(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】二層型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20240627BHJP
A61K 8/03 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 3/00 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/03
A61K8/34
A61K8/891
A61K8/39
A61Q19/00
A61Q3/00
A61Q7/00
A61Q5/12
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2019170063
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】516295835
【氏名又は名称】株式会社コスメテックゲート
(73)【特許権者】
【識別番号】594093806
【氏名又は名称】嶋田 忠洋
(73)【特許権者】
【識別番号】513072606
【氏名又は名称】嶋田 英恵
(73)【特許権者】
【識別番号】513146929
【氏名又は名称】堀内 若奈
(73)【特許権者】
【識別番号】519339541
【氏名又は名称】沼田 百代
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 忠洋
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 英恵
(72)【発明者】
【氏名】堀内 若奈
(72)【発明者】
【氏名】沼田 百代
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-026233(JP,A)
【文献】特開平04-112811(JP,A)
【文献】特開昭53-127836(JP,A)
【文献】特開2011-195511(JP,A)
【文献】特開昭57-122013(JP,A)
【文献】特開2016-222637(JP,A)
【文献】特開2008-308464(JP,A)
【文献】特開2005-336089(JP,A)
【文献】特開2010-059076(JP,A)
【文献】特開2014-129303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油層及び水層に分離した二層型化粧料であって、前記油層が1つ又は複数の球状の層として存在し、
前記油層が、沈降層であり、
前記油層を構成する組成物及び前記水層を構成する組成物の質量比が、1:99~30:70であり、
前記油層を構成する組成物が、両親媒性
エステル油剤を含
み、
前記両親媒性エステル油剤が、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、コハク酸ビスエトキシジグリコール及びコハク酸ジエトキシエチルから選ばれる1種又は2種以上であり、
両親媒性エステル油剤の含有量は、二層型化粧料全量に対し、0.5~25質量%であり、
前記油層を構成する組成物の品温25℃における比重が、前記水層を構成する組成物の品温25℃における比重よりも大きく、前記油層を構成する組成物と前記水層を構成する組成物の品温25℃における比重差が0.001以上である、二層型化粧料。
【請求項2】
前記両親媒性エステル油剤が、コハク酸ジエトキシエチルを含む、請求項1に記載の二層型化粧料。
【請求項3】
前記油層を構成する組成物が、シリコーン油を含
み、
前記シリコーン油の含有量は、二層型化粧料全量に対し、0.1~10質量%であることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の二層型化粧料。
【請求項4】
前記水層を構成する組成物が、多価アルコールを含み、
前記多価アルコールの含有量は、二層型化粧料全量に対し、5~30質量%であることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の二層型化粧料。
【請求項5】
前記油層及び/又は前記水層が、透明又は半透明である、請求項1~
4の何れか一項に記載の二層型化粧料。
【請求項6】
前記油層及び前記水層の色が異なることを特徴とする、請求項1~
5の何れか一項に記載の二層型化粧料。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか一項に記載の二層型化粧料が透明、又は半透明の容器に充填された容器入り化粧料であって、
前記容器入り化粧料が静置状態では、前記水層及び前記油層が分離し、
前記容器入り化粧料を振とうすると、前記水層及び前記油層が混合状態となり、
前記振とう後、二層型化粧料を静置すると、前記油層と前記水層が分離状態となり、前記油層は球状の層となる、容器入り化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二層型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧品は、性能だけでなく、化粧品そのものの見た目の美しさやデザイン性の高さも求められている。その中でも、油層と水層が分離する二層型化粧料は、外観の美しさと機能性に優れる。
【0003】
現在、二層型化粧料は、クレンジング剤、毛髪化粧料等の様々な形態で用いられている。例えば、特許文献1には、水相に水溶性高分子化合物及びジメチコンコポリオールを含有し、油相にテトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリットを含有する、二相型の毛髪化粧料が開示されている。また、特許文献2には、分離剤としてポリビニルピロリドン等の被覆形成剤を含む、液状の二相型化粧料が開示されている。
さらに特許文献3には、二層以上から成る多層型化粧料は、カロテノイド等の有効成分を安定的に配合する際に効果的であることが開示されている。
【0004】
このような二層型化粧料は、通常、油層が上層、水層が下層となっており、振とうにより均一となった組成物を、肌等に塗布して使用する。また、二層型化粧料は、油剤のエモリエント効果と、水溶性保湿成分による保湿効果が期待でき、軽い使用感及び肌なじみの良さに優れることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2002-509556号公報
【文献】特開2016-050184号公報
【文献】特開2018-058829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、二層型化粧料は、通常、油層が上層、水層が下層となる形状であり、どの製品も見た目に代わり映えがしないため、外観の美しさという観点からは、既に特異な物では無くなっている。
【0007】
そこで、本発明は、特徴的な形状の油層を有し、外観の審美性に優れた化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、前記課題を解決する本発明は、油層及び水層が分離し、油層が1つ又は複数の球状の層として存在する二層型化粧料である。
本発明の二層型化粧料は、従来の形状と異なり、油層が球状となって水層と分離し、外観に優れる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記油層が、沈降層である。
油は水と比して比重が軽いため、このような二層型化粧料とした場合、油は通常上層となる。しかし、油が上層となってしまうと、容器の蓋部によって油層が隠されてしまい、外観上あまり好ましいものではなかった。
本発明は、前記油層が沈降層であることで、球状の油層を視認することができ、より美観に優れる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記油層を構成する組成物の品温25℃における比重が、前記水層を構成する組成物の品温25℃における比重よりも大きい。
油層を構成する組成物の品温25℃における比重が、水層を構成する組成物の品温25℃における比重よりも大きな値となることで、油層の沈降が可能となる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記油層を構成する組成物と前記水層を構成する組成物の品温25℃における比重差が、0.001以上である。
油層を構成する組成物及び水層を構成する組成物の品温25℃における比重差を上記記載の範囲内とすることで、油層の沈降、及び油層の球状化を安定化することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記油層を構成する組成物が、両親媒性油剤を含む。
両親媒性油剤を含むことで、油層の沈降、及び油層の球状化をより安定化することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記油層及び/又は前記水層が、透明又は半透明である。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記油層及び前記水層の色が異なる。
【0015】
また、前記課題を解決する本発明は、上述した二層型化粧料が透明、又は半透明の容器に充填された容器入り化粧料であって、
前記容器入り化粧料が静置状態では、前記水層及び前記油層が分離し、
前記容器入り化粧料を振とうすると、前記水層及び前記油層が混合状態となり、
前記振とう後、二層型化粧料を静置すると、前記油層と前記水層が分離状態となり、前記油層は球状の層となる、容器入り化粧料である。
本発明は、使用時においては振とうにより均一化させることができ、使用前後においてその外観を楽しむことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の二層型化粧料、及び容器入り化粧料は、外観の審美性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1における、静置時の二層型化粧料の図面代用写真である。(a)油層が1つの場合、(b)油層が複数の場合を示す。
【
図2】実施例1における、振とう直後の二層型化粧料の図面代用写真である。
【
図3】実施例1における、振とう後(a)10分間静置、(b)30分間静置、(c)1時間静置した二層型化粧料の図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1>二層型化粧料
本発明の二層型化粧料は、油層及び水層に分離し、前記油層が1つ又は複数の球状の層として存在する。
以下、化粧料が二層に分離した際の、油層に含まれるすべての成分を総称して「油層を構成する組成物」と称し、水層に含まれるすべての成分を総称して「水層を構成する組成物」と称する。
また、油層を構成する組成物に含まれる個々の成分を「油層成分」と称し、水層を構成する組成物に含まれる個々の成分を「水層成分」と称する。
【0019】
本発明において、油層を構成する組成物と水層を構成する組成物の品温25℃における比重差は、0.001以上であり、水層を構成する組成物の比重と比して、油層を構成する組成物の比重が大きいことが好ましい。水層を構成する組成物と油層を構成する組成物の比重差は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.007以上である。
【0020】
本発明において、油層を構成する組成物の品温25℃における比重は、好ましくは0.900以上であり、より好ましくは0.920以上であり、さらに好ましくは0.950以上である。
【0021】
本発明において、水層を構成する組成物の品温25℃における比重は、好ましくは0.900以上であり、より好ましくは0.920以上である。
【0022】
本発明において、油層を構成する組成物の品温25℃における比重は、水層を構成する組成物の品温25℃における比重よりも大きいことが好ましい。
【0023】
なお、油層及び水層を構成する組成物の比重は、温度依存的に変化する。油層を構成する組成物の比重の変化率は、水層を構成する比重の変化率よりも高いため、油層を構成する組成物と水層を構成する組成物の比重の大小が逆転し、沈降していた油層が上層となることがあるが、このような形態も、本発明の一態様である。
本発明の好ましい形態では、油層を構成する組成物の品温25℃おける比重が、水層を構成する組成物の品温25℃おける比重よりも大きい。
このような構成とすることで、一般的に二層型化粧料が使用され得る条件下において、球状の油層が沈降する形態となり、美観に優れる。
【0024】
本発明において、油層を構成する組成物及び水層を構成する組成物の質量比は、特に限定されないが、好ましくは1:99~30:70であり、より好ましくは2:98~20:80である。
【0025】
本発明の二層型化粧料は、所定の成分を適宜混合することによって調製することができる。例えば、後述する油層を構成する組成物、及び水層を構成する組成物をそれぞれ分けて調製した後に、両組成物を混合することにより調製することができる。
【0026】
また、本発明は、前記二層型化粧料を透明、又は半透明の容器に充填した容器入り化粧料に関する。
本発明の容器入り化粧料は、静置時には油層と水層に分離し、油層は球状で存在している。
前記容器入り化粧料は、使用時に振とうすることで油層と水層が混合状態となる。使用が終わり、容器入り化粧料を静置すると、再度油層と水層に分離し、油層は球状となる。振とう後、静置すると、複数の小さな球状の油層が出現し、時間の経過とともにこれらが結合し、大きな球状な油層となる。
【0027】
球状の油層の大きさは、容量に応じて変化するが、25mlのスクリューバイアル瓶に、油層を構成する組成物及び水層を構成する組成物の質量比が2:98~20:80となるように封入し、一つの大きな油層とした場合、直径は0.2~1.2cmほどになる。
【0028】
油層は、複数の油層が接触することで結合するが、容器の底面積が広く、各油層が接触しない場合には、複数の油層が存在する状態で安定化することもある。
【0029】
すなわち、化粧料を充填する容器の底面積に応じて、静止時における油層の直径を制御することができる。
例えば、複数の小さな油層を含む二層型化粧料を得たい場合は、底面積の広い容器を使用し、大きな一つの油層を得たい場合は、底面積の狭い容器を使用するとよい。
【0030】
本発明の二層型化粧料は、化粧水、乳液、美容液等のスキンケア化粧料、ネイルオイル等のネイルケア化粧料、養毛料、ヘアオイル等の頭髪ケア化粧料等やボディローション用の化粧料として用いることができる。
【0031】
<2>油層成分
油層成分としては、通常化粧料に使用される油剤を用いることができる。
例えばホホバ油、オリーブ油、ヒマワリ油、サメ肝油及び液状ラノリン等の動植物油、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン及びスクワラン等の炭化水素油、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソセチル、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、コハク酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、コハク酸ジエトキシエチル、ジカプリン酸プロピレングリコール、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ポリグセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ポリヒドロキシステリン酸、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル及びトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル等のエステル油、アルキル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ノニルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジメチルエーテル等のエーテル油、並びにメチルシクロポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン及びビスフェニルプロピルジメチコン等のシリコーン油等、並びにパーフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフッ素系油剤が挙げられる。
さらに、本発明の油層成分として、上述した油剤以外に、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、アボベンゾン類、ジメチコジエチルベンザルマロネート、オクトクリレン、サルチル酸エチルヘキシル、ホモサレート及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシジフェニルトリアジンなどの紫外線吸収剤を配合することもできる。
【0032】
後述する水層成分としてエタノールを配合した場合、水層の比重が相対的に小さくなるため、油剤として比較的比重が小さい油剤を使用しても、油層の沈降が可能となる。
一方、水層にエタノールを含まない場合、比重が大きい油剤を用いることで、油層を沈降させることができる。例えば、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、イソステアリン酸ポリグセリル-2、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6、及びメトキシケイヒ酸エチルヘキシル等の比重が大きい油剤を用いることが好ましい。
【0033】
本発明に用いられる油剤としては、両親媒性油剤を含むことが好ましい。具体的には、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジメチルエーテル等の両親媒性エーテル油、並びに、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、コハク酸ビスエトキシジグリコール及びコハク酸ジエトキシエチル等の両親媒性エステル油が挙げられる。
【0034】
油層を構成する組成物全量に対し、両親媒性油剤の含有量は、好ましくは10~80質量%であり、より好ましくは20~70質量%であり、特に好ましくは30~60質量%である。
二層型化粧料全量に対し、両新媒性油剤の含有量は、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~25質量%、さらに好ましくは1~20質量%、特に好ましくは3~10質量%である。
【0035】
また、本発明に用いられる油剤として、シリコーン油を含むことが好ましい。具体的には、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン及びビスフェニルプロピルジメチコン等を用いることができる。このうち、フェニル基を有するシリコーン油を用いることが好ましく、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを用いることがより好ましい。
【0036】
油層を構成する組成物全量に対し、シリコーン油の含有量は、好ましくは0.1~50質量%、より好ましくは1~30質量%、さらに好ましくは3~20質量%である。
二層型化粧料全量に対し、シリコーン油の含有量は、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.3~5質量%であり、さらに好ましくは0.5~3質量%であり、特に好ましくは0.8~2質量%である。
【0037】
本発明の油層を構成する組成物は、美麗な外観を得るために、着色されていることが好ましい。油溶性着色成分として、赤色501号、黄色204号、橙色403号、青色403号、緑色202号、紫色201号、カロチン、銅クロロフィル、グアイアズレン、ニンジン根エキス、トマトエキス、パーム油、サージ油、ベニバナ油、ユズ油、カルサミン、オオミテングヤシ果実油、コエンザイムQ10、クロロフィル、デュナリエラカロチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、リコピン、ルテイン、アポカロテナール、フコキサンチン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、ノルビキシン及びクロロフィル等が挙げられる。
中でも、油溶性の美容成分でもある、ニンジン根エキス、コエンザイムQ10及びアスタキサンチン等を含むことが好ましい。
【0038】
本発明に用いられる油層の着色成分の配合量は、二層型化粧料全量に対し、好ましくは0.0000001~1質量%、より好ましくは0.0000005~0.5質量%である。
【0039】
<3>水層成分
本発明の水層成分は、通常化粧料に使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、エタノール及びプロピルアルコール等の低級アルコール、グリセリン及びエチレングリコール類等の多価アルコール、並びにキサンタンガム、カラナーギン、ヒドロキシエチルセルロース及びメチルセルロース等の水溶性高分子などを、適宜目的に応じて配合することができる。
【0040】
本発明の水層成分として、上記成分のうち、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジグリセリン及びジプロピレングリコール等の多価アルコールを含むことが好ましい。
二層型化粧料全量に対し、多価アルコールの含有量は、好ましくは5~30質量%、より好ましくは7~20質量%である。
多価アルコールを含むことで、油層と水層の分離を安定させることが可能となる。
【0041】
本発明における上記以外の水層成分として、1種または2種以上の保湿成分を配合することができる。例として、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール及び果糖等の糖類、グリシン、アラニン、セリン及びプロリン等のアミノ酸、並びにピロリドンカルボン酸及びその塩等のアミノ酸誘導体が挙げられる。
二層型化粧料全量に対し、保湿成分の含有量は、好ましくは0.01~40質量%、より好ましくは0.1~30質量%、さらに好ましくは1~20質量%である。
【0042】
二層型化粧料に対する水の含有量は、使用感の観点から、好ましくは50~90質量%であり、より好ましくは60~80質量%であり、さらに好ましくは65~75質量%である。
【0043】
本発明の水層を構成する組成物は、美麗な外観を得るために、着色されていることが好ましい。水溶性着色成分として、赤色106号、赤色504号、黄色4号、黄色203号、橙色205号、青色1号、緑色401号、紫色401号、黒色401号、オウバク、オウゴン根エキス、クチナシエキス、コチニール、シアノコバラミン、ベニバナエキス、カラメル、ログウッドエキス、カンゾウエキス、シコンエキス、銅クロロフィリンナトリウム及びグアイアズレンスルホン酸塩等が挙げられる。
中でも、水溶性の美容成分でもある、オウゴン根エキス、クチナシエキス、シコンエキス及びベニバナエキス等を含むことが好ましい。
本発明に用いられる水層の着色成分の配合量は、二層型化粧料全量に対し、好ましくは0.0000001~1質量%、より好ましくは0.0000005~0.5質量%である。
【0044】
本発明の水層成分として、上述した着色能を有する美容成分以外の美容成分を適宜配合することができる。例として、幹細胞エキス、ヒトオリゴペプチド及びパンテノール等の抗老化成分、ビタミンC、トラネキサム酸、ニコチン酸アミド及びアルブチン等の美白成分、各種ビタミン類が挙げられる。
二層型化粧料全量に対し、着色能を有する美容成分以外の美容成分の含有量は、好ましくは0.001~10質量%、より好ましくは0.01~5質量%、さらに好ましくは0.1~3質量%である。
【実施例】
【0045】
<試験例1>油層が球状である二層型化粧料の製造
下記表1に示す処方に従って、本発明の二層型化粧料を調製した。即ち、水層成分を混合した水層を構成する組成物Aと、油層成分を混合した油層を構成する組成物Bを、室温でそれぞれ調製し、均一な組成物A及び組成物Bを作製した。続いて、組成物A及びBを混合し、25mlスクリューバイアル瓶に充填して、容器入り化粧料とした(実施例1~3、及び比較例1~2)。なお、表1中の数値は、二層型化粧料全体に対する各成分の含有割合(質量%)である。また、実施例1の静置時の写真を
図1に、振とう直後の写真を
図2に示す。
【0046】
【0047】
<試験例2>二層型化粧料の外観評価
表1に示す実施例1~3、及び比較例1~2の二層型化粧料について、溶液の外観、及び油層の形状について評価を行った。二層型化粧料の混合直後、混合後静置60分後、及び混合後静置3日後に、溶液の外観について、混合後静置60分後、及び混合後静置3日後に、油層の形状について、それぞれ観察を行った。結果を表2に示す。
【0048】
【0049】
実施例1~3は、混合直後、やや濁った外観の均一な溶液となるが、静置すると濁りが薄まり、溶液の透明度が増した。一方、比較例1及び2は、混合後静置した場合も濁りが残り、比較例2については、乳化状態が維持されていた。
さらに、実施例1~3は、油層が球状となり、水層下部へ沈降した。一方、比較例1及び2は、油層は球状とならず、層状となって水層の上部に浮上した。
実施例1~3の容器入り化粧料は、従来にない新しい外観を有しており、美観に優れる。
【0050】
<試験例3>球状の油層の復元性
実施例1の容器入り化粧料を振とうし、水層と油層を均一化させた。その後、容器入り化粧料を所定時間静置し、その外観を確認した。結果を
図3に示す。
【0051】
図3に示す通り、実施例1の容器入り化粧料を振とう後、10分間静置すると、油層は、複数個の小さな球となる。
さらに、振とう後30分間静置すると、小さな球状の油層がいくつか結合し、さらに振とう後1時間静置すると、より大きな複数個の油層となる。
【0052】
この結果から、本発明の容器入り化粧料は、一度振とうし、油層及び水層を均一化した場合であっても、静置しておくことで、再度油層が球状となる。
したがって、本発明の容器入り化粧料は、使用前後において、その外観を楽しむことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、液/液二層型の化粧品、飲食品、医薬品、及び医薬部外品等に応用することができる。