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特許7510555光走査装置、光走査方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】光走査装置、光走査方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
G02B26/10 A
G02B26/10 104Z
G02B26/10 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023145740
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2019152129の分割
【原出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2023158162
(43)【公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】橋塚 義弘
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-230730(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0043308(US,A1)
【文献】特開2018-101115(JP,A)
【文献】国際公開第2012/011183(WO,A1)
【文献】特開2004-301973(JP,A)
【文献】特開2016-85279(JP,A)
【文献】特開2018-101040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08 - 26/10
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出力する光源と、
反射面で前記光ビームを反射し、前記光ビームを水平方向及び垂直方向に走査する走査ミラー、並びに、前記走査ミラーを回動させる駆動部を有する走査部と、
前記水平方向における前記光ビームの走査位置、及び、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置を検出する検出部と、
前記垂直方向における前記光ビームの最大振幅Vmaxと、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置の変位と、に基づき、前記走査ミラーの水平方向への駆動開始タイミングから前記光ビームの出力開始タイミングまでの時間に相当する遅延時間を算出し、当該遅延時間を用いて前記水平方向の走査における前記光ビームの出力期間を補正する補正部と、
を備える光走査装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記遅延時間として、前記走査ミラーの右方向への駆動開始タイミングから前記光ビームの出力開始タイミングまでの時間に相当する第1の遅延時間と、前記走査ミラーの左方向への駆動開始タイミングから前記光ビームの出力開始タイミングまでの時間に相当する第2の遅延時間と、を算出する請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記走査ミラーを前記水平方向へ駆動する際の周波数を、前記走査ミラーの共振周波数に設定する請求項1または2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記最大振幅Vmaxを含む関数により表される補正量と、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置の変位に依存しない定数の補正量と、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置の変位に依存する少なくとも1つの補正量と、に基づいて前記遅延時間を算出する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項5】
光ビームを出力する光源と、反射面で前記光ビームを反射し、前記光ビームを水平方向及び垂直方向に走査する走査ミラー、並びに、前記走査ミラーを回動させる駆動部を有する走査部と、を備える光走査装置により実行される光走査方法であって、
前記水平方向における前記光ビームの走査位置、及び、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置を検出する検出工程と、
前記垂直方向における前記光ビームの最大振幅Vmaxと、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置の変位と、に基づき、前記走査ミラーの水平方向への駆動開始タイミングから前記光ビームの出力開始タイミングまでの時間に相当する遅延時間を算出し、当該遅延時間を用いて前記水平方向の走査における前記光ビームの出力期間を補正する補正工程と、
を備える光走査方法。
【請求項6】
光ビームを出力する光源と、反射面で前記光ビームを反射し、前記光ビームを水平方向及び垂直方向に走査する走査ミラー、並びに、前記走査ミラーを回動させる駆動部を有する走査部と、コンピュータと、を備える光走査装置により実行されるプログラムであって、
前記水平方向における前記光ビームの走査位置、及び、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置を検出する検出工程と、
前記垂直方向における前記光ビームの最大振幅Vmaxと、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置の変位と、に基づき、前記走査ミラーの水平方向への駆動開始タイミングから前記光ビームの出力開始タイミングまでの時間に相当する遅延時間を算出し、当該遅延時間を用いて前記水平方向の走査における前記光ビームの出力期間を補正する補正工程と、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を走査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を走査することにより画像を表示する装置が知られている。レーザスキャン型投影装置では、変調されたレーザ光を走査ミラーで水平および垂直方向に走査することで、所望の画像を投射面に投影する。この種の装置では、機械特性が温度依存性を有する走査ミラーの影響を補償するため、走査ミラーの回動によって生じる歪を検出する歪センサを走査ミラーに設け、走査ミラーの回転位置を示す信号である歪センサからの出力信号を使用して、走査ミラーの駆動を一定に保つための制御、およびレーザ光の発光タイミングの制御が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、走査ミラーの機械特性の温度依存性に加えて、ミラー回転角信号の伝達特性の温度依存性の温度補償を行うレーザ投射表示装置が開示されている。特許文献1の装置は、レーザ光源から射出されたレーザ光を反射して2次元状に走査する走査ミラーと、走査ミラーの回転角を検出するセンサとを有し、センサから出力されたセンサ信号に基づき走査ミラーの駆動を制御する。その際、温度補償部は、走査ミラーの近傍に配置した温度計で測定した温度により、センサ信号を伝送する信号伝送路の伝達特性の温度依存性を補償する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-101040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に走査ミラーとしてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを使用する場合、MEMSミラーは、主走査方向にはMEMSミラーの共振周波数により駆動され(これを「共振駆動」と呼ぶ。)、副走査方向には共振周波数よりも低い周波数で駆動される(これを「リニア駆動」と呼ぶ。)。共振駆動の場合、少ない電力での駆動が可能となり、リニア駆動の場合、比較的大きな電力を必要とする。
【0006】
例えば、電磁式のMEMSミラーでは、リニア駆動によりミラーの振り角を大きくする際に比較的大きな電流をコイルに流す必要があるため、瞬間的にコイルが発熱する。コイルの発熱は走査範囲の上端部および下端部で最も大きくなり、MEMSミラーおよびミラーの回転角を検出するセンサがこの発熱の影響を受けることになる。この場合、特許文献1のように温度計でMEMSミラーの温度を検出しようとしても、このような瞬間的な温度変化を検出することは困難である。そのため、副走査方向の走査位置に応じて適切な補正を行うことができず、MEMSミラーの主走査方向の駆動を一定に保つことができない。その結果、副走査方向の走査位置によっては、主走査方向の走査においてレーザ光の発光タイミングが所望の位置からずれてしまう。
【0007】
本発明の解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、主走査方向の走査において常に適切な発光タイミングを維持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項に記載の発明は、光走査装置であって、光ビームを出力する光源と、反射面で前記光ビームを反射し、前記光ビームを水平方向及び垂直方向に走査する走査ミラー、並びに、前記走査ミラーを回動させる駆動部を有する走査部と、前記水平方向における前記光ビームの走査位置、及び、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置を検出する検出部と、前記垂直方向における前記光ビームの最大振幅Vmaxと、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置の変位と、に基づき、前記走査ミラーの水平方向への駆動開始タイミングから前記光ビームの出力開始タイミングまでの時間に相当する遅延時間を算出し、当該遅延時間を用いて前記水平方向の走査における前記光ビームの出力期間を補正する補正部と、を備える。
【0009】
請求項に記載の発明は、光ビームを出力する光源と、反射面で前記光ビームを反射し、前記光ビームを水平方向及び垂直方向に走査する走査ミラー、並びに、前記走査ミラーを回動させる駆動部を有する走査部と、を備える光走査装置により実行される光走査方法であって、前記水平方向における前記光ビームの走査位置、及び、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置を検出する検出工程と、前記垂直方向における前記光ビームの最大振幅Vmaxと、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置の変位と、に基づき、前記走査ミラーの水平方向への駆動開始タイミングから前記光ビームの出力開始タイミングまでの時間に相当する遅延時間を算出し、当該遅延時間を用いて前記水平方向の走査における前記光ビームの出力期間を補正する補正工程と、を備える。
【0010】
請求項に記載の発明は、光ビームを出力する光源と、反射面で前記光ビームを反射し、前記光ビームを水平方向及び垂直方向に走査する走査ミラー、並びに、前記走査ミラーを回動させる駆動部を有する走査部と、コンピュータと、を備える光走査装置により実行されるプログラムであって、前記水平方向における前記光ビームの走査位置、及び、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置を検出する検出工程と、前記垂直方向における前記光ビームの最大振幅Vmaxと、前記垂直方向における前記光ビームの走査位置の変位と、に基づき、前記走査ミラーの水平方向への駆動開始タイミングから前記光ビームの出力開始タイミングまでの時間に相当する遅延時間を算出し、当該遅延時間を用いて前記水平方向の走査における前記光ビームの出力期間を補正する補正工程と、を前記コンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の投影装置を適用したヘッドアップディスプレイの一例を示す。
図2】投影装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】MEMSミラーの構成を示す図である。
図4】複数の縦線を表示した場合の表示例を示す。
図5】複数の縦線を表示した場合の表示例を示す。
図6】映像処理部の内部構成を示すブロック図である。
図7】MEMSミラーの副走査方向への駆動波形の例を示す。
図8】実施例による位相補正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1つの好適な実施形態では、光走査装置は、光ビームを出力する光源と、前記光ビームを、第1方向および前記第1方向と交わる第2方向に走査する走査部と、前記走査部による前記光ビームの前記第1方向および前記第2方向に沿った射出方向を検出する検出部と、前記光ビームの前記第2方向に沿った射出方向に応じて、前記第1方向に沿った走査における前記光ビームの出力期間の開始タイミングを補正するタイミング補正部と、を備える。
【0013】
上記の光走査装置は、光源が光ビームを出力し、走査部は光ビームを、第1方向および前記第1方向と交わる第2方向に走査する。検出部は、走査部による光ビームの第1方向および第2方向に沿った射出方向を検出し、タイミング補正部は、光ビームの第2方向に沿った射出方向に応じて、第1方向に沿った走査における光ビームの出力期間の開始タイミングを補正する。これにより、第2方向における光ビームの射出方向に応じて、適切なタイミングで第1方向に沿って光ビームの射出が開始される。
【0014】
上記の光走査装置の一態様では、前記タイミング補正部は、前記第1方向において前記光ビームを走査する向き、前記第2方向における前記光ビームの走査の最大振幅、および、前記光ビームの前記第2方向における走査の振幅に基づいて算出した補正値を用いて前記開始タイミングを補正する。これにより、第1方向において光ビームを走査する向きに応じた適切なタイミングで、第1方向における光ビームの射出が開始される。
【0015】
上記の光走査装置の他の一態様では、前記第1方向は、前記光ビームが前記走査部の共振周波数で駆動される方向である。この態様では、光ビームは第1方向に沿って、走査部の共振周波数で効率的に走査される。
【0016】
上記の光走査装置の他の一態様では、前記走査部は、反射面で前記光ビームを反射し、前記光ビームを前記第1方向および前記第2方向に走査する走査ミラーと、前記走査ミラーの前記反射面を前記第1方向および前記第2方向に回動させる駆動部と、を備える。この態様では、反射面を有する走査ミラーにより光ビームが走査される。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態は、光ビームを出力する光源と、前記光ビームを、第1方向および前記第1方向と交わる第2方向に走査する走査部と、を備える光走査装置により実行される光走査方法であって、前記光ビームの前記第1方向および前記第2方向に沿った射出方向を検出する検出工程と、前記光ビームの前記第2方向に沿った射出方向に応じて、前記第1方向に沿った走査における前記光ビームの出力期間の開始タイミングを補正するタイミング補正工程と、を備える。この方法によっても、これにより、第2方向における光ビームの射出方向に応じて、適切なタイミングで第1方向に沿って光ビームの射出が開始される。
【0018】
本発明の他の好適な実施形態は、光ビームを出力する光源と、前記光ビームを、第1方向および前記第1方向と交わる第2方向に走査する走査部と、コンピュータと、を備える光走査装置により実行されるプログラムであって、前記光ビームの前記第1方向および前記第2方向に沿った射出方向を検出する検出工程と、前記光ビームの前記第2方向に沿った射出方向に応じて、前記第1方向に沿った走査における前記光ビームの出力期間の開始タイミングを補正するタイミング補正工程と、を前記コンピュータに実行させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の光走査装置を実現することができる。このプログラムは、記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
【実施例
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[装置構成]
(ヘッドアップディスプレイ)
まず、本発明の光走査装置の実施例である投影装置を適用したヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」と呼ぶ。)の一例を説明する。図1は、HUD40の概略構成を示す。図1に示すように、HUD40は、光源ユニット41を備える。HUD40は、フロントウィンドウ46、天井部47、ボンネット48、ダッシュボード49などを備える車両に取り付けられる。
【0020】
光源ユニット41は、支持部材43a、43bを介して車室内の天井部47に設置され、運転を補助する情報を示す画像を構成する光を、コンバイナ44に向けて射出する。具体的には、光源ユニット41は、内部の投影装置42により光源ユニット41内に表示像の元画像(実像)を生成し、その画像を構成する光をコンバイナ44へ射出することで、コンバイナ44を介して運転者に虚像Ivを視認させる。
【0021】
コンバイナ44は、光源ユニット41から射出される表示像が投影されると共に、表示像を運転者のアイポイントPeへ反射することで当該表示像を虚像Ivとして表示させる。コンバイナ44は、天井部47に設置された支持軸部45を有し、支持軸部45を支軸として回動する。支持軸部45は、例えば、フロントウィンドウ46の上端近傍の天井部47、言い換えると運転者用の図示しないサンバイザが設置される位置の近傍に設置される。なお、支持軸部45は、上述のサンバイザに代えて設置されてもよい。
【0022】
(投影装置)
次に、投影装置42について説明する。図2は、投影装置42の内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、投影装置42は、画像信号入力部2と、映像処理部3と、フレームメモリ4と、ROM(Read Only Memory)5と、RAM(Random Access Memeory)6と、レーザドライバ7と、MEMSドライバ8と、MEMSミラー95を有するレーザ光源部9と、マイクロレンズアレイ13と、フィールドレンズ14と、タイミングコントローラ21と、MCU(Micro Controller Unit)22と、を備える。投影装置42は、HUD40に用いられ、コンバイナ44に表示像を構成する光を射出する。
【0023】
画像信号入力部2は、外部から入力される画像信号Siを受信して映像処理部3に出力する。映像処理部3は、画像信号入力部2から入力された画像データをフレームメモリ4に書き込み、MEMSミラー95の駆動タイミングに応じて随時読み出し、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色ごとに画像データの各ピクセルの輝度に対応する制御信号を順次レーザドライバ7に送信する。
【0024】
タイミングコントローラ21は、映像処理部3のフレームメモリ4からの画像データの読み出しタイミングを制御する。また、タイミングコントローラ21は、MEMSミラー95から出力される走査位置情報Scに基づいてMEMSドライバ8の動作タイミングも制御する。
【0025】
ROM5は、映像処理部3が動作するための制御プログラムやデータなどを記憶している。RAM6には、映像処理部3が動作する際のワークメモリとして、各種データが逐次読み書きされる。
【0026】
レーザドライバ7は、後述するレーザ光源部9に設けられるレーザ素子を駆動する信号を生成する。レーザドライバ7は、赤色レーザ駆動回路71と、青色レーザ駆動回路72と、緑色レーザ駆動回路73と、を備える。
【0027】
赤色レーザ駆動回路71は、映像処理部3が出力する制御信号に基づき、赤色レーザ素子LD1を駆動する。青色レーザ駆動回路72は、映像処理部3が出力する制御信号に基づき、青色レーザ素子LD2を駆動する。緑色レーザ駆動回路73は、映像処理部3が出力する信号に基づき、緑色レーザ素子LD3を駆動する。
【0028】
MEMSドライバ8は、タイミングコントローラ21が出力する信号に基づきMEMSミラー95を制御する。MEMSドライバ8は、サーボ回路と、ドライバ回路と、を備える。サーボ回路は、タイミングコントローラ21からの信号に基づき、MEMSミラー95の動作を制御する。ドライバ回路は、サーボ回路が出力するMEMSミラー95の制御信号を所定レベルに増幅して出力する。
【0029】
レーザ光源部9は、レーザドライバ7から出力される駆動信号に基づいて、レーザ光を出力する。具体的に、レーザ光源部9は、赤色レーザ素子LD1と、青色レーザ素子LD2と、緑色レーザ素子LD3と、コリメータレンズ91a~91cと、反射ミラー92a~92cと、受光部24と、を備える。レーザ光源部9は本発明の光源の一例である。
【0030】
赤色レーザ素子LD1は赤色のレーザ光(「赤色レーザ光Lr」とも呼ぶ。)を出力し、青色レーザ素子LD2は青色のレーザ光(「青色レーザ光Lb」とも呼ぶ。)を出力し、緑色レーザ素子LD3は緑色のレーザ光(「緑色レーザ光Lg」とも呼ぶ。)を出力する。コリメータレンズ91a~91cは、それぞれ、赤色、青色および緑色のレーザ光Lr、Lb、Lgを平行光にして、反射ミラー92a~92cに射出する。反射ミラー92bは、青色レーザ光Lbを反射する。反射ミラー92cは、青色レーザ光Lbを透過させ、緑色レーザ光Lgを反射する。反射ミラー92aは、赤色レーザ光Lrの一部を反射し、残りの部分を透過させる。また、反射ミラー92aは、青色および緑色のレーザ光Lb、Lgの一部を透過し、残りの部分を反射する。こうして反射ミラー92aを透過した赤色レーザ光Lrおよび反射ミラー92aで反射された青色および緑色のレーザ光Lb、Lgは、MEMSミラー95に入射する。また、赤色レーザ光Lr、青色レーザ光Lbおよび緑色レーザ光Lbの一部は、受光部24に照射される。
【0031】
レーザ光源部9からレーザ光が射出される位置には、マイクロレンズアレイ13と、フィールドレンズ14とが設けられている。MEMSミラー95は、反射ミラー92aから入射したレーザ光をEPE(Exit Pupil Expander)の一例であるマイクロレンズアレイ13に向けて反射する。MEMSミラー95は、基本的には、画像信号入力部2に入力された画像(以下、「入力画像」と呼ぶ。)を表示するために、MEMSドライバ8の制御によりマイクロレンズアレイ13上を走査するように動作し、その際の走査位置情報(例えばミラーの角度などの情報)を走査位置情報Scとしてタイミングコントローラ21へ出力する。MEMSミラー95は本発明の走査部の一例である。
【0032】
マイクロレンズアレイ13には、複数のマイクロレンズが配列されており、MEMSミラー95で反射されたレーザ光が入射する。フィールドレンズ14は、マイクロレンズアレイ13の放射面に形成された画像を拡大し、図示しない投影面に投影する。例えば、投影装置42がヘッドアップディスプレイの光源として用いられる場合、フィールドレンズ14はコンバイナ等に表示像を構成する光を射出する。
【0033】
受光部24は、フォトディテクタにより構成され、赤色レーザ光Lr、青色レーザ光Lbおよび緑色レーザ光Lbの合成光を受光して、その合成光の強度に対応する電圧を示す信号SdをMCU22に出力する。MCU22は、受光部24から出力される電圧値に基づいて、レーザドライバ7による各レーザ光源LD1~LD3の発光および停止を制御する。
【0034】
(MEMSミラー)
次に、MEMSミラー95の構成について説明する。図3は、MEMSミラー95の上面図である。図3に示すように、MEMSミラー95は、主に、固定枠31と、フレーム部32と、ミラー部33と、磁石34A~34Dと、X軸トーションバー35A、35Bと、Y軸トーションバー36A、36Bと、ピエゾセンサ37V、37Hとを有する。
【0035】
固定枠31は、フレーム部32を支持するための構造体であり、金属材料またはシリコンなどの半導体材料によって形成される。固定枠31は、内部に空隙を備える枠形状を有している。フレーム部32は、内部に空隙を備える枠形状を有している。フレーム部32は、X軸トーションバー35A、35Bを介し固定枠31に接続されており、固定枠31に対してX軸トーションバー35A、35Bを回転軸として揺動(回動)自在となっている。
【0036】
固定枠31からX軸トーションバー35A、35Bを経由して延びる配線パターンは、フレーム部32の枠形状に沿って、フレーム部32の表面上にコイル38を形成している。ミラー部33は、入射してくる光を反射する反射膜が表面に形成された円盤形状の部材であり、Y軸トーションバー36A、36Bを介してフレーム部32に接続されている。そして、ミラー部33は、フレーム部32に対してY軸トーションバー36A、36Bを回転軸として揺動自在となっている。磁石34A~34Dは、フレーム部32の周辺に配置され、フレーム部32に形成されるコイル38が存在する領域に、水平方向(以下、「H方向」または「主走査方向」という。)および垂直方向(以下、「V方向」または「副走査方向」ともいう。)の磁界を発生させる。
【0037】
X軸トーションバー35B付近には、歪センサであるピエゾセンサ37Vが設けられ、Y軸トーションバー36B付近には、歪センサであるピエゾセンサ37Hが設けられている。ピエゾセンサ37Vは、ミラー部33のV方向の位置を検出するV方向センサであり、X軸トーションバー35Bのねじれ量とねじれ方向に対応する電圧を出力する。ピエゾセンサ37Hは、ミラー部33のH方向の位置を検出するH方向センサであり、Y軸トーションバー36Bのねじれ量とねじれ方向に対応する電圧を出力する。ピエゾセンサ37H、37Vは本発明の検出部の一例である。
【0038】
上記のように、MEMSミラー95では、ミラー部33がX軸トーションバー35A、35BおよびY軸トーションバー36A、36Bにより回転可能に固定枠31に接続されている。ミラー部33は、MEMSドライバ8から入力された駆動信号がコイル38内を流れることで生じる電磁気力の作用により回動する。MEMSミラー95は、H方向にはMEMSミラー95の共振周波数により駆動され、V方向には共振周波数よりも低い周波数で駆動される。駆動信号が入力されない場合、ミラー部33はX軸トーションバー35およびY軸トーションバー36が平衡状態となる位置、即ちニュートラル位置で静止する。ピエゾセンサ37V、37Hの出力に基づいて、MEMSミラー95の回転変位が算出され、レーザ光の走査位置を示す走査位置情報Scとしてタイミングコントローラ21へ出力される。
【0039】
[表示タイミングの補正]
(位相ずれ)
MEMSミラー95を使用する場合、MEMSミラー95の回転する向きによって、ピエゾセンサ37Hの応答の遅れまたは進み、センサ信号検知回路の応答の遅れまたは進みなどが発生する。即ち、光ビームをH方向における右方向への走査するときと左方向へ走査するときで、入力画像を描画する光ビームを射出するタイミングにずれが生じる。この現象を「位相ずれ」と呼ぶ。このため、表示画像において、細い1本の縦線が2重の縦線に見えてしまうことが起きる。例えば、図4(A)に示すような複数の縦線を表示した場合、図4(B)に示すように各縦線が2重線に見えてしまう。この問題を解決するため、投影装置42は、MEMSミラー95の左右方向への駆動時における画像の表示タイミングを変更し、1本の縦線に見えるように位相調整を行う。
【0040】
しかし、上記のような2軸のMEMSミラー95において、瞬間的にレーザ光をV方向に大きく走査する場合、コイル38には瞬間的に大きな駆動電流が流れ、コイル38は瞬間的に発熱する。MEMSミラー95の温度変化により、ピエゾセンサ37H、37Vの応答特性の変化および直線性の変動、ピエゾセンサ37Hの水平方向出力信号への垂直駆動信号のクロストーク、駆動磁界の変化などが生じる。このため、レーザ光をV方向に大きく走査するときには、V方向にMEMSミラー95を駆動していないとき(即ち駆動電流がゼロのとき)と比較して、ピエゾセンサ37Hの出力信号の波形が変化してしまい、MEMSミラー95のH方向の走査位置の検出誤差が大きくなる。
【0041】
誤差を含んだH方向走査位置に同期して、入力画像を表示するレーザ光(以下、「画像光」と呼ぶ。)を射出させた場合、表示しようとする画像の画素の位置と、MEMSミラー95により走査されて実際にその画素が描画される位置との関係にも誤差を生じる。このため、描画された画像にはH方向への位置ずれが生じ、その位置ずれ量は、MEMSミラー95のV方向の走査位置に依存し、かつ、H方向のラインごとに異なる。さらに、H方向に画像光を往復走査する場合、H方向における往路走査(右方向走査)時と復路走査(左方向走査)時で、画像の位置ずれ方向は一致せず、H方向の隣接するラインにおいて相反する方向に位置ずれすることもある。このため、図4(C)に例示するように、1本の縦線が湾曲した2重線に見えてしまうという問題が発生する場合がある。
【0042】
図5は、1本の縦線が湾曲した2重線(以下、「湾曲2重線」と呼ぶ。)に見えてしまう例を示す。なお、矢印「R」は右方向走査により描画された縦線を示し、矢印「L」は左方向走査により描画された縦線を示す。図5(A)の例では、右方向走査時の位相と左方向査時の位相が、V方向の上部と下部では逆方向にずれており、かつ、V方向の中央では一致している。図5(B)の例では、右方向走査時の位相と左方向走査時の位相が、V方向の上部と下部では逆方向にずれており、かつ、V方向の上部では一致している。図5(C)の例は、右方向走査時の位相と左方向走査時の位相が、V方向の上部と下部で逆方向にずれており、かつ、V方向の下部では一致している。
【0043】
図5(D)の例では、右方向走査時の位相と左方向走査時の位相が、V方向の上部と下部では同方向にずれており、かつ、V方向の中央では一致している。図5(E)の例では、右方向走査時の位相と左方向走査時の位相が、V方向の上部と下部では同方向にずれており、かつ、V方向の上部では一致している。図5(F)の例では、右方向走査時の位相と左方向走査時の位相が、V方向の上部と下部では同方向にずれており、かつ、V方向の下部では一致している。
【0044】
このように、1本の縦線が湾曲2重線に見えてしまうことを防止するため、本実施例では、MEMSミラー95のH方向への駆動時に、MEMSミラー95のV方向における走査位置(走査方向)に応じて、画像光の出力開始タイミングを補正する。
【0045】
(位相調整)
図6は、図2に示す映像処理部3の内部構成を示すブロック図である。映像処理部3は、ビデオ信号処理部51と、LD制御部52と、位相調整部53とを備える。ビデオ信号処理部51は、画像信号入力部2から入力された画像信号の動作タイミングに応じて、MEMS制御信号S11をタイミングコントローラ21に送るとともに、LD制御信号S12をLD制御部52へ送る。LD制御部52は、ビデオ信号処理部51から供給されたLD制御信号S12に基づいて、実際に各レーザ素子LD1~LD3を駆動するための駆動信号S13をレーザドライバ7へ送る。
【0046】
位相調整部53は、MEMSミラー95による光ビームのH方向への走査時に、入力画像に対応する画像光の出力タイミングを補正する。基本的に、位相調整部53は、MEMSミラー95のH方向への駆動開始タイミングを基準として、LD制御部52がレーザドライバ7へ供給する駆動信号S13のタイミングを制御し、画像光の出力開始タイミングを調整する。具体的には、位相調整部53は、MEMSミラー95の水平右方向への駆動開始時刻TR0から、画像光の出力を開始するまでの遅延時間Tを算出する。同様に、位相調整部53は、MEMSミラー95の水平左方向への駆動開始時刻TL0から、画像光の出力を開始するまでの遅延時間Tを算出する。ここで、位相調整部53は、図5に例示した湾曲2重線が1本の縦線に見えるように遅延時間TおよびTを決定する。
【0047】
詳しくは、位相調整部53は、タイミングコントローラ21から信号S14として供給されるMEMSミラー95のV方向の走査位置、H方向における走査向き(水平右方向/水平左方向)およびH方向の走査位置を用いて、右方向走査時の位相と左方向走査時の位相ずれが打消し合うように遅延時間T、Tを決定し、信号S15としてLD制御部52に供給する。LD制御部52は、遅延時間Tに基づき、MEMSミラー95の水平右方向への駆動開始時刻TR0から遅延時間T後にレーザドライバ7が画像光の出力を開始するように、駆動信号S13をレーザドライバ7に出力する。同様に、LD制御部52は、遅延時間Tに基づき、MEMSミラー95の水平右方向への駆動開始時刻TL0から遅延時間T後にレーザドライバ7が画像光の出力を開始するように、駆動信号S13をレーザドライバ7に出力する。これにより、レーザドライバ7は、入力画像における縦線が正しく1本の縦線に見えるように入力画像を描画することができる。位相調整部53は本発明のタイミング補正部の一例である。
【0048】
(遅延時間の算出方法)
次に、遅延時間TおよびTの算出方法について説明する。図7は、MEMSミラー95のV方向の駆動波形を示す。横軸は時間tを示し、縦軸はMEMSミラー95のV方向における振幅(変位)vを示す。なお、縦軸は、表示画面の中央をゼロとし、画面中央を基準としたV方向の最大振幅をVmaxとする。図7の駆動波形において、点P1、P3は光ビームの走査領域のV方向における上端、即ち、画像の上端に対応し、点P2は光ビームの走査領域のV方向における下端、即ち、画像の下端に対応する。MEMSミラー95は、時間TvppでV方向の上端P1から下端P2までを光ビームを走査し、次に、時間TretでV方向の下端P2からV方向の上端P3に光ビームを戻す。MEMSミラー95は、この動作を繰り返す。
【0049】
この場合、右方向走査時の遅延時間Tは以下の式で算出される。
=k×Vmax×sin(ωt+θ)+A+kR1×v+kR2×v (1)
【0050】
式(1)の第1項は最大振幅Vmaxを用いて三角関数(sin波)により位相ずれのタイミング補正量を算出するための項であり、「k」はそのための重み値である。図5に例示するように、位相ずれは湾曲形状を有するため、第1項はsin波を用いた補正量としている。ここで、「ω」は以下の式で与えられ、「θ」は画面中央に対する位置ずれ補正値である。
ω=2π/(2×Tvpp)=π/Tvpp (2)
【0051】
式(1)の第2項の「A」は、V方向の振幅vに依存しない定数の補正量である。式(1)の第3項は、V方向の振幅vに依存する補正量であり、具体的にはvに比例する補正量に所定の重み値kR1を乗算した値と、vの2乗に比例する補正量に所定の重み値kR2を乗算した値との和である。なお、さらにvの3乗、4乗に比例する補正量を加えてもよい。
【0052】
同様に、左方向走査時の遅延時間Tは以下の式で算出される。
=k×Vmax×sin(ωt+θ)+B+kL1×v+kL2×v (3)
【0053】
ここで、第1項は最大振幅Vmaxを用いて三角関数により位相ずれのタイミング補正量を算出するための項であり、「k」はそのための重み値である。「ω」は、先の式(2)で与えられる。
【0054】
式(3)の第2項の「B」は、V方向の振幅vに依存しない定数の補正量である。式(3)の第3項は、V方向の振幅vに依存する補正量であり、具体的にはvに比例する補正量に所定の重み値kL1を乗算した値と、vの2乗に比例する補正量に所定の重み値kL2を乗算した値との和である。なお、さらにvの3乗、4乗に比例する補正量を加えてもよい。
【0055】
なお、上記のように、H方向における右方向走査時と左方向走査時で遅延時間を個別に算出しているのは、右方向走査時と左方向走査時で、位相のずれ量が異なる場合があることを考慮したためである。よって、右方向走査時と左方向走査時の位相のずれ量がほぼ同じである場合には、両走査方向について、式(1)または(3)により同一の補正量を算出すればよい。
【0056】
また、上記の例では、位相調整部53は、MEMSミラー95の水平右方向への駆動開始時刻を基準として画像光の水平右方向への走査を開始するタイミングを調整し、MEMSミラー95の水平左方向への駆動開始時刻を基準として画像光の水平左方向への走査を開始するタイミングを調整している。その代わりに、位相調整部53は、MEMSミラー95の水平右方向への駆動開始時刻を基準として画像光の水平左方向への走査を開始するタイミングを調整してもよい。即ち、画像光の右方向への走査開始タイミングと左方向への走査開始タイミングの両方を、MEMSミラー95の右方向への駆動開始時刻を基準として調整することとしてもよい。
【0057】
ここで、式(1)の中で使用される定数であるk、kR1、kR2、及びA、並びに式(3)の中で使用される定数であるk、kL1、kL2、及びBと、式(1)及び式(3)の中で共通に使用される定数θの設定方法について説明する。典型的には、これらの定数は投影装置42の製造時に設定され、ROM5に記憶させる。具体的には、縦幅が1画素で構成された縦線が複数含まれる、例えば図4(A)に示すような画像信号Siを投影装置42の製造時に画像信号入力部2に入力し、投影装置42により表示される画像を観察しながら、画像全体に亘って画像上の位相ずれが最小となるように、これらの定数を設定しROM5に記憶させる。なお、これらの定数はユーザーにより設定可能に構成されてもよい。
【0058】
(位相調整処理)
図8は、位相調整処理のフローチャートである。この処理は、図2に示す投影装置42により実行される。なお、CPUなどのコンピュータが予め用意されたプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0059】
まず、MEMSミラー95に設けられたピエゾセンサ37V、37Hは、MEMSミラー95のV方向およびH方向の駆動位置を検出する(ステップS1)。具体的には、ピエゾセンサ37Vは、MEMSミラー95のV方向における振幅vを検出し、ピエゾセンサ37Hは、MEMSミラー95のH方向における走査向き(右方向走査/左方向走査)を検出する。
【0060】
次に、映像処理部3の位相調整部53は、ステップS1で検出されたV方向の振幅vおよびH方向の走査向きを用いて、ROM5に予め記憶された定数を使用した前述の式(1)、(3)により、遅延時間TおよびTを算出し、LD制御部52へ供給する(ステップS2)。LD制御部52は、遅延時間TおよびTにより位相調整した駆動信号S13をレーザドライバ7に供給し、レーザドライバ7からの画像光の出力タイミングを補正する(ステップS3)。こうして、遅延時間TおよびTにより、H方向における右方向走査時と左方向走査時の位相ずれがキャンセルされ、湾曲2重線が表示されることを防止できる。
【0061】
[変形例]
(変形例1)
上記の実施例では、MEMSミラー95のV方向の駆動位置を検出するためにピエゾセンサ37Vを利用することとしたが、MEMSミラー95のV方向の駆動位置の検出方法はこれに限定されない。例えば、映像処理部3の位相調整部53は、MEMSドライバ8より出力されるMEMSミラー95のV方向の駆動波形が走査領域のV方向における上端に戻ってからの経過時間に基づいて、MEMSミラー95のV方向の駆動位置を算出することにより検出してもよい。
【0062】
(変形例2)
上記の実施例では、本発明を投影装置における画像光の走査に適用しているが、本発明の適用はこれには限られない。例えば、車両に搭載され、周辺物体を検出するレーザレーダやLiDAR(Light Detection and Ranging)など、2次元方向にレーザ光を走査する装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
7 レーザドライバ
8 MEMSドライバ
9 レーザ光源部
21 タイミングコントローラ
22 MCU
40 ヘッドアップディスプレイ
42 投影装置
51 ビデオ信号処理部
52 LD制御部
53 位相調整部
95 MEMSミラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8