ押し潰されてよい。押し潰されるまたは部分的に押し潰されるエリアは、非多孔性または部分的に多孔性、あるいは押し潰されてないまたは部分的に押し潰されていないエリアと比べて僅かに少ない気孔率であってよい。
【0060】
微多孔膜のエンボス加工に付随して生じ得る改善の例は、膜のパターンエリアまたは無地エリアにおける部分的な押し潰しを伴うエンボス加工によって膜(たとえば電池セパレータまたは布地)にパターンを作製すること、膜の部分的な押し潰しの結果生じる半透明性、触感の改善、部分的な押し潰しによる膜の強度の増加(この増加は、縦方向および横方向両方の引張強度および突刺強度に生じ得る)、端部または部分の強化など、およびそれらの組み合わせを含むがその限りではない。
【0061】
いくつかの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムのエンボス加工は、無地(たとえば滑らかな)エンボスローラを用いて微多孔ポリマーフィルムをカレンダー加工、押し潰し、または圧縮することを備えてよい。これらの実施形態において、エンボス微多孔膜は、ほぼ均一に押し潰され、すなわち縮小された厚さを有してよい。これらの実施形態において、微多孔ポリマーフィルムまたは膜は、元の厚さから、元の厚さの75%~35%(たとえば元の厚さの75%~55%、元の厚さの55%~35%、元の厚さの40%~30%、または元の厚さの70%~65%)である最終の厚さまで部分的に押し潰されてよい。
【0062】
エンボス微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも2ミクロン(たとえば少なくとも3ミクロン、少なくとも4ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも6ミクロン、少なくとも7ミクロン、少なくとも8ミクロン、少なくとも9ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも11ミクロン、少なくとも12ミクロン、少なくとも13ミクロン、少なくとも14ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも16ミクロン、少なくとも17ミクロン、少なくとも18ミクロン、または少なくとも19ミクロン)の厚さを有してよい。エンボス微多孔ポリマーフィルムは、20ミクロン以下(たとえば19ミクロン以下、18ミクロン以下、17ミクロン以下、16ミクロン以下、15ミクロン以下、14ミクロン以下、13ミクロン以下、12ミクロン以下、11ミクロン以下、10ミクロン以下、9ミクロン以下、8ミクロン以下、7ミクロン以下、6ミクロン以下、5ミクロン以下、4ミクロン以下、または3ミクロン以下)の厚さを有してよい。
【0063】
エンボス微多孔ポリマーフィルムは、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の厚さを有してよい。たとえばエンボス微多孔ポリマーフィルムは、2ミクロン~20ミクロンの厚さ(たとえば3ミクロン~12ミクロンの厚さ、2ミクロン~8ミクロンの厚さ、3ミクロン~8ミクロンの厚さ、または5ミクロン~10ミクロンの厚さ)を有してよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも20%(たとえば少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、または少なくとも65%)の気孔率を有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、65%以下(たとえば60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、または25%以下)の気孔率を有してよい。
【0065】
エンボス微多孔ポリマーフィルムは、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の気孔率を有してよい。たとえばエンボス微多孔ポリマーフィルムは、20%~60%の気孔率(たとえば20%~50%の気孔率、25%~50%の気孔率、30%~55%の気孔率、または30%~40%の気孔率)を有してよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも80秒(たとえば少なくとも90秒、少なくとも100秒、少なくとも125秒、少なくとも150秒、少なくとも175秒、少なくとも200秒、少なくとも225秒、少なくとも250秒、少なくとも275秒、少なくとも300秒、少なくとも325秒、少なくとも350秒、少なくとも375秒、少なくとも400秒、少なくとも425秒、少なくとも450秒、または少なくとも475秒)のJISガーレーを有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、500秒以下(たとえば475秒以下、450秒以下、425秒以下、400秒以下、375秒以下、350秒以下、325秒以下、300秒以下、275秒以下、250秒以下、225秒以下、200秒以下、175秒以下、150秒以下、125秒以下、100秒以下、または90秒以下)のJISガーレーを有してよい。
【0067】
エンボス微多孔ポリマーフィルムは、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲のJISガーレーを有してよい。たとえば、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、80秒~500秒のJISガーレー(たとえば100秒~450秒のJISガーレー、または150秒~400秒のJISガーレー)を有してよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも1100kg/cm(たとえば少なくとも1100kg/cm、少なくとも1200kg/cm、少なくとも1300kg/cm、少なくとも1400kg/cm、少なくとも1500kg/cm、少なくとも1600kg/cm、少なくとも1700kg/cm、少なくとも1800kg/cm、または少なくとも1900kg/cm)のMD引張強度を有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、2000kg/cm以下(たとえば1900kg/cm以下、1800kg/cm以下、1700kg/cm以下、1600kg/cm以下、1500kg/cm以下、1400kg/cm以下、1300kg/cm以下、1200kg/cm以下、または1100kg/cm以下)のMD引張強度を有してよい。
【0069】
エンボス微多孔ポリマーフィルムは、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲のMD引張強度を有してよい。たとえばエンボス微多孔ポリマーフィルムは、1000kg/cm~2000kg/cmのMD引張強度を有してよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも250kg/cm(たとえば少なくとも300kg/cm、少なくとも350kg/cm、少なくとも400kg/cm、少なくとも450kg/cm、少なくとも500kg/cm、少なくとも600kg/cm、少なくとも700kg/cm、少なくとも800kg/cm、または少なくとも900kg/cm)のTD引張強度を有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、1000kg/cm以下(たとえば900kg/cm以下、800kg/cm以下、700kg/cm以下、600kg/cm以下、500kg/cm以下、450kg/cm以下、400kg/cm以下、350kg/cm以下、または300kg/cm以下)のTD引張強度を有してよい。
【0071】
エンボス微多孔ポリマーフィルムは、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲のTD引張強度を有してよい。たとえばエンボス微多孔ポリマーフィルムは、250kg/cm~1000kg/cmのTD引張強度(たとえば250kg/cm~900kg/cmのTD引張強度、または300kg/cm~1000kg/cmのTD引張強度)を有してよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムのMD引張強度対エンボス微多孔ポリマーフィルムのTD引張強度の比は、少なくとも0.5(たとえば少なくとも1.0、少なくとも2.0、少なくとも3.0、少なくとも4.0、または少なくとも5.0)であってよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムのMD引張強度対エンボス微多孔ポリマーフィルムのTD引張強度の比は、6.0以下(たとえば5.0以下、4.0以下、3.0以下、2.0以下、または1.0以下)であってよい。
【0073】
エンボス微多孔ポリマーフィルムのMD引張強度対エンボス微多孔ポリマーフィルムのTD引張強度の比は、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲であってよい。たとえばエンボス微多孔ポリマーフィルムのMD引張強度対エンボス微多孔ポリマーフィルムのTD引張強度の比は、0.5~6.0(たとえば0.5~5.0、または0.5~4.0)であってよい。
【0074】
特定の実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、90℃で6.0%未満および120℃で15.0%未満のTD収縮を有してよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは少なくとも200g(たとえば少なくとも225g、少なくとも250g、少なくとも275g、または少なくとも300g)の突刺強度を有してよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、325g以下(たとえば300g以下、275g以下、250g以下、または225g以下)の突刺強度を有してよい。
【0076】
エンボス微多孔ポリマーフィルムは、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の突刺強度を有してよい。たとえばエンボス微多孔ポリマーフィルムは、200g~325gの突刺強度を有してよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムは、多層エンボス微多孔ポリマーフィルム(たとえば2層ポリマーフィルム、3層ポリマーフィルム、または3より多くの層を備えるポリマーフィルム)を備えてよい。任意選択的に、いくつかの実施形態において、エンボス微多孔膜は、エンボス微多孔ポリマーフィルムの片面に設けられた不織布(たとえばスパンボンドまたはメルトブローン不織布材料)をさらに備えてよい。これらの実施形態において、エンボス微多孔ポリマーフィルムと不織布とは、たとえば粘着ラミネートまたは熱ラミネート、エンボス加工、カレンダー加工、またはそれらの組み合わせなど任意の適切な方法によって結合されてよい。
【0078】
方法
【0079】
一般に上述したように、本明細書に記載されるエンボス微多孔膜は、従来の方法を用いて作製された微多孔膜をエンボス加工することによって作られてよい。方法は、適切な微多孔膜またはフィルムを作製すること、および微多孔膜またはフィルムをエンボス加工してエンボス微多孔膜を形成することを含んでよい。
【0080】
いくつかの場合において、方法は、非多孔性前駆体が押し出され、その後2軸延伸される(すなわち、縦方向だけではなく横方向にも延伸される)乾式延伸法によって微多孔膜を形成することを備えてよい。この方法は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公報第2007/0196638号および第2011/0223486号において詳細に説明され、以下でも詳述される。
【0081】
通常、微多孔膜を作るための方法は、非多孔性前駆体を押し出し、その後、非多孔性前駆体を2軸延伸するステップを含んでよい。任意選択的に、非多孔性前駆体は、延伸の前にアニールされてよい。任意選択的に、非多孔性前駆体は、2軸延伸する前に縦方向延伸されてよい。1つの実施形態において、2軸延伸は、縦方向延伸、および同時制御された縦方向の弛緩を伴う横方向延伸を含む。縦方向延伸および横方向延伸は、同時であるか、または連続してよい。1つの実施形態において、縦方向延伸に続き、縦方向の弛緩を同時に伴う横方向延伸が行われる。この方法は以下でさらに詳しく説明される。
【0082】
押出しは一般的に従来型(従来型とは、乾式延伸法において従来型であることを指す)であり得る。押出し機は、(平坦な前駆体のための)スロットダイまたは(パリソン前駆体のための)環状ダイを有してよい。後者の場合、膨張パリソン技術が用いられてよい(たとえばブローアップ比(BUR))。しかし非多孔性前駆体の複屈折は、従来の乾式延伸法ほど高くする必要がない。たとえばポリプロピレン樹脂から>35%の気孔率を有するエンボス電池セパレータのための膜を製造する従来の乾式延伸法では、前駆体の複屈折は>0.0130になり得るが、本明細書の方法を用いると、PP前駆体の複屈折は0.0100まで低くなり得る。他の例において、ポリエチレン樹脂で作られる>35%の気孔率を有するエンボス電池セパレータのための膜の場合、前駆体の複屈折は>0.0280になり得るが、本明細書の方法の場合、PE前駆体の複屈折は0.0240まで低くなり得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、非多孔性前駆体は、ブローンフィルムおよびスロットダイフィルムの1つであってよい。非多孔性前駆体は、単層押出しおよび多層押出しの少なくとも1つによって形成される単層前駆体、または共押出しおよび積層の少なくとも1つによって形成される多層前駆体であってよい。
【0084】
1つの実施形態においてT-80℃~T-10℃(ここでTmはポリマーの融解温度)の温度で、他の実施形態ではT-50℃~T-15℃の温度で、アニール(任意選択)が実行されてよい。いくつかの材料(たとえばポリブテンなど押出し後に高い結晶度を有する材料)はアニールを必要としないことがある。
【0085】
縦方向延伸は、冷延伸または温延伸またはその両方として、単一ステップまたは複数ステップで行われてよい。1つの実施形態において、冷延伸は<T-50℃で実行され、他の実施形態では<T-80℃で実行されてよい。1つの実施形態において、温延伸は<T-10℃で実行されてよい。1つの実施形態において、縦方向の総延伸は50~500%の範囲であってよく、他の実施形態では100~300%の範囲であってよい。縦方向延伸中、前駆体は横方向に収縮し得る(従来型)。
【0086】
横方向延伸は、同時制御される縦方向の弛緩を含んでよい。これは、前駆体が横方向延伸されると同時に、制御された状態で縦方向に収縮(すなわち弛緩)させられることを意味する。横方向延伸は、冷ステップまたは温ステップ、またはその両方の組み合わせとして行われてよい。1つの実施形態において、横方向の総延伸は100~1200%の範囲であってよく、他の実施形態では200~900%の範囲であってよい。1つの実施形態において、制御された縦方向の弛緩は5~80%の範囲であってよく、他の実施形態では15~65%の範囲であってよい。1つの実施形態において、横方向延伸は複数のステップで実行されてよい。横方向延伸中、前駆体は縦方向に収縮されてもされなくてもよい。複数ステップによる横方向延伸の1つの実施形態において、第1の横方向ステップは制御された縦の弛緩を伴う横方向延伸を含んでよく、次に横方向および縦方向の同時の延伸があり、続いて横方向の弛緩があり縦方向延伸または弛緩はない。
【0087】
任意選択的に、前駆体は、縦方向および横方向延伸後、よく知られているような熱硬化を受けてよい。
【0088】
いくつかの実施形態において、乾式延伸法は、縦方向延伸に続いて、同時制御された縦方向の弛緩を伴う上記横方向延伸を含む上記2軸延伸、縦方向延伸を同時に伴う2回目の横方向延伸、続いて任意選択的な横方向の弛緩というステップを含んでよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、乾式延伸法の2軸延伸ステップは、非多孔性前駆体の複数の個別の重ね合わせられた層すなわち積層を同時に2軸延伸することを含み、この場合、延伸処理中、積層はいずれも互いに接合されていない。
【0090】
いくつかの実施形態において、乾式延伸法の2軸延伸ステップは、非多孔性前駆体の、接合され重ね合わせられた複数の層すなわち積層を同時に2軸延伸することを含み、この場合、延伸処理中、全ての積層が互いに接合されている。
【0091】
形成後、微多孔膜はエンボス加工されてよい。本明細書において記載され使用されるようなエンボス加工は、ビートリング加工、波紋加工、エンボス加工、シュライナー加工など、およびそれらの組み合わせなどを含むがその限りではない、材料に対する任意のエンボスまたはカレンダータイプの処理を表してよい。
【0092】
ポリマーフィルムをエンボス加工する方法は当該技術において知られている。任意の適切なエンボス加工法が用いられてよい。微多孔フィルムは、元の厚さ、気孔率、および特徴的な乳白色(この白色はフィルムの細孔内の光の散乱によるものである)を維持する領域と対照的な圧縮された半透明の領域(たとえば部分的に押し潰されたエリア)を形成するために熱および/または圧力を用いてエンボス加工されてよい。
【0093】
薄いフィルムに永久的なエンボス加工を施すために適切な1または複数の方法によってエンボス領域が加えられてよい。単なる一例として、圧縮された領域は、熱および/または圧力、およびたとえば超音波エネルギなどの他の方法を用いて形成されてよい。特定の例として、微多孔フィルムの選択された領域の圧縮は、たとえば点接合方法において一般的に用いられるようなパターンローラアセンブリの使用によって実現されてよい。点接合は一般に、多数の個別の小さな点で1または複数の層を機械的に圧縮する方法を指す。層は、一般に、たとえば彫刻ロールまたはパターンロールおよび2次ロールなどの加熱ロール間で、接合すべき1または複数の層を受け渡すことを含む熱点接合によってエンボス加工されることが望ましい。彫刻ロールは、布地が表面全体にわたって接合されないような何らかの方法でパターン付けされ、2次ロールは平坦またはパターン付きのいずれかであってよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、エンボス加工は、パターンエンボスローラを用いて微多孔膜またはフィルムをエンボス加工することを備えてよい。これらの実施形態において、パターンエンボスローラは、エンボス微多孔膜にエンボスパターンを施し得る。これらの実施形態において、上記他の方法では、エンボスローラは表面に彫刻パターンを有してよく、エンボス微多孔膜にそのパターンが押印されてよく、その仕上がりはローラに依存して浮き出しパターンまたは窪みパターンとなる(たとえば図1を参照)。
【0095】
いくつかの実施形態において、微多孔膜またはフィルムのエンボス加工は、無地(たとえば滑らかな)エンボスローラを用いて微多孔膜またはフィルムをカレンダー加工、押し潰し、または圧縮することを備えてよい。これらの実施形態において、結果として生じるエンボス微多孔膜は、エンボスパターンを備えていなくてよい(たとえば、エンボス微多孔膜は、膜全体でほぼ一定の厚さ(たとえば±15%、または±10%)を有してよい)。
【0096】
いくつかの実施形態において、微多孔膜またはフィルムのエンボス加工は、微多孔膜の厚さを縮小することを備えてよい。これらの場合において、エンボス微多孔膜の厚さは、エンボス加工前の微多孔膜またはフィルムの厚さの35%~75%(たとえば35%~55%、75%~55%、40%~30%、または70%~65%)であってよい。
【0097】
本明細書に記載されるエンボス微多孔膜を備える電池セパレータ(たとえば2次リチウム電池セパレータ、リチウムイオン電池セパレータ、および/またはリチウム金属電池セパレータなどのリチウム電池セパレータ)、材料、布地、合成物、および積層物を含む物品も提供される。
【0098】
物品は、上述したエンボス膜の1または複数を含んでよい。いくつかの実施形態において、物品(たとえば電池セパレータ)は、本明細書に記載されるエンボス膜の1または複数を備える単層または多層構造であってよい。多層実施形態に関して、エンボス膜は、多層構造の1層、多層構造の複数の層、または多層構造の全層であってよい。膜が多層構造の全層ではない場合、多層構造は、積層方法によって形成されてよい。膜が多層構造の全層である場合、多層構造は、積層方法、またはたとえば共押出し法などの押出し法によって作られてよい。
【0099】
1つの実施形態において、微多孔膜フィルムは単独でカレンダー加工および/またはエンボス加工されてよい。選択実施形態において、本明細書のエンボス微多孔膜電池セパレータを作るために単独でカレンダー加工および/またはエンボス加工された微多孔膜フィルムは、単層フィルムであってよい。他の選択実施形態において、本明細書のエンボス微多孔膜電池セパレータを作るために単独でカレンダー加工および/またはエンボス加工された微多孔膜フィルムは、2層フィルムであってよい。他の選択実施形態において、本明細書のエンボス微多孔膜電池セパレータを作るために単独でカレンダー加工および/またはエンボス加工された微多孔膜フィルムは、多層フィルムであってよい。
【0100】
他の実施形態において、本明細書のエンボス微多孔膜電池セパレータは、メッシュ、スパンボンド不織布材料、メルトブローン不織布材料、またはそれらのいくつかの組み合わせを含むがその限りではない不織布を伴ってエンボス加工された少なくとも1つの微多孔膜またはフィルムを含む合成、積層、または多層セパレータまたは構造であってよい。本明細書のエンボス電池セパレータにおいて使用される不織布は、任意の所望の材料で作られてよい。1つの実施形態において、不織布は、PPスパンボンド不織布および/またはPPメルトブローン不織布を含むがその限りではないポリプロピレン(PP)不織布であってよい。微多孔膜またはフィルムと不織布とは、粘着ラミネートまたは熱ラミネート、および/または本開示のエンボス加工法またはカレンダー加工法によるものを含むがその限りではない任意の方法で結合されてよい。いくつかの実施形態において、エンボス微多孔膜電池セパレータは、全体的に複数の細孔を有する薄く柔軟な高分子シート、箔、またはフィルムをさらに含んでよい。
【0101】
エンボス微多孔膜の改善された物理属性は、たとえば、割裂に対する強度および/または耐性の増加を示す電池セパレータ、および割裂に対する強度および/または耐性の増加を示す防水性/通気性のある布地をもたらし得る。
【0102】
本明細書に記載される電池セパレータを備える電池(たとえばリチウム電池)も提供される。電池は、アノード、カソード、およびアノードとカソードとの間に配置された本明細書に記載されるエンボス微多孔膜を備える電池セパレータを備えてよい。
【0103】
電池のアノードとカソードとを隔絶するためにエンボス微多孔膜電池セパレータを用いる方法も提供される。方法は、電池(たとえばリチウム電池)のアノードとカソードとの間に本明細書に記載される1または複数のエンボス微多孔膜電池セパレータを配置することを備えてよい。
【0104】
非限定的な例示として、本開示の特定の実施形態の例が以下に示される。
【0105】
実施例
【0106】
特に明記しない限り、材料は全て以下の方法を用いて特徴付けられた。膜の厚さは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、“Standard Test Methods for Thickness of Solid Electrical Insulation”と題されたASTM D374-99(2004)に記載される方法に従ってエンベコモデル210-Aマイクロゲージベンチマイクロメータを用いて計測された。膜の気孔率は、参照によってその全体が本願に組み込まれる、“Standard Test Method for Interior Porosity of Poly(Vynil Chloride)(PVC)Resins by Mercury Intrusion Porosimetry”と題されたASTM D2873-94(1999)に記載される方法に従って計測された。膜の引張強度は、参照によってその全体が本願に組み込まれる、“Standard Test Method for Tensil Properties of Thin Plastic Sheeting”と題されたASTM D882-12(2012)に記載される方法に従って計測された。細孔径およびアスペクト比の計測値は、走査電子顕微鏡(SEM)写真の分析によって得られた。%TD破断伸度とは、サンプルを引き裂くために必要な最大引張強度で計測される、試験サンプルのTDに沿った試験サンプルの伸長のパーセンテージを指す。%収縮は、サンプルを90℃のオーブンで1時間温めることによって計測された。その後、MDおよび/またはTDにおいて収縮が計測された。突刺強度は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、“Standard Test Method for High Speed Puncture Properties of Plastics Using Load and Displacement Sensors”と題されたASTM3763-14に記載される方法に従ってインストロンモデル4442引張試験機を用いて計測された。膜のガーレーは、2つの方法によって計測された。日本工業規格ガーレー(JISガーレー)として定義される第1の方法において、ガーレーは、オーケンの透水試験機を用いて計測される。JISガーレーは、水柱4.8インチの定圧で1平方インチのフィルムを100ccの空気が通過するために必要な時間の秒数として定義される。第2の方法において、ASTMガーレーは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、“Standard Test Method for Resistance of Nonporous Paper to Passage of Air”と題されたASTM D726-94(2003)に記載される方法に従って計測される。ASTMガーレーは、水柱4.8インチの定圧で1平方インチのフィルムを10ccの空気が通過するために必要な時間の秒数として定義される。特に明記しない限り、本開示における膜のガーレーへの言及はJISガーレーを指す。
【0107】
膜の電気抵抗(「ER」)は、既知の表面を有する膜のサンプルを30重量%のKOH水溶液に24時間浸すことによって決定された。その結果得られるサンプルはその後、30重量%のKOH水溶液の電解液に浸された作用プラチナ電極(すなわちアノードとカソード)の間に配置され、既知のアンペア数(たとえば40ミリアンペア)の直流電流が電池の電極間に流された。フィルム全体の電位低下(E´)が電位計で計測された。微多孔フィルムが中に配置されていない場合の電池全体の電位低下(E)も同じ電流を用いて決定された。微多孔フィルムの電気抵抗は、式
ER=((E´-E)A)I
を用いて決定される。式中、Aは露出したフィルムの表面積であり、Iは電池全体の電流であり、ERは膜の電気抵抗であり、E´およびEは上述したとおりである。温度を線形増加させつつ膜のERを計測することによって、熱シャットダウンが決定された。熱シャットダウンは、ERが1000倍になる温度として定義される。通常、ERの1000倍の増加は、電池内の熱暴走を阻止するための電池セパレータ膜として十分である。ERの上昇は、膜の融解に起因する細孔構造の崩壊に対応する。
【0108】
以下の例に記載する膜は、特に注記しない限り、従来の乾式延伸法によって製造された。
【0109】
実施例1-微多孔膜の作製
【0110】
膜1
【0111】
2.5インチの押出し機を用いてポリプロピレン(PP)樹脂が押し出された。押出し機の融解温度は221℃であった。ポリマー溶融体が環状ダイに供給された。ダイ温度は220℃に設定された。ポリマー溶融体は送風によって冷却された。押し出された前駆体は27ミクロンの厚さおよび0.0120の複屈折を有した。
【0112】
押し出されたフィルムはその後150℃で2分間アニールされた。アニールされたフィルムはその後、室温で20%まで冷延伸され、続いて140℃で228%まで温延伸され32%まで弛緩された。縦方向(MD)延伸されたフィルムは、16.4ミクロンの厚さおよび25%の気孔率を有した。MD延伸されたフィルムはその後、50%のMD弛緩を伴って140℃で300%横方向(TD)延伸された。
【0113】
その結果完成したフィルムは、14.1ミクロンの厚さおよび37%の気孔率を有した。完成したフィルムのTD引張強度は550kg/cmであった。
【0114】
膜2
【0115】
2.5インチの押出し機を用いてポリプロピレン(PP)樹脂が押し出された。押出し機の融解温度は220℃であった。ポリマー溶融体が環状ダイに供給された。ダイ温度は200℃に設定された。ポリマー溶融体は送風によって冷却された。押し出された前駆体は9.5ミクロンの厚さおよび0.0160の複屈折を有した。2.5インチの押出し機を用いてHDPE樹脂が押し出された。押出し機の融解温度は210℃であった。ポリマー溶融体が環状ダイに供給された。ダイ温度は205℃に設定された。ポリマー溶融体は空気によって冷却された。押し出された前駆体は9.5ミクロンの厚さおよび0.0330の複屈折を有した。
【0116】
2つのPP層および1つのPE層はその後積層され、PP/PE/PP3層フィルムを形成した。ラミネートロールの温度は150℃であった。積層3層フィルムはその後125℃で2分間アニールされた。アニールされたフィルムはその後、室温で20%まで冷延伸され、続いて113℃で160%まで温延伸され35%まで弛緩された。MD延伸されたフィルムは25.4ミクロンの厚さおよび39%の気孔率を有した。MD延伸されたフィルムはその後、30%のMD弛緩を伴って115℃で400%までTD延伸された。
【0117】
その結果完成したフィルムは、19.4ミクロンの厚さおよび63%の気孔率を有した。完成したフィルムのTD引張強度は350kg/cmであった。
【0118】
膜3
【0119】
PP/PE/PP3層フィルムを形成するためにPP樹脂およびHDPE樹脂が共押出しダイを用いて押し出された。押出し機の溶解温度はPPに関して243℃、PEに関して214℃であった。198℃に設定された共押出しダイにポリマー溶融体が供給された。ポリマー溶融体は送風によって冷却された。押し出されたフィルムは35.6ミクロンの厚さを有した。
【0120】
押し出された前駆体は125℃で2分間アニールされた。アニールされたフィルムはその後、室温で45%まで冷延伸され、113℃で247%まで温延伸され42%まで弛緩された。MD延伸されたフィルムは21.5ミクロンの厚さおよび29%の気孔率を有した。MD延伸されたフィルムはその後、50%のMD弛緩を伴って115℃で450%までTD延伸された。
【0121】
その結果完成したフィルムは、16.3ミクロンの厚さおよび59%の気孔率を有した。完成したフィルムのTD引張強度は570kg/cmであった。
【0122】
膜4
【0123】
例3に記載した方法を用いてPP樹脂およびHDPE樹脂が共押出しされ、MD延伸された。MD延伸されたフィルムはその後、65%のMD弛緩を伴って115℃で800%TD延伸された。
【0124】
その結果完成したフィルムは17.2ミクロンの厚さおよび49%の気孔率を有した。完成したフィルムのTD引張強度は730kg/cmであった。
【0125】
膜5
【0126】
共押出しダイを用いてPP樹脂およびPE樹脂が押し出された。押出し機の溶解温度はPPに関して230℃、PEに関して206℃であった。210℃の温度に設定された共押出しダイにポリマー溶融体が供給された。ポリマー溶融体はその後、送風によって冷却された。押し出されたフィルムは36.0ミクロンの厚さを有した。
【0127】
押し出された前駆体はその後、105℃で2分間アニールされた。アニールされたフィルムはその後、20%まで冷延伸され、続いて105℃で155%まで温延伸され、その後35%まで弛緩された。MD延伸されたフィルムはその後、20%のMD弛緩を伴って110℃で140%までTD延伸された。
【0128】
その結果完成したフィルムは14.8ミクロンの厚さおよび42%の気孔率を有した。完成したフィルムのTD引張強度は286kg/cmであった。
【0129】
膜6
【0130】
PP/PE/PP3層フィルムを形成するために共押出しダイを用いてPP樹脂およびPE樹脂が押し出された。押出し機の溶解温度はPPに関して245℃、PEに関して230℃であった。225℃の温度に設定された共押出しダイにポリマー溶融体が供給された。ポリマー溶融体は送風によって冷却された。押し出されたフィルムは27ミクロンの厚さおよび0.0120の複屈折を有した。
【0131】
押し出された前駆体はその後、115℃で2分間アニールされた。アニールされたフィルムはその後、室温で22%まで冷延伸され、120℃で254%まで温延伸され25%まで弛緩された(縦方向の総延伸=251%)。MD延伸されたフィルムは15ミクロンの厚さおよび16%の気孔率を有した。MD延伸されたフィルムはその後、50%のMD弛緩を伴って130℃で260%までTD延伸され、続いて130℃でMD方向に50%かつTD方向に216%同時に延伸された。最終的にフィルムは、MDに堅持され(100%)、130℃の温度でTDに57.6%弛緩させられた。
【0132】
その結果完成したフィルムは、7.6ミクロンの厚さおよび52%の気孔率を有した。完成したフィルムのTD引張強度は513kg/cmであった。
【0133】
膜7
【0134】
PP/PE/PP3層フィルムを形成するために共押出しダイを用いてPP樹脂およびPE樹脂が押し出された。押出し機の融解温度はPPに関して222℃、PEに関して225℃であった。215℃の温度に設定された共押出しダイにポリマー溶融体が供給された。ポリマー溶融体は送風によって冷却された。押し出されたフィルムは40ミクロンの厚さおよび0.0110の複屈折を有した。
【0135】
押し出された前駆体はその後、105℃で2分間アニールされた。アニールされたフィルムはその後、室温で36%まで冷延伸され、109℃で264%まで温延伸され29%まで弛緩された(縦方向の総延伸=271%)。MD延伸されたフィルムは23.8ミクロンの厚さおよび29.6%の気孔率を有した。MD延伸されたフィルムはその後、75%のMD弛緩を伴って110℃で1034%までTD延伸された。
【0136】
その結果完成したフィルムは16.8ミクロンの厚さおよび46%の気孔率を有した。完成したフィルムのTD引張強度は1037kg/cmであった。
【0137】
膜8
【0138】
フィルムを形成するためにPPを基礎としたインパクトコポリマーが押し出された。押出し機の融解温度は249℃であった。215℃に設定された押出しダイにポリマー溶融体が供給された。ポリマー溶融体は送風によって冷却された。押し出されたフィルムは34ミクロンの厚さおよび0.0116の複屈折を有した。
【0139】
押し出された前駆体はその後、154℃で2分間アニールされた。アニールされたフィルムはその後、室温で30%まで冷延伸され、140℃で190%まで温延伸され61%まで弛緩された(縦方向の総延伸=159%)。MD延伸されたフィルムは26ミクロンの厚さおよび40%の気孔率を有した。MD延伸されたフィルムはその後、50%のMD弛緩を伴って150℃で260%までTD延伸され、続いてそれぞれ150℃で50%のMD延伸および216%のTD延伸を同時に行われた。
【0140】
膜1~8の特性
【0141】
表1は、膜1~8の物理特性をまとめたものである。比較を目的として、2つの市販の乾式延伸フィルム、A)セルガード(登録商標)2400(単層ポリプロピレン)およびB)セルガード(登録商標)2325(3層ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン)の物理特性も含まれる。
【0142】
【表1】
【0143】
実施例2-パターン付きでエンボス加工された微多孔膜
【0144】
市販の厚さ19ミクロンのポリプロピレン微多孔膜(CG1)がエンボスロールを用いて疑似ランダム花模様にエンボス加工された。このエンボス膜の物理特性が以下の表2にまとめられる。比較を目的として、CG1の2つのサンプルの物理特性も含まれる。
【0145】
【表2】
【0146】
エンボス膜は、大幅に増加した縦方向(MD)引張強度、横方向(TD)引張強度、および突刺強度を示した。さらに、エンボス加工は、端部の強化およびMD割裂の減少を含む他の利点も提供した。図1に示すように、エンボス加工は目に見えるパターンを膜に形成した。パターン内の白いエリアは膜の押し潰されていない領域であり、パターン内の半透明(灰色)エリアは部分的に押し潰された領域である。エンボス膜はまた、より布地に近い外観を呈した。
【0147】
実施例3-無地エンボスロールを用いてエンボス加工された微多孔膜
【0148】
市販の厚さ15ミクロンのポリプロピレン微多孔膜が無地エンボスロールを用いてエンボス加工された。ニップ圧、ニップ温度、およびエンボスロール温度を含む様々なプロセス条件が評価された。全てのサンプルは、毎分7.2フィートの速度、0psiの巻出し張力、および5psiの巻戻し張力でエンボス加工された。その結果生じる膜のASTMガーレーおよび厚さが評価された。その結果が以下の表3に含まれる。
【0149】
【表3】
これらの評価に基づいて膜19~22がさらに分析された。
【0150】
膜19~22の物理特性が以下の表4にまとめられる。膜21の両面のSEM画像が図2Aおよび図2Bに含まれる。
【0151】
【表4】
【0152】
市販の厚さ15ミクロンの3層ポリプロプレン-ポリエチレン-ポリプロピレン微多孔膜(CG2)が無地エンボスロールを用いてエンボス加工された。様々なニップ圧(100psi~1300psiの範囲)およびニップ温度(21℃、54℃、77℃、および104℃)を用いて合計25のエンボス条件(以下の表5のEC1~EC25)が評価された。
【0153】
【表5】
これらの評価に基づいて、EC1、EC2、EC3、EC4、EC9、およびEC10がさらなる分析のために選択された。
【0154】
EC1、EC2、EC3、EC4、EC9、およびEC10を用いて作製されたエンボス膜の物理特性が以下の表6に含まれる。EC1、EC2、EC3、およびEC4を用いて作製された膜の熱シャットダウン作用も評価された。4つ全ての膜が、125℃~135℃のシャットダウン温度を示した。
【0155】
【表6】
【0156】
EC1およびEC4を用いて作製されたエンボス膜の物理特性がさらに調査された。その結果が以下の表7にまとめられる。比較を目的として、CG2の物理特性も含まれる。CG2の側面および断面のSEM画像が図3Aおよび図3Bに含まれる。EC1を用いて作製されたエンボス膜の側面および断面のSEM画像が図4Aおよび図4Bに含まれる。
【0157】
【表7】
【0158】
少なくとも選択された実施形態、態様、または対象によると、本出願すなわち本発明は、エンボス加工またはカレンダー加工された電池セパレータ、電池セパレータ膜または層、微多孔膜電池セパレータ、微多孔膜、合成物または積層物、製造方法、使用方法、そのようなセパレータ、層、膜、合成物、または積層物を含む製品またはシステムなどに関する。
【0159】
添付の特許請求の範囲の構成および方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図されている本明細書に記載される特定の構成および方法によって範囲が限定されることはない。同等の機能を有する任意の構成および方法は、特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図されている。本明細書に示され記載されたものに加えて構成および方法の様々な変化例は添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図されている。さらに、本明細書に開示される特定の典型的な構成および方法のステップのみが具体的に記載されるが、構成および方法のステップの他の組み合わせもまた、特に明記されずとも、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図されている。したがって、ステップ、要素、構成部品、または構成要素の組み合わせが本明細書において明確に言及され得るが、ステップ、要素、構成部品、または構成要素の他の組み合わせが明記されずとも含まれる。
【0160】
「備える」という用語およびその変化形は、本明細書で用いられる場合、「含む」という用語およびその変化形の同意語として使用される、非限定的な用語である。本明細書において様々な実施形態を説明するために「備える」および「含む」という用語が使用されているが、本発明のより具体的な実施形態を提供するために「備える」および「含む」の代わりに「~を主体とする」および「~から成る」という用語が使用されてよく、また開示される。注記されない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される形状、寸法などを表す全ての数は最低限理解されるべきものであり、均等物の原理の応用を特許請求の範囲に限定することは意図されず、有効桁の数字および通常の四捨五入アプローチの観点で解釈すべきものである。
【0161】
特に明記されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、開示された本発明が属するところである技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で引用される文献およびそれらの引用元である資料は、参照によって明確に組み込まれるものである。
本発明の好ましい態様を以下に示す。
[1]乾式延伸法によって作られ、ほぼ円形を有する複数の細孔を含む微多孔ポリマーフィルムをエンボス加工、カレンダー加工、または圧縮することを備える方法によって作製されたエンボス微多孔膜であって、
前記微多孔ポリマーフィルムは、0.5~5.0の縦方向(MD)引張強度対横方向(TD)引張強度の比を示す膜。
[2]前記エンボス微多孔膜は、前記微多孔ポリマーフィルムと比べて増加したMD引張強度、増加したTD引張強度、増加した突刺強度、減少したMD割裂、またはそれらの組み合わせを示す、[1]に記載の膜。
[3]前記エンボス微多孔膜は、前記膜の前記TDに平行に走るエンボス横線、前記膜の前記MDおよびTDに対して斜めの網目状エンボスパターン、疑似ランダムパターンにおけるエンボス円、疑似ランダム対象パターン、ロゴパターン、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるエンボスパターンを備える、[1]または[2]に記載の膜。
[4]前記エンボスパターンは、前記膜の前記TDに平行に走るエンボス横線を備え、
前記横線は2ミクロン~10ミクロンの線幅を有し、
前記横線は前記線幅の1~10倍の前記MDにおける間隔を有する、
[3]に記載の膜。
[5]前記微多孔ポリマーフィルムは、ポリオレフィン、フルオロカーボン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール(またはポリオキシメチレン)、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるポリマーによって形成される、[1]~[4]のいずれか1項に記載の膜。
[6]前記微多孔ポリマーフィルムはポリオレフィンによって形成され、前記ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを備える、[5]に記載の膜。
[7]前記ポリオレフィンはインパクトコポリマーポリプロピレンを備える、[6]に記載の膜。
[8]下記に示す少なくとも1つの特徴を備える、
前記複数の細孔は、0.03ミクロン~0.50ミクロンの平均細孔径および0.75~1.25のアスペクト比を有し、前記微多孔ポリマーフィルムは、20%~80%の気孔率および少なくとも175kg/cmのTD引張強度を有する;
前記微多孔ポリマーフィルムは、40%~90%の気孔率、100秒未満のJISガーレー、少なくとも0.04ミクロンの平均流細孔径、および少なくとも0.06ミクロンのアクアポア径を有する;
前記微多孔ポリマーフィルムは、65%~90%の気孔率、60秒未満のJISガーレー、少なくとも0.05ミクロンの平均流細孔径、および少なくとも0.08ミクロンのアクアポア径を有する;
前記微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも8ミクロンの厚さおよび少なくとも225kg/cmのTD引張強度を有する;
前記微多孔ポリマーフィルムは8ミクロン~80ミクロンの厚さを有する;
前記微多孔ポリマーフィルムは、90℃で6.0%未満および120℃で15.0%のTD収縮を有する;
前記微多孔ポリマーフィルムは多層微多孔ポリマーフィルムを備える;および/または、
前記エンボス微多孔膜の少なくとも片面に設けられた不織布をさらに備える、
[1]~[7]のいずれか1項に記載の膜。
[9]エンボス微多孔ポリマーフィルムを備えるエンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔膜は前記フィルムのTDに平行に走るエンボス横線を備え、
前記横線は2ミクロン~10ミクロンの線幅を有し、
前記横線は前記線幅の1~10倍のMDにおける間隔を有する膜。
[10]エンボス微多孔ポリマーフィルムを備えるエンボス微多孔膜であって、前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは2ミクロン~20ミクロンの厚さ、20%~65%の気孔率、500以下のJISガーレー、および0.5~5.0のMD引張強度対TD引張強度の比を有する膜。
[11]前記エンボス微多孔ポリマーフィルムはポリオレフィン、フルオロカーボン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール(またはポリオキシメチレン)、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択されるポリマーによって形成される、[10]に記載の膜。
[12]前記エンボス微多孔ポリマーフィルムはポリオレフィンによって形成され、前記ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを備える、[11]に記載の膜。
[13]前記ポリオレフィンはインパクトコポリマーポリプロピレンを備える、[12]に記載の膜。
[14]下記に示す少なくとも1つの特徴を備える、
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは3ミクロン~12ミクロンの厚さを有する; 前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは25%~50%の気孔率を有する;
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは80秒~500秒のJISガーレーを有する;
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは、90℃で6.0%未満および120℃で15.0%未満のTD収縮を有する;
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは200g~325gの突刺強度を有する;
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは、少なくとも250kg/cmのTD引張強度を有する;
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは1000kg/cm~2000kg/cmのMD引張強度を有する;
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムは多層エンボス微多孔ポリマーフィルムを備える;および/または
前記エンボス微多孔ポリマーフィルムの片面に設けられた不織布をさらに備える、
[10]~[13]のいずれか1項に記載の膜。
[15][1]~[14]のいずれか1項に記載の膜を備える電池セパレータ、材料、布地、合成物、または積層物。
[16][1]~[14]のいずれか1項に記載の膜を備える電池セパレータ。
[17]アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードとの間に配置された[16]に記載の電池セパレータを備える電池。
[18]エンボス微多孔膜を作る方法であって、
(i)非多孔性前駆体を形成するためにポリマーを押し出すことと、
(ii)2軸延伸された膜を形成するために前記非多孔性前駆体を2軸延伸することであって、前記2軸延伸は縦方向延伸および横方向延伸を備え、前記横方向延伸は同時制御された縦方向の弛緩を備える、2軸延伸するステップことと、
(iii)前記エンボス微多孔膜を形成するために前記2軸延伸された膜をエンボス加工することと
を備える方法。
[19]下記に示す少なくとも1つの特徴を備える、
前記2軸延伸された膜をエンボス加工するステップ(iii)は、パターンエンボスローラを用いて、前記2軸延伸された膜をエンボス加工することを備え、前記エンボス微多孔膜はエンボスパターンを備える;
前記2軸延伸された膜をエンボス加工するステップ(iii)は、前記2軸延伸された膜をカレンダー加工または圧縮することを備える;
前記2軸延伸された膜をカレンダー加工することは、無地エンボスローラを用いて、前記2軸延伸された膜をカレンダー加工することを備え、前記エンボス微多孔膜はエンボスパターンを備えない;
ステップ(i)とステップ(ii)との間に、T-80℃~T-10℃の温度で前記非多孔性前駆体をアニールすることをさらに備える;
前記縦方向の総延伸は50~500%、前記横方向の総延伸は100~1200%、前記横方向延伸による前記縦方向の弛緩は5~80%、またはそれらの組み合わせである;
前記2軸延伸された膜をエンボス加工することは、前記2軸延伸された膜の厚さを縮小させることを備え、前記エンボス微多孔膜の厚さは、前記2軸延伸された膜の厚さの35%~75%である;および/または
前記エンボス微多孔膜の片面に不織布を設けることをさらに備える、
[18]に記載の方法。
[20]本明細書に示され、または記載されたような、エンボス加工またはカレンダー加工された電池セパレータ、電池セパレータ膜または層、微多孔膜電池セパレータ、微多孔膜、合成物または積層物、製造方法、使用方法、そのようなセパレータ、層、膜、合成物または積層物を含む製品またはシステムなど。
[21]微多孔膜において、
その中にエンボスパターンを備える微多孔ポリマーフィルムを備え、前記エンボスパターンは、微多孔フィルムの押し潰されたまたは縮小された厚さの領域であり、
前記ポリマーは、熱可塑性ポリマー、または、熱可塑性ポリマーと、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、抗酸化物質、および滑剤から成るグループから選択される材料との混合物を含み、
前記フィルムは、乾式延伸法によって作られ、
前記フィルムは、20%~60%の気孔率と、80秒~500秒のJISガーレーとを有する、膜。
[22]下記に示す少なくとも1つの特徴を備える、
前記ポリマーは、ポリオレフィン、フルオロカーボン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール(またはポリオキシメチレン)、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択される;
前記ポリマーは、インパクトコポリマーポリプロピレンを含む;
前記エンボスパターンは、前記膜のTDに平行に走るエンボス横線、前記膜のMDおよび前記TDに対して斜めの網目状エンボスパターン、疑似ランダムパターンにおけるエンボス円、疑似ランダム対象パターン、ロゴパターン、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択される;
前記膜は、以下の特徴:
0.03ミクロン~0.50ミクロンの平均細孔径、
0.75~1.25の細孔アスペクト比、
少なくとも175kg/cmのTD引張強度、
少なくとも0.04ミクロンの平均流細孔径、
少なくとも0.06ミクロンのアクアポア径、
90℃で6.0%未満および120℃で15.0%のTD収縮
のうちの1つ以上を有する;
前記微多孔ポリマーフィルムは多層微多孔ポリマーフィルムを備える;
前記微多孔膜は、前記エンボス微多孔膜の少なくとも片面に設けられた不織布をさらに備える;
[21]に記載の膜を含む電池セパレータ;
[21]に記載の膜を含む布地;および/または
アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードとの間に配置された電池セパレータを備える電池であって、前記電池セパレータは[21]に記載の膜を含む、[21]に記載の膜。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B