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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】関節接合部上の組織部位の領域管理
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A61M27/00
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098018
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2020522384の分割
【原出願日】2018-10-22
(65)【公開番号】P2023120311
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】62/575,961
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】カザラ,リチャード,マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ,ラリー,タブ
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】サンドバル,エンリケ,エル
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0276288(US,A1)
【文献】特表2014-510570(JP,A)
【文献】特表2015-516197(JP,A)
【文献】特表2013-545519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の領域を負圧で処置するためのドレッシングにおいて、
処置孔を有する密封リングと、
前記密封リングに結合された外周を有するカバーと、
前記密封リングと前記カバーとの間に配置され、前記処置孔を通して少なくとも一部が露出されたマニホールドとを含み、
前記マニホールドが、
手足の関節表面より上に配置するように構成された第1の部分と、
前記手足の近位部の周囲の少なくとも一部を包むように構成された第2の部分であって、第1のスパンを有する第2の部分と、
前記手足の遠位部の周囲の少なくとも一部を包むように構成された第3の部分であって、第2のスパンを有する第3の部分と、を含み、
前記第2の部分および前記第3の部分が第1の発泡体を含み、前記第1の部分が第2の発泡体を含み、前記第1の発泡体は、前記第2の発泡体と異なる密度を有することを特徴とするドレッシング。
【請求項2】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記第1の部分が、前記第2の部分および/または前記第3の部分の少なくとも一部から流体隔絶されていることを特徴とするドレッシング。
【請求項3】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記第2の部分および前記第3の部分が、前記第1の部分から離れて広がっていることを特徴とするドレッシング。
【請求項4】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記第2の部分および前記第3の部分が、集結する縁部を含むことを特徴とするドレッシング。
【請求項5】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記第1のスパンが前記第2のスパンよりも大きいことを特徴とするドレッシング。
【請求項6】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記第1のスパンの前記第2のスパンに対する割合が、1.2~3.4の範囲であることを特徴とするドレッシング。
【請求項7】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記第2の部分と前記第3の部分が、前記第1の部分を通る対称軸を中心に左右対称であり、前記第1のスパンに沿って延びる線および前記第2のスパンに沿って延びる線が、前記第1の部分を通る対称軸と平行であることを特徴とするドレッシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、「関節接合部上の組織部位の領域管理」の名称で2017年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/575,961号明細書の利益を、米国特許法第35条119(e)項に基づいて主張し、すべての目的に対して参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
添付の特許請求の範囲に説明した本発明は、一般に組織処置システムに関し、より詳細にはこれに限定されないが、関節接合部上の切開部及び他の組織部位の領域管理に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び実践は、組織部位に近位の圧力を低減することにより、組織部位における新しい組織の成長を拡大し加速できることを示している。この現象の用途は多数あるが、創傷を処置するために特に好都合であることが証明されている。外傷、外科手術、又は別の原因であろうと、創傷の病因に関わらず、創傷の適切な手当は結果にとって重要である。圧力を低減した創傷又は他の組織の処置は、一般に「負圧治療」と呼ばれることがあるが、例えば「負圧創傷治療」、「減圧治療」、「真空治療」、「真空支援閉鎖」、及び「局所負圧」を含む、他の名前でも公知である。負圧治療は、上皮及び皮下組織の移行、血流の改善、並びに創傷部位での組織の微小変形を含む、多くの利点を提供し得る。合わせてこれらの利点は、肉芽組織を増やし、治癒時間を減らすことができる。
【0004】
負圧治療の臨床的利点は周知である一方で、治療システム、構成要素、及び工程の改良は、医療提供者及び患者に有益であり得る。
【発明の概要】
【0005】
負圧治療環境で組織部位を管理するための新しく有効なシステム、装置、及び方法が、添付の特許請求の範囲に説明されている。例示的実施形態も、当業者が特許請求の範囲の主題を作って使用できるために提供されている。
【0006】
例えばこのような装置は、浮腫及び腫れが手術後に現れることがある切開部並びに周囲組織を管理するためのドレッシングであってもよい。ドレッシングは、膝又は肘などの関節接合部における領域の被覆を最大にし得る一方で、実質的な可動範囲を可能にする。一部の実施形態では、ドレッシングは、関節接合部を中心に皮膚に接するように構成された接着剤境界、皮膚の炎症を最小にするために皮膚に接合する布、負圧を分岐し、滲出液及び他の体液を吸収するための発泡体、並びに負圧がドレッシング全体を通して維持することができるようにアセンブリを密封するための薄い高分子フィルムキャップを含んでもよい。一部の実施形態では、ドレッシングは、ドレッシングの大きさをカスタマイズするために切断することができる1つ又は複数の部分を有してもよい。個別の接着フィルムは、密封のために切断部の上に付与することができる。
【0007】
より一般的には、関節接合部の周囲の領域を処置するためのドレッシングは、処置孔を有する密封リングのような取付デバイスと、ステム、ステムに接合した第1のアーム、及びステムに接合した第2のアームを含むマニホールドと、マニホールドより上に配置され、マニホールドの周囲の取付デバイスに結合されたカバーと、関節接合部の周囲の領域に接合するように構成された取付デバイス上の接着剤とを含んでもよい。マニホールドは、処置孔を通して少なくとも一部が露出されてもよい。
【0008】
一部の実施形態では、マニホールドは、第2のアームより大きいスパンを有する第1のアームを含んでもよい。第1のアーム及び第2のアームは、一部の実施形態ではステムから遠ざかって広がってもよい。マニホールドは、一部の実施形態では両凹状である面を含んでもよい。例えばステム、第1のアーム、及び第2のアームは、マニホールドの対向する側部に凹状隙間を画定してもよい。
【0009】
ドレッシングの他の態様は、手足の関節接合部より上に配置するように構成された第1の部分と、手足の近位部を中心に少なくとも部分的に包むように構成された第2の部分と、手足の遠位部を中心に少なくとも部分的に包むように構成された第3の部分とを有するマニホールド含んでもよい。例えば第1の部分は、膝より上に位置付けられてもよい。ドレッシングは、第2の部分と第3の部分との間の第1の部分の各側面上に開口又は隙間を有してもよい。一部の態様では、第2の部分及び第3の部分は集結する縁部を有してもよい。一部の態様では、第2の部分及び第3の部分は、第1の部分の中間から遠ざかって広がってもよい。
【0010】
手足の関節接合部の周囲の領域を処置する例示的方法は、ドレッシングのステムが関節接合部より上に配置されるようにドレッシングを付与するステップと、手足の近位部を中心にドレッシングの第1のアームを包むステップと、手足の遠位部を中心に第2のアームを包むステップと、マニホールドに負圧源を流体結合するステップと、負圧源から負圧を付与するステップとを含んでもよい。
【0011】
特許請求の範囲の主題を作成して使用する目的、利点、及び好ましい様式は、例示的実施形態の以下の詳述と併せて添付図面を参照すると最も良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本明細書により負圧治療を提供することができる、治療システムの例示的実施形態の機能ブロック図である。
図2図2は、図1の治療システムの一部の実施形態と関連することがある、例示的圧力制御モードの追加の詳細を例示するグラフである。
図3図3は、図1の治療システムの一部の実施形態の別の例示的圧力制御モードと関連することがある、追加の詳細を例示するグラフである。
図4図4は、図1の治療システムの例示的実施形態と関連することがある、追加の詳細を例示するドレッシングの平面図である。
図5図5は、一部の例と関連することがある、追加の詳細を例示する図4のドレッシングの組立図である。
図6図6は、一部の実施形態と関連することがある、追加の詳細を例示するドレッシングの別の例の平面図である。
図7図7は、関節接合部に付与した図4のドレッシングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的実施形態の以下の記載は、当業者が添付の特許請求の範囲に説明された主題を作成して使用することができる情報を提供するが、当技術分野にすでに周知である特定の詳細を割愛することがある。以下の詳述は、従って例示とみなすべきであり、限定とみなすべきではない。
【0014】
例示的実施形態は、様々な要素間の空間的関係又は添付図面に描かれた様々な要素の空間的配向を参照して本明細書に記載されていることもある。概してこのような関係又は配向は、処置を受ける患者の姿勢に一致する、又は患者の姿勢に対する基準枠を想定している。しかし当業者には認識されるように、この基準枠は厳密な規定よりむしろ説明手段に過ぎない。
【0015】
図1は、本明細書により組織部位に負圧治療を提供することができる、治療システム100の例示的実施形態の単純化した機能ブロック図である。
【0016】
この文脈では用語「組織部位」は、これに限定されないが、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、若しくは靭帯を含む組織上又は組織内にある創傷、欠陥、或いは他の処置標的を広く指す。創傷は、例えば慢性、急性、外傷性、亜急性、及び縫合創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病、褥瘡、又は静脈不全潰瘍など)、組織片、並びに移植片を含んでもよい。又用語「組織部位」は、必ずしも創傷又は欠陥ではなく、その代わりに追加の組織の成長を加える又は増進することが望ましい面積である、あらゆる組織の面積も指してもよい。例えば負圧は、摘出し移植し得る追加の組織を成長させるために組織部位に付与されてもよい。
【0017】
治療システム100は、例えば負圧源105のような負圧源又は供給部、ドレッシング110、容器115のような流体容器、及びコントローラ120のような調節器又はコントローラを含んでもよい。追加として治療システム100は、作動パラメータを測定し、作動パラメータを表示するコントローラ120にフィードバック信号を提供するためのセンサを含んでもよい。図1に例示されたように、例えば治療システム100は、第1のセンサ125及び第2のセンサ130のようなコントローラ120に結合された1つ又は複数のセンサを含んでもよい。図1の例に例示されたように、ドレッシング110は、一部の実施形態では組織界面135、カバー140、若しくは両方を含んでもよく、又は組織界面135、カバー140、若しくは両方から基本的になってもよい。
【0018】
治療システム100の一部の構成要素は、センサ、処理設備、警報表示器、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示デバイス、若しくは治療を更に促進するユーザインタフェースなどの他の構成要素内に収納されてもよく、又は他の構成要素と併せて使用されてもよい。例えば一部の実施形態では、負圧源105は、治療設備の中でコントローラ120及び他の構成要素と組み合わされてもよい。
【0019】
概して治療システム100の構成要素は、直接又は間接的に結合されてもよい。例えば負圧源105は容器115に直接結合されてもよく、容器115を通してドレッシング110に間接的に結合されてもよい。結合は、一部の状況では流体、機械的、熱的、電気的、若しくは化学的結合(化学接合など)、又は結合の一部の組合せを含んでもよい。例えば負圧源105はコントローラ120に電気結合されてもよく、流体経路を組織部位に提供するために1つ又は複数の分配構成要素に流体結合されてもよい。又一部の実施形態では、構成要素は、物理的に近いことにより、単一構造に一体化することにより、又は材料の同じ片から形成することにより結合されてもよい。
【0020】
分配構成要素は、好ましくは取り外し可能であり、使い捨て可能、再利用可能、又は再生可能であってもよい。ドレッシング110及び容器115は、分配構成要素の例示である。流体導体は分配構成要素の別の実例である。この状況における「流体導体」は、管、パイプ、ホース、導管、或いは2つの端部間で流体を搬送するように適合された1つ又は複数のルーメン若しくは開口経路を備えた他の構造を広く含む。典型的には管は、若干の可撓性を備えた細長い円筒構造であるが、幾何形状及び剛性は変わってもよい。その上一部の流体導体は、他の構成要素に成形されてもよく、又は別法により他の構成要素と一体に組み合わされてもよい。又分配構成要素は、他の構成要素への結合及び分離を促すために界面若しくは流体ポートを含んでもよく、又は界面若しくは流体ポートを備えてもよい。一部の実施形態では、例えばドレッシング界面は、流体導体をドレッシング110に結合するのを促進することがある。例えばそのようなドレッシング界面は、米国テキサス州San AntonioのKCIから入手可能なSENSAT.R.A.C.(商標)Padであってもよい。
【0021】
負圧源105のような負圧供給部は、負圧における空気のリザーバであってもよく、或いは例えば真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療機関で利用可能な壁吸引ポート、若しくはマイクロポンプなどの、手動又は電動デバイスであってもよい。「負圧」は、概して密封した治療環境の外部の局所環境における周囲圧力のような局所の周囲圧力より低い圧力を指す。又多くの場合、局所の周囲圧力は、組織部位が置かれた大気圧であってもよい。別法として、圧力は組織部位で組織と関連した静圧より低くてもよい。別段の指示がない限り、本明細書で述べた圧力の値はゲージ圧である。負圧の増加の言及は、典型的には絶対圧力の低減を指す一方で、負圧の低減は、典型的には絶対圧力の増加を指す。組織部位に付与された負圧の量及び性質は治療要件によって変わってもよい一方で、圧力は概して低い真空であり、又一般的に-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の低真空とも呼ばれる。一般の治療範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)である。
【0022】
容器115は、組織部位から抜き取った滲出液及び他の流体を管理するために使用できる容器、キャニスタ、ポーチ、又は他の保管構成要素を代表する。多くの環境では、剛性容器が、流体を収集し、保管し、処理するために好ましい又は必要であることがある。他の環境では、流体は、剛性保管容器なしに適切に処理し得、再利用可能な容器は、負圧治療に関連した廃棄物及び費用を低減することができる。
【0023】
コントローラ120のようなコントローラは、負圧源105のような治療システム100の1つ又は複数の構成要素を作動するようにプログラミングしたマイクロプロセッサ又はコンピュータであってもよい。一部の実施形態では、例えばコントローラ120はマイクロコントローラであってもよく、マイクロコントローラは、治療システム100の1つ又は複数の作動パラメータを直接又は間接的に制御するようにプログラミングした、プロセッサコア及びメモリを含有する集積回路を概して含む。作動パラメータは、例えば負圧源105に付与された電力、負圧源105によって発生された圧力、又は組織界面135に分配された圧力を含んでもよい。又コントローラ120は、好ましくはフィードバック信号のような1つ又は複数の入力信号を受信するようにも構成され、入力信号に基づいて1つ又は複数の作動パラメータを修正するようにプログラミングされる。
【0024】
第1のセンサ125及び第2のセンサ130のようなセンサは、概して物理的現象若しくは特性を検出又は測定するために作動可能なあらゆる装置として当技術分野に公知であり、概して検出若しくは測定された現象又は特性を表示する信号を提供する。例えば第1のセンサ125及び第2のセンサ130は、治療システム100の1つ又は複数の作動パラメータを測定するように構成されてもよい。一部の実施形態では、第1のセンサ125は、空気圧経路内の圧力を測定し、測定した圧力を表示する信号に測定結果を変換するように構成された変換器であってもよい。一部の実施形態では、例えば第1のセンサ125はピエゾ抵抗歪ゲージであってもよい。第2のセンサ130は、一部の実施形態では任意選択で電圧又は電流のような負圧源105の作動パラメータを測定してもよい。好ましくは第1のセンサ125及び第2のセンサ130からの信号は、コントローラ120への入力信号として適切であるが、一部の信号を調整することが一部の実施形態では適切であることがある。例えば信号は、信号をコントローラ120によって処理できる前に、フィルタリング又は増幅する必要があることがある。典型的には信号は電気信号であるが、光信号などの他の形で表されてもよい。
【0025】
組織界面135は、概して組織部位に部分的又は完全に接触するように適合することができる。組織界面135は多くの形を取ってもよく、且つ実施される処置の型若しくは組織部位の性質及び大きさなどの種々の要因に依存して、多くの大きさ、形状、又は厚さを有してもよい。例えば組織界面135の大きさ及び形状は、深く不規則な形状の組織部位の外形に適合されてもよい。その上、組織界面135の任意の又は全ての表面は、突起、又は組織部位上に歪及び応力を誘発することができる不均一な、粗い、若しくはギザギザの輪郭を有してもよく、これは組織部位で肉芽を増進することができる。
【0026】
一部の実施形態では、組織界面135は、マニホールドであってもよい。この文脈では「マニホールド」は、概して圧力下で組織部位にわたる流体を収集若しくは分配するように適合された複数の経路を提供する、あらゆる物質又は構造を含む。例えばマニホールドは、源から負圧を受領し、組織部位にわたる複数の孔を通って負圧を分配するように適合されてもよく、これは組織部位中から流体を収集し、源に向かって流体を抜き取る効果を有することがある。一部の実施形態では、流体経路は逆向きでもよく、又は二次流体経路は、組織部位にわたって流体を送達するのを促すように提供されてもよい。
【0027】
一部の例示的実施形態では、マニホールドの経路は、組織部位にわたる流体の分配又は収集を改良するために相互連結されてもよい。一部の例示的実施形態では、マニホールドは、相互連結した細胞又は細孔を有する多孔質発泡材料であってもよい。例えば開放細胞発泡体、多孔質組織収集物、及びガーゼ又はフェルトマットなどの他の多孔質材料は、概して相互連結した流体チャネルを形成するように適合された細孔、縁部、及び/又は壁を含む。又液体、ゲル、及び他の発泡体も、孔及び流体経路を含んでもよく、又は孔及び流体経路を含むように硬化されてもよい。一部の実施形態では、マニホールドは、追加として又は別法として、相互連結した流体経路を形成する突起を含む。例えばマニホールドは、相互連結した流体経路を画定する表面突起を提供するために成形されてもよい。
【0028】
発泡体の平均の孔の大きさは、所定の治療の必要性に応じて変わってもよい。例えば一部の実施形態では、組織界面135は、400~600ミクロンの範囲の孔の大きさを有する発泡体であってもよい。又組織界面135の引張強度も、所定の治療の必要性に応じて変わってもよい。例えば発泡体の引張強度は、局所の処置溶液を点滴するために増加されてもよい。一部の例では、組織界面135は、どちらも米国テキサス州San AntonioのKCIから入手可能なGRANUFOAM(商標)ドレッシング又はV.A.C.VERAFLO(商標)ドレッシング内に見出されるような網状ポリウレタン発泡体であってもよい。
【0029】
組織界面135は、疎水性又は親水性のいずれであってもよい。組織界面135が親水性である一例では、組織界面135も、組織部位に負圧を分配し続ける間、組織部位から流体を逃がし得る。組織界面135の毛管特性は、毛細管流又は他の毛管機構により組織部位から流体を抜き取ることがある。親水性発泡体の一例は、米国テキサス州San AntonioのKCIから入手可能なV.A.C.WHITEFORM(商標)ドレッシングのようなポリビニルアルコールの開放細胞発泡体である。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作られた発泡体を含んでもよい。親水性特徴を提示することがある他の発泡体は、親水性を提供するように処理又は被覆された疎水性発泡体を含む。
【0030】
組織界面135は、密封された治療環境内の圧力が低減された時に、組織部位における肉芽を更に高めることがある。例えば組織界面135の任意の又は全ての表面は、負圧が組織界面135を通って付与される場合、組織部位における微小歪及び応力を誘発することができる不均一な、粗い、又はギザギザの輪郭を有してもよい。
【0031】
一部の実施形態では、組織界面135は、生体吸収性材料から構築されてもよい。適切な生体吸収性材料は、限定することなく、ポリ乳酸(PLA)及びポリグリコール酸(PGA)の高分子混合物を含んでもよい。又高分子混合物は、限定することなく、ポリカーボネート、ポリフマレート、及びカプララクトンも含んでもよい。組織界面135は、新しい細胞成長のための足場としての役目を更に果たしてもよく、又は足場材料は、細胞成長を高めるために組織界面135と併せて使用してもよい。足場は、概して細胞成長のための鋳型を提供する三次元多孔質構造のような、細胞成長又は組織形成を向上若しくは高めるために使用される物質又は構造である。足場材料を例示的例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コラールヒドロキシアパタイト、炭酸塩、又は処理された移植材料を含む。
【0032】
一部の実施形態では、カバー140は、細菌バリア及び物理的外傷からの保護を提供してもよい。またカバー140は、蒸発損失を低減し、2つの構成要素の間又は治療環境と局所外部環境との間のような2つの環境の間に流体密封を提供することができる材料から構築されてもよい。例えば、カバー140は、所与の負圧源のために組織部位で負圧を維持するように十分な密封を提供することができる弾性フィルム若しくは膜を含んでもよく、又は弾性フィルム若しくは膜から基本的になってもよい。一部の例示的実施形態では、カバー140は、水蒸気に透過性であるが液体に不透過性であるポリウレタンフィルムのような高分子ドレープであってもよい。カバー140は、一部の用途では高い水蒸気透過率(MVTR)を有してもよい。例えばMVTRは、(直立カップ測定用のASTM E96/E96Mに基づいて)一部の実施形態では24時間毎に少なくとも250g/mであってもよい。このようなドレープは、典型的には25~50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料については、透過性は、概して所望の負圧が維持され得るように十分に低くあるべきである。
【0033】
取付デバイスは、損傷していない表皮、ガスケット、又は別のカバーなどの取付表面にカバー140を取り付けるために使用してもよい。取付デバイスは多くの形を取ってもよい。例えば取付デバイスは、組織部位の周囲の表皮にカバー140を接合するように構成された、医学的に許容された感圧接着剤であってもよい。一部の実施形態では、例えばカバー140の一部又は全ては、アクリル接着剤のような接着剤で被覆されてもよく、アクリル接着剤は、1平方メートル当たり25~65グラム(g.s.m.)の被覆重量を有してもよい。より厚い接着剤又は接着剤の組合せは、密封を向上させ漏れを低減させるために一部の実施形態で適用されてもよい。取付デバイスの他の例示的実施形態は、両面テープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコンゲル、又はオルガノゲルを含んでもよい。
【0034】
図2は、コントローラ120の一部の実施形態と関連することがある、例示的制御モードの追加の詳細を例示するグラフである。一部の実施形態では、コントローラ120は、処置の間又は手動で不活性されるまで、負圧源105が線205及び線210によって表示されたように一定の標的負圧を提供するように作動される、連続した圧力モードを有してもよい。追加として又は別法として、コントローラは、図2の例に例示されたように、間欠圧力モードを有してもよい。図2では、x軸は時間を表し、y軸は経時的に負圧源105によって発生された負圧を表す。図2の例では、コントローラ120は、標的圧力と大気圧との間を循環するように負圧源105を作動させることができる。例えば標的圧力は、線205によって表示されたように特定の期間(例えば5分)、続いて実線215と220との間のギャップによって表示されたような不活性の特定期間(例えば2分)を125mmHgの値に設定されてもよい。循環は、線220によって表示されたように負圧源105を活性化することによって反復することができ、線220は標的圧力と大気圧との間に矩形波のパターンを形成することができる。
【0035】
一部の例示的実施形態では、大気圧から標的圧力への負圧の増加は瞬時ではなくてもよい。例えば負圧源105及びドレッシング110は、破線225によって表示されたように初期上昇時間を有してもよい。初期上昇時間は、使用するドレッシング及び治療機器の型に依存して変わってもよい。例えば1つの治療システムに対する初期上昇時間は、約20~30mmHg/秒の範囲であってもよく、及び別の治療システムに対して約5~10mmHg/秒の範囲であってもよい。治療システム100が間欠モードで作動する場合、実線220によって表示されたような反復上昇時間は、破線225によって表示されたような初期上昇時間と実質的に等しい値であってもよい。
【0036】
図3は、治療システム100の一部の実施形態において別の例示的圧力制御モードと関連することがある追加の詳細を例示するグラフである。図3では、x軸は時間を表し、y軸は負圧源105によって発生された負圧を表す。図3の例における標的圧力は、動圧モードにおける時間によって変化することができる。例えば標的圧力は、三角波形の形で変化してもよく、それぞれ上昇時間305を+25mmHg/分の割合に設定し、降下時間310を-25mmHg/分に設定して、50~125mmHgの最小負圧及び最大負圧で変化する。治療システム100の他の実施形態では、三角波形は、上昇時間305を+30mmHg/分の割合に設定し、降下時間310を-30mmHg/分に設定して、25~125mmHgの負圧で変化してもよい。
【0037】
一部の実施形態では、コントローラ120は、動圧モードで可変標的圧力を制御又は決定してもよく、可変標的圧力は、最大圧力値と最小圧力値との間で変化してもよく、これは所望の負圧の範囲を操作者によって指示された入力として設定されてもよい。又可変標的圧力は、コントローラ120によって処理されて制御されてもよく、コントローラ120は、三角波形、正弦波形、又は鋸歯波形などの所定の波形により標的圧力を変えることができる。一部の実施形態では、波形は、治療のために所望の所定の又は時間的に変化する負圧として操作者によって設定されてもよい。
【0038】
図4は、一部の実施形態と関連することがある追加の詳細を例示する、ドレッシング110の例の平面図である。図4の例示的実施形態では、ドレッシング110は、膝のような関節接合部を覆うことができる特徴を含むが、それでも大きい可動範囲が可能である。例えば図4のドレッシング110は、ステム410、ステム410の第1の端部に接合した第1のアーム415、及びステム410の第2の端部に接合した第2のアーム420を有するマニホールド405を概して含む。
【0039】
一部の実施形態では、マニホールド405は、多面体又は一般的な円筒を特徴としてもよい。例えば図4では、マニホールド405は、面425及び縁部430を有する一般的な円筒を特徴とすることができる。図4における縁部430は、ステム410、第1のアーム415、及び第2のアーム420を結び付ける。一部の実施形態では、縁部430の一部は湾曲してもよく、一部は直線であってもよい。図4では、例えば第1のアーム415は、実質的に直線である第1の縁部435によって一部が結び付けられ、第2のアーム420は、実質的に直線である第2の縁部440によって一部が結び付けられる。他の実施形態では、第1のアーム415、第2のアーム420、又は両方は先端に起伏があってもよい。
【0040】
ステム410は、概して関節表面より上に位置付けるように構成される。ステム410の幅は、関節の異なる型に対して変わってもよく、関節の妨害を最小にするように制限されてもよい。例えば一部の実施形態では、ステム410は膝蓋骨より上に位置付けるように構成され、2~4インチの幅を有してもよい。他の例では、1~3インチの幅は、肘頭より上に位置付けるのに適してもよい。
【0041】
図4の例に例示されたように、第1のアーム415及び第2のアーム420は、ステム410から離れて広がってもよい。一部の例では、面425は両凹面であってもよい。より一般的には、第1のアーム415及び第2のアーム420を結び付ける縁部430の一部は、ステム410の各側面に隣接した凹状隙間を画定するようにステム410に向かって集結してもよい。図4の例では、凹状隙間は湾曲している。他の例では、縁部430はステム410における頂点に向かって集結する直線セグメントを有してもよい。
【0042】
マニホールド405の一部の実施形態は、追加としてステム410を通る対称軸445を特徴としてもよく、第1のアーム415及び第2のアーム420のそれぞれは、概して対称軸445に直交するスパンを特徴としてもよい。図4の例では、先端455の間の第1のスパン450は第1のアーム415の特徴であり、先端465の間の第2のスパン460は第2のアーム420の特徴である。
【0043】
図4の例では、第1のスパン450は第2のスパン460より大きい。第1のスパン450の第2のスパン460に対するスパンの適切な割合は、概して1.2~3.4の範囲であってもよい。1.2~1.6の割合は、一部の適用に特に好都合であることがある。例えば一部の実施形態では、第1のスパン450は、30~65センチメートルの範囲であってもよく、第2のスパン460は、20~45センチメートルの範囲であってもよい。他の例では、第1のスパン450は、15~50センチメートルの範囲であってもよく、第2のスパン460は、8~25センチメートルの範囲であってもよい。
【0044】
一部の実施形態では、流体導体470はドレッシング110に結合されてもよい。図4に例示されたように、流体導体470は第1のアーム415に結合されてもよい。図4はドレッシング界面475の例も例示し、ドレッシング界面475は流体導体470をマニホールド405に流体結合するのを促進するために使用されてもよい。
【0045】
図5は、一部の例と関連することがある追加の詳細を例示する、図4のドレッシング110の組立図である。図5の例では、カバー140、マニホールド405、接着リング505、及び処置領域孔515を備えた取付デバイス510は、積層関係に配置されている。概して図5のカバー140、マニホールド405、接着リング505、及び取付デバイス510は同様の形状を有する。取付デバイス510はマニホールド405よりわずかに大きくてもよく、接着リング505は、マニホールド405の外周部を取付デバイス510の内部に接合させることができる。マニホールド405は、処置領域孔515を通して露出することができる。一部の実施形態では、接着剤は、処置領域孔515を通して露出されたマニホールド405の少なくとも一部の上に配置されてもよい。例えば第1のアーム415、第2のアーム420、又は両方の一部は接着被覆を有してもよい。一部の実施形態では、接着剤はパターンで被覆されてもよく、表面の50%まで覆われてもよい。ドレッシング110は、任意選択で中心剥離ライナ520、第1の側部剥離ライナ525、及び第2の側部剥離ライナ530などの1つ又は複数の剥離ライナを含んでもよい。一部の例では、ドレッシング110は2つの剥離ライナを有してもよく、2つの剥離ライナのそれぞれは、剥離ライナを除去するためにより小さい片に分離することができるように構成された穿孔又は切込みを有してもよい。追加として一部の実施形態は、1つ又は複数のキャスティングシートライナ535も有してもよい。
【0046】
一部の実施形態では、取付デバイス510は密封リングであってもよい。カバー140と同様に又は類似して、適切な密封リングは例えば弾性フィルム又は部材であってもよく、弾性フィルム又は部材は治療負圧環境で密封を提供できる。一部の例示的実施形態では、取付デバイス510は、水蒸気に透過性であるが液体に不透過性であるポリウレタンフィルムのような高分子フィルムであってもよい。取付デバイス510は、典型的には25~50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料については、透過性は、所望の負圧を維持し得るように概して十分に低くあるべきである。又取付デバイス510は、医学的に許容された感圧接着剤も含んでもよい。一部の実施形態では、例えば取付デバイス510はアクリル接着剤のような接着剤で被覆された高分子フィルムであってもよく、アクリル接着剤は1平方メートル当たり25~65グラム(g.s.m.)の被覆重量を有することがある。より厚い接着剤又は接着剤の組合せは、密封を向上させ漏れを低減させるために一部の実施形態で適用されてもよい。追加として又は別法として、取付デバイス510は親水コロイド接着剤を含んでもよく、親水コロイド接着剤は皮膚炎を実質的に低減又は防止することができる。
【0047】
図5の例に例示されたように、マニホールド405の一部の実施形態は、可撓性切欠き540を有してもよい。可撓性切欠き540は、対称軸445に平行、対称軸445に垂直、又は両方であってもよい。追加として又は別法として、1つ又は複数の可撓性切欠き540は、対称軸445に斜めであってもよい。一部の実施形態では、ステム410のみが可撓性切欠き540を有してもよい。他の実施形態では、第1のアーム415、第2のアーム420、又は両方のみが可撓性切欠き540を有してもよい。
【0048】
マニホールド405の厚さは、所定の治療により変わってもよい。一部の実施形態では、マニホールド405又はマニホールド405の一部は、剛性を増加させるためにフェルト状の開放細胞発泡体を含んでもよい。追加として又は別法として、マニホールド405は、異なる密度を有する発泡体セグメントを含んでもよい。例えばステム410は、第1のアーム415及び第2のアーム420より高い密度を有する開放細胞発泡体を含んでもよく、又は高い密度を有する開放細胞発泡体から基本的になってもよい。
【0049】
カバー140は、図5の例に例示されたようにマニホールド405より大きくてもよく、取付デバイス510に取り付けるように構成された外周を有してもよい。例えばカバー140はフランジ545を有してもよい。組み立てると、カバー140は面425より上に配置されてもよく、フランジ545はマニホールド405の周囲の取付デバイス510に取り付けられてもよい。例えば接着剤は取付デバイス510にフランジ545を付着させるために使用されてもよく、又はフランジ545は取付デバイス510に溶接され、縫い付けられ、若しくはステープルで留められてもよい。又カバー140は、図5の例では孔550及び拡張帯555も有する。孔550は、マニホールド405とドレッシング界面又は流体導体との間を流体連通させることができる。拡張帯555は、折り目、リブ、ベロー、又はカバー140を必要な場合に拡張できるための他の手段を含んでもよい。
【0050】
ドレッシング110の一部の実施形態は、追加としてマニホールドに結合され、処置領域孔515を通して少なくとも一部が露出される快適層(図示せず)を含んでもよい。快適層は、皮膚炎を実質的に低減又は除去する一方で、快適層を通して流体を移動することができる材料を含んでもよく、又は流体を移動することができる材料から基本的になってもよい。適切であり得る材料の例は、織布又は不織布及び開窓高分子フィルムを含んでもよい。
【0051】
中心剥離ライナ520、第1の側部剥離ライナ525、及び第2の側部剥離ライナ530は、取付デバイス510上のあらゆる接着剤を覆ってもよい。追加として又は別法として、中心剥離ライナ520、第1の側部剥離ライナ525、及び第2の側部剥離ライナ530は、取り扱い及び付与を促進するために取付デバイス510に剛性を提供してもよい。追加として又は別法として、キャスティングシートライナ535は、取り扱い及び付与のためにカバー140に剛性を提供するためにフランジ545を覆ってもよい。
【0052】
図6は、一部の実施形態と関連することがある追加の詳細を例示する、ドレッシング110の別の例の平面図である。図6のドレッシング110は、多くの点で図4のドレッシング110に類似している。例えば図6のドレッシング110の面425は両凹面であってもよい。より一般的には、第1のアーム415及び第2のアーム420を結び付ける縁部430の一部は、ステム410の各側面に隣接した凹状隙間を画定するためにステム410に向かって集結してもよい。
【0053】
マニホールド405は、追加としてステム410を通る対称軸605を特徴としてもよく、第1のアーム415及び第2のアーム420のそれぞれは、対称軸605に概して平行なスパンを特徴としてもよい。図6の例では、第1のスパン450及び第2のスパン460は実質的に等しい。図6の例におけるステム410は、第1のスパン450及び第2のスパン460の中心からずれている。従って第1のアーム415及び第2のアーム420は、それぞれがステム410の片面上に犠牲拡張部610を有する。
【0054】
一部の実施形態では、マニホールド405は独特の圧力帯を有してもよい。例えばステム410は、第1のアーム415、第2のアーム420、又は両方から流体絶縁されてもよい。各圧力帯は、一部の実施形態では独特の流体界面を有してもよい。
【0055】
カバー140、マニホールド405、取付デバイス510、又は様々な組合わせは、付与する前又はその場で組み立てられてもよい。一部の実施形態では、ドレッシング110は単一設備として提供されてもよい。
【0056】
使用時に中心剥離ライナ520は、ドレッシング110から取り除かれてもよく、取付デバイス510の一部を露出する。マニホールド405は、組織部位内に、組織部位より上に、組織部位に接して、又は別法により組織部位の近位に置かれてもよく、取付デバイス510の露出部分は組織部位に隣接した表皮に付けて置かれてもよい。例えば組織部位が切開部である場合、マニホールド405は切開部より上に置かれてもよい。一部の実施形態では、対称軸445は、切開部の一部又は全てに位置合わせされてもよい。組織部位が手足の上にある場合、第1のアーム415は手足の近位部を中心に巻かれてもよく、第2のアーム420は手足の遠位部を中心に巻かれてもよい。第1のアーム415及び第2のアーム420は、一部の適用では切開部に直接接触しなくてもよく、より強い接着剤は、切開部に隣接した表皮に第1のアーム415及び第2のアーム420の少なくとも一部を固定するために使用されてもよい。第1の側部剥離ライナ525及び第2の側部剥離ライナ530は、取り除かれてもよく、又組織部位に隣接した追加の表皮に付与されてもよい。従ってドレッシング110は、組織部位の近位に、実質的には外部環境から隔絶された密封された治療環境を提供することができ、負圧源105は孔550を通ってマニホールド405に流体結合することができる。
【0057】
図7は、関節接合部上の切開部(図示せず)に付与した図4のドレッシング110を例示する。図7の例では、関節接合部は膝705である。図7の例に例示されたように、ステム410は実質的には膝705の上部を覆ってもよい。マニホールド405は、好ましくは、第1のアーム415及び流体導体470が膝705より高いように配向される。第1のアーム415は膝705より高い脚の一部の周囲を覆って包んでもよく、第2のアーム420は膝705より低い脚の一部の周囲を覆って包んでもよい。一部の実施形態では、第1のアーム415及び第2のアーム420の1つ又は複数は、第1のスパン450、第2のスパン460、又は両方を低減するために切断されてもよい。例えば図6のドレッシング110では、第1のアーム415、第2のアーム420、又は両方の拡張部610は、第1のアーム415及び第2のアーム420が膝705より高い脚及び低い脚のそれぞれの一部を完全に包むことができるように切断されてもよい。
【0058】
作動時に負圧源105は、密封された治療環境内の圧力を低減することができる。密封された治療環境内でマニホールド405を通って組織部位にわたって付与された負圧は、組織部位内にマクロ歪及びマイクロ歪を誘発することができ、更に組織部位から滲出液及び他の流体を取り除くこともでき、それを容器115内に収集できる。
【0059】
別の構成要素又は密封された治療環境内のような場所における圧力を低減するために負圧源を使用する流体機構は、数学的に複雑である可能性がある。しかし負圧治療に適用可能な流体機構の基本原理は当業者に概ね周知であり、圧力を低減する工程は、例えば負圧を「送達する」、「分配する」又は「発生する」と本明細書に例示的に記載されることがある。
【0060】
概して滲出液及び他の流体は、流体経路に沿ってより低い圧力に向かって流れる。従って用語「下流」は、典型的には負圧源に比較的近い、又は陽圧源から更に遠い流体経路におけるものを示唆する。逆に用語「上流」は、負圧源から比較的遠い、又は陽圧源により近いものを示唆する。同様にこの用語は、このような基準枠において流体「入口」又は「出口」に関してある特定の特徴を記載するために便利であることがある。この配向は、概して本明細書では様々な特徴及び構成要素を記載するために想定される。しかし流体経路は、又(負圧源の代わりに陽圧源を使うことによるような)一部の適用では逆であってもよく、この記載の慣例は、限定する慣例とみなすべきではない。
【0061】
一部の実施形態では、コントローラ120は、第1のセンサ125のような1つ又は複数のセンサからデータを受領して処理してもよい。又コントローラ120は、組織界面135に送達された圧力を管理するために、治療システム100の1つ又は複数の構成要素の作動も制御してもよい。一部の実施形態では、コントローラ120は、所望の標的圧力を受領するために入力部を含んでもよく、組織界面135に付与される標的圧力を設定し入力することに関するデータを処理するようにプログラミングされてもよい。一部の例示的実施形態では、標的圧力は、組織部位での治療に所望の標的負圧として操作者によって設定され、次いでコントローラ120に入力として提供された固定圧力値であってもよい。標的圧力は、組織部位を形成する組織の型、(ある場合に)負傷又は創傷の型、患者の健康状態、及び主治医の嗜好に基づいて組織部位によって変わってもよい。所望の標的圧力を選択した後、コントローラ120は、標的圧力に基づいた1つ又は複数の制御モードで負圧源105を作動することができ、組織界面135における標的圧力を維持するために1つ又は複数のセンサからフィードバックを受領してもよい。一部の実施形態では、マニホールド405は独特の圧力帯を有してもよく、異なる標的圧力及び制御モードは異なる圧力帯に付与されてもよい。
【0062】
本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法は、著しい利点を提供し得る。例えば肉芽組織の発達を増加させ、切開部の治癒時間を減らす利点に加えて、システム100は切開部に隣接した境界領域における浮腫及び痣を低減することもできる。ドレッシング110は、切開部上の応力を低減し、関節接合部の被覆領域を最大にすることができるが、それでも可動範囲を維持できる。ドレッシング110は、有利なことに捻挫のような切開又は開いた創傷のない組織部位の浮腫及び痣の管理もできる。一部の実施形態では、ドレッシング110の特徴は、ドレッシング110を交換することなく14日間まで1つの領域を処置することができ得る。
【0063】
数個の例示的実施形態に示されたが、当業者は、本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法が、添付の特許請求の範囲内に納まる様々な変更及び修正を受け入れることができることを認識するであろう。その上「又は」などの用語を使用する様々な代替の記述は、文脈によって明らかに必要とされない限り相互排他性を必要とせず、不定冠詞「a」又は「an」は、文脈によって明らかに必要とされない限り対象を単一例に限定しない。又構成要素も、販売、製造、組立て、若しくは使用のために様々な構成に組み合わせてもよく、又は取り除いてもよい。例えば一部の構成では、ドレッシング110、容器115、又は両方は、製造若しくは販売用に他の構成要素から取り除いてもよく、又は分離してもよい。又他の例示的構成では、コントローラ120も、他の構成要素と無関係に製造し、構成し、組立て、又は販売してもよい。
【0064】
添付の特許請求の範囲は、上に記載された主題の新規で発明性のある態様を説明するが、特許請求の範囲は、詳細に具体的に列挙していない追加の主題も包含することがある。例えばある特定の特徴、要素、又は態様は、新規で発明性のある特徴をすでに当業者に公知である特徴から区別する必要がない場合は、特許請求の範囲から割愛されてもよい。幾つかの実施形態に関連して記載された特徴、要素、及び態様もまた、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、割愛されてもよく、同じ、等価の、若しくは類似の目的を果たす代替の特徴と組み合わせてもよく、又は置換されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7