(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】仮想現実光学レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20240626BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240626BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240626BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240626BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B13/18
G02B5/30
G02B27/02 Z
G02B17/08
(21)【出願番号】P 2023205691
(22)【出願日】2023-12-05
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】202310779098.4
(32)【優先日】2023-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520128543
【氏名又は名称】エーエーシー オプティクス (チャンジョウ)カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】史秀▲ティン▼
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-170371(JP,A)
【文献】特表2018-524618(JP,A)
【文献】特開平08-110492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0202253(US,A1)
【文献】米国特許第11054622(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
G02B 27/00-30/60
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実光学レンズであって、
前記仮想現実光学レンズは、前側から後側へ順に、
映像面-光を出射するため、前記映像面の後側に貼り付けされた円偏光子を有する-と、
前側表面に部分反射素子が設けられた第3レンズと、
第2レンズと、
前側表面に複合フィルムが設けられた第1レンズ-前記複合フィルムは、偏光反射フィルムと1/4波長シートとを含み、前記偏光反射フィルムは、前記第1レンズの前側表面に貼り付けされ、前記1/4波長シートは、前記偏光反射フィルムの前側に貼り付けされる-と、
光学システムの後側に位置する絞りと
から構成され、
前記仮想現実光学レンズの最大視直径はVDであり、前記第2レンズの屈折率はnd2であり、前記仮想現実光学レンズのレンズ最大半口径はSDmaxであり、次の関係式を満たす、ことを特徴とする仮想現実光学レンズ。
1.80≦nd2
VD≧10.00mm
SDmax≦23.00mm
【請求項2】
前記第1レンズの後側面が非球面である、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
【請求項3】
前記第2レンズの後側面と前側面とが球面であり、前記第3レンズの後側面と前側面とが非球面である、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
【請求項4】
前記仮想現実光学レンズの視野角はFOVであり、次の関係式を満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
94.50°≦FOV
【請求項5】
前記仮想現実光学レンズの光学全長はTTLであり、次の関係式を満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
TTL≦19.427mm
【請求項6】
前記部分反射素子は半透明半反射フィルムである、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
【請求項7】
前記半透明半反射フィルムの反射率および透過率は、いずれも50%である、ことを特徴とする請求項6に記載の仮想現実光学レンズ。
【請求項8】
前記偏光反射フィルムの反射率が≧95%である、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
【請求項9】
前記仮想現実光学レンズの光学歪みが≦28.4%である、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
【請求項10】
前記仮想現実光学レンズの収差がΔEであり、|ΔE|≦57μmを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
【請求項11】
前記仮想現実光学レンズの焦点距離はfであり、前記仮想現実光学レンズの光学全長はTTLであり、次の関係式を満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
TTL/f≦0.79
【請求項12】
前記映像面はディスプレイであり、サイズは2.1インチである、ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実光学レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ分野に関し、特に、VR(Virtual Reality)装置に適した仮想現実光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なスマートデバイスの登場に伴い、小型化された仮想現実光学レンズの需要が増加し、かつ感光素子の画素サイズの微細化に加え、現在の電子製品の機能性・薄型化・便利性などの開発傾向により、良好な結像品質を有する小型化された仮想現実光学レンズが現在の市場の主流となっている。より良い結像品質を得るために、マルチチップレンズ構成がよく使用されている。また、技術の発展とユーザニーズの多様化に伴い、特に仮想現実、拡張現実、複合現実などの応用分野が急成長し、ユーザ体験の観点から、小型で優れた結像方式を兼ね備える仮想現実光学レンズに対する需要が非常に切実である。
【発明の概要】
【0003】
本発明では上記問題に鑑み、良好な光学性能を有しながら、小型化、軽量化の設計要求を満たす仮想現実光学レンズを提供することを目的とした。
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態は、仮想現実光学レンズを提供する。前記仮想現実光学レンズは、前側から後側へ順に、
光を出射するために映像面の後側に貼り付けされた円偏光子を有する映像面と、
前側表面に部分反射素子が設けられた第3レンズと、
第2レンズと、
前側表面に複合フィルムが設けられた第1レンズ-前記複合フィルムは、偏光反射フィルムと1/4波長シートとを含み、前記偏光反射フィルムは、前記第1レンズの前側表面に貼り付けされ、前記1/4波長シートは、前記偏光反射フィルムの前側に貼り付けされる-と、
光学システムの後側に位置する絞りと、を備え、
前記仮想現実光学レンズの最大視直径はVDであり、前記第2レンズの屈折率はnd2であり、前記仮想現実光学レンズのレンズ最大半口径はSDmaxであり、次の関係式を満たす。
1.80≦nd2
VD≧10.00mm
SDmax≦23.00mm
【0005】
好ましくは、前記第1レンズの後側面が非球面である。
【0006】
好ましくは、前記第2レンズの後側面と前側面とが球面であり、前記第3レンズの後側面と前側面とが非球面である。
【0007】
好ましくは、前記仮想現実光学レンズの視野角はFOVであり、次の関係式を満たす。
94.50°≦FOV
【0008】
好ましくは、前記仮想現実光学レンズの光学全長はTTLであり、次の関係式を満たす。
TTL≦19.427mm
【0009】
好ましくは、前記部分反射素子は半透明半反射フィルムである。
【0010】
好ましくは、前記半透明半反射フィルムの反射率および透過率は、いずれも50%である。
【0011】
好ましくは、前記偏光反射フィルムの反射率が≧95%である。
【0012】
好ましくは、前記仮想現実光学レンズの光学歪みが≦28.4%である。
【0013】
好ましくは、前記仮想現実光学レンズの収差がΔEであり、|ΔE|≦57μmを満たす。
【0014】
好ましくは、前記仮想現実光学レンズの焦点距離はfであり、前記仮想現実光学レンズの光学全長はTTLであり、次の関係式を満たす。
TTL/f≦0.79
【0015】
好ましくは、前記映像面はディスプレイであり、サイズは2.1インチである。
【0016】
本発明の有益な効果は、本発明に係る仮想現実光学レンズが良好な光学性能を有し、小型軽量化の特性を有する。第3レンズの前側表面に部分反射素子を設け、第1レンズに偏光反射フィルムと1/4波長シートを順次含む複合フィルムを設けることにより、3枚レンズ光路折りたたみ構成が実現され、レンズの半口径が制御され、光学システムの小型化、設計の自由度が向上させ、より高い性能を得ることができるため、結像品質が向上することができる。また、最大視直径が10.00mm以上であることで、煩雑な調整をすることなく最適な表示効果が得ることができ、小型化かつ高い結像性能が両立する。また、高屈折率材料と低屈折率材料の組み合わせにより、高屈折率ガラス1枚を使用して収差を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施形態における技術手段をより明確に説明するために、以下では、実施形態の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明する。なお、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施形態にすぎない。当業者は、創造的な作業を行うことなく、これらの図面に基づいてほかの図面を得ることができる。
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る仮想現実光学レンズの構成模式図である。
【
図2】
図1に示される仮想現実光学レンズの点列図である。
【
図3】
図1に示される仮想現実光学レンズの倍率収差の模式図である。
【
図4】
図1に示される仮想現実光学レンズの像面湾曲と歪みの模式図である。
【
図5】
図1に示される仮想現実光学レンズのフィルム層構成を含む模式図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る仮想現実光学レンズの構成模式図である。
【
図7】
図6に示される仮想現実光学レンズの点列図である。
【
図8】
図6に示される仮想現実光学レンズの倍率収差の模式図である。
【
図9】
図6に示される仮想現実光学レンズの像面湾曲と歪みの模式図である。
【
図10】
図6に示される仮想現実光学レンズのフィルム層構成を含む模式図である。
【
図11】本発明の比較実施形態に係る仮想現実光学レンズの構成模式図である。
【
図12】
図11に示される仮想現実光学レンズの点列図である。
【
図13】
図11に示される仮想現実光学レンズの倍率収差の模式図である。
【
図14】
図11に示される仮想現実光学レンズの像面湾曲と歪みの模式図である。
【
図15】
図11に示される仮想現実光学レンズのフィルム層構成を含む模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、技術手段および利点をより明確にするために、以下、本発明の様々な実施形態を添付図面と併せて詳細に説明する。なお、当業者であれば、本発明の様々な実施形態において、読者が本発明をより良く理解できるようにするために、多くの技術的詳細が提案されていることを理解することができる。しかしながら、これらの技術的詳細および以下の実施形態に基づく種々の変形および変更がなくても、本発明が保護されると主張する技術的解決策を実現することができる。
【0020】
(第1実施形態)
図1および
図5を参照し、本発明は、仮想現実光学レンズ10を提供する。具体的には、前記仮想現実光学レンズ10は、前側から後側へ順に、映像面11、円偏光子12、部分反射素子13、第3レンズ14、第2レンズ15、1/4波長シート16、偏光反射フィルム17、第1レンズ18、及び絞り19を備える。
【0021】
映像面11は、光を出射するものであり、映像面11は前記映像面11の後側に貼り付けされた円偏光子12を有し、本実施形態では、映像面11はディスプレイであり、サイズは2.1インチであり、ディスプレイからの光は円偏光子12を通過して左旋円偏光LCPを形成する。
【0022】
第3レンズ14の前側表面141には部分反射素子13が設けられ、一部の光は反射され、一部の光は第3レンズ14に入射し、このとき光は左旋円偏光LCPである。
【0023】
第3レンズ14に入射した左旋円偏光LCPは、第3レンズ14で屈折して第2レンズ15に出射し、第2レンズ15で屈折して前記第1レンズ18に出射する。
【0024】
第1レンズ18の前側表面181には複合フィルムが設けられ、前記複合フィルムは偏光反射フィルム17と1/4波長シート16とを含み、前記偏光反射フィルム17は前記第1レンズ18の前側表面181に貼り付けされ、前記1/4波長シート16は前記偏光反射フィルム17の前側に貼り付けされ、左旋円偏光LCPは、1回目に1/4波長シート16を通過した後に線偏光S光に変換され、その後、偏光反射フィルム17でまた1/4波長シート16に反射され、このときの反射光はそのまま線偏光S光であり、2回目に1/4波長シート16を通過した後に左旋円偏光LCPに変換され、2回目に第2レンズ15に入射し、第2レンズ15および前記第3レンズ14によって順に屈折された後に部分反射素子13に入射し、部分反射素子13で部分反射され、反射された光は右旋円偏光RCPに変換されて第3レンズ14に3回目に入射し、前記第3レンズ14及び第2レンズ15によって順に屈折された後に1/4波長シート16に入射し、1/4波長シート16を通過して線偏光S光に変換されて偏光反射フィルム17に入射し、偏光反射フィルム17は、線偏光S光を反射する特性と線偏光P光を透過する特性とを有するため、線偏光P光は第1レンズ18に入射し、第1レンズ18を介して屈折して絞り19に入射する。
【0025】
本実施形態では、3枚式光路折りたたみ構成によれば、仮想現実光学レンズ10の光学全長TTLが大幅に低減され、仮想現実光学レンズ10の体積が低減される。
【0026】
本実施形態では、前記第1レンズ18はプラスチック材質であり、前記第2レンズ15はガラス材質であり、前記第3レンズ14はプラスチック材質である。他の任意の実施形態では、各レンズは他の材質であってもよい。
【0027】
前記第2レンズ15の屈折率をnd2と定義し、次の関係式を満たす:1.80≦nd2。前記第2レンズ15は、H-ZF52(ガラス)材料として選択され、高屈折率材料と低屈折率材料との組み合わせにより、高屈折率ガラス1枚を使用することにより、収差を効果的に低減しつつ、コストを低減することができる。
【0028】
絞り19の位置は、人間の目の表面の位置を模擬する位置であり、前記絞り19の直径は10.00mmであり、前記仮想現実光学レンズ10の最大視直径をVDと定義し、次の関係式を満たす:10*10mm≦VD、すなわち、人間の目は直径が少なくとも10mmの範囲内で移動するときに鮮明な画像を見ることができ、ユーザが煩雑な調整をすることなく最適な位置で最良の表示効果を見ることができ、FOVを増大し、FOVを90°以上に達成させることができる。
【0029】
前記仮想現実光学レンズ10のレンズ最大半口径をSDmaxと定義し、次の関係式を満たす:SDmax≦23.00mm。これにより、前記仮想現実光学レンズの体積を小さくするのに有利であり、3枚のレンズの光路折りたたみ構成により、設計の自由度を増加させ、より高い光学性能が得られるため、結像品質を向上させる。
【0030】
また、本実施形態では、前記第1レンズ18の後側表面183は非球面であり、少なくとも1つの非球面を設けることにより、光学全長の短縮に有利である。また、他の任意の実施形態では、自由曲面を使用することもできる。
【0031】
また、本実施形態では、前記第2レンズ15の後側表面153及び前側表面151は、いずれも球面であり、前記第3レンズ14の後側表面143及び前側表面141は、いずれも非球面であり、非球面の適用は光学システムの収差を補正するのに有利である。また、他の任意の実施形態では、自由曲面を使用することもできる。
【0032】
また、本実施形態では、第1レンズ18の前側表面181は平面であり、第1レンズ18の後側表面183は凸面である。前記第2レンズ15の前側表面151は凹面であり、前記第2レンズ15の後側表面153は凹面である。第3レンズ14の前側表面141は凸面であり、第3レンズ14の後側表面143は凸面である。
【0033】
また、本実施形態では、前記仮想現実光学レンズ10の視野角をFOVと定義し、次の関係式を満たす:94.50°≦FOV。これにより、ユーザが最適な位置で最良の表示効果を見ることができるように広角化を実現する。
【0034】
また、本実施形態では、前記仮想現実光学レンズ10の光学全長をTTLと定義し、次の関係式を満たす:TTL≦19.427mm。これにより、超薄型化の実現に有利である。
【0035】
また、本実施形態では、前記部分反射素子13は半透明半反射フィルムであり、前記半透明半反射フィルムの反射率および透過率は、いずれも50%であるため、前記仮想現実光学レンズ10の光学性能がより優れる。また、他の任意の実施形態では、部分反射素子13の反射透過比率は、具体的な設計要件に応じて調整することができ、55:45、60:40などとすることもできる。
【0036】
また、本実施形態では、前記偏光反射フィルム17の反射率は≧95%であり、反射率が高いほど光学システム10の光効力を向上させ、表示輝度を増加させる。
【0037】
また、本実施形態では、前記仮想現実光学レンズ10の光学歪みは≦28.4%である。これにより、前記仮想現実光学レンズ10の光学性能がより優れ、歪みが小さくなり、よりリアルなVR環境をユーザに提供することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、前記仮想現実光学レンズ10の収差をΔEと定義し、|ΔE|≦57μmを満たす。
【0039】
また、本実施の形態では、前記仮想現実光学レンズの焦点距離をfと定義し、前記仮想現実光学レンズの光学全長をTTLと定義し、次の関係式を満たす:TTL/f≦0.79。これにより、薄型化に有利となる。
【0040】
また、本実施形態では、前記第1レンズ18の後側表面183、前記第2レンズ15の前側表面151、前記第2レンズ15の後側表面153、および前記第3レンズ14の後側表面143には、いずれも増透フィルムが設けられ、光学システム10の光効力を向上させ、輝度を向上させる。
【0041】
また、本実施形態では、前記仮想現実光学レンズ10の絞り値FNOが2.47以下であるため、仮想現実光学レンズ10を小型化し、結像性能を良好にすることができる。
【0042】
以下、本発明の仮想現実光学レンズ10を実施例により説明する。各実施例に記載される符号は以下のとおりである。なお、焦点距離、軸上距離、中心曲率半径、軸上厚み、反曲点位置、定在点位置の単位はmmである。
【0043】
TTL:光学全長、映像面11から第1レンズ18の後側表面183までの軸上距離を示し、単位はmmである;
【0044】
絞り値FNO:仮想現実光学レンズの有効焦点距離と入瞳直径との比である。
【0045】
好ましくは、前記レンズの前側面および/または後側面には、高品質な結像要求を満たすために、反曲点および/または定在点が設けられてもよい。また、具体的な実施形態については、以下に説明する。
【0046】
表1および表2は、本発明の第1実施形態に係る仮想現実光学レンズ10の設計データを示す表である。
【0047】
【0048】
ここで、各符号の意味は以下のとおりである。
R:光学面の中心における曲率半径;
R1:第1レンズ18の後側面の中心曲率半径;
R2:第1レンズ18の前側面の中心曲率半径;
R3:第2レンズ15の後側面の中心曲率半径;
R4:第2レンズ15の前側面の中心曲率半径;
R5:第3レンズ14の後側面の中心曲率半径;
R6:第3レンズ14の前側面の中心曲率半径;
d:レンズの軸上厚み、レンズ間の軸上距離(光路の理解を容易にするために、後側から前側への光の伝播を正の値とし、前側から後側への光の伝播を負の値とする);
d0:絞り19から第1レンズ18の後側表面183までの軸上距離;
d1:第1レンズ18の軸上厚み;
d2:第1レンズ18の前側表面181から第2レンズ15の後側表面153までの軸上距離;
d3:第2レンズ15の軸上厚さ;
d4:第2レンズ15の前側表面151から第3レンズ14の後側表面143までの軸上距離;
d5:第3レンズ14の軸上厚さ;
d6:第3レンズ14の軸上厚さの負の値;
d7:第2レンズ15の前側表面151から第3レンズ14の後側表面143までの軸上距離の負の値;
d8:第2レンズ15の軸上厚さの負の値;
d9:第1レンズ18の前側表面181から第2レンズ15の後側表面153までの軸上距離の負の値;
d10:第3レンズ14の前側表面141から映像面11までの軸上距離;
nd:d線の屈折率(d線は、波長546nmの緑色光である);
nd1:第1レンズ18のd線の屈折率;
nd2:第2レンズ15のd線の屈折率;
nd3:第3レンズ14のd線の屈折率;
vd:アッベ数;
v1:第1レンズ18のアッベ数;
v2:第2レンズ15のアッベ数;
v3:第3レンズ14のアッベ数。
【0049】
表2は、本発明の第1実施形態に係る仮想現実光学レンズ10における各レンズの非球面データを示す表である。
【0050】
【0051】
なお、各レンズ面の非球面は、便宜上、下記式(1)に示される非球面を用いる。ただし、本発明は、この式(1)で表される非球面の多項式形式に限定されるものではない。
【0052】
[式1]
z=(cr2)/{1+[1-(k+1)(c2r2)]1/2}+A4r4+A6r6+A8r8+A10r10+A12r12+A14r14+A16r16+A18r18+A20r20+A22r22+A24r24+A26r26+A28r28+A30r30 (1)
【0053】
ここで、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20、A22、A24、A26、A28、A30は非球面係数であり、cは光学面の中心における曲率であり、rは非球面曲線における点と光軸との垂直距離であり、zは非球面深さ(非球面における距離光軸がrの点と非球面光軸における頂点に接する切面との垂直距離)である。
【0054】
図2は、仮想現実光学レンズ10の点列図である。
図2から分かるように、この仮想現実光学レンズ10の分散スポットサイズが小さく、結像効果が良好である。
【0055】
図3は、波長470nm、546nmおよび650nmの光が第1実施形態の仮想現実光学レンズ10を通過した後の倍率収差を示す模式図である。
図4は、波長546nmの光が第1実施形態の仮想現実光学レンズ10を通過した後の像面湾曲および歪みを示す模式図である。
図4における像面湾曲Sは弧矢方向の像面湾曲であり、Tは子午方向の像面湾曲である。
【0056】
本実施形態では、前記仮想現実光学レンズ10の入瞳直径ENDPは10.000mmであり、全視野像高IHは19.152mmであり、対角線方向の視野角FOVは94.50°であり、前記仮想現実光学レンズ10は、小体積、最大視直径が10.00mm以上という設計要件を満たし、3枚レンズの光路折りたたみ構成によれば、設計の自由度が増加し、より高い性能が得られることで、結像品質が向上し、その軸上、軸外の収差が十分に補正されて収差が低減され、優れた光学的特徴を有する。
【0057】
表7に示されるように、第1実施形態は各条件式を満足する。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態は、基本的に第1実施形態と同様であり、符号は第1実施形態と同じ意味を表すため、以下では相違点のみを列挙する。
【0059】
図6は、本発明の第2実施形態に係る仮想現実光学レンズ20を示す図である。
【0060】
表3および表4は、本発明の第2実施形態に係る仮想現実光学レンズ20の設計データを示す表である。
【0061】
【0062】
表4は、本発明の第2実施形態に係る仮想現実光学レンズ20における各レンズの非球面データを示す表である。
【0063】
【0064】
図7は、仮想現実光学レンズ20の点列図である。
図7から分かるように、仮想現実光学レンズ20は、分散スポットサイズが小さく、結像効果が良好である。
【0065】
図8は、波長470nm、546nmおよび650nmの光が第2実施形態の仮想現実光学レンズ20を通過した後の倍率収差を示す模式図である。
図9は、波長546nmの光が第2実施形態の仮想現実光学レンズ20を通過した後の像面湾曲および歪みを示す模式図である。
図9における像面湾曲Sは弧矢方向の像面湾曲であり、Tは子午方向の像面湾曲である。
【0066】
表7に示されるように、第2実施の形態は各条件式を満足する。
【0067】
本実施形態では、前記仮想現実光学レンズ20の入瞳直径ENDPは10.000mmであり、全視野像高IHは19.152mmであり、対角線方向の視野角FOVは94.87°であり、前記仮想現実光学レンズ20は、小体積、最大視直径が10.00mm以上という設計要件を満たし、3枚レンズの光路折りたたみ構成によれば、設計の自由度が増加し、より高い性能が得られることで、結像品質が向上し、その軸上、軸外の収差が十分に補正されて収差が低減され、優れた光学的特徴を有する。
【0068】
(比較実施形態)
比較実施形態は、基本的に第1実施形態と同様であり、符号は第1実施形態と同じ意味を表すため、以下では相違点のみを列挙する。
【0069】
図11は、本発明の比較実施形態に係る仮想現実光学レンズ30を示す図である。
【0070】
表5および表6は、本発明の比較実施形態に係る仮想現実光学レンズ30の設計データを示す表である。
【0071】
【0072】
表6は、本発明の比較実施形態に係る仮想現実光学レンズ30における各レンズの非球面データを示す表である。
【0073】
【0074】
【0075】
図13は、波長470nm、546nmおよび650nmの光が比較実施形態の仮想現実光学レンズ30を通過した後の軸方向収差および倍率収差をそれぞれ示す模式図である。
図12は、波長546nmの光が比較実施形態の仮想現実光学レンズ30を通過した後の像面湾曲および歪みを示す模式図である。
図14における像面湾曲Sは弧矢方向の像面湾曲であり、Tは子午方向の像面湾曲である。
【0076】
以下、表7は、比較実施形態における各条件式に対応する数値を上記条件式にしたがって示す表である。なお、比較実施形態に係る仮想現実光学レンズ30は、上記条件式1.80≦nd2を満たしていないことが明らかである。
【0077】
また、比較実施形態では、前記仮想現実光学レンズ30の入瞳直径ENDPは10.000mmであり、全視野像高IHは19.152mmであり、対角線方向の視野角FOVは94.60°である。前記仮想現実光学レンズ30の第2レンズ15は、屈折率が1.713の材料を使用し、条件式1.80≦nd2を満たさなく、収差が著しく増加して制御が困難であり、その軸上、軸外の収差が十分に補正されず、優れた光学特性を有していない。
【0078】
【0079】
上記の各実施形態は、本発明を実現するための具体的な実施形態であり、本発明の趣旨や範囲から逸脱することなく、実用化において形式的および詳細的に種々の変更が可能であることは、当業者には理解され得る。
【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、光学レンズ分野に関し、仮想現実光学レンズを開示する。
【解決手段】前記仮想現実光学レンズは、前側から後側へ順に、光を出射するために映像面の後側に貼り付けされた円偏光子を有する映像面と、前側表面に部分反射素子が設けられた第3レンズと、第2レンズと、前側表面に複合フィルムが設けられた第1レンズ-前記複合フィルムは、偏光反射フィルムと1/4波長シートとを含み、前記偏光反射フィルムは、前記第1レンズの前側表面に貼り付けされ、前記1/4波長シートは、前記偏光反射フィルムの前側に貼り付けされる-と、前記光学システムの後側に位置する絞りと、を備え、前記仮想現実光学レンズの最大視直径はVDであり、前記第2レンズの屈折率はnd2であり、前記仮想現実光学レンズのレンズ最大半口径はSDmaxであり、次の関係式を満たす:1.80≦nd2;VD≧10.00mm;SDmax≦23.00mm。
【選択図】
図1