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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】焼成炉用流し込み材
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/66 20060101AFI20240626BHJP
   F27D 1/10 20060101ALI20240626BHJP
   F27D 1/16 20060101ALI20240626BHJP
   C04B 35/101 20060101ALI20240626BHJP
   C04B 35/567 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
C04B35/66
F27D1/10
F27D1/16 F
C04B35/101 500
C04B35/567
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023172234
(22)【出願日】2023-10-03
【審査請求日】2023-12-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000170716
【氏名又は名称】黒崎播磨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 正徳
(72)【発明者】
【氏名】川邊 勇介
(72)【発明者】
【氏名】徳富 篤史
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111612(JP,A)
【文献】特開2021-160950(JP,A)
【文献】特開2021-109783(JP,A)
【文献】特開2013-189322(JP,A)
【文献】特開平08-268769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/66
C04B 35/101
C04B 35/567
F27D 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮焼アルミナを除くアルミナ原料、及びアルミナシリカ原料のうち1種以上を合量で75質量%以上、並びにシリカフラワーを1質量%以上15質量%以下、仮焼アルミナを4質量%以上10質量%以下含有し、かつアルミナセメント由来のCaO成分の含有率が0.5質量%以下(ゼロを含む)である耐火原料配合物に、コロイダルシリカをSiO成分として0.5質量%以上5質量%以下の添加率で添加してなる、焼成炉用流し込み材。
【請求項2】
炭化ケイ素原料を75質量%以上、及びシリカフラワーを1質量%以上15質量%以下含有し、かつアルミナセメント由来のCaO成分の含有率が0.5質量%以下(ゼロを含む)である耐火原料配合物に、コロイダルシリカをSiO 成分として0.5質量%以上5質量%以下の添加率で添加してなる、焼成炉用流し込み材。
【請求項3】
シリカフラワーの含有率が3質量%以上10質量%以下である、請求項1又は2に記載の焼却炉用流し込み材。
【請求項4】
コロイダルシリカの添加率がSiO成分として1.5質量%以上5質量%以下である、請求項1又は2に記載の焼却炉用流し込み材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却炉、流動床炉、産業廃棄物キルン処理炉、循環流動層(CFB)ボイラ用炉、セメント製造設備用炉、ガス化溶融炉、ストーカ炉等の焼成炉用の流し込み材に関する。
【背景技術】
【0002】
流し込み材とは、流し込み施工できる不定形耐火物の総称であり、キャスタブル耐火物、キャスタブルとも呼ばれるものである。かかる流し込み材としては、結合剤としてセメント(アルミナセメント、ポルトランドセメント、マグネシアセメント等)を用いたものが汎用されているが、結合剤としてセメントを用いた場合、常温で水和反応が起こって流し込み施工体の強度が向上するため脱水がしづらくなり、炉内の温度が上昇すると爆裂を生じる危険性がある。そのため、流し込み施工後に乾燥工程が必要となり、乾燥工程の実施に費用を要すると共に長時間の操業停止時間を要するという問題がある。
【0003】
一方で、結合剤としてシリカゾルすなわちコロイダルシリカを用いた流し込み材も知られている(例えば特許文献1~4)。しかし、焼却炉のように炉内物を熱処理(焼成・焼却)する焼成炉において、その炉壁となる流し込み施工体は、炉内で流動している炉内物から物理的な衝撃や侵食反応を受けやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-168596号公報
【文献】特開2018-111612号公報
【文献】特開2019-119653号公報
【文献】特開2019-142727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが焼成炉において生じる侵食反応について詳細に調査したところ、焼成炉においては炉内物を起源とするアルカリ成分(NaO、KO、CaO等)による侵食、いわゆるアルカリアタックが侵食反応の大きな要因であることが判明した。すなわち焼成炉においては、アルカリアタックにより稼働面(施工体表面)が低粘性化し、アルカリが施工体内に容易に浸透する。その結果、アルカリ浸透層と未浸透層との間での膨張差により剥離が発生するなどして、侵食が進行することになる。
【0006】
以上に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、流し込み施工後に乾燥工程が不要であって、炉内物からの物理的な衝撃を抑制できると共にアルカリアタックを抑制できる、焼成炉用の流し込み材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、結合剤としてコロイダルシリカを用いた流し込み材において、アルカリアタックによるアルカリ浸透を抑制するための手段を得るべく試験及び研究を重ねた結果、施工体表面(稼働面)で高粘性ガラスを生成させることが有効であるとの知見を得た。そして、そのためには施工体のマトリクス中のシリケートボンドの量を制御することが重要であり、具体的には、流し込み材の耐火原料配合物中にシリカフラワーを特定範囲の含有率で含有させると共にコロイダルシリカのSiO成分としての添加率を特定範囲とすることが重要であることを知見した。
【0008】
本発明は、これらの知見及び技術的思想に基づき想到されたもので、その一観点によれば次の焼成炉用流し込み材が提供される。
仮焼アルミナを除くアルミナ原料、及びアルミナシリカ原料のうち1種以上を合量で75質量%以上、並びにシリカフラワーを1質量%以上15質量%以下、仮焼アルミナを4質量%以上10質量%以下含有し、かつアルミナセメント由来のCaO成分の含有率が0.5質量%以下(ゼロを含む)である耐火原料配合物に、コロイダルシリカをSiO成分として0.5質量%以上5質量%以下の添加率で添加してなる、焼成炉用流し込み材。
また、本発明の他の観点によれば次の焼成炉用流し込み材が提供される。
炭化ケイ素原料を75質量%以上、及びシリカフラワーを1質量%以上15質量%以下含有し、かつアルミナセメント由来のCaO成分の含有率が0.5質量%以下(ゼロを含む)である耐火原料配合物に、コロイダルシリカをSiO 成分として0.5質量%以上5質量%以下の添加率で添加してなる、焼成炉用流し込み材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、流し込み施工後に乾燥工程が不要であって、炉内物からの物理的な衝撃を抑制できると共にアルカリアタックを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る焼成炉用流し込み材(以下、単に「本発明の流し込み材」という。)は、アルミナ原料、アルミナシリカ原料、及び炭化ケイ素原料のうち1種以上を合量で75質量%以上、並びにシリカフラワーを1質量%以上15質量%以下含有し、かつアルミナセメント由来のCaO成分の含有率が0.5質量%以下(ゼロを含む)である耐火原料配合物に、コロイダルシリカをSiO成分として0.5質量%以上5質量%以下の添加率で添加してなるものである。
【0011】
このように本発明の流し込み材において耐火原料配合物は、アルミナ原料、アルミナシリカ原料、及び炭化ケイ素原料のうち1種以上を主材としつつ、シリカフラワーを1質量%以上15質量%以下含有し、かつアルミナセメント由来のCaO成分の含有率が0.5質量%以下(ゼロを含む)であることを特徴とする。
【0012】
シリカフラワーの含有率が1質量%未満では、施工体のマトリクス中に十分なシリケートボンドが形成されない。そのため、アルカリ浸透を抑制する効果、及び炉内物からの物理的な衝撃を抑制する効果が得られない。一方、シリカフラワーの含有率が15質量%を超えた場合、シリカフラワーは微粉であるため施工体が過剰に緻密化する。そのため、炉内の温度が上昇すると爆裂を生じる危険性がある。また、耐火原料配合物の粒度構成が微粉過多となり相対的に骨材の含有率が低下する結果、施工体の圧縮強度が低下して炉内物からの物理的な衝撃を抑制する効果が低下する。シリカフラワーの含有率は3質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0013】
また、本発明では耐火原料配合物中のアルミナセメント由来のCaO成分の含有率を0.5質量%以下(ゼロを含む)に制限している。アルミナセメント由来のCaO成分はアルカリアタックによるアルカリ浸透を助長するからである。またアルミナセメント由来のCaO成分は上述の通り爆裂を惹き起こす原因となり、流し込み施工後に乾燥工程が必要となるからである。これらの観点から、アルミナセメント由来のCaO成分の含有率は低いほどよく、ゼロであることが最も好ましい。
【0014】
本発明の流し込み材において耐火原料配合物は、仮焼アルミナを4質量%以上10質量%以下含有することが好ましい。この範囲で仮焼アルミナを含有することにより、施工体が適度に緻密化して、アルカリ浸透を抑制する効果及び炉内物からの物理的な衝撃を抑制する効果が向上する。なお、本発明において仮焼アルミナは、耐火原料配合物の主材の一種であるアルミナ原料には該当しないものとする。すなわち、本発明においてアルミナ原料の含有率には、仮焼アルミナの含有率を含まないものとする。
【0015】
上述の通り、本発明では結合剤としてコロイダルシリカを用い、その添加率はSiO成分として0.5質量%以上5質量%以下とする。コロイダルシリカの添加率(SiO成分としての添加率のことをいう。以下同じ。)が0.5質量%未満では、施工体のマトリクス中に十分なシリケートボンドが形成されない。そのため、アルカリ浸透を抑制する効果及び炉内物からの物理的な衝撃を抑制する効果が不足する。一方、コロイダルシリカの添加率が5質量%を超えると、施工体の気孔率が高くなる等の理由から緻密性が過剰に低下し、施工体の圧縮強度も低下する。その結果、アルカリ浸透を抑制する効果、及び炉内物からの物理的な衝撃を抑制する効果が低下する。コロイダルシリカの添加率は1.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
【0016】
明では上述の耐火原料配合物に結合剤としてコロイダルシリカを添加するが、このほかに、分散剤、硬化調整剤、爆裂防止剤などの各種添加剤を適宜添加することもできる
分散剤は施工時の流動性を付与するもので、具体例としては、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、炭酸ソーダ、ポリメタリン酸塩などの無機塩、クエン酸ソーダ、酒石酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、スルホン酸ソーダ、ポリカルボン酸塩、β-ナフタレンスルホン酸塩類、ナフタリンスルフォン酸等である。
硬化調整剤には、硬化促進剤と硬化遅延剤とが含まれる。硬化促進剤の具体例は、消石灰、塩化カルシウム、石膏、マグネシア、アルミン酸ナトリウム、炭酸リチウム等である。硬化遅延剤の具体例は、ほう酸、しゅう酸、くえん酸、グルコン酸、炭酸ナトリウム、砂糖等である。
爆裂防止剤の具体例は、有機質ファイバー、有機発泡剤、塩基性乳酸アルミニウム、金属アルミニウム等である。有機質ファイバーの具体例は、ビニロン(ポリビニールアルコールを含む)、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの高分子有機質ファイバーである。
これらの添加剤は、結合剤としてのコロイダルシリカと同様に、耐火原料配合物100質量%に対して外掛けで添加する。その添加率は、一般的な流し込み材と同等でよい。
【0017】
本発明の流し込み材は、以上の耐火原料配合物、結合剤及び添加剤のほかに、粒径8mm以上の大粗粒を使用することもできる。この大粗粒は耐火物組織に発生した亀裂の進展を防止する役割をもち、その材質としては耐火原料配合物の主材と同様に、アルミナ、アルミナシリカ、及び炭化ケイ素のうち1種以上を使用することができるが、本発明の流し込み材において大粗粒は耐火原料配合物に含まれないものとする。すなわち、本発明の流し込み材において大粗粒は耐火原料配合物100質量%に対して外掛けで添加するものとする。言い換えると、本発明の流し込み材において耐火原料配合物とは、粒径8mm未満の耐火原料の配合物である。
【実施例
【0018】
表1に本発明の実施例及び比較例の原料配合と評価結果を示している。実施例及び比較例における評価項目と評価方法は以下の通りである。
【0019】
<耐アルカリ浸透性>
各例の原料配合物に所定量の水を添加して混練し、70×70×65mmの角柱形状の試験片に、φ30×35mmの穴を開けてるつぼ試験片を得た。このるつぼ試験片の穴に、炭酸ナトリウム(市販品)を20g入れて、1200℃×12時間の加熱処理を行った。加熱処理後、室温まで放冷(自然冷却)し、その後、るつぼ試験片の中心で切断し(穴の軸方向断面)、切断面を観察した。切断面の観察において、最大侵食部位の残存厚みを測定し、試験前の厚みに対する残存率を算出した。耐アルカリ浸透性は、比較例1の残存率を100としたときの侵食指数で評価した。この侵食指数が小さいほど耐アルカリ浸透性が良好、すなわちアルカリアタックによるアルカリ浸透を抑制する効果が高いということであり、この侵食指数が80未満を◎(良)、80以上90未満を〇(可)、90以上100未満を△(不可)、100以上を×(不良)として評価した。
【0020】
<耐爆裂性>
各例の原料配合物に所定量の水を添加して混練し、100mmφ×100mmhの円筒状型枠に流し込んで24時間養生、脱枠して得た円柱状試験片の二つを、それぞれ900℃の温度の電気炉へ投入して加熱し、30分間保持した後に取り出した際の各試験片について、その爆裂の有無や亀裂発生の有無を調べて評価した。評価に際しては、亀裂等発生なしの場合を◎(良)、微少亀裂発生の場合を〇(可)、表層の部分的破断発生の場合を△(不可)、破断等又は50%以上損壊の場合を×(不良)として、それぞれ二つの試験片について評価した。この耐爆裂性の評価が◎(良)又は〇(可)であれば、実炉における流し込み施工後に乾燥工程が不要であることを、本発明者らは確認している。
【0021】
<耐摩耗性>
各例の原料配合物に所定量の水を添加して混練し、115×115×65mmの型枠内に流し込んで24時間養生、脱枠、乾燥させて得た試験片を事前に800℃で5時間熱処理した。その試験片について、ASTM C704(Abrasion Resistance of Refractory Materials at Room Temperature)に従って測定した。具体的には115×115mmの面を摩耗材の吐出方向に対して45°傾斜させてセットした。その後、115×115mmの面の垂直中心線を軸として試験片を15回転/分で回転させながら、115×115mmの面に摩耗材1kgを連続的に吹き付けた。摩耗材としては、粒径を1~0.3mmに調整した炭化ケイ素粒子を使用した。吹付エアー圧は0.4MPaとした。試験前後の試験片質量を測定し、質量変化と試験片のかさ比重から摩耗体積を算出した。耐摩耗性は、比較例1の摩耗体積を100としたときの摩耗指数で評価した。この摩耗指数が小さいほど耐摩耗性が良好、すなわち炉内物からの物理的な衝撃を抑制する効果が高いということであり、この摩耗指数が80未満を◎(良)、80以上90未満を〇(可)、90以上100未満を△(不可)、100以上を×(不良)として評価した。
【0022】
<総合評価>
耐アルカリ浸透性、耐爆裂性及び耐摩耗性の評価がいずれも◎の場合を◎(良)、これらの評価の少なくとも一つが〇である場合を〇(可)、これらの評価の少なくとも一つが△である場合を△(不可)、これらの評価の少なくとも一つが×である場合を×(不良)と評価した。すなわち総合評価は、◎、○、△、×の順で評価が悪いことを示し、総合評価が◎、〇を合格、△、×を不合格とした。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例1~6は、耐火原料配合物の主材をアルミナ原料とし、シリカフラワーの含有率を本発明の範囲内で変化させた例である。総合評価は◎又は○であり、良好な結果が得られた。なかでもシリカフラワーの含有率が3質量%以上10質量%以下と好ましい範囲内にある実施例2~4、6は総合評価が◎となり、特に良好な結果が得られた。
これに対して比較例1はシリカフラワーの含有率が本発明の下限値を下回る例であり、耐アルカリ浸透性と耐摩耗性が大きく低下した。また、比較例2はシリカフラワーの含有率が本発明の上限値を上回る例であり、耐爆裂性が大きく低下し耐摩耗性も不十分であった。
【0025】
実施例7は、アルミナセメント由来のCaO成分を0.5質量%含有する例である。アルミナセメント由来のCaO成分を含有しない実施例6と比較すると、耐アルカリ浸透性及び耐爆裂性が若干低下したものの合格レベルであった。これに対して比較例3はアルミナセメント由来のCaO成分の含有率が1質量%と本発明の上限値を上回る例であり、耐アルカリ浸透性と耐爆裂性が大きく低下した。
【0026】
参考例8は仮焼アルミナを含有しない例である。仮焼アルミナを含有する実施例6と比較すると、耐アルカリ浸透性及び耐摩耗性が若干低下したものの合格レベルであった。実施例9及び実施例10は仮焼アルミナの含有率を変化させた例であるが、実施例6と同様に総合評価は◎となり、良好な結果が得られた。
【0027】
実施例11~13は耐火原料配合物の主材を変更した例であるが、いずれも本発明の範囲内にあり良好な結果が得られた。なお、実施例12と実施例13との比較より、耐火原料配合物の主材が炭化ケイ素原料の場合、仮焼アルミナを含有しなくとも良好な結果が得られることがわかった。
【0028】
実施例14~16は、耐火原料配合物の主材をアルミナ原料とし、コロイダルシリカの添加率を本発明の範囲内で変化させた例である。総合評価は◎又は○であり、良好な結果が得られた。なかでもコロイダルシリカの添加率が1.5質量%以上5質量%以下と好ましい範囲内にある実施例15及び実施例16は総合評価が◎となり、特に良好な結果が得られた。
これに対して比較例4はコロイダルシリカの添加率が本発明の下限値を下回る例であり、耐摩耗性が大きく低下し耐アルカリ浸透性も不十分であった。また、比較例5はコロイダルシリカの添加率が本発明の上限値を上回る例であり、耐アルカリ浸透性と耐摩耗性が大きく低下した。
【要約】
【課題】流し込み施工後に乾燥工程が不要であって、炉内物からの物理的な衝撃を抑制できると共にアルカリアタックを抑制できる、焼成炉用の流し込み材を提供する。
【解決手段】アルミナ原料、アルミナシリカ原料、及び炭化ケイ素原料のうち1種以上を合量で75質量%以上、並びにシリカフラワーを1質量%以上15質量%以下含有し、かつアルミナセメント由来のCaO成分の含有率が0.5質量%以下(ゼロを含む)である耐火原料配合物に、コロイダルシリカをSiO成分として0.5質量%以上5質量%以下の添加率で添加してなる焼成炉用流し込み材。
【選択図】なし