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▶ メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】抗ウイルス性ヌクレオシドの合成
(51)【国際特許分類】
   C07H 1/00 20060101AFI20240626BHJP
   C07H 19/067 20060101ALI20240626BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240626BHJP
   C12P 19/38 20060101ALN20240626BHJP
【FI】
C07H1/00
C07H19/067
C07B61/00 300
C12P19/38 ZNA
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023536575
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021064021
(87)【国際公開番号】W WO2022133205
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】63/127,484
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/182,171
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/192,912
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベンコビッチ,タマス
(72)【発明者】
【氏名】フィエル,パトリック・エス.
(72)【発明者】
【氏名】フリシュコフスカ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ハフマン,マーク・エー.
(72)【発明者】
【氏名】伊東 哲志
(72)【発明者】
【氏名】コン,ジョンロック
(72)【発明者】
【氏名】マリグレス,ピーター・イー.
(72)【発明者】
【氏名】マロニー,ケビン・エム.
(72)【発明者】
【氏名】マッキントッシュ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,グラント・エス.
(72)【発明者】
【氏名】シルバーマン,スティーブン・エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ハオ
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/173602(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/113462(WO,A1)
【文献】特表2018-500354(JP,A)
【文献】STEINER, A. et al.,A High-Yielding Synthesis of EIDD-2801 from Uridine,European Journal of Organic Chemistry,2020年,2020(43),pp. 6736-6739,DOI: 10.1002/ejoc.202001340
【文献】VASUDEVAN, N. et al.,A concise route to MK-4482 (EIDD-2801) from cytidine,Chemical Communications,2020年,56(87),pp. 13363-13364,DOI: 10.1039/d0cc05944g
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物B又は該化合物の薬学的に許容される塩、水和物又は溶媒和物:
【化1】
の製造方法であって、
少なくとも一つの活性化剤、少なくとも一つの酸性添加剤および少なくとも一つの触媒の存在下に5′-イソブチリルウリジンを少なくとも一つのヒドロキシルアミン源と反応させて化合物Bを製造することを含み、
前記少なくとも一つの活性化剤がヘキサメチルジシラザンであり、
前記少なくとも一つの酸性添加剤が、重硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸イミダゾール、重硫酸トリエチルアミン、N-メチルモルホリン重硫酸塩、N-メチルイミダゾール重硫酸塩、三酸化硫黄ピリジン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記少なくとも一つの触媒が、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、1,2,4-トリアゾール、5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール、イミダゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源が、硫酸ヒドロキシルアミン、NHOH、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つの触媒が、イミダゾールである、請求項に記載の製造方法。
【請求項4】
少なくとも一つの酵素の存在下に5-イソブチリルリボースをウラシルと反応させて5′-イソブチリルウリジンを形成することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つの酵素が、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載の製造方法。
【請求項6】
少なくとも一つのリパーゼ酵素の存在下にリボースを少なくとも一つのイソブチリル供与体と反応させて5-イソブチリルリボースを形成することをさらに含む、請求項に記載の製造方法。
【請求項7】
化合物B又は該化合物の薬学的に許容される塩、水和物又は溶媒和物:
【化2】
の製造方法であって、
(a)少なくとも一つのリパーゼ酵素の存在下にリボースを少なくとも一つのイソブチリル供与体と反応させて5′-イソブチリルリボースを形成すること;
(b)S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、酢酸キナーゼ酵素、ピルビン酸オキシダーゼ酵素、カタラーゼ酵素;及びウリジンホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも一つの酵素の存在下に5′-イソブチリルリボースをウラシルと反応させて5′-イソブチリルウリジンを形成すること;及び
(c)少なくとも一つの活性化剤、少なくとも一つの酸性添加剤および少なくとも一つの触媒の存在下に5′-イソブチリルウリジンを少なくとも一つのヒドロキシルアミン源と反応させて化合物Bを形成すること
を含み;
前記少なくとも一つのイソブチリル供与体が、プロパン-2-オンO-イソブチリルオキシム、無水イソ酪酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され;
前記少なくとも一つの酵素が、S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、酢酸キナーゼ酵素、ピルビン酸オキシダーゼ酵素、カタラーゼ酵素;及びウリジンホスホリラーゼ酵素からなる群から選択され;
前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源が、硫酸ヒドロキシルアミン、NHOH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;
前記少なくとも一つの酸性添加剤が、重硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸イミダゾール、重硫酸トリエチルアミン、N-メチルモルホリン重硫酸塩、N-メチルイミダゾール重硫酸塩、三酸化硫黄ピリジン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記少なくとも一つの触媒が、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、1,2,4-トリアゾール、5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール、イミダゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記少なくとも一つの活性化剤がヘキサメチルジシラザンである、製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つの触媒がイミダゾールである、請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
化合物B又は該化合物の薬学的に許容される塩、水和物又は溶媒和物:
【化3】
の製造方法であって、
(a)少なくとも一つの酵素の存在下にリボースをウラシルと反応させてウリジンを形成すること;
(b)少なくとも一つのリパーゼ酵素の存在下にウリジンを少なくとも一つのイソブチリル供与体と反応させて5′-イソブチリルウリジンを形成すること;及び
(c)少なくとも一つの活性化剤、少なくとも一つの酸性添加剤および少なくとも一つの触媒の存在下に5′-イソブチリルウリジンを少なくとも一つのヒドロキシルアミン源と反応させて化合物Bを形成すること
を含み;
前記少なくとも一つの酵素が、S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、酢酸キナーゼ酵素、ピルビン酸オキシダーゼ酵素、カタラーゼ酵素、ウリジンホスホリラーゼ酵素、リボキナーゼ酵素、ホスホペントムターゼ酵素、及びスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択され;
前記少なくとも一つのイソブチリル供与体が、プロパン-2-オンO-イソブチリルオキシム、無水イソ酪酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され;
前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源が、硫酸ヒドロキシルアミン、NHOH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;
前記少なくとも一つの酸性添加剤が、重硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸イミダゾール、重硫酸トリエチルアミン、N-メチルモルホリン重硫酸塩、N-メチルイミダゾール重硫酸塩、三酸化硫黄ピリジン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記少なくとも一つの触媒が、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、1,2,4-トリアゾール、5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール、イミダゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記少なくとも一つの活性化剤がヘキサメチルジシラザンである、製造方法。
【請求項10】
前記少なくとも一つの触媒が、イミダゾールである、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列リストを含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年12月13日に作成された前記ASCIIコピーの名称は25183-WO-PCT_SL.txtであり、サイズは155,715バイトである。
【0002】
本発明は、ヌクレオシド、特には抗ウィルス剤として活性であり得るウリジン4-オキシム5’-(2-メチルプロパノエート){(2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-[4-(ヒドロキシイミノ)-2-オキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル]オキソラン-2-イル}メチル2-メチルプロパノエート及び薬学的に許容される塩、誘導体、互変異体、異性体、及びプロドラッグの製造で有用な効率的な合成方法に関するものである。本発明はまた、開示された合成方法おいて有用な中間体及びそれらの製造方法を包含する。
【背景技術】
【0003】
例えば東部馬脳炎ウイルス(EEEV)、西部馬脳炎ウイルス(WEEV)、ベネズエラ馬脳炎ウイルス(VEEV)、チクングニヤ熱ウイルス(CHIK)、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウィルス(RSV)、ジカウィルス及びコロナウィルス、例えば重症急性呼吸器症候群コロナウィルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウィルス(MERS-CoV)、及び最も最近ではSARS-CoV-2(2019-nCoVとも称される)によって引き起こされるウィルス感染は、世界的に軽度の病気及び重度ないし生命を脅かす及び致死的な病気の両方を世界中で引き起こし続けている。
【0004】
EEEV、WEEV、VEEV、及びCHIKウィルスは、蚊に刺されることによってヒトに感染し得るベクター媒介ウィルス(トガウィルス科、アルファウィルス属)である。馬脳炎ウィルスはCDCカテゴリーB病原体であり、CHIKウィルスはカテゴリーCである。
【0005】
コロナウィルスはヒトの呼吸器疾患の大部分を引き起こしており、重度又は生命を脅かす可能性がある。2002年に発生したSARS-CoV-1は、世界中で少なくとも8439名の人が病気となり、少なくとも812名の死亡を引き起こした(WHO Cumulative Number of Reported Probable Cases of SARS、2002年11月1日~2003年7月4日、2020年8月12日にhttps://www.who.int/csr/sars/country/2003_07_04/en/からダウンロード)。同様に、MERS-CoVが2012年に出現し、世界中で少なくとも2519名の病気と少なくとも866名の死亡を引き起こした(WHO Middle East respiratory syndrome, MERS状況改訂版、2020年1月、2020年8月12日にhttp://www.emro.who.int/health-topics/mers-cov/mers-outbreaks.htmlからダウンロード)。より最近では、SARS-CoV-2が2019年に出現し全世界で少なくとも237,655,302名の病気と少なくとも4,846,981名の死亡を引き起こした(COVID-19 Weekly Operational Update、発行番号75、2021年10月12日公開、2021年10月19日にhttps://www.who.int/publications/m/item/weekly-operational-update-on-covid-19---12-october-2021からダウンロード)。SARS-CoV-2は、COVID-19と呼ばれる疾患を引き起こし、これにはヒトにおける重度の呼吸器疾患が含まれ得るほか、頭痛、めまい、味覚障害、神経痛、脳症、急性脳血管疾患、意識障害及び骨格筋損傷などの神経疾患及び合併症も引き起こすように思われる(Imran Ahmad and Farooq Azam Rathore, Neurological manifestations and complications of COVID-19: A literature review, 77 J. CLIN. NEUROSCI. 8-12 (2020))。SARS-COV-2ウィルスの特性をさらに決定し、COVID-19疾患並びに他のヒトコロナウィルスによって引き起こされる疾患を予防及び治療する方法を確認するのに、さらなる研究が必要である。
【0006】
β-D-N(4)-ヒドロキシシチジン(NHC、1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-(ヒドロキシアミノ)ピリミジン-2(1H)-オン)が、抗ペスチウィルス活性及び抗ヘパシウィルス活性を有することが判明した。ANTIMICROB AGENTS CHEMOTHER, 2003, 47(1):244-54。β-D-N(4)-ヒドロキシシチジン、
【化1】
誘導体、及びその製造方法が、WO2016/106050として公開されているPCT国際特許出願第PCT/US2015/066144号、WO2017/156380として公開されているPCT国際特許出願第PCT/US2017/021759号、及びPCT国際特許出願公開番号第WO2019/113462号として公開されているPCT国際特許出願第PCT/US2018/064503号に記載されており、これらの出願は参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2016/106050
【文献】WO2017/156380
【文献】WO2019/113462
【非特許文献】
【0008】
【文献】Imran Ahmad and Farooq Azam Rathore, Neurological manifestations and complications of COVID-19: A literature review, 77 J. CLIN. NEUROSCI. 8-12 (2020)
【文献】ANTIMICROB AGENTS CHEMOTHER, 2003, 47(1):244-54
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、NHCはカニクイザルにおける経口バイオアベイラビリティが明らかに低いことを実証しており、特定のプロドラッグが経口バイオアベイラビリティを改善することが示されている。PCT国際特許出願公開番号第WO2019/113462号として公開されているPCT国際特許出願第号PCT/US2018/064503を参照する。これらのプロドラッグには、ウリジン4-オキシム5’-(2-メチルプロパノエート){(2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-[4-(ヒドロキシイミノ)-2-オキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル]オキソラン-2-イル}メチル2-メチルプロパノエート(化合物B)、
【化2】
及び化合物Bの薬学的に許容される塩、誘導体、互変異体、異性体、及びプロドラッグ、並びに2021年8月27日出願のPCT国際特許出願第号PCT/US2021/048054(参照により、全体が本明細書に組み込まれる)で開示されている特定の形態などがある。しかしながら、有効であって環境に優しい化学を用いる合成経路が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ヌクレオシド、特には抗ウィルス性ヌクレオシドウリジン4-オキシム5’-(2-メチルプロパノエート){(2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-[4-(ヒドロキシイミノ)-2-オキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル]オキソラン-2-イル}メチル2-メチルプロパノエート(化合物B)
【化3】
及び化合物Bの薬学的に許容される塩、誘導体、互変異体、異性体、及びプロドラッグ、並びに2021年8月27日出願のPCT国際特許出願第PCT/US2021/048054号に開示されている特定の形態の合成で有用な方法に関するものである。本発明は、そのような抗ウィルス性ヌクレオシドの製造において有用な中間体を与える方法を包含する。本発明の方法は、以前に知られている手順に勝る利点を提供するものであり、そのような抗ウィルス性ヌクレオシドへの集中的でより効率的な経路を含むものである。
【0011】
本開示の他の実施形態、態様及び特徴は、以下の説明、実施例及び添付の特許請求の範囲でさらに説明されるか、それらから明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
略称
【表1】
【0013】
追加の略称が、本開示全体を通して定義され得る。
【0014】
定義
特定の技術用語及び科学用語について、以下で具体的に定義する。本文書の他の箇所で具体的に定義されていない限り、本明細書で使用される他のすべての技術用語及び科学用語は、本開示が関係する技術分野の通常の技術を有する者によって共通に理解される意味を有する。すなわち、本明細書中で使用されている用語は、それらの通常の意味を有し、それは、それらの各出現において独立している。それにもかかわらず、及び、別途示されている場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、以下の定義が適用される。化学名、一般名及び化学構造は、同一の構造について記載するのに互換的に使用することができる。ある化合物について、化学構造と化学名の両方を用いて言及されていて、その構造と名称の間に曖昧さが存在している場合、構造が優先される。これらの定義は、用語が単独で使用されているか、他の用語と組み合わされて使用されているかにかかわらず、別断の断りがない限り適用される。従って、「アルキル」の定義は、「アルキル」のみならず、「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「-O-アルキル」などの「アルキル」部分にも適用される。
【0015】
本明細書中で使用される場合及び本開示全体を通して、別断の断りがない限り、以下の用語は下記の意味を有することは理解される。
【0016】
添付の特許請求の範囲を含め、本明細書で使用される場合「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」などの単語の単数形は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、それらの対応する複数形の言及を含む。特に、「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」の項目はそれぞれ、リストから選択される単一の項目だけでなく、リストから選択される2以上の項目の混合物も含む。
【0017】
本明細書で使用される「少なくとも一つの」項目又は「1以上の」項目という用語は、それぞれ、リストから選択される単一の項目、並びにリストから選択される2以上の項目の混合物を含む。例えば、「少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素」(或いは、「S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素」、「少なくとも一つのMTRキナーゼ」「MTRキナーゼ」「少なくとも一つのMTRキナーゼ酵素」、又は「MTRキナーゼ酵素」ともいう))は、単一のMTRキナーゼ、並びに2以上の異なるMTRキナーゼの混合物を指す。同様に、「少なくとも二つ」の項目及び「2以上」の項目という用語は、それぞれ、リストから選択される二つの項目の混合物、並びにリストから選択される3以上の項目の混合物も含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、「COVID-19」という用語は、SARS-CoV-2感染によって引き起こされる疾患を指す。症状を発症しているSARS-CoV-2感染した対象者は、COVID-19を有するとみなされる。
【0019】
「から本質的になる(consists essentially of)」、及び、「から本質的になる(consist essentially of)」又は「から本質的になること(consisting essentially of)」のような変形形態は、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて用いられるとき、任意の列挙された要素又は要素の群を含めること、及び列挙された要素と類似した又は異なる、定められた投薬計画、方法又は組成物の基本的な又は新規の性質を実質的に変化させない他の要素を含めてもよいことを示す。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という語、又は「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」などの変形型は、指定された整数又は整数群を含むことを示唆するが、他の整数又は整数群を除外することを意味するものではないと理解される。文脈により別途要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。「例えば(e.g.)」又は「例えば(for example)」という用語に続く例は、網羅的でも限定的でもない。本明細書で実施形態が「含む(comprising)」という言語を用いて説明される場合は常に、「からなる(consisting of)」及び/又は「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語で説明される他の形の類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0021】
明示的に反対の記載がない限り、本明細書で引用されるすべての範囲は包括的である、すなわち、その範囲は、その範囲の上限値と下限値、及びその中間のすべての値を含む。すべての範囲は、必ずしも明示的に規定されているわけではないが、含まれるすべての下位範囲を含むことも意図される。一例として、本明細書に記載の温度範囲、パーセント、均等物の範囲などは、範囲の上限と下限、及びそれらの間の連続値中の任意の値を含む。本明細書で提供される数値及び「約」という用語の使用は、±1%、±2%、±3%、±4%、±5%及び±10%とそれらの数値的均等物の変動を含み得る。「約」は、数値的に定義されたパラメータを修飾するのに使用される場合(例えば、抗ウィルス性ヌクレオシドの用量、又は本明細書に記載の併用療法による治療時間の長さ)、そのパラメータが当該パラメータについて記載されている数値より最大10%上下に変動する可能性があることを意味し;適切な場合には、記載されたパラメータは、最も近い整数に四捨五入され得る。例えば、約5mg/kgの用量は、4.5mg/kgと5.5mg/kgの間で変動し得る。さらに、本明細書で使用される「又は」という用語は、必要に応じて組み合わせることができる代替物を示す、すなわち、「又は」という用語は、各列挙された代替物及びそれらの組み合わせを含む。
【0022】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、その水素原子の一つが特定の数の炭素原子を有する結合で置き換えられた脂肪族炭化水素基を指す。異なる実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子(C-Cアルキル)又は1~3個の炭素原子(C-Cアルキル)を含む。アルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル及びネオヘキシルなどがある。1実施形態では、アルキル基は直鎖である。別の実施形態では、アルキル基は分岐している。
【0023】
本明細書で使用される場合「ハロゲン」及び「ハロ」という用語は、-F(フッ素)、-Cl(塩素)、-Br(臭素)、又は-I(ヨウ素)を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子の1以上がハロゲンで置換されている、上記で定義のアルキル基を指す。1実施形態では、ハロアルキル基は1~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、ハロアルキル基は1~3個の炭素原子を有する。別の実施形態では、ハロアルキル基は1~3個のハロゲン原子で置換されている。ハロアルキル基の非限定的な例としては、-CHF、-CHF、及び-CFなどがある。「C-Cハロアルキル」という用語は、1~4個の炭素原子を有するハロアルキル基を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合「アルコキシ」という用語は、-O-アルキル基を指し、ここでアルキル基は上で定義した通りである。アルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、及びtert-ブトキシなどがある。アルコキシ基は、その酸素原子を介して分子の残りの部分と結合している。
【0026】
本明細書で使用される場合「アリール」という用語は、約6~約14個の炭素原子を含む芳香族単環式又は多環式環系を指す。1実施形態では、アリール基は約6~10個の炭素原子を含む(C-C10アリール)。別の実施形態では、アリール基はフェニルである。アリール基の非限定的な例には、フェニル及びナフチルなどがある。
【0027】
化合物内の官能基が「保護された」と呼ばれる場合、その基は、化合物が反応する際に保護部位での望ましくない副反応を防ぐための修飾形である。本明細書で使用される場合「PG」という用語は、保護基を指す。当業者であれば、本開示による化合物及び方法での使用に適した保護基(PG)を容易に思いつくであろう。適切な保護基は、当業者により、並びに例えば、T. W. Greene et al., Protective Groups in Organic Synthesis (1991), Wiley, New Yorkなどの標準的な参考書を参照することで認識されよう。本明細書での使用に適した保護基には、酸不安定性保護基などがある。本明細書での使用に適したPGの非限定的な例としては、-S(O)、-C(O)OR、-C(O)R、-CHOCHCHSiR、及び-CHであり、Rは、-C1-8アルキル(直鎖又は分枝)、-C3-8シクロアルキル、-CH(アリール)及び-CH(アリール)からなる群から選択され、式中、各アリールは独立にフェニル若しくはナフチルであり、前記各アリールは任意に独立に置換されていないか独立に-OCH、-Cl、-Br及び-Iからなる群から選択される1以上の(例えば1、2又は3個の)基で置換されている。
【0028】
「置換された」という用語は、既存の状況下での原子の通常の価数を超えず、置換の結果安定な化合物となる場合、指定の部分の原子上の1以上の水素が指定の基から選択されたもので置き換わっていることを意味する。置換基及び/又は変数の組み合わせは、その組み合わせによって安定な化合物が得られる場合にのみ許容される。「安定な化合物」又は「安定な構造」とは、反応混合物から有用な程度の純度までの単離、及び有効な治療剤への製剤に耐えられるほど十分に堅牢な化合物を意味する。
【0029】
任意の置換基又は変数が化合物内で複数回出現する場合、別断の断りがない限り、各出現におけるその定義は、他の全ての出現での定義から独立している。例えば、「-N(C-Cアルキル)」という表現を含む基の記述は、-N(CH)(CHCH)、-N(CH)(CHCHCH)、及び-N(CHCH)(CHCHCH)、並びに-N(CH、-N(CHCH、及び-N(CHCHCHを意味する。
【0030】
留意すべき点として、本明細書の本文、図式、実施例及び表中において、原子価が満たされていない炭素又はヘテロ原子はいずれも、原子価を満たすのに十分な数の水素原子を有すると仮定される。これらの水素原子のいずれか1以上が重水素であることができる。
【0031】
本開示は、本明細書に列挙したものと同一であるが、1以上の原子が自然界で通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子で置き換えられているという点で異なる同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えばそれぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl、及び123Iなどがある。
【0032】
特定の同位体標識化合物(例えば、H及び14Cのラベルが付いているもの)は、化合物及び/又は基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム化(すなわち、H)及び炭素-14(すなわち、14C)同位体は、製造の容易さと検出性の点で特に好ましい。エピマー化が起こる部位での同位体置換は、エピマー化プロセスを遅らせたり低減したりするため、化合物のより活性又は有効な形態が長期間保持される可能性がある。同位体標識化合物、特に半減期の長い同位体を含む化合物(T1/2>1日)は、一般に、非同位体標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用することにより、下記の図式及び/又は実施例に開示される手順と同様の手順によって製造することができる。
【0033】
1以上の本発明の化合物は、溶媒和されていない形態、並びに例えば水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒で溶媒和されている形態で存在することができ、本開示は、溶媒和した形態及び溶媒和していない形態の両方を包含することを意図する。「溶媒和物」とは、化合物と1以上の溶媒分子との物理的結合を意味する。この物理的結合は、水素結合を含めた、多様な程度のイオン結合及び共有結合を含む。この態様のある例において、溶媒和物は、例えば、1以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に取り込まれている場合、単離が可能となる。「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。好適な溶媒和物の非限定的な例として、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOの溶媒和物である。
【0034】
本発明の化合物は1以上の立体中心を含むことができることから、ラセミ体、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマーとして存在する可能性がある。分子上の各種置換基の性質に応じて、追加の不斉中心が存在する場合がある。このような各不斉中心は独立に、二つの光学異性体を生じさせ、混合物中のすべての可能な光学異性体及びジアステレオマー、及び純粋な化合物又は部分精製化合物としてのすべての可能な光学異性体及びジアステレオマーが本開示に含まれる。特定の立体化学を指定しない本明細書に記載の化合物の式、構造又は名称は、上記のあらゆる既存の異性体及び任意の割合でのそれらの混合物を包含することを意味する。立体化学が指定されている場合、本開示は、その特定の異性体を純粋な形で、又は任意の割合での他の異性体との混合物の一部として包含することを意味する。
【0035】
ジアステレオマー混合物は、当業者に周知の方法、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶などにより、これらの物理的、化学的な相違に基づき、個々のジアステレオマーへと分離することができる。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラル補助基、例えば、キラルアルコール又はMosher’s酸塩化物)との反応により、エナンチオマー混合物をジアステレオ異性体混合物へと変換し、ジアステレオマーを分離して個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーへと変換(例えば、加水分解)することによって分離することができる。エナンチオマーはまた、キラルHPLCカラムの使用により分離することもできる。
【0036】
開示化合物のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(化合物の塩及び溶媒和物、並びにプロドラッグの塩、溶媒和物、及びエステルの立体異性体を含む)、例えばエナンチオマー形態(不斉炭素が存在しない場合でも存在し得る)、回転異性体、アトロプ異性体、及びジアステレオマー形態を含む各種の置換基上の不斉炭素の故に存在し得るものは、本開示の範囲に含まれることが想定される。化合物の個々の立体異性体は、例えば他の異性体を実質的に含まなくてもよく、又は例えばラセミ体として、又は他のすべての、又は他の選択された立体異性体と混合してもよい。キラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsで定義のS配置又はR配置を取ることができる。
【0037】
本開示はさらに、すべての単離形態の化合物及び合成中間体を含む。例えば、同定された化合物は、その溶媒和物、水和物、立体異性体及び互変異体など、化合物のあらゆる形態を包含することが意図される。
【0038】
当業者であれば、特定の化合物、特に特定のヘテロ原子及び二重結合若しくは三重結合を含む化合物が互変異性体、つまり容易に相互変換する構造異性体であり得ることを認識するであろう。したがって、互変異体化合物は等価である多くの異なる形で描画できる。このような互変異体の非限定的な例には、以下に例示されるものなどがある。
【化4】
【0039】
当業者であれば、キラル化合物、特に糖が等価である多数の異なる方法で描画できることを認識するであろう。当業者であればさらに、リボース上の置換基のアイデンティティ及び位置化学的位置は広範囲に変動し得ること、及び置換基に関係なく立体化学的等価性の同じ原理が適用されることを認識するであろう。このような等価性の非限定的な例には、以下に例示されるものなどがある。
【化5】
【0040】
化合物は、やはり本開示の範囲に含まれる塩を形成することができる。本明細書での本発明の化合物の言及は、特に指定しない限り、その塩の言及を含むと理解される。「塩(複数可)」という用語は、本明細書中で使用する場合、無機酸及び/又は有機酸と形成される酸性の塩、並びに無機塩基及び/又は有機塩基と形成される塩基性塩を意味する。加えて、化合物が、塩基性部分、例えば、これだけに限らないが、ピリジン又はイミダゾールと、酸性部分、例えば、これだけに限らないが、カルボン酸の両部分を含有する場合、両性イオン(「内部塩」)を形成することができ、この両性イオンは、本明細書で使用される「塩(複数可)」という用語に含まれる。薬学的に許容される(すなわち、無毒性であり、生理学的に許容される)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。化合物の塩は、例えば、化合物を、ある量、例えば当量の酸又は塩基と、例えば塩が沈殿するような媒質中又は水性媒質中で反応させ、続いて凍結乾燥させることによって形成することができる。
【0041】
代表的な酸付加塩として、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても公知)などが挙げられる。さらに、塩基性の医薬品化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適していると一般的に考えられる酸は、例えば、P. Stahl et al., Camille G. (eds.) Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use (2002) Zurich: Wiley-VCH; S. Berge et al., J. Pharm. Sci. (1977) 66(1) 1-19; P. Gould, International J. of Pharmaceutics (1986) 33 201-217; Anderson et al., The Practice of Medicinal Chemistry (1996), Academic Press, New York; and in The Orange Book (Food & Drug Administration, Washington, D.C.)によって考察されている。これら開示は、本明細書への参照により、本明細書に組み込まれている。
【0042】
例示的な塩基性塩として、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム、リチウム及びカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム及びマグネシウム塩、有機塩基との塩(例えば、有機アミン)、例えばジシクロヘキシルアミン、tert-ブチルアミン、並びにアミノ酸との塩、例えばアルギニン、リジンなどが挙げられる。塩基性の窒素含有基は、例えば低級アルキルハロゲン化物(例えば塩化-メチル、-エチル及び-ブチル、臭化-メチル、-エチル及び-ブチル並びにヨウ化-メチル、-エチル及び-ブチル)、硫酸ジアルキル(例えばジメチル硫酸塩、ジエチル硫酸塩及びジブチル硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(例えば塩化-デシル、-ラウリル及び-ステアリル、臭化-デシル、-ラウリル及び-ステアリル、並びにヨウ化-デシル、-ラウリル及び-ステアリル)、アラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジル及び臭化フェネチル)などの薬剤で四級化してもよい。
【0043】
このような酸塩及び塩基塩はすべて、本発明の範囲内の薬学的に許容される塩であることが意図され、すべての酸塩及び塩基塩は、本発明の目的に対応する化合物の遊離型と同等であると考えられる。
【0044】
「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、本明細書では、長さ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化又はリン酸化、脂質化、ミリストイル化、ユビキチン化など)に関係なく、アミド結合によって共有結合的に連結された少なくとも二つのアミノ酸のポリマーを指すのに互換的に使用される。この定義には、D-及びL-アミノ酸、及びD-及びL-アミノ酸の混合物、並びにD-及びL-アミノ酸を含むポリマー、及びD-及びL-アミノ酸の混合物が含まれる。タンパク質、ポリペプチド及びペプチドには、ヒスチジンタグなどのタグなどがあり得て、配列同一性のパーセントを決定する際にはこれらのタグを含めるべきではない。
【0045】
「アミノ酸」又は「残基」は、配列位置での特定のモノマーを指す。アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている3文字の記号、又はIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨されている1文字の記号で呼ばれる。同様に、ヌクレオチドは、一般に許容される1文字コードで呼ばれることもある。
【0046】
遺伝的にコードされたアミノ酸に使用される略語は慣習的であり、次の通りである。すなわちアラニン(ALa又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン酸(Glu又はE)、グルタミン(Gln又はQ)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リジン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)、及びバリン(Val又はV)である。
【0047】
遺伝的にコード化されたヌクレオシドに使用される略語は慣習的であり、次の通りである。すなわち、アデノシン(A);グアノシン(G);シチジン(C);チミジン(T);及びウリジン(U)である。具体的に描かれていない限り、略されたヌクレオシドはリボヌクレオシド又は2’-デオキシリボヌクレオシドのいずれかである。ヌクレオシドは、個別ベース又は集合ベースでリボヌクレオシド又は2’-デオキシリボヌクレオシドのいずれかとして指定できる。核酸配列が1文字の略語の列として示される場合、配列は慣例に従って5’から3’の方向に示され、リン酸塩は示されない。
【0048】
酵素の文脈で本明細書において使用される場合、「に由来」とは、元の酵素、及び/又は酵素の基礎となったそのような酵素をコードする遺伝子を特定するものである。例えば、配列番号7のMTRキナーゼは、配列番号1のMTRキナーゼ酵素をコードする遺伝子を、複数世代にわたって人工的に進化させることによって得られたものである。したがって、この進化したMTRキナーゼ酵素は、配列番号1のMTRキナーゼに「由来」する。
【0049】
「親水性アミノ酸又は残基」とは、Eisenberg et al., 1984, J. MOL. BIOL. 179:125-142の正規化コンセンサス疎水性スケールに従ってゼロ未満の疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸又は残基を指す。遺伝的にコードされている親水性アミノ酸には、L-Thr(T)、L-ser(S)、L-His(H)、L-Glu(E)、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Asp(D)、L-Lys(K)及びL-Arg(R)などがある。
【0050】
「酸性アミノ酸又は残基」とは、そのアミノ酸がペプチド又はポリペプチドに含まれる場合、約6未満のpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸又は残基を指す。酸性アミノ酸は代表的には、水素イオンを失うために生理的pHで負に帯電した側鎖を有する。遺伝的にコードされている酸性アミノ酸には、L-Glu(E)及びL-Asp(D)などがある。
【0051】
「塩基性アミノ酸又は残基」とは、アミノ酸がペプチド又はポリペプチドに含まれる場合、約6を超えるpKa値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸又は残基を指す。塩基性アミノ酸は代表的には、ヒドロニウムイオンと結合するため、生理的pHで正に荷電した側鎖を有する。遺伝的にコードされている塩基性アミノ酸には、L-Arg(R)やL-Lys(K)などがある。
【0052】
「極性アミノ酸又は残基」とは、生理的pHでは荷電していないが、二つの原子が共有する電子対が、それらの原子の一方によってより近くに保持されている結合を少なくとも一つ有する側鎖を有する親水性アミノ酸又は残基を指す。遺伝的にコードされている極性アミノ酸には、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Ser(S)、L-Thr(T)などがある。
【0053】
「疎水性アミノ酸又は残基」とは、Eisenberg et al., 1984, J. MOL. BIOL. 179:125-142の正規化コンセンサス疎水性スケールに従ってゼロより大きい疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸又は残基を指す。遺伝的にコードされている疎水性アミノ酸としては、L-Pro(P)、L-Ile(I)、L-Phe(F)、L-Val(V)、L-Leu(L)、L-Trp(W)、L-Met(M)、L-Ala(A)、及びL-Tyr(Y)などがある。
【0054】
「芳香族アミノ酸又は残基」とは、少なくとも一つの芳香環又は複素芳香環を含む側鎖を有する親水性又は疎水性のアミノ酸又は残基を指す。遺伝的にコードされている芳香族アミノ酸には、L-Phe(F)、L-Tyr(Y)、L-His(H)及びL-Trp(W)などがある。L-His(H)ヒスチジンは、本明細書では親水性残基又は拘束された残基としても分類される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「拘束されたアミノ酸又は残基」とは、拘束された幾何形状を有するアミノ酸又は残基を指す。ここで、拘束された残基には、L-Pro(P)及びL-His(H)などがある。ヒスチジンは比較的小さいイミダゾール環を有することから、拘束された形状を持っている。プロリンは5員環も有しているため、拘束された幾何形状を持っている。
【0056】
「非極性アミノ酸又は残基」とは、生理的pHで帯電していない、そして二つの原子によって共有されている電子追がその二つの原子のそれぞれによって等しく保持されている(すなわち、その側鎖は極性ではない)結合を有する疎水性アミノ酸又は残基を指す。遺伝的にコードされている非極性アミノ酸としては、L-Gly(G)、L-Leu(L)、L-Val(V)、L-Ile(I)、L-Met(M)及びL-Ala(A)などがある。
【0057】
本明細書で使用される場合、「脂肪族アミノ酸又は残基」とは、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸又は残基を指す。遺伝的にコードされた脂肪族アミノ酸には、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Leu(L)、及びL-Ile(I)などがある。
【0058】
L-Cys(C)(及び側鎖を含む-SHを有する他のアミノ酸)が還元遊離-SH又は酸化ジスルフィド架橋型のいずれかでペプチド中に存在する能力は、L-Cys(C)がペプチドに対する正味の疎水性又は親水性のどちらの性質に寄与するかに影響する。L-Cys(C)は、Eisenberg(Eisenberg et al., 1984年、上記)の正規化コンセンサススケールにより0.29の疎水性を示すが、理解すべき点として、本開示に関しては、L-Cys(C)はそれ自体の固有のグループに分類される。注目すべき点として、システイン(又は「L-Cys」又は「[C]」)は、他のL-Cys(C)アミノ酸又は他のスルファニル含有若しくはスルフヒドリル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成できるという点で珍しい。「システイン様残基」には、ジスルフィド架橋の形成に利用できるスルフヒドリル部分を含むシステイン及び他のアミノ酸などがある。
【0059】
本明細書で使用される場合、「小さいアミノ酸又は残基」とは、合計3個以下の炭素及び/又はヘテロ原子(α-炭素及び水素を除く)で構成される側鎖を有するアミノ酸又は残基を指す。小さいアミノ酸又は残基は、上記の定義に従って、脂肪族、非極性、極性又は酸性の小さいアミノ酸又は残基にさらに分類できる。遺伝的にコードされた小さいアミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Cys(C)、L-Asn(N)、L-Ser(S)、L-Thr(T)、及びL-Asp(D)などがある。
【0060】
「ヒドロキシル-含有アミノ酸又は残基」とは、ヒドロキシル(-OH)部分を含むアミノ酸を指す。遺伝的にコードされたヒドロキシル含有アミノ酸には、L-Ser(S)、L-Thr(T)、L-Tyr(Y)などがある。
【0061】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」及び「核酸」とは、共有結合的に連結された2以上のヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドは、全体がリボヌクレオチドで構成されていても良く(すなわち、RNA)、全体が2’デオキシリボヌクレオチドで構成されていても良く(すなわち、DNA)、又はリボ-及び2’デオキシリボヌクレオチドの混合物から構成されていても良い。ヌクレオシドは通常、標準的なホスホジエステル連結を介して結合されるが、ポリヌクレオチドには1以上の非標準的連結が含まれる場合がある。ポリヌクレオチドは一本鎖でも二本鎖でもよく、又はポリヌクレオチドは一本鎖領域と二本鎖領域の両方を含んでもよい。さらに、ポリヌクレオチドは代表的には、天然のコード核酸塩基で構成されているが(すなわち、アデニン、グアニン、ウラシル、チミン及びシトシン)、それは、1以上の修飾及び/又は合成核酸塩基、例えば、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなどを含むことができる。一部の実施形態では、そのような修飾又は合成核酸塩基は、アミノ酸配列をコードする核酸塩基である。
【0062】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」とは、核酸塩基(すなわち、窒素含有塩基)、及び五炭糖(例えば、、リボース又はデオキシリボース)を含むグリコシルアミンを指す。ヌクレオシドの非限定的な例には、シチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、チミジン、及びイノシンなどがある。対照的に、「ヌクレオチド」という用語は、核酸塩基、五炭糖、及び1以上のリン酸基を含むグリコシルアミンを指す。一部の実施形態では、ヌクレオシドはキナーゼによってリン酸化されてヌクレオチドを生成することができる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド二リン酸」とは、核酸塩基(すなわち、窒素含有塩基)、五炭糖(例えば、リボース又はデオキシリボース)、及び二リン酸(すなわち、ピロリン酸)部分を含むグリコシルアミンを指す。本明細書の一部の実施形態では、「ヌクレオシド二リン酸」は「NDP」と略される。ヌクレオシド二リン酸の非限定的な例には、シチジン二リン酸(CDP)、ウリジン二リン酸(UDP)、アデノシン二リン酸(ADP)、グアノシン二リン酸(GDP)、チミジン二リン酸(TDP)、及びイノシン二リン酸(IDP)などがある。「ヌクレオシド」と「ヌクレオチド」という用語は、文脈によっては互換的に使用され得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド三リン酸」とは、核酸塩基(すなわち、窒素含有塩基)、五炭糖(例えば、リボース又はデオキシリボース)、及び三リン酸部分えを含むグリコシルアミンを指す。本明細書の一部の実施形態では、「ヌクレオシド三リン酸」は「NTP」と略される。ヌクレオシド三リン酸の非限定的な例には、シチジン三リン酸(CTP)、ウリジン三リン酸(UTP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン三リン酸(TTP)、及びイノシン三リン酸(ITP)などがある。「ヌクレオシド」と「ヌクレオチド」という用語は、文脈によっては互換的に使用され得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」とは、類似の側鎖を有する異なる残基による残基の置換を指すことから、代表的には、ポリペプチド内のアミノ酸を、同じ又は類似の定義された種類のアミノ酸内のアミノ酸で置換することが関与する。限定ではなく例として、一部の実施形態では、脂肪族側鎖を有するアミノ酸を、別の脂肪族アミノ酸(例えば、、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン)で置換し;ヒドロキシル側鎖を持つアミノ酸を、ヒドロキシル側鎖を持つ別のアミノ酸で置換し(例えば、、セリン及びスレオニン);芳香族側鎖を有するアミノ酸を、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸で置換し(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン);塩基性側鎖を有するアミノ酸を、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸で置換し(例えば、リジン及びアルギニン);酸性側鎖を有するアミノ酸を、酸性側鎖を有する別のアミノ酸で置換し(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸);及び/又は疎水性若しくは親水性アミノ酸を、それぞれ別の疎水性若しくは親水性アミノ酸で置換する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「非保存的置換」とは、ポリペプチド中のアミノ酸を、側鎖の特性が大きく異なるアミノ酸に置換することを指す。非保存的置換では、定義された群内ではなく、群間でアミノ酸が使用することができ、(a)置換領域のペプチド骨格の構造(例えば、グリシンの場合はプロリン)、(b)電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の嵩に影響する。限定ではなく例として、例示的な非保存的置換は、塩基性若しくは脂肪族アミノ酸で置換された酸性アミノ酸;小さいアミノ酸で置換された芳香族アミノ酸;及び疎水性アミノ酸で置換された親水性アミノ酸であり得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、「欠失」とは、参照ポリペプチドから1以上のアミノ酸を除去することによるポリペプチドの修飾を指す。欠失は、酵素活性を保持したまま及び/又は進化した酵素の改善された特性を保持したまま、1以上のアミノ酸、2以上のアミノ酸、5以上のアミノ酸、10以上のアミノ酸、15以上のアミノ酸、又は20以上のアミノ酸、アミノ酸の総数の最大10%、又は参照酵素を構成するアミノ酸の総数の最大20%の除去を含むことができる。欠失は、ポリペプチドの内部部分及び/又は末端部分に関するものであることができる。多様な実施形態において、欠失は連続セグメントを含むことができるか、不連続であることもできる。欠失は代表的には、アミノ酸配列では「-」によって示される。
【0068】
本明細書で使用される場合、「挿入」とは、参照ポリペプチドからの1以上のアミノ酸の付加によるポリペプチドへの修飾を指す。挿入は、ポリペプチドの内部であることができるか、カルボキシ末端又はアミノ末端に対するものであることができる。本明細書で使用される挿入には、当技術分野で知られている融合タンパク質が含まれる。挿入は、アミノ酸の連続セグメントであることができ、又は天然ポリペプチド内のアミノ酸の1以上によって分離されていることもできる。
【0069】
「アミノ酸置換セット」又は「置換セット」という用語は、基準配列と比較した場合の、ポリペプチド配列におけるアミノ酸置換のグループを指す。置換セットは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又はそれより多くのアミノ酸置換を有することができる。
【0070】
「機能的断片」及び「生理活性断片」は、本明細書においては、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端の欠失及び/又は内部欠失を有するが、残りのアミノ酸配列が比較対象の配列内の対応する位置と同一であり、全長ポリペプチドの活性の実質的にすべてを保持しているポリペプチドを指すのに互換的に用いられる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「単離ポリペプチド」とは、自然に付随する他の汚染物から実質的に分離されたポリペプチドを指す(例えば、タンパク質、脂質、ポリヌクレオチド)。その用語は、天然環境又は発現系から除去又は精製されたポリペプチドを包含する(例えば、宿主細胞内又はイン・ビトロ合成を介して)。組換えポリペプチドは、細胞内に存在することができ、細胞培地に存在することができ、又は溶解物若しくは単離調製物などの各種形態で製造することができる。したがって、一部の実施形態では、組換えポリペプチドは単離ポリペプチドであることができる。
【0072】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋なポリペプチド」又は「精製タンパク質」とは、ポリペプチド種が存在する主たる種である組成物を指し(すなわち、モル又は重量基準で、組成物中の他の個々の高分子種よりも豊富である。)、対象種が存在する高分子種の少なくとも約50モル%又は重量%を構成する場合、実質的に精製された組成物である。しかしながら、一部の実施形態では、酵素含有組成物は、50%(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、又は約50%)未満の純度の酵素を含む。一般に、実質的に純粋な酵素又はポリペプチド組成物は、組成物中に存在するすべての高分子種の約60モル又は重量%以上、約70モル又は重量%以上、約80モル又は重量%以上、約90モル又は重量%以上、約95モル又は重量%以上、及び約98モル又は重量%以上を含む。一部の実施形態では、対象種は本質的に均一になるまで精製され(すなわち、従来の検出方法では組成物中の汚染物質種は検出できない)、組成物は本質的に単一の高分子種からなる。溶媒種、小分子(<500ダルトン)、及び元素イオン種は高分子種とはみなされない。一部の実施形態では、単離組換えポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
【0073】
「改善された酵素特性」とは、参照酵素と比較して、何らかの酵素特性において改善を示す酵素を指す。本明細書に記載の酵素については、一般に野生型酵素と比較されるが、一部の実施形態では、参照酵素は別の改善された酵素であることができる。改善が望まれる酵素特性には、酵素活性(基質の変換率で表すことができる)、熱安定性、pH活性プロファイル、補因子要件、阻害剤に対する抵抗性(例えば、産生物阻害)、立体特異性及び立体選択性(エナンチオ選択性など)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
「酵素活性上昇」とは、酵素の改善された性質を指し、それは、参照酵素と比較した、比活性の増加(例えば、産生される生成物/時間/タンパク質重量)又は基質の産生物への変換パーセント増加(例えば、指定量の酵素を使用する、指定期間内での開始量の基質の生成物への変換パーセント)によって表すことができる。酵素活性を測定するための例示的な方法は実施例に記載されている。K、Vmax又はkcatの古典的な酵素特性を含む酵素活性に関係するあらゆる特性が影響を受ける可能性があり、その変化により酵素活性が上昇し得る。酵素活性の向上は、天然酵素又はポリペプチドが由来する別の酵素と比較して、対応する野生型酵素の酵素活性の約1.5倍から2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、500倍、1000倍、3000倍、5000倍、7000倍以上の酵素活性であることができる。特定の実施形態では、当該酵素は、親酵素の150~3000倍、3000~7000倍、又は7000倍強の範囲の改善された酵素活性を示す。当業者であれば、いかなる酵素の活性も拡散律速であることから、触媒代謝速度は、必要な補因子などの基質の拡散速度を超えることができないことを理解する。拡散限界、すなわちkcat/Kの理論上の最大値は、一般に約10~10(M-1-1)である。したがって、酵素活性の改善には、酵素の作用を受ける基質の拡散速度に関連する上限がある。酵素活性は、キナーゼ活性の測定に使用される標準的なアッセイのいずれかによって、又はポリペプチド生成物とヌクレオシド塩基との間の反応を触媒してヌクレオシドを得ることができるヌクレオシドホスホリラーゼ酵素と組み合わせたアッセイによって、又はHPLC、HPLC-MS、UPLC、UPLC-MS、TLC及びNMRなど(これらに限定されるものではない)の化学反応の伝統的なアッセイ方法のいずれかによって測定することができる。酵素活性の比較は、本明細書でさらに詳細に説明するように、規定の酵素調製物、設定条件下での規定のアッセイ、及び1以上の規定の基質を使用して行う。一般に、溶解物を比較する場合、細胞数及びアッセイされるたんぱく質の量を求めるだけでなく、同一の発現系及び同一の宿主細胞を使用することで、宿主細胞によって産生され溶解物中に存在する酵素の量の変動を最小限とする。
【0075】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、DNA配列を細胞に導入するためのDNA構築物である。一部の実施形態において、ベクターは、DNA配列にコードされたポリペプチドの好適な宿主内で発現を行うことができる好適な制御配列に作動可能に連結された発現ベクターである。一部の実施形態では、「発現ベクター」は、DNA配列に作動可能に連結されていて宿主細胞における発現を駆動するプロモーター配列(例えば、導入遺伝子)を有しており、一部の実施形態では、転写ターミネーター配列も含む。
【0076】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、転写、転写後修飾、翻訳、及び翻訳後修飾など(これらに限定されるものではない)のポリペプチドの産生に関与するあらゆる段階を含む。一部の実施形態では、この用語は細胞からのポリペプチドの分泌も包含する。
【0077】
本明細書で使用される場合、「産生する」という用語は、細胞によるタンパク質及び/又は他の化合物の産生を指す。この用語は、転写、転写後修飾、翻訳、及び翻訳後修飾など(これらに限定されるものではない)のポリペプチドの生産に関与するあらゆる段階を包含することを意図するものである。一部の実施形態では、この用語は細胞からのポリペプチドの分泌も包含する。
【0078】
本明細書で使用される場合、アミノ酸又はヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列、シグナルペプチド、ターミネーター配列など)は、二つの配列が実際には関連していない場合、機能的に連結されている別の配列に対して「異種」である。例えば、「異種ポリヌクレオチド」とは、実験室技術によって宿主細胞に導入されるポリヌクレオチドであり、この用語は、宿主細胞から除去され、実験室操作を受け、その後宿主細胞に再導入されるポリヌクレオチドを含む。
【0079】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」及び「宿主株」という用語は、本明細書で提供されるDNA(例えば、変異体をコードするポリヌクレオチド)を含む発現ベクターに適した宿主を指す。一部の実施形態では、宿主細胞は、当技術分野で知られている組換えDNA技術を使用して構築されたベクターで形質転換又はトランスフェクトされた原核細胞又は真核細胞である。
【0080】
「類縁体」という用語は、参照ポリペプチドで70%を超える配列同一性を有するが、100%未満の配列同一性を有するポリペプチドを意味する(例えば、75%以上、78%、80%、83%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%より大きい配列同一性)。一部の実施形態では、「類縁体」とは、ホモアルギニン、オルニチン及びノルバリンなど(これらに限定されるものではない)の1以上の非天然アミノ酸残基だけでなく、天然アミノ酸残基も含むポリペプチドを意味する。一部の実施形態では、類縁体は、1以上のD-アミノ酸残基及び2以上のアミノ酸残基間の非ペプチド連結も含む。
【0081】
本明細書で使用される場合、「EC」番号は、the Enzyme Nomenclature of the Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology (NC-IUBMB)を指す。IUBMB生化学分類は、酵素が触媒する化学反応に基づいた酵素の数値分類システムである。
【0082】
本明細書で使用される場合、「ATCC」は、the American Type Culture Collectionを指し、その生物寄託コレクションは遺伝子及び株を含む。
【0083】
本明細書で使用される場合、「NCBI」は、National Center for Biological Information及びそこに提供されている配列データベースを指す。
【0084】
「コード配列」とは、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸のその部分(例えば、遺伝子)を指す。
【0085】
「天然」又は「野生型」とは、自然界に見られる形態を指す。例えば、天然又は野生型のポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、自然界の供給源から単離することができ、人間の操作によって意図的に改変されていない生物内に存在する配列であるが、唯一の例外として、本明細書で同定される野生型のポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、配列同一性のパーセントを決定する際に含まれるべきではないヒスチジンタグなどのタグが含まれる可能性がある。ここで、「野生型」ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は「WT」と表記され得る。
【0086】
例えば細胞、核酸又はポリペプチドに言及するのに使用される場合の「組換え」とは、何も行わなければ天然には存在しない形で改変された、又はそれらと同一であるが合成材料から、及び/又は組換え技術を用いる手技によって製造若しくは誘導された材料、又はその材料の天然型若しくは自然型に対応する材料を指す。非限定的な例としては、特に、自然(非組換え)型の細胞内では見られない遺伝子を発現する組換え細胞、又は別の方法では異なるレベルで発現される自然遺伝子を発現する組換え細胞などがある。
【0087】
「配列同一性のパーセント」、「同一性パーセント」及び「同一パーセント」は、本明細書ではポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の比較を指すのに使用され、至適にアラインメントされた二つの配列を比較ウィンドウ上で比較することによって決定され、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の部分は、二つの配列の至適アラインメントのための基準配列と比較して付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。そのパーセントは、同一の核酸塩基若しくはアミノ酸残基が両方の配列で生じる、又は核酸塩基若しくはアミノ酸残基がギャップでアラインメントされた位置の数を決定して、一致した位置の数を得て、一致した位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性のパーセントを得ることで計算される。至適アラインメント及び配列同一性パーセントの決定は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムを用いて行われる(例えばAltschul et al., 1990, J. MOL. BIOL. 215: 403-410; and Altschul et al., 1977, NUCLEIC ACIDS RES. 3389-3402を参照する。)。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Informationウェブサイトから公的に入手可能である。
【0088】
簡単に説明すると、BLAST解析では、最初に、データベース配列中の同じ長さのワードでアラインメントした場合に一致するか何らかの正の閾値スコアTを満足するクエリ配列内の長さWの短いワードを特定することにより、高スコアの配列対(HSP)を特定する。Tは、近傍ワードスコア閾値(Altschul et al., 前掲)と称される。これらの最初の近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして機能する。次に、そのワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加し得る限りにおいて、各シーケンスに沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメータM(一致する残基の対に対する報酬スコア;常に>0)及びN(不一致残基に対するペナルティスコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合、スコアマトリクスを使用して累積スコアを計算する。各方向でのワードヒットの拡張は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下した場合;1以上の負スコア残基アラインメントの蓄積のために、累積スコアが0以下になった場合;又は、いずれかの配列の終わりに達した場合に停止される。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(塩基配列用)は、デフォルトとしてワード長さ(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長さ(W)3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコアマトリクスを使用する(Henikoff and Henikoff, 1989, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 89:10915を参照する。)。
【0089】
二つの配列の同一性パーセントを提供するのに、BLASTと同様に機能する他の多数のアルゴリズムが利用可能である。比較のための配列の至適アラインメントは、例えばSmith and Waterman, 1981, ADV. APPL. MATH. 2:482の局所相同性アラインメントアルゴリズムにより、Needleman and Wunsch, 1970, J. MOL. BIOL. 48:443の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman, 1988, N USA 85:2444の類似性検索法により、これらのアルゴリズム(GCG Wisconsin Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)のコンピュータ化実施により、又は肉眼検査(概して、Current Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (1995 Supplement) (Ausubel)を参照する。)によって行うことができる。さらに、配列アラインメント及び配列同一性パーセントの決定には、提供されるデフォルトのパラメータを使用して、GCG Wisconsin Software package (Accelrys, Madison WI)中のBESTFIT又はGAPプログラムを用いることができる。
【0090】
「実質的同一性」とは、少なくとも20残基位置の比較ウィンドウにわたって、多くの場合で少なくとも30~50残基のウィンドウにわたって基準配列と比較して、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも85パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも89パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも95パーセントの配列同一性、そしてさらにより好ましくは少なくとも99パーセントの配列同一性を有するポリヌクレオチド又はポリペプチド配列を指し、配列同一性のパーセントは、基準配列を、比較のウィンドウにわたり、基準配列の合計20%以下である欠失又は付加を含む配列と比較することで計算される。ポリペプチドに適用される特定の実施形態において、「実質的同一性」という用語は、二つのポリペプチド配列が、例えばデフォルトのギャップ重みを使用するプログラムGAP又はBESTFITによって至適にアラインメントされた場合に、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも89パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも95パーセント以上の配列同一性(例えば、99パーセントの配列同一性)を共有することを意味する。好ましくは、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
【0091】
所与のアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列の番号付けの文脈で使用される場合、「に対応する」、「への参照」、又は「~と比べて」は、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列を基準配列と比較する際の指定の基準配列の残基の番号付けを指す。換言すれば、所与のポリマーの残基番号又は残基位置は、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列内の残基の実際の数値位置によってではなく、基準配列に関して指定される。例えば、ギャップを導入して二つの配列間の残基一致を至適化することにより、所与のアミノ酸配列を基準配列に対してアラインメントさせることができる。これらの場合、ギャップは存在するが、前記所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列中の残基の番号付けは、それがアラインメントされている基準配列に関して行われる。
【0092】
「立体選択性」とは、一つの立体異性体の別の立体異性体に対する化学反応又は酵素反応における優先的形成を指す。立体選択性は、一方の立体異性体の形成が他方よりも優先される部分的な場合もあれば、一方の立体異性体のみが形成される完全な場合もある。立体異性体がエナンチオマーである場合、立体選択性はエナンチオ選択性と称され、両方のエナンチオマーの合計における一方のエナンチオマーの割合(代表的にはパーセントとして報告される)である。当技術分野では一般に、別のやり方で、式[主エナンチオマー-少量エナンチオマー]/[主エナンチオマー+少量エナンチオマー]に従って計算されるエナンチオマー過剰率(EE)として(代表的にはパーセントで)報告される。立体異性体がジアステレオマー異性体である場合、立体選択性はジアステレオマー選択性と称され、二つのジアステレオマーの混合物中の一方のジアステレオマーの割合(代表的にはパーセントとして報告される)で、一般には、別のやり方で、ジアステレオマー過剰率(DE)として報告される。エナンチオマー過剰率とジアステレオマー過剰率は立体異性体過剰率の一種である。
【0093】
「高度に立体選択的」とは、少なくとも約85%の立体異性体過剰率で基質をその対応する生成物に変換できる化学反応又は酵素反応を指す。
【0094】
「化学選択性」とは、化学反応又は酵素反応での、ある生成物が別の生成物よりも優先的に形成されることを指す。
【0095】
「変換」とは、基質の対応する生成物への酵素的変換を指す。「変換パーセント」とは、指定された条件下で一定期間内に生成物に変換される基質のパーセントを指す。したがって、例えば、ポリペプチドの「酵素活性」又は「活性」は、基質の生成物への「変換パーセント」として表すことができる。
【0096】
「キラルアルコール」とは、一般式R-CH(OH)-Rのアミンを指し、RとRは同一ではなく、本明細書ではその最も広い意味で使用され、多種多様な異なる官能型及び混合官能型の脂肪族及び脂環式化合物を含み、水素原子に加えて、(i)キラル環状構造を形成する二価の基、又は(ii)構造及びキラリティにおいて互いに異なる二つの置換基(水素以外)を有する2級炭素原子に結合した1級ヒドロキシル基の存在を特徴とする。キラル環状構造を形成する2価基には、例えば、2-メチルブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,4-ジイル、ヘキサン-1,4-ジイル、ヘキサン-1,5-ジイル、2-メチルペンタン-1,5-ジイルなどがある。2級炭素原子上の二つの異なる置換基(上記のR及びR)も非常に多様であることができ、アルキル、アラルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、シクロアルキル、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルバモイル、モノ及びジ(低級アルキル)置換されたカルバモイル、トリフルオロメチル、フェニル、ニトロ、アミノ、モノ及びジ(低級アルキル)置換されたアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミドなど、並びにアルキル、アラルキル、又は上記で置換されたアリールなどがある。
【0097】
固定化酵素調製物は多くの認められた利点を有する。それらは、例を挙げると、酵素調製物に貯蔵期間を与えることができ、反応の安定性を高めることができ、有機溶媒中での安定性を可能にし、反応流からのタンパク質の除去を助けることができる。「安定な」とは、固定化酵素が有機溶媒を含む溶媒系中でその構造的立体配座及び/又は活性を保持する能力を指す。安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり10%未満である。安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり9%未満である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり8%未満である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり7%未満である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり6%未満である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり5%未満である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり4%未満である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり3%未満である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり2%未満である。好ましくは、安定な固定化酵素は、有機溶媒を含む溶媒系中で活性低下は1時間当たり1%未満である。
【0098】
「熱安定性」とは、未処理酵素と比較して、ある期間にわたり(例えば0.5時間~24時間)、高温(例えば40℃~80℃)に曝露された後も同様の活性(例えば、60%~80%超)を維持するポリペプチドを指す。
【0099】
「溶媒安定性」とは、未処理酵素と比較して、ある期間にわたり(例えば0.5時間~24時間)、多様な濃度(例えば、5%~99%)の溶媒(イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、メチルtert-ブチルエーテル等)に曝露された後も同様の活性(例えば、60%~80%超)を維持するポリペプチドを指す。
【0100】
「pH安定性」とは、未処理酵素と比較して、ある期間にわたり(例えば0.5時間~24時間)、高pH又は低pH(例えば、4.5~6又は8~12)に曝露された後も同様の活性(例えば、60%~80%超)を維持するポリペプチドを指す。
【0101】
「熱及び溶媒安定性」とは、熱安定性及び溶媒安定性の両方であるポリペプチドを指す。
【0102】
本明細書で使用される場合、「生体触媒」、「生体触媒性」、「生体変換」及び「生合成」という用語は、酵素を使用して有機化合物に対する化学反応を行うことを指す。
【0103】
「有効量」という用語は、望ましい結果を生み出すのに十分な量を意味する。当業者であれば、日常的な実験を使用して有効量を決定することができる。
【0104】
「単離された」及び「精製された」という用語は、それが自然に結合している少なくとも一つの他の成分から除去された分子(例えば、単離された核酸、ポリペプチドなど)その他の成分を指すのに使用される。「精製された」という用語は、絶対的な純度を必要とするものではなく、むしろ、それは相対的な定義として意図されている。
【0105】
例示的な方法及び材料が本明細書に記載されているが、本明細書に記載されているものと類似又は等価な方法及び材料も、本開示の実施又は試験に使用することができる。材料、方法、及び実施例は例示のみを目的としており、限定することを意図したものではない。
【0106】
抗ウィルス性ヌクレオシド
本明細書で使用される場合、「抗ウィルス性ヌクレオシド」とは、抗ウィルス活性を示すヌクレオシド化合物を意味し、特にPCT国際特許出願公開番号WO2019/113462として公開されたPCT国際特許出願第PCT/US2018/064503号(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。)に開示の抗ウィルス性ヌクレオシドを意味する。特に、「抗ウィルス性ヌクレオシド」という用語は、化合物B及び化合物Bの薬学的に許容される塩、誘導体、互変異体、異性体及びプロドラッグ、並びに2021年8月27日出願のPCT国際特許出願第PCT/US2021/048054号に開示の特定の形態を含む。さらに、「抗ウィルス性ヌクレオシド」という用語は、そのような化合物の薬学的に許容される塩、誘導体、又はプロドラッグを含む。抗ウィルス性ヌクレオシド、及び特に化合物B及び化合物Bの薬学的に許容される塩、誘導体、互変異体、異性体及びプロドラッグは、抗ウィルス治療のための組み合わせ治療で使用することができる。
【0107】
抗ウィルス性ヌクレオシドの調製方法
本開示は、化合物B及びその薬学的に許容される塩、誘導体、互変異体、異性体及びプロドラッグの調製方法を提供する。
【化6】
【0108】
実施形態において、本開示の方法は、「ワンポット」プロセスとして単一の容器内で実施することができ、又は段階を連続的に実施しても良い。実施形態において、任意に中間生成物を単離してもよい。
【0109】
本開示の方法の第1の実施形態は、少なくとも一つの活性化剤の存在下で、5’-イソブチリルウリジンを少なくとも一つのヒドロキシルアミン源と反応させて、化合物Bを生成することを含む。
【化7】
【0110】
この第1の実施形態の第1の態様では、前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は、硫酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミンHCl、NHOH、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この第1の態様の例では、少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は硫酸ヒドロキシルアミンである。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約1.0~約2.5当量の範囲のヒドロキシルアミンを提供する量、約2.2~約2.5当量の範囲の量、又は約2.5当量の量などで提供される。
【0111】
この第1の実施形態の第2の態様では、前記少なくとも一つの活性化剤はヘキサメチルジシラザンである。この態様の例では、前記少なくとも一つの活性化剤は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約6.0~約8.0当量の範囲の量、例えば約8当量の量で提供される。
【0112】
この第1の実施形態の第3の態様では、反応は少なくとも一つの酸性添加剤の存在下で行われる。この第3の態様の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は、重硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸イミダゾール、重硫酸トリエチルアミン、N-メチルモルホリン重硫酸塩、N-メチルイミダゾール重硫酸塩、三酸化硫黄ピリジン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は重硫酸アンモニウムである。特定の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約1.5~約3.0当量の範囲の量で存在する。
【0113】
この第1の実施形態の第4の態様では、反応は少なくとも一つの触媒の存在下で行っても良い。この態様の例では、前記少なくとも一つの触媒はルイス塩基性触媒から選択される。これらの例の場合では、前記少なくとも一つの触媒は、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、1,2,4-トリアゾール、5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール、イミダゾール及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の場合では、前記少なくとも一つの触媒はイミダゾールである。特定の場合では、前記少なくとも一つの触媒は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約0.2~約0.5当量の範囲の量で存在する。
【0114】
この第1の実施形態の第5の態様では、反応は少なくとも一つの溶媒の存在下で行われる。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、ヘプタン、トルエン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、DME、スルホラン及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒である。他の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水と有機溶媒の混合物から選択される。このような例の特定の場合では、前記少なくとも一つの溶媒は、水と、ヘプタン、トルエン、トルエン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、DME、スルホラン及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒との混合物から選択される。
【0115】
本開示の方法の第2の実施形態では、第1の実施形態の方法は、少なくとも一つの酵素の存在下で5-イソブチリルリボースをウラシルと反応させて5’-イソブチリルウリジンを形成することを含む。
【化8】
【0116】
この第2の実施形態の第1の態様では、ウラシルは、5’-イソブチリルリボースの量に対して約0.5~約1.2当量の範囲の量、例えば約0.8当量で提供される。
【0117】
この第2の実施形態の第2の態様では、前記少なくとも一つの酵素(或いは「酵素」又は「複数の酵素」)は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素(或いは、「S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素」と称される)、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素(或いは、「酢酸キナーゼ酵素」と称される)、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素(或いは、「ピルビン酸オキシダーゼ酵素」と称される)、少なくとも一つのカタラーゼ酵素(或いは、「カタラーゼ酵素」と称される)、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素(或いは、「ウリジンホスホリラーゼ酵素」と称される)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この第2の態様の例では、前記少なくとも一つの酵素は、S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、酢酸キナーゼ酵素、ピルビン酸オキシダーゼ酵素、カタラーゼ酵素、及びウリジンホスホリラーゼ酵素、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0118】
この第2の実施形態の第2の態様の第1の例では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素及び市販の野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からなる群から選択される1以上のS-メチル-5-チオリボースキナーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号1で下記のアミノ酸配列を有する市販の野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からなる群から選択される。
【数1】
【0119】
場合により、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号1で上記のアミノ酸配列を有する前記野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼである。特定の場合では、前記野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼは、配列番号2で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数2】
【0120】
この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号3で下記のアミノ酸配列を含む。
【数3】
【0121】
そのような場合の特定の例では、配列番号3で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号4で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数4】
【0122】
この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号5で下記のアミノ酸配列を含む。
【数5】
【0123】
このような場合の特定の例では、配列番号5で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号6で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数6】
【0124】
この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号7で下記のアミノ酸配列を含む。
【数7】
【0125】
このような場合の特定の例では、配列番号7で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号8で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数8】
【0126】
この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号9で下記のアミノ酸配列を含む。
【数9】
【0127】
このような場合の特定の例では、配列番号9で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号10で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数10】
【0128】
この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号11で下記のアミノ酸配列を含む。
【数11】
【0129】
この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号12で下記のアミノ酸配列を含む。
【数12】
【0130】
この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号13で下記のアミノ酸配列を含む。
【数13】
【0131】
一部の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号1、3、5、7、9、11、12、又は13のアミノ酸配列に基づくS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり、配列番号1、3、5、7、9、11、12、又は13の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0132】
一部の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号2、4、6、8、又は10のDNA配列によってコードされたS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり、配列番号2、4、6、8、又は10の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0133】
この第2の実施形態の第2の態様の第2の例では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、野生型酢酸キナーゼ酵素及び市販の野生型酢酸キナーゼ酵素からの指向進化から産生される酢酸キナーゼ酵素からなる群から選択される1以上の酢酸キナーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14で下記のアミノ酸配列を有する市販の、野生型酢酸キナーゼ酵素からの指向進化から産生される酢酸キナーゼ酵素からなる群から選択される。
【数14】
【0134】
場合により、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14で上記のアミノ酸配列を有する野生型酢酸キナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号14で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型酢酸キナーゼ酵素は、配列番号15で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数15】
【0135】
この第2の例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号16で下記のアミノ酸配列を含む。
【数16】
【0136】
このような場合の特定の例では、配列番号16で上記のアミノ酸配列を含む酢酸キナーゼ酵素は、配列番号17で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数17】
【0137】
この第2の例の一部の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14又は16のアミノ酸配列に基づく酢酸キナーゼ酵素であり、配列番号14又は16の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0138】
この第2の例の一部の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号15又は17のDNA配列によってコードされた酢酸キナーゼ酵素であり、配列番号15又は17の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0139】
この第2の実施形態の第2の態様の第3の例では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素及び野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素からの指向進化から産生されるピルビン酸オキシダーゼ酵素からなる群から選択される1以上のピルビン酸オキシダーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号18で下記のアミノ酸配列を有する野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素である。
【数18】
【0140】
特定の場合では、配列番号18で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号19で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数19】
【0141】
この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号20で下記のアミノ酸配列を有する野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素から選択される。
【数20】
【0142】
このような場合の特定の例では、配列番号20で上記のアミノ酸配列を含む前記ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号21で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数21】
【0143】
この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号22で下記のアミノ酸配列を有する野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素から選択される。
【数22】
【0144】
このような場合の特定の例では、配列番号22で上記のアミノ酸配列を含む前記ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号23で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数23】
【0145】
この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号24で下記のアミノ酸配列を有する前記野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素である。
【数24】
【0146】
一部の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号18、20、22、又は24のアミノ酸配列に基づくピルビン酸オキシダーゼ酵素であり、配列番号18、20、22、又は24の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0147】
一部の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号19、21、又は23のDNA配列によってコードされたピルビン酸オキシダーゼ酵素であり、配列番号19、21、又は23の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0148】
この第2の実施形態の第2の態様の第4の例では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、野生型カタラーゼ酵素及びRoche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販のカタラーゼ酵素などの市販の野生型カタラーゼ酵素からの指向進化から産生されるカタラーゼ酵素からなる群から選択される。この第4の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、配列番号52で下記のアミノ酸配列を含む前記野生型カタラーゼ酵素である。
【数25】
【0149】
このような場合の特定の例では、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記カタラーゼ酵素は、配列番号53で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数26】
【0150】
このような場合の特定の例では、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記カタラーゼ酵素は、配列番号54で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数27】
【0151】
一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、基準配列配列番号52と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0152】
一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされる。一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、配列番号53又は54と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0153】
この第2の実施形態の第2の態様の第5の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素及び市販の野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素からの指向進化から産生されるウリジンホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される1以上のウリジンホスホリラーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号25で下記のアミノ酸配列を有する野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素から選択される。
【数28】
【0154】
特定の場合では、配列番号25で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号26で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数29】
【0155】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号27で下記のアミノ酸配列を含む野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数30】
【0156】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号28で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数31】
【0157】
このような場合の特定の例では、配列番号28で上記のアミノ酸配列を含む前記ウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号29で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数32】
【0158】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号30で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数33】
【0159】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号31で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数34】
【0160】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号45で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数35】
【0161】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号46で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数36】
【0162】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号47で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数37】
【0163】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号48で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数38】
【0164】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号49で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【0165】
【0166】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号50で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数39】
【0167】
この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号51で下記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。
【数40】
【0168】
一部の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号25、27、28、30、31、45、46、47、48、49、50、又は51のアミノ酸配列に基づくウリジンホスホリラーゼ酵素であり、配列番号25、27、28、30、31、45、46、47、48、49、50、又は51の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0169】
一部の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号26又は29のDNA配列によってコードされたウリジンホスホリラーゼ酵素であり、配列番号26又は29の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0170】
この第2の実施形態の第3の態様では、反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水系溶媒、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水からなる群から選択される。この態様の他の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、DME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この態様のさらなる例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水及びDME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒である。
【0171】
第2の実施形態の態様では、当該反応は、最初に少なくとも一つのMTRキナーゼ及び少なくとも一つの酢酸キナーゼの存在下に5-イソブチリルリボースをリン酸源と反応させて5-イソブチリルリボースリン酸水素を製造すること、及び次に、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼの存在下に5-イソブチリルリボースリン酸水素をウラシルと反応させて5’-イソブチリルウリジン及びリン酸水素塩を形成することを含む。特定の態様では、そのリン酸水素塩を、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ及び少なくとも一つのカタラーゼの存在下に反応させて、リン酸源を再生する。
【化9】
【0172】
本開示の方法の第3の実施形態では、第2の実施形態の方法はさらに、少なくとも一つのリパーゼ酵素の存在下にリボースを少なくとも一つのイソブチリル供与体と反応させて5-イソブチリルリボースを形成することを含む。
【化10】
【0173】
この第3の実施形態の第1の態様では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は、プロパン-2-オンO-イソブチリルオキシム、無水イソ酪酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この第1の態様の例では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は無水イソ酪酸である。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は、リボースの量に対して約1.0~約3.0当量の範囲の量、例えば約1.5当量の量で提供される。
【0174】
この第3の実施形態の第2の態様では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、野生型リパーゼ酵素及び市販の野生型リパーゼ酵素からの指向進化から産生されるリパーゼ酵素からなる群から選択される。この態様の例では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、IMMTLL(ChiralVisionからIMMTLL-T2-150として市販)、IMMRES(ChiralVisionからIMMRES-T2-150として市販)、IMMLIPX(ChiralVisionからIMMLIPX-T2-150として市販)、IMMP6-T2-250(ChiralVisionからIMMP6-T2-250として市販)、Novozym(登録商標)51032(Strem Chemicals, Inc.からカタログ番号06-3135として市販)、及びNovozym(登録商標)435(Novozymesからカタログ番号3925009-810として、又はStrem Chemicals, Inc.からカタログ番号06-3123として市販)からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素はNovozym(登録商標)435である。
【0175】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、市販の野生型リパーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるリパーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0176】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、市販の野生型リパーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされたリパーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0177】
この第3の実施形態の第3の態様では、当該反応は少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記溶媒は、DME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。より特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒はtert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。さらにより特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒はアセトンである。
【0178】
本開示の方法の第4の実施形態は、(a)少なくとも一つのリパーゼ酵素の存在下にリボースを少なくとも一つのイソブチリル供与体と反応させて5’-イソブチリルリボースを形成すること;(b)S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、酢酸キナーゼ酵素、ピルビン酸オキシダーゼ酵素、カタラーゼ酵素;及びウリジンホスホリラーゼ酵素及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの酵素の存在下に5’-イソブチリルリボースをウラシルと反応させることで5’-イソブチリルウリジンを形成すること;及び(c)少なくとも一つの活性化剤の存在下に5’-イソブチリルウリジンを少なくとも一つのヒドロキシルアミン源を反応させることで化合物Bを製造することを含む。
【化11】
【0179】
第4の実施形態の第1の態様では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体はプロパン-2-オンO-イソブチリルオキシム、無水イソ酪酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この第1の態様の例では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は無水イソ酪酸である。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は、リボースの量に対して約1.0~約3.0当量の範囲の量、例えば約1.5当量の量で提供される。
【0180】
この第4の実施形態の第2の態様では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、野生型リパーゼ酵素及び市販の野生型リパーゼ酵素からの指向進化から産生されるリパーゼ酵素からなる群から選択される。この態様の例では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、IMMTLL(ChiralVisionからIMMTLL-T2-150として市販)、IMMRES(ChiralVisionからIMMRES-T2-150として市販)、IMMLIPX(ChiralVisionからIMMLIPX-T2-150として市販)、IMMP6-T2-250(ChiralVisionからIMMP6-T2-250として市販)、Novozym(登録商標)51032(Strem Chemicals, Inc.からカタログ番号06-3135として市販)、及びNovozym(登録商標)435(Novozymesからカタログ番号3925009-810として、又はStrem Chemicals, Inc.からカタログ番号06-3123として市販)からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素はNovozym(登録商標)435である。
【0181】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、市販の野生型リパーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるリパーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0182】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、市販の野生型リパーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされたリパーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0183】
この第3の実施形態の第3の態様では、前記(a)反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記溶媒は、DME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。より特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。さらにより特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒はアセトンである。
【0184】
この第4の実施形態の第4の態様では、ウラシルは、5’-イソブチリルリボースの量に対して約0.5~約1.2当量の範囲の量、例えば約0.8当量の量で提供される。
【0185】
この第4の実施形態の第5の態様では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素;及び少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、及びそれらの混合物からなる群から選択される。すなわち、この第5の態様の例では、前記少なくとも一つの酵素は、S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、酢酸キナーゼ酵素、ピルビン酸オキシダーゼ酵素、カタラーゼ酵素、及びウリジンホスホリラーゼ酵素、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0186】
この第4の実施形態の第5の態様の第1の例では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素及び市販の野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からなる群から選択される1以上のS-メチル-5-チオリボースキナーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号1で下記のアミノ酸配列を有する市販の野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼからの指向進化から産生されるS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からなる群から選択され;特定の例では、配列番号1で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼは、配列番号2で上記のDNA配列によってコードされ得る。この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号3で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり;そのような場合の特定の例では、配列番号3で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼは、配列番号4で上記で記載のDNA配列によってコードされていることができる。この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号5で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり;そのような場合の特定の例では、配列番号5で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼは、配列番号6で上記のDNA配列によってコードされていても良い。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号7で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり;そのような場合の特定の例では、配列番号7で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼは、配列番号8で上記のDNA配列によってコードされていても良い。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号9で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり;そのような場合の特定の例では、配列番号9で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼは、配列番号10で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号11で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり;そのような場合の特定の例では、配列番号11で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼは、配列番号12で上記のDNA配列によってコードされていても良い。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号13で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。
【0187】
一部の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号1、3、5、7、9、11、12、又は13の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる配列番号1、3、5、7、9、11、12、又は13のアミノ酸配列に基づくS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0188】
一部の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号2、4、6、8、又は10のDNA配列によってコードされたS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり、配列番号2、4、6、8、又は10の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0189】
この第4の実施形態の第5の態様の第2の例では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、野生型酢酸キナーゼ酵素及び市販の野生型酢酸キナーゼ酵素からの指向進化から産生される酢酸キナーゼ酵素からなる群から選択される1以上の酢酸キナーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型酢酸キナーゼ酵素からの指向進化から産生される酢酸酵素からなる群から選択される。特定の場合では、配列番号14で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型酢酸キナーゼ酵素は、配列番号15で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第2の例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号16で上記のアミノ酸配列を含む酢酸キナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号16で上記のアミノ酸配列を含む酢酸キナーゼ酵素は、配列番号17で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0190】
この第2の例の一部の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14又は16のアミノ酸配列に基づく酢酸キナーゼ酵素であり、配列番号14又は16の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0191】
この第2の例の一部の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号15又は17のDNA配列によってコードされた酢酸キナーゼ酵素であり、配列番号15又は17の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0192】
第4の実施形態の第5の態様の第3の例では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素及び市販の野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素からの指向進化から産生されるピルビン酸オキシダーゼ酵素からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号18で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型ピルビン酸オキシダーゼからの指向進化から産生されるピルビン酸オキシダーゼ酵素からなる群から選択される。特定の場合では、配列番号18で上記のアミノ酸配列を有する前記野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号19で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号20で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号20で上記のアミノ酸配列を含む前記ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号21で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号22で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号22で上記のアミノ酸配列を含む前記ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号23で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号24で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。
【0193】
一部の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号18、20、22、又は24のアミノ酸配列に基づくピルビン酸オキシダーゼ酵素であり、配列番号18、20、22、又は24の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0194】
一部の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号19、21、又は23のDNA配列によってコードされたピルビン酸オキシダーゼ酵素であり、配列番号19、21、又は23の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0195】
第4の実施形態の第5の態様の第4の例では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、野生型カタラーゼ酵素及びRoche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素などの市販の野生型カタラーゼからの指向進化から産生されるカタラーゼ酵素からなる群から選択される。この第4の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型カタラーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、前記カタラーゼ酵素で上記のアミノ酸配列を含む配列番号52は、配列番号53で上記のDNA配列によってコードされていることができる。このような場合の特定の例では、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記カタラーゼ酵素は、配列番号54で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0196】
一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、基準配列配列番号52と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0197】
一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされる。一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、配列番号53又は54と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0198】
この第4の実施形態の第5の態様の第5の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素及び市販の野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素からの指向進化から産生されるウリジンホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号25で上記のアミノ酸配列を有する野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素である。特定の場合では、配列番号25で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号26で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号27で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号28で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号28で上記のアミノ酸配列を含む前記ウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号29で上記のDNA配列によってコードされていることができる。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号30で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号31で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号45で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号46で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号47で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号48で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号49で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号50で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号51で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。
【0199】
一部の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号25、27、28、30、31、45、46、47、48、49、50、又は51のアミノ酸配列に基づくウリジンホスホリラーゼ酵素であり、配列番号25、27、28、30、31、45、46、47、48、49、50、又は51の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0200】
一部の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号26又は29のDNA配列によってコードされたウリジンホスホリラーゼ酵素であり、配列番号26又は29の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0201】
この第4の実施形態の第6の態様では、前記(b)反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水系溶媒、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水からなる群から選択される。この態様の他の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、DME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この態様のさらなる例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水及びDME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒である。
【0202】
この第4の実施形態の第7の態様では、前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は、硫酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミンHCl、NHOH、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この第7の態様の例では、前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は硫酸ヒドロキシルアミンである。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約1.0~約2.5当量のヒドロキシルアミンの範囲でヒドロキシルアミンを提供する量、例えば約2.2~約2.5当量の範囲の量、又は約2.5当量の量で提供される。
【0203】
この第4の実施形態の第8の態様では、前記少なくとも一つの活性化剤はヘキサメチルジシラザンである。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの活性化剤は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約6.0~約8.0当量の範囲の量、例えば約8当量の量で提供される。
【0204】
この第4の実施形態の第9の態様では、前記(c)の反応は、少なくとも一つの酸性添加剤の存在下に行う。この第9の態様の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は、重硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸イミダゾール、重硫酸トリエチルアミン、重硫酸N-メチルモルホリン、重硫酸N-メチルイミダゾール、三酸化硫黄・ピリジン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は重硫酸アンモニウムである。特定の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約1.5~約3.0当量の範囲の量で存在する。
【0205】
この第4の実施形態の第10の態様では、前記(c)の反応は、少なくとも一つの触媒の存在下に行っても良い。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの触媒は、ルイス塩基性触媒から選択される。この第10の態様の例では、前記少なくとも一つの触媒は、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、1,2,4-トリアゾール、5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール、イミダゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つの触媒はイミダゾールである。特定の例では、前記少なくとも一つの触媒は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約0.2~約0.5当量の範囲の量で存在する。
【0206】
この第4の実施形態の第11の態様では、前記(c)の反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、ヘプタン、トルエン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、DME、スルホラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0207】
本開示の方法の第5の実施形態、第1の実施形態の方法は、少なくとも一つのリパーゼ酵素の存在下にウリジンを少なくとも一つのイソブチリル供与体と反応させて5’-イソブチリルウリジンを形成することを含む。
【化12】
【0208】
この第5の実施形態の第1の態様では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は、プロパン-2-オンO-イソブチリルオキシム、無水イソ酪酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この第1の態様の例では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は無水イソ酪酸である。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は、リボースの量に対して約1.0~約3.0当量の範囲の量、例えば、約1.5当量の量で提供される。
【0209】
この第5の実施形態の第2の態様では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、野生型リパーゼ酵素及び市販の野生型リパーゼ酵素からの指向進化から産生されるリパーゼ酵素からなる群から選択される。この態様の例では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、IMMTLL(ChiralVisionからIMMTLL-T2-150として市販)、IMMRES(ChiralVisionからIMMRES-T2-150として市販)、IMMLIPX(ChiralVisionからIMMLIPX-T2-150として市販)、IMMP6-T2-250(ChiralVisionからIMMP6-T2-250として市販)、Novozym(登録商標)51032(Strem Chemicals, Inc.からカタログ番号06-3135として市販)、及びNovozym(登録商標)435(Novozymesからカタログ番号3925009-810として、又はStrem Chemicals, Inc.からカタログ番号06-3123として市販)からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素はNovozym(登録商標)435である。
【0210】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、市販の野生型リパーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるリパーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0211】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、市販の野生型リパーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされたリパーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0212】
この第5の実施形態の第3の態様では、前記(a)の反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記溶媒は、DME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。より特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。さらにより特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒はアセトンである。
【0213】
本開示の方法の第6の実施形態、第5の実施形態の方法は、少なくとも一つの酵素の存在下にリボースをウラシルと反応させてウリジンを形成することをさらに含む。
【化13】
【0214】
この第6の実施形態の第1の態様では、ウラシルは、リボースの量に対して約0.4~約1.2当量の範囲の量、例えば、約0.8当量の量で提供される。
【0215】
この第6の実施形態の第2の態様では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素(或いは、「リボキナーゼ酵素」と称される)、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素(或いは、「ホスホペントムターゼ酵素」と称される)、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素(或いは、「スクロースホスホリラーゼ酵素」と称される)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0216】
この第2の態様の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも二つの酵素の混合物である。一部の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも三つの酵素の混合物である。さらなる例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも四つの酵素の混合物である。さらなる例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも五つの酵素の混合物である。特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、及び少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素の混合物である。他の特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素の混合物である。さらなる特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、及び少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素の混合物である。さらなる特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素の混合物である。さらなる特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、及び少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも二つの酵素の混合物である。
【0217】
この第6の実施形態の第2の態様の第1の例では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素及び市販の野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からなる群から選択される1以上のS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号1で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からなる群から選択され;特定の場合では、配列番号1で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号2で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号3で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号3で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号4で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号5で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号5で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号6で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号7で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号7で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号8で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号9で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号9で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号10で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号11で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号11で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号12で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号13で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。
【0218】
一部の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号1、3、5、7、9、11、12、又は13のアミノ酸配列に基づくS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり、配列番号1、3、5、7、9、11、12、又は13の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0219】
一部の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号2、4、6、8、又は10のDNA配列によってコードされたS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり、配列番号2、4、6、8、又は10の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0220】
この第6の実施形態の第2の態様の第2の例では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、野生型酢酸キナーゼ酵素及び市販の野生型酢酸キナーゼ酵素からの指向進化から産生される酢酸キナーゼ酵素からなる群から選択される1以上の酢酸キナーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型酢酸キナーゼ酵素からの指向進化から産生される酢酸キナーゼ酵素からなる群から選択される。特定の場合では、配列番号14で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型酢酸キナーゼ酵素は、配列番号15で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第2の例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号16で上記のアミノ酸配列を含む酢酸キナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号16で上記のアミノ酸配列を含む酢酸キナーゼ酵素は、配列番号17で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0221】
この第2の例の一部の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14又は16のアミノ酸配列に基づく酢酸キナーゼ酵素であり、配列番号14又は16の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0222】
この第2の例の一部の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号15又は17のDNA配列によってコードされた酢酸キナーゼ酵素であり、配列番号15又は17の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0223】
この第6の実施形態の第2の態様の第3の例では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素及び市販の野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素からの指向進化から産生されるピルビン酸オキシダーゼ酵素からなる群から選択される1以上のピルビン酸オキシダーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号18で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素からの指向進化から産生されるピルビン酸オキシダーゼ酵素からなる群から選択される。特定の場合では、配列番号18で上記のアミノ酸配列を有する前記野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号19で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号20で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号20で上記のアミノ酸配列を含む前記ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号21で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号22で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号22で上記のアミノ酸配列を含む前記ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号23で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号24で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。
【0224】
一部の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号18、20、22、又は24のアミノ酸配列に基づくピルビン酸オキシダーゼ酵素であり、配列番号18、20、22、又は24の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0225】
一部の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号19、21、又は23のDNA配列によってコードされたピルビン酸オキシダーゼ酵素であり、配列番号19、21、又は23の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0226】
この第6の実施形態の第2の態様の第4の例では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、野生型カタラーゼ酵素及び市販の野生型カタラーゼ酵素からの指向進化から産生されるカタラーゼ酵素からなる群から選択される1以上のカタラーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素などの市販の野生型カタラーゼ酵素からの指向進化から産生されるカタラーゼ酵素からなる群から選択される。この第4の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型カタラーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記カタラーゼ酵素は、配列番号53で上記のDNA配列によってコードされていることができる。このような場合の特定の例では、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記カタラーゼ酵素は、配列番号54で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0227】
一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、基準配列配列番号52と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0228】
一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされる。一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、配列番号53又は54と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0229】
この第6の実施形態の第2の態様の第5の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素及び市販の野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素からの指向進化から産生されるウリジンホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される1以上のウリジンホスホリラーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は配列番号25で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素からの指向進化から産生されるウリジンホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される。特定の場合では、配列番号25で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号26で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号27で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素から選択される。この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号28で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素から選択される。このような場合の特定の例では、配列番号28で上記のアミノ酸配列を含む前記ウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号29で上記のDNA配列によってコードされていることができる。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号30で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼから選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は配列番号31で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼから選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号45で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号46で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号47で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号48で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号49で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号50で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号51で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。
【0230】
一部の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号25、27、28、30、31、45、46、47、48、49、50、又は51のアミノ酸配列に基づくウリジンホスホリラーゼ酵素であり、配列番号25、27、28、30、31、45、46、47、48、49、50、又は51の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0231】
一部の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号26又は29のDNA配列によってコードされたウリジンホスホリラーゼ酵素であり、配列番号26又は29の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0232】
第2の態様の第6の例では、前記少なくとも一つのリボキナーゼ酵素は、野生型リボキナーゼ酵素及び市販の野生型リボキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるリボキナーゼ酵素からなる群から選択される1以上のリボキナーゼ酵素である。特定の場合では、前記少なくとも一つのリボキナーゼ酵素は、配列番号32で下記のアミノ酸配列を含む野生型リボキナーゼ酵素である。
【数41】
【0233】
特定の場合では、配列番号32として上記のアミノ酸配列を含む前記野生型リボキナーゼ酵素は、配列番号33で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数42】
【0234】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリボキナーゼ酵素は、配列番号32のアミノ酸配列に基づくリボキナーゼ酵素であり、配列番号32の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0235】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリボキナーゼ酵素は、配列番号33のDNA配列によってコードされるリボキナーゼ酵素であり、配列番号33の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0236】
第2の態様の第7の例では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、野生型ホスホペントムターゼ酵素及び市販の野生型ホスホペントムターゼ酵素からの指向進化から産生されるホスホペントムターゼ酵素からなる群から選択される1以上のホスホペントムターゼ酵素である。特定の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号34で下記のアミノ酸配列を含む野生型ホスホペントムターゼ酵素である。
【数43】
【0237】
特定の場合では、配列番号34で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型ホスホペントムターゼ酵素は、配列番号35で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数44】
【0238】
この第7の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号36で下記のアミノ酸配列を含むホスホペントムターゼ酵素である。
【数45】
【0239】
このような場合の特定の例では、配列番号36で上記のアミノ酸配列を含む前記ホスホペントムターゼ酵素は、配列番号37で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数46】
【0240】
この第7の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号38で下記のアミノ酸配列を含むホスホペントムターゼ酵素である。
【数46】
【0241】
このような場合の特定の例では、配列番号38で上記のアミノ酸配列を含む前記ホスホペントムターゼ酵素は、配列番号39で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数47】
【0242】
一部の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号34、36、又は38のアミノ酸配列に基づくホスホペントムターゼ酵素であり、配列番号34、36、又は38の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0243】
一部の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号35、37、又は39のDNA配列によってコードされたホスホペントムターゼ酵素であり、配列番号35、37、又は39の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0244】
第2の態様の第8の例では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、野生型スクロースホスホリラーゼ酵素及び市販の野生型スクロースホスホリラーゼ酵素からの指向進化から産生されるスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される1以上のスクロースホスホリラーゼ酵素である。特定の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号40で下記のアミノ酸配列を含む野生型スクロースホスホリラーゼ酵素である。
【数48】
【0245】
この第8の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号41で下記のアミノ酸配列を含むスクロースホスホリラーゼ酵素である。
【数49】
【0246】
特定の場合では、配列番号41で上記のアミノ酸配列を含む前記スクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号42で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数50】
【0247】
この第8の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号43で下記のアミノ酸配列を含むスクロースホスホリラーゼ酵素である。
【数51】
【0248】
このような場合の特定の例では、配列番号43で上記のアミノ酸配列を含む前記スクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号44で下記のDNA配列によってコードされていることができる。
【数52】
【0249】
一部の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号40、41、又は43のアミノ酸配列に基づくスクロースホスホリラーゼ酵素であり、配列番号40、41、又は43の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0250】
一部の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号42又は44のDNA配列によってコードされたスクロースホスホリラーゼ酵素であり、配列番号42又は44の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0251】
この第6の実施形態の第3の態様では、前記反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水系溶媒、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水からなる群から選択される。この態様の他の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、DME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この態様のさらなる例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水及びDME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒である。
【0252】
本開示の方法の第7の実施形態は、(a)少なくとも一つの酵素の存在下にリボースをウラシルと反応させてウリジンを形成すること;(b)少なくとも一つのリパーゼ酵素の存在下にウリジンを少なくとも一つのイソブチリル供与体と反応させて5’-イソブチリルウリジンを形成すること;及び(c)少なくとも一つの活性化剤の存在下に5’-イソブチリルウリジンを少なくとも一つのヒドロキシルアミン源と反応させて化合物Bを製造することを含む。
【化14】
【0253】
この第7の実施形態の第1の態様では、ウラシルは、リボースの量に対して約0.5~約1.2当量の範囲の量、例えば約0.8当量の量で提供される。
【0254】
この第7の実施形態の第2の態様では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0255】
この第2の態様の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも二つの酵素の混合物である。一部の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも三つの酵素の混合物である。さらなる例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも四つの酵素の混合物である。さらなる例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも五つの酵素の混合物である。特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、及び少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素の混合物である。他の特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素の混合物である。さらなる特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、及び少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素の混合物である。さらなる特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素の混合物である。さらなる特定の例では、前記少なくとも一つの酵素は、少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素、少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素、及び少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素、少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素、少なくとも一つのカタラーゼ酵素、少なくとも一つのリボキナーゼ酵素、少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素、及び少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される少なくとも二つの酵素の混合物である。
【0256】
この第7の実施形態の第2の態様の第1の例では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素及び市販の野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からなる群から選択される1以上のS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号1で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素からなる群から選択され;特定の場合では、配列番号1で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号2で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号3で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号3で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号4で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第1の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号5で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号5で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号6で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号7で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号7で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号8で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号9で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号9で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号10で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号11で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号11で上記のアミノ酸配列を含む前記S-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号12で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この例の特定の場合では、前記少なくとも一つのS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素は、配列番号13で上記のアミノ酸配列を含むS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素である。
【0257】
一部の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号1、3、5、7、9、11、12、又は13のアミノ酸配列に基づくS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり、配列番号1、3、5、7、9、11、12、又は13の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0258】
一部の場合では、前記少なくとも一つの酵素は、配列番号2、4、6、8、又は10のDNA配列によってコードされたS-メチル-5-チオリボースキナーゼ酵素であり、配列番号2、4、6、8、又は10の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0259】
この第7の実施形態の第2の態様の第2の例では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、野生型酢酸キナーゼ酵素及び市販の野生型酢酸キナーゼ酵素からの指向進化から産生される酢酸キナーゼ酵素からなる群から選択される1以上の酢酸キナーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型酢酸キナーゼ酵素からの指向進化から産生される酢酸キナーゼ酵素からなる群から選択される。特定の場合では、配列番号14で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型酢酸キナーゼ酵素は、配列番号15で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第2の例の特定の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号16で上記のアミノ酸配列を含む酢酸キナーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号16で上記のアミノ酸配列を含む酢酸キナーゼ酵素は、配列番号17で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0260】
この第2の例の一部の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号14又は16のアミノ酸配列に基づく酢酸キナーゼ酵素であり、配列番号14又は16の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0261】
この第2の例の一部の場合では、前記少なくとも一つの酢酸キナーゼ酵素は、配列番号15又は17のDNA配列によってコードされた酢酸キナーゼ酵素であり、配列番号15又は17の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0262】
この第7の実施形態の第2の態様の第3の例では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素及び市販の野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素からの指向進化から産生されるピルビン酸オキシダーゼ酵素からなる群から選択される1以上のピルビン酸オキシダーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号18で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素からの指向進化から産生されるピルビン酸オキシダーゼ酵素からなる群から選択される。特定の場合では、配列番号18で上記のアミノ酸配列を有する前記野生型ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号19で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号20で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号20で上記のアミノ酸配列を含む前記ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号21で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号22で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号22で上記のアミノ酸配列を含む前記ピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号23で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第3の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号24で上記のアミノ酸配列を含むピルビン酸オキシダーゼ酵素である。
【0263】
一部の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号18、20、22、又は24のアミノ酸配列に基づくピルビン酸オキシダーゼ酵素であり、配列番号18、20、22、又は24の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0264】
一部の場合では、前記少なくとも一つのピルビン酸オキシダーゼ酵素は、配列番号19、21、又は23のDNA配列によってコードされたピルビン酸オキシダーゼ酵素であり、配列番号19、21、又は23の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0265】
この第7の実施形態の第2の態様の第4の例では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、1以上のカタラーゼ酵素からなる群から選択される野生型カタラーゼ酵素及び市販の野生型カタラーゼ酵素からの指向進化から産生されるカタラーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素などの市販の野生型カタラーゼ酵素からの指向進化から産生されるカタラーゼ酵素からなる群から選択される。この第4の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型カタラーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記カタラーゼ酵素は、配列番号53で上記のDNA配列によってコードされていることができる。このような場合の特定の例では、配列番号52で上記のアミノ酸配列を含む前記カタラーゼ酵素は、配列番号54で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0266】
一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、基準配列配列番号52と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0267】
一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素はRoche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販の前記カタラーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされる。一部の場合では、前記少なくとも一つのカタラーゼ酵素は、配列番号53又は54と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0268】
この第7の実施形態の第2の態様の第5の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素及び市販の野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素からの指向進化から産生されるウリジンホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される1以上のウリジンホスホリラーゼ酵素である。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号25で上記のアミノ酸配列を有する市販の野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素からの指向進化から産生されるウリジンホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される。特定の場合では、前記野生型ウリジンホスホリラーゼ酵素で上記のアミノ酸配列を含む配列番号25は、配列番号26で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号27で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素から選択される。この第5の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号28で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼ酵素から選択される。このような場合の特定の例では、配列番号28で上記のアミノ酸配列を含む前記ウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号29で上記のDNA配列によってコードされていることができる。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号30で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼから選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号31で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼから選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号45で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号46で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号47で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号48で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号49で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号50で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。特定の例では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号51で上記のアミノ酸配列を有するウリジンホスホリラーゼである。
【0269】
一部の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号25、27、28、30、31、45、46、47、48、49、50、又は51のアミノ酸配列に基づくウリジンホスホリラーゼ酵素であり、配列番号25、27、28、30、31、45、46、47、48、49、50、又は51の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0270】
一部の場合では、前記少なくとも一つのウリジンホスホリラーゼ酵素は、配列番号26又は29のDNA配列によってコードされたウリジンホスホリラーゼ酵素であり、配列番号26又は29の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0271】
第2の態様の第6の例では、前記少なくとも一つのリボキナーゼ酵素は、野生型リボキナーゼ酵素及び市販の野生型リボキナーゼ酵素からの指向進化から産生されるリボキナーゼ酵素からなる群から選択される1以上のリボキナーゼ酵素である。特定の場合では、前記少なくとも一つのリボキナーゼ酵素は、配列番号32で上記のアミノ酸配列を含む野生型リボキナーゼ酵素である。特定の場合では、配列番号32として上記のアミノ酸配列を含む前記野生型リボキナーゼ酵素は、配列番号33で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0272】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリボキナーゼ酵素は、配列番号32のアミノ酸配列に基づくリボキナーゼ酵素であり、配列番号32の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0273】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリボキナーゼ酵素は、配列番号33のDNA配列によってコードされたリボキナーゼ酵素であり、配列番号33の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0274】
第2の態様の第7の例では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、野生型ホスホペントムターゼ酵素及び市販の野生型ホスホペントムターゼ酵素からの指向進化から産生されるホスホペントムターゼ酵素からなる群から選択される1以上のホスホペントムターゼ酵素である。特定の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号34で上記のアミノ酸配列を含む野生型ホスホペントムターゼ酵素である。特定の場合では、配列番号34で上記のアミノ酸配列を含む前記野生型ホスホペントムターゼ酵素は、配列番号35で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第7の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号36で上記のアミノ酸配列を含むホスホペントムターゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号36で上記のアミノ酸配列を含む前記ホスホペントムターゼ酵素は、配列番号37で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第7の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号38で上記のアミノ酸配列を含むホスホペントムターゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号38で上記のアミノ酸配列を含む前記ホスホペントムターゼ酵素は、配列番号39で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0275】
一部の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号34、36、又は38のアミノ酸配列に基づくホスホペントムターゼ酵素であり、配列番号34、36、又は38の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0276】
一部の場合では、前記少なくとも一つのホスホペントムターゼ酵素は、配列番号35、37、又は39のDNA配列によってコードされたホスホペントムターゼ酵素であり、配列番号35、37、又は39の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0277】
第2の態様の第8の例では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、野生型スクロースホスホリラーゼ酵素及び市販の野生型スクロースホスホリラーゼ酵素からの指向進化から産生されるスクロースホスホリラーゼ酵素からなる群から選択される1以上のスクロースホスホリラーゼ酵素である。特定の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号40で上記のアミノ酸配列を含む野生型スクロースホスホリラーゼ酵素である。この第8の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号41で上記のアミノ酸配列を含むスクロースホスホリラーゼ酵素である。特定の場合では、配列番号41で上記のアミノ酸配列を含む前記スクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号42で上記のDNA配列によってコードされていることができる。この第8の例の特定の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号43で上記のアミノ酸配列を含むスクロースホスホリラーゼ酵素である。このような場合の特定の例では、配列番号43で上記のアミノ酸配列を含む前記スクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号44で上記のDNA配列によってコードされていることができる。
【0278】
一部の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号40、41、又は43のアミノ酸配列に基づくスクロースホスホリラーゼ酵素であり、配列番号40、41、又は43の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0279】
一部の場合では、前記少なくとも一つのスクロースホスホリラーゼ酵素は、配列番号42又は44のDNA配列によってコードされたスクロースホスホリラーゼ酵素であり、配列番号42又は44の翻訳基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を含むことができる。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0280】
この第7の実施形態の第3の態様では、前記(a)の反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水系溶媒、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水からなる群から選択される。この態様の他の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、DME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この態様のさらなる例では、前記少なくとも一つの溶媒は、水及びDME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒である。
【0281】
この第7の実施形態の第4の態様では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は、プロパン-2-オンO-イソブチリルオキシム、無水イソ酪酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この第4の態様の例では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は無水イソ酪酸である。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つのイソブチリル供与体は、リボースに対して約1.0~約3.0当量の量の範囲、例えば約1.5当量の量で提供される。
【0282】
この第7の実施形態の第5の態様では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、野生型リパーゼ酵素及び市販の野生型リパーゼ酵素からの指向進化から産生されるリパーゼ酵素からなる群から選択される。この態様の例では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、IMMTLL(として市販IMMTLL-T2-150ChiralVisionから)、IMMRES(ChiralVisionからIMMRES-T2-150として市販)、IMMLIPX(ChiralVisionからIMMLIPX-T2-150として市販)、IMMP6-T2-250(ChiralVisionからIMMP6-T2-250として市販)、Novozym(登録商標)51032(Strem Chemicals, Inc.からカタログ番号06-3135として市販)、及びNovozym(登録商標)435(Novozymesからカタログ番号3925009-810、又はStrem Chemicals, Inc.からカタログ番号06-3123として市販)からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素はNovozym(登録商標)435である。
【0283】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、市販の野生型リパーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるリパーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記アミノ酸配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0284】
一部の場合では、前記少なくとも一つのリパーゼ酵素は、市販の野生型リパーゼ酵素の基準配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるDNA配列によってコードされたリパーゼ酵素である。これらの違いは、アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそのような変化のいずれかの組み合わせであることができる。一部の場合では、前記配列の違いは、非保存的アミノ酸置換、保存的アミノ酸置換、並びに非保存的及び保存的アミノ酸置換の組み合わせを含むことができる。
【0285】
この第7の実施形態の第6の態様では、前記(b)の反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記溶媒は、DME、アニソール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、1,2-プロピレンカーボネート、1,3-ジオキソラン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、2-ブタノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。より特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、アセトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。さらにより特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒はアセトンである。
【0286】
この第7の実施形態の第7の態様では、前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は、硫酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミンHCl、NHOH、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この第7の態様の例では、前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は硫酸ヒドロキシルアミンである。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つのヒドロキシルアミン源は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約1.0~約2.5当量のヒドロキシルアミンの範囲の量、例えば約2.2~約2.5当量の範囲の量、又は約2.5当量の量でヒドロキシルアミンを提供する量で提供される。
【0287】
この第7の実施形態の第8の態様では、前記少なくとも一つの活性化剤はヘキサメチルジシラザンである。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの活性化剤は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約6.0~約8.0当量の範囲の量、例えば約8当量の量で提供される。
【0288】
この第7の実施形態の第9の態様では、前記(c)の反応は、少なくとも一つの酸性添加剤の存在下に行う。この第9の態様の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は、重硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸イミダゾール、重硫酸トリエチルアミン、重硫酸N-メチルモルホリン、重硫酸N-メチルイミダゾール、三酸化硫黄・ピリジン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は重硫酸アンモニウムである。特定の例では、前記少なくとも一つの酸性添加剤は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約1.5~約3.0当量の範囲の量で存在する。
【0289】
この第7の実施形態の第10の態様では、前記(c)の反応は任意に少なくとも一つの触媒の存在下に行う。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの触媒は、ルイス塩基性触媒から選択される。この第10の態様の例では、前記少なくとも一つの触媒は、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、1,2,4-トリアゾール、5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール、イミダゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の例では、前記少なくとも一つの触媒はイミダゾールである。特定の例では、前記少なくとも一つの触媒は、5’-イソブチリルウリジンの量に対して約0.2~約0.5当量の範囲の量で存在する。
【0290】
この第7の実施形態の第11の態様では、前記反応は、少なくとも一つの溶媒の存在下で行う。この態様の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、有機溶媒及びそれらの混合物から選択される。この態様の特定の例では、前記少なくとも一つの溶媒は、ヘプタン、トルエン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、DME、スルホラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0291】
第8の実施形態では、当該開示は、下記のものからなる群から選択される化合物及びそれらの塩を提供する。
【化15】
【実施例
【0292】
実施例1:5-イソブチリルリボースの合成
【化16】
【0293】
2リットル容器に、リボース(50g)、Novozym(登録商標)435(5g、Novozymesから市販(カタログ番号3925009-810))、アセトン(1リットル)、及び無水イソ酪酸(2.0当量)を入れる。内容物を加熱し、50℃で12時間熟成させた。混合物を冷却し、濾過し、固体をアセトンで洗った。濾液を減圧下に濃縮して、総容量約150mLとした。MTBE(200mL)を加え、有機溶液を、それぞれ水100mLで4回抽出した。得られた水系混合物を減圧下に部分濃縮して、最終重量332gとした。
【0294】
実施例2:5’-イソブチリルウリジンの合成
【化17】
【0295】
反応容器中、水約20mLを入れ、次にピルビン酸(2.455g)、KHPO(0.777g)、及びMgCl・6HO(102mg)を加えた。得られた溶液のpHを50重量%KOH水溶液(約3.5mL)で調節して7.1とした。その混合物に5’-イソブチリルリボース(4.912g)を加え、合計体積を約45mLに調節した。さらに、ピロリン酸チアミン(51.4mg)、アデノシン三リン酸・2ナトリウム塩水和物(67.5mg)、及びフラビンアデニン二ヌクレオチド・2ナトリウム塩(9.3mg)、及び消泡剤(35μL)を混合物に加えた。得られた溶液のpHを50重量%KOH水溶液で調節して7.0とした。別の瓶に、配列番号9のMTR-キナーゼ(375mg)、配列番号16の酢酸キナーゼ(12.5mg)、配列番号18のピルビン酸オキシダーゼ(12.5mg)、カタラーゼ(12.5mL、Roche Diagnostics International Ltd.から製品番号11650645103として市販)を入れ、次に10mM MgClを含む100mMトリエタノールアミン水系緩衝液5mL(pH7.0)を加えて、酵素混合物の水溶液を調製した。100mLリアクターにウラシル(1.78g)、及び配列番号28のウリジンホスホリラーゼ(356mg)を加え、次に上記で調製した溶液45mLを加えた。混合物を、25℃でオーバーヘッド攪拌機を用いることで攪拌し、次に前記酵素溶液(5mL)を加えた。溶液に酸素を供給する管から空気を64時間吹き込みながら、その混合物を25℃で攪拌した。その溶液をHPLCによって調べて、5’-イソブチリルウリジンが形成されていることを示した。
【0296】
その混合物をCELITE(登録商標)珪藻土(3g)、MeTHF(45、L)、及び硫酸アンモニウム(15g)の入った丸底フラスコに移し入れ、75℃で30分間加熱した。混合物を冷却して環境温度とし、濾過し、水相を廃棄した。有機相を水で2回洗浄した(各2mL)。溶媒をEtOAcに交換し、ヘプタンを加えて生成物を結晶化させ、次に0℃~5℃で熟成させた。結晶生成物を回収し、EtOAc:ヘプタンの1:1.5混合物で洗浄して、((2R,3S,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル・イソブチレート(4.1g)を得た。
【0297】
実施例3:ウリジン4-オキシム5’-(2-メチルプロパノエート)の合成
【化18】
【0298】
オーバーヘッド攪拌機を取り付けた100mL容器を窒素下とした。容器にHMDS(68.0mL、320mmol)を入れ、反応温度を上昇させて76℃とした。イミダゾール(1.362g、20.00mmol)を加え、混合物を78℃で30分間攪拌し、その間にイミダゾールは全量溶解した。硫酸水素アンモニウム(11.51g、100mmol)を加え、温度を調節して外部温度75℃とし、混合物を30分間攪拌した。硫酸ヒドロキシルアミン(8.21g、50.0mmol)を加えた。((2R,3S,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル・イソブチレート(12.57g、40mmol)を加え、反応混合物を75℃~85℃で攪拌しながら6時間熟成させ、その後冷却して環境温度とした。
【0299】
水(30.00mL)を加え、混合物を、水3mLを用いて分液漏斗に移し入れ、ヘプタン2回(5.00mL)で移動を完了させた。水相は廃棄した。有機相を水(10.00mL)で2回洗浄し、水相は廃棄した。ギ酸(6.00mL、156mmol)を1回で加え、混合物を50℃で1時間攪拌した。攪拌下に水(25.00mL)を加え、混合物を水(10.00mL)及びヘプタン(5.00mL)を用いて分液漏斗に移した。水相を分離し、有機相を水(10.00mL)で抽出した。有機相は廃棄した。合わせた水系抽出液を水酸化アンモニウム(1.01mL、72.0mmol)で塩基性とした。EtOAc(50.0mL)及び硫酸アンモニウム(40.0g、302mmol)を加え、混合物を加熱して50℃として均一相を得た。50℃で相を分離し、水相をEtOAc(50.0mL)で抽出した。EtOAc抽出液を合わせ、濃縮して容量約40mLとした。EtOAc(50.0mL)を加え、混合物を濃縮して容量約40mLとした。再度、EtOAc(50.0mL)を加え、混合物を濃縮して容量約40mLとした。得られたスラリーを15分間還流状態(75℃~80℃)に維持し、30分間かけて徐々に冷却して60℃とした。MTBE(40.0mL)を加え。混合物を2時間かけて冷却して0℃とした。スラリーを濾過し、フィルターケーキをMTBE(40.0mL)で洗浄し、窒素気流下で乾燥させて、((2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((Z)-4-(ヒドロキシイミノ)-2-オキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル・イソブチレート(11.0g、33.3mmol)を得た。
【0300】
実施例4:ウリジンからの5’-イソブチリルウリジンの合成
【化19】
【0301】
ウリジン(100mg、0.409mmol)のDME(2000μL)中懸濁液に、Novozym(登録商標)435(5mg、5重量%、Novozymesから市販(カタログ番号3925009-810)から市販)を加え、次に、リン酸二水素カリウム(55.7mg、0.409mmol)を加えた。無水イソ酪酸(64.8mg、0.409mmol)を加え、振盪機上で混合物を加熱して40℃とした。24時間までに、反応が進行して、85%の5’-イソブチリルウリジンを得た。
【0302】
多様な上記及び他の特徴及び機能、又はそれらの代替形態は、望ましくは、他の多くの異なるシステム又は利用分野に組み合わせることができることが理解されるであろう。また、当業者であれば、次に、その中の各種の代替形態、改変、変更、又は改良を行うことができ、それらも特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【配列表】
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