(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】車両用情報表示システム及び情報表示システム
(51)【国際特許分類】
G09F 21/04 20060101AFI20240626BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240626BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240626BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240626BHJP
【FI】
G09F21/04 Q
G03B21/14 A
G03B21/00 E
B60K35/23
(21)【出願番号】P 2023130785
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2020014762の分割
【原出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】杉山 寿紀
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】高木 栄治
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207315(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047522(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/147570(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0356634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G09F 19/00-27/00
B60K 35/00-37/20
G02B 27/00-30/60
G03B 21/00
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドガラスを介して映像を視認可能とする表示装置であって、
表示装置は、
点状又は面状の光源と、
前記光源からの光の発散角を低減する光学素子と、
導光体と、
表示パネルと、を備え、
前記導光体は、前記
光学素子からの光を反射し前記表示パネルに光を伝搬する反射面を有し、
前記表示パネルからは特定の偏光方向の光を映像光として出射し、
出射された前記特定の偏光方向の映像光が、前記ウインドガラスに配置される光学面で反射され光路を折り返して映像情報を視認可能とし、他方の偏光が前記光学面を透過することで情報非表示状態では車内の状況が視認できる、表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記光学面は偏光板である、表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記表示パネルは液晶パネル素子を有し、
前記表示装置は、前記表示パネルの光入射面と光出射面に設けた偏光板の特性により得られるコントラストに、前記光学面の前記偏光板のクロス透過率の逆数を乗じたコントラスト性能が得られる、表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記光学面は透明シートである、表示装置。
【請求項5】
ウインドガラスを介して映像を視認可能とする表示装置であって、
表示装置は、
点状又は面状の光源と、
前記光源からの光の発散角を低減する光学素子と、
導光体と、
表示パネルと、を備え、
前記導光体は、前記
光学素子からの光を反射し前記表示パネルに光を伝搬する反射面を有し、
前記表示パネルからは特定の偏光方向の光を映像光として出射し、
出射された前記特定の偏光方向の映像光が、前記ウインドガラスに配置される光学面で反射され光路を折り返して映像情報を視認可能とし、他方の偏光が前記光学面を透過することで情報非表示状態では室内の状況が視認できる、表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記光学面は偏光板である、表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置であって、
前記表示パネルは液晶パネル素子を有し、
前記表示装置は、前記表示パネルの光入射面と光出射面に設けた偏光板の特性により得られるコントラストに、前記光学面の前記偏光板のクロス透過率の逆数を乗じたコントラスト性能が得られる、表示装置。
【請求項8】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記光学面は透明シートである、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置を利用した車両用情報表示システム及び情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報表示システムとして、直接外部に向かって映像情報を表示する情報表示システムの他に、透過型スクリーンを用いて映像光の拡散特性を制御し表示することは既に知られている。例えば、特許文献1および特許文献2によれば、バインダや微粒子を含む光拡散層を備えた透明または反射型スクリーンは、既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6133522号公報
【文献】特許第6199530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術の投影型情報表示システムや装置では、映像光を車外または室外の観察者に対して効率良く(効果的に)届けて光の利用効率を向上すること、これにより光源を含む装置の消費電力を低減すること等に関しては考慮されていない。そこで、本発明は、空間の外部又は内部に好適に映像情報を表示することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、表示装置は、点状又は状の光源と、導光体と、表示パネルと、を備え、導光体は、光源からの光を反射し表示パネルに光を伝搬する反射面を有し、表示パネルからは特定の偏光方向の光を映像光として出射し、出射された特定の偏光方向の映像光が、ウインドガラスに配置される光学面で反射され光路を折り返して映像情報を視認可能とし、他方の偏光が光学面を透過することで情報非表示状態では車内の状況が視認できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、空間の外部に対して好適に映像情報を表示することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】情報表示システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】情報表示システムを車両であるバスに適用した例を示す図である。
【
図3】情報表示システムを車両である電車に適用した例を示す図である。
【
図4】情報表示装置の具体的な構成の一例を示す図である。
【
図5】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図6】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図7】情報表示装置の具体的な構成の一例を示す図である。
【
図8】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図9】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図10】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図11】情報表示装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図12】情報表示装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図13】情報表示装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図14】情報表示装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【
図15】一方向性の透明シート(透過型)の説明図である。
【
図16】一方向性の透明シート(透過型)の説明図である。
【
図17】反射ミラーの反射率の波長特性を示す第1の特性図である。
【
図18】反射ミラーの反射率の波長特性を示す第2の特性図である。
【
図20】情報表示装置の映像光拡散特性を示す図である。
【
図21】情報表示装置の映像光拡散特性を示す図である。
【
図22】太陽光などの自然光の波長分布を示す図である。
【
図23】P偏光とS偏光に対するガラスの反射率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の実施例は、例えば、大面積な映像発光源からの映像光による映像情報を、ショーウインドウのガラス等の空間を仕切る透明な部材を介して透過して店舗(空間)の外部に表示することが可能な情報表示システムに関する。また、かかる情報表示システムを用いて自動車や電車(以下では、総称して「車両」と言う)のフロントガラスやリアガラスやサイドガラスを介して外部や内部に映像を投影する車両用情報表示システムに関する。
【0009】
以下の実施例によれば、例えば、ショーウインドウのガラス面や車両のリアガラスやフロントガラス、側面のガラスなどでも高解像度な映像情報が表示可能であり、出射する映像光の発散角を小さく、即ち鋭角とし、さらに特定の偏波に揃えることで、映像光を観察者に対して効率良く届けて光の利用効率を向上することによって、光源を含む装置による消費電力を大幅に低減することが可能な、新規で利用性に優れた情報表示システムを提供することができる。また、例えば、車両のフロントガラスやリアガラスやサイドガラスを含むシールドガラスやシールドガラスに設けた透明シートを介して、車両内や外部において視認可能である、いわゆる、一方向性の表示が可能な車両用情報表示システムを提供することができる。
【0010】
なお、従来から存在する、車外に向かって映像情報を表示する一般的な車両用情報表示システムとして、LEDチップをマトリックス状に配列し、映像情報に合わせて点灯表示するシステムがある。このようなシステムでは、(1)LEDチップの拡散角が広角であるために所望の明るさを得るため大電力が必要となる。また、(2)所望の明るさを得るLEDチップは個々の寸法が大きくなり、車両に搭載できる寸法の情報表示システムとしては高い解像度が得られない。さらに、(3)装置の大型化を防ごうとすると映像情報のカラー表示が困難である。
【0011】
一方、従来から存在する高解像度なカラー表示可能な液晶パネルを用いた情報表示装置によって車外に向かって映像情報を表示すると、映像の明るさ(輝度)が不足し、例えば炎天下では表示内容が識別できないという課題がある。この課題を解決するために、大きな光束量を発生させる大出力LED光源をバックライトに使用すると、消費電力の増大しLEDの発熱が大きくなり、この対策のためにさらにシステムが大型化するため、車両用情報表示システムとして使用するのは困難となる。
【0012】
以下、図面等を用いて、本発明の実施例について詳細に説明する。なお、本発明は実施例の説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものには、同一の符号を付与し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0013】
<情報表示システム>
図1は、本実施例に係る情報表示システムの全体構成を示している。例えば、店舗等においては、ガラス等の透光性の部材であるショーウインドウ(「ウィンドガラス」とも言う)220により空間が仕切られており、本実施例の情報表示システムによれば、かかる透明な部材を透過して、映像情報を店舗(空間)の外部に対して一方向に表示することが可能である。なお、
図1では、ショーウインドウ220の内側(店舗内)を奥行方向にしてその外側(例えば、歩道)が手前になるように示している。
【0014】
より具体的には、
図1に示すように、ガラス等の透明な部材であるショーウインドウ220の上面又は斜め方向には、光源を備えて表示すべき映像光を生成して投写する情報表示装置48(以下に詳述する)が配置されており、情報表示装置48により生成された映像光は、対向面に設けた特定偏波を反射する反射ミラー35により反射され反射像36としてショーウインドウ220に貼着された透明シート(フィルム)51の働きにより、外部に対して一方向に表示される(以下に詳述する)。このことによれば、ショーウインドウ220を利用して、外部に対して様々な情報を表示することが可能となり、ショーウインドウの利用効率を著しく向上することが可能となる。
【0015】
また特定偏波を反射するミラー35は他方の偏波は透過するため情報表示していない場合には半透明となりショーウインドウ220の内部(店舗内)を店舗の外から見渡すことが出来る。このため液晶表示装置に直接映像情報を表示させる従来の情報表示装置と異なり情報表示を行わない場合に店内の景観を損なうことが無い。
【0016】
次に、
図4には、情報表示システムのより具体的な構成を示しており、情報表示装置48を構成する情報表示素子52は、例えば、画面サイズが15インチを超える比較的大型な液晶表示パネルにより構成されている。なお、歪補正によって実用上問題のないレベルの補正を行うためには、パネルの解像度は1280×720ドット以上が好ましく、外部に文字情報の他映像情報を静止画又は動画を表示するには1980×1080ドット以上の解像度が望ましい。
【0017】
また、情報表示装置48は、情報表示素子52(液晶表示パネル)と共に、その光源を構成する光源装置101を備えており、
図4では、光源装置101を液晶表示パネルと共に展開斜視図として示している。
【0018】
この液晶表示パネル(情報表示素子52)は、
図4に矢印30で示すように、バックライト装置である光源装置101からの光により挟角な拡散特性を有する、すなわち、指向性(直進性)が強く、かつ、偏光面を一方向に揃えたレーザ光に似た特性の照明光束を得て、入力される映像信号に応じて変調をかけた映像光を、ウィンドガラス220の表面に設けた透明シート51に向かって出射する。また、
図4では、情報表示システムは情報表示装置48を構成する液晶表示パネル52と、更に、光源装置101からの出射光束の指向特性を制御する光方向変換パネル54、および、必要に応じて挟角拡散板(図示せず)を備えて構成されている。即ち、液晶表示パネル52の両面には偏光板が設けられ、特定の偏波の映像光が映像信号により光の強度を変調して出射する(
図4の矢印30を参照)構成となっている。これにより、所望の映像を指向性(直進性)の高い特定偏波の光として、光方向変換パネル54を介して、ウィンドガラス220に向けて投写し、その表面に設けた透明シート51を介して、店舗(空間)の外部の観察者の眼に向けて透過する。なお、上述した光方向変換パネル54の表面には保護カバー50を設けることもある。
【0019】
本実施例では、光源装置101からの出射光束30の利用効率を向上させ、消費電力を大幅に低減するために、光源装置101と液晶表示パネル52を含んで構成される情報表示装置48において、光源装置101からの光(
図4の矢印30を参照)であって、ウィンドガラス220の表面に設けた透明シート51を透過しまたは拡散する映像光の輝度に対して、レンチキュラーレンズや透明パネル等の光学部品によって高い指向性を付与する。このことによれば、情報表示装置48からの映像光は、レーザ光のようにショーウインドウ220の外側(例えば、歩道)にいる観察者に対して高い指向性(直進性)で効率良く届くこととなり、その結果、高品位な映像情報を高解像度で表示すると共に、光源装置101のLED素子201を含む情報表示装置48による消費電力を著しく低減することが可能となる。
【0020】
<情報表示装置の例1>
図5には、情報表示装置48の具体的な構成の一例を示す。
図5では、
図4の光源装置101の上に液晶表示パネル52と光方向変換パネル54を配置している。この光源装置101は、
図4に示したケース状に、例えば、プラスチックなどにより形成され、その内部にLED素子201、導光体203を収納して構成されており、導光体203の端面には、
図4に示したようにそれぞれのLED素子201からの発散光を略平行光束に変換するために、受光部に対して対面に向かって徐々に断面積が大きくなる形状を有し内部を伝搬する際に複数回全反射することで発散角を徐々に小さくなるような作用を有するレンズ形状を設けている。その上面には、情報表示装置48を構成する液晶表示パネル52が取り付けられている。また、光源装置101のケースのひとつの側面(本例では左側の端面)には、半導体光源であるLED(Light Emitting Diode)素子201や、その制御回路を実装したLED基板202が取り付けられると共に、LED基板202の外側面には、LED素子および制御回路で発生する熱を冷却するための部材であるヒートシンクが取り付けることもある。
【0021】
また、光源装置101のケースの上面に取り付けられる液晶表示パネルのフレーム(図示せず)には、当該フレームに取り付けられた液晶表示パネル52と、更に、当該液晶表示パネルに電気的に接続されたFPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブル配線基板)(図示せず)などが取り付けられて構成される。即ち、液晶表示素子である液晶表示パネル52は、固体光源であるLED素子201と共に、電子装置を構成する制御回路(図示せず)からの制御信号に基づいて、透過光の強度を変調することによって表示映像を生成する。この時、生成される映像光は拡散角度が狭く特定の偏波成分のみとなるため、映像信号により駆動された面発光レーザ映像源に近い、従来にない新しい情報表示装置が得られることとなる。なお、現状では、レーザ装置により、上述した情報表示装置48で得られる画像と同等のサイズのレーザ光束を得ることは、技術的にも安全上からも不可能である。そこで、本実施例では、例えば、LED素子を備えた一般的な光源からの光束から、上述した面発光レーザ映像光に近い光を得る。
【0022】
続いて、光源装置101のケース内に収納されている光学系の構成について、
図5と共に、
図6を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図5および
図6は断面図であるため、光源を構成する複数のLED素子201が一つだけ示されており、これらは導光体203の受光端面203aの形状により略コリメート光に変換される。このため導光体端面の受光部とLED素子は所定の位置関係を保って取り付けられている。なお、この導光体203は、各々、例えば、アクリル等の透光性の樹脂により形成されている。そして、この導光体端部のLED受光面は、例えば、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面有し、その頂部では、その中央部に凸部(即ち、凸レンズ面)を形成した凹部有し、その平面部の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(或いは、内側に凹んだ凹レンズ面でも良い)有するものである(図示せず)。なお、LED素子201を取り付ける導光体の受光部外形形状は、円錐形状の外周面を形成する放物面形状をなし、LED素子から周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、或いは、反射面が形成されている。
【0024】
他方、LED素子201は、その回路基板である、いわゆるLED基板202の表面上の所定の位置にそれぞれ配置されている。このLED基板202は、LEDコリメータ(受光端面203a)に対して、その表面上のLED素子201が、それぞれ、前述した凹部の中央部に位置するように配置されて固定される。
【0025】
かかる構成によれば、導光体203の受光端面203aの形状によって、LED素子201から放射される光は略平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0026】
以上述べたように、光源装置101は、導光体203の端面に設けた受光部である受光端面203aに光源であるLED素子201を複数並べた光源ユニットを取り付けて構成され、LED素子からの発散光束を導光体端面の受光端面203aのレンズ形状によって略平行光として、矢印で示すように、導光体203内部を導光し(図面に平行な方向)、光束方向変換手段204によって、導光体に対して略平行に配置された液晶表示パネル52に向かって(図面から手前に垂直な方向)出射する。導光体内部または表面の形状によってこの光束方向変換手段の分布(密度)を最適化することで液晶表示パネル52に入射する光束の均一性を制御することができる。上述した光束方向変換手段4は導光体表面の形状や導光体内部に例えば屈折率の異なる部分を設けることで導光体内を伝搬した光束を、導光体に対して略平行に配置された液晶表示パネル52に向かって(図面から手前に垂直な方向)出射する。この時、液晶表示パネル52を画面中央に正対し画面対角寸法と同じ位置に視点を置いた状態で画面中央と画面周辺部の輝度を比較した場合の相対輝度比は20%以上あれば実用上問題なく、30%を超えていればさらに優れた特性となる。
【0027】
なお、
図5は上述した導光体203とLED素子201を含む光源装置101において、偏光変換する本実施例の光源の構成とその作用を説明するための断面配置図である。
図5において、光源装置101は、例えば、プラスチックなどにより形成される表面または内部に光束方向変換手段204を設けた導光体203、光源としてのLED素子201、反射シート205、位相差板206、レンチキュラーレンズなどから構成されており、その上面には、光源光入射面と映像光出射面に偏光板を備える液晶表示パネル52が取り付けられている。
【0028】
また、光源装置101に対応した液晶表示パネル52の光源光入射面(図の下面)にはフィルムまたはシート状の反射型偏光板49を設けており、LED素子201から出射した自然光束210のうち片側の偏波(例えばP波)212を選択的に反射させ、導光体203の一方(図の下方)の面に設けた反射シート205で反射して、再度、液晶表示パネル52に向かうようにする。そこで、反射シート205と導光体203の間もしくは導光体203と反射型偏光板49の間に位相差板(λ/4板)を設けて反射シート205で反射させ、2回通過させることで反射光束をP偏光からS偏光に変換し、映像光としての光源光の利用効率を向上する。液晶表示パネル52で映像信号により光強度を変調された映像光束は(
図5の矢印213)、
図1に示したように、ウィンドガラス220に大きな入射角で入射するため、透明シート51での反射率が大きくなり、店舗(空間)の内部または外部で観察するためには良好な拡散特性を得ることができる。
【0029】
図6は、
図5と同様に、導光体203とLED素子201を含む光源装置101において、偏光変換する本実施例の光源の構成と作用を説明するための断面配置図である。光源装置101も、同様に、例えばプラスチックなどにより形成される表面または内部に光束方向変換手段204を設けた導光体203、光源としてのLED素子201、反射シート205、位相差板206、レンチキュラーレンズなどから構成されており、その上面には、情報表示装置48として、光源光入射面と映像光出射面に偏光板を備える液晶表示パネル52が取り付けられている。
【0030】
また、光源装置101に対応した液晶表示パネル52の光源光入射面(図の下面)にはフィルムまたはシート状の反射型偏光板49を設け、LED光源201から出射した自然光束210のうち片側の偏波(例えばS波)211を選択的に反射させ、導光体203の一方(図の下方)の面に設けた反射シート205で反射して再度液晶表示パネル52に向かう。反射シート205と導光体203の間もしくは導光体203と反射型偏光板49の間に位相差板(λ/4板)を設けて反射シート205で反射させ、2回通過させることで反射光束をS偏光からP偏光に変換し、映像光として光源光の利用効率を向上する。液晶表示パネル52で映像信号により光強度変調された映像光束は(
図6の矢印214)、
図1に示すように、ウィンドガラス220に大きな入射角で入射しても表面での反射が軽減され、透明シート51で効率良く室外に映像光を拡散させることができる。
【0031】
図5及び
図6に示す光源装置101においては、対応する液晶表示パネル52の光入射面に設けた偏光板の作用の他に、反射型偏光板で片側の偏光成分を反射するために、理論上得られるコントラスト比は、反射型偏光板のクロス透過率の逆数と液晶表示パネルに付帯した2枚の偏光板により得られるクロス透過率の逆数を乗じたものとなるため、高いコントラスト性能が得られる。実際には、表示画像のコントラスト性能が10倍以上向上することを実験により確認した。この結果、自発光型の有機ELに比較しても遜色ない高品位な映像が得られた。
【0032】
<情報表示装置の例2>
図7には、情報表示装置48の具体的な構成の他の一例を示す。
図7の光源装置101’は、
図8の光源装置101’に詳細に示す。この光源装置101’は、図にも示すように、そのケース(
図7参照)内に、例えばプラスチックなどにより形成され、その内部にLED、コリメータ、合成拡散ブロック、導光体等を収納して構成されており、その上面には液晶表示パネル52が取り付けられている。また、光源装置101’のケースのひとつの側面には、半導体光源であるLED(Light Emitting Diode)素子14a、bや、その制御回路を実装したLED基板102が取り付けられると共に、LED基板102の外側面には、LED素子および制御回路で発生する熱を冷却するための部材であるヒートシンク103が取り付けられている(
図7、
図8参照)。
【0033】
図9(a)は
図8の上面図でLED14aからの発散光をコリメータレンズ15の外壁面で反射させ略平行光として偏光変換素子21で特定の偏波に揃えられ、(b)に示す導光体17の斜辺部172に設けた反射面172bで全反射し情報表示素子である液晶パネル52に入射し映像信号に合わせて光強度を変調すること情報表示を実現する。
【0034】
また、
図7に示すようにケースの上面に取り付けられた液晶表示パネルフレームには、当該フレームに取り付けられた液晶表示パネル52と、更に、液晶表示パネル52に電気的に接続されたFPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブル配線基板)403(
図7参照)などが取り付けられて構成されている。即ち、液晶表示素子である液晶表示パネル52は、固体光源であるLED素子14a,bと共に、電子装置を構成する制御回路(ここでは図示せず)からの制御信号に基づいて、透過光の強度を変調することによって表示映像を生成する。
【0035】
<情報表示装置の例3>
続いて、
図11を用いて情報表示装置48の具体的な構成の他の一例を説明する。この情報表示装置48の光源装置については
図13を用いて後述するが、LEDからの自然光(P偏波とS偏波が混在)の発散光束をコリメータレンズ18により略平行光束に変換し、反射型導光体304により液晶表示パネル52に向け反射する。反射光は液晶表示パネル52と反射型導光体304の間に配置された波長板と反射型偏光板49に入射する。反射型偏光板で特定の偏波(例えばS偏波)が反射され波長板で位相が変換され反射面に戻り再び位相差板を通過して反射型偏光板を透過する偏波(例えばP偏波)に変換される。
【0036】
この結果、LEDからの自然光は特定の偏波(例えばP偏波)に揃えられ、液晶表示パネル52に入射し、映像信号に合わせて輝度変調されパネル面に映像を表示する。上述の例と同様に光源を構成する複数のLEDが示されており(ただし、縦断面のため
図11~
図15では1個のみ図示)、これらはLEDコリメータ18に対して所定の位置に取り付けられている。なお、このLEDコリメータ18は、各々、例えばアクリル等の透光性の樹脂又はガラスにより形成されている。そして、このLEDコリメータ18は、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面を有すると共に、その頂部では、その中央部に凸部(即ち、凸レンズ面)を形成した凹部を有する。また、その平面部の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(あるいは、内側に凹んだ凹レンズ面でもよい)有している。なお、LEDコリメータ18の円錐形状の外周面を形成する放物面は、LEDから周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、あるいは、反射面が形成されている。LEDコリメータ18により略平行光に変換された光は、反射型導光体304の反射面206で反射し特定の偏波(本実施例ではP偏波)を反射型偏光板49の作用により反射させ反射型導光体304の反射面206に設けた平坦部に設けたλ/4板を2度通過することでP波の反射光をS偏波に偏光変換し反射型偏光板を通過させる。この結果、LED基板102からのランダム光は特定の偏波(本実施例ではS偏波)に揃えられ液晶表示パネル52に入射する。
【0037】
液晶表示パネル52からの出射光は、従来のTVセットでは画面水平方向(
図20(a)Y軸で表示)と画面垂直方向(
図20(a)X軸で表示)ともに同様な拡散特性を持っている。これに対して本実施例の液晶表示パネルからの出射光束の拡散特性は、例えば
図20の例1に示すように輝度が正面視(角度0度)の50%になる視野角が13度とすることで、従来の62度に対して1/5となる。同様に垂直方向の視野角は上下不均等として上側の視野角を下側の視野角に対して1/3程度に抑えるように反射型導光体の反射角度と反射面の面積等を最適化する。この結果、従来の液晶TVに比べ観察方向に向かう映像光量が大幅に向上し、輝度は50倍以上となる。
【0038】
更に、
図21の例2に示す視野角特性とすれば輝度が正面視(角度0度)の50%になる視野角が5度とすることで従来の62度に対して1/12となる。同様に垂直方向の視野角は上下均等として視野角を従来に対して1/12程度に抑えるように反射型導光体の反射角度と反射面の面積等を最適化する。この結果、従来の液晶TVに比べ観察方向に向かう映像光量が大幅に向上し、輝度は100倍以上となる。以上述べたように視野角を挟角とすることで観察方向に向かう光束量を集中できるので光の利用効率が大幅に向上する。この結果、従来のTV用の液晶表示パネルを使用しても、光源装置の光拡散特性を制御することで同様な消費電力で大幅な輝度向上が実現可能で、屋外に向けての情報表示システムに対応した情報表示装置とすることが出来る。
【0039】
基本構成としては、
図11に示すように光源装置48により挟角な指向特性の光束を液晶表示パネル52に入射させ、映像信号に合わせて輝度変調することで、液晶表示パネル52の画面上に表示した映像情報を、ウィンドガラス6を介して室外又は車外に表示する。この時、ガラス表面には映像光の拡散特性の制御や外光による画質低下の影響を軽減するため、後述する透明シート51を設けてもよい。
【0040】
本実施例では情報表示装置48をガラス6の下方に配置し挟角な拡散特性を有する特定偏波(例えばS偏波)の映像光をガラス6に設けた特定偏波(S偏波)を反射する反射ミラー(反射型偏光板)35により上方に映像光を反射させ結果として情報表示装置52に表示した映像情報を視認することが出来る。またガラス6の外部からは映像情報(S偏波)は視認できないが内部からは情報表示装置48に表示した映像情報を視認できる。
一方、ガラス6の外部から内部を眺めた時に他方のP偏波が通過するためガラス内部の状況を視認することが出来る。また反射ミラー35の観察側面に380nm~780nmの可視光領域の光線に対して均一な光吸収特性を有するティント板36を設けることで映像未表示の場合の鏡面反射(例えばS偏波)が低減でき反射ミラー(反射型偏光板)35を直視しても眩しく見えることが無い。この時良好な防眩効果を得るためには透過率が85%から65%の範囲のティント板36を選択すると良い。同様に外光のS偏波の反射を低減するために反射ミラー35の他方の面又はガラス6の他方の面にもティント板(図示せず)を設けることで外光のS偏波成分の反射が低減できためぎらつき感が軽減される。この時、ガラス6に仕切られた内部を外部から観察した場合には2枚のティント板による光線透過率が低下するため1枚の場合の略2倍の光線透過率のティント板を選択すると良い。
【0041】
<情報表示装置の例4>
図12は情報表示装置48の具体的な構成の他の一例を示している。
図11との違いは情報表示装置である液晶表示パネル52がガラス6の上面に配置され正対していないことである。このため映像光はガラス面に設けた特定偏波を反射する反射ミラー(反射型偏光板49)35で反射し、反射光331を図面左下方向からは視認できる。情報表示装置48とガラス6の相対位置を最適に選択することで所望の方向に映像光を反射光331として反射させ、ガラス6で仕切られた室内又は車内でも映像情報を視認できる。その他の構成は
図11と同様であるため説明は省略する。
【0042】
<情報表示装置の例5>
図13は情報表示装置48の具体的な構成の他の一例を示している。
図11との違いはガラス6に対して情報表示装置である液晶表示パネル52が上部に配置され特定偏波を反射するミラー35により情報表示装置52からの映像光(この実施例ではs偏波)を反射し対向するウィンドガラス6に設けた拡散シート37によりウィンドガラス6の映像光入射面とは異なる方向に拡散される。他方の偏波は反射ミラー35を透過するのでウィンドガラス6の内側(図面左側)の風景は、ウィンドガラス6の外側(図面6の右側)から観察することができる。この結果、本願発明の情報表示装置では、通常のディスプレイ装置とは異なり情報非表示状態でもウィンドガラス6の内部を外部から視認できるという従来の情報表示装置では実現できない本願特有の効果を得ることができる。
【0043】
また、この時用いる反射ミラー35は透明基材7に反射型偏光板49を粘着又は接着する。透明基材7の対向面にはティント板36を反射型偏光板49に接着または固着する。このティント板の光線透過率は例えば
図19に示すように可視光領域の380から780nm範囲ではほぼ同じ透過率のものを選択すれば映像光の色調が変化することがなく外光が入射してもコントラスト性能の低下を軽減できる。ウィンドガラス6の映像光が通過する位置には、詳細を後述するが
図15及び
図16に示す一方向拡散シートを設ける。また、高輝度な映像情報を表示したい場合には拡散シートを設けず直接映像光をウィンドガラス6越しに観察することで指向性の高い高輝度な映像を得ることができる。
【0044】
図14は情報表示装置48の具体的な構成の他の一例を示している。
図13との違いはガラス6に対して情報表示装置である液晶表示パネル52が下部に配置され特定偏波を反射するミラー35により情報表示装置52からの映像光(この実施例ではs偏波)を反射し対向するウィンドガラス6に設けた拡散シート37によりウィンドガラス6の映像光入射面とは異なる方向に拡散される。構成する部品の作用は
図13で示した実施例と同様なため詳細な説明は割愛する。以上述べた情報表示装置では以下に述べる特定偏波を生成する光源を適用することを前提としたが。自然光を発生させ液晶パネルにより特定の偏波の映像が得られることは言うまでもない。
【0045】
図13及び
図14に示した本願発明の実施例に対して特定偏波を反射するミラー35に設けた反射型偏光板49の代わりに
図17及び
図18で示した分光反射率特性を有する反射ミラーとしても良い。このミラーは、基材であるガラス又はプラスチックの表面に金属多層膜を設けて液晶パネル52のRGBの画素に対応したフィルターの特性を考慮し特定の波長の反射率を高めた反射特性を少ない多層膜構成で実現すると良い。更に太陽光の入射による偏光板や液晶パネルへの影響を軽減するため850nm(近赤外光)より長波長の光と400nm近傍の青色光の反射率を低く抑えることで情報表示装置の太陽光によるダメージを軽減できる。
図17は19層の金属多層膜を成膜した場合の特性、
図18は14層の金属多層膜を成膜した場合の特性を示したものである。カラー映像生成に必要な青色映像光、緑色映像光、赤色映像光の反射率をより高めるためには成膜の膜数を多くする必要があるがコストが上昇するため最適膜数は性能とコストを比較し最適値を求める必要がある。
【0046】
図17及び
図18に示した特性ではP偏波、S偏波ともに反射率が高すぎるため反射率そのものをパラメータとして試作し映像の見え方と反射ミラー後方の透過光すなわち背景の見え方について試作評価した。結果、反射率40%から15%の範囲が良好であった。反射率40%を超えると外光の反射強度が大きく15%以下では映像光の強度が小さくなりすぎる。反射率の範囲を35%から20%とすれば良好な情報表示時には良好な明るさの映像情報を視認でき、非表示時にはミラーの背景を見通すことができた。
【0047】
<光源装置の例1>
続いて、光源装置101’等のケース内に収納されている光学系の構成について、
図8と共に、
図9(a)及び(b)を参照しながら、詳細に説明する。
【0048】
図8及び
図9には、光源を構成する複数(本例では、2個)のLED14a、14bが示されており、これらはLEDコリメータ15に対して所定の位置に取り付けられている。なお、このLEDコリメータ15は、各々、例えばアクリル等の透光性の樹脂により形成されている。そして、このLEDコリメータ15は、
図9(b)にも示すように、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面156を有すると共に、その頂部では、その中央部に凸部(即ち、凸レンズ面)157を形成した凹部153を有する。また、その平面部の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(あるいは、内側に凹んだ凹レンズ面でもよい)154を有している。なお、LEDコリメータ15の円錐形状の外周面を形成する放物面156は、LED14a、14bから周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、あるいは、反射面が形成されている。
【0049】
また、LED14a、14bは、その回路基板である、いわゆるLED基板102の表面上の所定の位置にそれぞれ配置されている。このLED基板102は、LEDコリメータ15に対して、その表面上のLED14a又は14bが、それぞれ、その凹部153の中央部に位置するように配置されて固定される。
【0050】
かかる構成によれば、上述したLEDコリメータ15によって、LED14aまたは14bから放射される光のうち、特に、その中央部分から上方(図の右方向)に向かって放射される光は、LEDコリメータ15の外形を形成する2つの凸レンズ面157、154により集光されて平行光となる。また、その他の部分から周辺方向に向かって出射される光は、LEDコリメータ15の円錐形状の外周面を形成する放物面によって反射され、同様に、集光されて平行光となる。換言すれば、その中央部に凸レンズを構成すると共に、その周辺部に放物面を形成したLEDコリメータ15によれば、LED14aまたは14bにより発生された光のほぼ全てを平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0051】
なお、LEDコリメータ15の光の出射側には偏光変換素子21が設けられている。この偏光変換素子21は、
図9からも明らかなように、断面が平行四辺形である柱状(以下、平行四辺形柱)の透光性部材と、断面が三角形である柱状(以下、三角形柱)の透光性部材とを組み合わせ、LEDコリメータ15からの平行光の光軸に対して直交する面に平行に、複数、アレイ状に配列して構成されている。更に、これらアレイ状に配列された隣接する透光性部材間の界面には、交互に、偏光ビームスプリッタ(以下、「PBS」と省略する)膜211と反射膜212とが設けられており、また、偏光変換素子21へ入射してPBS膜211を透過した光が出射する出射面には、λ/2位相板213が備えられている。
【0052】
この偏光変換素子21の出射面には、更に、
図9(a)にも示す矩形状の合成拡散ブロック16が設けられている。即ち、LED14aまたは14bから出射された光は、LEDコリメータ15の働きにより平行光となって合成拡散ブロック16へ入射し、出射側のテクスチャー161により拡散された後、導光体17に到る。
【0053】
導光体17は、例えばアクリル等の透光性の樹脂により断面が略三角形(
図9(b)参照)の棒状に形成された部材であり、そして、
図8からも明らかなように、合成拡散ブロック16の出射面に第1の拡散板18aを介して対向する導光体光入射部(面)171と、斜面を形成する導光体光反射部(面)172と、第2の拡散板18bを介して、液晶表示素子である液晶表示パネル52と対向する導光体光出射部(面)173とを備えている。
【0054】
この導光体17の導光体光反射部(面)172には、その一部拡大図である
図8にも示すように、多数の反射面172aと連接面172bとが交互に鋸歯状に形成されている。そして、反射面172a(図では右上がりの線分)は、図において一点鎖線で示す水平面に対してαn(n:自然数であり、本例では、例えば、1~130である)を形成しており、その一例として、ここでは、αnを43度以下(但し、0度以上)に設定している。
【0055】
導光体入射部(面)171は、光源側に傾斜した湾曲の凸形状に形成されている。これによれば、合成拡散ブロック16の出射面からの平行光は、第1の拡散板18aを介して拡散されて入射し、図からも明らかなように、導光体入射部(面)171により上方に僅かに屈曲(偏向)しながら導光体光反射部(面)172に達し、ここで反射して図の上方の出射面に設けた液晶表示パネル52に至る。
【0056】
以上に詳述した情報表示装置48によれば、光利用効率やその均一な照明特性をより向上すると同時に、モジュール化されたS偏光波の光源装置を含め、小型かつ低コストで製造することが可能となる。なお、上記の説明では、偏光変換素子21をLEDコリメータ15の後に取り付けるものとして説明したが、本発明はそれに限定されることなく、液晶表示パネルに至る光路中に設けることによっても同様の作用・効果が得られる。
【0057】
なお、導光体光反射部(面)172には、多数の反射面172aと連接面172bとが交互に鋸歯状に形成されており、照明光束は、各々の反射面172a上で全反射されて上方に向かい、更には、導光体光出射部(面)173には挟角拡散板を設けて略平行な拡散光束として指向特性を制御する光方向変換パネル54に入射し、斜め方向から液晶表示パネル52へ入射する。本実施例では光方向変換パネル54を導光体出射面173と液晶パネル52の間に設けたが、液晶パネル52の出射面に設けても、同様の効果が得られる。
【0058】
<光源装置の例2>
光源装置101’等の光学系の構成について、他の例を
図10に示す。
図9に示した例と同様に、光源を構成する複数(本例では、2個)のLED14a、14bが示されており、これらはLEDコリメータ15に対して所定の位置に取り付けられている。なお、このLEDコリメータ15は、各々、例えばアクリル等の透光性の樹脂により形成されている。そして、
図9に示した例と同様に、このLEDコリメータ15は、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面156を有すると共に、その頂部では、その中央部に凸部(即ち、凸レンズ面)157を形成した凹部153を有する。また、その平面部の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(あるいは、内側に凹んだ凹レンズ面でもよい)154を有している。なお、LEDコリメータ15の円錐形状の外周面を形成する放物面156は、LED14aから周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、あるいは、反射面が形成されている。
【0059】
また、LED14a、14bは、その回路基板である、いわゆるLED基板102の表面上の所定の位置にそれぞれ配置されている。このLED基板102は、LEDコリメータ15に対して、その表面上のLED14a又は14bが、それぞれ、その凹部153の中央部に位置するように配置されて固定される。
【0060】
かかる構成によれば、上述したLEDコリメータ15によって、LED14aまたは14bから放射される光のうち、特に、その中央部分から上方(図の右方向)に向かって放射される光は、LEDコリメータ15の外形を形成する2つの凸レンズ面157、154により集光されて平行光となる。また、その他の部分から周辺方向に向かって出射される光は、LEDコリメータ15の円錐形状の外周面を形成する放物面によって反射され、同様に、集光されて平行光となる。換言すれば、その中央部に凸レンズを構成すると共に、その周辺部に放物面を形成したLEDコリメータ15によれば、LED14aまたは14bにより発生された光のほぼ全てを平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0061】
なお、LEDコリメータ15の光の出射側には第一の拡散板18aを介して導光体170が設けられている。導光体170は、例えばアクリル等の透光性の樹脂により断面が略三角形(
図10(a)参照)の棒状に形成された部材であり、そして、
図10(a)からも明らかなように、拡散ブロック16の出射面に第1の拡散板18aを介して対向する導光体光170の入射部(面)171と、斜面を形成する導光体光反射部(面)172と、反射式偏光板200を介して液晶表示素子である液晶表示パネル52と対向する導光体光出射部(面)173とを備えている。
【0062】
この反射型偏光板200は、例えばP偏光を反射(S偏光は透過)させる特性を有する物を選択すれば、光源であるLEDから発した自然光のうちP偏波を反射し、
図10(b)に示した導光体光反射部172に設けたλ/4板202を通過して反射面201で反射し、再びλ/4板202を通過することでS偏波に変換され、液晶表示パネル表示52に入射する光束は全てS偏波に統一される。
【0063】
同様に、反射型偏光板200としてS偏光を反射(P偏光は透過)させる特性を有する物を選択すれば、光源であるLEDから発した自然光のうちS偏波を反射し、
図10(b)に示した導光体光反射部172に設けたλ/4板202を通過して反射面201で反射し再びλ/4板202を通過することでP偏波に変換され、液晶表示パネル52に入射する光束は全てP偏波に統一される。以上述べた構成でも偏光変換が実現できる。
【0064】
<光源装置の例3>
光源装置の他の例を
図11に示す。また、本例の光源装置と液晶表示パネル52の配置は
図5~
図6に示す。光源装置はLEDからの自然光(P偏波とS偏波が混在)の発散光束をコリメータレンズ18により略平行光束に変換し反射型導光体304により液晶表示パネル52に向け反射する。反射光は液晶表示パネル52と反射型導光体304の間に配置された波長板と反射型偏光板49に入射する。反射型偏光板で特定の偏波(例えばS偏波)が反射され波長板で位相が変換され反射面に戻り再び位相差板を通過して反射型偏光板を透過する偏波(例えばP偏波)に変換される。
【0065】
この結果、LEDからの自然光は特定の偏波(例えばP偏波)に揃えられる。上述の例と同様に光源を構成する複数のLEDが示されており(ただし、縦断面のため
図11~
図14では1個のみ図示)、これらはLEDコリメータ18に対して所定の位置に取り付けられている。なお、このLEDコリメータ18は、各々、例えばアクリル等の透光性の樹脂又はガラスにより形成されている。そして、このLEDコリメータ18は、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面を有すると共に、その頂部では、その中央部に凸部(即ち、凸レンズ面)を形成した凹部を有する。また、その平面部の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(あるいは、内側に凹んだ凹レンズ面でもよい)有している。なお、LEDコリメータ18の円錐形状の外周面を形成する放物面は、LED18から周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、あるいは、反射面が形成されている。
【0066】
また、LEDは、その回路基板である、いわゆるLED基板102の表面上の所定の位置にそれぞれ配置されている。このLED基板102は、LEDコリメータ18に対して、その表面上のLEDが、それぞれ、その凹部の中央部に位置するように配置されて固定される。
【0067】
かかる構成によれば、LEDコリメータ18によって、LEDから放射される光のうち、特に、その中央部分から放射される光は、LEDコリメータ18の外形を形成する2つの凸レンズ面により集光されて平行光となる。また、その他の部分から周辺方向に向かって出射される光は、LEDコリメータ18の円錐形状の外周面を形成する放物面によって反射され、同様に、集光されて平行光となる。換言すれば、その中央部に凸レンズを構成すると共に、その周辺部に放物面を形成したLEDコリメータ18によれば、LEDにより発生された光のほぼ全てを平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0068】
なお、LEDコリメータ18の光の出射側には
図11に示す断面図の垂直方向と水平方向(図の前後方向で図示せず)の拡散特性を変換する光学素子を設けてもよい。導光体の反射面に効率よく光を照射するために画面垂直方向の拡散角を導光体反射面の垂直面の幅に合わせ、水平方向は液晶表示パネル52から出射する光束の面密度が均一になるようにLEDの数量と光学素子303からの発散角を設計パラメータとして最適設計すると良い。
【0069】
前述した反射型偏光板はS偏光反射(P偏光は透過)させる特性を有する物を選択すれば、光源であるLEDから発した自然光のうちS偏波を反射し、反射型偏光板と反射型導光体の間に配置した位相差板(図示せず)を通過して反射面で反射し、再び位相差板を通過することでP偏波に変換され液晶表示パネル52に入射する。液晶パネル52では映像信号の輝度値に合わせて偏光軸をねじりS偏光とし液晶パネルから出射される。この時、映像光はS偏光でありその強度は輝度信号に応じて変調される。この時使用される位相差版の厚さは位相差板への光線の入射角度により最適値を選ぶ必要があり、λ/16からλ/4の範囲に最適値が存在する。この時、反射型導光体での反射角も設計パラメータとして液晶表示パネルに入射する角度が画面領域全面で一定になるように設計することで明るさの均一性を向上することが出来る。
【0070】
<レンチキュラーレンズ>
図4に示したように液晶表示パネル52からの映像光の拡散分布を制御するためには、光源装置101と液晶表示パネル52の間、或いは、液晶表示パネル52の表面に、光方向変換パネル54としてレンチキュラーレンズを設けてレンズ形状を最適化することで、一方向の出射特性を制御できる。更に、マイクロレンズアレイをマトリックス状に配置することで情報表示装置52からの映像光束をX軸及びY軸方向に出射特性を制御することができ、この結果所望の拡散特性を有する情報表示装置を得ることが出来る。
【0071】
レンチキュラーレンズによる作用について説明する。レンチキュラーレンズは、レンズ形状を最適化することで、上述した情報表示装置48から出射されてウィンドガラス6上の透明シート35上で効率良く反射または拡散させることを可能とする。即ち、情報表示装置52からの映像光に対し、2枚のレンチキュラーレンズを組み合わせ又はマイクロレンズアレイをマトリックス状に配置して拡散特性を制御するシートを設けて、X軸およびY軸方向において、映像光の輝度(相対輝度)をその反射角度(垂直方向を0度)に応じて制御することができる。本実施例では、このようなレンチキュラーレンズにより、従来に比較し、
図21(b)に示すように垂直方向の輝度特性を急峻にし、さらに上下(Y軸の正負方向)方向の指向特性のバランスを変化させることで反射や拡散による光の輝度(相対輝度)を高めることにより、面発光レーザ映像源からの映像光のように、拡散角度が狭く(高い直進性)かつ特定の偏波成分のみの映像光とし、効率良く観察者の眼に届くようにしている。
【0072】
また上述した光源装置により
図21の(a)(b)に示した一般的な液晶パネルからの出射光拡散特性特性(図中では従来と表記)に対してX軸方向及びY軸方向ともに大幅に挟角な指向特性とすることで特定方向に対して平行に近い映像光束を出射する特定偏波の光を出射する情報表示装置が実現できる。
【0073】
図20には、本実施例の反射型導光体の拡散特性又は上述したレンチキュラーレンズを含めた拡散特性の一例を示している。この例では、特に、X方向(垂直方向)における特性を示しており、特性Oは、光の出射方向のピークが垂直方向(0度)から上方に30度付近の角度であり上下に対称な輝度特性を示している。また、
図20の特性AやBは、更に、30度付近においてピーク輝度の上方の映像光を集光して輝度(相対輝度)を高めた特性の例を示している。このため、これらの特性AやBでは、30度を超えた角度において、特性Oに比較して、急激に光の輝度(相対輝度)が低減する。
【0074】
即ち、上述したレンチキュラーレンズを含んだ或いは上述した光源システムを含んだ光学系によれば、情報表示装置52からの映像光を、以下に述べるウィンドガラス6上の透明シート51(
図15及び
図16に示した一方向性シートを含む)を介して、特定の方向において、その輝度を増大(強調)して反射または拡散させることができる。これにより、情報表示装置48からの映像光を、面発光レーザ映像源からの映像光のように、拡散角度が狭く(高い直進性)かつ特定の偏波成分のみの光として効率良く室外または室内の観察者の眼に届くようにすることが可能となる。このことによれば、情報表示装置48からの映像光の強度(輝度)が低減しても、観察者は映像光を正確に認識して情報を得ることができる。換言すれば、情報表示装置48の出力をより低減することにより、より消費電力の低い情報表示システムを実現することが可能となる。
【0075】
一般的なTFT(Thin Film Transistor)液晶パネル52は光の出射方向によって液晶と偏光板相互の特性により輝度、コントラスト性能が異なる。パネル面に垂直(出射角度0度)な出射角より少しずれた角度での特性(本実施例では+5度)が優れている。これは液晶の上下方向では光をねじる特性が印加電圧最大の時に0度とならないためである。
【0076】
他方、上下方向のコントラスト性能は、-15度から+15度の範囲が優れており、輝度特性と合わせると5度を中心にして±10度の範囲での使用が最も優れた特性を得ることとなる。
【0077】
また、パネル左右方向での輝度と視野角の特性はパネル面に垂直(出射角度0度)な出射角での特性が優れている。これは液晶の左右方向では光をねじる特性が印加電圧最大の時に0度となるためである。
【0078】
同様に、左右方向のコントラスト性能は、-5度から-10度の範囲が優れており、輝度特性と合わせると-5度を中心にして±5度の範囲での使用が最も優れた特性を得ることとなる。このため液晶表示パネルから出射する映像光の出射角度は、光源装置101の導光体203に設けた光束方向変換手段204により最も優れた特性が得られる方向から液晶表示パネルに光を入射させ、映像信号により光変調することが情報表示装置48の画質と性能を向上させることになる。
【0079】
情報表示素子としての液晶表示パネル52からの映像光を所望の方向に曲げるためには、液晶表示パネルの出射面にレンチキュラーレンズシートなどを用いた光方向変換パネル54を設けると良い。
【0080】
<一方向性の透明シート:透過型の例1>
図15には映像光束を車外または室外に拡散させる透明シート51’の構成を示す。透明拡散シート材55の映像光束入射面には、P波を透過する偏光板57と位相差板58が設けられ、透明拡散シート材55で反射した映像光束が室内(情報表示装置が設置してある空間)に戻ることを阻止する。この結果、観察者がウィンドガラス6’に映し出された映像により観察者に支障をきたすことがない。偏光板57と透明拡散シート材55の間に設けた位相差板58の最適な位相差は、透明拡散シートの拡散特性に合わせて最適な値を選ぶと良く、拡散角が大きい場合はλ/4に近いほうが良く、拡散角が小さい場合にはλ/8板などと組み合わせたほうが良好な変換性能を得ることができる。
【0081】
また、上述した透明拡散シート材55に代えて、特定の偏波の反射率を高めた増反射コーティングを施したシートを偏光板の代用として、または、増反射コートを偏光板の表面に設けることで映像光束の反射率が大きくでき、同時に、ウィンドガラス6’の反射映像により生じる二重像の強度も大幅に軽減できることが確認でき、即ち、上述した技術と同様の効果が得られることを確認した。
【0082】
更に、上述した透明拡散シート材51´に代えて、例えばサンテックディスプレイ(株)のPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)を使用し、情報表示状態では電圧を印加せず映像光を分散させ、情報非表示状態では電圧を印加して透明な状態とすることで透明シートの代用とすると良い。また、発明者たちは実験によりPDLCに印加する電圧を可変させて分散特性を可変、映像信号のON/OFF又は強弱に同期させて印加電圧を変調させることで、映像に合わせて透過率を可変できる新たな機能を執するスクリーンが実現できることを明らかにした。
【0083】
情報表示装置48の挟角な映像光束を垂直・水平方向に拡散させることで所望の視認範囲を有する情報表示システムが実現できる。
【0084】
<一方向性の透明シート:透過型の例2>
図16には映像光束を車外または室外に拡散させる透明シート51’に加え、更に、映像光制御フィルム70を外光制御フィルム(以下、参照符号70で示す)とした構成を示す。ウィンドガラス220に斜め方向から入射する太陽光は、そのS偏波は反射され、P偏波が透過して透明シート51’に向かう。この時、太陽光は、外光制御フィルム70に設けた黒色部分70aに吸収され情報表示装置を配置した室内又は車内には到達しない。また情報表示装置48からの映像光に混合することが無く画質の低下も防止する。透明シート51’は透明拡散シート材55で構成されている。この透明シート51’は、屈折率の大きいナノ粒子ジルコニウムやナノ粒子ダイヤモンドを分散させた熱可塑性高分子を溶かしながら延伸したフィルム、例えば、JXTGエネルギー社製「カレイドスクリーン」を用いることで、映像情報を表示していない場合には透明であり、観察者が外界(店外)の風景を視認する妨げとならず、他方、情報表示時には、映像光を拡散、反射させ、これにより、店舗(空間)の外部の観察者に映像情報を視認させる、いわゆる、一方向性の表示を実現することが可能となる。
【0085】
また、ウィンドガラス6に斜め方向から入射する映像光は黒色部分70aでほとんど遮蔽されることなく、透明部分70bを通過するため、透明シート51’で拡散され、外界(車外また店外)に向けての情報表示が可能となる。この外光制御フィルム70として、例えば信越ポリマー(株)の視野角制御フィルム(VCF:View Contorol Film)が適しており、その構造は透明シリコンと黒色シリコンを交互に配置し光入出射面に合成樹脂を配置してサンドウィツチ構造としているため、本実施例の外光制御フィルムと同様の効果が期待できる。すなわち、視野角制御フィルムの透明部70bと黒色部70aのピッチhは、表示する映像情報の画素に対して1/3以下であることが望ましい。この時、厚さWは視野角αを90度より大きく取りたい場合にはh/wを1.0より大きく、視野角αを90度より小さくしたい場合にはh/wを1.0より小さくすれば良い。また黒色部分の傾斜角γは情報表示装置48とウィンドガラスの取り付け位置で決まる映像光入射角度と一致させることでエネルギー損失を低減できる。
【0086】
一方、透明シート51’の拡散透過率と平行光線透過率の比率により定義される曇度(HAZE)は10%以下であれば実用上問題ないが、望ましくは4%以下であれば良い。また、上述した透明拡散シート材55に代えて特定の偏波の反射率を高めた増反射コーティングを施したシートを設けることで、映像光束の反射率が大きくでき、同時にウィンドガラス6の反射映像により生じる二重像の強度も大幅に軽減できる。即ち、上述した技術と同様の効果が得られることを確認した。
【0087】
更に、上述した透明拡散シート材55に代えて、例えばサンテックディスプレイ(株)のPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)を使用して、映像表示状態では電圧を印加せず映像光を分散させ、映像非表示状態では電圧を印加して透明な状態とし、透明シートの代用としても良い。また、発明者たちは実験によりPDLCに印加する電圧を可変させて分散特性を可変、映像信号のON/OFF又は強弱に同期させて印加電圧を変調させることで。映像に合わせて透過率を可変できる新たな機能を執するスクリーンが実現できることを明らかにした。
【0088】
以上に詳述した実施例によれば、情報表示装置48からの映像光は、面発光レーザ映像源からの映像光のように、拡散角度が狭く(高い直進性)かつ特定の偏波成分のみの光とすることができる。このことにより、例えば空間を構成するショーウインドウ6を利用して、空間の外部に対して様々な情報を表示することができ、ショーウインドウの利用効率を著しく向上することが可能となる。また、高品位な映像情報を高解像度で表示すると共に、光源からの出射光の利用効率を向上して消費電力を大幅に低減することが可能な情報表示システムが実現される。また、より大きな映像を表示する場合には、光源装置101と共に情報表示装置48を構成する情報表示素子である液晶表示パネル52として、比較的安価な液晶表示パネルを複数枚組み合わせて接合部を連続的にして一体とした大型の液晶表示パネル52を採用することも可能である。この場合、光源装置101からの光束を平行にウィンドガラス220に設けられた透明シート51へ向け、当該透明シート51によって一方向に反射・拡散させることによっても、消費電力を大幅に低減しながらも、より拡大した映像情報を表示することが可能となる。
【0089】
なお、以上の説明では、情報表示システムをガラス等の透明な部材であるショーウインドウにより仕切られる空間である店舗に適用し、当該ショーウインドウ6を利用してその内部または外部に対して一方向に表示する例について述べたが、本発明はかかる例にのみ限定されるものではない。即ち、本発明の情報表示システムは、ガラス等の透明な部材を利用して仕切られる所定の空間であれば、当該空間を仕切る透明な部材を利用して内部または外部に対して一方向に表示することが可能であり、以下では、情報表示システムの他の例について説明する。
【0090】
<車両用情報表示システム>
上述した実施例によれば、
図1に示すように情報表示装置48から発生して被投写部材であるショーウインドウ220に向けて出射する映像光を、(1)面発光レーザ映像源からの映像光のような拡散角度が狭く(高い直進性)かつ特定の偏波成分のみの映像光とし、これにより高品位な映像情報を高解像度で表示すると共に出射光の利用効率を向上して消費電力を大幅に低減することを可能とし、同時に、(2)上述した構成部品からも明らかなように、装置の全体外形を平面(パネル)状に構成することが可能となっている。そこで、これらの特徴を利用して、本発明の情報表示システムを、店舗などの空間に代え、自動車や電車や航空機等の車両に適用した、所謂、車両用情報表示システムの様々な例について、以下に詳細に説明する。
【0091】
図2、
図3は、上記した情報表示装置48等を商用車に搭載した例を示しており、フロントガラス6の一部(ステアリング43の上部)や、サイドガラス6”等の一部(グレー部分)、又は全部に映像情報を表示する。
図2、
図3には、情報表示領域の一例を示している。
【0092】
自動車の(一部又は全部の)ウィンドガラスを介して映像情報を表示する具体的な手段としては、例えば、
図11又は
図12に示したような大型の液晶表示パネル52を含む情報表示装置48を車体1のウィンドガラスに沿って設ける。液晶表示パネル52の裏面には、光源装置を構成する複数の反射型導光体304を光源装置として設け、面発光レーザ光源からの光のような拡散角度が狭く(高い直進性)かつ偏光面の揃った映像光を得る。これらの光束は、液晶表示パネル52により映像信号に応じて光強度を変調されフロントガラス6、リアガラス6’(図示せず)、あるいは、サイドガラス6”を介して車外に表示される。液晶表示パネル52は従来のTV用のパネルを流用可能であり、大型液晶パネルや高解像度な8k相当のパネルも活用できる。
【0093】
図2に示すような商用車への活用においては、フロントガラスやリアガラス等は曲面のものが使用される場合があり、ガラスを介して車外から映像を観察するとガラスの屈折作用により映像が歪む場合があるが、映像観察側から正常な形状が再現できるように元画像を補正形状に歪ませてガラス通過後の映像が正規な映像となるようにすると良い。
【0094】
また、車両用情報表示システムでは、車両自体が太陽光を含む自然光の下に晒されることから、かかる太陽光に対する対応が必要となるが、太陽光などの自然光は、
図22に示すように、紫外線から赤外線までの幅広い波長領域の光であるばかりでなく、偏光方向も光の進行方向に垂直な振動方向の光と水平方向の光である2種類の偏光方向(以下S偏光とP偏光と記載)の光とが混ざった状態で存在する。特に、フロントガラス6への入射角度が50度を超えるような領域では
図23に示すように、ガラス面上での反射率は、S偏光やP偏光、更には、入射角によりそれぞれ異なる。
【0095】
そこで、本実施例では、上述した発明者による知見に基づき、即ち、フロントガラス6を通して侵入する太陽光の多くはP偏光成分であることを考慮し、情報表示装置に照射侵入する太陽光を含む外光を抑制するためには、特に、P波成分の低減が有効であること、加えて、情報表示装置から出射され車外に出射されて観察者に認識されるべき映像光としては、S波成分を利用することが効果的であることを確認した。
【0096】
以上、種々の実施例について詳述したが、しかしながら、本発明は、上述した実施例のみに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1…自動車(車両)本体、6…フロントガラス、6”…サイドガラス、15,18…LEDコリメータ、35…反射ミラー、36…ティント板、37…拡散シート、48…情報表示装置、49…反射型偏光板、50…保護カバー、51…一方向性の透明シート、52…液晶表示パネル(素子)、54…光方向変換パネル、55…透明拡散シート材、57…偏光板、58…位相差板、70a…黒色部分、70b…透明部分、101…光源装置、201…光源(LED素子)、202…LED基板、203…導光体、205…反射シート、220…ショーウインドウ(ウィンドガラス)。