(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】レーダ対応ユーザ機器と他のユーザ機器との共存動作
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20240626BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240626BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20240626BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W16/28
H04W88/02 140
(21)【出願番号】P 2023500420
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2020069503
(87)【国際公開番号】W WO2022008066
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カランタリ, アシュカン
(72)【発明者】
【氏名】ダルグレン, フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】レイアール, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ, ガン
(72)【発明者】
【氏名】ショランド, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】サングレン, マグヌス
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/233830(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0102827(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0393944(US,A1)
【文献】国際公開第2019/001160(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワーク(10)と通信し、同一または重複するミリ波(mmW)周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器(12)による動作の方法(400)であって、前記方法(400)は、
前記無線通信機器(12)の現在の向き及び位置について、複数のレーダビーム方向(30)の個々のレーダビーム方向(30)を、制限ありまたは制限なしとして分類すること(402)と、ここで任意の特定のレーダビーム方向(30)は、前記無線通信機器(12)による該特定のレーダビーム方向(30)でのレーダ送信によって前記無線通信ネットワーク(10)において生じる既知のまたは推定されたアップリンク(UL)受信干渉に基づいて制限ありとして分類され、
前記無線通信機器(12)によるレーダ送信を、前記個々のレーダビーム方向(30)に対してなされた分類を考慮して適応させること(404)とを有し、前記適応させることは、制限ありのレーダビーム方向(30)のそれぞれに関してレーダ信号送信電力をミュートまたは削減することを含
み、
前記分類すること(402)は、前記無線通信ネットワーク(10)の考慮する1つ以上の無線ネットワークノード(22)を特定することと、考慮する無線ネットワークノード(22)のそれぞれおよび考慮するレーダビーム方向(30)のそれぞれについて、規定された送信電力レベルで前記考慮するレーダビーム方向(30)に前記無線通信機器(12)が実行するレーダ送信に関して前記考慮する無線ネットワークノード(22)が経験するであろうUL受信電力を推定することとを含む、方法(400)。
【請求項2】
前記無線通信機器(12)の前記向きの閾値を超える変化、前記無線通信機器(12)の前記位置の閾値を超える変化、前記無線通信機器(12)がレーダ送信のために使用するレーダ信号周波数の閾値を超える変化、および環境条件の閾値を超える変化の1つ以上に応じて、前記分類を更新するために前記分類すること(402)を繰り返すことをさらに有する、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
前記考慮するビーム方向(30)で前記無線通信機器(12)が実行するレーダ送信に関して前記考慮する無線ネットワークノード(22)が経験するであろう前記UL受信電力を推定することは、前記考慮するレーダビーム方向(30)に対応するダウンリンク(DL)ビーム方向を用いてDL基準信号を受信することと、前記DL基準信号の受信信号電力に基づいて経路損失を推定することと、前記経路損失と前記規定された送信電力レベルとから前記UL受信電力を推定することとを含む、請求項
1または2に記載の方法(400)。
【請求項4】
前記分類すること(402)は、前記無線通信機器(12)が前記無線通信機器(12)の2つ以上のアンテナパネル(58)のそれぞれについて規定されたビーム方向(30)を掃引することを含み、前記2つ以上のアンテナパネル(58)が異なるそれぞれの向きを有する、請求項
1から3
のいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項5】
前記分類すること(402)は
、前記レーダビーム方向(30)の1つ以上を含む、あるいは1つ以上に対応する1つ以上のULビーム方向でUL基準信号を送信することと、前記1つ以上のULビーム方向のうちの少なくとも1つについての前記UL基準信号の受信電力を示すフィードバックを前記考慮する無線ネットワークノード(22)から受信することと、
ここで前記推定することが前記フィードバックに基づ
き、UL受信電力の対応する推定値に応じてレーダビーム方向(30)のそれぞれを分類することとを
さらに含む、請求項1または2に記載の方法(400)。
【請求項6】
前記1つ以上のULビーム方向で前記UL基準信号を送信することは、前記無線通信機器(12)の1つ以上のアンテナパネル(58)のそれぞれからUL送信掃引を実行することを含み、各UL送信掃引は前記レーダビーム方向(30)のそれぞれ1つに対応する複数のULビーム方向を含み、前記フィードバックは各UL送信ビーム掃引の前記複数のULビーム方向についてのUL受信電力推定値を含み、前記方法(400)は前記ULビーム方向の前記対応する1つについての前記UL受信電力推定値に基づいて、レーダビーム方向(30)のそれぞれの前記分類を決定することを有する、請求項
5に記載の方法(400)。
【請求項7】
前記1つ以上のULビーム方向で前記UL基準信号を送信することは、前記無線通信機器(12)の1つ以上の選択されたアンテナパネル(58)のそれぞれから1つのULビーム方向でUL送信を実行することを含み、前記フィードバックは前記1つ以上の選択されたアンテナパネル(58)のそれぞれからの前記UL送信についてのUL受信電力推定値を含み、前記方法(400)は、前記1つ以上の選択されたアンテナパネル(58)のそれぞれについて、前記選択されたアンテナパネル(58)について前記無線ネットワークノード(22)からフィードバックされた前記UL受信電力推定値と、前記考慮する無線ネットワークノード(22)によるDL基準信号送信に関して前記選択されたアンテナパネル(58)を用いた受信ビーム掃引中に前記無線通信機器(12)によって計測されたDL受信電力とに基づいて、前記選択されたアンテナパネル(58)に関連付けられたレーダビーム方向それぞれについてのUL受信電力を推定することを有し、前記受信ビーム掃引は前記選択されたアンテナパネル(58)に関連するレーダビーム方向(30)にそれぞれ対応する複数の受信ビーム方向を含む、請求項
5に記載の方法(400)。
【請求項8】
前記分類すること(402)は、制限ありとして分類されているいずれかのレーダビーム方向(30)に関して、該レーダビーム方向(30)を条件付きで制限ありとみなすべきか否かを、該レーダビーム方向でのレーダ送信が前記無線通信ネットワーク(10)におけるUL受信に干渉すると推定される程度に応じて判定することを含み、前記方法(400)は、条件付きで制限ありのレーダビーム方向(30)でのレーダ送信を、制限なしのレーダビーム方向(30)でのレーダ送信のために前記無線通信機器(12)が使用するよりも低い送信電力で実行することを有する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項9】
前記分類すること(402)は、前記無線通信機器(12)によるレーダ干渉に脆弱なUL通信の重要度、前記無線通信機器(12)によるレーダ干渉に脆弱な前記UL通信の1つ以上のサービス品質(QoS)要件、前記無線通信機器(12)によるレーダ送信の次の実行中にUL通信が発生する推定可能性、および前記無線通信ネットワーク(10)の1つ以上の無線ネットワークノード(22)に対する前記無線通信機器(12)の位置のうちの少なくとも1つに依存する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項10】
前記無線通信機器(12)が前記無線通信機器(12)の前記現在の向きに対して異なる相対的向きおよび対応する異なる指向性を有する2つ以上のアンテナパネル(58)を含み、各アンテナパネル(58)が前記レーダビーム方向(30)の1つ以上をサポートし、前記方法(400)が、前記無線通信機器(12)の前記現在の向きに基づいて、前記無線通信ネットワーク(10)の特定の無線ネットワークノード(22)にどのアンテナパネル(58)が指向性的に関連するかを判定することを有する、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項11】
前記分類すること(402)は、前記無線通信ネットワーク(10)の考慮する無線ネットワークノード(22)のそれぞれに関してビーム特定手順を実行することを含み、前記ビーム特定手順は、前記無線通信機器(12)の1つ以上のアンテナパネルのそれぞれから1つ以上のULビーム方向でUL基準信号を送信することと、考慮する無線ネットワークノード(22)のそれぞれについて、前記送信されたUL基準信号のうち最も強く受信された1つに対応する前記ULビーム方向を特定するフィードバックを前記考慮する無線ネットワークノード(22)から受信することと、前記特定されたULビーム方向に対応する1つ以上のレーダビーム方向を制限ありとして分類することとを含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項12】
前記ビーム特定手順を実行することは、前記考慮する無線ネットワークノード(22)のうちの少なくとも1つに関して前記ビーム特定手順を2回以上繰り返して実行することを含み、各繰り返しはそれ以前のすべての繰り返しで特定された前記ULビーム方向を除外する、請求項
11に記載の方法(400)。
【請求項13】
無線通信機器(12)であって、
無線通信ネットワーク(10)と通信し、同一または重複するミリ波(mmW)周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成された通信回路(50)と、
前記通信回路(50)と動作可能に関連付けられた処理回路(60)とを有し、前記処理回路(60)は、
請求項1から12のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、無線通信機器(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はレーダ対応(radar-enabled)ユーザ装置に関し、特には、レーダ対応ユーザ装置を伴う共存動作に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークにミリ波(mmW)周波数帯域を採用することにより、より多くのアンテナをより近接して用いることが可能になり、ユーザ装置(UE)でビームフォーミングを実行可能になるなど、様々な利点が得られる。そのため、機器メーカは第5世代(5G)ニューラジオ(NR)仕様に基づく通信ネットワークで使用するためのUEなどにアンテナパネルを搭載するようになってきている。アンテナパネルは、UE内の様々な位置に設けることができ、様々な方向に向けることができる。さらに、各アンテナパネルは、使用される空間フィルタリングに応じて異なるビームを生成する。パネルの向きは、UEの向きに応じて変化する。
【0003】
1つ以上のUEが周囲の環境を検知するためにレーダ送信を行うレーダプロービングには、同一または類似した周波数帯域が用いられうる。一例として、レーダプロービングは、移動ロボットまたは自律誘導車両(AGV)による自律ナビゲーションを容易にする。別の例として、レーダプロービングは、通信または他の動作に干渉しうる、現在位置に近接する壁または他の障害物をUEが検出することを可能にする。
【0004】
無線通信ネットワークが用いるものと同一または重複するmmW周波数帯域でレーダプロービングを実行するUEは、レーダ送信と通信送信との間の著しい干渉が生じる可能性を高める。無線通信ネットワークにアクセスして使用するように構成されるとともに、さらに自身の周辺環境のレーダプロービングを実行するように構成された無線通信機器を表すために、このようなUEを「レーダ対応UE」と呼ぶ。
【0005】
本明細書において、用語「レーダ」は、1つ以上の無線周波数信号を(1つ以上の送信機によって)センシング環境に送信し、これら信号の反射を(1つ以上の受信機によって)受信するタイプのセンシングを意味する。受信した反射信号の分析により、センシング環境で信号を反射した物体に関する情報が得られる。
【0006】
レーダ対応UEの動作に関して、米国特許出願公開第2019/0293781号は、通信信号を送信するための無線チャネルに、レーダ信号を送信するものとは別個の(直交する)リソースを用いることを提案している。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0318470号もまたレーダを考慮しているが、レーダー対応UEを無線通信ネットワークで動作させることに関連する課題ではなく、同じ共有スペクトル内で動作する異なるネットワークにより広く対処している。 同様に、米国特許第10,439,743号は、例えば自動車レーダシステムと共存する無線通信システムの観点でレーダに対処している。
【発明の概要】
【0008】
レーダ対応無線通信機器は無線通信ネットワークと通信信号をやり取りし、また、周辺環境センシングのためにレーダ送信を実行するように構成される。機器はネットワークのアップリンク(UL)受信動作との既知のまたは推定された干渉に基づいて、レーダビーム方向を制限ありか制限なしに分類し、また、分類に基づいて自身のレーダ送信を適応させる。分類動作は、明示的なネットワークサポートを必要としない自律的なものであってもよいし、サポート手順を実行するネットワークの1つ以上の無線ネットワークノードに基づいてもよい。分類の更新は、例えば、機器の位置または向きの変化、送信周波数の変化、および雨の存在または強度などの周辺状況の変化など、1つ以上のトリガ条件に依存する。
【0009】
一実施形態において動作方法は、無線通信ネットワークと通信し、同じまたは重複するミリ波(mmW)周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器によって実行される。方法は、機器の現在の向きおよび位置に関し、複数のレーダビーム方向のうちの個別のレーダビーム方向を、制限ありまたは制限なしに分類することを含み、あるレーダビーム方向は、そのレーダビーム方向において無線通信機器によるレーダ送信が無線通信ネットワークに生じさせる既知もしくは推定されるUL受信干渉に基づいて制限ありと分類される。方法は、個々のレーダビーム方向の分類結果を考慮して無線通信機器によるレーダ送信を適応させることをさらに含む。適応は、制限ありのレーダビーム方向のそれぞれに関する送信電力をミュートまたは削減することを含む。
【0010】
別の実施形態において無線通信機器は、無線通信ネットワークと通信し、同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成される。機器はネットワークに対する無線通信およびレーダ送信のために構成された通信回路を含み、通信回路に動作可能に関連付けられた処理回路をさらに含む。処理回路は機器の現在の向きおよび位置に関し、複数のレーダビーム方向のうちの個別のレーダビーム方向を、制限ありまたは制限なしに分類するように構成され、あるレーダビーム方向は、そのレーダビーム方向において無線通信機器によるレーダ送信が無線通信ネットワークに生じさせる既知もしくは推定されるUL受信干渉に基づいて制限ありと分類される。さらに、処理回路は、個々のレーダビーム方向の分類結果を考慮して無線通信機器によるレーダ送信を適応させるように構成され、適応させることは、制限ありのレーダビーム方向のそれぞれに関する送信電力をミュートまたは削減することを含む。
【0011】
別の実施形態において無線通信機器は、無線通信ネットワークと通信し、同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成される。機器は、機器の現在の向きおよび位置に関し、複数のレーダビーム方向のうちの個別のレーダビーム方向を、制限ありまたは制限なしに分類するように構成された分類モジュールまたはユニットを含み、あるレーダビーム方向は、そのレーダビーム方向において無線通信機器によるレーダ送信が無線通信ネットワークに生じさせる既知もしくは推定されるUL受信干渉に基づいて制限ありと分類される。さらに、機器は、個々のレーダビーム方向の分類結果を考慮して無線通信機器によるレーダ送信を適応させるように構成された適応モジュールまたはユニットを含み、適応させることは、制限ありのレーダビーム方向のそれぞれに関する送信電力をミュートまたは削減することを含む。
【0012】
さらなる実施形態として、無線通信ネットワークの無線ネットワークノードによって実行される方法は、無線通信機器で、個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信することと、UL基準信号送信についてUL受信電力を推定することと、機器についてのフィードバックを送信することとを含む。フィードバックは1つ以上のUL送信ビーム方向に対応するUL受信電力を示す。ノードは、例えば、機器で実行されるレーダビーム分類手順のためのサポート手順として、機器からの開始シグナリングの受信に応答して方法を実行する。
【0013】
関連する実施形態では、無線通信ネットワークで動作するために構成された無線ネットワークノードが通信回路および処理回路を含む。処理回路は無線通信機器での個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信し、UL基準信号送信についてのUL受信電力を推定し、機器についてのフィードバックを送信するように構成される。フィードバックは1つ以上のUL送信ビーム方向に対応するUL受信電力を示す。処理回路は、例えば、機器で実行されるレーダビーム分類手順のためのサポート手順として、機器からの開始シグナリングの受信に応答して受信、推定、および送信動作を実行する。
【0014】
別の実施形態では、無線通信ネットワークで動作するように構成された無線ネットワークノードが、無線通信機器での個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信するように構成された受信モジュールまたはユニットを含む。さらに、ノードは、UL基準信号送信についてのUL受信電力を推定するように構成された推定モジュールまたはユニットと、機器についてのフィードバックを送るように構成された送信モジュールまたはユニットとを含む。フィードバックは1つ以上のUL送信ビーム方向に対応するUL受信電力を示す。ノードは、例えば、機器で実行されるレーダビーム分類手順のためのサポート手順として、機器からの開始シグナリングの受信に応答して受信、推定、および送信動作を実行する。
【0015】
本発明が上述した特徴および利点に限定されないことは言うまでもない。実際、当業者は以下の詳細な説明を読み、添付の図面を見ればさらなる特徴および利点を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】1つ以上の外部ネットワークおよび外部機器または外部システムとともに示される、レーダ対応無線通信機器および関連する無線通信ネットワークの一実施形態のブロック図である。
【
図2】無線通信ネットワークの別の実施形態のブロック図である。
【
図3】無線通信ネットワークで動作するように構成された無線ネットワークノード、およびネットワークを使用するように構成された2つの無線通信機器の例示的な実施形態のブロック図であり、機器の少なくとも1つはレーダ対応機器である。
【
図4】レーダ対応無線通信機器による動作方法の一実施形態の論理フロー図である。
【
図5】レーダ対応無線通信機器の別の実施形態のブロック図である。
【
図6】無線ネットワークノードによる動作方法の一実施形態の論理フロー図である。
【
図7】無線ネットワークノードの別の実施形態のブロック図である。
【
図8】レーダ対応無線通信機器による動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
【
図9A】レーダ対応無線通信機器による動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
【
図9B】レーダ対応無線通信機器による動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
【
図10A】レーダ対応無線通信機器による動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
【
図10B】レーダ対応無線通信機器による動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
【
図10C】レーダ対応無線通信機器による動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、例えば無線通信機器12を1つ以上の外部システムまたは機器16へのアクセスを提供する1つ以上の外部ネットワーク14に通信可能に接続することにより、無線通信機器12に対して「アクセスネットワーク」として動作する例示的な無線通信ネットワーク10を示す。ネットワーク10によって提供される通信サービスの非限定的な例は音声サービスおよびデータサービスを含み、少なくとも1つの実施形態では、ネットワーク10が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によってリリースされた技術仕様書(TS)に従って構成される。
【0018】
その例示的な形態においてネットワーク10は、例としてノード22-1、22-2、22-3が示される複数の無線ネットワークノード22を含む無線アクセスネットワーク(RAN)20を含む。用語「無線ネットワークノード22」および「複数の無線ネットワークノード22」は、明確化のために、接尾語が必要とされない場合、接尾語なしで使用される。一般に、図が接尾語付きの参照番号を示す場合であっても、対応する議論はそれが明確にするのを助ける場合にのみ、そのような接尾語を使用する。
【0019】
RAN 20はより多くのまたはより少ない数の無線ネットワークノード22を含むことができ、ノード22は、アクセスポイント、基地局、または通信機器12と無線接続するために使用される1つ以上のエアインターフェース/1つ以上の無線リンクを提供するように構成された他の機器として理解されうる。さらに、個々のノードは図示されていないが、ネットワーク10のコアネットワーク(CN)24は機器12を認証および管理し、外部ネットワーク14および外部システム/機器16に関して機器12との間でデータをルーティングするために必要とされる様々なネットワーク機能を実施するノードを含む。
【0020】
いつでも、またRAN20のいかなるカバレッジエリアにおいても、ネットワーク10は、ユーザ装置またはUEとも呼ばれる、潜在的に多数の無線通信機器をサポートすることができる。機器は様々なタイプのものであってよく、また異なる通信サービスを用いることができる。例えば、一部はスマートフォンまたは他のパーソナルコンピューティング機器であってよく、他のものは固定または組み込み機器を含む、マシンタイプ通信(MTC)機器またはモノのインターネット(IoT)機器である。
図1は、機器12を示すことに加えて、他の無線通信機器32-1および32-2を示すことによって、これらのシナリオのうちの様々なシナリオを示唆する。
【0021】
装置32は機器12と同じタイプであってもよいが、異なる参照番号を用いることで、機器12のレーダ送信がネットワーク10における他の装置32のいずれかからのアップリンク(UL)信号の受信に干渉する可能性に関して、レーダ対応機器としての機器12の動作を論じるときの明確さを提供する。例えば、他の機器32によるUL送信と一致する機器12によるレーダ送信は、他の機器32にサービスを提供しているネットワーク10の無線ネットワークノード22でのUL送信の受信に干渉しうる。この点に関し、機器12は、例示的な方向として30-1から30-5が示される1つ以上のレーダビーム方向30に沿ってレーダ送信を実行するように構成される。
【0022】
後の図で機器12の詳細を示すが、ここでは1つ以上の実施形態において機器12が送信ビームフォーミング能力を有し、機器12の向きに相対する複数の方向でビームフォーミングを行うことを可能にする1つ以上のアンテナ又はアンテナ素子のセットを有するものとする。例示的なケースでは機器12が所定のビーム形状/方向を使用する。方向は機器12に関して予め規定されうるが、絶対的な意味では機器12の現在の向きに依存する。
【0023】
図1は、1つ以上のレーダビーム方向30でのレーダ送信が複雑な相互関係を有するいくつかの要因に依存して、ネットワーク10によるUL受信動作に干渉しうることを示唆している。例示的な要因は、ネットワーク10の様々な無線ネットワークノード22に対する機器12の位置および/または向き、自身のレーダ送信のために機器12が用いる送信電力、機器12と個々のノード22との間の経路損失、通信信号およびレーダ信号の周波数などを含む。
【0024】
特定の例においてネットワーク10は、ネットワーク10がDL動作を実行するダウンリンク(DL)フェーズと、ネットワーク10がUL動作を実行するULフェーズとを含む時分割複信(TDD)構成に従って動作し、本明細書で想定している方法および装置は動作のULフェーズ中のUL受信に関する機器12によるレーダ干渉を回避または低減する。例えば、ネットワーク10による動作のULフェーズ中にレーダビーム掃引を実行することに関連して、機器12はそのレーダ送信を適応させて、1つ以上のレーダビーム方向30における送信を回避し、および/または1つ以上のレーダビーム方向におけるそのレーダ信号送信電力を削減する。しかしながら、そのような適応は、説明されたUL/DL TDDフェーズを用いるネットワークに限定されない。
【0025】
図2は、3GPPによってリリースされた5G TSによる機能要素、相互接続、および動作を有する第5世代(5G)ネットワークとしての、ネットワーク10の別の例示的な実施形態を示す。RAN 20は次世代(NG)RANを有し、1つ以上の無線ネットワークノードはニューラジオ(NR)エアインターフェースを提供する。
【0026】
具体的には、例示的な図ではRAN 20がミリ波(mmW)周波数帯域を使用してNRエアインターフェースを提供する「gNB」として構成された無線ネットワークノード22(gNBとして構成され、それぞれのカバレッジエリア40-1および40-2において無線カバレッジを提供するノード22-1および22-2を参照)を含む。カバレッジは、無指向性カバレッジ、ビームフォーミングカバレッジ、あるいは無指向性およびビームフォーミングカバレッジの組み合わせでありうる。さらに、1つ以上の無線ネットワークノード22は第4世代(4G)ロングタームエボリューション(LTE)エアインターフェースを提供するが、5GCに接続されるng-eNBとして構成される(個々のカバレッジエリア40-3および40-4において無線サービスを提供するノード22-3および22-4を参照)。
【0027】
個々のカバレッジエリア40は少なくとも部分的に重複することができ、これはNRエアインターフェースおよびLTEエアインターフェースが重複するカバレージを有する位置において動作する機器12にとって利用可能でありうることを意味し、図に示される機器12-1および12-2は単に例として示されていることを理解されたい。より多数またはより少数の機器が、ネットワーク10を使用していてもよく、個々のカバーエリアでどのように分布していてもよい。特定の機器12からのレーダ送信は送信がUL送信に関連する周波数帯域にある限り、本質的に任意の他のタイプの機器、レーダ対応型または非対応型からのUL送信に干渉しうることも理解されたい。
【0028】
図3は、機器12によって送信されるレーダ信号が無線ネットワークノード22での別の機器32によって送信されるUL信号の受信に潜在的に干渉する例、すなわち、機器12によって使用される1つ以上のレーダビーム方向30がノード22でのUL受信動作に関して問題となりうる例を提供する。この例では、機器12が無線通信ネットワークと通信するとともに、同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成され、機器12は無線通信ネットワーク(例えばネットワーク10)に対する無線通信のために、およびレーダ送信のために構成された通信回路50を含む。
【0029】
例示的な実施形態では、通信回路50がネットワーク10の特定の無線ネットワークノード22からDL信号を受信し、ネットワーク10の特定のノード22にUL信号を送信するように構成された受信器回路52(ネットワーク(NW)RX 52)および送信器回路54(NW TX 54)を有する。通信回路50はまた、レーダプロービング、すなわち、レーダ信号の送信および反射レーダ信号の受信に基づく周辺環境センシングのために構成されたレーダサブシステム56を含む。有利であるが非限定的な例では、レーダーサブシステム56は、ネットワーク10との通信に使用される回路(およびアンテナ)のすべてまたは少なくとも一部を再利用する。例えば、ネットワーク10との通信に使用されるmmW周波数帯域の1つ以上と同一または重複するmmW周波数帯域でレーダー信号送信を行うことに基づいて、受信回路52および送信回路54の少なくとも一部を再利用する。もちろん、レーダーサブシステム56はまた、送信されたレーダー信号の戻り反射を測定するために使用されるレーダー反射受信回路などの追加の回路を含んでもよく、追加の回路は機器12に含まれる処理回路60の一部とやり取りし、および/または処理回路60の一部を再利用してもよい。
【0030】
処理回路60は、固定回路またはプログラム的に構成された回路または両方のタイプの回路の組み合わせを有する。非限定的な例示的な実施形態では、処理回路60が1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)回路などのデジタル処理回路と、クロッキング、インターフェース、および電力管理回路などのサポート回路とを有し、あるいはそれらを含む。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において処理回路60は、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム命令の実行に少なくとも部分的に基づいて、本明細書で説明する機器関連の実施形態のいずれかで説明する機器側の動作を実行するように特に適合された1つ以上のコンピュータ回路を有する。そのために、少なくとも1つの実施形態では、機器12が1つ以上のコンピュータプログラム(CP)64を記憶し、関連する構成データ(CFGDATA)66を記憶することができる1つ以上のタイプのコンピュータ可読媒体を備える記憶装置62を含む。記憶装置62は、プログラム実行のための揮発性ワーキングメモリ、および長期プログラム記憶のための不揮発性メモリなどの、1つ以上のタイプのメモリ回路または機器および/または1つ以上のタイプの記憶機器を有する。例としては、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ、EEPROM、ソリッドステートディスク(SSD)などが挙げられる。そのようなメモリは非一時的な記憶装置を提供するが、それは必ずしも不変または永続的記憶ではなく、少なくともいくらかの永続性を有する記憶を意味する。
【0032】
処理回路60は通信回路50と動作可能に関連付けられ、例えば、処理回路60は通信回路50を使用して、ネットワーク10とデータおよび制御シグナリングを交換し、および/または通信回路50の動作を制御する。さらに、例示的な実施形態において処理回路60は、機器12からのレーダ送信によって引き起こされるUL干渉を回避または緩和するためのいくつかの機器側動作を実行するように構成される。特定の例では、処理回路60が機器12の現在の向きおよび位置に関して、複数のレーダビーム方向30の個々のレーダビーム方向30を制限ありと制限なしに分類するように構成される。ここで、任意の特定のレーダビーム方向30は、特定のレーダビーム方向30での機器12によるレーダ送信によってネットワーク10で生じる既知のまたは推定されるUL受信干渉に基づいて、制限ありとして分類される。さらに、処理回路60は、個々のレーダビーム方向30に対する分類結果を考慮して、機器12によるレーダ送信を適応させるように構成される。適応は、制限ありのレーダビーム方向のそれぞれに関する送信電力をミュートまたは削減することを有する。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、処理回路60は、機器12の向きの閾値以上の変化、機器12の位置の閾値以上の変化、機器12がレーダー送信のために使用するレーダー信号周波数の閾値以上の変化、および雨の存在または強度の変化などの環境条件における閾値以上の変化のうちのいずれか1つ以上に応答して、分類を繰り返して更新するように構成される。
【0034】
分類を実行するために、例示的な実施形態における処理回路60は、考慮するネットワーク10の1つ以上の無線ネットワークノード22を特定するように構成され、考慮するノード22のそれぞれおよび考慮するレーダビーム方向30のそれぞれについて、規定された送信電力レベルかつ考慮するレーダビーム方向30で機器12によって実行されるレーダ送信により考慮するノード22が経験するであろうUL受信電力を推定する。規定された送信電力レベルは、例えばレーダプロービングに使用される公称またはデフォルトの送信電力レベルであり、機器12において事前構成されうるか、または、例えば、以前のまたは進行中のレーダプロービング動作に基づいて、進行中の動作の一部として動的に決定されうる。
【0035】
考慮する1つ以上のノード22を「特定する」ことに関し、例示的な構成において処理回路60は、例えばDL信号送信を検出することによって、機器12の範囲内に現在存在するノード22を検出し、機器12における受信信号電力の閾値を満たす考慮するノード22を選択するように構成される。追加的あるいは代替的に、機器12は、近接ノード22を特定する近接関係リストなどの支援情報をネットワーク10から受信することができ、および/または機器12は自身の現在位置をノード22の既知の位置と比較し、どのノード22が機器12のレーダ送信の範囲内に少なくとも公称的に存在するを特定することができる。
【0036】
例示的な実施形態における処理回路60は、考慮するレーダビーム方向30に対応するDLビーム方向を用いてDL基準信号を受信することと、DL基準信号の受信信号電力に基づいて経路損失を推定することと、経路損失および規定された送信電力レベルからUL受信電力を推定することとに基づいて、考慮するビーム方向30で機器12によって実行されるレーダ送信により考慮する無線ネットワークノード22が経験するであろうUL受信電力を推定するように構成される。1つ以上の実施形態では、分類を実行するために、処理回路60は機器12の2つ以上のアンテナパネル58のそれぞれについて、規定された複数のビーム方向30にわたって掃引するように通信回路50を制御するように構成され、2つ以上のアンテナパネル58はそれぞれ異なる向きを有する。
【0037】
分類を実行するために、少なくとも1つの実施形態における処理回路60は、ネットワーク10の考慮する1つ以上の無線ネットワークノード22を特定し、考慮する個々のノード22について、レーダビーム方向30の特定の1つ以上を有し、あるいは対応する、1つ以上のULビーム方向でUL基準信号を送信するように構成され、その際、1つ以上のULビーム方向は、レーダビーム30を構成する1つ以上のULビーム方向と一致する。処理回路60はまた、考慮するノード22から、1つ以上のULビーム方向の少なくとも1つに対するUL基準信号の受信電力を示すフィードバックを受信し、フィードバックに基づいて、レーダビーム方向30のそれぞれにおいて機器12によって実行されるレーダ送信について考慮するノード22が経験するであろうUL受信電力を推定し、UL受信電力の対応する推定に応じてレーダビーム方向30のそれぞれを分類する。ここで、受信信号電力の推定値は、受信信号強度の推定値と等価であると理解されうる。
【0038】
1つ以上のULビーム方向にUL基準信号を送信するために、1つ以上の例示的な実施形態における処理回路60は、機器12の1つ以上のアンテナパネル58のそれぞれからUL送信掃引を実行するように構成される。各UL送信掃引は、レーダビーム方向30のそれぞれ1つに対応する複数のULビーム方向を含む。フィードバックは各UL送信ビーム掃引の複数のULビーム方向に対するUL受信電力推定値を含み、処理回路60はULビーム方向のうちの対応する1つに対するUL受信電力推定値に応じて各レーダビーム方向30の分類を決定するように構成される。なお、レーダビーム方向30は全体として複数存在してもよく、各アンテナパネル58はそれらのサブセットを形成するために使用されることに留意されたい。
【0039】
少なくとも1つの例において処理回路60は、1つ以上のULビーム方向でUL基準信号を送信するために、機器12の1つ以上の選択されたアンテナパネル58のそれぞれから1つのULビームでUL送信を実行するように構成される。ここで、関与するノード22からのフィードバックは、1つ以上の選択されたアンテナパネル58のそれぞれからのUL送信についてのUL受信電力推定値を含む。1つ以上の選択されたアンテナパネル58のそれぞれについて、処理回路60は、選択されたアンテナパネル58について考慮するノード22からフィードバックされたUL受信電力推定値と、考慮するノード22によるDL基準信号送信に関して、選択されたアンテナパネル58を用いて行われた受信ビーム掃引の間に機器12で計測されたDL受信電力とに基づいて、選択されたアンテナパネル58と関連付けられたレーダビーム方向のそれぞれについてのUL受信電力を推定するよう構成される。
【0040】
受信ビーム掃引は、選択されたアンテナパネル58に関連するレーダビーム方向30のそれぞれに対応する複数の受信ビーム方向を含む。言い換えれば、アンテナパネル58からの1つのULビームに関するUL受信電力推定値を、アンテナパネル58を用いて行われる受信ビーム掃引に対応するDL受信電力の測定値と組み合わせて知ることにより、処理回路60は、アンテナパネル58に関連するレーダビーム方向30で行われるレーダ送信について、ノード22における受信信号電力を推定するための根拠を有することになる。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、分類を行うために、そして制限ありと分類された任意のレーダビーム方向30に関して、処理回路60は、レーダビーム方向30におけるレーダ送信がネットワーク10におけるUL受信を妨害すると推定される程度に依存して、レーダビーム方向30が「条件付き」で制限ありとみなされるべきかどうかを判定するよう構成される。そのような実施形態では、処理回路60が制限なしのレーダビーム方向30でのレーダ送信について機器12が用いるよりも低い送信電力で、条件付きで制限ありのレーダビーム方向30でのレーダ送信を実行するように構成される。そのような動作は、レーダビーム方向30が制限される「範囲」を限定するものとして理解されうる。条件付き制限は、処理回路60が依然としてレーダビーム方向30でレーダ送信を実行することができるが、制限なしの場合に使用する送信電力と比較して送信電力を削減することを意味する。逆に、無条件に制限ありと分類されるレーダビーム方向30の場合、処理回路60はそのレーダビーム方向30での送信電力をミュート、すなわちゼロ電力送信とするか、レーダビーム方向30についての現在の分類セットに基づく任意のレーダビーム掃引から除外することにより単純にそのレーダビーム方向30を「スキップ」することができる。
【0042】
分類操作に関するさらなるバリエーションまたは変形例において、1つ以上の実施形態における処理回路60は、機器12によるレーダ干渉に対して脆弱なUL通信の重要度、機器12によるレーダ干渉に対して脆弱なUL通信の1つ以上のQoS要件、機器12によるレーダ送信の次の実行中に発生するUL通信の推定可能性、およびネットワーク10の1つ以上のノード22に対する機器12の位置、の少なくとも一つに応じて応じて分類を実行するように構成される。処理回路60はそのような情報を、例えば、ネットワーク10から支援情報を受信することに基づいて、記憶された構成データに基づいて、および/または近接する他の無線通信機器32との機器間(D2D)通信に基づいて取得する。
【0043】
上述のように、他の無線通信機器32は、レーダ対応機器であってもなくてもよく、例示的な機器12と同じタイプであってもなくてもよい。しかしながら、
図3は、近接する他の機器32がネットワーク受信器回路82およびネットワーク送信器回路84を有する通信回路80と、処理回路90と、1つ以上のコンピュータプログラム94および構成データ96を記憶しうる記憶装置92とを有しうることを示す。機器32はまた、無線通信ネットワーク10と通信するための1つ以上のアンテナパネル70を含みうる。
【0044】
機器12の1つ以上のアンテナパネル58に関して、機器12の少なくとも1つの実施形態では、機器12が、機器12の現在の向きに関して異なる相対的な向きとそれに対応して異なる方向性を有する2つ以上のアンテナパネル58を含む。各アンテナパネル58はレーダビーム方向30のうちの1つ以上をサポートし、処理回路60は、機器12の現在の向きに基づいて、どのアンテナパネル58がネットワーク10の特定のノード22に方向的に関連するかを特定するように構成される。
【0045】
さらに、少なくとも1つの実施形態では、分類を実行するために、例示的な機器12の処理回路60は、ネットワーク10の考慮する無線ネットワークノード22のそれぞれに対してビーム特定手順を実行するように構成される。ビーム特定手順は、機器12の1つ以上のアンテナパネル58のそれぞれから考慮するノード22に対して1つ以上のULビーム方向でUL基準信号を送信することと、考慮する無線ネットワークノードから、送信されたUL基準信号のうち最も強く受信された1つに対応するULビーム方向を特定するフィードバックを受信することと、特定されたULビーム方向に対応する1つ以上のレーダビーム方向を制限ありして分類することとを有する。ビーム特定手順を実行することに関して、少なくとも1つのそのような実施形態における処理回路60は、考慮している無線ネットワークノード22のうちの少なくとも1つに関して、ビーム特定手順を2回以上繰り返し実行するように構成される。各繰り返しはそれ以前のすべての繰り返しで特定されたULビーム方向を除外する。
【0046】
図4は無線通信ネットワークと通信し、周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器によって実行される動作の方法400を含む別の実施形態を示す。例示的なシナリオでは、当該機器およびネットワークが先に説明した機器12およびネットワーク10である。その例示的なシナリオを使用して、方法400は、機器12を、複数のレーダビーム方向の個別のレーダビームを方向を、制限ありまたは制限なしに分類すること(ブロック402)を含む。任意の特定のレーダビーム方向30は、そのレーダビーム方向において無線通信機器によるレーダ送信が無線通信ネットワークに生じさせる既知もしくは推定されるUL受信干渉に基づいて制限ありと分類されるさらに、方法400は、個々のレーダビーム方向の分類結果を考慮して無線通信機器によるレーダ送信を適応させること(ブロック404)を含む。適応することは、制限ありのレーダビーム方向のそれぞれに関する送信電力をミュートまたは削減することを有する。
【0047】
「ミュートする」ことは、ゼロ電力送信を意味し、用語「ミュートする」は、レーダビーム方向30のうち制限ありの方向でのレーダ送信を単にスキップすることも包含する。例えば、レーダビーム掃引を行う場合、機器12は、掃引時間を、掃引によって包含されるそれぞれのレーダビーム方向30に対応するそれぞれのビーム滞留時間に分割することができる。制限ありのビーム方向30は掃引に含まれてもよいし、掃引から除外されてもよい。例えば、機器12は、制限ありのレーダビーム方向30に関連する滞留時間について、レーダ送信を実行しない。しかしながら、そのような場合、少なくとも1つの実施形態における機器12は、制限ありのレーダビーム方向30を掃引から単純に除外する。一方、特に、1つ以上のレーダビーム方向30が条件付きで制限ありの場合、それらの方向は掃引に含まれるが、機器12はそれらの方向でレーダ送信を実行しないか、または低減された電力でそのような送信を実行する。
【0048】
方法400の少なくとも1つの実施形態は、機器12の向きの閾値以上の変化、機器12の位置の閾値以上の変化、レーダ送信のために機器12によって使用されるレーダ信号周波数の閾値以上の変化、および環境条件の閾値以上の変化のいずれか1つ以上に応答して、分類を更新するために分類動作(ブロック402)を繰り返すことを含む。
【0049】
分類すること(ブロック402)は、例えば、ネットワーク10の考慮する1つ以上の無線ネットワークノード22を特定することと、考慮するノード22のそれぞれおよび考慮するレーダビーム方向30のそれぞれについて、規定された送信電力レベルで考慮するレーダビーム方向30で機器12によって行われるレーダ送信について考慮する無線ネットワークノード22で経験するであろうUL受信電力を推定することと、を有する。特定の例として、機器12は、考慮するレーダビーム方向30に対応するDLビーム方向を用いてDL基準信号を受信し、DL基準信号の受信信号電力に基づいて経路損失を推定し、経路損失および規定された送信電力レベルからUL受信電力を推定することによって、機器12によって考慮するビーム方向30で実行されるレーダ送信によって考慮するノード22において経験されるUL受信電力を推定する。加えて、または代替的に、機器12は、機器12が考慮するレーダビーム方向30で実行するレーダ送信について、機器12がそのレーダビーム方向に対応するDL受信ビーム(例えばDL受信ビーム形状/向きが、レーダビーム形状/向きと一致する、あるいは少なくとも方向が整合している)を用いてノード22からのDL基準信号を受信する際に体験したDL受信電力に基づいて、考慮するノード22が体験するであろうUL受信電力を推定する。
【0050】
方法400の少なくともいくつかの実施形態では、分類すること(ブロック402)が、機器12の2つ以上のアンテナパネル58のそれぞれについて、機器12が規定されたビーム方向30を掃引することを含み、2つ以上のアンテナパネル58は異なるそれぞれの向きを有する。
【0051】
分類工程(ブロック402)はまた、機器12が、ネットワーク10の考慮する1つ以上の無線ネットワークノード22を特定することと、考慮するノード22のそれぞれについて、レーダビーム方向30の特定の1つ以上を含むかそれに対応する1つ以上のULビーム方向においてUL基準信号を送信することと、1つ以上のULビーム方向のうちの少なくとも1つについてのUL基準信号の受信電力を示すフィードバックを考慮するノード22から受信することと、フィードバックに基づいて、レーダビーム方向30のそれぞれで機器12によって実行されるレーダ送信について、考慮するノード22において経験されるUL受信電力を推定することと、UL受信電力の対応する推定値に応じてレーダビーム方向30のそれぞれを分類することとを有しうる。
【0052】
UL基準信号を1つ以上のULビーム方向に送信することは、例えば、機器12が機器12の1つ以上のアンテナパネル58のそれぞれからUL送信掃引を行うことを含み、各UL送信掃引は、レーダビーム方向30のそれぞれのものに対応する複数のULビーム方向を含む。フィードバックは各UL送信ビーム掃引の複数のULビーム方向についてのUL受信電力推定値を有し、方法400は機器12が、ULビーム方向のうちの対応する1つに対するUL受信電力推定値に基づいて各レーダビーム方向30の分類を決定することを含む。
【0053】
別の例として、1つ以上のULビーム方向においてUL基準信号を送信することは、機器12が1つ以上の選択されたアンテナパネル58のそれぞれから1つのULビーム方向においてUL送信を実行することを有し、フィードバックは1つ以上の選択されたアンテナパネル58のそれぞれからのUL送信についてのUL受信電力推定値を有する。それに対応して、方法400は、1つ以上の選択されたアンテナパネル58のそれぞれについて、機器12が、選択されたアンテナパネル58のについて考慮するノード22からフィードバックされたUL受信電力推定値と、考慮するノード22によるDL基準信号送信について、選択されたアンテナパネル58を使用する受信ビーム掃引中に機器12によって計測されたDL受信電力とに基づいて、選択されたアンテナパネル58に関連する各レーダビーム方向のUL受信電力を推定することを含む。
【0054】
ここで、受信ビーム掃引は、選択されたアンテナパネル58に関連するレーダビーム方向30のそれぞれに対応する複数の受信ビーム方向を含む。
【0055】
別の例として、分類すること(ブロック402)は、制限ありと分類された任意のレーダビーム方向30に関して、当該レーダビーム方向30におけるレーダ送信がネットワーク10におけるUL受信を妨害すると推定される程度に応じて、当該レーダビーム方向30を「条件付き」で制限ありとみなすべきかどうかを判定するよう構成される。ここで、方法400は、制限なしのレーダビーム方向30でのレーダ送信のために機器12によって使用されるよりも低い送信電力で、条件付きで制限ありのレーダビーム方向30でレーダ送信を実行することを含みうる。すなわち、機器12は、無条件に制限ありのレーダビーム方向でのレーダ送信をスキップすることができ、条件付きで制限ありのレーダビーム方向30でのレーダ信号送信電力を削減することができる。
【0056】
分類すること(ブロック402)はまた、機器12によるレーダ干渉に対して脆弱なUL通信の重要度、機器12によるレーダ干渉に対して脆弱なUL通信の1つ以上のQoS要件、機器12によるレーダ送信の次の実行中に発生するUL通信の推定可能性、およびネットワーク10の1つ以上のノード22に対する機器12の位置、の少なくとも一つに依存しうる。
【0057】
方法400の任意の1つ以上の実施形態では、分類すること(ブロック402)が、ネットワーク10の、機器12によって考慮されている無線ネットワークノード22のそれぞれに関してビーム特定手順を実行することを含みうる。ビーム特定手順は、機器12の1つ以上のアンテナパネル58のそれぞれから1つ以上のULビーム方向でUL基準信号を送信することと、考慮されるノード22のそれぞれについて、考慮されるノード22からフィードバックを受信することとを含む。フィードバックは送信されたUL基準信号のうちの最も強く受信されたULビーム方向に対応するULビーム方向を特定し、それに対応して、方法400は、機器12が、レーダビーム方向30または特定されたULビーム方向に対応する方向30を制限ありとして分類することを含む。方法400は考慮されている無線ネットワークノード22のうちの少なくとも1つに関してビーム特定手順を2回以上繰り返して実行することを含みうる。そして、各繰り返しはそれ以前のすべての繰り返しで特定されたULビーム方向を除外する。すなわち、各繰り返しにおいて受信されたUL基準信号のうちの最も強いものに関連付けられたレーダビーム方向30は、「制限あり」として分類され、次の繰り返しでは考慮されなくなる。
【0058】
図5は、処理ユニットまたはモジュール120のセットを有する無線通信機器12の別の実施形態を示す。モジュールは例えば、処理回路の機能的構成を含み、例えば、コンピュータプログラム命令の実行によって実施されうる。
【0059】
図示されたモジュールのセット120は、機器12の現在の向きおよび位置について、複数のレーダビーム方向30の個々のレーダビーム方向30を制限ありか制限なしかに分類するように構成された分類モジュール122を含む。任意の特定のレーダビーム方向30は、特定のレーダビーム方向30での機器12によるレーダ送信によってネットワーク10で生じる既知のまたは推定されたUL受信干渉に基づいて、制限ありとして分類される。さらに、個々のレーダビーム方向30に対する分類結果を考慮して、機器12によるレーダ送信を適応させるように構成された適応モジュール124が含まれる。適応することは、例えば、制限ありのレーダビーム方向のそれぞれに関する送信電力をミュートまたは削減することを有する。
【0060】
図3に戻ると、無線ネットワークノード22に関する例示的な構成を示すために、図示されたノード22は、受信器(RX)回路102および送信器(TX)回路104を含む通信回路100を含む。1つ以上のアンテナ106(またはアンテナ素子のアレイ)は、特定の無線通信機器にDL信号を送信し、またそのような機器からUL信号を受信するために、通信回路100に関連付けられる。
【0061】
さらに、ノード22は、処理回路110を含む。処理回路110は、固定回路またはプログラム的に構成された回路または両方のタイプの回路の組み合わせを有する。非限定的な例示的な実施形態では、処理回路110が1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、SoC(Systems on a Chip)回路などのデジタル処理回路と、クロッキング、インターフェース、および電力管理回路などのサポート回路とを備えるか、またはそれらを含む。
【0062】
少なくとも1つの実施形態において処理回路110は、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム命令の実行に少なくとも部分的に基づいて、本明細書で説明するノード関連の実施形態のいずれかで説明するネットワークノード側の動作を実行するように特に適合された1つ以上のコンピュータ回路を有する。そのために、少なくとも1つの実施形態では、ノード22が1つ以上のコンピュータプログラム116を記憶し、関連する構成データ114を記憶することができる1つ以上のタイプのコンピュータ可読媒体を有する記憶装置112を含む。記憶装置112は、プログラム実行のための揮発性ワーキングメモリ、および長期プログラム記憶のための不揮発性メモリなどの、1つ以上のタイプのメモリ回路または機器および/または1つ以上のタイプの記憶機器を有する。例としては、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ、EEPROM、ソリッドステートディスク(SSD)などが挙げられる。そのようなメモリは非一時的な記憶装置を提供するが、それは必ずしも不変または永続的記憶ではなく、少なくともいくらかの永続性を有する記憶を意味する。
【0063】
処理回路110は通信回路100と動作可能に関連付けられ、例えば、処理回路110は通信回路100を用いて無線機器と無線信号を送受信する。1つ以上の例では、処理回路110は、無線通信機器12で個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信し、UL基準信号送信についてのUL受信電力を推定し、機器12についてのフィードバックを送信するように構成される。フィードバックは1つ以上のUL送信ビーム方向に対応するUL受信電力を示す。
【0064】
少なくとも1つの実施形態における処理回路110は、機器12で実行されるレーダビーム分類手順のためのサポート手順として、受信動作、推定動作、および送信動作を実行するように構成される。例えば、処理回路110は、ノード22が機器12から開始シグナリングを受信することに応答して、サポート手順を実行する。それに対応して、機器12は、ノード22によって提供されるフィードバックを使用して、レーダビーム方向30を、ノード22におけるUL受信動作に干渉することに関して制限ありまたは制限なしとして分類する。
【0065】
機器12において個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信するために、1つ以上の実施形態における処理回路110は、機器12の1つ以上のアンテナパネル58のそれぞれから1つ以上のUL基準信号送信を受信するように構成される。各UL送信ビーム方向は、周辺環境センシングのために機器12によって使用されるレーダ送信に関連する複数のレーダビーム方向30のうちの個別のレーダビーム方向30に対応する。UL基準信号送信は、レーダ送信のために機器12によって使用される周波数帯域と同一または重複するmmW周波数帯域を使用する。
【0066】
機器12において個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信するために、処理回路110は複数のUL受信ビーム方向を使用して受信ビーム掃引を実行し、複数のUL送信ビーム方向と複数のUL受信ビーム方向との最良の組み合わせについてUL受信電力を記録し、記録されたUL受信電力をフィードバックとして機器12に送信するように構成されうる。別の例として、機器12において個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信するために、処理回路110は複数のUL受信ビーム方向を使用して受信ビーム掃引を実行し、複数のUL送信ビーム方向と複数のUL受信ビーム方向との最良の組み合わせについてUL受信電力を記録し、フィードバックとして、UL送信ビーム方向とUL受信ビーム方向との最良の組み合わせの記録されたUL受信電力を送信するように構成される。すなわち、フィードバックは、UL送信ビーム方向のそれぞれに対するUL受信電力、および/または、UL送信ビーム方向のそれぞれに対する最良のUL送信ビームとUL受信ビームの組み合わせを示してもよく、あるいは、受信したUL参照信号送信のうちの「最良」(最強)のものに対応するUL送信ビーム方向のUL受信電力を示してもよい。
【0067】
図6は、無線通信ネットワークの基地局または他のアクセスノードなどの無線ネットワークノード、例えば、
図1に示したネットワーク10のノード22によって実行される方法600を示す図である。その例示的な文脈を用いると、方法600は、ノード22が、機器12での個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信すること(ブロック602)と、UL基準信号送信に対するUL受信電力を推定すること(ブロック604)と、機器12についてのフィードバックを送信すること(ブロック606)とを含む。フィードバックはUL送信ビーム方向の1つ以上に対応するUL受信電力、例えば、各方向またはノード22における最も強い信号受信に関連する「最良」方向を示す。
【0068】
ノード22での動作は、機器12で実行されるレーダビーム分類手順のためのサポート手順(ブロック608)として方法600を実行することを含みうる。例えば、ノード22は、ノード22が機器12から開始シグナリングを受信することに応答して(ブロック610、YES)、サポート手順を実行する。機器12は、ノード22によって提供されるフィードバックを使用して、レーダビーム方向30を、ノード22におけるUL受信動作に干渉することに関して制限ありまたは制限なしとして分類する。
【0069】
機器12での個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信すること(ブロック602)は例えば、機器12の1つ以上のアンテナパネル58のそれぞれから1つ以上のUL基準信号送信を受信することを有し、各UL送信ビーム方向は、周辺環境センシングのために無線通信機器12によって使用されるレーダ送信に関連する複数のレーダビーム方向30のうちの個別のレーダビーム方向30に対応する。ここで、UL基準信号送信は、無線通信機器12がレーダ送信に使用する周波数帯域と同一または重複するmmW周波数帯域を使用する。より一般的には、レーダ送信のために機器12によって使用される周波数帯域と、UL送信のためにネットワーク10において使用される周波数/複数の周波数とが周波数スペクトルにおいて重複するか隣接する。
【0070】
機器12での個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信すること(ブロック602)は、ノード22が、複数のUL受信ビーム方向を使用して受信ビーム掃引を実行することと、複数のUL送信ビーム方向と複数のUL受信ビーム方向との最良の組み合わせについてUL受信電力を記録することと、記録されたUL受信電力をフィードバックとして機器12に送信することとを含みうる。代替的に、フィードバックは、UL送信ビーム方向とUL受信ビーム方向との最良の組み合わせの記録されたUL受信電力を示す。
【0071】
図7は無線ネットワークノードの別の実施形態、例えば、
図1に示したノード22に関する別の例示的な実施形態を示す。ここで、ノード22は、背後に存在する処理回路によって実施される機能処理単位でありうる処理ユニットまたはモジュールのセット130を有する。モジュール130は例えば、無線エアインターフェースをアンカーするために使用される物理層回路から遠隔にありうるデータセンタ内のコンピュータサーバによってホストされうるような、仮想化環境内の仮想処理要素として実施されうる。
【0072】
図示のモジュール130は、無線通信機器12での個々のUL送信ビーム方向に対応するUL基準信号送信を受信するように構成された受信モジュール132と、UL基準信号送信についてのUL受信電力を推定するように構成された推定モジュール134と、機器12についてのフィードバックを送信するように構成された送信モジュール136とを含む。フィードバックは1つ以上のUL送信ビーム方向に対応するUL受信電力を示す。モジュール130は、機器12で実行されるレーダビーム分類手順のためのサポート手順として、受信動作、推定動作、および送信動作を実行するように構成されうる。例えば、それらは、ノード22が機器12から開始シグナリングを受信することに応答して、サポート手順を実行する。それに対応して、機器12は、サポート手順によって提供されるフィードバックを使用して、レーダビーム方向30を、ノード22におけるUL受信動作に干渉することに関して制限ありまたは制限なしとして分類する。
【0073】
上述した例の詳細を念頭に置いて、5Gネットワークは、交互のULおよびDLフェーズを含むTDD構成で動作してもよく、レーダと5Gネットワークとの共存目標は、5Gネットワーク動作のULフェーズに関して考慮されてもよい。本明細書で企図される手法は、5Gネットワークの近くの基地局でのUL受信に対するレーダ干渉を避けるために、無線通信デバイス(UE)によるレーダ送信のための送信ビームのサブセットの選択に5Gビーム管理を使用する。本明細書に開示された技術の1つ以上の有利な態様は、脆弱なネットワーク基地局(BS)におけるアップリンク干渉を回避または低減するためにレーダビームの方向を選択するビームトレーニング手法、3GPP規格に基づく手法またはそのような規格とうまく統合する手法の使用、およびUEが自律的に実施する手法、を含む。
【0074】
5G NRでは、UEおよびBSが通信のためにTDDモードでmmW周波数(周波数帯域2または「FR2」)を使用する。この周波数帯を使うと広い周波数帯域を確保できる反面、遮断や減衰の影響を強く受ける。したがって、5G通信を実行するために、UEおよび当該UEのサービングBSにおいて適切なビームを見つける必要がある。
【0075】
少なくともいくつかのUEはまた、レーダ信号を送信するためにmmW周波数を使用するように構成されうる。本開示において様々な箇所で述べているように、これらのレーダ信号はネットワーク内の1つ以上のBSへのUEの近接を含む、いくつかの要因に応じて、BSのうちの1つ以上におけるUL受信動作において実質的な干渉を引き起こしうる。UL干渉はレーダ対応UEがレーダ信号を送信し、他のUEがレーダ信号の受信範囲内にあるBSに向けてアップリンク信号、例えば、アップリンク制御/データまたはSRS信号を送信しているときに発生する。
【0076】
レーダ対応UEは、その周辺環境センシングのためにUEによって使用されるレーダパルスとして、サウンディング基準信号(SRS)などの異なる信号を使用しうる。レーダ対応UEがULサウンディングのために別のUEによって使用されるSRSと同一のSRSを使用する場合、レーダ関連SRS送信は、関連するBSがUL関連SRS送信を受信するという点で、その他のUEからのUL関連SRS送信に干渉しうる。本明細書で開示される技術は、BSにおけるレーダ対応UEと他の近接UEとの間のUL干渉を緩和する。
【0077】
例えば、閾値未満の干渉を引き起こすレーダ対応UEのレーダビームは「制限なしのビーム」と表記し、閾値より大きな干渉を引き起こすビームは「制限ありのビーム」と表記する。ここで、異なるレーダビームは、異なるレーダビーム方向を含むものとして理解される。レーダ対応UEとBSとの間の不必要なビームトレーニング/再トレーニングを回避するため、レーダ対応UEの内部計測ユニット(IMU)情報を使用して、同等のビームに切り替えることができる。例えば、最新のビームトレーニングから、UEは、所定のレーダビームを「制限なし」として分類した。UEが回転すると、UEは、IMU情報を使用して、自身のレーダビームのうちのどれが現在「制限なし」の方向に対応するかを特定することができる。したがって、少なくともいくつかの例では、IMU情報により、UEはUEの向きの変化に関連するビーム再トレーニングを低減または除去することができる。以下では、便宜上、レーダ対応UEを単にUEと称する。
【0078】
UEは、SRSビームトレーニング電力を使用して、レーダ送信のための使用に関してビームが制限ありになる送信電力を推定することができる。UEは、推定された干渉電力を使用して、異なるビームにおけるレーダ信号の電力を調整することができる。電力の調整は通信の重要度を考慮して実行することができ、制限閾値は通信の重要度に依存しうる。UEのレーダ送信が干渉する可能性のある通信の重要度が低い場合は、より高い閾値が適応されうる。代替的に、UEは、通信の重要度がある閾値を上回る場合、特定のレーダビーム方向におけるレーダ送信を禁止しうる。
【0079】
レーダ送信電力を調整することはまた、通信品質に依存してもよく、閾値はレーダ干渉を受ける通信に関連する通信信号品質に依存して適応しうる。例示的な品質パラメータは、QoS、ビット誤り率(BER)、またはレイテンシを含む。パラメータは、リンクバジェット、変調、コーディングなどを使用して計算されうる。レーダ送信を調整するために考慮する他の事項は、UL通信と同時にレーダー送信が発生する確率に基づいてUEが閾値を適応させることができる、通信尤度である。調整はまた、UEの位置、例えば所定のビーム方向におけるUEからBSまでの距離に依存しうる。例えば、UEが特定の基地局に関連付けられたセルの境界に位置する場合、UEは、少なくともその特定の基地局における干渉状況に関して、より高い電力で自身のレーダ信号を送信することができる。近接基地局の存在は、UEによるさらなる評価を必要としうる。
【0080】
大気減衰は周波数に応じて異なるため、UEは周波数が変化するとき、自身のレーダビーム方向を再評価することができる。24.25から52.6GHzのFR2範囲内での周波数変化による電力変動は無視できる(すなわち、1dB未満である)ため、UEからBSまでの距離を考慮するとき、無視できる。一方、より高い周波数、例えばTHz周波数帯域ではかなりの電力変動を引き起こす可能性がある。例えば、90GHzから200GHzへの移動は減衰を著しく変化させる可能性があり、レーダ対応UEにおける制限ありおよび制限なしのビームの数を変化させる。また、少なくともいくつかの実施形態においてUEは、降水(例えば、降雨があるかどうか、またはどの程度降雨が変化したか、またはどの程度降雨が変化したか)を考慮する。
【0081】
本開示で企図されるUEは無線通信ネットワークのULフェーズにおけるレーダ干渉を回避するために、「制限なし」および「制限あり」のレーダビームを見つけるためにビームトレーニングを実行することができる。UEはそのすべてのアンテナパネルおよび対応するビームをトレーニングすることができるが、そのような包括的なトレーニングはかなりの電力を消費しうる上、過度な干渉を引き起こしうる。UEは、UL受信動作におけるレーダ起因の干渉に対する脆弱性の観点から評価されているBSにおいて、各ビームの電力を効率的に推定するために、アップリンクおよびダウンリンクの両方のビームトレーニング手法を用いることができる。
【0082】
例示的な方式においてUEは、FR2周波数でBSによるSS/PBCH(同期信号/物理放送チャネル)送信をリスンするときに、より広いビームを掃引し、UEが所定の閾値を超える受信信号強度を計測したアンテナパネルを選択する。UEは、対応するSS/PBCHブロックをBSに指示し、BSが選択したTxビームを通してチャネル状態情報参照信号(CSI-RS)を送信している間に、選択したRxパネルとRXビームを用いて掃引することができる。ここで、「Txビーム」は送信エンティティからのビームフォーム送信であり、「Rxビーム」は、受信エンティティにおけるビームフォーミングされた受信である。
【0083】
本明細書で企図される提案されたビームトレーニング手順は、BSに関するUEでの一定の知見、UEが「ビーム対応」をサポートしているかどうか、およびBSがビームトレーニング掃引でUEが送信したすべてのTxビームの受信電力をフィードバックするように動作可能かどうかに基づいて以下の部分に分割される。
【0084】
UEでのビーム対応は、ULビームとDLビームとの間の対応を意味する。UEがビーム対応をサポートし、かつ、例えば、ビームトレーニングのためにUEが使用するDL基準信号を送信するためにBSが使用する送信電力を知っている場合、UEは、制限なしおよび制限ありのビームを見つけるために相互原理を使用することができる。あるUEについて、それぞれ十分に類似したRxおよびTxビーム指向性パターンをもたらすRxおよびTxビームフォーミングの重みセットが存在する場合、UE設計は指向性に関する相互性の要件を満たす。
【0085】
したがって、「相互的な」UEは、UEがSRS掃引を実行するときに使用するビームフォーミング構成に対応するRxビームフォーミング重みを使用して、BSからのDL信号、例えばCSI-RSを受信できる。したがって、UEは、BSによるDL CSI-RS送信の受信電力の計測結果と、BSで使用される送信電力値に関する知見とを使用して、BSへの経路損失を推定することができる。次いで、UEは、Tx-Rxビーム対称性(Rx/Tx相互性)とともに経路損失推定値を使用して、個々のTxビーム方向についてBSが経験するであろう受信アップリンク電力を推定する。推定された電力が過度の干渉に関して規定された閾値を超える場合、UEは、Txビーム方向を制限ありととしてマークしうる。また、上述のように、閾値はいくつかの要因に応じて適応されてもよく、および/または、UEは制限ありのビーム方向についてのレーダ信号電力をどのように、またはどの程度削減するかを適応させてもよい。
【0086】
UEがビーム対応をサポートするが、BSが使用する送信電力の知見を持たない場合、UEは、UEが実行するTxビーム掃引中にBSが受信する最良のULビームのUL電力レベルを使用することができる。ここで、「最良」は最も強いことを示し、BSは、そのような情報をUEへのフィードバックとして通知することができる。そしてUEは、そのフィードバックを、相互的なRXビーム上でBSから受信したDL CSI-RSの受信信号電力とともに使用して、Txビームの他の1つ以上を通じたレーダ送信についてBSが経験するであろう受信信号電力レベルを推定することができる。
【0087】
BSがBSに関するTx電力情報を有さず、ビーム相互性をサポートしない場合、UEは、自身のTxビーム方向をレーダ送信に関して制限なしおよび制限ありとして分類するために、選択されたアンテナパネルの選択されたビームを用いて信号を送信することによってアップリンクビームトレーニングを実行することができる。
【0088】
UEがTxビーム掃引を実行し、BSがUEのすべてのTxビームの受信電力をフィードバックする場合を考える。この場合、1つ以上の実施形態におけるUEは以下のような「最良ビーム除去」手法を用いる。(1)UEは、Rxビーム掃引中にBSから受信したDL CSI-RSの計測信号強度に基づいて選択されうる、選択されたアンテナパネルの選択されたビームを通じてSRS信号を送信し、(2)BSから最良のUL Txビームインデックスおよび電力/品質表示を受信する。そしてUEは、示された最良のビームを制限ありのビームとみなす。UEは残りのビーム、すなわち、次に最良なビームについて最良ビームインデックスおよび品質表示を受信するために、過去の最良ULビームを通じた送信を行わずに次のSRS掃引機会にSRS送信を繰り返すことができる。次に最良なビーム品質が閾値を上回る場合、UEは、それを「制限ありのビーム」とみなす。BSからのインデックスフィードバックが、最良のビームのBSでの受信信号強度が閾値に満たないことを示す場合、UEはビーム掃引を停止し、BSがまだフィードバックを送信していない残りのビームを、「制限なし」ビームとみなす。
【0089】
本明細書で企図される所定のビームトレーニング方式は、制限ありのビームおよび制限なしのビームの分類に関する不確実性を伴いうる。これに対処するために、UEは、ビーム制限を分類するために1つではなく2つの閾値を使用することができる。BSに対する推定干渉値が、高信頼度で、Thighで示される高い閾値を超えるかTlowで示される低い閾値を下回る場合、UEは対応するビーム方向をそれぞれ制限ありおよび制限なしとして分類する。推定干渉値がThighとTlowとの間にある場合、ビームは条件付きで制限ありとして分類される。条件付きで制限ありのビームを使用するためには、その方向のレーダ信号送信に使用されるレーダ送信電力レベルが安全マージンをもって削減されなければならない。
【0090】
信頼性を高めるために、UEは条件付きビーム方向として分類されたレーダビーム方向30のサブセットに関してビームトレーニングを実行して、それらの分類を制限ありと制限なしに分解する、すなわち、制限の「条件付き」特性を取り除くことができる。このような分類に用いる閾値は、例えば、ビームトレーニングで求めた推定干渉値と実干渉値を用いてトレーニングする。
【0091】
少なくとも1つの実施形態においてUEは、自身の位置、検討中のBSの位置、およびUEからBSへの見通し線(LoS)の有無の知識を有し、UEは、IMU情報を使用して制限ありのビームを特定、すなわち、個々のレーダビーム方向30を制限ありもしくは制限なしに分類するように構成される。さらに、UEは、これらの情報を用いて、制限ありのビームを特定するためにすべてのアンテナパネル58をトレーニングする代わりに、特定のアンテナパネル58に対してより効率的なビームトレーニングを実行することができる。
【0092】
別の実施形態では、UEは、異なるアンテナパネル58を使用して、UEによって実行されるレーダセンシングに関して、BSに向かってヌルを有するビームを合成するように構成される。
【0093】
図8は、UEによるレーダ送信に関連するUL干渉に対する脆弱性について評価されているBSに関して、UEによって実行される方法800を示す。方法800は、「最良ビーム」特定情報に基づくビームトレーニングを表す。方法800は、UEの位置および向き、UL信号に使用される周波数/複数の周波数、ならびに降雨の存在または現在の降雨強度などの環境状況に関するIMU情報によって表される現在の状態を表すパラメータの「登録された」セットに対して実行されうる。すなわち、少なくとも定義された閾値内で、現在の状態が保持される限り、トレーニング手順は2回以上の繰り返し実行されうる。
【0094】
UEは、UEの選択されたULビーム方向および対応する選択されたアンテナパネルを含む、ULビーム方向の「掃引セット」を決定する(ブロック802)。選択は、IMU情報、事前ビームトレーニングなどに基づくことができる。UEは、ULビーム方向の掃引セットを用いて対象BSに対するUL基準信号を送信し(ブロック804)、掃引セットのうち「最良」ULビーム方向のビームインデックスおよび受信信号強度を示すリターン情報をBSから受信する(ブロック806)。ここで、「最良」は、UL基準信号についてBSで計測された最大の受信信号強度に関するULビーム方向である。
【0095】
最良のビームについてBSによって報告された信号強度が、例えば、許容可能なUL干渉限度を規定する閾値を上回る場合(ブロック808、YES)、UEは最良のビームを制限あり分類(ブロック810)し、最良のビームを掃引セットから除去(ブロック812)し、そして、削減された掃引セットについて、掃引セット送信および結果としての最良ビーム評価(ブロック804、806、および808)を繰り返す。削減された掃引セットの最良のビームに対する受信信号強度が再び閾値を上回る場合、最良のビームは制限ありとして分類され、プロセスが繰り返される。現在の繰り返しの最良のビームに対する受信信号強度が閾値を下回る繰り返しをUEが実行すると(ブロック808、NO)、UEは繰り返し処理を終了し、掃引セット内の残りのビームを制限なしとして分類する(ブロック814)。UEはまた、反復カウンタを使用して、最良ビームの許容繰り返し回数を制限することができ、および/または反復回数を制限するために、ブロック808の評価で使用される閾値を反復的に調整することができる。
【0096】
図9Aおよび
図9Bは、個々のレーダビーム方向を制限ありまたは非制限なしとして分類するためにUEによって使用されるビームトレーニングの別の実施形態を示す。ここでも、分類は、位置、向き、送信周波数帯域、周囲環境に関する、UEまたはその周囲の支配的な状況の現状に適用することができ、少なくとも閾値以上の変化に関するあらゆる状態の変化に対応して、更新された分類が必要となる場合がある。
【0097】
方法900によれば、UEは、そのアンテナパネルの1つ以上のそれぞれのRxビームを使用して、周囲のBSについてのSS/PDBCH送信をリスン(受信)する(ブロック902)。ここで、Rxビームは、UEがレーダー送信に使用するビームよりも広いかもしれないが、それにもかかわらず、所定のRxビームがレーダビームの1つ以上の特定のものに対応するような指向性の対応が存在する。
【0098】
UEは適切なSS/PDBCHブロックを選択し、それらを対応するBSに指示する(ブロック904)。言い換えれば、UEは何らかの規定された最小信号強度を超える値で受信したSS/PDBCH送信を特定し、その情報をそれぞれの1つ以上のBSに指示する。これら特定されたSS/PDBCH送信は個別のRxビームに対応し、UEはそのRxビームを、特定されたSS/PDBCH送信に関連する1つ以上のBSからCSI-RSを受信するための選択された掃引セットとして使用する(ブロック906)。関与する1つ以上のBSは、SS/PDBCHの送信に使用されたよりも狭いビームを使用してCSI-RSを送信することができる。
【0099】
UEは(現在の状態情報として)関連するIMU情報、推定された受信電力、降雨状況、周波数帯域、および利用可能であれば、経路損失を推定するために使用される送信電力情報などのBS情報を登録する(ブロック908)。UEがビーム対応(UL/DLビーム相互性)をサポートし、経路損失の推定に必要なBS情報を知っている場合(ブロック910、YES)、処理は「A」とラベル付けされたビームトレーニング手順に進む。そうでない場合(ブロック910、NO)、処理はブロック912に進み、UEは、閾値を超える最小受信推定電力を有するビームが存在するアンテナパネルを選択する。そこから、UEがビーム対応をサポートする場合(ブロック914、YES)、処理は、「B」とラベル付けされたビームトレーニング手順に進む。そうでない場合(ブロック914、NO)、ビームトレーニングのために取られる特定の手順は、BSがビームトレーニングにおいてUEが使用するすべてのUL TxビームについてUL受信電力測定値をフィードバックするように動作可能であるかどうかに依存する。そのように動作可能でない場合(ブロック916、NO)、処理は、「C」とラベル付けされたビームトレーニング手順を続行する。そのように動作可能な場合(ブロック916、YES)、処理は、「D」とラベル付けされたビームトレーニング手順を続行する。
【0100】
図9Bは、
図9Aに示した様々なビームトレーニング手順を示す。「手順A」はUEがビーム対応をサポートし、経路損失の推定に必要なBS情報を有する場合に対応する。それに対応して、UEは、受信ビーム掃引においてUEが使用する各Rxビーム方向について計測された、BSから受信したDL基準信号の信号強度に基づいて推定される考慮する各BSまでの距離に応じてそのレーダビーム方向を制限ありまたは制限なしとして分類する(ブロック918)。そしてUEは、これらの信号強度計測値を使用して、Rxビームに対応するTxビームについてBSがて経験するであろう受信信号強度を推定する(ブロック920)。次いでUEは、それらの推定値を使用して、UEで関与するアンテナパネルのそれぞれについてのそれぞれのTxビームを、制限ありまたは制限なしとして分類する(ブロック930)。
【0101】
手順BはUEがビーム対応をサポートせず、関与するBSがUEが実行する送信ビーム掃引で使用するすべてのTxビームについてUL受信電力測定値をフィードバックするように動作し、また、UEが経路損失情報のために必要とされるBS情報を有さない場合に対応する。手順Bにおいて、UEは、選択されたアンテナパネルのそれぞれの異なるUL Txビームを送信し、一方で対応する基地局は、選択されたUL Rxビームを掃引しながらUEからのUL送信をリスンする(ブロック926)。次いで、UEはUL TxビームについてBSで生成されたUL受信電力計測値を示すフィードバックをBSから受信し(ブロック928)、UEはフィードバックに基づいて、UL Txビームのそれぞれを制限ありまたは制限なしに分類する(ブロック930)。ここで、UL Txビームは、レーダセンシングのためにUEによって使用されるレーダビーム方向30と同じであるか、またはそれに対応する。
【0102】
手順Cは、UEがビーム対応をサポートせず、BSがビームトレーニング掃引でUEが使用するすべてのUL TxビームについてUL受信電力をフィードバックするように動作しない場合に適用されるビームトレーニング手順を表す。このような場合、UEは例えば、
図8に示したような最良ビームトレーニング手法を使用する(ブロック932)。
【0103】
手順DはUEがビーム対応をサポートするが、BSにおけるレーダ干渉を推定するため経路損失情報を使用するために必要なBS情報を有しない場合のビームトレーニング手法に対応する。この場合、UEは、選択されたアンテナパネルのそれぞれの1つのUL Txビームを用いてUL基準信号、例えばSRSを送信する(ブロック922)。次いで、UEは評価されているUL Txビームのセットに対応するDL Rxビームで関与BSから受信したDL CSI-RS送信についてUEが生成した計測値ともに、UL基準信号送信で関与BSから返されたフィードバックを使用して、UL Txビーム方向についてBSが経験するであろう信号強度を推定する(ブロック924)。言い換えれば、特定のアンテナパネルからの1つのUL TxビームについてBSが経験した信号強度を知り、パネルの他のUL Txビームに対応するパネルのDL RxビームについてUEが経験した信号強度を知ることによって、UEは、パネルの他のUL Txビームを使用するレーダ送信についてBSが経験するであろう信号強度を推定することができる。
【0104】
図10A/B/CはUEによるレーダ送信によって干渉されうるBSを検出し、そのような干渉を緩和するための、UEによる動作の全体的な方法1000の一実施形態を示す。
【0105】
方法1000はUEが近くのBSを発見し、それらをリストに追加することを含み(ブロック1002)、UEは例えば、本明細書で前述した手法のいずれか1つを使用して、ビームトレーニング手順を実行し、BSにおける受信信号電力に基づいて、レーダビームリストとして示されるリストを作成する(ブロック1004)。UEは、考慮するBSのリスト内の次のBSのそれぞれに対してビームトレーニングを実行する(ブロック1006、NO)。UEは、考慮するすべてのBSに関してビームトレーニングを完了すると(ブロック1006、YES)、UEはレーダ走査のための関心領域(例えば、レーダ走査のための関心角度範囲)を規定する(ブロック1008)。
【0106】
次いで、UEは、関心領域のレーダ走査が制限された(干渉する)ビームとして分類されるレーダビーム方向30の使用を伴うかどうかを判定する(ブロック1010)。該当する場合、UEは、関心領域を調整し(ブロック1008)、レーダ走査のための関心領域が制限されたビーム方向に関係するかどうかを再評価する(ブロック1010)。該当しない場合、次にUEは、制限なしのビーム方向を使用して所望の周波数でレーダ信号を送信する。例えば、UEは考慮するBSを含む無線通信ネットワークのULフェーズ中に、レーダセンシングのためのSRSを送信する(ブロック1012)。
【0107】
図10Bおよび後続する経路「A」を参照すると、次にUEは、レーダビーム方向30の最新の分類のためのビームトレーニングに使用した条件と比較して、降雨の量/存在が変化したかどうかを評価する(ブロック1014)。該当する場合、UEはUL TxビームのBSにおける受信信号強度を推定し、その分類を更新し(ブロック1016)、レーダ送信に使用される動作周波数を変更する必要があるかどうかを判定する(ブロック1018)。該当する場合、UEは変更した周波数に基づいてその分類を更新する(ブロック1020)。ここでは例えば、変更後の周波数に関連する大気減衰の変化を考慮する。
【0108】
方法1000はまた、UEの向きが、最新のビームトレーニングベースの分類で支配的であった向きに対して変化したかどうかをチェックすることを含む(ブロック1022)。該当する場合、処理は「B」に継続し、該当しない場合、処理は「C」に継続する。
【0109】
図10Cは、経路B(UEの向きが変更された)の処理を示す。処理は、UEが変更後のUEの向きについて、どのレーダビーム方向が以前の向きでの制限なしのビーム方向に対応するかを特定すること(ブロック1024)と、特定に基づいて制限あり/制限なしビーム分類を更新すること(ブロック1026)とを含む。次いで、UEはレーダ信号送信が新たに特定された制限なしビームを使用するように、その空間フィルタリングを切り替える(更新する)(ブロック1028)。
【0110】
例示的なシナリオでは、UEは、UEからの相対的な方向に関して固定されたUL Txビームの定義されたセットを有する。これらのビームのいずれか1つの自由空間における絶対方向は、UEの向きによって規定される。したがって、UEがレーダ送信の点で問題があるとみなしうる特定のUL Txビームは、UEの現在の向きに依存する。UEの向きの変化につれて、規定されたセットにおいて問題があるとみなされる特定のUL Txビームは変化する。したがって、UEは、それぞれのUL Txビームに関する相対的な方向を知ることと、UEの向きがどのように変化したかを(例えば、回転角に関して)知ることとに基づいて、変化後の向きに対して問題となるUL Txビームを特定することができる。
【0111】
続いて、UEは、例えば最新のビーム分類手順から、自身の位置(場所)が例えば閾値を超えて移動したかどうかを判定し(ブロック1030)、処理は
図10Aに示したブロック1002に戻る。UEが(例えば、閾値を超えて)移動していない場合、処理は
図10Aに示したブロック1008に戻る。
【0112】
これまでの説明および関連する図面に示された教示の利益を享受する当業者が、開示された1つ以上の発明の変更および他の実施形態を想到であろうことに留意すべきである。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変形物および他の実施形態は本開示の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語を使用することができるが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定を目的とするものではない。