(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】複合基板および複合基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240626BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20240626BHJP
G02B 1/115 20150101ALI20240626BHJP
B23K 20/00 20060101ALI20240626BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20240626BHJP
H01S 3/05 20060101ALN20240626BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B5/28
G02B1/115
B23K20/00 310L
G02B5/26
H01S3/05
(21)【出願番号】P 2023193964
(22)【出願日】2023-11-14
【審査請求日】2023-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 順悟
(72)【発明者】
【氏名】谷 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】江尻 哲也
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003090(JP,A)
【文献】特開2021-152615(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163722(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/079959(WO,A1)
【文献】特開2014-086400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02B 5/28
G02B 1/115
B23K 20/00
G02B 5/26
H01S 3/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を波長が異なる光に変換する波長変換層と、
前記波長変換層に隣接して配置される多層膜と、を有し、
前記多層膜は複数の屈折率層を含み、
前記波長変換層の前記多層膜が配置されている側の厚み方向端部には、不活性ガス原子の存在量が0.5原子%以上の領域が形成されており、
前記多層膜の前記波長変換層に最も近くに位置する第1の屈折率層における不活性ガス原子の存在量は0.5原子%未満であ
り、
前記波長変換層と前記第1の屈折率層とは接合されており、
前記波長変換層は、ドープされたイットリウムアルミニウムガーネット結晶であり、
前記多層膜に含まれる各屈折率層を構成する材料は、酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、および酸化ランタンからそれぞれ選択され、
前記不活性ガス原子は、アルゴン、またはキセノンであり、
前記第1の屈折率層を構成する材料は、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、および酸化ランタンから選択される、
複合基板。
【請求項2】
前記波長変換層の厚み方向端部は、前記多層膜側から順に、第三層、第二層および第一層を含み、前記第二層の不活性ガス原子の存在量は、前記第三層の不活性ガス原子の存在量よりも多い、請求項1に記載の複合基板。
【請求項3】
前記第三層はアモルファス層である、請求項2に記載の複合基板。
【請求項4】
前記第1の屈折率層は、厚み方向において屈折率が均一である、請求項1に記載の複合基板。
【請求項5】
前記多層膜に含まれる隣接する二つの層の屈折率は異なる、請求項1に記載の複合基板。
【請求項6】
前記多層膜に含まれる層のそれぞれの厚みは、50nm以上300nm以下である、請求項1に記載の複合基板。
【請求項7】
前記波長変換層と、前記多層膜と、面発光レーザ基板と、をこの順に有する、請求項1に記載の複合基板。
【請求項8】
前記波長変換層と、前記多層膜と、可飽和吸収層と、をこの順に有する、請求項1に記載の複合基板。
【請求項9】
面発光レーザ基板と、入射した光を波長が異なる光に変換する波長変換層と、可飽和吸収層と、をこの順に有し、
前記面発光レーザ基板と前記波長変換層の間と、前記可飽和吸収層と前記波長変換層の間との少なくとも一方に、前記波長変換層に隣接して配置される多層膜と、を有し、
前記多層膜は複数の屈折率層を含み、
前記波長変換層の前記多層膜が配置されている側の厚み方向端部には、不活性ガス原子の存在量が0.5原子%以上の領域が形成されており、
前記多層膜の前記波長変換層に最も近くに位置する第1の屈折率層における不活性ガス原子の存在量は0.5原子%未満であ
り、
前記波長変換層と前記第1の屈折率層とは接合されており、
前記波長変換層は、ドープされたイットリウムアルミニウムガーネット結晶であり、
前記多層膜に含まれる各屈折率層を構成する材料は、酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、および酸化ランタンからそれぞれ選択され、
前記不活性ガス原子は、アルゴン、またはキセノンであり、
前記第1の屈折率層を構成する材料は、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、および酸化ランタンから選択される、
複合基板。
【請求項10】
請求項1に記載の複合基板を含む、レーザ構造体。
【請求項11】
請求項1に記載の複合基板の製造方法であって、
複数の屈折率層の積層構造を準備すること、
波長変換材料基板の表面および前記積層構造の表面のそれぞれに活性化処理を施すこと、
前記波長変換材料基板の表面にスパッタリング処理を施して、前記積層構造の表面に前記波長変換材料基板を構成する成分を含む堆積層を形成すること、および、
前記積層構造と前記波長変換材料基板とを接合すること、をこの順に含む、
複合基板の製造方法。
【請求項12】
前記スパッタリング処理の時間は3分~10分である、請求項
11に記載の複合基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合基板および複合基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
短パルス光を出力し得る固体レーザは、広く利用されている。より短いパルス幅で非常に高い光出力を持つレーザは、センシング、精密加工、医療などの様々な分野で応用が期待されている。このようなレーザとして、例えば、特許文献1に開示されるように、半導体レーザと、波長変換層として機能し得る固体レーザ利得媒質層と、可飽和吸収体とを組み合わせたレーザ構造体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記レーザ構造体においては、波長変換層界面における光の反射特性が、レーザの性能に大きく影響し得る。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、波長変換層界面の反射特性に優れた複合基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.本発明の実施形態による複合基板は、入射した光を波長が異なる光に変換する波長変換層と、前記波長変換層に隣接して配置される多層膜と、を有し、前記多層膜は複数の屈折率層を含み、前記波長変換層の前記多層膜が配置されている側の厚み方向端部には、不活性ガス原子の存在量が0.5原子%以上の領域が形成されており、前記多層膜の前記波長変換層に最も近くに位置する第1の屈折率層における不活性ガス原子の存在量は0.5原子%未満である。
2.上記1に記載の複合基板において、上記波長変換層の厚み方向端部は、上記多層膜側から順に、第三層、第二層および第一層を含んでいてもよく、上記第二層の不活性ガス原子の存在量は、上記第三層の不活性ガス原子の存在量よりも多くてもよい。
3.上記2に記載の複合基板において、上記第三層はアモルファス層であってもよい。
4.上記1から3のいずれかに記載の複合基板において、上記第1の屈折率層は、厚み方向において屈折率が均一であってもよい。
5.上記1から4のいずれかに記載の複合基板において、上記第1の屈折率層は、タンタル、チタン、アルミニウム、イットリウムおよびランタンから選択される少なくとも1つを含む酸化物を含んでいてもよい。
6.上記1から5のいずれかに記載の複合基板において、上記多層膜に含まれる隣接する二つの層の屈折率は異なっていてもよい。
7.上記1から6のいずれかに記載の複合基板において、上記多層膜に含まれる層のそれぞれの厚みは、50nm以上300nm以下であってもよい。
8.上記1から7のいずれかに記載の複合基板は、上記波長変換層と、上記多層膜と、面発光レーザ基板と、をこの順に有していてもよい。
9.上記1から8のいずれかに記載の複合基板は、上記波長変換層と、上記多層膜と、可飽和吸収層と、をこの順に有していてもよい。
10.本発明の別の実施形態による複合基板は、面発光レーザ基板と、入射した光を波長が異なる光に変換する波長変換層と、可飽和吸収層と、をこの順に有し、前記面発光レーザ基板と前記波長変換層の間と、前記可飽和吸収層と前記波長変換層の間との少なくとも一方に、前記波長変換層に隣接して配置される多層膜と、を有し、前記多層膜は複数の屈折率層を含み、前記波長変換層の前記多層膜が配置されている側の厚み方向端部には、不活性ガス原子の存在量が0.5原子%以上の領域が形成されており、前記多層膜の前記波長変換層に最も近くに位置する第1の屈折率層における不活性ガス原子の存在量は0.5原子%未満である。
11.本発明の実施形態によるレーザ構造体は、上記1から10のいずれかに記載の複合基板を含む。
【0007】
12.本発明の実施形態による複合基板の製造方法は、上記1から10のいずれかに記載の複合基板の製造方法であって、複数の屈折率層の積層構造を準備すること、波長変換材料基板の表面および前記積層構造の表面のそれぞれに活性化処理を施すこと、前記波長変換材料基板の表面にスパッタリング処理を施して、前記積層構造の表面に前記波長変換材料基板を構成する成分を含む堆積層を形成すること、および、前記積層構造と前記波長変換材料基板とを接合すること、をこの順に含む。
13.上記12に記載の複合基板の製造方法において、上記スパッタリング処理の時間は3分~10分であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、波長変換層界面の反射特性に優れた複合基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る複合基板の概略の構成を示す模式的な断面図である。
【
図2】波長変換層の厚み方向端部の状態の一例を示す模式的な部分拡大断面図である。
【
図3A】1つの実施形態に係る複合基板の製造工程例を示す図である。
【
図4】実施例1の多層膜の反射特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図5】比較例1の多層膜の反射特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図6】実施例2の多層膜の反射特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、図面については、同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。
【0011】
[複合基板]
図1は、本発明の1つの実施形態に係る複合基板の概略の構成を示す模式的な断面図である。なお、図を見やすくするため、
図1において一部の部材のハッチングは省略している。
【0012】
複合基板100は、互いに対向する第一主面1および第二主面2を有し、入射した光を波長の異なる光に変換する波長変換層10と、波長変換層10の第一主面1に隣接して配置される第1の多層膜21と、波長変換層10の第二主面2に隣接して配置される第2の多層膜22と、波長変換層10の第1の多層膜21側に配置される基板30と、波長変換層10の第2の多層膜22側に配置される機能層40と、を有している。
【0013】
複合基板100は、例えば、レーザ素子に適用され得る。基板30は、例えば、面発光レーザ(例えば、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)、垂直外部共振器型垂直面発光レーザ(VECSEL))を構成する基板である。例えば、波長変換層10は、その第一主面1側から入射したレーザ光の第1の波長を、第2の波長に変換し得る。図示しないが、基板30には、共振器構造部が設けられ得る。
【0014】
面発光レーザを構成する基板としては、例えば、ガリウム砒素基板、インジウムリン基板、窒化ガリウム基板が用いられる。面発光レーザを構成する基板の厚みは、例えば100μm~1000μmである。
【0015】
波長変換層10は、入射した光を波長が異なる光に変換し得る任意の適切な波長変換材料で構成される。波長変換層10を構成する材料としては、代表的には、Yb3+がドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(以下、YAGと称する)結晶(Yb:YAG)、Nd3+がドープされたYAG結晶(Nd:YAG)が挙げられる。その他にも、波長変換層10を構成する材料としては、例えば、Nd:YVO4、Nd:YLF、Nd:glass、Yb:YVO4、Yb:YLF、Yb:FAP、Yb:SFAP、Yb:glass、Yb:KYW、Yb:BCBF、Yb:YCOB、Yb:GdCOB、YB:YABが挙げられる。波長変換層10の厚みは、例えば10μm~600μmである。
【0016】
第1の多層膜21は、複数の屈折率層の積層体である。図示例では、第1の多層膜21は、波長変換層10側から、第1の屈折率層211、第2の屈折率層212、第3の屈折率層213、・・・、および第nの屈折率層21nのn層を含んでいる。具体的には、最も波長変換層10側に位置する屈折率層が第1の屈折率層211であり、最も基板30側に位置する屈折率層が第nの屈折率層21nである。nは、例えば10~50であり、好ましくは15~40である。第1の多層膜21に含まれる層のそれぞれの厚みは、例えば50nm以上300nm以下である。
【0017】
第1の多層膜21は、屈折率の異なる複数の屈折率層を含み、相対的に屈折率が高い高屈折率層と、相対的に屈折率が低い低屈折率層とを含んでいる。例えば、第1の多層膜21に含まれる隣接する二つの層の屈折率は異なり、一方が高屈折率層で他方が低屈折率層である。また例えば、第1の多層膜21の少なくとも一部は、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されて構成され得る。具体例として、第2の屈折率層212の屈折率は、第1の屈折率層211の屈折率および第3の屈折率層213の屈折率よりも、小さくてもよいし、大きくてもよい。この場合、第1の屈折率層211の屈折率と第3の屈折率層213の屈折率とは、実質的に同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0018】
第1の多層膜21は、基板30側から出射された第1の波長の光を透過させ得るように構成される。具体的には、第1の多層膜21は、第1の波長の光に対して透過層または反射防止層として機能し得るように構成される。そして、第1の多層膜21は、例えば、光利用効率を向上させる観点から、波長変換層10から基板30側への第2の波長の光の放出を抑制し得るように構成される。具体的には、第1の多層膜21は、第2の波長の光に対し反射層として機能し得るように構成される。このような第1の多層膜21の機能は、例えば、第1の多層膜21を構成する屈折率層の数(上記n)、各屈折率層の厚みおよび各層屈折率の屈折率を調整することにより実現され得る。
【0019】
第一主面1(基板30)側から入射したレーザ光は、第二主面2側から出射され得る。例えば、波長変換層10で変換された第2の波長の光は、機能層40を透過して放出され得る。機能層40は、例えば、可飽和吸収層として機能し得る。この場合、機能層(可飽和吸収層)40は、代表的には、Cr4+がドープされたYAG結晶(Cr:YAG)、V3+がドープされたYAG結晶(V:YAG)等の材料で構成され得る。機能層(可飽和吸収層)40の厚みは、例えば10μm~600μmである。
【0020】
第2の多層膜22は、複数の屈折率層の積層体である。図示例では、第2の多層膜22は、波長変換層10側から、第1の屈折率層221、第2の屈折率層222、第3の屈折率層223、・・・、および第nの屈折率層22nのn層を含んでいる。具体的には、最も波長変換層10側に位置する層が第1の屈折率層221であり、最も機能層40側に位置する層が第nの屈折率層22nである。nは、例えば10~50であり、好ましくは15~40である。第2の多層膜22に含まれる屈折率層のそれぞれの厚みは、例えば50nm以上300nm以下である。
【0021】
第2の多層膜22は、屈折率の異なる複数の屈折率層を含み、相対的に屈折率が高い高屈折率層と、相対的に屈折率が低い低屈折率層とを含んでいる。例えば、第2の多層膜22に含まれる隣接する二つの層の屈折率は異なり、一方が高屈折率層で他方が低屈折率層である。また例えば、第2の多層膜22の少なくとも一部は、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されて構成され得る。具体例として、第2の層222の屈折率は、第1の屈折率層221の屈折率および第3の屈折率層223の屈折率よりも、小さくてもよいし、大きくてもよい。この場合、第1の屈折率層221の屈折率と第3の屈折率層223の屈折率とは、実質的に同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0022】
第2の多層膜22は、波長変換層10から出射された第2の波長の光を透過させ得るように構成される。具体的には、第2の多層膜22は、第2の波長の光に対して透過層または反射防止層として機能し得るように構成される。そして、第2の多層膜22は、例えば、光利用効率を向上させる観点から、波長変換層10から機能層40側への第1の波長の光の放出を抑制し得るように構成される。具体的には、第2の多層膜22は、第1の波長の光に対し反射層として機能し得るように構成される。このような第2の多層膜22の機能は、例えば、第2の多層膜22を構成する屈折率層の数(上記n)、各屈折率層の厚みおよび各屈折率層の屈折率を調整することにより実現され得る。
【0023】
上述のとおり、第1の多層膜21および第2の多層膜22のそれぞれ(以下、単に、多層膜と称する場合がある)は、複数の屈折率層の積層体であり、屈折率が異なる高屈折率層と低屈折率層とを含むことができる。多層膜に含まれる各屈折率層の屈折率は、例えば1.3~2.4であり、好ましくは1.5~2.35である。なお、屈折率は、分光エリプソメーターや分光光度計により測定される値であり得る。高屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率よりも相対的に高い。具体的には、高屈折率層を構成する材料の屈折率は、低屈折率層を構成する材料の屈折率よりも高い。低屈折率層の屈折率は、例えば1.3~1.8である。高屈折率層の屈折率は、例えば1.55~2.4である。
【0024】
多層膜に含まれ得る複数の低屈折率層は、それぞれが同一の構成(例えば、材料、厚み)であってもよく、互いが異なる構成であってもよい。同様に、多層膜に含まれ得る複数の高屈折率層は、それぞれが同一の構成(例えば、材料、厚み)であってもよく、互いが異なる構成であってもよい。
【0025】
多層膜に含まれる各屈折率層を構成する材料としては、代表的には、誘電体材料が用いられる。多層膜に含まれる各屈折率層を構成する材料の具体例としては、酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムおよび酸化ランタンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて(例えば、複合酸化物として)用いてもよい。具体的には、屈折率層は、ケイ素、タンタル、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウムおよびランタンから選択される少なくとも1つを含む酸化物で構成されてもよい。
【0026】
多層膜に含まれる第1の屈折率層は、タンタル、チタン、アルミニウム、イットリウムおよびランタンから選択される少なくとも1つを含む酸化物を含むことが好ましい。このような第1の屈折率層によれば、多層膜と波長変換層10との密着性に優れ得る。
【0027】
多層膜に含まれる各屈折率層は、任意の適切な方法により成膜され得る。多層膜に含まれる各屈折率層は、例えば、スパッタリング、イオンビームアシスト蒸着(IAD)等の物理蒸着、化学蒸着、原子層堆積(ALD)法により成膜され得る。
【0028】
波長変換層10の多層膜が配置されている側の端部(以下、厚み方向端部と称する場合がある)10aには、不活性ガス原子が存在している。ここで、厚み方向端部は、ある程度の厚みを有する部分を意味する。不活性ガス原子としては、代表的には、アルゴン、キセノンが挙げられる。波長変換層10の厚み方向端部10aに形成される不活性ガス原子が存在する領域は、波長変換層10の全面に亘って形成され得る。例えば、波長変換層10は、厚み方向端部10aに、不活性ガス原子が存在する層が形成されている。不活性ガス原子が存在する領域(層)における不活性ガス原子の存在量は、例えば0.5原子%以上10原子%以下であり、0.7原子%以上であってもよい。
【0029】
一方、波長変換層10の厚み方向中央部10bには、実質的に不活性ガス原子が存在していないことが好ましい。波長変換層10の厚み方向中央部10bにおける不活性ガス原子の存在量は、例えば0.5原子%未満であり、0.4原子%以下であってもよい。
【0030】
図2は、波長変換層の厚み方向端部の状態の一例を示す模式的な部分拡大断面図である。波長変換層10の厚み方向端部10aには、多層膜21(22)側から順に、第三層13、第二層12および第一層11が形成されている。例えば、第三層13は、アモルファス層であり得る。第一層11は、結晶層であり得る。第二層12は、アモルファス層であってもよく、結晶層であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。第二層12および第三層13は、第一層11の構成原子を含み得る。
【0031】
不活性ガス原子は、主に、第二層12に存在し得る。不活性ガス原子は、第三層13に存在してもよいし、第三層13に実質的に存在していなくてもよい。例えば、第二層12の不活性ガス原子の存在量は、第三層13の不活性ガス原子の存在量よりも多い。第二層12における不活性ガス原子の存在量は、例えば0.5原子%以上10原子%以下であり、好ましくは0.7原子%以上4原子%以下である。第三層13における不活性ガス原子の存在量の下限値は、0.2原子%であってもよく、好ましくは0原子%である。第三層13における不活性ガス原子の存在量の上限値は、10原子%であってもよく、好ましくは3原子%である。第二層12および/または第三層13は、Fe、Crを含み得る。
【0032】
第二層12の厚みは、例えば0.2nm以上であり、0.4nm以上であってもよい。一方、第二層12の厚みは、例えば10nm以下であり、好ましくは5nm以下である。第三層13の厚みは、例えば0.2nm以上であり、0.3nm以上であってもよい。一方、第三層13の厚みは、例えば8nm以下であり、好ましくは4nm以下である。
【0033】
波長変換層10に隣接する多層膜の第1の屈折率層には、不活性ガス原子は実質的に存在せず、第1の屈折率層における不活性ガス原子の存在量は、例えば0.5原子%未満であり、0.4原子%以下であってもよい。波長変換層10に最も近い第1の屈折率層がこのような構成を有することにより、例えば、第1の屈折率層に波長変換層を構成する成分の混入が抑制されており、第1の屈折率層はその厚み方向において屈折率が均一であり得る。具体的には、第1の屈折率層は、その厚み方向において、波長変換層10側と第2の屈折率層側とで屈折率に差が実質的にない状態である。第1の屈折率層の屈折率が均一であることにより、例えば、所望の反射特性を良好に満足させることができる。
【0034】
上記不活性ガス原子の存在量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による組成分析により求めることができる。
【0035】
複合基板100は、機能層40および第2の多層膜22が省略されていてもよいし、または、基板30および第1の多層膜21が省略されていてもよい。また、図示しないが、複合基板100は、任意の層をさらに有していてもよい。このような層の種類・機能、数、組み合わせ、配置等は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、複合基板100は、機能層40上に別の機能層(例えば、光スキャナー層)が設けられていてもよい。
【0036】
複合基板100は、任意の適切な形状で製造され得る。1つの実施形態においては、いわゆる、ウエハーの形態で製造され得る。複合基板100のサイズは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、ウエハーの直径は、50mm~150mmである。また例えば、ウエハーの直径は、3インチ~6インチである。
【0037】
[製造方法]
上記複合基板は、例えば、複数の屈折率層の積層構造を準備し、この積層構造と波長変換材料基板とを接合することにより得ることができる。
【0038】
図3A~
図3Dは、1つの実施形態に係る複合基板の製造工程例を示す図である。
図3Aは、基板30に、第1の多層膜21を構成し得る第1の屈折率層21
1から第nの屈折率層21
nのn層を第nの屈折率層21
nから順に成膜し、基板30にn層の積層構造20を形成した状態を示している。
【0039】
次に、積層構造20と波長変換材料基板14とを直接接合する。直接接合に際し、積層構造20および波長変換材料基板14は、それぞれ、任意の適切な活性化処理により活性化されることが好ましい。
【0040】
上記活性化処理は、代表的には、中性化ビームを照射することにより行う。好ましくは、特開2014-086400号公報に記載の装置のような装置を使用して中性化ビームを発生させ、このビームを照射することにより活性化処理を行う。具体的には、ビーム源として、サドルフィールド型の高速原子ビーム(FAB)源を使用し、チャンバーにアルゴン、キセノン等の不活性ガスを導入し、直流電源から電極へ高電圧を印加する。これにより、電極(正極)と筺体(負極)との間に生じるサドルフィールド型の電界により、電子が運動して、不活性ガスによる原子とイオンのビームが生成される。グリッドに達したビームのうち、イオンビームはグリッドで中和されるので、中性原子のビームが高速原子ビーム源から出射される。ビーム照射時の電圧は、0.5kV~2.0kVとすることが好ましい。ビーム照射時の電流は、50mA~200mAとすることが好ましい。
【0041】
1つの実施形態においては、活性化処理は二段階で行われ得る。
図3Bは、積層構造20の表面20aおよび波長変換材料基板14の表面14aに、それぞれ、第1の活性化処理を施している状態を示している。代表的には、積層構造20の表面20aの活性化と波長変換材料基板14の表面14aの活性化とは、同時に行われ得る。第1の活性化処理の時間(例えば、上記ビームの照射時間)は、好ましくは10秒~30秒である。
【0042】
図3Cは、第2の活性化処理を示している。第2の活性化処理では、波長変換材料基板14の表面14aに対してさらにビーム照射を行う。ここで、積層構造20側には、実質的に、ビーム照射を行わない。第2の活性化処理により、積層構造20の表面に波長変換材料基板14を構成する成分を含む堆積層15が形成され得る。よって、第2の活性化処理は、スパッタリング処理と考えることができる。例えば、第2の活性化処理(スパッタリング処理)は、第1の活性化処理において、積層構造20および波長変換材料基板14にビームを照射後、積層構造20へのビーム照射を停止し、波長変換材料基板14へのビーム照射をさらに所定時間継続することにより行われる。第2の活性化処理(スパッタリング処理)の時間(例えば、ビームの照射時間)は、例えば3分~10分であり、好ましくは4分~7分である。
【0043】
堆積層15は、アモルファス層であり得る。堆積層15の厚みは、好ましくは0.2nm~8nmであり、より好ましくは0.3nm~4nmである。堆積層15は、上述のとおり、波長変換材料基板14を構成する成分を含み得る。また、堆積層15は、不活性ガス原子を含み得る。堆積層15は、得られる複合基板の第三層13に対応し得る。
【0044】
活性化処理後、積層構造20に形成された堆積層15と波長変換材料基板14とを接触させ、加圧することで直接接合する。こうして、
図3Dに示す接合体(複合基板)102を得る。接触および加圧は、真空雰囲気で行うことが好ましい。このときの温度は、代表的には、常温である。具体的には、20℃以上40℃以下が好ましく、より好ましくは25℃以上30℃以下である。加える圧力は、好ましくは100N~20000Nである。
【0045】
図3D中の破線は、接合界面を示す。接合界面は、波長変換層10の内部に位置し得る。そして、波長変換層10には、接合界面付近において3つの層(第一層11、第二層12および第三層13)が形成される。第一層11は、例えば、活性化処理に用いた不活性ガス原子を実質的に含まない。第二層12は、第一層11よりも第1の多層膜21に近くに位置し、不活性ガス原子を含み得る。第三層13は、第1の多層膜21に接しており、不活性ガス原子を含まなくてもよいし、含んでいてもよい。これらの層における不活性ガスの存在量については、上述のとおりである。第一層11は、波長変換材料の結晶体で構成され得る。第三層13は、波長変換材料が非晶質化したアモルファス層であり得る。第二層12は、波長変換材料の結晶体で構成されてもよく、波長変換材料が非晶質化した非晶質体で構成されてもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0046】
接合界面を波長変換層10の内部に位置させることにより、屈折率の高精度の制御が要求され得る積層構造20への活性化処理による影響を極めて低くすることができる。具体的には、多層膜の第1の屈折率層(積層構造20の最表層)には、活性化処理に用いられる不活性ガス原子は実質的に存在せず、活性化処理による波長変換材料の混入、活性化処理によるアモルファス構造(例えば、不活性ガス原子含有アモルファス領域)の生成等が抑制され得る。その結果、第1の屈折率層は、所望の屈折率を有し得、例えば、多層膜全体として所望の反射特性を良好に満足し得る。また、多層膜の第1の屈折率層(積層構造20の最表層)への不純物(例えば、活性化処理装置の治具や台座部分を構成するFe、Cr等)の混入を抑制し得る。不純物は、例えば、多層膜の透過率に影響し得る。さらに、接合に伴うアモルファス層の生成を抑制し得る。具体的には、接合に伴って生成されるアモルファス層の厚みを小さくすることができる。
【0047】
直接接合後、接合体102はアニール処理に供されてもよい。具体的には、接合体102は、加熱され得る。アニール処理によれば、不活性ガス原子、上記不純物を拡散して揮発させ得る。また、アニール処理によるアモルファス状態の結晶化が期待でき、例えば、反射特性のさらなる向上が期待され得る。アニール処理の温度(加熱温度)は、例えば300℃~450℃である。
【0048】
接合に際し、積層構造20および波長変換材料基板14の表面は、平坦面とされていることが好ましい。具体的には、積層構造20および波長変換材料基板14の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは5nm以下であり、より好ましくは2nm以下であり、さらに好ましくは1nm以下であり、特に好ましくは0.3nm以下である。表面を平坦化する方法としては、例えば、化学機械研磨加工(CMP)、ラップ(lap)研磨等による鏡面研磨が挙げられる。
【0049】
上記成膜、接合に際し、例えば、研磨剤の残渣の除去のため、各層の表面を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、例えば、ウエット洗浄、ドライ洗浄、スクラブ洗浄が挙げられる。これらの中でも、簡便かつ効率的に洗浄し得ることから、スクラブ洗浄が好ましい。スクラブ洗浄の具体例としては、洗浄剤(例えば、ライオン社製、サンウオッシュシリーズ)を用いた後に、溶剤(例えば、アセトンとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶液)を用いてスクラブ洗浄機にて洗浄する方法が挙げられる。
【0050】
図3では、積層構造20を基板30に形成し、波長変換層10と第1の多層膜21との接合体の製造を示している。
図3に示す例と同様に、積層構造20を機能層40に形成し、これを波長変換材料基板14と接合することにより、波長変換層10と第2の多層膜22との接合体を得ることができる。
図1に示す複合基板を得る場合、波長変換材料基板14に対する基板30と機能層40との積層順序は、特に限定されない。具体的には、波長変換材料基板14に対し、基板30を接合した後に機能層40を接合してもよいし、機能層40を接合した後に基板30を接合してもよい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0052】
[実施例1]
基板(GaAs基板)に、酸化タンタル(Ta
2O
5)層、酸化ケイ素(SiO
2)層および酸化アルミニウム(Al
2O
3)層を表1に示す順序および厚みで成膜し、計29層の屈折率層の積層構造を形成し、この積層構造に対し、
図3に示す方法により、Yb:YAG基板を接合して得られる複合基板の各層の屈折率を表1にまとめる。
【0053】
表1に示すように、第1の屈折率層(酸化タンタル層)において、活性化処理(ビーム照射)による影響は極めて低く、所望の屈折率が得られる。
【0054】
[比較例1]
基板(GaAs基板)に、酸化タンタル(Ta
2O
5)層、酸化ケイ素(SiO
2)層および酸化アルミニウム(Al
2O
3)層を実施例1と同様に成膜し、計29層の屈折率層の積層構造を形成する。そして、この積層構造に対し、
図3に示す方法において第2の活性化処理の際に積層構造へのビーム照射を停止しないこと以外は実施例1と同様にして、Yb:YAG基板を接合して得られる複合基板の各層の屈折率を表1にまとめる。
【0055】
表1に示すように、活性化処理(ビーム照射)により、第1の屈折率層(酸化タンタル層)において、Yb:YAG層側に酸化タンタルの屈折率(2.23)よりも屈折率の低い層(厚み50nm)が形成される。この層(領域)には、YAGの構成成分が確認され得る。
【0056】
【0057】
実施例1の多層膜の反射特性のシミュレーション結果を
図4に示し、比較例1の多層膜の反射特性のシミュレーション結果を
図5に示す。
【0058】
Yb:YAGは、有効励起波長が935nm~945nmで、波長1030nmの光に変換し得る。実施例1および比較例1の多層膜は、波長変換層(Yb:YAG層)の有効励起波長の光を透過させ、波長変換層(Yb:YAG層)から発射される波長1030nmの光の放出を抑制し得る。
実施例1の多層膜は、波長940nmにおける反射率が0.1%であるのに対し、比較例1の多層膜は、波長940nmにおける反射率が1.5%であった。このことから、実施例1の多層膜の方が、波長変換層(Yb:YAG層)の有効励起波長の光をより効果的に入射させ得る、と言える。
【0059】
(実施例1の組成分析)
GaAs基板に、表1に示す第29の屈折率層から第2の屈折率層を表1に示す材料および厚みで順次成膜した後、最後に、厚み200nmの酸化タンタル層(第1の屈折率層)を成膜し、計29層の屈折率層の積層構造を形成した。
次に、Yb:YAG基板(YAG結晶)の表面および積層構造が形成されたGaAs基板の表面(酸化タンタル層側)を洗浄した後、両基板を真空チャンバーに投入して10
-6Pa台まで真空引きし、両基板の表面にArガスを用いたFAB(加速電圧1kV、Ar流量27sccm)を、同時に15秒間それぞれ照射した。その後、GaAs基板側のFAB照射を停止して、Yb:YAG基板側のFAB照射をさらに285秒間継続した。
次いで、GaAs基板とYb:YAG基板とを直接接合した。具体的には、両基板のFAB照射面を重ね合わせ、常温において10000Nで2分間加圧して両基板を接合し、
図2および
図3Dに示すような接合体を得た。
その後、得られた接合体をアニール処理に供した。具体的には、得れた接合体を高温炉内に置き、この状態で、高温炉内の温度を室温から100℃より高い温度まで昇温して一定時間保持した後、室温に戻すことにより、アニールを行った。
【0060】
接合体を構成する各層のArの含有量(存在量)を測定するために、接合体をFIB(集束イオンビーム)法により薄片化しながら各層の表面を露出させ、エネルギー分散型X線分析(EDX)を行った。具体的には、原子分解能分析電子顕微鏡(JEOL製、JEM-ARM200F Dual-X)およびエネルギー分散型X線分析装置(JEOL製、JED-2300)を用い、加速電圧200kV、beam spot size約0.2nmΦとして、STEM-EDX観察にて分析を行った。
測定結果を以下に示す。なお、Arの含有量は、測定箇所に存在する全ての原子に対するAr原子の割合を示す。
・測定箇所1(第一層11に対応するYAG結晶):0原子%
・測定箇所2(第二層12):2原子%
・測定箇所3(第三層13):1原子%
・測定箇所4:(第1の屈折率層211に対応する酸化タンタル層):0.4原子%
【0061】
[実施例2]
Cr:YAG基板に、酸化タンタル(Ta
2O
5)層、酸化ケイ素(SiO
2)層および酸化アルミニウム(Al
2O
3)層を表2に示す順序および厚みで成膜し、計33層の屈折率層の積層構造を形成し、この積層構造に対し、
図3に示す方法により、Yb:YAG基板を接合して得られる複合基板の各層の屈折率を表2にまとめる。
【0062】
【0063】
表2に示すように、第1の屈折率層(酸化タンタル層)において、活性化処理(ビーム照射)による影響は極めて低く、所望の屈折率が得られる。
【0064】
実施例2の多層膜の反射特性のシミュレーション結果を
図6に示す。
【0065】
実施例2の多層膜は、波長変換層(Yb:YAG層)から発射される波長1030nmの光を透過させ、波長変換層(Yb:YAG層)の有効励起波長の光の放出を抑制し得る。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の実施形態による複合基板は、センシング用、精密加工用、医療用などのレーザ素子に好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0067】
10 波長変換層
11 第一層
12 第二層
13 第三層
14 波長変換材料基板
20 積層構造
21 第1の多層膜
22 第2の多層膜
30 基板
40 機能層
100 複合基板
102 接合体(複合基板)
【要約】
【課題】波長変換層界面の反射特性に優れた複合基板を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態による複合基板は、入射した光を波長が異なる光に変換する波長変換層と、前記波長変換層に隣接して配置される多層膜と、を有し、前記多層膜は複数の屈折率層を含み、前記波長変換層の前記多層膜が配置されている側の厚み方向端部には、不活性ガス原子の存在量が0.5原子%以上の領域が形成されており、前記多層膜の前記波長変換層に最も近くに位置する第1の屈折率層における不活性ガス原子の存在量は0.5原子%未満である。
【選択図】
図1