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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】手話ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/02 20060101AFI20240626BHJP
   G09B 21/00 20060101ALI20240626BHJP
   A63F 9/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A63F1/02 B
G09B21/00 Z
A63F9/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023149013
(22)【出願日】2023-09-14
【審査請求日】2024-04-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521421997
【氏名又は名称】相宅 佳代子
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】相宅 佳代子
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-048052(JP,A)
【文献】登録実用新案第3028373(JP,U)
【文献】特開平8-036586(JP,A)
【文献】Fun American Sign Language Games List,StartASL[online],2021年02月15日,[2024年5月24日検索]、インターネット:<URL:https://www.startasl.com/sign-language-game/>
【文献】指文字カード完成~\(^O^)/,Ameba[online],2013年01月13日,[2024年5月24日検索]、インターネット:<URL:https://ameblo.jp/tenohirade/entry-11448236390.>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 21/00-21/06
A63F 1/02、9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の形が表示され無作為に選択され得る複数個の手の形表示具と、
片手のみを使って手話表現をすることの指示、両手の左右で同じ手の形を使って手話表現をすることの指示、両手の左右で違う手の形を使って手話表現をすることの指示、両手の左右で手の形が同じか違うか自由として手話表現をすることの指示、及び、片手のみか両手かは自由として手話表現をすることの指示が表示されそれらが無作為に選択され得る指示表示具と、
を備える手話ゲーム装置。
【請求項2】
手の形が表示され無作為に選択され得る複数個の手の形表示具と、
下記(1)、(2)及び(3)の指示又は下記(1)及び(2)の指示が表示され、
(1)片手のみを使って手話表現をすることの指示
(2)両手の左右で同じ手の形を使って手話表現をすることの指示及び両手の左右で違う手の形を使って手話表現をすることの指示、及び/又は、両手の左右で手の形が同じか違うか自由として手話表現をすることの指示
(3)片手のみか両手かは自由として手話表現をすることの指示
それらの指示が無作為に選択され得る指示表示具と、
を備える手話ゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の手話ゲーム装置において、
前記手の形表示具は、手の形カード又は手の形立体模型である手話ゲーム装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の手話ゲーム装置において、
前記指示表示具は、複数枚の指示カード、又は、指示サイコロである手話ゲーム装置。
【請求項5】
請求項3に記載の手話ゲーム装置において、
前記指示表示具は、複数枚の指示カード、又は、指示サイコロである手話ゲーム装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の手話ゲーム装置において、
前記手の形表示具は、更に手の形獲得ポイントが表示されている手話ゲーム装置。
【請求項7】
請求項6に記載の手話ゲーム装置において、
前記指示表示具は、更に指示獲得ポイントが表示されている手話ゲーム装置。
【請求項8】
請求項3に記載の手話ゲーム装置において、
前記手の形表示具は、更に手の形獲得ポイントが表示されている手話ゲーム装置。
【請求項9】
請求項8に記載の手話ゲーム装置において、
前記指示表示具は、更に指示獲得ポイントが表示されている手話ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手話表現のゲームをすることができる手話ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手話は、聴覚障害者等の間又は聴覚障害者等と健常者の間での情報伝達のために使用される。手話には、「あいうえおかき・・・」等の日本語の文字ごと及び数字ごとに手の形を対応させた指文字の手法と所定の名詞や動詞や形容詞などの語彙を手の形を使った所定の動作で表す手話表現の手法が用いられる。
【0003】
手話は、手話を日常的に用いている者から対面学習で修得して行くのが一般的であるが、例えば、特許文献1及び特許文献2には、指文字が表示されたカードを用いたかるたによって楽しくゲームをして指文字修得の一助とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-5175号公報
【文献】実開平6-77782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、手話には、指文字の手法の他に、上記手話表現の手法が用いられ、後者の手法の場合にも、楽しくゲームをして手話修得の一助とすることが望ましい。
【0006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の名詞や動詞や形容詞などの語彙を手の形を使った所定の動作で表す手話表現の手法を用いて、楽しくゲームをして手話修得の一助とすることが可能な手話ゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の手話ゲーム装置は、手の形が表示され無作為に選択され得る複数個の手の形表示具と、片手のみを使って手話表現をすることの指示、両手の左右で同じ手の形を使って手話表現をすることの指示、両手の左右で違う手の形を使って手話表現をすることの指示、両手の左右で手の形が同じか違うか自由として手話表現をすることの指示、及び、片手のみか両手かは自由として手話表現をすることの指示が表示されそれらが無作為に選択され得る指示表示具と、を備える。
【0008】
請求項2に記載の手話ゲーム装置は、手の形が表示され無作為に選択され得る複数個の手の形表示具と、下記(1)、(2)及び(3)の指示又は下記(1)及び(2)の指示が表示され、
(1)片手のみを使って手話表現をすることの指示
(2)両手の左右で同じ手の形を使って手話表現をすることの指示及び両手の左右で違う手の形を使って手話表現をすることの指示、及び/又は、両手の左右で手の形が同じか違うか自由として手話表現をすることの指示
(3)片手のみか両手かは自由として手話表現をすることの指示
それらの指示が無作為に選択され得る指示表示具と、を備える。
【0009】
請求項3に記載の手話ゲーム装置は、請求項1又は2に記載の手話ゲーム装置において、前記手の形表示具は、手の形カード又は手の形立体模型である。
【0010】
請求項4に記載の手話ゲーム装置は、請求項1又は2に記載の手話ゲーム装置において、前記指示表示具は、複数枚の指示カード、又は、指示サイコロである。
【0011】
請求項5に記載の手話ゲーム装置は、請求項3に記載の手話ゲーム装置において、前記指示表示具は、複数枚の指示カード、又は、指示サイコロである。
【0012】
請求項6に記載の手話ゲーム装置は、請求項1又は2に記載の手話ゲーム装置において、前記手の形表示具は、更に手の形獲得ポイントが表示されている。
【0013】
請求項7に記載の手話ゲーム装置は、請求項6に記載の手話ゲーム装置において、前記指示表示具は、更に指示獲得ポイントが表示されている。
【0014】
請求項8に記載の手話ゲーム装置は、請求項3に記載の手話ゲーム装置において、前記手の形表示具は、更に手の形獲得ポイントが表示されている。
【0015】
請求項9に記載の手話ゲーム装置は、請求項8に記載の手話ゲーム装置において、前記指示表示具は、更に指示獲得ポイントが表示されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る手話ゲーム装置によれば、所定の名詞や動詞や形容詞などの語彙を手の形を使った所定の動作で表す手話表現の手法を用いて、楽しくゲームをして手話修得の一助とすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明の実施形態に係る手話ゲーム装置の手の形表示具の第1例を示す外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図1B】同上の手話ゲーム装置の手の形表示具の第2例を示す外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図1C】同上の手話ゲーム装置の手の形表示具の第3例を示す外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図1D】同上の手話ゲーム装置の手の形表示具の第4例を示す外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図1E】同上の手話ゲーム装置の手の形表示具の第5例を示す外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図1F】同上の手話ゲーム装置の手の形表示具の第6例を示す外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図2A図1Aに示す手の形表示具に手の形獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図2B図1Bに示す手の形表示具に手の形獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図2C図1Cに示す手の形表示具に手の形獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図2D図1Dに示す手の形表示具に手の形獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図2E図1Eに示す手の形表示具に手の形獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図2F図1Fに示す手の形表示具に手の形獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が手の形カードの場合の表側、(b)が手の形立体模型の場合である。
図3A】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示カードの場合の表側を示す外観図であって、片手の指示(片手のみを使って手話表現をすることの指示)を表示するものである。
図3B】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示カードの場合の表側を示す外観図であって、両手・同じの指示(両手の左右で同じ手の形を使って手話表現をすることの指示)を表示するものである。
図3C】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示カードの場合の表側を示す外観図であって、両手・違うの指示(両手の左右で違う手の形を使って手話表現をすることの指示)を表示するものである。
図3D】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示カードの場合の表側を示す外観図であって、両手・自由の指示(両手の左右で手の形が同じか違うか自由として手話表現をすることの指示)を表示するものである。
図3E】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示カードの場合の表側を示す外観図であって、自由の指示(片手のみか両手かは自由として手話表現をすることの指示)を表示するものである。
図4A】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示サイコロの場合の例を示す外観図である。
図4B】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示サイコロの場合の他の例を示す外観図である。
図4C】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示サイコロの場合の更に他の例を示す外観図である。
図5A図3Aに示す指示カードに指示獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が1個の指示獲得ポイントの場合、(b)が2個の指示獲得ポイントの場合、(c)が3個の指示獲得ポイントの場合である。
図5B図3Bに示す指示カードに指示獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が1個の指示獲得ポイントの場合、(b)が2個の指示獲得ポイントの場合、(c)が3個の指示獲得ポイントの場合である。
図5C図3Cに示す指示カードに指示獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が1個の指示獲得ポイントの場合、(b)が2個の指示獲得ポイントの場合、(c)が3個の指示獲得ポイントの場合である。
図5D図3Dに示す指示カードに指示獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が1個の指示獲得ポイントの場合、(b)が2個の指示獲得ポイントの場合、(c)が3個の指示獲得ポイントの場合である。
図5E図3Eに示す指示カードに指示獲得ポイントを表示した外観図であって、(a)が1個の指示獲得ポイントの場合、(b)が2個の指示獲得ポイントの場合、(c)が3個の指示獲得ポイントの場合である。
図6A】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示サイコロの場合の指示獲得ポイント用サイコロの例を示す外観図である。
図6B】同上の手話ゲーム装置の指示表示具が指示サイコロの場合の指示獲得ポイント用サイコロの他の例を示す外観図である。
図7】同上の手話ゲーム装置を用いた手話ゲームの開始時の様子を例示する上方から見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る手話ゲーム装置1は、複数個の手の形表示具2と指示表示具3を備える。
【0019】
複数個の手の形表示具2は各々、手の形2aが表示されている。複数個の手の形表示具2は、無作為に選択され得るものである。手の形2aは、手話表現で使われる手の形である。手話表現は、上記のように、所定の名詞や動詞や形容詞などの語彙を手の形を使った所定の動作で表すものである。手話表現で使われる手の形は、約50有ると言われており、よって、複数個の手の形表示具2の個数は、特に限定されるものではないが、例えば、50個~100個とすることができる。
【0020】
手の形表示具2は、図1A図1Fに例示するように、手の形カード2A(各図の(a)参照)又は手の形立体模型2B(各図の(b)参照)とすることができる。手の形カード2Aでは、その表面に手の形2aが2次元的に表示されている。
【0021】
手の形立体模型2Bは、手の形2aが3次元的に表示されている。ここで、3次元的に表示とは、3次元で造形されていることである。手の形2aは、手首より先の手のひらと手の甲と指の部分を有するようにすることができる。
【0022】
図1Aに示す手の形2aの手の形を使った手話表現は、例えば、片手で表現するものとしては、「言う」、「人」、「試す」、「考える」、「1日」、「あなた」、「スムーズ」などが有る。両手で表現するものとしては、左右で同じ手の形のものでは、「巡る」、「遊ぶ」、「音楽」、「交差点」、「喧嘩」、「クリスマス」、「恥ずかしい」などが有り、左右で違う手の形のものでは、「デザート」、「力(ちから)」、「人権」、「エネルギー」、「技術」、「年」、「郵便」などが有る。
【0023】
図1Bに示す手の形2aの手の形を使った手話表現は、例えば、片手で表現するものとしては、「間違える」、「再び」、「鋏」、「歩く」、「でたらめ」、「水泳」、「イギリス」などが有る。両手で表現するものとしては、左右で同じ手の形のものでは、「会社」、「蟹」、「散髪」、「ボランティア」、「専門」、「怠ける」などが有り、左右で違う手の形のものでは、「決める」、「ホテル」、「入院」、「汽車」、「寿司」、「季節」などが有る。
【0024】
図1Cに示す手の形2aの手の形を使った手話表現は、例えば、片手で表現するものとしては、「お茶」、「夫婦」、「デート」、「電話」、「得意」、「人生」、「生ビール」などが有る。両手で表現するものとしては、左右で同じ手の形のものでは、「社会」、「人々」、「人格」、「歴史」、「第○回」などが有り、左右で違う手の形のものでは、「家族」、「生涯」、「天皇皇后両陛下」、「更年期」、「離陸(飛行機)」などが有る。
【0025】
図1Dに示す手の形2aの手の形を使った手話表現は、例えば、片手で表現するものとしては、「問」、「黒」、「可愛がってもらう」、「なかなか」、「本番」、「○○から」、「甘い」などが有る。両手で表現するものとしては、左右で同じ手の形のものでは、「状態」、「博物館」、「明るい」、「夜」、「聾唖」、「遠慮」、「準備」などが有り、左右で違う手の形のものでは、「協力」、「環境」、「解雇」、「我慢」、「勧める」、「施設」、「センター」などが有る。
【0026】
図1Eに示す手の形2aの手の形を使った手話表現は、例えば、片手で表現するものとしては、「良い」、「サークル」、「思い込む」、「お風呂」、「象」、「命」、「強い」などが有る。両手で表現するものとしては、左右で同じ手の形のものでは、「作る」、「ゴリラ」、「面白い」、「サロン」、「合意」、「兵庫」、「常識」などが有り、左右で違う手の形のものでは、「都合」、「休み」、「効果」、「成功」、「放射能」、「インターネット」、「決意」などが有る。
【0027】
図1Fに示す手の形2aの手の形を使った手話表現は、例えば、片手で表現するものとしては、「しょっぱい」、「インフルエンザ」、「意見」、「イメージ」、「娘」、「胃」、「妻」などが有る。両手で表現するものとしては、左右で同じ手の形のものでは、「女性」、「姉妹」、「インテリア」、「インターナショナル」、「姫路」、「約束」、「絶対」などが有り、左右で違う手の形のものでは、「姫」、「結婚」、「離婚」、「イラスト」、「インパクト」、「輸血」、「長女」などが有る。
【0028】
手の形表示具2において、手の形2aは、図2A図2Fに例示するように、手の形獲得ポイント2bとともに表示されるようにすることができる。手の形獲得ポイント2bは、後述するように手話ゲームにおいて獲得ポイント数を示す。手の形獲得ポイント2bは、☆印の数(各図の(a)参照)や数字などで表示されるようにすることができる。手の形表示具2が手の形立体模型2Bの場合は、その他、手の形立体模型2Bに手の形獲得ポイント2bを凸部の数で表示されるようにすることができる。凸部は、例えば、手のひらの手首側に設けたり(各図の(b)参照)、手の形2aを判断するのに影響を少なくして形成し易い手の甲に設けたりすることができる。
【0029】
手の形獲得ポイント2bは、例えば、1個の☆印ならば1ポイントを獲得し、2個の☆印ならば2ポイントを獲得し、3個の☆印ならば3ポイントを獲得するようにできる。4個以上の☆印のものを設けることも可能である。手の形獲得ポイント2bは、手話表現の難度に依存せずにランダムに付与されるようにしてもよいし、又は、手話表現の難度に応じて付与される(つまり、難度が高ければ☆印の数が多くなる)ようにしてもよい。手話表現の難度は、手話表現の使われる頻度が少ないほど高いものとすることができる。
【0030】
指示表示具3は、片手のみを使って手話表現をすることの指示(以下、「片手の指示」と称す)、両手の左右で同じ手の形を使って手話表現をすることの指示(以下、「両手・同じの指示」と称す)、両手の左右で違う手の形を使って手話表現をすることの指示(以下、「両手・違うの指示」と称す)、両手の左右で手の形は自由(同じか違うかが自由)として手話表現をすることの指示(以下、「両手・自由の指示」と称す)、及び、片手のみか両手かは自由として手話表現をすることの指示(以下、「自由の指示」と称す)、を示す指示3aが表示されており、それらが無作為に選択され得るものである。なお、自由の指示は、片手のみか両手かは自由であり、もちろん、両手の左右で手の形は自由である。
【0031】
指示表示具3は、複数枚の指示カード3Aとすることが可能である。複数枚の指示カード3Aは、通常、手の形カード2Aと同数用意されている。各々の指示カード3Aでは、図3A図3Eに示すように、その表面に指示3aが2次元的に表示されている。
【0032】
指示カード3Aにおいては、片手の指示、両手・同じの指示、両手・違うの指示、両手・自由の指示、及び自由の指示を示す指示3aはそれぞれ、例えば、「片手」、「両手同じ」、「両手違う」、「両手自由」、「自由」と表示されるようにすることができ(図3A図3E参照)、また、例えば、片手の絵ならば片手の指示、左右が同じ手の絵ならば両手・同じの指示、左右が違う手の絵ならば両手・違うの指示、左右が同じ手と左右が違う手の絵ならば両手・自由の指示、片手及び両手の絵ならば自由の指示とするようにできる。
【0033】
或いは、指示表示具3は、指示サイコロ3Bとすることが可能である。指示サイコロ3Bは、図4A(a)、(b)に示すように2個用い、最初に転がす片方(図4A(a)参照)には「片」、「両」、「自」が各々少なくとも1面表示されるようにし、次に転がすもう片方(図4A(b)参照)には、「同」、「違」、「自」が各々少なくとも1面表示されるようにすることができる。そうすると、最初に転がす片方(図4A(a)参照)の「片」、「自」の表示はそれぞれ、片手の指示、自由の指示を示す指示3aとし、最初に転がす片方(図4A(a)参照)が「両」の表示の場合、次に転がすもう片方(図4A(b)参照)が「同」の表示ならば両手・同じの指示、「違」の表示ならば両手・違うの指示、「自」の表示ならば両手・自由の指示、をそれぞれ示す指示3aとすることができる。なお、片手の指示、両手・同じの指示、両手・違うの指示、両手・自由の指示、及び自由の指示を示す指示3aが各々少なくとも1面に表示されたものを1個用いるようにすることも可能である。
【0034】
又は、指示サイコロ3Bは、図4Bに示すように、数字が表示されたものを1個用いるようにすることができる。例えば、各面において、数字が1ならば片手の指示、数字が2ならば両手・同じの指示、数字が3ならば両手・違うの指示、数字が4ならば両手・自由の指示、数字がなければ(又は数字が5ならば)自由の指示、をそれぞれ示す指示3aとすることができる。なお、図4B(及び後述する図6A)は、数字の1~3が見える位置から見た外観図である。
【0035】
又は、指示サイコロ3Bは、図4Cに示すように、ドットの絵が表示されたものを1個用いるようにすることができる。例えば、各面において、1つのドットの絵ならば片手の指示、2つのドットの絵ならば両手・同じの指示、3つのドットの絵ならば両手・違うの指示、4つのドットの絵ならば両手・自由の指示、ドットの絵がなければ(又は5つのドットの絵ならば)自由の指示、をそれぞれ示す指示3aとすることができる。また、指示サイコロ3Bとして通常のサイコロを用いて、各々の数(ドットの数)を対応させて片手の指示、両手・同じの指示、両手・違うの指示、両手・自由の指示、及び自由の指示を示す指示3aとして使用することも可能である。なお、図4C(及び後述する図6B)は、1つ~3つのドットの絵が見える位置から見た外観図である。
【0036】
また、指示表示具3が複数枚の指示カード3Aの場合、指示3aは、図5A図5Eに示すように、指示獲得ポイント3bとともに表示されているようにすることが可能である。指示獲得ポイント2bは、手の形獲得ポイント2bと同様に、後述するように手話ゲームにおいて獲得ポイント数を示す。指示獲得ポイント3bは、手の形獲得ポイント2bと同様に、☆印の数や数字などで表示されるようにすることができる。なお、図5A図5Eでは1個~3個の☆印のもの挙げているが、4個以上の☆印のものを設けることも可能である。
【0037】
指示獲得ポイント3bは、指示3aが示す指示の内容に依存せずにランダムに付与され、例えば、1個の☆印(図5A図5Eの(a)参照)ならば1ポイントを獲得し、2個の☆印(図5A図5Eの(b)参照)ならば2ポイント、3個の☆印(図5A図5Eの(c)参照)ならば3ポイントを獲得するようにできる。例えば、指示表示具3が75枚の指示カード3Aの場合で、片手の指示、両手・同じの指示、両手・違うの指示、両手・自由の指示、及び自由の指示を示す指示3aの指示カード3Aがそれぞれ、15枚ずつ有る場合、そのうち5枚を1個の☆印のもの、5枚を2個の☆印のもの、残りの5枚を3個の☆印のものとすることができる。
【0038】
また、指示表示具3が指示サイコロ3Bの場合、図4B又は図4Cに指示サイコロ3Bとして示したものを、図6A又は図6Bに示すように、指示獲得ポイント用サイコロ3B’として用い、各面に示す数字を指示獲得ポイント3bとすることも可能である。
【0039】
手話ゲーム装置1は、盲ろう者であってもゲームに参加し易いものとすることができる。その場合、手の形表示具2は、触って手の形2aが識別し易いように手の形立体模型2Bとし、指示表示具3は指示サイコロ3Bとすることができる。手の形獲得ポイント2bは、触って識別し易いように、上記のように手の形立体模型2Bに凸部の数で表示されるようにすることができる。指示サイコロ3Bは、例えば、絵を知覚し易いように上記のドットの絵を彫り込んで形成することができ(図4C参照)、こうすると、2回ほど転がして、2回目は、指示獲得ポイント用サイコロ3B’として用いることができる(図6B参照)。
【0040】
次に、手話ゲーム装置1を用いた手話ゲームの方法の例(下記手順(1)~(7))について説明する。
【0041】
(1)手話ゲームの開始時には、複数個の手の形表示具2をランダムによく混ぜる。具体的には、手の形表示具2が手の形カード2Aの場合は、よくシャッフルし、裏向きにして積み上げて置くようにすることができる(図7参照)。手の形表示具2が手の形立体模型2Bの場合は、箱又は袋の中に入れてよく混ぜるようにすることができる。
また、指示表示具3が複数枚の指示カード3Aの場合は、よくシャッフルし、裏向きにして積み上げて置くようにすることができる(図7参照)。
【0042】
(2)1個の手の形表示具2を取るチャンスを最初に得る一人をジャンケンなどで決める。また、ゲームを3人以上で行う場合は、当該一人の次にチャンスを得る人(次の人)(例えば、右回り又は左回りの隣の人)をジャンケンなどで決める。
【0043】
(3)当該一人が1個の手の形表示具2を取る。手の形表示具2が手の形カード2Aの場合は、積み上げた複数個の手の形カード2Aの上から順に引くようにすることができる。手の形表示具2が手の形立体模型2Bの場合は、箱又は袋の中から無作為に手の形立体模型2Bを取り出すようにすることができる。
また、指示表示具3が複数枚の指示カード3Aの場合は、積み上げた複数個の指示カード3Aの上から順に引くようにすることができる。指示表示具3がサイコロ3Bの場合は、無作為に転がして上面に表示された指示3aの内容を指示とすることができる。
【0044】
(4)当該一人は、取った手の形表示具2に表示された手の形2aの手の形を使い、指示表示具3に表示された指示3aの内容に従って片手か両手で手話表現を行う。
当該一人が手話表現できた場合は、手の形表示具2は当該一人のものになる。
このとき、指示表示具3が指示カード3Aの場合は、引いた指示カード3Aが手の形表示具2と一緒に当該一人のものになるようにすることができる。指示表示具3が指示サイコロ3Bの場合は、転がした指示獲得ポイント用サイコロ3B’の上面の指示獲得ポイント3bに示された数のコインが手の形表示具2と一緒に当該一人のものになるようにすることができる。なお、コインに代えて、棒など容易に数えられるものを使用することも可能である。
なお、手話表現は、手の裏表及び動かす向きは自由にすることで、ゲームの進行をスムーズにし、また、手話表現の思い付きが広がるようにすることができる。
【0045】
(5の1)他の人は、当該一人が行った手話表現の意味を当てる。ゲームを3人以上で行う場合は、意味を当てることができる他の人は、挙手が早い者勝ち又はジャンケンなどで順番を決めることができる。
他の人が意味を当てた場合は、当該1人は、1個の手の形表示具2又は指示カード3A(又はコイン)をその人に渡すようにすることができる。他の人(他の人全員)が意味を当てられなかった場合は、当該一人はその必要はない。
【0046】
(5の2)他の人は、当該一人が行った手話表現の意味が分からないときは、「何?」「意味、何?」と手話表現などで聞くことができる。当該一人は、他の人に手話表現の意味を教える。このとき、他の人又は当該一人は、辞書などで正誤確認することができる。手話表現が正しくない場合は、手話表現できなかったとみなされる。
【0047】
(6)当該一人が手話表現できなかった又はできなかったとみなされた場合は、次の人にチャンスが与えられる。
次の人は、当該一人として上記(4)における手話表現を行い、他の人は(5の1)における手話表現の意味を当てる。もし、次の人も当該一人として手話表現できなかった又はできなかったとみなされた場合は、その次の人にチャンスが与えられる。以降、同様にしてチャンスが与えられ、誰もが手話表現できなかった又はできなかったとみなされた場合は、当該手の形表示具2は、外される(流れる)。
【0048】
(7)1個の手の形表示具2について上記(3)~(6)が完了したら、次の手の形表示具2について次の人が上記(3)を行う。こうして、上記(3)~(6)が繰り返される。
全ての手の形表示具2が無くなったら、ゲーム終了となる。
手元の手の形表示具2の手の形獲得ポイント2bが示す獲得ポイント数と指示表示具3の指示獲得ポイント3b(又はそれに相当するコイン)が示す獲得ポイント数を合算して一番多い人が勝ちとなる。なお、指示獲得ポイント3bを利用しないことも可能である。更には、手の形獲得ポイント2bと指示獲得ポイント3bを利用しないことも可能であり、その場合は、手元に一番多くの手の形表示具2を持っている人が勝ちとなる。
【0049】
このようにして、手話ゲーム装置1は、それを用いた手話ゲームにおいて、様々な手の形が無作為に(ランダムに)指定されそれを使った手話表現を思い付いて表現するので、変化が豊富で単調になりにくく、楽しくゲームをして手話修得の一助とすることが可能である。また、他の人が表現する手話表現を読み取る能力も向上する。また、「いろんな手の形から手話表現ができている」、「1つの手の形からたくさんの手話表現ができている」、「この手の形の手話表現には関連性がある」、などの気づきのきっかけになる。例えば、「小指のみを立てた形」で表現する手話表現に「女性関連の単語が多い」など、気づきにも繋がる。
【0050】
一般的な手話の学習では用いることのないような道具であるカード、箱又は袋、サイコロなどを利用することで、より楽しんで取り組むことができる。
【0051】
手話ゲームの上記(5の2)の正誤確認について、手話サークルでゲームを行うときなどは、所属の聴覚障害者等にゲームを見ていてもらい、聴覚障害者等に通じるかどうかで判断することもできる。手話表現は音声言語と同じく地域によって、方言のような表現の仕方があり、辞書だけではわからない場合もある。そうすると、地域の聴覚障害者等との交流の中で、地域に根差した手話表現を身につけていくことも可能である。
【0052】
以上、本発明の実施形態に係る手話ゲーム装置について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、両手を使って手話表現をすることの指示は、両手・同じの指示、両手・違うの指示、両手・自由の指示の3種類あるが、このうち、両手・同じの指示及び両手・違うの指示を残して両手・自由の指示を省略したり、逆に、両手・自由の指示を残して両手・同じの指示及び両手・違うの指示を省略したりすることができ、また、自由の指示を省略することができる。換言すると、全く省略しない場合も含めると、下記表1に示すように、指示表示具3の指示3aは、下記(1)、(2)及び(3)の指示、又は、下記(1)及び(2)の指示が表示されるものとすることができる。
(1)片手の指示(片手のみを使って手話表現をすることの指示)
(2)両手・同じの指示(両手の左右で同じ手の形を使って手話表現をすることの指示)及び両手・違うの指示(両手の左右で違う手の形を使って手話表現をすることの指示)、及び/又は、両手・自由の指示(両手の左右で手の形が同じか違うか自由として手話表現をすることの指示)
(3)自由の指示(片手のみか両手かは自由として手話表現をすることの指示)
【表1】
なお、表1における×は省略した指示、〇は残した指示である。
【符号の説明】
【0053】
1 手話ゲーム装置
2 手の形表示具
2a 手の形
2b 手の形獲得ポイント
2A 手の形カード
2B 手の形立体模型
3 指示表示具
3a 指示
3b 指示獲得ポイント
3A 指示カード
3B 指示サイコロ
3B’ 指示獲得ポイント用サイコロ
【要約】
【課題】所定の名詞や動詞や形容詞などの語彙を手の形を使った所定の動作で表す手話表現の手法を用いて、楽しくゲームをして手話修得の一助とすることが可能な手話ゲーム装置を提供する。
【解決手段】この手話ゲーム装置1は、手の形が表示され無作為に選択され得る複数個の手の形表示具2(例えば、手の形カード2A)と、片手のみを使って手話表現をすることの指示、両手の左右で同じ手の形を使って手話表現をすることの指示、両手の左右で違う手の形を使って手話表現をすることの指示、両手の左右で手の形が同じか違うか自由として手話表現をすることの指示、及び、片手のみか両手かは自由として手話表現をすることの指示が表示されそれらが無作為に選択され得る指示表示具3(例えば、指示カード3A)と、を備える。
【選択図】図7
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7